(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ポリ硫酸化多糖類を用いた術後関節痛の処置
(51)【国際特許分類】
A61K 31/737 20060101AFI20231128BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231128BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61K31/737
A61P19/02
A61P29/00
A61P29/00 101
(21)【出願番号】P 2020545141
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(86)【国際出願番号】 AU2019050163
(87)【国際公開番号】W WO2019165498
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-24
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520040119
【氏名又は名称】パラダイム バイオファーマシューティカルズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】レニー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,ラヴィ
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504613(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0102562(US,A1)
【文献】BMC Musculoskeletal Disorders,2017年,Vol.18:396,p.1-5
【文献】Clinics in Orthopedic Surgery,2017年,Vol.9, No.1,p.50-56
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/737
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における無菌性
持続性術後関節痛の処置のための方法で用いるための医薬組成物であって、ペントサンポリ硫酸またはその許容される塩を含み、
前記方法は、ペントサンポリ硫酸またはその許容される塩
を含む前記医薬組成物を前記哺乳動物に投与するステップを含み、前記無菌性
持続性術後関節痛が、関節形成術の結果生じる関節内疼痛である、医薬組成物。
【請求項2】
前記
無菌性持続性術後関節痛が、足首、肘、指、股、膝、肩、および手首からなる群から選択される少なくとも1つの関節におけるものである、請求項1に記載の医薬組成物
。
【請求項3】
前記少なくとも1つの関節が膝である、請求項
2に記載の医薬組成物
。
【請求項4】
前記関節形成術が、足首関節部分置換術、肘関節部分置換術、指関節部分置換術、股関節部分置換術、膝関節部分置換術、肩関節部分置換術、および手首関節部分置換術からなる群から選択される関節部分置換術である、請求項1~
3のいずれか
一項に記載の医薬組成物
。
【請求項5】
前記関節形成術が、足首関節全置換術、肘関節全置換術、指関節全置換術、股関節全置換術、膝関節全置換術、肩関節全置換術、および手首関節全置換術からなる群から選択される関節全置換術である、請求項1~
3のいずれか
一項に記載の医薬組成物
。
【請求項6】
前記
無菌性持続
性痛が、無菌性の人工関節の緩み、人工関節の装着、不安定性、再発性関節血症、膝蓋骨トラッキング異常、および凝りからなる群から選択される状態によって引き起こされる関節内持続痛である、請求項
1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物
。
【請求項7】
前記哺乳動物が、前記術後関節痛に加えてさらなる関節炎状態に罹患しており、前記さらなる関節炎状態が関節リウマチ、変形性関節症または変性変形性関節症である、請求項1から
6のいずれか一項に記載の医薬組成物
。
【請求項8】
前記さらなる関節炎状態が、前記術後痛によって影響される関節とは異なる第2の関節におけるものであり、かつ第2の関節における疼痛が、低減する、請求項
7に記載の医薬組成物
。
【請求項9】
前記第2の関節が、1つの膝関節であり、前記術後痛によって影響される関節が、別の膝関節である、請求項
8に記載の医薬組成物
。
【請求項10】
前記ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸のナトリウム塩(NaPPS)、ペントサンポリ硫酸のマグネシウム塩(MgPPS)、ペントサンポリ硫酸のカルシウム塩(CaPPS)、およびペントサンポリ硫酸の亜鉛塩(ZnPPS)からなる群から選択される、請求項1~
9のいずれか
一項に記載の医薬組成物
。
【請求項11】
前記ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(NaPPS)である、請求項
10に記載の医薬組成物
。
【請求項12】
処置が、前記ペントサンポリ硫酸またはその許容される前記塩を、用量あたり、前記哺乳動物1kgあたり約0.5~約2mg;約0.5~約1mg;約1.0~約1.5mgまたは約1.5~約2.0mgの有効量または約25mg~約4000mgの範囲の固定用量である有効量で前記哺乳動物に投与することによる、請求項1から
11のいずれか一項に記載の医薬組成物
。
【請求項13】
前記有効量が、用量あたり、前記哺乳動物1kgあたり約0.5mg、約1.0mgまたは約2.0mgである、請求項
12に記載の医薬組成物
。
【請求項14】
前記固定用量が、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約2000mg、約3000mgまたは約4000mgである、請求項
12に記載の医薬組成物
。
【請求項15】
前記処置が、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、静脈内(IV)注射、関節内(IA)注射もしくは関節周囲注射の投与による;局所投与による;坐剤を介する、または経口投与による、請求項1から
14のいずれか一項に記載の医薬組成物
。
【請求項16】
ヒト患者への投与が、1日1回、週2回または週3回の処置レジメンで投薬することによる、請求項
15に記載の医薬組成物
。
【請求項17】
ヒトへの投与が、投薬間が最小で3日および最大で4日で週2回の処置レジメンで投薬することによる、請求項
16に記載の医薬組成物
。
【請求項18】
ヒト患者における疼痛が、数値化スケール(NRS)を使用することによって決定された場合に低減する、請求項1から
17のいずれか一項に記載の医薬組成物
。
【請求項19】
哺乳動物における無菌性持続性術後関節痛の処置のための医薬の製造における、ペントサンポリ硫酸またはその許容される塩の使用であって、前記無菌性持続性術後関節痛が、関節形成術の結果生じる関節内疼痛である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物における術後関節痛の処置のための、ポリ硫酸化多糖類およびその組成物の医学的使用に関する。特に、本発明は、関節形成術後の無菌性持続痛の処置におけるポリ硫酸化多糖類の使用に関する。
【0002】
背景
関節形成術における術後痛
関節形成術または置換術は、非外科的処置が上手くいかないことがわかっている末期変形性関節症および関節リウマチなどの消耗性疾患の疼痛なく生活する機会を患者に提供する。それにも拘わらず、関節形成術は良好な疼痛緩和を提供し生活の質を改善するが、最大で20%の患者が持続痛を訴える[1]。特に、無菌性持続痛は、外科手術の1年後であっても解消しないことがある。これは、疼痛を低減するために関節形成術を選んだ患者にとっては明らかに満足できるものではない。さらに、臨床転帰が満足できないものである場合、医療制度に対するコストが増大する。
【0003】
術後関節痛の早期かつ正確な診断は、処置を最適化するための鍵である。敗血性疼痛または人工関節周囲骨折によって引き起こされる疼痛の診断は比較的明らかであるが、無菌性疼痛の診断はそれほど明確ではない。したがって、無菌性持続性術後関節痛の処置を成功させることは困難である。
【0004】
最近の研究により、膝関節全置換術後の無菌性持続性関節痛は、関節外変形性関節症もしくは虚血壊死などの関節外の原因、または多くの場合、人工関節の緩み、人工関節の装着、不安定性、再発性関節血症、膝蓋骨トラッキング異常、腱断裂および凝りを含むいくつかの関節内の原因の結果生じ得ることが示されている。無菌性持続痛の処置は、最終的には再置換術を含むと報告されている[1]。
【0005】
再置換術は、複雑であり、疼痛が軽減されないリスクが付いて回り、一部の例では、有害であり得る。代替手段は、体重負荷の低減および理学療法と組み合わせた鎮痛薬または抗炎症薬の使用を含む標準的な非外科的処置である[2]。しかしながら、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および副腎皮質ステロイドは、骨治癒および軟骨の代謝に対する負の効果を有することがわかった([3]~[6])。骨折のリスクは、外傷的なものと、自然発生によるものの両方とも、連続的な副腎皮質ステロイド療法を受ける対象において高い[5]。
【0006】
したがって、術後関節痛、特に、診断が困難であり、処置が困難である無菌性持続痛を管理するのに現在利用可能な限られた数の選択肢を拡大するために、NSAIDまたは副腎皮質ステロイドの負の効果を有しない医薬品が必要である。
【0007】
ポリ硫酸化多糖類
ヘパリンおよびペントサンポリ硫酸塩、キトサンポリ硫酸塩、フカンなどの構造的に関連するポリ硫酸化多糖類は、抗凝固剤として数年にわたって使用されている[7~12]。ペントサンポリ硫酸塩(PPS)は、ヘパリンよりも弱い抗凝固剤である[7、9、11]が、血栓溶解剤として術後に、および予防的に使用されている[12]。経口および髄腔内経路により投与される場合、PPSは間質性膀胱炎(膀胱の炎症)の処置のために使用されている[13~15]。実際、PPSは、間質性膀胱炎のために現在処方されている薬物ELMIRON(登録商標)における活性薬剤である。骨粗鬆症におけるPPSの使用[17];および骨髄浮腫におけるPPSの使用[18]と同様、喘息、アレルギー性鼻炎、および/または慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの炎症状態の処置におけるPPSの使用の可能性も記載されている[16]。
【0008】
概要
本発明は、PPS処置が、関節形成術後の対象における持続性の術後痛を低減させるという驚くべき発見に基づく。本発明はまた、PPS処置が対象における変形性関節症疼痛および持続性の術後関節痛を低減させるという驚くべき発見に基づく。疼痛の低減に加えて、PPS処置は、関節機能を改善し、骨髄浮腫病変を減少させることが見出され、有害事象は報告されていない。
【0009】
したがって、PPSは、疼痛低減活性の可能性を有するNSAIDおよび副腎皮質ステロイドに対する改善された代替的な医薬品選択肢であり得る。この知見は、術後痛に罹患している対象における処置選択肢としての、ならびに術後痛および変形性関節症などの関節炎状態に罹患している対象における処置選択肢としてのPPSの潜在的な有効性を示唆する。
【0010】
第1の態様によれば、哺乳動物における術後関節痛の処置のための方法であって、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を哺乳動物に投与するステップを含む方法が提供される。
【0011】
第2の態様によれば、哺乳動物における術後関節痛の処置のための、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0012】
第3の態様によれば、哺乳動物における術後関節痛の処置における使用のための、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0013】
第4の態様によれば、哺乳動物における術後関節痛の処置における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用が提供される。
【0014】
第5の態様によれば、哺乳動物における術後関節痛の処置のための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用が提供される。
【0015】
