(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 17/10 20200101AFI20231128BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20231128BHJP
B62J 17/00 20200101ALI20231128BHJP
B62K 19/30 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B62J17/10
B62J23/00 A
B62J17/00
B62J23/00 C
B62K19/30
(21)【出願番号】P 2021140460
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金澤 直樹
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-076732(JP,A)
【文献】特開2019-131085(JP,A)
【文献】特開2008-222081(JP,A)
【文献】特開2005-239004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0146152(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/10
B62J 23/00
B62J 17/00
B62K 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドライト(37)と、前記ヘッドライト(37)に対し車幅方向外側に配置されるフロントサイドカウル(41)と、前記フロントサイドカウル(41)に取り付けられるウインカー(46)と、前記フロントサイドカウル(41)の内側に走行風を通すダクト部(56)とを備え、前記ダクト部(56)の走行風の入口となる開口部(55)が前記フロントサイドカウル(41)において前記ヘッドライト(37)と前記ウインカー(46)との間に配置される鞍乗り型車両において、
前記ウインカー(46)に接続されるハーネス(47)は前記ダクト部(56)内を通り、
前記開口部(55)には、走行風を整流する整流板(60)が設けられ、
前記整流板(60)は、車両正面視で、前記ハーネス(47)に前方から重なることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記整流板(60)は、車幅方向に延びる板状であり、車両側面視で、後上がりに傾斜して配置されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記整流板(60)は、上下に並んで複数設けられ、複数の前記整流板の内の一
の整流板(61)の後端部(61b)は、前記一の整流板(61)の上方に位置する他
の整流板(62)の前端部(62a)によって前方から覆われることを特徴とする請求項2記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記ダクト部(56)の走行風の出口となる排風口(42a)は、前記整流板(60)の後上方に配置されることを特徴とする請求項2または3記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
車両側面視で、前記整流板(60)の前端部(61a,62a)は、前記開口部(55)から前方に突出することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記フロントサイドカウル(41)は、前記ヘッドライト(37)を車幅方向外側から覆う第1サイドカウル(51)と、前記第1サイドカウル(51)に対し車幅方向外側且つ後方に配置される第2サイドカウル(52)とを備え、
前記開口部(55)は、前記第1サイドカウル(51)の車幅方向の外縁部(51a)と、前記第2サイドカウル(52)の車幅方向の内縁部(52b)とによって区画されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記ヘッドライト(37)には、前記ヘッドライト(37)の左右の側縁部に沿って上下に延びるヘッドライトカウル(40)が取り付けられ、
前記フロントサイドカウル(41)は、前記ヘッドライトカウル(40)の一部に前方から重なり、
