IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サハジャナンド メディカル テクノロジーズ プライベート リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-ステント 図1
  • 特許-ステント 図2
  • 特許-ステント 図3A
  • 特許-ステント 図3B
  • 特許-ステント 図4
  • 特許-ステント 図5
  • 特許-ステント 図6
  • 特許-ステント 図7A
  • 特許-ステント 図7B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/915 20130101AFI20231128BHJP
【FI】
A61F2/915
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2020552834
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 IB2019051717
(87)【国際公開番号】W WO2019186296
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】201821011999
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】319002795
【氏名又は名称】サハジャナンド メディカル テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAHAJANAND MEDICAL TECHNOLOGIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラクシミナラヤナン ラマナン
(72)【発明者】
【氏名】コタディア ディラジラリ ヴァラヴァヴァイ
(72)【発明者】
【氏名】カンパラ ブハウティク チャンドゥラル
(72)【発明者】
【氏名】シンガヴィ アブヒジェート
(72)【発明者】
【氏名】ナイク パース プラモドクマール
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09375810(US,B2)
【文献】特表2002-530146(JP,A)
【文献】特表2016-523145(JP,A)
【文献】特表2008-511423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0316508(US,A1)
【文献】特表2002-541910(JP,A)
【文献】特開2004-358242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/915
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状支持構造(102)を有する医療機器(100)であって、
前記管状支持構造(102)は、
その共通の長手方向軸に沿って連続して配置された複数のリングレット(202、204、206、208)であって、その各々が、周方向に沿って接続された複数のクラウン(210)から形成され、各クラウン(210)はV字状の構成で配置された2つの直線支柱(216)から形成された、複数のリングレット(202、204、206、208)と、
前記複数のリングレット(202、204、206、208)を接続するための複数の長尺状の接続要素(212)であって、その少なくとも1つが隣接するリングレット(202、204、206、208)を接続し、隣接するリングレット(202、204、206、208)を接続する連続した長尺状の接続要素(212)は径方向反射面に関して(about a radial plane of reflection)互いに鏡面反射を形成する、複数の長尺状の接続要素(212)と
を備え、
前記複数の長尺状の接続要素(212)のうちの少なくとも1つは、2つの長部(402)及び1つの短部(404)によりZ字状を形成するように構成され、
前記長部(402)は平行であり、
前記短部(404)は前記長部(402)と鈍角を形成しており、
前記鈍角は、管状支持構造(102)を圧縮又は拡張している間、変化しない、医療機器(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
前記複数の長尺状の接続要素(212)の各々は、隣接するリングレット(202、204、206、208)の谷部を接続する、医療機器(100)。
【請求項3】
請求項2に記載の医療機器(100)において、
前記複数の長尺状の接続要素(212)の各々は、隣接するリングレット(202、204、206、208)を、それらの間のオフセットで接続する、医療機器(100)。
【請求項4】
請求項に記載の医療機器(100)において、
前記鈍角は91~160°である、医療機器(100)。
【請求項5】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
隣接する前記リングレット(202、204、206、208)を接続するための複数の短い接続要素(214)をさらに備える、医療機器(100)。
【請求項6】
請求項に記載の医療機器(100)において、
複数の短い接続要素(214)の各々は、隣接するリングレット(202、204、206、208)の山部を接続する、医療機器(100)。
【請求項7】
請求項に記載の医療機器(100)において、
