(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】組織試料を切除するための生検ツールおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B10/02 110Z
(21)【出願番号】P 2021570799
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 SE2020050539
(87)【国際公開番号】W WO2020242371
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521518183
【氏名又は名称】サフラン バイオプシー アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】サフラン、レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】スカンツェ、デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】オルセン、マグヌス
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第01063653(GB,A)
【文献】米国特許第04461305(US,A)
【文献】特開2007-054449(JP,A)
【文献】特表2008-501466(JP,A)
【文献】特開平10-201764(JP,A)
【文献】特開2000-152941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 9/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織試料を切除するための生検ツール(10)であって、切開状態と切断状態との間で変更されるように構成されており、
前記生検ツール(10)が、
近位端(21)と遠位端(22)との間で長手方向に延在する細長外側管状部材(20)であって、前記外側管状部材(20)が第1の周壁(23)を含み、前記外側管状部材(20)の前記遠位端(22)が、切断縁部(24)を含む、細長外側管状部材と、
前記外側管状部材(20)の内側に配置された細長内側管状部材(30)であって、前記内側管状部材(30)が、近位端(31)と、遠位端(32)と、第2の周壁(33)とを含む、細長内側管状部材と、
切断ワイヤ(40)とを含み、
前記外側および内側管状部材(20、30)が、回転軸(R)を中心に互いに対して回転可能であり、
前記外側管状部材(20)が、前記第1の周壁(23)に第1の開口部(25)を含み、前記内側管状部材(30)が、前記第2の周壁(33)に第2の開口部(35)を含み、前記第1および第2の開口部(25、35)が、前記回転軸(R)に垂直な方向に延在しており、
前記切断ワイヤ(40)がばね付勢され、前記外側管状部材(20)の前記第1の開口部(25)と関連して配置されるように構成され、
前記生検ツール(10)が、前記外側管状部材(20)および/または前記内側管状部材(30)の回転運動によって前記切断状態を得るように構成されており、この結果、第1の開口部(25)と第2の開口部(35)とが重なり合うことにより、前記切断ワイヤ(40)が
ばね力によって前記回転軸(R)に対して垂直に変位される、生検ツール(10)。
【請求項2】
前記外側管状部材(20)および前記内側管状部材(30)が、前記切断ワイヤ(40)が前記切開状態において前記第2の周壁(33)の外被面(36)に当接するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の生検ツール(10)。
【請求項3】
前記第1の開口部(25)が、前記外側管状部材(20)の外周の少なくとも半分に沿って周方向に延在し、前記第2の開口部(35)が、前記内側管状部材(30)の外周の少なくとも半分に沿って周方向に延在することを特徴とする請求項1または2記載の生検ツール(10)。
【請求項4】
前記内側管状部材(30)が、前記内側管状部材(30)の前記遠位端(32)が、前記外側管状部材(20)の前記第1の開口部(25)と前記遠位端(22)との間に配置されるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の生検ツール(10)。
【請求項5】
前記内側管状部材(30)の前記遠位端(32)が、切断縁部(34)を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項6】
前記切断ワイヤ(40)が、少なくとも1つのばね要素(45)によってばね付勢されることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項7】
前記切断ワイヤ(40)が、2つの端部(41a、41b)を含み、各端部(41a、41b)が、前記少なくとも1つのばね要素(45)に連結されていることを特徴とする請求項6記載の生検ツール(10)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのばね要素(45)が、前記外側管状部材(20)の前記第1の周壁(23)の周辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項6または7記載の生検ツール(10)。
【請求項9】
前記切断ワイヤ(40)および前記少なくとも1つのばね要素(45)が、切開状態において前記外側管状部材(20)を取り囲むことを特徴とする請求項6乃至8いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのばね要素(45)が、少なくとも1つのジグザグばね(46)を含むことを特徴とする請求項6乃至9いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのばね要素(45)が、少なくとも1つのつる巻きばね(47)を含むことを特徴とする請求項6乃至9いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項12】
前記切断ワイヤ(40)が、前記外側管状部材(20)の周辺に沿って、前記第1の周壁(23)の2つの開口部(48a、48b)を通って前記外側管状部材(20)内に延在するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項13】
前記外側および内側管状部材(20、30)の互いに対する回転が、手動および/または電動で行われることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項14】
前記生検ツール(10)が、前記外側および前記内側管状部材(20、30)を互いに対して回転させるためのアクチュエータ機構(52)を含むことを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項15】
前記生検ツール(10)が、前記生検ツール(10)が前記切開状態、前記切断状態、または中間状態にあるときを示すインジケータ機構(54)を更に含むことを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項16】
前記生検ツール(10)が、試料エジェクタ(60、61、62、63)を含むことを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項17】
前記試料エジェクタ(60、61、62、63)が、前記内側管状部材(30)の内側に配置されたばね付勢プランジャ(61)を含むことを特徴とする請求項16記載の生検ツール(10)。
【請求項18】
前記生検ツール(10)が手持ちツールであることを特徴とする請求項1乃至17いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項19】
前記生検ツール(10)が、使い捨て部(80)および再利用可能部(82)を含むことを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項20】
前記外側および前記内側管状部材(20、30)が、前記切断状態において前記回転軸(R)を中心に共に回転するように構成されており、それにより、前記切断ワイヤ(40)も回転することを特徴とする請求項1乃至19いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項21】
前記生検ツール(10)が、継ぎ手機構(91)によって接続された第1のモジュールユニット(90)および第2のモジュールユニット(92)を含むことを特徴とする請求項1乃至20いずれか1項に記載の生検ツール(10)。
【請求項22】
前記アクチュエータ機構(52)が、操縦要素(53)と伝達機構(57)とを含み、これにより、前記回転軸(R)に沿った前記操縦要素(53)の直線運動が、前記外側および前記内側管状部材(20、30)の互いに対する回転運動に変換されることを特徴とする請求項14記載の生検ツール(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織試料を切除するための生検ツールに関する。本発明はまた、このような生検ツールを使用することによって組織試料を切除するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生検は、分析のための組織試料の抽出を伴う。生検は、様々な器具および方法によって実施することができ、組織試料は、皮膚、器官、および他の構造を含む身体の上または中のほぼどこからでも採取することができる。生検は、特定の状態を診断するのに役立ち得る異常細胞を同定するために分析される細胞および組織を切除する。皮膚生検は、皮膚内の炎症性疾患、自己免疫疾患、皮膚癌、および他の癌などの皮膚状態を診断するために使用されることが多い。皮膚生検は、小黒色腫病変の完全な切除にも使用することができる。癌は世界中で主要な死因の1つであり、癌診断の数は常に増加し続けている。したがって、早期で癌を発見するために、組織の試料採取は非常に重要である。疾患を早期に診断することにより、有効な治療および生存の機会が高まる。状態が既に診断されている場合、生検を使用して、その重症度(炎症の程度など)および進行度(癌の進行度など)を評価することもできる。この情報は、最も適切な治療を決定し、人がどのくらい良好に特定の種類の治療に反応するかを評価するときに非常に有用であり得る。この情報はまた、人の全体的予後を決定するのに役立つという点で有用であり得る。したがって、生検試料採取は、ますます重要になりつつある。しかしながら、組織試料採取および分析は非常に高額であるため、生検試料採取の可用性は多くの場合、限定され得る。試料採取手順は、医療機器および医療専門家の形で多くの時間およびリソースを消費する。組織試料採取手順はまた、代表的な試料を同時に得ながら、患者の痛みおよび不快感を抑えなければならないために技術的要求が厳しい。診断誤差のリスクを低減し、信頼性の高い分析を可能にするために、代表的な試料は非常に重要である。
【0003】
組織試料を切除するための既知の1つの解決策が、米国特許第2007/0249960(A1)号に開示されている。本文書は、生検パンチおよび患者の生検領域から生検試料を切除するための方法を開示している。
【0004】
組織試料を切除するための別の既知の解決策は、米国特許出願公開第2016/0151085(A1)号に開示されている。本文書は、細長シャフトと切断ワイヤとを含む生検ツールを開示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、組織試料を切除するための有利な生検ツールを実現することである。
【0006】
本発明の別の目的は、時間および費用効率の高い組織試料の切除である。
【0007】
本明細書で言及される目的は、
-組織試料を切除するための生検ツールと、
-添付の独立した請求項による、このような生検ツールを使用することによって組織試料を切除するための方法、とによって達成される。
【0008】
したがって、本開示の一態様によれば、組織試料を切除するための生検ツールが提供される。生検ツールは、切開状態と切断状態との間で変更されるように構成される。生検ツールは、近位端と遠位端との間で長手方向に延在する細長外側管状部材であって、外側管状部材が第1の周壁を含み、外側管状部材の遠位端が切断縁部を含む細長外側管状部材と、外側管状部材の内側に配置された細長内側管状部材であって、内側管状部材が、近位端と、遠位端と、第2の周壁とを含む細長内側管状部材と、切断ワイヤとを含む。
【0009】
外側および内側管状部材は、回転軸を中心に互いに対して回転可能である。外側管状部材は、第1の周壁に第1の開口部を含み、内側管状部材は、第2の周壁に第2の開口部を含み、第1および第2の開口部は、回転軸に垂直な方向に延在する。切断ワイヤは、ばね付勢され、外側管状部材の第1の開口部と関連して配置されるように構成されている。生検ツールは、外側管状部材および/または内側管状部材の回転運動によって切断状態を得るように構成されており、その結果、第1の開口部および第2の開口部が重なり合うことにより、切断ワイヤが回転軸に対して垂直に変位される。
【0010】
