(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】電源装置、電気医療デバイスシステム、中継機器および電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/10 20060101AFI20231128BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
A61B18/10
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2021212613
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 久生
(72)【発明者】
【氏名】大島 祐介
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/198796(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0121228(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0214195(US,A1)
【文献】特開2018-122091(JP,A)
【文献】特開2002-306505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/08-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気医療デバイスに対して電力を供給する電源部と、
前記電源部と前記電気医療デバイスとの間における前記電力の循環経路のうちの、前記電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された、第1のインピーダンス制御部と、
前記電源部と前記他の装置との間の経路のうちの前記入力経路上に配置された、第2のインピーダンス制御部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている
電源装置。
【請求項2】
前記電力の供給期間では、
前記第1のインピーダンス制御部が、低インピーダンス状態となると共に、
前記第2のインピーダンス制御部が、前記低インピーダンス状態よりもインピーダンスが高い状態である、高インピーダンス状態となるように構成され、
前記電力の停止期間では、
前記第1のインピーダンス制御部が、前記高インピーダンス状態となると共に、
前記第2のインピーダンス制御部が、前記低インピーダンス状態となるように構成されている
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1のインピーダンス制御部が、第1のリレーを含んで構成されていると共に、
前記第2のインピーダンス制御部が、第2のリレーを含んで構成されており、
前記電力の供給状況に応じて、前記第1および第2のインピーダンス制御部における前記インピーダンス状態としての、前記第1および第2のリレーにおけるオン状態とオフ状態との間での切り替え制御を行う、リレー制御部を更に備えた
請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記リレー制御部は、
前記電力の供給期間では、
前記第1のリレーが、低インピーダンス状態としての前記オン状態となると共に、
前記第2のリレーが、前記低インピーダンス状態よりもインピーダンスが高い状態である高インピーダンス状態としての、前記オフ状態となるように、
前記切り替え制御を行い、
前記電力の停止期間では、
前記第1のリレーが、前記高インピーダンス状態としての前記オフ状態となると共に、
前記第2のリレーが、前記低インピーダンス状態としての前記オン状態なるように、
前記切り替え制御を行う
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記電力の供給期間において、
前記電力の本供給による高電圧出力の開始前の期間に、
前記高電圧出力よりも低電圧の出力である、前記電力の予備供給によるインピーダンス測定が行われる
請求項3または請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記本供給による前記高電圧出力が、時間軸に沿って間欠的に行われており、
前記予備供給による前記インピーダンス測定が、前記高電圧出力の開始後の休止期間において、更に実行される
請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1および第2のインピーダンス制御部がそれぞれ、LC共振回路を含んで構成されている
請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項8】
前記循環経路が、前記電源部から、前記電気医療デバイス上の電極および他の電極をそれぞれ経由して、前記電源部へと循環する経路である
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記他の電極が、対極板であり、
前記第1のインピーダンス制御部が、前記循環経路のうちの前記入力経路を除く経路上における、前記電源部と前記電気医療デバイスとの間、または、前記対極板と前記電源部との間に、配置されている
請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記他の装置が、前記電気信号としての3次元マッピング信号を外部へと出力する、マッピング装置である
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項11】
電気医療デバイスと、
前記電気医療デバイスに対して電力を供給する電源装置と
を備え、
前記電源装置は、
前記電力を出力する電源部と、
前記電源部と前記電気医療デバイスとの間における前記電力の循環経路のうちの、前記電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された、第1のインピーダンス制御部と、
前記電源部と前記他の装置との間の経路のうちの前記入力経路上に配置された、第2のインピーダンス制御部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている
電気医療デバイスシステム。
【請求項12】
