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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】スクレーパー付き凝縮器
(51)【国際特許分類】
   B01D 5/00 20060101AFI20231128BHJP
   C10G 5/06 20060101ALI20231128BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20231128BHJP
   F28G 1/08 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
B01D5/00 Z
C10G5/06
B01D5/00 A
B01J4/00 103
F28G1/08
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021192106
(22)【出願日】2021-11-26
(65)【公開番号】P2023078815
(43)【公開日】2023-06-07
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520014176
【氏名又は名称】テギョン エスコ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DAEKYUNG ESCO CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】S-2402, 32, Songdogwahak-ro, Yeonsu-gu, Incheon, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ハク-サン
(72)【発明者】
【氏名】オ,チャン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン-ウク
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-179799(JP,A)
【文献】特開2014-231946(JP,A)
【文献】特開2005-134079(JP,A)
【文献】特開2010-194392(JP,A)
【文献】特表2019-521849(JP,A)
【文献】特開2000-160168(JP,A)
【文献】特開昭62-001431(JP,A)
【文献】実開昭62-081893(JP,U)
【文献】実開平02-077486(JP,U)
【文献】実開昭62-013392(JP,U)
【文献】米国特許第04726819(US,A)
【文献】中国特許出願公開第112781410(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 1/00 - 8/00
B01B 1/00 - 1/08
F28G 1/00 - 15/10
C10G 1/00 - 99/00
B01J 4/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分含有ガスを凝縮させてオイルを回収するオイル回収用凝縮器において、
前記凝縮器は、
前記油分含有ガスが通過するように流入部及びガス排出部が設けられ、底面にはオイル回収用ホッパー部が設けられたハウジングと、
前記ハウジングの流入部から流入した油分含有ガスを冷却させる熱交換部と、
前記熱交換部に固着された油分含有物を掻き取って収集するように、熱交換部を伝って移送されるように形成され、熱交換管に相応する穴を有するように打ち抜かれて移動可能に設けられたスクレーパー部と、
前記スクレーパー部から収集された油分含有物からオイルを分離回収するオイル回収部と、を含み、
前記オイル回収部は、
前記スクレーパー部の下部に配置され、スクレーパー部の長さ方向に沿って延びるように設けられ、スクレーパー部によって収集された油分含有物を移送しながら、油分含有物に含有されたオイルを圧搾排出するように、水平面に対して所定の夾角を持つように傾斜させて設置され、回転軸上に備えられた羽根部には、オイルが排出される複数のオイル排出孔が設けられている移送スクリュー部と、
前記移送スクリュー部を内部に収容し、一側には前記移送スクリュー部によって分離されたオイルが排出されるオイル排出口が設けられ、他側には移送スクリュー部によってオイルが除去された残留物が排出される残留物排出口が設けられているスクリューケース部と、を含み、
前記移送スクリュー部の羽根部にオイル排出孔が備えられ、前記羽根部のオイル排出孔は、スクリューの羽根面に、その外周面から離隔して設けられるとともに、隣り合う羽根面では、互いに、前記回転軸と平行である同一の仮想線上には設けられていないことを特徴とする、熱交換効率低下防止のためのスクレーパー付き凝縮器。
