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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】ウイルス様粒子コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/12 20060101AFI20231128BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20231128BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61K39/12
A61P31/20
A61K39/39
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020568688
(86)(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2019036243
(87)【国際公開番号】W WO2019241095
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-01-19
(31)【優先権主張番号】62/683,543
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/683,787
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/435,502
(32)【優先日】2019-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517358982
【氏名又は名称】インベントプライズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カプレ,スバッシュ・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ,アヌープ・ケイ
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0331548(US,A1)
【文献】特表2014-520160(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102747047(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/12
A61P 31/20
A61K 39/39
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体タンパク質に結合されたヘテロ二官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアームに結合されたヒトパピローマウイルス(HPV)のL1又はL2タンパク質を含むウイルス様粒子(VLP)を含む免疫原性組成物であって、前記担体タンパク質が、ヒトパピローマウイルス(HPV)の別のL1又はL2タンパク質に結合している別のヘテロ二官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアームに結合している、免疫原性組成物
【請求項2】
前記HPVが血清型6、11、16、18、31、33、45、52、及び/又は58を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記スペーサーアームが、NH-PEG-NH/NHS、NHS/NH-PEG-COOH、Mal-PEG-NH、Mal-PEG-NHS、CHO-PEG-CHO、SH-PEG-NH、ADH、HZ-PEG-HZ、SMPH、SMCC、4-Arm-PEG-NHを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記担体タンパク質が、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド断片(TTHc)、髄膜炎菌タンパク質PorB、RSVウイルスタンパク質、B.百日咳菌タンパク質、百日咳トキソイド(PT)、アデニル酸シクラーゼ毒素(ACT)、69KDaタンパク質、ヒトパピローマウイルスタンパク質抗原、ヒトパピローマウイルスVLPフォーム、B型肝炎ウイルスコア抗原、B型肝炎ウイルスVLPフォーム、HBsAgの誘導体、及び/又はそれらの組み合わせである、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
アジュバントをさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記アジュバントが、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、モノホスホリルリピドA(MPLA)のリポソーム、サポニンQS-21、TLRリガンド、及び/又は強力なTLR4/7/8/9アゴニストを含む、請求項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記アルミニウム塩が、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムからなる群から選択される、請求項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記VLPがHPV L1タンパク質若しくはHPV