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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】槽の変形の検出
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/255 20170101AFI20231128BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20231128BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20231128BHJP
   B29C 64/214 20170101ALI20231128BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20231128BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231128BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20231128BHJP
【FI】
B29C64/255
B29C64/393
B29C64/124
B29C64/214
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021518082
(86)(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019076609
(87)【国際公開番号】W WO2020070136
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】A50838/2018
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャリカ、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼンツァール、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュタール、クリスティアン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030323(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107756785(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303795(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0246487(US,A1)
【文献】特表2013-517153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0194080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輻射によって硬化可能な物質(S)から物体(K)をレイヤごとに構築するシステムのための装置(1)であって、
輻射によって硬化可能な前記物質(S)を収容するための槽ベース(2)を有する槽(3)を備え、
前記槽ベース(2)より上に配置され、前記槽ベース(2)に対して高さ調節可能である造形プラットフォーム(4)を備え、
前記槽ベース(2)と協働するセンサ(5)を備え、
ここで、前記槽ベース(2)は少なくとも部分的に可撓性であるように構成されており、
前記装置(1)にはチャンバ(6)が設けられ、
前記チャンバ(6)は前記槽ベース(2)の下側によって範囲が定められ、
前記センサ(5)は、前記チャンバ(6)の容積変化を検出し、前記容積変化の符号を決定することができるセンサ信号を提供するように適合されており、
前記センサ(5)は、前記チャンバの容積または前記容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数を定量的に検出し、前記測定変数をセンサ信号として提供するように適合されている装置(1)において、
前記センサ(5)は、
前記チャンバ(6)中に収容された圧縮性媒体(M)の圧力および/または圧力変化を検出するよう適合された圧力センサ(5a)であり、この圧力変化は前記容積変化に対応し、および/または、
前記チャンバ(6)中に収容された流体の前記チャンバ(6)中に封入さる前記物質の量の変化を検出するように適合および配置された流量センサであり、この物質の量の変化は前記容積変化に対応し、
ここで、前記センサ(5)は、検出された圧力および/もしくは検出された圧力変化、ならびに/または検出された物質の量の変化を、測定変数およびセンサ信号として提供するように適合されていることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記センサ(5)は、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号を処理するように適合された処理ユニット(8)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記センサ(5)は、前記処理ユニット(8)を介して、高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)のための駆動ユニット(9)に、および/または輻射によって硬化可能な前記物質(S)の照射のために設けられた輻射源(11)のための制御ユニット(10)に接続されており、
前記処理ユニット(8)は、前記センサ(5)によって提供されるセンサ信号に応じて、高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)のための前記駆動ユニット(9)および/または前記輻射源(11)のための制御ユニット(10)を制御するように適合されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記チャンバ(6)は、
前記チャンバ(6)中の静止圧力を設定するための少なくとも1つの調節可能な圧力源(18)に、および/または
前記チャンバ(6)中の温度を設定するための調節可能な加熱装置(19)に、および/または
前記チャンバ(6)への輻射によって硬化可能な前記物質(S)の凝固プロセスの少なくとも局所的な操作のためのプロセス媒体(Mp)の調節可能な供給のための調節可能なプロセス物質源(20)に、および/または
前記チャンバ(6)中に気流を生成するための気流源(21)に接続されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記センサ(5)は、前記処理ユニット(8)を介して、前記調節可能な圧力源(18)に、および/または前記調節可能な加熱装置(19)に、および/または前記調節可能なプロセス物質源(20)に、および/または前記気流源(21)に接続され、
前記処理ユニット(8)は、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記圧力源(18)を、および/または前記加熱装置(19)を、および/または前記プロセス物質源(20)を、および/または前記気流源(21)を制御するように適合されていることを特徴とする、請求項2に従属する請求項4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記槽ベース(2)は、少なくとも部分的に輻射に透過性であり、可撓性の、張力がかかった箔(13a)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記槽ベース(2)は、プロセス媒体(Mp)に対して半透過性、透過性であるように構成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記槽ベース(2)の少なくとも一部分は、輻射に少なくとも部分的に透過性、特に透明であるキャリアプレート(15)上に載置されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記キャリアプレート(15)は、プロセス媒体(Mp)に対して透過性であるように構成されるか、または隆起部(16)間のプロセス媒体(Mp)の通のために前記槽ベース(2)上に載置される前記隆起部(16)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記槽ベース(2)上に、前記槽(3)中で移動可能なドクターブレード(23)が設けられていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記センサ(5)は、処理ユニット(8)を介して、前記ドクターブレード(23)の駆動ユニット(24)に接続され、
前記処理ユニット(8)は、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記ドクターブレード(23)の前記駆動ユニット(24)を制御するように適合されていることを特徴とする、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記槽ベース(2)は、前記チャンバ(6)のチャンバハウジング(7)の取り外し可能なカバー(22)であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項13】
輻射によって硬化可能であり、槽ベース(2)を備える槽(3)中に収容される物質(S)から物体(K)をレイヤごとに構築するための方法であって、形成されるべき前記物体(K)の各レイヤ(K1、・・・Kn)に対して、
前記槽ベース(2)に対する造形プラットフォーム(4)が高さ調節可能前記造形プラットフォーム(4)は前記槽ベース(2)上のある高さまで動き、この高さは、少なくとも前記物体(K)の形成されるべきレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記造形プラットフォーム(4)または前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)との間の距離を規定し、
輻射によって硬化可能な前記物質(S)は、前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)を形成するように輻射源(11)による照射によって選択的に硬化され、前記物体(K)の硬化されたレイヤ(Kn+1)を有する高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)は、硬化したレイヤが前記造形プラットフォーム(4)に付着し、前記物体(K)の硬化されたレイヤ(Kn+1)と前記槽ベース(2)との間に次のレイヤ(Kn+2)を形成するための空間を生成するように前記槽ベース(2)の静止位置から離れて移動され、
ここで、前記槽ベース(2)は少なくとも部分的に可撓性であるように構成され、少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記槽ベース(2)と協働するセンサ(5)によって検出され、
ここで、前記センサ(5)がチャンバ(6)の容積変化を検出し、容積変化の符号を決定できるセンサ信号を提供し、
前記チャンバ(6)は、前記槽ベース(2)の下側によって範囲が定められ、
前記チャンバ(6)の容積は、前記静止位置から前記槽ベース(2)のプロセス依存ゆがみによって変化し得るものであり、
ここで、前記センサ(5)は、前記チャンバ(6)の容積または容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数を定量的に検出し、測定変数をセンサ信号として提供する方法において、
前記センサ(5)は、圧力センサ(5a)または流量センサ(5b)であり、
前記圧力センサ(5a)は、前記チャンバ(6)中における圧縮性媒体(M)の前記容積変化に対応する圧力の変化を測定変数として検出し、または前記流量センサ(5b)は、流体の前記チャンバ(6)中に封入される物質の容積変化に対応する前記物質の量の変化を測定変数として検出することを特徴とする、方法。
【請求項14】
前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号は、前記センサ(5)に接続された処理ユニット(8)において処理され、少なくとも1つのプロセスパラメータが、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて設定されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記処理ユニット(8)は、前記センサ信号として提供された、検出された測定変数を予測値と比較し、および/または検出された測定変数の挙動を予測値の挙動と比較し、測定変数と予測値と間の、および/または測定変数の挙動と予測値の挙動との間の差に応じて少なくとも1つのプロセスパラメータを設定することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記センサ(5)によって検出され、前記センサ信号として提供された前記測定変数の変化は、構築プロセスの予測値のシミュレーションモデルで、前記センサ(5)に接続された処理ユニット(8)において処理され、
少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記測定変数の少なくとも1つの検出された測定値に応じて、および/または前記シミュレーションモデルによって特定されるような、検出された測定値の変化に応じて設定されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記予測値および/または複数の予測値は、前記処理ユニット(8)によって、少なくとも1つのプロセスパラメータに応じて計算されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記シミュレーションモデルは、少なくとも1つの設定されたプロセスパラメータを入力値として考慮することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に基づいて、
前記槽ベース(2)の静止位置に対する、前記造形プラットフォーム(4)の高さ、および/もしくは物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)の高さ、ならびに/または前記造形プラットフォーム(4)の運動速度、ならびに/または前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)のエリアのサイズが、
前記槽ベース(2)が前記造形プラットフォーム(4)の移動によって前記静止位置からゆがめられるときに、前記処理ユニット(8)におけるプロセスパラメータとして決定されることを特徴とする、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記造形プラットフォーム(4)の高さ調整が、前記造形プラットフォーム(4)のための駆動ユニット(9)により、前記処理ユニット(8)によってプロセスパラメータとして制御され、前記駆動ユニット(9)は、前記造形プラットフォーム(4)および前記処理ユニット(8)に接続され、
ならびに/または輻射によって硬化可能な物質(S)の照射が、輻射源(11)のための制御ユニット(10)により、前記処理ユニット(8)によってプロセスパラメータとして制御され、前記制御ユニット(10)は、前記処理ユニット(8)および前記輻射源(11)に接続されていることを特徴とする、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて
ャンバ(6)中の静止圧力が、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの調節可能な圧力源(18)によってプロセスパラメータとして設定され、および/または
前記チャンバ(6)中の温度が、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの調節可能な加熱装置(19)によってプロセスパラメータとして設定され、および/または
前記チャンバ(6)へのプロセス媒体(Mp)の供給が、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの調節可能なプロセス物質源(20)によってプロセスパラメータとして設定され、および/または
前記チャンバ(6)中の気流が、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの気流源(21)によってプロセスパラメータとして設定されることを特徴とする、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号から、
前記槽ベース(2)に付着するレイヤ(Kn)であって、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)の前記槽ベース(2)からの剥離、ならびに/または