【請求項2】
前記移送スクリュー部のオイル排出孔は、移送スクリュー部のオイル排出口側の部分である後端部から、残留物排出口側の部分である先端部に行くほど直径が小さくなることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換効率低下防止のためのスクレーパー付き凝縮器。
【請求項3】
前記スクリューケース部のオイル排出口には、オイル排出口を介して残留物が排出されることを遮断するスクリーン網が備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換効率低下防止のためのスクレーパー付き凝縮器。
【請求項4】
前記移送スクリュー部は、前記回転軸に沿った方向における前記スクリューケース部のオイル排出口と対応する位置の前記回転軸上にブラシが備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換効率低下防止のためのスクレーパー付き凝縮器。
【請求項5】
前記移送スクリュー部は、加熱部材及び/又は振動部材が取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換効率低下防止のためのスクレーパー付き凝縮器。
【請求項6】
前記スクレーパー部は、ベルト、ラック、ピニオン、シリンダ及びスクリューよりなる群に含まれる駆動手段によって、水平の状態を維持すべく、左右の両端が同時に同じ程度の上下動を行うように備えられることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換効率低下防止のためのスクレーパー付き凝縮器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換効率の低下を防止し且つオイルの回収率を向上させるためのスクレーパー付き凝縮器に係り、より具体的には、高温の油分含有ガスが熱交換装置で冷却される過程にて固着される、高粘性分解物を連続的に分離排出することにより、熱交換効率の低下を防止するとともに、分離排出された高粘性分解物内に一緒に存在する、オイル成分を分離回収することで、高粘性分解物と一緒に廃棄されるのを防止し、それにより全体的なオイル回収率を向上させることができるスクレーパー付き凝縮器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、エネルギーを回収する技術が発達するにつれて、おがくずやビニールなどの可燃性物質又は可燃性廃棄物を燃焼させて発生する熱エネルギーを用いてスチームを生産する、或いは生産されたスチームで電気を生産するという方式よりも、可燃性物質を高温で熱分解させて熱分解ガスとして回収して直接ガス発電機によって電気を生産したり、中温で熱分解させて熱分解オイルとして回収して重油発電をする、或いは燃料油として使用したりするなどの、高効率エネルギー回収技術が多く開示されている。
【0003】
一般に、可燃性物質からエネルギーを回収する方法は、焼却方法と熱分解方法に区分するが、根本的に、焼却方法は、可燃性物質を燃やして熱エネルギーを得ることで酸素を供給しなければならない方式であり、熱分解方法は、酸素を供給せずに熱のみを供給する方式であって、熱分解の際に、可燃性物質に含有された炭素を酸化させることなく可燃性ガス、オイル、炭化物(炭など)として回収する。熱分解方法が焼却方法よりも高いエネルギー回収効率を示すことが知られている。
【0004】
一方、熱分解温度も、熱分解しようとする物質によって異なるが、プラスチックやビニールなどは、炭素(C)重畳度が高いC100以上の高分子系の物質であり、木材や農水産物などは、炭素(C)重畳度が低いC50以下のセルロース系の物質であるため、熱分解される温度も、高分子物質の場合には300℃~350℃であり、セルロース物質の場合には500℃~550℃にて熱分解がよく起こる。
【0005】
前述した油化工程は、誰でも分かるように、木材などのバイオマスを無酸素状態(non-oxygen atmosphere)で加熱、分解させてガス状態の油分含有成分を得る熱分解工程と、ガス状態の油分含有成分を液化、分離する分別蒸留工程に分けることができる。
【0006】
これをより具体的に説明すると、まず、木材などのバイオマスを適正サイズに切断又は破砕した後、選別されたバイオマスを分解炉の投入口に装入させる。
【0007】
分解炉に装入されたバイオマスは、スクリューコンベヤによって分解炉に沿って移動しながら加熱手段により300℃~600℃に加熱されるが、これにより、バイオマスは、油分(オイル)含有成分に分解されて気化し、バイオチャーなどの未分解残滓(ash)は、スクリューコンベヤによって分解炉の外部へ排出される。
【0008】
