IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

特許7391833移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法
<>
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図1
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図2
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図3
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図4
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図5
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図6
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図7
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図8
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図9
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図10
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図11
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図12
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図13
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図14
  • 特許-移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/04 20060101AFI20231128BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20231128BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20231128BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20231128BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20231128BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G08G5/04 A
G08G5/00 A
G01C21/20
G05D1/10
B64C13/18 D
B64C39/02
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020507815
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2019011310
(87)【国際公開番号】W WO2019181900
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2018051410
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】長井 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】飯島 賢大
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228152(JP,A)
【文献】特開2006-113687(JP,A)
【文献】特開2008-134744(JP,A)
【文献】国際公開第2012/039280(WO,A1)
【文献】特許第5695979(JP,B2)
【文献】特開平06-090218(JP,A)
【文献】特開2018-120570(JP,A)
【文献】特開2017-142659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/00 ~ 5/04
G01C 21/20 ~ 21/36
G05D 1/00 ~ 1/12
B64C 13/18
B64C 39/02
G08G 1/00 ~ 1/16
B60W 30/08 ~ 30/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動に関する優先劣後を所定規則に基づいて判定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記移動体における決定値である第1の決定値と、他の移動体における決定値である第2の決定値とを、前記所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を判定し、
前記所定規則は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含み、
前記状態情報は、前記移動体の推進エネルギー源による移動可能距離を示す移動可能距離情報であり、
前記移動体の前記移動可能距離情報が第1の移動可能距離であり、前記他の移動体の前記移動可能距離情報が前記第1の移動可能距離より短い第2の移動可能距離である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体において、
前記移動体と前記他の移動体とを含む複数の移動体の移動に関する優先劣後度を決定する優劣決定部によって決定された前記移動体の前記優先劣後度と、前記優劣決定部によって決定された前記他の移動体の前記優先劣後度とが同等である場合に、前記制御部は、前記優先劣後を前記所定規則に基づいて判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項3】
請求項1又は2記載の移動体において、
前記移動体は、飛行体である
ことを特長とする移動体。
【請求項4】
請求項1に記載の移動体において、
前記所定規則は、優劣関係が予め定められた3つ以上の選択肢のうちから選択される選択肢に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記3つ以上の選択肢のうちから前記移動体によって選択された選択肢であり、
前記第2の決定値は、前記3つ以上の選択肢のうちから前記他の移動体によって選択された選択肢である
ことを特徴とする移動体。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体において、
前記移動体によって選択された前記選択肢と、前記他の移動体によって選択された前記選択肢とが同じである場合、前記3つ以上の選択肢のうちからの選択肢の選択が、前記移動体と前記他の移動体とによって再度実行される
ことを特徴とする移動体。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の移動体において、
前記3つ以上の選択肢のうちの第1の選択肢は、前記3つ以上の選択肢のうちの第2の選択肢に勝り、
前記第2の選択肢は、前記3つ以上の選択肢のうちの第3の選択肢に勝り、
前記第3の選択肢は、前記第1の選択肢に勝る
ことを特徴とする移動体。
【請求項7】
請求項に記載の移動体において、
前記状態情報は、前記移動体の推進エネルギー源の残容量を示す残容量情報を含み
前記移動体の前記残容量情報が第1の残容量であり、前記他の移動体の前記残容量情報が前記第1の残容量より少ない第2の残容量である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項8】
移動に関する優先劣後を所定規則に基づいて判定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記移動体における決定値である第1の決定値と、他の移動体における決定値である第2の決定値とを、前記所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を判定し、
前記所定規則は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含み、
前記状態情報は、前記移動体の移動速度を示す移動速度情報であり、
前記移動体の前記移動速度情報が第1の移動速度であり、前記他の移動体の前記移動速度情報が前記第1の移動速度より低い第2の移動速度である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項9】
移動に関する優先劣後を所定規則に基づいて判定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記移動体における決定値である第1の決定値と、他の移動体における決定値である第2の決定値とを、前記所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を判定し、
前記所定規則は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含み、
前記状態情報は、前記移動体の移動高度を示す移動高度情報であり、
前記移動体の前記移動高度情報が第1の移動高度であり、前記他の移動体の前記移動高度情報が前記第1の移動高度より低い第2の移動高度である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項10】
移動に関する優先劣後を所定規則に基づいて判定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記移動体における決定値である第1の決定値と、他の移動体における決定値である第2の決定値とを、前記所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を判定し、
前記所定規則は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含み、
前記個体情報は、前記移動体の性能に基づいて定められる性能情報を含む
ことを特徴とする移動体。
【請求項11】
請求項10に記載の移動体において、
前記性能情報は、前記移動体の最高速度に基づいて定められる最高速度情報であり、
前記移動体の前記最高速度情報が第1の最高速度であり、前記他の移動体の前記最高速度情報が前記第1の最高速度より低い第2の最高速度である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項12】
請求項10に記載の移動体において、
前記性能情報は、前記移動体に備えられた推進装置の最高出力に基づいて定められる最高出力情報であり、
前記移動体の前記最高出力情報が第1の最高出力であり、前記他の移動体の前記最高出力情報が前記第1の最高出力より低い第2の最高出力である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項13】
請求項に記載の移動体において、
前記個体情報は、前記移動体の利用用途に基づいて定められる機体情報を含む
ことを特徴とする移動体。
【請求項14】
請求項13に記載の移動体において、
前記機体情報は機体区分を含み、
複数の前記機体区分のうちの第1機体区分に属する前記移動体の前記利用用途は、前記複数の機体区分のうちの第2機体区分に属する前記移動体の前記利用用途に対して公共性が高く、
前記移動体の前記機体情報が前記第1機体区分であり、前記他の機体の前記機体情報が前記第2機体区分である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が優先すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項15】
請求項に記載の移動体において、
前記個体情報は、前記移動体の搭乗者の有無に基づいて定められる搭乗者情報を含み、
前記移動体の前記搭乗者情報が搭乗者有りであり、前記他の移動体の前記搭乗者情報が搭乗者無しである場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が優先すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項16】
移動に関する優先劣後を所定規則に基づいて判定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記移動体における決定値である第1の決定値と、他の移動体における決定値である第2の決定値とを、前記所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を判定し、
前記所定規則は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の搭載物の価値に基づいて定められる搭載物情報を含み、
前記移動体の前記搭載物情報が第1の価値であり、前記他の移動体の前記搭載物情報が前記第1の価値より低い第2の価値である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が優先すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の移動体において、
前記移動体と前記他の移動体とのうちの少なくともいずれかから発せられるタイミング信号に応じたタイミングで、前記移動体から前記他の移動体に前記第1の決定値が送信され、前記他の移動体から前記移動体に前記第2の決定値が送信される
ことを特徴とする移動体。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載の移動体において、
前記移動体と前記他の移動体とのうちの少なくともいずれかから発せられる送信予定時刻情報に応じたタイミングで、前記移動体から前記他の移動体に前記第1の決定値が送信され、前記他の移動体から前記移動体に前記第2の決定値が送信される
ことを特徴とする移動体。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか1項に記載の移動体において、
