(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】汚れの検出方法
(51)【国際特許分類】
G01J 3/46 20060101AFI20231128BHJP
G01N 21/94 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
G01N21/94
(21)【出願番号】P 2022031188
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 朱香
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/155845(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/208456(WO,A1)
【文献】特開2019-20311(JP,A)
【文献】特開2005-257374(JP,A)
【文献】特開2019-190984(JP,A)
【文献】特開2021-181904(JP,A)
【文献】特開2014-137459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0025197(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0393359(US,A1)
【文献】中国実用新案第209495964(CN,U)
【文献】中国実用新案第200989824(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測色計の検出部を測色用ガイドのガイド本体に設けた、検出用貫通孔を有する測色計収容部に差し込んで該測色計を固定する準備工程と、
上記ガイド本体の湾曲した第1ガイド面を、湾曲した汚れのない基準品の被測色面に当接させ、該基準品の被測色面と上記検出部との間の測色距離を確保した状態で該基準品の被測色面を測色して基準値を記憶する基準色記憶工程と、
上記ガイド本体の湾曲した第1ガイド面を、湾曲した被測色体の被測色面に当接させ、該被測色体の被測色面と上記検出部との間に上記測色距離を確保した状態で該被測色体の被測色面を測色する測色工程と、
上記基準色記憶工程で記憶した測色値と、上記測色工程での測色値とを比較し、色差が所定値よりも大きくなると、汚れが発生したと判定する判定工程とを含
み、
上記ガイド本体に設けた第1ガイド面と、該第1ガイド面に略垂直な第2ガイド面とを被測色体に当接させながら移動させて複数箇所で測色を行う
ことを特徴とする測色計を用いた汚れの検出方法。
【請求項2】
上記第2ガイド面に設けた磁石を磁性体よりなる被測色体の側面に吸着させた状態で該被測色体の被測色面を測色する
ことを特徴とする請求項
1に記載の汚れの検出方法。
【請求項3】
金型をプレス機から取り出した後、冷却することなく、該金型の被測色面に上記第1ガイド面を当接させて測色する
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の汚れの検出方法。
【請求項4】
金型を測色後、測定値と上記基準値との色差が所定値以上の場合、該金型を洗浄した後、上記プレス機に再び組み込む
ことを特徴とする請求項
3に記載の汚れの検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲した高温の被測色体の汚れを検出する測色計に用いる測色計用ガイド及び汚れ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、色情報を取得するものとして、検体の成分の種類及び濃度に応じた発色反応を示す試験紙から色情報を取得する色情報取得装置と、この色情報取得装置から色情報を受け取る演算装置とを備え、この演算装置には、試験紙の色情報に対応する検体の成分の種類及び濃度に関する情報をデータベースとして格納する記憶部と、この記憶部を参照して色情報取得装置によって取得した色情報から対応する検体の成分情報を取得する情報処理部と、この情報処理部が取得した検体の成分情報を表示する表示部とが設けられている成分分析装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような色(汚れ)を測定する手段として携帯型の測色計が知られているが、この種の測色計には、平面形状の被測色体に検出部の先端を当接させた状態で光が入らないようにして測色するものがあり、曲面形状の被測色体を測色する場合、当接面の隙間から光が漏れて正確な測定をするのが困難である。
【0005】
