(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】移動体の管理システム及びその制御方法、管理サーバ並びに自律移動体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20231128BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231128BHJP
G08G 5/00 20060101ALI20231128BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20231128BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20231128BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231128BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20231128BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/16 A
G08G5/00
G05D1/02 H
B64C13/20 Z
B64C39/02
B64F1/36
(21)【出願番号】P 2020507812
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2019011307
(87)【国際公開番号】W WO2019181897
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2018051528
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】藤原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】長井 誠
(72)【発明者】
【氏名】大舘 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】惣野 崇
(72)【発明者】
【氏名】松本 恒平
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 史也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-205102(JP,A)
【文献】特表2017-532237(JP,A)
【文献】特開2006-235878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/16
G08G 5/00
G05D 1/02
B64C 13/20
B64C 39/02
B64F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えた第1自律移動体と、
通信装置を介して前記第1自律移動体と通信し、前記第1自律移動体を含む複数の移動体の移動を管理する移動管理部と
を備える管理システムであって、
前記移動管理部は、前記第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記第1自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記第1自律移動体の
用途に関する情報である個体情報とに応じた対応を行う対処制御を実行する対処制御部を含む
ことを特徴とする管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の管理システムにおいて、
前記第1自律移動体自身では前記予定経路を維持できない前記イベントが発生した場合、前記移動管理部は、前記単位区分情報と前記個体情報とに応じて、前記第1自律移動体の対応を指令する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理システムにおいて、
前記管理システムは、前記移動管理部に対して、前記第1自律移動体の移動を要求する外部機器を備え、
前記移動管理部は、前記第1自律移動体に前記予定経路を外れる又は変更する前記イベントが発生した場合、前記イベントの発生又は前記対処制御による前記対応を、前記外部機器に通知する通知部を有する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、
前記移動管理部は、前記第1自律移動体が前記予定経路を外れた又は変更した前記イベントの履歴に応じて、前記イベントの発生時に前記第1自律移動体に対して指令する前記対応を変化させる
ことを特徴とする管理システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の管理システムにおいて、
前記第1自律移動体に前記予定経路を外れる又は変更する前記イベントが発生した場合、前記移動管理部は、前記第1自律移動体の周辺を移動している第2自律移動体の予定経路を、前記第1自律移動体から離れるように再設定する
ことを特徴とする管理システム。
【請求項6】
出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えた第1自律移動体と、
通信装置を介して前記第1自律移動体と通信し、前記第1自律移動体を含む複数の移動体の移動を管理する移動管理部と
を備える管理システムの制御方法であって、
前記第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記移動管理部は、前記第1自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記第1自律移動体の
用途に関する情報である個体情報とに応じた対応を、前記第1自律移動体に対して指令する
ことを特徴とする管理システムの制御方法。
【請求項7】
出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えた第1自律移動体と通信し、前記第1自律移動体を含む複数の移動体の移動を管理する管理サーバであって、
前記管理サーバは、前記第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記第1自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記第1自律移動体の
用途に関する情報である個体情報とに応じた対応を行う対処制御を実行する対処制御部を含む
ことを特徴とする管理サーバ。
【請求項8】
出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えた自律移動体であって、
前記自律制御部は、前記自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記自律移動体の
用途に関する情報である個体情報とに応じた対応を行う対処制御を実行する対処制御部を含む
ことを特徴とする自律移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の移動体の移動を管理する管理システム及びその制御方法、管理サーバ並びに自律移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、飛行制限区域に応じた飛行が可能なシステム、方法及び装置が開示されている(要約)。米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、無人飛行体(UAV:unmanned aerial vehicle)の位置が、飛行制限区域と比較される。必要に応じて、UAVは、飛行禁止区域への進入を回避するための対応を取る。
