(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】複合インサート支持部材を有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20231128BHJP
【FI】
A61B18/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022132332
(22)【出願日】2022-08-23
(62)【分割の表示】P 2018111650の分割
【原出願日】2018-06-12
【審査請求日】2022-08-23
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ウィリアム・シュルツ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0156784(US,A1)
【文献】国際公開第2016/161211(WO,A1)
【文献】特開2014-039878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0187893(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0188104(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的カテーテルの先端電極の製造方法であって、
内部空洞
、及び、前記内部空洞と連通する近位開口部を画定する近位リムを有するシェルを提供することと、
導電性材料のインタフェース部と別の材料のインサート成形部とを備える支持部材を形成することであって、
前記インタフェース部を形成するために前記導電性材料の薄いシートを構成することと、
インサート成形によって前記インタフェース部上に前記インサート成形部を形成することと、を含む、ことと、を含み、
前記インタフェース部は、前記シェル
の前記近位リムと係合するように構成されており、前記インサート成形部の遠位部分が前記内部空洞内に位置付けられている、方法。
【請求項2】
前記インタフェース部を形成するために前記導電性材料の前記薄いシートを構成することは、前記インタフェース部に電気接続部材を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持部材を前記形成することは、リード線との接続のために前記電気接続部材の一部を露出させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気接続部材が、前記インタフェース部に形成された開口部から突出し、前記開口部を通って近位に延在する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記インタフェース部を形成するために前記導電性材料の前記薄いシートを前記構成することは、前記インサート成形部が延びる開口部を有する前記インタフェース部を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記インタフェース部を形成するために前記導電性材料の前記薄いシートを前記構成することは、インターロック突起を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記インタフェース部を形成するために前記導電性材料の前記薄いシートを前記構成することは、前記シェルの
前記近位リムと締まりばめするように構成された周辺部を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記周辺部がステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
インサート成形によって前記インサート成形部にリング電極を形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
インサート成形によって前記インサート成形部にコネクタスリーブを形成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気生理学(EP)カテーテル、特に、心臓組織を切除するEPカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルによる心不整脈の診断及び治療には、心臓組織の電気特性をマッピングすること、及びエネルギーの印加によって心組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、望ましくない電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか或いは修正させることができる。アブレーション法は、非伝導性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、病変部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロック部分を形成するためのマイクロ波、レーザー、及びより一般的には高周波エネルギーの使用が挙げられる。
【0003】
