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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】流体制御器、及び、流体混合器
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/45 20220101AFI20231128BHJP
   B01F 25/432 20220101ALI20231128BHJP
   B01F 33/301 20220101ALI20231128BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B01F23/45
B01F25/432
B01F33/301
B01J19/00 321
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020154730
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048739
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光章
(72)【発明者】
【氏名】秋田 征人
(72)【発明者】
【氏名】岡野 英明
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-136040(JP,A)
【文献】特表2020-517431(JP,A)
【文献】特表平09-512742(JP,A)
【文献】特開2007-252979(JP,A)
【文献】特開2008-023418(JP,A)
【文献】特開2014-231038(JP,A)
【文献】特開2015-013265(JP,A)
【文献】特開2015-000375(JP,A)
【文献】国際公開第2013/151126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B01F 29/00-33/87
B01F 35/00-35/95
B01J 4/00- 7/02
B01J 19/00-19/32
B81B 1/00- 7/04
B81C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の最上流開口及び第2の最上流開口を有し、上流側配管からそれぞれ流された流体が前記第1の最上流開口及び前記第2の最上流開口を通される上流側端部、
前記第1の最上流開口に連通する、マイクロチャネルとして形成される第1のチャネル、
前記第2の最上流開口に連通する、マイクロチャネルとして形成される第2のチャネル、及び、
前記上流側端部との間に前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルを挟み、前記第1のチャネルの第1の最下流開口及び前記第2のチャネルの第2の最下流開口を有するチャネル終端部
を有し、
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの開口率を、前記上流側端部から前記チャネル終端部に至るまで略一定にとり、
前記上流側端部と前記チャネル終端部との間で前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの少なくとも一方を変形し、
前記上流側端部と前記チャネル終端部との間において、上流側から下流側に向かうにつれて、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの延出方向に垂直な第1の断面における前記第1のチャネルに対する前記第2のチャネルの隣接領域よりも、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの延出方向に垂直で、前記第1の断面よりも下流側の第2の断面における前記第1のチャネルに対する前記第2のチャネルの隣接領域を増やし、前記チャネル終端部で、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルが多方向で隣り合う構造を有する、流路変形部と、
前記流路変形部の前記チャネル終端部の前記第1の最下流開口及び前記第2の最下流開口の下流側に設けられ、前記チャネル終端部の前記第1の最下流開口及び前記第2の最下流開口をそれぞれ通る流体を合流させて複数の流体を混合し、最下流に第3の最下流開口を有する、マイクロチャネルとして形成される混合チャネルを有する混合部と
を有する流体制御器。
【請求項2】
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの少なくとも一方は、前記上流側端部と前記チャネル終端部との間において、配置及び流路形状が漸次変形する部分を有する、請求項1に記載の流体制御器。
【請求項3】
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの少なくとも一方は、前記上流側端部と前記チャネル終端部との間で、複数に分岐する構造を含む、請求項1又は請求項2に記載の流体制御器。
【請求項4】
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの任意の最近接の流路対を結ぶ領域に、前記第2のチャネルの少なくとも一部が存在する、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項5】
前記流路変形部の前記第2の断面における、前記第1のチャネルの任意の1つに対して全方向に前記第1のチャネル、又は、前記第2のチャネルが存在する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項6】
前記流路変形部の前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの前記延出方向は、前記上流側端部から前記チャネル終端部に至るまで、同一方向である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項7】
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの前記第2の断面に沿う辺の長さの合計に対して、前記第2のチャネルの前記第2の断面に沿い、前記第1のチャネルの前記辺に隣接する辺の長さの合計が、1/2以上である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項8】
前記流路変形部の前記第2の断面における、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルを形成する環状縁の平均周囲長をLとし、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの前記環状縁の内側の平均面積をSとしたとき、
D=4*S/L
で与えられる前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの前記環状縁の相当直径Dは10mm以下である、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項9】
前記第1の最上流開口の内側の面積は、前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの内側の総面積よりも小さい、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項10】
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの任意の位置の1つの流路形状又は大きさが、前記任意の位置とは異なる位置での前記第1のチャネルの流路形状又は大きさと異なる、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項11】
前記流路変形部の前記上流側端部は、前記上流側配管から流体が流される第3の最上流開口を有し、
前記流路変形部は、前記上流側端部の下流側で前記第3の最上流開口に連通し、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルに隣接して設けられた、第3のチャネルを有し、
前記流路変形部は、前記上流側端部と前記チャネル終端部との間において、前記第1の断面における前記第1のチャネルに対する前記第3のチャネルの隣接領域よりも、前記第2の断面における前記第1のチャネルに対する前記第3のチャネルの隣接領域を増やし、
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネル、前記第2のチャネル及び前記第3のチャネルの少なくとも1つの流路形状が、6角形である、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項12】
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの流路壁を形成する母材となる材料と比較して熱伝導率が高い材料が、前記流路壁の内周面の内側に配置されている、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項13】
前記流路変形部は、前記上流側端部の下流側に隣接する位置の前記第1のチャネルが前記第1の最上流開口に1対1に対応する流体の導入区間を有し、
前記上流側端部の前記第1の最上流開口の内側の流路面積の総和は、前記導入区間の最下流位置での前記第1のチャネルの流路面積の総和よりも小さい、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項14】
前記導入区間の前記第1のチャネルの延出方向に垂直な断面において、前記第1のチャネルの流路面積は、下流側に向かうにつれて漸次拡大する、請求項13に記載の流体制御器。
【請求項15】
前記混合部は、
前記チャネル終端部の下流側で前記第1の最下流開口及び前記第2の最下流開口に連通し、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルを通した流体を前記混合チャネル内で混合する混合区間と、
前記混合区間の下流側で、前記第3の最下流開口を有し、前記混合区間の前記混合チャネルで混合した前記流体を前記混合チャネルを通して排出する排出区間と
を有し、
前記混合部の前記混合区間の前記混合チャネルの延出方向に垂直な1つの断面での前記混合チャネルの内側の流路面積は、前記排出区間の前記第3の最下流開口の内側の流路面積よりも大きい、請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の流体制御器。
【請求項16】
前記混合部の前記混合チャネルの内側の流路面積は、下流側に向かうにつれて漸次縮小する、請求項15記載の流体制御器。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の流体制御器と、
前記流体制御器の上流側の上流側配管と、
前記流体制御器の下流側の下流側配管と
を有する、流体混合器。
【請求項18】
前記上流側配管は、第1の管路、及び、第2の管路を有し、
前記上流側配管、及び、前記流路変形部は、前記第1の最上流開口と前記上流側配管の前記第1の管路とを接続するとともに、前記上流側端部の前記第2の最上流開口と前記上流側配管の前記第2の管路とを接続するように、前記流路変形部及び前記上流側配管の向きを合わせる、上流側接続部を有する、請求項17に記載の流体混合器。
【請求項19】
前記混合部、及び、前記下流側配管は、前記第3の最下流開口と前記下流側配管とを接続するように、前記混合部及び前記下流側配管の向きを合わせる、下流側接続部を有する、請求項17又は請求項18に記載の流体混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の流体を混合するためのチャネルを有する流体制御器、及び、その流体制御器を含む流体混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な液体の混合分離や化学反応が例えばマイクロチャネルを用いて行われている。マイクロチャネルは流路幅が小さいため基本的に乱流は発生せず、層流の渦や物質拡散を用いて混合が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-231038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、高い混合効率を達成する流体制御器、及び、流体混合器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、流体制御器は、流路変形部と、混合部とを有する。流路変形部は、上流側端部と、マイクロチャネルとして形成される第1のチャネルと、マイクロチャネルとして形成される第2のチャネルと、チャネル終端部とを有する。上流側端部は、第1の最上流開口及び第2の最上流開口を有する。上流側端部では、上流側配管からそれぞれ流された流体が第1の最上流開口及び第2の最上流開口を通される。第1のチャネルは、第1の最上流開口に連通する。第2のチャネルは、第2の最上流開口に連通する。チャネル終端部は、上流側端部との間に第1のチャネル及び第2のチャネルを挟む。チャネル終端部は、第1のチャネルの第1の最下流開口及び第2のチャネルの第2の最下流開口を有する。第1のチャネル及び第2のチャネルの開口率を、上流側端部から前記チャネル終端部に至るまで略一定にとる。上流側端部とチャネル終端部との間で第1のチャネル及び第2のチャネルの少なくとも一方を変形する。流路変形部は、上流側端部とチャネル終端部との間において、上流側から下流側に向かうにつれて、第1のチャネル及び第2のチャネルの延出方向に垂直な第1の断面における第1のチャネルに対する前記第2のチャネルの隣接領域よりも、第1のチャネル及び第2のチャネルの延出方向に垂直で、第1の断面よりも下流側の第2の断面における第1のチャネルに対する第2のチャネルの隣接領域を増やし、チャネル終端部で、第1のチャネル及び第2のチャネルが多方向で隣り合う構造を有する。混合部は、流路変形部のチャネル終端部の第1の最下流開口及び第2の最下流開口の下流側に設けられている。混合部は、チャネル終端部の第1の最下流開口及び第2の最下流開口をそれぞれ通る流体を合流させて複数の流体を混合し、最下流に第3の最下流開口を有する、マイクロチャネルとして形成される混合チャネルを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】流体混合器の概略的な斜視図。