電気医療デバイスと、前記電気医療デバイスに対して電力を供給する電源装置と、の間を中継する中継機器であって、
前記電源装置と前記電気医療デバイスとの間における前記電力の循環経路のうちの、前記電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された、第1のインピーダンス制御部と、
前記電源装置と前記他の装置との間の経路のうちの前記入力経路上に配置された、第2のインピーダンス制御部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている
中継機器。
【請求項13】
電気医療デバイスに対して電源部から電力を供給する第1供給部と、
前記電気医療デバイスにて得られた電気信号を他の装置へ供給する第2供給部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記他の装置が前記第1供給部から電気的に分離され、かつ、前記第1供給部に前記電力が供給されている電力供給状態と、
前記第2供給部に前記電気信号が供給され、かつ、前記第2供給部が他の部分から電気的に分離されている電力停止状態と、
の間で遷移するように構成されている
電源装置。
【請求項14】
電気医療デバイスに対して電源部から電力を供給する第1供給部と、前記電気医療デバイスにて得られた電気信号を他の装置へ供給する第2供給部と、を備えた電源装置の制御方法であって、
前記電源装置が、前記第1供給部と前記第2供給部とを制御することによって、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記他の装置が前記第1供給部から電気的に分離され、かつ、前記第1供給部に前記電力が供給されている電力供給状態と、
前記第2供給部に前記電気信号が供給され、かつ、前記第2供給部が他の部分から電気的に分離されている電力停止状態と、
の間で遷移させる
電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置、電気医療デバイスシステム、中継機器および電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アブレーションカテーテル等の電気医療デバイスと、その電気医療デバイスに対して電力を供給する電源装置と、を備えた電気医療デバイスシステムが、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気医療デバイスシステム等では一般に、使用する際の利便性を向上させることが求められている。利便性を向上させることが可能な、電源装置、電気医療デバイスシステム、中継機器および電源装置の制御方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る第1の電源装置は、電気医療デバイスに対して電力を供給する電源部と、電源部と電気医療デバイスとの間における電力の循環経路のうちの、電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された第1のインピーダンス制御部と、電源部と上記他の装置との間の経路のうちの上記入力経路上に配置された第2のインピーダンス制御部と、を備えている。電気医療デバイスへの電力の供給状況に応じて、第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る第2の電源装置は、電気医療デバイスに対して電源部から電力を供給する第1供給部と、電気医療デバイスにて得られた電気信号を他の装置へ供給する第2供給部と、を備えている。電気医療デバイスへの電力の供給状況に応じて、上記他の装置が第1供給部から電気的に分離され、かつ、第1供給部に電力が供給されている電力供給状態と、第2供給部に電気信号が供給され、かつ、第2供給部が他の部分から電気的に分離されている電力停止状態と、の間で遷移するように構成されている。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る電気医療デバイスシステムは、電気医療デバイスと、この電気医療デバイスに対して電力を供給する、上記本開示の一実施の形態に係る第1または第2の電源装置と、を備えている。
【0008】
本開示の一実施の形態に係る中継機器は、電気医療デバイスと、この電気医療デバイスに対して電力を供給する電源装置と、の間を中継する機器であって、電源装置と電気医療デバイスとの間における電力の循環経路のうちの、電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された第1のインピーダンス制御部と、電源装置と上記他の装置との間の経路のうちの上記入力経路上に配置された第2のインピーダンス制御部と、を備えている。電気医療デバイスへの電力の供給状況に応じて、第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている。
【0009】
本開示の一実施の形態に係る電源装置の制御方法は、電気医療デバイスに対して電源部から電力を供給する第1供給部と、電気医療デバイスにて得られた電気信号を他の装置へ供給する第2供給部と、を備えた電源装置の制御方法であって、上記電源装置が上記第1供給部と上記第2供給部とを制御することによって、電気医療デバイスへの電力の供給状況に応じて、上記他の装置が第1供給部から電気的に分離され、かつ、第1供給部に電力が供給されている電力供給状態と、第2供給部に電気信号が供給され、かつ、第2供給部が他の部分から電気的に分離されている電力停止状態と、の間で遷移させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る電気医療デバイスシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した各リレーにおけるインピーダンス状態の遷移態様の一例を表す図である。
【
図3】
図1に示した電気医療デバイスシステムにおける電力供給期間での状態の一例を表すブロック図である。
【
図4】
図1に示した電気医療デバイスシステムにおける電力停止期間での状態の一例を表すブロック図である。
【
図5】変形例1に係る電気医療デバイスシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図6】
図5に示した電気医療デバイスシステムにおけるインピーダンス測定例について説明するための波形図である。
【
