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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20231128BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
F25D23/06 W
F25D23/06 M
F25D23/00 305F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021008750
(22)【出願日】2021-01-22
(62)【分割の表示】P 2019201433の分割
【原出願日】2011-06-10
(65)【公開番号】P2021073425
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-01-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】及川 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 友康
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】槙原 進
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-41643(JP,A)
【文献】特開2005-172307(JP,A)
【文献】特開2011-102663(JP,A)
【文献】特開2005-106350(JP,A)
【文献】特開2007-168721(JP,A)
【文献】登録実用新案第3147195(JP,U)
【文献】特開2002-277156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 - 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁により箱状に構成され、内部に貯蔵室を形成する断熱箱体と、
前記断熱壁の内部に設けられ、真空断熱部材からなる第1の断熱部材と、
前記断熱壁の内部に設けられ、前記第1の断熱部材よりも断熱性能が低い第2の断熱部材と、
を備え、
前記第1の断熱部材は、前記断熱壁の内部に配置されており、
前記断熱箱体内部にコーナー部が形成されており、
前記コーナー部に沿って延びる部材が前記コーナー部に設けられており、
前記コーナー部に沿って延びる部材は、前記コーナー部に沿って延びる筒状の固定具内に固定されており、
前記第1の断熱部材は、その投影面が前記コーナー部に沿って延びる部材のうち前記コーナー部に沿って延びる部分を覆うように配置されており、
前記固定具は、前記コーナー部に沿って延びる方向において分かれており、
前記コーナー部に沿って延びる方向において分かれた前記固定具には、前記コーナー部に沿って延びる部材を前記貯蔵室側に導く開口部を有する冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1の断熱部材の板厚は、前記第2の断熱部材の板厚よりも大きい請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記コーナー部に沿って延びる部材は、複数本の電線を束ねたものである請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記コーナー部に沿って延びる部材は、前記貯蔵室側に導かれており、他の電線と接続する接続部を有する請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫の断熱部材を断熱効果に優れる真空断熱パネルから構成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-260780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、断熱効果を良好にする冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の冷蔵庫は、断熱壁により箱状に構成され、内部に貯蔵室を形成する断熱箱体と、前記断熱壁の内部に設けられ、真空断熱部材からなる第1の断熱部材と、前記断熱壁の内部に設けられ、前記第1の断熱部材よりも断熱性能が低い第2の断熱部材と、を備え、前記第1の断熱部材は、前記断熱壁の内部に配置されており、前記断熱箱体内部にコーナー部が形成されており、前記コーナー部に沿って延びる部材が前記コーナー部に設けられており、前記コーナー部に沿って延びる部材は、前記コーナー部に沿って延びる筒状の固定具内に固定されており、前記第1の断熱部材は、その投影面が前記コーナー部に沿って延びる部材のうち前記コーナー部に沿って延びる部分を覆うように配置されており、前記固定具は、前記コーナー部に沿って延びる方向において分かれており、前記コーナー部に沿って延びる方向において分かれた前記固定具には、前記コーナー部に沿って延びる部材を前記貯蔵室側に導く開口部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態を示す冷蔵庫を構成する断熱箱体および固定具の斜視図
図2】冷蔵庫の斜視図
図3】冷蔵庫の内部を右方向から見た斜視図
図4】冷蔵庫の内部を左方向から見た斜視図
図5】断熱箱体の縦断側面図
図6】断熱箱体の内部の冷蔵室を概略的に示す横断平面図
図7】分割断熱壁の分解斜視図
図8】断熱箱体の前面側の右部を概略的に示す横断平面図
図9】断熱箱体の左奥側のコーナー部を概略的に示す横断平面図
図10】断熱箱体の左奥側のコーナー部に設けられた固定具の取り付け状態を示す斜視図
図11】断熱箱体の左奥側のコーナー部に固定具が取り付られる前の状態を示す斜視図
図12】断熱箱体の左奥側のコーナー部に設けられる固定具の斜視図
図13】断熱箱体の左奥側のコーナー部に設けられる固定具の正面図
図14】断熱箱体の左奥側のコーナー部に設けられる固定具の分解斜視図
図15図13のA-A線に沿う断面図
図16図13のB-B線に沿う断面図
図17図13のC-C線に沿う断面図
図18図13のD-D線に沿う断面図
図19図13のE-E線に沿う断面図
図20】断熱箱体の左奥側のコーナー部に設けられる固定具の取り付け状態を示す横断平面図(その1)
図21】断熱箱体の左奥側のコーナー部に設けられる固定具の取り付け状態を示す横断平面図(その2)
図22】断熱箱体の右奥側のコーナー部を概略的に示す横断平面図
図23】断熱箱体の右奥側のコーナー部に設けられる固定具の取り付け状態を示す斜視図
図24】断熱箱体の右奥側のコーナー部に固定具が取り付られる前の状態を示す斜視図
図25】断熱箱体の右奥側のコーナー部に設けられる固定具の斜視図
図26】断熱箱体の右奥側のコーナー部に設けられる固定具の正面図
図27】断熱箱体の右奥側のコーナー部に設けられる固定具の分解斜視図
図28図26のF-F線に沿う断面図
図29図26のG-G線に沿う断面図
図30図26のH-H線に沿う断面図
図31図26のI-I線に沿う断面図
図32】第2の仕切り部材の右端部付近を示す縦断正面図
図33】左面用分割断熱壁に固定具を取り付けた状態を示す斜視図
図34】第2の実施形態の固定具を示す図9相当図
図35】第3の実施形態の断熱部材を示す図22相当図
【発明を実施するための形態】
【0007】
複数の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照して方向を示す場合、便宜上、冷蔵庫の扉側を「前側」とし、冷蔵庫を正面から見た場合の右側を「右側」として説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図1図33を参照して説明する。
まず、図2に示す冷蔵庫11は、図1図6に示す断熱箱体12と、その断熱箱体12内を冷却するための図示しない冷凍サイクルとを備えている。
断熱箱体12は、図5および図6に示すように、外箱13と、内箱14と、外箱13と内箱14との間に設けられている断熱部材15とを有している。断熱箱体12は、前面が開口した箱状に構成され、内箱14の内部に収容空間、例えば貯蔵室、必要に応じてダクトが設けられる空間などを形成している。
【0009】
外箱13は、スチール製であり、前面が開口した箱状に構成されている。外箱13は、図1および図3図6に示すように、当該外箱13を複数に分割してなる複数枚の外板からなる壁を組み合わせて構成されている。具体的には、外箱13は、板状の上面壁16と、平板状の底面壁17と、平板状の右面壁18と、平板状の左面壁19と、平板状の背面壁20とから構成されている。上面壁16は、前後方向で段差状をなし、前部が底面壁17と平行な平板状をなし、後部が前部よりも下側に位置して底面壁17と平行な平板状をなしている。右面壁18と左面壁19とは左右対称の形状である。上面壁16の後部上には、図3図5に示すように、機械室21が形成されている。機械室21には、上述した冷凍サイクルを構成する図示しない圧縮機などが設けられている。機械室21の床面には、図5に示すように、離間部211が形成されている。離間部211は、隣り合った断熱部材15間に隙間を設けることにより形成された開口である。この実施形態では、断熱箱体12の上面に位置する断熱部材15と背面に位置する断熱部材15とが離間して配置されることにより、離間部211が形成されている。また、断熱箱体12の後部の下部には冷蔵用、冷凍用、あるいは制御などに用いられる部品、凝縮器などを収容する部品収容室212が形成されている。また、部品収納室212の上面には、離間部213が形成されている。離間部213は、断熱箱体12の底面に位置する断熱部材15と背面に位置する断熱部材15とが離間して配置されることにより形成されている。