前記槽ベース(2)に付着するレイヤ(Kn)であって、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)の前記槽ベース(2)からの剥離高さおよび/もしくは剥離スピード、ならびに/または
前記槽ベース(2)の接触、ならびに/または
前記槽ベース(2)上の槽(3)中で移動可能なドクターブレード(23)の接触圧力、ならびに/または
前記造形プラットフォーム(4)から誤って物体(K)が剥離されること、ならびに/または
槽の劣化、ならびに/または
抑制媒体(Mi)を前記チャンバ(6)中に、および輻射によって硬化可能な前記物質(S)上に供給するとき、前記槽ベース(2)上の前記物体(K)の予期せぬ付着、ならびに/または
前記槽(3)中で前記輻射によって硬化可能な物質(S)の充填レベル、ならびに/または
前記槽(3)を設けること、ならびに/または
前記槽ベース(2)中もしくは前記チャンバ(6)中の亀裂もしくは穴が、
前記処理ユニット(8)中でプロセスパラメータとして決定されることを特徴とする、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記造形プラットフォーム(4)から離れるように前記槽ベース(2)をゆがめさせる負圧が、前記槽ベース(2)に付着するレイヤ(Kn)であって、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を前記槽ベース(2)から剥離するために、特に前記槽ベース(2)の前記静止位置から離れる高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)の移動中に、前記処理ユニット(8)によって前記チャンバ(6)において設定されることを特徴とする、請求項14~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記造形プラットフォーム(4)または前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)が前記槽ベース(2)上に接触する前に、前記造形プラットフォーム(4)に向かって槽ベース(2)をゆがめさせる過剰圧力が、前記処理ユニット(8)によって前記チャンバ(6)において設定されることを特徴とする、請求項14~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記造形プラットフォーム(4)、および前記槽ベース(2)に付着する、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を有する高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)は、前記槽ベース(2)の静止位置から離れて移動され、
前記槽ベース(2)からの、前記槽ベースに付着する、前記物体(K)の前記最後に硬化されたレイヤ(Kn)の剥離が、前記センサ(5)によって前記処理ユニット(8)において決定され、
高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)は前記槽ベース(2)の前記静止位置より上の高さ(Zx+1)に移動され、その高さ(Zx+1)は、新たに形成すべき、少なくとも前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記物体(K)の前記最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)の静止位置との間の距離を規定し、
その後、輻射によって硬化可能な前記物質(S)は、前記物体(K)の新たな前記レイヤ(Kn+1)を形成するように前記輻射源(11)による照射によって選択的に硬化されることを特徴とする、請求項14~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
抑制媒体(Mi)が前記チャンバ(6)を介して輻射によって硬化可能な前記物質(S)に供給され、前記造形プラットフォーム(4)に付着する、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を有する高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)は、前記槽ベース(2)の静止位置より上の高さ(Zx+1)に移動され、高さ(Zx+1)は、新たに形成すべき、少なくとも前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)の静止位置との間の距離を規定し、一方で、高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)の移動と同時に、輻射によって硬化可能な前記物質(S)は、前記物体(K)の新たな前記レイヤ(Kn+1)を形成するように、前記輻射源(11)による照射によって選択的に硬化されることを特徴とする、請求項14~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
抑制媒体(Mi)が前記チャンバ(6)を介して輻射によって硬化可能な前記物質(S)に供給され、前記造形プラットフォーム(4)に付着する、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を有する高さ調節可能な前記造形プラットフォーム(4)は、前記槽ベース(2)の静止位置より上の高さ(Zx+1)に移動され、その高さ(Zx+1)は、新たに形成すべき、少なくとも前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)の静止位置との間の距離を規定し、その後、輻射によって硬化可能な前記物質(S)は、前記物体(K)の前記新たなレイヤ(Kn+1)を形成するように、前記輻射源(11)による照射によって選択的に硬化されることを特徴とする、請求項14~26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射によって硬化可能な物質から物体をレイヤごとに構築するためのシステムのための装置に関し、輻射によって硬化可能な物質を収容するための槽ベースを有する槽を備え、槽ベースより上に配置され、槽ベースに対して高さ調節可能である造形プラットフォームを備え、槽ベースと協働するセンサを備え、ここで、槽ベースは少なくとも部分的に可撓性であるように構成される。
【0002】
本発明は、輻射によって硬化可能であり、槽ベースを備える槽中に収容される物質から物体をレイヤごとに構築するための方法にも関し、形成されるべき物体の各レイヤに対して、槽ベースに対して高さ調節可能な造形プラットフォームは、槽ベース上のある高さまで動き、この高さは、少なくとも物体の形成されるべきレイヤの厚さの範囲で、造形プラットフォームまたは物体の最後に硬化されたレイヤと槽ベースとの間の距離を規定し、輻射によって硬化可能な物質は、物体のレイヤを形成するように照射によって、輻射源により選択的に硬化され、物体の硬化されたレイヤを有する高さ調節可能な造形プラットフォームは、硬化したレイヤが造形プラットフォームに付着し、物体の硬化されたレイヤと槽ベースとの間に次のレイヤを形成するための空間を生成するように槽ベースの静止位置から離れて移動され、ここで、槽ベースは少なくとも部分的に可撓性であるように構成され、少なくとも1つのプロセスパラメータは、槽ベースと協働するセンサによって検出される。
【0003】
輻射によって硬化可能な物質から三次元物体をレイヤごとに構築するための装置および方法は、3D印刷、積層造形またはラピッドプロトタイピングという用語でも知られている。この場合、電磁輻射によってレイヤごとに硬化される物質、例えばフォトレジンの断面情報は、一般にマスク投影法またはレーザ源によって生成される。例えば、連続印刷プロセスを可能にする生成的生産機械では、通常、ピクセル制御されたDLP(デジタル光処理)、MEMS(微小電気機械システム)、LC(液晶)ディスプレイ、LEDディスプレイ、または制御可能なレーザが、断面またはレイヤの露出のために使用される。この場合、液体、感光性物質からの露出によって固体レイヤが生成される。このレイヤはキャリアに付着し、キャリアを持ち上げることによって基準面から剥離または除去される。後続の生産ステップにおいて、基準面から剥離された硬化レイヤはキャリアとして機能する。したがって、感光性物質から3次元体が連続的に描かれるまたは形成される。
【0004】
硬化可能物質は一般に、輻射透過性であり、少なくとも部分的に可撓性の槽ベースを有する槽中に収容される。可撓性槽ベースを用いると、槽ベースから硬化レイヤを分離するプロセスの間に生成される引張力を最小限に抑えることができ、生成される物体を損傷するか、または物体を造形プラットフォームから分離する過剰な引張力を回避する。
【0005】
ここで知られている問題は、生成された物体が槽ベースから剥離されるときの情報の欠如である。したがって、導入される輻射強度および硬化される部分レイヤの形状に応じてさらに変化させることができる経験値が通常使用される。
【0006】
EP2173538B2は、輻射源と、コンポーネントを運ぶプラットフォームを有するコンポーネントキャリアと、固化可能な材料を収容するための容器と、コンポーネントの構築領域中の可撓性フィルムまたは箔と、コンポーネントキャリアを表示するための置換装置と、センサと、置換装置および輻射源を制御するためにセンサに接続された制御ユニットとを備える、固化可能な材料を固化することによって3次元コンポーネントを作り出すための装置に関する。センサは、造形面中の可撓性フィルムまたは可撓性箔上の圧力または張力を走査または測定するように配置される。センサは、プロセス肝要因子のリアルタイム観測を可能にする。測定値は、置換装置によるコンポーネントキャリアの移動または移動速度を適合させるために制御ユニットに出力される。
US2018/0194080A1は、連続、及び非連続の統合を使用して3次元の対象物を生成する方法を開示している。
AT518566A1は、寸法的に安定した対象物を形成するための装置を開示している。
US2015/0064298A1は、ステリオリソグラフィ装置を開示している。
【0007】
既知の装置は個々のプロセスパラメータの検出および制御のために構成されているが、特にプロセスパラメータのより包括的な検出および制御のための改善された装置が必要とされている。
【0008】
本発明の目的は、プロセスパラメータの検出および制御を、したがって、できるだけ少ない廃棄物量で、できるだけ最も単純で最も信頼性のある方法で、レイヤごとに構築される物体の迅速な生産を可能にする、最初に特定したような装置および方法を提供することである。さらに、生産プロセスにおけるエラー状態を確実に検出または回避すべきである。
【0009】
この目的のために、本発明は、請求項1に記載の装置および請求項15に記載の方法を提供する。有利な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項において特定される。
【0010】
本発明によれば、チャンバが設けられ、ここで、チャンバは槽ベースの下側によって範囲が定められ、ここで、センサは、チャンバの容積変化を検出し、容積変化の符号(sign)(または極性、すなわち正または負の符号)を決定することができるセンサ信号を提供するように適合されていることが提供される。
【0011】
輻射によって硬化可能な物質から物体をレイヤごとに構築するためのシステムの少なくとも一部である装置は、輻射によって硬化可能な物質を収容するために少なくとも部分的に可撓性であるように構成された槽ベースを有する槽(vat)を備える。この目的のために、槽は、槽を通る(硬化可能材料の)硬化可能物質の意図しない流出を防止する程度に液密であるように構成される。硬化可能物質は、例えば、電磁輻射によって、特に可視光などの光によって、またはUV(紫外線)によって硬化可能であり得る。特に、硬化可能物質はレジンであり得る。この場合、硬化可能物質は、例えば、水の粘度およびパルプの粘度またはペースト状物質の間の範囲の粘度を有することができる。造形プラットフォームは、槽ベースの上方に配置され、造形プラットフォームは、槽ベースに対して高さ調節可能であるように適合されている。好適にはフラットプレートとして構成された造形プラットフォームは、硬化可能な物質の個々のレイヤのあるエリアを照射することによって物体がレイヤごとの方法で構築されるプラットフォームとして機能する。造形プラットフォームと槽ベースとの間の距離は、造形プラットフォームの高さ調整によって調整され、すなわち、造形プラットフォームの高さは、(負荷をかけられるまたは負荷をかけられていない、実質的に水平な)槽ベースまでの距離として定義される。装置は、さらに、可撓性の槽ベースの、負荷をかけられるまたは負荷をかけられていない静止位置からのゆがみを検出するための、槽ベースと協働するセンサを備えている。この目的のために、槽ベースの下側によって範囲が定められるチャンバが設けられる。したがって、槽ベースは、槽の下に(すなわち、動作の間に硬化可能な物質とは反対側の槽ベースの側に)設けられたチャンバのチャンバハウジングの一部であり、チャンバ中には、圧縮性または実質的に非圧縮性の媒体が収容される。したがって、チャンバの一部、例えばチャンバの壁は、槽ベースによって形成される。したがって、チャンバは、実質的に閉鎖された、または部分的に閉鎖された容器であり、その内部は、槽ベースによって断面で範囲が定められている。槽ベースと協働するセンサは、チャンバ中、またはチャンバに接続された物体の空洞中、例えば、チャンバに接続され、チャンバの内部と協働するホースの空洞中に収容することができる。チャンバに接続されたそのような物体は、特に、チャンバの一部として理解することができる。
【0012】
センサは、チャンバの容積変化を検出し、容積変化の符号を決定することができるセンサ信号を提供するように適合されている。したがって、センサは、特に、少なくともチャンバの容積が増加したか減少したかを検出するように構成され、これに応じて、少なくとも2つの異なる信号値または信号形態を有するセンサ信号を、チャンバの容積が増加した場合に1つの信号値/信号形態を、チャンバの容積が減少した場合に異なる信号値/信号形態を出力するように構成される。異なる信号値/信号形態には、チャンバの容積変化の正または負の符号を割り当てることができる。この場合、容積変化は、槽ベースの位置またはゆがみに依存する。センサは、この場合に第3の信号値または第3の信号形態を有するセンサ信号を出力するために、同じままであるチャンバの容積を検出するように構成することもできる。容積変化の符号は、センサ信号の単一の信号値から決定可能である必要はない。例えば、センサ信号は、異なる時間に検出されたセンサ信号の少なくとも2つの信号値によって容積変化の符号の決定を可能にすることもできる。
【0013】
前述のセンサ信号は、基本的に、チャンバの絶対容積を決定することができるセンサによって提供することもできる。すなわち、このようなセンサも客観的に含まれる。一方では、繰り返される測定によって容積の絶対値から容積変化を決定することができ、対応するセンサ信号を提供することができ(しかしながら、決定が実際に実行されなくても、容積変化を決定することができる)、他方では、容積変化または少なくともその符号を決定することができる信号(例えば、基準値を上回る/下回る変化または閾値を上回る/下回る変化)を提供するために、単一の絶対値を例えば予め定められた基準値または閾値と比較することができる。
【0014】
本発明は、容積変化の符号のみを決定することができるセンサ信号に限定されない。同様に、本発明は、容積変化の符号を備えるセンサ信号に限定されない。反対に、例えば、対応する符号が通常は絶対値から既に決定され得るので、容積変化の絶対値も(すなわち、符号に加えて)または排他的に特定または含むセンサ信号も含まれる。したがって、場合によっては、予め定められた閾値より上の変化率の場合には、これは、槽ベースからの物体の最後に生成されたレイヤの剥離後の容積の減少を備えると仮定することができる。この場合、予め定められた閾値は、造形プラットフォームの移動速度および最後に生成されたレイヤのエリアから少なくとも近似的に決定することができる。なぜなら、これらのパラメータは、容積中の予測最大増加率(すなわち、最大正容積変化)の絶対値を特定するからである。
【0015】
さらに、本発明は、信号センサに限定されない。例えば、チャンバの容積変化を検出し、容積変化の符号を決定することができるセンサ信号を提供するように適合された、同じタイプまたは異なるタイプの複数のセンサを設けることができる。この場合、容積変化またはその符号が、他のセンサおよびそのセンサ信号とは独立して各個々のセンサのセンサ信号に基づいて決定される必要はない。逆に、容積変化またはその符号を決定するときに、他のパラメータおよびセンサ信号に加えて個々のセンサのセンサ信号が考慮されれば十分であり、すなわち、容積変化またはその符号のみが最終的にいくつかのセンサ信号から決定されるときに、本開示の意味における決定可能性が個々のセンサ信号に対して既に提供されている。
【0016】