図7】変形例2に係る電気医療デバイスシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図8】
図7に示した各LC共振回路におけるインピーダンス状態の遷移態様の一例を表す図である。
【
図9】変形例3に係る電気医療デバイスシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図10】変形例4に係る電気医療デバイスシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図11】変形例5に係る電気医療デバイスシステムの全体構成例を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(各インピーダンス制御部をリレーを含んで構成した場合の例)
2.変形例
変形例1(低電圧出力の期間においてインピーダンス測定を行う場合の例)
変形例2(各インピーダンス制御部をLC共振回路を含んで構成した場合の例)
変形例3(第1のインピーダンス制御部における他の配置構成の例)
変形例4,5(各インピーダンス制御部を中継機器内に配置した場合の例)
3.その他の変形例
【0012】
<1.実施の形態>
[電気医療デバイスシステム5の構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る電気医療デバイスシステム5の全体構成例を、模式的にブロック図で表している。電気医療デバイスシステム5は、患者9の体内で処置等を行う際に用いられるシステムである。処置等とは、患部に対するアブレーション(焼灼)等の治療および切開等を含む。本開示における「電源装置の制御方法」は、本開示の電気医療デバイスシステムにおいて具現化されるため、以下併せて説明する。
【0013】
電気医療デバイスシステム5は、
図1に示したように、電気医療デバイス1、3Dマッピング装置2および電源装置3を備えている。電気医療デバイスシステム5を用いた処置等を行う際には、例えば
図1に示した対極板4も、適宜使用される。
【0014】
(電気医療デバイス1)
電気医療デバイス1は、上記した処置等を行う際に使用されるデバイスであり、デバイス本体11および電極111を備えている。電気医療デバイス1は、例えば、アブレーションカテーテル、電極針、電気メス等により構成されている。
【0015】
電極111は、長尺状のデバイス本体11における先端付近に配置されている。電極111は、デバイス本体11上に1個設けられている。
図1の例では、デバイス本体11の先端付近に、電極111が設けられている。電極111から対極板4に向けて電力Poutが供給され、処置等が行われる。また、電気医療デバイス1は電極111を利用して、患者9の心臓の電位情報および電極111の位置情報を、それぞれ取得する。電位情報および位置情報が、電気信号(3次元マッピング信号Sd)として電気医療デバイス1から出力される。
【0016】
(3Dマッピング装置2)
3Dマッピング装置2は、電気医療デバイス1にて得られた電気信号(3次元マッピング信号Sd)を、3D(3次元)表示することで外部へと出力する。3次元マッピング信号Sdは、電気医療デバイス1から入出力端子Tioを介して、電源装置3内へと入力されると共に、電源装置3内から出力端子Toutを介して、3Dマッピング装置へと入力される。3Dマッピング装置2は、本開示における「マッピング装置」の一具体例に対応している。
【0017】
(電源装置3)
電源装置3は、電極111と対極板4との間で、処置等を行うための電力Pout(例えば高周波(RF;Radio Frequency)の電力)を供給する。つまり、電源装置3は、電力Poutを電気医療デバイス1に対して供給する。電源装置3は、入力部31、電源部32、制御部33およびリレー341,342を有している。
【0018】
入力部31は、各種の設定値または所定の動作を指示するための指示信号(操作信号)を、出力する部分である。操作信号は、電源装置3の操作者(例えば技師等)によるボタン等の操作に応じて、入力部31から制御部33へ向けて出力される。ただし、各種の設定値が、操作者による操作に応じて入力されるのではなく、例えば、製品の出荷時等に予め電源装置3内で設定されているようにしてもよい。
【0019】
電源部32は、制御部33による制御に従って、電力Poutを出力する。電源部32は、所定の電源回路(例えばスイッチングレギュレータ等)を用いて構成されている。例えば、電力Poutが高周波電力からなる場合、電力Poutの周波数は、450kHz~550kHz程度(好適には500kHz)である。
【0020】
制御部33は、電源装置3全体を制御すると共に所定の演算処理を行う部分であり、例えばマイクロコンピュータ等を用いて構成されている。制御部33は、例えば、電源部32における電力Poutの供給動作を制御する。また、制御部33は、詳細は後述するが(
図2~
図4)、各リレー341,342におけるインピーダンス状態(後述するオン状態またはオフ状態)について、電気医療デバイス1から通電対象(患者9の患部)への通電の状況に応じて、切り替え制御を行う。言い換えると、制御部33は、各リレー341,342におけるインピーダンス状態を、電源部32から電気医療デバイス1への電力Poutの供給状況に応じて、遷移させる。つまり、制御部33は、本開示における「リレー制御部」の一具体例に対応している。
【0021】
リレー341,342はそれぞれ、経路上の接点間における接続状態(オン状態)と非接続状態(オフ状態)とを、制御部33からの制御に応じて切り替える素子である。換言すると、リレー341,342における(接点間の)インピーダンス状態が、低インピーダンス状態(オン状態)と高インピーダンス状態(オフ状態)との間で、遷移する(切り替わる)。なお、
図1の例では、リレー341,342は、連動して作動する2極双投形のリレーにより構成されている。
【0022】
リレー341は、電源部32と電気医療デバイス1との間における電力Pout(例えばRF信号)の循環経路のうちの、3Dマッピング装置2への3次元マッピング信号Sdの入力経路を除く経路上に、配置されている。ここで、3次元マッピング信号Sdの入力経路は、電気医療デバイス1から入出力端子Tio、接続点P1、出力端子Toutをそれぞれ経由して、3Dマッピング装置2へと至る経路を、意味している。具体的には、電源部32から接続点P1、入出力端子Tio、電気医療デバイス1上の電極111、通電対象(患者9の患部)、対極板4および入力端子Tinをそれぞれ経由して、電源部32へと循環する経路(後述する経路Rp)のうちの、接続点P1から電極111までの入力経路を除く経路上に、リレー341が配置されている。詳細には、
