(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】光学測定用測定システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20231128BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G01B11/00 A
G01C3/06 110A
(21)【出願番号】P 2021556978
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 DE2020200011
(87)【国際公開番号】W WO2020200372
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】102019204613.4
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513057784
【氏名又は名称】マイクロ‐エプシロン オプトロニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トベシャット、 ラース
(72)【発明者】
【氏名】グリューバ-、 クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスパイントナー、 トーマス
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102006016913(DE,A1)
【文献】特開2010-204482(JP,A)
【文献】特開2004-045039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子および/または撮像素子および/または像記録素子を備えた光学測定用の測定システムにおいて、
各応用測定の座標系とアライメントされる機械基準座標系である外部座標系を定義するかその中に位置する少なくとも1つの外部固定点と、前記光学素子および/または前記撮像素子および/または前記像記録素子の位置を定義する内部座標系を定義するかその中に位置する少なくとも1つの内部固定点とを備え、
前記外部座標
系は、高精度で、位置決めスリーブ、センタリングピンまたは当接縁部を用いてアライメントされ、
前記外部座標系および前記内部座標系
の位置は、前記測定システムの調整または較正に係る互いに一義的で再現可能
である、測定システム。
【請求項2】
前記外部座標系および前記内部座標系は、同一である、請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記外部座標系および前記内部座標系は、並進および/または回転および/または鏡映により互いに変換可能である、請求項1に記載の測定システム。
【請求項4】
前記撮像素子は、送光光学系として少なくとも1つの光学機械光源を備えている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項5】
前記像記録素子は、受光光学系として少なくとも1つの光学機械センサ素子を備えている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項6】
前記内部座標系に関する光学機械素子または送光光学系の位置は、予め設定可能な値に設定可能である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項7】
前記外部固定点および前記内部固定点は、モノリシックである構造要素に割り当てられている、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項8】
送光光学系と受光光学系とを備え、レーザ三角測量用である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の測定システムにおいて、
前記送光光学系および前記受光光学系は、前記固定点に応じて調整されるモノリシックな構造要素に配置されている、測定システム。
【請求項9】
光学機械素子がハウジングに配置される請求項8に記載の測定システムにおいて、
前記モノリシックな構造要素は、前記光学機械素子用の保持器の機能とハウジング部の機能とを有している、測定システム。
【請求項10】
前記モノリシックな構造要素は、金属から精度よくフライス加工されるか、または、金属から鋳造され、必要に応じて再加工されている、請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項11】
前記モノリシックな構造要素は、射出成形加工を用いて、合成樹脂から形成されている、請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項12】
前記モノリシックな構造要素が、繊維強化された合成樹脂から形成されている、請求項11に記載の測定システム。
【請求項13】
前記外部座標系のセットアップ用照射スポット(x,y,z)の位置の絶対基準を提供する調整装置が、送光光学系の座標系を前記外部座標系に参照付けるために設けられている、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項14】
相異なる絶対的に定義可能な距離での照射スポット(x,y,z)の位置の測定後、センサまたは前記外部座標系のセットアップは、機械的に精度よく再現されている、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項15】