L2タンパク質から得られたか、又は、それらに由来し、かつ、前記担体タンパク質がCRM197である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、前記HPVが血清型16及び/又は18であり、かつ、前記担体タンパク質がCRM197である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、前記HPVが血清型6及び/又は11であり、かつ、前記担体タンパク質がCRM197である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、前記HPVが血清型31及び/又は33であり、かつ、前記担体タンパク質がCRM197である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、前記HPVが血清型45及び/又は52であり、かつ、前記担体タンパク質がCRM197である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、前記HPVが血清型58であり、かつ、前記担体タンパク質がCRM197である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
前記VLPがL2タンパク質にコンジュゲートされたL1タンパク質を含み、前記担体タンパク質がCRM197である、請求項1~のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
患者への投与が従来のワクチンの効力を高める、請求項1~14のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
体タンパク質に結合されたヘテロ二官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアームに結合されたヒトパピローマウイルス(HPV)のL1タンパク質を含むウイルス様粒子(VLP)を含む免疫原性組成物であって、前記担体タンパク質が、ヒトパピローマウイルス(HPV)の別のL1又はL2タンパク質に結合している別のヘテロ二官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアームに結合しており、ここで、
該HPVは血清型6、11、16、18、31、33、45、52、及び/又は58を含み、
少なくとも1つのスペーサーアームは、ヘテロ二官能性スペーサーアームを含み、
該担体タンパク質は、破傷風トキソイド又はジフテリアトキソイドを含む、
免疫原性組成物。
【請求項17】
アジュバントをさらに含む、請求項16に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
体タンパク質に結合されたヘテロ二官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアームに結合されたヒトパピローマウイルス(HPV)のL2タンパク質を含むウイルス様粒子(VLP)を含む免疫原性組成物であって、前記担体タンパク質が、ヒトパピローマウイルス(HPV)の別のL1又はL2タンパク質に結合している別のヘテロ二官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアームに結合しており、ここで、
該HPVは血清型6、11、16、18、31、33、45、52、及び/又は58を含み、
少なくとも1つのスペーサーアームは、ヘテロ二官能性スペーサーアームを含み、
該担体タンパク質は、破傷風トキソイド又はジフテリアトキソイドを含む、
免疫原性組成物。
【請求項19】
アジュバントをさらに含む、請求項18に記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫原性組成物、コンジュゲート、ウイルス様粒子(VLP)組成物、ワクチン、及びヒトパピローマウイルスによる感染の治療及び/又は予防に向けた方法に関する。
【0002】
<関連出願の参照>
本出願は、2019年6月9日に出願された米国非仮出願第16/435,502号の優先権を主張しており、これは、2018年6月12日に出願された米国仮出願第62/683,787号、及び2018年6月11日に出願された米国仮出願第62/683,543号の優先権を主張するものであり、それぞれの全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、二本鎖DNAウイルスであり、扁平上皮の基底細胞を感染の標的とする。HPVの環状DNAゲノムは、2つの主要な癌遺伝子であるE6及びE7、並びに、2つの主要な構造タンパク質遺伝子であるL1及びL2で構成されている。従来のワクチンのほとんどは、これらの成分に基づいて開発されている。in vitroで組換え的に発現したHPVのL1タンパク質は、ウイルス様粒子(VLP)に自己集合する。VLPは、HPVタイプ固有のコンフォメーション中和エピトープを持ち、VLPベースのワクチン製品の開発に使用される。通常、VLPは酵母、細菌、又は昆虫の細胞発現システムで組換え的に発現される。
【0004】
現在、Gardasil(Merck and Co. Inc.)とCervarix(GSK)の2つのHPVワクチンが市販されている。ガーダシルワクチンの組成と用量は、6、11、16、18、1、33、45、52、58、合計9つの血清型及びアルミニウムアジュバントを含むHPV VLPL1タンパク質を含む。VLPは、1回の投与あたり20~40μgの量で存在する。ワクチンは、0、2、及び6か月のスケジュールに従って3回投与レジメンとして投与される。サーバーリックスワクチンは、HPV VLP16及び18L1タンパク質を含み、水酸化アルミニウム及びMPLA(3D-MPL)を含むアジュバントである。VLPは、1回の投与あたり20μgで存在する。このワクチンは、0、2、及び6か月のスケジュールに従って、3回投与レジメンとしても投与される。