本明細書で別途定義されない限り、本出願に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって別途要求されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「the」は、文脈が別途明確に指摘しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、用語「関節(an articulating joint)」は、文脈が別途明確に指摘しない限り、「1または複数の関節(one or more articulating joints)」を意味する。
【0016】
本明細書に提供される定義に関して、別途記述されないか、または文脈から暗黙的でない限り、定義される用語および語句は、提供される意味を含む。別途明示的に記述されないか、または文脈から明らかでない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が関連する業界における当業者によって獲得された意味を排除しない。本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるため、定義は、特定の実施形態を記載するのを助けるために提供され、特許請求された発明を限定することを意図するものではない。
【0017】
本明細書を通して、本発明の様々な態様および成分を、範囲形式で提示することができる。範囲形式は、便宜上含まれるものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきではない。したがって、範囲の記載は、具体的に示されない限り、具体的に開示される全ての可能なサブ範囲ならびにその範囲内の個々の数値を有すると考えるべきである。例えば、1~5などの範囲の記載は、1~2、1~3、1~4、2~3、2~4、2~5、3~4などの具体的に開示されるサブ範囲、ならびに記載される範囲内の個々の数および部分的な数、例えば、1、2、3、4、および5を有すると考えるべきである。これは、開示される範囲の幅に関係なく適用される。特定の値が必要とされる場合、これらのものは本明細書に示される。
【0018】
用語「許容される賦形剤」は、生理的に適合し、本明細書に記載される化合物またはその使用にとって有害ではない、溶媒、希釈剤、分散媒体、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などの賦形剤または薬剤を含む。薬学的に活性な物質の組成物を調製するためのそのような担体および薬剤の使用は、当業界で周知である(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21 st Edition; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005を参照されたい)。
【0019】
用語「許容される塩」としては、限定されるものではないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;およびトリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩が挙げられる。
【0020】
塩基塩としては、限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム、トリエチルアミンから形成される塩、エタノールアミンと共に形成されるものなどのアルコキシアンモニウムおよびエチレンジアミンから形成される塩などのアルキルアンモニウム、塩素またはアルギニン、リシンもしくはヒスチジンなどのアミノ酸などの薬学的に許容されるカチオンと共に形成されるものが挙げられる。許容される塩の種類およびその形成に関する一般的な情報は、当業者には公知であり、"Handbook of Pharmaceutical salts" P.H. Stahl, C.G.Wermuth, Ist edition, 2002, Wiley- VCHなどの一般的な教科書に記載されている。
【0021】
化合物の「投与」および/または化合物を「投与すること」という用語は、処置を必要とする個体に本発明の化合物を提供することを意味すると理解されるべきである。
【0022】
本明細書で使用される用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む生成物ならびに特定の量の特定の成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含することが意図される。
【0023】
本明細書を通じて、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形は、記述された要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の含有を意味するが、任意の他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップの群の排除を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0024】
本発明は、哺乳動物対象の処置に関する。「哺乳動物」対象の処置は、「患者」または「個体」の処置を指すこともある。「哺乳動物」対象は、特定の症状もしくは処置の必要性を示唆する症状の臨床兆候を呈している、状態について処置される、または処置すべき状態であると診断されている。
【0025】
したがって、本発明は、別途具体的に指摘しない限り、ヒトおよび他の非ヒト哺乳動物に適用可能であると理解されるべきである。ヒトは、男性または女性であってもよい。他の非ヒト哺乳動物は、霊長類、家畜および農業用動物(例えば、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ)、ネコおよびイヌなどの家庭用ペット、パフォーマンス用動物(例えば、競走馬、ラクダ、グレーハウンド)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット)ならびに通常は野生に存在するが、そのような動物が動物園、野生動物公園などにいるという理由で処置の影響を受けやすい動物であってもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「処置すること」、「処置する」または「処置」およびその変形は、臨床病理の経過中に対象の自然の経過を変化させるように設計される臨床介入を指す。処置の望ましい効果としては、疾患進行速度の低下、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後の改善が挙げられる。対象は、例えば、上記処置の転帰のうちの1つまたは複数が達成される場合、上手く「処置される」。本明細書で使用される場合、用語「処置すること」、「処置する」または「処置」およびその変形は、臨床病理の経過の発生を回避するように設計される臨床介入を指すと理解される、「防止すること」、「防止する」または「防止」を包含する。
【0027】
「有効量」は、「治療有効」量を包含し、特定の疾患(例えば、骨髄浮腫)の測定可能な改善をもたらすのに必要とされる少なくとも最小の濃度または量を指す。本明細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体における望ましい応答を惹起するPPSの能力などの因子に応じて変化してもよい。有効量はまた、PPSの任意の毒性効果または有害効果を、治療的に有益な効果が上回るものである。「有効量」はまた、所望の防止結果をもたらすのに必要とされる薬物の量または薬物投与の速度を指す、「予防有効」量も包含する。
【0028】
実施形態の記載
本開示は、哺乳動物における術後関節痛の処置のための方法であって、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を哺乳動物に投与するステップを含む方法に関する。
【0029】
好ましくは、術後関節痛は、少なくとも1つの関節におけるものである。少なくとも1つの関節は、好ましくは、足首、肘、指、股、膝、肩、および手首からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つの関節は、膝である。
【0030】
好ましくは、術後痛が、関節形成術の結果生じる。
【0031】
関節形成術は、好ましくは、関節全置換術である。好ましくは、関節全置換術は、足首関節全置換術、肘関節全置換術、指関節全置換術、股関節全置換術、膝関節全置換術、肩関節全置換術、および手首関節全置換術からなる群から選択される。関節全置換術は、好ましくは、膝関節全置換術である。
【0032】
関節形成術は、好ましくは、関節部分置換術である。好ましくは、関節部分置換術は、足首関節部分置換術、肘関節部分置換術、指関節部分置換術、股関節部分置換術、膝関節部分置換術、肩関節部分置換術、および手首関節部分置換術からなる群から選択される。関節部分置換術は、好ましくは、膝関節部分置換術である。
【0033】
好ましくは、術後関節痛は、急性疼痛、慢性疼痛、全身疼痛および持続痛からなる群から選択される。術後関節痛は、好ましくは持続痛である。好ましくは、持続痛は、敗血性持続痛である。持続痛は、好ましくは、人工関節周囲骨折によって引き起こされる。
【0034】
好ましくは、持続痛は、無菌性持続痛である。無菌性持続痛は、好ましくは、関節内無菌性持続痛である。好ましくは、関節内無菌性持続痛は、無菌性の人工関節の緩み、人工関節の装着、不安定性、再発性関節血症、膝蓋骨トラッキング異常、腱断裂および凝りを含む群から選択される状態によって引き起こされる。無菌性持続痛は、好ましくは、関節外無菌性持続痛である。好ましくは、関節外無菌性持続痛は、関節外変形性関節症または関節外虚血壊死によって引き起こされる。
【0035】
好ましくは、哺乳動物は、術後関節痛に加えて、さらなる関節炎状態に罹患している。さらなる関節炎状態は、好ましくは、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される。好ましくは、さらなる関節炎状態は、関節リウマチである。さらなる関節炎状態は、好ましくは、変形性関節症である。好ましくは、変形性関節症は、変性変形性関節症である。さらなる関節炎状態は、好ましくは、術後痛によって影響される関節とは異なる第2の関節におけるものである。好ましくは、第2の関節は、1つの膝関節であり、術後痛によって影響される関節は、別の膝関節である。ヒト患者において、第2の膝関節は、好ましくは、左膝関節であり、術後痛によって影響される関節は、右膝関節である。
【0036】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸、コンドロイチンポリ硫酸、キトサンポリ硫酸、デルマタンポリ硫酸スロデキシド、デキストラン硫酸、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫酸化ビスアルドン酸アミド、スクロースオクタ硫酸、フコイダン-1、フコイダン-2、硫酸化ベータ-シクロデキストリン、硫酸化ガンマ-シクロデキストリンおよび限定されるものではないが、イノシトール六硫酸を含む低分子硫酸化化合物からなる群から選択される。
【0037】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される。好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される。
【0038】
好ましくは、ペントサンポリ硫酸(PPS)は、ペントサンポリ硫酸のナトリウム塩(NaPPS)、ペントサンポリ硫酸のマグネシウム塩(MgPPS)、ペントサンポリ硫酸のカルシウム塩(CaPPS)、およびペントサンポリ硫酸の亜鉛塩(ZnPPS)からなる群から選択される。
【0039】
好ましくは、ペントサンポリ硫酸(PPS)は、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(NaPPS)である。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、NaPPSは、Bene-PharmaChem GmbH & Co KG、Geretsried、GermanyによってUS FDAおよびEuropean Community EMEAに提出された明細書に従って製造される。
【0041】
