(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】トロポミオシン受容体キナーゼインヒビター及びその調製方法と適用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/22 20060101AFI20231128BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231128BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20231128BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231128BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20231128BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20231128BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20231128BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20231128BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20231128BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20231128BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231128BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231128BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20231128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231128BHJP
C07D 498/22 20060101ALI20231128BHJP
A61K 31/529 20060101ALI20231128BHJP
A61K 31/5386 20060101ALI20231128BHJP
C07D 487/22 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
C07D471/22 CSP
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/16
A61K9/06
A61K9/02
A61K9/70
A61K9/10
A61P25/04
A61P29/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
C07D498/22
A61K31/529
A61K31/5386
C07D487/22
(21)【出願番号】P 2020554836
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2019090226
(87)【国際公開番号】W WO2019233461
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】201810597223.9
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910467671.1
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512202727
【氏名又は名称】江蘇威凱爾医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】呉勇
(72)【発明者】
【氏名】周文斌
(72)【発明者】
【氏名】▲きょう▼彦春
(72)【発明者】
【氏名】岳耀祥
(72)【発明者】
【氏名】▲とう▼潔
(72)【発明者】
【氏名】劉永強
【審査官】坂口 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-530142(JP,A)
【文献】特表2018-534296(JP,A)
【文献】特表2019-532089(JP,A)
【文献】国際公開第2016/112012(WO,A1)
【文献】特表2015-535290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示される化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化1】
(R
1は
、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
2-C
8アルケニル基、C
2-C
8アルキニル基、-COR
5、-SO
2R
5又は-SOR
5から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
7、-COR
7、-SO
2R
7、-SOR
7、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2とR
4はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
2-C
8アルケニル基又はC
2-C
8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
5、-COR
5、-SO
2R
5、-SOR
5、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
5とR
7はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基又は-NR
8から選ばれ、
R
6とR
8はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、
Yは、-(CH
2)
n-又は-O(CH
2)
n-であり、
nは、0、1、2又は3から選ばれ、
選択的には、R
1、R
2とR
4の中の2つは独立して、C
3-C
8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R
3は、H、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基又はC
1-C
8アルコキシル基から選ばれ、
Xは、CH又はNから選ばれる。)
【請求項2】
一般式(II)で示される化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化2】
(R
1は
、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
2-C
8アルケニル基、C
2-C
8アルキニル基、-COR
5、-SO
2R
5又は-SOR
5から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
7、-COR
7、-SO
2R
7、-SOR
7、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2とR
4はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
2-C
8アルケニル基又はC
2-C
8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
5、-COR
5、-SO
2R
5、-SOR
5、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
5とR
7はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基又は-NR
8から選ばれ、
R
6とR
8はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R
1、R
2とR
4の中の2つは、独立してC
3-C
8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R
3は、H、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基又はC
1-C
8アルコキシル基から選ばれ、
Xは、CH又はNから選ばれる。)
【請求項3】
R
1は
、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
2-C
8アルケニル基又はC
2-C
8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
7、-COR
7、-SO
2R
7、-SOR
7、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2とR
4はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
2-C
8アルケニル基又はC
2-C
8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
5、-COR
5、-SO
2R
5、-SOR
5、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
5とR
7はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基又は-NR
8から選ばれ、
R
6とR
8はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R
1、R
2とR
4の中の2つは独立して、C
3-C
8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R
3は、ハロゲンであり、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R
1は
、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
7、-COR
7、-SO
2R
7、-SOR
7、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2とR
4はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR
6R
8、-NR
6COR
5、-COR
5、-SO
2R
5、-SOR
5、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基、C
1-C
8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
5とR
7はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基、C
3-C
8シクロアルキル基又は-NR
8から選ばれ、
R
6とR
8はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R
1、R
2とR
4の中の2つは独立して、C
3-C
8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R
3はハロゲンであり、
Xは、CH又はNであることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
R
1は
、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-SO
2R
7、C
1-C
4アルキル基、C
3-C
6シクロアルキル基又はC
1-C
4アルコキシル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
7は、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、
R
2とR
4はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、C
1-C
4アルキル基、C
3-C
6シクロアルキル基又はC
1-C
4アルコキシル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
選択的には、R
1、R
2とR
4の中の2つは独立して、C
3-C
8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R
3は、ハロゲンであり、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
1は
、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、-SO
2R
7又はC
1-C
4アルコキシル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
7は、H又はC
1-C
8アルキル基から選ばれ、
R
2とR
4はそれぞれ独立して、H、C
1-C
8アルキル基又はC
3-C
8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R
1、R
2とR
4の中の2つは独立して4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R
3は、フッ素又は塩素から選ばれ、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R
1は
、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロへキシル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ヒドロキシル基、F、Cl、-SO
2CH
3又はメトキシ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2とR
4はそれぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロへキシル基から選ばれ、
選択的には、R
1、R
2とR
4の中の2つは独立してモルホリル基を形成してもよく、
R
3は、フッ素又は塩素から選ばれ、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
以下のような構造から選ばれることを特徴とする、化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容される塩。
【化3】
【請求項9】
以下のような構造から選ばれることを特徴とする、化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩。
【化4】
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩と、薬物に利用される担体とを含む薬物組成物。
【請求項11】
前記薬物組成物は、カプセル剤、散剤、タブレット剤、顆粒剤、錠剤、注射剤、シロップ剤、経口剤、経鼻剤、軟膏剤、坐剤又はシート剤であることを特徴とする、請求項10に記載の薬物組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩、或いは請求項10~11に記載の薬物組成物の、トロポミオシン受容体キナーゼ活性誘導疾患を予防又は治療するための薬物の調製における