【発明の概要】
【0003】
上記のように、米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、UAVの位置を飛行制限区域と比較し、必要に応じて、UAVは、飛行禁止区域への進入を回避するための対応を取る(要約)。しかしながら、米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、飛行体の属性については考慮されていない。また、米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、飛行体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合についても考慮されていない。これらの課題は、飛行体に限らず、自律的な移動を行うその他の自律移動体(自動車、船舶等)にも該当する。
【0004】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、自律移動体の属性等を考慮して、自律移動体の移動を好適に管理することが可能な管理システム及びその制御方法、管理サーバ並びに自律移動体を提供することを目的とする。
【0005】
本発明に係る管理システムは、
出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えた第1自律移動体と、
通信装置を介して前記第1自律移動体と通信し、前記第1自律移動体を含む複数の移動体の移動を管理する移動管理部と
を備えるものであって、
前記移動管理部は、前記第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記第1自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記第1自律移動体の個体情報とに応じた対応を行う対処制御を実行する対処制御部を含む
ことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、移動管理部は、第1自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、第1自律移動体の個体情報とに応じた対応を行う対処制御を実行する。これにより、第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合に、好適に対応することが可能となる。
【0007】
前記第1自律移動体自身では前記予定経路を維持できない前記イベントが発生した場合、前記移動管理部は、前記単位区分情報と前記個体情報とに応じて、前記第1自律移動体の対応を指令してもよい。これにより、第1自律移動体自体では予定経路を維持できないイベントが発生した場合に好適に対応可能となる。
【0008】
前記管理システムは、前記移動管理部に対して、前記第1自律移動体の移動を要求する外部機器を備えてもよい。また、前記移動管理部は、前記第1自律移動体に前記予定経路を外れる又は変更する前記イベントが発生した場合、前記イベントの発生又は前記対処制御による前記対応を、前記外部機器に通知する通知部を有してもよい。これにより、外部機器を介して当該通知を認識したユーザは、イベントの発生に伴って通知された内容に応じた付加的なサービスを提供可能となる。
【0009】
前記移動管理部は、前記第1自律移動体が前記予定経路を外れた又は変更した前記イベントの履歴に応じて、前記イベントの発生時に前記第1自律移動体に対して指令する前記対応を変化させてもよい。これにより、第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが新たに発生した場合に、さらに好適に対応することが可能となる。
【0010】
前記第1自律移動体に前記予定経路を外れる又は変更する前記イベントが発生した場合、前記移動管理部は、前記第1自律移動体の周辺を移動している第2自律移動体の予定経路を、前記第1自律移動体から離れるように再設定してもよい。これにより、第1自律移動体の動きに合わせて、第2自律移動体の予定経路を変化させることが可能となる。
【0011】
本発明に係る管理システムの制御方法は、
出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えた第1自律移動体と、
通信装置を介して前記第1自律移動体と通信し、前記第1自律移動体を含む複数の移動体の移動を管理する移動管理部と
を備える管理システムの制御方法であって、
前記第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記移動管理部は、前記第1自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記第1自律移動体の個体情報とに応じた対応を、前記第1自律移動体に対して指令する
ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る管理サーバは、出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えた第1自律移動体と通信し、前記第1自律移動体を含む複数の移動体の移動を管理するものであって、
前記管理サーバは、前記第1自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記第1自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記第1自律移動体の個体情報とに応じた対応を行う対処制御を実行する対処制御部を含む
ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る自律移動体は、出発地から目的地まで移動するための自律制御部を備えたものであって、
前記自律制御部は、前記自律移動体に予定経路を外れる又は変更するイベントが発生した場合、前記自律移動体の現在位置が属する地理的な単位区分の属性情報である単位区分情報と、前記自律移動体の個体情報とに応じた対応を行う対処制御を実行する対処制御部を含む
ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、自律移動体の属性等を考慮して、自律移動体の移動を好適に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る管理システムの概要を示す全体構成図である。
【
図2】第1実施形態において、顧客から発注された商品を、ドローンで配達する際の概要を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態における対象ドローンの予定経路の設定を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態における予定経路を設定する場面の例を示す図である。
【
図5】第1実施形態における飛行監視制御のフローチャートである。
【
図6】第1実施形態において、前記対象ドローンが前記予定経路から逸脱した場合にサービス管理サーバ及び交通管理サーバが取る対応の説明図である。
【
図7】第1実施形態における緊急対応制御のフローチャートである。
【