好ましくは、処置は、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、用量あたり、哺乳動物1kgあたり、約0.5~約2mgの有効量で哺乳動物に投与することによる。有効量は、好ましくは、用量あたり、哺乳動物1kgあたり、約0.5~約1mg;約1.0~約1.5mgまたは約1.5~約2.0mgの範囲にある。好ましくは、有効量は、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5mg、1.0mgまたは2.0mgである。有効量は、好ましくは、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約2mgである。
【0042】
好ましくは、処置は、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、約25mg~約4000mgの範囲の固定用量である有効量で哺乳動物に投与することによる。固定用量は、好ましくは、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgまたは約300mgである。好ましくは、固定用量は、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約2000mg、約3000mgまたは約4000mgである。
【0043】
当業者であれば、様々な経路による投与にとって好適なPPSおよびPPS組成物を、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21 st Edition; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005などの本分野における標準的な教科書を参照して製剤化することができることを認識するであろう。これらの組成物は、注射、経口(消化管薬物吸収拡張剤および増強剤を含有する錠剤およびカプセル剤を含む)、静脈内などによるものを含む。
【0044】
好ましくは、処置は、注射の投与、局所投与、坐剤を介する、または経口投与による。処置は、好ましくは、注射の投与による。好ましくは、注射は、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、静脈内(IV)注射、関節内(IA)注射または関節周囲注射から選択される。処置は、好ましくは、皮下(SC)注射の投与による。好ましくは、皮下(SC)注射は、遅いSC注射である。
【0045】
好ましくは、ヒトへの投与は、1日1回、週2回、または週3回の処置レジメンで投薬することによる。ヒトへの投与は、好ましくは、週2回の処置レジメンで投薬することによる。好ましくは、ヒトへの投与は、投薬間が最小で3日および最大で4日で週2回の処置レジメンで投薬することによる。ヒトへの投与は、好ましくは、3週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる。好ましくは、ヒトへの投与は、6週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる。
【0046】
好ましくは、処置レジメンにおいて投与されるポリ硫酸化多糖類の総用量は、約200~4000mgである。
【0047】
処置は個体に適応させることができることが認識されるであろう。例えば、投薬量を、より重いか、またはより軽い体重の個体に応じて調整することができる。処置レジメンを、対象が経験する疼痛の重症度に応じて適応させることもできる。患者が高レベルの疼痛を経験している一部の例では、できるだけ早くPPSの治療負荷に達することが望ましい。これは、例えば、疼痛が解消するまで毎日、約1.0mg/kg以上のPPSの投与を必要としてもよい。
【0048】
投与が注射による場合、これは通常、看護師/医師によって臨床状況で実行される。当業者であれば、処置の成功の鍵は、組織病変の近くで最適な治療用量を達成するのに十分なPPSを対象に投与することであることを理解できる。PPSが結合組織に蓄積することは公知であるため、負荷を、経時的に、例えば、4~5日にわたって1kgあたり1mgのPPSの日用量を達成することができる。重症な慢性の症例について、対象は1年あたり1回を超える、おそらく、1年あたり2回または3回の処置経過を必要としてもよいことが予想される。
【0049】
安全性の観点から、より長期間にわたる、少ない投与頻度、より低用量の範囲(1~2mgのPPS/kgまたは約25~50mgの固定用量)が好ましい。これは、PPSが公知の抗凝固剤であり、任意の開放創の出血を促す可能性がある、より高用量(3mgのPPS/kgを超える、または約150~200mgの固定用量)を用いて基底APTを上昇させることができるためである。
【0050】
注射による投与が好ましいが、PPSの経口または局所製剤を、初期IMまたはSC PPS処置のためのフォローアップ(維持用量)として使用することができる。これは、経口投与にも適用可能である。IV輸注による投与のためには、1日に0.5~1mgのPPS/kgのより低用量が好ましい。
【0051】
本開示はまた、他の治療剤と、ポリ硫酸化多糖類との同時投与も企図する。他の治療剤を本発明の化合物と共に使用する場合、それらを、例えば、米医薬品便覧(PDR)に記載された量またはそうでなければ、当業者によって決定された量で使用することができる。
【0052】
任意の特定の患者のための特定の用量レベルおよび投薬量の頻度は、変化してもよく、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の様式および時間、排出の速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、ならびに療法を受ける宿主を含む様々な因子に依存することが理解されるであろう。例えば、大きい動物は、より大きい用量を必要とすることが理解される。例示のために、ウマのような大きい動物は、約4000mgの固定用量を必要とし得る。
【0053】
本開示の処置の好適性の決定を、イメージング技術の使用によって確立することができる。例えば、関節の状態、疾患または障害の診断を、MRIの使用による骨髄浮腫病変(BMEL)の診断によって実施することができる。
【0054】
骨髄浮腫病変
骨髄浮腫病変(BMEL)は、軟骨下骨に生じ、例えば、変形性関節症患者における疼痛([19]~[21])および軟骨変性([22]~[25])を含む症状の重症度を描くMRIによって検出される変化である。BMELは、一般的には、脂肪抑制プロトン密度またはT2加重シーケンスを使用して評価される。脂肪抑制T2加重および脂肪抑制プロトン密度加重シーケンスにおいて、BMELは、高強度シグナルとして出現する[26]。
【0055】
BMELと関連するMRIシグナルは、小柱微小骨折および骨髄内虚脱の領域での血液および間質液(浸潤マクロファージを含む)の濃度の増加から生じると考えられる[26]。空間分解能および多断面再構成の改善は、特に、軟骨のイメージングのための、3D高速回転エコーシーケンスの潜在的な役割を提供する[27]。
【0056】
これに関して、MRIを使用するBMELのアセスメントは、変形性膝関節症などの変形性関節症状態のモニタリングにかなりの関心がもたれるようになった。
【0057】
BMELおよび変形性膝関節症
変形性膝関節症を有する患者は、膝のMRI上でシグナル強度が増大した領域として出現するBMELを示し、確立された疾患では、BMELは、膝の疼痛[20]、変形性膝関節症のX線所見の進行[28]およびMRIに基づく軟骨損失([23]、[29])を含む疾患重症度および疾患進行と関連する。さらに、進行性変形性関節症では、BMELは、持続し、軟骨損失の関連する増加と共にサイズが拡大する可能性がより高い[23]。さらに、BMELの重症度は、膝関節形成術のリスクと相関することが示されている[30]。
【0058】
BMELと、疼痛および軟骨損失との強い関連から、関節疾患進行および例えば、変形性膝関節症における療法をモニタリングするためにこの構造的病変を標的とすることへの薬学的関心が高まっている([31]~[33])。したがって、MRIによるBMELのイメージングは関節に影響する状態、疾患または障害の診断のための道具になっただけでなく、臨床転帰の測定のための道具にもなった。
【0059】
本開示は、哺乳動物における疼痛の低減および/または臨床転帰としての哺乳動物における機能の改善を企図する。臨床転帰を、患者により報告される転帰測定手段を使用して測定することもできる。患者が報告した疼痛および/または機能的転帰を使用してもよい。これらのものとしては、疼痛に関する数値化スケール(NRS)[34];機能に関するリスホルム膝スコア[35];疼痛、症状、機能および生活の質に関する膝関節損傷と変形性関節症転帰スコア(KOOS)[36]が挙げられる。
【0060】
好ましくは、哺乳動物における疼痛は、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。術後関節痛は、好ましくは、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。好ましくは、さらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛は、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。術後関節痛およびさらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛は、好ましくは、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。
【0061】
好ましくは、ヒト患者における疼痛は、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に低減する。患者により報告される転帰測定手段は、好ましくは、評価尺度である。好ましくは、評価尺度は、本明細書に記載される数値化スケール(NRS)である。
【0062】
哺乳動物における機能は、好ましくは、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。好ましくは、哺乳動物の関節機能は、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。哺乳動物の膝関節機能は、好ましくは、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。
【0063】
好ましくは、ヒト患者における膝関節機能は、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に改善される。患者により報告される転帰測定手段は、好ましくは、本明細書に記載のリスホルム膝スコアである。
【0064】
好ましくは、骨髄浮腫病変の存在は、減少する。変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、好ましくは減少する。好ましくは、第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、減少する。好ましくは、骨髄浮腫病変の体積は、減少する。好ましくは、骨髄浮腫病変の減少は、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる。
【0065】
好ましくは、骨髄浮腫病変の存在は、解消する。変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、好ましくは解消する。好ましくは、第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、解消する。骨髄浮腫病変の解消は、好ましくは、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる。
【0066】
本開示は、哺乳動物における術後関節痛の処置のための、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物に関する。
【0067】
本開示は、哺乳動物における術後関節痛の処置における使用のための、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物に関する。
【0068】
本開示はまた、哺乳動物における術後関節痛の処置のための上記の組成物または哺乳動物における術後関節痛の処置における使用のための上記組成物であって、好ましくは、術後関節痛が少なくとも1つの関節におけるものである、組成物も企図する。少なくとも1つの関節は、好ましくは、足首、肘、指、股、膝、肩、および手首からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つの関節は、膝である。
【0069】
好ましくは、術後痛が、関節形成術の結果生じる。
【0070】