マッピングの後に焼灼が続く、2段階の処置では、心臓内部の場所での電気的活動は、典型的には、1つ又は2つ以上の電気センサー(又は電極)を収容するカテーテルを心臓内へと前進させ、複数の場所でのデータを取得することによって、検知及び測定される。次いでこれらのデータが利用されて、アブレーションが実施される組織の標的領域が選択される。
【0004】
使用にあたり、電極カテーテルは、主要な静脈又は動脈、例えば大腿動脈の中に挿入され、次いで対象となる心室の中に案内される。基準電極は、一般に患者の皮膚にテープで貼られて提供されるか、又は焼灼カテーテル若しくは別のカテーテル上に提供される。高周波(RF)電流がカテーテルの焼灼電極に印加され、周囲の媒体、すなわち血管及び組織を通じて、基準電極に向かって流れる。電流の分布は、組織よりも導電率の高い血液と比べると、組織と接触する電極表面の量に依存する。
【0005】
従来の灌注カテーテルの遠位先端電極は、開口部と内部空洞とを有する薄いドーム電極シェルと、内部空洞を封止する開口部に位置して差し込むインサート支持部材とを有する二部構成を使用する。例えば、スタンピング、深絞り又は従来の機械加工などの任意の好適な方法で形成することができるシェル、及びインサート支持部材は両方とも、アブレーション手順の間に、インサート支持部材に電気エネルギーを供給する電気的接続をシェルに行うように、パラジウム/白金合金又は類似の貴金属合金を含む導電性材料で構成される。インサート支持部材は、したがって、シェルとの物理的接続を提供する働きをし、シェルとインサート支持部材との間のレーザー溶接又は他の好適な永久接続を可能にし、シェルとの電気的接続を提供する。灌注、位置感知、温度感知及びRFアブレーションを含む複数の機能で使用可能な従来のカテーテルを使用して、非常にコンパクトな領域に多数の部品を収容するために、インサート支持部材は、複雑な形状を組み込む。
【0006】
貴金属合金の使用は、インサート支持部材のコストが増大するだけでなく、複雑な形状を作るための複雑で微細な加工は、製造コストを大幅に増加させる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、複雑な形状、導電性、及び永久接続の要求を満たしながら、より安価な材料及びより安価な方法で形成することができるインサート支持部材が望まれる。低コストで大量の製造、並びに更に、温度センサなどの部品の集積化、並びにポリイミド絶縁スペーサ及びチューブなどの追加部品の削減に適した構造及び構成を有するインサート支持部材が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
灌注式電気生理学的カテーテルは、シェルを有する先端電極と、シェルに差し込み、1つ以上の先端部品を支持し、かつ/又はその機能を容易にするように構成された支持部材とを有する。有利なことに、支持部材は、導電性インタフェース部及びインサート成形部を有し、典型的には貴金属合金で構成されるインタフェース部は、その量、したがってその製造コストを低減するために構造的に最小化されながらもシェル及びリード線との電気的接続用に構成されるが、インサート成形部は、著しく低コストの材料で構成され、材料、労力及び時間を削減することによって先端電極の製造において更なるコスト節約をしながら、先端構造を支持するように適合した極小の複雑な3次元形状、並びに灌注、力感知及び温度感知を含む機能で容易に構成される。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルは、細長いカテーテル本体と、リード線と、先端電極とを有する。灌注のために構成された先端電極は、シェルと支持部材とを有する。シェルは、近位開口部と内部空洞とを有する。支持部材は有利に、貴金属合金のような導電性インタフェース部と、プラスチック材料のインサート成形部とを有し、インタフェース部は、シェル及びリード線と電気的に接続され、インタフェース部は近位開口部においてシェルに係合する周辺部を有する。
【0010】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、シェルの内部空洞内に遠位部分を含む。
【0011】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、インタフェース部の周辺部の近位にある近位部分を含む。
【0012】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、流体通路を有する。
【0013】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、流体孔を有する。
【0014】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、引っ張り部品を受容するように構成された長手方向通路を有する。
【0015】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、インタフェース部の外面と共に、外面を有する近位延長部を有する。
【0016】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、例えばインサート成形されたリング電極を含む、リング電極を受容するように構成された円周方向の刻み目を有する。
【0017】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、例えば力センサを含む、部品の一部を受容するように構成された環状フランジを有する。