図2】流体混合器の第1実施形態の流体制御器の概略的な斜視図、及び、流体制御器内の適宜の位置での流路の形状を示す概略図。
図3】流体混合器の第1実施形態の流体制御器の流路変形部と混合部との境界の断面での第1の流路及び第2の流路の配置を示す概略図。
図4】流体混合器の上流側配管と第1実施形態の流体制御器との接続構造を示す概略的な断面図。
図5】流体混合器の第1実施形態の流体制御器と下流側配管との接続構造を示す概略的な断面図。
図6図4中の上流側接続部のVI-VI線に沿う断面図の一例。
図7図4中の上流側接続部のVI-VI線に沿う断面図の変形例。
図8図4中の上流側接続部のVI-VI線に沿う断面図の変形例。
図9図4中の上流側接続部のVI-VI線に沿う断面図の変形例。
図10】流体混合器の上流側配管、流体制御器、下流側配管を接続するための構造を示す概略的な断面図。
図11】流体混合器の上流側配管、流体制御器、下流側配管を接続するための構造を示す概略的な断面図の変形例。
図12】流体混合器の流体制御器の混合部の変形例。
図13】流体混合器の流体制御器の混合部の変形例。
図14】流体混合器の流体制御器の混合部の変形例。
図15】流体混合器の第2実施形態の流体制御器の概略的な斜視図、及び、流体制御器内の適宜の位置での流路の形状を示す概略図。
図16】流体混合器の第3実施形態の流体制御器の流路変形部の概略的な斜視図、及び、流路変形部内の適宜の位置での流路の形状を示す概略図。
図17】第3実施形態の流体制御器のチャネル終端部の第1変形例。
図18】第3実施形態の流体制御器のチャネル終端部の第2変形例。
図19】第3実施形態の流体制御器のチャネル終端部の第3変形例。
図20】第3実施形態の流体制御器のチャネル終端部の第4変形例。
図21】流体混合器の第4実施形態の流体制御器の流路変形部の概略的な斜視図、及び、流路変形部内の適宜の位置での流路の形状を示す概略図。
図22】流体混合器の第5実施形態の流体制御器の流路変形部の概略的な斜視図、及び、流路変形部内の適宜の位置での流路の形状を示す概略図。
図23】流体混合器の第6実施形態の流体制御器の流路変形部の概略的な斜視図、及び、流路変形部内の適宜の位置での流路の形状を示す概略図。
図24】第6実施形態の流体制御器のチャネル終端部の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に図面を参照して、流体混合器10の第1実施形態から第6実施形態を説明する。
【0008】
第1実施形態から第6実施形態に係る流体混合器10は、同種又は異種の流体を混合可能である。同種の流体であっても、例えば温度により粘性が異なる場合がある。このような流体は、流体混合器10を用いて混合することができる。
【0009】
(第1実施形態)
図1から図5を参照して第1実施形態の流体混合器10を説明する。
【0010】
図1には、流体混合器10を示す概略的な斜視図を示す。図2には、流体混合器の流体制御器16の概略的な斜視図、及び、流体制御器16内の適宜の位置での流路の形状を示す概略図(断面図)を示す。図3には、流体制御器16のあるYZ平面での断面を示す。図4には、上流側配管(導入前段部)12,14と、流体制御器16との接続状態を示す。図5には、流体制御器16と下流側配管(排出後段部)18との接続状態を示す。
【0011】
なお、図1及び図2に示す水平方向(チャネル(流路)の延出方向)にX軸を、X軸に直交する上下方向にZ軸を、X軸及びZ軸に直交する方向にY軸を取る。
【0012】
図1に示すように、流体混合器10は、複数の上流側配管(導入前段部)12,14と、流体制御器16と、下流側配管(排出後段部)18とを有する。
【0013】
本実施形態では、流体混合器10が2つの上流側配管12,14を有する例について説明する。上流側配管12,14は、流体制御器16の上流側に配置され、流体制御器16に同種又は異種の流体を供給(導入)する。上流側配管12,14は、例えば、それぞれ、図示しない流体源から供給される流体を通すチューブ22と、チューブ22に接続され、チューブ22と流体制御器16とを接続する上流側接続部24とを有する。チューブ22は、可撓性を有することが好適である。チューブ22の代わりに、例えば金属材製又は樹脂材製のチャネルを用いてもよい。
【0014】
下流側配管18は、流体制御器16の下流側に配置され、流体制御器16で混合された流体を下流側に導く。下流側配管18は、例えば、流体制御器16の下流側に接続される下流側接続部32と、下流側接続部32に接続され、流体制御器16で混合された流体を下流側に導くチューブ34とを有する。チューブ34は、可撓性を有することが好適である。チューブ34の代わりに、例えば金属材製又は樹脂材製のチャネルを用いてもよい。
【0015】
図1及び図2に示すように、流体制御器16は、本実施形態では、直方体であるものとして説明する。流体制御器16の外観は、直方体以外に円柱、半円柱、楕円柱、多角柱など様々な形状とすることができる。
【0016】
本実施形態の流体制御器16は、流路変形部(流体導入部)42と、混合部44とを有する。流体制御器16は、上流側から下流側に向かって、流路変形部42、混合部44の順番で形成される。流体制御器16には、流路変形部42の上流側から複数の流体が同時期に流路変形部42に導入される。流路変形部42は、流路変形部42内を流れる複数の流体が、流路変形部42の基端側の混合部44で混合し易くなるように下流側に向かって流路が上流側から下流側に向かって徐々に変形する。そして、混合部44は、流路変形部42の下流端から下流側の混合部44に複数の流体が同時期に吐出されたときに、複数の流体を混合し、複数の流体を混合した流体を下流側配管18に排出する。
【0017】
流体制御器16の最上流端を上流側端部(上流側端面)52とし、最下流端を下流側端部54とし、流路変形部42と混合部44との境界(流路変形部42の下流端)をチャネル終端部(チャネル境界面)56とする。流体制御器16の流路変形部42の上流側端部52、チャネル終端部56、混合部44の下流側端部54のそれぞれのYZ平面は、本実施形態では、矩形状(四角形状)である。流体制御器16の流路変形部42の上流側端部52、チャネル終端部56、混合部44の各YZ平面に沿う形状は、流体制御器16の外観に合わせて、矩形状以外に、円形状、半円形状、楕円形状、多角形状等、の様々な形状とすることができる。
【0018】
ここで、流体制御器16は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレートから選択される1種または2種以上の樹脂材を用いることが好ましい。
【0019】
流体制御器16の製作方法について簡単に説明する。流体制御器16の製造には、例えば光造形装置を用いることができる。光造形装置は、液状の光硬化性樹脂の像形成材料層に光を照射して硬化樹脂層を形成することを繰り返し、複数の硬化樹脂層を積層して立体形状物を作製する。流体制御器16の製造には、例えば、熱溶融積層法により三次元造形物を製造する三次元プリンターを用いることができる。流体制御器16の製造には、例えば、孔の空いた複数の薄板を、隙間なく密着接合させることで三次元造形物を製造する拡散接合装置を用いることができる。これらいずれの製作方法を用いても、流体制御器16の流路変形部42及び混合部44は、一体成型される。
【0020】
本実施形態では、流体制御器16は、上流側配管12,14の上流側接続部24と別体として成型される場合を例にして説明する。本実施形態では、流体制御器16は、下流側配管18の下流側接続部32と別体として成型される場合を例にして説明する。
【0021】
図2に示す流体制御器16は、上述したように、X軸方向に延びる、例えば直方体として形成されている。流体制御器16の流路変形部42は、上流側端部52と、チャネル終端部56と、第1のチャネル(流路群)62と、第2のチャネル(流路群)64とを有する。チャネル62,64は流路変形部42内に並設されている。混合部44は、混合チャネル66を有する。混合チャネル66は、チャネル62,64の下流側にチャネル62,64を合流するように、チャネル62,64に連通した状態に設けられている。
【0022】
これらチャネル62,64,66は、流体制御器16のX軸(長手軸)にほぼ沿って延びる。これらチャネル62,64,66は、例えばマイクロチャネルとして形成されていることが好適である。チャネル62,64は、流体制御器16の流路変形部42の両端部(上流側端部52及びチャネル終端部56)にて開口する。チャネル終端部56は、チャネル62,64の終端の位置にある。チャネル62,64は、上流側配管12,14から供給される複数の流体をチャネル62,64に続くチャネル66で混合し、下流側配管18に通流する。本実施形態では、流路変形部42の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の延出方向は、上流側端部52からチャネル終端部56に至るまで、同一方向である。
【0023】
上流側端部52は、上流側配管12,14からそれぞれ流体が流される第1の最上流開口62a及び第2の最上流開口64aを有する。すなわち、上流側端部52は、第1の最上流開口62a及び第2の最上流開口64aの2つの領域に分割されている。ここでは、第1の最上流開口62a及び第2の最上流開口64aは、ともに略矩形状で、Z軸方向に並設されている。上側が第1の最上流開口62aであり、下側が第2の最上流開口64aである。
【0024】
チャネル終端部56は、上流側端部52との間に第1のチャネル62及び第2のチャネル64を挟む。チャネル終端部56は、第1のチャネル62の第1の最下流開口62b及び第2のチャネル64の第2の最下流開口64bを有する。第1のチャネル62は、第1の最上流開口62aと第1の最下流開口62bとを連通する。第2のチャネル64は、第2の最上流開口64aと第2の最下流開口64bとを連通する。
【0025】
図3に示すように、第1の最下流開口62bは、開口群として複数の開口を含む。第1の最下流開口62bの複数の開口は、本実施形態では、略矩形状としているが、種々の形状に形成することができる。第2の最下流開口64bは、開口群として複数の開口を含む。第2の最下流開口64bの複数の開口は、本実施形態では、略矩形状としているが、種々の形状に形成することができる。本実施形態では、第1の最下流開口62b及び第2の最下流開口64bは、Y軸方向に交互に整列し、かつ、Z軸方向に交互に整列する。
【0026】
このため、第1のチャネル62は、第1の最上流開口62aから下流側の第1の最下流開口62bに向かうにつれて、流路の形状を第1の最上流開口62aから徐々に変形する。第2のチャネル64は、第2の最上流開口64aから下流側の第2の最下流開口64bに向かうにつれて、流路の形状を第2の最上流開口64aから徐々に変形する。第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、上流側端部52に比べて下流側に向かうにつれて互いの隣接領域を増やす。
【0027】
なお、「隣接領域」とは、流路変形部42を形成する樹脂材等の素材である中実部が形成する第1のチャネル62及び第2のチャネル64のうち、Y軸方向に隣り合う外縁の長さ、及び、Z軸方向に隣り合う外縁の長さをいう。本実施形態では、第1のチャネル62及び第2のチャネル64がY軸方向及びZ軸方向にそれぞれ交互に配置されることで、隣接領域を増やす。
【0028】
混合チャネル66は、最上流開口66a(図5参照)と最下流開口66bとを有する。混合チャネル66の最上流開口66aは、第1のチャネル62の第1の最下流開口62b及び第2のチャネル64の第2の最下流開口64bの下流側に連続する。混合チャネル66の最上流開口66aの開口縁は、第1のチャネル62の全ての第1の最下流開口62b及び第2のチャネル64の全ての第2の最下流開口64bの外側にある。流体制御器16の下流側端部54には、第1のチャネル62及び第2のチャネル64を1つにした混合チャネル66の開口66bが開口する。混合チャネル66は、下流側端部54で最下流開口66bに連通する。このため、混合部44からは下流側配管18の下流側接続部32に第1の流体と第2の流体が混合された第3の流体が排出される。
【0029】