センサは、チャンバの容積変化を検出するために、したがって槽ベースのプロセス依存位置変化を検出するために設けられるので、槽ベースの位置変化に関連する複数のプロセスパラメータを装置で決定することができる。特に、槽ベースの部分的な、すなわち局所的な位置変化のみをセンサで検出することもできる。したがって、槽ベースの位置に言及する場合、槽ベースの均一または平坦な配置は、必ずしもこれによって理解されるべきではない。これに対して、槽ベースの位置、ロケーション、またはゆがみは、湾曲した槽ベースまたは槽ベースの表面わたって異なってゆがめられた槽ベースに対しても規定される。
【0017】
本説明において、高さ、水平、垂直、上、下、より上またはより下という用語が参照されるとき、これらの用語あるいは他の位置情報または方向情報は、装置の使用位置において理解されるべきである。
【0018】
装置の好ましい実施形態によれば、センサは、チャンバの容積または容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数を定量的に検出し、測定変数をセンサ信号として提供するように適合されている。したがって、チャンバの容積または容積変化は、それに直接または間接的に比例する測定変数を検出することによって検出される。センサは、この測定変数を検出し、測定変数の値を表すセンサ信号を出力するように構成される。
【0019】
センサは、チャンバ中に収容された圧縮性媒体の圧力および/または圧力変化を検出するよう適合された圧力センサであり、圧力変化は前記容積変化に対応し、および/または、チャンバ中に収容された流体(すなわち気体または液体)のチャンバ中に含まれる物質の量の物質の量の変化を検出するように適合および配置された流量センサであり、物質の量の変化は容積変化に対応し、ここで、センサは、検出された圧力および/もしくは検出された圧力変化ならびに/または検出された物質の量の変化を、測定変数およびセンサ信号として提供するように適合されている場合、特に好ましい。チャンバ中の圧力、圧力変化、および物質の量の変化は、チャンバの容積または容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数である。センサが圧力センサである場合には、チャンバ中の圧力および/または圧力変化、特にチャンバ中に収容された圧縮性媒体の圧力および/または圧力変化を検出することができる。したがって、センサは、圧力センサとして、チャンバ中の圧力または圧力変化によってチャンバの容積変化を検出する。この場合、圧力、圧力変化、容積および容積変化は、槽ベースの位置またはゆがみに依存する。センサによる信頼性のある圧力検出を確実にするために、この場合、少なくとも静止位置からの槽ベースのゆがみおよび圧力または圧力変化の測定の間に、チャンバは、圧縮可能媒体に対して閉鎖され、実質的に密閉されるように構成される。閉鎖されたチャンバは、完全に密であるように構成される必要はなく、すなわち、閉鎖されたチャンバは、装置の機能、特に、作り出される少なくとも1つの物体の製造プロセスのためのほぼ正確な圧力検出が保証される限り、わずかな漏れを有することがある。すなわち、圧力チャンバは、それにもかかわらずプロセスに依存した圧力勾配を検出することができるとき、周囲との緩慢な圧力均等化が行われるようにすることができるように設計されることができる。センサはまた、チャンバ中に収容される流体のチャンバ中に含まれる物質の量の、容積変化に対応する、物質の量の変化を検出するように適合および配置された流量センサであることがある。この場合、流量センサとして構成されたセンサは、チャンバ中の流体の物質の量の変化によってチャンバの容積変化を検出する。この場合、物質の量、容積、および容積変化の変化は、槽ベースの位置またはゆがみに依存する。この目的のために、チャンバは、流体のための入口および/または出口として作用する少なくとも1つの開口部を備え、すなわち、チャンバの内部とチャンバの外部環境またはこの目的のために設けられた流体リザーバとの間で流体の交換を行うことができる。流量センサは、開口部を通ってチャンバ中に入るまたはチャンバから出る流体の流れを検出することができるように、開口部中または少なくとも開口部の近くに配置される。複数の開口部の場合、好ましくは各開口部に流量センサが割り当てられるように、開口部にそれぞれ割り当てられた複数の流量センサを設けることができる。その後、物質の量中の全ての検出された変化のバランスから容積変化を決定することができる。高精度要件は、必ずしも流体の流れの検出に課されない。流体の流れの瞬間的な方向、すなわち、これが、容積が増加した場合にチャンバ中に向けられるか、または容積が減少した場合にチャンバ外に向けられるかを検出することで十分であり得る。しかしながら、流量センサは、検出された流体の流れをより高い精度で出力するように構成することもできる。チャンバ中に含まれる流体の物質の量の変化による容積変化の検出は、圧力検出と比較して、チャンバ中の開口部に起因して、チャンバの内部と外部との間の圧力均等化が自動的に行われることができ、外部空気圧(天候、装置の設置場所)の変動の結果としての槽ベースの変形を回避できるという利点を有する。加えて、チャンバの密閉性に対する要件がより低くなり、したがって、槽のエラー傾向が低減される。圧力センサは、検出された圧力または検出された圧力変化または少なくとも検出された圧力変化の符号をセンサ信号または出力信号として提供するように適合されている。したがって、流量センサは、検出された物質の量の変化または少なくとも検出された物質の量の変化の符号をセンサ信号または出力信号として提供するように適合されている。本発明の範囲内で、複数の異なるセンサを並行して使用して、異なる測定方法の利点を組み合わせ、チャンバの使用に関してより高い柔軟性を達成することもできる。例えば、圧力センサを複数の流量センサと共に使用することができる。
【0020】
装置の好ましい実施形態によれば、センサは、センサによって提供されるセンサ信号を処理するように適合された処理ユニットに接続されることができる。この目的のために、処理ユニットは、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えることができる。さらに、処理ユニットは、センサによって検出された容積変化またはこれに比例する測定変数を処理するためのデータおよび/またはプログラムコマンドを含むデータメモリに接続することができる。オペレータによる処理ユニットの動作のために、処理ユニットを入力/出力装置、例えばタッチスクリーンに接続することができる。処理ユニットを設けることの結果として、3D物体の生産に必要な動作を自動的に実行することができる。一方、処理ユニットなしでは、これらの動作は、オペレータによって手動で実行されなければならず、そのために、センサは、検出された容積変化またはそれに比例する測定変数または1つ以上の測定変数から決定された容積変化の符号を表示するための表示ユニットに少なくとも接続される。
【0021】
装置を好適に制御できるようにするために、センサは、処理ユニットを介して、高さ調節可能な造形プラットフォームのための駆動ユニットに、および/または輻射によって硬化可能な物質の照射のために設けられた輻射源のための制御ユニットに接続されており、処理ユニットは、センサによって提供されるセンサ信号に応じて、高さ調節可能な造形プラットフォームのための駆動ユニットおよび/または輻射源のための制御ユニットを制御するように適合されている場合、有利である。したがって、センサによって検出された圧力、圧力変化、または物質の量の変化の値、および/または容積変化の決定された符号は、センサによって、好ましくはリアルタイムで処理ユニットに送信され、このユニット中で処理されることができる。処理ユニットが高さ調節可能な造形プラットフォームのための駆動ユニットに接続され、駆動ユニットを制御するように構成されている場合、造形プラットフォームの高さ調節は、検出された圧力、圧力変化、または物質の量の変化、またはチャンバ中の容積変化の決定された符号に応じて、処理ユニットによって達成することができる。駆動ユニットは、造形プラットフォーム、したがって生産される物体を、少なくとも槽ベースに向かって、および槽ベースから離れるように移動させることを可能にする。好ましくは、駆動ユニットは、造形プラットフォームまたは物体の最も低い、すなわち最後に生成されたレイヤを槽ベースまで運ぶように構成される。駆動ユニットは、電動モータ、例えばステップモータを備えることができ、電動モータは、造形プラットフォームに接続される。特に、電気モータは、高さ調節可能なロッドと係合することができ、ロッドは、造形プラットフォームに接続される。処理ユニットが輻射源用の制御ユニットに接続され、制御ユニットを制御するように構成される場合、輻射によって硬化可能な物質の照射は、検出された圧力、圧力変化、または物質の量の変化、またはチャンバ中の容積変化の決定された符号に応じて、処理ユニットによって達成されることができる。好ましくは、輻射源のための制御ユニット、したがって処理ユニットも、輻射強度および/または照射時間(持続時間)を制御するように構成される。輻射源は、光源、特に可視光またはUV光のための源であることがある。輻射強度および/または照射時間は、一般的に、以前に硬化されたレイヤまたは造形プラットフォームに対する、この輻射強度および/または照射時間で生成された硬化レイヤの付着力に影響を及ぼす。
【0022】
チャンバは、チャンバ中の静止圧力を設定するための少なくとも1つの調節可能な圧力に、および/またはチャンバ中の温度を設定するための調節可能な加熱装置に、および/またはチャンバへの輻射によって硬化可能な物質の凝固プロセスの少なくとも局所的な操作のためのプロセス媒体の調節可能な供給のための調節可能なプロセス物質源に、および/またはチャンバ中に気流を生成するための気流源に接続される場合、さらに好ましい。槽ベースの静止位置は、チャンバ中の静止圧力を設定することによって設定することができる。しかしながら、静止圧力はまた、例えば、チャンバ中に負圧または過剰圧力を加えることによって、槽ベースからの物体の最後に生成されたレイヤの剥離を促進するために、物体を生成するプロセスの間に変更されることがある。チャンバ中の過剰圧力は、例えば、過剰圧力がZ運動(すなわち、キャリアを上昇または下降させる)と組み合わせてまたは組み合わせずに断続的に加えられる場合、剥離を促進する。支持されていない張力をかけられた箔の場合、過剰圧力はまた、箔の張力を増加させ、したがって、さらに張力を増加させ、したがって、箔によって形成される槽ベースを硬化させるであろう。半透過性箔を使用するとき、過剰圧力を特に有利に使用することができ、その理由は、例えば酸素のような抑制剤を使用するとき、過剰圧力は、いかなる付着も防止するか、あるいは次のレイヤサイクルのための不活性中間レイヤの形成を可能にする、またはその形成に少なくとも影響を及ぼすからである。これにより、過剰圧力は、半透過性箔を通る抑制物の拡散を促進する。チャンバ中の温度を調節することにより、槽中に収容された硬化可能物質の粘度または他のプロセス関連特性を変化させることができる。チャンバ中へのプロセス媒体の調節可能な供給は、輻射によって硬化可能な物質の凝固プロセスに少なくとも局所的に影響を及ぼすことができる。プロセス媒体は、抑制媒体であってもよく、これにより、特に槽ベース上で輻射によって硬化可能な物質の固化プロセスを遅くするように影響を与え、槽ベース上の最後に硬化されたレイヤの付着力を変化させる。抑制媒体は、槽ベースより上の境界レイヤ(例えば10~100μM)における硬化可能物質の硬化を低減または防止する流体、すなわち気体または液体、例えば酸素として理解される。したがって、抑制媒体は、槽ベース上の最後に硬化されたレイヤの付着を低減する(理想的な場合には防止する)。チャンバ中に気流を生成することによって、チャンバ中に収容された媒体、例えばチャンバ中の抑制媒体または媒体混合物の特性を均質化することができる。特に、チャンバ中の媒体の温度およびチャンバ中の抑制媒体の濃度を均質化することができる。さらに、抑制媒体の拡散速度および温度に影響を与えることができる。気流源は、容積流量を調節するためのファンまたは圧縮機であってよい。容積流量は、閉鎖回路中のチャンバ中で、または周囲空気と交換して生成することができる。
【0023】
装置を好適に制御できるようにするために、センサが、処理ユニットを介して、調節可能な圧力源に、および/または調節可能な加熱装置に、および/または調節可能なプロセス物質源に、および/または気流源に接続され、処理ユニットが、センサによって提供されるセンサ信号に応じて、圧力源を、および/または加熱装置を、および/またはプロセス物質源を、および/または気流源を制御するように適合されている場合、さらに有利である。この場合、センサは、(容積変化の符号に対応する)少なくとも槽ベースの現在の移動方向の形態で、槽ベースの現在の位置または移動を検出する。センサが処理ユニットを介して調節可能な圧力源に接続されている場合、圧力源は、槽ベースの現在の位置または動きに応じて圧力を増加または減少させることによって槽ベースの位置を変化させるように、処理ユニットによって制御されることができる。センサが処理ユニットを介して調節可能な加熱装置に接続されている場合、加熱装置は、槽ベースの現在の位置または移動に応じてチャンバ中の媒体の温度を変化させるように、処理ユニットによって制御されることができる。センサが処理ユニットを介して調節可能なプロセス物質源に接続されている場合、プロセス物質源は、チャンバ中に導入されるプロセス媒体の量を変化させるように、例えば、槽ベースの現在の位置または移動に応じてチャンバ中にプロセス媒体を導入しないように、処理ユニットによって制御されることができる。センサが処理ユニットを介して気流源に接続されている場合、気流源は、槽ベースの現在位置または移動に応じて気流源によって生成される気流によってチャンバ中の媒体を混合するように、処理ユニットによって制御されることができる。
【0024】
槽ベースの費用効果が高い生産のために、およびセンサを使用して槽ベースのゆがみを確実かつ可能な限り正確に検出できるようにするために、槽ベースは、少なくとも部分的に輻射に透過性であり、好ましくは可撓性の、張力がかかった箔を備える場合、好ましい。結果として、槽中に収容された硬化可能物質を硬化させるための輻射は、少なくとも部分的に輻射透過性の槽ベースを通って硬化可能物質まで達することができる。輻射源がチャンバの下に配置される場合、チャンバ、特にチャンバベースは、好適には、少なくとも部分的に輻射透過性であるように構成される。槽ベースが可撓性の張力をかけられた箔を備える場合、箔は、槽ベースを通る硬化可能物質の望ましくない浸透を防止するのに十分に密閉するように構成される。箔は、好ましくは、硬化可能な物質によって負荷をかけられる箔の感知できるほどのたるみを回避するように、すなわち、物体の実質的に平坦なレイヤを形成することができるように、十分にきつく張力をかけられるように構成される。箔は、さらに好ましくは、チャンバベースの方向またはチャンバベースから離れる方向、すなわち下方または上方へのゆがみを可能にするために、張力をかけられた状態において十分に弾性であるように構成される。槽ベースは、例えば、シリコーンレイヤ、PTFE箔またはテフロン(登録商標)箔およびこれらの組み合わせを備えることができる。槽ベースの弾性挙動は、槽ベースからの最後に生成されたレイヤの分離プロセスの間に生成される引張力を最小限にするために使用され、この引張力は、そうでなければ、結果として、生成されるべき物体への損傷をもたらすか、またはこれを造形プラットフォームから分離することがある。
【0025】
槽ベースは、プロセス媒体に対して半透過性、透過性であるように構成される場合、チャンバ中に収容されるプロセス媒体は、槽ベースを貫通することができ、例えば、抑制媒体として、槽ベース上の最後に生成された、すなわち硬化したレイヤの任意の付着を低減または理想的に防止することができる。このようにして、槽ベースからの最後に形成されたレイヤの剥離プロセスを加速するか、または完全に省略することができる。例えば、槽ベースは、抑制媒体として酸素に対して透過性であることがある。この場合、槽ベースは、輻射によって硬化可能な物質に対して不透過性である。例えば、蒸留水をさらなるプロセス媒体として使用することができる。この場合、水を特定の温度、例えば5℃にすることができる。この場合、硬化される物質は、槽ベースとの界面で水によって冷却され、したがって、ある範囲で反応性は低下する。これは、結果として、同様に非反応性の境界レイヤの形成となり、したがって、付着力が低下する。プロセス媒体として高粘性の流体、例えばシリコーンオイルまたは特殊なフッ素オイルを使用することによって、箔を露出領域内で流体によって支持することができ、同時に流体による圧力差を例えば圧力センサに伝達することができる。
【0026】
槽ベースへの負荷を軽減するために、槽ベースの少なくとも一部分は、輻射に少なくとも部分的に透過性、特に透明であるキャリアプレート上に載置されることを提供できる。少なくとも部分的にキャリアプレート上に載置する槽ベースの結果として、硬化可能な物質によって負荷をかけられた槽ベースの特に経年変化に依存して増大するたるみを防止することができる。したがって、キャリアプレートは槽ベースの支持体として機能する。キャリアプレートの下に配置された輻射源によって硬化可能物質を硬化するために、キャリアプレートは、好適には、少なくとも部分的に輻射透過性、特に透明であるように構成される。例えば、キャリアプレートは、少なくとも部分的にガラスから形成することができる。