複数の短い接続要素(214)の各々は、隣接するリングレット(202、204、206、208)の一列に並んだ山部を接続する、医療機器(100)。
【請求項8】
請求項に記載の医療機器(100)において、
隣接する前記リングレット(202、204、206、208)は、前記複数の短い接続要素(214)のうちの1つ又は前記複数の長尺状の接続要素(212)のうちの1つを介して接続されている、医療機器(100)。
【請求項9】
請求項に記載の医療機器(100)において、
前記複数のリングレット(202、204、206、208)は、前記複数の短い接続要素(214)及び前記複数の長尺状の接続要素(212)によって交互に接続されている、医療機器(100)。
【請求項10】
請求項に記載の医療機器(100)において、
前記複数の長尺状の接続要素(212)のうちの1つの長尺状の接続要素(212)、及び前記複数の短い接続要素(214)のうちの1つの短い接続要素(214)は、共通のクラウンに接続されている、医療機器(100)。
【請求項11】
請求項に記載の医療機器(100)において、
前記クラウン(210)を形成する前記直線支柱(216)の各々、前記複数の長尺状の接続要素(212)の各々及び前記短い接続要素(214)の各々の、管状支持フレームの周方向で測った幅は、その長さに沿って一定である、医療機器(100)。
【請求項12】
請求項に記載の医療機器(100)において、
前記直線支柱(216)の各々、前記長尺状の接続要素(212)の各々及び前記短い接続要素(214)の各々の、管状支持フレームの径方向で測った厚さは、その長さに沿って一定である、医療機器(100)。
【請求項13】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
生体適合性材料のコーティングを備える、医療機器(100)。
【請求項14】
請求項13に記載の医療機器(100)において、
前記生体適合性材料は、薬剤溶出性の生体適合性材料である、医療機器(100)。
【請求項15】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
前記管状支持構造(102)は、ポリマー、金属、合金、非金属、生分解性材料、生体吸収性材料のうちの少なくとも1つからなる生体適合性材料で構成されている、医療機器(100)。
【請求項16】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
前記管状支持構造(102)は、クローズセル、オープンセル又はハイブリッド構成を有する、医療機器(100)。
【請求項17】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
各リングレット(202、204、206、208)は、約4~15個のクラウン(210)を備える、医療機器(100)。
【請求項18】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
前記管状支持構造(102)は、前記管状支持構造(102)の少なくとも1つの端部における少なくとも1つのアンカー部材(602)を備える、医療機器(100)。
【請求項19】
請求項18に記載の医療機器(100)において、
前記アンカー部材(602)は、放射線不透過性マーカを備える、医療機器(100)。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか1項に記載の医療機器(100)において、
前記管状支持構造(102)のアンカー部材(602)を収容するための周辺スロットを含むエンドストッパ(702)をさらに備える、医療機器(100)。
【請求項21】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
以下によって製造される、医療機器(100):
製造される前記医療機器(100)の設計を、設計機器に設定し、
前記医療機器(100)を製造するために、医学的に洗浄され及び承認されたワークピースへの前記設計のカービングを行い、
前記医療機器(100)の表面から材料を除去し、前記医療機器(100)を研磨することにより、前記医療機器(100)を仕上げる。
【請求項22】
請求項21に記載の医療機器(100)において、
完成した前記医療機器(100)をコーティングすることをさらに含む、医療機器(100)。
【請求項23】
請求項21に記載の医療機器(100)において、
前記ワークピースは、中空の円形チューブ、フィルム及びシートのうちの1つの形状である、医療機器(100)。
【請求項24】
請求項21に記載の医療機器(100)において、
前記カービングは、レーザー加工、化学エッチング、光化学エッチング及び放電加工のうちの少なくとも1つによってなされる、医療機器(100)。
【請求項25】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
前記医療機器(100)は、3D印刷技術及び積層造形の少なくとも1つによって製造される、医療機器(100)。
【請求項26】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
前記医療機器(100)は、動物又は人体の動脈、路(tract)、管(duct)及び任意の導管(conduit)のいずれか1つに関連する異常を治療する際に使用される、医療機器(100)。
【請求項27】
請求項1に記載の医療機器(100)において、