【0018】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、リング電極に接続されたリード線の通過を可能にするように構成されたノッチを有する。
【0019】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部は、例えばサーミスタを含む、部品を受容するように構成された凹部を有する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、先端電極を有する電気生理学的カテーテルの製造方法であって、(a)シェルを提供することであって、シェルは内部空洞を有する、ことと、(b)(i)薄いシートを構成してインタフェース部を形成することと、(ii)インサート成形部と共にインタフェース部をインサート成形し、インタフェース部は、インサート成形部の遠位部分が内部空洞内に位置付けられたシェルと係合するように構成されることと、を含む、支持部材に、貴金属合金を含む1種類の材料のインタフェース部、及びプラスチックを含む別の材料のインサート成形支持部材を提供することと、を含む、製造方法。
【0021】
いくつかの詳細な実施形態では、インタフェース部を形成するための薄いシートの構成は、インタフェース部に電気接続部材を提供することを含む。
【0022】
いくつかの詳細な実施形態では、インタフェース部をインサート成形することは、リード線との接続のために電気接続部材の一部を露出させることを含む。
【0023】
いくつかの詳細な実施形態では、電気接続部材は、インタフェース部に形成された開口部から突出し、開口部を通って近位に延在する。
【0024】
いくつかの詳細な実施形態では、インタフェース部を形成するために薄いシートを構成することは、インサート成形部が延びる開口部を有するインタフェース部を形成することを含む。
【0025】
いくつかの詳細な実施形態では、インタフェース部を形成するために薄いシートを構成することは、インサート成形部に囲まれるように構成されたインターロック突起を形成することを含む。
【0026】
いくつかの詳細な実施形態では、インタフェース部を形成するために薄いシートを構成することは、シェルの近位リムと締まりばめするように構成された周辺部を形成することを含む。
【0027】
いくつかの詳細な実施形態では、周辺部は、近位シェルと係合する遠位部分を有するステップを有する。
【0028】
いくつかの詳細な実施形態では、本方法は、インサート成形部上にリング電極をインサート成形することを更に含む。
【0029】
いくつかの詳細な実施形態では、本方法は、インサート成形部上にコネクタスリーブをインサート成形することを更に含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、先端電極を有する電気生理学的カテーテルの製造方法は、(a)シェルを提供することであって、シェルは内部空洞を有する、ことと、(b)(i)インタフェース部を形成する金属合金の薄いシートを構成することと、(ii)プラスチック材料と共にインタフェース部をインサート成形して、インサート成形部を形成し、インタフェース部が、インサート成形部の遠位部分がシェルの内部空洞内に位置付けられたシェルと係合するように構成されることと、を含む、支持部材に、金属合金のインタフェース部及びプラスチック材料のインサート成形部を提供することと、(c)支持部材上にシェルを装着し、インタフェース部が、シェルと係合し、インタフェース部の遠位周辺部は、シェルの近位開口部との締まりばめを有することと、を含む。
【0031】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部を形成するためにプラスチック材料とインタフェース部をインサート成形することは、インサート成形部の外面に円周方向の刻み目を形成することを含み、その方法は、円周方向の刻み目にリング電極をインサート成形することを更に含む。
【0032】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部を形成するためにプラスチック材料とインタフェース部をインサート成形することは、凹部を形成することを含み、その方法は、凹部内にサーミスタをインサート成形することを更に含む。
【0033】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部を形成するためにプラスチック材料とインタフェース部をインサート成形することは、流体通路を形成することを含む。
【0034】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部を形成するためにプラスチック材料とインタフェース部をインサート成形することは、流体孔を形成することを含む。
【0035】
いくつかの詳細な実施形態では、インサート成形部を形成するためにプラスチック材料とインタフェース部をインサート成形することは、力センサの遠位端を受容するように構成された環状フランジを形成することを含む。
【0036】
いくつかの詳細な実施形態では、シェルを支持部材上に装着することは、シェルとインタフェース部との間にレーザー溶接結合を形成することを含む。
【0037】