分解炉で分解、生成された油分含有成分は、ガス状態でガス排出口を介して熱交換装置に導入されて液化、分離された後、後処理過程を経て貯蔵設備に移送されて貯蔵される。
【0009】
一方、熱交換装置に導入されるガス状態の油分含有成分は、凝縮過程で細い熱交換管を通過するが、このとき、熱交換管を通過するガス状態の油分含有成分は、冷却水などによって凝縮して再生オイル(oil)として生産される。
【0010】
しかし、上述したガス状態の油分含有成分には、オイル成分だけでなく、高粘度の高分子(ワックス)成分や粉塵などが含まれており、このような高分子ワックス成分や粉塵などは、凝縮の過程で熱交換管壁に付着して固着化されることにより、熱伝達効果を阻害して熱分解ガスの急冷にも影響を及ぼすという問題点があった。
【0011】
かかる問題点を解決するために、韓国公開特許第2016-0082796号及び韓国登録特許第1147993号では、スクレーパーを用いて、熱交換装置に付着した高粘度の物質を掻き取って除去する方法が提示されているが、この後、除去された高粘性付着物を処理するための手段がまともに備えられていないという問題点があった。
【0012】
このような熱交換装置から除去された高粘性付着物は、前述したようにオイル含有物質であって、冷却される過程で油蒸気成分も一緒に捕集されるので、捕集された高粘性付着物にはオイル成分が一緒に含まれており、このような高粘性付着物を収去(収集・除去)して廃棄処分した場合には、大量のオイルも廃棄処理されるので、回収できるオイル回収率が低いだけでなく、熱分解効率も劣るという問題点があった。
【0013】
さらに、熱交換装置から収去された高粘性付着物を別途の装置を用いて高粘性付着物から残存オイルを回収する場合でも、オイル回収装置を別途設置しなければならないので、装置全体の体積が増加し、回収された高粘性付着物の粘度が高くて移送及びメンテナンスが難しく、自然発火点以上で排出される際には火災などの安全上の事故の危険が伴うという問題点があった。
【0014】
これにより、従来の熱交換装置の構造の改善が求められており、同時に、高粘性付着物の除去機能と冷却性能が同時に向上しうる凝縮器の必要性が台頭してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】韓国公開特許第2016-0082796号(公開日:2016年7月11日)
【文献】韓国登録特許第1147993号(公開日:2011年10月6日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の主な目的は、かかる問題点を解決するもので、その目的は、高温の油分含有ガスが熱交換装置で冷却される過程にて固着された粉塵、炭化物及び高粘性物質を、連続的に排出処理するとともに、前記炭化物などを含む高粘性付着物の排出時に、前記高粘性付着物内に残存するオイル成分も一緒に除去されることを防止することにより、全体的なオイル回収率を向上させることができるスクレーパー付き凝縮器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態は、油分含有ガスを凝縮させてオイルを回収するスクレーパー付き凝縮器であって、前記スクレーパー付き凝縮器は、前記油分含有ガスが通過するように流入部及びガス排出部が設けられ、底面にはオイル回収用ホッパー部が設けられたハウジングと、前記ハウジングの流入部から流入した油分含有ガスを冷却させる熱交換部と、前記熱交換部に固着された油分含有物を掻き取って収集するように熱交換部の断面形状に打ち抜かれて移動可能に設けられたスクレーパー部と、前記スクレーパー部から収集された油分含有物からオイルを分離回収するオイル回収部と、を含み、前記オイル回収部は、前記スクレーパー部の下部に配置され、スクレーパー部の長さ方向に沿って延びるように設けられ、スクレーパー部によって収集された油分含有物を移送しながら、油分含有物に含有されたオイルを圧搾排出するように、水平面に対して所定の夾角を持つように傾斜させて設置され、回転軸上に備えられた羽根部には、オイルが排出される多数のオイル排出孔が非同軸線上に設けられている移送スクリュー部と、前記移送スクリュー部を内部に収容し、一側には前記移送スクリュー部によって分離されたオイルが排出されるオイル排出口が設けられ、他側には移送スクリュー部によってオイルが除去された残留物が排出される残留物排出口が設けられているスクリューケース部と、を含むことを特徴とする、スクレーパー付き凝縮器を提供する。
【0018】
本発明の好適な一実施形態において、前記移送スクリュー部のオイル排出孔は、移送スクリュー部の後端部から先端部に行くほど直径が小さくなることを特徴とすることができる。
【0019】
