(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】医療用挿入デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
A61B17/128
(21)【出願番号】P 2022127718
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2021015753の分割
【原出願日】2014-08-18
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2013-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス、ケビン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゴースト、オリバー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-525879(JP,A)
【文献】特開2000-342519(JP,A)
【文献】特開平10-043300(JP,A)
【文献】特開平09-117410(JP,A)
【文献】特開2012-196275(JP,A)
【文献】特開2007-082802(JP,A)
【文献】特開2001-299923(JP,A)
【文献】特開昭59-046931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用挿入デバイスであって、
アクチュエータを含むハンドルと、
前記ハンドルに回転可能に結合された基端部から先端部までの間に延びる長尺状シャフトであって、体内の蛇行する通路に沿って内視鏡の作業チャネルを通して挿入するための十分な可撓性を有しており、前記アクチュエータの作動により長尺状シャフトがその長手方向軸を中心に回転するように該アクチュエータに結合されて
いる長尺状シャフトと、を備えており、長尺状シャフトが、
長尺状シャフトの基端部から先端部まで延在するコイルであって、その内部を通って長手方向に延在するチャネルを有しているコイルと、
前記コイルの先端部分の周囲に
係止されている編組部であって、複数の線を含み、前記複数の線が、そのうちの第1線および第2線が交差部で交差して、前記第1線と第2線との間に所定角度をなすように合わせて巻回されており、前記角度が25度以上50度未満であり、前記第1線および第2線のそれぞれが少なくとも1本のフィラメントを含んでおり、前記第1線のフィラメントの直径が、前記第2線のフィラメントの直径とは異なっている、編組部と、を有している
、医療用挿入デバイス。
【請求項2】
生体内の組織を治療するために前記長尺状シャフトの先端部に結合されたデバイスであって、前記アクチュエータが作動すると、該長尺状シャフトの回転がデバイスまで伝達されてデバイスがその長手方向軸を中心に回転するように、前記長尺状シャフトに結合されているデバイスをさらに備えている、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項3】
前記線のうちの第1線が、1本、2本、3本および4本のフィラメントのうちの1つを含んでおり、かつ、前記線のうちの第2線が、1本、2本、3本および4本のフィラメントのうちの1つを含んでいる、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項4】
前記線の各々が同じ数のフィラメントを含んでいる、請求項
3に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項5】
前記編組部が合わせて巻回された8本の線を含んでいる、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項6】
前記コイルに対する前記編組部の配置方向を固定するために前記編組部の上にプラスチック押出成形品をさらに備えている、請求項
1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項7】
前記線が所定のピックカウントで巻回されている、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項8】
前記線が円形断面を有している、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項9】
前記長尺状シャフトの先端部が、組織クリッピングデバイスと係合するように形成されている、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項10】