前記移動体と前記他の移動体との間の距離が所定距離未満になったタイミングで、前記移動体から前記他の移動体に前記第1の決定値が送信され、前記他の移動体から前記移動体に前記第2の決定値が送信される
ことを特徴とする移動体。
【請求項20】
移動体が第1の決定値を決定するステップと、
他の移動体が第2の決定値を決定するステップと、
制御部が、前記第1の決定値と前記第2の決定値とを、所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の優先劣後を判定するステップと
を有し、
前記所定規則は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含み、
前記状態情報は、前記移動体の推進エネルギー源による移動可能距離を示す移動可能距離情報であり、
前記移動体の前記移動可能距離情報が第1の移動可能距離であり、前記他の移動体の前記移動可能距離情報が前記第1の移動可能距離より短い第2の移動可能距離である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定することを特徴とする移動体の制御方法。
【請求項21】
請求項20に記載の移動体の制御方法において、
前記移動体と前記他の移動体とを含む複数の移動体の移動に関する優先劣後度を優劣決定部が決定するステップを更に有し、
前記優先劣後度を決定するステップにおいて決定された前記移動体の前記優先劣後度と、前記優先劣後度を決定するステップにおいて決定された前記他の移動体の前記優先劣後度とが同等である場合に、前記第1の決定値を決定するステップ、前記第2の決定値を決定するステップ、及び、前記優先劣後を判定するステップが実行される
ことを特徴とする移動体の制御方法。
【請求項22】
請求項20又は21記載の移動体の制御方法において、
複数の前記所定規則のうちのいずれかを前記制御部が選択するステップを更に有する
ことを特徴とする移動体の制御方法。
【請求項23】
移動に関する優先劣後を予め定められた決定軸に基づいて決定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記決定軸に沿った前記移動体における決定値である第1の決定値と、前記決定軸に沿った他の移動体における決定値である第2の決定値とを比較し、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を前記決定軸に基づいて決定し、
前記決定軸は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含み、
前記状態情報は、前記移動体の推進エネルギー源による移動可能距離を示す移動可能距離情報であり、
前記移動体の前記移動可能距離情報が第1の移動可能距離であり、前記他の移動体の前記移動可能距離情報が前記第1の移動可能距離より短い第2の移動可能距離である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定する
ことを特徴とする移動体。
【請求項24】
第1の移動体と第2の移動体とを含む複数の移動体の移動に関する優先劣後を予め定められた決定軸に基づいて制御部が決定する優劣決定方法であって、
前記第1の移動体が前記決定軸に沿って第1の決定値を決定するステップと、
前記決定軸に沿って前記第2の移動体によって決定された第2の決定値を前記第1の移動体が取得するステップと、
前記第1の移動体が、前記第1の決定値と前記第2の決定値とを比較し、前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の優先劣後を前記制御部が前記決定軸に基づいて判定するステップと
を有し、
前記決定軸は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、
前記第1の決定値は、前記第1の移動体の前記個体情報であり、
前記第2の決定値は、前記第2の移動体の前記個体情報であり、
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含み、
前記状態情報は、前記移動体の推進エネルギー源による移動可能距離を示す移動可能距離情報であり、
前記第1の移動体の前記移動可能距離情報が第1の移動可能距離であり、前記第2の移動体の前記移動可能距離情報が前記第1の移動可能距離より短い第2の移動可能距離である場合、前記制御部は、前記第2の移動体に対して前記第1の移動体が劣後すると判定することを特徴とする優劣決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、飛行制限区域に応じた飛行が可能なシステム、方法及び装置が開示されている(要約)。米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、無人飛行体(UAV:unmanned aerial vehicle)の位置が、飛行制限区域と比較される。必要に応じて、UAVは、飛行禁止区域への進入を回避するための対応を取る。
【発明の概要】
【0003】
上記のように、米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、UAVの位置を飛行制限区域と比較し、必要に応じて、UAVは、飛行禁止区域への進入を回避するための対応を取る(要約)。しかしながら、米国特許出願公開第2015/0339931号明細書では、飛行体同士の位置関係については考慮されていない。このような課題は、飛行体に限らず、自律的な移動を行うその他の自律移動体(船舶、自動車等)にも該当する。
【0004】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、移動体の行動を好適に設定することが可能な移動体及びその制御方法並びに優劣決定方法を提供することを目的とする。
【0005】
本発明の一態様に係る移動体は、
移動に関する優先劣後を所定規則に基づいて判定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記移動体における決定値である第1の決定値と、他の移動体における決定値である第2の決定値とを、前記所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を判定する
ことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、移動体における決定値である第1の決定値と、他の移動体における決定値である第2の決定値とを所定規則に基づいて比較することにより、他の移動体に対する移動体の優先劣後を判定し得る。このため、本発明によれば、移動体の行動を好適に設定することが可能となる。
【0007】
前記移動体と前記他の移動体とを含む複数の移動体の移動に関する優先劣後度を決定する優劣決定部によって決定された前記移動体の前記優先劣後度と、前記優劣決定部によって決定された前記他の移動体の前記優先劣後度とが同等である場合に、前記制御部は、前記優先劣後を前記所定規則に基づいて判定するようにしてもよい。
【0008】
前記移動体は、飛行体であるようにしてもよい。
【0009】
前記所定規則は、優劣関係が予め定められた3つ以上の選択肢のうちから選択される選択肢に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、前記第1の決定値は、前記3つ以上の選択肢のうちから前記移動体によって選択された選択肢であり、前記第2の決定値は、前記3つ以上の選択肢のうちから前記他の移動体によって選択された選択肢であるようにしてもよい。
【0010】
前記移動体によって選択された前記選択肢と、前記他の移動体によって選択された前記選択肢とが同じである場合、前記3つ以上の選択肢のうちからの選択肢の選択が、前記移動体と前記他の移動体とによって再度実行されるようにしてもよい。このような構成によれば、移動体によって選択された選択肢と、他の移動体によって選択された選択肢とが同じであった場合であっても、移動体と他の移動体との優先劣後を最終的に決定することが可能となる。
【0011】
前記3つ以上の選択肢のうちの第1の選択肢は、前記3つ以上の選択肢のうちの第2の選択肢に勝り、前記第2の選択肢は、前記3つ以上の選択肢のうちの第3の選択肢に勝り、前記第3の選択肢は、前記第1の選択肢に勝るようにしてもよい。
【0012】
前記所定規則は、個体情報に基づいて前記優先劣後を決定するという規則であり、前記第1の決定値は、前記移動体の前記個体情報であり、前記第2の決定値は、前記他の移動体の前記個体情報であるようにしてもよい。
【0013】
前記個体情報は、前記移動体の状態を示す状態情報を含むようにしてもよい。
【0014】
前記状態情報は、前記移動体の推進エネルギー源の残容量を示す残容量情報であり、前記移動体の前記残容量情報が第1の残容量であり、前記他の移動体の前記残容量情報が前記第1の残容量より少ない第2の残容量である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定するようにしてもよい。
【0015】
前記状態情報は、前記移動体の推進エネルギー源による移動可能距離を示す移動可能距離情報であり、前記移動体の前記移動可能距離情報が第1の移動可能距離であり、前記他の移動体の前記移動可能距離情報が前記第1の移動可能距離より短い第2の移動可能距離である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定するようにしてもよい。
【0016】
前記状態情報は、前記移動体の移動速度を示す移動速度情報であり、前記移動体の前記移動速度情報が第1の移動速度であり、前記他の移動体の前記移動速度情報が前記第1の移動速度より低い第2の移動速度である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定するようにしてもよい。
【0017】
前記状態情報は、前記移動体の移動高度を示す移動高度情報であり、前記移動体の前記移動高度情報が第1の移動高度であり、前記他の移動体の前記移動高度情報が前記第1の移動高度より低い第2の移動高度である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定するようにしてもよい。
【0018】
前記個体情報は、前記移動体の性能に基づいて定められる性能情報を含むようにしてもよい。
【0019】
前記性能情報は、前記移動体の最高速度に基づいて定められる最高速度情報であり、前記移動体の前記最高速度情報が第1の最高速度であり、前記他の移動体の前記最高速度情報が前記第1の最高速度より低い第2の最高速度である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定するようにしてもよい。
【0020】
前記性能情報は、前記移動体に備えられた推進装置の最高出力に基づいて定められる最高出力情報であり、前記移動体の前記最高出力情報が第1の最高出力であり、前記他の移動体の前記最高出力情報が前記第1の最高出力より低い第2の最高出力である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が劣後すると判定するようにしてもよい。
【0021】
前記個体情報は、前記移動体の利用用途に基づいて定められる機体情報を含むようにしてもよい。
【0022】
前記機体情報は機体区分を含み、複数の前記機体区分のうちの第1機体区分に属する前記移動体の前記利用用途は、前記複数の機体区分のうちの第2機体区分に属する前記移動体の前記利用用途に対して公共性が高く、前記移動体の前記機体情報が前記第1機体区分であり、前記他の機体の前記機体情報が前記第2機体区分である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が優先すると判定するようにしてもよい。
【0023】
前記個体情報は、前記移動体の搭乗者の有無に基づいて定められる搭乗者情報を含み、前記移動体の前記搭乗者情報が搭乗者有りであり、前記他の移動体の前記搭乗者情報が搭乗者無しである場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が優先すると判定するようにしてもよい。
【0024】
前記個体情報は、前記移動体の搭載物の価値に基づいて定められる搭載物情報を含み、前記移動体の前記搭載物情報が第1の価値であり、前記他の移動体の前記搭載物情報が前記第1の価値より低い第2の価値である場合、前記制御部は、前記他の移動体に対して前記移動体が優先すると判定するようにしてもよい。
【0025】
前記移動体と前記他の移動体とのうちの少なくともいずれかから発せられるタイミング信号に応じたタイミングで、前記移動体から前記他の移動体に前記第1の決定値が送信され、前記他の移動体から前記移動体に前記第2の決定値が送信されるようにしてもよい。
【0026】
前記移動体と前記他の移動体とのうちの少なくともいずれかから発せられる送信予定時刻情報に応じたタイミングで、前記移動体から前記他の移動体に前記第1の決定値が送信され、前記他の移動体から前記移動体に前記第2の決定値が送信されるようにしてもよい。
【0027】
前記移動体と前記他の移動体との間の距離が所定距離未満になったタイミングで、前記移動体から前記他の移動体に前記第1の決定値が送信され、前記他の移動体から前記移動体に前記第2の決定値が送信されるようにしてもよい。
【0028】
本発明の他の態様による移動体の制御方法は、
移動体が第1の決定値を決定するステップと、
他の移動体が第2の決定値を決定するステップと、
前記第1の決定値と前記第2の決定値とを、所定規則に基づいて比較することにより、前記他の移動体に対する前記移動体の優先劣後を判定するステップと
を有することを特徴とする。
【0029】
前記移動体と前記他の移動体とを含む複数の移動体の移動に関する優先劣後度を決定するステップを更に有し、前記優先劣後度を決定するステップにおいて決定された前記移動体の前記優先劣後度と、前記優先劣後度を決定するステップにおいて決定された前記他の移動体の前記優先劣後度とが同等である場合に、前記第1の決定値を決定するステップ、前記第2の決定値を決定するステップ、及び、前記優先劣後を判定するステップが実行されるようにしてもよい。
【0030】
複数の前記所定規則のうちのいずれかを選択するステップを更に有するようにしてもよい。