【0027】
キャリアプレートが設けられているときに硬化可能物質の反応性を別の方法で低減または変化させることができるようにするために、キャリアプレートは、プロセス媒体に対して透過性であるように構成されるか、または隆起部間のプロセス媒体の通路のために槽ベース上に載置する隆起部を備えることをさらに提供できる。プロセス媒体は、特に、最後に形成された、すなわち硬化されたレイヤの槽ベース上への任意の付着を低減または防止するための抑制媒体であることがある。したがって、キャリアプレートがプロセス媒体/抑制媒体に対して透過性である場合、プロセス媒体/抑制媒体は、キャリアプレートを通って、好適には槽ベースを通ってチャンバから硬化可能物質まで達することができる。例えば、キャリアプレートは、ナノ多孔性ガラスまたはエアロゲルを備えることができる。一般に、キャリアプレートは、隆起部に加えて、または隆起部の代わりに、槽ベースに面する側に構造化部を備えることができ、構造化部は、したがって、装置の使用状態において槽ベース上に載置され、構造化部は、例えば、キャリアプレートの十分に粗いまたは波形の表面によって達成することもできる。隆起部および/または構造化部は、プロセス媒体/抑制媒体がキャリアプレートと槽ベースとの間を流れることができるように設けられている。
【0028】
槽ベース上の槽中で移動可能なドクターブレードが設けられている場合、ドクターブレードは、槽ベースより高い硬化可能物質中にガイドされることができる。この場合、ドクターブレードは、硬化可能物質の部分的に硬化した粒子を除去し、硬化可能物質の完全な混合を確実にすることができる。そこに含まれる粒子の結果として高い粘性を有する硬化可能な物質の場合には、ドクターブレードは、硬化すべきレイヤを平滑化するために使用することができる。
【0029】
センサは、処理ユニットを介して、ドクターブレードの駆動ユニットに接続され、処理ユニットは、センサによって提供されるセンサ信号に応じて、ドクターブレードの駆動ユニットを制御するように適合されている場合、さらに好ましい。オプション的に、ドクターブレードの機能に必須である、槽ベース上のドクターブレードの接触圧力は、センサを使用してチャンバ中の容積変化によって検出することができる。槽ベース上のドクターブレードの接触圧力が高すぎるかまたは低すぎる場合、処理ユニットによって制御されるドクターブレードの駆動ユニットを介して接触圧力を変更することができる。
【0030】
装置のさらなる実施形態によれば、槽ベースは、チャンバのチャンバハウジングの開放可能な、特に取り外し可能なカバー(蓋)であることを提供できる。カバーとしての槽ベースの形成の結果として、チャンバへの開放可能なアクセスを提供できる。槽ベースがチャンバハウジングのカバーとして取り外し可能に構成される場合、チャンバは、槽をチャンバハウジングの残りの部分に配置することによって閉鎖できる。この場合、チャンバハウジングのカバーとしての槽ベースは、チャンバハウジングの側壁の少なくとも一部を備えることもできる。あるいは、槽ベースおよびチャンバは、一体に形成できる。
【0031】
方法に関して、本発明によれば、センサが、チャンバの容積変化を検出し、容積変化の符号(または極性、すなわち正または負の符号)を決定することができるセンサ信号を提供し、ここで、チャンバは槽ベースの下側によって範囲が定められ、ここで、チャンバの容積が静止位置からの槽ベースのプロセス依存ゆがみによって変化させることができることがさらに提供される。チャンバは、少なくとも部分的に閉鎖できる。いくつかの例示的な実施形態では、チャンバは実質的にきつく閉じられる。
【0032】
装置に関する説明の部分からの繰り返しを避けるために、方法の説明に関しては、これが方法に適用可能である限り、装置の前述の説明への参照もなされる。
【0033】
方法は、輻射によって硬化可能な物質、例えば槽中に収容された、光によって硬化可能なレジンから物体をレイヤごとに構築するために使用される。槽は、硬化可能物質に対して不透過性であり、槽ベースを備える。レイヤが形成されるべき、すなわち硬化されるべき物体の各レイヤに対して、高さ調節可能な造形プラットフォームは、少なくとも物体の形成されるべきレイヤの厚さの範囲で、造形プラットフォームまたは物体の最後に形成されたレイヤと槽ベースとの間の距離を規定する、槽ベースに対して槽ベースより上の高さに移動させる。物体の最後に形成されたレイヤは、そのようなレイヤが既に形成されている限り、それによって、物体の以前に形成されたレイヤとともに造形プラットフォームに付着する。造形プラットフォームまたは物体の最後に形成されたレイヤと槽ベースとの間の輻射によって硬化可能な物質は、物体の次のレイヤを形成するように、輻射源による照射によって選択的に硬化される。輻射源は、光源であることがある。物体の最後に形成または硬化されたレイヤがそこに付着した高さ調節可能な造形プラットフォームは、その後、槽ベースの静止位置から離れるように移動され、物体の最後に硬化されたレイヤと槽ベースとの間に次のレイヤを形成するための空間を作り出す。少なくとも部分的に可撓性の槽ベースは、槽ベースとして設けられ、少なくとも1つのプロセスパラメータは、槽ベースと協働するセンサによって検出される。センサは、少なくとも部分的に閉鎖されたチャンバの容積変化を検出し、容積変化の符号を決定することができるか、または決定されるセンサ信号を提供する。このようにして、構築されるべき物体の生産プロセスの間にチャンバの容積が増加または減少するかどうか、およびいつ増加または減少するかを決定することができる。この目的のために、チャンバは、槽ベースの下側によって範囲が定められる。静止位置からの槽ベースのプロセス依存ゆがみの結果として、チャンバの容積は可変である/変化する。したがって、チャンバの容積は、プロセスの過程で可撓性槽ベースがその静止位置からゆがめられるときに変化する。静止位置の定義は、プロセスの実施に依存する。静止位置は、硬化可能な物質が槽中に収容され、槽ベースに負荷をかける槽ベースの位置として定義できる。しかしながら、静止位置は、硬化可能な物質が槽内に収容されない槽ベースの位置として定義することもできる。
【0034】
本方法の好ましい実施形態によれば、センサは、チャンバの容積または容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数を定量的に検出し、測定変数をセンサ信号として提供することを提供できる。したがって、チャンバの容積または容積変化は、これに直接または間接的に比例する測定変数を検出することによって決定される。センサは、この測定変数を検出し、測定変数の値を表すセンサ信号を出力するように構成される。
【0035】
センサは、圧力センサまたは流量センサであり、容積変化に対応する、チャンバ中の圧縮性媒体の圧力の変化は圧力センサによって測定変数として検出され、または物質の量の変化は容積変化に対応する、チャンバ中に含まれる流体の物質の量の物質の量の変化は流量センサによって測定変数として検出される場合、特に好ましい。したがって、チャンバ中の圧力、圧力変化、または物質の量の変化は、チャンバの容積またはチャンバの容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数として理解することができる。特に、チャンバの容積および容積変化、圧力センサの場合にはチャンバ中の圧力および圧力変化、流量センサの場合にはチャンバ中の物質の量の変化は、槽ベースの位置またはゆがみに依存する。センサが圧力センサである場合、チャンバの容積または容積変化を決定するために、チャンバ中の圧力または圧力変化、特にチャンバ中に収容された圧縮性媒体の圧力または圧力変化を検出することができる。この目的のために、チャンバは閉じられ、圧縮性媒体に対して実質的に密閉されるように構成される。チャンバの密閉性に関しては、装置の前述の説明への参照がなされる。圧力センサは、検出された圧力または検出された圧力変化をセンサ信号または出力信号として提供する。圧力センサは、好ましくは、槽ベースの静止位置に割り当てられた、チャンバ中の圧力に対する基準値を検出することができる。基準値は、例えば、槽ベースからの硬化レイヤの剥離プロセスがまだ始まっていない限り存在する。圧力センサは、好ましくは、基準値からの偏差を検出することができ、この偏差は、槽ベースの静止位置からのゆがみに割り当てられる。センサが流量センサである場合、チャンバの容積変化を決定するために、チャンバ中の物質の量の変化、特にチャンバ中に含まれる流体のチャンバ中に含まれる物質の量の変化を検出することができる。流体のための入口および/または出口として作用する少なくとも1つの開口部を有するチャンバの構成、およびチャンバ中/チャンバ上の流量センサの配置に関しても、装置の前述の説明への参照がなされる。流体の流れの方向および/または流体の流れの測定値は、流量計によって検出され、センサ信号または出力信号として提供されることができる。
【0036】
3D物体を作り出すために必要な動作をオペレータにとって簡単にすることができるようにするために、センサによって提供されるセンサ信号は、センサに接続された処理ユニットにおいて処理され、少なくとも1つのプロセスパラメータは、センサによって提供されるセンサ信号に応じて設定されることを提供できる。この場合、設定される少なくとも1つのプロセスパラメータは、処理ユニットにおいて、センサによって提供されるセンサ信号から、例えば予め定められた値との比較によって、または計算によって決定できる。処理ユニットは、この目的のためにマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを備えることができ、データメモリに接続することができる。データメモリは、センサによって提供されるセンサ信号を処理するためのデータおよび/またはプログラムコマンドを含むことができる。
【0037】
特に好適には、処理ユニットは、センサ信号として提供された、検出された測定変数を予測値と比較し、および/または検出された測定変数(または一般に複数の時点で検出された複数の測定変数)の挙動(推移)を予測値(または一般にいくつかの予測値)の挙動(推移)と比較し、測定変数と予測値と間の、および/または測定変数(複数の測定変数)の挙動(推移)と予測値(複数の予測値)の挙動(推移)との間の差に応じて少なくとも1つのプロセスパラメータを設定することを提供できる。さらに、処理ユニットは、異なる時点で検出された複数の測定変数間の変動を変動の予測値と比較し、変動と変動の予測値との間の差に応じて少なくとも1つのプロセスパラメータを設定することができる。同様に、測定変数は、変化率(すなわち時間単位当たりの変化)に対応し、変化率に対する予測値と比較することもできる。予測値は、処理ユニットに蓄積される。特に、処理ユニットは、複数の測定変数またはいくつかの時点で検出され、センサ信号として提供された測定値の挙動(推移)を予測値の挙動(推移)と比較し、測定変数または測定値の挙動(推移)と予測値の挙動(推移)との間の差に応じて少なくとも1つのプロセスパラメータを設定することができる。測定変数または測定値が予測値と比較されるとき、少なくとも1つのプロセスパラメータの設定は、測定値が予測値を超えるかまたはそれを下回るかに応じて達成することができる。少なくとも1つのプロセスパラメータの設定は、予測値をどの程度上回るかまたは下回るかに応じて達成することもできる。複数の測定変数が複数の予測値と比較される場合、少なくとも1つのプロセスパラメータの設定は、予測値の相対変動と比較した測定変数の相対変動に応じて、すなわち絶対測定値とは無関係に達成することができる。
【0038】
センサによって検出され、センサ信号として提供された測定変数の変化は、構築プロセスの予測値のシミュレーションモデルで、センサに接続された処理ユニットにおいて処理され、少なくとも1つのプロセスパラメータは、測定変数の少なくとも1つの検出された測定値、および/またはシミュレーションモデルによって特定されるような、検出された測定値の変化に応じて設定されることも提供できる。この場合、処理ユニットは、構築プロセスの予測値のシミュレーションモデルを備える。シミュレーションモデルは、少なくとも1つのプロセスパラメータの少なくとも1つの値を、シミュレーションにおける現在の状態と、センサによって検出されセンサ信号として提供される測定変数の少なくとも1つの値のような入力パラメータとに応じて計算する。シミュレーション結果に応じて、少なくとも1つのプロセスパラメータを設定することによって、構築プロセスに影響を与えることができる。
【0039】
構築プロセスをさらに改善できるようにするために、予測値および/または複数の予測値は、処理ユニットによって、少なくとも1つのプロセスパラメータに応じて計算される場合、好ましい。このようにして、予測値は構築プロセスの現在の状況に適合され、プロセスを特に正確に制御することができる。少なくとも1つのプロセスパラメータは、好ましくは、センサによって検出され、センサ信号として提供される測定変数である。 処理ユニットがシミュレーションモデルを備える場合に、シミュレーションモデルは、少なくとも1つの設定されたプロセスパラメータを入力値として考慮する場合、好ましい。このようにして、シミュレーションモデルは、以前に設定されたプロセスパラメータまたはその値がシミュレーションにおける入力値として考慮されるので、特に正確な結果をもたらす。
【0040】
入力値は、ユーザによって特定することができ、したがって、これは、入力値の組み合わせと共に、例えば、レイヤ厚さ、印刷速度、使用される材料(機械的特性)等であることがある。関連する値は、例えば、プロセスパラメータ(シーケンス制御)の所望の値を予め定義するCAMソフトウェア(コンピュータ支援製造)の支援で、ユーザによって決定することができる。センサからの信号がこれを提供する場合、シミュレーションモデルは入力値を適応させることができる。
【0041】
さらに、センサによって提供されるセンサ信号に基づいて、槽ベースの静止位置に対する、造形プラットフォームの高さおよび/もしくは物体の最後に硬化されたレイヤの高さ、ならびに/または造形プラットフォームの運動速度、ならびに/または物体の最後に硬化されたレイヤのエリアのサイズは、槽ベースが造形プラットフォームの移動によって静止位置からゆがめられるときに、処理ユニットにおけるプロセスパラメータとして決定されることをさらに提供できる。シミュレーションモデルは、最後に硬化されたレイヤの表面エリアを、物体を定義するモデルデータから、およびプロセスパラメータとしての構築プロセスの進行から決定することができる。したがって、予測値またはシミュレーション結果を、センサによって検出された測定変数と比較することによって、造形プラットフォームのまたは物体の最後に硬化されたレイヤの前記高さ、造形プラットフォームの移動速度、および/または物体の最後に硬化されたレイヤのエリアのサイズを決定することができる。例えば、以前に形成された物体のレイヤが造形プラットフォームおよび槽ベースに付着する場合、チャンバの容積は、造形プラットフォームの高さの増加とともに増加する。加えて、この場合、チャンバの容積は、造形プラットフォームの速度の増加に伴ってより急速に変化する。槽ベースに付着する物体の最後に硬化されたレイヤのより大きなエリアは、槽ベースに付着する物体の最後に硬化されたレイヤのより小さなエリアよりも、造形プラットフォームの上昇の間により急速にチャンバの容積を変化させるであろう。
【0042】
さらに、センサによって提供されるセンサ信号に応じて、造形プラットフォームの高さ調整は、造形プラットフォームのための駆動ユニットによって制御され、駆動ユニットは、造形プラットフォームおよび処理ユニットに接続され、および/または輻射によって硬化されることが可能な物質の照射は、輻射源のための制御ユニットにより、処理ユニットによって制御され、制御ユニットは、プロセスパラメータとして、処理ユニットおよび輻射源に接続されることをさらに提供できる。したがって、測定変数の少なくとも1つの予測値またはシミュレート値を、センサによって検出された測定変数の少なくとも1つの値と比較することによって、造形プラットフォームの高さ調整および/または輻射によって硬化可能な物質の照射をプロセスパラメータとして制御することができる。測定変数の決定された検出値の代わりに、構築プロセスの少なくとも1つのサブセクションの過程における測定変数の相対的または絶対的変動を処理ユニットによって使用して、前述のプロセスパラメータを制御することができる。
【0043】
本方法のさらなる実施形態によれば、センサによって提供されるセンサ信号に応じて、処理ユニットによるプロセスパラメータとして、チャンバ中の静止圧力は、チャンバおよび処理ユニットに接続された少なくとも1つの調節可能な圧力源によって設定され、および/またはチャンバ中の温度は、チャンバおよび処理ユニットに接続された少なくとも1つの調節可能な加熱装置によって設定され、および/またはチャンバへのプロセス媒体の供給は、チャンバおよび処理ユニットに接続された少なくとも1つの調節可能なプロセス物質源によって設定され、および/またはチャンバ中の気流は、チャンバおよび処理ユニットに接続された少なくとも1つの気流源によって設定されることを提供できる。したがって、測定変数の少なくとも1つの予測値またはシミュレート値を、センサによって検出された測定変数の少なくとも1つの値と比較することによって、チャンバ中の静止圧力、チャンバ中の温度、チャンバ中へのプロセス媒体、たとえば抑制媒体の供給、および/またはチャンバ中の気流をプロセスパラメータとして設定または制御することができる。