本開示の別の態様によれば、本明細書に開示される生検ツールを使用することによって組織試料を切除するための方法が提供される。生検ツールは、切開状態と切断状態との間で変更されるように構成され、生検ツールは、近位端と遠位端との間で長手方向に延在する細長外側管状部材であって、外側管状部材が第1の周壁を含み、外側管状部材の遠位端が切断縁部を含む細長外側管状部材と、外側管状部材の内側に配置された細長内側管状部材であって、内側管状部材が、近位端と、遠位端と、第2の周壁とを含む細長内側管状部材と、切断ワイヤとを含み、外側および内側管状部材は、回転軸を中心に互いに対して回転可能であり、外側管状部材が、第1の周壁に第1の開口部を含み、内側管状部材が、第2の周壁に第2の開口部を含み、第1および第2の開口部が、回転軸に垂直な方向に延在し、切断ワイヤは、ばね付勢され、外側管状部材の第1の開口部と関連して配置されるように構成される。本方法は、外側管状部材の切断縁部によって組織を切開する工程と、第1の開口部および第2の開口部が重なり合うように、外側管状部材および/または内側管状部材を回転させて、それにより、切断状態が得られ、切断ワイヤが回転軸に対して垂直に変位される工程と、回転軸を中心に少なくとも外側管状部材および内側管状部材を回転させる工程とを含む。
【0011】
今日、パンチ生検は、皮膚生検のために最も広く使用されている技術である。パンチ生検の間、ユーザ(通常は医師などの医療施術者)は、円形ツールを使用して組織を切断する。医師は次に、組織試料を身体から完全に切除するために鉗子およびはさみまたはメスを使用しなければならない。医師はまた、医師が一方の手で組織試料を保持しつつ、他方の手で組織試料を切断しながら、試料採取領域を十分に清浄に保ち、切断対象と切断場所を確認するために、訓練を受けた他の医療スタッフから、例えば、血液をふき取るなどの補助を必要とする場合がある。
【0012】
本開示のように、外側管状部材の切断縁部によって組織を切開し、ばね付勢切断ワイヤによって組織試料領域から組織試料を切断および分離することによって、外科用はさみおよび/または鉗子などの他のツールを利用する必要なく、組織試料を切除することができる。加えて、本開示により、試料採取手順全体は、片手のみで、1人だけで実行され得る。よって、組織試料は、時間および費用効率の高い方法で収集され得る。
【0013】
本開示により、組織試料は、鉗子を用いて組織を引っ張ったり、フリーハンドで切断したりする必要なく、身体から切除することができる。結果として、組織試料の切除が迅速かつ容易に行われて、患者にとって試料採取手順の不安や痛みを減らすことができる。効率的な切除により、よりきれいな切断が達成され、その結果、実際の組織試料の損傷が少なくなり、より代表的な試料が得られる。皮膚に対して略垂直な真っ直ぐな切断が得られ、組織試料のより適切な分析を可能にし得る。代表的な試料は、分析時に信頼性の高い評価を行ううえで非常に重要である。本開示によると、組織試料採取深さは、切開中の観察および制御をより容易にすることができる。その結果、組織試料領域は、外傷がより少なくなり、有益な治癒が達成され得る。また、不快感の少ない患者はまた、より好適な試料採取状況を促進することで、組織試料の質が高くなり、試料を採取する人の作業状況もより良好かつ安全になる場合がある。
【0014】
本開示によれば、組織の切断、即ち、切開は、外側管状部材の遠位端における切断縁部によって達成される一方、切り離し、即ち、切断は、ばね付勢切断ワイヤによって達成される。ばね付勢切断ワイヤによって、効率的かつ半自動の裁断運動が組織試料の基部で達成され、組織試料の基部は、身体組織内の特定の深さに位置する。これにより、組織試料の効率的な切断は、例えば、真皮の下の脂肪組織層において達成され得る。生検ツールの取り扱いが容易であるため、生検ツールを使用する人は、ツールを使用するための訓練および練習が少なくて済み、これにより、組織試料採取に関連する時間および費用が更に低減される。加えて、組織試料採取のための複数の器具の需要が低下するため、医療従事者間での鋭利な血液汚染された器具を取り扱うことが著しく減少され得る。これにより、組織試料採取手順中の医療従事者の安全性を高めることができる。
【0015】
したがって、本開示による生検ツールによって、組織試料を採取するための実際の時間、訓練時間、および試料採取に必要な人の数が低減され、金融資産と人的資産の両方に関するコストを大幅に低減する。他の相乗効果としては、組織試料の質を向上させつつ、患者の痛みおよび不快感が低減されることが挙げられる。したがって、本開示により、有益な生検ツールおよび有効な試料採取手順が得られることにより、分析のための代表的な組織試料が得られる。
【0016】
本発明の更なる目的、利点、および新規な特徴は、以下の詳細な説明から、および本発明を実施することによって当業者には明らかとなるであろう。本発明を以下に記載するが、本発明は、記載される具体的な詳細に限定されないことに留意されたい。本明細書の教示にアクセスする専門家は、本発明の範囲に含まれる他の分野内の更なる用途、修正、および組み合わせを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明並びにそれの更なる目的および利点のより十分な理解のため、以下に記載の発明の詳細な説明を、添付図面と共に読み取る必要があり、図面中、同じ参照表記は、様々な図において同様のものを表す。
【
図1a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図1b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図1c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図1d】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図2a】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図2b】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図3a】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図3b】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図4a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図4b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図4c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図5a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図5b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図6a】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図6b】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図7a】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図7b】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図8a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図8b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図8c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図8d】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図9a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図9b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図10a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図10b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図10c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図10d】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図11a】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図11b】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図12a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図12b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図12c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図12d】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13d】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13e】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13f】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13g】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図13h】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図14a】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図14b】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図14c】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図14d】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図14e】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図14f】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図14g】本開示の実施例による生検ツールの概略図である。
【
図15a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図15b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図15c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図16a】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図16b】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図16c】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図16d】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図16e】本開示の一実施例による生検ツールの概略図である。
【
図17a】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図17b】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図17c】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図17d】本開示の実施例による生検ツールの詳細の概略図である。
【
図18】本開示の実施例による方法工程の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
組織試料を切除するための生検ツールについて、以下に更に詳細に記載する。生検ツールの全ての様々な実施例はまた、このような生検ツールを使用することによって組織試料を切除するための方法にも適用されると理解される。
【0019】
本開示の一態様によれば、組織試料を切除するための生検ツールが提供される。生検ツールは、切開状態と切断状態との間で変更されるように構成され、生検ツールは、近位端と遠位端との間で長手方向に延在する細長外側管状部材であって、外側管状部材が第1の周壁を含み、外側管状部材の遠位端が切断縁部を含む細長外側管状部材と、外側管状部材の内側に配置された細長内側管状部材であって、内側管状部材が、近位端と、遠位端と、第2の周壁とを含む細長内側管状部材と、切断ワイヤとを含み、外側および内側管状部材は、回転軸を中心に互いに対して回転可能であり、外側管状部材が、第1の周壁に第1の開口部を含み、内側管状部材が、第2の周壁に第2の開口部を含み、第1および第2の開口部が、回転軸に垂直な方向に延在し、切断ワイヤは、ばね付勢され、外側管状部材の第1の開口部と関連して配置されるように構成され、生検ツールが、外側管状部材および/または内側管状部材の回転運動によって切断状態を得るように構成されており、この結果、第1の開口部および第2の開口部が重なり合うことにより、切断ワイヤが回転軸に対して垂直に変位される。