【0031】
本発明の更に他の態様による移動体は、
移動に関する優先劣後を予め定められた決定軸に基づいて決定する制御部を有する移動体であって、
前記制御部は、前記決定軸に沿った前記移動体における決定値である第1の決定値と、前記決定軸に沿った他の移動体における決定値である第2の決定値とを比較し、前記他の移動体に対する前記移動体の前記優先劣後を前記決定軸に基づいて決定する
ことを特徴とする。
【0032】
本発明の更に他の態様による優劣決定方法は、
第1の移動体と第2の移動体とを含む複数の移動体の移動に関する優先劣後を予め定められた決定軸に基づいて決定する優劣決定方法であって、
第1の移動体が前記決定軸に沿って第1の決定値を決定するステップと、
前記決定軸に沿って前記第2の移動体によって決定された第2の決定値を前記第1の移動体が取得するステップと、
前記第1の移動体が、前記第1の決定値と前記第2の決定値とを比較し、前記第2の移動体に対する前記第1の移動体の優先劣後を前記決定軸に基づいて判定するステップと
を有することを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、移動体の行動を好適に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る管理システムの概要を示す全体構成図である。
図2】前記実施形態において、顧客の発注から、ドローンで商品の配送を開始するまでの概要を示すフローチャートである。
図3】前記実施形態の飛行制御の全体的な流れを示すフローチャートである。
図4】前記実施形態の自機情報ブロードキャスト処理のフローチャートである。
図5】機体区分と進入が許可される地理的単位区分との関係の例を示す図である。
図6】優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。
図7】優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。
図8】優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。
図9】優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。
図10】優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。
図11】移動管理部に比較部が備えられている場合の例を示す全体構成図である。
図12】移動管理部に制御内容決定部が備えられている場合の例を示す全体構成図である。
図13】変形実施形態に係る管理システムの概要を示す全体構成図である。
図14】移動空間の例を示す概略図である。
図15図15A図15Dは、移動可能空間の形状を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
A.一実施形態
<A-1.構成>
[A-1-1.全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る管理システム10の概要を示す全体構成図である。管理システム10は、複数の顧客端末20と、少なくとも1台のサービス管理サーバ22(以下「サービスサーバ22」ともいう。)と、少なくとも1台の交通管理サーバ24(以下「交通サーバ24」ともいう。)と、複数のドローン(自律移動体、移動体)26とを有する。サービスサーバ22と交通サーバ24は、移動管理部28を構成する。移動管理部28は、不図示の通信装置を介して複数のドローン26と通信するとともに、複数のドローン26の移動を管理する。図1では、1つの顧客端末20、サービスサーバ22及び交通サーバ24のみを示している。管理システム10では、顧客端末20を介して入力された商品Gの発注情報に基づいて、ドローン26が商品Gを配送する。
【0036】
顧客端末20とサービスサーバ22の間、サービスサーバ22と交通サーバ24の間は、インターネット30を介して通信可能である。また、サービスサーバ22とドローン26の間は、インターネット30及び無線中継局32を介して通信可能である。ドローン26同士の間は、光通信及び電波通信を介して通信可能である。
【0037】
[A-1-2.顧客端末20]
顧客端末20は、サービスサーバ22が取り扱う商品Gについて顧客からの発注を受け付ける端末である。顧客端末20は、例えば、パーソナルコンピュータ又はスマートフォンから構成される。
【0038】
[A-1-3.サービス管理サーバ22]
サービス管理サーバ22は、特定の企業についての受注管理、在庫管理及び配送管理を行う。図1に示すように、サービス管理サーバ22は、演算部51と、記憶部53とを含む。演算部51は、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含み得る。演算部51は、記憶部53に記憶されているプログラムを実行することにより動作し得る。演算部51によって実現される機能の一部は、ロジックIC(Integrated Circuit)を用いて実現することも可能である。演算部51は、上記のプログラムの一部をハードウェア(回路部品)によって構成することもできる。記憶部53は、演算部51によって用いられるプログラム、データ等を記憶し得る。記憶部53には、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとが備えられ得る。揮発性メモリとしては、例えば、RAM(Random Access Memory)が挙げられる。揮発性メモリは、例えばレジスタ等として用い得る。不揮発性メモリとしては、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等が挙げられる。
【0039】
記憶部53は、注文データベース50(以下「注文DB50」という。)と、在庫データベース52(以下「在庫DB52」という。)と、ドローンデータベース54(以下「ドローンDB54」という。)と、第1地図データベース56(以下「第1地図DB56」という。)と、配送データベース58(以下「配送DB58」という。)とを有する。
【0040】
注文DB50は、各顧客端末20を介して受け付けた注文に関する情報(注文情報Io)を蓄積する。在庫DB52は、在庫に関する情報(在庫情報Is)を蓄積する。ドローンDB54は、配送に用いるドローン26に関する情報(ドローン情報Id)を蓄積する。
【0041】
第1地図DB56は、ドローン26による配送を行うための地図情報(第1地図情報Imap1)を蓄積する。配送DB58は、注文を受けた商品Gの配送に関する情報(配送情報Idl)を蓄積する。配送情報Idlには、商品Gの配送を行うドローン26に関する情報も含まれる。
【0042】
[A-1-4.交通管理サーバ24]
交通管理サーバ24は、複数のドローン26の交通(飛行)に関する情報(交通情報It)を管理する。例えば、交通サーバ24は、ドローン26の飛行許可申請をサービスサーバ22から受信した場合、当該飛行許可申請を許可するか否かを判定し、判定結果に応じて許可又は不許可をサービスサーバ22に通知する。
【0043】
図1に示すように、交通管理サーバ24は、演算部61と、記憶部63とを含む。演算部61は、中央演算装置、FPGA等を含み得る。演算部61は、記憶部63に記憶されているプログラムを実行することにより動作し得る。演算部61によって実現される機能の一部は、ロジックICを用いて実現することも可能である。演算部61は、上記のプログラムの一部をハードウェアによって構成することもできる。記憶部63は、演算部61によって用いられるプログラム、データ等を記憶し得る。記憶部63には、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとが備えられ得る。揮発性メモリとしては、例えば、RAMが挙げられる。揮発性メモリは、例えばレジスタ等として用い得る。不揮発性メモリとしては、例えば、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等が挙げられる。
【0044】
記憶部63は、第2地図データベース60(以下「第2地図DB60」という。)と、飛行スケジュールデータベース62(以下「飛行スケジュールDB62」という。)とを有する。
【0045】
第2地図DB60は、ドローン26の交通(飛行)に関する地図情報(第2地図情報Imap2)を蓄積する。飛行スケジュールDB62は、各ドローン26の飛行スケジュールに関する情報(飛行スケジュール情報Isc)を蓄積する。飛行スケジュール情報Iscには、優先劣後度(優先ランク、優先度)Rに関する情報も含まれる。
【0046】
優先劣後度Rは、複数のドローン26が接近した際において、ドローン26自体(以下「自機26e」ともいう。)と、他のドローン26(以下「他機26o」ともいう。)との間の優先順位を規定する。図1では、上側のドローン26を自機26eとして、下側のドローン26を他機26oとして示している。本実施形態において、優先劣後度Rは、自機(ドローン)26eと他機(ドローン)26oのそれぞれが飛行経路RTfの設定に用いるが、後述するようにその他の用途で優先劣後度Rを用いてもよい。
【0047】
移動管理部28には、優劣決定部64が備えられている。優劣決定部64は、ドローン26の個体情報に基づいて複数のドローン26のそれぞれの移動に関する優先劣後度Rを決定し得る。優劣決定部64は、記憶部63に記憶されているプログラムが演算部61によって実行されることによって実現され得る。図1には、優劣決定部64が交通管理サーバ24に備えられている場合が示されているが、これに限定されるものではない。
【0048】
個体情報は、例えば、複数のドローン26の利用用途に基づいて定められる機体情報を含み得る。機体情報は、例えば、機体区分(区分)を含み得る。図5は、機体区分と進入が許可される地理的単位区分との関係の例を示す図である。
【0049】
図5に示すように、機体区分としては、例えば、第1種と、第2種と、第3種とが存在し得るが、これに限定されるものではない。地理的単位区分としては、地理的単位区分Aと、地理的単位区分Bと、地理的単位区分Cと、地理的単位区分Dと、地理的単位区分Eが存在し得るが、これに限定されるものではない。地理的単位区分Aは、例えば、人口集中地及び住宅密集地である。地理的単位区分Bは、例えば、道路上及び線路上である。地理的単位区分Cは、例えば、市街地である。地理的単位区分Dは、例えば、田畑及び非市街地である。地理的単位区分Eは、例えば、フリーウェイ、河川及び安全対策エリアである。
【0050】
図5に示すように、第1種の機体は、例えば、地理的単位区分A~Cへの進入が禁止される。また、第1種の機体は、例えば、地理的単位区分Dへの進入が条件付きで許可される。また、第1種の機体は、例えば、地理的単位区分Eへの進入が制限なく許可される。第1種の機体としては、例えば、プライベート用途の機体が該当し得る。例えば、商業的な配送、非商業的な配送、商業的な撮影、非商業的な撮影等に用いられる機体が、第1種の機体に該当し得る。
【0051】
第2種の機体は、例えば、地理的単位区分Aへの進入が禁止される。また、第2種の機体は、例えば、地理的単位区分B、Cへの進入が条件付きで許可される。また、第2種の機体は、例えば、地理的単位区分D、Eへの進入が制限なく許可される。第2種の機体としては、例えば、一般的な公共用途の機体が該当し得る。例えば、警察による巡回監視等に用いられる機体が、第2種の機体に該当し得る。
【0052】
第3種の機体は、例えば、地理的単位区分A、Bへの進入が条件付きで許可される。また、第3種の機体は、例えば、地理的単位区分C~Eへの進入が制限なく許可される。第3種の機体としては、例えば、緊急の公共用途の機体が該当し得る。例えば、災害対応、救命、犯罪対応等に用いられる機体が、第3種の機体に該当し得る。
【0053】
第2種は、例えば、通常機体区分に該当し、第3種は、例えば、緊急機体区分に該当する。第3種、即ち、緊急機体区分に属するドローン26の利用用途は、第2種、即ち、通常機体区分に属するドローン26の利用用途に対して緊急性が高い。
【0054】
第2種及び第3種は、例えば、第1機体区分(第1区分)に属する。第1種は、例えば、第2機体区分(第2区分)に属する。第1機体区分に属するドローン26の利用用途は、第2機体区分に属するドローン26の利用用途に対して公共性が高い。
【0055】
第2機体区分は、例えば、不図示の商用機体区分(商用区分)と、不図示の非商用機体区分(非商用区分)とに少なくとも区分けされ得る。商用機体区分に属するドローン26は、商用利用され得る。非商用機体区分に属するドローン26は、非商用利用され得る。
【0056】
優劣決定部64は、機体区分に関する機体情報が第1機体区分であるドローン26に対し、機体区分に関する機体情報が第2機体区分であるドローン26に対して決定する優先劣後度Rよりも高い優先劣後度Rを決定し得る。
【0057】
なお、「優先劣後度が高い」とは、優先劣後度Rが相対的に低いものに対して優先され劣後しないことを意味する。換言すれば、「優先劣後度が高い」とは、優先度が高いこと、即ち、劣後度が低いことを意味する。「優先劣後度が低い」とは、優先劣後度Rが相対的に高いものに対して優先されず劣後することを意味する。換言すれば、「優先劣後度が低い」とは、優先度が低いこと、即ち、劣後度が高いことを意味する。
【0058】
個体情報は、例えば、ドローン26に対して進入が許可される地理的単位区分に基づいて定められる地理情報を含み得る。地理的単位区分としては、図5を用いて上述したような地理的単位区分A~Eが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0059】
個体情報は、例えば、ドローン26の搭乗者の有無に基づいて定められる搭乗者情報を含み得る。優劣決定部64は、搭乗者情報が搭乗者有りであるドローン26に対し、搭乗者情報が搭乗者無しであるドローン26よりも高い優先劣後度Rを決定し得る。
【0060】
個体情報は、例えば、ドローン26の搭載物の価値に基づいて定められる搭載物情報を含み得る。優劣決定部64は、搭載物情報が第1の価値であるドローン26に対し、搭載物情報が第1の価値より低い第2の価値であるドローン26よりも高い優先劣後度Rを決定し得る。
【0061】
個体情報は、例えば、ドローン26の状態を示す状態情報を含み得る。
【0062】