【0044】
好ましくは、センサによって提供されるセンサ信号から、槽ベースに付着する、物体の最後に硬化されたレイヤの槽ベースからの剥離、ならびに/または槽ベースに付着する、物体の最後に硬化されたレイヤの槽ベースからの剥離高さおよび/もしくは剥離スピード、ならびに/または槽ベースの接触、ならびに/または槽ベース上の槽中で移動可能なドクターブレードの接触圧力、ならびに/または造形プラットフォームから誤って剥離された物体、ならびに/または槽の劣化、ならびに/または抑制媒体をチャンバ中に、および、輻射によって硬化可能な物質上に供給するとき、槽ベース上の物体の予期せぬ付着、および/もしくは槽中で輻射によって硬化可能な物質の充填レベル、ならびに/または槽を設けること、ならびに/または槽ベース中もしくはチャンバ中の亀裂もしくは穴は、処理ユニット中でプロセスパラメータとして決定されることを提供できる。槽ベースに付着している、物体の最後に硬化されたレイヤが槽ベースから剥離される間、可撓性槽ベースが静止位置に独立して戻る結果としてのチャンバの急速な容積減少を検出することができる。加えて、チャンバ中で測定された容積変化は、造形プラットフォームが上昇したときの、槽ベースからの、槽ベースに付着している、物体の最後に硬化したレイヤの剥離高さまたは剥離速度の尺度となることがある。槽ベースに接触している間、すなわち、造形プラットフォームが槽ベースに向かって下方に下げられ、槽ベースと接触すると、チャンバの容積は、静止位置と比較して造形プラットフォームが槽ベースを下方に移動させるとすぐに減少する。さらに、チャンバの容積は、槽ベース上の槽中で移動可能なドクターブレードの接触圧力の増加とともに減少する。例えば、物体縁部でのみ造形プラットフォームに接続されている、すなわち、傾斜して下方に垂れ下がっている、造形プラットフォームから誤って剥離された物体は、槽ベース上の造形プラットフォームに接近すると、槽ベースより上の造形プラットフォームの予測高さよりも高い高さで槽ベースに既に接触しており、チャンバの容積を減少させる。さらに、槽ベースの弾性は槽の経年変化に伴って変化することがあり、これはチャンバの容積に影響を及ぼすことがある。抑制媒体をチャンバ中に供給している間に、さらに輻射によって硬化可能な物質に向かって、物体の槽ベースへの予期せぬ付着は、結果として、造形プラットフォームを上昇させている間に予測される容積値とは異なるチャンバの容積値をもたらす。硬化可能な物質が槽ベースを押圧するので、槽中の輻射によって硬化可能な物質の充填レベルは、チャンバの容積の値によって推定することもできる。チャンバの容積の値から、槽が装置内に設けられたか(または「チャンバ」が周囲に対して開いているか)を決定することもできる。特に、槽ベースまたはチャンバ中の亀裂または穴は、チャンバの予期せぬ容積変化(特に、圧力センサおよび本質的に閉じたチャンバの場合の予期せぬ圧力変動)から推定することができる。特に、前記プロセスパラメータは、処理ユニットによって、チャンバの容積変化の、特に圧力の絶対値または相対値の、あるいは物質の量の変化の測定、あるいは圧力変動率、または物質の量の変動率の測定から決定することができる。
【0045】
センサによって提供されるセンサ信号に応じて、造形プラットフォームから離れるように槽ベースをゆがめさせる負圧は、槽ベースに付着する、物体の最後に硬化されたレイヤを槽ベースから剥離するために、特に槽ベースの静止位置から離れる高さ調節可能な造形プラットフォームの移動中に、処理ユニットによってチャンバ中に設定される場合、槽ベースに付着する、物体の最後に硬化されたレイヤは、造形プラットフォームのより低い高さで、または槽ベースから造形プラットフォームを上昇させることなく、既に剥離されることがある。
チャンバ容積の減少の間に生成され、したがって、槽ベースの任意の復元力に加えて、造形プラットフォームから槽ベースを引き離す負圧は、したがって、槽ベースに付着する、物体のレイヤの剥離を補助する。負圧の値は、好ましくはセンサ(特に圧力センサ)を用いて検出され、過剰な負圧またはチャンバ中の圧力の過度に急速な変化による、作り出される物体または槽ベースへの損傷を回避するように、必要に応じて制限できる。
【0046】
チャンバ中のセンサによって提供されるセンサ信号に応じて、処理ユニットによって抑制媒体の過剰圧力が設定される場合、半透過性箔を通る拡散を増加させることができる。
それによって影響されることがある抑制物質レイヤの厚さは、重要なプロセスパラメータであり、例えば印刷速度に作用する。
【0047】
センサによって提供されるセンサ信号に好ましくは応じて、造形プラットフォームまたは物体の最後に硬化されたレイヤが槽ベース上に接触する前に、造形プラットフォームに向かって槽ベースをゆがめさせる過剰圧力が、処理ユニットによってチャンバにおいて設定される場合、槽ベースの静止位置に到達する前であってもチャンバ中の圧力変化を検出することができ、造形プラットフォームを下降させることによって槽ベースの静止位置に特に正確に到達することができる。過剰圧力の値は、好ましくは、センサ(特に圧力センサ)によって検出され、これに基づいて、チャンバ中の過剰な過剰圧力による槽ベースへの損傷を回避するために、制御ユニットによって調整される。
【0048】
形成されるべき物体のレイヤを生成するために、物体の最後に硬化されたレイヤを有する高さ調節可能な造形プラットフォームは、造形プラットフォームに、および槽ベースに付着して、槽ベースの静止位置から離れて移動され、槽ベースからの、槽ベースに付着する、物体の最後に硬化されたレイヤの剥離は、センサによって処理ユニットにおいて決定され、高さ調節可能な造形プラットフォームは、槽ベースの静止位置より上の高さに移動され、その高さは、新たに形成すべき、少なくとも物体のレイヤの厚さの範囲で、物体の最後に硬化されたレイヤと槽ベースの静止位置との間の距離を規定し、その後、輻射によって硬化可能な物質は、物体の新たなレイヤを形成するように照射によって、輻射源により選択的に硬化されることを提供できる。したがって、この場合、槽ベースに付着する、物体の最後に硬化されたレイヤは、例えば造形プラットフォームを上昇させることによって槽ベースから分離される。造形プラットフォームの上昇の間および物体の最後に硬化されたレイヤの槽ベースからの分離の間のチャンバの容積変化は、好ましくはセンサによって検出される。分離が検出されるとすぐに、造形プラットフォームは、例えばステップモータによって造形プラットフォームが駆動される槽ベースより上の所望の高さまで下方に移動できる。次に、硬化可能な物質は、物体の新たなレイヤを形成するために、物体の最後に硬化されたレイヤと槽ベースとの間の空間において照射によって硬化される。これにより、硬化可能な物質の露出は、造形プラットフォームの移動とは別個に行われる(抑制レイヤのない非同期モード)。
【0049】
形成されるべき物体のレイヤを生成するために、抑制媒体がチャンバを介して輻射によって硬化可能な物質に供給され、物体の最後に硬化されたレイヤを有する高さ調節可能な造形プラットフォームは、レイヤが造形プラットフォームに付着して(造形プラットフォーム上の)、槽ベースの静止位置より上の高さに移動され、その高さは、新たに形成すべき、少なくとも物体のレイヤの厚さの範囲で、物体の最後に硬化されたレイヤと槽ベースの静止位置との間の距離を規定し、一方で、高さ調節可能な造形プラットフォームの移動と同時に、輻射によって硬化可能な物質は、物体の新たなレイヤを形成するように照射によって、輻射源により選択的に硬化されることを提供できる。この場合、抑制媒体は、物体の最後に硬化されたレイヤが槽ベースに付着することを防止し、その結果、槽ベースからのこのレイヤの分離プロセスは必要とされない。抑制媒体の空間要件は、造形プラットフォームが槽ベースより上に移動される高さを特定するときに考慮される。したがって、硬化可能な物質は、槽ベースより上の所望の高さへの造形プラットフォームの移動の間に既に照射されることがある。このようにして、物体を作り出す方法が著しく加速される。したがって、硬化可能物質の露出と造形プラットフォームの移動とが同時に行われる(同期モード)。
【0050】
形成されるべき物体のレイヤを生成するために、抑制媒体がチャンバを介して輻射によって硬化可能な物質に供給され、物体の最後に硬化されたレイヤを有する高さ調節可能な造形プラットフォームは、そのレイヤが造形プラットフォームに付着して(プラットフォーム上の)、槽ベースの静止位置より上の高さに移動され、その高さは、新たに形成すべき、少なくとも物体のレイヤの厚さの範囲で、物体の最後に硬化されたレイヤと槽ベースの静止位置との間の距離を規定し、その後、輻射によって硬化可能な物質は、物体の新たなレイヤを形成するように照射によって、輻射源により選択的に硬化されることを提供できる。この場合、抑制媒体は、物体の最後に硬化されたレイヤが槽ベースに付着することを防止し、その結果、槽ベースからのこのレイヤの分離プロセスは必要とされない。抑制媒体の空間要件は、造形プラットフォームが槽ベースより上に移動される高さを特定するときに考慮される。造形プラットフォームは、ベースより上の所望の高さに移動させることができ、その後、硬化可能な物質を、物体の最後に硬化されたレイヤと槽ベースとの間で照射することができる。分離プロセスの省略の結果として、物体を生産するプロセスは実質的に加速される。したがって、硬化可能な物質の露出は、造形プラットフォームの移動とは別個に行われる(抑制レイヤを有する非同期モード)。
【0051】
図面を参照して好ましい、非限定的な例示的実施形態を参照して、本発明を以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1図1は、圧力センサと、キャリアプレートのない槽ベースとを有する本発明による装置を示す。
図2図2は、圧力センサと、キャリアプレートを有する槽ベースとを有する本発明による装置を示す。
図3図3は、槽ベース上に載置された隆起部を有するキャリアプレートを示す。
図4図4は、槽ベースに付着する少なくとも部分的に形成された物体を有する図1の装置を示す。
図5図5は、槽ベースに付着する少なくとも部分的に形成された物体を有する図2の装置を示す。
図6a図6aは、調節可能な圧力源を有する図2の装置を示す。
図6b図6bは、調節可能な加熱装置を有する図2の装置を示す。
図6c図6cは、調節可能なプロセス物質源(抑制源)を有する図2の装置を示す。
図6d図6dは、気流源を有する図2の装置を示す。
図7図7は、抑制レイヤを有する図1の装置を示す。
図8図8は、抑制レイヤを有する図2の装置を示す。
図9図9は、部分的に減少した抑制レイヤを有する図7の装置を示す。
図10図10は、さらにひどく減少した抑制レイヤを有する図9の装置を示す。
図11図11は、部分的に減少した抑制レイヤを有する図8の装置を示す。
図12図12は、槽ベースがチャンバのチャンバハウジングの開放可能な、特に取外し可能なカバーである、本発明による装置を示す。
図13図13は、槽ベース上にドクターブレードを有する図1の装置を示す。
図14図14は、槽ベースに接触する造形プラットフォームを有する図1の装置を示す。
図15図15は、チャンバ中に槽ベースを造形プラットフォームから離れるようにゆがめさせる負圧を有する図1の装置を示す。
図16図16は、チャンバ中に槽ベースを造形プラットフォームに向かってゆがめさせる過剰圧力を有する図2の装置を示す。
図17図17は、物体が造形プラットフォームから部分的に誤って剥離された、図1の装置を示す。
図18a図18aは、例示的な状態における槽ベースからの物体の最後に硬化されたレイヤの剥離プロセスを示す。
図18b図18b例示的な状態における槽ベースからの物体の最後に硬化されたレイヤの剥離プロセスを示す。
図18c図18c例示的な状態における槽ベースからの物体の最後に硬化されたレイヤの剥離プロセスを示す。
図19図19は、実質的に閉鎖されたチャンバの場合における、図18a~18cに示される剥離プロセスのための、チャンバの容積、チャンバ中の圧力、および槽ベースより上の造形プラットフォームの高さの例示的挙動(推移)を有するダイヤグラムを示す。
図20a図20aは、例示的な状態における、槽ベースからの、3つの物体のうちの1つの最後に硬化されたレイヤの剥離プロセスを示す。
図20b図20bは、例示的な状態における、槽ベースからの、3つの物体のうちの1つの最後に硬化されたレイヤの剥離プロセスを示す。
図21図21は、図20aおよび図20bに示される剥離プロセスのための、実質的に閉鎖されたチャンバ中の圧力および槽ベースより上の造形プラットフォームの高さの例示的挙動(推移)を有するダイヤグラムを示す。
図22図22は、槽ベースに付着する物体を示す。
図23a図23aは、槽ベースより上の造形プラットフォームの高さの例示的な挙動(推移)と露出時間とを有するダイヤグラムを示す。
図23b図23bは、槽ベースより上の造形プラットフォームの高さの例示的な挙動(推移)と露出時間とを有するダイヤグラムを示す。
図23c図23cは、槽ベースより上の造形プラットフォームの高さの例示的な挙動(推移)と露出時間とを有するダイヤグラムを示す。
図24図24は、圧力センサの代わりに流量センサを有する本発明による装置を示す。
【0053】
描かれた図において、それぞれの図の説明に役立たない装置の部分は、明確にするために省略されている。
【0054】
チャンバ中の圧力の圧力測定または検出に関する説明の部分は、センサが圧力センサであり、チャンバが実質的に閉鎖されているという条件下で理解されるべきである。実質的に閉鎖されたチャンバの密閉性に関する説明については、前述の説明を参照されたい。
【0055】
明確にするために、ほとんどの例示的な実施形態は、実質的に閉鎖されたチャンバおよび圧力センサに関連して示され、説明される。圧力測定の代わりに、多くの物質の流れの測定が意図され、可能である場合、流体用のチャンバの入口/出口に配置された流量センサを、圧力センサの代わりに当然使用することができる。したがって、圧力センサに関連して示され説明されているが、流量センサに関連して実施することもできるこれらの例示的な実施形態は、流量センサを使用する設計にも有効である。
【0056】
図1は、輻射によって硬化可能な物質Sを収容するための槽ベース2を有する槽3を備える、輻射によって硬化可能な物質Sから例えば図4に示される物体Kのレイヤごとの構築のためのシステムのための装置1を示す。槽ベース2は、実質的に平坦な静止位置で示されている。装置1はまた、槽ベース2に対して高さ調節可能であり、槽ベース2より上に配置された高さ調節可能な造形プラットフォーム4と、槽ベース2と協働するセンサ5とを備える。高さ調節可能な造形プラットフォーム4は、二重矢印Hによって示される方向に、すなわち、高さにおいて、槽ベース2に対して、または概して槽3に対して上下に調節可能である。槽ベース2は、サブ領域13において少なくとも部分的に可撓性を有するように構成されている。図1では閉じているチャンバ6は、圧力センサ5aとして構成されたセンサ5と協働するために槽3の下に設けられている。図24に示される別の実施形態では、チャンバ6は、チャンバ6中に収容された流体の入口または出口のための開口部34を備えることができ、センサ5は流量センサ5bである。チャンバ6は、槽ベース2の下側から範囲が定められている。したがって、槽ベース2は、チャンバ6のチャンバハウジング7の一部である。センサ5は、チャンバ6の容積変化を検出し、容積変化の符号を決定することができるセンサ信号を提供することができる。センサ5は、特に、チャンバの容積またはチャンバの容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数を定量的に検出し、測定変数をセンサ信号として提供することができる。図1に示す例では、センサ5は、チャンバ6内に収容された圧縮性媒体Mの容積変化に対応する圧力または圧力変化を検出するための圧力センサ5aである。チャンバ6は、この場合、閉鎖されるように構成される。別の実施形態(図24)では、センサ5は、チャンバ6中に収容された流体のチャンバ6中に含まれる物質の量の物質の量における変化を検出するように設けられた流量センサ5bであることがあり、物質の量の変化は容積変化に対応する。流体は、液体または気体であることがあり、したがって圧縮性または非圧縮性である。例えば、センサ5は、検出された圧力、検出された圧力変化、または検出された物質の量の変化を測定変数およびセンサ信号として提供するように適合されている。
【0057】