次に、図2を参照して流体制御器16の流路変形部42の上流側端部52とチャネル終端部56との間の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の配置及び形状(相対位置)の変化、さらには、流路変形部42のチャネル終端部56と混合部44の下流側端部54との間の混合チャネル66の配置及び形状の変化について説明する。
【0030】
図2には、流体制御器16の流路変形部42の上流側端部52とチャネル終端部56との間で、所定の間隔における流体制御器16のYZ平面を取った各位置の断面を示す。本実施形態では、流体制御器16の流路変形部42の端部(端面)52,56間に、所定間隔に仮想的に6つの断面72a,72b,72c,72d,72e,72fを取る。これら断面72a,72b,72c,72d,72e,72fは、端部(端面)52,56に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0031】
流体制御器16の流路変形部42は、上流側端部52とチャネル終端部56との間に、5つの異なる機能の流路区間A,B,C,D,Eを有する。5つの異なる機能の流路区間は、上流側から下流側に向かって順に、導入区間A、分岐区間(第1の分岐区間)B、断面変形区間C、分岐区間(第2の分岐区間)D、ずらし区間Eである。
【0032】
流体制御器16の流路変形部42のチャネル終端部56と混合部44の下流側端部54との間に、所定間隔に仮想的に2つの断面74a,74bを取る。これら断面74a,74bは、端部(端面)56,54に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0033】
流体制御器16の混合部44は、チャネル終端部56と下流側端部54との間に、2つの異なる機能の流路区間F,Gを有する。2つの異なる機能の流路区間は、上流側から下流側に向かって順に、混合区間F、排出区間Gである。
【0034】
区間Aから区間Eでは、第1のチャネル62、及び、第2のチャネル64の配置、流路形状、および、第1のチャネル62、第2のチャネル64の数が上流側から下流側に向かうにつれて漸次変更されている。このため、端部52,56、および、端部52,56間の断面72a-72fの各々においてチャネル62,64の配置と流路形状と数が徐々に変化する。すなわち、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、上流側端部52とチャネル終端部56との間において、漸次変形する。
【0035】
なお、第1のチャネル62、及び、第2のチャネル64は、各YZ平面に沿う断面において、略同一の面積(流体通過面積)を有することが好適である。すなわち、第1のチャネル62、及び、第2のチャネル64のX軸方向の位置による流路面積の変化が少ないことが好適である。
【0036】
上流側端部52から断面72aまでに規定される導入区間Aにおいて、上流側端部52では、図2中の上半分の領域である導入路に1つの第1のチャネル62を形成する。また、上流側端部52では、下半分の領域である導入路に1つの第2のチャネル64を形成する。断面72aでは、上流側端部52から延びた第1のチャネル62及び第2のチャネル64の流路壁(流路を形成する環状縁)を有する。断面72aでの第1のチャネル62及び第2のチャネル64の流路壁は、それぞれ、1つの略長方形(矩形)状である。断面72aでは、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、上流側端部52の第1の最上流開口62a及び第2の最上流開口64aと同様に、Z軸方向に2列に配置されている。
【0037】
図4に示すように、第1のチャネル62は、上流側端部52の第1の最上流開口62aと区間Aの断面72aとの間に段差62cを有する。このため、第1のチャネル62は、第1の最上流開口62aの内側の流路面積よりも、断面72aの内側の流路面積の方が大きい。同様に、第2のチャネル64は、上流側端部52の第2の最上流開口64aと区間Aの断面72aとの間に段差64cを有する。このため、第2のチャネル64は、第2の最上流開口64aの内側の流路面積よりも、断面72aの内側の流路面積の方が大きい。
【0038】
なお、上流側端部52の第1の最上流開口62aが複数に分岐されている場合があり得る。上流側端部52の第1の最上流開口62aが単数であっても、複数であっても、上流側端部52の第1の最上流開口62aの内側の面積(流路面積)の総和は、導入区間Aの最下流位置での第1のチャネル62の流路面積の総和よりも小さい。
【0039】
同様に、上流側端部52の第2の最上流開口64aが複数に分岐されている場合があり得る。上流側端部52の第2の最上流開口64aが単数であっても、複数であっても、上流側端部52の第2の最上流開口64aの内側の面積(流路面積)の総和は、導入区間Aの最下流位置での第2のチャネル64の流路面積の総和よりも小さい。
【0040】
図2に示すように、断面72aから断面72bまでに規定される分岐区間Bでは、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、断面72aではそれぞれが1つの開口であるが、断面72bではそれぞれがより小さい開口の3つの長方形状に変化する。このため、分岐区間Bにおいて、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、断面72aでのZ軸方向に2列の配置及び形状から、断面72bでの、Z軸方向に2列、Y軸方向に3列の配置及び形状に分岐する。すなわち、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、分岐区間Bにおいて、上流側端部52とチャネル終端部56との間で、複数に分岐する構造を含む。
【0041】
断面72bから断面72cまでに規定される断面変形区間Cにおいて、断面72bから断面72cに至るまでの間に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、その流路形状が矩形状から、細長い三角形状に変化する。断面72cから断面72dに至るまでの間に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、細長い三角形状から幅狭の長方形状にそれぞれ流路形状が変化する。
【0042】
区間Cの最初の区間の断面72bと断面72cとの間では、上段3つの矩形状の第1のチャネル62と下段3つの矩形状の第2チャネル64との2段×3列の配置及び形状から、3つの細長の逆三角形状の第1のチャネル62と3つの細長の三角形状の第2のチャネル64とが互い違いにY軸方向に横並びに並ぶ配置及び形状に変化する。より詳しくは、逆三角形状の第1のチャネル62の下側の頂部が2つの三角形状の第2のチャネル64の間に入り込むとともに、三角形状の第2のチャネル64の上側の頂部が2つの逆三角形状の第1のチャネル62の間に入り込む。このため、断面72cにおいて、全体として三角形状の第1のチャネル62及び第2のチャネル64がY軸方向に横並びとなる配置及び形状に変化する。
【0043】
区間Cの次の区間の断面72cと断面72dとの間では、6つの三角形状の第1のチャネル62及び第2のチャネル64が横並びとなる配置及び形状から、6つの幅狭の長方形状の第1のチャネル62及び第2のチャネル64がY軸方向に横並びとなる配置及び形状に変化する。より詳しくは、3つの幅狭の長方形状の第1のチャネル62と3つの幅狭の長方形状の第2のチャネル64とが交互にY軸方向に横並びに配置されている。
【0044】
このように、断面変形区間Cの断面72bにおいて、Z軸方向の上側に複数の第1のチャネル62、下側に複数の第2のチャネル64が存在する状態から、断面72dにおいて第1のチャネル62及び第2のチャネル64がY軸方向に交互に配置される状態に第1のチャネル62及び第2のチャネル64が変形する。
【0045】
断面72dから断面72eまでに規定される分岐区間Dの断面72dと断面72eとの間では、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、長方形状のY軸方向に横6列の配置と形状から、第1のチャネル62及び第2のチャネル64がZ軸に沿って分岐し小正方形状の縦横(Y軸方向及びZ軸方向)に6列ずつの配置及び形状に変化する。すなわち、分岐区間Bで3つに分岐された第1のチャネル62及び第2のチャネル64が分岐区間Dにおいてさらにそれぞれ6つに分岐され、Z軸方向(縦)に並べられている。このため、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、分岐区間Dにおいて、上流側端部52とチャネル終端部56との間で、複数に分岐する構造を含む。
【0046】
断面72eからチャネル終端部(チャネル境界面)56までに規定される水平方向ずらし区間Eの断面72eと断面72fとの間では、縦横6列ずつの小正方形状の第1のチャネル62及び第2のチャネル64のうちの上から1段目、3段目、5段目がそれぞれ図2中にて上流側から下流側を見てY軸方向(水平方向)の左側(例えば+(プラス)側)に、上から2段目、4段目、6段目がそれぞれ図2中にて上流側から下流側を見てY軸方向(水平方向)の右側(例えば-(マイナス)側)に位置がずれている。
【0047】
水平方向ずらし区間Eの断面72fとチャネル終端部56との間では、縦横(Y軸方向及びZ軸方向)に6列ずつの小正方形状の第1のチャネル62及び第2のチャネル64のうちの上から1段目、3段目、5段目がそれぞれ図2中にて上流側から下流側を見てさらにY軸方向(水平方向)の左側に、上から2段目、4段目、6段目がそれぞれ図2中にて上流側から下流側を見てさらにY軸方向(水平方向)の右側に位置がずれている。本実施形態では、チャネル終端部56において、第1のチャネル62の第1の最下流開口62bと第2のチャネル64の第2の最下流開口64bとがY軸方向に交互に並べられるとともに、Z軸方向に交互に並べられる。
【0048】
図3には、チャネル終端部56の第1のチャネル62の第1の最下流開口62b、及び、第2のチャネル64の第2の最下流開口64bを示す。
【0049】
図3に示すように、流路変形部42の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の延出方向に垂直な1つの断面であるずらし区間Eの断面72fとチャネル終端部56との間では、ある任意の第1のチャネル62とこれとは別の最近接の第1のチャネル62とを結ぶ領域に、第2のチャネル64の一部が存在する。反対に、ある任意の第2のチャネル64とこれとは別の最近接の第2のチャネル64とを結ぶ領域に、第1のチャネル62の一部が存在する。
【0050】
ずらし区間Eの断面72fとチャネル終端部56との間では、流路変形部42の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の延出方向に垂直な1つの断面における、第1のチャネル62の任意の1つに対して全方向に第1のチャネル62、又は、第2のチャネル64が存在する。ある1つの第1のチャネル62のZ軸方向上方向及び下方向には、第2のチャネル64が存在する。ある1つの第1のチャネル62のY軸方向左方向及び右方向には、第2のチャネル64が存在する。ある1つの第1のチャネル62のY軸に対して45°傾斜する方向、135°傾斜する方向、225°傾斜する方向、315°傾斜する方向には、それぞれ別の第1のチャネル62が存在する。
【0051】
限定されるものではないが、本実施形態の第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、流体制御器16を流す流体の表面張力の影響が現れる流路面積よりも小さい流路面積を有することが好適である。
【0052】
第1のチャネル62及び第2のチャネル64の断面の1つの流路壁の平均周囲長をLとし、その1つの流路壁の内側の平均面積をSとした場合に、
D=4*S/L
で与えられる流路壁(環状縁)の相当直径Dは1μm以上10mm以下にすることが望ましい。第1のチャネル62及び第2のチャネル64の1つの流路壁の内側がそれぞれ円形状で、直径が1μm未満の場合は、製作が困難になる可能性があるとともに、流体制御器16を通る流体に対する圧力損失が顕著に増大してしまう可能性がある。一方、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の1つの流路壁の内側の直径が10mmを超えると、例えば第1のチャネル62及び第2のチャネル64間の距離が増大して、流体同士の混合性能が低下する可能性がある。
【0053】
なお、第1の最上流開口62aの内側の流路面積は、流路変形部42の第1のチャネル62を適宜に分岐した後の、断面72bとチャネル終端部56との間の適宜の断面における第1のチャネル62の内側の総面積(総流路面積)よりも小さい。同様に、第2の最上流開口64aの内側の流路面積は、流路変形部42の第2のチャネル64を適宜に分岐した後の、断面72bとチャネル終端部56との間の適宜の断面における第2のチャネル64の内側の総面積(総流路面積)よりも小さい。
【0054】
混合部44は、流路変形部42のチャネル終端部(チャネル境界面)56から混合部44の断面74bまでに規定される混合区間Fにおいて、混合チャネル66の2つの断面74a,74bを取る。混合チャネル66の配置及び流路形状は、上流側から下流側に向かって略同一状態で延出されている。端部56と断面74aとの間、断面74a,74b間で、混合チャネル66の配置及び流路形状が一定状態を維持する。