【0020】
開示される生検ツールは、身体から組織試料を切除するために使用され得る。開示される生検ツールは、患者から組織試料を切除するために使用され得る。患者は、生きているヒトまたは動物であってもよい。しかしながら、生検は、医学的研究などの目的で死因を調査するための組織試料を得る機会として、検死において使用されてもよい。よって、生検ツールはまた、死んだヒトまたは動物の身体から組織試料を切除するために使用されてもよい。これは、生きている組織および/または死んだ組織から組織試料を切除するために生検ツールが使用され得ることを意味する。
【0021】
生検ツールは、切開状態と切断状態との間で変更されるように構成される。2つの異なる状態により、切開および切断の両方が、1つの同じツールによって達成され得る。これは、試料採取領域から組織試料を切除するために、鉗子、はさみ、またはメスなどの任意の追加のツールが不要であることを意味する。切開状態では、組織内に延びる第1の切断が行われてもよい。切断状態では、第1の切断に垂直な方向に切断された第2の切断が行われてもよく、それにより、組織試料が組織から切り離される。
【0022】
外側管状部材は、細長管状形状を有し、その遠位端に配置された切断縁部を有するため、細長外側管状部材は、中空円筒形メスとして構成される。切断縁部によって、生検ツールを切開状態において使用して、組織、例えば、皮膚組織を切断することができる。切断縁部は、環状断面を有してもよい。これにより、環状の切開切断を得ることができる。切断縁部は、真皮の下の脂肪組織層まで約5ミリメートル(mm)切り込むために回転させてもよい。あるいは、切断縁部は、脂肪組織に打ち込まれてもよい。切断縁部は、外側管状部材の遠位端に沿って連続的であってもよい。切断縁部は、環状の切断刃として構成されてもよい。切断縁部は、回転軸を中心に回す、即ち、回転させるまたはねじるときに切断することができる。回転は、時計回りおよび/または反時計回りであってもよい。皮膚の厚さは、身体の異なる部分毎に異なるため、切開の深さは、電流試料採取領域および採取される組織試料の種類に従って調節され得る。実施例によると、切断縁部による切開は、3~20mm、または4~16mm、または5~12mmの深さまで切断され得る。切断縁部は、身体組織で切開を行うのに好適な鋭利な材料を含んでもよい。一実施例によれば、切断縁部と外側管状部材は、同じ材料からなってもよい。一実施例によれば、切断縁部は、外側管状部材と一体化されてもよい。一実施例によれば、外側管状部材および切断縁部は、異なる材料を含んでもよい。特定の実施例によれば、外側管状部材は透明材料を含んでもよく、切断縁部は金属を含んでもよい。
【0023】
本明細書で使用するとき、「細長管状部材」という表現は、細長中空円筒を意味する。内側管状部材および外側管状部材は、環状断面を有する。内側管状部材および外側管状部材の環状断面は、内側管状部材および外側管状部材の長手方向に垂直な平面内にある。
【0024】
内側管状部材および外側管状部材は、耐食性ステンレス鋼、外科用鋼、プラスチック、または任意の他の好適な材料を含んでもよい。一実施例によれば、外側管状部材および/または内側管状部材は、透明材料を含んでもよい。透明材料は、ガラス、プラスチック、または透明な特性を有する任意の他の好適な材料を含んでもよい。一実施例によれば、外側管状部材は透明材料を含んでもよく、切断縁部はダイヤモンド粉末の表面を含んでもよい。透明材料によって、ユーザは、外側および/または内側管状部材を通じて見ることができる。この特徴は、組織試料採取領域における生検ツールの位置決めを容易にする。よって、透明特性によって、ユーザは、切開を開始する前に試料採取位置が正しいことを視覚的に確認し得る。したがって、ユーザは、切除を意図する皮膚病変が、試料採取手順の開始前に外側および内側管状部材内で適切に中心合わせされることを確認することができる。
【0025】
生検ツールは、切断ワイヤを含む。一実施例によれば、切断ワイヤの厚さは、0.15mmであってもよい。他の実施例によれば、切断ワイヤの厚さは、0.05~0.5mm、または0.1~0.4mm、または0.15~0.3mmであってもよい。切断ワイヤは、ダイヤモンド成分を含んでもよい。切断ワイヤの切断は、例えば、組織の効率的な切断のために、様々なサイズのダイヤモンド粉末を含浸させてもよい。
【0026】
本開示によれば、外側および内側管状部材は回転可能である。内側および外側管状部材は、同軸状に配置される。したがって、回転軸は、外側管状部材と内側管状部材とで同じである。外側および内側管状部材が回転可能であることにより、第1の開口部および第2の開口部の位置は、互いに対して調節され得る。一実施例によれば、内側管状部材は、外側管状部材に対して回転可能である。別の実施例によれば、外側管状部材は、内側管状部材に対して回転可能である。
【0027】
第1の開口部は、外側管状部材の外周に沿って延在する長さ、および回転軸と平行に延在する幅を有するように構成されてもよい。一実施例によれば、第1の開口部の構成は、切断ワイヤの厚さに適合されてもよい。したがって、第1の開口部の幅は、切断ワイヤが第1の開口部と関連して配置されたときに十分な空間を有し得るように、約0.5mmであってもよい。他の実施例によれば、第1の開口部の幅は、0.05~1.5mm、または0.1~1mm、または0.15~0.7mmであってもよい。
【0028】
本明細書に開示される生検ツールによって組織試料を切除するとき、組織内への切開は、外側管状部材の切断縁部によって実行され得る。切開を行うとき、生検ツールは切開状態に配置される。切断縁部は、生検ツールが切開状態にあるとき、組織試料の周囲に実質的に環状の切開を提供することができる。試料採取される対象物に切開後もまだ付着している組織試料の残りの底部は、組織試料の基部と見なすことができる。切開が、切断縁部によって皮膚などの身体組織になされるとき、身体組織の弾性により、切開に沿って間隙が形成され、より深く切断する際に、第1および第2の周壁がその間隙に導入され得る。切開が所望の組織試料採取深さになされたとき、切断ワイヤ並びに第1および第2の開口部は、組織内、例えば、皮膚試料のための真皮の下の脂肪組織層内に位置する。
【0029】
次いで、切断ワイヤの変位が、内側管状部材および外側管状部材の互いに対する回転によって開始される。次に、外側管状部材および/または内側管状部材は、第1の開口部および第2の開口部が重なり合うように回転され、それによって切断状態が得られる。切断状態において、ばね付勢切断ワイヤを阻止するものは何もないため、切断ワイヤは、ばね力によって変位させることができる。生検ツールの構成により、ばね付勢切断ワイヤの移動は、第1および第2の開口部によって案内され得る。切断ワイヤは、ばね力によって回転軸に対して垂直に変位される。よって、切断ワイヤは、外側および内側管状部材の中心に向かって径方向に変位され得る。したがって、ばね付勢切断ワイヤは、回転軸に垂直な方向に切断移動、即ち、切断運動を行うことにより、試料採取される対象物からの組織試料の基部の少なくとも一部を切り離す。よって、切断ワイヤは、切断状態において、細長内側および外側管状部材の中空内部にわたって、回転軸に対して垂直に配置される。切断ワイヤがばね付勢されることにより、切断ワイヤは、きれいな切断を行うのに適した張力を常に有し得る。
【0030】
次に、生検ツールを回転軸の周りで回転させることによって、更なる切り離し運動、即ち、切断運動が行われ得るため、組織試料の基部全体が試料である対象物から分離される。したがって、切断状態において生検ツールを回転させることによって、切断ワイヤが回転され、それにより組織試料が切り離される。それにより、試料組織の切除は、他のツールの補助なしで、生検ツールによって行うことができる。一実施例によれば、切断状態における回転軸を中心とした生検ツールの回転は、生検ツールの回転または生検ツールの各部の回転を含んでもよい。したがって、一実施例によれば、切断状態にあるときの回転軸の周りの回転は、少なくとも外側管状部材および内側管状部材の回転を含み得る。これは、外側および内側管状部材が、切断状態において回転軸を中心に共に回転することによって、切断ワイヤも回転し得ることを意味する。その結果、一実施例によれば、外側および内側管状部材が、切断状態において回転軸を中心に共に回転するように構成されており、それにより、切断ワイヤも回転する。したがって、回転軸を中心とした少なくとも外側管状部材および内側管状部材の回転は、関節回転であり得る。したがって、一実施例によれば、回転軸を中心とした回転は、外側管状部材、内側管状部材、および切断ワイヤの回転を含んでもよい。一実施例によれば、切断状態にあるときに回転軸を中心とした生検ツールの回転または少なくとも外側管状部材および内側管状部材の回転は、手動で行われてもよく、および/または電動で行われてもよい。一実施例によれば、回転軸を中心とした回転は、可動ノブ、ハンドホイール、押しボタンなどによって始動され得る。
【0031】
一実施例によれば、外側管状部材および内側管状部材は、切断ワイヤが切開状態において第2の周壁の外被面に当接するように配置される。この構成により、ばね付勢切断ワイヤは、切開状態において内側管状部材の第2の周壁の外被面によって変位されることが防止される。これにより、ばね付勢切断ワイヤは、切断状態へと移動することができない。切開状態において、ばね付勢切断ワイヤは、内側管状部材の第2の周壁の周辺に沿って配置されてもよい。したがって、細長内側管状部材の中空内部は切開状態にあり、組織試料を受容するためにアクセス可能である。
【0032】
一実施例によれば、第1の開口部は、外側管状部材の外周の少なくとも半分に沿って周方向に延在し、第2の開口部は、内側管状部材の外周の少なくとも半分に沿って周方向に延在する。第1の開口部および第2の開口部がそれぞれ、外側および内側管状部材の外周の少なくとも半分に沿って周方向に延在することにより、組織試料の基部全体を切り離すことができる。切断状態では、組織試料の基部の少なくとも半分は、ばね力によって切り離されてもよい。切断状態において、即ち、切断ワイヤが外側管状部材および内側管状部材の中空内部にわたって配置されるときに、生検ツール、または少なくとも外側管状部材および内側管状部材を回転させることによって、組織試料の基部の残りの部分を切り離すことができる。それにより、試料組織の切除は、他のツールの補助なしで、生検ツールによって行うことができる。
【0033】
一実施例によれば、第1の開口部は、外側管状部材の外周のほぼ半分に沿って周方向に延在し、第2の開口部は、内側管状部材の外周のほぼ半分に沿って周方向に延在する。
【0034】
あるいは、第1の開口部は、外側管状部材の外周の半分未満に沿って周方向に延在し、第2の開口部は、内側管状部材の外周の半分未満に沿って周方向に延在する。第1の開口部および第2の開口部が、それぞれ外側および内側管状部材の外周の半分未満に沿って周方向に延在する場合、組織試料の基部全体は切り離されなくてもよい。したがって、組織試料の基部の中心部は、切開、切断、および生検ツールの少なくとも一部の回転後も、試料採取される対象物に付着していてもよい。次いで、鉗子、はさみ、および/またはメスなどの他のツールの補助によって、残りの中心部を引き離すか、または切り離すことができる。
【0035】
第1の開口部は、外側管状部材の遠位端から一定の距離をおいて配置されてもよい。一実施例によれば、第1の開口部は、外側管状部材の遠位端から約2mm離して配置されてもよい。他の実施例によれば、第1の開口部は、外側管状部材の遠位端から0.1~7mmまたは1~3mm離して配置されてもよい。
【0036】
一実施例によれば、第1の開口部および/または第2の開口部は、実質的に矩形のスロットの外形を有してもよい。一実施例によれば、第1の開口部および/または第2の開口部は、丸みを帯びた角部を含む実質的に矩形のスロットの外形を有してもよい。第1の開口部の実質的に矩形の形状により、切断ワイヤは、切開状態において定位置に保持されてもよい。第1の開口部および第2の開口部の実質的に矩形の形状によって、切断ワイヤは、切断状態において回転軸に垂直な方向に効果的に案内され得る。一実施例によれば、第2の開口部は、ダイヤモンド形状のスロットの外形を有してもよい。ダイヤモンド形状のスロットの外形を有する第2の開口部により、切断ワイヤは効率的に案内され得る。次に、切断ワイヤの変位は、ダイヤモンド形状のスロットの端部角部に方向付けられてもよい。一実施例によれば、内側管状部材の遠位端は半円筒状であってもよい。したがって、内側管状部材の第2の開口部は、半円形であってもよい。したがって、内側管状部材の半円形遠位端は、第2の周壁の外被面を含んで、切開状態においてばね付勢切断ワイヤが変位することを防止することができる。半円形の開口部は、製造が容易であるため、有益であり得る。一実施例によれば、第2の開口部は、内側管状部材の遠位端から近位方向に外側管状部材の第1の開口部を越えて長手方向に延在する。第2の開口部のこの構成は、生検ツールの製造を容易にすることができる。
【0037】