【0010】
内箱14は、樹脂製であり、前面が開口した箱状をなし、外箱13の内部に設けられている。内箱14は、図1および図3図6に示すように、当該内箱14を複数に分割してなる複数枚の内板からなる壁を組み合わせて構成されている。具体的には、内箱14は、板状の上面壁22と、平板状の底面壁23と、平板状の右面壁24と、平板状の左面壁25と、平板状の背面壁26とから構成されている。内箱14の上面壁22も、外箱13の上面壁16と同様に、前後方向で段差状をなし、前部が底面壁23と平行な平板状をなし、後部が前部よりも下側に位置して底面壁23と平行な平板状をなしている。右面壁24と左面壁25とは左右対称の形状である。
【0011】
内箱14の左面壁25および背面壁26のそれぞれには、図1および図11に示すように、内箱14の外面側から当該内箱14の内面側すなわち貯蔵室側に突出する支持部材27が複数個設けられている。なお、内箱14の右面壁24にも、図24に示すように、同様の支持部材27が設けられている。
【0012】
支持部材27は、例えば、樹脂製のブロックであり、図20および図21に示すように、基端部が断熱部材15に接着して固定され、他端部である先端部が、内箱14の壁、例えば図20および図21では左面壁25および背面壁26に形成した開口部28を貫通している。さらに、内箱14の右面壁24における背面壁26側の上下方向に並んで設けられている支持部材27、および内箱14の背面壁26における右面壁24側および左面壁25側の上下方向に並んで設けられている支持部材27の先端部側には、ねじ穴271が形成されている。なお、図示はしないが、内箱14の右面壁24における背面壁26側の上下方向に並んで設けられている支持部材27の突出している先端部にも、同様のねじ穴が形成されている。なお、支持部材27が、図20および図21に示すように、基端部に鍔部272を有する構成とし、鍔部272が断熱部材15と内箱14の外面とで挟持される構成としてもよい。支持部材27が鍔部272を有することにより、支持部材27が開口部28から貯蔵室側に落ちてしまうことを防止できる。また、支持部材27は、内箱14の壁とは別の部材ではなく、内箱14に一体に成形させてもよい。
【0013】
図5および図6に示すように、外箱13の上面壁16と内箱14の上面壁22、外箱13の底面壁17と内箱14の底面壁23、外箱13の右面壁18と内箱14の右面壁24、外箱13の左面壁19と内箱14の左面壁25、外箱13の背面壁20と内箱14の背面壁26は、それぞれ断熱部材15を介して対向して設けられている。なお、図6に、外箱13の右面壁18と内箱14の右面壁24とが対向し、外箱13の左面壁19と内箱14の左面壁25とが対向し、外箱13の背面壁20と内箱14の背面壁26とが対向した状態を概略的に示す。
【0014】
断熱部材15は、断熱性能に優れたもの、例えばウレタンなどの発泡断熱材やソフトテープなどよりも熱伝導率が低いものであり、具体的には、平板状の一般的な真空断熱パネルであり、芯材と、芯材を収容する外袋体とを備えている。芯材は、断熱性の高い材料、例えばグラスウールなどの無機繊維の積層体を、例えばポリエチレンなどの合成樹脂フィルムからなる図示しない内袋体に収容した後、矩形板状に圧縮硬化して形成したものである。芯材は、その他、例えば抄紙法、加熱圧縮法などで形成してもよい。外袋体は、ガスバリア性を有する袋であり、例えばポリエチレンテレフタレートのフィルム、高密度ポリエチレンのフィルム、アルミ蒸着フィルム、アルミ箔シートなどを適宜組み合わせ積層し袋状に形成したものである。そして、断熱部材15は、芯材を外袋体に収容した状態で当該外袋体内を減圧して、減圧を維持したまま外袋体の開口部を熱溶着などによって密閉することにより構成されている。
【0015】
断熱部材15は、平板状の板厚方向の一面が内箱14の外面に接着され、かつ、一面とは反対側の他面が外箱13の内面に接着されている。すなわち、断熱箱体12の内部は、断熱部材15が外板および内板に当接して配置されることにより構成されている。図7に一例として、外箱13の左面壁19と、外箱13の左面壁19に対向して設けられている内箱14の左面壁25との間に断熱部材15が挟まれて設けられた構成を示す。この構成において、断熱部材15と外箱13の内面この場合左面壁19との間には、断熱部材15と左面壁19とを接着させる接着剤29が設けられている。さらに、断熱部材15と内箱14の外面この場合左面壁25との間にも、断熱部材15と左面壁25とを接着させる接着剤30が設けられている。接着剤29,30としては、液体状の接着剤、両面テープなどが用いられる。なお、上述した支持部材27は、この接着剤30によって断熱部材15に接着されている。また、支持部材27は、固定具51と係合することにより、外箱13および内箱14に当接した構成としてもよい。
【0016】
このように、外箱13の壁16~20と、外箱13に対向して設けられた内箱14の壁22~26と、その外箱13の壁16~20と内箱14の壁22~26との間に設けられた断熱部材15とを、接着剤29,30によって接着することにより、この外箱13の一の壁とその外箱13に対応する内箱14の一の壁と、それらの壁の間に設けられた断熱部材15とが一体となる。この一体となったものを断熱壁、この実施形態では分割断熱壁31と称する。なお、断熱壁および分割断熱壁31は、分割断熱パネルと称してもよい。すなわち、断熱箱体12は、複数の分割断熱壁31を組み合わせて箱状に構成されている。具体的には、図1に示すように、断熱箱体12は、当該断熱箱体12の上面壁を構成する上面用分割断熱壁311、当該断熱箱体12の床面壁を構成する床面用分割断熱壁312、当該断熱箱体12の右面壁である側壁を構成する右面用分割断熱壁313、当該断熱箱体12の左面壁である側壁を構成する左面用分割断熱壁314、当該断熱箱体12の背面壁を構成する背面用分割断熱壁315の5枚を組み合わせて構成されている。また、右面用分割断熱壁313および左面用分割断熱壁314は、左右対称の形状であり、対向して配置されている。
【0017】
ここで、断熱箱体12の左右の壁を形成する右面用分割断熱壁313および左面用分割断熱壁314の前端部について図3図4および図8を参照して説明する。なお、上述したように、右面用分割断熱壁313と左面用分割断熱壁314とは左右対称であるため、右面用分割断熱壁313の前端部について説明する。
【0018】
図3および図4に示すように、右面用分割断熱壁313の前端部の上下方向の中央部および下部付近の2箇所には、外箱13の右面壁18の前端部に折り曲げ部32が形成されている。2箇所の折り曲げ部32は同様の構成であるため、右面用分割断熱壁313の前端部の上下方向の中央部に設けられている折り曲げ部32について説明する。
【0019】
折り曲げ部32は、図8に示すように、右面壁18の前端部から左方向に折り曲がり、引き続き内箱14の右面壁24の前方において後方側に折り曲がり、さらに、断熱部材15側に折り曲がった形状である。すなわち、折り曲げ部32は、左右方向に延びる2つの平坦部321と、ほぼ360°に折り曲がっている湾曲部322とから構成され、上方から見てU字状をなしている。2つの平坦部321は、互いにほぼ対向しているとともに、断熱部材15の前方に位置している。また、湾曲部322は、内箱14の右面壁24の前方に位置し、折り曲げ部32の平坦部321の先端面が断熱箱体12の外面に位置しないように、折り曲げ部32の端部が後方側になるように折り曲がっている。さらに、折り曲げ部32の湾曲部322と内箱14の右面壁24の前端部との間には開口部33が形成されるとともに、折り曲げ部32と断熱部材15の前端部との間には、端部差込室34が形成された構成となっている。すなわち、開口部33は、端部差込室34の入口として機能するものであり、内箱14の右面壁24の前端部と外箱13の右面壁18の折り曲げ部32とが離間して形成されている。端部差込室34は、空間であり、右面壁18の折り曲げ部32と断熱部材15とが離間して形成されている。そして、その端部差込室34に、仕切り板441と仕切り補強板442とが収容される構成である。また、2つの平坦部321には、板厚方向に貫通する貫通孔35が形成されている。この開口部33、端部差込室34および貫通孔35については、後述する。
【0020】
断熱箱体12の内箱14の内部である貯蔵室は、図3および図4に示すように、当該貯蔵室の中央部に設けられた第1の仕切り部材37と、第1の仕切り部材37の下方に設けられた第2の仕切り部材38とによって仕切られている。これにより、断熱箱体12の内部には、貯蔵室が複数に分割されて複数の部屋が形成されている。具体的には、内箱14と第1の仕切り部材37とで囲われて冷蔵室39が形成されている。また、内箱14と第1の仕切り部材37と第2の仕切り部材38とで囲われて野菜室40が形成されている。さらに、内箱14と第2の仕切り部材38とで囲われて内箱14の下部に空間が形成されている。この空間には、製氷室41と、第1の冷凍室42と、製氷室41の右隣に配置される第2の冷凍室43とが設けられる構成である。冷蔵室39の前面開口部には、図2に示すように、観音開き式の冷蔵室扉391が設けられ、野菜室40の前面開口部には引出し式の野菜室扉401が設けられている。また、製氷室41の前面開口部には引出し式の製氷室扉411が設けられ、第1の冷凍室42の前面開口部には引出し式の第1の冷凍室扉421が設けられ、第2の冷凍室43の前面開口部には引出し式の第2の冷凍室扉431が設けられている。