使用。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩、或いは請求項10~11に記載の薬物組成物の、痛み・炎症・癌を予防又は治療するための薬物の調製における
使用。
【請求項14】
上記癌は、髄芽細胞腫、卵巣がん、子宮頸がん、結腸がん・直腸がん、乳がん、すい臓がん、グリオーマ、膠芽細胞腫、黒色腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、胃がん、肺がん、肝細胞がん、消化管間質腫瘍、甲状腺がん、胆管がん、子宮内膜がん、腎臓がん、未分化大細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、黒色腫又は中皮腫、若年者肉腫、線維肉腫、大細胞神経内分泌癌、毛様細胞性星細胞腫、頭頸部扁平上皮がん、先天性中胚葉性腎腫、導管腺癌、唾液腺に生じた乳腺相似分泌癌、虫垂癌であることを特徴とする、請求項13に記載の
使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本願は、医薬技術分野に属し、具体的には、ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン誘導体及びその痛み・癌・炎症関連疾患の治療のための用途に関する。
【0002】
本願は、中国特許CN201810597223.9(出願日:2018年6月8日、発明の名称:トロポミオシン受容体キナーゼインヒビターおよびその調製方法と適用)による優先権を請求する。
〔背景技術〕
トロポミオシン受容体キナーゼ(Trk)は、哺乳動物の神経系シナプスの強度と可塑性を調節できる、受容体チロシンキナーゼファミリーである。Trk受容体の活性化は、複数のシグナル経路によってニューロンの生存と分化に影響を与えると共に、ニューロンの機能にも顕著に影響する。Trk受容体の共同配位子は神経栄養因子(neurotrophins)であり、神経系において重要な役割を果たし、2つの間の結合は高度に特異的である(参照文献1)。神経栄養因子毎には、応じた異なる親和力のTrk受容体が有り、その結合によって、Trk受容体が二量化してリン酸化されて活性化され、RAS/MAPK/ERK、PLCγ及びPI3K/Aktを含む下流シグナルの経路などが活性化され、細胞生存及び他の機能を調節・制御する(参照文献2)。
【0003】
Trk/神経栄養因子経路インヒビターは、多くの痛みによる前臨床動物モデルにおいて効果的であるとが実証されていた。例えば、拮抗神経成長因子NGFとTrkAの抗体RN-624は、炎症性疼痛と神経性疼痛による動物モデルにおいて効果的であると示されていた(参照文献3、4)。それ以外、文献によると、炎症が起こされると、後根神経節における脳由来神経栄養因子(BDNF)レベルとTrkBシグナル伝達が増加しているということが指摘された(参照文献5)。複数の研究によると、抗体でBDNF/TrkB経路を阻害し、シグナル伝達を減少させることによって、神経アレルギー作用及び関連痛みを緩和できるということが示された(参照文献6)。今には、複数のTrkキナーゼ小分子インヒビターは、痛みの治療に利用できるとが示された(参照文献7)。
【0004】
なお、NGF抗体又はTrkAやB、Cの小分子インヒビターを利用して神経栄養因子/Trk経路を阻害することは、炎症性疾患、例えば、喘息(参照文献8)を含む炎症性肺部疾患、間質性膀胱炎(参照文献9)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病を含む)(参照文献10)、炎症性皮膚疾患など(参照文献11)、湿疹及び乾癬(参照文献12)などの前臨床モデルにおいて効果的であると示された。
【0005】
文献報告によると、Trkキナーゼの過度な表現、活性化、拡大、又は突然変異は、神経細胞腫、卵巣がん、膠芽細胞腫、肺腺がん、若年者肉腫、結腸がん・直腸がん、線維肉腫、Spitzoid黒色腫、甲状腺がん、肝内胆管がん、大細胞神経内分泌癌、甲状腺乳頭がん、毛様細胞性星細胞腫、頭頸部扁平上皮がん、急性骨髄性白血病、先天性中胚葉性腎腫、導管腺癌、消化管間質腫瘍、唾液腺に生じた乳腺相似分泌癌(参照文献13)などを含む多くの癌に密に関連されるとも示された。癌の前臨床モデルにおいて、TrkAやB、Cの小分子インヒビターは、腫瘍成長を効果的に阻害すると共に腫瘍転移を阻止するようになる(参照文献14~17)。
〔参照文献〕
参照文献1:J.Mol.Biol.1999、90、149
参照文献2:Cancers 2018、10、105
参照文献3:Neuroscience 1994、62、327
参照文献4:Eur.J.Neurosci.1999、11、837
参照文献5:Brain Research 1997、749、358
参照文献6:Molecular Pain 2008、4、27
参照文献7:Expert Opin.Ther.Patents 2009、19、 305
参照文献8:Pharmacology & Therapeutics 2008、117、52
参照文献9:The Journal of Urology 2005、173、1016
参照文献10:Gut 2000、46、670
参照文献11:Archives of Dermatological Research 2006、298、31
参照文献12:J.Investigative Dermatology 2004、122、812
参照文献13:Cancers 2018、10、105
参照文献14:Cancer Letters 2001、169、107
参照文献15:Leukemia 2007、1-10
参照文献16:Cancer Letters 2006、232、90
参照文献17:Cancer Res. 2008、68、346
〔発明の概要〕
本発明の目的は、ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン系Trkインヒビターを提供することにある。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、上記のTrkインヒビターの、トロポミオシン受容体キナーゼ関連疾患を予防又は治療するための薬物の調製における用途を提供することにある。
【0007】
本発明の目的を実現するために、本発明の手段は、以下の通りである。
【0008】
本発明は、以下の式(I)で示される化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩である。
【0009】
【0010】
R1は、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C8アルケニル基、C2-C8アルキニル基、-COR5、-SO2R5又は-SOR5から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR6R8、-NR6COR7、-COR7、-SO2R7、-SOR7、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R2とR4はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C8アルケニル基又はC2-C8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR6R8、-NR6COR5、-COR5、-SO2R5、-SOR5、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R5とR7はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基又は-NR8から選ばれ、
R6とR8はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、
Yは、-(CH2)n-又は-O(CH2)n-であり、
nは、0、1、2又は3から選ばれ、
選択的には、R1、R2およびR4の中の2つは、独立してC3-C8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R3は、H、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基又はC1-C8アルコキシル基から選ばれ、
Xは、CH又はNから選ばれる。
【0011】
本発明に係る実施形態としては、一般式(II)で示される化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩である。
【0012】
【0013】
R1は、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C8アルケニル基、C2-C8アルキニル基、-COR5、-SO2R5又は-SOR5から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR6R8、-NR6COR7、-COR7、-SO2R7、-SOR7、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R2とR4はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C8アルケニル基又はC2-C8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、-NR6R8、-NR6COR5、-COR5、-SO2R5、-SOR5、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R5とR7はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基又は-NR8から選ばれ、
R6とR8はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R1、R2及びR4の中の2つは、独立してC3-C8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R3は、H、重水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基又はC1-C8アルコキシル基から選ばれ、
Xは、CH又はNから選ばれる。
【0014】
本発明に係る実施形態は、
R1は、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C8アルケニル基又はC2-C8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR6R8、-NR6COR7、-COR7、-SO2R7、-SOR7、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R2とR4はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C2-C8アルケニル基又はC2-C8アルキニル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR6R8、-NR6COR5、-COR5、-SO2R5、-SOR5、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R5とR7はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基又は-NR8から選ばれ、
R6とR8はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R1、R2及びR4の中の2つは、独立してC3-C8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R3は、ハロゲンであり、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る実施形態は、
R1は、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR6R8、-NR6COR7、-COR7、-SO2R7、-SOR7、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R2とR4はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-NR6R8、-NR6COR5、-COR5、-SO2R5、-SOR5、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基、C1-C8アルコキシル基又は4-10員のヘテロ環基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R5とR7はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基、C3-C8シクロアルキル基又は-NR8から選ばれ、
R6とR8はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R1、R2及びR4の中の2つは、独立してC3-C8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R3は、ハロゲンであり、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る実施形態は、
R1は、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、-SO2R7、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基又はC1-C4アルコキシル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R7はH、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、
R2とR4はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基又はC1-C4アルコキシル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
選択的には、R1、R2及びR4の中の2つは、独立してC3-C8シクロアルキル基又は4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R3は、ハロゲンであり、
Xは、CH又はNであることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る実施形態は、
R1は、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ヒドロキシル基、ハロゲン、-SO2R7又はC1-C4アルコキシル基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R7は、H又はC1-C8アルキル基から選ばれ、
R2とR4はそれぞれ独立して、H、C1-C8アルキル基又はC3-C8シクロアルキル基から選ばれ、
選択的には、R1、R2とR4及びR4の中の2つは、独立して4-10員のヘテロ環基を形成してもよく、