関節形成術は、好ましくは、関節全置換術である。好ましくは、関節全置換術は、足首関節全置換術、肘関節全置換術、指関節全置換術、股関節全置換術、膝関節全置換術、肩関節全置換術、および手首関節全置換術からなる群から選択される。関節全置換術は、好ましくは、膝関節全置換術である。
【0071】
関節形成術は、好ましくは、関節部分置換術である。好ましくは、関節部分置換術は、足首関節部分置換術、肘関節部分置換術、指関節部分置換術、股関節部分置換術、膝関節部分置換術、肩関節部分置換術、および手首関節部分置換術からなる群から選択される。関節部分置換術は、好ましくは、膝関節部分置換術である。
【0072】
好ましくは、術後関節痛は、急性疼痛、慢性疼痛、全身疼痛および持続痛からなる群から選択される。術後関節痛は、好ましくは、持続痛である。好ましくは、持続痛は、敗血性持続痛である。持続痛は、好ましくは、人工関節周囲骨折によって引き起こされる。
【0073】
好ましくは、持続痛は、無菌性持続痛である。無菌性持続痛は、好ましくは、関節内無菌性持続痛である。好ましくは、関節内無菌性持続痛は、無菌性の人工関節の緩み、人工関節の装着、不安定性、再発性関節血症、膝蓋骨トラッキング異常、腱断裂および凝りを含む群から選択される状態によって引き起こされる。無菌性持続痛は、好ましくは、関節外無菌性持続痛である。好ましくは、関節外無菌性持続痛は、関節外変形性関節症または関節外虚血壊死によって引き起こされる。
【0074】
好ましくは、哺乳動物は、術後関節痛に加えて、さらなる関節炎状態に罹患している。さらなる関節炎状態は、好ましくは、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される。好ましくは、さらなる関節炎状態は、関節リウマチである。さらなる関節炎状態は、好ましくは、変形性関節症である。好ましくは、変形性関節症は、変性変形性関節症である。さらなる関節炎状態は、好ましくは、術後痛によって影響される関節とは異なる第2の関節におけるものである。好ましくは、第2の関節は、1つの膝関節であり、術後痛によって影響される関節は、別の膝関節である。ヒト患者において、第2の膝関節は、好ましくは、左膝関節であり、術後痛によって影響される関節は、右膝関節である。
【0075】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸、コンドロイチンポリ硫酸、キトサンポリ硫酸、デルマタンポリ硫酸スロデキシド、デキストラン硫酸、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫酸化ビスアルドン酸アミド、スクロースオクタ硫酸、フコイダン-1、フコイダン-2、硫酸化ベータ-シクロデキストリン、硫酸化ガンマ-シクロデキストリンおよび限定されるものではないが、イノシトール六硫酸を含む低分子硫酸化化合物からなる群から選択される。
【0076】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される。
【0077】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される。
【0078】
好ましくは、ペントサンポリ硫酸(PPS)は、ペントサンポリ硫酸のナトリウム塩(NaPPS)、ペントサンポリ硫酸のマグネシウム塩(MgPPS)、ペントサンポリ硫酸のカルシウム塩(CaPPS)、およびペントサンポリ硫酸の亜鉛塩(ZnPPS)からなる群から選択される。
【0079】
好ましくは、ペントサンポリ硫酸(PPS)は、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(NaPPS)である。
【0080】
1つの好ましい実施形態では、NaPPSは、Bene-PharmaChem GmbH & Co KG、Geretsried、GermanyによってUS FDAおよびEuropean Community EMEAに提出された明細書に従って製造される。
【0081】
好ましくは、処置は、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、用量あたり、哺乳動物1kgあたり、約0.5~約2mgの有効量で哺乳動物に投与することによる。有効量は、好ましくは、用量あたり、哺乳動物1kgあたり、約0.5~約1mg;約1.0~約1.5mgまたは約1.5~約2.0mgの範囲にある。好ましくは、有効量は、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5mg、約1.0mgまたは約2.0mgである。有効量は、好ましくは、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約2mgである。
【0082】
好ましくは、処置は、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、約25mg~約4000mgの範囲の固定用量である有効量で哺乳動物に投与することによる。固定用量は、好ましくは、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgまたは約300mgである。好ましくは、固定用量は、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約2000mg、約3000mgまたは約4000mgである。
【0083】
好ましくは、処置は、注射の投与、局所投与、坐剤を介する、または経口投与による。処置は、好ましくは、注射の投与による。好ましくは、注射は、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、静脈内(IV)注射、関節内(IA)注射または関節周囲注射から選択される。処置は、好ましくは、皮下(SC)注射の投与による。好ましくは、皮下(SC)注射は、遅いSC注射である。
【0084】
好ましくは、ヒトへの投与は、1日1回、週2回、または週3回の処置レジメンで投薬することによる。ヒトへの投与は、好ましくは、週2回の処置レジメンで投薬することによる。好ましくは、ヒトへの投与は、投薬間が最小で3日および最大で4日で週2回の処置レジメンで投薬することによる。ヒトへの投与は、好ましくは、3週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる。好ましくは、ヒトへの投与は、6週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる。
【0085】
好ましくは、処置レジメンにおいて投与されるポリ硫酸化多糖類の総用量は、約200~4000mgである。
【0086】
好ましくは、哺乳動物における疼痛は、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。術後関節痛は、好ましくは、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。好ましくは、さらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛は、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。術後関節痛およびさらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛は、好ましくは、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。
【0087】
好ましくは、ヒト患者における疼痛は、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に低減する。患者により報告される転帰測定手段は、好ましくは、評価尺度である。好ましくは、評価尺度は、本明細書に記載される数値化スケール(NRS)である。
【0088】
哺乳動物における機能は、好ましくは、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。好ましくは、哺乳動物の関節機能は、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。哺乳動物の膝関節機能は、好ましくは、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。
【0089】
好ましくは、ヒト患者における膝関節機能は、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に改善される。患者により報告される転帰測定手段は、好ましくは、本明細書に記載のリスホルム膝スコアである。
【0090】
好ましくは、骨髄浮腫病変の存在は、減少する。変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、好ましくは減少する。好ましくは、第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、減少する。好ましくは、骨髄浮腫病変の体積は、減少する。好ましくは、骨髄浮腫病変の減少は、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる。
【0091】
好ましくは、骨髄浮腫病変の存在は、解消する。変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、好ましくは解消する。好ましくは、第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、解消する。骨髄浮腫病変の解消は、好ましくは、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる。
【0092】
本開示は、哺乳動物における術後関節痛の処置における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用に関する。
【0093】
本開示は、哺乳動物における術後関節痛の処置のための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用に関する。
【0094】
本開示はまた、哺乳動物における術後関節痛の処置における、ポリ硫酸化多糖類もしくはその許容される塩の使用または哺乳動物における術後関節痛の処置のための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖類もしくはその許容される塩の使用であって、好ましくは、術後関節痛が少なくとも1つの関節におけるものである、使用も企図する。少なくとも1つの関節は、好ましくは、足首、肘、指、股、膝、肩、および手首からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つの関節は、膝である。
【0095】
好ましくは、術後関節痛が、関節形成術の結果生じる。
【0096】
関節形成術は、好ましくは、関節全置換術である。好ましくは、関節全置換術は、足首関節全置換術、肘関節全置換術、指関節全置換術、股関節全置換術、膝関節全置換術、肩関節全置換術、および手首関節全置換術からなる群から選択される。関節全置換術は、好ましくは、膝関節全置換術である。
【0097】
関節形成術は、好ましくは、関節部分置換術である。好ましくは、関節部分置換術は、足首関節部分置換術、肘関節部分置換術、指関節部分置換術、股関節部分置換術、膝関節部分置換術、肩関節部分置換術、および手首関節部分置換術からなる群から選択される。関節部分置換術は、好ましくは、膝関節部分置換術である。
【0098】
好ましくは、術後痛は、急性疼痛、慢性疼痛、全身疼痛および持続痛からなる群から選択される。術後関節痛は、好ましくは持続痛である。好ましくは、持続痛は、敗血性持続痛である。持続痛は、好ましくは、人工関節周囲骨折によって引き起こされる。
【0099】
好ましくは、持続痛は、無菌性持続痛である。無菌性持続痛は、好ましくは、関節内無菌性持続痛である。好ましくは、関節内無菌性持続痛は、無菌性の人工関節の緩み、人工関節の装着、不安定性、再発性関節血症、膝蓋骨トラッキング異常、腱断裂および凝りを含む群から選択される状態によって引き起こされる。無菌性持続痛は、好ましくは、関節外無菌性持続痛である。好ましくは、関節外無菌性持続痛は、関節外変形性関節症または関節外虚血壊死によって引き起こされる。
【0100】
好ましくは、哺乳動物は、術後関節痛に加えて、さらなる関節炎状態に罹患している。さらなる関節炎状態は、好ましくは、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される。好ましくは、さらなる関節炎状態は、関節リウマチである。さらなる関節炎状態は、好ましくは、変形性関節症である。好ましくは、変形性関節症は、変性変形性関節症である。さらなる関節炎状態は、好ましくは、術後痛によって影響される関節とは異なる第2の関節におけるものである。好ましくは、第2の関節は、1つの膝関節であり、術後痛によって影響される関節は、別の膝関節である。ヒト患者において、第2の膝関節は、好ましくは、左膝関節であり、術後痛によって影響される関節は、右膝関節である。