図1の例では、循環経路のうちの入力経路を除く経路上における、電源部32と電気医療デバイス1との間(電源部32と入出力端子Tioとの間における、電源部32と接続点P1との間)に、リレー341が配置されている。循環経路を含む回路は、本開示における「第1供給部(電気医療デバイスに対して電源部から電力を供給する)」の一具体例に対応している。
【0023】
リレー342は、電源部32と3Dマッピング装置2との間の経路のうちの、上記した3次元マッピング信号Sdの入力経路上に、配置されている。具体的には、入力経路上における上記した接続点P1と出力端子Toutとの間に、リレー342が配置されている。つまり、リレー341の配置位置と接続点P1との間の経路上は、リレー342の配置位置としては含まれないことになる。入力経路を含む回路は、本開示における「第2供給部(電気医療デバイスにて得られた電気信号を他の装置へ供給する)」の一具体例に対応している。
【0024】
リレー341は、本開示における「第1のインピーダンス制御部」および「第1のリレー」の一具体例に対応している。リレー342は、本開示における「第2のインピーダンス制御部」および「第2のリレー」の一具体例に対応している。
【0025】
(対極板4)
対極板4は、処置等を行う際に、患者9の体表に装着された状態で用いられる。処置等を行う際に、電極111と対極板4との間で、高周波通電がなされる(電力Poutが供給される)。
【0026】
[動作および作用・効果]
(A.基本動作)
電気医療デバイスシステム5では、患者9の患部に対する処置等が行われる。処置等を行う際に、デバイス本体11が、その先端側から患者9の体内に挿入される。デバイス本体11の先端付近における電極111と対極板4との間に、電源装置3から電力Pout(例えば高周波電力)が供給されることで、患者9の体内の患部に対して、ジュール発熱による処置等が行われる。
【0027】
(B.リレー341,342の切り替わり動作)
続いて、
図2~
図4を参照して、リレー341,342におけるインピーダンス状態(オン状態またはオフ状態)の切り替わり動作(遷移動作)について、詳細に説明する。具体的には、本実施の形態では特に、制御部33による、リレー341,342のインピーダンス状態の切り替え制御について説明する。
【0028】
図2は、各リレー341,342におけるインピーダンス状態の遷移態様(切り替わり態様)の一例を、表している。
図3は、電気医療デバイスシステム5における通電時(電力Poutの供給時)の期間である、電力供給期間Teでの状態(電力供給状態)の一例を、ブロック図で表している。
図4は、電気医療デバイスシステム5における非通電時(電力Poutの供給の停止時)の期間である、電力停止期間Tnでの状態(電力停止状態)の一例を、ブロック図で表している。
【0029】
図2に示したように、リレー341,342におけるインピーダンス状態はそれぞれ、電力Poutの供給状況(通電対象(患者9の患部)への通電の状況)に応じて、遷移する。特に本実施の形態では、制御部33が電力Poutの供給状況に応じて、リレー341,342におけるインピーダンス状態としての、リレー341,342におけるオン(ON)状態とオフ(OFF)状態との間での切り替え制御を行う。なお、各リレー341,342に対する切り替え制御は、例えば、所定の電力供給の開始信号(通電開始信号)をトリガとして、制御部33によって自動に行われる。
【0030】
(B-1.電力供給期間Te)
具体的には、電力供給期間Teでは、リレー341が低インピーダンス状態になると共に、リレー342が高インピーダンス状態(低インピーダンス状態よりもインピーダンス状態が高い状態)となる(
図2)。つまり、例えば
図2,
図3に示したように、電力供給期間Teにおいて制御部33は、リレー341がオン状態(低インピーダンス状態)となると共に、リレー342がオフ状態(高インピーダンス状態)となるように、切り替え制御を行う。
【0031】
これにより電力供給期間Teでは、例えば
図3中に破線で示した経路Rpにて、電源部32からの電力Poutの供給(通電対象(患者9の患部)への通電)が行われる。経路Rpは、具体的には、電源部32から接続点P1、入出力端子Tio、電気医療デバイス1上の電極111、通電対象、対極板4および入力端子Tinをそれぞれ経由して、電源部32へと循環する経路である。また、この際にリレー342は、オフ状態であることから、経路Rpによる電力Pout(RF信号)が、リレー342を介して3Dマッピング装置2へと入力されてしまうことが、回避される。つまり、電力供給期間Teでは、3Dマッピング装置2が、電源部32、対極板4および電気医療デバイス1を含む回路から、電気的に分離された状態(電力供給状態)となる。その結果、電力供給期間Teにおいて、3Dマッピング装置2の保護(RF信号の入力に対する保護)がなされる。
【0032】
(B-2.電力停止期間Tn)
一方、電力停止期間Tnでは逆に、リレー341が高インピーダンス状態になると共に、リレー342が低インピーダンス状態となる(
図2)。つまり、例えば
図2,
図4に示したように、電力停止期間Tnにおいて制御部33は、リレー341がオフ状態(高インピーダンス状態)となると共に、リレー342がオン状態(低インピーダンス状態)となるように、切り替え制御を行う。
【0033】
これにより電力停止期間Tnでは、例えば
図4に示したように、リレー341がオフ状態に切り替わることから、電源部32からの電力Poutの供給(通電)が停止される。また、電力停止期間Tnでは、例えば
図4中に破線で示したように、電気医療デバイス1上の電極111にて測定された3次元マッピング信号Sdが、入出力端子Tio、接続点P1、リレー342(オン状態)および出力端子Toutをこの順で経由して、3Dマッピング装置2へと入力される。これにより3Dマッピング装置2では、入力された3次元マッピング信号Sdに基づく3D表示がなされる。
【0034】
また、この際に対極板4においても、3次元マッピング信号Sdが、ノイズ信号Snとして拾われることになる。つまり、例えば