前記デバイスが、バンド結紮、止血クリップ、生検針、細針吸引デバイス、および併用治療針のうちの1つである、請求項
2に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項11】
前記線のうちの第1線および第2線が交差する角度が、前記長尺状シャフトの長さに沿って変化する、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項12】
前記長尺状シャフトの先端部分の外径が、該長尺状シャフトの先端部分の基端側の部分の外径に比べて小さい、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項13】
前記長尺状シャフトの外径が、該長尺状シャフトの先端部に向かって徐々にテーパ状になっている、請求項1に記載の医療用挿入デバイス。
【請求項14】
前記線が、前記コイルの谷部、頂部、および谷部と頂部の組み合わせのいずれかで交差するように、編組の係止パターンで巻回されている、請求項
1に記載の医療用挿入デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスに係り、詳しくは、ねじれ応答を向上させた編組止血シャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
消化器(「GI」:gastro-intestinal)系、胆管、血管系および他の体内管腔の病状は、一般に、多くは内部出血を抑制するために能動的なかつ/または予防的な止血を必要とする、内視鏡下手技を通して治療される。創傷または切開部の縁を合わせて締め付けることによって内出血を抑制するために、内視鏡を介して止血クリップを展開する器具が使用されることが多い。これらの器具は、内視鏡の作業チャネルを通して体内に挿入される。具体的には、体内の蛇行する通路を介した挿入を可能にするために必要な可撓性を提供するように、器具は、内視鏡を通して挿入された長尺状コイルに取り付けることができる。しかしながら、長尺状コイルは、(たとえば、基端ハンドルにおける)コイルの基端部に与えられた所望の回転を、コイルの先端部に結合された止血デバイス(たとえば、クリップ等)に伝えるために十分なねじり剛性を提供しないことが多い。具体的には、コイルが、ねじり荷重を受けたときにばねの外径に反対の力がかけられるまで圧縮または伸長する際に、コイルに入力されるエネルギーの大部分が、コイルの先端部に伝達される前に放散される。したがって、コイルの基端部に加えられた回転の大部分は、コイルの伸長/圧縮をもたらすが、その先端部における対応する回転につながらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、基端部から先端部まで延在し、かつ、蛇行する通路に沿って内視鏡の作業チャネルを通して挿入されるのに十分な可撓性を有する長尺状シャフトを具備する、医療用挿入デバイスに関する。長尺状シャフトは、基端部から先端部まで延在し、かつ、その内部を通って長手方向に延在するチャネルを有するコイルと、コイルの一部の周囲に延在する編組部であって、複数の線を含み、複数の線が、その線のうちの第1線および第2線が交差してそれらの間に所定角度をなすように合わせて巻回され、その角度が25~55度である、編組部とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の第1例示的実施形態によるシャフトの斜視図を示す。
【
図2】本開示の第1代替実施形態によるシャフトの斜視図を示す。
【
図3】本開示の第2代替実施形態によるシャフトの斜視図を示す。
【
図4】本開示の第3代替実施形態によるシャフトの斜視図を示す。
【
図5】本開示の第4代替実施形態によるシャフトの斜視図を示す。
【
図6】本開示の第5代替実施形態によるシャフトの斜視図を示す。
【
図7】本開示の第6代替実施形態によるシャフトの斜視図を示す。
【
図8】
図1の例示的なシャフトが取り付けられたクリッピングデバイスの斜視図を示す。
【
図9】
