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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】回転電気機械用のステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20231128BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H02K3/28 J
H02K3/04 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020531954
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018085937
(87)【国際公開番号】W WO2019121979
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】1762642
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ラメ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、デュケーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ド、クレール
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン、パウエルス
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、デラシュー
(72)【発明者】
【氏名】ウンベルト、メネゼス
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】柿崎 拓
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203674840(CN,U)
【文献】仏国特許出願公開第2846480(FR,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2841701(FR,A1)
【文献】特開2014-79102(JP,A)
【文献】特開2004-48967(JP,A)
【文献】特開2015-111975(JP,A)
【文献】国際公開第2015/072285(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0033514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K3/04
H02K3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械用のステータ(2)であって、
複数の径方向の歯(8)が延び出る側面(6)を有する環状本体(4)であって、当該歯は、前記環状本体(4)の第1軸方向端面(12)及び第2軸方向端面(14)において開口するスロット(10)を規定するように角度を付けて距離を置いた、環状本体(4)と、
前記スロット内で少なくとも部分的に延びるとともに電気的に相互接続されるように設計された少なくとも複数の導電性ピン(15A、15B)を備えるステータ巻線であって、各導電性ピンは、エルボーコネクタ(18)により接続された2つの導電性セグメント(16A、16B、16C、16D)を備え、前記エルボーコネクタ(18)は、同一の前記導電性ピンの前記導電性セグメントが2つの別個のスロットに配置されるように構成され、前記スロットは、前記環状本体の前記側面(6)に平行又は実質的に平行なN層を形成するように互いに積層された複数の導電性セグメントにより満たされる、ステータ巻線と、を備え、
前記N層は、径方向における外側から内側に向かって順に配列された第1層(Ci)、第2層(Ci+1)、第3層(Ci+2)及び第4層(Ci+3)を含み、
前記導電性ピン(15A、15B)は、第1タイプのピン(15A)と、第2タイプのピン(15B)と、を含み、
前記第1タイプのピン(15A)は、前記エルボーコネクタ(18)により接続された2つの前記導電性セグメント(16A、16C)が、前記第2軸方向端面(14)の付近において、それらの導電性セグメントよりも互いに近接する自由端部を有するようになっており、
前記第2タイプのピン(15B)は、前記エルボーコネクタ(18)により接続された2つの前記導電性セグメント(16B、16D)が、前記第2軸方向端面(14)の付近において、それらの導電性セグメントよりも互いに離れた自由端部を有するようになっており、
前記第1タイプのピン(15A)は、ピッチPで離間した2つの別個のスロットに存在する導電性セグメント(16A、16C)を備え、前記第1タイプのピン(15A)の一の導電性セグメント(16A)が、前記第1層(Ci)を占めるように一のスロットEに存在するとともに、前記第1タイプのピン(15A)の他の導電性セグメント(16C)が、前記層(Ci+2)を占めるように別のスロットE+Pに存在し
前記第2タイプのピン(15B)は、前記ピッチPで離間した2つの別個のスロットに存在する導電性セグメント(16B、16D)を備え、前記第2タイプのピン(15B)の一の導電性セグメント(16B)が、前記第2層(Ci+1)を占めるように一のスロットEに存在するとともに、前記第2タイプのピン(15B)の他の導電性セグメント(16D)が、前記第4層(Ci+3)を占めるように別のスロットE+Pに存在し、
一のスロットEにおいて前記第1層(Ci)を占める前記第1タイプのピン(15A)の前記導電性セグメント(16A)の前記自由端部と、前記ピッチPで離間した別のスロットE+Pにおいて前記第2層(Ci+1)を占める前記第2タイプのピン(15B)の前記導電性セグメント(16B)の前記自由端部とが相互接続されるとともに、一のスロットEにおいて前記第3層(Ci+2)を占める前記第1タイプのピン(15A)の前記導電性セグメント(16C)の前記自由端部と、前記ピッチPで離間した別のスロットE+Pにおいて前記第4層(Ci+3)を占める前記第2タイプのピン(15B)の前記導電性セグメント(16D)の前記自由端部とが相互接続され、