本発明の好適な一実施形態において、前記スクリューケース部のオイル排出口には、オイル排出口を介して残留物が排出されることを遮断するスクリーン網が備えられていることを特徴とすることができる。
【0020】
本発明の好適な一実施形態において、前記移送スクリュー部は、オイル排出口と対応する位置の回転軸上にブラシが備えられていることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明の好適な一実施形態において、前記移送スクリュー部は、加熱部材及び/又は振動部材が取り付けられていることを特徴とすることができる。
【0022】
本発明の好適な一実施形態において、前記スクリューケース部は、移送スクリュー部の羽根が回転しながら油分含有物を圧搾移送させる前方側にオイル排出孔が設けられた圧搾板が備えられていることを特徴とすることができる。
【0023】
本発明の好適な一実施形態において、前記スクレーパー部は、ベルト、ラック、ピニオン、シリンダ及びスクリューよりなる群に含まれる駆動手段によって両端が同時に作動するように備えられることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るスクレーパー付き凝縮器は、高温の油分含有ガスが熱交換部で冷却される過程で、熱交換管に固着された高粘性付着物を、スクレーパー部が連続的に収去して熱交換装置を常に清潔に保つことにより、油分含有ガスの熱交換効率を長期的に優秀に維持することができるとともに、高粘性付着物による熱交換率の低下を防止することができ、その後、スクレーパー部により収去された高粘性付着物から、移送スクリュー部が含まれたオイル回収部にて、高粘性付着物に残存するオイルを分離回収することにより、オイル回収率を向上させることができ、凝縮器の熱交換表面の熱交換効率の低下を防止するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態によるスクレーパー付き凝縮器の側面概略図である。
図2】本発明の一実施形態によるスクレーパー付き凝縮器の背面概略図である。
図3図1のA-A線に沿った切断断面図である。
図4図1のB-B線に沿った切断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
特に他の定義がなければ、本明細書で使用された全ての技術用語及び科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用された命名法は、当該技術分野でよく知られており、通常使われるものである。
【0027】
本明細書に記載された「具備する」、「含む」又は「有する」などの用語は、本明細書に記載された特徴、数値、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指すものであり、記載されていない他の特徴、数値、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在又は付加される可能性を排除しない。
【0028】
本発明は、油分含有ガスを凝縮させてオイルを回収するスクレーパー付き凝縮器であって、前記スクレーパー付き凝縮器は、前記油分含有ガスが通過するように流入部及びガス排出部が設けられ、底面にはオイル回収用ホッパー部が設けられたハウジングと、前記ハウジングの流入部から流入した油分含有ガスを冷却させる熱交換部と、前記熱交換部に固着された油分含有物を掻き取って収集するように熱交換部の断面形状に打ち抜かれて移動可能に設けられたスクレーパー部と、前記スクレーパー部から収集された油分含有物からオイルを分離回収するオイル回収部と、を含み、前記オイル回収部は、前記スクレーパー部の下部に配置され、スクレーパー部の長さ方向に沿って延設され、スクレーパー部によって収集された油分含有物を移送しながら、油分含有物に含有されたオイルを圧搾排出するために水平面に対して所定の夾角を持つように傾設され、回転軸上に備えられた羽根部には、オイルが排出される多数のオイル排出孔が非同軸線上に設けられている移送スクリュー部と、前記移送スクリュー部を内部に収容し、一側には前記移送スクリュー部によって分離されたオイルが排出されるオイル排出口が設けられ、他側には移送スクリュー部によりオイルが除去された残留物が排出される残留物排出口が設けられているスクリューケース部と、を含むことを特徴とする、オイル回収用熱交換装置に関する。
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0030】
図1乃至図4を参照すると、本発明によるオイル回収用熱交換装置100は、ハウジング110、熱交換部120、スクレーパー部130及びオイル回収部140を含んで構成される。
【0031】