図8】第2実施形態における飛行監視制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1実施形態
<A-1.構成>
[A-1-1.全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る管理システム10の概要を示す全体構成図である。管理システム10は、複数の顧客端末20と、少なくとも1台のサービス管理サーバ22(以下「サービスサーバ22」ともいう。)と、少なくとも1台の交通管理サーバ24(以下「交通サーバ24」ともいう。)と、複数のドローン26と、複数の外部警報装置28と、複数の周辺端末30とを有する。サービスサーバ22と交通サーバ24は、移動管理部32を構成する。
図1では、1つの顧客端末20、サービスサーバ22、交通サーバ24、外部警報装置28、周辺端末30のみを示している。
【0017】
管理システム10では、顧客端末20を介して入力された商品Gの発注情報Iodrに基づいて、ドローン26(以下「対象ドローン26tar」ともいう。)が商品Gを配送する。また、管理システム10では、対象ドローン26tarに予定経路RTpを外れるイベントEvが発生した場合、対象ドローン26tarと、対象ドローン26tarの周辺に位置する外部警報装置28及び周辺端末30とを介して周辺の人々に通知等が行われる。
【0018】
顧客端末20とサービスサーバ22の間、サービスサーバ22と交通サーバ24の間は、インターネット50を介して通信可能である。また、サービスサーバ22とドローン26の間、交通サーバ24と外部警報装置28の間、交通サーバ24と周辺端末30の間は、インターネット50及び無線中継局52を介して通信可能である。
【0019】
[A-1-2.顧客端末20]
顧客端末20(外部機器)は、サービスサーバ22が取り扱う商品Gについて顧客からの発注を受け付ける外部機器である。顧客端末20は、例えば、パーソナルコンピュータ又はスマートフォンから構成される。
【0020】
[A-1-3.サービス管理サーバ22]
サービス管理サーバ22は、特定の企業が管理するサーバであり、当該企業の受注管理、在庫管理及び配送管理を行う。受注管理では、顧客端末20からの発注(サービスの要求)を受け付ける。在庫管理では、商品Gの在庫管理を行う。配送管理では、商品Gの配送(複数のドローン26の移動)を管理する。
図1に示すように、サービスサーバ22は、入出力部60と、通信部62と、演算部64と、記憶部66とを含む。
【0021】
通信部62は、インターネット50を介することで、顧客端末20、交通サーバ24、ドローン26等との通信が可能である。
【0022】
演算部64は、中央演算装置(CPU)を含み、記憶部66に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。演算部64が実行する機能の一部は、ロジックIC(Integrated Circuit)を用いて実現することもできる。演算部64は、前記プログラムの一部をハードウェア(回路部品)で構成することもできる。本実施形態の演算部64は、ドローン26の飛行を監視する飛行監視制御を実行する飛行監視部70(対処制御部)を有する。また、飛行監視部70は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを外れるイベントEvの発生又は対処制御(後述)による対応を、顧客端末20に通知する通知部80を有する。飛行監視制御については、
図5及び
図6を参照して後述する。
【0023】
記憶部66は、演算部64が用いるプログラム及びデータを記憶するものであり、ランダム・アクセス・メモリ(以下「RAM」という。)を備える。RAMとしては、レジスタ等の揮発性メモリと、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを用いることができる。また、記憶部66は、RAMに加え、リード・オンリー・メモリ(ROM)を有してもよい。
【0024】
記憶部66は、注文データベース90(以下「注文DB90」という。)と、在庫データベース92(以下「在庫DB92」という。)と、移動体データベース94(以下「移動体DB94」という。)と、第1地図データベース96(以下「第1地
図DB96」という。)と、配送データベース98(以下「配送DB98」という。)とを有する。
【0025】
注文DB90は、各顧客端末20を介して受け付けた注文に関する情報(発注情報Iodr)を蓄積する。在庫DB92は、在庫に関する情報(在庫情報Istk)を蓄積する。移動体DB94は、配送に用いるドローン26の属性情報としての個体情報Iiを蓄積する。個体情報Iiは、例えば、ドローン26の識別情報(識別ID)、種類(小型、大型等)、最大積載重量、積載可能な荷物の最大寸法を含む。また、個体情報Iiは、積載可能な荷物の個数、最大利用可能人数、燃費、最高速度、稼働年数、総移動距離、移動体の現在位置のいずれか1つ又は複数を含んでもよい。後述するように、個体情報Iiには、機体区分Spも含まれる。
【0026】
第1地
図DB96は、ドローン26による配送を行うための地図情報(第1地図情報Imap1)を蓄積する。第1地図情報Imap1には、交通サーバ24による進入許可を要する進入制限領域の位置情報が含まれる。
【0027】
配送DB98は、注文を受けた商品Gの配送に関する情報(配送情報Idel)を蓄積する。配送情報Idelには、商品Gの配送を行うドローン26に関する情報も含まれる。
【0028】
[A-1-4.交通管理サーバ24]
交通管理サーバ24は、複数のドローン26の交通(飛行)に関する情報(交通情報It)を管理する。例えば、交通サーバ24は、ドローン26の飛行許可申請をサービスサーバ22から受信した場合、当該飛行許可申請を許可するか否かを判定し、判定結果に応じて許可又は不許可をサービスサーバ22に通知する。また、交通サーバ24は、ドローン26に関する各種の情報をサービスサーバ22に通知する。
【0029】
図1に示すように、交通管理サーバ24は、入出力部100と、通信部102と、演算部104と、記憶部106とを含む。通信部102は、インターネット50を介することで、サービスサーバ22、外部警報装置28、周辺端末30等との通信が可能である。
【0030】
演算部104は、CPUを含み、記憶部106に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。演算部104が実行する機能の一部は、ロジックICを用いて実現することもできる。演算部104は、前記プログラムの一部をハードウェア(回路部品)で構成することもできる。
【0031】
図1に示すように、演算部104は、緊急対応制御を実行する緊急対応部110を有する。緊急対応制御は、飛行中のドローン26に緊急事態が発生した場合に交通サーバ24側で対応を取る制御である。
【0032】
記憶部106は、演算部104が用いるプログラム及びデータを記憶するものであり、RAMを備える。また、記憶部106は、RAMに加え、ROMを有してもよい。記憶部106は、第2地図データベース120(以下「第2地
図DB120」という。)と、飛行スケジュールデータベース112(以下「飛行スケジュールDB122」という。)と、飛行履歴データベース124(以下「飛行履歴DB124」という。)を有する。
【0033】
第2地
図DB120は、ドローン26の交通(飛行)に関する地図情報(第2地図情報Imap2)を蓄積する。飛行スケジュールDB122は、各ドローン26の飛行スケジュールに関する情報(飛行スケジュール情報Isc)を蓄積する。飛行履歴DB124は、各ドローン26の飛行履歴に関する情報(飛行履歴情報Ifh)を蓄積する。