【0101】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸、コンドロイチンポリ硫酸、キトサンポリ硫酸、デルマタンポリ硫酸スロデキシド、デキストラン硫酸、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫酸化ビスアルドン酸アミド、スクロースオクタ硫酸、フコイダン-1、フコイダン-2、硫酸化ベータ-シクロデキストリン、硫酸化ガンマ-シクロデキストリンおよび限定されるものではないが、イノシトール六硫酸を含む低分子硫酸化化合物からなる群から選択される。
【0102】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される。
【0103】
好ましくは、ポリ硫酸化多糖類は、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される。
【0104】
好ましくは、ペントサンポリ硫酸(PPS)は、ペントサンポリ硫酸のナトリウム塩(NaPPS)、ペントサンポリ硫酸のマグネシウム塩(MgPPS)、ペントサンポリ硫酸のカルシウム塩(CaPPS)、およびペントサンポリ硫酸の亜鉛塩(ZnPPS)からなる群から選択される。
【0105】
好ましくは、ペントサンポリ硫酸(PPS)は、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(NaPPS)である。
【0106】
1つの好ましい実施形態では、NaPPSは、Bene-PharmaChem GmbH & Co KG、Geretsried、GermanyによってUS FDAおよびEuropean Community EMEAに提出された明細書に従って製造される。
【0107】
好ましくは、処置は、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、用量あたり、哺乳動物1kgあたり、約0.5~約2mgの有効量で哺乳動物に投与することによる。有効量は、好ましくは、用量あたり、哺乳動物1kgあたり、約0.5~約1mg;約1.0~約1.5mgまたは約1.5~約2.0mgの範囲にある。好ましくは、有効量は、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5mg、約1.0mgまたは約2.0mgである。有効量は、好ましくは、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約2mgである。
【0108】
好ましくは、処置は、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、約25mg~約4000mgの範囲の固定用量である有効量で哺乳動物に投与することによる。固定用量は、好ましくは、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgまたは約300mgである。好ましくは、固定用量は、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約2000mg、約3000mgまたは約4000mgである。
【0109】
好ましくは、処置は、注射の投与、局所投与、坐剤を介する、または経口投与による。処置は、好ましくは、注射の投与による。好ましくは、注射は、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、静脈内(IV)注射、関節内(IA)注射または関節周囲注射から選択される。処置は、好ましくは、皮下(SC)注射の投与による。好ましくは、皮下(SC)注射は、遅いSC注射である。
【0110】
好ましくは、ヒトへの投与は、1日1回、週2回、または週3回の処置レジメンで投薬することによる。ヒトへの投与は、好ましくは、週2回の処置レジメンで投薬することによる。好ましくは、ヒトへの投与は、投薬間が最小で3日および最大で4日で週2回の処置レジメンで投薬することによる。ヒトへの投与は、好ましくは、3週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる。好ましくは、ヒトへの投与は、6週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる。
【0111】
好ましくは、処置レジメンにおいて投与されるポリ硫酸化多糖類の総用量は、約200~4000mgである。
【0112】
好ましくは、哺乳動物における疼痛は、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。術後関節痛は、好ましくは、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。好ましくは、さらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛は、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。術後関節痛およびさらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛は、好ましくは、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する。
【0113】
好ましくは、ヒト患者における疼痛は、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に低減する。患者により報告される転帰測定手段は、好ましくは、評価尺度である。好ましくは、評価尺度は、本明細書に記載される数値化スケール(NRS)である。
【0114】
哺乳動物における機能は、好ましくは、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。好ましくは、哺乳動物の関節機能は、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。哺乳動物の膝関節機能は、好ましくは、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される。
【0115】
好ましくは、ヒト患者における膝関節機能は、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に改善される。患者により報告される転帰測定手段は、好ましくは、本明細書に記載のリスホルム膝スコアである。
【0116】
好ましくは、骨髄浮腫病変の存在は、減少する。変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、好ましくは減少する。好ましくは、第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、減少する。好ましくは、骨髄浮腫病変の体積は、減少する。好ましくは、骨髄浮腫病変の減少は、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる。
【0117】
好ましくは、骨髄浮腫病変の存在は、解消する。変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、好ましくは解消する。好ましくは、第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在は、解消する。骨髄浮腫病変の解消は、好ましくは、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる。
【0118】
例示的実施形態
1.哺乳動物における術後関節痛の処置のための方法であって、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【0119】
2.術後関節痛が少なくとも1つの関節におけるものである、例示的実施形態1に記載の方法。
【0120】
3.少なくとも1つの関節が、足首、肘、指、股、膝、肩、および手首からなる群から選択される、例示的実施形態2に記載の方法。
【0121】
4.少なくとも1つの関節が膝である、例示的実施形態3に記載の方法。
【0122】
5.術後痛が関節形成術の結果生じる、例示的実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
6.関節形成術が関節全置換術である、例示的実施形態5に記載の方法。
【0124】
7.関節全置換術が、足首関節全置換術、肘関節全置換術、指関節全置換術、股関節全置換術、膝関節全置換術、肩関節全置換術、および手首関節全置換術からなる群から選択される、例示的実施形態6に記載の方法。
【0125】
8.関節形成術が膝関節全置換術である、例示的実施形態7に記載の方法。
【0126】
9.関節形成術が関節部分置換術である、例示的実施形態5に記載の方法。
【0127】
10.関節部分置換術が、足首関節部分置換術、肘関節部分置換術、指関節部分置換術、股関節部分置換術、膝関節部分置換術、肩関節部分置換術、および手首関節部分置換術からなる群から選択される、例示的実施形態9に記載の方法。
【0128】
11.関節部分置換術が、膝関節部分置換術である、例示的実施形態10に記載の方法。
【0129】
12.術後関節痛が、急性疼痛、慢性疼痛、全身疼痛および持続痛からなる群から選択される、例示的実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
13.術後関節痛が、持続痛である、例示的実施形態12に記載の方法。
【0131】
14.持続痛が、敗血性持続痛である、例示的実施形態13に記載の方法。
【0132】
15.持続痛が、人工関節周囲骨折によって引き起こされる、例示的実施形態13に記載の方法。
【0133】
16.持続痛が、無菌性持続痛である、例示的実施形態13に記載の方法。
【0134】
17.無菌性持続痛が、関節内無菌性持続痛である、例示的実施形態16に記載の方法。
【0135】
18.関節内無菌性持続痛が、無菌性の人工関節の緩み、人工関節の装着、不安定性、再発性関節血症、膝蓋骨トラッキング異常、腱断裂および凝りを含む群から選択される状態によって引き起こされる、例示的実施形態17に記載の方法。
【0136】
19.無菌性持続痛が、関節外無菌性持続痛である、例示的実施形態16に記載の方法。
【0137】
20.関節外無菌性持続痛が、関節外変形性関節症または関節外虚血壊死によって引き起こされる、例示的実施形態19に記載の方法。
【0138】
21.哺乳動物が、術後関節痛に加えて、さらなる関節炎状態に罹患している、例示的実施形態1から20のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
22.さらなる関節炎状態が、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される、例示的実施形態21に記載の方法。
【0140】
23.さらなる関節炎状態が、関節リウマチである、例示的実施形態22に記載の方法。
【0141】
24.さらなる関節炎状態が、変形性関節症である、例示的実施形態22に記載の方法。
【0142】
25.変形性関節症が、変性変形性関節症である、例示的実施形態24に記載の方法。
【0143】
26.さらなる関節炎状態が、術後痛によって影響される関節とは異なる第2の関節におけるものである、例示的実施形態21から25のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
27.第2の関節が、1つの膝関節であり、術後痛によって影響される関節が、別の膝関節である、例示的実施形態26に記載の方法。
【0145】
28.ヒト患者において、第2の膝関節が、左膝関節であり、術後痛によって影響される関節が、右膝関節である、例示的実施形態27に記載の方法。
【0146】
29.ポリ硫酸化多糖類が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸、コンドロイチンポリ硫酸、キトサンポリ硫酸、デルマタンポリ硫酸スロデキシド、デキストラン硫酸、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫酸化ビスアルドン酸アミド、スクロースオクタ硫酸、フコイダン-1、フコイダン-2、硫酸化ベータシクロデキストリン、硫酸化ガンマシクロデキストリンおよび限定されるものではないが、イノシトール六硫酸を含む低分子硫酸化化合物からなる群から選択される、例示的実施形態1から28のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