【0055】
混合区間Fのチャネル終端部56と断面74aでは、流路形状が小正方形状の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の縦横6列ずつの配置と形状から単一の矩形の混合チャネル66に変化する。なお、混合区間Fの断面74aと断面74bでは、単一の矩形の混合チャネル66の流路形状、配置、及び、大きさは変化しない。
【0056】
混合部44の断面74bから下流側端部54までに規定される排出区間Gにおいて、混合チャネル66の流路形状は、上流側から下流側に向かって略同一状態で延出されている。このため、断面74bとチャネル終端部56との間の排出区間Gにおいて、矩形の混合チャネル66の数は変化しない。一方で、混合チャネル66の大きさは、排出区間Gにおいて変化する。
【0057】
図5に示すように、混合チャネル66は、区間Gの断面74bと下流側端部54との間に段差66cを有する。混合チャネル66は、断面74bの内側の流路面積よりも、最下流開口66bの内側の流路面積の方が小さい。
【0058】
すなわち、混合部44の混合区間Fの混合チャネル66の延出方向に垂直な1つの断面74aでの混合チャネル66の内側の流路面積は、排出区間Gの第3の最下流開口66bの内側の流路面積よりも大きい。
【0059】
図4には、流体制御器16の上流側端部52に対する上流側配管12,14の取り付け状態を示す。図5には、流体制御器16の下流側端部54に対する下流側配管18の取り付け状態を示す。
【0060】
図4に示すように、流体混合器10は、上流側配管(導入前段部)12,14と流路変形部42との間に、これらを接続するためのシール機構82を有する。シール機構82は上流側配管12のチューブ(第1の管路)22及び上流側接続部24の流路26aを通る流体が、上流側配管12の上流側接続部24において、上流側配管14の上流側接続部24に漏れ出すことを防止する。同様に、シール機構82は上流側配管14のチューブ(第2の管路)22及び上流側接続部24の流路26bを通る流体が、上流側配管14の上流側接続部24において、上流側配管12の上流側接続部24に漏れ出すことを防止する。シール機構82は、流体混合器10に流される流体によるが、例えばOリング状のゴム材で形成される。
【0061】
シール機構82を配置する領域が必要であるため、上流側端部52では、断面72aよりもチャネル62,64の流路面積を小さくする必要がある。すなわち、シール機構82が無い分、上流側端部52よりも下流側の断面72aでは上流側端部52よりも各チャネル62,64の流路面積を広く取ることができる。流路変形部42の導入区間Aでは、上流側端部52から下流側の断面72aに至るまでの間にチャネル62,64の内側の流路面積が漸次拡大する。なお、流路変形部42の導入区間Aでは、上流側端部52から下流側の断面72aに至るまでの間に段差62c,64cによらず、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の流路面積が漸次増加してもよい。
【0062】
上流側配管(導入前段部)12の上流側接続部24と第1のチャネル62とを一体成型するなど、上流側接続部24と第1のチャネル62との間から第1の流体が漏れない状態に接続し、上流側配管(導入前段部)14の上流側接続部24と第2のチャネル64とを一体成型するなど、上流側接続部24と第2のチャネル64との間から第2の流体が漏れない状態に接続することができる場合、シール機構82は不要となる。シール機構82が不要の場合、上流側端部52及び断面72aでの第1のチャネル62の内側の流路面積は同じにしてよく、上流側端部52及び断面72aでの第2のチャネル64の内側の流路面積は同じにしてよい。
【0063】
図4に示す上流側配管12,14と流体制御器16の上流側端部52との間のシール機構82と同様に、流体混合器10は、図5に示す流体制御器16の下流側端部54と下流側配管18との間にシール機構84を有する。シール機構84は下流側配管18の下流側接続部32及びチューブ34を通る流体が、下流側配管18の下流側接続部32から漏れ出すことを防止する。シール機構84は、流体混合器10に流される流体によるが、例えばOリング状のゴム材で形成される。
【0064】
シール機構84を配置する領域が必要であるため、下流側端部54では、断面74bよりも混合チャネル66の流路面積を小さくする必要がある。すなわち、シール機構84が無い分、下流側端部54よりも上流側の断面74bでは下流側端部54よりも混合チャネル66の流路面積を広く取ることができる。混合部44の区間Gでは、断面74bから下流側端部54に至るまでの間に混合チャネル66の流路面積が減少する。なお、混合部44の区間Gでは、断面74bから下流側端部54に至るまでの間に段差66cによらず、混合チャネル66の流路面積が漸次減少してもよい。
【0065】
下流側配管(排出後段部)18の下流側接続部32と混合チャネル66とを一体成型するなど、下流側接続部32と混合チャネル66との間から第3の流体が漏れない状態に接続することができる場合、シール機構84は不要となる。シール機構84が不要の場合、下流側端部54及び断面74bでの混合チャネル66の内側の流路面積は同じにしてよい。
【0066】
流体制御器16の入口部分で分割されている2つの流体の複数のチャネル62,64は、任意方向の貫通流路を介して流れ方向と垂直方向に複数の方向で隣接する。第1の流体及び第2の流体の流れ方向は、図2に示すように並流型である。なお、最下流開口62b及び最下流開口64bの大きさ、形状、数は、流体の粘性等に応じ、同じであっても異なっていてもよい。
【0067】
本実施形態の流体混合器10の作用について説明する。
【0068】
第1のチャネル62には上流側配管12のチューブ22及び上流側接続部24を経由して図示しない第1の流体供給源から第1の流体が所望の圧力で供給される。第2のチャネル64には上流側配管14のチューブ22及び上流側接続部24を経由して図示しない第2の流体供給源から第2の流体が所望の圧力で供給される。
【0069】
流体混合器10は、上流側配管12,14のチューブ22及び上流側接続部24をそれぞれ通して、流体制御器16の流路変形部42において第1のチャネル(流路群)62を通して第1の流体を一方向に流し、第1の流体に並行して第2のチャネル(流路群)64を通して第2の流体を一方向に流す。そして、流体混合器10は、第1の流体及び第2の流体を混合部44の混合チャネル66において混合することで第3の流体を生成し、混合チャネル66を通して第3の流体を一方向に流す。流体混合器10は、第3の流体を、下流側配管18の下流側接続部32及びチューブ34を通して下流側に流す。
【0070】
ここで、本実施形態では、流路変形部42と混合部44との境界のチャネル終端部56において、第1の流路群に属する第1のチャネル62の最下流開口62bと第2の流路群に属する第2のチャネル64の最下流開口64bとを互いに隣接して配置している。例えば、第1のチャネル62の1つの最下流開口62bの周囲に、第1のチャネル62の他の複数の最下流開口62bが存在するとともに、第2のチャネル64の複数の最下流開口64bが存在する。このため、流体制御器16の流れ方向に垂直な任意の断面であるチャネル終端部56における、1つの流路(例えば第1のチャネル62)において、図3に示すように、チャネル62,64上の任意の点に対する全方向に、第1のチャネル62に第1の流体を流す流路、および、第2のチャネル64に第2の流体を流すチャネル62,64が存在する。このため、チャネル終端部56において、第1のチャネル62の複数の開口62bと第2のチャネル64の複数の開口64bとがそれぞれ接近し、第1のチャネル62の複数の開口62bから第2のチャネル64の複数の開口64bまでの相互間距離が複数(多数)個所で短い状態となる。したがって、第1のチャネル62に流される第1の流体が開口62bを通して混合チャネル66内に入れられるとともに、第2のチャネル64に流される第2の流体が開口64bを通して混合チャネル66内に入れられて混合された流体は、混合される。
【0071】
なお、図3に示すチャネル終端部56(流体制御器16の流れ方向に垂直な1つの断面)の例では、第1のチャネル62の矩形状の最下流開口62b、及び、第2のチャネル64の矩形状の最下流開口64bは、それぞれ18個ある。このため、最下流開口62b及び最下流開口64bのそれぞれの辺の数は72である。各最下流開口62b及び各最下流開口64bは、正方形であると仮定する。最下流開口62bの辺(境界部分)のうち、最下流開口64bの辺(境界部分)とY軸方向及びZ軸方向に隣接する数(境界部分)は、55である。このため、第1のチャネル62の最下流開口62bのうち、第2のチャネル64の最下流開口64bに隣接する境界部分の長さの合計である「55」は、第2のチャネル64の最下流開口64bの全辺長である「72」の3/4以上となっている。第1のチャネル62及び第2のチャネル64のY軸方向及びZ軸方向に隣接する辺の数は、実施形態によるが、1/2程度あればよい。
【0072】
なお、図2に示す上流側端部52において、第1のチャネル62の矩形状の最上流開口62a、及び、第2のチャネル64の矩形状の最上流開口64aは、それぞれ1個ある。このため、最上流開口62a及び最上流開口64aのそれぞれの辺の数は4である。最上流開口62a及び最上流開口64aが正方形であると仮定する。最上流開口62aの辺(境界部分)のうち、最上流開口64aの辺(境界部分)とY軸方向及びZ軸方向に隣接する数(境界部分)は、1である。このため、第1のチャネル62の最上流開口62aのうち、第2のチャネル64の最上流開口64aに隣接する境界部分の長さの合計である「1」は、第2のチャネル64の最下流開口64bの全辺長である「4」の1/4であり、これは1/2よりも小さい。
【0073】
すなわち、本実施形態においては、二次元投影平面視野においてチャネル62,64の端部52,56間の断面72a-72fの相対的な形状を変えて、第1のチャネル62と第2のチャネル64との隣接領域を下流側に向かうほど、大きくする。すなわち、チャネル終端部56で、開口62b,64bは、開口62b,64bから吐出する流体同士が混合しやすいように分散している。したがって、例えば上流側端部52のように、1方向のみにチャネル62,64が隣接する場合と比べて、チャネル終端部56の下流側の混合部44では、流体を混合し易い。
【0074】
上述したように、本実施形態において、「隣接領域」とは、流路変形部42を形成する樹脂材等の素材である中実部が形成する第1のチャネル62及び第2のチャネル64のうち、Y軸方向に隣り合う外縁の長さ、及び、Z軸方向に隣り合う外縁の長さをいう。本実施形態では、各断面72a,72b,72c,72d,72e,72fにおいて、外縁は、辺として規定される。
【0075】
例えば、断面72aとチャネル終端部56との間の各断面において、流路群を含む第1のチャネル62及び流路群を含む第2のチャネル64の隣接領域の大きさを比較する。断面72a,72bでの第1のチャネル62及び第2のチャネル64において、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の分割数が変化するだけであり、隣接領域は、略変化しない。断面72b,72cでの第1のチャネル62及び第2のチャネル64において、断面72cでの第1のチャネル62及び第2のチャネル64の隣接領域の方が、断面72bでの第1のチャネル62及び第2のチャネル64の隣接領域が大きい。同様に、断面72c,72dを比較したとき、上流側の第1のチャネル62及び第2のチャネル64に比べて、それぞれ下流側の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の方が、Y軸方向に隣り合う外縁の長さ、及び、Z軸方向に隣り合う外縁の長さ、すなわち、隣接領域が次第に大きくなる。また、断面72d,72eを比較したとき、断面72a,72bを比較したときと同様に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の分割数が変化するだけであり、隣接領域は、略変化しない。断面72e,72fを比較したとき、断面72fとチャネル終端部56とを比較したとき、上流側の第1のチャネル62及び第2のチャネル64に比べて、それぞれ下流側の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の方が、Y軸方向に隣り合う外縁の長さ、及び、Z軸方向に隣り合う外縁の長さ、すなわち、隣接領域が次第に大きくなる。このため、流路変形部42は、上流側から下流側に向かうにつれて、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の隣接領域が大きくなる。
【0076】
チャネル終端部56において、それぞれ1つの開口62b,64bから吐出する第1の流体及び第2の流体の流量は、区間A-Cでの第1のチャネル62及び第2のチャネル64での1つの開口での流体の流量よりも少ないが、流量保存の法則により、流体制御器16の上流側端部(上流側端面)52とチャネル終端部56との間で、第1の流体及び第2の流体の全流量は、各YZ断面において、不変である。最上流開口62aと、最下流開口62bとの間の各YZ平面における第1のチャネル62の内側の流路面積の合計、すなわち、開口率は、殆ど変化しない。また、最上流開口64aと、最下流開口64bとの間の各YZ平面における第2のチャネル64の内側の流路面積の合計、すなわち、開口率は、殆ど変化しない。このため、第1の流体が第1のチャネル62に流されたとき、及び、第2の流体が第2のチャネル64に流されたときに、これら流体に対する圧力損失の増加を防止する。