一実施例によれば、内側管状部材は、内側管状部材の遠位端が外側管状部材の第1の開口部と遠位端との間に配置されるように配置され得る。一実施例によれば、内側管状部材は、内側管状部材の遠位端が外側管状部材の第1の開口部と切断縁部との間に配置されるように配置され得る。この構成により、内側管状部材の遠位端が、外側管状部材の遠位端に配置された切断縁部による組織の切開を妨害しないようにすることができる。
【0038】
一実施例によれば、内側管状部材の遠位端は、切断縁部を含む。一実施例によれば、内側管状部材の切断縁部は、内側管状部材の遠位端に沿って連続的であってもよい。内側管状部材および外側管状部材の両方に切断縁部を有することにより、より深い切開切断を得ることができる。
【0039】
一実施例によれば、切断ワイヤは、少なくとも1つのばね要素によって回転軸に対して垂直に変位される。したがって、生検ツールは、少なくとも1つのばね要素を含んでもよい。一実施例によれば、切断ワイヤは、少なくとも1つのばね要素によってばね付勢される。少なくとも1つのばね要素は、つる巻きばね、伸縮ばね、ジグザグばね、または任意の他の種類のばね若しくは弾性構成要素を含んでもよい。少なくとも1つのばね要素により、切断ワイヤがばね力によって変位されると、切断状態において半自動切断が達成される。
【0040】
一実施例によれば、切断ワイヤは2つの端部を含み、各端部は、少なくとも1つのばね要素に連結される。一実施例によれば、切断ワイヤは約0.15mmの厚さを有してもよく、少なくとも1つのばね要素は、0.3mmの厚さを有してもよい。別の実施例によれば、切断ワイヤは、約0.05~0.5mmの厚さを有してもよく、少なくとも1つのばね要素は0.1~3mmの厚さを有してもよい。切断ワイヤは、効率的かつきれいな切断を達成するために、少なくとも1つのばね要素より薄くてもよい。少なくとも1つのばね要素は、破断することなく効果的なばね特性を促進するために、切断ワイヤよりも厚くてもよい。しかしながら、一実施例によれば、切断ワイヤおよび少なくとも1つのばね要素は、等しい厚さを有してもよい。
【0041】
一実施例によれば、少なくとも1つのばね要素は、外側管状部材の第1の周壁の周辺に沿って配置される。一実施例によれば、切断ワイヤおよび少なくとも1つのばね要素は、切開状態において外側管状部材を取り囲む。したがって、少なくとも1つのばね要素および切断ワイヤは、外側管状部材の外周の少なくとも一部の周りに配置されてもよい。このような構成により、切断ワイヤは容易に設置および/または交換することができる。他の利点としては、構成が単純であり、切断ワイヤおよび少なくとも1つのばね要素の歪みが小さいことが挙げられる。
【0042】
一実施例によれば、少なくとも1つのばね要素は、少なくとも1つのジグザグばねを含んでもよい。ジグザグばねは効率的なばね特性が得られるために有益であるが、ジグザグばねはある範囲でほぼ平坦である。よって、ジグザグばねは、外側管状部材の周辺に沿って配置されてもよく、切開がなされたときに周囲組織の弾性に起因して、切断縁部と組織との間に生じる間隙に適合させることができる。各ジグザグの折り畳み角度などのジグザグばねの構成を変更することによって、ばねの特性は、現在の試料採取用途に適合させることができる。
【0043】
一実施例によれば、少なくとも1つのばね要素は、少なくとも1つのつる巻きばねを含む。つる巻きばねによって、連続的に切断ワイヤに適切な張力がかけられるため、信頼性の高い効率的なばね特性を得ることができる。
【0044】
一実施例によれば、切断ワイヤは、外側管状部材の周辺に沿って、第1の周壁の2つの開口部を通って外側管状部材内へと延在するように配置される。一実施例によれば、第1の周壁の2つの開口部は、外側管状部材の遠位端から延在するスロットとして構成されてもよい。したがって、切断ワイヤは、外側管状部材の中空内部に延在してもよい。切開状態において、次に、切断ワイヤは、外側管状部材の第1の周壁の内側、および内側管状部材の第2の周壁の外側に当接する。第1の周壁の2つの開口部は、互いに反対側に配置されてもよい。2つの開口部は、第1の周壁の略中央に配置されてもよい。2つの開口部は、外側管状部材の内側の切断ワイヤが切開状態において第1の周壁の外周の略半分に従うように配置されてもよい。この構成により、切断ワイヤの位置を更に固定することができる。
【0045】
一実施例によれば、外側および内側管状部材の互いに対する回転は、手動で行われるおよび/または電動で行われる。一実施例によれば、切断状態にあるときに回転軸を中心とした生検ツールの回転または少なくとも外側管状部材および内側管状部材の回転は、手動で行われてもよく、および/または電動で行われてもよい。したがって、一実施例によれば、回転軸を中心とした少なくとも外側管状部材および内側管状部材の回転は、手動および/または電動回転を含み得る。手動の解決策は、簡易で費用効果が高い。電動の解決策は、ユーザにとって操作が容易な生検ツールをもたらし得る。
【0046】
一実施例によれば、生検ツールはハウジングを含む。一実施例によれば、外側管状部材の近位端は、ハウジングに連結される。一実施例によれば、生検ツールは把持部を含む。把持部は、片手での生検ツールの容易かつ確実な把持を促進し得る。一実施例によれば、把持部は、ハウジングに固定的に配置されてもよい。したがって、把持部は、ハウジングに対して回転不能であってもよく、即ち、回転を固定されてもよい。
【0047】
一実施例によれば、生検ツールは、外側および内側管状部材を互いに対して回転させるためのアクチュエータ機構を含む。アクチュエータ機構によって、生検ツールは、切断状態、切開状態、または中間状態に設定され得る。アクチュエータ機構は、操縦要素を含んでもよい。操縦要素は、可動ノブ、ハンドホイール、押しボタンなどを含んでもよい。操縦要素は、手動および/または電動回転を始動させることができる。操縦要素は、外側および内側管状部材の互いに対する回転を可能にするために、内側管状部材または外側管状部材に接続されてもよい。一実施例によれば、操縦要素は、ハウジングと関連して配置されてもよい。
【0048】
一実施例によれば、アクチュエータ機構は、操縦要素用の対応するスロットを更に含んでもよい。一実施例では、操縦要素用の対応スロットは、ハウジング内に配置されてもよい。したがって、外側および/または内側管状部材の回転は、対応するスロット内で/に沿って、操縦要素を変位させることによって提供され得る。一実施例では、スロットは、操縦要素が回転軸を中心に変位するように構成される。一実施例によれば、回転は、回転軸に沿って、操縦要素を直線的に変位させることによって実行されてもよい。次いで、伝達によって、回転軸に沿った直線運動は、互いに対する外側および内側管状部材の回転運動に変換され得る。
【0049】
一実施例によれば、生検ツールは、生検ツールが切開状態、切断状態、または中間状態にあるときを示すインジケータ機構を更に含んでもよい。インジケータ機構によって、生検ツールの現在の状態が明確に示され得る。よって、生検ツールの不正確な取り扱いのリスクを低減することができる。一実施例によれば、インジケータ機構は、アクチュエータ機構に含まれる。
【0050】
一実施例によれば、生検ツールは、切開深さの測定機構を含む。測定機構は、切開状態において切断縁部が組織に挿入された深さをユーザに示すことができる。一実施例によれば、測定機構は、外側管状部材に目盛りを含んでもよい。例えば、mm(ミリメートル)の目盛りまたは階調は、外側管状部材の側面から視認可能であり得る。実施例によれば、測定機構は、摺動測定ロッドを含んでもよい。測定ロッドは、回転軸に平行に外側管状部材の外側に摺動自在に配置されてもよい。測定ロッドの一端は、組織試料の周囲組織の表面に配置されてもよい。次に、切開するとき、測定ロッドは、外側管状部材に対して摺動することができる。よって、測定ロッドの変位は切開深さに対応し得る。測定機構は、目盛りまたはデジタルディスプレイ上の測定値の読み取りを可能にし得る。したがって、切開深さの測定機構によって、組織内への現在の切開深さを明確に示すことができる。切開深さの測定機構によって、組織試料を不正確な深さで切断するリスクを低減することができる。
【0051】
一実施例によれば、生検ツールは、試料エジェクタを含む。試料エジェクタによって、回収された組織試料は、鉗子などの他のツールの補助なしに、生検ツールから排出され得る。鉗子などの補助によって組織試料を切除するとき、組織試料が破砕損傷および/または引張損傷にさらされ得るリスクがある。試料エジェクタによって、回収された組織試料のこうした種類の損傷リスクを低減することができる。その結果、回収された組織試料は、鉗子によって切除される組織試料と比較したときに、より代表的で高い品質を有することができ、これにより、組織試料のより適切な分析がもたらされる。一実施例によれば、試料エジェクタは、生検ツールが切開状態にあるときにのみ作動され得る。試料エジェクタが切断状態において作動されると、切断ワイヤが破断し得るリスクがある。また、切断ワイヤは、試料エジェクタが切断状態で作動される場合、組織試料を2つの部分に切断する場合がある。しかしながら、生検ツールが再び使用されることを意図しない場合、または試料を2つの部分に分割することが有益である場合、試料エジェクタは、切断状態において作動することができるように構成されてもよい。
【0052】
一実施例によれば、試料エジェクタは、内側管状部材の内側に配置されたばね付勢プランジャを含む。試料エジェクタは、通常、非排出状態にあるように構成されてもよい。これは、試料エジェクタが作動していないとき、試料エジェクタが非排出位置にあることを意味する。
【0053】
一実施例によれば、ばね付勢プランジャは、試料エジェクタアクチュエータ、プランジャ、ばね、およびエジェクタ先端部を含んでもよい。試料エジェクタアクチュエータは、回収された組織試料を排出するために押し下げられてもよい。試料エジェクタが作動されると、プランジャのエジェクタ先端部は、組織試料が外側および内側管状部材の中空内部から排出されるように、組織試料に向かって押されてもよい。これにより、鉗子などの他のツールの補助なしで、組織試料が生検ツールから排出される。
【0054】
一実施例によれば、生検ツールは手持ちツールである。手持ちツールは、軽量であり、人による取り扱いが容易である。しかしながら、本開示は、試料採取装置内に配置されてもよく、または試料採取ステーションの一部であってもよい。一実施例によれば、本開示は、検鏡などの別の装置と取り外し可能に係合されてもよい。このようにして、組織試料採取を行う人は、組織試料を回収しながら、検鏡を使用して体腔を開いた状態に維持することができる。これは、医療専門家が、例えば子宮頸部から組織試料を回収することを可能にするのに特に有用であり得る。
【0055】
一実施例によれば、生検ツールは、使い捨て装置、即ち、再利用不可能な装置であってもよい。したがって、生検ツールは、1回、即ち、1つの組織試料に対してのみ使用されてもよい。あるいは、生検ツールは、使い捨てであってもよいが、廃棄される前に、同じ患者などの同じ対象物から複数の試料を採取することを可能にしてもよい。別の実施例によれば、生検ツールは、再利用可能であってもよい。よって、生検ツールは、再利用される前に洗浄および滅菌されるように適合され得る。一実施例によれば、生検ツールは、使い捨て部と再利用可能部とを含んでもよい。組織試料と接触する生検ツールの部分は、使い捨てであってもよく、残りの部分は再利用可能であってもよい。一実施例によれば、使い捨て部は、少なくとも外側管状部材、内側管状部材、および切断ワイヤを含んでもよい。一実施例によれば、使い捨て部は、試料エジェクタの少なくとも一部を含んでもよい。一実施例によれば、使い捨て部は、エジェクタ先端部および/またはプランジャを含んでもよい。一実施例によれば、使い捨て部は、再利用可能部に取り外し可能に連結されてもよい。使い捨て部は、少なくとも継ぎ手によって再利用可能部に取り外し可能に連結されてもよい。継ぎ手は、圧入接続部、スナップ嵌め接続部、ねじ継ぎ手、クイック継ぎ手、差込み継ぎ手、または他のタイプの接続部若しくは継ぎ手を含んでもよい。組織試料と接触する生検ツールの使い捨て部は、使用後に容易に捨てて、新しい未使用の滅菌済み使い捨て部と交換され得るため、使い捨て部と再利用可能部とを含む生検ツールは有益であり得る。したがって、試料採取間の生検ツール全体の洗浄および滅菌を必要とせずに、組織試料と接触している生検ツールの部分の無菌性が保持される。残りの部分、即ち、再利用可能部は、再利用可能であり、費用効果が高く、廃棄物を低減する。
【0056】
一実施例によれば、生検ツールは、継ぎ手機構によって接続された第1のモジュールユニットおよび第2のモジュールユニットを含んでもよい。一実施例によれば、第1のモジュールユニットは、交換可能および/または使い捨てであってもよい。したがって、前述の使い捨て部は、一実施例によれば、第1のモジュールユニットを含んでもよい。第2のモジュールユニットは、交換可能および/または再利用可能であってもよい。したがって、上記の再利用可能部は、一実施例によれば、第2のモジュールユニットを含んでもよい。一実施例によれば、第1および/または第2のモジュールユニットは、使い捨て部を含んでもよい。例えば、第1のモジュールは、外側管状部材、内側管状部材、および切断ワイヤを含んでもよい。これらの部分は、組織試料と接触してもよく、したがって使い捨てであってもよく、一方、第1のモジュールユニットの残りの部分は再使用されるように構成されてもよい。
【0057】