少なくとも1つの電気端子ラグ(24)が、前記ピッチPで離間した2つのスロットの間に配置され、
前記電気端子ラグは、2つの巻線部の間の直列接続を形成し、
前記電気端子ラグは、2つの追加の導電性セグメントと、これら2つの追加の導電性セグメントを前記環状本体(4)の前記第1軸方向端面(12)の付近で接続する接続部品(240)と、を有し、
前記電気端子ラグの前記2つの追加の導電性セグメントは、これら2つのスロットのそれぞれにおいて同一層を占める、または、これら2つのスロットのそれぞれにおいて2つの介在層により互いに分離した異なる層を占める、
ことを特徴とするステータ(2)。
【請求項2】
隣接する前記導電性ピン(15A、15B)の前記エルボーコネクタ(18)は、互いに交差することなく、前記環状本体(4)の前記第1軸方向端面(12)の付近でシニョンを形成する
ことを特徴とする請求項1に記載のステータ(2)。
【請求項3】
前記ピッチPで離間した2つのスロットにおいて、前記介在層のうちの1つを占める導電性セグメント(21)が、前記環状本体(4)の前記第1軸方向端面(12)の付近で電源に接続されて、直列に接続された複数の導電性セグメント(16A、16B、16C、16D)に相電流が供給され得る、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のステータ(2)。
【請求項4】
前記電気端子ラグの前記2つの追加の導電性セグメントは、前記ピッチPで離間した2つのスロットのそれぞれにおいて同一層を占める、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のステータ(2)。
【請求項5】
前記電気端子ラグの前記2つの追加の導電性セグメントは、前記ピッチPで離間した2つのスロットのそれぞれにおいて前記第1層(Ci)を占め、
前記第1層(Ci)は、径方向における最も外側に位置する層であり、
前記電気端子ラグ(24)の前記接続部品(240)は、前記導電性ピンの前記エルボーコネクタ(18)に対して径方向にずれ、これにより、前記電気端子ラグは前記エルボーコネクタを迂回する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(2)。
【請求項6】
前記電気端子ラグの前記2つの追加の導電性セグメントは、前記ピッチPで離間した2つのスロットのそれぞれにおいて2つの介在層により互いに分離した異なる層を占める、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のステータ(2)。
【請求項7】
前記電気端子ラグの一の追加の導電性セグメントが、前記第1層(Ci)を占めるように一のスロットEに存在するとともに、前記電気端子ラグの他の追加の導電性セグメントが、前記第4層(Ci+3)を占めるように別のスロットE+Pに存在し、
前記電源に接続された前記導電性セグメント(21)が、前記第2層(Ci+1)または前記第3層(Ci+2)に配置される、
ことを特徴とする請求項に従属する場合の請求項に記載のステータ(2)。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のステータ(2)を備える、自動車用の回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のオルタネータ、オルタネータ・スタータ、可逆機、電動機等の回転電気機械に関する。より詳細には、本発明は導電性ピンからなる巻線を備えた回転電気機械用のステータに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電気機械は、ロータと一体形成されたシャフトと、ロータを囲むように配置されたステータと、を備える。ロータとステータとは、磁場を介して相互作用する。この目的のために、例えば、ロータは永久磁石を有し、ステータは電気巻線を有している。或いは、ロータは、永久磁石を有し得る2つの極ホイールにより、又は他の態様により形成されたクローロータであり得る。駆動モードとして知られる第1動作モードによれば、ロータを回転させるように、電気巻線に電流が電子モジュールにより供給されて電気巻線の周りに磁場を生成する。発電モードとして知られる第2動作モードによれば、ロータは、車両の燃焼機関により回転されて、電子モジュールにより給電されるステータの電気巻線の周りに磁場を生成する。
【0003】
ステータは、ステータの中心を通る軸を中心として回転する部分を形成するシリンダヘッドを備えている。シリンダヘッドは、ステータの中心に径方向に延びる径方向の歯を備えている。歯の周りに電気巻線が形成される。より具体的には、径方向の歯は、ステータの巻線の形成に関与する導電性要素を通過させるスロットを規定している。
【0004】
ステータの巻線は、例えばニードル装置を使用して同一電線の巻線を各径方向の歯の周りに案内して連続コイルを形成する等の種々の態様で実現され得る。しかしながら、この実施形態は、電線をスロットを介して案内するニードルの通路をパラメータ化することに関して実施が困難である。特に、径方向に連続する2つの径方向の歯の間の角度スペースが、歯に巻き付けられるべきワイヤを保持するニードルが通過するのに不十分である場合、この実施形態は実現可能ではない。
【0005】
この欠点を改善するために、別の巻線方法は、径方向の歯により規定されたスロットに複数の導電性ピンを挿入し、次いでそれらの端部を電気的に接続して1つの連続した電気回路を形成することからなる。より正確には、各導電性ピンは、2つの導電性セグメントを備える。これらの導電性セグメントは実質的に平行であり、エルボーコネクタにより接続されて「U」を形成している。導電性セグメントは、ステータの回転軸に実質的に平行であるようにステータの第1軸方向端面の付近で2つの別個のスロットに挿入される。したがって、有利な態様において、上記のニードル装置を用いる必要がない。この操作は、各スロットを同数の導電性セグメントで満たすよう必要な回数だけ繰り返され、これにより、それらのエルボーコネクタがステータの第1軸方向端面の付近に突出する。次いで、ステータの第2軸方向端面を超える導電性セグメントの自由端部が相互接続され、径方向の歯に電流が流れると、それらに沿って磁場を生成する導電性回路が形成される。換言すれば、導電性ピンは、特にそれぞれが電流に対応可能な種々のセットを形成するように接続される。例えば、自動車用オルタネータ・スタータの場合、一般的に巻線に三相電流を供給する3つの異なる経路が存在する。この実施形態によれば、径方向の歯を備えたステータ巻線同士を、先行する代替案と比較してかなり接近させ得る。しかしながら、特に、ステータの同一スロットに存在する各セグメントにおいて電流が同一方向に流れることを確保するために、導電性ピンの間に多くの接続部品を使用しなければならないことがわかっている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、導電性ピンを回転電気機械のステータのスロットに配置して導電性ピンを相互接続する独自の方法を提案することを目的とする。その目標は、例えば、回転電気機器の良好な動作を確保するために導電性ピン間に必要な接続部品の個数を削減することであるが、これに限定されない。