図4中に破線で示したように、対極板4から入力端子Tinおよび電源部32を経由して、ノイズ信号Sn(3次元マッピング信号Sd)が電源装置3内に入力される。ただし、電力停止期間Tnでは、リレー341がオフ状態であることから、ノイズ信号Snが、オン状態のリレー342を介して3Dマッピング装置2へと入力されてしまうこと(ノイズ信号Snが本来の3次元マッピング信号Sdへと混入してしまうこと)が回避される。つまり電力停止期間Tnでは、3Dマッピング装置2が、対極板4および電源部32を含む回路(本開示における「他の部分」を構成する回路の一具体例に対応)から、電気的に分離された状態(非通電状態)となる。その結果、電力停止期間Tnにおいて、3次元マッピング信号Sdの誤差(測定位置の誤差)が低減される。
【0035】
(C.作用・効果)
このようにして本実施の形態では、リレー341,342におけるインピーダンス状態(電源装置3における電力供給状態および電力停止状態)がそれぞれ、電力Poutの供給状況(通電の状況)に応じて遷移することから、以下のようになる。すなわち、電力供給期間Teにおいて、3Dマッピング装置2の保護がなされると共に、電力停止期間Tnにおいて、ノイズ信号Snに起因した3次元マッピング信号Sdの誤差の発生が回避される(3次元マッピング信号Sdの誤差が低減される)。その結果、本実施の形態では、電気医療デバイスシステム5(電源装置3)を使用する際の利便性を、向上させることが可能となる。
【0036】
また、特に本実施の形態では、制御部33が電力Poutの供給状況に応じて、リレー341,342におけるオン状態とオフ状態との間での切り替え制御を行うようにしたので、以下のようになる。すなわち、例えば、RF信号(電力Pout)または3次元マッピング信号Sdにおける周波数帯域等に依存せずに、リレー341,342のインピーダンス状態(オン状態またはオフ状態)を切り替えることができる。その結果、利便性を更に向上させることが可能となる。
【0037】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1~5)について説明する。なお、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0038】
[変形例1]
図5は、変形例1に係る電気医療デバイスシステム5Aの全体構成例を、模式的にブロック図で表している。電気医療デバイスシステム5Aでは、実施の形態の電気医療デバイスシステム5(
図1)において、電源装置3の代わりに電源装置3Aを設けており、他の構成は同様となっている。
【0039】
電源装置3Aでは、電源装置3(
図1)において、電圧測定部351および電流測定部352を更に設けており、他の構成は同様となっている。
【0040】
電圧測定部351は、電源部32とリレー341との間の経路上の接続点P2と、入力端子Tinと電源部32との間の経路上の接続点P3と、の間の電位差(電圧)を測定し、測定電圧Vmとして出力する。
【0041】
電流測定部352は、入力端子Tinと電源部32との間の経路上を流れる電流を測定し、測定電流Imとして出力する。
【0042】
変形例1において制御部33は、電圧測定部351から供給される測定電圧Vmと、電流測定部352から供給される測定電流Imとに基づき、インピーダンス値Zm(=Vm/Im)を算出する。このようにして電気医療デバイスシステム5Aにおいて、インピーダンス値Zmの測定がなされる。
【0043】
図6は、変形例1におけるインピーダンス測定例について説明するための、波形図である。具体的には、
図6(A)は、電気医療デバイス1を用いた凝固モードの際の、電圧Vの波形の時間変化の一例を示している。
図6(B)は、電気医療デバイス1を用いた切開モードの際の、電圧Vの波形の時間変化の一例を示している。なお、
図6(A),
図6(B)において、横軸は時間tを示している。
【0044】
実施の形態にて説明したように、電力停止期間Tnではリレー341がオフ状態となり、電源部32からの電力Poutの供給が停止される。このため、電力供給の開始前の電力停止期間Tnにおいては、インピーダンス値Zmの測定(観察)が、できないことになる。
【0045】
図6(A)に示した通常のRFA(凝固モード)の際には、長時間(例えば1[s]以上)の電力供給時間(通電期間)となるため、RFAの際の設定出力へと徐々に到達するように、電圧Vを制御すればよい。
【0046】
一方、
図6(B)に示した切開モードの場合、電力供給時間が短時間となる(短時間での高電圧出力による電力供給となる)ため、短時間で設定出力に精度良く到達させるのは、困難である。したがって、高電圧出力による電力Poutの本供給(本通電)の開始前に、インピーダンス値Zmを把握しておくのが望ましいと言える。
【0047】
そこで変形例1では、電力供給期間Teにおいて、通電対象(患者9の患部)への高電圧出力(本供給期間Te2)の開始前の期間(予備供給期間Te1)に、電力Poutの予備供給(予備通電)による、インピーダンス値Zmの測定(プレ測定)が行われる。予備供給期間Te1では、電力Poutの供給(通電)自体は開始されているものの、本供給(切開用の高電圧出力)の際よりも低電圧出力となる。
【0048】
具体的には、例えば
図6(B)に示したように、切開モードの際には、供給開始タイミングtsの後、予備供給期間Te1から本供給期間Te2、予備供給期間Te1、本供給期間Te2、…となり、予備供給と本供給とが交互に繰り返される。つまり、
図6(B)の例では、本供給による高電圧出力が、間欠的(断続的)に行われている。供給開始タイミングtsの後の最初の予備供給期間Te1(本供給の開始前)に、低電圧出力での予備供給による、インピーダンス値Zmの測定(プレ測定)が行われる(
図8(B)中に示した、最初のインピーダンス測定期間Tz)。
【0049】
また、例えば
図6(B)に示したように、本供給の開始後(間欠的な本供給期間Te2同士の間)の休止期間Tpにおいても、インピーダンス測定が行われるようにしてもよい。すなわち、休止期間Tpにおいても、低電圧出力での予備供給によるインピーダンス値Zmの測定が、行われるようにしてもよい(
図8(B)中に示した、2番目以降のインピーダンス測定期間Tz)。
【0050】
このようにして変形例1では、電力供給期間Teにおいて、本供給による高電圧出力の開始前の期間に、予備供給(低電圧出力)によるインピーダンス値Zmの測定(プレ測定)が行われるようにしたので、以下のようになる。すなわち、本供給の開始前にプレ測定を行って、インピーダンス値Zmを事前に把握しておくことで、設定出力に精度良く到達させることができる。その結果、変形例1では実施の形態と比べ、更に利便性を向上させることが可能となる。