また、原則として被測色面に検出部の先端を当接させた状態で測色することもあり、耐熱温度が低くて高温物体を測定できないという問題がある。
【0006】
例えば、高温になることのある金型の測色を行う場合、測色計の耐熱温度が低いと、金型を冷却してから測色しなければならず、その冷却時間を確保しなければならないという問題もある。
【0007】
そして、金型のような、湾曲した形状を有し、高温になる被測色体の汚れを定量化する有効な方法が見つかっておらず、目視確認による信頼性の低い確認を行うしかなかった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、曲面形状や高温の被測色体であっても、その汚れを定量化できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、測色計の検出部の先端にガイドを取り付けて湾曲した高温の被測色体でも測色できるようにした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、測色計の検出部が差し込まれて該測色計が固定される測色計収容部を有するガイド本体と、
上記測色計収容部の底部に形成され、上記検出部を露出させる検出用貫通孔と、
上記検出用貫通孔の周縁に形成され、被測色体の被測色面に合わせて湾曲した第1ガイド面とを備え、
上記第1ガイド面と上記測色計の検出部との間が所定距離離れることにより、湾曲した上記被測色体の被測色面と上記検出部との間の測色距離が確保される。
【0011】
上記の構成によると、測色計の検出部を測色計収容部に差し込んで固定すると、第1ガイド面と検出部との間が所定距離確保されるので、耐熱温度の低い測色計であっても高温の被測色体の測色が可能になる。また、第1ガイド面が被測色体の被測色面に合わせて湾曲しているので、被測色体の湾曲した被測色面に第1ガイド面を密着させた状態で測色でき、光が漏れにくく、正確な測色が可能となる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記第1ガイド面に連続し、該第1ガイド面に対して略垂直に交わる第2ガイド面が形成されている。
【0013】
上記の構成によると、第1ガイド面だけでなく、第2ガイド面も被測色体に当接させることで、より安定した状態で、かつ光漏れを防ぎながら被測色体の正確な測色が可能となる。ここで「略垂直」とは、完全に垂直でなくても垂直から±20°程度傾いていてもよいことを意味する。要は、第2ガイド面は、第1ガイド面とで協働して被測色体に安定して当接する形状であればよい。
【0014】
第3の発明では、第2の発明において、
上記第2ガイド面には、上記被測色体に吸着する磁石が設けられている。
【0015】
上記の構成によると、第2ガイド面に磁石を設けることで、磁性体よりなる被測色体に測色用ガイドを吸着でき、より安定した密着状態での正確な測色が可能となる。
【0016】
第4の発明では、測色計の検出部を測色用ガイドのガイド本体に設けた、検出用貫通孔を有する測色計収容部に差し込んで該測色計を固定する準備工程と、
上記ガイド本体の湾曲した第1ガイド面を、湾曲した汚れのない基準品の被測色面に当接させ、該基準品の被測色面と上記検出部との間の測色距離を確保した状態で該基準品の被測色面を測色して基準値を記憶する基準色記憶工程と、
上記ガイド本体の湾曲した第1ガイド面を、湾曲した被測色体の被測色面に当接させ、該被測色体の被測色面と上記検出部との間に上記測色距離を確保した状態で該被測色体の被測色面を測色する測色工程と、
上記基準色記憶工程で記憶した測色値と、上記測色工程での測色値とを比較し、色差が所定値よりも大きくなると、汚れが発生したと判定する判定工程とを含む。
【0017】
上記の構成によると、測色計の検出部を測色計収容部に差し込んで固定することにより、第1ガイド面と検出部との間が所定距離離れるので、耐熱温度の低い測色計であっても高温の被測色体の測色が可能になる。また、第1ガイド面が被測色体の被測色面に合わせて湾曲しているので、被測色体の湾曲した面に第1ガイド面を当接させた状態で安定した測色が可能となる。そして、汚れのない基準品の被測色面をできるだけ同じ条件で予め測色しておき、その測定値と、汚れのある被測色体の測定値とを比べ、その色差が所定値よりも大きくなると、汚れが発生している判断できる。このように、簡易に汚れを定量化して検出できるので、目視で検査するよりも確実に汚れを検出できる。
【0018】
第5の発明では、第4の発明において、
上記ガイド本体に設けた第1ガイド面と、該第1ガイド面に略垂直な第2ガイド面とを被測色体に当接させながら移動させて複数箇所で測色を行う。
【0019】