継ぎ手機構によって接続された第1のモジュールユニットおよび第2のモジュールユニットを有することによって、生検ツールは、本組織試料採取状況に適合され得る。例えば、再利用可能な第2のモジュールユニットを含む交換可能かつ使い捨ての第1のモジュールユニットの組み立てが容易になり得る。一実施例によれば、異なる直径の外側管状部材および対応する内側管状部材を含む様々な第1のモジュールユニットは、同じ再利用可能な第2のモジュールユニットに接続されてもよい。異なるサイズおよび性能特性の様々な第2のモジュールユニットも利用可能であり得る。したがって、異なる幾何学的寸法および強度の第1および第2のモジュールユニットを含むモジュールシステムが達成されることにより、異なるサイズの組織試料採取が可能となる。一実施例によれば、第1のモジュールユニットは、外側管状部材、内側管状部材、および切断ワイヤを含みてもよく、第2のモジュールユニットは、アクチュエータ機構および操縦要素を含んでもよい。このような実施例では、例えば、直径1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ミリメートルの外側管状部材を含む第1のモジュールユニットが製造されてもよい。異なるサイズの第1のモジュールユニットは全て、継ぎ手機構によって同じ第2のモジュールユニットに接続されてもよい。したがって、生検ツールは、本組織試料採取状況に好適なサイズの第1のモジュールユニットを第2のモジュールユニットに接続することによって、現在の用途に併せて適合および調整され得る。特定の実施例によれば、第2のモジュールユニットの第1の変形は、1~5mmの範囲の外側管状部材を含む第1のモジュールユニットと協働するように構成されてもよく、第2のモジュールユニットの第2の変形は、6~10mmの範囲の外側管状部材を含む第1のモジュールユニットと協働するように構成されてもよい。一実施例によれば、第2のモジュールユニットの第3の変形は、11~20mmの範囲の外側管状部材を含む第1のモジュールユニットと協働するように構成されてもよい。これにより、第2のモジュールユニットは、外側管状部材の全ての可能なサイズに適合するために過度に大きすぎるサイズである必要はない。これにより、大小の組織試料採取の両方に好適な、あまり嵩高くなく細長い生検ツールが達成される。よって、継ぎ手機構によって接続される第1および第2のモジュールユニットの構成により、多用途かつ可撓性の生検ツールが達成され得る。
【0058】
継ぎ手機構は、圧入接続部、スナップ嵌め接続部、ねじ継ぎ手、クイック継ぎ手、差込み継ぎ手、クランプ継ぎ手、または他のタイプの接続部若しくは継ぎ手を含んでもよい。一実施例によれば、継ぎ手機構は、第1のモジュールユニットに配置されるように構成された第1の継ぎ手と、第2のモジュールユニットに配置されるように構成された対応する第2の継ぎ手とを含んでもよい。
【0059】
前述したように、生検ツールは、外側および内側管状部材を互いに対して回転させるためのアクチュエータ機構を含んでもよい。一実施例によれば、アクチュエータ機構は、操縦要素および伝達機構を含んでもよく、それにより、回転軸に沿った操縦要素の直線運動は、外側管状部材および内側管状部材の互いに対する回転運動に変換される。一実施例によれば、アクチュエータ機構は、ばね付勢操縦要素を含んでもよい。したがって、アクチュエータ機構は、操縦要素を中立位置に押し込むばね部材を含んでもよい。中立位置は、切開状態または切断状態のいずれかに対応し得る。一実施例によれば、伝達機構は、玉軸受を含んでもよい。
【0060】
一実施例によれば、伝達機構は、少なくとも1つの案内ピンと、少なくとも1つの対応するガイド溝とを含んでもよい。操縦要素が回転軸に沿って押し下げられると、次に、少なくとも1つのガイド溝内で摺動する少なくとも1つの案内ピンによって、操縦要素の直線運動が回転運動に変換され得る。一実施例によれば、少なくとも1つのガイド溝は、回転軸を中心に回転するように構成された伝達シリンダ要素に配置されてもよい。一実施例によれば、伝達シリンダ要素は、操縦要素の作動毎に半回転することができる。少なくとも1つの案内ピンは、ハウジングに対して軸方向に移動しながら、操縦要素に対して固定されてもよい。しかしながら、別の実施例によれば、少なくとも1つのガイド溝は、ハウジングに配置されてもよい。
【0061】
一実施例によれば、伝達機構は、少なくとも1つのばね付勢案内ピンと、少なくとも1つの径方向に傾斜したガイド溝とを含んでもよい。この実施例によれば、伝達シリンダ要素は、操縦要素が押し下げられると、回転軸を中心に180度回転し得る。ガイド溝内で軸方向の下方移動が完了すると、ばね部材によって、操縦要素は、中立位置に戻ることができる、即ち、押し下げられない。したがって、ばね付勢案内ピンと組み合わせたガイド溝の径方向の傾斜は、操縦要素が中立位置に戻るときにばね部材が上方へ移動するのを支援し得る。
【0062】
別の実施例によれば、伝達シリンダ要素は、操縦要素が押し下げられると、回転軸を中心に約170度回転してもよい。ガイド溝内で下方移動が完了すると、ばね部材は、操縦要素を中立位置に戻し、したがって、上方移動中に、完全な半回転即ち180度までの最終回転運動を完了させることができる。
【0063】
よって、回転運動への直線運動の伝達は、内側管状部材および/または外側管状部材半体を回転軸を中心に半回転させ、その結果、切断ワイヤを変位させる、即ち、生検ツールの状態を切開状態と切断状態との間で変更することができる。一実施例によれば、伝達シリンダ要素は、少なくとも1つの中間部材を介して内側および/または外側管状部材に連結され、回転運動を伝達することができる。一実施例によれば、少なくとも1つの中間部材は、内側管状部材に接続される内側管状部材ソケットを含んでもよい。
【0064】
一実施例によれば、ハウジングは、回転軸に沿って分割可能に構成されてもよい。分割可能な解決策は、生検ツールの製造および組み立てに有益であり得る。一実施例によれば、第1のモジュールユニットは、回転軸に沿って分割可能に構成された2片カバーを含んでもよい。分割可能な2片カバーを有することによって、生検ツールの組み立てが容易になり得る。特に、切断ワイヤの搭載は、カバーが回転軸に沿って分割可能であるとき、生検ツールの内側部分へのアクセスを増大することができるため、より容易になり得る。一実施例によれば、外側管状部材は、例えば成形または糊付けによって、カバーの2片のうちの一方に締結されてもよい。一実施例によれば、切断ワイヤは、切断ワイヤソケットを介して少なくとも1つのばね要素に連結されてもよい。切断ワイヤの2つの端部は、締結機構によって切断ワイヤソケットに接続されてもよく、切断ワイヤソケットは、少なくとも1つのばね要素に接続されてもよい。締結機構は、締結プラグ、クランプ、ねじ、または切断ワイヤの2つの端部を定位置に保持する任意の他の好適な締結機構を含んでもよい。したがって、分割可能な2片カバーによって、より時間および費用効果の高い生検ツールの組み立てが達成され得る。一実施例によれば、第2のモジュールユニットは、回転軸に沿って分割可能に構成された2片カバーを含んでもよい。
【0065】
一実施例によれば、外側管状部材は、第1の周壁に第1の窓開口部を含み、窓開口部は、回転軸に垂直な方向に延在する。第1の窓開口部によって、操作者は、第1の窓開口部を通じて組織試料領域を視覚的に観察することができる。これにより、生検ツールの照準が改善され、適切な組織試料採取を確保することができる。実施例によれば、内側管状部材は、第2の周壁に第2の窓開口部を含み、第2の窓開口部は、回転軸に垂直な方向に延在する。第2の窓開口部は、切開状態において第1の窓開口部と重なり合うように構成されてもよい。第2の窓開口部は、内側管状部材が第1の窓開口部を通じて視野を遮断し得る構成で必要とされ得る。一実施例によれば、第1の窓開口部は、インジケータとして機能してもよい。生検ツールが切開状態にあるとき、第1の窓開口部は遮断されない一方、切断状態は、第1の窓開口部は内側管状部材によって遮断される。これは、第1の窓開口部の視覚的観察によって、操作者が生検ツールの現在の状態を判定できることを意味する。したがって、一実施例によれば、前述のインジケータ機構は、第1の窓開口部を含んでもよい。したがって、第1の窓開口部は、生検ツールが切開状態、切断状態、または中間状態にあるときを示すことができる。
【0066】
本開示の一実施例によれば、生検ツールは、皮膚から組織試料を回収するように構成され得る。しかしながら、本開示はまた、例えば、子宮頸部から組織試料を回収するのに好適である。
【0067】
本開示の一態様によれば、生検ツールを使用することによって組織試料を切除するための方法が提供される。生検ツールは、切開状態と切断状態との間で変更されるように構成され、生検ツールは、近位端と遠位端との間で長手方向に延在する細長外側管状部材であって、外側管状部材が第1の周壁を含み、外側管状部材の遠位端が切断縁部を含む細長外側管状部材と、外側管状部材の内側に配置された細長内側管状部材であって、内側管状部材が、近位端と、遠位端と、第2の周壁とを含む細長内側管状部材と、切断ワイヤとを含み、外側管状部材および内側管状部材は、回転軸を中心に互いに対して回転可能であり、外側管状部材が、第1の周壁に第1の開口部を含み、内側管状部材が、第2の周壁に第2の開口部を含み、第1および第2の開口部が、回転軸に垂直な方向に延在し、切断ワイヤがばね付勢され、外側管状部材の第1の開口部と関連して配置されるように構成され、本方法は、外側管状部材の切断縁部によって組織を切開する工程と、第1の開口部および第2の開口部が重なり合うように、外側管状部材および/または内側管状部材を回転させて、切断状態が得られて、切断ワイヤが回転軸に対して垂直に変位される工程と、少なくとも外側管状部材および内側管状部材を回転軸を中心に回転させる工程とを含む。
【0068】
本明細書に開示される方法は、身体から組織試料を切除するために使用されてもよい。本明細書に開示される方法は、患者から組織試料を切除するために使用されてもよい。患者は、生きているヒトまたは動物であってもよい。しかしながら、生検は、医学的研究などの目的で死因を調査するための組織試料を得る機会として、検死において使用されてもよい。よって、本方法はまた、死んだヒトまたは動物の身体から組織試料を切除するために使用されてもよい。これは、生きている組織および/または死んだ組織から組織試料を切除するために本方法が使用され得ることを意味する。一実施例によれば、本方法は、本明細書に開示されるような生検ツールを使用することによって、生きていないヒトまたは動物から組織試料を切除するための方法と称され得る。一実施例によれば、本方法は、本明細書に開示されるような生検ツールを使用することによって、生きていない組織を含む組織試料を切除するための方法と称され得る。一実施例によれば、本方法は、本明細書に開示されるような生検ツールを使用することによって、生きていない組織からなる組織試料を切除するための方法と称され得る。
【0069】
外側管状部材の切断縁部によって組織を切開する方法工程により、組織への切開が得られる。切開工程を実行するとき、生検ツールは切開状態に配置される。生検ツールは、組織試料採取領域、例えば、皮膚に対して実質的に垂直に位置決めされてもよい。次いで、例えば、真皮の下の脂肪組織層まで切り込むために、切断縁部を回転軸を中心に回転させてもよい。切断縁部の回転は、時計回りおよび/または反時計回りであってもよい。一実施例によれば、切断縁部の回転は、生検ツール全体を回転させることによって手動で行ってもよい。別の実施例によれば、切断縁部の回転は、電動で行ってもよい。あるいは、切断縁部は、脂肪組織に打ち込まれてもよい。切開が所望の組織試料採取深さになされたとき、切断ワイヤ並びに第1および第2の開口部は、組織内、例えば、皮膚試料のための真皮の下の脂肪組織層内に位置する。この時点で、組織試料の基部は、試料採取される対象物にまだ付着していてもよい。
【0070】
外側管状部材および/または内側管状部材を回転させる方法工程によって、第1の開口部と第2の開口部とが重なり合うように、切断状態が得られる。切断状態において、ばね付勢切断ワイヤを阻止するものは何もないため、切断ワイヤは、ばね力によって変位させることができる。よって、切断ワイヤは、ばね力によって回転軸に対して垂直に変位され、第1および第2の開口部によって案内される。よって、切断ワイヤは、外側および内側管状部材の中心に向かって径方向に変位され得る。したがって、ばね付勢切断ワイヤは、回転軸に垂直な方向に切断移動、即ち、切断運動を行うことにより、試料採取される対象物からの組織試料の基部の少なくとも一部を切り離す。
【0071】
少なくとも外側管状部材および内側管状部材Iを回転軸を中心に回転させる方法工程によれば、更なる切り離し運動、即ち切断運動が達成され得る。したがって、回転軸を中心とした少なくとも外側管状部材および内側管状部材の回転は、関節回転であり得る。これは、少なくとも外側管状部材および内側管状部材が回転軸を中心に一緒に回転し得ることを意味する。一実施例によれば、生検ツール全体を回転軸を中心に回転させることができる。一実施例によれば、生検ツール、または少なくとも外側管状部材および内側管状部材は、回転軸を中心に少なくとも180度、即ち、少なくとも半回転させることができる。一実施例によれば、生検ツール、または少なくとも外側管状部材および内側管状部材は、回転軸を中心に約180度、即ち半回転させることができる。したがって、切断状態にあるとき、生検ツール、または少なくとも外側管状部材および内側管状部材を回転させることによって、切断ワイヤは回転され、それによって、試料採取されている対象物から組織試料の基部を切り離す。生検ツール、または少なくとも外側管状部材および内側管状部材は、任意の方向に回転され得る。実施例によれば、生検ツール、または少なくとも外側管状部材および内側管状部材は、回転軸を中心に少なくとも270度、または少なくとも360度、または少なくとも540度回転させることができる。更なる回転により、患者から生検ツールを取り外す前に、組織試料が完全に切り離されることが保証され得る。これにより、組織試料の基部の残りの未切断部分のリスクが低減され、患者および操作者の両方に対してより有利な試料採取状況が容易になる。