R3は、フッ素又は塩素であり、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る実施形態は、
R1は、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロへキシル基から選ばれ、選択的には、更に重水素、ヒドロキシル基、F、Cl、-SO2CH3又はメトキシ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R2とR4はそれぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロへキシル基から選ばれ、
選択的には、R1、R2及びR4の中の2つは、独立してモルホリル基を形成してもよく、
R3は、フッ素又は塩素であり、
Xは、CH又はNから選ばれることを特徴とする。
【0019】
本発明の好ましい手段としては、以下のような構造から選ばれる化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩である。
【0020】
【0021】
【0022】
より好ましくは、以下のような構造から選ばれるものである。
【0023】
【0024】
本発明に記載の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩は、新規なTrkインヒビターであるため、トロポミオシン受容体キナーゼ関連疾患を予防又は治療するための薬物の調製に利用でき、上記疾患は痛み、癌、炎症を含み、これに制限されない。
【0025】
本発明は更に、上記の式(I)の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩の、癌の予防又は治療のための用途を提供した。
【0026】
更に好ましい手段として、上記癌は、髄芽細胞腫、卵巣がん、子宮頸がん、結腸がん・直腸がん、乳がん、すい臓がん、グリオーマ、膠芽細胞腫、黒色腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、胃がん、肺がん、肝細胞がん、消化管間質腫瘍、甲状腺がん、胆管がん、子宮内膜がん、腎臓がん、未分化大細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、黒色腫又は中皮腫、若年者肉腫、線維肉腫、大細胞神経内分泌癌、毛様細胞性星細胞腫、頭頸部扁平上皮がん、先天性中胚葉性腎腫、導管腺癌、唾液腺に生じた乳腺相似分泌癌、虫垂癌を含む。
【0027】
本発明はもう1つの側面において、治療に効果的である量の上記式(I)の化合物、その立体異性体、又はその薬学的に許容される塩と、薬物に利用される担体とを含む薬物組成物を提供することにある。
【0028】
本発明はもう1つの側面において、上記薬物組成物の、癌を予防又は治療するための薬物の調製における適用を提供することにある。
【0029】
詳細的に説明すると、明細書及び請求の範囲に用いられる以下の用語は、反する記述を有しない限り、以下の意味を有する。
【0030】
本発明において、「C1-C8アルキル基」とは、1~8個の炭素原子を含む直鎖アルキル基と分岐鎖アルキル基を意味し、アルキル基とは、飽和の脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、s-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-へキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ペンチル、2-メチルへキシル、3-メチルへキシル、4-メチルへキシル、5-メチルへキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルへキシル、2,4-ジメチルへキシル、2,5-ジメチルへキシル、2,2-ジメチルへキシル、3,3-ジメチルへキシル、4,4-ジメチルへキシル、2-エチルへキシル、3-エチルへキシル、4-エチルへキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、又はその各種の分岐鎖異性体などを意味する。
【0031】
本発明において、「シクロアルキル基」とは、飽和の単環炭化水素置換基を意味し、「C3-C8シクロアルキル基」とは、3~8個の炭素原子を含む単環シクロアルキル基、例えば、単環シクロアルキル基(実施例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロペンチル、シクロオクチルを含むが、これに制限されない)などを意味し、「C3-C6シクロアルキル基」とは、3~6の炭素原子を含む単環シクロアルキル基、例えば、単環シクロアルキル基(実施例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシルを含むが、これに制限されない)などを意味する。
【0032】
本発明において、「アルケニル基」とは、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなり、以上のように定義されたアルキル基によるものを意味し、「C2-C8アルケニル基」とは、2~8個の炭素を含む直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-、2-又は3-ブテニルなどを意味する。
【0033】
本発明において、「アルキニル基」とは、少なくとも2つの炭素原子と少なくとも1つの炭素-炭素三重結合からなり、以上のように定義されたアルキル基によるものを意味し、「C2-C8アルキニル基」とは、2~8個の炭素を含む直鎖又は分岐鎖のアルキニル基、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-、2-又は3-ブチニルなどを意味する。
【0034】
本発明において、「ヘテロ環基」とは、飽和又は一部不飽和の単環又は多環の環状炭化水素置換基を意味し、環形成原子としては、-O-O-、-O-S-又は-S-S-という環部分を有しない限り、窒素、酸素又はS(O)r(ただし、rは0、1、2の整数である)から選ばれる1つ又は複数のヘテロ原子を有し、その他は炭素である。「4-10員のヘテロ環基」とは、4~10個の環形成原子を含む環状基を意味する。単環のヘテロ環基は、実施例として、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリル、チオモルホリル、ホモピペラジルなどを含むが、これに制限されない。多環のヘテロ環基としては、スピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロ環基を含む。本発明において、「アルコキシル基」とは、-O-(アルキル基)を意味し、その中、アルキル基の定義は上記の通りである。「C1-C8アルコキシル基」とは、1~8個の炭素を含むアルキルオキシ基を意味し、その実施例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどを含むが、これに制限されない。
【0035】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【0036】
「薬物組成物」は、1つ又は複数の上記の化合物、その生理学的に薬物に利用される塩又は前駆体薬物と、他の化学成分、例えば、生理学的に薬物に利用される担体及び賦形剤とを含む混合物を表す。薬物組成物は、生体への与薬を促進し、活性成分の吸収に寄与し、更に生体活性を発揮するためのものである。
【0037】
本発明の調製工程において利用される試薬の略語は、それぞれ以下の意味を表す。
MTBE メチルt-ブチルエーテル
Sec-BuLi s-ブチルリチウム
THF テトラヒドロフラン
Pd2(dba)3 トリ(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
t-Bu3P-HBF4 トリn-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート
Hexane n-ヘキサン
EA 酢酸エチル
DCM メチレンクロリド
DIEA N,N-ジ-i-プロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
TEA トリエチルアミン
(Ph3P)2PdC12 ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
EDCI 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジ イミド塩酸塩
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕実施例1の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0038】
〔
図2〕実施例2の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0039】
〔
図3〕実施例3aの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0040】
〔
図4〕実施例3bの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトル;
〔
図5〕実施例4の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0041】
〔
図6〕実施例5の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0042】
〔
図7〕実施例6の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0043】
〔
図8〕実施例7aの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0044】
〔
図9〕実施例7bの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0045】
〔
図10〕実施例8aの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0046】
〔
図11〕実施例8bの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0047】
〔
図12〕実施例9の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【0048】
〔
図13〕実施例10の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトル。
〔発明を実施するための形態〕
以下、具体的な実施例を参照して本発明を説明する。業者にとって理解できるように、これらの実施例はただ本発明を説明するためのものであり、いずれも本発明の範囲を制限するものではない。
【0049】
以下の実施例における試験方法は、特に説明しない限り、常法である。以下の実施例に用いられる薬素材、試薬材などは、特に説明しない限り、市販のものである。
【0050】
実施例1
(R,13E,14E)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0051】
【0052】
工程1:2-(5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)ピロリジン-1-カルボン酸(R)-t-ブチルの合成
【0053】
【0054】
室温で、250mLの三つ口フラスコにピロリジン-1-カルボン酸-t-ブチル(2.86mL、16.03mmol)、(-)-スパルテイン(4.50g、19.20mmol)、MTBE(35.0mL)を加え、窒素ガスで3回置換し、-78℃に徐々に降温し、温度が安定になると、Sec-BuLi(17.01mL、21.70mmol、1.3N シクロヘキサン溶液)を滴下し、-75℃で3時間攪拌し、-65℃の条件でZnCl2(14.68mL、14.36mmol、1NTHF溶液)を徐々に滴下し、-78℃に降温して20分間程度攪拌した。室温に昇温し、窒素ガスによる保護で、3-ブロモ-5-フルオロ-2-メトキシピリジン(3.44g、16.70mmol)、Pd(OAc)2(0.18g、0.84mmol)、t-Bu3P-HBF4(0.28g、1.00mmol)を順に加え、その後、室温で16時間反応させた。反応系にアンモニア水1.50mLを滴下し、室温で1時間攪拌し、ケイソウ土で反応液をろ過し、MTBE(20mL、3回)で洗浄し、分液して有機相を濃縮してクロマトグラフィー(Hexane:EA=20:1)で分離し、減圧濃縮して黄色の油状物2.60gを得た。収率は52.53%であった。1H NMR(400mHz、Chloroform-d) δ 7.84(d、J=7.2Hz、1H)、7.09(dd、J=29.5、6.1Hz、1H)、4.99(dd、J=52.8、8.0Hz、1H)、3.93(s、3H)、3.53(m、2H)、2.28(m、1H)、1.82(m、3H)、1.46(s、9H)。
【0055】
工程2:(R)-5-フルオロ-2-メトキシ-3-(ピロリジン-2-イル)ピリジンの合成
【0056】
【0057】
室温で、100mLの1つ口フラスコに、2-(5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)ピロリジン-1-カルボン酸(R)-t-ブチル(2.60g、8.77mmol)、トリフルオロ酢酸(7.80mL)、メチレンクロリド(7.80mL)を順に加え、室温で1.5時間攪拌し、原料を完全に反応させて反応を停止した。反応液を減圧して乾燥まで蒸発し、3.94gの黄色の油状物を得、そのまま次の反応へ投入した。
【0058】
工程3:5-(2-(5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(R)-エチルの合成
【0059】
【0060】
室温で、30mLのマイクロ波管に、(R)-5-フルオロ-2-メトキシ-3-(ピロリジン-2-イル)ピリジン(1.72g、8.78mmol)、5-クロロ)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(2.38g、10.54mmol)、DIEA(5.25g、40.65mmol)、DMF(19.30mL)を加え、90℃に徐々に昇温し、15.5時間攪拌して反応させた。反応冷却後、EA(100mL)を加えて溶解・分散させ、水(100mL)を加えて洗浄し、分液し、有機相を飽和食塩水(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって黄色の固体1.83gを得た。MS(ESI)m/z.386[M+H]+。1H NMR(400mHz、Chloroform-d) δ 8.28(s、1H)、8.15(d、J=5.2Hz、1H)、7.91(s、1H)、7.04(d、J=7.2Hz、1H)、5.84(d、J=4.5Hz、1H)、5.09(m、1H)、4.37(m、2H)、4.18-4.11(m、1H)、4.02(s、3H)、3.96(m、1H)、2.47(m、1H)、2.04(m、2H)、1.95(m、1H)、1.42(m、3H)。
【0061】