上記の構成によると、第1ガイド面だけでなく第2ガイド面も被測色体に当接させながら移動させて複数箇所において密着状態で測色できるので、広い範囲で確実に汚れの検出が可能になる。
【0020】
第6の発明では、第5の発明において、
上記第2ガイド面に設けた磁石を磁性体よりなる被測色体の側面に吸着させた状態で該被測色体の被測色面を測色する。
【0021】
上記の構成によると、第2ガイド面の磁石を磁性体よりなる被測色体の側面に吸着させた状態で測色できるので、より安定した密着状態で光漏れを防ぎながら正確な測定値が得られる。
【0022】
第7の発明では、第4から第6のいずれか1つの発明において、
金型をプレス機から取り出した後、冷却することなく、該金型の被測色面に上記第1ガイド面を当接させて測色する。
【0023】
上記の構成によると、測色計用ガイドを測色計の検出部に取り付けることで、被測色体の被測色面との距離を確保できることから、高温の金型であっても測色が可能となる。このため、プレス機を長時間止める必要がない。
【0024】
第8の発明では、第7の発明において、
金型を測色後、測定値と上記基準値との色差が所定値以上の場合、該金型を洗浄した後、上記プレス機に再び組み込む。
【0025】
上記の構成によると、汚れを標準値との色差の大きさで定量化して確実に検出できるので、目視で汚れを発見する場合に比べ、汚れの発見の漏れが減り、結果として成形品の品質が向上する。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、測色計の検出部にガイドを取り付けることで、湾曲形状の高温の被測色体であっても測色することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】測色計用ガイドを取り付けた測色計で半円弧形の金型を測色する状態を示す斜視図である。
【
図3】測色用ガイドを示し、(a)が平面図で、(b)が左側面図で、(c)が正面図である。
【
図4】測色用ガイドを用いた汚れの検出方法の手順について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1~
図3は、本発明の実施形態に係る測色計用ガイド10を示し、この測色計用ガイド10は、測色計1の検出部1c側が差し込まれて測色計1が固定される測色計収容部11を有するガイド本体12を備えている。このガイド本体12は、例えば、モノマーキャストナイロンなどの樹脂成形品で構成されているが、フッ素ゴムなどの耐熱性の高いゴムや、金属などで構成されていてもよい。モノマーキャストナイロンであれば、一般の6ナイロンに比べて機械的強度、熱的特性、化学的性質、耐摩耗性が高く、比較的耐熱性にも優れており、自己潤滑性にも優れている。また、耐熱性の高いゴムであれば、被測色面の形状に合わせて適度に変形させることも可能である。さらに、これらの材料を組み合わせて耐熱性を確保しながら、適度に変形するガイド本体12を形成してもよい。ガイド本体12の色は特に限定されず、青色でもよいが、光が反射しにくい黒色等でもよい。
【0030】
本実施形態の測色計1は、例えば、外径30mm程度の円柱状の測色計本体1aを有し、円柱状の先端部1bが測色計本体1aよりも若干小径となっている。詳しくは図示しないが、先端部1bにある、発光部、受光部などが内蔵された検出部1cの測定径が例えば8mmとすると、その先端側には例えば内径r1=12mm程度の開口(貫通孔)1dが形成されており、この検出部1c(先端部1b)の先端面を被測色体の被測色面に密閉状に当接させて光漏れを防ぎながら測色を行うようになっている。すなわち、この測色計1は、平らな被測色面に対しては密着させた状態で光を当て、その反射光を用いて測色できるものの、湾曲した被測色面だと隙間ができて正確な測色が困難であるという問題がある。
【0031】
この測色計収容部11の形状は特に限定されないが、本実施形態では、測色計1の外観形状に合わせて円形断面の凹部で構成されている。
【0032】
測色計収容部11の底部11aには、検出部1cを露出させる、例えば円形の検出用貫通孔13が設けられている。この検出用貫通孔13の内径r2は、内周面の色が検出されてしまわないように、測色計1の開口1dの内径r1よりも大きい(r2>r1)のが望ましい。この検出用貫通孔13の周縁には、被測色体の被測色面に合わせて湾曲した第1ガイド面14が形成されている。本実施形態では、被測色体が半円弧状外径を有する金型であるハーフリング2であり、その内周面を測色するため、内周面の湾曲に合わせて第1ガイド面14は、正面から見て外に膨らむ円弧状湾曲面となっている。一方、例えば、ハーフリング2の外周面を測色する場合には、正面から見て内に凹む円弧状湾曲面とするとよい。この第1ガイド面14の曲率半径は、被測色体の曲面に合わせるのが望ましいが、第1ガイド面14を変形しやすいゴム材料などで構成するなどにより、多少の大きさの違いを許容できるようにしてもよい。また、被測色体の形状は、これに限定されず、また、被測色体は金型に限定されず、湾曲した高温の被測色体が測色対象となる。