【0051】
また、変形例1では、本供給が時間軸に沿って間欠的に行われている場合において、予備供給によるインピーダンス値Zmの測定が、本供給の開始後の休止期間Tpにおいても実行されるようにしたので、以下のようになる。すなわち、本供給の開始後においても、本供給の休止期間Tpを利用して、その段階でのインピーダンス値Zmを、本供給の再開前に事前に把握することができる。その結果、利便性の更なる向上を図ることが可能となる。
【0052】
なお、インピーダンス値Zmの測定を利用して、例えば以下のようにして、電気医療デバイス1上の電極111に関する、患者9の体内の患部との接触性の判定を行うようにしてもよい。すなわち、例えば、電極111が患部に接触していないとき(非接触時)のインピーダンス値Zm(例えば血液中でのインピーダンス値Zm)と、測定時のインピーダンス値Zmとを比較することで、電極111が患部に接触しているのか否かなどの判定を、行うようにしてもよい。
【0053】
[変形例2]
図7は、変形例2に係る電気医療デバイスシステム5Bの全体構成例を、模式的にブロック図で表している。電気医療デバイスシステム5Bでは、実施の形態の電気医療デバイスシステム5(
図1)において、電源装置3の代わりに電源装置3Bを設けており、他の構成は同様となっている。
【0054】
電源装置3Bでは、電源装置3(
図1)において、リレー341,342の代わりに、LC共振回路341B,342Bをそれぞれ設けており、他の構成は、基本的には同様となっている。なお、リレー341,342の代わりにLC共振回路341B,342Bが設けられていることに伴い、電源装置3Bにおける制御部33は、電源装置3における制御部33とは異なり、前述したリレー341,342の切り替え制御を行わない。
【0055】
LC共振回路341B,342Bはそれぞれ、コイルとコンデンサとを含む共振回路であり、特にコイルとコンデンサとが互いに並列接続された、LC並列共振回路となっている。LC共振回路341B,342Bはそれぞれ、所定の周波数帯域における高インピーダンス部として機能しており、後述する電力Poutの供給状況(電気医療デバイス1から通電対象(患者9の患部)への通電の状況)に応じて、自身のインピーダンス状態が遷移するように構成されている。具体的には、LC共振回路341Bは、RF信号(電力Pout)の周波数を含む周波数帯域を、通過帯域とて有すると共に、3次元マッピング信号Sdの周波数を含む周波数帯域を、非通過帯域として有している。LC共振回路342Bは逆に、RF信号の周波数を含む周波数帯域を、非通過帯域として有すると共に、3次元マッピング信号Sdの周波数を含む周波数帯域を、通過帯域として有している。その結果、LC共振回路341B,342Bにおけるインピーダンス状態がそれぞれ、電力Poutの供給状況に応じて、低インピーダンス状態と高インピーダンス状態との間で遷移する。
【0056】
LC共振回路341Bは、本開示における「第1のインピーダンス制御部」の一具体例に対応している。LC共振回路342Bは、本開示における「第2のインピーダンス制御部」の一具体例に対応している。
【0057】
図8は、各LC共振回路341B,342Bにおけるインピーダンス状態の切り替わり態様の一例を、表している。
【0058】
図8に示したように、各LC共振回路341B,342Bにおけるインピーダンス状態(電源装置3Bにおける電力供給状態および電力停止状態)は、基本的には、実施の形態で説明した各リレー341,342におけるインピーダンス状態の場合(
図2)と、同様にして遷移する。
【0059】
すなわち、電力供給期間Te(電力供給状態)では、LC共振回路341BがRF信号を通過させて、低インピーダンス状態になる。また、LC共振回路342BがRF信号を通過させず、高インピーダンス状態(低インピーダンス状態よりもインピーダンス状態が高い状態)となる。電力停止期間Tn(電力停止状態)では逆に、LC共振回路341Bが3次元マッピング信号Sdを通過させず、高インピーダンス状態になる。また、LC共振回路342Bが3次元マッピング信号Sdを通過させて、低インピーダンス状態となる。
【0060】
変形例2においても、基本的には、実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0061】
[変形例3]
図9は、変形例3に係る電気医療デバイスシステム5Cの全体構成例を、模式的にブロック図で表している。電気医療デバイスシステム5Cでは、実施の形態の電気医療デバイスシステム5(
図1)において、電源装置3の代わりに電源装置3Cを設けており、他の構成は同様となっている。
【0062】
電源装置3Cでは、電源装置3(
図1)において、リレー341の配置位置を変更しており、他の構成は同様となっている。具体的には、電源装置3では、前述した電力Poutの循環経路のうちの、3次元マッピング信号Sdの入力経路を除く経路上において、電源部32と電気医療デバイス1との間(詳細には、電源部32と接続点P1との間)に、リレー341が配置されていた。これに対して電源装置3Cでは、電力Poutの循環経路のうちの3次元マッピング信号Sdの入力経路を除く経路上において、対極板4(他の電極)と電源部32との間(詳細には、入力端子Tinと電源部32との間)に、リレー341が配置されている。
【0063】
変形例3においても、基本的には、実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0064】
なお、変形例2の電源装置3B(
図7)においても、LC共振回路341Bの配置位置を、電源装置3Cにおけるリレー341の配置位置と同様となるように、変更してもよい。つまり、電力Poutの循環経路のうちの3次元マッピング信号Sdの入力経路を除く経路上において、対極板4と電源部32との間(入力端子Tinと電源部32との間)に、LC共振回路341Bを配置するようにしてもよい。この場合でも、基本的には、変形例2と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0065】
[変形例4,5]
図10は、変形例4に係る電気医療デバイスシステム5Dの全体構成例を、模式的にブロック図で表している。
図11は、変形例5に係る電気医療デバイスシステム5Eの全体構成例を、模式的にブロック図で表している。
【0066】
電気医療デバイスシステム5Dでは、実施の形態の電気医療デバイスシステム5(