前記整流板(60)は、前記ヘッドライトカウル(40)に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドライトに対し車幅方向外側に配置されるフロントサイドカウルと、フロントサイドカウルに取り付けられるウインカーと、フロントサイドカウルの内側に走行風を通すチューブ状のダクト部とを備え、ダクト部の走行風の入口となる開口部がフロントサイドカウルにおいてヘッドライトとウインカーとの間に配置される鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術のようにヘッドライトを備える鞍乗り型車両では、ヘッドライトの発熱を効率良く冷却することが望まれる。また、ウインカーにはハーネスが接続されるが、外観性の向上のため、ハーネスは外側から見え難いことが望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両において、ヘッドライトの発熱を効率良く冷却し、且つ、ウインカーのハーネスを外側から見え難くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、ヘッドライトと、前記ヘッドライトに対し車幅方向外側に配置されるフロントサイドカウルと、前記フロントサイドカウルに取り付けられるウインカーと、前記フロントサイドカウルの内側に走行風を通すダクト部とを備え、前記ダクト部の走行風の入口となる開口部が前記フロントサイドカウルにおいて前記ヘッドライトと前記ウインカーとの間に配置される鞍乗り型車両において、前記ウインカーに接続されるハーネスは前記ダクト部内を通り、前記開口部には、走行風を整流する整流板が設けられ、前記整流板は、車両正面視で、前記ハーネスに前方から重なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
ヘッドライトの発熱を効率良く冷却し、且つ、ウインカーのハーネスを外側から見え難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
【
図4】鞍乗り型車両の前部を上方から見た平面図である。
【
図5】開口部及びウインカーの周辺部を車両前方側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下がりに後方に延びる左右一対のメインフレーム31と、メインフレーム31の後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム32と、ヘッドパイプ18から下方に延びるダウンフレーム33と、ダウンフレーム33の下端部から後方に延びてピボットフレーム32の下端部に接続される左右一対のロアフレーム34とを備える。
リアフレーム20は、メインフレーム31の後部から後方に延びる左右一対のシートフレーム35と、ピボットフレーム32から後上方に延びてシートフレーム35に接続される左右一対のサブフレーム36とを備える。
【0016】
パワーユニット12は、メインフレーム31とロアフレーム34との間、且つ、ダウンフレーム33とピボットフレーム32との間に配置され、フロントフレーム19に支持される。
燃料タンク29は、メインフレーム31の上方において、ヘッドパイプ18とシート17との間に配置される。
前方を照らすヘッドライト37は、ヘッドパイプ18の前方に配置される。
【0017】
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11等によって構成される車体を覆う車体カバーを備える。この車体カバーは、ヘッドライト37を周囲から覆うヘッドライトカウル40と、車体の前部を車幅方向外側から覆う左右一対のフロントサイドカウル41と、フロントサイドカウル41の上方に配置される上面カバー42とを、車体の前部に備える。
【0018】
図2は、鞍乗り型車両10の前部の左側面図である。
図3は、鞍乗り型車両10の正面図である。
図4は、鞍乗り型車両10の前部を上方から見た平面図である。
図1~
図4を参照し、ヘッドライト37は、ハンドル21の前方において鞍乗り型車両10の車幅の中央に配置される。ヘッドライト37は、フロントフェンダー26の上方に配置される。
ヘッドライト37は、光源及びリフレクター等を収納するケース状のハウジング37a(
図2)と、ハウジング37aの前面の開口を塞ぐレンズ37bとを備える。上記光源の発光は、レンズ37bを透過して前方に照射される。
【0019】
車速等を表示するメーター43は、ハンドル21の前方且つヘッドライト37の後上方に配置される。メーター43は、メーター保持部材44を介して車体に支持される。
板状のウインドスクリーン45は、ヘッドライト37の上端部から後上方に延び、メーター43を上方から覆う。
【0020】
方向指示器であるウインカー46は、ヘッドライト37に対し車幅方向外側の位置に、左右一対で配置される。ウインカー46は、フロントサイドカウル41に取り付けられる。
