(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】自動車のトラクションチェーンのトルク振動を補償するために回転電気機械を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
B60W 10/08 20060101AFI20231128BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20231128BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20231128BHJP
B60W 20/17 20160101ALI20231128BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231128BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20231128BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20231128BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60K6/48 ZHV
B60K6/547
B60W20/17
B60L15/20 J
B60L50/16
H02P29/00
(21)【出願番号】P 2020572794
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 FR2019051607
(87)【国際公開番号】W WO2020002855
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-03-18
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】ジョアキム、ラウパ
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-514391(JP,A)
【文献】特開2014-150604(JP,A)
【文献】特開2006-136184(JP,A)
【文献】特開2009-106099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0251649(US,A1)
【文献】特開2011-098709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/08
B60K 6/48
B60K 6/547
B60W 20/17
B60L 15/20
B60L 50/16
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の回転電気機械(21)を制御するための方法であって、前記自動車が、クラッチ(13)を介して変速機(12)に接続された熱エンジン(11)を含む
トラクションチェーン(10)を備え、前記回転電気機械が、前記
トラクションチェーン内、または前記熱エンジンとは独立した駆動チェーン内に組み込まれている、方法において、
前記クラッチ(13)が開いており、前記回転電気機械(21)が、前記自動車の電気走行を確保するためにモータモードで動作している時には、前記方法が、
運転者の加速したい欲求に対応する設定値トルク(Tcons)を生成するステップと、
前記トラクションチェーン(10)によって生成されたトルク振動(Tosc)の補償のためのパルス状
補償トルク(Tcomp)を決定するステップと、
結果的に変更された設定値トルク(Tcons’)を取得するために、前記設定値トルク(Tcons)、および先に決定された前記パルス状補償トルク(Tcomp)を組み合わせるステップと、
前記回転電気機械(21)
へ前記結果的に変更された設定値トルク(Tcons’)
を適用するステップと、
を含み、
前記変速機(12)の第1のシャフト(23)が、奇数のギア比に関連付けられ、前記変速機(12)の第2のシャフト(24)が偶数のギア比に関連付けられ、ダブルクラッチである前記クラッチ(13)は、係合された比率に従って、前記第1のシャフト(23)および前記第2のシャフト(24)を、交代で接続するかまたは解放することを可能にし、
前記パルス状補償トルク(Tcomp)の振幅および位相が、減速比、および前記トラクションチェーン(10)の剛性(K)に依存することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記パルス状補償トルク(Tcomp)を決定するために、前記方法が、
速度信号(Wmel)を取得するための、前記回転電気機械(21)の回転速度を測定するステップと、
前記速度信号(Wmel)の交番成分(Wmel_ac)を抽出するステップと、
前記速度信号の前記交番成分(Wmel_ac)へのゲイン(G)に適用するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記速度信号の前記交番成分(Wmel_ac)を抽出する前記ステップが、前記トルク振動(Tosc)の周波数に対応する中心周波数(f0)を有する帯域通過フィルタ(F_PB)の前記速度信号(Wmel)への適用によって実施されることを特徴とする、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記ゲイン(G)が、必要とされる減衰率(Fam)に依存することを特徴とする、請求項2または