【0033】
そして、本実施形態の測色計用ガイド10を用いることで、測色計1の検出部1cの先端部1bを被測色面に直接当接させる場合に比べて、所定の測色距離hだけ距離を確保できるようになっている。この測色距離hを確保することにより、正しい色の絶対値を測定することが困難になり得るが、標準品との色差を測定することは可能である。
【0034】
そして、ガイド本体12には、湾曲した第1ガイド面14に連続し、第1ガイド面14に対して垂直に交わる第2ガイド面15が形成されている。本実施形態では、ハーフリング2の側面形状に合わせて第2ガイド面15は、第1ガイド面14に対して垂直に連続しているが、被測色体の形状に合わせて20°程度手前側又は奥側に垂直よりも傾いていてもよい。第1ガイド面14だけでなく、第2ガイド面15も被測色体に当接させることで、より安定して密着した状態で被測色体の測色が可能となっている。
【0035】
そして、第2ガイド面15には、被測色体に吸着する例えば2つの円形の磁石16が設けられている。磁石16の形状や個数は、これに限定されない。第2ガイド面15の磁石16を磁性体よりなる金型などの被測色体に吸着でき、より安定して密着した状態での測色が可能となっている。
【0036】
-汚れの検出方法-
次いで、上述した測色計用ガイド10を用いた金型の汚れ検出方法の手順について説明する。
【0037】
工場における、射出成形機などのプレス機を用いた樹脂成形品の生産ラインを例に説明する。
【0038】
まず、準備工程において、測色計1の検出部1cを測色計収容部11に差し込んで測色計1を測色計用ガイド10に固定しておく。
【0039】
次いで、基準色記憶工程において、ガイド本体12の湾曲した第1ガイド面14を、湾曲した汚れのない基準品の被測色面に当接させ、この基準品の被測色面と検出部1cとの間の測色距離hを確保した状態で基準品の被測色面を測色して基準値を記憶しておく。例えば、測色計1と通信可能な携帯通信端末(図示せず)に対して測定値を送信し、この携帯通信端末のアプリケーションで基準値を記憶しておき、記憶媒体やサーバなどに保管しておくとよい。この基準色記憶工程は、同じ金型に対して一度やっておけば、何度も行う必要はない。
【0040】
そして、
図4に示すように、日勤と夜勤とでシフト勤務を行う生産ラインでは、ステップS01において、日勤と夜勤との交代が行われる。
【0041】
次いで、詳しくは図示しないが、ステップS02において、昇温された金型の上型、下型以外の部品をプレス機から取り出し、プレス機前の作業台で分解する。
【0042】
次いで、ステップS03において、測色工程において、例えば、汚れやすい金型部品である中型(ハーフリング2)について、測色計用ガイド10を取り付けた測色計1で色(汚れ)を測定する。すなわち、ハーフリング2をプレス機から取り出した後、冷却することなく、ハーフリング2の測色面に第1ガイド面14を当接させてサンプル色を取得する。具体的には、ガイド本体12の湾曲した第1ガイド面14を、湾曲したハーフリング2の被測色面(内周面)に当接させ、ハーフリング2の被測色面(内周面)と検出部1cとの間に測色距離hを確保した状態でハーフリング2の被測色面を測色する。このとき第2ガイド面15に設けた磁石16を磁性体よりなるハーフリング2の側面に吸着させた状態で、汚れが発生しやすいハーフリング2の内周面を測色すると安定して作業性がよい。また、ハーフリング2を冷やしてから測色を行わなくてよいので、きわめて作業性がよい。
【0043】
次いで、判定工程において、基準色記憶工程で記憶した測色値と、測色工程での測色値とを比較し、色差が所定値よりも大きくなると、汚れが発生したと判定する。
【0044】
具体的には、ステップS04において、事前に登録されている基準色(洗浄後の綺麗なハーフリング2の色)とサンプル色とを比較し、色差を算出する。この場合は、例えば、測色計1と通信可能な携帯通信端末に対して測定値を送信し、この携帯通信端末のアプリケーションに記憶した基準値と測定値を比較し、色差を算出する。
【0045】
このとき、ガイド本体12に設けた第1ガイド面14と、この第1ガイド面14に略垂直な第2ガイド面15とをハーフリング2の被測色面に当接させて密着させながら移動させて複数箇所で測色を行ってもよい。例えば、下記実施例のようにX,Y,Zの3箇所で測定を行う。