前記ハウジング110は、内部が空いた中空の構造物であって、円筒状又は箱状をなし、一側には油分含有ガスを流入させる流入部111が設けられ、前記流入部の他側には熱交換部120から、冷却されていない未凝縮ガスを排出するガス排出部112が設けられ、底面には回収されたオイルを収去(収集・除去)することができるホッパー部113が備えられる。
【0032】
前記ハウジングに流入する油分含有ガスは、油分(オイル)が含有されたガスであって、ファンやガス流入ポンプ(図示せず)によって、油分含有ガスを集めてハウジングの内部に供給し、持続的に風圧を発生させて、ハウジングの内部に流入した油分含有ガスが逆流するのを防止する。このとき、前記流入部111とガス排出部112の位置は、後述するハウジングの内部に設置される熱交換部120に合わせて調節することができる。
【0033】
前記熱交換部120は、流入部を介してハウジングの内部に流入した油分含有ガスを冷却するものであり、流入した高温の油分含有ガスと接触して熱交換による廃熱回収が行われるように、内部に冷たい空気や冷却水、オイルなどの熱媒体が投入され、ポンプなどの別途の循環構造によって強制循環が行われる、熱交換管121を複数個離隔配置して構成することができる。ここで、前記熱交換管は、多数の行と多数の列をなすように、ハウジングの内部に着脱可能に取り付けられうる。
【0034】
前記熱交換管121には、熱媒体の供給と収去が容易に行われるように、それぞれの熱交換管に弁が備えられた熱媒体注入部122と、熱媒体排出部123とがそれぞれ設けられうるのであり、前記熱交換管に注入される熱媒体の条件などを調節して熱交換効率をさらに改善させることができる。
【0035】
このような熱交換部120は、熱媒体が投入された熱交換管によって油分含有ガスを凝縮させて液状のオイルを生産するのであって、凝縮しない未凝縮ガスは、ガス排出口112を介して外部へ排出されるのであり、油分含有ガスに含まれたタール、粉塵、ワックス成分などの高粘性付着物は、冷却される過程で、それらの粘性などにより熱交換管の外周面に固着する。
【0036】
前記熱交換管の外周面に固着された高粘性付着物は、スクレーパー部130によって熱交換部から分離排出させることで、油分含有ガスの熱交換効率を、長期的に高い状態に優秀に維持させることができる。
【0037】
前記スクレーパー部130は、熱交換部を伝って移送され、固着された高粘性付着物を除去するように、熱交換部すなわち熱交換管と対応する位置に、熱交換管の断面形状に通孔が設けられ、前記通孔に複数の熱交換管が収容された状態で設置される。このため、スクレーパー部が熱交換管の長さ方向に直線往復移送されると、スクレーパーの端部が熱交換管の外周面を伝って移送されながら、固着された高粘性付着物、すなわち油分含有物を掻き取る形態で除去する。
【0038】
このとき、前記スクレーパー部は、ベルトやラック、ピニオン、シリンダ、スクリューなどを含む駆動手段131によって、両端が同時に作動するように備えられる。スクレーパー部の作動が同時に行われることにより、スクレーパー部を拡張形成しても、両端部に備えられた駆動手段が同時に作動して移送力が作用し、これにより、スクレーパー部の傾きによる作動不良及び熱交換管の摩耗が防止されるという利点がある。
【0039】
また、前記スクレーパー部の作動の際に、熱交換部に固着された油分含有物は、速やかに除去されて粘性が低下するため、熱交換部の表面にくっ付かず、スクレーパー部により容易に収去される。
【0040】
前記スクレーパー部によって収去された油分含有物は、オイル回収部に排出されるか、或いは、収去ホッパー部(図示せず)に捕集された後でオイル回収部へと排出されうる。
【0041】
前記オイル回収部140は、前記収去ホッパー部によって収去された油分含有物から、残存オイルと残りの残留物とをそれぞれに分離する手段であって、移送スクリュー部145及びスクリューケース部150を含む。
【0042】
前記移送スクリュー部145は、油分含有物に残存するオイルと、オイル以外の残留物とを分離及び移送する手段であって、スクレーパー部130の下部に配置され、スクレーパー部の長さ方向に沿って延びるように設けられ、スクレーパー部分によって収集された油分含有物を回転移送しながら、油分含有物に残存するオイルを圧搾して油分含有物からオイルを分離させるために水平面に対して所定の夾角で上方に傾いて設置される。このとき、前記傾いた夾角の余角、すなわち垂直線との夾角は、5°~70°でありうるのであり、好ましくは、装置のサイズ又はオイル回収の面から、10°~30°でありうる。
【0043】
また、前記移送スクリュー部145は、油分含有物から分離されたオイルを排出させるように、回転軸146上の羽根部147に、多数のオイル排出孔148が貫通して設けられている。ここで、オイル排出孔は、スクリューの羽根面に設けられるが、隣り合う羽根面では、スクリューの軸と平行であるとともに軸の垂直方向に離隔している、仮想の同一線(同軸線)上に設けられてはいない。好ましくは、オイル排出孔は、隣り合う羽根面同士では互いに最も遠く離れていることで、油分含有物に含まれた粉塵などの微粒子なども、オイルと一緒に圧搾される過程でオイル排出孔を介してオイル排出部側に移行しないようにすることができる。