【0007】
したがって、本発明は、自動車分野における回転電気機械用のステータであって、
複数の径方向の歯が延び出る側面を有する環状本体であって、当該歯は、前記環状本体の第1軸方向端面及び第2軸方向端面において開口するスロットを規定するように角度を付けて距離を置いた、環状本体と、
前記スロット内で少なくとも部分的に延びるとともに電気的に相互接続されるように設計された少なくとも複数の導電性ピンを備えるステータ巻線であって、各導電性ピンは、エルボーコネクタにより接続された2つの導電性セグメントを備え、前記エルボーコネクタは、前記同一ピンの前記導電性セグメントが2つの別個のスロットに配置されるように構成され、前記スロットは、前記環状本体の前記側面に平行又は実質的に平行なN層を形成するように互いに積層された複数の導電性セグメントにより満たされる、ステータ巻線と、を備えるステータを提案する。
【0008】
本発明は、各導電性ピンは、2つの別個のスロットに存在する導電性セグメントを備え、一の導電性セグメントは第1層Ciを占めるようにスロットEに存在するとともに、他の導電性セグメントは別の第2層Ci+2であって、前記第1層から介在層により分離した第2層Ci+2を占めるようにスロットE+Pに存在し、Pは配向の第1方向において予め定められたピッチである、ことを特徴とする。
【0009】
換言すれば、導電性ピンは、セグメントをそれぞれのスロットに挿入することにより2つの別個のスロットにおいてそれぞれ組み立てられるため、同一の導電性ピンの導電性セグメントは、環状本体の2つの異なるスロットを占める。また、同一ピンの導電性セグメントは、別の層に配置されるとともに、別の導電性ピンの導電性セグメントにより形成された1つの介在層のみにより離間している。本件発明者らは、本実施形態により、電流がステータの各スロットにおいて同一方向に流れることを確保するように導電性セグメント間に必要な接続部品の個数を有利に削減できることを確認した。したがって、これにより、巻線要素の個数を削減することによりシニョンの設置面積を縮小し得るとともに、巻線の製造プロセスが単純化され得る。更に、これにより、電磁損失を削減できる。
【0010】
本発明の一特徴によれば、隣接する導電性ピンのエルボーコネクタは、第1軸方向端面の付近で実質的に平行である。換言すれば、エルボーコネクタは、互いに交差することなく、第1軸方向端面の付近でシニョンを形成する。したがって、導電性セグメントをスロットに配置できるようにエルボーコネクタを重ねる必要がないため、シニョンの高さが抑えられる。換言すれば、2番目のエルボーコネクタを、1番目のエルボーコネクタとステータの第1軸方向端面との間に通すことを目的として、1番目のエルボーコネクタを持ち上げる必要がない。ここで、「高さ」という用語は、第1軸方向端面に対して実質的に垂直な方向を意味すると理解される。
【0011】
ステータの歯の周りに巻線を設置することを容易にする場合、ピンを通過する電流の方向がステータの全周に亘ってコヒーレントであることが確保されるように、ピン巻線はピンと電気接続要素との接続を伴うことが理解される。各ピンの配置とこれによるステータ内での位置により、或るスロットから別のスロットに移る際に層のずれが生じる。本発明によれば、ピン同士の接続数を制限することにより各巻線層における電流の流れを促進するように、2つの別個の同心ループに配置された内側ピンと外側ピンとを有するのではなく、互いに重ねられたピンを有することが有利である。
【0012】
したがって、2つのスロットの間において複数層の同一の導電性ピンの導電性セグメントをずらすことにより、内側ピン及び外側ピンの混合又は重ね合わせが可能となる。また、2つの層のみで同一ピンの導電性セグメントをずらすことにより、ピンを重ねる必要がなくなり、ステータ及びその巻線の軸方向の設置面積が制限され得る。
【0013】
本発明によれば、異なる番号の層が同一スロットに存在する各導電セグメントに関連付けられることに留意されたい。より正確には、同一スロットにおいて、ステータの周りから中心に向かって増加する番号が、導電性セグメントにより形成される各層に関連付けられる。したがって、本例によれば、番号1が最も外側の導電性セグメント、すなわちステータの側面に最も近い導電性セグメントに関連付けられる。また、番号Nが最も内側の導電性セグメント、すなわちステータの側面から最も遠い導電性セグメントに関連付けられる。
【0014】
一特徴によれば、スロットにおいて層Ciを占めるピンの導電性セグメントの自由端部、すなわち、環状本体の第2軸方向端面の付近に出現する端部が、環状本体の第2軸方向面の付近で、ピッチPで離間したスロットにおいて層Ci+1を占める隣接するピンの導電性セグメントの自由端部に接続される。
【0015】
一特徴によれば、各スロットは、偶数個の導電性セグメントを備える。特に、各スロットEは、例えば4に等しいN個の層を備え得る。
【0016】
同一スロットにおいて4つの層のセグメントが積層される場合、以下が重要である。
‐ピンは、その導電性セグメントの一方がスロットEにおいて第1層を占めるように延びるとともに、その他方の導電性セグメントがスロットE+Pにおいて第3層を占めるように延びるよう配置される。或いは、ピンは、その導電性セグメントの一方がスロットEにおいて第2層を占めるように延びるとともに、その他方の導電性セグメントがスロットE+Pにおいて第4層を占めるように延びるよう配置される。