前記医療機器(100)は、大腿動脈、浅大腿動脈、膝窩動脈、脛骨動脈、膝動脈、大脳動脈、頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、橈骨動脈、上腕動脈、腋窩動脈、冠状動脈、末梢動脈、腸骨動脈、神経-動脈、静脈、胆管、尿路、消化管、気管気管支樹、中脳水道又は泌尿生殖器系に関連する異常を治療する際に使用される、医療機器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、大まかには、医療機器に関連し、特に、限定しないが、管腔内に配置するための医療機器に関連する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、生体適合性金属、生物安定性ポリマー、生分解性材料、非金属、生体吸収性材料又は形状記憶合金から構成された管状支持フレームである。ステントは、ヒト並びに霊長類、ウマ、ウシ、ブタ及びヒツジなどのヒト以外の動物の管腔に使用できる。生理学的に、ステントは、動脈、静脈、胆管、尿路、消化管、気管気管支樹、中脳水道又は泌尿生殖器系などのあらゆる管腔内の空間に配置でき、管腔内でバルーン拡張可能又は自己拡張可能であり得る。例えば、ステントは、管腔が崩壊するのを防ぐために、血管又は器官に配置され得る。したがって、一例では、ステントは、冠状動脈、浅大腿動脈、腸骨動脈などの動脈において、血管を狭窄部位で拡張し、血管壁を周方向に支持し、そうしなければ血流が妨げられる可能性がある、動脈の閉塞及び/又は狭窄を治療するために、使用され得る。
【0003】
ステントは、カテーテルベースの手順又は同様の介入手順を使用して、血管内領域の標的部位に配置される。ステントは、最初の収縮状態で標的部位に到達し、拡張されるか、場合によっては、配置の最終状態まで拡張される。その過程で、ステントは管腔の壁に対して管腔の内側でしっかりと固定され、管腔に径方向の支持を提供する。例えば、血管の場合、ステントは血管を詰まった状態から拡張し、それによって詰まった血管内の血流の回復を促進し、血管の弾性収縮及び崩壊を防ぐ。上記の例では、さらに、ステントはまた、内側層に沿った血管の局所的な解離を防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0004】
詳細な説明は、添付の図を参照して提供される。説明及び図は、本主題の単なる例であり、主題自体を表すことを意図するものではないことに留意されたい。
図1図1は、本主題の一実施形態に係る、収縮状態の医療機器の一部の詳細図である。
図2図2は、本主題の一実施形態に係る、医療機器の管状支持構造の拡大図である。
図3A図3Aは、本主題の一実施形態に係る、拡張された状態の医療機器の拡大斜視図である。
図3B図3Bは、本主題の一実施形態に係る、拡張された状態の医療機器の拡大斜視図である。
図4図4は、本主題の一実施形態に係る、管状支持構造に形成された接続の拡大図である。
図5図5は、本主題の別の実施形態に係る、医療機器の一部の詳細図である。
図6図6は、本主題の一実施形態に係る、医療機器の管状支持構造のアンカー部材を示す。
図7A図7Aは、本主題のさらに別の実施形態に係る、エンドストッパが取り付けられた管状支持構造を示す医療機器の一部の斜視図である。
図7B図7Bは、本主題のさらに別の実施形態に係る、エンドストッパが取り付けられた管状支持構造を示す医療機器の一部の斜視図である。
【0005】
図面全体を通して、同一の参照番号は、類似しているが必ずしも同一ではない要素を指す。図は必ずしも縮尺どおりではなく、一部のサイズは、示されている例をより明確に示すために拡大されている場合がある。さらに、図面は、説明と対応する例及び/又は実装を提供する。しかしながら、説明は、図面に提供された例及び/又は実装に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
一般に、ステントは、効果的な手術のための特定の固有の特性を有するように設計されている。例えば、ステントは、管腔内の曲がりくねった経路を進むために非常に柔軟である必要があり、管腔の石灰化病変を容易に押し通せるように、収縮状態で十分な剛性及び硬さを備えている必要がある。さらに、ステントは、配置中に動脈の形状を取ってその形状に一致でき、同時に、配置後のとび出し(prolapse)を回避するために動脈に適切な径方向の支持を提供するのに十分な径方向の強度及び剛性を有する必要がある。ステントは、反動が少なく、良好な拡張比を有している必要がある。さらに、ステントの設計は、ステントの設計を損なうことなくステントを収縮できるようにすべきであり、例えば、ステントが配置後も元の軸方向の長さを保てるようにするべきである。
【0007】
さらに、ステントは、ステントの配置時又は配置後にステントに加わる様々な機械的力によってステントに発生する応力を制限又は調整するように設計されている。最も一般的には、これらの機械的力は、伸長、圧縮、ねじれの動き、曲げの動き及びその他の生理学的状態、例えば、血流(配置後)である。安全な値を超えたこれらの力の複合的な影響によって、配置されたステント内の接合部の破損が起こり、破損した接合部は、多くの臨床的合併症、例えば、反動、隣接するリングレットの重なり、再狭窄などを引き起こす可能性がある。したがって、耐破損性は、ステント設計の主要な安全面であり、設計により、可能性のある部位での応力発生又は応力集中を最小限のレベルに制限又は管理する設計特性を備えることで強化できる。
【0008】
上記の基準を満たすために、ステントは、異なる構造、設計及び特性を有し、その各々で、上記のような異なる特性又は特性の組み合わせの対処を試みる。しかし、設計上の妥協により、ほとんどのステントは、上記の特性及び目的のうち限られたものしか充足しない。その結果、有用性及び有効性が制限される。