【0034】
[A-1-5.ドローン26]
(A-1-5-1.ドローン26の概要)
本実施形態のドローン26(自律移動体)は、商品配送用であり、インターネット50及び無線中継局52を介してサービスサーバ22から受信した配送指令(飛行指令)に応じて出発地Pst(図示しない倉庫等)から配送目的地Pdtarまで商品Gを配送する。後述するように、ドローン26はその他の用途で用いてもよい。
【0035】
図1に示すように、ドローン26は、ドローンセンサ群130と、通信装置132と、ドローン制御装置134と、プロペラ駆動部136と、ランプ138と、第1スピーカ140とを有する。
【0036】
(A-1-5-2.ドローンセンサ群130)
ドローンセンサ群130は、グローバル・ポジショニング・システム・センサ150(以下「GPSセンサ150」という。)と、速度計152と、高度計154と、ジャイロセンサ156と、カメラ158等を有する。
【0037】
GPSセンサ150は、ドローン26の現在位置Pdcurを検出する。速度計152は、ドローン26の飛行速度Vd[km/h]を検出する。高度計154は、ドローン26下方の地面に対する距離としての対地高度H(以下「高度H」という。)[m]を検出する。ジャイロセンサ156は、ドローン26の角速度ω[rad/sec]を検出する。角速度ωは、上下軸に対する角速度Y(ヨーY)と、左右軸に対する角速度P(ピッチP)と、前後軸に対する角速度R(ロールR)とを含む。
【0038】
カメラ158は、ドローン26の本体の下部に配置され、ドローン26の画像Id(以下「ドローン画像Id」ともいう。)を取得する。カメラ158は、動画を撮影するビデオカメラである。或いは、カメラ158は、動画及び静止画の両方又は静止画のみを撮影可能としてもよい。カメラ158は、図示しないカメラアクチュエータにより向き(ドローン26の本体に対するカメラ158の姿勢)を調整可能である。或いは、カメラ158は、ドローン26の本体に対する位置が固定されてもよい。
【0039】
(A-1-5-3.通信装置132)
通信装置132は、無線中継局52等との電波通信が可能であり、例えば、電波通信モジュールを含む。通信装置132は、無線中継局52及びインターネット50を介することでサービスサーバ22等との通信が可能である。
【0040】
(A-1-5-4.ドローン制御装置134)
ドローン制御装置134(自律制御部)は、ドローン26の飛行、撮影等、ドローン26全体を制御する。ドローン制御装置134は、ドローン26を出発地Pstから目的地Ptarまで自律的に移動(飛行)させる。ドローン制御装置134は、図示しない入出力部、演算部及び記憶部を含む。
【0041】
(A-1-5-5.プロペラ駆動部136)
プロペラ駆動部136は、複数のプロペラと、複数のプロペラアクチュエータとを有する。プロペラアクチュエータは、例えば電動モータを有する。
【0042】
(A-1-5-6.ランプ138)
ランプ138は、ドローン26の本体の下面に配置されて、ドローン26の下方に可視光を照射する。可視光は、ドローン26の周囲への警告光として用いられる(詳細は後述する。)。
【0043】
(A-1-5-7.第1スピーカ140)
第1スピーカ140は、ドローン26の本体の下面に配置されて、ドローン26の下方への出力音を生成する。出力音は、ドローン26の周囲への警告音として用いられる(詳細は後述する。)。
【0044】
[A-1-6.外部警報装置28]
外部警報装置28は、対象ドローン26tarに予定経路RTpを外れる又は変更するイベントEvが発生した場合、交通サーバ24(移動管理部32)からの指令に基づいて、外部警報装置28の周辺の人々に通知等を行う。通知等を行う外部警報装置28は、予定経路RTpを外れるイベントEvが発生した対象ドローン26tarの周辺に存在するものである。外部警報装置28は、例えば街中に配置された第2スピーカ170等を含む。
【0045】
[A-1-7.周辺端末30]
周辺端末30は、対象ドローン26tarに予定経路RTpを外れる又は変更するイベントEvが発生した場合、交通サーバ24(移動管理部32)からの指令に基づいて、周辺端末30の周辺の人々に通知等を行う。通知等を行う周辺端末30は、予定経路RTpを外れるイベントEvが発生した対象ドローン26tarの周辺に存在するものである。周辺端末30は、例えば、パーソナルコンピュータ又はスマートフォンから構成される。周辺端末30は、第3スピーカ180及び表示部182を含む。
【0046】
<A-2.第1実施形態の制御>
[A-2-1.配達時の概要]
図2は、第1実施形態において、顧客から発注された商品Gを、ドローン26で配達する際の概要を示すフローチャートである。
図2では、大まかな流れのみを示していることに留意されたい。
【0047】
ステップS11において、顧客端末20は、顧客の操作に応じて発注を受け付ける。具体的には、顧客端末20は、顧客の操作に応じて発注画面を表示部(図示せず)に表示する。発注画面のデータは、サービス管理サーバ22から取得したものである。また、発注画面を表示させるに当たり、サービスサーバ22は、発注対象の商品Gの在庫数を確認する。在庫切れの場合、サービスサーバ22は、その旨を併せて表示させる。発注があった場合、顧客端末20は、顧客からの発注を受け付けてサービス管理サーバ22に送信する。
【0048】
サービスサーバ22の処理に移る。ステップS21において、サービスサーバ22は、顧客端末20が受け付けた発注情報Iodrに応じて、対象ドローン26tar及び予定経路RTpを算出する。なお、対象ドローン26tar及び予定経路RTpの算出は、発注前に行っておき、発注時に確定してもよい。予定経路RTpの算出に関する更なる情報については後述する。
【0049】
ステップS22において、サービスサーバ22は、予定経路RTpについて交通サーバ24の許可が必要であるか否か(換言すると、交通サーバ24の許可が必要な部分が予定経路RTpに含まれているか否か)を、第1地図情報Imap1に基づいて判定する。交通サーバ24の許可が必要な部分としては、例えば飛行制限領域が含まれる。
【0050】
交通サーバ24の許可が必要である場合(S22:TRUE)、ステップS23において、予定経路RTpについての飛行許可申請を、交通管理サーバ24に対して送信する。飛行許可申請には、対象となるドローン26の識別番号が付与される。飛行許可申請の送信後、ステップS24において、サービスサーバ22は、交通管理サーバ24からの結果通知を受信したか否かを監視する。
【0051】
交通管理サーバ24の処理に移る。サービスサーバ22からの飛行許可申請(S23)を受信した交通管理サーバ24は、ステップS31において、受信した飛行許可申請について許可又は不許可のいずれとするかを判定する。例えば、予定経路RTpが、一時的な飛行禁止区域を含む場合、交通サーバ24は飛行許可申請を不許可とする。また、1又は複数の他のドローン26(他機)が、自ら(自機)と同時刻に予定経路RTpの一部を通過する予定である場合、交通サーバ24は飛行許可申請を不許可とする。一方、ドローン26の飛行を認めない事由が予定経路RTpに存在しない場合、交通サーバ24は飛行許可申請を許可する。
【0052】
飛行許可申請を許可する場合(S31:TRUE)、ステップS32において、交通管理サーバ24は、許可通知をサービスサーバ22に送信する。許可申請を許可しない場合(S31:FALSE)、ステップS33において、交通管理サーバ24は、不許可通知をサービスサーバ22に送信する。不許可通知には、不許可の理由等(例えば、予定経路RTpが飛行禁止領域を通過すること、飛行禁止領域の位置等)も付加される。