‐スロットEにおいて第1層を占める導電性セグメントの自由端部、すなわち、環状本体の第2軸方向端面の付近に出現する端部が、スロットE+Pにおいて第2層を占める導電性セグメントの端部に接続される。一方で、スロットEにおいて第3層を占める導電性セグメントの自由端部が、スロットE+Pにおいて第4層を占める導電性セグメントの端部に接続される。
【0017】
一特徴によれば、第1タイプのピンは、エルボーコネクタにより接続された導電性セグメントの自由端部が、第2軸方向端面の付近において、それらの導電性セグメントよりも近接するようになっている。特に、同一スロットに積層された4つの層の導電性セグメントを有する巻線の場合、この第1タイプのピンは、外側セットとして知られる第1セットのピンに相当し得る。当該ピンは、その導電性セグメントのうちの一方が、対応するスロットの外側層に配置されるようにステータに配置される。
【0018】
一特徴によれば、第2タイプのピンは、エルボーコネクタにより接続された導電性セグメントの自由端部が、第2軸方向端面の付近において、それらの導電性セグメントよりも離れるようになっている。特に、同一スロットに積層された4つの層の導電性セグメントを有する巻線の場合、この第2タイプのピンは、内側セットとして知られる第2セットのピンに相当し得る。当該ピンは、その導電性セグメントのうちの一方が、対応するスロットの内側層に配置されるようにステータに配置される。
【0019】
換言すれば、ステータの巻線を実現するように少なくとも2つのセットの導電性ピンが使用される。したがって、巻線は、導電性セグメントの自由端部が、各スロットに配置される前記セグメントよりも近接している第1セットの導電性ピンと、導電性セグメントの自由端部が各スロット内の前記セグメントよりも離れた第2セットの導電性ピンと、を備える。第1セットの導電性ピンは、特に外側セットを形成し、この第1セットの各ピンの導電性セグメントは、最初の層の一部を形成するようにスロットに配置される。そして、第2セットの導電性ピンは、内側セットを形成し、この第2セットの各ピンの導電性セグメントは、最後の層の一部を形成するようにスロットに配置される。
【0020】
スロットが互いに積層された4つの層の導電性セグメントを備える適用例の場合、外側セットは、ピンが第1層及び第3層を占める導電性セグメントを有するようになっており、内側セットは、第2層及び第4層を占める導電性セグメントを有するピンから構成される。
【0021】
代替的な特徴によれば、第1セットの導電性ピンは、特に内側セットを形成し得る。この第1セットの各ピンの導電性セグメントは、最後の層の一部を形成するようにスロットに配置される。そして、第2セットの導電性ピンは、外側セットを形成し得る。第2セットの各ピンの導電性セグメントは、最初の層の一部を形成するようにスロットに配置される。スロットが互いに積層された4つの層の導電性セグメントを備える適用例の場合、外側セットは、ピンが第1層及び第3層を占める導電性セグメントを有するようになっており、内側セットは、第2層及び第4層を占める導電性セグメントを有するピンから構成される。
【0022】
一特徴によれば、少なくとも1つの電気端子ラグが、所定のピッチPで離間した2つのスロットの間に配置される。ラグは、これら2つのスロットのそれぞれにおいて同一層を占める2つの追加の導電性セグメントと、これら2つの追加の導電性セグメントを環状本体の第1軸方向端面の付近で接続する接続部品と、を有する。導電性ピンのこのような配置、すなわち一方で導電性ピンを互いに重ねるとともに他方で第2軸方向端面の付近で交代形態とする配置により、上述の導電性セグメントにより形成された電気経路又は電気回路の連続性を確保し、且つ或るスロットから別のスロットへの交流の配向を確保するために、電気接続部の使用に頼ることが制限され得る。
【0023】
また、このような接続ラグにより、電源に接続される導電性セグメントを互いに離間させるができる。したがって、接続ツールの通過を簡単にすべく前記導電性セグメント同士の間のスペースを大きくすることにより、前記導電性セグメントと電源との接続ステップを簡単にすることができる。
【0024】
一特徴によれば、電気端子ラグは、その追加の導電性セグメントが2つの別個のスロットにおいて最初の層の付近に配置されるように構成される。
【0025】
代替的な特徴によれば、電気端子ラグは、その追加の導電性セグメントが2つの別個のスロットにおいて最後の層の付近に配置されるように構成される。例えば、1つのスロットが4つの層の導電体を備える場合、その追加の導電性セグメントは、第4層に配置される。
【0026】
上記2つの代替案と両立する特徴によれば、電気端子ラグの接続部品は、導電性ピンのエルボーコネクタに対して径方向にずれ、これにより、電気端子ラグは前記エルボーコネクタを迂回する。
【0027】
上記2つの代替案と両立する代替的な実施形態によれば、電気端子ラグは、接続部品がステータの第1軸方向端面の付近に存在するエルボーコネクタの上方を通過するように、構成され得る。
【0028】
別の代替的な特徴によれば、少なくとも1つの電気接続ラグが、所定のピッチPで離間した2つのスロットの間に配置される。ラグは、これら2つのスロットのそれぞれにおいて異なる層を占める2つの追加の導電性セグメントと、これら2つの追加の導電性セグメントを環状本体の第1軸方向端面の付近で接続する接続部品と、を有する。
【0029】
この代替案の特徴によれば、電気端子ラグは、その追加の導電性セグメントが、2つの別個のスロットに配置されつつ2つの連続的な別の層に配置されるように構成される。例えば、1つのスロットが4つの層の導電体を備える場合、その追加の導電性セグメントは、第2及び第3層に配置される。
【0030】
この代替案の別のバージョンによれば、電気接続ラグは、その追加の導電性セグメントが2つの別個の層に配置されつつ2つの別の層に配置され、少なくとも1つの介在層により分離されるように構成される。例えば、1つのスロットが4つの層の導電体を備える場合、その追加の導電性セグメントは、第1層及び第4層に配置される。
【0031】