【0021】
フロントフォーク14は、上下に延びる左右一対のフォークチューブ14aと、ヘッドパイプ18の下方でフォークチューブ14aを左右に接続するボトムブリッジ14b(
図3)と、ヘッドパイプ18の上方でフォークチューブ14aを左右に接続するトップブリッジ14cと、ボトムブリッジ14bとトップブリッジ14cとを上下に接続するステアリング軸(不図示)とを備える。
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18に挿通される上記ステアリング軸を中心に左右に操舵される。車軸13aは、フォークチューブ14aの下端部に支持される。
【0022】
ヘッドライトカウル40は、ヘッドライト37の前面側に取り付けられる。
ヘッドライトカウル40は、ヘッドライト37のレンズ37bの左右の側縁部に沿って上下に延びる左右一対のカウル側縁部40aと、レンズ37bの上縁部に沿って車幅方向(左右方向)に延びるカウル上縁部40bと、レンズ37bの下縁部に沿って車幅方向に延びるカウル下縁部40cとを備える。カウル上縁部40b及びカウル下縁部40cは、左右のカウル側縁部40aを車幅方向に接続する。
また、ヘッドライトカウル40は、各カウル側縁部40aから車幅方向外側に延出する側方延出部40dを左右一対備える。
【0023】
左右のフロントサイドカウル41は、左右略対称に設けられる。
フロントサイドカウル41は、ヘッドライト37、ヘッドライトカウル40、メーター保持部材44の下部、ヘッドパイプ18、フロントフレーム19の前端部、及びフロントフォーク14の上部を車幅方向外側から覆う板状のカバーである。
フロントサイドカウル41の前端部は、ヘッドライト37及びヘッドライトカウル40を車幅方向外側から覆う。
【0024】
フロントサイドカウル41の上部41aは、フロントサイドカウル41の前端部から後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。また、上部41aは、車両正面視で、下方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。
フロントサイドカウル41の下部41bは、車両正面視で、下方に向かうに従って車幅方向内側に位置するように傾斜している。
【0025】
フロントサイドカウル41は、ヘッドライト37及びヘッドライトカウル40を車幅方向外側から覆う第1サイドカウル51と、第1サイドカウル51に対し車幅方向外側且つ後方に配置される第2サイドカウル52と、第2サイドカウル52に対し車幅方向外側且つ後方に配置される第3サイドカウル53とを備える。
フロントサイドカウル41は、それぞれ個別に形成される第1サイドカウル51、第2サイドカウル52、及び第3サイドカウル53を接続することで設けられる。
【0026】
第2サイドカウル52の前端部は、第1サイドカウル51を車幅方向外側から覆う。
第2サイドカウル52は、ヘッドライト37、ヘッドライトカウル40、メーター保持部材44の下部、ヘッドパイプ18、フロントフレーム19の前端部、及びフロントフォーク14の上部を車幅方向外側から覆う。
第3サイドカウル53は、第2サイドカウル52の後方でフロントフレーム19等を車幅方向外側から覆う。
【0027】
上面カバー42は、第2サイドカウル52とは別体で設けられる板状のカバーである。上面カバー42は、左右一対設けられる。上面カバー42は、各第2サイドカウル52の上縁52aから車幅方向内側に延び、第2サイドカウル52の内側の空間を上方から覆う。上面カバー42は、ハンドル21の下方且つトップブリッジ14cの上方に位置する。
上面カバー42は、トップブリッジ14cの車幅方向の外端に対し車幅方向外側に配置される。上面カバー42は、ヘッドライト37の位置からハンドル21の位置まで前後に長く延びる。
上面カバー42の前端部には、上面カバー42を上下に貫通する排風口42aが設けられる。
【0028】
フロントサイドカウル41の上部41aには、前方に開口する開口部55が設けられる。
鞍乗り型車両10の走行風Wは、開口部55からフロントサイドカウル41の内側に流入する。
フロントサイドカウル41の内側には、走行風Wが通るダクト部56が形成される。ダクト部56は、フロントサイドカウル41の上部41aと、フロントサイドカウル41の上部41aによって車幅方向外側から覆われるヘッドライト37及びメーター保持部材44等の車体と、上面カバー42とによって囲まれる空間である。
【0029】
図5は、開口部55及びウインカー46の周辺部を車両前方側から見た正面図である。