状態情報は、例えば、ドローン26の移動速度を示す移動速度情報である。優劣決定部64は、移動速度情報が第1の移動速度であるドローン26に対し、移動速度情報が第1の移動速度より低い第2の移動速度であるドローン26よりも低い優先劣後度Rを決定し得る。
【0063】
状態情報は、例えば、ドローン26の移動高度を示す移動高度情報である。優劣決定部64は、移動高度情報が第1の移動高度であるドローン26に対し、移動高度情報が第1の移動高度より低い第2の移動高度であるドローン26よりも低い優先劣後度Rを決定し得る。
【0064】
状態情報は、例えば、ドローン26の推進エネルギー源の残容量を示す残容量情報である。優劣決定部64は、残容量情報が第1の残容量であるドローン26に対し、残容量情報が第1の残容量より少ない第2の残容量であるドローン26よりも低い優先劣後度Rを決定し得る。
【0065】
状態情報は、例えば、ドローン26の推進エネルギー源による移動可能距離を示す移動可能距離情報である。優劣決定部64は、移動可能距離情報が第1の移動可能距離であるドローン26に対し、移動可能距離情報が第1の移動可能距離より短い第2の移動可能距離であるドローン26よりも低い優先劣後度Rを決定し得る。
【0066】
個体情報は、例えば、ドローン26の性能に基づいて定められる性能情報を含み得る。
【0067】
性能情報は、例えば、ドローン26の最高速度を示す最高速度情報である。優劣決定部64は、最高速度情報が第1の最高速度であるドローン26に対し、最高速度情報が第1の最高速度より低い第2の最高速度であるドローン26よりも低い優先劣後度Rを決定し得る。かかる最高速度は、例えば、鉛直方向における最高速度である。
【0068】
性能情報は、例えば、ドローン26に備えられたプロペラ駆動部(推進装置)108の最高出力を示す最高出力情報である。優劣決定部64は、最高出力情報が第1の最高出力であるドローン26に対し、最高出力情報が第1の最高出力より低い第2の最高出力であるドローン26よりも低い優先劣後度Rを決定し得る。
【0069】
移動管理部28には、優劣修正部66が更に備えられている。優劣修正部66は、優劣決定部64によって決定された優先劣後度Rが同等である複数のドローン26が存在する場合、優先劣後度Rを修正し得る。優劣修正部66は、記憶部63に記憶されているプログラムが演算部61によって実行されることによって実現され得る。図1には、優劣修正部66が交通管理サーバ24に備えられている場合が示されているが、これに限定されるものではない。
【0070】
優劣修正部66は、優劣決定部64によって決定された優先劣後度Rが同等である複数のドローン26が存在する場合、以下のような処理を行い得る。即ち、優劣修正部66は、優先劣後度Rが決定された時間が第1の時間であるドローン26の優先劣後度Rが、優先劣後度Rが決定された時間が第1の時間より遅い第2の時間であるドローン26の優先劣後度Rより高くなるように、優先劣後度Rを修正し得る。
【0071】
移動管理部28には、監視部68が更に備えられている。監視部68は、ドローン26が優先劣後度Rを受信したことを確認し得る。監視部68は、記憶部53に記憶されているプログラムが演算部51によって実行されることによって実現され得る。図1には、監視部68がサービス管理サーバ22に備えられている場合が示されているが、これに限定されるものではない。
【0072】
[A-1-5.ドローン26]
(A-1-5-1.ドローン26の概要)
本実施形態のドローン26は、商品配送用であり、インターネット30及び無線中継局32を介してサービスサーバ22から受信した配送指令(飛行指令)に応じて倉庫70(図1)から配送目的地Pdtarまで商品Gを配送する。後述するように、ドローン26はその他の用途で用いてもよい。
【0073】
図1に示すように、ドローン26は、センサ群100と、光通信装置102と、電波通信装置104と、ドローン制御装置106と、プロペラ駆動部108とを有する。なお、図1では、上側のドローン26(26e)のみについて構成を具体的に示しているが、下側のドローン26(26o)も同様の構成を有する。
【0074】
(A-1-5-2.センサ群100)
センサ群100は、グローバル・ポジショニング・システム・センサ110(以下「GPSセンサ110」という。)と、速度計112と、高度計114と、ジャイロセンサ116と、カメラ118とを有する。GPSセンサ110は、ドローン26の現在位置Pdcurを検出する。速度計112は、ドローン26の飛行速度Vd[km/h]を検出する。
【0075】
高度計114は、ドローン26下方の地面に対する距離としての対地高度H(以下「高度H」ともいう。)[m]を検出する。なお、GPSセンサ110を高度計114として利用することも可能である。ジャイロセンサ116は、ドローン26の角速度ω[rad/sec]を検出する。角速度ωは、上下軸に対する角速度Y(ヨーY)と、左右軸に対する角速度P(ピッチP)と、前後軸に対する角速度Ro(ロールRo)とを含む。
【0076】
カメラ118は、ドローン26の本体の下部に配置され、ドローン26の画像Id(以下「ドローン画像Id」ともいう。)を取得する。カメラ118は、動画を撮影するビデオカメラである。或いは、カメラ118は、動画及び静止画の両方又は静止画のみを撮影可能としてもよい。本実施形態のカメラ118は、不図示のカメラアクチュエータにより向き(ドローン26の本体に対するカメラ118の姿勢)を調整可能である。或いは、カメラ118は、ドローン26の本体に対する位置が固定されてもよい。
【0077】
(A-1-5-3.光通信装置102及び電波通信装置104)
光通信装置102は、他機26oとの間で光通信(第1無線通信)が可能である。ここにいう「光」は、可視光のみならず、赤外光も含み得る。光通信装置102は、例えば、赤外線照射装置及び赤外線受光装置を含む。
【0078】
電波通信装置104(通信装置)は、無線中継局32、他機26o等との電波通信(第2無線通信)が可能である。ここにいう「電波」は、ミリ波、サブミリ波、テラヘルツ波、センチ波等を含み得る。電波通信装置104は、例えば、電波通信モジュールを含む。電波通信装置104は、無線中継局32及びインターネット30を介することでサービスサーバ22等との通信が可能である。
【0079】
電波通信装置104は、優劣決定部64が決定した優先劣後度Rを受信する受信部(優劣受信部)として機能し得る。電波通信装置104及び光通信装置102のうちの少なくともいずれかは、受信部が受信した優先劣後度Rを発信する発信部として機能し得る。電波通信装置104及び光通信装置102のうちの少なくともいずれかは、他機26oの優先劣後度Rの発信を他機26oに要求するための要求信号を発信する要求信号発信部として機能し得る。
【0080】
(A-1-5-4.ドローン制御装置106)
ドローン制御装置106は、ドローン26の飛行、撮影等、ドローン26全体を制御する。図1に示すように、ドローン制御装置106は、入出力部120と、演算部122と、記憶部124とを含む。
【0081】
演算部122は、中央演算装置、FPGA等を含み得る。演算部122は、記憶部124に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。演算部122が実行する機能の一部は、ロジックICを用いて実現することもできる。前記プログラムは、電波通信装置104を介してサービスサーバ22等から供給されてもよい。演算部122は、前記プログラムの一部をハードウェア(回路部品)で構成することもできる。図1に示すように、演算部122には、飛行制御部130と、優劣比較部132と、優劣変更部134とが備えられている。飛行制御部130と、優劣比較部132と、優劣変更部134とは、記憶部124に記憶されているプログラムが演算部122によって実行されることによって実現され得る。
【0082】
飛行制御部(自律制御部、制御部)130は、ドローン26の飛行を制御する飛行制御を実行する。飛行制御部130は、ドローン26を自律的に移動させ得る。
【0083】
優劣比較部132は、他機26oの優先劣後度Rである他優先劣後度と、自機26eの優先劣後度Rである自優先劣後度とを比較する。他機26oの優先劣後度Rは、他機26oから発信されるようにしてもよいし、移動管理部28から発信されるようにしてもよい。
【0084】
優劣変更部134は、優劣決定部64が決定した自優先劣後度を以下のようにして変更し得る。優劣変更部134による優先劣後度Rの変更は、例えば通信不調等によって状態情報等が優劣決定部64において十分に考慮されていない可能性がある場合等に行われ得る。
【0085】
優劣変更部134は、ドローン26の搭乗者の有無に基づいて自優先劣後度を変更し得る。例えば、自機26eの搭乗者情報が搭乗者有りである場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度高くするようにしてもよい。例えば、自機26eの搭乗者情報が搭乗者無しである場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度低くするようにしてもよい。
【0086】
優劣変更部134は、ドローン26の移動速度に基づいて自優先劣後度を変更し得る。例えば、自機26eの移動速度が閾値以上である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度低くするようにしてもよい。例えば、自機26eの移動速度が閾値未満である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度高くするようにしてもよい。
【0087】
優劣変更部134は、ドローン26の移動高度に基づいて自優先劣後度を変更し得る。例えば、自機26eの移動高度が閾値以上である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度低くするようにしてもよい。例えば、自機26eの移動高度が閾値未満である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度高くするようにしてもよい。
【0088】
優劣変更部134は、ドローン26の推進エネルギー源の残容量に基づいて自優先劣後度を変更し得る。例えば、自機26eの残容量が閾値以上である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度低くするようにしてもよい。例えば、自機26eの残容量が閾値未満である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度高くするようにしてもよい。
【0089】
優劣変更部134は、ドローン26の推進エネルギー源による移動可能距離に基づいて自優先劣後度を変更し得る。例えば、自機26eの移動可能距離が閾値以上である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度低くするようにしてもよい。例えば、自機26eの移動可能距離が閾値未満である場合、優劣変更部134は、自優先劣後度を所定程度高くするようにしてもよい。
【0090】
自優先劣後度と他優先劣後度とが同等であり、且つ、自優先劣後度が決定された時間が他優先劣後度が決定された時間よりも早い場合、優劣変更部134は以下のような処理を行い得る。即ち、優劣変更部134は、自優先劣後度が他優先劣後度より高くなるように自優先劣後度を変更し得る。自優先劣後度と他優先劣後度とが同等であり、且つ、自優先劣後度が決定された時間が他優先劣後度が決定された時間よりも遅い場合、優劣変更部134は以下のような処理を行い得る。即ち、優劣変更部134は、自優先劣後度が他優先劣後度より低くなるように自優先劣後度を変更し得る。
【0091】
記憶部124は、演算部122によって用いられるプログラム、データ等を記憶する。記憶部124には、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとが備えられ得る。揮発性メモリとしては、例えば、RAMが挙げられる。揮発性メモリは、例えばレジスタ等として用い得る。不揮発性メモリとしては、例えば、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等が挙げられる。
【0092】
(A-1-5-5.プロペラ駆動部108)
プロペラ駆動部108は、複数のプロペラ150a、150b、150c、150d(以下「プロペラ150」と総称する。)と、複数のプロペラアクチュエータ152a、152b、152c、152d(以下「プロペラアクチュエータ152」と総称する。)とを有する。プロペラアクチュエータ152は、例えば電動モータを有する。電動モータが交流式である場合、プロペラアクチュエータ152は、直流を交流に変換するインバータを有してもよい。プロペラ150(回転翼)及びプロペラアクチュエータ152の数は4以外であってもよい。
【0093】
<A-2.本実施形態の制御>
[A-2-1.配送開始時までの概要]
図2は、本実施形態において、顧客の発注から、ドローン26で商品Gの配送を開始するまでの概要を示すフローチャートである。図2では、ドローン26が配送を開始するまでの流れのみを示していること(又は配送開始後については示されていないこと)に留意されたい。
【0094】
ステップS11において、顧客端末20は、顧客の操作に応じて発注画面を表示部(図示せず)に表示する。発注画面のデータは、サービス管理サーバ22から取得したものである。また、発注画面を表示させるに当たり、サービスサーバ22は、発注対象の商品Gの在庫数を確認する。在庫切れの場合、サービスサーバ22は、その旨を併せて表示させる。発注があった場合(S12:TRUE)、ステップS13に進む。発注がない場合(S12:FALSE)、ステップS11に戻る。ステップS13において、顧客端末20は、顧客からの発注を受け付けてサービス管理サーバ22に送信する。
【0095】
サービスサーバ22の処理に移る。ステップS21において、サービスサーバ22は、顧客端末20を介して顧客から受注したか否かを監視する。受注があった場合(S21:TRUE)、ステップS22に進む。受注がない場合(S21:FALSE)、ステップS21を繰り返す。
【0096】
ステップS22において、サービスサーバ22は、商品Gを配送するドローン26(以下「対象ドローン26tar」ともいう。)をドローンDB54から選択する。そして、サービスサーバ22は、選択した対象ドローン26tarについて、倉庫70から配送目的地Pdtar(発注者の住所等)までと、配送目的地Pdtarから帰還目的地Prtar(通常は倉庫70)までの予定経路Rp(以下「仮経路RTp」という。)を算出する。