距離、位置、速度、色を測定する、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項16】
前記内部座標系が、光軸を位置と方向に関して定義する、請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学測定用、特に、距離、位置、速度、色を測定するための測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ここで検討されるタイプの測定システムは、実施から十分に知られている。
ここで取り扱われるのは、ほぼ無限の応用可能性を有する光学計測である。
好適な測定システムは、非接触式で、測定対象の各測定パラメータを基準面から決定する。
測定パラメータを決定するのに必要な光学送光軸の照射スポット(点、線、任意のパターン、例えば、縞状の光など)は、一義的に基準面に割り当てられる、公差を含む円錐台(位置(x/y/z)および角度(α))につねに位置する。
【0003】
本発明による構成例に関して、以下の図面を参照する。
図面に基づく本発明の説明に関連して、特許請求の範囲も説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、三角測量を用いた場合、測定システムの実際の送光軸の理想的な送光軸からの偏差を示す概略図である。
【
図2】
図2は、三角測量を用いた場合、応用測定の目標領域を照射スポットの位置偏差とともに示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明による、応用測定の座標系との外部機械基準座標系のアライメントを示す概略図である。
【
図4】
図4は、外部座標系、内部座標系および送光光学系の関係を示す概略図である。
【
図5】
図5は、内部座標系と外部座標系の融合、特に、外側ハウジング部とハウジング内部の光学機械保持器の融合を示す概略図である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
技術水準に関して、三角測量を用いた場合、実際の送光軸の理想的な送光軸からの偏差を示す
図1を参照する。
図1は、測定システム1および測定システム2の実際の送光軸の偏差と、MBA(測定領域始点)、MBM(測定領域中間点)、および、MBE(測定領域終点)による測定面とを示す。
図は、公差を含む円錐台を示し、各測定面における測定時の課題が露呈している。
測定対象の測定に必要な照射スポットの位置は、距離に応じて変化し、センサを同タイプのセンサと取り替えると、
図2に示すように、三角測量を用いた場合、測定中の応用測定に必要な目標領域から外れることが多くある。
図2は、応用測定の目標領域と、照射スポットの位置偏差を示す。
【0006】
従来、技術水準において生じている課題は、各測定システムに応じて個別にのみ解決可能であり、以下の通りである。
【0007】
基本的に、目標領域への光学アライメントは、測定システムの機械的調整、電気機械的調整により可能である。
測定システムは、つねに、シフト、チルトまたは回転される。
このため、測定システムが元の較正とは異なるセットアップで実行される場合、距離の系統誤差が生じることがある。
【0008】
また、測定システムは、周知の座標系、例えば、三次元測定機で較正されてよく、各測定システムの位置を補正することにより目標領域に的中または到達する。
そのような較正は、例えば、球体を用いるか、または、光学測定により行われてよい。
【0009】
実施から知られている測定システムが上記課題に関して不利であるのは、測定誤差を回避するために、時間のかかる較正/調整、特に、元のアセンブリ中の調整を上回る較正/調整を行う必要がつねにあるためである。
特に、わずかなミスアライメントがあるだけで測定において各送光光線が問題となるのは、その際、光線の出射点が一義的に定められないからである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、ユーザによる追加のアライメント、調整、較正を必要としないように、光学測定用測定システムを最適化することにある。
【0011】
本発明による測定システムは、応用測定の座標系と、その外部機械基準座標系のみについてアライメントされる。
測定システムは、光軸および/または光学座標系が外部機械基準座標系と一義的関係を有するように構成されている。
2つの座標系のこの一義的関係により、
図1および
図2に関する説明による公差を含む円錐台を、大部分の応用測定において、追加のアライメント、調整、較正を必要としない程度にまで、非常に大幅に最小化することができる。
図3は、応用測定の座標系との外部機械基準座標系のそのようなアライメントを示す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、請求項1に記載の特徴により達成される。
以下の用語の定義は、本発明をよりよく理解するのに有利である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.外部機械基準座標系は、測定システムの座標系である。
以下、外部機械基準座標系は、外部座標系とも称される。
外部機械基準座標系は、外側からセンサを定義する座標系であり、センサのハウジング上にその基準点を有する。
外部機械基準座標系は、クライアントがセンサを精度よく位置決めしアライメントするために用いる座標系である。
これを目的として、単純な構成の範囲内で、センサの締結点、固定孔または固定アイレット、基準縁部または基準面が用いられる。