【0009】
例えば、ステントの管状支持フレームは、多くのリングレットセグメントを備え得る。リングレットセグメントは、特定の設計のセグメント支柱によって形成され、無数に連続して配置及び結合されステントの管状形状に沿ってリングを形成する。さらに、これらのリングレットセグメントは、コネクタ又は接続結合を介して縦方向に結合される。これらのコネクタの設計及び隣接する2つのリングレットセグメント間の配置は、ステントの配置中若しくは配置後又はその両方で、ステントの設計及び性能に大きく影響する。
【0010】
別の場合において、ステントは、直線支柱を使用せずに波状のリングレット設計を有し得る。さらに、この場合、ステントは、リングレットセグメント又はセグメント支柱が中央部分で広くなるように設計されている。さらに、ステントはまた、波状構造として形成され、オフセットでリングレットを山部間接続(peak-to-peak)又は谷部間接続(valley-to-valley)で接続する接続結合バーを備え得る。その結果、ステントは柔軟性が高く、応力分布が良好となるが、ステントの縦方向の剛性が設計上損なわれる。
【0011】
別の設計では、ステントは、柔軟性の強化、骨格(scaffolding)の増加及びねじり力を吸収する性能を強化のために、長いコネクタを利用する。ステントは、角度の付いた(プレート形状の)支柱と、リングレットセグメントをオフセットで山部間接続する直線又は角度の付いたコネクタとを備える。この構造により、骨格が増加するが、収縮時の周方向の剛性及びステントの全体的な応力が増加する。
【0012】
さらに別の設計は、ステントは、生体吸収性のコネクタを備えたらせん形のステントである。コネクタは、クラウン/リングレットを山部間接続し、湾曲、波状又は直線など、様々な形状にし得る。コネクタは、両端部において、リングレットを斜めに又は90°湾曲して山部間接続する。さらに、ステントには、隣接するリングレットを谷部山部間接続(valley-to-peak)する直線状のコネクタも備える。この設計は、ステントに様々な程度の柔軟性を与えるものの、ステントの縦方向の剛性を欠く。さらに、接続部材の柔軟性は、移植後に変化する可能性がある。さらに、直線状のコネクタは、例えば配置のために使用されるバルーンカテーテルの曲げなど、曲げの最中に平面から解放され、管腔に損傷を与えるリスクをもたらし得る。
【0013】
本主題は、高度の柔軟性、有意な径方向強度、耐破損性及び配置後における軸方向長さの無視できる損失を有するように設計された、ステントなどの医療機器を説明する。本主題によれば、医療機器は、最適なレベルの骨格、柔軟性及び径方向の強度を有し得る。同時に、医療機器のねじり力のバランスが取れているため、追跡性が向上し、医療機器が安全となる。
【0014】
本主題の一態様によれば、医療機器は、その共通の長手方向軸に沿って連続して配置された複数のリングレットから形成される管状支持構造を有する。より簡単な言葉で言えば、リングレットは同軸の中心の長手方向軸を有する。各リングレットは、周方向に沿って接続された複数のクラウンから形成され、そして、各クラウンは、V字状の構成に配置された2つの直線支柱から形成されている。医療機器は、複数の長尺状の接続要素をさらに備え、少なくとも1つの長尺状の接続要素は、隣接するリングレットを接続する。長尺状の接続要素はZ字状であり、隣接するリングレットを接続する連続した長尺状の接続要素は、径方向反射面に関して(about a radial plane of reflection)互いに鏡面反射を形成する。径方向反射面は、医療機器のリングレットの共通の長手方向軸に垂直な面であり得る。そのような設計は、曲がりくねった解剖学的構造を有する小径の管腔への医療機器の容易な挿入及び操作を可能にする一連の機械的特性を提供する。
【0015】
本主題の一態様によれば、長尺状の接続要素は、Z字状の構成であり、隣接するリングレットの谷状形状を接続する、すなわち、長尺状の接続要素の一端部は、1つのリングレットに形成された谷状形状(谷部)に接続され、長尺状の接続要素の他端部は、隣接するリングレットの同様の谷部に接続されている。谷部の構成は、クラウンのV字状に接続された2本の支柱の間に形成できる。一例では、2つの隣接するリングレットは、それらの間のオフセットで長尺状の接続要素を介して接続されている。
【0016】
長尺状の接続要素は、2つの長部及び1つの短部から形成され得る。一例では、短部の長さは、上記のような、長尺状の接続要素によって接続された、一方のリングレットの一方の谷部と隣接するリングレットの他方の谷部との間の短い方の周方向距離以上にしてもよい。さらに、2つの長部の端部を接続する短部は、短部と長部との間に鈍角を形成するようにして、それによって、長尺状の接続要素のZ字状を形成してもよい。医療機器の設計要素として、長い接続部材の短部と長部との間の角度は、製造時に決定され、管状支持構造を収縮又は拡張する間、変化しない。一例では、その角度は91~160°であってもよく、一方の長部と短部との間の角度と他方の長部と短部との間の角度は実質的に同じであってもよい。
【0017】
長尺状の接続要素のそのような構成及び長尺状の接続要素の角度の不変の性質の結果として、管状支持構造が収縮状態から通常の状態に、例えば、自己拡張操作で、解放された後、管状支持構造の長さは軸方向に変化しない。医療機器の配置後に管状支持構造が元の軸方向の長さを保持するというこの特徴は、管腔の治療において精度の向上を提供する。
【0018】