図8のクリッピングデバイスの部分断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、以下の説明および添付図面を参照してさらに理解することができ、図面では、同様の要素は同じ参照数字で参照されている。本開示は、シャフトの基端部に加えられた回転を、シャフトの先端部の対応する回転へ伝達し、それにより、この回転が、シャフトの先端部に結合されたデバイスがたとえば止血を行うために蛇行する通路に沿って体内に挿入されたときに、そのデバイスに作用することができる、可撓性シャフトに関する。本開示による例示的なシャフトは、限定されないが、バンド結紮、注射療法、熱電気止血法、併用治療針、生検、細針吸引、ならびに上部および下部消化(「GI」:gastrointestinal)管を治療する処置を含む任意の内視鏡下手技を行うために用いられるデバイスとともに使用することができる。本開示による例示的なシャフトは、後でより詳細に記載するように、所定の直径、長さ、巻の数等で事前に巻回された長尺状コイルを備えている。シャフトは、コイルの上に巻回された編組要素をさらに備え、編組要素は、同様に後でより詳細に記載するように、互いに対して所定パターンで合わせて巻回された所定の複数のワイヤとして形成される。編組を構成するワイヤの編組角度は、25~55度を含むかまたはその範囲内の角度をなすように選択される。後でより詳細に記載するように、この範囲は、シャフトに対して、シャフトの先端部に結合されたデバイスに回転を伝達するための必要なねじり安定性を提供するとともに、依然として、シャフトが蛇行する解剖学的構造に挿入されるように撓曲するのを可能にする。本明細書で用いる「基端」および「先端」という用語は、デバイスの術者に向かう方向(基端)および術者から離れる方向(先端)を指すように意図されている。
【0007】
図1に示すように、本開示の例示的な実施形態によるデバイス100は、長尺状本体101を含み、作動形態で医師または他の術者がアクセス可能な基端部(図示せず)から、使用時に標的組織に隣接する部位まで体内に挿入される先端部(図示せず)まで長手方向に延在している。デバイスは、コイルとして形成された第1部分102を備え、コイルは、コイル状形態に巻回されかつ所定ばね定数を有する、長尺状ワイヤまたはフィラメント104を含む。第1部分102は、内視鏡の作業チャネル(図示せず)への挿入を可能にするような寸法である(すなわち、デバイス100の外径は、作業チャネルの内径より小さい)。内腔106は、デバイス100を貫通してその長手方向軸108に沿って延在している。例示的な実施形態では、第1部分102は、
図1の形態に巻回された単一のワイヤまたはフィラメント104から形成されている。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書では、ワイヤ104の任意の数および配置を採用することができる。たとえば、第1部分102は、互いに重ねて設けられた複数のコイルを備えることができ、各コイルは、その隣接するものに対して反対方向に巻回される。
【0008】
デバイス100の第2部分110は、第1部分102を覆う編組外側部分として形成されている。第2部分110は、コイル状の第1部分102の上に編組構成で合わせて巻回される複数の線またはワイヤ112を備えている。
図1の例示的な実施形態は、8本の線または担体112を示す。しかしながら、任意の数の線を採用することができる。例示的な実施形態では、線112の各々は、4本の別々の素線(strand)114を備え、それにより、合計32本の素線が第2部分110を形成する。しかしながら、各線112は任意の数のフィラメント114を含むことができ、使用されるフィラメントの数は、各フィラメント114の外径によって決まる。たとえば、各線112は、後の実施形態においてより詳細に記載するように、1本、2本、3本、4本、5本またはそれより多くの別々の素線114のうちの任意のものを備えることができる。
【0009】
さらに、線112の各々は、後の実施形態においてより詳細に記載するように、第2部分110、したがってデバイス100の全体的な剛性に影響を与えるように異なる数の素線114を含むことができる。別の実施形態では、反対方向に巻回して形成された二重コイルを模すように、編組第2部分110を不平衡にすることができる。たとえば、編組第2部分110は、第1径を有する1本または複数本の素線114で形成された第1線112が、第1径とは異なる第2径を有する1本または複数本の素線114で形成された第2線112とともに巻回されて構成することができる。例示的な実施形態では、線112を形成する複数の素線114の直径は略同じである。この例示的な実施形態による素線114は略円形断面を有しているが、矩形および楕円形を含む他の任意の断面形状を使用することができる。
【0010】
線112は、互いに対して所定の編組角度で編組されている。