30.ポリ硫酸化多糖類が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される、例示的実施形態29に記載の方法。
【0148】
31.ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸のナトリウム塩(NaPPS)、ペントサンポリ硫酸のマグネシウム塩(MgPPS)、ペントサンポリ硫酸のカルシウム塩(CaPPS)、およびペントサンポリ硫酸の亜鉛塩(ZnPPS)からなる群から選択される、例示的実施形態30に記載の方法。
【0149】
32.ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(NaPPS)である、例示的実施形態31に記載の方法。
【0150】
33.処置が、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5~約2mgの有効量で哺乳動物に投与することによる、例示的実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
34.有効量が、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5~約1mg、約1.0~約1.5mgまたは約1.5~約2.0mgの範囲にある、例示的実施形態33に記載の方法。
【0152】
35.有効量が、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5mg、約1.0mgまたは約2.0mgである、例示的実施形態33に記載の方法。
【0153】
36.有効量が、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約2mgである、例示的実施形態33に記載の方法。
【0154】
37.処置が、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、約25mg~約4000mgの範囲の固定用量である有効量で哺乳動物に投与することによる、例示的実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
38.固定用量が、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgまたは約300mgである、例示的実施形態37に記載の方法。
【0156】
39.固定用量が、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約2000mg、約3000mgまたは約4000mgである、例示的実施形態37に記載の方法。
【0157】
40.処置が、注射の投与、局所投与、坐剤を介する、または経口投与による、例示的実施形態1から39のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
41.処置が、注射の投与による、例示的実施形態40に記載の方法。
【0159】
42.注射が、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、静脈内(IV)注射、関節内(IA)注射または関節周囲注射から選択される、例示的実施形態41に記載の方法。
【0160】
43.処置が、皮下注射の投与または遅い皮下(SC)注射の投与による、例示的実施形態42に記載の方法。
【0161】
44.ヒトへの投与が、1日1回、週2回または週3回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態40から43のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
45.ヒトへの投与が、週2回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態44に記載の方法。
【0163】
46.ヒトへの投与が、投薬間が最小で3日および最大で4日で週2回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態45に記載の方法。
【0164】
47.ヒトへの投与が、3週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる、または6週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態46に記載の方法。
【0165】
48.処置レジメンで投与されるポリ硫酸化多糖類の総用量が、約200~約4000mgである、例示的実施形態47に記載の方法。
【0166】
49.哺乳動物における疼痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態1から48のいずれかに記載の方法。
【0167】
50.術後関節痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態49に記載の方法。
【0168】
51.さらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態49に記載の方法。
【0169】
52.術後関節痛およびさらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態49に記載の方法。
【0170】
53.ヒト患者における疼痛が、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に低減する、例示的実施形態49から52のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
54.患者により報告される転帰測定手段が、評価尺度である、例示的実施形態53に記載の方法。
【0172】
55.評価尺度が、本明細書に記載の数値化スケール(NRS)である、例示的実施形態54に記載の方法。
【0173】
56.哺乳動物における機能が、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される、例示的実施形態1から55のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
57.哺乳動物の関節機能が、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される、例示的実施形態56に記載の方法。
【0175】
58.哺乳動物の膝関節機能が、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される、例示的実施形態57に記載の方法。
【0176】
59.ヒト患者における膝関節機能が、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に改善される、例示的実施形態58に記載の方法。
【0177】
60.患者により報告される転帰測定手段が、本明細書に記載のリスホルム膝スコアである、例示的実施形態59に記載の方法。
【0178】
61.骨髄浮腫病変の存在が減少する、例示的実施形態1から60のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
62.変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が減少する、例示的実施形態61に記載の方法。
【0180】
63.第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が減少する、例示的実施形態62に記載の方法。
【0181】
64.骨髄浮腫病変の体積が減少する、例示的実施形態61から63のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
65.骨髄浮腫病変の減少が、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる、例示的実施形態64に記載の方法。
【0183】
66.骨髄浮腫病変の存在が解消する、例示的実施形態1から60のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
67.変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が解消する、例示的実施形態66に記載の方法。
【0185】
68.第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が解消する、例示的実施形態67に記載の方法。
【0186】
69.骨髄浮腫病変の解消が、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる、例示的実施形態66から68のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
70.哺乳動物における術後関節痛の処置のための、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物。
【0188】
71.哺乳動物における術後関節痛の処置における使用のための、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩と、許容される賦形剤とを含む組成物。
【0189】
72.哺乳動物における術後関節痛の処置における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用。
【0190】
73.哺乳動物における術後関節痛の処置のための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用。
【0191】
74.術後関節痛が、少なくとも1つの関節におけるものである、例示的実施形態70もしくは例示的実施形態71に記載の組成物または例示的実施形態72もしくは例示的実施形態73に記載の使用。
【0192】
75.少なくとも1つの関節が、足首、肘、指、股、膝、肩、および手首からなる群から選択される、例示的実施形態74に記載の組成物または使用。
【0193】
76.少なくとも1つの関節が膝である、例示的実施形態75に記載の組成物または使用。
【0194】
77.術後痛が関節形成術の結果生じる、例示的実施形態70から76のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【0195】
78.関節形成術が関節全置換術である、例示的実施形態77に記載の組成物または使用。
【0196】
79.関節全置換術が、足首関節全置換術、肘関節全置換術、指関節全置換術、股関節全置換術、膝関節全置換術、肩関節全置換術、および手首関節全置換術からなる群から選択される、例示的実施形態78に記載の組成物または使用。
【0197】
80.関節全置換術が、膝関節全置換術である、例示的実施形態79に記載の組成物または使用。
【0198】
81.関節形成術が、関節部分置換術である、例示的実施形態77に記載の組成物または使用。
【0199】
82.関節部分置換術が、足首関節部分置換術、肘関節部分置換術、指関節部分置換術、股関節部分置換術、膝関節部分置換術、肩関節部分置換術、および手首関節部分置換術からなる群から選択される、例示的実施形態81に記載の組成物または使用。
【0200】
83.関節部分置換術が、膝関節部分置換術である、例示的実施形態82に記載の組成物または使用。
【0201】
84.術後関節痛が、急性疼痛、慢性疼痛、全身疼痛および持続痛からなる群から選択される、例示的実施形態70から83のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【0202】
85.術後関節痛が、持続痛である、例示的実施形態84に記載の組成物または使用。
【0203】
86.持続痛が、敗血性持続痛である、例示的実施形態85に記載の組成物または使用。
【0204】
87.持続痛が、人工関節周囲骨折によって引き起こされる、例示的実施形態85に記載の組成物または使用。
【0205】
88.持続痛が、無菌性持続痛である、例示的実施形態85に記載の組成物または使用。
【0206】
89.無菌性持続痛が、関節内無菌性持続痛である、例示的実施形態88に記載の組成物または使用。
【0207】