開口部55は、第1サイドカウル51の車幅方向の外縁部51aと第2サイドカウル52の車幅方向の内縁部52bとによって区画される。
詳細には、内縁部52bの上部には、車両正面視で車幅方向外側に凹む切り欠き部52cが設けられる。開口部55は、外縁部51aに対し内縁部52bの切り欠き部52cが車幅方向外側から合わさることで区画される。
開口部55は、車幅方向よりも上下方向に長い。
【0030】
開口部55及びウインカー46は、ヘッドライト37の高さ位置に重複する高さ位置に配置される。また、開口部55の高さ位置とウインカー46の高さ位置とは重複している。
開口部55は、ウインカー46に対し車幅方向内側且つ前方に配置される。開口部55は、レンズ37bに対し後方且つ車幅方向外側に配置される。
開口部55は、車両正面視では、ヘッドライト37とウインカー46との間に配置される。
【0031】
ウインカー46は、第2サイドカウル52に取り付けられる。ウインカー46は、第2サイドカウル52の外側面から車幅方向に突出する。乗員は、ウインカー46を点滅するように発光させることで、鞍乗り型車両10の進路変更を周囲に知らせる。
ウインカー46には、ウインカー46に電力を供給するハーネス47が接続される。ハーネス47は、ウインカー46の車幅方向内側の端部に接続される。
ハーネス47は、フロントサイドカウル41の内側に配置される。ハーネス47は、ウインカー46の近傍では、ダクト部56内に配索され、ダクト部56を通ってウインカー46に接続される。
ハーネス47は、ウインカー46の車幅方向内側の端部から車幅方向内側に延びる内側延出部47aを備える。
内側延出部47aは、開口部55の真後ろに配置されており、開口部55は、内側延出部47aに前方から重なる。
【0032】
開口部55には、走行風Wを整流する整流板60が設けられる。整流板60は、第1整流板61(一の整流板)と、第1整流板61の上方に離間して配置される第2整流板62(他の整流板)とを備える。第1整流板61及び第2整流板62は上下に並んで複数設けられる。
【0033】
ヘッドライトカウル40の側方延出部40dは、フロントサイドカウル41によって前方から覆われている。側方延出部40dの一部は、開口部55に後方から重なり、開口部55から前方に露出する。第1整流板61及び第2整流板62は、側方延出部40dにおいて開口部55から前方に露出する部分に設けられている。すなわち、第1整流板61及び第2整流板62は、ヘッドライトカウル40に一体に設けられる。
【0034】
第1整流板61及び第2整流板62は、開口部55内で車幅方向に延びる板状である。
第1整流板61及び第2整流板62は、車両側面視で、後上がりに傾斜して配置される。
第2整流板62は、第1整流板61に対し後上方に配置される。車両側面視及び車両正面視で、第1整流板61と第2整流板62とは、略平行である。
第1整流板61と開口部55の下縁との間は開口している。また、第2整流板62と開口部55の上縁との間は開口している。
上面カバー42の排風口42aは、開口部55及び整流板60に対し後上方に位置する。
【0035】
整流板60は、車両正面視で、ハーネス47の内側延出部47aに前方から重なる。これにより、整流板60によって内側延出部47aが隠され、ハーネス47が前方から視認され難くなる。
車両正面視で、第1整流板61の後端部61bは、第2整流板62の前端部62aによって前方から覆われる。これにより、車両正面視で、第1整流板61と第2整流板62とが上下に連続して見えるため、第1整流板61と第2整流板62との間からハーネス47が視認され難くなる。
【0036】
図2及び
図5を参照し、第1整流板61の前端部61a及び第2整流板62の前端部62aは、車幅方向外側に向かうに従って後方に位置するように傾斜している。
開口部55の切り欠き部52cは、外縁部51aに対し車幅方向外側且つ後方に位置する。
図2の車両側面視では、整流板60の前端部61a及び前端部62aは、切り欠き部52cに対し前方に位置し、開口部55から前方に突出している。
【0037】
図2を参照し、鞍乗り型車両の前面部に沿う走行風の一部は、走行風Wとして開口部55からダクト部56に流入する。走行風Wは、開口部55において第1整流板61及び第2整流板62に沿って流れることで、後上方に流れるように整流され、走行風Wの少なくとも一部は、上面カバー42の排風口42a(
図4)から上方に排出される。
ダクト部56は、走行風Wを開口部55から排風口42aまで流す風路を形成する。
走行風Wは、ダクト部56内においてヘッドライト37に沿うように流れ、ヘッドライト37の発熱を冷却する。走行風Wは、整流板60によって整流されて指向性の強い流れとなるため、ヘッドライト37を効果的に冷却できる。