工程4:5-(2-(5-フルオロ-2-ヒドロキシピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(R)-エチルの合成
【0062】
【0063】
室温で、100mLの1つ口フラスコに、5-(2-(5-フルオロ-2-メトキシピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[l,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(R)-エチル(1.83g、4.75mmol)、HBr(18.30mL、33%AcOH溶液)を加え、90℃に徐々に昇温し、4.5時間攪拌して反応させた。EA(100mL)を加えて溶解・分散させ、水(100mL)を加えて洗浄し、分液し、有機相をNaHCO3飽和溶液(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発した。クロマトグラフィー(DCM:EtOH=20:1)によって黄色の固体1.34gを得た。MS(ESI)m/z:372[M+H]+。1H NMR(400mHz、Chloroform-d) δ 12.92(br、1H)、8.29(s、1H)、8.21(d、J=7.5Hz、1H)、7.30(s、1H)、7.17(s、1H)、6.93(d、J=4.7Hz、1H)、5.13(m、1H)、4.37(q、J=8.7Hz、2H)、4.16(m、1H)、3.95(m、1H)、2.49(m、1H)、2.13-2.07(m、2H)、1.95(m、1H)、1.42(t、J=8.8Hz、3H)。
【0064】
工程5:5-(2-(5-フルオロ-2-(トリフルオロメチル-スルホニルオキシ)ピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(R)-エチルの合成
【0065】
【0066】
室温で、100mLの1つ口フラスコに、5-(2-(5-フルオロ-2-ヒドロキシピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[l,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(R)-エチル(1.34g、3.61mmol)、DMF(13.0mL)を加え、全体が溶解するまで超音波で分散した。反応系に、1,1,1-トリフルオロ-N-フェニル-N-((トリフルオロメチル)スルホニル)メチルスルホンアミド(1.42g、3.97mmol)、TEA(0.44g、4.33mmol)を順に加え、室温で24時間攪拌して反応させた。反応系にEA(110mL)を加え、反応系を飽和NaHCO3溶液(100mL)、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって泡状の白い固体1.60gを得た。MS(ESI)m/z:504.0[M+H]+。1H NMR(400mHz、DMSO-d6) δ 8.78(d、J=7.8Hz、1H)、8.37(s、1H)、8.17(s、1H)、7.93(d、J=8.8Hz、1H)、6.69(d、J=7.8Hz、1H)、5.37(m、1H)、4.08(m、1H)、4.04(q、J=7.2Hz、2H)、3.65(m、1H)、2.08(m、3H)、1.91(m、1H)、1.11(t,J=7.2Hz、3H)。
【0067】
工程6:エチル(S)-5-(2-(5-フルオロ-2-ビニルピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレートの合成
【0068】
【0069】
室温で、100mLの1つ口フラスコに、5-(2-(5-フルオロ-2-(トリフルオロメチル-スルホニルオキシ)ピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(R)-エチル(1.75g、3.47mmol)、トリブチルビニルスズ(1.73g、5.21mmol)、リチウムクロライド(0.74g、17.38mmol)、(Ph3P)2PdCl2(0.24g、0.34mmol)、DMF(35.0mL)を順に加え、窒素ガスで3回置換し、80℃に徐々に昇温し、4時間攪拌して反応させた。室温に冷却し、反応液を飽和NaHCO3溶液(100mL)、水(100mL)、飽和食塩水(100mL)で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって白い固体1.23gを得た。MS(ESI)m/z:382.0[M+H]+。1H NMR(400mHz、Chloroform-d) δ 8.36(s、1H)、8.29(s、1H)、8.16(br、1H)、7.05(br、2H)、6.42(d、J=16.8Hz、1H)、5.81-5.53(m、2H)、5.20(m、1H)、4.36(m、2H)、4.11(q、J=7.2Hz、2H)、2.58(m、1H)、2.07(m、3H)、1.26(t、J=7.2Hz、3H)。
【0070】
工程7:エチル(S)-5-(2-(2-(2-(シクロプロピルアミノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレートの合成
【0071】
【0072】
室温で、100mLの1つ口フラスコに、エチル(S)-5-(2-(5-フルオロ-2-ビニルピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(1.23g、3.22mmol)、シクロプロピルアミン(5.52g、96.75mmol)、氷酢酸(5.81g、96.75mmol)、エチルアルコール(12.30mL)を加え、窒素ガスで保護し、75℃に徐々に昇温し、20.5時間還流して反応させた。反応液を室温に冷却し、飽和炭酸ナトリウム水溶液でpHを中性まで調節し、EA(150mL)を加え抽出し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(DCM:EtOH=25:1)によって黄色の固体378.2mgを得た。回収された原料は605.4mgであった。回収された原料を再び上記のように操作し、複数回の生成物を併せて黄色の固体507.2mgを得た。MS(ESI)m/z:439.0[M+H]+。
【0073】
工程8:エチル(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレートの合成
【0074】
【0075】
室温で、10mLの1つ口フラスコに、エチル基(S)-5-(2-(2-(2-(シクロプロピルアミノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(0.20g、0.45mmol)、テトラヒドロフラン(4.0mL)を加え、超音波で溶解させ、0℃に降温し、N-Boc-O-p-トルエンスルホニル-ヒドロキシアミン(131.0mg、0.45mmol)、N-メチルモルホリン(22.5mg、0.23mmol)を加え、室温に戻して一夜攪拌して反応させた。メチレンクロリド(40mL)を加えて希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)で洗浄し、メチレンクロリド(40mL×3回)で抽出し、有機相を無水Na2SO4で乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(PE:EA=1:1)によって黄色の固体100.0mgを得た。MS(ESI)m/z:554.0[M+H]+。
【0076】
工程9:(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸の合成
【0077】
【0078】
室温で、10mLの1つ口フラスコに、エチル(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(85.0mg,0.15mmol)、エチルアルコール(3.0mL)を加え、全体が溶解するまで攪拌した後、水酸化リチウム一水和物(38.6mg、0.92mmol、既に0.5mLの水に溶解)を加え、70℃に徐々に昇温し、15時間攪拌して反応させた。反応の溶媒を40℃の条件で減圧して乾燥まで蒸発し、黄色の固体粗品生成物を得た。MS(ESI)m/z:526.0[M+H]+。
【0079】
工程10:(R,13E,14E)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの合成
【0080】
【0081】
室温で、前工程の粗品生成物を10mLの1つ口フラスコに加えた後、メチレンクロリド(1.0mL)、トリフルオロ酢酸(1.0mL)を加え、超音波で分散させ、2時間攪拌して反応させた。反応の溶媒を40℃の条件で減圧して乾燥まで蒸発し、黄色の油状物を得、そして室温で油ポンプで4時間吸引し、薄い黄色の粗品1を得た。MS(ESI)m/z:426.0[M+H]+.
室温で、上記の粗品1を10mLの1つ口フラスコに加え、そしてHOBt(103.7mg、0.77mmol)、EDCI(310.7mg、0.77mmol)、DMF(4.0mL)を加え、超音波で分散させ、TEA(310.7mg、3.07mmol)を加え、窒素ガスで保護し、室温の条件で一夜反応させた。減圧して乾燥まで蒸発し、逆方向クロマトグラフィー精製(0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル、95%~0)によって白い固体11.0mgを得た。MS(ESI)m/z:408.0[M+H]+。1H NMR(300mHz、Chloroform-d) δ 9.73(br、1H)、8.33(d、J=7.7Hz、1H)、8.31(d、J=2.5Hz、1H)、8.29(s、1H)、7.08(dd、J=9.4、2.8Hz、1H)、6.33(d、J=7.7Hz、1H)、5.58(t、J=7.4Hz、1H)、4.01-3.65(m、6H)、2.94(dd、J=16.4、8.6Hz、1H)、2.62(dt、J=13.3、6.7Hz、1H)、2.43(dt、J=12.2、6.0Hz、1H)、2.24(dt、J=13.9、7.5Hz、1H)、1.96(dt、J=13.7、6.7Hz、1H)、1.17(dd、J=10.3、5.6Hz、1H)、0.87(dd、J=10.3、4.0Hz,1H)、0.51(d、J=6.3Hz、2H)。
【0082】
実施例2
(13E,14E,22R)-6-シクロプロピルアミノ-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0083】
【0084】
(13E,14E,22R)-6-シクロプロピルアミノ-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの調製方法は、実施例1におけるものと類似である。
【0085】
1H NMR(300mHz、Chloroform-d) δ 8.33(d、J=9.0Hz、1H)、8.31(d、J=6.0Hz1H)、8.24(s、1H)、7.21(dd、J=9.0、3.0Hz、0.5H)、7.11(dd、J=9.0、3.0Hz、0.5H)、6.33(d、J=7.6Hz、1H)、5.55(t、J=6.0Hz、0.5H)、5.48(t、J=6.0Hz、0.5H)、4.17(m、1H)、3.97(m、1H)、3.78(m、1H)、3.64(m、1H)、3.41(m、1H)、2.57(ddq、J=19.1、9.9、8.6Hz、1H)、2.40(dd、J=13.1、6.7Hz、1H)、2.23(m、1H)、2.01(m、1H)、1.88(m、6.3Hz、1H)、1.49(d、J=6.9Hz、1.5H)、1.16(m、1.5H)、1.00(m、1H)、0.88(m、1H)、0.70(m、1H)、0.43(m、1H)。MS(ESI)m/z:422.2[M+H]+。
【0086】
実施例3
(13E,14E,22R,5R)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン及び(13E,14E,22R,5S)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0087】
【0088】
工程1:実施例2の方法による(13E,14E,22R)-6-シクロプロピルアミノ-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの合成
工程2:(13E,14E,22R,5R)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン及び(13E,14E,22R,5S)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの調製
【0089】
【0090】
(13E,14E,22R)-6-シクロプロピルアミノ-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(200mg、0.47mmol)を採取してカイラル調製コラムで分離し、実施例3a:(13E,14E,22R,5R又はS)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,54]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(28.3mg、収率28.3%)及び実施例3b:(13E,14E,22R,5R又はS)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(35.6mg、収率35.6%)を得た。
分離調製方法:
機器:waters SFC200
コラム:ChiralPak OD、250×30mm I.D.、5μm
移動相:A:CO2;B:MEOH(0.1%NH3H2O)
波長:254nm
コラム温度:38℃
流速:60g/min
1回のサンプリング量:5mL
1回のサンプリング濃度:10mg/mL
サンプリング回数:4
溶媒:MeOH
背圧:100bar
勾配条件:B 40%
サイクル時間:8分間
収集条件:40℃減圧濃縮
分離検出方法:
機器:waters UPCC
コラム:ChiralPak OD、2.1×150mm I.D.、3μm
移動相:A:CO2;B:MEOH(0.1%DEA)
波長:254nm
コラム温度:40℃
流速:1mL/min
サンプリング量:2μL
サンプリング濃度:2mg/mL
溶媒:MeOH
背圧:1500psi
勾配条件:B 5%-40%
動作時間:10分間
保持時間:4.471分間、4.788分間
実施例3a:(13E,14E,22R,5R又はS)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンであり、保持時間は4.471分間であった。MS(ESI)m/z.422.2[M+H]+.1H NMR(400mHz、CDCl3) δ 8.63(br、1H)、8.31(dd、J=23.1、15.6Hz、3H)、7.16-7.07(m、1H)、6.33(d、J=.6Hz、1H)、5.49(t、J=17.1Hz、1H)、4.16(t、J=8.0Hz,1H)、4.01-3.92(m、1H)、3.81(m、1H)、3.46(dd、J=33.0、21.6Hz、2H)、3.18(m、1H)、2.60(m、1H)、2.39(m、1H)、2.24(m、1H)、1.89(d、J=11.6Hz、1H)、1.29-1.21(d、J=7.6Hz,3H)、1.07-0.93(m、2H)、0.74-0.66(m,1H)、0.51-0.42(m、1H).