一特徴によれば、所定のピッチPで離間した2つのスロットにおいて、層のうちの1つを占める導電性セグメントが、環状本体の第1軸方向端面の付近で電源に接続され、これにより、直列に接続された複数の導電性セグメントに相電流が供給され得る。本実施形態では、スロットにおいて同一層を常に占める導電性セグメントに種々の電源を有利に接続することができる。このようにして、電源と導電性要素との接続がより容易に実施される。
【0032】
一特徴によれば、電源に接続された前記導電性セグメントは、中央層、すなわち、第2層又は第3層、より具体的には第3層に配置される。
【0033】
一特徴によれば、電気端子ラグは、その追加の導電性セグメントが2つの別個のスロットに配置されつつ2つの別の層に配置され、少なくとも1つの介在層により分離され、且つ電源に接続された導電性セグメントが介在層を形成する中央層に配置されるように、構成される。ステータのこのような構成により、電源に接続された導電性セグメントの振動に対する耐性が向上し得る。実際に、この構成においては、電源に接続された前記導電性セグメントは、接続ラグにより少なくとも部分的に囲まれているため、振動に対する感度が低い。
【0034】
例えば、電気端子ラグは、その追加の導電性セグメントが2つの別個のスロットに配置されつつ2つの別の層に配置され、2つの介在層により互いに分離されるように構成される。
【0035】
代替的な特徴によれば、電源に接続された前記導電性セグメントは、縁をなす層、すなわち第1層又は第4層に配置される。
【0036】
一特徴によれば、所定のピッチPで離間した2つのスロットにおいて、層のうちの1つを占める導電性セグメントは、環状本体の第1軸方向端面の付近で相互接続され、所望の結合にしたがって電流の相を接続することができる。
【0037】
一特徴によれば、結合の実現を可能とする前記接続された導電性セグメントは、中央層、すなわち第2層又は第3層、より具体的には第3層に配置される。
【0038】
代替的な一特徴によれば、結合の実現を可能とする前記接続された導電性セグメントは、縁をなす層、すなわち第1層又は第4層に配置される。
【0039】
一特徴によれば、電気端子ラグは、2つの巻線部間に直列接続を形成する。
【0040】
当然ながら、上記の種々の特徴、代替案、及び実施形態は、それらが互いに矛盾したり排他的であったりしない限り、様々に組み合わせて関連付けられ得る。
【0041】
また、本発明は、上記のステータを備える自動車用の回転電気機械に関する。回転電気機械は、オルタネータ、又はオルタネータ・スタータ、又は可逆機、又は電動機を形成可能である。
【0042】
本発明は、添付の概略図面を参照して説明される非限定的な例としての好適な実施形態を述べる以下の説明によって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、巻線を有するステータであって、本発明の第1実施形態による電気機械の一部を形成するステータの斜視図を示す。
図2図2は、本発明の第2実施形態による電気機械の一部を形成するステータと、これに関連付けられた巻線とを示す。
図3図3は、本発明による巻線を実現するために使用される第1タイプの導電性ピンのセットの斜視図を示す。
図4図4は、本発明による巻線を実現するために使用される第2タイプの導電性ピンのセットの斜視図を示す。
図5図5は、図1に示すステータの一部の斜視図を示す。
図6図6は、本発明による回転電気機械のステータ形成部品のスロットを概略的に示し、巻線の一部を形成するように当該スロットにおいて積層された導電性セグメントの連続する層、ここでは4つの層を示す。
図7図7は、先行する図面に示すステータのスロットを通る導電性ピンであって、これらの相互接続により、本発明による回転電気機械のステータの巻線の一部が形成され得る導電性ピンの配置を示す概略図である。
図8図8は、別の斜視角度による図1のステータを示し、特に巻線の形成に関与する導電性ピンの自由端部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
要約すると、本発明は、導電性ピンを回転電気機械のステータのスロットに配置して導電性ピンを相互接続する独自の方法を提案することを目的とする。その目標は、例えば、回転電気機器の良好な動作を確保するために導電性ピン間に必要な接続部品の個数を削減することであるが、これに限定されない。
【0045】
図1及び図2は、自動車用のオルタネータ、又はオルタネータ・スタータ、又は可逆機、又は電動機を形成するように構成された回転電気機械用のステータ2を示す。特に、ステータは、回転軸Aを中心として回転するシリンダヘッドを形成する環状本体4を備えている。
【0046】
この回転軸は、本例においてステータ2の内部で回転するように設計された図示しないロータの回転軸と実質的に一致している。
【0047】
環状本体4は、ステータの内部を向いてシリンダヘッドの内壁を規定する側面6(特に図2図5及び図6に見える)を備えている。また、環状本体4は、側面6から突出してステータの中心方向に延びる複数の径方向の歯8を備えている。径方向の歯8は、それらの間に連続する空間が配置された状態で、環状本体の円周に角度を付けて規則的に分散配置され、これにより、ステータの環状本体の円周に連続して延びるスロット10が規定されている。各スロットは、2つの連続する径方向の歯8により規定されている。
【0048】
軸方向、すなわちステータの回転軸Aに平行な方向に沿って、スロット10は、環状本体の第1軸方向端面12及び第2軸方向端面14に亘って開口している。換言すれば、スロット10は、軸方向に環状本体4を横切ってステータの対向する軸方向端面に到達している。「軸方向端面」という用語は、側面6及びステータの回転軸Aに対して垂直又は実質的に垂直な面を意味すると理解される。
【0049】
本例によれば、径方向の歯8は、側面6に分散配置された96個のスロットを規定している。以下に説明するように、これらのスロットは、ステータ巻線を支持するように配置されていることが理解される。或いは、異なる個数のスロット、例えば、84個、72個、60個、48個のスロットが使用され得る。この個数は、機械の用途、ステータの直径、及びロータの極数によって決まることを理解されたい。
【0050】