さらに、医療機器がバルーン拡張機構によって配置される場合、本主題に係る長尺状の接続要素の設計は、管状支持構造の軸方向収縮を制限又は遅延させる。したがって、このような場合、管状支持構造の軸方向の長さが変化することがあっても、その変化は無視できる。例えば、管状支持構造の軸方向の長さの変化は、バルーン拡張機構を使用して配置されている間、配置後(拡張後)に元の長さの5%未満であり得る。さらに、製造時に、長尺状の接続要素の短部と長部との間の角度を設計することにより、様々な膨張及び曲げ特性が得られる。
【0019】
したがって、長尺状の接続要素において適切に選択及び設計された角度は、医療機器の安全性及び性能を改善する。長尺状の接続要素に存在する角度は、管状支持構造が標的部位に到達するために管腔を通して操作されている間、改善された追跡性を提供し、また安定性及び径方向の剛性も提供する。さらに、長尺状の接続要素に存在する角度は、管状支持構造に柔軟性を提供し、収縮又は拡張による長さの変動を解決するのに役立つ。
【0020】
前述のように、2つの連続するZ字状の長尺状の接続要素は、径方向反射面に関して互いに反対か又は鏡面反射である。言い換えれば、任意の2つの連続する長尺状の接続要素のZ形状の方向は、、すなわち任意の2つの連続するリングレット間は、医療機器の管状支持構造の長手方向軸に対して垂直に通過する平面に関して鏡面反射である。医療機器のそのような設計は、収縮状態での安定性、安全性、追跡性、耐破損性、柔軟性を提供し、また、収縮状態又は拡張状態のいずれかにおける医療機器構造の長さの変化を無視できるようにするか又は変化をまったくさせないようにする。
【0021】
任意で、医療機器は、医療機器内のリングレットを接続する際に長尺状の接続要素を補助するために、複数の短い接続要素をさらに備えていてもよい。その短い接続要素及び長尺状の接続要素は、1つのリングレットのクラウンの特定の点を、隣接するリングレットのクラウンの特定の点に接続し得る。短い接続要素は柔軟性を制限するが、医療機器の管状支持構造により高い曲げ剛性をもたらす。
【0022】
一例によれば、短い接続要素は、2つの隣接するリングレットの山部を接続でき、すなわち、短い接続要素の一端部は、リングレットに形成された山状形状(山部)に接続され、他端部は、隣接するリングレットに形成された同様の山部に接続されている。一例では、短い接続要素は、接続された山部間にオフセットがないようにリングレットに接続されている。すなわち、短い接続要素は、一列に並んだ山部を接続し得る。したがって、短い接続要素は、共通の長手方向軸と実質的に平行であり、径方向平面に対して直角であり得る。
【0023】
別の例では、複数の長尺状の接続要素の1つ以上の長尺状の接続要素と、複数の長尺状の接続要素の1つ以上の短い接続要素とが、共通のクラウンに接続されている。前記例では、単一の短い接続要素及び単一の長尺状の接続要素は、クラウンの一方側が長尺状の接続要素のための谷部を形成し、同じクラウンの反対側が反対側にある短い接続要素のための山部を形成するように、同じ点で接続され得る。
【0024】
製造中、医療機器の曲げ及び強度に関連する特性は、設計に存在する場合、管状支持構造及びリングレット間に存在する長尺状の接続要素に、短い接続要素の数を決めることによってカスタマイズできる。したがって、管状支持構造は、高い柔軟性を有しながら、容易に収縮し得る。収縮状態では、医療機器をカテーテルに取り付け、血管又は器官を通って標的血管部分に誘導して配置させることができる。配置状態にした後、管状支持構造は、その最終状態へと自己拡張又はバルーン拡張される。
【0025】
さらに、一例によれば、2つの隣接するリングレットは、短い接続要素又は長尺状の接続要素のみによって接続できる。換言すれば、各リングレットは、少なくとも1つの接続要素を介して隣接するリングレットと接続され、これは、短い接続要素又は長尺状の接続要素のいずれかであり得る。さらに、接続要素は、リングレットを交互に又は連続的に接続してもよく、すなわち、長尺状の又は短い接続要素は、隣接するリングレットを交互に接続するか又はそれらは隣接するリングレットを連続的に接続する。
【0026】
さらに、長尺状の接続要素又は短い接続要素を伴う長尺状の接続要素は、医療機器の配置時又はその配置後に、様々な機械的力が加えられ得る場所での応力発生又は応力集中を最小限に抑えるのに役立つ。その機械的力は、例えば、伸長、圧縮、ねじれの動き、曲げの動き及び例えば血流(配置後)などの他の生理学的状態であり得る。長尺状の接続要素又は短い接続要素を伴う長尺状の接続要素の存在は、上記の要因のためにステント内で発生する応力若しくは応力の集中又はその両方を制限する。径方向の強度、耐破損性、柔軟性、曲げ強度及び安定性などのステントの特性は、医療機器の長尺状の接続要素と短い接続要素との組み合わせを選択し、2つのリングレット間での医療機器の長さに沿った接続要素の密度をカスタマイズすることで達成し得る。
【0027】
さらに、クラウンを形成する直線支柱、長尺状の接続要素及び短い接続要素の、管状支持フレームの周方向で測った幅は、特定の要素の長さに沿って一定である。また、直線支柱、長尺状の接続要素及び短い接続要素の、管状支持フレームの径方向で測った厚さも、その長さに沿って一定である。
【0028】
上記の態様は、図面にさらに示され、以下の対応する説明に記載されている。説明及び図面は、本主題の原理を単に例示しているにすぎないことに留意されたい。したがって、本主題の原理を包含する様々なアレンジは、本明細書で明示的に説明又は示されていないが、説明から考案でき、その範囲内に含まれる。
【0029】