実施例3b:(13E,14E,22R,5R又はS)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンであり、保持時間は4.788分間であった。MS(ESI)m/z.422.2[M+H]+.1H NMR(400mHz、CDCl3) δ 9.11(br、1H)、8.42-8.22(m、3H)、7.20(d、J=9.3Hz、1H)、6.39-6.25(d、J=7.6Hz、1H)、5.56(t、J=12Hz、1H)、4.18(t、J=8.0Hz,1H)、3.98(s、1H)、3.86(d、J=24.8Hz、2H)、2.80(d、J=16.3Hz、1H)、2.53(m、1H)、2.42(m、1H)、2.30(m、1H)、2.22(m、1H)、1.88(d、J=11.6Hz、1H)、1.57-1.42(d、J=7.6Hz、3H)、1.02(m、1H)、0.93-0.85(m、1H)、0.44(m、2H).
実施例4
(R,13E,14E)-35-フルオロ-6-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの合成
【0091】
【0092】
工程1:エチル(S)-5-(2-(5-フルオロ-2-(2-(メチルアミノ)エチル)ピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレートの合成
【0093】
【0094】
室温条件下、100mLの1つ口フラスコに、エチル(S,E)-5-(2-(5-フルオロ-2-(プロピ-1-エン-1-イル)ピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(1.00g、2.62mmol)、30%のメチルアミノエチルアルコール溶液(30mL)、氷酢酸(10mL)を加え、真空吸引し、窒素ガスで置換し、75℃に徐々に昇温し、19時間還流して反応させ、反応を停止した。反応液を室温に冷却し、EAを加え、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、EAで水相を逆抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(DCM/EtOH系)によって黄色の固体544.3mgを得た。収率は45.74%であった。MS(ESI)m/z:413.3[M+H]+.
工程2:エチル(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-メチルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレートの合成
【0095】
【0096】
室温条件下、50mLの1つ口フラスコに、エチル(S)-5-(2-(5-フルオロ-2-(2-(メチルアミノ)エチル)ピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(439.0mg、1.04mmol)、テトラヒドロフラン(9.00mL)、N-メチルモルホリン(158.0mg、1.56mmol)を加え、0℃に降温し、N-Boc-O-p-トルエンスルホニル-ヒドロキシアミン(898.3mg、3.12mmol)を少しずつ加えた後、室温に戻して反応させ、19時間反応させて反応を停止し、EAを加え、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、EAで水相を抽出し、有機相を合わせて無水Na2SO4で乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(PE/EA系)によって生成物68.2mgを得た。MS(ESI)m/z:528.3[M+H]+.
工程3:(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-メチルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸の合成
【0097】
【0098】
室温条件下、25mLの1つ口フラスコに、エチル(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-メチルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(62.8mg、0.13mmol)、エチルアルコール(2.00mL)を加え、全体が溶解した後、水酸化リチウム一水和物(32.5mg、0.77mmol)の水溶液(0.5mL)を加え、70℃に徐々に昇温し、6時間攪拌して反応させ、完全に反応させた。反応液を室温に降温し、減圧して乾燥まで蒸発し、黄色の固体粗品生成物1を得た。MS(ESI)m/z:500.1[M+H]+。
【0099】
工程4:(R,13E,14E)-35-フルオロ-6-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの合成
【0100】
【0101】
室温条件下、上記の粗品生成物1を25mLの1つ口フラスコに加えた後、メチレンクロリド(2.00mL)とトリフルオロ酢酸(2.00mL)を加え、超音波で溶解させ、室温で2時間攪拌して完全に反応させ、反応を停止した。反応系を減圧して乾燥まで蒸発し、極薄い黄色の粗品2を得た。MS(ESI)m/z:400.5[M+H]+。
【0102】
室温条件下、上記の粗品2を25mLの1つ口フラスコに加え、そしてHOBt(87.3mg、0.64mmol)、EDCI(123.9mg、0.64mmol)、DMF(3.00mL)、TEA(261.6mg、2.58mmol)を加え、真空吸引し、窒素ガスで置換し、室温条件下で一夜反応させ、完全に反応させた。反応系を減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル系)によって16.5mgの生成物を得た。MS(ESI)m/z:382.4[M+H]+.1H NMR(300mHz、Chloroform-d) δ 8.35(d、J=9.4、1H)、8.34(d、2.8、1H)、8.31(s、1H)、7.10(dd、J=9.4、2.8Hz、1H)、6.34(d、J=7.6Hz、1H)、5.54(t、J=7.5Hz、1H)、4.12(dd、J=15.0、6.2Hz、1H)、3.99(dd、J=7.9、7.2Hz、1H)、3.86(dd、J=8.7、7.8Hz、1H)、3.72-3.69(m、1H)、3.67-3.65(m、1H)、2.87-2.79(m、1H)、2.77(s、3H)、2.66-2.56(m、1H)、2.47-2.41(m、1H)、2.30-2.23(m、1H)、1.97-1.90(m、1H).
実施例5
(R,13E,14E)-6-エチル-35-フルオロ-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0103】
【0104】
工程1:エチル(S)-5-(2-(2-(2-(エチルアミノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレートの合成
【0105】
【0106】
室温条件下、100mLの1つ口フラスコに、エチル(S)-5-(2-(5-フルオロ-2-ビニルピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(1.52g、3.98mmol)、30%のエチルアミノエチルアルコール溶液(40.80mL)、氷酢酸(13.60mL)を加え、真空吸引し、窒素ガスで置換し、75℃に徐々に昇温し、還流して反応させた。23.5時間攪拌し、反応を停止した。反応液を室温に冷却し、EAを加え、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、EAで水相を逆抽出し、有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(DCM/EtOH系)によって黄色の固体610mgを得た。収率は33.66%であった。MS(ESI)m/z:427.5[M+H]+.
工程2:エチル(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-エチルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレートの合成
【0107】
【0108】
室温条件下、50mLの1つ口フラスコに、エチル(S)-5-(2-(2-(2-(エチルアミノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(753.7mg、1.77mmol)、テトラヒドロフラン(15mL)、N-メチルモルホリン(178.8mg、1.77mmol)を加え、0℃に降温し、N-Boc-O-p-トルエンスルホニル-ヒドロキシアミン(2.54g、8.84mmol)を少しずつ加えた後、室温に戻して反応させ、17時間反応させて反応を停止し、EAを加え、飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、EAで水相を抽出し、有機相を合わせて無水Na2SO4で乾燥し、減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(PE/EA系)によって101.6mgの生成物を得た。MS(ESI)m/z:542.6[M+H]+.
工程3:(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-エチルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸の合成
【0109】
【0110】
室温条件下、25mLの1つ口フラスコに、エチル(S)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-エチルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロピリジン-3-イル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(101.6mg、0.19mmol)、エチルアルコール(4.00mL)を加え、全体が溶解した後、水酸化リチウム一水和物(47.2mg、1.13mmol)の水溶液(0.8mL)を加え、70℃に徐々に昇温し、5時間攪拌して完全に反応させた。反応系を室温に降温し、減圧して乾燥まで蒸発し、黄色の固体粗品生成物1を得た。MS(ESI)m/z:514.5[M+H]+。
【0111】
工程4:(R,13E,14E)-35-フルオロ-6-エチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの合成
【0112】
【0113】
室温条件下、上記の粗品生成物1を25mLの1つ口フラスコに加えた後、メチレンクロリド(3.00mL)、トリフルオロ酢酸(3.00mL)を加え、超音波で溶解させ、室温で1.5時間攪拌して完全に反応させ、反応を停止した。反応系を減圧して乾燥まで蒸発し、極薄い黄色の粗品2を得た。MS(ESI)m/z:414.4[M+H]+。
【0114】
室温条件下、上記の粗品2を25mLの1つ口フラスコに加え、そしてHOBt(126.7mg、0.94mmol)、EDCI(180.0mg、0.94mmol)、DMF(6.00mL)、TEA(380.0mg、3.75mmol)を加え、真空吸引し、窒素ガスで置換し、室温条件下で一夜反応させ、完全に反応させた。反応系を減圧して乾燥まで蒸発し、クロマトグラフィー(0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル系)によって14.4mgの生成物を得た。MS(ESI)m/z:396.4[M+H]+.HPLC:97.87%.1H NMR(300MHz、Chloroform-d) δ 9.42(br,1H)、8.41-8.31(m、3H)、7.10(dd、J=8.4、2.8Hz、1H)、6.36(d、J=7.9Hz、1H)、5.57(t、J=7.5Hz、1H)、4.04-3.95(m、2H)、3.92-3.83(m、2H)、3.78-3.70(m、1H)、3.63(d、J=17.8Hz、1H)、2.98(q、J=8.4Hz、2H)、2.66-2.57(m、1H)、2.29-2.18(m、2H)、1.26-1.20(t、J=6.0Hz、3H).