巻線は、導電性ピン15A及び15Bの複数のセットから形成される。これらのセットを図3及び4にそれぞれ示す。一方又は他方のセットを形成するのに適した各導電性ピンは、スロット内で軸方向に延びるとともに、この目的のために互いに実質的に平行な2つの導電性セグメント16A、16B、16C、16Dを備えている。図示例において、特に図6の概略図に示すように、導電性セグメントは、実質的に長方形の断面を有することにより、スロット内での積層が容易となっている。なお、図3に示す第1セットのピン、並びに図4に示す第2セットのピンについて、導電性セグメントは、電気的連続性を確保するように同じく導電性であるエルボーコネクタ18によって相互接続されている。これらの導電性セグメント16A、16B、16C、16Dは、図6に示すように、N層Ciの積層体を形成するようにステータ2のスロット10内で重ね合わされている。これらのN層は各スロットに存在するため、ステータの円周に、環状本体の側面6と実質的に同軸の層が形成されることが理解される。
【0051】
例示的な実施形態によれば、これら4つの巻線層は、スロット10内での積層順序に従ってC1乃至C4までナンバリングされている。第1層C1は、外側層に対応する。第2層C2は、第1層C1に直接隣接する外側中央層に対応する。第3層C3は、第2層C2に直接隣接する内側中央層に対応する。第4層C4は、内側層に対応する。したがって、第1層C1は、ステータの環状本体4に最も近い導電性セグメントにより占められている。当然ながら、本発明は単一の実施形態に限定されず、より多数の導電性セグメント、例えば6個、8個又は10個の導電体が各スロット10に積層され得る。
【0052】
第1セット又は第2セットのピンを形成する導電性ピンは、エルボーコネクタ18の反対側の導電性セグメントの自由端部により特徴付けられる。
【0053】
第1セットのピンを形成する導電性ピン15Aは、互いに接近するように湾曲している導電性セグメントの2つの自由端部17Aにより特徴付けられる。
【0054】
より具体的には、導電性セグメントの自由端部17Aは、互いに重なり合うように折り畳まれている。
【0055】
第2セットのピンを形成する導電性ピン15Bは、互いに分岐するように湾曲している導電性セグメントの2つの自由端部17Bにより特徴付けられる。同一ピンの導電性セグメントの2つの自由端部間の間隔は、スロットに配置される2つの導電性セグメントの直線部分間の間隔より大きい。より具体的には、同一ピンの導電性セグメントは、スロットE及びスロットE+Pにそれぞれ挿入されるようにピッチPで間隔を置き、これらの導電性セグメントの自由端部は、ピッチ2Pで間隔を置いている。
【0056】
特に図1図2及び図7に示すように、各導電性ピン15A及び15Bは、一方でその導電性セグメントがピッチPで離間した2つの別個のスロットE及びE+Pに延びるように、且つ、各エルボーコネクタ18が第1軸方向端面12の付近に配置される一方で、巻線における或るピンから別のピンへの電気的連続性を確保するように自由端部17A及び17Bが第2軸方向端面14の付近に配置されるとともに相互接続されるように、配置されている。以下で特に図7を参照して説明するように、第1層C1に配置された導電セグメント16Aの自由端部と、第2層C2に配置された導電性セグメント16Bの自由端部とが相互接続されている。また、第3層C3に配置された導電性セグメント16Cの自由端部と、第4層C4に配置された導電性セグメント16Dの自由端部とが相互接続されている。
【0057】
2つのセットのピンが、外側セットとして知られる第1セットと、内側セットとして知られる第2セットとを形成している。外側セットは、第1外側層を形成するように導電性セグメントがスロットに配置されたピンを含む。内側セットは、第4内側層を形成するように導電性セグメントがスロットに配置されたピンを含む。
【0058】
2つのセットのピンは、互いに重ねられている。すなわち、外側セットのピンの導電性セグメントのうちの一方が、スロットにおいて、内側セットのピンの導電性セグメントのうちの一方より内側に配置されている。より具体的には、外側として知られる第1セットに属する導電性ピン15Aは、スロットEにおいて第1層C1を占める導電性セグメント16Aと、スロットE+Pにおいて第3層C3を占める導電性セグメント16Cとを有するようにステータに配置されている。そして、外側として知られる第2セットに属する導電性ピン15Bは、スロットEにおいて第2層C2を占める導電性セグメント16Bと、スロットE+Pにおいて第4層C4を占める導電性セグメント16Dとを有するようにステータに配置されている。換言すれば、同一の導電性ピンの導電性セグメントが、スロット毎に2つの層が径方向にずれた状態で、又は換言すればこの同一ピンの導電性セグメントが占める2つの層の間に中間層を介在させた状態で、別個のスロットを占めるように、導電性ピンは配置されている。この径方向のずれは、他方のセットの導電性ピンに属する導電性セグメントの介在に対応する。以下で説明するこの特殊な巻線配置、並びに図1及び図2に示すようなステータ2の第1軸方向端面12付近でエルボーコネクタ18を隣接するエルボーコネクタが互いに実質的に平行であるように整列させることから、特に有利な電気接続が得られる。
【0059】
以下に特に図7を参照して、ピンがどのように相互接続されてステータの巻線を形成するか、特に、通電時に径方向の歯に沿って磁場を生成する又は受ける連続的な電気回路又は導電経路を形成するように、どのようにステータ2の第2軸方向端面14の付近で或る導電性ピンの自由端部17と別の導電性ピンの別の自由端部とが互いに接続されるかを説明する。
【0060】
まず、ステータ2の第1軸方向端面12付近におけるエルボーコネクタ18の配置は、導電性ピンが互いに重ならないようになっているため、高さが低いシニョン20が形成され得ることに留意されたい。「高さ」という用語は、法線方向、又は第1軸方向端面12の略付近、すなわち回転軸Aに平行な方向を意味すると理解される。
【0061】
各エルボーコネクタ18は、単一の導電体により形成することができるため、同一ピンのエルボーコネクタ、2つの導電性セグメント、及び2つの自由端部は、特にU字形状に延びる1つの導電体によってのみ形成される。或いは、各エルボーコネクタ18は、互いに接続された2つの端部により形成され得る。したがって、同一ピンのエルボーコネクタ、2つの導電性セグメント、及び2つの自由端部は、互いに接続された2つの導電性バーにより形成される。
【0062】