【0072】
切開する工程と、切断状態が得られるように外側管状部材および/または内側管状部材を回転させる工程と、切断状態において生検ツールの少なくとも一部を回転させる工程とによって、組織試料の回収に関連する技術的課題にもかかわらず、組織試料の効率的な切除が達成される。これにより、生検ツールを使用することによる組織試料採取の有益な方法が達成され、これにより、他のツールの補助なしで組織試料を効率的に切除することが可能となる。
【0073】
一実施例によれば、切開する工程の前に、切断ワイヤが第2の周壁の外被面に当接するように、外側管状部材および/または内側管状部材を回転させて、切開状態が得られる工程を更に含む。切開状態が得られるように外側管状部材および/または内側管状部材を回転させる方法工程により、ばね付勢切断ワイヤが内側管状部材の第2の周壁の外被面によって変位されることが防止される。これにより、ばね付勢切断ワイヤは、切断状態へと移動することができない。切開状態において、ばね付勢切断ワイヤは、内側管状部材の第2の周壁の周辺に沿って配置されてもよい。したがって、細長内側管状部材の中空内部は切開状態にあり、組織試料を受容および回収するためにアクセス可能である。
【0074】
一実施例によれば、方法は、組織試料を排出する工程を更に含んでもよい。組織試料は、試料エジェクタによって排出されてもよい。組織試料を排出する工程によって、回収された組織試料は、鉗子などの他のツールの補助なしに、生検ツールから排出され得る。鉗子の補助によって組織試料を切除するとき、組織試料が破砕損傷および/または引張損傷にさらされ得るリスクがある。組織試料を排出する方法工程によって、回収された組織試料のこうした種類の損傷リスクを低減することができる。その結果、回収された組織試料は、鉗子によって生検ツールから切除された組織試料と比較して、より代表的で高い品質を有することができる。よって、排出工程によって、より代表的な組織試料を得ることができ、組織試料のより適切な分析をもたらす。
【0075】
一実施例によれば、組織試料を排出する工程の前に、生検ツールは、組織試料採取領域から取り外されてもよい。生検ツールは、組織試料がペトリ皿、試料採取容器、または他の格納装置内に排出され得るように再配置されてもよい。
【0076】
一実施例によれば、本方法は、排出する工程の前に、切断ワイヤが第2の周壁の外被面に当接するように、外側管状部材および/または内側管状部材を回転させて、それにより切開状態が得られる工程を更に含んでもよい。これは、生検ツールが切開状態にあるときに組織の排出が始動され得ることを意味する。
【0077】
生検ツールが切断状態にあるときに、回収された組織試料が排出される場合、切断ワイヤが破断し得るリスクがある。また、切断ワイヤは、生検ツールが切断状態にあるときに組織試料が排出される場合、組織試料を2つの部分に切断する場合がある。しかしながら、生検ツールが再び使用されることを意図しない場合、または組織試料を2つの部分に分割することが有益である場合、組織試料を排出する工程は、生検ツールが切断状態にあるときに行われてもよい。一実施例によれば、組織試料を排出する工程は、生検ツールが切開状態にあるときにのみ開始され得る。
【0078】
一実施例によれば、方法工程のいずれかにおける外側管状部材および/または内側管状部材の回転は、手動および/または電動で行われてもよい。一実施例によれば、方法工程において、少なくとも外側管状部材および内側管状部材の回転は、手動および/または電動で行われてもよい。
【0079】
本開示は、以下添付の図面を参照して更に例示され、明瞭性と本開示の理解のために、重要でない一部の詳細は図面から削除する。更に、本発明をより明確に説明するために、一部の特徴は誇張されている場合があるため、図面は縮尺とおりに描かれていると見なすべきではない。
【0080】
図1a~1c、4a~4c、5a~5b、8a~8d、9a~9b、10a~10d、11a~11b、12a~12d、13a~13b、13d~13e、15a~15c、および16a~16dは、本開示の実施例による生検ツール10の実施例の概略図である。
図2a~
図2b、
図3a~
図3b、
図6a~
図6b、
図7a~
図7b、13c、13f、14a~14g、16e、および17a~17dは、本開示の実施例による生検ツール10の詳細の概略図である。
【0081】
上述の図に示す生検ツール10は、切開状態(図中ISとして示す)と切断状態(図中SSとして示す)との間で変更されるように構成されている。
【0082】
図1a~1cは、本開示の一実施例による組織試料を切除するための生検ツール10の4つの概略的側面図である。4つの異なる側面図は、正面図、背面図、および2つの側面図に対応する。
図4a~
図4cは、
図1a~
図1dに示す実施例の概略斜視図である。
図5aは、
図1a~
図1dおよび
図4a~
図4dに示す実施例の概略側面図であり、
図5bは、
図5aに示す実施例のA-Aに沿った断面図である。
図11bは、
図5a~5bに示す実施例の斜視図である。
【0083】
図8a~8dは、本開示の別の実施例による組織試料を切除するための生検ツール10の4つの概略側面図である。4つの異なる側面図は、正面図、背面図、および2つの側面図に対応する。
図9a~9bは、
図8a~8dに示す実施例の概略斜視図である。
図10a~
図10cは、
図8a~8dおよび9a~9bに示す実施例の概略側面図である。
図10bは、
図10aに示す実施例のB-Bに沿った断面図である。
図10dは、
図10cに示す実施例のC-Cに沿った断面図である。
図11aは、
図10a~10dに示す実施例の斜視図である。
【0084】
図12a~12dは、本開示の別の実施例による組織試料を切除するための生検ツール10の概略側面図(
図12a)および3つの概略斜視図(
図12b~12c)である。
図13a~13hは、
図12a~12dに示す実施例の概略側面図である。
図13bは、
図13aに示す実施例のD-Dに沿った断面図である。
図13cは、
図13aの実施例の詳細Gの側面図である。
図13dは、
図13bの実施例の詳細Hの側面図である。
図13fは、
図13eに示す実施例のE-Eに沿った断面図である。
図13gは、
図13eの実施例の詳細Kの側面図である。
図13hは、
図13fの実施例の詳細Lの側面図である。
図14a~
図14gは、
図12a~12dおよび13a~13gに示すような実施例の詳細の概略側面図および概略上面図(
図14g)である。
図14bは、
図14aに示す実施例のE-Eに沿った断面図である。
図14dは、
図14cに示す実施例のF-Fに沿った断面図である。
図15a~15cは、
図12a~12d、13a~13g、および14a~14bに示す実施例の概略側面図である。
図16a~16dは、
図12a~12d、13a~13g、14a~14d、および15a~15cに示す実施例の概略斜視図である。
図16cは、
図12a~12d、13a~13g、14a~b、14e~14g、15a~15c、および16a~16dに示す実施例の詳細の斜視図である。
図17a~17dは、本開示の詳細の側面図である。
【0085】
図1a~1c、4a~4c、5a~5b、8a~8b、9a~9b、10a~10d、12a~12d、13a~13h、および16a~16eに示すように、生検ツール10は、近位端21と遠位端22との間で長手方向に延在する細長外側管状部材20を含む。外側管状部材20は、第1の周壁23を含み、外側管状部材20の遠位端22は、切断縁部24を含む。生検ツール10は、細長内側管状部材30を更に含み、外側管状部材20の内側に配置される。内側管状部材30は、近位端31と、遠位端32と、第2の周壁33とを含む。生検ツール10は、切断ワイヤ40を更に含む。外側および内側管状部材20、30は、回転軸Rを中心に互いに対して回転可能である。外側管状部材20は、第1の周壁23に第1の開口部25を含み、内側管状部材30は、第2の周壁33に第2の開口部35を含む。第1および第2の開口部25、35は、回転軸Rに垂直な方向に延在している。切断ワイヤ40は、ばね付勢され、外側管状部材20の第1の開口部25と関連して配置されるように構成されている。生検ツール10は、外側管状部材20および/または内側管状部材30の回転運動によって切断状態(SS)を得るように構成され、これにより、第1の開口部25および第2の開口部35が重なり合うことにより、切断ワイヤ40が回転軸Rに対して垂直に変位される。
【0086】
【0087】
生検ツール10によって組織試料を切除するとき、組織内への切開は、外側管状部材20の切断縁部40によって提供され得る。切開を行うとき、生検ツール10は切開状態(IS)に配置される。切断縁部40は、生検ツール10が切開状態(IS)にあるとき、組織試料の周囲に実質的に環状の切開を提供することができる。組織試料の基部は、試料採取される対象物に切開後もまだ付着していてもよい。切開が所望の組織試料採取深さまでなされたとき、切断ワイヤ40および第1および第2の開口部25、35は、組織内に位置する。
【0088】
切開後、外側管状部材20および/または内側管状部材30が回転させられて、第1の開口部25および第2の開口部35が重なり合うことによって、切断状態(SS)が得られる。切断状態(SS)において、ばね付勢切断ワイヤ40を阻止するものは何もないため、切断ワイヤ40は、ばね力によって変位させることができる。生検ツール10の構成により、ばね付勢切断ワイヤ40の移動は、第1および第2の開口部25、35によって案内され得る。切断ワイヤは、ばね力によって回転軸Rに対して垂直に変位される。よって、切断ワイヤは、外側および内側管状部材20、30の中心に向かって径方向に変位され得る。したがって、ばね付勢切断ワイヤ40は、回転軸に垂直な方向に切断移動、即ち、切断運動を行う。それにより、試料採取される対象物からの組織試料の基部の少なくとも一部が切り離されてもよい。よって、切断ワイヤ40は、切断状態(SS)において、細長外側および内側管状部材20、30の中空内部にわたって、回転軸Rに対して垂直に配置される。
【0089】
次に、生検ツール10を回転軸Rの周りで回転させることによって、更なる切り離し運動、即ち切断運動が行われ得るため、組織試料の基部全体が試料である対象物から分離される。したがって、切断状態(SS)において生検ツール10を回転させることによって、切断ワイヤ40が回転され、それにより組織試料が切断される。その結果、試料組織の切除は、他のツールの補助なしで生検ツール10を用いて行うことができる。一実施例によれば、切断状態における回転軸Rを中心とした生検ツール10の回転は、生検ツール10の回転または生検ツール10の各部の回転を含んでもよい。したがって、一実施例によれば、切断状態にあるときの回転軸Rの周りの回転は、少なくとも外側管状部材20および内側管状部材30の回転を含み得る。これは、外側および内側管状部材20、30が、切断状態において回転軸Rを中心に共に回転することによって、切断ワイヤ40も回転し得ることを意味する。したがって、外側および内側管状部材20、30は、切断状態において回転軸Rを中心に共に回転することによって、切断ワイヤ40も回転するように構成することができる。一実施例によれば、切断状態にあるときに回転軸Rを中心とした生検ツール10の回転または少なくとも外側管状部材20および内側管状部材30の回転は、手動で行われてもよく、および/または電動で行われてもよい。
【0090】
一実施例によれば、外側管状部材20および内側管状部材30は、切断ワイヤ40が切開状態(IS)において第2の周壁33の外被面36に当接するように配置される。
図2a、
図3a、
図6a、および
図7aは、切開状態を詳細に示す。切開状態(IS)において、ばね付勢切断ワイヤ40は、内側管状部材30の第2の周壁33の周辺に沿って配置されてもよい。よって、細長内側管状部材20、30の中空内部は、切開状態では、組織試料を受容するために開放され、アクセス可能である。
【0091】
一実施例によれば、第1の開口部25は、外側管状部材20の外周の少なくとも半分に沿って周方向に延在してもよく、第2の開口部35は、内側管状部材30の外周の少なくとも半分に沿って周方向に延在してもよい。一実施例によれば、第1の開口部25は、外側管状部材20の外周のほぼ半分に沿って周方向に延在し、第2の開口部35は、内側管状部材30の外周のほぼ半分に沿って周方向に延在する。あるいは、第1の開口部25は、外側管状部材20の外周の半分未満に沿って周方向に延在してもよく、第2の開口部35は、内側管状部材30の外周の半分未満に沿って周方向に延在してもよい。
【0092】
第1の開口部25は、外側管状部材20の遠位端22の近傍に配置されてもよい。第1の開口部25は、外側管状部材20の切断縁部40の近傍に配置されてもよい。
【0093】
一実施例によれば、第1の開口部25および/または第2の開口部35は、
図2a~
図2bおよび
図7a~
図7bに示すように、実質的に矩形のスロットの外形を有してもよい。一実施例によれば、第1の開口部25および/または第2の開口部35は、
図2a~
図2b、
図3a~
図3b、
図13d、13h、16e、および
図17a~