実施例6
(R,13E,14E)-35-フルオロ-6-i-プロピル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0115】
【0116】
(R,13E,14E)-35-フルオロ-6-i-プロピル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの調製方法は、実施例1におけるものと類似である。
【0117】
1H NMR(400MHz、CDC13) δ 9.41(br、1H)、8.33(d、J=8.0Hz、1H)、8.32(s、2H)、7.09(dd、J=9.4、2.3Hz、1H)、6.34(d、J=7.9Hz、1H)、5.56(t、J=7.3Hz、1H)、4.20-4.14(m、1H)、4.00(q、J=8.0Hz、1H)、3.88-3.82(m、1H)、3.65(dd、J=15.4、4.0Hz、1H)、3.56(d、J=16.2Hz、1H)、3.09(p、J=6.2Hz、1H)、2.86(dd、J=15.1、10.1Hz、1H)、2.61(dd、J=13.4、6.8Hz、1H)、2.44(dt、J=12.7、6.3Hz、1H)、2.25(dt、J=13.7、7.3Hz、1H)、1.94(dd、J=13.5、6.8Hz、1H)、1.29(d、J=6.3Hz、3H)、1.22(d、J=6.3Hz、3H)。MS(ESI)m/z:410.2[M+H]+。
【0118】
実施例7
(13E,14E,22R,5R)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン及び(13E,14E,22R,5S)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0119】
【0120】
工程1:実施例2の方法による(13E,14E,22R)-5,6-ジメチル-35-フルオロ-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[l,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの合成
工程2:(13E,14E,22R,5R)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン及び(13E,14E,22R,5S)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの調製
【0121】
【0122】
(13E,14E,22R)-5,6-ジメチル-35-フルオロ-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-アザベンゼン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(260mg、0.65mmol)を採取して調製コラムで分離し、実施例7a:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(23mg、収率17.7%)及び実施例7b:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(56mg、収率43.1%)を得た。
分離調製方法:
機器:QingBoHua LC2000型高速液体クロマトグラフィー
コラム:YMC Triart C18 250*20mm 10μm
移動相:A:アセトニトリル;移動相B:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液
波長:230nm
コラム温度:35℃
流速:10ml/min
溶媒:アセトニトリル
調製条件:0分間A25B75→25分間A25B75→30分間A26B74→35分間A28B72
収集条件:40℃減圧濃縮
分離検出方法:
機器:Agilent 1260 Infinity II
コラム:Xtimate C18 4.6*50mm 3μm
移動相:A:純アセトニトリル;B:0.1%トリフルオロ酢酸水
波長:230nm
コラム温度:35℃
流速:1mL/min
サンプリング量:20μL
保持時間:2.371min、2.844min
溶媒:アセトニトリル
検出条件:B 10%-76%
実施例7a:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンであり、保持時間は2.371分間であった。MS(ESI)m/z:396.2[M+H]+.1H NMR(400MHz、DMSO-d6) δ 9.55(br、1H)、8.82(d、J=7.7Hz、1H)、8.37(m、1H),8.11(s、1H)、7.54(d、J=9.8Hz、1H)、6.72(d、J=7.8Hz、1H)、5.40(t、J=6.8Hz、1H)、4.20(m、1H)、4.08(q、J=7.5Hz、1H)、3.84(m、1H)、3.53-3.42(m、1H)、3.23(dd、J=14.5、10.6Hz、1H)、3.04(s、3H)、2.62(dt、J=12.6、6.5Hz、1H)、2.24(dt、J=11.7、5.9Hz、1H)、2.08(dq、J=12.9、7.4Hz、1H)、1.83-1.72(m、1H)、1.31(d、J=6.9Hz、3H).
実施例7b:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-5,6-ジメチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンであり、保持時間は2.844分間であった。MS(ESI)m/z:396.2[M+H]+.1H NMR(400mHz、DMSO-d6) δ 9.64(br、1H)、8.80(d、J=7.7Hz、1H)、8.42(d、J=2.6Hz、1H)、8.13(s、1H)、7.59(d、J=12.6Hz、1H)、6.69(d、J=7.8Hz、1H)、5.61(t、J=7.1Hz、1H)、4.14(d、J=7.2Hz、1H)、3.96(s、1H)、3.91(d、J=5.0Hz、1H)、3.88-3.75(m、2H)、2.65(s、3H)、2.59(s、1H)、2.31(dq、J=11.7、5.7、5.1Hz、1H)、2.14-1.99(m、1H)、1.80(dq、J=13.5、7.1Hz、1H)、1.46(d、J=6.9Hz、3H).
実施例8
(13E,14E,22R,5R)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン及び(13E,14E,22R,5S)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0123】
【0124】
工程1:実施例2の方法による(13E,14E,22R)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの合成
工程2:(13E,14E,22R,5R)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン及び(13E,14E,22R,5S)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの調製
【0125】
【0126】
(13E,14E,22R)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(320mg、0.78mmol)を採取して調製コラムで分離し、実施例8a:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(26mg、収率16.2%)及び実施例8b:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン(53mg、収率33.1%)を得た。
分離調製方法:
機器:QingBoHua LC2000型高速液体クロマトグラフィー
コラム:YMC Triart C18 250*20mm 10μm
移動相:A:アセトニトリル;移動相B:0.05%トリフルオロ酢酸水溶液
波長:230nm
コラム温度:35℃
流速:10ml/min
溶媒:アセトニトリル
調製条件:0分間A33B67→25分間A33B67→30分間A35B65
収集条件:40℃減圧濃縮
分離検出方法:
機器:Agilent 1260 Infinity II
コラム:Xtimate C18 4.6*50mm 3μm
移動相:A:純アセトニトリル;B:0.1%トリフルオロ酢酸水
波長:230nm
コラム温度:35℃
流速:1mL/min
サンプリング量:20μL
保持時間:1.898分間、2.369分間
溶媒:アセトニトリル
検出条件:B 10%-72%
実施例8a:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンであり、保持時間は1.898分間であった。MS(ESI)m/z:410.1[M+H]+.1H NMR(400mHz、DMSO-d6) δ 9.55(br、1H)、8.82(d、J=7.7Hz、1H)、8.37(m、1H)、8.11(s、1H)、7.54(d、J=9.8Hz、1H)、6.72(d、J=7.8Hz、1H)、5.40(t、J=6.8Hz、1H)、4.20(m、1H)、4.08(q、J=7.5Hz、1H)、3.84(m、1H)、3.53-3.42(m、1H)、3.23(dd、J=14.5、10.6Hz、1H)、3.04(s、3H)、2.62(dt、J=12.6、6.5Hz、1H)、2.24(dt、J=11.7、5.9Hz、1H)、2.08(dq、J=12.9、7.4Hz、1H)、1.83-1.72(m、1H)、1.04(m、6H).
実施例8b:(13E,14E,22R,5R又はS)-35-フルオロ-6-エチル-5-メチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンであり、保持時間は2.369分間であった。MS(ESI)m/z:410.1[M+H]+.1H NMR(400mHz、DMSO-d6) δ 9.02(br、1H)、8.76(d、J=7.7Hz、1H)、8.39(d、J=2.5Hz、1H)、8.06(s、1H)、7.56(dd、J=10.1、2.4Hz、1H)、6.66(d、J=7.8Hz、1H)、5.59(s、1H)、4.22-3.94(m、1H)、3.90-3.73(m、2H)、3.68-3.59(m、1H)、2.90-2.74(m、1H)、2.67(p、J=8.3、7.5Hz、1H)、2.53(m、1H)、2.48-2.40(m、1H)、2.30(dq、J=12.0、6.6Hz、1H)、2.07(dt、J=13.2、7.2Hz、1H)、1.77(td、J=12.9、6.3Hz、1H)、1.44(d、J=6.9Hz、3H)、0.98(t、J=6.9Hz、3H).
実施例9
(R,13E,14E)-35-フルオロ-6-イソブチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オン
【0127】
【0128】
(R,13E,14E)-35-フルオロ-6-イソブチル-6,7-ジアゼピン-1(5,3)-ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロオクタン-8-オンの調製方法は、実施例1におけるものと類似である。
【0129】
1H NMR(400mHz、CDC13) δ 9.29(br、1H)、8.30(dd、J=9.5、7.2Hz、3H)、7.07(dd、J=9.4、2.8Hz、1H)、6.32(d、J=7.7Hz、1H)、5.57-5.53(t、J=7.3Hz、1H)、3.99-3.91(m、2H)、3.87-3.80(m、2H)、3.63(dt、J=16.0、3.5Hz、1H)、2.86-2.76(m、2H)、2.65(dt、J=13.3、6.8Hz、1H)、2.54(dd、J=11.8、8.4Hz、1H)、2.43(dt、J=12.6、6.2Hz、1H)、2.25(dt、J=13.5、7.5Hz、1H)、1.97-1.88(dt、J=14.2、7.2Hz、1H)、1.82(dt、J=13.6、6.6Hz、1H)、1.12(d、J=6.5Hz、3H)、0.96(d、J=6.7Hz、3H).MS(ESI)m/z:424.2[M+H]+.