図1に示すように、線112は、交差部116で互いに交差する。各交差部から離れるように延在する線112の部分は、それらの間に角度αを形成するように角度が付けられている。第1例示的実施形態では、角度αは40.5°である。別の例示的実施形態では、角度αは37.5°である。さらに別の例示的な実施形態では、角度αは、25°~55°を含みかつそれらの間の任意の角度であってもよい。例示的な編組角度αは、デバイス100が蛇行する通路で機能するために、曲げ剛性およびねじり剛性の適切なバランスを提供するように選択される。具体的には、本開示は、およそ55°以上の編組角度により、曲げ剛性が、蛇行する通路を通って曲がるのに適した段階を超える状態まで増大することを確証している。本開示はまた、25°未満の編組角度により、蛇行する通路に沿って曲げられるときにコイルに沿って回転を伝達するのに十分なねじり剛性が提供されないことを確証している。本開示による例示的な範囲は、コイルの基端部に与えられた回転をコイルに沿ってその先端部まで伝達しながら、蛇行する通路を通るデバイス100の挿入を可能にするように、ねじり剛性および回転伝達のバランスを提供する。しかしながら、屈曲度が低い用途では、編組角度=55°を使用することができる。同様に、屈曲度が高い用途では、編組角度=25°を使用することができる。
【0011】
図1の実施形態は、長さにわたって編組角度αが均一であるように示されているが、デバイス100の種々の部分で編組角度αを変更することができる。これらのコイルの長さの大部分に沿って使用するために、25°未満でありかつ55°を超える編組角度は適していないが、追加の可撓性または増大した剛性が必要なコイルの小さい部分は、その範囲外の編組角度で形成することができる。たとえば、デバイス100の先端チップに隣接する第2部分110の長さの第1区画は、可撓性を増大させるために25°未満の編組角度αで形成することができ、第1区画はピックカウント(pick count)が高い。第1区画の長さは、具体的な用途(たとえば、標的解剖学的構造の屈曲度)によって決まる。解剖学的構造の屈曲度が増大すると、所望のねじり/回転性能を達成するために、第1区画の偏向性が低下する。別の実施形態では、第1区画に25°未満の編組角度αを提供する代わりに、この領域において第1部分102の可撓性をさらに増大させるように、編組を省略することができる。1つの例示的な実施形態では、第1区画は、第1部分102の先端部から最大15.24cm延在することができる。同様に、第2部分110の第2区画は、追加の剛性が必要である場合、55°を超える編組角度αで形成することができる。第1区画と同様に、第2区画の長さは、限定されないが、処置の間に内視鏡の外側にあり続ける第1部分102の長さ、内視鏡の作業チャネル内への挿入中の所望のストローク長等を含む他の要素とともに、標的解剖学的構造の屈曲度によって決まる。たとえば、上部消化管(GI)内視鏡で使用される場合、第2区画の長さを長くすることができ、それは、内視鏡の基端ハンドルと内視鏡の入口ポートとの間の距離が、解剖学的構造の他の部分に対する手技と比較して実質的に大きいためである。別の実施形態では、第2区画は、作動形態においてあらゆる蛇行する解剖学的構造の外側にあり続けるように、第2部分の基端部の近くに位置付けることができる。
【0012】
編組第2部分110のねじり安定性および曲げ剛性はまた、そのピックカウントを変化させることによっても変更することができる。ピックカウントは、コイルの単位長さにわたって形成された編組交差の数を指す。例示的な実施形態では、
図1に示すように、ピックカウントは、10mmの単位長さ当り17個の交差部を含むことができる。しかしながら、他の任意のピックカウントを使用することができる。ピックカウントは、編組第2部分110を形成する個々のフィラメント114の数、線112の数および選択された編組パターンのタイプに従って変化する。
【0013】
例示的な実施形態における典型的な編組第2部分110は、ステンレス鋼または他の生体適合性金属および合金、生体適合性ポリマー、プラスチックコーティングワイヤまたは材料の混成物等の生体適合性材料から形成されている。一実施形態では、各素線114は、編組第2部分110を所望の形態で係止する(lock)ために(たとえば加熱することにより)リフローはんだ付けすることができる、プラスチックコーティングが施されて形成されている。編組第2部分110の基端部および先端部は、第1部分102に対して同一平面に位置するようにテーパ状にすることができる。このテーパは、線112に形成することができ、または編組の後に(たとえば、研削等により)機械加工することができる。
【0014】