【0044】
また、移送スクリュー部におけるオイル排出口側が部分である後端部から、残留物排出口側の部分である先端部へ行くほど、オイル排出孔の直径が小さくなりうる。
【0045】
もし、前記移送スクリュー部の隣り合う羽根部に設けられたオイル排出孔148が、同軸線(coaxial line)上に配置されるか、又は移送スクリュー部の先端部に行くほどオイル排出孔の直径が大きくなる場合、油分含有物に含まれた粉塵などの微粒子なども、オイルと一緒に圧搾される過程で、オイル排出孔を介してオイル排出部側へ移行しうるので、羽根部に設けられたオイル排出孔は、非同軸線(non-coaxial line)上に配置されることが好ましく、スクリュー部の先端部に行くほど、オイル排出孔の直径が小さくなることが好ましい。
【0046】
一方、前記移送スクリュー部の回転軸には、後述するスクリューケース部150のオイル排出口151と対応する位置に、ブラシ149が備えられており、移送スクリュー部の作動時に、回転軸146の回転でブラッシングを行うことにより、オイル排出口がスラッジなどで詰まるのを根本的に防止することができる。
【0047】
また、前記移送スクリュー部には、移送スクリュー部を加熱することができる熱線、誘導加熱装置などの加熱部材(図示せず)、又は移送スクリュー部に振動を加えることができる振動部材(図示せず)が装着されており、粘性の高い油分含有物の粘着力を下げ、回転移送と油との分離がスムーズに行われるようにすることができる。
【0048】
このような移送スクリュー部145は、スクリューケース部150に収容され、前記移送スクリュー部の回転と共に、スクリューケース部との圧搾と摩擦力で、油分含有物からオイルを容易に分離することができる。
【0049】
前記スクリューケース部150は、スクレーパー部から収去された油分含有物の供給を受け、移送スクリュー部145にて分離されたオイルを排出させるオイル排出口151が一側に備えられ、前記オイル排出口の他側には、移送スクリュー部によりオイルが除去された残留物が排出される残留物排出口152が備えられる。
【0050】
ここで、前記スクリューケース部のオイル排出口151には、オイル以外の残留物が排出されるのを遮断する微細スクリーン網(図示せず)が設置されており、移送スクリュー部の羽根が回転しながら油分含有物を圧搾移送させる前方側には、油分含有物の圧搾が効果的に行われるようにオイル排出孔(図示せず)付き圧搾板153が備えられ、残留物排出口側には、圧搾されてオイルが除去された残留物を移送スクリュー部から分離して残留物排出口側へ容易に排出するようにスクラップブレード(図示せず)が備えられうる。
【0051】
前記スクリューケースから回収されたオイルは、オイル回収用ホッパー部113を介してオイル貯蔵部(図示せず)に貯蔵され、オイルが除去された残留物は、残留物排出口を介して残留物貯蔵部(図示せず)に貯蔵され、それぞれの用途に合わせて使用されうる。
【0052】
上述した本発明によるオイル回収用熱交換装置は、高温の油分含有ガスが熱交換部120にて冷却される過程にて固着された高粘性付着物を、スクレーパー部130が連続的に分離収去して、熱交換装置を常に清潔に維持させることにより、油分含有ガスの熱交換効率を長期的に優秀に維持することができ、その後、スクレーパー部130により収去された高粘性付着物から、移送スクリュー部が含まれたオイル回収部140にて、高粘性付着物に残存するオイルを分離回収することにより、廃棄されるオイルの発生を防止してオイル回収率を向上させることができる。
【0053】
以上、本発明を好適な実施形態によって説明したが、上述した実施形態は、本発明の技術的思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の技術的思想から逸脱することなく多様な変化が可能であるのは、当該分野における通常の知識を有する者であれば理解することができるだろう。したがって、本発明の保護範囲は、特定の実施形態ではなく、特許請求の範囲に記載された事項によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術的思想も本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0054】
100 オイル回収用熱交換装置
110 ハウジング
120 熱交換部
130 スクレーパー部
140 オイル回収部
145 移送スクリュー部
150 スクリューケース部
図1
図2
図3
図4