【0005】
ワクチンの費用と投与回数は、発展途上国の人口を免疫する上での主な障害のままとなっている。したがって、より低コストでより低用量のワクチンが世界中で大いに必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、現在の方式及び設計に関連する問題及び欠点を克服し、新しい免疫原性組成物、免疫原性組成物を製造する方法、並びに、免疫原性組成物による感染症の治療及び予防の方法を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態は、スペーサーアーム及び担体タンパク質とコンジュゲーションされ、ヒトパピローマウイルス(HPV)のL1及び/若しくはL2タンパク質から得られるか、又は、それらに由来するウイルス様粒子(VLP)を含む、ワクチンなどの免疫原性組成物に関する。好ましくは、HPVは、血清型6、11、16、18、31、33、45、52、及び/又は58を含む。好ましくは、スペーサーアームは、ヘテロ官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアーム、若しくは、特にNH-PEG-NH/NHS、NHS/NH-PEG-COOH、Mal-PEG-NH、Mal-PEG-NHS、CHO-PEG-CHO、SH-PEG-NH、ADH、HZ-PEG-HZ、SMPH、SMCC、4-Arm-PEG-NHを含む。好ましくは、担体タンパク質は破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド断片(TTHc)、髄膜炎菌タンパク質PorB、RSVウイルスタンパク質、B.百日咳菌タンパク質、百日咳トキソイド(PT)、アデニル酸シクラーゼ毒素(ACT)、69KDaタンパク質、ヒトパピローマウイルスタンパク質抗原、ヒトパピローマウイルスVLPフォーム、B型肝炎ウイルスコア抗原、B型肝炎ウイルスVLPフォーム、HBsAgの誘導体、及び/又はそれらの組み合わせを含む。好ましくは、免疫原性組成物は、アジュバントを含み、好ましくは、アジュバントは、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、モノホスホリルリピドA(MPLA)のリポソーム、サポニンQS-21、TLRリガンド、及び/又は強力なTLR4/7/8/9アゴニストを含む。好ましいアルミニウム塩には、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、及び/又は水酸化アルミニウムのうちの1つ又は複数が含まれる。好ましくは、免疫原性組成物は、患者に投与されると従来のワクチンの効力を高める。
【0008】
本発明の別の関連する実施形態は、VLPがHPV L1タンパク質若しくはHPV L2タンパク質から得られるか、又は、それらに由来し、かつ、担体タンパク質がCRM197である、本明細書に記載の免疫原性組成物を含む。
【0009】
本発明の別の関連する実施形態は、VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVが血清型16及び/又は18であり、かつ、担体タンパク質がCRM197である、本明細書に記載の免疫原性組成物を含む。
【0010】
本発明の別の関連する実施形態は、VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVが血清型6及び/又は11であり、かつ、担体タンパク質がCRM197である、本明細書に記載の免疫原性組成物を含む。
【0011】
本発明の別の関連する実施形態は、VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVが血清型31及び/又は33であり、かつ、担体タンパク質がCRM197である、本明細書に記載の免疫原性組成物を含む。
【0012】
本発明の別の関連する実施形態は、VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVが血清型45及び/又は52であり、かつ、担体タンパク質がCRM197である、本明細書に記載の免疫原性組成物を含む。
【0013】
本発明の別の関連する実施形態は、VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVが血清型58であり、かつ、担体タンパク質がCRM197である、本明細書に記載の免疫原性組成物を含む。
【0014】
本発明の別の関連する実施形態は、VLPがL2タンパク質にコンジュゲーションされたL1タンパク質を含み、担体タンパク質がCRM197である、本明細書に記載の免疫原性組成物を含む。
【0015】
本発明の別の関連する実施形態は、本開示の免疫原性組成物を製造及び使用するプロセスを含む。
【0016】
好ましくは、免疫原性組成物であり、安定しており、従来の免疫原性組成物を使用して利用できるよりも低用量又はより少ない頻度で感染症に対する保護を提供する。
【0017】
本発明の他の実施形態及び利点は、以下の説明に部分的に記載されており、部分的には、この説明から明らかであるか、又は本発明の実施から知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】CRM197の活性化のための二官能性スペーサーアーム;Mal-マレイミド、NHS-スクシンイミド(NHS-Succinimide)、PEG-ポリエチレングリコール誘導体、ADH-アジピン酸ジヒドラジド、HZ-ヒドラジド、1k及び3K-Mn1000及び3500。