【0077】
このため、混合部44の混合区間Fにおいて、流体同士が混合しやすく、流体同士の均一な混合に要する時間及び距離が削減される。したがって、流体制御器16を用いることで、混合部44の長さを短くしながら、第1の流体及び第2の流体の混合性能が向上する。
【0078】
以上説明したように、本実施形態にかかる流体混合器10によれば、以下のことが言える。
【0079】
本実施形態では、流体制御器16の流路変形部42の流れ方向に垂直な少なくとも1つの断面において、例えば第1の流体を流通する任意の最近接の流路対を結ぶ少なくとも一つの線分上に、第1の流体とは別の第2の流体を流すチャネル62,64を存在させることができる。第1の流体及び第2の流体を混合することで第3の流体を生成する混合部44の手前の流路変形部42のチャネル終端部56で、第1のチャネル62及び第2のチャネル64が多方向で隣り合う構造を有する。また、流体制御器16の上流側端部52からチャネル終端部56に至るまで、開口率を略一定にとることができる。このため、例えば上流側端部52の最上流開口62a,64aの形状及び大きさのチャンネルが上流側端部52からチャネル終端部56まで連続しZ軸方向の1方向のみにチャネル62,64が隣り合い、多量の流体同士を直接混合させる場合と比べて、本実施形態の流体制御器16のように、上流側端部52からチャネル終端部56まで全体として流量は同じであるが、混合部44において、少量の流体同士を接触させながら流体を混合させる構造とすることで、流体同士の均一な混合に要する時間及び距離を削減することができる。このため、流体制御器16を用いることで、混合部44の長さを短くしながら、複数の流体の混合性能を向上させることができる。
【0080】
本実施形態では、流体制御器16の流路変形部42において、チャネル62,64を形成する領域以外の余分な肉部の領域を小さくすることができる。このため、流体制御器16の上流側端部52とチャネル終端部56との間の開口率を一定に維持しながら、流体制御器16を小型に維持することができる。また、上述した作成方法で流体制御器16を作製することができるため、流体混合器10全体を小型化することができる。
【0081】
このため、流路変形部42から混合部44にかけて第1のチャネル62及び第2のチャネル64を変形し、第1の流体及び第2の流体を放出するときに効率的に混合して、第3の流体を得ることができる。
【0082】
流路変形部42の流れ方向に垂直な全ての断面において、全てのチャネル62,64の流れ方向を一致させることが可能である。すなわち、流路変形部42の入口(上流側端部52)から出口(チャネル終端部56)に至るまで、全てのチャネル62,64の流れ方向を不変にすることができる。このため、本実施形態に係る流体制御器16を用いることで、第1の流体及び第2に対する圧力損失の増加を防ぐことができる。
【0083】
流路変形部42の入口もしくは混合部44の出口に、シール機構82,84を配置するための領域を設けることで、上流側配管12,14と流体制御器16との間、および、流体制御器16と下流側配管18との間を、流体の漏れなく接続することができる。
【0084】
なお、流体制御器16は、上流側配管12,14の上流側接続部24と一体成型されることも好適である。この場合、シール機構82は不要となる。流体制御器16は、下流側配管18の下流側接続部32と一体成型されることも好適である。この場合、シール機構84は不要となる。
【0085】
上述した実施形態では、流体制御器16の流路変形部42の1つの断面として、図3に示すチャネル終端部56における、第1のチャネル62の最下流開口62bのうち、第2のチャネル64の最下流開口64bに隣接する境界部分の長さの合計が、第2のチャネル64の最下流開口64bの全辺長の1/2以上となっていることを説明した。第1のチャネル62の最下流開口62b及び第2のチャネル64の最下流開口64bは、矩形状でなくてもよい。例えば、流路変形部の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の延出方向に垂直な1つの断面において、第1のチャネル62のある1つの断面に沿う辺の長さの合計に対して、第2のチャネル64のある1つの断面に沿い、第1のチャネル62の辺(流路壁)に隣接する辺の長さの合計が、1/2以上であればよい。上述したように、「隣接する」とは、例えば第1のチャネル62の流路壁と第2のチャネル64の流路壁とがY軸方向、及び、Z軸方向に隣接していればよい。このため、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の1つの流路壁が円形であってもよい。
【0086】
本実施形態では、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の両方が上流側端部52とチャネル終端部56との間において、漸次変形する例について説明した。第1のチャネル62及び第2のチャネル64の一方が上流側端部52とチャネル終端部56との間において、漸次変形する構成であってもよい。すなわち、第1のチャネル62及び第2のチャネル64の少なくとも一方が上流側端部52とチャネル終端部56との間において、漸次変形する構成であってもよい。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、高い混合効率を達成する流体制御器16、及び、流体制御器16を含む流体混合器10が提供される。
【0088】
なお、本実施形態の流体混合器10では、上流側配管12からの流体を第1のチャネル62に確実に流し、上流側配管14からの流体を第2のチャネル64に確実に流すことが必要となる。このため、上流側配管12と第1のチャネル62とを確実に連通し、上流側配管14と第2のチャネル64とを確実に連通させることが必要である。
【0089】
(上流側接続部24と流体制御器16との流路接続確認構造)
図6から図9には、図4中の上流側接続部24のVI-VI線に沿う断面図を示す。
【0090】
図6に示す例では、上流側接続部24の外縁は例えば円形状に形成されている。上流側接続部24の外縁には、切欠部25aが形成されている。上流側接続部24が接続される流体制御器16には、切欠部25aと位置合わせする指標部(図示しない)が設けられている。切欠部25a及び指標部の位置から、ユーザは、上流側配管12の流路26aと第1のチャネル62とが連通し、上流側配管14の流路26bと第2のチャネル64とが連通したことを認識できる。
【0091】
図7に示す例では、上流側接続部24の外縁は例えば略矩形状に形成されている。上流側接続部24の外縁には、切欠部25bが形成されている。図6に示す例と同様に、流体制御器16に設けられた指標部(図示しない)と、切欠部25bとを位置合わせすることで、ユーザは、上流側配管12の流路26aと第1のチャネル62とが連通し、上流側配管14の流路26bと第2のチャネル64とが連通したことを認識できる。ここでの指標部の例は、例えば上流側接続部24の切欠部25bと流体制御器16の外形を面一にすることである。
【0092】
図8に示す例では、上流側接続部24の外縁は例えば略矩形状に形成されている。上流側接続部24の外縁には、切欠部25c,25dが形成されている。切欠部25cは、図8中の紙面の上端において、右下がりに形成されている。切欠部25dは、図8中の紙面の下端において、右上がりに形成されている。図6に示す例と同様に、流体制御器16に設けられた指標部(図示しない)と、切欠部25c,25dとを位置合わせすることで、ユーザは、上流側配管12の流路26aと第1のチャネル62とが連通し、上流側配管14の流路26bと第2のチャネル64とが連通したことを認識できる。ここでの指標部の例は、例えば上流側接続部24の切欠部25c,25dと流体制御器16の外形を面一にすることである。
【0093】
図9に示す例では、上流側接続部24の外縁は例えば略矩形状に形成されている。流路26a及び流路26bは、図8中の紙面下側に近接する位置に形成されている。例えば、流体制御器16の外形及び第1のチャネル62の最上流開口62a及び第2のチャネル64の最上流開口64aの位置を、図8に示す例と同様に、偏って配置することで、流体制御器16に対する上流側接続部24の取り付け位置がずれることを防止する。
【0094】
(流体混合器10の上流側配管12,14、流体制御器16、下流側配管18の接続構造)
図10を参照して、流体混合器10の上流側配管12,14、流体制御器16、下流側配管18を接続するための構造について説明する。
【0095】
図10には、流体制御器16に対する上流側接続部24及び下流側接続部32の接続構造を示す。
【0096】
図10に示すように、上流側接続部24は、流体制御器16を内側に配置する延出部24aを有する。延出部24aは、流体制御器16の上流側端部52の位置から、流体制御器16の混合部44の外側まで延びている。延出部24aの下流側端部の外周には、雄ネジ部24bが形成されている。
【0097】
下流側接続部32は、上流側接続部24の雄ネジ部24bを内側に配置する延出部32aを有する。延出部32aは、流体制御器16の下流側端部54の位置から、流体制御器16の混合部44の外側まで延びている。延出部32aの内周には、雌ネジ部32bが形成されている。
【0098】
上流側接続部24の雄ネジ部24bは、下流側接続部32の雌ネジ部32bに螺合される。このため、流体混合器10の上流側配管12,14、流体制御器16、下流側配管18が、上流側接続部24及び下流側接続部32により、連結される。このような、締め込み構造を用いることで、上流側接続部24と流体制御器16との間のシール機構82を、上流側接続部24及び流体制御器16に圧着することができる。また、流体制御器16と下流側接続部32との間のシール機構84を、流体制御器16及び下流側接続部32に圧着することができる。
【0099】
図11を参照して、流体混合器10の上流側配管12,14、流体制御器16、下流側配管18を接続するための構造について説明する。
【0100】
図11には、流体制御器16に対する上流側接続部24及び下流側接続部32の接続構造を示す。
【0101】
図11に示すように、上流側接続部24は、流体制御器16を内側に配置する延出部24cを有する。延出部24cは、流体制御器16の上流側端部52の位置から、流体制御器16の流路変形部42の導入区間Aの外側まで延びている。
【0102】
下流側接続部32は、延出部32cを有する。延出部32cは、流体制御器16の下流側端部54の位置から、流体制御器16の流路変形部42の導入区間Aの外側まで延びている。延出部32cの外周には、雄ネジ部32dが形成されている。
【0103】
上流側接続部24の外側には、上流側接続部24の外側を覆うキャップ28が設けられている。キャップ28の内周面には、雌ネジ部28aが形成されている。
【0104】
下流側接続部32の雄ネジ部32dは、キャップ28の雌ネジ部28aに螺合される。このため、流体混合器10の上流側配管12,14、流体制御器16、下流側配管18が、上流側接続部24及び下流側接続部32により、連結される。このようにキャップ28を用いる場合、上流側接続部24と流体制御器16との流路を合わせた状態で、上流側接続部24と流体制御器16との間のシール機構82を、上流側接続部24及び流体制御器16に圧着することができる。また、流体制御器16と下流側接続部32との間のシール機構84を、流体制御器16及び下流側接続部32に圧着することができる。
【0105】
(混合部44の変形例)
図12を参照して、流体混合器10の流体制御器16の混合部44の変形例について説明する。
【0106】
図12に示すように、混合部44は、流体制御器16の流路変形部42のチャネル終端部56と混合部44の下流側端部54との間に、所定間隔に仮想的に2つの断面174a,174bを取る。これら断面174a,174bは、端部(端面)56,54に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0107】
流体制御器16の混合部44は、チャネル終端部56と下流側端部54との間に、2つの異なる機能の流路区間F,Gを有する。2つの異なる機能の流路区間は、上流側から下流側に向かって順に、混合区間F(チャネル終端部56から断面174bの間)、排出区間G(断面174bから下流側端部54の間)である。
【0108】
混合部44のチャネル終端部56から断面174aにかけて混合チャネル66の内側の流路面積を漸次減少させる。断面174a,174b間で、混合チャネル66の内側の流路面積を漸次増加させる。すなわち、チャネル終端部56と断面174aとの間、断面174a,174b間で、混合チャネル66の配置及び流路形状が変化する。混合部44のチャネル終端部56から断面174aにかけての混合チャネル66において、流路面積が一部縮小することで圧力損失は増加するが、混合チャネル66の内側の流路面積の縮小により、複数の流体の混合性能が向上する。また、混合部44は、断面174aから断面174bにかけての混合チャネル66において、流路面積を漸次増加させる。このため、混合部44の混合チャネル66は、急激な面積の増減を抑制し、剥離渦の発生等による圧力損失の増加を防ぐ。
【0109】