図17dに示すように、丸みを帯びた角部を含む実質的に矩形のスロットの外形を有してもよい。一実施例によれば、第2の開口部35は、
図6a~
図6bおよび
図7a~
図7bに示すように、ダイヤモンド形状のスロットの外形を有してもよい。一実施例によれば、内側管状部材30の遠位端32は、
図3a~
図3b、
図4a~
図4c、
図9a~
図9b、
図13a~
図13h、および
図17a~
図17bに示すように、半円筒状であってもよい。したがって、内側管状部材30の第2の開口部35は、
図3a~
図3bおよび
図17a~
図17bに示すように、半円形であってもよい。一実施例によれば、第2の開口部35は、
図3a~3b、13a~13h、および17a~17bに示すように、内側管状部材30の遠位端32から外側管状部材20の第1の開口部25を近位方向に越えて長手方向に延在する。
【0094】
一実施例によれば、内側管状部材30は、例えば
図2a~
図2b、
図3a~
図3b、
図4a~
図4c、
図6a~
図6b、
図7a~
図7b、および
図9a~
図9bに示すように、内側管状部材30の遠位端32が外側管状部材20の第1の開口部25と遠位端22との間に配置されるように配置されてもよい。一実施例によれば、内側管状部材30は、内側管状部材30の遠位端32が外側管状部材20の第1の開口部25と切断縁部40との間に配置されるように配置されてもよい。
【0095】
一実施例によれば、内側管状部材30の遠位端32は、切断縁部34を含んでもよい。一実施例によれば、切断ワイヤ40は、少なくとも1つのばね要素45によって回転軸Rに対して垂直に変位される。一実施例によれば、切断ワイヤ40は、少なくとも1つのばね要素45によってばね付勢される。一実施例によれば、切断ワイヤ40は2つの端部41a、41bを含み、各端部41a、41bは、
図1a、1d、および10bに示すように、少なくとも1つのばね要素45に連結されている。
図13bおよび13fに示す実施例では、切断ワイヤ40が2つの端部41a、41b、を含み、各端部41a、41bが少なくとも1つのばね要素45に連結されていることも示されている。
【0096】
一実施例によれば、少なくとも1つのばね要素45は、
図1b~
図1cおよび
図4a~
図4cに示すように、外側管状部材20の第1の周壁23の周辺に沿って配置される。一実施例によれば、切断ワイヤ40および少なくとも1つのばね要素45は、切開状態(IS)において外側管状部材20を取り囲む。例えば、
図1a~1dを参照されたい。したがって、少なくとも1つのばね要素45および切断ワイヤ40は、外側管状部材20の外周の少なくとも一部の周りに配置されてもよい。一実施例によれば、少なくとも1つのばね要素45は、
図1a~1dおよび4a~4cに示すように、少なくとも1つのジグザグばね46を含む。
【0097】
一実施例によれば、少なくとも1つのばね要素45は、
図10a~10cに示すように、少なくとも1つのつる巻きばね47を含む。
図10a~10bでは、生検ツール10は切開状態にあり、つる巻きばね47は圧縮されている。
図10c~10dでは、生検ツールは切断状態にあり、したがってつる巻きばね47は拡張されている。
図13a~13fに示す実施例では、少なくとも1つのばね要素45は、少なくとも1つのつる巻きばね47を含むことも示されている。
図13a~13dでは、生検ツール10は切開状態(IS)にある。
図13e~13fでは、生検ツール10は切断状態(SS)にある。
【0098】
一実施例によれば、切断ワイヤ40は、
図8a~8dおよび9a~9bに示すように、外側管状部材20の周辺に沿って、第1の周壁23の2つの開口部48a、48bを通って外側管状部材20内に延在するように配置される。したがって、切断ワイヤ40は、外側管状部材20の中空内部に延在してもよい。切開状態(IS)において、次に、切断ワイヤ40は、外側管状部材20の第1の周壁23の内側、および内側管状部材30の第2の周壁33の外側に当接する。第1の周壁23の2つの開口部48a、48bは、互いに反対側に配置されてもよい。2つの開口部48a、48bは、第1の周壁23上の略中央に配置されてもよい。2つの開口部48a、48bは、外側管状部材20の内側の切断ワイヤ40が切開状態(IS)において第1の周壁23の外周の略半分に従うように配置されてもよい。
図13a~13hおよび16a~16hに示す実施例では、切断ワイヤ40は、外側管状部材20の周辺に沿って、第1の周壁23の2つの開口部48a、48bを通って外側管状部材20内へと延在するように配置されてもよいことが示されている。
図13a~13hでは、第1の周壁23内の2つの開口部48a、48bは、遠位端22から延在するスロットとして構成されている。生検ツール10が切開状態(IS)で示されている
図16eにより詳細に示されている。
【0099】
一実施例によれば、外側および内側管状部材20、30の互いに対する回転は、手動で行われるおよび/または電動で行われる。一実施例によれば、切断状態における回転軸Rを中心とした生検ツール10の回転は、手動で行われ得るおよび/または電動で行われ得る。よって、一実施例によれば、回転軸Rを中心とした生検ツール10の回転は、外側管状部材20、内側管状部材30、および切断ワイヤ40の手動および/または電動回転を含み得る。
【0100】
例えば、
図1a~
図1c、
図4a~
図4c、
図5a~
図5b、
図8a~
図8d、
図10a~
図10dに示すように、生検ツール10は、外側および内側管状部材20、30を互いに対して回転させるためのアクチュエータ機構52を含んでもよい。アクチュエータ機構52によって、生検ツール10は、
図4a~4cに示すように、切開状態(IS)、切断状態(SS)、または中間状態に設定されてもよい。
図9a~9bでは、生検ツール10は、切開状態(IS)および切断状態(SS)で示されている。
図13b、13fおよび14a~14dに示す実施例では、生検ツール10は、外側および内側管状部材20、30を互いに対して回転させるためのアクチュエータ機構52を含んでもよいことも示されている。
【0101】
一実施例によれば、生検ツールはハウジング50を含む。一実施例によれば、外側管状部材20の近位端21は、ハウジング50に連結されている。一実施例によれば、生検ツールは把持部56を含む。把持部56は、片手での生検ツール10の容易かつ確実な把持を促進し得る。一実施例によれば、把持部56は、ハウジング50に固定的に配置されてもよい。したがって、把持部56は、ハウジング50に対して回転不能であってもよく、即ち、回転を固定されてもよい。
【0102】
アクチュエータ機構52は、操縦要素53を含んでもよい。操縦要素53は、可動ノブ、ハンドホイール、押しボタンなどを含んでもよい。操縦要素53は、手動および/または電動回転を始動させることができる。操縦要素53は、外側および内側管状部材20、30の互いに対する回転を可能にするために、内側管状部材30または外側管状部材20に連結され得る。
図5a~5b、10a~10d、および
図13a~13hに示す実施例では、アクチュエータ機構52は、外側管状部材20に対して内側管状部材30を回転させることができる。一実施例によれば、操縦要素53は、ハウジング50と関連して配置されてもよい。
【0103】
一実施例によれば、アクチュエータ機構52は、例えば、
図4a~
図4cおよび
図9a~
図9bに示すように、操縦要素53用の対応するスロット55を更に含んでもよい。操縦要素用の対応スロット55は、ハウジング50に配置されてもよい。したがって、外側および/または内側管状部材20、30の回転は、対応するスロット55内で/に沿って、操縦要素53を変位させることによって提供され得る。スロットは、操縦要素53が回転軸Rを中心に変位されるように構成されてもよい。一実施例によれば、回転は、回転軸R(
図4a~
図4cおよび
図9a~
図9bには示されていない)に沿って操縦要素53を線形に変位させることによって実行されてもよい。次いで、伝達によって、回転軸Rに沿った直線運動は、互いに対する外側および内側管状部材20、30の回転運動に変換され得る。
【0104】
例えば、
図1a~
図1c、
図4a~
図4c、
図5a~
図5b、
図8a~
図8d、および
図10a~
図10dに示すように、生検ツール10は、生検ツール10が切開状態(IS)、切断状態(SS)、または中間状態であるときを示すためのインジケータ機構54を更に含んでもよい。一実施例によれば、インジケータ機構54は、アクチュエータ機構52内に含まれる。
図4aおよび
図9aに示すように、操縦要素53は、生検ツールが切開状態(IS)にあることを示すマーク「0」に配置されてもよい。切断状態(SS)では、
図4cおよび
図9bに示すように、操縦要素53はマーク「|」に配置されてもよい。
図4bでは、生検ツール10は、切開状態(IS)と切断状態(SS)との間の中間状態にある。
【0105】
図5b、10b、10d、11a~11b、13b、および16dに示すように、生検ツール10は、試料エジェクタ60、61、62、および63を含んでもよい。一実施例によれば、試料エジェクタ60、61、62、および63は、内側管状部材30の内側に配置されたばね付勢プランジャ61を含んでもよい。一実施例によれば、ばね付勢プランジャ61は、試料エジェクタアクチュエータ60、ばね62、およびエジェクタ先端部63を含んでもよい。試料エジェクタアクチュエータ60は、組織試料を排出するために押し下げられてもよい。試料エジェクタ60、61、62、および63が作動されると、プランジャ61のエジェクタ先端部63は、組織試料が外側および内側管状部材20、30の中空内部から排出されるように、組織試料に向かって押されてもよい。これにより、鉗子などの他のツールの補助なしで、組織試料が生検ツール10から排出される。
【0106】
一実施例によれば、生検ツール10は、
図1a~1c、4a~4c、5a~5b、8a~8d、10a~10d、12a~12d、13a~13h、および15a~15cに示されるような手持ちツールである。しかしながら、生検ツール10は、試料採取装置内に配置されてもよく、または試料採取ステーションの一部であってもよい。一実施例によれば、生検ツール10は、検鏡などの別の装置と取り外し可能に係合されてもよい。
【0107】
一実施例によれば、生検ツール10は、
図5bおよび10bに示すような使い捨て部80および再利用可能部82を含んでもよい。組織試料と接触する生検ツール10の部分は、使い捨てであってもよく、残りの部分は再利用可能であってもよい。一実施例によれば、使い捨て部80は、少なくとも外側管状部材20、内側管状部材30、および切断ワイヤ40を含んでもよい。一実施例によれば、使い捨て部80は、試料エジェクタ60、61、62、および63の少なくとも一部を含んでもよい。一実施例によれば、使い捨て部80は、エジェクタ先端部63および/またはプランジャ61を含んでもよい。
【0108】
図12a~12d、13a~13h、14a~14g、15a~15c、および16a~16eに概略的に示す実施例によると、生検ツール10は、継ぎ手機構91によって接続された第1のモジュールユニット90および第2のモジュールユニット92を含んでもよい。一実施例によれば、第1のモジュールユニット90は、交換可能および/または使い捨てであってもよい。よって、前述した使い捨て部80は、一実施例によれば、第1のモジュールユニット90を含んでもよい。第2のモジュールユニット92は、交換可能および/または再利用可能であってもよい。したがって、上記の再利用可能部82は、一実施例によれば、第2のモジュールユニット92を含んでもよい。一実施例によれば、第1および/または第2のモジュールユニット90、92は、使い捨て部80を含んでもよい。例えば、第1のモジュール90は、外側管状部材20、内側管状部材30、および切断ワイヤ40を含んでもよい。これらの部分は、組織試料採取と接触してもよく、したがって使い捨てであってもよく、一方、第1のモジュールユニット90の残りの部分は再使用されるように構成されてもよい。
【0109】
継ぎ手機構91によって接続された第1のモジュールユニット90および第2のモジュールユニット92を有することによって、生検ツール10は、本組織試料採取状況に適合され得る。例えば、再利用可能な第2のモジュールユニット92を含む交換可能かつ使い捨ての第1のモジュールユニット90の組み立てが容易になり得る。一実施例によれば、異なる直径の外側管状部材20および対応する内側管状部材30を含む様々な第1のモジュールユニット90は、同じ再利用可能な第2のモジュールユニット92に接続されてもよい。異なるサイズおよび性能特性の様々な第2のモジュールユニット92も利用可能であり得る。したがって、異なる幾何学的寸法および強度の第1および第2のモジュールユニット90、92を含むモジュールシステムが達成されて、異なるサイズの組織試料採取を可能にし得る。一実施例によれば、第1のモジュールユニット90は、外側管状部材20、内側管状部材30、および切断ワイヤ40を含みてもよく、第2のモジュールユニット92は、アクチュエータ機構52および操縦要素53を含んでもよい。このような実施例では、例えば、直径1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20ミリメートルの外側管状部材20を含む第1のモジュールユニット90が製造されてもよい。異なるサイズの第1のモジュールユニット90は全て、継ぎ手機構91によって同じ第2のモジュールユニット92に接続されてもよい。したがって、生検ツール10は、本組織試料採取状況に好適なサイズの第1のモジュールユニット90を第2のモジュールユニット92に接続することによって、現在の用途に併せて適合および調整され得る。特定の実施例によれば、第2のモジュールユニット92の第1の変形は、1~5mmの範囲の外側管状部材20を含む第1のモジュールユニット90と協働するように構成されてもよく、第2のモジュールユニット92の第2の変形は、6~10mmの範囲の外側管状部材20を含む第1のモジュールユニット90と協働するように構成されてもよい。一実施例によれば、第2のモジュールユニット92の第3の変形は、11~20mmの範囲の外側管状部材20を含む第1のモジュールユニット90と協働するように構成されてもよい。これにより、第2のモジュールユニット92は、外側管状部材20の全ての可能なサイズに適合するために過度に大きすぎするサイズである必要はない。これにより、大小の組織試料採取の両方に好適な、あまり嵩高くなく細長い生検ツールが達成される。よって、継ぎ手機構91によって接続される第1および第2のモジュールユニット90、92の構成により、多用途かつ可撓性の生検ツール10が達成される。