図2】VLPの作用機序の概略図。
図3】スペーサーアームを備えた担体タンパク質CRM197とVLPのコンジュゲーションの概略図。
図4】HPV VLP L116タイプが、スキーム2による最初のコンジュゲートであり、続いて、VLP L118タイプがVLP L1-CRM197コンジュゲートとコンジュゲーションされている、VLP-CRM-VLPコンジュゲートの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
驚くべきことに、従来のHPVワクチンと同等のHPV免疫のコンジュゲートが、わずか2回分の用量で、投与量あたりの抗原を減少させて作成できることが発見された。その結果、従来のワクチンの5分の1の価格となり、必要なワクチンの投与量が少なくすみ、ワクチンがより実用的で広く利用できるようになる。
【0020】
本開示は、好ましくは、L1 HPVクローンに由来し、スペーサーアームを使用して担体タンパク質、好ましくはCRM197及びCRM197様タンパク質とコンジュゲーションされ、コンジュゲートワクチン及び1つのL2-HPV VLP、並びに、製薬上許容されるアルミニウムアジュバント(又は非アルミニウムアジュバント)並びに、適切なバッファー中で使用される、ウイルス様粒子を含む、ヒト子宮頸癌のための医薬コンジュゲートワクチン組成物に関する。コンジュゲートの組み合わせは、これらの血清型の一般的な感染症が存在する領域のL1及びL2VLPの組み合わせを含む。
【0021】
本開示は、スペーサーアーム及び担体タンパク質とコンジュゲーションされ、ヒトパピローマウイルス(HPV)のL1及び/若しくはL2タンパク質から得られたか、又は、それらに由来するウイルス様粒子(VLP)を含む免疫原性組成物に関する。好ましくは、HPVは、血清型6、11、16、18、31、33、45、52、及び/又は58を含む。好ましくは、スペーサーアームは、ヘテロ官能性、ホモ二官能性、又は多官能性スペーサーアーム、若しくは、特にNH-PEG-NH/NHS、NHS/NH-PEG-COOH、Mal-PEG-NH、Mal-PEG-NHS、CHO-PEG-CHO、SH-PEG-NH、ADH、HZ-PEG-HZ、SMPH、SMCC、4-Arm-PEG-NHを含む。好ましくは、担体タンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、破傷風トキソイド断片(TTHc)、髄膜炎菌タンパク質PorB、RSVウイルスタンパク質、B.百日咳菌タンパク質、百日咳トキソイド(PT)、アデニル酸シクラーゼ毒素(ACT)、69KDaタンパク質、ヒトパピローマウイルスタンパク質抗原、ヒトパピローマウイルスVLPフォーム、B型肝炎ウイルスコア抗原、B型肝炎ウイルスVLPフォーム、HBsAgの誘導体、及び/又はそれらの組み合わせを含む。好ましくは、免疫原性組成物は、アジュバントを含み、好ましくは、アジュバントは、アルミニウム塩、リン酸カルシウム、モノホスホリルリピドA(MPLA)のリポソーム、サポニンQS-21、TLRリガンド、及び/又は強力なTLR4/7/8/9アゴニストを含む。好ましいアルミニウム塩には、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、及び/又は水酸化アルミニウムのうちの1つ又は複数が含まれる。好ましくは、免疫原性組成物は、患者に投与された場合、従来のワクチンの効力を高める。
【0022】
本開示は、本明細書に記載されるように、VLPがHPV L1タンパク質若しくはHPVL2タンパク質から得られたか、又は、それらに由来し、かつ、担体タンパク質がCRM197である;VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVは血清型16及び/又は18であり、担体タンパク質がCRM197である;VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVは血清型6及び/又は11であり、担体タンパク質がCRM197である;VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVは血清型31及び/又は33であり、担体タンパク質がCRM197である;VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVは血清型45及び/又は52であり、担体タンパク質がCRM197である;VLPが2価のL1 VLPコンジュゲートであり、HPVは血清型58であり、担体タンパク質がCRM197である;かつ、VLPが、L2タンパク質にコンジュゲーションされたL1タンパク質を含み、担体タンパク質がCRM197である、免疫原性組成物を含む。
【0023】
本開示は、リン酸アルミニウム又は水酸化アルミニウム、若しくは、他の適切なTLR7/8/9又はTLR4アジュバントに吸着される必要な用量(Gardasil、Merck又はCerverix、GSKで使用される20~40μgの用量と比較した個々のVLPの8~10μg/用量)を低減する、少なくとも9、10、又はそれ以上の価数のVLPコンジュゲートワクチンの配合を含む。
【0024】
<VLP-タンパク質コンジュゲート配合の例>
VLP1-CRM197-VLP2(4及び9価のL1、10価のL2);
HPV-VLP/CRM197(一価コンジュゲート);及び
VLP1-CRM197-VLP2(4及び9価のL1、10価のL2)。