図1に示す例では、圧縮性媒体M、例えば空気がチャンバ6中に収容され、ここで、センサ5は、チャンバ6中に収容された圧縮性媒体Mの圧力を検出するように適合された圧力センサ5aである。好ましくは、圧力センサ5aはチャンバ6中に収容される。特別な実施形態では、圧力センサ5aを音響変換器として構成することもできる。センサ5は、センサ5によって提供されるセンサ信号、特に圧力センサ5aによって検出される圧力または流量センサ5bによって検出される物質の量の変化を処理するように適合された処理ユニット8に接続されることができる。センサ5は、処理ユニット8を介して、高さ調節可能な造形プラットフォーム4のための駆動ユニット9に、および/または輻射によって硬化可能な物質Sを照射するために設けられた輻射源11のための制御ユニット10に接続されることができる。処理ユニット8は、センサ5によって提供されるセンサ信号に応じて、高さ調節可能な造形プラットフォーム4のための駆動ユニット9および/または輻射源11のための制御ユニット10を制御するように適合されている。示されていない他の例示的な実施形態では、処理ユニット8は、高さ調節可能な造形プラットフォーム4のための駆動ユニット9のみに、または、輻射源11のための制御ユニット10のみに接続されることができ、その制御のために構成されることができる。物体Kを槽ベース2から分離するために必要とされ、高さ調節可能な造形プラットフォーム4を通して導入される分離力は、槽ベース2をゆがめさせ、それによってチャンバ6中に容積変化を生じさせる。チャンバ6が圧力センサ5aと共に使用するために閉じられる場合、容積変化はチャンバ6中の圧力変化をもたらす。一方、チャンバ6が流量センサ5bと共に使用するために部分的に開いている場合、容積変化は、周囲または別のチャンバとの圧力均等化のためにチャンバ6中に収容された流体の流れ(流入または流出)をもたらす。輻射源11によって導入される輻射エネルギー(露出時間と露出強度との積)が増加すると、物体Kの生成されたレイヤは槽ベース2により強く付着する。過剰な露出エネルギーは、予測された最小圧力(=分離圧力)または流量を、実際の分離圧力または流量と比較することによって決定することができる。駆動ユニット9は、例えば、高さ調節可能なロッド12と係合し、ロッド12を介して造形プラットフォーム4に接続された制御可能な電気モータ、特にステップモータを備えることができる。槽ベース2は、輻射に対して少なくとも部分的に透過性であり、すなわち、輻射源11によって槽ベース2上に放出される輻射、例えば光に対して少なくとも部分的に透過性である。好ましくは、槽ベース2は、可撓性の張力をかけられた箔13aを備える。箔13aは、可撓性のサブ領域13に設けられている。好ましくは、箔13aは、少なくとも部分的に輻射透過性、特に光透過性であるように構成される。図1に示す例では、箔13aは、槽ベース2の固定された縁部14の間で張力をかけられている。図1に示す例のように、輻射源11がチャンバ6の外側、特に下に配置される場合、チャンバハウジング7のチャンバベース7aは、好適には、少なくとも部分的に輻射透過性、特に光透過性であるように構成される。例示的な輻射円錐Bを図1で識別できる。
【0058】
図2は、装置1を示しており、槽ベース2の少なくとも一部、特に可撓性サブ領域13、特に好ましくは箔13aは、少なくとも部分的に輻射透過性、特に透明であるキャリアプレート15上に載置されている。描かれた静止位置では、キャリアプレート15は箔13aの下側を支持する。箔13aまたは槽ベース2は、この静止位置では実質的に平坦に示されている。キャリアプレート15は、プロセス媒体Mp、特に抑制媒体Miに対して透過性であるように構成することができ、および/または隆起部16間にプロセス媒体Mp、特に抑制媒体Miを通過させるために、槽ベース2上に載置される隆起部16を備えることができる。槽ベース2上に載置される隆起部16は、特に槽ベース2の可撓性サブ領域13上に、好ましくは箔13a上に載置することができる。チャンバ6中には、プロセス媒体Mpまたは抑制媒体Mi、例えば酸素が収容される。
【0059】
閉鎖された槽構築が、例えば槽3の、より正確には槽ベース2のわずかなたるみによるチャンバ6の負の容積変化を可能にする場合、圧力の増加を検出することができる。その結果、例えば、槽3中の硬化可能物質、例えば感光性物質Sの充填レベルを推定することができる。さらに、物体Kからの分離後の可撓性槽ベース2とキャリアプレート15との特定の衝突が、結果として測定可能な圧力勾配をもたらすため、キャリアプレート15に対する槽ベース2の0位置を測定することができる。
【0060】
図3は、槽ベース2上に載置される隆起部16を有するキャリアプレート15の断面を示す。隆起部16の間には、プロセス媒体Mp、例えば抑制媒体Miが流れることができる凹部17が伸長する。凹部17は、例えば、ストリップ状隆起部16間の溝状くぼみとして形成することができる。キャリアプレート15がプロセス媒体Mp、特に抑制媒体Miに対して透過性であるようにさらに構成される場合、プロセス媒体Mp、特に抑制媒体Miを導くためのチャネル(図示せず)をキャリアプレート15に設けることができる。キャリアプレート15は多孔質になるように形成されてもよい。
【0061】
図4は、少なくとも部分的に形成された物体Kを有する装置1を示す。物体Kは、硬化可能物質Sを輻射で局所的に硬化させることによって形成された複数のレイヤK1~Knを備える。物体Kは、造形プラットフォーム4上に第1のレイヤとして形成されたレイヤK1と付着し、剥離前に描かれた状況では、槽ベース2上、特に箔13a上に最後に形成されたレイヤKnと付着する。描かれた状態では、造形プラットフォーム4は、既にわずかな距離だけ上方に、すなわち正のz方向に、槽3から離れるように移動しており、その結果、箔13は、少なくともサブ領域においてその静止位置からゆがめられる。ゆがみの結果として、チャンバ6の容積が拡大される。これは、容積変化の正符号(「+」)に対応する。結果として、(一定温度および物質の一定量、すなわち密閉チャンバにおいて)チャンバ6中の圧力が低下する。圧力センサ5aは、この圧力変化を検出し、対応する信号を処理ユニット8に送信するように適合されている。同様に、部分的に開いたチャンバ6(図4には図示せず)と協働する流量センサ5bは、チャンバ6中の物質の量の変化を検出することができ、物質の量の変化は、チャンバ6の容積の増加に対応する。特に、チャンバ6が開いている場合、箔13aのゆがみにより流体がチャンバ6中に吸引される。流量センサ5bは、対応する信号を処理ユニット8に送信することもできる。明確にするために、図4および後続の図では、処理ユニット8、駆動ユニット9および制御ユニット10は示されていない。
【0062】
図4とは異なり、図5ではキャリアプレート15が設けられており、その上に槽ベース2、特に箔13aが載置されることができる。槽ベース2がゆがんで描かれた状況から分かるように、槽ベース2、より正確には箔13aは、キャリアプレート15上に緩く載置されているだけであり、付着する物体Kの作用下でキャリアプレート15から持ち上げることができる。キャリアプレート15中のくぼみ17の結果として、チャンバ6内で、すなわち、一方ではキャリアプレート15と箔13aとの間の空間と、他方ではキャリアプレート15の下のチャンバ6との間で、圧力均等化を行うことができる。したがって、槽ベース2のゆがみは、圧力センサ5aによって検出できる圧力変化、または流量センサ5bによって検出できる物質の量の変化をもたらす。また、図5では、閉じたチャンバ6中の圧力センサ5aの代わりに、部分的に開いたチャンバ6中に流量センサ5bを設けることができる(図5には図示せず)。
【0063】
図6aは、閉じたチャンバ6としてのチャンバ6が、例えば、チャンバ6中の静止圧力を設定するための少なくとも1つの調節可能な圧力源18に接続され、圧力センサ5aが処理ユニット8を介して調節可能な圧力源18に接続された装置1を簡略化した形態で示す。
【0064】
図6bは、チャンバ6が、例えば、チャンバ6中の温度を設定するために調節可能な加熱装置19(または一般に熱交換器)に接続され、圧力センサ5aが処理ユニット8を介して調節可能な加熱装置19に接続された装置1を示す。この例では、チャンバ6は、入口27と出口28とを備える。入口27および出口28は、それぞれ弁29、30、特に各ケースで電磁弁によって閉鎖可能である。加熱装置19は、圧縮機32と入口27の上流の弁29との間の供給ライン31中に配置される。チャンバ6中の温度を変化させるために、圧縮機32を少なくとも一時的に作動させて、例えばオリフィス33を通して周囲空気を吸引することができる。同時に、弁29、30は、ほぼ同じ程度まで開かれ、その結果、圧縮性媒体は、出口28を通ってチャンバ6から出て、入口27を通って続いて流れる圧縮性媒体によって置き換えられることができ、後に流れる媒体は、加熱装置19内中直前に加熱されている。チャンバ6中の圧縮性媒体の混合の結果として、均一な温度が流れの結果として急速に確立される。この場合、チャンバ6中の温度を測定するための装置が設けられ、オプション的に処理ユニット8に接続されることが好ましいことがある。したがって、加熱装置19は、例えば、硬化可能物質Sを間接的に加熱するために使用される。所望の温度に達するとすぐに、弁29、30は再び閉じられる。圧力センサ5aによって検出された圧力変化を評価するとき、圧力変化の原因を正確に挙げることができるように、弁29、30の状態(すなわち、閉鎖または開放または部分的開放)が考慮される。
【0065】
図6cは、チャンバ6が、チャンバ6内へのプロセス媒体Mp、特に抑制媒体Miの調節可能な供給のために、例えば調節可能なプロセス物質源20に、特に抑制源20aに接続され、圧力センサ5aが、処理ユニット8を介して調節可能なプロセス物質源20、特に抑制源20aに接続された装置1を簡略化した形態で示す。プロセス物質源20は、槽3中で輻射によって硬化可能な物質Sの凝固プロセスの少なくとも局所的な操作のために使用される。この場合、槽ベース2は、プロセス媒体Mpに対して少なくともわずかに透過性であり得るので、この変形は、入口のみを有し、出口を有さずに管理することができる。センサ5が流量センサ5bとして設計されている場合、センサ5は、プロセス物質源20とチャンバ6との間の接続ラインに配置することができる。この場合、容積変化は、流入する媒体と流出する媒体との間の差に比例するマスバランスによって判断される。
【0066】
図6dは、装置1を簡略化した形態で示しており、チャンバ6は、例えば、チャンバ6中に気流を生成するための気流源21に接続され、圧力センサ5aは、処理ユニット8を介して気流源21に接続される。気流源21は、例えば、チャンバ6中に収容された圧縮性媒体Mを混合するために使用される。図6cのように、気流源21とチャンバ6との間の接続ラインに配置された流量センサ5bをセンサ5として使用することもできる。
【0067】
当然のことながら、装置1のチャンバ6は、複数の調節可能な圧力源18、調節可能な加熱装置19、調節可能なプロセス物質源、および20気流源21に接続することができる。処理ユニット8は、好ましくは、センサ5によって提供されるセンサ信号に応じて、圧力源18および/または加熱装置19および/またはプロセス物質源20および/または気流源21を制御するように適合されている。さらに、処理ユニット8は、好ましくは、入口弁29、出口弁30および圧縮機32からなる群の1つ以上の部材を制御するように適合させることができる。
【0068】
図7は、抑制媒体Miによって形成された抑制レイヤIを有する装置1を示す。抑制レイヤIは、図示の例では、槽ベース2と硬化可能物質Sとの間に形成される。この目的のために、抑制媒体Miは、アクセス(図7には図示せず)を通してチャンバ6内に導入される。抑制媒体Miを硬化可能物質Sに供給できるようにするために、槽ベース2、特に箔13aは、抑制媒体Miに対して半透過性であるか、またはプロセス媒体Mpに対して概ね透過性であるように構成されることが好ましい。それによって形成された抑制媒体Miまたは抑制レイヤIは、物体Kの最後に形成されたレイヤKnが槽ベース2、特に箔13aに付着する付着力を低減する。好ましくは、抑制媒体Miまたは抑制レイヤIは、このような付着を防止する。図7に示す例は、閉じたチャンバ6中の圧力センサ5aの代わりに、部分的に開放したチャンバ6中の流量センサ5bを用いて実施することもできる。この場合、流入および流出する媒体の差分は容積変化に対応する。
【0069】
チャンバ6の温度制御は、例えば、半透過性レイヤ(箔13a)を通る抑制媒体Miの拡散プロセスだけでなく、槽3中の硬化可能物質Sの加熱も加速するために使用される。チャンバ6中の温度は、物質Sの温度に影響を与え、したがって、硬化可能物質Sの粘度および輻射に対する反応性に影響を与える。
【0070】
図7とは異なり、図8では、キャリアプレート15が設けられており、その上に槽ベース2、特に箔13aが載置できる。この場合、キャリアプレート15が、抑制媒体Miまたは一般的にはプロセス媒体Mpに対して透過性であるように構成され、および/または隆起部16の間に抑制媒体Miまたはプロセス媒体Mpを通過させるために槽ベース2上に載置される隆起部16を備えると好都合である。
【0071】
図9は、物体Kの下の抑制レイヤIが部分的に減少している装置1を示す。これは、箔13aの上向きの湾曲によって、したがって物体Kの下の抑制レイヤIのより薄い構成によって示される。
【0072】
図10に示される例では、抑制レイヤIは、物体Kの下で完全に減少しており、これにより、物体Kの最後に形成されたレイヤKnが、槽ベース2、特に箔13aに望ましくない方法で付着する。
【0073】
図9および図10による状況は、箔13aの異なるゆがみと、センサ5によって検出される容積変化による結果として生じる容積の異なる変化とによって区別することができる。センサ5が、閉じたチャンバ6と協働する圧力センサ5aである場合、チャンバ6中の圧力の異なる変化は、圧力センサ5aによって検出される圧力変化によって区別することができる。したがって、処理ユニット8は、例えば、抑制媒体Miの不足をシグナリングすることができ、または好ましくは独立して、例えば対応する抑制源20を制御することによって、チャンバ6内への/チャンバ6中への抑制媒体Miの適時の補充または分配を提供することができる。
【0074】
図9とは異なり、図11ではキャリアプレート15が設けられており、その上に槽ベース2、特に箔13aが載置されることができる。隆起部16およびくぼみ17の結果として、キャリアプレート15は、抑制媒体Miの分配に関して上述したような基本動作モードに何ら変化をしない。
【0075】
図12は、槽ベース2が、チャンバ6のチャンバハウジング7の開放可能な、特に取外し可能なカバー22である実施形態における装置1を示す。この変形例では、槽3をシステムに組み込むことによってのみチャンバ6が閉じられる。この場合、チャンバハウジング7は、チャンバベース7aと、側部7bと、チャンバ上部7cとからなる。槽ベース2は、チャンバハウジング7のカバー22として、図12に示す例のようにチャンバ上部7cおよび側部7bを形成することができる。したがって、カバー22は、システムの支持面によって形成されるチャンバベース7a上に配置される。チャンバベース7aを形成する支持面は、ここでは同時に、生産機械の機械ハウジングの一部である。別の実施形態では、カバー22は、チャンバ上部7cのみを形成することができ、側部7bおよびチャンバベース7a上に配置される。図12に例として示される閉じたチャンバ6の代替として、チャンバ6は、流量センサ5bと協働するために部分的に開放されるように構成することができる。
【0076】
図13は、槽ベース2上、特に箔13a上の槽3内に可動ドクターブレード23を有する装置1を示す。好ましくは、センサ5、すなわち圧力センサ5aまたは流量センサ5bは、処理ユニット8を介してドクターブレード23の駆動ユニット24に接続される。図13に示す例では、ドクターブレード23の駆動ユニット24は、槽3中で変位可能に収容されたロッド25であり、ロッド25は、処理ユニット8によって制御されるモータ26によって移動される。処理ユニット8は、例えば、センサ5によって検出されたセンサ信号、すなわち圧力センサ5aによって検出されたチャンバ6中の圧力、または流量センサ5bによって検出されたチャンバ6中の物質の量の変化に応じて、ドクターブレード23の駆動ユニット24(モータ26)を制御するように適合されている。
【0077】
図14は、負のz方向に下げられた造形プラットフォーム4が槽ベース2、特に箔13aに接触した状態の装置1を示す。接触とは、槽ベース2または箔13aの著しいゆがみを伴わないまたは最小限のゆがみを伴う、造形プラットフォーム4または物体Kの最後に硬化されたレイヤKnによる槽ベース2または箔13aの接触であると理解される。造形プラットフォーム4のさらなる下降は、結果として、センサ5(圧力センサ5aまたは流量センサ5b)によって測定することができるチャンバ6中の容積変化(すなわち、容積の減少、および結果として生じる閉じたチャンバ6中の圧力の増加、または結果として生じる部分的に開いたチャンバ6中の流体の量の減少)をもたらす。
【0078】