【0110】
継ぎ手機構91は、圧入接続部、スナップ嵌め接続部、ねじ継ぎ手、クイック継ぎ手、差込み継ぎ手、クランプ継ぎ手、または他のタイプの接続部若しくは継ぎ手を含んでもよい。一実施例によれば、継ぎ手機構91は、第1のモジュールユニット90に配置されるように構成された第1の継ぎ手93と、第2のモジュールユニット92に配置されるように構成された対応する第2の継ぎ手94とを含んでもよい。
図12a~12dに示す実施例では、継ぎ手機構91は差込み継ぎ手を含む。
【0111】
図12a~12d、13a~13h、14a~14g、15a~15cおよび16a~16eの実施例に示す生検ツール10は、前述のように、外側および内側管状部材20、30を互いに対して回転させるためのアクチュエータ機構52を含む。
図14a~14bにより詳細に示すように、アクチュエータ機構52は、操縦要素53と伝達機構57とを含むことができ、それにより、回転軸Rに沿った操縦要素53の直線運動が、外側および内側管状部材20、30の互いに対する回転運動に変換される。一実施例によれば、アクチュエータ機構52は、ばね付勢操縦要素53を含んでもよい。したがって、アクチュエータ機構52は、操縦要素53を中立状態に押し進めるばね部材65を含んでもよい。中立位置は、切開状態または切断状態のいずれかに対応し得る。一実施例によれば、伝達機構57は、玉軸受66を含んでもよい。
【0112】
図14a~14bに詳細に示す実施例によれば、伝達機構57は、少なくとも1つの案内ピン58および少なくとも1つの対応するガイド溝59を含んでもよい。操縦要素53が回転軸Rに沿って押し下げられると、操縦要素53の直線運動は、少なくとも1つのガイド溝59内を摺動する少なくとも1つの案内ピン58によって回転運動に変換される。
図14a~14bの実施例では、ガイド溝は、操縦要素53の始動毎に軸Rを中心に回転するように構成された伝達シリンダ要素69内に配置され、2本の案内ピン58は、ハウジング50に対して軸方向に移動しながら、操縦要素53に対して固定される。しかしながら、別の例によれば、ガイド溝59は、ハウジング50内に配置されてもよい。
【0113】
直線運動を回転運動に伝達するための別の代替的な構成が、
図14c~14dに示されている。この実施例では、伝達機構57は、少なくとも1つのばね付勢案内ピン58および少なくとも1つの径方向に傾斜したガイド溝59を含んでもよい。
図14c~14dでは、操縦要素53が押し下げられると、伝達シリンダ要素69は、回転軸Rを中心に180度回転する。ガイド溝59内で軸方向の下方移動が完了すると、ばね部材65によって、操縦要素53は、中立位置に戻ることができる、即ち、押し下げられない。したがって、ばね付勢案内ピン58と組み合わせたガイド溝59の径方向の傾斜は、操縦要素53が中立位置に戻るときにばね部材65が上方へ移動するのを支援し得る。
【0114】
図14a~14bに示すガイド溝59は、異なる幾何学的構成を有し、操縦要素53が押し下げられると、伝達シリンダ要素69は、回転軸Rを中心に約170度回転する。ガイド溝59の下方移動が完了すると、ばね部材65は、操縦要素53を中立位置に戻し、したがって完全な半回転、即ち、180度までの最終的な回転運動を完了させる。
【0115】
図14c~14dに示すように、直線運動の回転運動への伝達は、内側管状部材30を回転軸Rを中心に半回転させ、その結果、切断ワイヤ40を変位させる、即ち、生検ツール10の状態を切開状態と切断状態との間で変更する。一実施例によれば、伝達シリンダ要素69は、少なくとも1つの中間部材を介して内側および/または外側管状部材20、30に連結され、回転運動を伝達することができる。
図13a~13bの実施例では、少なくとも1つの中間部材は、内側管状部材30に接続される内側管状部材ソケット37を含んでもよい。
【0116】
図15aでは、生検ツール10は、操縦要素53が中立位置にある、即ち押し下げられていない状態で示されている。これは、生検ツールが切開状態または切断状態のいずれかにあり得ることを意味する。切断ワイヤ40の切開状態(IS)における斜視図が
図16aに示され、切断状態(SS)における斜視図が16cに示されている。
図15bでは、上述したように、案内シリンダ59が約170度回転したときに対応して、操縦要素53が完全に押し下げられている。したがって、生検ツール10は、
図15bでは切開状態と切断状態との間の中間状態にある。中間状態の切断ワイヤ40の斜視図を
図16bに示す。
図15cでは、生検ツールは、切開状態または切断状態であり得る。
【0117】
試料エジェクタアクチュエータ60は押し下げられ、ばね付勢プランジャ61は、外側管状部材20の窓開口部72を通して視認可能である。試料エジェクタアクチュエータ60が押し下げられ、エジェクタ先端部63が視認可能である切開状態の切断ワイヤ40の斜視図を
図16bに示す。
【0118】
操縦要素53と伝達機構57とを含み、それにより、回転軸Rに沿った操縦要素53の直線運動が回転運動に変換されるアクチュエータ機構52が、
図12a~12d、13a~13h、14a~14g、15a~15cおよび16a~16dに示すような第1のモジュールユニット90および第2のモジュールユニット92を含む生検ツール10の実施例を参照して説明されている。しかしながら、かかる操縦要素53および伝達機構57はまた、
図1a~
図1d、
図4a~
図4c、
図5a~
図5b、
図8a~
図8d、
図9a~
図9b、
図10a~
図10d、および
図11a~
図11bに示す実施例に適用されてもよい。
【0119】
一実施例によれば、第1のモジュールユニット90は、回転軸Rに沿って分割可能に構成された2片カバー51を含んでもよい。このような構成は、
図14e~14gに概略的に開示され、カバー51の2片のうちの一方が示され、カバーの2片のうちの他方は取り外されている。分割可能な2片カバー51を有することによって、生検ツール10の組み立てが容易になる。特に、切断ワイヤ40の搭載は、カバーが回転軸Rに沿って分割可能であることで生検ツール10の内側部分へのアクセスを増大することができるため、より容易になり得る。一実施例によれば、外側管状部材30は、例えば成形または糊付けによって、カバー51の2片のうちの一方に締結されてもよい。一実施例によれば、切断ワイヤ40は、切断ワイヤソケット38を介してばね要素45に連結されてもよい。
図14e~14gに示すように、切断ワイヤ40は、切断ワイヤ40を第1の周壁23の2つの開口部48a、48b内に配置し、締結装置39(
図14gで上方から見える)を用いて切断ワイヤ40の2つの端部41a、41bを切断ワイヤソケット38に締結することによって、容易に搭載することができ、切断ワイヤソケット38は、ばね要素45に接続される。締結装置30は、締結プラグ、クランプ、ねじ、または切断ワイヤ40の2つの端部41a、41bを定位置に保持する任意の他の好適な締結装置を含んでもよい。したがって、分割可能な2片カバーによって、より時間および費用効果の高い生検ツール10の組み立てが達成され得る。一実施例によれば、第2のモジュールユニット92は、回転軸Rに沿って分割可能に構成された2片カバー51を含んでもよい。
【0120】
別の実施例によれば、生検ツールはハウジング50を含みてもよく、ハウジング50は回転軸Rに沿って分割可能に構成される。よって、分割可能なハウジングの解決策は、第1および/または第2のモジュールユニット90、92のみに適用可能ではない。分割可能な解決策はまた、例えば、
図5a~
図5bおよび
図10a~
図10cに示す実施例による生検ツール10の製造および組み立てにも有益であり得る。
【0121】
図17a~17dは、
図1a~1c、4a~4c、5a~5b、8a~8b、9a~9b、10a~10d、12a~12d、13a~13h、および16a~16eに示すような実施例のいずれかによる外側管状部材20および内側管状部材30の詳細を概略的に示す。
図17a~17cは、切開状態および切断状態を詳細に示す。
図17bおよび17dでは、第1の開口部25および第2の開口部35が重なり合う切断状態が示されている。次いで、切断ワイヤ40は、ばね力によって回転軸Rに対して垂直に変位されてもよい。
図17a~17dでは、外側管状部材20は、第1の周壁23の第1の窓開口部72を含み、第1の窓開口部72は、回転軸Rに垂直な方向に延在する。第1の窓開口部72はまた、
図12a~12b、13a~13h、14e~14f、15a~15c、および16a~16bにも示されている。第1の窓開口部72によって、操作者は、窓開口部を通じて組織試料領域を視覚的に観察することができる。これにより、生検ツールの照準が改善され、適切な組織試料採取を確保することができる。
図17c~17dに示す実施例によれば、内側管状部材(30)は、第2の周壁(33)に第2の窓開口部73を含み、第2の窓開口部73は、回転軸Rに垂直な方向に延在する。第2の窓開口部73は、切開状態において第1の窓開口部72と重なり合うように構成されてもよい。第2の窓開口部73は、内側管状部材30が第1の窓開口部72を通じて視野を遮断し得る構成で必要とされ得る。一実施例によれば、窓開口部72は、インジケータとして機能してもよい。生検ツール10が切開状態(IS)にあるとき、第1の窓開口部72は遮断されない一方、切断状態(SS)では、第1の窓開口部72は内側管状部材30によって遮断される。これは、第1の窓開口部72の視覚的観察によって、操作者が生検ツール10の現在の状態を判定できることを意味する。よって、一実施例によれば、前述のインジケータ機構54が、第1の窓開口部72を含んでもよい。したがって、第1の窓開口部72は、生検ツール10が切開状態、切断状態、または中間状態にあるときを示すことができる。
【0122】
図18は、一実施例により生検ツール10を使用することによって組織試料を切除するための方法の概略ブロック図である。本方法は、
図1a~1c、2a~2b、3a~3b、4a~4c、5a~5b、6a~6b、7a~7b、8a~8d、9a~9b、10a~10d、11a~11b、12a~12d、13a~13h、14a~14d、15a~15c、16a~16eおよび17a~17dに開示される生検ツールに関する。
【0123】
本方法は、外側管状部材20の切断縁部24によって組織を切開する工程s120と、第1の開口部25および第2の開口部35が重なり合うように、外側管状部材20および/または内側管状部材30を回転させて、それにより、切断状態SSが得られ、切断ワイヤ40が回転軸Rに対して垂直に変位される工程s130と、回転軸Rを中心に少なくとも外側管状部材20および内側管状部材30を回転させる工程s140とを含む。
【0124】
本方法は、切開する工程s120の前に、切断ワイヤ40が第2の周壁33の外被面36に当接するように、外側管状部材20および/または内側管状部材30を回転させて、それにより切開状態(IS)が得られる工程s110を更に含んでもよい。
【0125】
本方法は、組織試料を排出する工程s160を更に含んでもよい。
【0126】
一実施例によれば、組織試料を排出する工程s160の前に、生検ツール10は、組織試料採取領域から取り外されてもよい。生検ツールは、組織試料がペトリ皿、試料採取容器、または他の格納装置内に排出され得るように移動されてもよい。
【0127】
本方法は、排出する工程s160の前に、切断ワイヤ40が第2の周壁33の外被面36に当接するように、外側管状部材20および/または内側管状部材30を回転させて、それにより切開状態(IS)が得られる工程s150を更に含んでもよい。
【0128】
一実施例によれば、方法工程s110、130、s150のいずれかにおける外側管状部材20および/または内側管状部材30の回転は、手動および/または電動で行われてもよい。一実施例によれば、方法工程s140における少なくとも外側管状部材20および内側管状部材30の回転は、手動および/または電動で行われてもよい。
【0129】
本開示の好ましい実施例の前述の説明は、例示的かつ記述的な目的のために提供される。網羅的であること、または本発明を記載される変形に制限することを意図するものではない。多くの修正および変形が、当業者に明らかになるであろう。本開示の実施例は、本発明の原理およびその実際的な用途を最も良く説明し、したがって、専門家が、様々な実施形態および目的とする用途に適した様々な修正について本発明を理解することができるように、選択され説明されている。