【0021】
第1の仕切り部材37は、第2の仕切り部材38と同様の構成であるため、第1の仕切り部材37について図8を参照して説明する。また、第1の仕切り部材37は、左右対称の形状であるため、右側の構成について説明する。
【0022】
第1の仕切り部材37は、前仕切り部44と、面仕切り部45とから構成されている。
前仕切り部44は、貯蔵室の前面開口部に設けられ、当該貯蔵室の左右方向に延びる直方体状に構成されている。前仕切り部44は、仕切り板441と、仕切り補強板442と、仕切りカバー443と、仕切り断熱部材444とから構成されている。
【0023】
仕切り板441は、金属製であり、前仕切り部44の前面壁を構成する板部材であり、左右両端部がやや後方に折れ曲がっている。仕切り板441は、右端部が、右面用分割断熱壁313の前端部に形成されている開口部33を通って端部差込室34の内部に配置されている。前仕切り部44の右端部には、貫通孔445が3箇所形成されている。
【0024】
仕切り補強板442は、金属製であり、仕切り板441の引張強度が小さい場合などに設けられるものであり、上下方向の寸法が仕切り板441の上下方向の寸法と同様またはそれより短く調整され、左右方向の寸法が仕切り板441の左右方向の寸法よりも長く調整され、且つ、板厚が仕切り板441と同等またはそれ以上に調整された板部材であり、左右両端部がやや後方に折れ曲がっている。仕切り補強板442は、仕切り板441の背面に接して設けられている。
【0025】
そして、仕切り板441の右端部が、右面用分割断熱壁313の前端部に形成されている開口部33を通って端部差込室34の内部に配置されている。これにより、仕切り板441の右端部は、仕切り補強板442の右端部と外箱13の右面壁18すなわち右面用分割断熱壁313の折り曲げ部32とで挟まれた構成となる。また、仕切り板441および仕切り補強板442の左右両端部が後方に折れ曲がった形状であり、この端部が端部差込室34に挿入される構成であるため、折り曲げ部32の前面を仕切り板441の前面と面一に構成することができる。
【0026】
仕切り補強板442の右端部は、仕切り板441よりも右側に位置して断面L字状をなし、外箱13の右面壁18の右前部分の角の形状に対応して後方に折れ曲がっている。さらに、仕切り補強板442の右端部には、仕切り板441の3箇所の貫通孔445に対応する3箇所のねじ穴446が形成されている。3箇所のうちの最も右端部側に位置するねじ穴446は、外箱13の右面壁18の折り曲げ部32に形成した貫通孔35に通されるねじ46の軸部が設けられた構成となっている。また、仕切り補強板442の残り2箇所のねじ穴446にも、仕切り板441の貫通孔445に通されるねじ47の軸部が設けられた構成となっている。これにより、仕切り板441の右端部および仕切り補強板442の右端部は、右面用分割断熱壁313の折り曲げ部32に連結固定された構成となる。なお、上述したように、図示はしないが、仕切り板441の左端部および仕切り補強板442の左端部も、上述した右端部と同様な構成であり、外箱13の左面壁19すなわち左面用分割断熱壁314の図示しない折り曲げ部に連結固定された構成となっている。すなわち、仕切り板441は、右面用分割断熱壁313と左面用分割断熱壁314とを貯蔵室の前面開口部において連結固定する連結部材として機能し、折り曲げ部32は被連結部材として機能している。
【0027】
仕切りカバー443は、金属製であり、前面が開口した箱状をなし、仕切り板441とともに前仕切り部44の直方体の外周壁を形成するものである。そして、仕切りカバー443と仕切り板441とで形成される直方体の空間に、仕切り断熱部材444が設けられている。仕切りカバー443は、支持部材27によって支持されている。すなわち、仕切りカバー443は、下部に図示しない取付部を有し、この取付部がねじによって支持部材27に固定される構成である。
【0028】
仕切り断熱部材444は、発泡スチロールやウレタンなどの断熱部材からなり、直方体状に形成されている。
面仕切り部45は、図3および図4にも示すように、断熱性を有する樹脂製の矩形状の板部材であり、真空断熱パネルなどの板状の断熱部材の周囲を樹脂製の板で覆ったものである。面仕切り部45は、内箱14の支持部材27上に載置されて保持されているとともに、前端部が前仕切り部44の背面に接して設けられ、左右両端部が内箱14の右面壁24および左面壁25に接して設けられている。なお、第1の仕切り部材37の面仕切り部45の後端部は、内箱14の背面壁26に対して隙間を開けて設けられている。これにより、冷蔵室39と野菜室40とは連通した構成となっている。一方、第2の仕切り部材38の面仕切り部45の後端部は、内箱14の背面壁26に接して設けられている。これにより、野菜室40と製氷室41とは第2の仕切り部材38によって断熱されるとともに、野菜室40と第2の冷凍室43とも第2の仕切り部材38によって断熱された構成となっている。
【0029】
分割断熱壁31は、図1および図3図6に示すように、隣り合う他の分割断熱壁31に対して固定具51を介して連結固定されている。すなわち、内箱14は、複数に分割された壁22~26において、一の壁に隣り合う他の壁によって形成されるコーナー部において、これらの2つの壁が固定具51を介して連結固定された構成となっている。
【0030】
固定具51は、内箱14にあって上面壁22と右面壁24とで形成されるコーナー部、上面壁22と左面壁25とで形成されるコーナー部、上面壁22と背面壁26とで形成されるコーナー部、底面壁23と右面壁24とで形成されるコーナー部、底面壁23と左面壁25とで形成されるコーナー部、底面壁23と背面壁26とで形成されるコーナー部に設けられている。言い換えると、固定具51は、隣り合って離間している2つの断熱部材15に対向する位置で固定されている。
【0031】
また、内箱14の後部のコーナー部、例えば左面壁25と背面壁26とで形成される左奥側のコーナー部には、図6および図9に示すように、電線52が配置されている。電線52は、例えば図示しない制御手段たる制御装置と当該制御装置からの信号を受けて駆動する図示しない送風ファンなどの部品とをつなぐ電線、あるいは、制御装置と各種センサとをつなぐ電線であり、例えば、当該コーナー部に沿って延びている。電線52は、複数本の電線を束ねて構成されている。なお、図面では、複数本の電線が束ねられて断面が円形の状態となった電線52を示す。
【0032】
さらに、内箱14の後部であって電線52が設けられているコーナー部とは異なるコーナー部、例えば左面壁25と背面壁26とで形成される右奥側のコーナー部には、図6および図22に示すように、配管53が配置されている。配管53は、具体的には、図示しない冷蔵用の蒸発器とコンプレッサとをつなぐサクションパイプおよび冷凍用の蒸発器とコンプレッサとをつなぐサクションパイプなどであり、例えば当該コーナー部に沿って延びている。配管53は、例えば、冷蔵に用いられる冷媒が通るものと、冷凍に用いられる冷媒が通るものとの2本設けられている。
【0033】
内箱14の各コーナー部に設けられている固定具51はよく似た構成であるため、以下、内箱14において左面壁25と背面壁26とで形成されるコーナー部に設けられている固定具511、および、右面壁24と背面壁26とで形成されるコーナー部に設けられている固定具512について説明する。なお、固定具512の説明においては、固定具511と共通する部分についての説明を省略する。また、上述の電線52および配管53の構成についても説明する。
【0034】
まず、固定具511について図1図9図21を参照して説明する。
固定具511は、図1図9および図10に示すように、全体として断面直角三角形の柱状をなし、内箱14の左面壁25と背面壁26とで形成されるコーナー部に沿って上下方向に延びた形状をなしている。図9は、電線52が設けられているコーナー部付近を概略的に示すものである。図10は、コーナー部に固定具511を設けた後の当該コーナー部を示すものである。なお、図11は、当該コーナー部に固定具511が設けられる前の当該コーナー部を示している。
【0035】
固定具511は、図12図14に示すように、断面直角三角形の筒状を構成する固定カバー54および補強部材55と、筒状の内部を構成するコーナー用断熱部材56とを有している。
【0036】
固定カバー54は、樹脂製であり、上下方向に長い矩形の板部材であり、コーナー部に設けられている電線52の前側を覆うようにして配置されている。すなわち、冷蔵庫11の使用者側から電線52が見えないように固定カバー54が配置されている。固定カバー54の前面には、図14図21に示すように、ねじ57の軸部を貫通させるための貫通孔58が形成されている。固定カバー54の貫通孔58は、長手方向に直交する幅方向において両端部の複数個所に形成されている。この貫通孔58は、他方側の端部の貫通孔58が極力離れるように、他方側の端部に位置する貫通孔58と上下方向がずれて配置されている。すなわち、固定カバー54の貫通孔58は、例えば図13に示すように、固定カバー54の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。
【0037】