実施例10
(R,13E,14E)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-6,7-ジアザ-1(5,3)-ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロトリデカン-8-オンの合成
【0130】
【0131】
工程1:2-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)エチルアルコール
【0132】
【0133】
2-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)酢酸(46.63g,200.00mmol)をTHF500mLに溶解し、0℃でボランのテトラヒドロフラン溶液(1.0m、300mL)を加え、18℃で16時間反応させて終了した。1N希塩酸で反応液をクエンチングし、EAを加えて抽出し、飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮して黄色の油状物42.57gを得た。収率は97%であった。
【0134】
工程2:2-ブロモ-4-フルオロ-1-(2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)ベンゼン
【0135】
【0136】
室温で、四つ口フラスコにNaH(4.10g、102.00mmol)、THF 200mLを加え、0℃で2-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)エチルアルコール(14.90g、102.00mmol)を加え、0℃で0.5時間反応させ、テトラブチルアンモニウムヨージド(36.28g、96.00mmol)、p-メトキシベンジルクロライド(12.78g、82.00mmol)を加え、50℃で4時間反応させて終了した。1N希塩酸で反応液をクエンチングし、EAを加えて抽出し、飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮して無色の油状物15.37gを得た。収率は67%であった。
【0137】
工程3:5-フルオロ-2-(2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)ベンズアルデヒド
【0138】
【0139】
室温で、2-ブロモ-4-フルオロ-1-(2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)ベンゼン(15.37g、45.50mmol)をTHF(500mL)に溶解し、-78℃でN2による保護下、s-ブチルリチウム(70mL)を加え、-78℃で1時間攪拌してDMF(18.17g、230.00mmol)を加え、温度を-78℃に調節して0.5時間反応させて終了した。反応液を飽和アンモニウムクロライド溶液でクエンチングした。EAを加えて抽出し、有機相を水で洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過・濃縮し、クロマトグラフィー精製(EA/PE系)によって黄色の油状物8.01gを得た。収率は62%であった。
【0140】
工程4:(R,E)-N-(5-フルオロ-2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)ベンザル)-2-t-ブチル-2-スルホンイミド
【0141】
【0142】
室温で、1つ口フラスコに5-フルオロ-2-(2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)ベンズアルデヒド(8.00g、28.00mmol)、R-t-ブチルスルフェンアミド(3.56g、30.00mmol)、Cs2CO3(6.33g、19.00mmol)、DCM 100mLを順に加え、N2で保護し、25℃で16時間反応させて終了した。反応液を水に仕込み、分液して飽和食塩水で有機相を洗浄し、無水MgSO4で乾燥し、ろ過・濃縮して黄色の油状物10.88gを得た。収率は100%であった。
【0143】
工程5:N-((R)-3-((1,3-ジオキサン-2-イル)-1-(5-フルオロ-2-(2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)フェニル)プロピル)-2-t-ブチル-2-スルホンイミド
【0144】
【0145】
室温で、四つ口フラスコにMg末(0.87g、36.00mmol)、1-ブロモ-3,3-ジメトキシプロパン(7.10g、36.00mmol)、THF(100mL)を順に加え、真空吸引してN2で置換し、N2で保護し、加熱によって反応を開始させ、25℃で2時間反応した。氷浴下、(R,E)-N-(5-フルオロ-2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)メチレン)-2-t-ブチル-2-スルホンイミド(10.88g、28.00mmol)のTHF(40mL)溶液を滴下した後、25℃に昇温して2時間反応させて終了し、氷浴下で飽和NH4Cl溶液を加えて反応をクエンチングし、分層して水相をEAで抽出し、有機相を合わせて無水MgSO4で乾燥し、ろ過・濃縮して白い固体14.20gを得た。収率は100%であった。
【0146】
工程6:(R)-2-(2-(3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル)-4-フルオロ)フェネチルアルコール
【0147】
【0148】
室温で、1つ口フラスコに、(S)-N-((R)-3-((1,3-ジオキサン-2-イルフルオロ)-1-(5-フルオロ-2-(2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル)フェニル)プロピル)-2-t-ブチル-2-スルホンイミド(14.20g、28.00mmol)、H2O(25mL)を順に加え、氷浴でTFA(100mL)を滴下した後、攪拌して20分間反応させた後、25℃に昇温して22時間反応させて終了した。反応液をそのまま次の工程に利用した。
【0149】
工程7:(R)-2-(4-フルオロ-2-(ピロリジン-2-イル)フェネチルアルコール
【0150】
【0151】
室温で、1つ口フラスコに、(R)-2-(2-(3,4-ジヒドロ-2H-ピロール-2-イル)-4-フルオロ)フェネチルアルコール(前工程の反応液)を加え、氷塩浴でトリエチルシラン(9.77g、84.00mmol)を少しずつ加えた後、17℃に昇温して1時間反応させて終了し、2N HCl水溶液を加えて反応をクエンチングし、系のpHを2~3に調節し、EAで洗浄し、1N NaOH水溶液でpHを9~10に調節し、DCMで抽出し、有機相を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮して薄い黄色の油状物3.80gを得た。両工程の合計収率は65%であった。
【0152】
工程8:(R)-5-(2-(5-フルオロ-2-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)ピロール-1-イル)ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル
【0153】
【0154】
室温で、1つ口フラスコに、(R)-2-(4-フルオロ-2-(ピロリジン-2-イル)フェネチルアルコール(3.80g、18.00mmol)、5-クロロビラゾロ[1,5-A]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(4.10g、18.00mmol)、TEA(3.64g、36.00mmol)、EtOH(50mL)を順に加え、真空吸引してN2で置換し、N2で保護し、24℃で16時間反応させて終了した。回転蒸発によってエチルアルコールを除去し、DCMと水を加え、攪拌・分液して水相を除去し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮してクロマトグラフィー精製(EA/PE系)によって黄色の泡状固体3.56gを得た。収率は50%であった。
【0155】
工程9:(R)-5-(2-(5-フルオロ-2-(2-メチルスルホニル)エチル)フェニル)ピロール-1-イル)ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル
【0156】
【0157】
室温で、1つ口フラスコに、(R)-5-(2-(5-フルオロ-2-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)ピロール-1-イル)ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(2.00g、5.02mmol)、TEA(1.52g、15.06mmol)、DCM 50mLを順に加え、氷浴でメタンスルホニルクロリド(1.16g、10.04mmol)を加え、26℃に自然に昇温して2時間反応させて終了した。反応液を水に仕込み、攪拌・抽出・分液し、有機相を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮して黄色の液体を得、粗品をそのまま次の工程に利用した。収率は100%であった。
【0158】
工程10:(R)-5-(2-(2-(2(シクロプロピルアミノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロール-1-イル)ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル
【0159】
【0160】
室温で、1つ口フラスコに、(R)-5-(2-(5-フルオロ-2-(2-メチルスルホニル)エチル)フェニル)ピロール-1-イル)ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(前工程の粗品、5.02mmol)、シクロプロピルアミン(0.86g、15.06mmol)、DMF(30mL)を順に加え、N2による保護下、80℃の条件で攪拌して3時間反応させて終了した。反応液を水に仕込み、EAを加えて抽出し、EA相を1Nの希塩酸で洗浄し、水相に炭酸ナトリウムを加えてPH=12に調節し、EAを加えて抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮して薄い黄色の液体1.69gを得た。収率は77%であった。
【0161】
工程11:(R)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチルの合成
【0162】
【0163】
室温で、1つ口フラスコに、(R)-5-(2-(2-(2(シクロプロピルアミノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロール-1-イル)ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(1.67g、3.82mmol)、N-t-ブトキシカルボニル-3-(4-シアノフェニル)オキサジリジン(1.25g、4.97mmol)、DMF(25mL)を順に加え、21℃で16時間反応させて停止した。EAを加え、水で洗浄し、EAで水相を逆抽出し、有機相を合わせて無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮してクロマトグラフィー精製(PE/EA系)によって黄色の油状の固体1.02gを得た。収率は68%であった。
【0164】
工程12:(R)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸の合成
【0165】
【0166】
室温で、1つ口フラスコに、(R)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸エチル(0.70g、1.34mmol)とエチルアルコール(10mL)を順に加え、全体が溶解するまでに攪拌した後、水酸化ナトリウム(0.32g、8.04mmol)のH2O(5mL)溶液を加え、70℃に昇温し、16時間反応させて停止し、室温に降温し、濃縮によってエチルアルコールの大部分を除去し、DCMとH2Oを加え、1N HClでpHを3-4に調節し、攪拌して分層し、DCMで水相を抽出し、有機相を合わせて無水Na2SO4で乾燥し、ろ過・濃縮して白い固体0.63gを得た。収率は95%であった。
【0167】
工程13:(R)-5-(2-(2-(2-(1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸
【0168】
【0169】
室温で、1つ口フラスコに、(R)-5-(2-(2-(2-(2-(t-ブチルカルボニル)-1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(0.63g、1.20mmol)とHClのエチルアルコール溶液(10mL)を順に加え、全体が溶解するまでに攪拌し、32℃で1時間反応させて停止し、乾燥するまでに減圧濃縮し、薄い黄色の固体0.60gを得た。収率は100%であった。
【0170】
工程14:(R,13E,14E)-6-シクロプロピル-35-フルオロ-6,7-ジアザ-1(5,3)-ピラゾリン[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-フェニル-2(1,2)-ピロリジンシクロトリデカン-8-オン
【0171】
【0172】
室温条件で、4つ口のフラスコに、TBTU(0.68g、2.12mmol)、DMAP(0.034g、0.30mmol)、DMF(6mL)とDCM(30mL)を順に加え、真空まで吸引し、N2で置換し、N2による保護下、DIEA(1.09g、8.46mmol)を加えた。(R)-5-(2-(2-(2-(1-シクロプロピルヒドラジノ)エチル)-5-フルオロフェニル)ピロリジン-1-イル)ビラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(0.60g、1.41mmol)をDMF(6mL)とDCM(6mL)の混合溶液で溶解した後、得られた清澄の溶液を五等分し、32℃で平均1時間ごとに上記溶液の1等分を加え、その後32℃で1時間反応させて終了し、減圧して乾燥まで濃縮し、クロマトグラフィー精製(DCM/CH3OH系)によって白っぽい固体0.22gを得た。収率は42%であった。1H NMR(400mHz、Chloroform-d)59.85(br、1H)、8.30(d、J=9.3Hz、2H)、7.20(m、1H)、6.90(t、J=8.0Hz、1H)、6.78(d、J=10.2Hz、1H)、6.33(d、J=7.7Hz、1H)、5.67(t、J=6.6Hz、1H)、3.99(dt,J=14.0、7.9Hz、2H)、3.90-3.72(m、1H)、3.65-3.50(m、2H)、2.94-2.88(m、1H)、2.67-2.50(m、2H)、2.50-2.33(m、1H)、2.21(dt、J=13.3、7.0Hz、1H)、1.93(dt、J=12.7、6.5Hz、1H)、1.14(m、1H)、0.90(d、J=10.2Hz、1H)、0.54(m、2H).MS(ESI)m/z:407[M+H]+.