【0097】
なお、対象ドローン26tarとして選択されるドローン26は、配送を終了して帰還途中のものであってもよい。帰還途中のドローン26の場合、仮経路RTpは、対象ドローン26tarの現在位置Pdcurから集荷目的地Pptarまでの経路とすることができる。また、対象ドローン26tar及び仮経路RTpの算出は、発注前に行っておき、発注時に確定してもよい。
【0098】
ステップS23において、サービスサーバ22は、仮経路RTpについての飛行許可申請を、交通管理サーバ24に対して送信する。飛行許可申請には、対象ドローン26tarの識別番号も付与する。飛行許可申請の送信後、ステップS24において、サービスサーバ22は、交通管理サーバ24からの結果通知を受信したか否かを監視する。
【0099】
交通管理サーバ24の処理に移る。ステップS31において、交通管理サーバ24は、サービスサーバ22から飛行許可申請を受信したか否かを判定する。飛行許可申請を受信した場合(S31:TRUE)、ステップS32に進む。飛行許可申請を受信しない場合(S31:FALSE)、ステップS31を繰り返す。
【0100】
ステップS32において、交通管理サーバ24は、受信した飛行許可申請について許可又は不許可のいずれとするかを判定する。例えば、仮経路RTpが、ドローン26の飛行禁止区域を含む場合、交通サーバ24は飛行許可申請を不許可とする。また、1又は複数の他機26oが、自機26eと同時刻に仮経路RTpの一部を通過する予定である場合、交通サーバ24は飛行許可申請を不許可とする。一方、ドローン26の飛行を認めない事由が仮経路RTpに存在しない場合、交通サーバ24は飛行許可申請を許可する。
【0101】
飛行許可申請を許可する場合(S33:TRUE)、ステップS34において、交通管理サーバ24は、許可通知を送信する。許可通知の送信に先立って、交通管理サーバ24は、優先劣後度Rを発行して、許可通知に含ませる。上記のように、優先劣後度Rは、自機26eと他機26oが接近した際において、自機26eと他機26oとの間の優先順位を規定する。
【0102】
交通サーバ24は、ドローン26の機体区分に応じて優先劣後度Rを設定する。ここでの機体区分は、例えば、緊急用途、荷物配送、広告、セキュリティ監視、測量、エンターテインメント用途、個人趣味を含む。緊急用途には、例えば、災害対応、救命、犯罪対応が含まれる。エンターテインメント用途には、例えば、音楽コンサート、スポーツが含まれる。既に同一機体区分のドローン26について重複する飛行経路RTfを許可している場合、先に許可したドローン26に高い優先劣後度Rを付与してもよい。なお、倉庫70から配送目的地Pdtarまでの優先劣後度Rと、配送目的地Pdtarから帰還目的地Prtarまでの優先劣後度Rを別々に設定してもよい。
【0103】
飛行許可申請を許可しない場合(S33:FALSE)、ステップS35において、交通管理サーバ24は、不許可通知をサービスサーバ22に送信する。不許可通知には、不許可の理由等(例えば、仮経路RTpが飛行禁止領域を通過すること、飛行禁止領域の位置等)も付加される。
【0104】
再びサービスサーバ22の処理に移る。交通管理サーバ24から受信した結果が許可を示す場合(S24:TRUE)、ステップS25に進む。交通管理サーバ24から受信した結果が不許可を示す場合(S24:FALSE)、ステップS22に戻る。そして、サービスサーバ22は、結果に含まれる不許可の理由に応じて、新たな仮経路RTpを算出する。例えば、不許可の理由が、仮経路RTpが飛行禁止領域を通過することである場合、サービスサーバ22は、飛行禁止領域を避ける新たな仮経路RTpを算出する(S22)。そして、サービスサーバ22は、再度、飛行許可申請を行う(S23)。
【0105】
ステップS25において、サービスサーバ22は、商品Gを配送する対象ドローン26tarに対して配送指令(飛行指令)及び優先劣後度Rを送信する。配送指令には、許可を受けた仮経路RTpである飛行経路RTfが含まれる。飛行経路RTfは、対象ドローン26tarの現在位置Pdcur(例えば倉庫70)である出発点Pstから配送目的地Pdtarまでの経路(往路)と、配送目的地Pdtarから帰還目的地Prtarまでの経路(復路)を含む。
【0106】
配送のために対象ドローン26tarが倉庫70等に立ち寄る必要がある場合、飛行経路RTfは、現在位置Pdcurから倉庫70等への経路を含んでもよい。或いは、配送のために対象ドローン26tarが倉庫70等に立ち寄る必要がある場合、倉庫70等までの経路を飛行経路RTfとして設定してもよい。その場合、新たな飛行経路RTfとして、配送目的地Pdtarまでの経路と、帰還目的地Prtarまでの経路(復路)を設定してもよい。なお、後述するように、配送指令は、サービスサーバ22から対象ドローン26tarに対して直接送信するのではなく、別の方法で送信することも可能である。
【0107】
配送指令の送信後、ステップS26において、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarから受信確認を受信したか否かを判定する。所定時間以内に受信確認を受信した場合(S26:TRUE)、ステップS27において、サービスサーバ22は、対象ドローン26tarの配送(飛行)の監視を開始する。対象ドローン26tarから所定間隔で飛行情報Ifを受信する。図2では、この点に対応する線を省略していることに留意されたい。所定時間以内に受信確認を受信しなかった場合(S26:FALSE)、ステップS28において、サービスサーバ22は、所定のエラー出力を行う。
【0108】
各ドローン26の処理に移る。ドローン26は、サービスサーバ22から配送指令を受信したか否かを監視する。配送指令を受信した場合(S51:TRUE)、ステップS52に進む。配送指令を受信しない場合(S51:FALSE)、ステップS51を繰り返す。
【0109】
ステップS52において、ドローン26(対象ドローン26tar)は、サービスサーバ22に対して受信確認を送信する。続くステップS53において、ドローン26(対象ドローン26tar)は、商品Gを倉庫70から配送目的地Pdtarまで運んで帰還目的地Prtarまで戻る飛行制御を開始する。飛行制御については、図3を参照して後述する。
【0110】
[A-2-2.飛行制御]
(A-2-2-1.飛行制御の全体的な流れ)
図3は、本実施形態の飛行制御の全体的な流れを示すフローチャートである。上記のように、飛行制御は、ドローン26(対象ドローン26tar)の飛行を制御する制御であり、ドローン制御装置106の飛行制御部130が実行する。
【0111】
図3のステップS71において、飛行制御部130は、サービスサーバ22から通知された飛行経路RTfに沿ってドローン26(対象ドローン26tar)を飛行させる飛行処理を実行する。飛行処理には、自機情報Iedをブロードキャストする処理(以下「自機情報ブロードキャスト処理」という。)と、鳥を回避する処理(以下「鳥回避処理」という。)とを含む。自機情報ブロードキャスト処理及び鳥回避処理については後述する。
【0112】
ステップS72において、飛行制御部130は、他のドローン26(他機26o)がブロードキャストした他機情報Iodを受信したか否かを判定する。他機情報Iodは、他機26oにとっての自機情報Iedである。他機情報Iodには、他機26oの現在位置Podcur、個体番号IDo及び優先劣後度Rが含まれる。
【0113】
上記のように、各ドローン26は、光通信装置102及び電波通信装置104を有している。飛行制御部130は、光通信又は無線通信のいずれかを介して他機情報Iodを受信した場合、他機情報Iodを受信したと判定する。他機情報Iodを受信した場合(S72:TRUE)、ステップS73に進む。他機情報Iodを受信していない場合(S72:FALSE)、ステップS78に進む。
【0114】
ステップS73において、飛行制御部130は、受信した他機情報Iodに含まれる他機26oの優先劣後度R、即ち、他優先劣後度と、自機26eの優先劣後度R、即ち、自優先劣後度とを比較する。自機26eの優先劣後度Rが他機26oの優先劣後度Rよりも高い場合(S74:TRUE)、ステップS75において、飛行制御部130は、飛行経路RTfを維持する(自機優先モード)。自機26eの優先劣後度Rが他機26oの優先劣後度Rよりも高くない場合(S74:FALSE)、ステップS76に進む。
【0115】
ステップS76において、飛行制御部130は、他機26oを避けるための回避経路RTesを算出する(他機優先モード)。回避経路RTesは、他機26oを避けるために飛行経路RTfを一時的に変更する(迂回する)経路である。そして、飛行制御部130は、回避経路RTesを含む新たな飛行経路RTfに沿って自機26eを飛行させる。
【0116】
なお、避けるべき他機26oが複数存在する場合、飛行制御部130は、優先劣後度Rに応じて回避経路RTesを変化させる。具体的には、飛行制御部130は、優先劣後度Rに応じて水平方向、上方向又は下方向に回避経路RTesを設定する。例えば、優先劣後度Rが最も高いドローン26は、飛行経路RTfを維持する(図3のS75)。2番目に優先劣後度Rが高いドローン26は、水平方向に回避経路RTesを設定する。3番目に優先劣後度Rが高いドローン26は、上方向に回避経路RTesを設定する。4番目に優先劣後度Rが高いドローン26は、下方向に回避経路RTesを設定する。
【0117】
ステップS77において、飛行制御部130は、自機26eの回避経路RTesをサービスサーバ22に通知する。サービスサーバ22は、受信した回避経路RTesを含む新たな飛行経路RTfについてドローン26の飛行を監視する(図2のS27参照)。
【0118】
図3のステップS78において、飛行制御部130は、自機26eが目的地Ptarに到達したか否かを判定する。ドローン26が配送目的地Pdtarに到達していない場合、目的地Ptarは、配送目的地Pdtarである。また、配送目的地Pdtarへの配送が完了済みの場合、目的地Ptarは、帰還目的地Prtar(通常は倉庫70)である。後述するように、帰還途中等にサービスサーバ22から別の配送指令を受信した場合、新たな商品Gを受け取りに行く別の倉庫が目的地Ptarとして設定される場合もある。目的地Ptarに到達した場合(S78:TRUE)、ステップS79に進む。
【0119】
ステップS79において、飛行制御部130は、次の目的地Ptarnextがないか否かを判定する。帰還目的地Prtarに帰還して次の目的地Ptarnextがない場合(S79:TRUE)、今回の飛行制御を終了する。また、新たな商品Gの受取り倉庫としての目的地Ptarに到達して次の目的地Ptarnextが設定されていない場合(S79:TRUE)、ドローン26は、以下のような処理を行う。即ち、このような場合、ドローン26は、新たな商品Gを受け取った後、サービスサーバ22から通知された新たな飛行経路RTfに沿って配送及び帰還を行う。
【0120】
ステップS79において、次の目的地Ptarnextがある場合(S79:FALSE)、ステップS80において、飛行制御部130は、次の目的地Ptarnextを新たな目的地Ptarnewとして設定する。例えば、配送目的地Pdtarに到達した場合、次の目的地Ptarnextである帰還目的地Prtarを新たな目的地Ptarとして設定する。或いは、配送目的地Pdtarに向かう途中に集荷目的地Pptarが設定された場合、飛行制御部130は、配送目的地Pdtarへの配送後に集荷目的地Pptarを次の目的地Ptarnextとして設定する。
【0121】
ステップS78に戻り、目的地Ptarに到達していない場合(S78:FALSE)、ステップS81において、飛行制御部130は、新たな飛行経路RTf及び優先劣後度Rをサービスサーバ22から受信したか否かを判定する。現在の飛行経路RTfと区別するため、ここでの新たな飛行経路RTfを指令経路RTcomともいう。新たな指令経路RTcom及び優先劣後度Rを受信した場合(S81:TRUE)、ステップS82に進む。新たな指令経路RTcom又は優先劣後度Rを受信しない場合(S81:FALSE)、ステップS71に戻る。
【0122】
ステップS82において、飛行制御部130は、新たな指令経路RTcomに含まれる目的地Ptar(以下では「指令地Pcom」ともいう。)を次の目的地Ptarnext又は新たな目的地Ptarとして設定する。その際、ドローン26が配送目的地Pdtarに向かっている場合、新たな指令地Pcomは、次の目的地Ptarnextとして設定される。即ち、配送目的地Pdtarに到達した後の目的地Ptarとして指令地Pcomが用いられる。また、ドローン26が帰還目的地Prtarに向かっている場合、新たな指令地Pcomが直ぐに新たな目的地Ptarとして設定される。従って、ドローン26の飛行経路RTfは直ちに変更される。
【0123】
ステップS83において、飛行制御部130は、新たな指令地Pcomの受信確認をサービスサーバ22に対して送信する。サービスサーバ22は、ステップS83におけるドローン26からの受信確認を、図2のステップS26で取り扱う。
【0124】
(A-2-2-2.自機情報ブロードキャスト処理)
図4は、本実施形態の自機情報ブロードキャスト処理のフローチャートである。上記のように、自機情報ブロードキャスト処理は、ドローン26が自機情報Iedをブロードキャストする処理であり、図3のステップS71の飛行処理の一部として飛行制御部130が実行する。
【0125】
図4のステップS91において、飛行制御部130は、自機情報Iedのブロードキャストを開始する条件(ブロードキャスト開始条件)が成立したか否かを判定する。ブロードキャスト開始条件としては、例えば、ドローン26(対象ドローン26tar)が飛行を開始したことを用いることができる。或いは、ブロードキャスト開始条件として、その他の条件(例えば、高度Hが第1高度閾値THh1以上になったこと)を用いてもよい。ブロードキャスト開始条件が成立した場合(S91:TRUE)、ステップS92に進む。ブロードキャスト開始条件が成立しない場合(S91:FALSE)、ステップS91を繰り返す。
【0126】
ステップS92において、飛行制御部130は、自機情報Ied(優先劣後度Rを含む)を自機26e周辺にブロードキャストする。本実施形態では、冗長性を確保するため、光通信装置102及び電波通信装置104の両方で自機情報Iedをブロードキャストする。