90.関節内無菌性持続痛が、無菌性の人工関節の緩み、人工関節の装着、不安定性、再発性関節血症、膝蓋骨トラッキング異常、腱断裂および凝りを含む群から選択される状態によって引き起こされる、例示的実施形態89に記載の組成物または使用。
【0208】
91.無菌性持続痛が、関節外無菌性持続痛である、例示的実施形態90に記載の組成物または使用。
【0209】
92.関節外無菌性持続痛が、関節外変形性関節症または関節外虚血壊死によって引き起こされる、例示的実施形態91に記載の組成物または使用。
【0210】
93.哺乳動物が、術後関節痛に加えて、さらなる関節炎状態に罹患している、例示的実施形態1から92のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【0211】
94.さらなる関節炎状態が、関節リウマチまたは変形性関節症から選択される、例示的実施形態93に記載の組成物または使用。
【0212】
95.さらなる関節炎状態が、関節リウマチである、例示的実施形態94に記載の組成物または使用。
【0213】
96.さらなる関節炎状態が、変形性関節症である、例示的実施形態94に記載の組成物または使用。
【0214】
97.変形性関節症が、変性変形性関節症である、例示的実施形態96に記載の組成物または使用。
【0215】
98.さらなる関節炎状態が、術後痛によって影響される関節とは異なる第2の関節におけるものである、例示的実施形態93から97のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【0216】
99.第2の関節が、1つの膝関節であり、術後痛によって影響される関節が、別の膝関節である、例示的実施形態98に記載の組成物または使用。
【0217】
100.ヒト患者において、第2の膝関節が、左膝関節であり、術後痛によって影響される関節が、右膝関節である、例示的実施形態99に記載の組成物または使用。
【0218】
101.ポリ硫酸化多糖類が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸、コンドロイチンポリ硫酸、キトサンポリ硫酸、デルマタンポリ硫酸スロデキシド、デキストラン硫酸、ポリ硫酸化イヌリン、硫酸化ラクトビオン酸アミド、硫酸化ビスアルドン酸アミド、スクロースオクタ硫酸、フコイダン-1、フコイダン-2、硫酸化ベータシクロデキストリン、硫酸化ガンマシクロデキストリンおよび限定されるものではないが、イノシトール六硫酸を含む低分子硫酸化化合物からなる群から選択される、例示的実施形態70から100のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態72から100のいずれか1つに記載の使用。
【0219】
102.ポリ硫酸化多糖類が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される、例示的実施形態101に記載の組成物または使用。
【0220】
103.ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸のナトリウム塩(NaPPS)、ペントサンポリ硫酸のマグネシウム塩(MgPPS)、ペントサンポリ硫酸のカルシウム塩(CaPPS)、およびペントサンポリ硫酸の亜鉛塩(ZnPPS)からなる群から選択される、例示的実施形態102に記載の組成物または使用。
【0221】
104.ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(NaPPS)である、例示的実施形態103に記載の組成物または使用。
【0222】
105.処置が、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5~約2mgの有効量で哺乳動物に投与することによる、例示的実施形態70から104のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態72から104のいずれか1つに記載の使用。
【0223】
106.有効量が、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5~約1mg、約1.0~約1.5mgまたは約1.5~約2.0mgの範囲にある、例示的実施形態105に記載の組成物または使用。
【0224】
107.有効量が、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約0.5mg、約1.0mgまたは約2.0mgである、例示的実施形態105に記載の組成物または使用。
【0225】
108.有効量が、用量あたり、哺乳動物1kgあたり約2mgである、例示的実施形態105に記載の組成物または使用。
【0226】
109.処置が、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を、約25mg~約4000mgの範囲の固定用量である有効量で哺乳動物に投与することによる、例示的実施形態70から104のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態72から104のいずれか1つに記載の使用。
【0227】
110.固定用量が、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgまたは約300mgである、例示的実施形態109に記載の組成物または使用。
【0228】
111.固定用量が、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約2000mg、約3000mgまたは約4000mgである、例示的実施形態109に記載の組成物または使用。
【0229】
112.処置が、注射の投与、局所投与、坐剤を介する、または経口投与による、例示的実施形態70から111のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態74から111のいずれか1つに記載の使用。
【0230】
113.処置が、注射の投与による、例示的実施形態112に記載の組成物または使用。
【0231】
114.注射が、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、静脈内(IV)注射、関節内(IA)注射または関節周囲注射から選択される、例示的実施形態113に記載の組成物または使用。
【0232】
115.処置が、皮下注射の投与または遅い皮下(SC)注射の投与による、例示的実施形態114に記載の組成物または使用。
【0233】
116.ヒトへの投与が、1日1回、週2回または週3回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態112から115のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【0234】
117.ヒトへの投与が、週2回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態116に記載の組成物または使用。
【0235】
118.ヒトへの投与が、投薬間が最小で3日および最大で4日で週2回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態117に記載の組成物または使用。
【0236】
119.ヒトへの投与が、3週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる、または6週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる、例示的実施形態118に記載の組成物または使用。
【0237】
120.処置レジメンで投与されるポリ硫酸化多糖類の総用量が、約200~約4000mgである、例示的実施形態119に記載の組成物または使用。
【0238】
121.哺乳動物における疼痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態70から120のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態72から120のいずれか1つに記載の使用。
【0239】
122.術後関節痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態121に記載の組成物または使用。
【0240】
123.さらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態121に記載の組成物または使用。
【0241】
124.術後関節痛およびさらなる関節炎状態に罹患する第2の関節における疼痛が、疼痛スコアリング法によって決定された場合に低減する、例示的実施形態121に記載の組成物または使用。
【0242】
125.ヒト患者における疼痛が、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に低減する、例示的実施形態121から124のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【0243】
126.患者により報告される転帰測定手段が、評価尺度である、例示的実施形態125に記載の組成物または使用。
【0244】
127.評価尺度が、本明細書に記載の数値化スケール(NRS)である、例示的実施形態126に記載の組成物または使用。
【0245】
128.哺乳動物における機能が、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される、例示的実施形態70から127のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態72から127のいずれか1つに記載の使用。
【0246】
129.哺乳動物の関節機能が、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される、例示的実施形態128に記載の組成物または使用。
【0247】
130.哺乳動物の膝関節機能が、機能スコアリング法によって決定された場合に改善される、例示的実施形態129に記載の組成物または使用。
【0248】
131.ヒト患者における膝関節機能が、患者により報告される転帰測定手段を使用することによって決定された場合に改善される、例示的実施形態130に記載の組成物または使用。
【0249】
132.患者により報告される転帰測定手段が、本明細書に記載のリスホルム膝スコアである、例示的実施形態131に記載の組成物または使用。
【0250】
133.骨髄浮腫病変の存在が減少する、例示的実施形態70から132のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態72から132のいずれか1つに記載の使用。
【0251】
134.変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が減少する、例示的実施形態133に記載の組成物または使用。
【0252】
135.第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が減少する、例示的実施形態134に記載の組成物または使用。
【0253】
136.骨髄浮腫病変の体積が減少する、例示的実施形態133から135のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【0254】
137.骨髄浮腫病変の減少が、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる、例示的実施形態136に記載の組成物または使用。
【0255】
138.骨髄浮腫病変の存在が解消する、例示的実施形態70から132のいずれか1つに記載の組成物または例示的実施形態72から132のいずれか1つに記載の使用。
【0256】
139.変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が解消する、例示的実施形態138に記載の組成物または使用。
【0257】
140.第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が解消する、例示的実施形態139に記載の組成物または使用。
【0258】
141.骨髄浮腫病変の解消が、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされる、例示的実施形態139から140のいずれか1つに記載の組成物または使用。
【実施例】
【0259】
[実施例1]
左膝変形性関節症に罹患している、および右膝関節全置換術後の持続痛に罹患している患者における疼痛および機能の臨床転帰に対するPPSの効果