いくつかの詳細な実施形態では、インタフェース部を形成する金属合金の薄いシートを構成することは、電気接続部材を形成することを含み、インサート成形部を形成するためにプラスチック材料とインタフェース部をインサート成形することは、電気的エネルギー導管に接続するように構成される電気接続部材の少なくとも一部を露出させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明のこれらの特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び機構が、残りの構造及び機構を見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
【
図1】ある実施形態による、本発明のカテーテルの斜視図である。
【
図2】線A-Aに沿って取られた、
図1のカテーテルのカテーテル本体の端部断面図である。
【
図3】線B-Bに沿って取られた、
図1のカテーテルの中間偏向部の端部断面図である。
【
図4】一部(複数可)を切り欠いた、
図1のカテーテルの遠位部の側面図である。
【
図5】一実施形態による、遠位部に収容された磁気コイル部品の概略図である。
【
図6A】本発明の実施形態による、シェル及びインサート部材の側面断面図である。
【
図6B】本発明の別の実施形態による、インサート部材及びフレックス回路の近位部分の詳細な側面断面図である。
【
図7A】本発明の実施形態による、インサート部材の斜視図である。
【
図7B】本発明の別の実施形態による、インサート部材の斜視図である。
【
図7C】本発明の更に別の実施形態による、インサート部材の斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態による、インサート部材のインタフェース部の斜視図である。
【
図9A】線A-Aに沿って取られた、
図6Aの先端電極の端部断面図である。
【
図9B】線B-Bに沿って取られた、
図6Aの先端電極の端部断面図である。
【
図9C】線C-Cに沿って取られた、
図6Aの先端電極の端部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、改善された灌注冷却アブレーション先端電極を備えるカテーテル10の実施形態を示している。このカテーテルは、近位端と遠位端とを有する細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体12の遠位端にある中間偏向可能部分14と、先端電極17とを有する遠位部15とを有する。カテーテルはまた、カテーテル本体12に対する中間部分14の偏向(単一方向、又は双方向)を制御するために、制御ハンドル16をカテーテル本体12の近位端に含む。
【0040】
図2を参照すると、カテーテル本体12は、単一の、軸方向又は中央ルーメン18を有する細長い管状構造を備える。カテーテル本体12は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さ方向に沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造を有していてよく、任意の好適な材料で作製できる。現在の好ましい構造は、ポリウレタン又はPEBAXで作製された外壁20を備える。外壁20は、ステンレス鋼などの編組メッシュが埋め込まれていることによって、カテーテル本体12のねじり剛性が高められているため、制御ハンドル16が回転すると、カテーテル10の中間区画14がこれに応じて回転することとなる。
【0041】
カテーテル本体12の外径は、重要ではないが、好ましくは約8フレンチ以下、より好ましくは7フレンチである。同様に外壁20の厚さもそれほど重要ではないが、外壁20は、中央ルーメン18が引っ張り部材(例えば、プーラーワイヤ)、リード線、及び他の任意の所望のワイヤ、ケーブル又は管を収容できるように充分に薄い。所望の場合、外壁20の内側表面は、捻り安定性を向上させるために補強管22で裏打ちされる。開示する実施形態において、このカテーテルは、約0.229センチメートル~約2.39センチメートル(約0.090インチ~約0.94インチ)の外径と、約0.155センチメートル~約0.165センチメートル(約0.061インチ~約0.065インチ)の内径と、を有する外壁20を有する。
【0042】
制御ハンドル16と偏向可能部分14との間に延在する要素は、カテーテル本体12の中央管腔18に通過させられる。これらの要素には、(先端電極17及び先端電極の近位の1つ以上のリング電極21用の)リード線30T及び30R、先端電極に流体を供給するためのルーメン39を備える灌注管38、遠位部分15に又はその付近に保持された位置センサ34用のケーブル33、中間部分14を偏向させるための引っ張りワイヤ32a、32b、並びに遠位部分15の温度を感知するための一対の熱電対ワイヤ41、42が含まれ得る。
【0043】
図3には、管19の短い断片を含む中間部分14の実施形態が示されている。管は、複数のルーメン、例えば軸外ルーメン24、26a、26b、27及び軸上ルーメン28を有する。ルーメン24は、リードワイヤ30T及び30R、並びに熱電対ワイヤ41及び42を収納する。ルーメン27は、位置センサケーブル33を収納する。ルーメン28は、灌注管38を収納する。ルーメン26aには、中間部分を偏向させるための引っ張りワイヤ32aを収納されている。双方向に偏向させるために、正反対の位置にあるルーメン26bに第2の引っ張りワイヤ32bが収納されている。管19のルーメンの複数の(plurality and)配置は、必要に応じて又は適切に変化し得ることが理解される。例えば、他の実施形態では、管19は、引っ張りワイヤ用の2つの対向するルーメンを、他の全ての部品をルーティングするための、そこから約90度の2つ以上のルーメンと共に、有してもよい。