固定カバー54の貫通孔58のうち正面から見て左側に位置する貫通孔58の軸方向は、図15図17図19および図20に示すように、当該固定カバー54が内箱14のコーナー部に設けられたときに内箱14の左面壁25に直交する方向である。また、固定カバー54の貫通孔58のうち正面から見て右側に位置する貫通孔58の軸方向は、図15図16図18および図21に示すように、当該固定カバー54が内箱14のコーナー部に設けられたときに当該内箱14の背面壁26に直交する方向である。
【0038】
固定カバー54は、図1図12および図13に示すように、固定具511が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成されている。この構成により、固定カバー54の取扱いが容易になるとともに、ねじれなどの変形がしにくくなる。以下、固定カバー54のうち上側のパーツを上固定カバー541と称し、下側のパーツを下固定カバー542と称する。上固定カバー541は内箱14の冷蔵室39および野菜室40のコーナー部に配置され、下固定カバー542が内箱14の製氷室41および第1の冷凍室42のコーナー部に配置される構成である。固定カバー54のうち上固定カバー541と下固定カバー542とが連結する部分言い換えると分割部分は、図15に示すように左奥側のコーナー部側に突出し、後述する補強部材55に当接している。また、図10および図12図14に示すように、上固定カバー541の長手方向の中央部には端部側が開口した開口部59が形成され、下固定カバー542の長手方向の中央部にも端部側が開口した開口部60が形成されている。
【0039】
補強部材55は、固定具51の固定カバー54の強度を補強するものであり、樹脂製であり、図9図12および図14に示すように、固定具511の断面二等辺三角形の残りの二辺を形成するカバー、具体的には直角の角を形成する断面L字状の板部材からなり、長手方向の長さが固定カバー54の長手方向の長さと同じに調整されている。補強部材55は、断面L字状をなす二辺のうちの一辺が内箱14の左面壁25すなわち左面用分割断熱壁314に対向して配置され、残りの一辺が内箱14の背面壁26すなわち背面用分割断熱壁315に対向して配置されている。
【0040】
この補強部材55の直角部分が内箱14のコーナー部に対応して配置される構成である。すなわち、補強部材55の断面L字状の直角部分が内箱14のコーナー部の角に最も近づいた状態になるようにして、固定具511が当該コーナー部に配置されている。そして、補強部材55の断面L字状の開いている側の開口部が固定カバー54によって覆われる構成である。言い換えると、補強部材55は、隣り合う分割断熱壁31の端部間すなわち隣り合う分割断熱壁31の離間している部分を横断して配置され、分割断熱壁31間の断熱効果の小さい所に配置された構成である。
【0041】
補強部材55の長手方向に直交する幅方向の両端部には、複数のねじ穴61および複数の貫通孔62が形成されている。複数のねじ穴61および複数の貫通孔62は、固定カバー54の貫通孔58に対応して、補強部材55の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。
【0042】
補強部材55の貫通孔62は、固定カバー54側に膨出している膨出部63に形成されている。すなわち、膨出部63も補強部材55の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。補強部材55の貫通孔62の軸方向は、固定カバー54が補強部材55に取り付けられたときに、固定カバー54の貫通孔58の軸方向に一致する構成である。補強部材55の貫通孔62には、ねじ57の軸部が貫通する構成である。
【0043】
補強部材55のねじ穴61は、図14図15図16および図19に示すように、固定カバー54側に突出した円筒状をなし、内部にねじ山が形成されたものである。補強部材55のねじ穴61は、固定カバー54が補強部材55に取り付けられたときに、固定カバー54の貫通孔58の軸方向に一致し、ねじ57と螺合する構成となっている。
【0044】
この補強部材55も、図14に示すように、固定具511が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成されている。補強部材55の分割位置は、固定カバー54の分割位置と同じである。以下、補強部材55のうち上側のパーツを上補強部材551と称し、下側のパーツを下補強部材552と称する。この構成によって、上補強部材551も、冷蔵室39および野菜室40のコーナー部に配置され、下補強部材552が内箱14の製氷室41および第1の冷凍室42のコーナー部に配置される構成である。
【0045】
コーナー用断熱部材56は、例えば図9に示すように、固定具511の固定カバー54に覆われるようにコーナー部に配置されたものであり、具体的には上述したように固定具511に囲われて設けられている。すなわち、コーナー用断熱部材56は、隣り合う分割断熱壁31の端部間である離間している部分を覆うように配置されている。コーナー用断熱部材56は、図14に示すように、発泡スチロールなどの断熱部材を三角柱に形成したものである。コーナー用断熱部材56の長手方向に直交する幅方向の両端部側には、複数の切欠き部64が形成されている。切欠き部64は、固定カバー54の貫通孔58、補強部材55のねじ穴61および貫通孔62に設けられるねじ57に干渉しないように、コーナー用断熱部材56の長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。このコーナー用断熱部材56も、固定具511が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成されている。コーナー用断熱部材56の分割位置は、固定カバー54の分割位置と同じである。以下、コーナー用断熱部材56のうち上側のパーツを上コーナー用断熱部材561と称し、下側のパーツを下コーナー用断熱部材562と称する。この場合、上コーナー用断熱部材561は、上固定カバー541および上補強カバー551によって挟まれて設けられている。また、下コーナー用断熱部材562は、下固定カバー542および下補強カバー552によって挟まれて設けられている。この構成によって、上コーナー用断熱部材561も、冷蔵室39および野菜室40のコーナー部に配置され、下コーナー用断熱部材562が内箱14の製氷室41および第1の冷凍室42のコーナー部に配置される構成である。
【0046】
上記構成によって、固定具511は、全体として、コーナー部に沿って延びる方向において2個に分割可能な構成となっている。なお、上コーナー用断熱部材561は、下コーナー用断熱部材562に対して離間して設けられている。すなわち、図15に示すように、固定カバー54の分割部分では、固定具511の分割部分の前面がコーナー部側に凹んだ形状になっている。
【0047】
また、上コーナー用断熱部材561の長手方向の中央部には固定カバー541の開口部59に対応して端部側が開口した開口部65が形成され、下コーナー用断熱部材562の長手方向の中央部にも固定カバー541の開口部60に対応して端部側が開口した開口部66が形成されている。
【0048】
また、コーナー用断熱部材56の長手方向に直交する断面における直角部分、すなわち内箱14のコーナー部の角に近接する部位には、長手方向に延びる凹状の収容部67が形成されている。このコーナー用断熱部材56の収容部67には、上述した電線52が収容されている。すなわち、固定具511は、筒状の内部に電線52を収容した構成となっている。収容部67に収容されている電線52は、収容部67の内周面が保持部となって当該保持部によって所定の位置からずれないように保持されているとともに、図示しないフックなどの保持部などでも保持されている。すなわち、電線52と固定具511とは一体された構成となっている。電線52は、一部がコーナー用断熱部材56の開口部65を通って上固定カバー541の開口部59から貯蔵室側に出ており、また他の一部もコーナー用断熱部材56の開口部66を通って下固定カバー592の開口部60から貯蔵室側に出ており、さらに他の一部が固定具511の上端面から外側に出ており離間部211を通って機械室21に導かれている。すなわち、固定具511の開口部59,60は、固定具511の内部に収容されている電線52の一部を貯蔵室側に導くためのものである。なお、さらに、電線52の一部を固定具511の下端面から、離間部213を通って部分収容室212に導かれるようにしてもよい。
【0049】
電線52は、図13に示すように、固定カバー54の開口部59,60から貯蔵室側に出ている部分に接続部68を有している。また、電線52は、固定具511の上端面から外側に延びている先端部にも接続部68を有している。これらの接続部68は、樹脂製であり、他の電線の接続部と接続可能なプラグ状の構成となっている。他の電線は、例えば制御装置や送風ファンなどの部品に接続されている。
【0050】
固定カバー54と補強部材55との間、具体的には固定カバー54の幅方向の端部と補強部材55の幅方向の端部との間には、図14および図16図19に示すように、第1のシール部材71が設けられている。第1のシール部材71は、固定カバー54および補強部材55の長手方向に沿って長く延びる部材であり、例えばソフトテープから構成されている。これにより、固定カバー54と補強部材55との間が第1のシール部材71によってシールされた構成となる。
【0051】