実施例1は、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされた、骨髄浮腫病変(BMEL)を有する左膝における変性変形性関節症に罹患している、および右膝関節全置換術後の持続痛に罹患している、PPSで処置された患者の安全性試験、許容性および結果である。
【0260】
患者を、TGA Special Access Scheme(B)の下でPPSで処置した(注射型のPPSはオーストラリアにおける登録された製品ではないため、患者のための処置としてPPSを使用するための認可は、Special Access Scheme(SAS)の下でDepartment of Health-Therapeutic Goods Administration、Australian Governmentから獲得された)。
【0261】
約60歳の女性患者は、その右膝に末期変形性関節症(OA)を有していた。彼女は、右膝に膝関節全置換術(TKR)を受け、その関節置換術後に由来する無菌性持続痛を有していた。彼女はまた、その左膝にも疼痛を有し(変性変形性関節症)、その関節にもTKRを受けるよう勧められていた。
【0262】
彼女を、PPSで処置した。処置レジメンは、皮下注射により3週間にわたって週に2回(合計6回の注射)、2mg/kg体重の好ましい用量でのPPSの投与からなっていた。
【0263】
彼女の左(天然)関節は、数値化スケール(NRS)疼痛スコアについては8/10から0/10に、リスホルム膝機能スコアについては58/100(まずまず)から99/100(優れた)になり、および磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされた場合、骨髄浮腫病変サイズの減少がもたらされた。処置前のMRI(ベースライン時):最大3分の2の骨髄浮腫ステージ;20mm未満の中等度の骨髄浮腫病変サイズを示した。処置後のMRI(PPS後):無視できる程度の骨髄浮腫ステージ;5mm未満の最小限の骨髄浮腫病変サイズを示した。
【0264】
左膝の変形性関節症に関するこの単回全身処置の後、右の人工関節における無菌性の持続痛も弱まり/止まり、ゼロになった。右膝における疼痛応答の改善は同時に起こり、左膝の改善に関しては即時的であった。右膝における疼痛応答の改善は、左膝における改善の結果ではなく、リハビリテーションと関連するものでもなく、左膝における改善の代償でもないことがさらに観察された。
【0265】
まとめると、試験における患者は以下の特徴を有していた:
・高いNRS疼痛スコア
・リスホルム膝スコアによって決定された場合、まずまずの関節機能
・骨髄浮腫病変のMRIによる証拠。
【0266】
プロトコールは以下のことを特徴としていた:
・処置レジメン:3週間にわたるPPS(好ましい用量は2mg/kg)の週2回の皮下注射(合計6回の注射)。
【0267】
BMELアセスメント、ならびに疼痛および機能転帰スコアを含む臨床転帰を、表1に示す。
【0268】
【0269】
表1の凡例
数値化スケール(NRS)[34]は、11点の尺度である(0~10)。疼痛なしの状態は0であり、想像できる最悪の疼痛は10である。
【0270】
リスホルム膝スコア[35]は、0~100の合計スコアであり、リスホルム膝評価法の8つの機能成分:足のひきずり(5点)、支援(5点)、固定(15点)、不安定性(25点)、疼痛(25点)、腫れ(10点)、階段上がり(10点)、およびスクワット(5点)からの結果に基づいて算出される。合計スコアは、以下のように評価カテゴリーに割り当てられる:95~100は優れた機能を示し、84~94は良好な機能を示し、65~83はまずまずの機能を示し、65未満は不十分な機能を示す。
【0271】
結論として、変性変形性関節症と関連する左膝の疼痛およびTKR後の右膝の無菌性持続痛に罹患している患者におけるTGA SAS(B)の下でのPPSの使用に関して有害事象は報告されなかった。
【0272】
3週間にわたる週2回のPPS(好ましい用量は2mg/kg)の皮下注射(合計6回の注射)は、磁気共鳴イメージングによりアセスメントした場合、明確に目に見えるBMELの減少、ならびに左膝関節の疼痛および運動スコアの改善をもたらした。
【0273】
驚くべきことに、右の人工膝関節における術後の無菌性持続痛も、弱まり/止まり、ゼロになった。右膝における疼痛応答の驚くべき改善は、左膝における改善の結果ではなく、リハビリテーションと関連するものでもなく、左膝における改善の代償でもなかった。
【0274】
当業者であれば、本開示の広い一般的範囲から逸脱することなく、上記の実施形態に対して多くの変形および/または改変を加えることができることを理解できるであろう。したがって、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定的なものではないと考えるべきである。
以下の態様を包含し得る。
[1] 哺乳動物における術後関節痛の処置のための方法であって、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩を前記哺乳動物に投与するステップを含む方法。
[2] 哺乳動物における術後関節痛の処置における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用。
[3] 哺乳動物における術後関節痛の処置のための医薬の製造における、ポリ硫酸化多糖類またはその許容される塩の使用。
[4] 前記術後関節痛が、足首、肘、指、股、膝、肩、および手首からなる群から選択される少なくとも1つの関節におけるものである、上記[1]に記載の方法または上記[2]もしくは[3]に記載の使用。
[5] 前記少なくとも1つの関節が膝である、上記[4]に記載の方法または使用。
[6] 前記術後痛が関節形成術の結果生じる、上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[7] 前記関節形成術が、足首関節全置換術、肘関節全置換術、指関節全置換術、股関節全置換術、膝関節全置換術、肩関節全置換術、手首関節全置換術、足首関節部分置換術、肘関節部分置換術、指関節部分置換術、股関節部分置換術、膝関節部分置換術、肩関節部分置換術、および手首関節部分置換術からなる群から選択される関節全置換術または関節部分置換術である、上記[6]に記載の方法または使用。
[8] 前記関節形成術が、膝関節全置換術または膝関節部分置換術である、上記[7]に記載の方法または使用。
[9] 前記術後関節痛が、急性疼痛、慢性疼痛、全身疼痛および持続痛からなる群から選択される、上記[1]から[8]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[10] 前記持続痛が、敗血性持続痛、人工関節周囲骨折によって引き起こされる持続痛、および無菌性持続痛からなる群から選択される、上記[9]に記載の方法または使用。
[11] 前記哺乳動物が、前記術後関節痛に加えてさらなる関節炎状態に罹患しており、前記さらなる関節炎状態が関節リウマチ、変形性関節症または変性変形性関節症である、上記[1]から[10]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[12] 前記さらなる関節炎状態が、変性変形性関節症である、上記[11]に記載の方法または使用。
[13] 前記さらなる関節炎状態が、前記術後痛によって影響される関節とは異なる第2の関節におけるものである、上記[11]または[12]に記載の方法または使用。
[14] 前記第2の関節が、1つの膝関節であり、前記術後痛によって影響される関節が、別の膝関節である、上記[13]に記載の方法または使用。
[15] ヒト患者において、前記第2の膝関節が、左膝関節であり、前記術後痛によって影響される関節が、右膝関節である、上記[14]に記載の方法または使用。
[16] 前記ポリ硫酸化多糖類が、高分子量ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパラン硫酸、ペントサンポリ硫酸(PPS)、コンドロイチンポリ硫酸およびキトサンポリ硫酸からなる群から選択される、上記[1]から[15]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[17] 前記ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸のナトリウム塩(NaPPS)、ペントサンポリ硫酸のマグネシウム塩(MgPPS)、ペントサンポリ硫酸のカルシウム塩(CaPPS)、およびペントサンポリ硫酸の亜鉛塩(ZnPPS)からなる群から選択される、上記[16]に記載の方法または使用。
[18] 前記ペントサンポリ硫酸(PPS)が、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(NaPPS)である、上記[17]に記載の方法または使用。
[19] 処置が、前記ポリ硫酸化多糖類またはその許容される前記塩を、用量あたり、前記哺乳動物1kgあたり約0.5~約2mg;約0.5~約1mg;約1.0~約1.5mgまたは約1.5~約2.0mgの有効量または約25mg~約4000mgの範囲の固定用量である有効量で前記哺乳動物に投与することによる、上記[1]から[18]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[20] 前記有効量が、用量あたり、前記哺乳動物1kgあたり約0.5mg、約1.0mgまたは約2.0mgである、上記[19]に記載の方法または使用。
[21] 前記有効量が、用量あたり、前記哺乳動物1kgあたり約2mgである、上記[20]に記載の方法または使用。
[22] 前記固定用量が、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約2000mg、約3000mgまたは約4000mgである、上記[19]に記載の方法または使用。
[23] 前記処置が、皮下(SC)注射、筋肉内(IM)注射、静脈内(IV)注射、関節内(IA)注射もしくは関節周囲注射の投与による;局所投与による;坐剤を介する、または経口投与による、上記[1]から[22]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[24] 前記処置が、皮下(SC)注射の投与による、上記[23]に記載の方法または使用。
[25] 前記皮下(SC)注射が、遅いSC注射である、上記[24]に記載の方法または使用。
[26] ヒトへの投与が、1日1回、週2回または週3回の処置レジメンで投薬することによる、上記[23]から[25]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[27] ヒトへの投与が、週2回の処置レジメンで投薬することによる、上記[26]に記載の方法または使用。
[28] ヒトへの投与が、投薬間が最小で3日および最大で4日で週2回の処置レジメンで投薬することによる、上記[27]に記載の方法または使用。
[29] ヒトへの投与が、3週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる、上記[28]に記載の方法または使用。
[30] ヒトへの投与が、6週間にわたって週2回の処置レジメンで投薬することによる、上記[28]に記載の方法または使用。
[31] 前記処置レジメンで投与されるポリ硫酸化多糖類の総用量が、約200~約4000mgである、上記[29]または[30]に記載の方法または使用。
[32] ヒト患者における疼痛が、本明細書に記載の数値化スケール(NRS)を使用することによって決定された場合に低減する、上記[1]から[31]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[33] ヒト患者における膝関節機能が、本明細書に記載のリスホルム膝スコアを使用することによって決定された場合に改善する、上記[1]から[32]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[34] 骨髄浮腫病変の存在が減少する、上記[1]から[33]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[35] 前記第2の関節における変形性関節症と関連する骨髄浮腫病変の存在が減少する、上記[13]から[31]のいずれか一項に記載の方法または使用。
[36] 骨髄浮腫病変の体積が、磁気共鳴イメージング(MRI)によってアセスメントされた場合に減少する、上記[34]または[35]に記載の方法。
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】