図15は、特に槽ベース2の静止位置から離れる高さ調節可能な造形プラットフォーム4の移動の間に、槽ベース2に付着する、物体Kの最後に硬化されたレイヤKnを槽ベース2から剥離するために、槽ベース2を造形プラットフォーム4から離れるようにゆがめる負圧が処理ユニット8によってチャンバ6中に確立された状態の装置1を示す。図15に示す例では、造形プラットフォーム4は、正のZ方向に上向きに短い距離を既に移動している。チャンバ6中の負圧は、センサ5、特にチャンバ6中の圧力センサ5aによって検出された圧力に応じて設定される。この目的のために、圧力センサ5aは、処理ユニット8を介して、チャンバ6に接続されたコンプレッサ32に接続されている。コンプレッサ32は、好ましくは、入口27の前の弁29が開放されるとすぐに、両方向で動作することができ、すなわち、チャンバ6中に過剰圧力または負圧を生成することができる。負圧は、図15において垂直下向き矢印によって示されている。チャンバ6中に負圧を生成するために、チャンバ6は閉鎖されるか、または少なくとも閉鎖可能に構成される。
【0079】
図16は、造形プラットフォーム4または物体Kの最後に硬化されたレイヤKnが槽ベース2に接触する前に、槽ベース2を造形プラットフォーム4に向かってゆがめる過剰圧力が処理ユニット8によってチャンバ6中に確立された状態の装置1を示す。図16に示される例では、造形プラットフォーム4は、槽ベース2に接触するように、負のZ方向に下向きに短い距離だけ既に移動されている。チャンバ6中の過剰圧力の設定は、センサ5、特にチャンバ6中の圧力センサ5aによって検出された圧力に応じて行われる。この目的のために、圧力センサ5aは、処理ユニット8を介して、チャンバ6に接続されたコンプレッサ32に接続されている。過剰圧力は、箔13aの上向きの湾曲をもたらす。結果として、キャリアプレート15を使用するとき、圧力センサ5aによって圧力の急激な上昇による接触時間を検出するために、接触を使用することもできる。チャンバ6中に過剰圧力を生成するために、チャンバ6は閉鎖されるように、または少なくとも閉鎖可能に構成される。
【0080】
物体Kの生産の開始時に、造形プラットフォーム4は、槽ベース2より上のレイヤ厚さ(好ましくは10μm~300μm)の領域に位置するまで下げられる。生産されるべき物体Kの第1のレイヤK1のその後の露出は、通常、レイヤK1の造形プラットフォーム4への確実な付着を確実にするために、増加したエネルギー入力で行われる。例えば、造形プラットフォーム4の高さ位置決めの精度、槽の経年変化により、および槽生産の違いにより、造形プラットフォーム4と槽ベース2との間の距離は変化することがあり、第1のレイヤK1の付着は保証できるとは必ずしも限らない。したがって、図16に示された造形プラットフォーム4による槽ベース2の能動的な接触は適切であり、上述の問題を防止する。この目的のために、チャンバ6中の圧力は、コンプレッサ32または圧力源18(図6a参照)によって増加され、その結果、図16のように、槽ベース2のわずかに凸状の湾曲が生成される。次に、造形プラットフォーム4は、ベース2の方向に、すなわち下方に移動する。造形プラットフォーム4が湾曲槽ベース2に接触するとすぐに、チャンバ6中の圧力はさらに増加する。造形プラットフォーム4は、圧力がもはや変化しなくなるまで槽ベース2の方向にさらに移動することができ、その後槽ベース2はキャリアプレート15上に載置され、平坦に押圧される。負のZ方向へのさらなる移動は、結果として、例えば、ステップモータのステップ損失または槽3の損傷をもたらす。
【0081】
図17は、物体Kが造形プラットフォーム4から望ましくなく部分的に剥離されたエラーケースを示す。このようなエラーケースは、センサ5(圧力センサ5aまたは流量センサ5b)を用いて検出することができる。なぜなら、造形プラットフォーム4が負のZ方向に下向きにさらに移動すると、結果として、チャンバ6中の容積が早期に減少する(圧力が増加するか、または物質の量が減少する)からである。早すぎる容積減少は、既に生成されたレイヤK1~Knと、センサ5によって検出された容積減少の時間と比較されたステップモータによって通知された造形プラットフォーム4の経路とに基づいて、物体Kの予測された高さから決定および識別できる。
【0082】
図18a~図18cは、湾曲した槽ベース2が物体Kの最後に硬化されたレイヤKnからどのように剥離されるかを示しており、ここで、造形プラットフォーム4の高さは変化する(Z1<Z2<Z3)。図18aでは、造形プラットフォーム4は、正のz方向に短い距離をすでに移動している。図18bでは、造形プラットフォーム4は、正のz方向にさらに移動しており、部分的な分離が既に行われている。図18cでは、造形プラットフォーム4は、正のz方向にさらにわずかに移動しており、槽ベース2は、この時点で物体Kから完全に剥離され、その静止位置に戻っている。結果として、チャンバ6の容積は減少し、これは容積変化の負の符号(「-」)に対応する。
【0083】
図19は、センサ5、特に圧力センサ5aによって監視されるレイヤ生成の間、チャンバ6の容積の、容積の容積変化の符号の、チャンバ6が閉鎖されているときの容積変化から結果として生じるチャンバ6中の圧力変化の、および槽ベース2の静止位置に対する造形プラットフォーム4のz位置または高さの、時間プロフィールを示す。まず、硬化可能な、例えば光硬化可能の物質Sを所望の横断面形状で硬化させてレイヤKnを形成する。その後、槽ベース2と先に生成されたレイヤKn-1との間に形成された硬化レイヤKnは、槽ベース2から分離されなければならない。tstartから、造形プラットフォーム4はzから正のZ方向に移動する。槽ベース2の柔軟な設計の結果として、槽ベース2はZ方向に凹状に変形し、チャンバ6中の容積は通常の容積vnormから増加する(図18aの後まもなくを参照)。正の容積変化(符号「+」または「1」)は、結果としてpnormから始まる比例的な圧力低下をもたらし、これは圧力センサ5aによって検出される。断面形状、レイヤ厚さ、材料および他の多くの要因に応じて、生成されたレイヤKnは、高さzsep(時間tsep)に達するとすぐに(図18c参照)、槽ベース2から分離する。湾曲した槽ベース2は、その平坦な元の形状(静止位置)に急に戻る。槽ベース2の設計および材料に応じて、減衰振動が生じることがある。槽ベース2の静止位置への移行は、結果として、急速な負の容積変化(符号「-」または「-1」)をもたらし、これはvnormをもたらし、したがってpsepからpnormへの測定可能な圧力変化をもたらす。したがって、剥離時間または分離時間tsepは、たとえば、分離プロセスの間「1」から「-1」への容積変化の符号変化によって識別することができる(容積変化の符号は、オプション的に、圧力変化の逆符号として決定することができる)。結果として、分離プロセス、すなわち造形プラットフォーム4の上昇を終了させることができ、造形プラットフォームはzsepからzx+1に移動する(下げられる)。Tdispにおいて、槽ベース2を凹状に湾曲させ、チャンバ6の容積を減少させる材料の置換が生じ、その結果、測定圧力が増加する。時間tendにおいて、新しいレイヤが生成されるべきZ位置zx+1に到達する。チャンバ中の圧力pdispはpnormよりも大きい。したがって、照射、例えば露出は、時間tnextにおいてのみ開始される。これは、平坦な槽ベース2および結果として生じるチャンバ圧力pnormによって特徴付けられる材料置換が完了することを確実にする。露出時間は、Z位置のダイヤグラムにおいて格子状の長方形によって示される。分離時間tsepの知識は、プロセステクノロジーの観点から非常に価値がある。なぜなら、これがなければ、見込み分離高さzsepを仮定しなければならず、これは、各ケースにおける分離を達成するために、十分な確実性(マージン)で露出されなければならない。これは、レイヤKnが槽ベース2から既に剥離されているが、造形プラットフォーム4が(分離時間tsepの知識なしに)正のZ方向にさらに頻繁に移動されるという結果を有する。この場合、レイヤ当たり数秒が利用できなくなる。生成されるべき通常の物体は1000レイヤよりも多くのレイヤからなるので、分離時間tsepの知識ない印刷ジョブがかなり増加する。
【0084】
図20aおよび図20bは、3つの物体Kを槽ベース2から分離するプロセスを示しており、ここで、図20bでは、最も右側に示されている物体Kは既に槽ベース2から分離されており、最も右側に示されている物体Kの下の領域では、槽ベース2はその静止位置に戻っている。チャンバ6中のセンサ5(圧力センサ5aまたは流量センサ5b)によって検出される容積変化(圧力変化または物質の量の変化)によって、個々の物体Kがまだ剥離されていないかどうかを確認することができる。
【0085】
図21は、センサ5、特に圧力センサ5aによって監視されるレイヤ生成の間の、槽ベース2の静止位置に対する、圧力変化の、および造形プラットフォーム4のZ位置または高さの時間プロフィールを示す。この場合、時間tsep1において、最も右側に示された物体Kが槽ベース2から剥離され、時間tsep2において、中央に示された物体Kが槽ベース2から剥離され、時間tsep3において、最も左側に示された物体Kが槽ベース2から剥離される。圧力変化の時間プロフィールにおける3つの局所的最小値は、3つの生成された物体Kの剥離圧力psep1、psep2、psep3である。露出時間は、Z位置の図において格子状の長方形で示されている。
【0086】
図22は、実際の容積変化を比較することができる所望の容積変化の可能な計算のための分離プロセスの静的力モデルを示す。結果として、生成された物体Kを個々の分離時間に割り当てることができる。
【0087】
引張力Fobj、ゆがんだ槽ベース2の復元力Fvat、硬化可能物質Sとしての注入されたレジンの重力ρg、ならびに機械空間中の差圧(Avat-Aobj)patmおよび槽チャンバ6中の差圧Avatvatによって作り出される力に対する割り当てがなされる。
【0088】
次の式が成り立つ:
【数1】
【0089】
既知の力は、材料特性および充填レベルの知識を通して、ならびに圧力の測定によって、方程式の右側にある。機械空間は、機械中の一般的な空間として理解することができ、これは設置空間であることもある。
【0090】
objの形状および位置は既知であるので、Fvatは、Z高さおよび箔13aの材料特性を用いて近似的に計算/予測することができる。結果として、引張力Fobjを判断することができる。これは、対象の品質に影響を与え、造形プラットフォーム4からの望ましくない剥離をもたらすことがある。制御回路において、それは、制御変数としての引き上げ速度と共に基準変数としても機能することができる。
【0091】
さらに、ゆがみによる箔の曲率は、既知のパラメータの結果として計算することができる。結果として生じる所望の容積変化は、センサデータによって、以下のように得られる実際の容積変化と比較することができる。
【0092】
チャンバの状態の変化は、以下から得られる。
【数2】
ここで、容積について、V=V+ΔVistが成り立ち、結果として実際の容積変化を計算することができる。
【数3】
【0093】
所望の容積と実際の容積との間の過度の偏差(ΔVist<ΔVsoll)は、槽の剛性の低下を示し、それによって槽の経年変化または槽3の品質を評価することができる。
【0094】
したがって、装置および方法は、例えば露出マトリックスの形態で、造形プラットフォーム4の既知の位置および既知の硬化位置を用いて、可撓性槽ベース2の所望の変形をモデル化し、結果として生じる所望の圧力変化(所望の容積変化)を実際の圧力変化(容積変化)と比較することを可能にする。偏差は、とりわけ槽の剛性の変化を示し、それによって槽の経年変化または槽3の品質を評価することができる。
【0095】
図23a~図23cは、3つのプロセスシーケンスについて、造形プラットフォーム4の高さ調整と硬化可能物質Sの露出時間との関係を示す。露出時間は、図中の格子状の長方形で示されている。
【0096】
図23aは、特に、硬化可能物質Sの露出が、造形プラットフォーム4の移動とは別個の抑制レイヤIを使用せずに行われるプロセス(抑制レイヤIのない非同期モード)を示す。この場合、造形プラットフォーム4は、生成されたレイヤを槽ベース2から分離するために、正のZ方向に上向きに移動する。センサ5(圧力センサ5aまたは流量センサ5b)の測定値の結果として、生成されたレイヤの槽ベース2からの分離が識別され、造形プラットフォーム4の上昇が終了する。造形プラットフォーム4は再び下げられ、置換待ち時間の後、次のレイヤが露出される。センサ5(圧力センサ5aまたは流量センサ5b)の測定値は、抑制レイヤIのない槽3との非同期プロセスで使用されて、剥離時間を識別し、単位時間当たりの最大許容容積変化によって引き上げ速度を設定する。
【0097】
図23bは、特に、硬化可能物質Sの露出と、レイヤ厚さの高さだけ上方への造形プラットフォーム4の移動とが同時に行われるプロセスを示す(抑制レイヤを有する同期モード)。ここで、圧力センサ5aおよび流量センサ5bは、槽2の充填レベルおよび/または抑制レイヤの減少を監視するために使用することができ、したがって、チャンバ6中の圧力の適切な制御、チャンバ6中への抑制媒体の供給、およびチャンバ6中の温度の適合を可能にする。
【0098】
図23cは、特に、造形プラットフォーム4が抑制レイヤIを使用してレイヤ厚さの高さだけ上方に移動した後に、硬化可能物質Sの露出が行われるプロセスを示す(抑制レイヤIを有する非同期モード)。
【0099】
図24は、図1の装置1と同様の本発明による装置1を示しており、ここで、図1の装置1とは異なり、閉じたチャンバ6と協働する圧力センサ5aの代わりに、部分的に開いたチャンバ6と協働する流量センサ5bが設けられている。部分的に開いたチャンバ6は、流体の入口および出口として機能する開口部34を備える。したがって、チャンバ6の容積変化の場合では、チャンバ6中に含まれるまたは包含される流体は、開口部34を通って流入または流出することができる。開口部34を通るこの流体の流れは、流量センサ5bによって検出される。当業者であれば、図面に示されたいくつかの例示的な実施形態において、特に装置1によって実行されるプロセスステップに応じて、圧力センサ5aを有する閉じたチャンバ6を、流量センサ5bを有する部分的に開いたチャンバ6に置き換えることができることを理解するであろう。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 輻射によって硬化可能な物質(S)から物体(K)をレイヤごとに構築するシステムのための装置(1)であって、
輻射によって硬化可能な物質(S)を収容するための槽ベース(2)を有する槽(3)を備え、
前記槽ベース(2)より上に配置され、前記槽ベース(2)に対して高さ調節可能である造形プラットフォーム(4)を備え、
前記槽ベース(2)と協働するセンサ(5)を備え、
ここで、前記槽ベース(2)は少なくとも部分的に可撓性であるように構成されている装置(1)において、
前記装置(1)にはチャンバ(6)が設けられ、
前記チャンバ(6)は前記槽ベース(2)の下側によって範囲が定められ、
前記センサ(5)は、前記チャンバ(6)の容積変化を検出し、前記容積変化の符号を決定することができるセンサ信号を提供するように適合されている、装置(1)。
[2] 前記センサ(5)は、前記チャンバの容積または前記容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数を定量的に検出し、前記測定変数をセンサ信号として提供するように適合されていることを特徴とする、[1]に記載の装置。
[3] 前記センサ(5)は、
前記チャンバ(6)中に収容された圧縮性媒体(M)の圧力および/または圧力変化を検出するよう適合された圧力センサ(5a)であり、圧力変化は前記容積変化に対応し、および/または、
前記チャンバ(6)中に収容された流体の前記チャンバ(6)中に含まれる物質の量の前記物質の量の変化を検出するように適合および配置された流量センサであり、物質の量の変化は前記容積変化に対応し、
ここで、前記センサ(5)は、検出された圧力および/もしくは検出された圧力変化、ならびに/または検出された物質の量の変化を、測定変数およびセンサ信号として提供するように適合されていることを特徴とする、[2]に記載の装置。
[4] 前記センサ(5)は、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号を処理するように適合された処理ユニット(8)に接続されていることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の装置(1)。
[5] 前記センサ(5)は、前記処理ユニット(8)を介して、前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)のための駆動ユニット(9)に、および/または前記輻射によって硬化可能な物質(S)の照射のために設けられた輻射源(11)のための制御ユニット(10)に接続されており、
前記処理ユニット(8)は、前記センサ(5)によって提供されるセンサ信号に応じて、前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)のための駆動ユニット(9)および/または前記輻射源(11)のための制御ユニット(10)を制御するように適合されていることを特徴とする、[4]に記載の装置(1)。
[6] 前記チャンバ(6)は、
前記チャンバ(6)中の静止圧力を設定するための少なくとも1つの調節可能な圧力源(18)に、および/または