図1)において、電源装置3の代わりに電源装置3Dを設けると共に、中継機器6Dを更に設けており、他の構成は同様となっている。電気医療デバイスシステム5Eでは、実施の形態の電気医療デバイスシステム5(
図1)において、電源装置3の代わりに電源装置3Dを設けると共に、中継機器6Eを更に設けており、他の構成は同様となっている。
【0067】
図10に示した電源装置3Dでは、電源装置3(
図1)において、リレー341,342を省いて(設けないようにして)おり、他の構成は同様となっている。
図11に示した電源装置3Dでは、電源装置3(
図1)において、制御部33の代わりに制御部33Dを設けると共に、リレー341,342を省いて(設けないようにして)おり、他の構成は同様となっている。制御部33Dは、制御部33とは異なり、前述したリレー341,342の切り替え制御を行わない。
【0068】
中継機器6Dは、
図10に示したように、電気医療デバイス1と電源装置3Dとの間を中継する機器である。中継機器6Dは、電源装置3(
図1)内に設けられていたリレー341,342を、それぞれ備えている。中継機器6D内におけるリレー341,342の各配置位置は、電源装置3内におけるリレー341,342の各配置位置(
図1)と、基本的には同様となっている。
【0069】
中継機器6Eも、
図11に示したように、電気医療デバイス1と電源装置3Dとの間を中継する機器である。中継機器6Eは、電源装置3B(
図7)内に設けられていたLC共振回路341B,342Bを、それぞれ備えている。中継機器6E内におけるLC共振回路341B,342Bの各配置位置は、電源装置3B内におけるLC共振回路341B,342Bの各配置位置(
図7)と、基本的には同様となっている。
【0070】
このように、変形例4,5の電気医療デバイスシステム5D,5Eでは、リレー341,342またはLC共振回路341B,342Bがそれぞれ、電源装置3,3B内の代わりに、中継機器6D,6E内に配置される。
【0071】
変形例4,5においても、基本的には、実施の形態や変形例2と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0072】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0073】
例えば、上記実施の形態等では、電気医療デバイスシステムの全体構成を具体的に挙げて説明したが、必ずしも全ての装置を備える必要はなく、また、他の装置を更に備えていてもよい。上記実施の形態等で説明した各種パラメータの値、範囲、大小関係等についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の値、範囲、大小関係等であってもよい。
【0074】
上記実施の形態等では、電気医療デバイス(電気医療デバイスシステム)の具体例として、主に、アブレーションデバイス(アブレーションシステム)を挙げて説明したが、この例には限られず、他の電気医療デバイス(電気医療デバイスシステム)を適用してもよい。また、アブレーションデバイスとしても、例えば、マイクロ波または高電圧パルスなどの他の電磁波を使用したアブレーションを行う、アブレーションデバイスであってもよい。
【0075】
上記実施の形態等では、電気医療デバイス上における1個の電極と対極板(他の電極)との間で処置等を行う、モノポーラ型の例を挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、電気医療デバイス上における複数個の電極と対極板(他の電極)との間で処置等を行う、モノポーラ型であってもよい。また、例えば、電気医療デバイス上における複数の電極間で処置等を行う、バイポーラ型であってもよい。
【0076】
上記実施の形態等では、インピーダンス制御部の構成(リレーまたはLC共振回路)および配置位置の例について、具体的に挙げて説明したが、これらの例には限られない。すなわち、インピーダンス制御部の構成および配置位置については、上記実施の形態等とは異なる他の例としてもよい。
【0077】
上記実施の形態等では、電気医療デバイスにて得られた電気信号が入力される他の装置の具体例として、電気信号としての3次元マッピング信号を外部へと出力する、3Dマッピング装置を挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、電気信号の例としては、3次元マッピング信号には限られず、例えば、2次元のマッピング信号、または、マッピング信号以外の他の電気信号であってもよい。電気信号を出力する他の装置(出力装置)としても、マッピング装置(表示装置)の他、例えば、音声または文字等の出力装置であってもよい。
【0078】
上記実施の形態等では、インピーダンス制御部(リレーやLC共振回路)におけるインピーダンス状態の遷移態様(制御部による切り替え制御の動作)、および、インピーダンスの測定動作等について、具体的に説明した。しかしながら、これらの遷移態様(切り替え制御の動作)および測定動作等の手法については、上記実施の形態等で挙げた手法には限られない。すなわち、例えばリレーの構成としては、2極双投形のリレーには限られず、異なる極数のリレー、単投形のリレー、または、半導体リレー等であってもよい。
【0079】
上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0080】
また、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0081】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0082】
本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
電気医療デバイスに対して電力を供給する電源部と、
前記電源部と前記電気医療デバイスとの間における前記電力の循環経路のうちの、電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された、第1のインピーダンス制御部と、
前記電源部と前記他の装置との間の経路のうちの前記入力経路上に配置された、第2のインピーダンス制御部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている
電源装置。
(2)
前記電力の供給期間では、
前記第1のインピーダンス制御部が、低インピーダンス状態となると共に、