補強部材55とこの補強部材55に近接する内箱14の壁、具体的には補強部材55と左面壁25すなわち左面用分割断熱壁314との間、および補強部材55と背面壁26すなわち背面用分割断熱壁315との間には、図14図19に示すように、第2のシール部材72が設けられている。第2のシール部材72は、固定カバー54および補強部材55の長手方向に沿って長く延びる部材であり、例えばソフトテープから構成されている。これにより、補強部材55とこの補強部材55に近接する分割断熱壁31との間が第2のシール部材72によってシールされた構成となる。
【0052】
図9に示すように、分割断熱壁31の端部、例えば左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とが突き合されている部分には、第3のシール部材73が設けられている。第3のシール部材73は、固定カバー54および補強部材55の長手方向に平行に延びている部材であり、例えばソフトテープから構成されている。これにより、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315との間が第3のシール部材73によってシールされた構成となる。なお、図20および図21では、第3のシール部材の図示を省略する。
【0053】
固定具511は、図14図19に示すように、固定カバー54と補強部材55とによってコーナー用断熱部材56を挟み、コーナー用断熱部材56の収容部67に電線52を収容し、固定カバー54の幅方向の端部と補強部材55の幅方向の端部とを合わせて構成されている。そして、このように固定カバー54を補強部材55に合わせた状態で、ねじ57の軸部を固定カバー54の貫通孔58に通して補強部材55のねじ穴61に螺合させることにより、固定カバー54が補強部材55に固定された構成となっている。また、固定カバー54が補強部材55に固定されることにより、コーナー用断熱部材56も固定具511の内部に固定された構成となり、電線52も固定具511の内部に固定された構成となっている。したがって、固定カバー54と、補強部材55と、コーナー用断熱部材56と、電線52とが一体化した構成となっている。
【0054】
なお、上固定カバー541と下固定カバー542との分割部分では、図15に示すように、1対のねじ57,57によって固定カバー54が補強部材55に固定されている。そして、固定具511の分割部分には、第2の仕切り部材38の後端部の左部が当接して配置される構成となっている。
【0055】
また、図20および図21に示すように、ねじ57を固定カバー54の貫通孔58および補強部材55の貫通孔62に通して内箱14の支持部材27のねじ穴に螺合させることにより、固定具511が内箱14のコーナー部に固定された構成となっている。
【0056】
このとき、固定カバー54と補強部材55との間が第1のシール部材71によってシールされ、固定具51とこの固定具51に近接する分割断熱壁31との間が第2のシール部材72によってシールされ、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315との間が第3のシール部材73によってシールされた構成となる。
【0057】
さらに、左面用分割断熱壁314および背面用分割断熱壁315は、第2のシール部材72を介して補強部材55に対向した配置となる。これにより、隣り合う左面用分割断熱壁314および背面用分割断熱壁315が固定具511によって連結固定されるとともに、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とで形成される隣り合う分割断熱壁314,315の角度が、補強部材55の直角部分に対応して90°に保持される。すなわち、補強部材55は、左面用分割断熱壁314および背面用分割断熱壁315のそれぞれに対向して配置され、隣り合う壁すなわち分割断熱壁31の角度を90°に保持する角度保持部として機能している。
【0058】
次に、固定具512について図22図31を参照して説明する。
固定具512は、図22および図23に示すように、全体として断面直角三角形の柱状をなし、内箱14の右面壁24と背面壁26とで形成されるコーナー部に沿って上下方向に延びた形状をなしている。図22は、配管53が設けられているコーナー部付近を概略的に示すものである。図23は、コーナー部に固定具512を設けた後の構成を示すものである。なお、図24は、当該コーナー部に固定具512を設ける前の構成を示している。
【0059】
固定具512は、図25図27に示すように断面直角三角形の筒状を構成する固定カバー81および補強部材82と、筒状の内部を構成するコーナー用断熱部材83とを有している。
【0060】
固定カバー81は、固定カバー54とほぼ同様な構成であり、上下方向に長い矩形の板部材であり、コーナー部に設けられている配管53の前側を覆うようにして配置されている。すなわち、冷蔵庫11の使用者側から配管53が見えないように固定カバー81が配置されている。固定カバー81には、固定カバー54の貫通孔58と同様の貫通孔84が複数個所に形成されている。また、固定カバー81も、図27に示すように、固定具512が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成され、固定カバー81のうち上側のパーツを構成する上固定カバー811と、下側のパーツを構成する下固定カバー812とから構成されている。上固定カバー811と下固定カバー812とが連結する部分すなわち分割部分は、図28に示すように右奥側のコーナー部側に突出した形成である。また、上固定カバー811の長手方向の中央部には、図27に示すように、外側に突出して延びる第1の突出部85を有し、この第1の突出部に開口部86が形成されている。また、図23および図25図27に示すように、下固定カバー812の長手方向の中央部にも、外側に突出して延びる第2の突出部87を有し、この第2の突出部87に開口部88が形成されている。
【0061】
補強部材82は、補強部材55とほぼ同様な構成であり、図27に示すように、固定具512の断面二等辺三角形の残りの二辺を形成する断面L字状の板部材である。この補強部材82の直角部分が内箱14のコーナー部に対応して配置される構成である。そして、補強部材82の断面L字状の開いている側の開口部を覆うようにして固定カバー81が設けられる構成である。
【0062】
補強部材55の長手方向に直交する幅方向の両端部には、複数のねじ穴89および複数の貫通孔90が形成されている。補強部材82のねじ穴89および貫通孔90も、補強部材55のねじ穴61および貫通孔62と同様の構成である。また、この補強部材82も、固定具512が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成され、補強部材82のうち上側のパーツを構成する上補強部材821と、下側のパーツを構成する下補強部材822とから構成されている。また、上補強部材821は、当該上補強部材821の長手方向の中央部すなわち第1の突出部85に対応する位置に外側に突出して延びる第1の補強用突出部91を有している。第1の補強用突出部91は、第1の突出部85とともに筒状を形成するものである。さらに、下補強部材822も、当該下補強部材822の長手方向の中央部すなわち第2の突出部87に対応する位置に外側に突出して延びる第2の補強用突出部92を有している。第2の補強用突出部92も、第2の突出部87とともに筒状を形成するものである。
【0063】
コーナー用断熱部材83は、コーナー用断熱部材56とほぼ同様な構成であり、固定具512の固定カバー81に覆われるようにコーナー部に配置されている。すなわち、コーナー用断熱部材83も、隣り合う分割断熱壁31の端部間である離間している部分を覆うように配置されている。コーナー用断熱部材83は、図27に示すように、発泡スチロールなどの断熱部材を三角柱に形成したものであり、幅方向の両端部側に複数の切欠き部93が形成されている。この切欠き部93は、コーナー用断熱部材56の切欠き部64と同様な構成である。また、このコーナー用断熱部材83も、固定具512が設けられるコーナー部の延びている方向の長さにおいて2個に分割されたパーツから構成され、コーナー用断熱部材83のうち上側のパーツを構成する上コーナー用断熱部材831と、下側のパーツを構成する下コーナー用断熱部材832とから構成されている。この場合、上コーナー用断熱部材831は、上固定カバー8111および上補強カバー821によって挟まれて設けられている。また、下コーナー用断熱部材832は、下固定カバー812および下補強カバー822によって挟まれて設けられている。
【0064】
上記構成によって、固定具512は、全体として、コーナー部に沿って延びる方向において2個に分割可能な構成となっている。なお、上コーナー用断熱部材831は、下コーナー用断熱部材832に対して離間して設けられている。すなわち、図28に示すように、固定カバー81の分割部分では、当該固定カバー81のコーナー部側の面が補強部材82に接しており、固定具51の分割部分の前面がコーナー部側に凹んだ形状になっている。
【0065】
また、上コーナー用断熱部材831は、図27に示すように、当該上コーナー用断熱部材831の長手方向の中央部すなわち第1の突出部85に対応する位置に外側に突出して延びる第1の断熱用突出部94を有し、この第1の断熱用突出部94に開口部95が形成されている。第1の断熱用突出部94は、第1の補強用突出部91と第1の突出部85とで形成される筒状部分に収容される構成である。さらに、下コーナー用断熱部材832も、当該下コーナー用断熱部材832の長手方向の中央部すなわち第2の突出部87に対応する位置に外側に突出して延びる第2の断熱用突出部96を有し、この第2の断熱用突出部96に開口部97が形成されている。第2の断熱用突出部96は、第2の補強用突出部92と第2の突出部87とで形成される筒状部分に収容される構成である。