【0046】
次いで、ステップS05において、例えば、色差が12未満であれば、汚れの問題がないと判定し、ステップS06に進む。この判定は、例えば、携帯通信端末のアプリケーションを用いて自動で行ってもよいし、ユーザーが画面を見ながら行ってもよい。
【0047】
一方、色差が12以上あると、汚れの問題が発生していると判定し、ステップS07に進んでハーフリング2の簡易洗浄(例えば、ドライアイス洗浄)を行う。金型洗浄は、金型が高温であると、より洗浄効果が高まるため、冷却せずに色差(汚れ)を判断することによって、高温のまま洗浄を行うことができ、作業効率もよい。その後ステップS06に進む。
【0048】
そして、ステップS06において、金型部品をプレス機に再び組み込み、プレス(生産)を再開する。
【0049】
そして、ステップS08において、直おわりで交代し、ステップS01から繰り返される。ハーフリング2を冷やして測色する必要がないので、交代における時間のロスは最小限となる。
【0050】
-実施例-
プレス機でプレス作業を行った後の汚れた高温(例えば160℃)のハーフリング2をA、B、Cの3つ用意し、それぞれX,Y,Zの3箇所について測色計1によって測色を行い、基準色との色差を計算した。その結果を
図5に示す。
【0051】
図5を見ても分かるように、同じ金型でも測定箇所によってばらつきはあるが、汚れが定量的に検出されることが分かった。
【0052】
この場合のように、少なくとも1箇所でも色差が所定値の12よりも大きい場合には、汚れが付着してきたと判断し、洗浄を行うとよい。
【0053】
本実施形態では、測色計1の検出部1cを測色計収容部11に差し込んで固定することにより、第1ガイド面14と検出部1cとの間が所定距離離れるので、耐熱温度の低い測色計1であっても高温の被測色体の測色が可能になる。また、第1ガイド面14が被測色体の被測色面に合わせて湾曲しているので、被測色体の湾曲した面に第1ガイド面14を当接させた状態で安定した測色が可能となる。そして、汚れのない基準品の被測色面を予め測色しておき、その測定値と、汚れのある被測色体の測定値とを比べ、その色差が所定値よりも大きくなると、汚れが発生していると判断できる。このように、簡易に汚れを定量化して検出できるので、目視で検査するよりも確実に汚れを検出できる。
【0054】
また、本実施形態では、第1ガイド面14だけでなく第2ガイド面15も被測色体に当接させながら移動させて複数箇所で測色できるので、広い範囲で確実に汚れの検出が可能になる。
【0055】
本実施形態では、第2ガイド面15の磁石16を磁性体よりなる被測色体の側面に吸着させた状態で測色できるので、より安定した測定値が得られる。
【0056】
本実施形態では、測色計用ガイド10を測色計1の検出部1cに取り付けることで、被測色体の被測色面との距離を確保できることから、高温の金型であっても測色が可能となる。このため、プレス機を長時間止める必要がない。
【0057】
本実施形態では、汚れを標準値との色差の大きさで定量化して確実に検出できるので、目視で汚れを発見させる場合に比べ、汚れの発見の漏れが減り、製品の品質が向上する。
【0058】
したがって、本実施形態に係る測色計用ガイド10によると、測色計1の検出部1cに測色計用ガイド10を取り付けることで、湾曲形状の高温の被測色体であっても測色することができる。
【0059】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0060】
すなわち、上記実施形態では、測色計1のアプリケーションソフトをスマートフォンなどの携帯通信端末にインストールして、この携帯通信端末と測色計1との間で通信するようにしているが、これに限定されず、有線や記憶媒体を用いてデータをやりとりしてもよい。また、アプリケーションソフトをPCなどのコンピュータにインストールしてデータはサーバに保存するようにしてもよい。
【0061】
上記実施形態では、測色計1の一例を用いて説明したが、この測色計1に限定されず、異なる形式や異なる方式の測色計であってもよい。要は、検出部の先端を被測色面に密着させて測色するようなものであれば、特に適用可能である。
【0062】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1 測色計
1a 測色計本体
1b 先端部
1c 検出部
1d 開口
2 ハーフリング
10 測色計用ガイド
11 測色計収容部
11a 底部
12 ガイド本体
13 検出用貫通孔
14 第1ガイド面
15 第2ガイド面
16 磁石
h 測色距離