コンジュゲートには、例えば、HBSAg-VLP/CRM197のようなHBHBSAgとのコンジュゲーションが含まれる。
【0025】
本開示は、L1 VLPベースの9価ワクチン候補、並びにL2-VLPベースの10価ワクチンの追加を対象としている。2つのL1 VLPの4つのセットは、担体タンパク質(E.coliのCRM197など)と二官能性スペーサーアームを使用して化学的にコンジュゲーションされ、1つのL1-VLPはL2 VLPとコンジュゲーションされる。L1及びL2ベースのVLPコンジュゲートは、一般的には構造的に次のように表すことができる。
L1-XX-VLP-スペーサーアーム-CRM197L1-XX-VLP
L1-XX-VLP-スペーサーアーム-CRM197L2-VLP
XXは任意のL1 VLPにすることができる
含まれている例は、
L1VLP16-スペーサーアーム-CRM197-L1VLP18
L1VLP6-スペーサーアーム-CRM197-L1VLP11
L1VLP31-スペーサーアーム-CRM197-L1VLP33
L1VLP45-スペーサーアーム-CRM197-L1VLP52
L1VLP58-スペーサーアーム-CRM197-L2VLP
【0026】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するが、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【実施例
【0027】
実施例1:酵母における組換えHPV L1及びL2V LPの発現及び精製。
L1タンパク質は9つの血清型全てを形成し、L2タンパク質は酵母Hansenula polymorphaにおいて発現する。発酵サイクル:~120時間。H.P.プロモーターを使用してメタノールによって誘導される発現。L1及びL2タンパク質は、酵母細胞壁溶解酵素Zymolaseを使用して抽出され、続いて核酸除去のためにベンゾナーゼ処理が行われた。抽出ステップは、TRISバッファー、20~50mM、pH8.5~9.5で実施した。清澄化抽出物(濃度1mg/ml、L1タンパク質150-200ug/ml)は、陽イオン交換クロマトグラフィー、続いてゲル濾過クロマトグラフィーに適用した。このステップでは、ダイ-アセンブル(di-asssemble)が利用され、組立ステップにより、VLPが正しい構成と安定した分子で組み立てられた。これはTEMを使用して確認される。VLPは適切なバッファーを使用して安定化された。最後に、VLPSは限外ろ過を使用して濃縮される。
【0028】
全ての血清型L1 VLP及びL2 VLP精製収率は、細胞抽出物の7~15%の領域にあり、精製されたVLPは98~99%の均一な純度である。図2は、L1及びL2HPV血清型VLPを精製するために使用される実験手順を示すプロセスフローチャートを表しており、精製された全てのVLPのアミノ酸配列がチェックされ、遊離チオール及びリジンが、担体タンパク質との化学的コンジュゲーションの安定性及び部位の利用可能性を目的として使用される。
【0029】
実施例2.CRM197によるL1及びL2 VLPの化学的コンジュゲーション手順。
VLPの化学的コンジュゲーションは、化学的架橋剤の使用、さらには、使用される様々なコンジュゲーションの方式、例えば、1つは抗原上に、もう1つはVLP(通常、アミン又はスルフヒドリル残基)上にある、異なる別個の機能的標的に結合できる、同じか又は2つの明らかな反応性基を有するPEG化されたホモ又はヘテロ二官能性コンジュゲーション試薬を使用することによって達成される。
【0030】
実施例3.二官能性スペーサーアームを使用したCRM197の活性化。
PEG化された非ホモ又はヘテロ二官能性スペーサーアームを使用した、担体タンパク質CRM197の活性化。CRM-197(10mg/ml)を活性化バッファーに溶解させ、続いて、PB又はMESバッファー、80mM~200mM、pH5.8~6.2の存在下で二官能性スペーサーアーム(図1を参照)を追加する。官能化されたCRM197は、10-30KD TFFカセットを使用して精製された(図2)。
【0031】
実施例4.官能化されたCRM197のL1 VLPへのコンジュゲーションプロセス。
コンジュゲーションの基本的な方法のステップは以下のとおりである。
1.L1又はL2--VLPと担体タンパク質CRM197の間の化学的コンジュゲーション(図3)。
2.CRM197とのコンジュゲーション後のHPV VLPの完全性の評価。
3.HPV L1及びL2 VLP、並びに、化学的にコンジュゲーションされた2価の単分子又は2価のVLPSの分析特性。
4.VLP-タンパク質コンジュゲートの配合。
5.免疫原性とGardasil-9の比較。
6.VLPコンジュゲートの安定性試験。
形成されるコンジュゲートの例は次のとおりである。
I.L116 HPV-VLPの官能化CRM197へのコンジュゲーションプロセス。
II.L1 HPV 16VLP-CRMからL1-HPV 18 VLPへのコンジュゲーションプロセス(図4)。
III.L1 58 HPV-VLP-CRM197-L2 HPV VLPのコンジュゲーションプロセス。
【0032】
本発明の他の実施形態及び使用は、本明細書に開示される本発明の仕様及び実施を考慮することから当業者には明らかであろう。全ての刊行物、米国及び外国の特許並びに特許出願を含む、本明細書で引用される全ての参考文献は、具体的かつ完全に参照により組み込まれる。明細書及び実施例は、以下の特許請求の範囲によって示される本発明の真の範囲及び精神を用いてのみ例示と見なされることが意図されている。さらに、「からなる」という用語には、「からなる」及び「本質的にからなる」という用語が含まれる。
図1
図2
図3
図4