【0066】
また、コーナー用断熱部材83の長手方向に直交する断面における直角部分、すなわち内箱14のコーナー部の角に近接する部位には、長手方向に延びる凹状の収容部98が形成されている。このコーナー用断熱部材83の収容部98には、上述した配管53が収容されている。すなわち、固定具512は、筒状の内部に配管53を収容した構成となっている。収容部98に収容されている配管53は、収容部98の内周面が保持部となって当該保持部によって保持されているとともに、図示しないフックなどの保持部などでも保持されている。すなわち、配管53と固定具512とは一体された構成となっている。なお、収容部98に収容されている配管53は、コーナー部の部位によっては複数本収容されている。
【0067】
配管53は、一部がコーナー用断熱部材83の開口部95を通って上固定カバー811の開口部86から貯蔵室側に出ており、他の一部がコーナー用断熱部材83の開口部97を通って下固定カバー812の開口部88から貯蔵室側に出ており、さらに他の一部が固定具512の上端面から外側に出ており離間部211を通って機械室21に導かれている。すなわち、固定具512の開口部86,88は、固定具512の内部に収容されている配管53の一部を貯蔵室側に導くためのものである。なお、さらに、配管53の一部を固定具512の下端面から、離間部213を通って部分収容室212に導かれるようにしてもよい。
【0068】
配管53は、図26に示すように、固定カバー81の開口部86,88から貯蔵室側に出ている部分に溶着部99を有している。また、配管53は、固定具512の上端面から外側に延びている先端部にも溶着部99を有している。これらの溶着部99は、他の配管の溶着部と溶着可能な構成、例えば配管53の直径が他の配管よりも大きい構成となっている。他の配管は、冷蔵用の蒸発器、冷凍用の蒸発器、コンプレッサに接続されている。この実施形態では、上固定カバー811の開口部86から貯蔵室側に延びる配管53が冷蔵用の蒸発器に接続され、下固定カバー812の開口部88から貯蔵室側に延びる配管が冷凍用の蒸発器に接続され、固定具512の上端面から外側に延びる配管が機械室21に設けられているコンプレッサに接続されるように、配管53の溶着部99と他の配管の溶着部とが溶着される構成となっている。
【0069】
固定カバー81と補強部材82との間、具体的には固定カバー81の幅方向の端部と補強部材82の幅方向の端部との間には、固定具511に設けた第1のシール部材71と同様の第1のシール部材101が設けられている。
【0070】
補強部材82とこの補強部材82に近接する内箱14の壁、具体的には補強部材82と右面壁24すなわち右面用分割断熱壁313との間、補強部材82と背面壁26すなわち背面用分割断熱壁315との間には、図27図31に示すように、第2のシール部材72と同様の第2のシール部材102が設けられている。
【0071】
また、図22に示すように、右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315とが突き合されている部分には、第3のシール部材72と同様の第3のシール部材103が設けられている。
【0072】
固定具512は、図26図31に示すように、固定カバー81と補強部材82とによってコーナー用断熱部材83を挟み、コーナー用断熱部材83の収容部98に配管53を収容し、固定カバー81の幅方向の端部と補強部材82の幅方向の端部とを合わせて構成されている。そして、このように固定カバー81を補強部材82に合わせた状態で、ねじ57の軸部を固定カバー81の貫通孔84に通して補強部材82のねじ穴89に螺合させることにより、固定カバー81が補強部材82に固定された構成となっている。また、固定カバー81が補強部材82に固定されることにより、コーナー用断熱部材83も固定具51の内部に固定された構成となり、配管53も固定具512の内部に固定された構成となっている。この上固定カバー811と下固定カバー812の分割部分にも、第2の仕切り部材38の後端部の右部が当接して配置され、この分割部分を覆う構成となっている。
【0073】
なお、上固定カバー811と下固定カバー812との分割部分では、図28に示すように、1対のねじ57,57によって固定カバー81が補強部材82に固定されている。そして、固定具512の分割部分には、第2の仕切り部材38の後端部の右部が当接して配置される構成となっている。
【0074】
また、図示しないねじの軸部を、図30に示すように、固定カバー81の貫通孔84および補強部材82の貫通孔90に通して内箱14の図示しない支持部材のねじ穴に螺合させることにより、固定具512が内箱14のコーナー部に固定された構成となる。なお、図示はしないが、固定具512は、同様な構成によって背面壁26の支持部材にも固定されている。
【0075】
このとき、固定カバー81と補強部材82との間が第1のシール部材101によってシールされ、固定具51とこの固定具51に近接する分割断熱壁31との間が第2のシール部材102によってシールされ、右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315との間が第3のシール部材103によってシールされる。
【0076】
また、補強部材82は、第2のシール部材102を介して右面用分割断熱壁313および背面用分割断熱壁315のそれぞれに対向した配置となる。これにより、隣り合う右面用分割断熱壁313および背面用分割断熱壁315が固定具512によって連結固定されるとともに、右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315とで形成される隣り合う壁の角度が、補強部材82の直角部分に対応して90°に保持される。すなわち、補強部材82も、隣り合う壁の角度を90°に保持する角度保持部として機能している。
【0077】
次に、固定具512の固定カバー81の開口部88から貯蔵室側に導かれている配管53の一部について図32を参照して説明する。図32に示すように、内箱14の内部において第2の仕切り部材38の面仕切り部45と内箱14の右面壁24との間には、仕切り部用断熱部材105が設けられている。仕切り部用断熱部材105は、発泡スチロールなどからなる断熱部材であり、前後方向に延びるブロック状をなしている。仕切り部用断熱部材105には、内箱14側が開口した凹部106が形成されている。そして、凹部106の内部には、固定具512の開口部88から貯蔵室側に出た配管53の一部が設けられた構成となっている。すなわち、固定具512の開口部88から出ている配管53の一部は、第2の仕切り部材38の縁部の前後方向に沿って設けられた構成となっている。
【0078】
この仕切り部用断熱部材105の上面、前面および左面は、第2の仕切り部材38の面仕切り部45から延びている部材によって覆われている。
なお、図示はしないが、内箱14の内部において第2の仕切り部材38の面仕切り部45と内箱14の左面壁25との間にも、上述の仕切り断熱部材などを設けて、固定具512の開口部60から出ている電線52の一部が、第2の仕切り部材38の縁部の前後方向に沿って設けられる構成としてもよい。
【0079】
上記した一実施形態による冷蔵庫の断熱箱体12の組立て手順を図1および図33を参照して説明する。
まず、図1に示す分割断熱壁31および固定具51をそれぞれ製作する。次に、図33に示すように、隣り合う2つの分割断熱壁31のうちの一方、例えば左面用分割断熱壁314に固定具511をねじ57により取り付ける。次に、左面用分割断熱壁314と固定具511とが一体となったものに、背面用分割断熱壁315を取り付ける。これにより、隣り合う分割断熱壁31は連結固定され、内箱14の右奥側のコーナー部が形成される。このとき、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とで形成される隣り合う壁の角度は、補強部材55の直角部分に対応して90°に保持される。内箱14の他のコーナー部も、分割断熱壁31と固定具51とを連結固定することにより形成される。これにより、隣り合う分割断熱壁31の角度が90°である内箱14が形成され、直方体の断熱箱体12が形成される。なお、隣り合う分割断熱壁31の角度を90°にするだけではなく、この場合、隣り合う分割断熱壁31の角度がほぼ90°に調整され、断熱箱体12の各角部がほぼ90°となっていればよい。
【0080】
また、断熱箱体12の組立て時に、第1の仕切り部材37および第2の仕切り部材38を所定の位置に設けることにより、冷蔵室39、野菜室40、製氷室41、第1の冷凍室42および第2の冷凍室43が形成されるとともに、貯蔵室の前面開口部側において、右面用分割断熱壁313と左面用分割断熱壁314とが第1の仕切り部材37および第2の仕切り部材38によって連結固定される。
【0081】
上記構成によれば、次の効果を奏する。
隣り合う2つの分割断熱壁31が固定具51で連結固定されることによって、冷蔵庫11の断熱箱体12形成される。すなわち、分割断熱壁31を組み合わせ、固定具51でこれらの分割断熱壁31を組み合わせることによって冷蔵庫11を組み立てることができる。したがって、この実施形態によれば、従来のように予め立体的な内箱に断熱部材を設ける構成よりも、冷蔵庫11の組立て作業が容易となる。