図13を参照して、流体混合器10の流体制御器16の混合部44の図12に示す例の更なる変形例について説明する。
【0110】
図13に示すように、混合部44は、流体制御器16の流路変形部42のチャネル終端部56と混合部44の下流側端部54との間に、所定間隔に仮想的に4つの断面174a,174b,174c,174dを取る。これら断面174a,174b,174c,174dは、端部(端面)56,54に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0111】
流体制御器16の混合部44は、チャネル終端部56と下流側端部54との間に、2つの異なる機能の流路区間F,Gを有する。2つの異なる機能の流路区間は、上流側から下流側に向かって順に、混合区間F(チャネル終端部56から断面174dの間)、排出区間G(断面174dから下流側端部54の間)である。
【0112】
混合部44のチャネル終端部56から断面174aにかけて混合チャネル66の内側の流路面積を漸次減少させる。混合部44の断面174aから断面174bにかけて混合チャネル66の内側の流路面積を漸次増加させる。混合部44の断面174bから断面174cにかけて混合チャネル66の内側の流路面積を漸次減少させる。混合部44の断面174cから断面174dにかけて混合チャネル66の内側の流路面積を漸次増加させる。
【0113】
混合部44のチャネル終端部56から断面174aにかけての混合チャネル66、断面174bから断面174cにかけての混合チャネル66において、流路面積が一部縮小することで圧力損失は増加する。一方、混合チャネル66の内側の流路面積の縮小、拡大を繰り返すことで、複数の流体の混合性能が向上する。
【0114】
図14を参照して、流体混合器10の流体制御器16の混合部44の図12及び図13に示す例の更なる変形例について説明する。
【0115】
図14に示すように、混合部44は、流体制御器16の流路変形部42のチャネル終端部56と混合部44の下流側端部54との間に、所定間隔に仮想的に4つの断面274a,274b,274c,274dを取る。これら断面274a,274b,274c,274dは、端部(端面)56,54に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0116】
流体制御器16の混合部44は、チャネル終端部56と下流側端部54との間に、2つの異なる機能の流路区間F,Gを有する。2つの異なる機能の流路区間は、上流側から下流側に向かって順に、混合区間F(チャネル終端部56から断面274dの間)、排出区間G(断面274dから下流側端部54の間)である。
【0117】
断面274aにおいて、混合部44は、中央に略矩形状の流路67a、及び、中央の矩形状の流路67aを取り囲む略台形状の4つの流路67b,67c,67d,67eを有する。これら5つの流路67a,67b,67c,67d,67eは、チャネル終端部56と断面274cとの間において、分岐されている。
【0118】
断面274bにおいて、中央の矩形状の流路67aが小さくなる代わりに、略台形状の4つの流路67b,67c,67d,67eが大きくなっている。断面274bにおいて、中央の矩形状の流路67aが大きくなる代わりに、略台形状の4つの流路67b,67c,67d,67eが小さくなっている。混合部44の混合チャネル66の流路面積の大きさは、チャネル終端部56から断面274dまで略一定である。このため、混合部44は、混合チャネル66内の流体の圧力損失の増加を防ぐことができる。
【0119】
図12に示す例、及び、図13に示す例と同様に、断面274aから断面274cの間で、流路67a,67b,67c,67d,67eが漸次縮小し、漸次拡大する。このため、図12に示す例、及び、図13に示す例と同様に、断面274aから断面274cの間で、流体の混合性能を向上させることができる。
【0120】
なお、断面274aから断面274cの間で、流路67a,67b,67c,67d,67eを漸次縮小し、漸次拡大するが、混合チャネル66の急激な面積の増減を抑制し、総流路面積は略一定である。このため、断面274aから断面274cの間の流路67a,67b,67c,67d,67eにおいて、剥離渦の発生等による圧力損失の増加を防ぐことができる。
【0121】
(第2実施形態)
次に、図15を参照して第2実施形態の流体混合器10について説明する。なお、本実施形態が上記の各変形例を含む第1実施形態と重複する部分の説明は省略する。図15では流体混合器10の流体制御器16を示す。図示しない上流側配管12,14及び下流側配管18は、第1実施形態で説明した構造と同じ構造とする。
【0122】
本実施形態の流体制御器16の流路変形部42は、導入区間A、分岐区間B、断面変形区間Cを有する。すなわち、第1実施形態の図2の流体制御器16の流路変形部42の分岐区間D、及び、ずらし区間Eは有さない。
【0123】
本実施形態によれば、分岐区間Dとずらし区間Eを省くことで、第1の流体と第2の流体が多方向では隣り合わないが、流路変形部42のX軸方向に沿う長さを短くすることができる。このため、本実施形態の流体制御器16の流路変形部42は、流路変形部42に流す流体の圧力損失の増加を防ぐとともに、流体制御器16のX軸方向に沿う全長を第1実施形態で説明した流体制御器16に比べて短くすることができる。
【0124】
したがって、本実施形態によれば、高い混合効率を達成する流体制御器16、及び、流体混合器10を提供することができる。
【0125】
(第3実施形態)
次に、図16を参照して第3実施形態の流体混合器10について説明する。なお、本実施形態が上記の各変形例を含む第1実施形態及び第2実施形態と重複する部分の説明は省略する。また、図16では流路変形部42を示し、混合部44の図示を省略する。図示しない混合部44、上流側配管12,14及び下流側配管18は、第1実施形態及び第2実施形態で説明した構造と同じ構造とする。混合部44は、流路変形部42と一体成型又は着脱可能に構成される。
【0126】
本実施形態の流体制御器16の流路変形部42は、導入区間A、分岐区間(第1の分岐区間)B、断面変形区間(第1の断面変形区間)C、分岐区間(第2の分岐区間)D、断面変形区間(第2の断面変形区間)Eを有する。すなわち、第1実施形態の図2の流体制御器16の流路変形部42のずらし区間Eの代わりに、断面変形区間Eを有する。
【0127】
流路変形部42は、上流側端部52、6つの断面172a,172b,172c,172d,172e,172f、及び、チャネル終端部56を有する。すなわち、本実施形態では、流体制御器16の流路変形部42の端部(端面)52,56間に、所定間隔に仮想的に6つの断面172a,172b,172c,172d,172e,172fを取る。これら断面172a,172b,172c,172d,172e,172fは、端部(端面)52,56に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0128】
断面172aは、第1実施形態で説明した断面72aと同一形状である。断面172bは、第1実施形態で説明した断面72bに対応する。断面172bの第1のチャネル62及び第2チャネル64の分岐数は、第1実施形態で説明した断面72bの第1のチャネル62及び第2チャネル64の分岐数よりも少ない。断面172cは、第1実施形態で説明した断面72cに対応する。断面172cの第1のチャネル62及び第2チャネル64の分岐数は、第1実施形態で説明した断面72cの第1のチャネル62及び第2チャネル64の分岐数よりも少ない。断面172dは、第1実施形態で説明した断面72dに対応する。断面172dの第1のチャネル62及び第2のチャネル64の分岐数は、第1実施形態で説明した断面72dの第1のチャネル62及び第2のチャネル64の分岐数よりも少ない。断面172eは、断面172dの第1のチャネル62及び第2チャネル64を分岐した状態を示す。
【0129】
断面172eからチャネル終端部56までに規定される断面変形区間Eにおいて、断面172eから断面172fに至るまでの間に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、その流路形状が矩形状から、三角形状に変化する。断面172fからチャネル終端部56に至るまでの間に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、三角形状から長方形状にそれぞれ流路形状が変化する。
【0130】
本実施形態では、チャネル終端部56において、第1のチャネル62の第1の最下流開口62bと第2のチャネル64の第2の最下流開口64bとがZ軸方向に交互に並べられるとともに、Y軸方向に隣接して並べられる。
【0131】
本実施形態によれば、第1実施形態の図2に示すずらし区間Eの代わりに、図16に示す断面変形区間Eを用いることで、チャネル終端部56のY軸方向の一方の端部近傍、及び、他方の端部近傍において、Z軸方向に第1のチャネル62及び第2のチャネル64が交互に配置される。すなわち、本実施形態では、Y軸方向の一方の端部近傍において、母材を介して、Z軸方向に3つの第1のチャネル62が並べられる状態とはならず、他方の端部近傍において、母材を介して、Z軸方向に3つの第2のチャネル64が並べられる状態とはならない。このため、第1の流体と第2の流体が多方向で隣り合う構造を構築でき、チャネル終端部56から混合部44内で混合される第1流体及び第2流体の分布ムラを軽減させることができる。したがって、本実施形態に係る流体制御器16により、第1の流体及び第2の流体の混合性能を向上させることができる。
【0132】
したがって、本実施形態によれば、高い混合効率を達成する流体制御器16、及び、流体混合器10を提供することができる。
【0133】
(第1変形例)
図17を参照して、第3実施形態の流体制御器16の流路変形部42のチャネル終端部56の第1変形例について説明する。
【0134】
ここでは、第1のチャネル62及び第2チャネル64が、チャネル終端部56において、8つずつ形成されている例について説明する。
【0135】
上述した第3実施形態において、図16に示す流体制御器16のチャネル終端部56では、いずれの第1のチャネル62及び第2チャネル64の大きさが同じである。すなわち、各第1のチャネル62の大きさが一定であり、各第2チャネル64の大きさが一定である。
【0136】
図17に示すチャネル終端部56の場合、図16に示す流体制御器16のチャネル終端部56と同様に、Y軸方向に第1のチャネル62及び第2チャネル64が交互に形成されている。Z軸方向に第1のチャネル62及び第2チャネル64が交互に形成されている。第1チャネル62の大きさは位置により異なる。第2のチャネル64の大きさは位置により異なる。チャネル終端部56のうち、中央に近い第1のチャネル62の外側には、それよりも小さい流路面積の第2のチャネル64が形成されている。中央に近い第2のチャネル64の外側には、それよりも小さい流路面積の第1のチャネル62が形成されている。
【0137】
チャネル終端部56のうち、図17中のY軸方向の紙面の左端及び右端の外縁に近い位置の第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、Y軸方向の幅が、中央に近い第1のチャネル62及び第2のチャネル64の幅に比べて小さい。チャネル終端部56のうち、図17中のZ軸方向の紙面の上端及び下端の外縁に近い位置の第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、Z軸方向の幅が、中央に近い第1のチャネル62及び第2のチャネル64の幅に比べて小さい。チャネル終端部56のうち、図17中の紙面の左上及び右下の第1のチャネル62、左下及び右上の第2のチャネル64は、Y軸方向の幅が、中央に近い第1のチャネル62及び第2のチャネル64のY軸方向の幅に比べて小さく、Z軸方向の幅が、中央に近い第1のチャネル62及び第2のチャネル64のZ軸方向の幅に比べて小さい。このため、図17に示す例では、チャネル終端部56の第1のチャネル62及び第2のチャネル64のうち、隣接領域が少ないチャネル62,64の大きさを小さくする。
【0138】
このため、混合部44で流体が混合されるときに、いずれの第1のチャネル62及び第2のチャネル64の流路が同一である場合に比べて、流体の分布ムラを小さくすることができる。このため、チャネル終端部56において、各第1のチャネル62及び各第2のチャネル64を、図17に示す大きさとすることで、混合部44での流体の混合性能を向上させることができる。
【0139】
また、チャネル終端部56において、外縁に近い位置の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の幅を、中央の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の幅に比べて小さくすることで、流体の混合に要する距離、すなわち、混合部44のX軸方向に沿う長さを短くすることができる。
【0140】
なお、上述した図17に示すチャネル終端部56の第1のチャネル62及び第2のチャネル64の形状は、第1実施形態で説明した流体制御器16の流路変形部42の断面72eからチャネル終端部56の範囲においても、適用されることが好適である。
【0141】
(第2変形例)
図18を参照して、流体制御器16のチャネル終端部56の第2変形例について説明する。ここでは、チャネル終端部56での第1のチャネル62及び第2のチャネル64の形状について説明する。