図1は、一実施形態に係る、初期の収縮状態にある管状支持構造102の一部を示す医療機器100の展開図である。一例では、医療機器100はステントであり得る。本主題によれば、医療機器100は、ヒト又は動物の管腔内、例えば、動脈、静脈、胆管、尿路、消化管、気管気管支樹、中脳水道又は泌尿生殖器系などに配置できる。具体的には、医療機器100は、大腿動脈、浅大腿動脈、膝窩動脈、脛骨動脈、膝動脈、大脳動脈、頸動脈、椎骨動脈、鎖骨下動脈、橈骨動脈、上腕動脈、腋窩動脈、冠状動脈、末梢動脈、腸骨動脈又は神経-動脈などで使用できる。例えば、医療機器を使用して、浅大腿動脈の狭窄を治療し得る。
【0030】
本主題によれば、管状支持構造102は、クローズセル、オープンセル又はハイブリッド構成から形成できる。さらに、管状支持構造102は、金属、非金属、合金、ポリマー、生分解性材料、生体吸収性材料又はそれらの2つ以上の組み合わせから選択される材料から構成されている。例えば、すべての変形可能で医学的に許容される金属、金属合金を使用でき、限定されないが、ステンレス鋼、コバルト合金、純鉄、ニッケルチタン合金、タンタル、ニオブ、ニッケル合金、マグネシウム合金、亜鉛合金、L605、MP25N及びニチノールを含んでいてもよい。例えば、バルーン拡張機構を介して配置可能な医療機器100に使用される材料は、コバルトクロム、ステンレス鋼、マグネシウム、白金、生体吸収性ポリマー又はそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。一方、前記例では、自己拡張動作が可能な医療機器100に使用される材料は、主に形状記憶合金であり、例えば、ニチノールである。
【0031】
さらに、本主題にしたがって医療機器100を製造するために使用できるポリマーの例には、限定されないが、L-ラクチド、グリコリド又はそれらの組み合わせ、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリオルソエステル、ポリ無水物(poly anhydrides)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L-乳酸)、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-乳酸)、ポリ(D-ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエステルアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル等のポリマー及びコポリマー並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0032】
さらに、管状支持構造102は、生体適合性材料を保持していてもよく、これは、ある場合には、任意のコーティング技術を使用して管状支持構造102上にコーティングされた生体適合性材料の層であり得る。生体適合性材料は、薬剤溶出性の生体適合性材料であり得る。
【0033】
次に、管状支持構造102の構造を、図2図3A及び図3Bを参照して説明する。図2は、図1に示される管状支持構造102の一部を示す医療機器100の拡大図である。さらに、図3aは、管状支持構造102の斜視図であり、図3bは、管状支持構造102の正面図である。一例によれば、管状支持構造102は、管状の形状であり得、複数のリングレット、例えば、202、204、206及び208で構成されている。リングレット、例えば、202、204、206及び208は、複数のクラウン210が無数に連続して構成されている。一例では、各リングレットは、4~15個のクラウン210から形成されている。管状支持構造102は、様々な長さ及び直径であり得る。管状支持構造102の長さは、リングレット202の数に依存し、管状支持構造102の直径は、各リングレット202内のクラウン210の数に依存する。特定の血管又は器官に必要な治療に応じて;特定の血管又は器官の治療に適した支持構造を準備するために、リングレットの数及び各リングレットのクラウンの数をカスタマイズし得る。一例では、リングレット202は、長手方向軸方向に連続して配置され、隣接するリングレット、例えば、204、206及び208は、長尺状の接続要素212又は短い接続要素214を介して連続的に接続される。クラウン210は、支柱216から形成され、支柱は、図3Aに示すように、V字状の構成218で配置されている。支柱216、長尺状の接続要素212及び短い接続要素214の、管状支持構造102の周方向で測った幅は、それらの長さに沿って一定である。また、支柱216、長尺状の接続要素212及び短い接続要素214の管状支持構造102の径方向で測定された厚さも一定である。
【0034】
短い接続要素214及び長尺状の接続要素212は、所定の方法で、1つのリングレットのクラウンを別の隣接するリングレットのクラウンに接続する。一例では、短い接続要素214は、山部間接続構成で2つの隣接するリングレットを接続し、一方、長尺状の接続要素212は、谷部間接続構成で2つの隣接するリングレットを接続する。さらに、2つの隣接するリングレットが両方のタイプの接続要素を有することはできない。2つの隣接するリングレット、例えば204、206は、短い接続要素214又は長尺状の接続要素212によってのみ接続できる。さらに、リングレットは、短い接続要素214又は長尺状の接続要素212であってもよいが、少なくとも1つの接続要素を介して隣接するリングレットと必ず接続される。
【0035】