【0053】
再びサービスサーバ22の処理に移る。交通管理サーバ24から受信した結果が許可を示す場合(S24:TRUE)、ステップS25に進む。交通管理サーバ24から受信した結果が不許可を示す場合(S24:FALSE)、ステップS21に戻る。そして、サービスサーバ22は、結果に含まれる不許可の理由に応じて、新たな予定経路RTpを算出する。例えば、不許可の理由が、予定経路RTpが飛行禁止領域を通過することである場合、サービスサーバ22は、飛行禁止領域を避ける新たな予定経路RTpを算出する(S21)。そして、サービスサーバ22は、必要に応じて再度飛行許可申請を行う(S23)。
【0054】
ステップS25において、サービスサーバ22は、商品Gを配送する対象ドローン26tarに対して配送指令を送信する。配送指令には、予定経路RTpの情報が含まれる。移動経路RTfは、対象ドローン26tarの現在位置Pdcur(例えば、図示しない倉庫)である出発地Pstから配送目的地Pdtarまでの経路(往路)と、配送目的地Pdtarから帰還目的地Prtarまでの経路(復路)を含む。
【0055】
配送のために対象ドローン26tarが倉庫、営業所等に立ち寄る必要がある場合、予定経路RTpは、現在位置Pdcurから倉庫等への経路を含んでもよい。或いは、配送のために対象ドローン26tarが倉庫等に立ち寄る必要がある場合、倉庫、営業所等までの経路を予定経路RTpとして設定してもよい。その場合、新たな予定経路RTpとして、配送目的地Pdtarまでの経路と、帰還目的地Prtarまでの経路(復路)を設定してもよい。なお、後述するように、配送指令は、サービスサーバ22から対象ドローン26tarに対して直接送信するのではなく、別の方法で送信することも可能である。
【0056】
各ドローン26の処理に移る。ドローン26は、サービスサーバ22から配送指令(S25)を受信したか否かを監視している。配送指令を受信したドローン26は、ステップS51において、商品Gを倉庫又は営業所から配送目的地Pdtarまで運び、その後帰還目的地Prtarまで戻る配送制御を開始する。なお、対象ドローン26tarは、配送中、所定周期で自らの現在位置Pdcur等をサービスサーバ22に送信する。サービスサーバ22は、受信した現在位置Pdcur等と予定経路RTpを比較することで、対象ドローン26tarの配送状態を監視することができる。
【0057】
[A-2-2.予定経路RTpの算出]
上記のように、第1実施形態において、サービスサーバ22は、顧客端末20が受け付けた発注情報Iodrに応じて、対象ドローン26tar及び予定経路RTpを算出する。予定経路RTpの算出に際し、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarの出発地Pstを算出する。出発地Pstは、例えば、商品Gの倉庫、対象ドローン26tarが商品Gを積む営業所等が設定される。
【0058】
次いで、サービスサーバ22は、商品Gの配送のための必要飛行距離Dnfを算出する。具体的には、出発地Pstから配送目的地Pdtarまでの距離(往路)と、配送目的地Pdtarから帰還目的地Prtarまでの距離(復路)の合計が必要飛行距離Dnfとなる。必要飛行距離Dnfの算出に際し、サービスサーバ22は、単位区分情報Isu及び個体情報Iiに応じてドローン26の予定経路RTpに制限を課す。
【0059】
図3は、第1実施形態における対象ドローン26tarの予定経路RTpの設定を説明するための図である。
図3に示すように、第1実施形態では、ドローン26の機体区分Spと地理的単位区分Suの組合せ毎に、対象ドローン26tarの飛行の可否を切り分ける。単位区分情報Isuは、地理的単位区分Suの属性情報である。
【0060】
図3に示すように、本実施形態の地理的単位区分Suとしては、区分A~Eがある。すなわち、区分Aは、人口集中地及び住宅密集地である。区分Bは、道路上及び線路上である。区分Cは、市街地である。区分Dは、田畑及び非市街地である。区分Eは、フリーウェイ、河川及び安全対策エリアである。なお、区分Aの人口集中地又は住宅密集地は、定点カメラ(図示せず)によりヒト又は車両の動きを監視して、ヒト又は車両の量に応じて区分A又は非区分A(区分B~Eのいずれか)を切り替えてもよい。
【0061】
個体情報Iiは、ドローン26の機体区分Spを含む。機体区分Spとしては、第1種~第3種がある。第1種は、例えば、プライベート用途の機体(例えば商業的な配送、商業的な撮影)である。第2種は、例えば、一般的な公共用途の機体(例えば警察による巡回監視)である。第3種は、例えば、緊急の公共用途の機体(例えば、災害対応、救命、犯罪対応)である。機体区分Spは、上記以外の内容としてもよい。
【0062】
第1種の場合、地理的単位区分Suが区分A~Cのとき、ドローン26の飛行が禁止される。換言すると、予定経路RTpとして選択されない。また、第1種の場合、地理的単位区分Suが区分Dのとき、ドローン26の飛行が条件付きで許可される。換言すると、条件を満たす場合のみ、予定経路RTpとして選択され得る。
【0063】
ここにいう条件としては、例えば、地理的単位区分Suを迂回した場合の予定経路RTpが、地理的単位区分Suを通過した場合の予定経路RTpのX倍の距離となるという条件である。ここでの「X」は、例えば1.5~3.0のいずれかの固定値として設定される。さらに、第1種の場合、地理的単位区分Suが区分Eのとき、ドローン26の飛行が制限なしに許可される。換言すると、制限なしに予定経路RTpとして選択され得る。
【0064】
図3の内容は、第1地
図DB96に記憶されている。従って、サービスサーバ22は、個体情報Ii(機体区分Sp)と単位区分情報Isu(地理的単位区分Su)の組合せに基づいて、予定経路RTpとして選択可能な地理的単位区分Suの候補(以下「単位区分候補Suop」という。)を特定する。そして、サービスサーバ22は、単位区分候補Suopを通過する予定経路RTpを算出する。
【0065】
図4は、第1実施形態における予定経路RTpを設定する場面の例を示す図である。例えば、出発地Pstと配送目的地Pdtarまでの最短空中経路RTp1が全て単位区分候補Suopを通過する場合、サービスサーバ22は、最短空中経路RTp1を予定経路RTpとして設定する。例えば、機体区分Spが第3種であり且つ第1領域200が区分Cに属し、第1領域200の周辺にある第2領域202が区分Dに属す場合である。
【0066】
また、最短空中経路RTp1上に飛行禁止領域が存在する場合があり得る。例えば、機体区分Spが第1種であり且つ第1領域200が区分Cに属し、第1領域200の周辺にある第2領域202の周辺が区分Eに属す場合である。そのような場合、サービスサーバ22は、出発地Pstと配送目的地Pdtarまでの経路選択肢RTopのうち飛行禁止領域を通過せずに最短となる経路(迂回最短経路RTp2)を予定経路RTpとして設定する。
【0067】
さらに、最短空中経路RTp1上に条件付き飛行許可領域が存在する場合があり得る。例えば、機体区分Spが第2種であり且つ第1領域200が区分Cに属し、第1領域200の周辺にある第2領域202の周辺が区分Dに属す場合である。そのような場合、サービスサーバ22は、最短空中経路RTp1の第1必要飛行距離Dnp1と、迂回最短経路RTp2の第2必要飛行距離Dnp2を比較する。そして、第2必要飛行距離Dnp2が第1必要飛行距離Dnp1のX倍以上である場合、サービスサーバ22は、最短空中経路RTp1を予定経路RTpとして選択する。一方、第2必要飛行距離Dnp2が第1必要飛行距離Dnp1のX倍以上でない場合、サービスサーバ22は、迂回最短経路RTp2を予定経路RTpとして選択する。