【0142】
本変形例では、いずれの第1のチャネル62も同一の形状で同一の大きさである。また、いずれの第2のチャネル64も同一の形状で同一の大きさである。第1のチャネル62の領域は、第2のチャネル64の領域に比べて大きく形成されている。
【0143】
単位面積あたり、同一量の流体が流れるとすると、第1のチャネル62を流れる流体の流速、及び、第2のチャネル64を流れる流体の流速は、異なる。本変形例では、第2のチャネル64を流れる流体が、第1のチャネル62を流れる流体に比べて速くなる。
【0144】
複数の流体の流速が異なるため、これら流体が混合部44において混合するときに、渦が発生し易くなる。また、流路変形部42のチャネル終端部56から、混合部44の断面74aに至る領域において、第1のチャネル62の第1の最下流開口62bと第2のチャネル64の第2の最下流開口64bとの間の距離が、第1変形例の場合に比べて大きくなりやすい。このため、第2のチャネル64の流路の変化が第1変形例の場合に比べて大きくなり、第2の流体に渦が発生し易くなる。このため、流体制御器16は、第1の流体及び第2の流体の混合性能を向上させることができる。
【0145】
(第3変形例)
図19を参照して、流体制御器16のチャネル終端部56の第3変形例について説明する。ここでは、チャネル終端部56での第1のチャネル62及び第2のチャネル64の形状について説明する。
【0146】
図19に示すチャネル終端部56において、Y軸及びZ軸に傾斜する傾斜方向に隣接する2つの第1のチャネル62が連続する。同様に、Y軸及びZ軸に傾斜する傾斜方向に隣接する第2のチャネル64が連続する。
【0147】
図19中では、傾斜方向に隣接する2つの第1のチャネル62が連続する例を図示したが、3つ以上の第1のチャネル62が連続していてもよい。同様に、3つ以上の第2のチャネル64が連続していてもよい。
【0148】
この場合、流体制御器16を形成する母材となる樹脂材の必要量を低減することができる。また、第1のチャネル62及び第2のチャネル64を大きく取ることができるため、第1の流体及び第2の流体に対する圧力損失の低減を図ることができる。
【0149】
(第4変形例)
図20を参照して、流体制御器16の第4変形例について説明する。図20には、チャネル終端部56を図示する。
【0150】
図20に示すように、流体制御器16は、樹脂材で形成される。第1のチャネル62及び第2のチャネル62の流路壁を形成する母材となる材料は、樹脂材である。そして、樹脂材には、金属薄膜90が埋設されている。金属薄膜90は、流路変形部42の上流側端部52とチャネル終端部56との間に埋設されていることが好適である。金属薄膜90は、熱伝導性が高い素材であることが好適である。すなわち、第1のチャネル62及び第2のチャネル62の流路壁の内周面の内側には、母材となる樹脂材と比較して熱伝導率が高い材料として、金属薄膜90が配置されている。金属薄膜90として、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、チタンおよびチタン合金から選択される1種または2種以上の金属または合金を用いることができる。なお、金属薄膜90は、第1のチャネル62の第1流体と接触する表面、及び、第2のチャネル64の第2流体と接触する表面には露出しない。このため、金属薄膜90は、熱伝導層として機能するとともに第1のチャネル62と第2のチャネル64との隔壁となる。
【0151】
第1の流体及び第2の流体の流路変形部42の上流側端部52での温度が異なっている場合、流路変形部42に第1の流体及び第2の流体を通すと、流体制御器16を構成する樹脂材を通して金属薄膜90に熱伝導する。このため、流体制御器16の流路変形部42を第1の流体及び第2の流体が流れると、下流側に向かうにつれて、第1の流体と第2の流体との温度差が縮まる。
【0152】
したがって、本変形例の流体制御器16を用いることにより、混合部44で混合される第1の流体及び第2の流体の温度の差を小さくすることができる。
【0153】
なお、混合チャネル66の流路壁が樹脂材で形成される場合、樹脂材と比較して熱伝導率が高い材料が流路壁の内周面に配置されていることが好適である。熱伝導率が高い材料として、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、チタンおよびチタン合金が選択される。
【0154】
(第4実施形態)
次に、図21を参照して第4実施形態の流体制御器16の流路変形部42について説明する。なお、本実施形態が上記の各変形例を含む、第1実施形態から第3実施形態と重複する部分の説明は省略する。また、図21では流路変形部42を示し、混合部44の図示を省略する。図示しない混合部44、上流側配管12,14及び下流側配管18は、第1実施形態から第3実施形態で説明した構造と同じ構造とする。
【0155】
本実施形態の流体制御器16の流路変形部42は、導入区間A、分岐区間(第1の分岐区間)B、断面変形区間(第1の断面変形区間)C、分岐区間(第2の分岐区間)Dを有する。すなわち、図2の流体制御器16の流路変形部42のずらし区間Eは有さない。
【0156】
流路変形部42は、上流側端部52、3つの断面272a,272b,272c、及び、チャネル終端部56を有する。すなわち、本実施形態では、流体制御器16の流路変形部42の端部(端面)52,56間に、所定間隔に仮想的に3つの断面272a,272b,272cを取る。これら断面272a,272b,272cは、端部(端面)52,56に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0157】
断面272aは、第1実施形態で説明した断面72aと同一形状である。断面272bは、第3実施形態で説明した図16に示す断面172bと同一形状である。断面272bから断面272cの間に規定される断面変形区間Cにおいて、断面272bから断面272cに至るまでの間に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、その流路形状が矩形状から、三角形をZ軸方向に沿う方向に2つくっつけたような形に変化する。三角形をZ軸方向に沿う方向に2つくっつけたような形は、2つの三角形の辺の1つを共通にする。三角形をZ軸方向に沿う方向に2つくっつけたような形は、例えばネパール国旗のような形状である。断面272cからチャネル終端部56の間に規定される分岐区間Dにおいて、断面272cからチャネル終端部56に至るまでの間に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、三角形を2つくっつけたような形から、長方形状にそれぞれ流路形状が変化するとともに、分岐する。
【0158】
本実施形態では、チャネル終端部56において、第3実施形態の図16に示すチャネル終端部56と同様に、第1のチャネル62の第1の最下流開口62bと第2のチャネル64の第2の最下流開口64bとがZ軸方向に交互に並べられるとともに、Y軸方向に隣接して並べられる。
【0159】
本実施形態では、隣接する断面272b,272c間の断面変形区間Cにおいて、1回の変形で第1のチャネル62が第2のチャネル64に対しZ軸方向に沿って2方向に隣接する。すなわち、第2のチャネル64が第1のチャネル62に対しZ軸方向に沿って2方向に隣接する。このため、流体制御器16のX軸方向に沿う流路の長さを、短くすることができる。したがって、流体制御器16の流路変形部42の作成領域を小さくすることができる。第1のチャネル62及び第2のチャネル64のX軸方向の長さを短くすることができるので、第1の流体及び第2の流体に生じる圧力損失を低減することができる。
【0160】
本実施形態によれば、高い混合効率を達成する流体制御器16、及び、流体混合器10を提供することができる。
【0161】
(第5実施形態)
次に、図22を参照して第5実施形態の流体制御器16の流路変形部42について説明する。なお、本実施形態が上記の各変形例を含む、第1実施形態から第4実施形態と重複する部分の説明は省略する。また、図22では流路変形部42を示し、混合部44の図示を省略する。図示しない混合部44、上流側配管12,14及び下流側配管18は、第1実施形態から第4実施形態で説明した構造と同じ構造とする。
【0162】
本実施形態の流体制御器16の流路変形部42は、導入区間A、断面変形区間C、分岐区間(第2の分岐区間)Dを有する。すなわち、図2の流体制御器16の流路変形部42の分岐区間B、及び、ずらし区間Eは有さない。
【0163】
流路変形部42は、上流側端部52、2つの断面372a,372b、及び、チャネル終端部56を有する。すなわち、本実施形態では、流体制御器16の流路変形部42の端部(端面)52,56間に、所定間隔に仮想的に2つの断面372a,372bを取る。これら断面372a,372bは、端部(端面)52,56に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0164】
断面372aは、第1実施形態で説明した断面72aと同一形状である。断面372aから断面372bの間に規定される断面変形区間Cにおいて、断面372aから断面372bに至るまでの間に、第2のチャネル64は全体として略U字状に変形する。第1のチャネル62は、第2のチャネル64の内側に形成される。細かく見ると、第2のチャネル64は、第4実施形態の図21で説明した、三角形をZ軸方向に沿う方向に2つくっつけたような形に変化する。第1のチャネル62は、第4実施形態の図21で説明した、第1のチャネル62を2つくっつけたような形に変化する。断面372bからチャネル終端部56の間に規定される分岐区間Dにおいて、断面372bからチャネル終端部56に至るまでの間に、第1のチャネル62及び第2のチャネル64は、三角形を2つくっつけたような形から、長方形状にそれぞれ流路形状が変化するとともに、分岐する。
【0165】
本実施形態では、チャネル終端部56において、第3実施形態の図16、及び、第4実施形態の図21に示すチャネル終端部56と同様に、第1のチャネル62の第1の最下流開口62bと第2のチャネル64の第2の最下流開口64bとがZ軸方向に交互に並べられるとともに、Y軸方向に隣接して並べられる。
【0166】
本実施形態では、隣接する断面372a,372b間の断面変形区間Cにおいて、1回の変形で第1のチャネル62を第2のチャネル64に対しZ軸方向に沿って2方向に隣接させる。すなわち、第2のチャネル64を第1のチャネル62に対しZ軸方向に沿って2方向に隣接させる。このため、流体制御器16のX軸方向に沿う流路の長さを、第4実施形態で説明した例よりも、短くすることができる。したがって、流体制御器16の流路変形部42の作成領域を小さくすることができる。第1のチャネル62及び第2のチャネル64のX軸方向の長さを短くすることができるので、第1の流体及び第2の流体に生じる圧力損失を低減することができる。
【0167】
本実施形態によれば、高い混合効率を達成する流体制御器16、及び、流体混合器10を提供することができる。
【0168】
(第6実施形態)
次に、図23を参照して第6実施形態の流体制御器16を説明する。本実施形態では、流路変形部42に第1のチャネル62、第2のチャネル64、及び、第3のチャネル68を有する。
【0169】
なお、本実施形態が上記の第1実施形態から第5実施形態と重複する部分の説明は省略する。また、図23では流路変形部42を示し、混合部44の図示を省略する。図示しない混合部44及び下流側配管18は、第1実施形態から第5実施形態で説明した構造と同じ構造とする。流体混合器10は、第1のチャネル62に対応する上流側配管12、第2のチャネル64に対応する上流側配管14を有する。流体混合器10は、さらに、上流側配管12,14と同じ構造を有し、第3のチャネル68に対応する、上流側配管(図示しない)を有する。
【0170】
本実施形態の流体制御器16の流路変形部42は、導入区間A、分岐区間(第1の分岐区間)B、断面変形区間C、分岐区間(第2の分岐区間)D、ずらし区間Eを有する。
【0171】
流路変形部42は、上流側端部152、6つの断面472a,472b,472c,472d,472e,472f、及び、チャネル終端部156を有する。これら断面472a,472b,472c,472d,472e,472fは、端部(端面)152,156に平行であるとともに、YZ平面に平行である。
【0172】
上流側端部152は、第1実施形態で説明した上流側端部52に対応する。上流側端部152は、第1の最上流開口62a、第2の最上流開口64a、及び、第3の最上流開口68aを有する。第3の最上流開口68aには、上流側配管(図示しない)から流体が流される。本実施形態では、図23中の紙面の上側が第1の最上流開口62aであり、下側が第2の最上流開口64aであり、第1の最上流開口62aと第2の最上流開口64aとの間が第3の最上流開口68aである。
【0173】
第3のチャネル68は、上流側端部152の下流側で第3の最上流開口68aに連通し、第1のチャネル62及び第2のチャネル64に隣接して設けられている。
【0174】
チャネル終端部156は、第1実施形態で説明したチャネル終端部56に対応する。チャネル終端部156は、第1の最下流開口62b、第2の最下流開口64b、及び、第3の最下流開口68bを有する。第1の最下流開口62bは、開口群として複数の開口を含む。第2の最下流開口64bは、開口群として複数の開口を含む。第3の最下流開口68bは、開口群として複数の開口を含む。本実施形態では、第1の最下流開口62b、第2の最下流開口64b、第3の最下流開口68bは、Y軸方向に順に並び、かつ、Z軸方向に順に並ぶ。