一実施形態では、2つの隣接するリングレット202、204が長尺状の接続要素212を介して接続される場合、次の2つの隣接するリングレット204、206は、短い接続要素214によって接続される。リングレット204の間で両方のタイプの接続要素を交互に使用することを含むこの設計は、管状支持構造102の端部を除いて、管状支持構造102の長さ(長手方向軸)にわたって続く。必要に応じて、管状支持構造102の端部で、端部から最後の1~3個のリングレット202は、山部間接続構成の短い接続要素214を使用して接続される。これは図4にも示す。これらのリングレット204間の山部間接続構成は、すべての山部又は代替の山部においてあり得る。しかしながら、長尺状の接続要素212又は短い接続要素214のいずれかを連続して又はブロックで使用することが可能である。連続方式では、すべてのリングレット202、204、206及び208は、長尺状の接続要素212又は短い接続要素214のいずれかを介して接続される。ブロック方式では、いくつかのリングレットは、1つのタイプの接続要素を介して接続され、その後このブロックが続き、他のいくつかは別のタイプの接続要素を介して接続される。
【0036】
図1図2図3A図3B及び図4に示されるように、一態様によれば、長尺状の接続要素212は、Z字状の構成220であり、谷部間接続構成でリングレット202、204、206及び208を接続する。すなわち、長尺状の接続要素212の一端部は、リングレット202のクラウン4内のV字状の構成218に接続された2つの支柱216間に形成される、谷部に接続され、長尺状の接続要素212の他端部は、隣接するリングレット204内の同様の谷部に接続されている。長尺状の接続要素212は、2つの長部402及び1つの短部404から形成されている。短部404は、2つの長部402の端部を、短部404と長部402との間で鈍角θを形成するように接続している。
【0037】
設計要素として、角度θは、製造時に決定され、管状支持構造が収縮又は拡張している間、固定されたままである。この角度θは、91°以上160°以下で設計し得る。長尺状の接続要素212のこの形状及び長尺状の接続要素212に存在するこの角度θの不変の性質のために;管状支持構造が自己拡張機構で配置された後、管状支持構造の長さは軸方向に変化しない。管状支持構造の配置後、管状支持構造の元の軸方向長さを維持するこの特徴は、血管又は器官の治療において精度の向上を提供する。バルーン拡張機構では、長尺状の接続要素212は、管状支持構造102の軸方向長さの変化を制限又は遅延させる。したがって、バルーン拡張機構では、管状支持構造102の長さは、収縮するが最小限である。
【0038】
同様に、支柱216もまた、長尺状の接続要素212の長部402と角度θ1を形成する。この角度θ1は固定されておらず、収縮又は拡張に応じて増加又は減少する。不変の角度θを有する長尺状の接続要素212と拡張可能/収縮可能な山部/谷部との組み合わせは、管状支持構造に必要な所望の特性の組をもたらす。長尺状の接続要素212は、構造的安定性、柔軟性を提供し、一方、V字状の山部/谷部は、拡張性を提供する。真っ直ぐで長尺状の接続要素212では、応力分布が不十分であり、バルーンカテーテルの配置中に血管にリスクをもたらす可能性がある。長尺状の接続要素212に角度を付けることにより、管状支持構造102が血管を通って標的部位まで操作されている間、安全性が向上する。さらに、長尺状の接続要素の不変の角度θは、それを配置するとき又はその配置後に、管状支持構造102に加わる様々な機械的力による応力発生又は応力集中を管理するのに役立つ。最も一般的には、これらの機械的な力は、伸長、圧縮、ねじれの動き、曲げの動き及び血流(展開後)などのその他の生理学的状態である。
【0039】
図5は、本主題に係る管状支持構造102の別の実施形態を示す。隣接するリングレット202、204は、谷部間接続構成で長尺状の接続要素212のみを使用して接続し得る。任意で、最後の2つのリングレット206及び208は、山部間接続構成で短い接続要素214を使用して接続し得る。これらのリングレット間の山部間接続構成は、すべての山部又は代替山部において可能である。
【0040】
図2図4及び図5に示すように、管状支持構造の長手方向に沿って移動するとき;長尺状の接続要素212の配置は、2つのリングレット202、204間の長尺状の接続要素212が、次の2つのリングレット206、208に存在する長尺状の接続要素212の鏡面反射であるようにする。この配置は、1つ方向でのひずみの発生を低減し、安定性、安全性、径方向の剛性、柔軟性、耐破壊性、追跡性を向上させる。すべての長尺状の接続要素212が一方向であると、それは、管状支持構造に、一方側にゆがむ固有の傾向をもたらす。これは必要な特性ではなく、患者にリスクをもたらす。
【0041】
図1図2図3A図3B図4図5及び図6に示すように、短い接続要素214は、2つの隣接するリングレットを山部間接続方式で接続する。すなわち、短い接続要素214の一端部は、リングレット202内の2つの支柱216の隣接点に形成された山部に接続され、他端部は、隣接するリングレット204に形成された同様の山部に接続されている。これらの2つの山部は、長手方向の同一線上にある、すなわちオフセットがない。したがって、短い接続要素214は、径方向軸に対して直角であり、長手方向軸に平行である。別の実施形態では、短い接続要素214及び長尺状の接続要素212は、2つの支柱216が長尺状の接続要素212のための谷部を形成し、同じ2つの支柱が短い接続要素214のための山部を形成する共通点で、隣接し得る。短い接続要素214は、管状支持構造に低い柔軟性及び高い曲げ剛性を提供する。製造中に、ステントの曲げ及び強度に関連する特性は、リングレット間のステント内に存在する短い接続要素214及び長尺状の接続要素212の数を決めることによってカスタマイズできる。それらの特定の組み合わせにより、特定の特性の組が得られる。特定の場合において、短い接続要素214は管状支持構造に含まれず、所望の特性の組は、管状支持構造における長尺状の接続要素212のみが存在することから得られる。