ハーネス47は、ダクト部56内の広い空間を利用して設けられるため、配索の自由度が高い。例えば、ハーネス47が目立たないようにハーネス47をフロントサイドカウル41の内面に沿うように配置することも考えられるが、そのようにしなくても、ハーネス47を目立たなくできる。
【0038】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、鞍乗り型車両10は、ヘッドライト37と、ヘッドライト37に対し車幅方向外側に配置されるフロントサイドカウル41と、フロントサイドカウル41に取り付けられるウインカー46と、フロントサイドカウル41の内側に走行風Wを通すダクト部56とを備え、ダクト部56の走行風Wの入口となる開口部55がフロントサイドカウル41においてヘッドライト37とウインカー46との間に配置される。ウインカー46に接続されるハーネス47はダクト部56内を通り、開口部55には、走行風Wを整流する整流板60が設けられ、整流板60は、車両正面視で、ハーネス47に前方から重なる。
この構成によれば、開口部55からフロントサイドカウル41の内側に流れる走行風Wを整流板60によって整流でき、整流された走行風Wによってヘッドライト37の発熱を効率良く冷却できる。また、整流板60がハーネス47に前方から重なることで、整流板60によってハーネス47を隠すことができ、ハーネス47を外側から見え難くできる。このため、鞍乗り型車両10の外観性が良い。
【0039】
また、整流板60は、車幅方向に延びる板状であり、車両側面視で、後上がりに傾斜して配置される。
この構成によれば、走行風Wを整流板60によって後上方に流れるように整流してヘッドライト37を効率良く冷却できる。また、整流板60が傾斜することで、車両正面視における整流板60の面積が大きくなり、整流板60によってハーネス47を効果的に隠すことができる。
【0040】
また、整流板60は、上下に並んで複数設けられ、複数の整流板の内の一の整流板である第1整流板61の後端部61bは、第1整流板61の上方に位置する他の整流板である第2整流板62の前端部62aによって前方から覆われる。
この構成によれば、車両正面視において第1整流板61と上方の第2整流板62とが連続して見えるため、整流板60によってハーネス47を効果的に隠すことができる。
【0041】
さらに、ダクト部56の走行風Wの出口となる排風口42aは、整流板60の後上方に配置される。
この構成によれば、整流板60に整流されて後上方に流れる走行風Wを排風口42aから効率良く排出できる。
【0042】
また、車両側面視で、第1整流板61の前端部61a及び第2整流板62の前端部62aは、開口部55から前方に突出する。
この構成によれば、第1整流板61及び第2整流板62の長さを前後方向に長くでき、走行風Wを効率良く整流できる。また、開口部55から前方に突出する前端部61a及び前端部62aがデザイン上のアクセントになり、外観性が良い。車両側面視で、第1整流板61及び第2整流板62の後上がりの傾斜が見えるため、鞍乗り型車両10の外観がシャープになり、外観性が良い。
【0043】
また、フロントサイドカウル41は、ヘッドライト37を車幅方向外側から覆う第1サイドカウル51と、第1サイドカウル51に対し車幅方向外側且つ後方に配置される第2サイドカウル52とを備え、開口部55は、第1サイドカウル51の車幅方向の外縁部51aと、第2サイドカウル52の車幅方向の内縁部52bとによって区画される。
この構成によれば、第1サイドカウル51の車幅方向の外縁部51aと第2サイドカウル52の車幅方向の内縁部52bとを利用して、開口部55を簡単な構造で設けることができる。
【0044】
また、ヘッドライト37には、ヘッドライト37の左右の側縁部に沿って上下に延びるヘッドライトカウル40が取り付けられ、フロントサイドカウル41は、ヘッドライトカウル40の一部に前方から重なり、整流板60は、ヘッドライトカウル40に形成されている。
この構成によれば、ヘッドライトカウル40を利用して、開口部55に整流板60を簡単な構造で設けることができる。
【0045】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、ダクト部56を流れる走行風Wによってヘッドライト37を冷却するが、例えばウインカー46の発熱部がダクト部56の近傍に設けられる場合には、ダクト部56を流れる走行風Wによってウインカー46も冷却することができる。
また、上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の鞍乗り型車両、及び4輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。