3に記載の方法。
【請求項5】
前記減衰率(Fam)が事前に決定されるか、または前記自動車の駆動モードに依存することを特徴とする、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記パルス状補償トルク(Tcomp)が、前記トラクションチェーン(10)の前記トルク振動(Tosc)に対して逆位相で投入されることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前置フィルタ(B6)の適用による前記設定値トルク(Tcons)におけるトルク変動の抑制の事前ステップを含むことを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記前置フィルタが、ランプ、またはN次のフィルタであることを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法の実施のためのソフトウェア命令を記憶するメモリを備えることを特徴とする、回転電気機械(21)の制御モジュール(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のトラクションチェーンのトルク振動を補償するために回転電気機械を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の方法において、自動車のトラクションチェーンは、クラッチを介して変速機に結合された熱エンジンを含む。変速機の出力における駆動シャフトは、差動歯車およびユニバーサルジョイントを介して車輪に機械的に接続されている。
【0003】
変速機に結合された可逆電気機械を用いることが知られている。このハイブリッドシステムは、車両が、電気機械および熱エンジンを、組み合わせられた方法で、または独立して関連付ける複数の機能を用いることを可能にする。それゆえ、特に、電気機械は、単独で、または熱エンジンと組み合わせて、車両の牽引を確保するためにモータモードで動作することができる。電気機械はまた、熱エンジンの始動を確保することもできる。この機械はまた、特に、回収制動局面の間には、車両のバッテリにエネルギーを供給するために、発電機モードで動作することもできる。
【0004】
純粋電気走行の局面の間には、熱エンジンは切られ、クラッチの開放によって動力伝達機構の残りの部分から切り離される。次に、電気機械が指令され、変速機の比のうちの1つを介してトルクを車輪に供給する。
【0005】
運動力学チェーンの、主に、駆動シャフトおよびユニバーサルジョイントのねじり剛性の結果として、トルク振動が、高い設定値を有するトルク勾配において車両の相当の震えと複合されて観察される。実際に、集合体は、共振周波数が、係合された変速機の速度に依存する、質量-ばね型のシステムとして振る舞う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願によれば、係合された変速機(第1、第2、第3等)、およびこれらのギアの各々に対応する減速比(3.3、1.9、1.3等)が参照される。係合された最小のギアが最大の減速比をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、自動車トラクションチェーン内に組み込まれた回転電気機械を制御するための方法であって、前記トラクションチェーンが、クラッチを介して変速機に接続された熱エンジンを含み、前記回転電気機械が変速機に結合されている、方法において、
クラッチが開いており、回転電気機械が、自動車の電気走行を確保するためにモータモードで動作している時には、前記方法が、
- 運転者の加速したい欲求に対応する設定値トルクを生成するステップと、
- トラクションチェーンによって生成されたトルク振動の補償のためのパルス状トルクを決定するステップと、
- 結果的に変更された設定値トルクを取得するための、設定値トルク、および先に決定されたパルス状補償トルクを組み合わせるステップと、
- 回転電気機械への結果的に変更された設定値トルクに適用するステップと、
を含むことを特徴とする方法を提案することによって、この不利点を効率的に解消することである。
【0008】
したがって、本発明は、電気モードにおける自動車の走行の間のトルク振動を低減するか、またはさらには、それを解消し、したがって、乗員の快適性を向上させることを可能にする。本発明は、少なくとも部分的にソフトウェア実装形態を用いて実施され得るため、本発明はまた、経済性をも有する。本発明は治療的な役割を有する。
【0009】
減じられるべき振動は、特に、エンジンが駆動チェーンの残りの部分に接続された時にエンジン内にもたらされる内部摩擦に関連付けられる、熱エンジンに由来する自然減衰の不足から生じる。これらの振動は、熱エンジンに関連付けられる振動とは非常に異なる振幅および周波数を有する。
【0010】
電気機械は、車両の車輪へのトルクの伝達の方向のクラッチから下流のいわゆる熱駆動チェーン内に組み込まれ得る。電気機械はクラッチと変速機との間に組み込まれ得る。電気機械は変速機内に組み込まれ得る。特に、電気機械は位置2,5において接続され得る。それゆえ、機械は変速機の偶数比または奇数比のいずれかに接続される。電気機械は変速機と車両の車輪との間に組み込まれ得る。
【0011】
一変形例として、機械は、熱駆動チェーン以外の駆動チェーン内、例えば、車両の車輪内に組み込まれ得るか、またはそれは、熱駆動チェーンに接続されていない車軸に取り付けられ得る。