【0042】
さらに、図3A及び図3Bは、一例に係る、管状支持構造の拡大図である。図3Aは、医療機器100の管状支持構造の斜視図であり、図3Bは、医療機器100の管状支持構造の平面図である。図3A及び図3Bによれば、拡張状態では、長尺状の接続要素の形状は変わらない。また、V字状で隣接する支柱216によって形成されたクラウンが膨張し、管状支持構造の直径を増加させるが、座屈の兆候もない。
【0043】
図6は、管状支持構造102が、管状支持構造102の一端部又は両端部のいずれかに取り付けられた少なくとも1つのアンカー部材602を備える、医療機器100の別の実施形態を示す。アンカー部材602は、管状支持構造102が標的部位から軸方向又は径方向に移動するのを防ぐ。1つの場合において、医療機器100は、管状支持構造102の一端部に複数のアンカー部材602を備える。別の場合において、医療機器100は、管状支持構造102の両端部に複数のアンカー部材を備え得る。管状支持構造102の一端部又は両端部のアンカー部材602は、放射線不透過性マーカを備え、医師が蛍光透視画像下で医療機器を位置付けるための補助とすることができる。
【0044】
図7A及び図7Bは、一例に係る、管状支持構造102と共に使用されるエンドストッパ702を示す。図7Aは、エンドストッパ702を備えた管状支持構造102の斜視図であり、図7Bは、エンドストッパ702を備えた管状支持構造102の平面図である。エンドストッパ702は、中空で円形であり、例えば均一な荷重分散のために直径が均一であってもよい。一例では、エンドストッパ702は、自己拡張型ステントとして使用されるように製造された医療機器100と共に使用できる。図7Aは、自己拡張可能な支持構造が血管又は器官に配置されているときの配置時のエンドストッパ702を示す。エンドストッパ702は、カテーテルの内管に取り付けられ、配置時に管状支持構造102への均一な荷重伝達を助ける、均一な直径の中空の円形構造である。エンドストッパ702は、管状支持構造のアンカー部材602(図6にも示す)を収容するための周辺スロット又は溝704を有する。これらのスロット又は溝704は、標的部位にステントを配置するときに、管状支持構造へのより良好で均一な荷重伝達を助ける。
【0045】
さらに、本主題はまた、上記の医療機器100を製造するための方法を提供する。医療機器100の製造の場合、この方法は、まず、医学的に洗浄され承認されたワークピースを設計機器に装填することを含み得る。本主題の一例によれば、ワークピース又は試験片は、中空の円管、フィルム又はシートの形状であり得る。次いで、医療機器100の必要とされる設計が、製造用のコンピュータ数値制御(CNC)マシンなどの設計機器に設定又はアップロードされる。続いて、管状支持構造又はステントなど、医療機器100を製造するために、必要な設計がワークピースから彫り出される。一例では、設計機器で使用される製造技術は、レーザー加工、化学エッチング、光化学エッチング又は放電加工から選択される。例えば、医療機器100は、前述の本主題で説明したように、レーザービームで金属中空円管に切込みをいれることによって製造され、レーザービームは、事前に決められた切断輪郭にしたがい、医療機器100の設計を形成する。医療機器100が製造されると、望ましくない物質が医療機器100の表面から除去されて仕上げられる。次いで、洗浄され且つ完成した医療機器100は、研磨され又は適切なコーティングでコーティングされ得る。例えば、それは、医療機器100が保管又は配置される周辺空気との反応を防止する抗反応剤でコーティングされ得る。追加的又は代替的に、医療機器100は、医療機器100の配置の、目的、態様及び場所に応じて、医薬物質で被覆され得る。さらに、管状支持構造102は、3D印刷技術又は積層造形を使用して製造され得る。3D印刷技術は、ステレオリソグラフィー(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)、電子ビーム溶解炉(EBM)、積層オブジェクト製造(LOM)、ポリジェットテクノロジー又はそれらの組み合わせから選択できる。
【0046】
全体として、医療機器100は、高い径方向剛性、配置後のゼロ又は最小の軸方向長さ損失、高い柔軟性及びより良好な曲げ剛性を有する。これにより、医療機器100の管腔の壁での優れた均一な支えが保証され、それによって効果的な支持が提供される。したがって、本主題によれば、医療機器100は、バルーン拡張可能な送達メカニズム又は自己拡張の送達メカニズムを介して容易に収縮及び拡張できる。例えば、この設計は、配置プロセス中の管状支持構造102の容易な収縮をサポートする。しかし、設計による固有の柔軟性及び安定性は、移植中に血管の曲がりくねった経路に沿って医療機器100を容易に移動させるのに役立ち、患者及び医師の両者にとってより高い安全レベルを提供する。
【0047】
医療機器100の設計及び適用を説明したが、本主題は、説明されている特定の特徴又は方法に限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の特徴及び方法は、医療機器100の実施として開示されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B