【0046】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0047】
(構成1)ヘッドライトと、前記ヘッドライトに対し車幅方向外側に配置されるフロントサイドカウルと、前記フロントサイドカウルに取り付けられるウインカーと、前記フロントサイドカウルの内側に走行風を通すダクト部とを備え、前記ダクト部の走行風の入口となる開口部が前記フロントサイドカウルにおいて前記ヘッドライトと前記ウインカーとの間に配置される鞍乗り型車両において、前記ウインカーに接続されるハーネスは前記ダクト部内を通り、前記開口部には、走行風を整流する整流板が設けられ、前記整流板は、車両正面視で、前記ハーネスに前方から重なることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、開口部からフロントサイドカウルの内側に流れる走行風を整流板によって整流でき、整流された走行風によってヘッドライトの発熱を効率良く冷却できる。また、整流板がハーネスに前方から重なることで、整流板によってハーネスを隠すことができ、ハーネスを外側から見え難くできる。
【0048】
(構成2)前記整流板は、車幅方向に延びる板状であり、車両側面視で、後上がりに傾斜して配置されることを特徴とする構成1記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、走行風を整流板によって後上方に流れるように整流してヘッドライトを効率良く冷却できる。また、整流板が傾斜することで、車両正面視における整流板の面積が大きくなり、整流板によってハーネスを効果的に隠すことができる。
【0049】
(構成3)前記整流板は、上下に並んで複数設けられ、複数の前記整流板の内の一の前記整流板の後端部は、前記一の整流板の上方に位置する他の前記整流板の前端部によって前方から覆われることを特徴とする構成2記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、車両正面視において一の整流板と上方の他の整流板とが連続して見えるため、整流板によってハーネスを効果的に隠すことができる。
【0050】
(構成4)前記ダクト部の走行風の出口となる排風口は、前記整流板の後上方に配置されることを特徴とする構成2または3記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、整流板に整流されて後上方に流れる走行風を排風口から効率良く排出できる。
【0051】
(構成5)車両側面視で、前記整流板の前端部は、前記開口部から前方に突出することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、整流板の長さを前後方向に長くでき、走行風を効率良く整流できる。また、開口部から前方に突出する前端部がデザイン上のアクセントになり、外観性が良い。
【0052】
(構成6)前記フロントサイドカウルは、前記ヘッドライトを車幅方向外側から覆う第1サイドカウルと、前記第1サイドカウルに対し車幅方向外側且つ後方に配置される第2サイドカウルとを備え、前記開口部は、前記第1サイドカウルの車幅方向の外縁部と、前記第2サイドカウルの車幅方向の内縁部とによって区画されることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、第1サイドカウルの車幅方向の外縁部と第2サイドカウルの車幅方向の内縁部とを利用して、開口部を簡単な構造で設けることができる。
【0053】
(構成7)前記ヘッドライトには、前記ヘッドライトの左右の側縁部に沿って上下に延びるヘッドライトカウルが取り付けられ、前記フロントサイドカウルは、前記ヘッドライトカウルの一部に前方から重なり、前記整流板は、前記ヘッドライトカウルに形成されていることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ヘッドライトカウルを利用して、開口部に整流板を簡単な構造で設けることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 鞍乗り型車両
37 ヘッドライト
40 ヘッドライトカウル
41 フロントサイドカウル
42a 排風口
46 ウインカー
47 ハーネス
51 第1サイドカウル
51a 外縁部
52 第2サイドカウル
52b 内縁部
55 開口部
56 ダクト部
60 整流板
61 第1整流板(一の整流板)
61a 前端部
61b 後端部(一の整流板の後端部)
62 第2整流板(他の整流板)
62a 前端部(他の整流板の前端部)