【0082】
固定具51の補強部材55,82が角度保持部として機能するため、隣り合う分割断熱壁31の角度が90°に保持される。これにより、内箱14を直方体に形成することができる。また、内箱14の角部が90°に保持される構成であることにより、分割断熱壁31の組み合わせが容易となる。
【0083】
固定具51が隣り合って離間している2つの断熱部材15に対向する位置で固定されているので、断熱部材15を、固定具51を基準にして固定できる。したがって、隣り合う分割断熱壁31の角度を90°に保持しやすくできる。
【0084】
貯蔵室の前面開口部側において、右面用分割断熱壁313と左面用分割断熱壁314とが第1の仕切り部材37および第2の仕切り部材38によって連結固定されているので、右面用分割断熱壁313の前面および左面用分割断熱壁314の前面が確実に固定される。これにより、内箱14の前面開口部が左右方向に開いてしまうことを防止できるとともに内箱14のねじれを防止することができ、内箱14および断熱箱体12を直方体に保つことができる。
【0085】
内箱14のコーナー部に設けられる電線52および配管53が固定具51によって覆われた構成であるので、電線52や配管53に食品が当たってしまうことを防止することができるとともに、電線52および配管53を冷蔵庫11の使用者に見せなくすることができて貯蔵室の内部の意匠性を良好にすることができる。
【0086】
内箱14のコーナー部にコーナー用断熱部材56,83が設けられているので、コーナー部での断熱効果を高めることができる。また、コーナー用断熱部材56,83が固定具51によって覆われた構成であるので、上述と同様に、貯蔵室の内部の意匠性を良好にすることができる。
【0087】
コーナー用断熱部材56,83が隣り合う分割断熱壁31の離間している部分を覆うように配置されているので、分割断熱壁31による断熱効果の小さい部分の断熱効果を補うことができる。これにより、断熱箱体12全体の断熱効果を向上させることができる。
【0088】
固定具51が筒状をなし、電線52、配管53およびコーナー用断熱部材56,83が当該固定具51の内部に収容された構成であるので、電線52、配管53およびコーナー用断熱部材56,83が冷蔵庫11の使用者から確実に見えにくくすることができ、貯蔵室の内部の意匠性をより一層良好にすることができる。
【0089】
固定具51が、断面L字状をなす補強部材55,82を有しているので、固定具51の変形、特にねじれや、折れ曲がりが生じてしまうことを極力防止することができる。また、補強部材55,82の前面すなわち断面L字状の開口部に固定カバー54,81が設けられる構成であるため、固定具51を筒状にすることができる。
【0090】
電線52および配管53は、コーナー用断熱部材56,83の収容部67,98によって保持されているので、電線52および配管53が所定の位置からずれてしまうことを防止することができる。
【0091】
固定具51に開口部59,60が形成され、内箱14のコーナー部に設けられている電線52を貯蔵室側に導く構成とした。これにより、開口部59,60から貯蔵室側に導かれた電線52を固定具51の外側すなわち貯蔵室側にある電線に接続させることができる。特に、電線52が固定具51の開口部59,60から出た部分に他の電線と接続する接続部68を有しているので、固定具51の外側で電線52と他の電線との接続を容易に行うことができる。
【0092】
また、固定具51に開口部86,88が形成され、内箱14のコーナー部に設けられている配管83を貯蔵室側に導く構成とした。これにより、開口部86,88から貯蔵室側に導かれた配管83を貯蔵室側にある配管に接続させることができる。特に、配管53が固定具51の開口部86,88から出た部分に他の配管と溶着する溶着部99を有しているので、固定具51の外側で配管53と他の配管との溶着を容易に行うことができる。
【0093】
固定具51と電線52とが一体化され、また固定具51と配管53とが一体化された構成であるので、分割断熱壁31が固定具51で連結固定される際に、電線52および配管53も分割断熱壁31の所定のコーナー部に設けることができる。これにより、電線52および配管53の組み立て作業を簡素化することができる。
【0094】
内箱14の左奥側のコーナー部に電線52が設けられ、内箱14の右奥側のコーナー部に配管53が設けられていて、電線52が固定具511によって覆われ、配管53が固定具512によって覆われる構成としたので、電線52が配管53によって冷やされることを防止することができる。
【0095】
配管53の一部が、第2の仕切り部材38の縁部に沿って配置されているので、固定具51を大きくすることなく配管53を長くすることができる。これにより、配管53がサクションパイプである場合、貯蔵室の収納スペースを十分に確保しつつも、配管53の熱交換の効率を向上させることができる。
【0096】
固定カバー54と補強部材55との間、および固定カバー81と補強部材82との間に第1のシール部材71,101が設けられているので、固定具51の内部に冷気が流入してしまうことを防止することができる。これにより、固定具51の内部の部品、例えば電線52などに結露が生じてしまうことを防止できる。
【0097】
分割断熱壁31と固定具51との間に第2のシール部材72,102が設けられているので、貯蔵室内の冷気が断熱箱体12の外側に漏れること防ぐことができるとともに、断熱箱体12の外側の暖かい空気が貯蔵室内に入ることを防ぐことができる。
【0098】
右面用分割断熱壁313と背面用分割断熱壁315との間、および左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315との間に第3のシール部材73,103が設けられているので、断熱箱体12の内部と外部とを十分に断熱することができ、当該断熱箱体12の内部を効率よく冷却することができる。
【0099】
固定具51がコーナー部に沿って延びる方向において複数に分割されているので、固定具51の取扱いが容易になる。また、固定具51の分割部分に、第2の仕切り部材38が配置されているので、貯蔵室内の冷気が第2の仕切り部材38の分割部分から固定具51の内部に入ることを防ぐことができる。
【0100】
分割断熱壁31が、外板からなる壁16~20、内板かならなる壁22~26および断熱部材15をなす真空断熱パネルから構成され、真空断熱パネルの一面が外板に接着され、真空断熱パネルの他面が内板に接着されているので、真空断熱パネルによる断熱効果が得られるとともに、分割断熱壁31を薄くすることができ、断熱箱体12の壁を薄くすることができる。また、上記構成によれば、従来、外箱と内箱との間に設けられていた電線および配管を、食品の収納の際に邪魔になりにくいコーナー部に設けることができる。
【0101】
固定具51の上下方向から電線52あるいは配管53が出ており、電線52あるいは配管53の直上に離間部211が配置され、電線52あるいは配管53の直下に離間部213が配置されている。この離間部211の直上には機械室21が設けられ、離間部213の直下には部品収容室212が設けられている。したがって、電線52および配管53を所定の位置に容易に配置できるとともに、他の電線や配管に容易に接続することができる。
【0102】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図34を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。なお、この実施形態では、内箱14の左奥側のコーナー部について説明するが、他のコーナー部にも適用することができる。
【0103】
第2の実施形態の固定具111は、補強部材を有さず、第1の実施形態の固定カバー54とほぼ同様な形状の板部材であり、内箱14のコーナー部に沿って延びた形状である。この実施形態では、隣り合う2つの分割断熱壁31は、固定具111に図示しないないねじによって固定されている。すなわち、隣り合う2つの分割断熱壁31は、固定具111によって連結固定された構成となっている。
【0104】
固定具111の幅方向の両端部には、内箱14の近接する壁22~26、具体的には左面壁25および背面壁26に対向して延びる延出部112,113が形成されている。すなわち、一方の延出部112は断熱部材15の前側に向かって延び、他方の延出部113は断熱箱体12の右方向に向かって延びている。ここで、延出部112の内箱14側の平面は、延出部113の内箱14側の面に対して、直交するように延びている。したがって、隣り合う左面用分割断熱壁314および背面用分割断熱壁315が固定具111によって連結固定されると、左面用分割断熱壁314と背面用分割断熱壁315とで形成される隣り合う壁の角度が90°となる。すなわち、延出部112,113は、角度保持部として機能するものである。
【0105】
延出部112,113と内箱14の近接する壁25,26との間には、第4のシール部材114が設けられている。第4のシール部材114は、第2のシール部材72,112と同様のものである。
【0106】
また、内箱14のコーナー部と固定具111とで形成される三角柱状の空間には、第2のコーナー用断熱部材115が設けられている。すなわち、固定具111は、コーナー用断熱部材115を覆うようにして配置されている。第2のコーナー用断熱部材115は、発泡スチロールなどの断熱部材であり、三角柱状に形成されている。