前記チャンバ(6)中の温度を設定するための調節可能な加熱装置(19)に、および/または
前記チャンバ(6)への前記輻射によって硬化可能な物質(S)の凝固プロセスの少なくとも局所的な操作のためのプロセス媒体(Mp)の調節可能な供給のための調節可能なプロセス物質源(20)に、および/または
前記チャンバ(6)中に気流を生成するための気流源(21)に接続されていることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の装置(1)。
[7] 前記センサ(5)は、前記処理ユニット(8)を介して、前記調節可能な圧力源(18)に、および/または前記調節可能な加熱装置(19)に、および/または前記調節可能なプロセス物質源(20)に、および/または前記気流源(21)に接続され、
前記処理ユニット(8)は、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記圧力源(18)を、および/または前記加熱装置(19)を、および/または前記プロセス物質源(20)を、および/または前記気流源(21)を制御するように適合されていることを特徴とする、[4]に従属する[6]に記載の装置(1)。
[8] 前記槽ベース(2)は、少なくとも部分的に輻射に透過性であり、好ましくは可撓性の、張力がかかった箔(13a)を備えることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載の装置(1)。
[9] 前記槽ベース(2)は、プロセス媒体(Mp)に対して半透過性、透過性であるように構成されることを特徴とする、[1]~[8]のいずれか一項に記載の装置(1)。
[10] 前記槽ベース(2)の少なくとも一部分は、輻射に少なくとも部分的に透過性、特に透明であるキャリアプレート(15)上に載置されていることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の装置(1)。
[11] 前記キャリアプレート(15)は、プロセス媒体(Mp)に対して透過性であるように構成されるか、または隆起部(16)間のプロセス媒体(Mp)の通路のために前記槽ベース(2)上に載置される前記隆起部(16)を備えることを特徴とする、[10]に記載の装置(1)。
[12] 前記槽ベース(2)上に、前記槽(3)中で移動可能なドクターブレード(23)が設けられていることを特徴とする、[1]~[11]のいずれか一項に記載の装置(1)。
[13] 前記センサ(5)は、処理ユニット(8)を介して、前記ドクターブレード(23)の駆動ユニット(24)に接続され、
前記処理ユニット(8)は、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記ドクターブレード(23)の前記駆動ユニット(24)を制御するように適合されていることを特徴とする、[4]に従属する[12]に記載の装置(1)。
[14] 前記槽ベース(2)は、前記チャンバ(6)のチャンバハウジング(7)の開放可能な、特に取り外し可能なカバー(22)であることを特徴とする、[1]~[13]のいずれか一項に記載の装置(1)。
[15] 輻射によって硬化可能であり、槽ベース(2)を備える槽(3)中に収容される物質(S)から物体(K)をレイヤごとに構築するための方法であって、形成されるべき前記物体(K)の各レイヤ(K1、・・・Kn)に対して、
前記槽ベース(2)に対する造形プラットフォーム(4)が高さ調節可能であり、前記造形プラットフォーム(4)は前記槽ベース(2)上のある高さまで動き、この高さは、少なくとも前記物体(K)の形成されるべきレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記造形プラットフォーム(4)または前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)との間の距離を規定し、
前記輻射によって硬化可能な物質(S)は、前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)を形成するように照射によって、輻射源(11)により選択的に硬化され、前記物体(K)の硬化されたレイヤ(Kn+1)を有する前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)は、硬化したレイヤが前記造形プラットフォーム(4)に付着し、前記物体(K)の硬化されたレイヤ(Kn+1)と前記槽ベース(2)との間に次のレイヤ(Kn+2)を形成するための空間を生成するように前記槽ベース(2)の静止位置から離れて移動され、
ここで、前記槽ベース(2)は少なくとも部分的に可撓性であるように構成され、少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記槽ベース(2)と協働するセンサ(5)によって検出される、方法において、
前記センサ(5)がチャンバ(6)の容積変化を検出し、容積変化の符号を決定できるセンサ信号を提供し、
前記チャンバ(6)は、前記槽ベース(2)の下側によって範囲が定められ、
前記チャンバ(6)の容積は、前記静止位置から前記槽ベース(2)のプロセス依存ゆがみによって変化し得る、方法。
[16] 前記センサ(5)は、前記チャンバ(6)の容積または容積変化に直接的または間接的に比例する測定変数を定量的に検出し、測定変数をセンサ信号として提供することを特徴とする、[15]に記載の方法。
[17] 前記センサ(5)は、圧力センサ(5a)または流量センサ(5b)であり、
前記チャンバ(6)中の圧縮性媒体(M)の圧力の変化は前記圧力センサ(5a)によって測定変数として検出され、前記圧力の変化は前記容積変化に対応し、または前記チャンバ(6)中に含まれる流体の物質の量の前記物質の量の変化は前記流量センサによって測定変数として検出され、前記物質の量の変化は前記容積変化に対応することを特徴とする、[16]に記載の方法。
[18] 前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号は、前記センサ(5)に接続された処理ユニット(8)において処理され、少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて設定されることを特徴とする、[15]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19] 前記処理ユニット(8)は、前記センサ信号として提供された、検出された測定変数を予測値と比較し、および/または検出された測定変数の挙動を予測値の挙動と比較し、測定変数と予測値と間の、および/または測定変数の挙動と予測値の挙動との間の差に応じて少なくとも1つのプロセスパラメータを設定することを特徴とする、[16]または[17]に従属する[18]に記載の方法。
[20] 前記センサ(5)によって検出され、前記センサ信号として提供された前記測定変数の変化は、構築プロセスの予測値のシミュレーションモデルで、前記センサ(5)に接続された処理ユニット(8)において処理され、
少なくとも1つのプロセスパラメータは、前記測定変数の少なくとも1つの検出された測定値、および/または前記シミュレーションモデルによって特定されるような、検出された測定値の変化に応じて設定されることを特徴とする、[16]または[17]に従属する[18]に記載の方法。
[21] 前記予測値および/または複数の予測値は、前記処理ユニット(8)によって、少なくとも1つのプロセスパラメータに応じて計算されることを特徴とする、[19]に記載の方法。
[22] 前記シミュレーションモデルは、少なくとも1つの設定されたプロセスパラメータを入力値として考慮することを特徴とする、[20]に記載の方法。
[23] 前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に基づいて、
前記槽ベース(2)の静止位置に対する、前記造形プラットフォーム(4)の高さ、および/もしくは物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)の高さ、ならびに/または
前記造形プラットフォーム(4)の運動速度、ならびに/または
前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)のエリアのサイズは、
前記槽ベース(2)が前記造形プラットフォーム(4)の移動によって前記静止位置からゆがめられるときに、前記処理ユニット(8)におけるプロセスパラメータとして決定されることを特徴とする、[18]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24] 前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記造形プラットフォーム(4)の高さ調整は、前記造形プラットフォーム(4)のための駆動ユニット(9)によって制御され、前記駆動ユニット(9)は、前記造形プラットフォーム(4)および前記処理ユニット(8)に接続され、および/または輻射によって硬化されることが可能な物質(S)の照射は、輻射源(11)のための制御ユニット(10)により、前記処理ユニット(8)によって制御され、前記制御ユニット(10)は、プロセスパラメータとして、前記処理ユニット(8)および前記輻射源(11)に接続されていることを特徴とする、[18]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25] 前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記処理ユニット(8)によるプロセスパラメータとして、
チャンバ(6)中の静止圧力は、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの調節可能な圧力源(18)によって設定され、および/または
前記チャンバ(6)中の温度は、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの調節可能な加熱装置(19)によって設定され、および/または
前記チャンバ(6)へのプロセス媒体(Mp)の供給は、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの調節可能なプロセス物質源(20)によって設定され、および/または
前記チャンバ(6)中の気流は、前記チャンバ(6)および前記処理ユニット(8)に接続された少なくとも1つの気流源(21)によって設定されることを特徴とする、[18]~[24]のいずれか一項に記載の方法。
[26] 前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号から、
前記槽ベース(2)に付着する、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)の前記槽ベース(2)からの剥離、ならびに/または
前記槽ベース(2)に付着する、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)の前記槽ベース(2)からの剥離高さおよび/もしくは剥離スピード、ならびに/または
前記槽ベース(2)の接触、ならびに/または
前記槽ベース(2)上の槽(3)中で移動可能なドクターブレード(23)の接触圧力、ならびに/または
前記造形プラットフォーム(4)から誤って剥離された物体(K)、および/もしくは
槽の劣化、ならびに/または
抑制媒体(Mi)を前記チャンバ(6)中に、および、輻射によって硬化可能な物質(S)上に供給するとき、前記槽ベース(2)上の前記物体(K)の予期せぬ付着、ならびに/または
前記槽(3)中で前記輻射によって硬化可能な物質(S)の充填レベル、ならびに/または
前記槽(3)を設けること、ならびに/または
前記槽ベース(2)中もしくは前記チャンバ(6)中の亀裂もしくは穴は、前記処理ユニット(8)中でプロセスパラメータとして決定されることを特徴とする、
[18]~[25]のいずれか一項に記載の方法。
[27] 前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に応じて、前記造形プラットフォーム(4)から離れるように前記槽ベース(2)をゆがめさせる負圧は、前記槽ベース(2)に付着する、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を前記槽ベース(2)から剥離するために、特に前記槽ベース(2)の前記静止位置から離れる高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)の移動中に、前記処理ユニット(8)によって前記チャンバ(6)中に設定されることを特徴とする、[18]~[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28] 前記センサ(5)によって提供される前記センサ信号に好ましくは応じて、前記造形プラットフォーム(4)または前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)が前記槽ベース(2)上に接触する前に、前記造形プラットフォーム(4)に向かって槽ベース(2)をゆがめさせる過剰圧力が、前記処理ユニット(8)によって前記チャンバ(6)において設定されることを特徴とする、[18]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29] 前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を有する前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)は、レイヤが前記造形プラットフォーム(4)に、および前記槽ベース(2)に付着して、前記槽ベース(2)の静止位置から離れて移動され、
前記槽ベース(2)からの、前記槽ベースに付着する、前記物体(K)の前記最後に硬化されたレイヤ(Kn)の剥離は、前記センサ(5)によって前記処理ユニット(8)において決定され、
前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)は前記槽ベース(2)の前記静止位置より上の高さ(Zx+1)に移動され、その高さ(Zx+1)は、新たに形成すべき、少なくとも前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記物体(K)の前記最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)の静止位置との間の距離を規定し、
その後、輻射によって硬化可能な物質(S)は、前記物体(K)の前記新たなレイヤ(Kn+1)を形成するように照射によって、前記輻射源(11)により選択的に硬化されることを特徴とする、[18]~[28]のいずれか一項に記載の方法。
[30] 抑制媒体(Mi)が前記チャンバ(6)を介して輻射によって硬化可能な物質(S)に供給され、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を有する前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)は、レイヤが前記造形プラットフォーム(4)に付着して、前記槽ベース(2)の静止位置より上の高さ(Zx+1)に移動され、その高さ(Zx+1)は、新たに形成すべき、少なくとも前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)の静止位置との間の距離を規定し、一方で、前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)の移動と同時に、輻射によって硬化可能な物質(S)は、前記物体(K)の前記新たなレイヤ(Kn+1)を形成するように照射によって、前記輻射源(11)により選択的に硬化されることを特徴とする、[18]~[29]のいずれか一項に記載の方法。
[31] 抑制媒体(Mi)が前記チャンバ(6)を介して輻射によって硬化可能な物質(S)に供給され、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)を有する前記高さ調節可能な造形プラットフォーム(4)は、そのレイヤが前記造形プラットフォーム(4)に付着して、前記槽ベース(2)の静止位置より上の高さ(Zx+1)に移動され、その高さ(Zx+1)は、新たに形成すべき、少なくとも前記物体(K)のレイヤ(Kn+1)の厚さの範囲で、前記物体(K)の最後に硬化されたレイヤ(Kn)と前記槽ベース(2)の静止位置との間の距離を規定し、その後、輻射によって硬化可能な物質(S)は、前記物体(K)の前記新たなレイヤ(Kn+1)を形成するように照射によって、前記輻射源(11)により選択的に硬化されることを特徴とする、[18]~[30]のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18a
図18b
図18c
図19
図20a
図20b
図21
図22
図23a
図23b
図23c
図24