【0068】
[A-2-3.サービス管理サーバ22による飛行監視制御]
(A-2-3-1.飛行監視制御の全体的な流れ)
図5は、第1実施形態における飛行監視制御のフローチャートである。上記のように、飛行監視制御は、対象ドローン26tarの飛行を監視する制御であり、サービスサーバ22の飛行監視部70が実行する。
【0069】
図5のステップS71において、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarの現在情報Idcurを対象ドローン26tarから取得する。現在情報Idcurには、対象ドローン26tarの現在位置Pdcurが含まれる。
【0070】
ステップS72において、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱したか否かを判定する。例えば、予定経路RTpを示す仮想線に対して対象ドローン26tarの距離Dfが逸脱判定閾値THrtd以上になったとき、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱したと判定する。
【0071】
距離Dfは、3次元方向(前後方向、左右方向及び上下方向)又は2次元方向(前後方向及び左右方向)のいずれかで定義する。例えば、3次元方向で距離Dfを定義した場合、対象ドローン26tarが上下方向に予定経路RTpを逸脱した場合にも、当該逸脱を検出可能となる。その場合、例えば、逸脱の検出精度を高めることが可能となる。一方、2次元方向で距離Dfを定義した場合、距離Dfは、上下方向で定義されない分、飛行監視部70の演算負荷を軽減することが可能となる。
【0072】
対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱した場合(S72:TRUE)、対象ドローン26tarに何らかの緊急事態が発生していると考えられる。その場合、ステップS73に進む。対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱していない場合(S72:FALSE)、対象ドローン26tarは順調に飛行していると考えられる。その場合、ステップS71に戻る。
【0073】
ステップS73において、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarの現在位置Pdcurが属する地理的単位区分Suの属性情報としての単位区分情報Isu(
図3)を第1地
図DB96から読み出す。ステップS74において、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarの個体情報Iiを移動体DB94から読み出す。上記のように、個体情報Iiには、機体区分Spが含まれる。
【0074】
ステップS75において、サービスサーバ22は、単位区分情報Isu及び個体情報Iiに応じた対応を取る(対処制御)。ステップS75の詳細は、
図6を参照して後述する。
【0075】
(A-2-3-2.地理的単位区分Su及び個体情報Iiに応じた対応)
図6は、第1実施形態において、対象ドローン26tarが予定経路RTpから逸脱した場合にサービス管理サーバ22及び交通管理サーバ24が取る対応の説明図である。
図6の例では、対応のレベルとして、レベル1、レベル2、レベル3を設ける。
【0076】
レベル1の場合、サービスサーバ22(通知部80)は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱した旨(レベル1)を、交通管理サーバ24と、対象ドローン26tarが配送している商品Gを発注した顧客の顧客端末20(発注端末20odr)とに対して通知する。より具体的には、サービスサーバ22は、当該逸脱が発生したことを通知する経路逸脱信号Srtdを交通サーバ24及び発注端末20odrに対して送信する。
【0077】
また、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarに対して第1警報指令Sal1を送信する。第1警報指令Sal1を受けた対象ドローン26tarは、ランプ138を点滅させると共に、第1スピーカ140から警告音を出力する。これにより、対象ドローン26tarの周囲の人々に警告を行うことができる。さらに、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarの周辺に存在するドローン26(周辺ドローン26sur)の予定経路RTpを、対象ドローン26tarから離れるように再設定する。
【0078】
経路逸脱信号Srtd(レベル1)を受信した交通サーバ24は、外部警報装置28及び周辺端末30に第2警報指令信号Sal2及び第3警報指令信号Sal3を送信する。第2警報指令信号Sal2を受信した外部警報装置28は、第2スピーカ170を介して警告音を出力する。第3警報指令信号Sal3を受信した周辺端末30は、第3スピーカ180を介して警告音を出力すると共に、表示部182に警告表示を出力する。また、交通サーバ24は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱したこと(レベル1)を移動体DB94及び配送DB98に記録する。経路逸脱信号Srtd(レベル1)を受信した顧客端末20(発注端末20odr)は、経路逸脱信号Srtd(レベル1)の内容を表示部に表示する。
【0079】
レベル1に対応するのは、機体区分Spが第1種であり且つ地理的単位区分Suが区分A~Cのいずれかである場合、機体区分Spが第2種であり且つ地理的単位区分Suが区分Aである場合である(
図6)。
【0080】
レベル2の場合、サービスサーバ22(通知部80)は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱した旨(レベル2)を、交通管理サーバ24及び発注端末20odrに対して通知する。サービスサーバ22からレベル2の通知を受けた交通サーバ24は、対象ドローン26tarを重点監視する。例えば、交通サーバ24は、対象ドローン26tarと直接通信し、対象ドローン26tarの現在位置Pdcur等を自らで監視する。また、交通サーバ24は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱したこと(レベル2)を移動体DB94及び配送DB98に記録する。経路逸脱信号Srtd(レベル2)を受信した発注端末20odrは、経路逸脱信号Srtd(レベル2)の内容を表示部に表示する。
【0081】
レベル2に対応するのは、機体区分Spが第1種であり且つ地理的単位区分Suが区分Dである場合、機体区分Spが第2種であり且つ地理的単位区分Suが区分B又はCである場合、機体区分Spが第3種であり且つ地理的単位区分Suが区分A又はBである場合である。
【0082】
レベル3の場合、サービスサーバ22(通知部80)は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱した旨(レベル3)を、交通管理サーバ24及び発注端末20odrに対して通知する。サービスサーバ22からレベル3の通知を受けた交通サーバ24は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱したこと(レベル3)を移動体DB94及び配送DB98に記録する。経路逸脱信号Srtd(レベル3)を受信した発注端末20odrは、経路逸脱信号Srtd(レベル3)の内容を表示部に表示する。