デバイス100は、その先端部において第1部分102が小径部105を含むように形成することができる。この構成により、たとえば、体内の蛇行する通路を通るデバイス100の横断に役立つように、デバイスの先端部における可撓性が追加される。小径部105は、本体101の先端部もしくは本体の基端部のうちの1つもしくは複数に、またはそれらの間の任意の位置に設けることができる。例示的な実施形態では、小径部105は、第1部分102の外縁部分より小さい直径を有するように研削されている。小径部105によって与えられる追加された可撓性により、この部分の上には第2部分110が延在しないようにすることができる。こうした実施形態では、第2部分は、小径部105の近端側の位置で終端することができる。第2部分110を構成する線112は、内視鏡の作業チャネルに対する損傷を防止するように、終端部において直径が徐々にテーパ状になることができる。別の実施形態では、第1部分102はその長さに沿って均一の直径を有し、第2部分110は、先端部における可撓性を増大させるように、第1部分102の先端部の基端側で終端する。さらに別の実施形態では、第1部分102の長さにわたって複数の第2部分110を取り付けることができ、複数の第2部分110は、デバイス100の長さに沿って可撓性が増大した領域を画定するように、互いに分離している。
【0015】
図8に示すように、例示的なデバイス100はクリッピング装置800で使用することができる。クリッピング装置800は、デバイス100の長尺状本体101の先端部に解除可能に結合された円筒状カプセル810を含む。すでにより詳細に述べたように、デバイス100の第2部分110の外径は、長尺状本体101の先端部に向かって徐々にテーパ状になることができる。カプセル810は、単一の止血クリップ812の基端部を受け入れる。クリップ812は、体外に残っている基端作動ハンドル816に制御ワイヤ814を介して結合されており、(たとえば、創傷を閉鎖するために)組織の分離した部分を合わせるための一対の組織把持アーム818を含む。全体として閉鎖デバイスと同様に、クリップ812は、処置が完了した後に適所に残されて、組織の縁を、自然な治癒プロセスによって結合する間に、合わせて保持するように設計されている。このプロセスが、クリップ812による補助なしに組織が自己保持することができるように十分進行すると、クリップ812を(たとえば、別の処置を通して)除去することができ、または把持された組織が脱落する際に自然に抜け落ちるように適所に残すことができる。
【0016】
作動形態では、長尺状本体101は、その先端部が標的位置に隣接して位置決めされるように、(たとえば、蛇行する通路に沿って体内開口部を通過した後に)生体内に挿入される。この所望の位置で、クリップ812はカプセル810から先端側に移動し、それによりアーム818は、それらの自然な付勢の下で広がって組織受入形態になる。クリップ812をカプセル810から前進させる前または前進させた後の任意の時点で、長尺状本体101の基端部に回転を加えて、カプセル810およびクリップ812を回転させてアーム818を標的組織に対して望ましいように方向付けることができる。そして、クリップ812をカプセル810内へ基端方向に引いてクリップアーム818を標的組織の上で閉じるように、制御ワイヤ814を駆動する。この最大基端範囲までクリップ812をカプセル810内に引き込むと、カプセル810は、アーム818の先端部が合わせて引き込まれた状態で、アーム818を強制的に閉鎖位置にあり続けるようにする。この時点で、制御ワイヤ814に加えられた追加の基端側の力により、所定張力に達するまで制御ワイヤに対する張力が増大し、それに達すると、制御ワイヤ814とクリップ812との間に結合されたコア部材820の2つの部分820a、820bの間の接合がなくなる。これにより、カプセル810およびクリップ812が長尺状本体101から解除され、クリップ812がクリッピングされた組織の上で、閉鎖位置で係止される。
【0017】
この例示的な実施形態のカプセル810は、ブッシング822によって長尺状本体101に取外し可能に接続される。コア部材820の切り離された基端部820aは、カプセル810から出て基端側に引っ張られる際、ブッシング822をカプセル810に接続するタブ826と係合しなくなるようにブッシング支持体824を押し、それにより、カプセル810が長尺状本体101から外れる。すなわち、ブッシング支持体824が、半径方向外側位置でタブ826を支持した位置から移動すると、タブ826は、半径方向内側にはね返り、カプセル810の基端部の対応する窓と係合しなくなる。これにより、カプセル810が、長尺状本体101に取り付けられたブッシング822から分離し、標的組織の上でクリップ812を適所に残しながら、装置800を体内から引き抜くことができる。
【0018】