【0012】
一実施形態によれば、パルス状補償トルクは、減速比、およびトラクションチェーンの剛性に依存する。具体的には、パルス状補償トルクの振幅および位相が依存し、これが、補償をより正確に調整することを可能にする。
【0013】
一実施形態によれば、パルス状補償トルクを決定するために、本方法は、
- 速度信号を取得するための、回転電気機械の回転速度を測定するステップと、
- 速度信号の交番成分を抽出するステップと、
- 速度信号の交番成分へのゲインに適用するステップと、
を含む。
【0014】
一実施形態によれば、速度信号の交番成分を抽出するステップは、トルク振動の周波数に対応する中心周波数を有する帯域通過フィルタの速度信号への適用によって実施される。中心周波数は5~13Hzに含まれ得る。フィルタの周波数は、係合されたギア比に依存し得る。フィルタの中心周波数は、トルク振動の周波数を中心に±15%の値の範囲内に含まれ得る。
【0015】
一実施形態によれば、ゲインは、必要とされる減衰率に依存する。
【0016】
一実施形態によれば、減衰率は事前に決定されるか、または自動車の駆動モードに依存する。減衰率は0.25~0.7に含まれ得る。
【0017】
一実施形態によれば、パルス状補償トルクはトラクションチェーンのトルク振動に対して逆位相で投入される。
【0018】
一実施形態によれば、前記方法は、前置フィルタの適用による設定値トルクにおけるトルク変動の抑制の事前ステップを含む。この前置フィルタは、減じられるべきトルク振動がさほど目立たなくなり、それゆえ、補償することがさほど難しくなくなるため、予防的役割を有する。
【0019】
この前置フィルタは、連続成分を遮断するなどし、および/または高周波数遮断するなどし、電気機械内の伝達チェーンの剛性に関連付けられる周波数の通過を可能にするように定義される。
【0020】
一実施形態によれば、前置フィルタはランプ(ramp)である。
【0021】
一実施形態によれば、前置フィルタは、N次、特に、2次、特に、3次のフィルタである。
【0022】
一実施形態によれば、変速機は手動変速機またはDCT変速機であることができる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、本補償方法は車両のユーザによって作動および作動停止させられ得る。
【0024】
本発明はまた、先に定義された方法の実施のためのソフトウェア命令を記憶するメモリを備えることを特徴とする、回転電気機械の制御モジュールに関する。
【0025】
本発明は、以下の説明を読み、それに付随する図を精査することによってより深く理解されるであろう。これらの図は純粋に例示として提供されており、決して本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】電気機械によるトルク振動の補償のための本発明に係る方法を実施する自動車トラクションチェーンの概略図である。
【
図2】電気機械と変速機との結合の詳細な概略図である。
【
図3】トラクションチェーンによって発生されるトルク振動の補償のための本発明に係る方法の実施のために制御モジュールにおいて実装される機能ブロックの図である。
【
図4a】それぞれ、本発明に係る方法を実施した場合と、実施しない場合に得られた、設定値トルク、車輪上のトルク、車輪の回転速度、および電気機械の回転速度の、時間に基づくグラフ表示である。
【
図4b】それぞれ、本発明に係る方法を実施した場合と、実施しない場合に得られた、設定値トルク、車輪上のトルク、車輪の回転速度、および電気機械の回転速度の、時間に基づくグラフ表示である。
【
図5】設定値遮断のための事前の予防的フィルタリング・ステップを含む本発明に係る方法の変形例の実施形態を示す図である。
【
図6a】それぞれ、ランプ型のフィルタおよび1次のフィルタが設定値トルクに適用された、車輪上のトルク・ピークの減衰を示すグラフ表示である。
【
図6b】それぞれ、ランプ型のフィルタおよび1次のフィルタが設定値トルクに適用された、車輪上のトルク・ピークの減衰を示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
同一であるか、同様であるか、または類似した要素は図ごとに同じ符号を保持している。
【0028】
図1は、クラッチ13を介して変速機12に結合された熱エンジン11を備える自動車のトラクションチェーン10を示す。変速機12の出力駆動シャフト15が差動歯車18およびユニバーサルジョイント20を介して車輪16に機械的に接続されている。
【0029】
可逆電気機械21が変速機12に結合されている。このハイブリッドシステムは、車両が、電気機械21および熱エンジン11を、組み合わせられた方法で、または独立して関連付ける複数の機能を用いることを可能にする。それゆえ、電気機械21は、単独で、または熱エンジン11と組み合わせて、車両の牽引を確保するためにモータモードで動作することができる。クラッチ13は、車両の電気走行の局面の間は開いており、車両の熱走行の局面の間は閉じている。電気機械21はまた、熱エンジン11の始動を確保することもできる。この機械21はまた、特に、回収制動局面の間に、車両のバッテリにエネルギーを供給するために、発電機モードで動作することもできる。
【0030】
電気機械21は、有利には、動作電圧48Vを有する電気ネットワークに接続された同期二重三相型の機械である。電気機械21は15kW~25kWの電力を有することができ、特に、その長さに応じて、55Nm~80Nmに含まれるトルクを供給することができる。