【0083】
レベル3に対応するのは、機体区分Spが第1種であり且つ地理的単位区分Suが区分Eである場合、機体区分Spが第2種であり且つ地理的単位区分Suが区分D又はEである場合、機体区分Spが第3種であり且つ地理的単位区分Suが区分C~Eのいずれかである場合である。
【0084】
[A-2-4.交通管理サーバ24による緊急対応制御]
図7は、第1実施形態における緊急対応制御のフローチャートである。上記のように、緊急対応制御は、飛行中のドローン26(対象ドローン26tar)に緊急事態が発生した場合に交通管理サーバ24側で対応を取る制御であり、交通サーバ24の緊急対応部110が実行する。
【0085】
図7のステップS91において、交通サーバ24は、サービスサーバ22から経路逸脱信号Srtdを受信したか否かを判定する。経路逸脱信号Srtdを受信した場合(S91:TRUE)、ステップS92に進む。経路逸脱信号Srtdを受信しない場合(S91:FALSE)、今回の緊急対応制御を終了し、所定時間経過後にステップS91に戻る。
【0086】
ステップS92において、交通サーバ24は、経路逸脱信号Srtdが示すレベルがレベル1(
図6参照)であるか否かを判定する。レベル1である場合(S92:TRUE)、ステップS93において、交通サーバ24は、外部警報装置28に第2警報指令信号Sal2を、周辺端末30に第3警報指令信号Sal3を送信する。レベル1でない場合(S92:FALSE)、ステップS94に進む。
【0087】
ステップS94において、交通サーバ24は、経路逸脱信号Srtdが示すレベルがレベル2(
図6参照)であるか否かを判定する。レベル2である場合(S94:TRUE)、ステップS95において、交通サーバ24は、対象ドローン26tarを重点監視する。レベル2でない場合(S94:FALSE)、経路逸脱信号Srtdが示すレベルは、レベル3(
図6参照)である。この場合、ステップS96に進む。
【0088】
ステップS93若しくはS95の後又はステップS94が偽(FALSE)の場合、ステップS96に進む。ステップS96において、交通サーバ24は、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱したこと及びそのレベル(レベル1~3のいずれか)を移動体DB94及び配送DB98に記録する。
【0089】
<A-3.第1実施形態の効果>
第1実施形態によれば、対象ドローン26tar(第1自律移動体)に予定経路RTpを外れる又は変更するイベントEvが発生した場合(
図5のS72:TRUE)、サービスサーバ22(移動管理部32)は、対象ドローン26tarの現在位置Pdcurが属する地理的単位区分Suの属性情報である単位区分情報Isuと、対象ドローン26tarの個体情報Iiとに応じた対応を行う対処制御を実行する(
図5のS75、
図6)。これにより、対象ドローン26tarに予定経路RTpを外れる又は変更するイベントEvが発生した場合に、好適に対応することが可能となる。
【0090】
第1実施形態において、対象ドローン26tar(第1自律移動体)自身では予定経路RTpを維持できないイベントEvが発生した場合(
図5のS72:TRUE)、サービスサーバ22(移動管理部32)は、単位区分情報Isu(地理的単位区分Suの属性情報)と個体情報Iiとに応じて、対象ドローン26tarの対応を指令する(
図5のS75、
図6)。これにより、対象ドローン26tar自体では予定経路RTpを維持できないイベントEvが発生した場合に好適に対応可能となる。
【0091】
第1実施形態において、管理システム10は、サービスサーバ22(移動管理部32)に対して、対象ドローン26tar(第1自律移動体)の配送(移動)を要求する顧客端末20(外部機器)を備える(
図1)。また、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarに予定経路RTpを外れる又は変更するイベントEvが発生した場合(
図5のS72:TRUE)、イベントEvの発生又は対処制御による前記対応を、顧客端末20に通知する(
図6)通知部80を有する(
図1)。これにより、顧客端末20を介して当該通知を認識した顧客(ユーザ)は、イベントEvの発生に伴って通知された内容に応じた付加的なサービスを提供可能となる。
【0092】
第1実施形態において、対象ドローン26tar(第1自律移動体)に予定経路RTpを外れる又は変更するイベントEvが発生した場合(
図5のS72:TRUE)、サービスサーバ22(移動管理部32)は、対象ドローン26tarの周辺を移動している周辺ドローン26sur(第2自律移動体)の予定経路RTpを、対象ドローン26tarから離れるように再設定する(
図6)。これにより、対象ドローン26tarの動きに合わせて、周辺ドローン26surの予定経路RTpを変化させることが可能となる。
【0093】
B.第2実施形態
<B-1.構成及び制御(第1実施形態との相違)>
第2実施形態の構成及び制御は、基本的に第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。第2実施形態では、サービスサーバ22による飛行監視制御が第1実施形態(
図5)と一部相違する。
【0094】
図8は、第2実施形態における飛行監視制御のフローチャートである。上記のように、飛行監視制御は、対象ドローン26tarの飛行を監視する制御であり、サービスサーバ22の飛行監視部70が実行する。第2実施形態では、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱したか否かの判定が第1実施形態と異なる。
【0095】
図8のステップS101において、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarについての誤対応履歴Herを配送DB98から読み出す。誤対応履歴Herは、過去の飛行監視制御において、対象ドローン26tar(今回の飛行監視制御における対象ドローン26tarと同一のドローン26)が予定経路RTpを逸脱したと判定した(
図8のS104:TRUE)にもかかわらず、実際には逸脱していなかったことを示す履歴である。誤対応履歴Herは、誤対応が判明した段階で、サービスサーバ22の管理者が配送DB98に記録する。
【0096】
ステップS102において、サービスサーバ22は、予定経路RTpの逸脱判定閾値THrtdを誤対応履歴Herに応じて設定する。例えば、誤対応履歴Herの数が多くなるほど、逸脱したと判定し難いように逸脱判定閾値THrtdを設定する。
【0097】
ステップS103、S104、S105、S106、S107は、
図5のステップS71、S72、S73、S74、S75と同様である。
【0098】
<B-2.第2実施形態の効果>
以上のような第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて又はこれに代えて、以下の効果を奏することができる。
【0099】
すなわち、第2実施形態において、サービスサーバ22(移動管理部32)は、対象ドローン26tar(第1自律移動体)に予定経路RTpを外れた又は変更したイベントEvの履歴としての誤対応履歴Herに応じて、イベントEvの発生時に対象ドローン26tarに対して指令する対応を変化させる(