【0175】
断面472aは、第1実施形態で説明した断面72aに対応する。第1のチャネル62、第2のチャネル64、第3のチャネル68は、上流側端部152での第1のチャネル62、第2のチャネル64、第3のチャネル68と同様に並ぶ。断面472bは、第1実施形態で説明した断面72bに対応する。第1のチャネル62、第2のチャネル64、第3のチャネル68は、Y軸方向に分岐される。断面472cは、第1実施形態で説明した断面72cに対応する。第1のチャネル62、第2のチャネル64は、略三角形状に変形する。第3のチャネル68は、Z軸方向に沿って第1のチャネル62、第2のチャネル64に挟まれる略平行四辺形状に形成される。断面472dは、第1実施形態で説明した断面72dに対応する。断面472a,472bで、Z軸方向に沿って上側から下側に向かって順に、第1のチャネル62、第3のチャネル68、第2のチャネル64の順で並んでいた流路を、Y軸方向に沿って左側から右側に順に、第1のチャネル62、第3のチャネル68、第2のチャネル64の並びに変更する。断面472eは、第1実施形態で説明した断面72eに対応する。断面472eにおいて、第1のチャネル62、第3のチャネル68、第2のチャネル64は、それぞれZ軸方向に沿って分岐される。断面472fは、第1実施形態で説明した断面72fに対応する。断面472eで分岐された第1のチャネル62、第3のチャネル68、第2のチャネル64は、Y軸方向にずらされる。
【0176】
流路変形部42は、上流側端部152とチャネル終端部156との間において、ある断面(第1の断面)472aにおける第1のチャネル62に対する第3のチャネル68の隣接領域よりも、断面472aよりも下流側の、例えばチャネル終端部156のようなある断面(第2の断面)における第1のチャネル62に対する第3のチャネル68の隣接領域を増やす。
【0177】
3流体を、流体制御器16を用いて混合する場合であっても、チャネル62,64,68を適切に形成することで、流体制御器16を用いることができる。すなわち、本実施形態によれば、3流体を混合可能な流体混合器10を提供することができる。
【0178】
本実施形態では、流体制御器16が第1のチャネル62、第2のチャネル64、及び第3のチャネル68を有する例について説明したが、4つ以上の流体を混合する場合、上述したように、チャネルを適宜に配置すればよい。
【0179】
本実施形態によれば、高い混合効率を達成する流体制御器16、及び、流体混合器10を提供することができる。
【0180】
(変形例)
図24を参照して、第6実施形態の流体制御器16のチャネル終端部56の変形例について説明する。
【0181】
ここでは、第1のチャネル62、第2のチャネル64、第3のチャネル68が、ハニカム構造に配置されている。図24に示す例では、Z軸方向に沿って順に、第1のチャネル62、第3のチャネル68、第2のチャネル64の順で並ぶ。また、Z軸及びY軸に対して傾斜する方向において、第1のチャネル62、第3のチャネル68、第2のチャネル64の順で並ぶ。このとき、第1のチャネル62に対して第2のチャネル64、第3のチャネル68が隣接する。第2のチャネル64に対して第1のチャネル62、第3のチャネル68が隣接する。第3のチャネル68に対して第1のチャネル62、第2のチャネル64が隣接する。
【0182】
流路変形部42のチャネル終端部156のようなある断面(第2の断面)において、第1のチャネル62、第2のチャネル64及び第3のチャネル68の流路形状が、6角形のハニカム形状である。
【0183】
このため、チャネル終端部156の下流側の混合部44において、第1流体、第2流体、及び第3流体を混合することができる。
【0184】
なお、流路変形部42のある断面(第2の断面)472fにおいて、第1のチャネル62、第2のチャネル64及び第3のチャネル68の少なくとも1つの流路形状が、6角形であってもよい。
【0185】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、高い混合効率を達成する流体制御器16、及び、流体混合器10を提供することができる。
【0186】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、特許出願時の請求項を付記する。
[1]
第1の最上流開口及び第2の最上流開口を有し、上流側配管からそれぞれ流された流体が前記第1の最上流開口及び前記第2の最上流開口を通される上流側端部、
前記第1の最上流開口に連通する第1のチャネル、
前記第2の最上流開口に連通する、第2のチャネル、及び、
前記上流側端部との間に前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルを挟み、前記第1のチャネルの第1の最下流開口及び前記第2のチャネルの第2の最下流開口を有するチャネル終端部
を有し、
前記上流側端部と前記チャネル終端部との間で前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの少なくとも一方を変形し、
前記上流側端部と前記チャネル終端部との間において、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの延出方向に垂直な第1の断面における前記第1のチャネルに対する前記第2のチャネルの隣接領域よりも、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの延出方向に垂直で、前記第1の断面よりも下流側の第2の断面における前記第1のチャネルに対する前記第2のチャネルの隣接領域を増やす、流路変形部と、
前記流路変形部の前記チャネル終端部の前記第1の最下流開口及び前記第2の最下流開口の下流側に設けられ、前記チャネル終端部の前記第1の最下流開口及び前記第2の最下流開口をそれぞれ通る流体を合流させて複数の流体を混合し、最下流に第3の最下流開口を有する混合チャネルを有する混合部と
を有する流体制御器。
[2]
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの少なくとも一方は、前記上流側端部と前記チャネル終端部との間において、漸次変形する、付記[1]に記載の流体制御器。
[3]
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの少なくとも一方は、前記上流側端部と前記チャネル終端部との間で、複数に分岐する構造を含む、付記[1]又は付記[2]に記載の流体制御器。
[4]
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの任意の最近接の流路対を結ぶ領域に、前記第2のチャネルの少なくとも一部が存在する、付記[1]ないし付記[3]のいずれか1に記載の流体制御器。
[5]
前記流路変形部の前記第2の断面における、前記第1のチャネルの任意の1つに対して全方向に前記第1のチャネル、又は、前記第2のチャネルが存在する、付記[1]ないし付記[4]のいずれか1に記載の流体制御器。
[6]
前記流路変形部の前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの前記延出方向は、前記上流側端部から前記チャネル終端部に至るまで、同一方向である、付記[1]ないし付記[5]のいずれか1に記載の流体制御器。
[7]
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの前記第2の断面に沿う辺の長さの合計に対して、前記第2のチャネルの前記第2の断面に沿い、前記第1のチャネルの前記辺に隣接する辺の長さの合計が、1/2以上である、付記[1]ないし付記[6]のいずれか1に記載の流体制御器。
[8]
前記流路変形部の前記第2の断面における、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルを形成する環状縁の平均周囲長をLとし、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの前記環状縁の内側の平均面積をSとしたとき、
D=4*S/L
で与えられる前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの前記環状縁の相当直径Dは10mm以下である、付記[1]ないし付記[7]のいずれか1に記載の流体制御器。
[9]
前記第1の最上流開口の内側の面積は、前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの内側の総面積よりも小さい、付記[1]ないし付記[8]のいずれか1に記載の流体制御器。
[10]
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネルの任意の位置の1つの流路形状又は大きさが、前記任意の位置とは異なる位置での前記第1のチャネルの流路形状又は大きさと異なる、付記[1]ないし付記[9]のいずれか1に記載の流体制御器。
[11]
前記流路変形部の前記上流側端部は、前記上流側配管から流体が流される第3の最上流開口を有し、
前記流路変形部は、前記上流側端部の下流側で前記第3の最上流開口に連通し、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルに隣接して設けられた、第3のチャネルを有し、
前記流路変形部は、前記上流側端部と前記チャネル終端部との間において、前記第1の断面における前記第1のチャネルに対する前記第3のチャネルの隣接領域よりも、前記第2の断面における前記第1のチャネルに対する前記第3のチャネルの隣接領域を増やし、
前記流路変形部の前記第2の断面において、前記第1のチャネル、前記第2のチャネル及び前記第3のチャネルの少なくとも1つの流路形状が、6角形である、付記[1]ないし付記[10]のいずれか1に記載の流体制御器。
[12]
前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルの流路壁を形成する母材となる材料と比較して熱伝導率が高い材料が、前記流路壁の内周面の内側に配置されている、付記[1]ないし付記[11]のいずれか1に記載の流体制御器。
[13]
前記流路変形部は、前記上流側端部の下流側に隣接する位置の前記第1のチャネルが前記第1の最上流開口に1対1に対応する流体の導入区間を有し、
前記上流側端部の前記第1の最上流開口の内側の流路面積の総和は、前記導入区間の最下流位置での前記第1のチャネルの流路面積の総和よりも小さい、付記[1]ないし付記[12]のいずれか1に記載の流体制御器。
[14]
前記導入区間の前記第1のチャネルの延出方向に垂直な断面において、前記第1のチャネルの流路面積は、下流側に向かうにつれて漸次拡大する、付記[13]に記載の流体制御器。
[15]
前記混合部は、
前記チャネル終端部の下流側で前記第1の最下流開口及び前記第2の最下流開口に連通し、前記第1のチャネル及び前記第2のチャネルを通した流体を前記混合チャネル内で混合する混合区間と、
前記混合区間の下流側で、前記第3の最下流開口を有し、前記混合区間の前記混合チャネルで混合した前記流体を前記混合チャネルを通して排出する排出区間と
を有し、
前記混合部の前記混合区間の前記混合チャネルの延出方向に垂直な1つの断面での前記混合チャネルの内側の流路面積は、前記排出区間の前記第3の最下流開口の内側の流路面積よりも大きい、付記[1]ないし付記[14]のいずれか1に記載の流体制御器。
[16]
前記混合部の前記混合チャネルの内側の流路面積は、下流側に向かうにつれて漸次縮小する、付記[15]記載の流体制御器。
[17]
付記[1]ないし付記[16]のいずれか1に記載の流体制御器と、
前記流体制御器の上流側の上流側配管と、
前記流体制御器の下流側の下流側配管と
を有する、流体混合器。
[18]
前記上流側配管は、第1の管路、及び、第2の管路を有し、
前記上流側配管、及び、前記流路変形部は、前記第1の最上流開口と前記上流側配管の前記第1の管路とを接続するとともに、前記上流側端部の前記第2の最上流開口と前記上流側配管の前記第2の管路とを接続するように、前記流路変形部及び前記上流側配管の向きを合わせる、上流側接続部を有する、付記[17]に記載の流体混合器。
[19]
前記混合部、及び、前記下流側配管は、前記第3の最下流開口と前記下流側配管とを接続するように、前記混合部及び前記下流側配管の向きを合わせる、下流側接続部を有する、付記[17]又は付記[18]に記載の流体混合器。
【符号の説明】
【0187】
10…流体混合器、12,14…上流側配管、16…流体制御器、18…下流側配管、22…チューブ、24…上流側接続部、32…下流側接続部、34…チューブ、42…流路変形部、44…混合部、52…上流側端部、54…下流側端部、56…チャネル終端部、62…第1のチャネル、62a…第1最上流開口、62b…第1最下流開口、64…第2のチャネル、64a…第2最上流開口、64b…第2最下流開口、66…混合チャネル、66a…最上流開口、66b…最下流開口、72a-72f…断面、82…シール機構、84…シール機構、A…導入区間、B…分岐区間(第1の分岐区間)、C…断面変形区間、D…分岐区間(第2の分岐区間)、E…ずらし区間。

図1
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