図2に示すように、本開示の代替実施形態によるデバイス200は、後述することを除き、実質的にデバイス100と類似しており、同様の要素は同様の参照数字で参照されている。デバイス200には、編組第2部分110の上にプラスチック押出成形品220が形成されている。プラスチック押出成形品220は、編組第2部分110の上に配置され、編組第2部分110を第1部分102の上で所望の形態で係止するように(たとえば、加熱することにより)リフローはんだ付けされる。別の実施形態では、プラスチック押出成形品220は、第1部分102と第2部分110との間に配置され、その後、第1部分102および第2部分110が互いに対して移動不能な係止形態までデバイス200を移動させるように(たとえば、加熱を介して)リフローはんだ付けすることができる。編組第2部分110の外面の上にプラスチック押出成形品220を設けることにより、内視鏡(図示せず)の作業チャネル(図示せず)を損傷から保護するとともに、作業チャネルを通して挿入されるデバイス200のキンクを防止する/最小限にするように、保護コーティングが設けられる。例示的なプラスチック押出成形品220は、熱収縮チューブとして形成することができる。
【0019】
図3は、本開示の別の実施形態によるデバイス300を示す。デバイス300は、プラスチック押出成形品を使用することなく係止形態まで移動することができる。デバイス300は、後述することを除き、実質的にデバイス100に類似しており、同様の要素は、同様の参照数字で参照されている。具体的には、編組第2部分310の編組パターン設計は、デバイス100の単一区画、複数の区画または全長に沿って編組の係止パターンを使用することにより、第1部分102の上で係止するように形成することができる。すなわち、デバイス300の線312の交差部116は、コイル状第1部分102を形成する巻回されたワイヤ104によって形成された頂部および谷部と噛み合う。編組交差部は、いくつかの交差部330がコイル状第1部分102の谷部340において発生し、他の交差部332がコイル状第1部分102の頂部342において発生するように形成することができる。交差部は、
図3に示すように、頂部、谷部、およびこれらの組合せのいずれかにおいて発生して、コイル状第1部分102に第2部分310を係止するように形成することができる。この構成を用いて、第2部分310が巻き戻しや他の損傷に対して耐性を有するように、リップストップ型の生地を模すことができる。第2部分310の一部が損傷を受けた場合、例示的な構成は、損傷が第2部分の他の部品に広がるのを防止する。さらに、上に開示した例示的な構成は、個々の交差部330、332に対する応力負荷を分散させてその破損につながる可能性がある歪みが加わるのをさらに防止するのに役立つ。
【0020】
例示的な実施形態では、デバイス300は、4本の線または担体310で、各々が4本の素線112を含むように形成されている。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、線310および線毎の素線112の数のあらゆる変形形態を使用することができる。
【0021】
さらに別の実施形態では、限定されないが、第2部分110、210、310を第1部分102に圧着すること、溶接することおよびスエージ加工することを含む機械的処理を介して、第2部分110、210、310を適所に係止することができる。
【0022】
図4は、本開示の別の実施形態によるデバイス400を示す。デバイス400は、後述することを除き、デバイス100に実質的に類似するように形成される。デバイス400は、各々が2本のフィラメント414を備える線412の群から形成された編組第2部分410を備えている。長さL1にわたる第2部分410のピックカウントをデバイス100のピックカウントより大きくすることで、デバイス400に対する剛性を増大させることができる。ピックカウントは、特定の処置の要件に合うように選択することができ、デバイス400の長さに沿って変えることができる。
図5のデバイス500に関して示すように、ピックカウントを長さL1にわたって低減させることができ、それにより、対応して角度αが増大する。
【0023】
第2部分410は、隣接する線412の第1組の間に形成された第1ネガティブスペース440(すなわち、実質的にダイヤモンド形状の開口部)が、隣接する線412の第2組の間に形成された第2ネガティブスペース442とは大きさが異なるように選択された編組パターンで形成される。このパターンは、編組プロセス中に第2部分410に与えられる。このパターンにより、使用中にデバイス400の長手方向伸長および圧縮が可能になり、したがって、体内へのデバイス400の挿入に役立つ。本実施形態では、第1ネガティブスペース440は、当初は、第2ネガティブスペース442より大きい。さらに、デバイス400に所望の可撓性を与えるように寸法の異なる任意の数のネガティブスペース440、442を有するように編組を形成することができる。さらに、編組の所定長のみが寸法の異なるネガティブスペースを含むように編組をパターン化することができる。たとえば、1つの限定しない例では、デバイス400の先端チップのみが、寸法の異なるネガティブスペースを含むことができる。デバイスの選択部分に対して所望の可撓性を与えるように、デバイス400の例示的な特徴を本明細書に開示する他の特徴のうちの任意のものと組み合わせてさらに使用することができる。上述した編組パターンは単に例示的なものであり、その変形形態が、本開示の範囲内で考えられる。