【0031】
図2は、電気機械21と、複数のギア比R1~Rnを含む変速機12との結合の一例を示す。図示された例では、比の数nは7であるが、これは適用物に応じて適合させられ得ることは理解されるであろう。第1のシャフト23が奇数ギア比に関連付けられており、第2のシャフト24が偶数ギア比に関連付けられている。ダブル・クラッチ・システム13は、係合された比に従って、これらのシャフト23、24を交代で接続するか、またはそれらを解放することを可能にする。回転電気機械21は減速機25を介して変速機12に結合される。電気機械21は、この場合には、第2のシャフト24に結合されている。電気機械21は、変速機12の内部内に埋め込まれてもよく、または外部にあってもよい。
【0032】
図3を参照して、自動車の牽引を確保するために、電気走行の局面の間の、すなわち、クラッチ13が開いており、回転電気機械21がモータモードで動作している時の、トラクションチェーン10によって発生されるトルクのうねりの補償のための方法の実施を可能にする様々な機能ブロックの説明が以下において与えられる。様々な機能ブロックは、回転電気機械21の制御モジュール22のメモリ内に記憶されたソフトウェア命令の形を取ることができる。
【0033】
より具体的には、ブロックB1は、特に、車両のアクセル・ペダルを押し込むことによって規定される、運転者の加速したい欲求に対応する設定値トルクTconsを発生する。
【0034】
機能ブロックのセットEが、トラクションチェーン10によって発生されるトルク振動Toscを補償するために、パルス状補償トルクTcompを決定する。ブロックB2は、結果的に変更された設定値トルクTcons’を取得するために、設定値トルクTcons、および先に決定されたパルス状補償トルクTcompを複合する。次に、結果的に変更された設定値トルクTcons’が回転電気機械21に、およびそれゆえ、トラクションチェーン10に適用される。
【0035】
パルス状補償トルクTcompを決定するために、ブロックB3を介して、電気機械21の回転速度が速度センサ27を用いて測定される。ブロックB3の出力において、これは、したがって、速度信号Wmelを提供する。速度センサ27は、例えば、ホール効果センサである。
【0036】
次に、速度信号の交番成分Wmel_acが、ブロックB4を介して帯域通過フィルタF_PBの適用によって抽出される。この帯域通過フィルタF_PBは、トルク振動Toscの周波数に対応する中心周波数f0を有する。フィルタの中心周波数f0は、係合された速度比Rx、およびトラクションチェーン10の剛性Kに依存する。中心周波数f0は、例えば、エンジン・コンピュータによって通信された、係合された変速機比Rxを入力として受信するカートグラフィを用いて取得され得る。
【0037】
次に、ブロックB5がゲインGを、フィルタリングされた速度信号Wmel_acに適用する。ゲインGは、必要とされる減衰率Famに依存する。減衰率Famは事前に決定されるか、または自動車の駆動モードに依存する。減衰率Famが大きいほど、トルク振動Toscの減衰期間は短い。
【0038】
パルス状補償トルクTcompがブロックB2によってトラクションチェーン10のトルク振動Toscに対して逆位相で投入される。
【0039】
図4aは、本発明に係る方法を実施しない場合に得られた、設定値トルクTcons、車輪上のトルクTr、車輪の回転速度Wr、および電気機械の回転速度Wmelの、時間に基づくグラフ表示である。
【0040】
図4bは、本発明に係る方法を実施した場合に得られた、設定値トルクTcons、パルス状補償トルクTcompを組み込んだ結果的に変更された設定値トルクTcons’、車輪上のトルクTr、車輪の回転速度Wr、および電気機械の回転速度Wmelの、時間に基づくグラフ表示である。
【0041】
パルス状補償トルクTcompを設定値トルクTcons内に組み込む、本発明の実施のおかげで、車輪上のトルクのうねりTrが減じられていることが分かる。
【0042】
図5における実施形態では、本方法は、ブロックB6を介した前置フィルタの適用による設定値トルクTconsにおけるトルク変動の抑制の事前ステップを含む。
【0043】
図6aによって示されるように、前置フィルタは、フィルタリングされた設定値トルクTcons_fを得ることを可能にするランプであることができる。瞬間的トルク変動の抑制は、車輪上のトルクTrのピーク値をおよそ20~25%だけ低減することを可能にする。
【0044】
図6bによって示されるように、前置フィルタは、フィルタリングされた設定値トルクTcons_f内に勾配を導入するとともに、設定値段の「離陸」時に、すなわち、最初に、および「着陸」時に、すなわち、最後に、水平接線を導入し、それゆえ、ランプ型前置フィルタと比べて車輪上のトルクTrの振動をさらに10%低減する、1次のフィルタであることができる。
【0045】
より一般的には、前置フィルタはN次のフィルタであることができる。フィルタの次数Nが高いほど、トラクションチェーン10の自らのモードは応力を受けなくなる。
【0046】
上述の説明は純粋に例として与えられたものであり、本発明の技術分野を限定するものでなく、様々な要素をいかなる他の同等物で置換してもそれからの逸脱は構成されないことは理解されるであろう。
【0047】
加えて、本発明の異なる特徴、変形例、および/または実施形態は、それらが非両立的または相互排他的でないことを所与として、異なる組み合わせに従って互いに関連付けられ得る。