【0127】
ステップS93において、飛行制御部130は、優先劣後度Rを変更するか否かを判定する。例えば、図3のステップS81で新たな指令経路RTcom及び優先劣後度Rを受信し(S81:TRUE)、直ちに新たな飛行経路RTfに変更する場合、飛行制御部130は、優先劣後度Rを変更すると判定する。また、配送目的地Pdtarに到達した後、集荷目的地Pptarに移動する場合、飛行制御部130は、優先劣後度Rを変更すると判定する。一方、図3のステップS81で新たな指令経路RTcom及び優先劣後度Rを受信し(S81:TRUE)、配送が完了するまで配送目的地Pdtarに向かって飛行する場合、以下のような処理が行われる。即ち、このような場合、飛行制御部130は、優先劣後度Rを直ちには変更せず、配送目的地Pdtarに到達した後に、優先劣後度Rを変更すると判定する。
【0128】
優先劣後度Rを変更する場合(S93:TRUE)、ステップS94において、飛行制御部130は、優先劣後度Rを変更する。ステップS94の後又は優先劣後度Rを変更しない場合(S93:FALSE)、ステップS95に進む。
【0129】
ステップS95において、飛行制御部130は、自機情報Iedのブロードキャストを終了する条件(ブロードキャスト終了条件)が成立したか否かを判定する。ブロードキャスト終了条件としては、例えば、ドローン26(対象ドローン26tar)が着陸したことを用いることができる。或いは、ブロードキャスト終了条件として、その他の条件(例えば、高度Hが第2高度閾値THh2以下になったこと)を用いてもよい。第2高度閾値THh2は、0以上且つ第1高度閾値THh1以下の範囲で設定される。
【0130】
ブロードキャスト終了条件が成立した場合(S95:TRUE)、今回の自機情報ブロードキャスト処理を終了する。ブロードキャスト終了条件が成立しない場合(S95:FALSE)、ステップS92に戻る。
【0131】
(A-2-2-3.鳥回避処理)
鳥回避処理は、飛行経路RTf上に鳥が存在する場合、鳥を回避する処理である。鳥の検出は、カメラ118の画像Idを用いる。鳥回避処理を実行する場合、飛行制御部130は、サービスサーバ22に対して通知する。通知を受けたサービスサーバ22は、対象ドローン26tarが飛行経路RTfから一時的に外れても、エラー出力を行わない。
【0132】
<A-3.本実施形態の効果>
本実施形態によれば、複数のドローン26(自律移動体)それぞれが、自機26eの優先劣後度Rをブロードキャストする(図4のS92)。そして、他機26oがブロードキャストした優先劣後度Rを受信した場合(図3のS72:TRUE)、各ドローン26は、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとを比較する(S73)。そして、比較結果に応じて他機26oに対する自機26eの行動を設定する(S74~S77)。換言すれば、各ドローン26は、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとに基づいて、飛行制御部130を制御する。これにより、各ドローン26は、他機26oとの相互通信を確立することなしに、自律的に自らの行動(経路選択等)を設定することが可能となる。従って、例えば、他機26oとの相互通信を確立困難である場合、又は天候、鳥等の環境要因により飛行経路RTfがずれた場合であっても、複数のドローン26相互の行動を好適に設定することが可能となる。
【0133】
本実施形態において、複数のドローン26(自律移動体)は、優先劣後度Rの比較結果に基づいて、他機26oよりも自機26eを優先する自機優先モード、又は自機26eよりも他機26oを優先する他機優先モードを選択する(図3のS75、S76)。自機優先モードを選択したドローン26は、他機26oよりも自機26eを優先して自機26eの飛行経路RTf(移動経路)を設定する(S75)。また、他機優先モードを選択したドローン26は、自機26eよりも他機26oを優先して自機26eの飛行経路RTfを設定する(S76)。これにより、複数のドローン26それぞれが共通ルールに基づく制御を行うことで制御干渉を防止することが可能となる。
【0134】
本実施形態において、移動管理部28(サービスサーバ22及び交通サーバ24)は、ドローン26(自律移動体)の優先劣後度Rを飛行経路RTf(移動経路)毎に更新する(図2のS22~S25、S31~S34)。また、サービスサーバ22は、更新した優先劣後度Rをドローン26に送信した場合(図2のS25)、ドローン26から受信確認を受信したか否かを監視する(S26)。これにより、優先劣後度Rを動的に更新する場合に、優先劣後度Rの更新を確実に行うことが可能となる。
【0135】
本実施形態において、複数のドローン26(自律移動体)は、光通信及び電波通信を用いて優先劣後度Rをブロードキャストするよう構成される(図1)。これにより、自機26eと他機26oの間の情報伝達に冗長性を持たせ、確実な情報伝達を図ることが可能となる。
【0136】
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0137】
<B-1.自律移動体>
上記実施形態のドローン26は、配送用であった(図1及び図2)。しかしながら、例えば、優先劣後度Rの比較結果に応じて他機26oに対する自機26eの行動を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、ドローン26は、緊急用途、広告、セキュリティ監視、測量、エンターテインメント、個人趣味等の用途で用いることも可能である。
【0138】
本実施形態では、ドローン26に本発明を適用した(図1及び図2)。しかしながら、例えば、優先劣後度Rの比較結果に応じて他機26oに対する自機26eの行動を設定する観点からすれば、別種類の飛行体に本発明を適用してもよいし、飛行体以外の自律移動体に本発明を適用してもよい。例えば、ドローン26の代わりに、ヘリコプタ、船舶又は自動運転車に本発明を適用することも可能である。
【0139】
上記実施形態のドローン26は、サービスサーバ22からの配送指令(飛行指令)に応じて飛行した(図2)。しかしながら、例えば、優先劣後度Rの比較結果に応じて他機26oに対する自機26eの行動を設定する観点からすれば、これに限らない。
【0140】
<B-2.通信装置>
上記実施形態では、通信装置として、光通信装置102及び電波通信装置104を設けた(図1)。しかしながら、例えば、自機26eと他機26oとで直接的に又は間接的に無線通信する観点からすれば、これに限らない。例えば、光通信装置102及び電波通信装置104の一方のみを設けてもよい。或いは、異なる周波数帯を用いる2つの電波通信装置104と光通信装置102を設けることも可能である。
【0141】
<B-3.回転翼>
上記実施形態では、揚力を生み出す回転翼としてプロペラ150を用いた(図1)。しかしながら、例えば、揚力を生み出す観点からすれば、その他の回転翼(例えばヘリコプタ用のロータ)を用いることも可能である。また、回転翼を用いずに飛行する飛行体(例えば垂直離着陸機(VTOL))に本発明を適用することも可能である。
【0142】
<B-4.移動管理部28>
上記実施形態の移動管理部28は、サービスサーバ22及び交通管理サーバ24を含んだ(図1)。しかしながら、例えば、複数のドローン26(又は自律移動体)の移動を管理する観点からすれば、これに限らない。例えば、サービスサーバ22のみから移動管理部28を構成してもよい。或いは、サービスサーバ22及び交通管理サーバ24に加えて、所定区域毎に複数配置されて、ドローン26の飛行を管理するローカル管制サーバを設けることも可能である。そして、サービスサーバ22からドローン26に対する配送指令は、ローカル管制サーバを介して送信されてもよい。
【0143】
<B-5.飛行制御>
上記実施形態の飛行制御において、各飛行制御部130は、他機26oを特定せずに自機情報Iedをブロードキャストした(図3のS71)。しかしながら、例えば、他機26oに対して自機情報Iedを発信する観点からすれば、これに限らない。例えば、各飛行制御部130は、自機情報Iedを受信すべき他機26oを特定した上で(例えば、他機26oの識別情報を付与した上で)、自機情報Iedを発信してもよい。
【0144】
上記実施形態の飛行制御では、他機26oの優先劣後度Rより自機26eの優先劣後度Rが高い場合(図3のS74:TRUE)、自機26eは、飛行経路RTfを維持した(S75)。しかしながら、例えば、優先劣後度Rの比較結果に応じて他機26oに対する自機26eの行動を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、他機26oの優先劣後度Rより自機26eの優先劣後度Rが高い場合、自機26eの回避量を小さくし、他機26oの回避量を大きくすることも可能である。
【0145】
上記実施形態の飛行制御では、自機26eと他機26oの優先劣後度Rの比較結果に応じて、飛行経路RTfの変化を設定した(図3のS75、S76)。しかしながら、例えば、優先劣後度Rの比較結果に応じて他機26oに対する自機26eの行動を設定する観点からすれば、これに限らない。例えば、優先劣後度Rの比較結果に応じて、自機26e又は他機26oの加速又は減速を調整することも可能である。例えば、他機26oの優先劣後度Rより自機26eの優先劣後度Rが高く、且つ、両者の飛行経路RTfが平行でない場合、自機26eが飛行速度Vdを維持し又は加速し、他機26oが減速することも可能である。
【0146】
上記実施形態では、自機26eと他機26oの優先劣後度Rが同等になることはない前提で説明していたが(図3のS74参照)、これに限らず、自機26eと他機26oの優先劣後度Rが同等になる構成も可能である。その場合、例えば、自機26e及び他機26oが無線通信して、所定規則、即ち、予め定めた優先劣後度の決定軸(判定軸、評価軸)に従って、自機26eと他機26oのいずれを優先するかを決定してもよい。
【0147】
かかる所定規則としては、例えば、三すくみの関係等が挙げられる。三すくみの関係とは、3つのものが、互いに得意な相手と苦手な相手とを1つずつ持ち、これにより、三者とも身動きがとれなくなるような関係のことである。即ち、三すくみとは、選択肢Sは選択肢Tに勝り、選択肢Tは選択肢Uに勝り、選択肢Uは選択肢Sに勝るという関係である。具体的には、かかる所定規則として、自機26eと他機26oとの間のじゃんけんを用いることができる。じゃんけんでは、「紙」が「石」に勝ち、「石」が「ハサミ」に勝ち、「ハサミ」が「紙」に勝つ。自機26eと他機26oそれぞれが「紙」、「石」、「ハサミ」のいずれかを選択し、同じタイミングで互いに選択肢を通信する。そして、勝った方のドローン26が優先される。なお、上記では三すくみを例に示したが、これに限定されるものではない。例えば、四すくみ、五すくみ等を用いるようにしてもよい。
【0148】
図6は、優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。図6に示す処理は、例えば、図3のステップS73において、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等であった場合に行われ得る。
【0149】
ステップS101において、自機26eは、自機26eと他機26oとの優先劣後を所定規則に基づいて決定することを要求するための要求信号を、他機26oに対して送信する。かかる要求信号には、どのような規則に基づいて自機26eと他機26oとの優先劣後を決定するかを示す情報が含められ得る。ここでは、三すくみの関係にある選択肢を自機26eと他機26oとが選択することによって、自機26eと他機26oとの優先劣後を決定する場合を例に説明する。三すくみの関係にある第1の選択肢、第2の選択肢及び第3の選択肢は、以下のような関係を有する。第1の選択肢は、第2の選択肢より優先劣後度が高い。第2の選択肢は、第3の選択肢より優先劣後度が高い。第3の選択肢は、第1の選択肢より優先劣後度が高い。この後、ステップS102に遷移する。
【0150】
ステップS102において、他機26oは、自機26eと他機26oとの優先劣後をかかる所定規則に基づいて行うことを承諾することを示す承諾信号を、自機26eに対して送信する。この後、ステップS103に遷移する。
【0151】
ステップS103において、自機26eと他機26oとは、タイミングをとるためのタイミング信号の送受信を行う。タイミング信号は、自機26eと他機26oとのうちの少なくともいずれかから発せられる。タイミング信号の送受信は、例えば継続的に行われ得るが、これに限定されるものではない。この後、ステップS104、S105に遷移する。
【0152】
ステップS104において、自機26eは、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちのいずれかを選択する。これにより、第1の決定値が決定される。図6に示す例における第1の決定値は、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから自機26eによって選択される選択肢である。第1の決定値は、例えば、自機26eに備えられた飛行制御部130によって決定され得る。ステップS105において、他機26oは、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちのいずれかを選択する。これにより、第2の決定値が決定される。図6に示す例における第2の決定値は、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから他機26oによって選択される選択肢である。第2の決定値は、例えば、他機26oに備えられた飛行制御部130によって決定され得る。なお、ステップS104とステップS105とは、同じタイミングで行われなくてもよい。この後、ステップS106、S107に遷移する。
【0153】