【0024】
図6に示すように、本開示のさらに別の実施形態によるシャフト600は、後述することを除きシャフト100と実質的に類似している。シャフト600は、合わせて編組されている複数の単一ワイヤまたはストリップ612を含む。単一ワイヤ612の各々は、平坦な略矩形の断面を有するように形成されている。しかしながら、円形および楕円形を含む他の任意の断面形状を使用することができる。
【0025】
図7は、本開示の別の実施形態によるデバイス700を示す。デバイス700は、後述することを除き、上述したデバイスと実質的に類似するように形成される。デバイス700の第2部分710は、第1径の素線714aを有する第1線712aを備え、第1線712aおよび第2線712bは、不平衡の編組パターンを形成するように編組されている。第2部分710はまた、第1径より小さい第2径の素線714bを有する第2線712bも備えている。すなわち、第1線712aの4本の素線714aの各々は、すべて同じ第1径を有し、第2線712bの4本の素線714bの各々はすべて同じ第2径を有している。この構造の結果、第1線712aおよび第2線712bを編組している間、線の各々に対する張力が、第2部分710のそれぞれの部分における張力を増減させるように変わることになる。具体的には、径が大きい方の第1線712aに対する張力は、第2線712bの張力より大きくなる。別の実施形態では、第1線712aを右回り方向に編組する一方で第2線712bを左回り方向に編組することにより、不平衡の編組を達成することができる。この種の不平衡の編組は、直径が同じであるかまたは異なる第1線712aおよび第2線712bから形成することができる。デバイス700には第1線712aおよび第2線712bが記載されているが、デバイス700において任意の数の線を使用することができる。
【0026】
本開示の例示的な実施形態により、デバイス100~700に対して外部からの回転を加えることが可能になり、そこでは、デバイス100~700全体を回転させて、その先端部に取り付けられた機構(たとえば、クリッピングデバイス)に、対応する回転を与えることができる。外科医または他の術者は、デバイスの基端具に設けられたハンドルを使用してまたは使用せずに、この回転を与えることができる。対照的に、現行のデバイスで使用されるような制御ワイヤ機構では、それに結合された機構に回転を与えるためにハンドルの使用が必要である。本開示によるデバイス100~700の例示的な外部からの回転は、反りまたは巻上げなしに回転を伝達するというさらなる利点を提供する。具体的には、制御ワイヤベースの回転機構では、回転中の巻上げ、ならびにその先端部の急な動き(whipping)および制御されない動きを受け易い。例示的なデバイスは、こうした巻きまたは反りを防止するように形成され、回転を有効にかつ正確に伝達することができる。
【0027】
本開示による例示的な編組第2部分は、製造中にコイル状第1部分の上に形成することができ、編み目パターンまたはかぎ針編みパターンを介して形成することができる。
上述した実施形態の個々の特徴は、代替実施形態を形成するように省略しかつ/または組み合わせることができる。さらに、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、本開示の構造および方法においてさまざまな変更形態をなすことができる。たとえば、本開示は、クリッピングデバイスに関して記載されているが、例示的なシステムおよび方法はまた、デバイスを開放/閉鎖する、デバイスを組織内に伸長させる/後退させる等の機能と組み合わせて、構成要素の向上した回転が必要である、生検手技または他の任意の医療手技を行うために使用することも可能である。したがって、本開示による例示的なシャフトは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、正確な回転制御を必要とする他の任意の医療デバイスとともに、かつ、その中で採用することができることが提示されている。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある本開示の変更形態および変形形態を包含するように意図されている。