追加の電気接続要素も設けられる。この目的は、電気回路を閉鎖すること、及び巻線に電流を適切に通流させること、特に、一方で、電流が同一スロットに配置された各導電性セグメントにおいて同一方向に流れ、他方で、一般的に電流が或るスロットで一方向に流れるとともにピッチP及び-Pで間隔を置いたスロットにおいて反対方向に流れるようにすることである。
【0063】
これらの追加構成要素は、特に電気端子ラグ24を含む。電気端子ラグ24は、ステータの第1軸方向端面12の側に配置された接続部品240と、それぞれがスロットに配置された2つの追加導電性セグメントとから構成される。これにより、接続部品は、上記のピンのエルボーコネクタと同等の態様で接続する。これらの追加構成要素は、それらが備える導電性セグメントが、2つのスロットのそれぞれにおける同一層、より具体的には、図示例において第1層C1を占めるという点において特殊である。
【0064】
特に図1図2及び図5に示すように、第1層C1における追加の導電性セグメントの当該位置により、接続部品240はステータの径方向外側にずれた状態となり、接続部品は導電性ピンのエルボーコネクタを迂回することができる。すなわち、回転電気機械の軸方向寸法に不利益がもたらされず、且つステータに対するロータの動作が妨げられない。
【0065】
本発明の文脈を離れることなく、接続部品が対応する導電性ピンのエルボーコネクタ上に配置されるように、特に、導電性ピンを重ねること及びこれによる内側として知られるピンと外側として知られるピンとの混合により可能とされるこの電気接続ラグの位置が第1層C1にあることを前提として、設置面積の制約が軸方向寸法に対するよりも径方向寸法に対して大きくなるように、選択可能であることが理解される。これにより、接続部品及びこれから生じる設置面積の配向を、この巻線が設置される回転電気機械に応じて選択することが可能になる。
【0066】
このようにして、図1に示すように、ステータと、互いに重ねられたピンから構成された対応する巻線とからなる第1実施形態は、電気接続ラグ24が、エルボーコネクタ18により形成されたシニョン20を軸方向に超えないようになっているため、例えば自動車用回転電気機械のステータの長手方向設置面積が制限される。一方、図2に示すように、第2実施形態は、電気端子ラグ24がエルボーコネクタ18を超えてこれを通過するようになっている。この目的は、特に出力の小さい回転電気機械においてステータの径方向設置面積を制限することである。このような出力の小さい機械においては、ピンの最小軸方向寸法によりこのように軸方向に超えることが許容される。
【0067】
換言すれば、電気端子ラグ24は、同一層、本例において外側として知られる第1層付近でピッチPで離間したスロットの一部を形成するように互いに距離を置いた2つの導電性セグメントを備えた別のタイプの導電性ピンに相当する。この電気接続ラグ24は、第1セットに属する2つの導電性ピン15Aの導電性セグメント16Aに代わるように、巻線の周辺層付近に配置される。
【0068】
図示しない別の実施形態において、これらの追加の導電性セグメントは、第4層C4を占めることができる。上述の第1実施形態及び第2実施形態は、前記セグメントが第4層C4に配置される場合にも同様に適用可能である。
【0069】
図示しない別の代替実施形態において、これらの追加の導電性セグメントは、第2層C2及び第3層C3等の別個の層を占めることができる。この場合、電気接続ラグの接続部品は、他の導電性ピンのエルボーコネクタ同士の間に周方向に挿入される。
【0070】
図示しない更に別の代替実施形態において、これらの追加の導電性セグメントは、第1層C1及び第4層C4等の別個の層を占めることができる。この場合、電気接続ラグの接続部品は、他の導電性ピンの特定のエルボーコネクタの上部まで軸方向に部分的に延びる。
【0071】
相電流入力部及び出力部を形成する導電性要素21が、電気端子ラグ24がその所定位置に配置されていない場合に導電性ピンセグメントにより占められ得るスロットの第3層に配置される。換言すれば、スロットEにおいて第1層C1を占める電気端子ラグの各追加導電性セグメントに対して、ピッチPで距離を置いたスロットE+Pの第3層C3を占めるように導電性セグメントが設けられる。
【0072】
一対の導電性セグメント21が各電気接続ラグ24に関連付けられ、特に図2に示すように、6対のこれら導電性セグメント21が軸方向に延長されて、図7に概略的に示される電源22により第1相電流が供給される相電流入力部及び出力部211、212を形成していることが理解される。これらの相電流入力部及び出力部は、本発明によれば、第3層C3の付近でスロットに係合するように構成されている。より正確には、電気連結を得るように、これらの相電流入力部及び出力部の半分は、電源22に直接的に又は相互接続デバイスを介して接続され、残りの半分は、別の相電流の入力部及び出力部に直接的に又は相互接続デバイスを介して接続されている。
【0073】
或いは、電気端子ラグの追加の各導電性セグメントがスロットEにおいて第4層C4を占める場合、ピッチPで距離を置いたスロットE+Pにおいて第2層C2を占めるように導電性セグメント24が設けられる。
【0074】
また或いは、電気端子ラグの追加の各導電性セグメントがスロットEにおいて第2層C2及び第3層C3を占める場合、ピッチPで距離を置いたスロットE+Pにおいて第1層C1及び第4層C4を占めるように導電性セグメントが設けられる。
【0075】
更に或いは、電気端子ラグの追加の各導電性セグメントがスロットEにおいて第1層C1又は第4層C4を占める場合、ピッチPで距離を置いたスロットE+Pにおいて第2層C2及び第3層C3を占めるように導電性セグメントが設けられる。上記に沿って重ねられた導電性ピンの接続により形成された巻線部の概略図を図7に示す。理解を簡単にするために、ステータの他のスロットも導電性セグメントの積層体を同様に備える完全な巻線を実現するために当業者が以下のことを困難なく理解できるということを前提に、スロット及びピンのセットの個数を制限した。本例によれば、ステータ2は、96個のスロットを備え、各スロットは4つの積層された導電性セグメントを含んでいる。当業者には、図7の例は、電気接続ラグの追加の導電性セグメントがスロットEにおいて第1層C1を占め、相電流入力部及び出力部を形成する導電性セグメントが第3層C3を占める事例を示すが、これは上記の他の例示的な実施形態にも同様に適用されることを理解するであろう。