【0014】
2.送光光学系座標系は、光学座標系である。
これは、光線の位置を定義する、最初の仮想座標系である。
送光光学系座標系は、光学機械素子(光源、例えば、レーザに関して、撮像光学系、例えば、レンズ、ミラー、格子などに関して、および、機械的構造、例えば、開口、保持器、接続要素などに関して)に依存する。
【0015】
3.受光光学系座標系は、同様に、検出器の位置を定義する、最初の仮想座標系である。
受光光学系座標系は、光学機械素子(受光器、例えば、CCDライン、CCDマトリックスなどに関して、撮像光学系、例えば、レンズ、ミラー、格子などに関して、および、機械的構造、例えば、開口、保持器、接続要素などに関して)に依存する。
【0016】
4.内部座標系は、光軸の基準としての役割を果たす、測定システム内側の機械座標系である。
【0017】
5.応用測定座標系は、応用測定の目標領域が位置する、クライアントの座標系である。
【0018】
本発明によると、光学測定用、特に、距離、位置、速度、色を測定するための測定システムは、外部座標系を定義するか、少なくともその中に位置する少なくとも1つの外部固定点を備えている。
内部座標系を定義するか、少なくともその中に位置する少なくとも1つの内部固定点も備えられる。
2つの座標系は、測定システムの調整または較正に係る互いに一義的な位置を有する。
このように、本発明は、2つの座標系が互いに一義的に割り当てられることである。
2つの座標系のこの一義的関係により、前述の公差を含む円錐台を、少なくとも追加の測定システムのアライメント、調整、較正が不要であるように、大幅に最小化することができる。
この点については、
図3が再度参照される。
【0019】
特に、2つの座標系は、同一または合同である。
【0020】
2つの座標系は、並進および/または回転および/または鏡映により互いに変換可能である。
【0021】
内部座標系は、光学素子および/または撮像素子および/または像記録素子の位置を定義する。
【0022】
外部座標系は、各応用測定の座標系とアライメントされる機械基準座標系である。
2つの座標系は、互いに一義的な位置を有する。
【0023】
図4は、外部座標系、内部座標系および送光光学系の関係を示す。
2つの座標系の互いに一義的な位置が、本発明によるシステムの基礎である。
【0024】
撮像素子は、送光光学系として少なくとも1つの光学機械光源を備えている。
像記録素子は、受光光学系として少なくとも1つの光学機械センサ素子を備えている。
内部座標系に関する光学機械素子または送光光学系の位置は、予め設定可能な値に設定可能である。
【0025】
上述の外部固定点および内部固定点は、モノリシックである構造要素、つまり、モノブロックに割り当てられる。
【0026】
測定システムが、レーザ三角測量用システムである場合、送光光学系と受光光学系は、固定点に応じて調整されるモノリシックな構造要素に配置される。
このようにして、モノリシックな構造要素は、予め設定可能な関係にあり互いにアライメントまたは調整される送光光学系と受光光学系を保持する。
【0027】
また、光学機械素子がハウジングに配置され、測定システムの不可欠な素子がハウジングに位置するように構成されている。
この場合、モノリシックな構造要素は、2つの機能を有する。
一方で、モノリシックな構造要素は、光学機械素子用の保持器としての役割を果たす。
他方で、モノリシックな構造要素は、ハウジングの一部であってよい。
これにより、座標系の互いに一義的な位置が支援され、測定システムの構造が簡素化される。
【0028】
モノリシックな構造要素は、金属から精度よくフライス加工されるか、または、金属から鋳造され、必要に応じて再加工されてよい。
モノリシックな構造要素は、射出成形加工を用いて合成樹脂から形成され、例えば、繊維強化された合成樹脂から形成される。
また、モノリシックな構造要素は、追加の加工、例えば測定三次元造影により製造されてもよい。
【0029】
外部座標系、したがって、センサ位置決めまたはセットアップは、機械的手段を用いてアライメントされてよい。
位置決めスリーブ、センタリングピン、当接縁部などが、この目的に好適である。
これらは、簡素な位置決め手段である。
【0030】
調整装置は、送光光学系の座標系を外部座標系に参照付けるために設けられるか、または用いられてよい。
そのような調整装置は、外部座標系のセットアップ用照射スポット(x,y,z)の位置の絶対基準を提供する。
【0031】
代替的に、相異なる絶対的に定義可能な距離での照射スポット(x,y,z)の位置の測定後、センサまたは外部座標系のセットアップは、機械的に精度よく再現可能である。
【0032】
図5は、2つの座標系の融合、特に、内部座標系と外部座標系の融合を概略的に示す。
具体的には、外側ハウジング部とハウジング内部の光学機械保持器の融合である。
ここで、重要な要素として、センサセットアップまたは外部座標系は、絶対的精度で再現可能である。
これは、例えば、位置決めスリーブ、センタリングピン、当接縁部などを用いて達成される。
【0033】
上述の本発明による測定システムは、大部分の応用において、いかなる設置位置調整も必要としないという顕著に有利な点を有している。
これにより、必要なメンテナンス量が低減され、測定システムが、ユーザフレンドリーになる。
【0034】
本発明の構成に関しては、反復を避けるため、本明細書と特許請求の範囲が参照される。
【0035】
最後に、本発明の構成例は、特許請求の範囲を説明するためにのみ用いられるものであって、特許請求の範囲は、これら構成例に限定するものではない。