実施例11
Trkキナーゼ阻害活性試験
本試験は、γ-33P-ATP同位体試験法によって化合物によるキナーゼTrkA、TrkB、TrkCの阻害作用を調べ、化合物による酵素阻害活性の半数阻害濃度IC50を得、文献によるTrkインヒビターLOXO-101(上海SaiNuoKe医薬科技有限会社から購入、ロット:SCT0142170801)を陽性コントロールとした。
【0173】
1.ベース反応バッファマ
20mM Hepes(pH7.5)、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02mg/ml BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、1% DMSO。
【0174】
2.化合物配合
100% DMSOで化合物を所定の濃度に溶解した後、オートサンプリング装置によって、異なる濃度の被験サンプル(DMSO溶解液)に勾配で希釈した。
【0175】
3.反応工程
3.1 ベース反応バッファマによって反応基質を希釈した。
【0176】
3.2 キナーゼを基質溶液に加え、緩やかに均一に混合した。
【0177】
3.3 オートサンプリングシステムを利用し、100%DMSOで希釈された異なる濃度の化合物をキナーゼ溶液に加え、室温で20分間培養した。
【0178】
3.4 室温で33P-ATP(10μM、10μCi/μl)を加えてキナーゼ反応を開始させ、2時間反応させた。
【0179】
4.検出
反応液からイオン交換・ろ過システムで未反応のATP及び反応で生成されたADPなどのイオンを除去した後、基質における33P同位体放射量を検出した。
【0180】
5.データ処理
放射量に準じて異なる濃度のインヒビター系に加えたキナーゼ活性を算出し、異なる濃度の化合物によるキナーゼ活性の阻害作用を得、graphpad prismで近似して化合物阻害IC50を得た。
【0181】
本発明に係る化合物の生化学活性は以上の試験によって測定され、得られたIC50値を表1に示す。
【0182】
【0183】
【0184】
結果として、本発明化合物は陽性薬よりも良いTrkキナーゼ阻害活性を有する。
【0185】
実施例12
tel-NTRK1-BaF3、BaF3-LMNA-NTRK1細胞成長阻害試験
本試験は、CellTiter-Glo細胞増殖蛍光検出法によって化合物によるtel-NTRK1-BaF3、BaF3-LMNA-NTRK1遺伝子組み換え細胞の成長阻害作用を調べ、化合物による当該細胞の半数成長阻害濃度GI50を得、文献によるTrkインヒビターLOXO-101(HaoyuanChemexpress Co.、Ltd.から購入)を陽性コントロールとした。
1.試験機器及び材料
I)PreceDoターゲットスポット等価遺伝子安定細胞株ライブラリ;
II)CellTiter-Glo細胞増殖蛍光検出試薬(Promega、USA);
III)薬物スクリーニング96ウェル専用プレート(Corning、Rochester、NY);
IV)被験化合物。
【0186】
2.化合物による薬プレートの調製
被験化合物をDMSOに溶解して10mMのマスタ液を調製し、3倍希釈によって10mM、3.333mM、1.111mM、0.370mM、0.123mM、0.041mM、0.014mM、0.005mM、0.002mMに調製して0.5ml滅菌dorftチューブ(Corning、USA)に貯留し、その同時に、同容量のDMSO溶媒をブランクコントロールとして合計10個の濃度勾配とし、薬プレートを-20℃で真空保存した。
【0187】
3.細胞培養条件
RPMI 1640(Corning、NY、USA)+10%ウシ胎児血清(Gibico、Invitrogen、USA)によってtel-NTRK1-BaF3、BaF3-LMNA-NTRK1細胞系を培養し、細胞蘇生後、2代培養して試験に供した。
【0188】
4.試験及びデータ処理
対数成長期細胞(2000~2500個/ウェル)を12×8の96ウェルの白い不透明細胞培養プレート(Corning 3570、NY、USA)に接種し、ウェル毎の容量は100μLであり、細胞プレートに薬を加え(0.1μL/ウェル)、化合物の最終濃度は10μM、3.3μM、1.1μM、0.37μM、0.12μM、0.04μM、0.014μM、0.005μM、0.002μMになり(0.4μLの薬液を400μLの細胞均一混合液に加え、そして均一に混合し、ウェル毎100μlを加えた)、37℃、5%CO2培養箱で72時間培養した後、20μL CellTiter-Glo細胞増殖蛍光検出試薬を加え、10分間静置し、Envision Plate-Readerで数値を読み出した。
【0189】
5.試験検証
いずれの薬プレートには、溶媒のグループ(DMSOだけ加えた)を陰性コントロールとした。
【0190】
6.結果
Envision Plate-readerで数値を読み出すことによって、対応するウェル毎の蛍光値RLUを得た。被験化合物の元データRLUDrugとDMSOコントロールグループRLUDMSOを標準化した。
【0191】
Cell Viability%=(RLUDrag/RLUDMSO)*100%
Graph Pad Prism version 6.0.によって、単一濃度の被験化合物による細胞阻害率数値を非線形回帰曲線近似し、GI50値を得た。
【0192】
7.ベース反応バッファマ
20mM Hepes(pH 7.5)、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02%mg/ml BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、1% DMSO。
【0193】
本発明化合物の生化学活性は、以上の試験によって測定され、得られたGI50値を表2に示す。
表2 Trk融合細胞株阻害活性試験結果
【0194】
【0195】
結果として、本発明に係る化合物は陽性薬よりも良いTrk融合突然変異細胞成長阻害活性を有する。
【0196】
実施例13
化合物によるヒト肝臓ミクロソーム代謝安定性試験
培養系の全容量は250μLであり、50mmol/LのPBSバッファ(pH=7.4)でタンパク濃度0.5mg/mLの各種属肝臓ミクロソームを含む培養液を配合し、培養前、100μmol/L被験化合物2.5μLと上記培養液197.5μLを混合し、37℃の水浴に5分間予備培養した後、同様に5分間予備培養された還元型コエンザイムII溶液(5mmol/L)50μLを加えて反応を開始させ(反応系における種属肝臓ミクロソームタンパク含有量0.5g/L、被験化合物最終濃度1μmol/L)、37℃の水浴において振動して培養し、0、5、15、30、60分の時点でそれぞれ取り出し、すぐにTerfenadine(正イオン内部標準、25ng/mL)とTolbutamide(負イオン内部標準、50ng/mL)という内部標準の正負内部標準混合メチルアルコール溶液600を加えて反応を終了した。終了後の培養液を2分間振動し、10分間遠心(4℃、16000r/min)し、上澄みを採取してLC-MS/MS検出し、マスタ薬の残量を定量分析した。(DMSO<0.1%)。
【0197】
0分間培養された化合物の濃度を100%とし、他の培養時点の濃度を残量百分率に変換し、培養時間に対する、各時点の残量百分率の自然対数を線形回帰し、傾きkを求め、式:T1/2=-0.693/kによって体外半減期を算出した。肝臓ミクロソームにおけるクリアランス(CLint(μL/min/mg protein)=Ln(2)*1000/T1/2(min)/Protein Conc(mg/ml))である。
【0198】
本発明に係る化合物によるヒト肝臓ミクロソーム代謝安定性試験のデータの詳細を表3に示す。
【0199】
【0200】
その結果、コントロールの化合物に比べ、本発明に係る化合物は陽性コントロール薬よりも良いヒト肝臓ミクロソーム代謝安定性を有し、より良い創薬性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【
図1】実施例1の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図2】実施例2の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図3】実施例3aの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図4】実施例3bの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトル;
【
図5】実施例4の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図6】実施例5の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図7】実施例6の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図8】実施例7aの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図9】実施例7bの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図10】実施例8aの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図11】実施例8bの化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図12】実施例9の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトルである。
【
図13】実施例10の化合物のプロトン核磁気共鳴スペクトル。