ステップS106において、自機26eは、ステップS104において決定した第1の決定値を示す信号を他機26oに対して送信する。即ち、自機26eは、ステップS104において選択した選択肢を示す情報を他機26oに対して送信する。ステップS107において、他機26oは、ステップS105において決定した第2の決定値を示す信号を自機26eに対して送信する。即ち、他機26oは、ステップS105において選択した選択肢を示す情報を自機26eに対して送信する。ステップS106、S107は、上述したタイミング信号に基づいて、所定のタイミングで同時に行われることが好ましい。ステップS106が行われるタイミングが、ステップS107が行われるタイミングより前である場合には、自機26eから他機26oに送信された第1の決定値に勝るように他機26oが第2の決定値を決定し得るため、公平性に欠けるためである。また、ステップS107が行われるタイミングが、ステップS106が行われるタイミングより前である場合には、他機26oから自機26eに送信された第2の決定値に勝るように自機26eが第1の決定値を決定し得るため、公平性に欠けるためである。この後、ステップS108、S109に遷移する。
【0154】
ステップS108において、自機26eは、自機26eが決定した第1の決定値と、他機26oが決定した第2の決定値とを比較することにより、自機26eと他機26oとの優劣を判定する。このような判定は、例えば、自機26eに備えられた飛行制御部130によって行われ得る。
【0155】
ステップS109において、他機26oは、他機26oが決定した第2の決定値と、自機26eが決定した第1の決定値とを比較することにより、他機26oと自機26eとの優劣を判定する。このような判定は、例えば、他機26oに備えられた飛行制御部130によって行われ得る。なお、ステップS108とステップS109とは、同じタイミングで行われなくてもよい。
【0156】
こうして、自機26eと他機26oとの優先劣後が所定規則に基づいて決定され得る。なお、自機26eによって選択された選択肢と、他機26oによって選択された選択肢とが同一であった場合、ステップS104~S109が繰り返される。即ち、自機26eによって決定された第1の決定値と、他機26oによって決定された第2の決定値とが同一であった場合、ステップS104~S109が繰り返される。この後、図3に示すステップS74に遷移する。こうして、自機26eが決定した第1の決定値と、他機26oが決定した第2の決定値との優劣関係に基づいて、飛行制御部130が制御される。
【0157】
このような構成によれば、自機26eと他機26oとの優先劣後度Rが同等である場合であっても、自機26eと他機26oとの優先劣後を良好に決定することができる。
【0158】
なお、ここでは、優劣決定部64によって決定された自機26eの優先劣後度Rと優劣決定部64によって決定された他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、上記のような処理が行われる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが優劣決定部64によって決定されない構成において、上記のような処理が行われるようにしてもよい。
【0159】
図7は、優先劣後度が同等である場合の他の例を示すフローチャートである。図7に示す処理は、例えば、図3のステップS73において、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等であった場合に行われ得る。
【0160】
まず、ステップS101、S102は、図6を用いて上述したステップS101、S102と同様であるため、説明を省略する。
【0161】
ステップS111において、自機26eは、決定結果の送信を行う予定の時刻である送信予定時刻を提案するための信号を、他機26oに対して送信する。即ち、自機26eは、かかる送信予定時刻を示す送信予定時刻情報を、他機26oに対して送信する。この後、ステップS112に遷移する。
【0162】
ステップS112において、他機26oは、自機26eから提案された送信予定時刻を承諾することを示す信号を、自機26eに対して送信する。この後、ステップS104、S105に遷移する。
【0163】
なお、ここでは、送信予定時刻情報が自機26eから他機26oに送信される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。他機26oから自機26eに送信予定時刻情報が送信されるようにしてもよい。この場合、他機26oから提案された送信予定時刻を承諾することを示す信号は、自機26eから他機26oに対して送信される。
【0164】
ステップS104~S109は、図6を用いて上述したステップS10~S109と同様であるため、説明を省略する。
【0165】
こうして、自機26eと他機26oとの優先劣後が所定規則に基づいて決定され得る。なお、自機26eによって決定された第1の決定値と、他機26oによって決定された第2の決定値とが同一であった場合、ステップS104~S109が繰り返される。この後、図3に示すステップS74に遷移する。
【0166】
このように、自機26eによって決定された第1の決定値と、他機26oによって決定された第2の決定値とを、送信予定時刻情報に基づくタイミングで互いに送信するようにしてもよい。
【0167】
なお、ここでは、優劣決定部64によって決定された自機26eの優先劣後度Rと優劣決定部64によって決定された他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、上記のような処理が行われる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが優劣決定部64によって決定されない構成において、上記のような処理が行われるようにしてもよい。
【0168】
図6及び図7に示す例においては、要求信号の送信(ステップS101)と承諾信号の送信(ステップS102)とが実行される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、自機26eと他機26oとの優先劣後をどのような規則を用いて決定するかが予め定められている場合には、以下のような処理が実行され得る。図8は、優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。図8には、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、どのような規則を用いて自機26eと他機26oとの優先劣後を決定するかが、予め定められている場合の例が示されている。図8には、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、状態情報を用いて自機26eと他機26oとの優先劣後を決定することが、予め定められている場合の例が示されている。即ち、図8に示す例においては、自機26eの状態情報が第1の決定値とされ、他機26oの状態情報が第2の決定値とされる。ここでは、状態情報として、ドローン26の推進エネルギー源の残容量を用いる場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。図8に示す処理は、例えば、図3のステップS73において、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等であった場合に行われ得る。
【0169】
図8に示すように、ステップS101、S102を実行することなく、ステップS103が実行される。ステップS103は、図6を用いて上述したステップS103と同様であるため、説明を省略する。この後、ステップS111、S112に遷移する。
【0170】
ステップS111において、自機26eは、第1の決定値を他機26oに送信する。例えば、自機26eに関する状態情報が、第1の決定値とされる。ここでは、自機26eから他機26oに送信される状態情報が、自機26eの推進エネルギー源の残容量を示す残容量情報である場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。ステップS112において、他機26oは、第2の決定値を自機26eに送信する。例えば、他機26oに関する状態情報が、第2の決定値とされる。ここでは、他機26oから自機26eに送信される状態情報が、他機26oの推進エネルギー源の残容量を示す残容量情報である場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。この後、ステップS113、S114に遷移する。
【0171】
ステップS113において、自機26eは、第1の決定値と第2の決定値とを比較することにより、自機26eと他機26oとの優先劣後を認識する。即ち、自機26eは、自機26eに関する状態情報と他機26oに関する状態情報とを比較することにより、自機26eと他機26oとの優先劣後を認識する。
【0172】
ステップS114において、他機26oは、第1の決定値と第2の決定値とを比較することにより、他機26oと自機26eとの優先劣後を認識する。即ち、他機26oは、他機26oに関する状態情報と自機26eに関する状態情報とを比較することにより、他機26oと自機26eとの優先劣後を認識する。
【0173】
こうして、自機26eと他機26oとの優先劣後が所定規則に基づいて決定され得る。この後、図3に示すステップS74に遷移する。
【0174】
このように、どのような規則を用いて自機26eと他機26oとの優先劣後を決定するかが予め定められていてもよい。
【0175】
なお、ここでは、第1の決定値が自機26eに関する状態情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから自機26eによって選択される選択肢を、第1の決定値としてもよい。また、ここでは、第2の決定値が他機26oに関する状態情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから他機26oによって選択される選択肢を、第2の決定値としてもよい。
【0176】
また、ここでは、優劣決定部64によって決定された自機26eの優先劣後度Rと優劣決定部64によって決定された他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、上記のような処理が行われる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが優劣決定部64によって決定されない構成において、上記のような処理が行われるようにしてもよい。
【0177】
図8に示す例においては、タイミング信号の送受信(ステップS103)が実行される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離未満になった際に、ドローン26の状態を示す状態情報が送信されるようにしてもよい。図9は、優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。図9には、自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離未満になった際に状態情報が送信される場合の例が示されている。即ち、図9に示す例においては、自機26eの状態情報が第1の決定値とされ、他機26oの状態情報が第2の決定値とされる。なお、ここでは、自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離未満になった際に状態情報が送信される場合を例に説明するが、これに限定されるものではない。自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離未満になった際に、状態情報以外の個体情報が送信されるようにしてもよい。図9に示す処理は、例えば、図3のステップS73において、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等であった場合に行われ得る。
【0178】
図9に示すように、ステップS101、S102、S103を実行することなく、ステップS121、S122が実行される。
【0179】
ステップS121において、自機26eは、自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離未満であるか否かを判定する。自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離以上である場合(ステップS121においてNO)、ステップS121が繰り返される。自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離未満である場合(ステップS121においてYES)、ステップS111に遷移する。
【0180】
ステップS122において、他機26oは、他機26oと自機26eとの間の距離が所定距離未満であるか否かを判定する。他機26oと自機26eとの間の距離が所定距離以上である場合(ステップS122においてNO)、ステップS122が繰り返される。他機26oと自機26eとの間の距離が所定距離未満である場合(ステップS122においてYES)、ステップS112に遷移する。
【0181】
ステップS111~S114は、図8を用いて上述したステップS111~S114と同様であるため、説明を省略する。
【0182】
こうして、自機26eと他機26oとの優先劣後が所定規則に基づいて決定され得る。この後、図3に示すステップS74に遷移する。
【0183】
このように、自機26eと他機26oとの間の距離が所定距離未満になった際に、ドローン26の状態を示す状態情報が送信されるようにしてもよい。
【0184】
なお、ここでは、第1の決定値が自機26eに関する状態情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから自機26eによって選択される選択肢を、第1の決定値としてもよい。また、ここでは、第2の決定値が他機26oに関する状態情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから他機26oによって選択される選択肢を、第2の決定値としてもよい。
【0185】
また、ここでは、優劣決定部64によって決定された自機26eの優先劣後度Rと優劣決定部64によって決定された他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、上記のような処理が行われる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが優劣決定部64によって決定されない構成において、上記のような処理が行われるようにしてもよい。