前記第2のインピーダンス制御部が、前記低インピーダンス状態よりもインピーダンスが高い状態である、高インピーダンス状態となるように構成され、
前記電力の停止期間では、
前記第1のインピーダンス制御部が、前記高インピーダンス状態となると共に、
前記第2のインピーダンス制御部が、前記低インピーダンス状態となるように構成されている
上記(1)に記載の電源装置。
(3)
前記第1のインピーダンス制御部が、第1のリレーを含んで構成されていると共に、
前記第2のインピーダンス制御部が、第2のリレーを含んで構成されており、
前記電力の供給状況に応じて、前記第1および第2のインピーダンス制御部における前記インピーダンス状態としての、前記第1および第2のリレーにおけるオン状態とオフ状態との間での切り替え制御を行う、リレー制御部を更に備えた
上記(1)または(2)に記載の電源装置。
(4)
前記リレー制御部は、
前記電力の供給期間では、
前記第1のリレーが、低インピーダンス状態としての前記オン状態となると共に、
前記第2のリレーが、前記低インピーダンス状態よりもインピーダンスが高い状態である高インピーダンス状態としての、前記オフ状態となるように、
前記切り替え制御を行い、
前記電力の停止期間では、
前記第1のリレーが、前記高インピーダンス状態としての前記オフ状態となると共に、
前記第2のリレーが、前記低インピーダンス状態としての前記オン状態なるように、
前記切り替え制御を行う
上記(3)に記載の電源装置。
(5)
前記電力の供給期間において、
前記電力の本供給による高電圧出力の開始前の期間に、
前記高電圧出力よりも低電圧の出力である、前記電力の予備供給によるインピーダンス測定が行われる
上記(3)または(4)に記載の電源装置。
(6)
前記本供給による前記高電圧出力が、時間軸に沿って間欠的に行われており、
前記予備供給による前記インピーダンス測定が、前記高電圧出力の開始後の休止期間において、更に実行される
上記(5)に記載の電源装置。
(7)
前記第1および第2のインピーダンス制御部がそれぞれ、LC共振回路を含んで構成されている
上記(1)または(2)に記載の電源装置。
(8)
前記循環経路が、前記電源部から、前記電気医療デバイス上の電極および他の電極をそれぞれ経由して、前記電源部へと循環する経路である
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の電源装置。
(9)
前記他の電極が、対極板であり、
前記第1のインピーダンス制御部が、前記循環経路のうちの前記入力経路を除く経路上における、前記電源部と前記電気医療デバイスとの間、または、前記対極板と前記電源部との間に、配置されている
上記(8)に記載の電源装置。
(10)
前記他の装置が、前記電気信号としての3次元マッピング信号を外部へと出力する、マッピング装置である
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の電源装置。
(11)
電気医療デバイスと、
前記電気医療デバイスに対して電力を供給する電源装置と
を備え、
前記電源装置は、
前記電力を出力する電源部と、
前記電源部と前記電気医療デバイスとの間における前記電力の循環経路のうちの、電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された、第1のインピーダンス制御部と、
前記電源部と前記他の装置との間の経路のうちの前記入力経路上に配置された、第2のインピーダンス制御部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている
電気医療デバイスシステム。
(12)
電気医療デバイスと、前記電気医療デバイスに対して電力を供給する電源装置と、の間を中継する中継機器であって、
前記電源装置と前記電気医療デバイスとの間における前記電力の循環経路のうちの、電気医療デバイスにて得られた電気信号の他の装置への入力経路を除く経路上に配置された、第1のインピーダンス制御部と、
前記電源装置と前記他の装置との間の経路のうちの前記入力経路上に配置された、第2のインピーダンス制御部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記第1および第2のインピーダンス制御部におけるインピーダンス状態がそれぞれ、遷移するように構成されている
中継機器。
(13)
電気医療デバイスに対して電源部から電力を供給する第1供給部と、
前記電気医療デバイスにて得られた電気信号を他の装置へ供給する第2供給部と
を備え、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記他の装置が前記第1供給部から電気的に分離され、かつ、前記第1供給部に前記電力が供給されている電力供給状態と、
前記第2供給部に前記電気信号が供給され、かつ、前記第2供給部が他の部分から電気的に分離されている電力停止状態と、
の間で遷移するように構成されている
電源装置。
(14)
電気医療デバイスに対して電源部から電力を供給する第1供給部と、前記電気医療デバイスにて得られた電気信号を他の装置へ供給する第2供給部と、を備えた電源装置の制御方法であって、
前記電源装置が、前記第1供給部と前記第2供給部とを制御することによって、
前記電気医療デバイスへの前記電力の供給状況に応じて、
前記他の装置が前記第1供給部から電気的に分離され、かつ、前記第1供給部に前記電力が供給されている電力供給状態と、
前記第2供給部に前記電気信号が供給され、かつ、前記第2供給部が他の部分から電気的に分離されている電力停止状態と、
の間で遷移させる
電源装置の制御方法。
【符号の説明】
【0083】
1…電気医療デバイス、11…デバイス本体、111…電極、2…3Dマッピング装置、3,3A~3D…電源装置、31…入力部、32…電源部、33,33D…制御部、341,342…リレー、341B,342B…LC共振回路、351…電圧測定部、352…電流測定部、4…対極板、5,5A~5E…電気医療デバイスシステム、6D,6E…中継機器、9…患者、Pout…電力、Tin…入力端子、Tout…出力端子、Tio…入出力端子、P1~P3…接続点、Te…電力供給期間(通電期間)、Tn…電力停止期間(非通電期間)、Rp…経路、Sd…3次元マッピング信号、Sn…ノイズ信号、Vm…測定電圧、Im…測定電流、V…電圧、t…時間、ts…供給開始タイミング、Te1…予備供給期間、Te2…本供給期間、Tp…休止期間、Tz…インピーダンス測定期間。