図8のS101~S107)。これにより、対象ドローン26tarに予定経路RTpを外れる又は変更するイベントEvが新たに発生した場合に、さらに好適に対応することが可能となる。
【0100】
C.変形例
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0101】
<C-1.自律移動体>
第1実施形態のドローン26は、配送用であった(
図1及び
図2)。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、ドローン26は、人の運送、緊急用途、撮影、広告、セキュリティ監視、測量、エンターテインメント、個人趣味等の用途で用いることも可能である。前記緊急用途には、例えば、災害対応、救命又は犯罪対応が含まれる。前記エンターテインメントには、例えば、音楽コンサート、スポーツ又は祭りが含まれる。第2実施形態も同様である。
【0102】
第1実施形態では、ドローン26に本発明を適用した(
図1及び
図2)。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、別種類の飛行体又は自律移動体に本発明を適用してもよい。例えば、自動運転車、ヘリコプタ又は船舶に本発明を適用することも可能である。第2実施形態も同様である。
【0103】
<C-2.移動管理部32>
第1実施形態の移動管理部32は、サービスサーバ22及び交通管理サーバ24を含んだ(
図1)。しかしながら、例えば、複数のドローン26(又は自律移動体)の移動を管理する観点からすれば、これに限らない。例えば、サービスサーバ22のみから移動管理部32を構成してもよい。或いは、サービスサーバ22及び交通管理サーバ24に加えて、所定区域毎に複数配置されて、ドローン26の飛行を管理するローカル管制サーバを設けることも可能である。そして、サービスサーバ22からドローン26に対する配送指令は、ローカル管制サーバを介して送信されてもよい。第2実施形態も同様である。
【0104】
第1実施形態のサービスサーバ22は、ドローン26の配送(飛行)を管理した(
図1及び
図2)。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、ドローン26に加えて又はこれに代えて、自動運転車、ヘリコプタ又は船舶の配送を管理してもよい。第2実施形態も同様である。
【0105】
第1実施形態のサービスサーバ22は、商品Gの配送を管理した(
図1)。しかしながら、例えば、複数のドローン26(又は自律移動体)の移動を管理する観点からすれば、これに限らない。例えば、サービスサーバ22は、人の運送、緊急用途、撮影、広告、セキュリティ監視、測量、エンターテインメント、個人趣味等の用途を管理するものであってもよい。第2実施形態も同様である。
【0106】
<C-3.データベース>
第1実施形態では、第1地
図DB96及び移動体DB94をサービスサーバ22に配置した(
図1)。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、第1地
図DB96又は移動体DB94をサービスサーバ22の外部(例えばクラウド又は交通サーバ24)に設けることも可能である。
【0107】
<C-4.対象ドローン26tarの緊急時の対応>
第1実施形態では、レベル1の対応として、交通サーバ24への通知、対象ドローン26tarへの警報指令、周辺ドローン26surの予定経路RTpの再設定及び顧客端末20への通知を含む4つの対応を行った(
図5のS75、
図6)。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、これら4つのうちいずれか1つ、2つ又は3つを行うことも可能である。第2実施形態も同様である。
【0108】
第1実施形態では、レベル2及びレベル3の対応として、交通サーバ24への通知及び顧客端末20への通知を含む2つの対応を行った(
図5のS75、
図6)。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、これら2つのうちいずれか1つのみを行うことも可能である。第2実施形態も同様である。
【0109】
第1実施形態では、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱した場合(
図5のS72:TRUE)、単位区分情報Isuの単位区分Suと個体情報Iiの機体区分Spに基づいて対処制御の内容を選択した(
図6)。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、単位区分Suと機体区分Spに加えて、対象ドローン26tarの逸脱の程度又は緊急状況の程度に応じて対処制御の内容を選択してもよい。第2実施形態も同様である。
【0110】
第1実施形態では、対象ドローン26tarが予定経路RTpを逸脱した場合(
図5のS72:TRUE)にサービスサーバ22及び交通サーバ24が行う対応に、対象ドローン26tarの経路誘導は含まれていなかった(
図6)。しかしながら、経路誘導を行うための設備が存在する場合、サービスサーバ22又は交通サーバ24により対象ドローン26tarの経路誘導を行うことも可能である。
【0111】
第1実施形態では、外部警報装置28及び周辺端末30への第2警報指令信号Sal2及び第3警報指令信号Sal3を交通サーバ24から送信した(
図6、
図7のS93)。しかしながら、例えば、対象ドローン26tarの緊急時に外部警報装置28又は周辺端末30から警報を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、交通サーバ24の代わりに、サービスサーバ22から外部警報装置28及び周辺端末30への第2警報指令信号Sal2及び第3警報指令信号Sal3を送信することも可能である。第2実施形態も同様である。
【0112】
第1実施形態では、飛行監視制御(
図5)の実行主体がサービスサーバ22であった。しかしながら、例えば、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う観点からすれば、これに限らない。例えば、交通サーバ24又は対象ドローン26tarが飛行監視制御(対処制御を含む)を行うことも可能である。第2実施形態も同様である。
【0113】
例えば、対象ドローン26tar自体(特にドローン制御装置134)が飛行監視制御を行う場合には以下のように行う。すなわち、対象ドローン26tarは、自らが予定経路RTpを逸脱したと判定した場合(
図5のS72:TRUE)又はその前に、自らの現在位置Pdcurが属する地理的単位区分Suの属性情報としての単位区分情報Isuと、自らの個体情報Iiを取得する。そして、対象ドローン26tarは、単位区分情報Isuと個体情報Iiとに基づいて対処制御を行う。
【符号の説明】
【0114】
10…管理システム 20…顧客端末(外部機器)
26…ドローン(自律移動体、移動体)
26sur…周辺ドローン(第2自律移動体)
26tar…対象ドローン(第1自律移動体、自律移動体)
32…移動管理部 62…通信部(通信装置)
70…飛行監視部(対処制御部) 80…通知部
94…移動体DB
96…第1地
図DB(地図データベース)
134…ドローン制御装置(自律制御部)
Ev…イベント Ii…個体情報
Imap1…第1地図情報(地図情報) Isu…単位区分情報
Pdcur…ドローンの現在位置 Pst…出発地
Ptar…目的地 RTp…予定経路