【0107】
第2のコーナー用断熱部材115における内箱14のコーナー部の角側に近接する部位には、長手方向に延びる凹状の収容部116が形成されている。この第2のコーナー用断熱部材115の収容部116の内部には、電線52が収容され、当該収容部116によって保持されている。すなわち、収容部116も、電線52を保持する保持部として機能するものでる。
【0108】
上記構成によれば、補強部材を有さない構成の固定具111を用いることによっても隣り合う2つの分割断熱壁31を連結固定させることができる。
延出部112,113を固定具111に設けたので、内箱14の隣り合う壁の角度は90°に保持される。これにより、内箱14および断熱箱体12を直方体に形成することができる。
【0109】
延出部112,113と分割断熱壁31との間に第4のシール部材114が設けられているので、貯蔵室内の冷気が断熱箱体12の外側に漏れること防ぐことができるとともに、断熱箱体12の外側の暖かい空気が貯蔵室内に入ることを防ぐことができる。
第2のコーナー用断熱部材115の収容部116内に、電線52が収容されているので、電線52が所定の位置からずれてしまうことを防止することができる。
【0110】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について、図35を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成のものについては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。なお、この実施形態では、内箱14の右奥側のコーナー部について説明するが、他のコーナー部にも適用することができる。
【0111】
第3の実施形態では、図35に示すように、断熱部材120が、第1の断熱部材121と、第2の断熱部材122とから構成されている。第1の断熱部材121は、真空断熱パネルであり、内箱14の壁22~26の外面側に接着して配置されている。第2の断熱部材122は、第1の断熱部材121よりも熱伝導率が高いすなわち第1の断熱部材121よりも断熱性能が低いもの、例えばソフトテープ、あるいは発泡断熱材、特にはウレタンである。第2の断熱部材122は、外箱13と内箱14との間で形成される空間すなわち断熱部材120が収容される空間のうち第1の断熱部材121以外のところ配置されている。この実施形態では、第2の断熱部材122が、外箱13の壁16~20の内面側であって第1の断熱部材121の外面側に設けられるとともに、断熱箱体12のコーナー部、すなわち第1の実施形態での第3のシール部材73に相当する箇所にも設けられている。この場合、第1の断熱部材121は、断熱部材120が収容される空間の全体積の50%以上、より好ましくは80%以上を占めている。また、第2の断熱部材122は、第1の断熱部材121の体積よりも小さい体積に設定されている。また、図35に示すように、第1の断熱部材121の板厚をTとし、第2の断熱部材122の板厚をTとし、配管53の外径をTとすると、T>T>Tに設定されている。ここでいう板厚とは、外箱13と内箱14の断面方向の厚さである。また、発泡断熱材においては、固化後の厚さである。
【0112】
上記構成によれば、第1の断熱部材121および第2の断熱部材122の両方の断熱部材を用いた冷蔵庫を得ることができる。この場合、第2の断熱部材122よりも断熱効果の優れる第1の断熱部材121の体積を大きくした構成であるため、断熱箱体12の壁を薄くでき、収納スペースを十分に確保することができる。
【0113】
また、断熱箱体12の板厚を小さくしたい構成においては、配管53を断熱箱体12の内部に収容できないことがある。したがって、この実施形態では、配管53を貯蔵室の内部の後方、この場合内箱14の右奥側のコーナー部に収容し、第1の断熱部材121の体積を大きくすることにより、収納スペースを十分に確保でき、断熱箱体12の断熱効果を良好にすることができる。
【0114】
第2の断熱部材122の板厚Tが配管53の外径Tよりも小さく、配管53が断熱箱体12の内部に収容できない構成において、配管53を収容空間例えば貯蔵室の内部に収容し、第1の断熱部材121の板厚Tを第2の断熱部材122の板厚Tよりも大きくすることにより、断熱箱体12の断熱効果を良好にすることができる。
【0115】
第1の断熱部材121として、真空断熱パネルを用いることにより、良好な断熱性が得られる。また、板厚が小さい真空断熱パネルでも断熱効果が良好であるため、断熱箱体12の壁を薄くでき、収納スペースを十分に確保することができる。
【0116】
第2の断熱部材122として、発泡断熱材、この場合ウレタンを用いることにより、第1の断熱部材121同士の間、第1の断熱部材121と外箱13との間、第1の断熱部材121と内箱14との間を埋めることができる。これにより、断熱箱体12全体の断熱効果を良好にすることができる。
なお、上記では配管53の外径をTとして説明したが、内箱14の左奥側のコーナー部において、電線52すなわち複数の電線の束の外径をTとしてもよい。
【0117】
(その他の実施形態)
内箱のコーナー部に電線および配管が設けられた構成を用いて説明したが、当該コーナー部にそれら以外の部品、例えばホースなどが設けられ、この部品を固定具で覆う構成としてもよい。
仕切り部材が設けられないコーナー部や、コーナー部の長さが短い場合などにおいては、固定具を複数に分割しなくてもよい。
【0118】
第1の実施形態の固定具において、固定カバーの幅方向の両端部に第2の実施形態の延出部を設けて、延出部と内箱との間を、第2のシール部材の代わりに第4のシール部材でシールする構成としてもよい。
配管の一部または電線の一部が第2の仕切り部材の縁部の左右方向に沿って配置されていてもよい。また、配管の一部および電線の一部が第1の仕切り部材の縁部の前後方向あるいは左右方向に沿って配置されていてもよい。
【0119】
面仕切り部に用いられる断熱部材として、真空断熱パネル、ウレタン、発泡スチロールなどを用いるとともに、これらの断熱部材を上下から樹脂製または金属製の板で挟む構成としてもよい。
仕切り補強板は、仕切り板が十分に強度を有する場合などにおいては、省略してもよい。
隣り合う2つの分割断熱壁は、上記の実施形態の連結固定に加えて、ねじなどによって連結固定してもよい。
【0120】
上記した断熱箱体の組立て手順は一例に過ぎず、例えば、背面用分割断熱壁に固定具を取り付けた後に、右面用分割断熱壁あるいは左面用分割断熱壁をこの固定具に取り付ける手順でもよい。
シール部材として、ソフトテープの代わりにシリコンシーラーなどを用いてもよい。
内箱の右奥側のコーナー部に、第2のコーナー用断熱部材を設け、第2のコーナー用断熱部材の収容部の内部に配管を収容する構成としてもよい。
【0121】
また、冷蔵庫は貯蔵室の内部にミストを噴出すミスト放出部を有していてもよい。このミストは、静電霧化により生成されたものであり、直径1~1000nmであることが好ましい。この場合、隣り合う2つの分割断熱壁によって形成されるコーナー部に固定具が設けられることにより、隣り合う分割断熱壁との間からミストが庫外に放出されることを抑制することができる。
固定具は、内箱の一の壁に一体に形成されていてもよい。
【0122】
分割断熱壁は側面あるいは上面などから見て、L字状、U字状をなしていてもよい。すなわち、固定具は、板状の分割断熱壁同士を連結固定するのみではなく、板状以外の分割断熱壁同士、板状の分割断熱壁と板状以外の分割断熱壁とを連結固定するものとしてもよい。
【0123】
分割断熱壁の断熱部材すなわち真空断熱パネルは、内箱の壁に一体に設けられていなくてもよく、また、外箱の壁に一体に設けられていてもよい。
分割断熱壁の断熱部材は、外箱の一の壁または内箱の一の壁のどちらか一方に当接して設けられていればよい。
【0124】
内箱を複数に分割してなる壁を固定具によって連結固定して箱状の内箱を形成し、その内箱を外箱と断熱部材とが一体となったものに取り付けて断熱箱体を形成する構成でもよい。この場合、内箱を複数に分割してなる壁は、平板状に限らず、例えば上面から見てL字状であってもよい。
【0125】
以上のように、本実施形態の冷蔵庫は、断熱部材が断熱壁を複数組み合わせて箱状に構成され、断熱箱体にあって隣り合う2つの断熱壁によって形成されるコーナー部に設けられ2つの断熱壁を連結固定する固定具を備えている。よって、断熱壁を組み合わせ固定具でこれらの断熱壁を組み合わせることによって冷蔵庫を組み立てることができ、従来のように予め立体的な内箱に断熱部材を設ける構成よりも、冷蔵庫の組立て作業が容易となる。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
図面中、11は冷蔵庫、12は断熱箱体、13は外箱、14は内箱、15,120は断熱部材、31,311,312,313,314,315は分割断熱壁(断熱壁)、37,38は仕切り部材(連結部材)、51,511,512,111は固定具、52は電線、53は配管、54,81は固定カバー、55,82は補強部材(角度保持部)、56,83,115はコーナー用断熱部材、59,60,86,88は開口部、67,98,116は収容部(保持部)、68は接続部、72,102,114はシール部材、99は溶着部、112,113は延出部(角度保持部)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35