【0186】
図6に示す例においては、要求信号の送信(ステップS101)と承諾信号の送信(ステップS102)とが実行される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。要求信号の送信(ステップS101)と承諾信号の送信(ステップS102)とを実行することなく、どのような規則を用いて優先劣後を決定するかのネゴシエーションが自機26eと他機26oとの間において行われるようにしてもよい。図10は、優先劣後度が同等である場合の動作の例を示すフローチャートである。図10には、どのような規則を用いて優先劣後を決定するかのネゴシエーションが行われる場合の例が示されている。図10には、状態情報に基づいて優先劣後を決定する場合の例が示されているが、これに限定されるものではない。図10に示す処理は、例えば、図3のステップS73において、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが同等であった場合に行われ得る。
【0187】
ステップS131において、どのような規則を用いて優先劣後を決定するかのネゴシエーションが、自機26eと他機26oとの間において行われる。この後、ステップS103に遷移する。
【0188】
ステップS103は、図6を用いて上述したステップS103と同様であるため、説明を省略する。この後、ステップS111、S112に遷移する。
【0189】
ステップS111~S114は、図8を用いて上述したステップS111~S114と同様であるため、説明を省略する。
【0190】
こうして、自機26eと他機26oとの優先劣後が所定規則に基づいて決定され得る。この後、図3に示すステップS74に遷移する。
【0191】
このように、要求信号の送信と承諾信号の送信とを実行することなく、どのような規則を用いて優先劣後を決定するかのネゴシエーションが自機26eと他機26oとの間において行われるようにしてもよい。
【0192】
なお、ここでは、第1の決定値が自機26eに関する状態情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから自機26eによって選択される選択肢を、第1の決定値としてもよい。また、ここでは、第2の決定値が他機26oに関する状態情報である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、三すくみの関係にある複数の選択肢のうちから他機26oによって選択される選択肢を、第2の決定値としてもよい。
【0193】
なお、ここでは、優劣決定部64によって決定された自機26eの優先劣後度Rと優劣決定部64によって決定された他機26oの優先劣後度Rとが同等である場合に、上記のような処理が行われる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、自機26eの優先劣後度Rと他機26oの優先劣後度Rとが優劣決定部64によって決定されない構成において、上記のような処理が行われるようにしてもよい。
【0194】
或いは、自機26eと他機26oの少なくとも一方がサービスサーバ22と通信し、一時的に適用する新たな優先劣後度Rを取得してもよい。
【0195】
上記実施形態では、ドローン26に複数回の配送を行わせる場合に新たな優先劣後度Rを付与した(図3のS81)。しかしながら、例えば、それ以外の場面に、新たな優先劣後度Rを付与してもよい。例えば、セキュリティ監視目的で上空を巡回しているドローン26に対し、荷物配送を行わせるために新たな優先劣後度R(及び新たな飛行経路RTf)を付与してもよい。このような場合も、サービスサーバ22は、ドローン26から受信確認を受信すること(図2のS26)が好ましい。
【0196】
また、上記実施形態では、移動管理部28からドローン26に優先劣後度Rが送信される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、優劣決定部64によって決定された優先劣後度Rを比較する比較部65が、移動管理部28に備えられていてもよい。図11は、移動管理部に比較部が備えられている場合の例を示す全体構成図である。比較部65は、例えば、ドローン26eの優先劣後度Rと、ドローン26oの優先劣後度Rとを比較し得る。移動管理部28は、比較部65によって得られた比較結果をドローン26に送信する。このように、比較部65によって得られた比較結果がドローン26に送信されるようにしてもよい。このように構成することによっても、複数のドローン26の相互の行動を好適に設定し得る。
【0197】
また、上記実施形態では、移動管理部28からドローン26に優先劣後度Rが送信される場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、優劣決定部64によって決定された優先劣後度Rに基づいて制御内容を決定する制御内容決定部67が、移動管理部28に備えられていてもよい。図12は、移動管理部に制御内容決定部が備えられている場合の例を示す全体構成図である。制御内容決定部67は、ドローン26eの優先劣後度Rとドローン26oの優先劣後度Rとに基づいて、制御内容を決定する。移動管理部28は、制御内容決定部67によって決定された制御内容をドローン26に送信する。このように、制御内容決定部67によって決定された制御内容がドローン26に送信されるようにしてもよい。このように構成することによっても、複数のドローン26の相互の行動を好適に設定し得る。
【0198】
また、上記実施形態では、自機26eと他機26oのいずれもがドローン、即ち、自律移動体である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、他機26oが、操縦者が搭乗している非自律移動体であってもよい。
【0199】
また、上記実施形態では、飛行制御部130が優先劣後度Rをブロードキャストする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、他機26oの優先劣後度Rの発信を他機26oに対して要求するための要求信号を、自機26eが他機26oに対して発信するようにしてもよい。そして、当該要求信号に基づいて、他機26oが自機26eに対して優先劣後度Rを発信するようにしてもよい。このような要求信号を発信するための要求信号発信部は、例えば、上述したように、電波通信装置104及び光通信装置102のうちの少なくともいずれかによって実現され得る。
【0200】
また、上記実施形態におけるステップS76において、以下のような処理が実行されるように管理システムを構成してもよい。図13は、変形実施形態に係る管理システムの概要を示す全体構成図である。
【0201】
図13に示すように、演算部122には、飛行制御部130と、優劣取得部136と、近接抑制部138と、移動制限部140、位置予測部142とが備えられている。飛行制御部130と、優劣取得部136と、近接抑制部138と、移動制限部140とは、記憶部124に記憶されているプログラムが演算部122によって実行されることによって実現され得る。なお、図1を用いて上述した優劣比較部132、優劣変更部134等が演算部122に更に備えられていてもよい。また、図11を用いて上述した比較部65が、演算部61に更に備えられていてもよい。また、図12を用いて上述した制御内容決定部67が、演算部61に更に備えられていてもよい。
【0202】
優劣取得部136は、自機26eと他機26oとの移動に関する優先劣後関係を取得する。優先劣後関係の例としては、例えば、上記実施形態において上述した優先劣後度Rが挙げられるが、これに限定されるものではない。優先劣後関係は、自機26e及び他機26oの個体情報等に基づいて決定され得る。優先劣後関係は、移動管理部28によって決定されるようにしてもよいし、自機26eと他機26oとの間で決定されるようにしてもよい。
【0203】
近接抑制部138は、自機26eが他機26oに対して劣後することを優劣取得部136が取得した場合に、他機26oの現在の位置又は他機26oの将来の位置(将来の移動経路)への自機26eの近接を抑制する。具体的には、かかる場合、近接抑制部138は、自機26eの位置が他機26oの現在の位置又は他機26oの将来の位置に近づかないように飛行制御部130を制御する。また、かかる場合、近接抑制部138は、自機26eの現在の位置を維持するように飛行制御部130を制御してもよい。また、かかる場合、近接抑制部138は、他機26oの現在の位置又は他機26oの将来の位置から自機26eが遠ざかるように飛行制御部130を制御してもよい。このような近接の抑制は、上記実施形態におけるステップS76において実行され得る。
【0204】
移動制限部140は、自機26eが他機26oに対して劣後することを優劣取得部136が取得した場合、複数の分割空間143のうちから選択される移動可能空間144(図14参照)内に自機26eの移動先を制限する。移動可能空間144は、鉛直方向におけるサイズが水平方向におけるサイズより小さい空間である。図14には、12個の分割空間143が例として図示されている。
【0205】
位置予測部142は、他機26oの現在の位置と、他機26oの現在の進行方向と、他機26oの現在の速度に基づいて、他機26oの将来の位置を予測し得る。
【0206】
図14は、移動空間の例を示す概略図である。図14には、高度範囲HAと、高度範囲HBと、高度範囲HCと、高度範囲HDとが図示されているが、これに限定されるものではない。また、図14には、領域RAと、領域RBと、領域RCとが図示されているが、これに限定されるものではない。図14には、自機26eが領域RAの上空を移動中であり、且つ、自機26eの高度が高度範囲HCの範囲内である場合の例が示されている。また、図14には、他機26oが領域RCの上空を移動中であり、且つ、他機26oの高度が高度範囲HCの範囲内である場合の例が示されている。図14において他機26oに付された矢印は、他機26oの移動経路の予測、即ち、予測経路の例を示している。図14に示す例においては、領域RCの上空、且つ、高度範囲HCの範囲内に他機26oが位置している。領域RBの上空、且つ、高度範囲HBの範囲内に他機26oが移動し、その後、領域RAの上空、且つ、高度範囲HAの範囲内に他機26oが移動することが予測されている場合の例が、図14に示されている。図14において自機26eに付された実線の矢印は、自機26eの適切な移動経路の例を示している。図14において自機26eに付された破線の矢印は、自機26eの不適切な移動経路の例を示している。図14には、領域RBの上空、且つ、高度範囲HCの範囲に、移動可能空間144が設定される場合の例が示されているが、これに限定されるものではない。
【0207】
図15A図15Dは、移動可能空間の形状を示す概略図である。図15A及び図15Bは、鉛直方向視における移動可能空間144の形状が楕円形である場合の例を示している。図15Aは、斜視図であり、図15Bは、平面図である。このような移動可能空間144が設定される場合、当該移動可能空間144の上面を構成する楕円形の長軸は、ドローン26の進行方向のうちの水平成分と一致するように設定され得る。図15C及び図15Dは、鉛直方向視における移動可能空間144の形状が円形である場合の例を示している。図15Cは、斜視図であり、図15Dは、平面図である。
【0208】
他機26oが自機26eより優先していることが優劣取得部136によって取得され、他機26oの将来の位置が、領域RBの上空、且つ、高度範囲HBの範囲内である場合、近接抑制部138は、以下のように飛行制御部130を制御する。即ち、このような場合、近接抑制部138は、他機26oの将来の位置への自機26eの近接を抑制するように、飛行制御部130を制御する。例えば、近接抑制部138は、他機26oの将来の位置に自機26eが過度に近づかないように飛行制御部130を制御する。上述したように、ここでは、領域RBの上空、且つ、高度範囲HCの範囲に、移動可能空間144が設定される場合の例が示されている。なお、領域RBの上空、且つ、高度範囲HBの範囲に移動可能空間144を設定した場合には、他機26oの将来の位置に自機26eが過度に近づいてしまうため、当該範囲には移動可能空間144は設定されない。
【0209】
なお、上記においては、領域RBの上空、且つ、高度範囲HCの範囲に、自機26eの移動可能空間144を設定する場合の例を示したが、これに限定されるものではない。近接抑制部138は、他機26oの移動方向のうちの鉛直方向成分と、自機26eの移動方向のうちの鉛直方向成分とが逆方向となるように、自機26eの移動方向を制御するようにしてもよい。例えば、近接抑制部138は、領域RBの上空、且つ、高度範囲HDの範囲に、移動可能空間144を設定するようにしてもよい。このように移動可能空間144を設定すれば、自機26eと他機26oとを十分に遠ざけ得るため、安全性の向上に寄与することができる。
【0210】
近接抑制部138は、領域RBの上空、且つ、高度範囲HDの範囲に、他機26oxが複数存在している場合には、当該他機26oxが自機26eに対して劣後している場合であっても、当該空間に移動可能空間144を設定しない。他機26oxが複数存在している空間に自機26eを進入させた場合には、安全性を確保することが必ずしも容易ではないためである。このように、近接抑制部138は、他機26oxが複数存在している場合には、他機26oxの現在の位置又は他機26oxの将来の位置への自機26eの接近を抑制する。
【0211】
近接抑制部138は、領域RAの上空、且つ、高度範囲HDの範囲に、移動可能空間144を設定するようにしてもよい。このように、他機26oの現在の位置又は他機26oの将来の位置から自機26eを遠ざけるように移動可能空間144を設定すれば、安全性の更なる向上に寄与することができる。
【0212】
上記のような構成によれば、自機26eと他機26oとの接近を回避し得るため、安全性の向上に寄与することができる。
【符号の説明】
【0213】
10…管理システム
26…ドローン(自律移動体、移動体) 26e…自機
26o…他機 28…移動管理部
61…演算部 63…記憶部
64…優劣決定部 66…優劣修正部
68…監視部 102…光通信装置
104…電波通信装置(優劣受信部)
130…飛行制御部(自律制御部)
132…優劣比較部 134…優劣変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15