【0076】
より正確には、図7に示す電気回路について、電流が巻線に相電流入力部211を介して導入される。この流れを、ナンバリングされた矢印Fiを用いてより詳しく説明する。これらの矢印は、電流が、積層されたセグメントにおいて、所与のスロットについて同一方向に流れ、ピッチP又は-Pで距離を置いたスロットについて反対方向に流れることを示す。
【0077】
スロットE+Pは、配向の第1方向において所定のピッチPを置いてスロットEから離れていることに留意されたい。本例によれば、ピッチPは、スロットEとスロットE+Pとの間の5つのスロットの介在に対応し、配向の第1方向は時計の針と反対方向である。
【0078】
電流は、相電流入力部211の延長にあるスロットEに配置された導電性セグメント21を流れる(F1矢印)。このスロットEにおいて第3層C3の一部を形成するように配置された導電性セグメント21は、第2軸方向端面14の側でその自由端部において、これが当該層で代わる外側として知られるピンの導電性セグメント16Cの形状と同様の折り畳まれた形状を有する。
【0079】
この導電性セグメント21の自由端部は、ステータの第2軸方向端面14の付近で、スロットE-Pにおいて第4層C4を占める導電性セグメント16Dの自由端部17Bに接続されている。図8に、これらの導電性セグメント21、16Dの並んで配置された2つの自由端部をより具体的に示す。これら2つの自由端部は、接点19Bの付近で電気的に接続されている。これにより、F2矢印で示されるように、電流は、スロットE-Pの第4層C4において第2軸方向端面14から第1軸方向端面12に流れるようになる。
【0080】
スロットE-Pにおいて第4層C4を占める導電性セグメント16Dは、上記のような内側セットとして知られる第2セットのピンに属する導電性ピン15Bの一部を形成するため、この導電性セグメントは、ステータの第1軸方向端面12の付近で、エルボーコネクタ18を介して、スペースPで離間したスロット内の第2層C2を占める導電性セグメント16Bに、配向の第1方向とは反対方向において延長される。
【0081】
所与の相について、ピンはステータの全周に亘って連続的に重ねられていることが理解される。図7の理解を簡単にするように、本図7のスロットE+2P付近で水平方向に配置された実線を考慮することで、電流がステータを実質的に回転させることについての上記の説明を再度参照されたい。
【0082】
この段階において、電流は、F3矢印で示されるように、スロットE+2Pの第2層C2において、第1軸方向端面12から第2軸方向端面14に流れる。
【0083】
図7に示すように、導電性セグメント16の自由端部17A及び17Bは、電流が前記セグメントを通過して各スロットにおいて同一方向に流れることを許容するように、ステータの第2軸方向端面14の付近で相互接続されている。電流の方向は、導電性ピンをまたぐ矢印により示されている。
【0084】
次いで、巻線は、スロットE+2Pにおいて第2層C2を占める導電性セグメント16Bの端部を、スロットE+Pにおいて第1層C1を占める導電性セグメント16Aの端部に接続することにより連続する。これらの導電性セグメントの自由端部は、図8に示すように並んで配置されるとともに、接点19Aにより第2軸方向端面14の付近で電気的に接続されている。
【0085】
この段階において、電流は、F4矢印で示されるように、スロットE+Pの第1層C1において、第2軸方向端面14から第1軸方向端面12に流れる。
【0086】
スロットE+Pにおいて第1層C1を占める導電性セグメント16Aは、上記のような外側セットとして知られる第1セットのピンに属する導電性ピン15Aの一部を形成するため、この導電性セグメントは、ステータの第1軸方向端面12の付近で、エルボーコネクタ18を介して、スペースPを空けて離間したスロット内の第3層C3を占める導電性セグメント16Cに、配向の第1方向において延長される。
【0087】
これは、F5矢印で示すように、スロットE+2Pの第3層C3において、電流が第1軸方向端面12から第2軸方向端面14に流れることを意味する。
【0088】
上記のように、スロットE+2Pにおいて、第2層C2及び第3層C3を流れる電流は、両者とも同一方向に流れることに留意されたい。
【0089】
上述のように、巻線は、導電性ピンの一部を形成するエルボーコネクタの側において、第1層C1の導電性セグメントから第3層C3、及び第4層C4から第2層C2を通り、そして、第2軸方向端部14の付近では、電気ブリッジ、特に溶接により第2層C2から第1層C1、及び第3層C3から第4層C4を通ることにより連続し、電流は、各スロット内で同一方向に流れる。
【0090】
図示例において、Fi矢印の方向において、スロットEの第2層C2において、電力が第1軸方向端面12から第2軸方向端面14に伝達された後に、外側セットとして知られる第1セットのピンに属する導電性ピン15Aから上述の電気接続ラグ24に電力が伝達される。これは、電力が、スロットE-Pの第1層C1及びスロットEの第1層において、一方向(Fi+1)に、次いで他方向(Fi+2)に連続的に伝達されることを意味する。次いで、上述のように、電流は、或る導電性ピンから別のピンに、導電性セグメントが相電流出力部122に接続されている第3層付近のスロットE+Pに通流するまで流れる。
【0091】
上述のように、上記の種々の導電性セグメント間の接続は、当該ステータの種々のスロットにおける導電性セグメントの同一の配置を形成するように、ステータの全周に亘って再現される。
【0092】
上記の説明により、ここではステータのスロットに積層された導電性セグメントの4つの層を有する巻線の場合に、それぞれが層Ci及びCi+2に各々配置された導電性セグメントを有する、本発明による重ねられたピンを有することへの関心を簡単に理解できる。このような配置は、特に、ピンに付随する要素、すなわち一方の層から他方の層への接続部、及び電気端子ラグを削減することにより、セットの電気的接続を単純化させ得る。
【0093】
当該説明は、三相二重機械の例を使用してなされたが、本発明は、三相機械等の他のタイプの機械にも適用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8