【0044】
中間部分14のチューブ材19は、カテーテル本体12よりも高い可撓性を有する適当な毒性のない材料で形成されている。チューブ19に適した材料は、編組ポリウレタン、即ち編組のステンレス鋼などのメッシュが埋め込まれたポリウレタンである。各ルーメンの大きさは重要ではないが、それを通って延びるそれぞれの構成要素を収納するのに十分な大きさである。
【0045】
各引っ張りワイヤ32a、及び32bは、Teflon(登録商標)などの潤滑性コーティングを有する。引っ張りワイヤは、例えば、ステンレス鋼又はNitinolなどの任意の好適な金属で形成され、Teflonコーティングによって引っ張りワイヤに潤滑性を付与することができる。引っ張りワイヤは、好ましくは直径が約0.015~約0.025センチメートル(約0.006~約0.010インチ)の範囲である。
【0046】
図3に示されるように、カテーテル本体12内の各引っ張りワイヤの一部は、引っ張りワイヤを包囲する圧縮コイル35を通っている。各圧縮コイル35は、カテーテル本体12の近位端から、中間部分14の近位端又はその付近へと延びる。圧縮コイルは、任意の好適な金属、好ましくはステンレス鋼で作製され、それ自体にきつく巻かれることによって、可撓性、すなわち屈曲性をもたらす一方で圧縮には抗するようになっている。圧縮コイルの内径は、引っ張りワイヤの直径よりもわずかに大きいことが好ましい。圧縮コイル35から遠位にある引っ張りワイヤの各部分は、それぞれの保護シース37を通って延びて、引っ張りワイヤが、偏向中に中間部分14の管19にくい込むのを防ぐことができる。
【0047】
引っ張りワイヤ32a及び32bの近位端は、制御ハンドル16に固定されている。引っ張りワイヤ32a、32bの遠位端は、当業者によって理解されるように、中間部分14の管19の遠位端に、又はその近傍に固定されている。いくつかの実施形態では、Tバー25を用いて、引っ張りワイヤの遠位端を管19の遠位端の近くに固定することができる
図4に示すように)。他の実施形態において、1つ以上の部品又は特徴部は、更に後述するように引っ張りワイヤをルーピングないしは別の方法で固定するために、先端電極17内に成形され得る。平面に沿った中間部分14の偏向をそれぞれ生じさせる、カテーテル本体12に対する引っ張りワイヤの別個かつ独立した長手方向の運動は、制御ハンドル16の偏向部材の好適な操作によって実現することができる。好適な偏向部材及び/又は偏向アセンブリは、同時係属の米国特許公開第2010/0168827(A1)号(2010年7月1日公開、表題DEFLECTABLE SHEATH INTRODUCER)及び米国特許公開第2008/0255540(A1)号(2008年10月16日、表題STEERING MECHANISM FOR BI-DIRECTIONAL CATHETER)に記載されており、双方の全開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
図4及び
図6Aを参照すると、中間部分14の遠位端に遠位先端部分15があり、これは先端電極17、及び先端電極17と中間部分14との間の比較的短い片の非導電性コネクタ管又はスリーブ23を含む。例示される実施形態では、コネクタ管23は、位置センサケーブル33の遠位端を受容し、かつ電極リード線30T及び30R、熱電対ワイヤ41及び42、並びに灌注管38などの部品を遠位部分15及び先端電極17に通す、単一のルーメン29を有する。コネクタ管23の単一のルーメン29により、これらの部品は、中間部分14におけるそれぞれのルーメンから遠位部分15及び先端電極17内におけるそれらの位置に向かって、必要に応じて向きを変えることが可能である。開示される実施形態では、管材23は、6mm~12mmの範囲の長さを有する保護管材である。
【0049】
また、コネクタ管23には、力センサ90が収容されている。力センサに類似の力センサの諸態様が、2013年1月22日にGovariらに対して発行された、CATHETER WITH PRESSURE SENSINGと題する米国特許第8,357,152号、及び、2009年11月30日にBeecklerらにより出願された、CATHETER WITH PRESSURE MEASURING TIPと題する米国特許出願公開第2011/0130648号に記載されているが、両者の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
力センサ90は、弾性的連結部材91を含み、同部材は、ばね関節部を形成する。いくつかの実施形態では、連結部材91は、内部を通る中央ルーメン92を有する中空円筒形状である。連結部材91は、典型的には、部材において切断ないしは別の方法で形成した1つ以上のらせん部93を有し、部材がばねとして作用するようにする。いくつかの実施形態では、連結部材91は、力センサ90内にニッケルチタン(ニチノール)などの超弾性合金で形成されている。
【0051】
図5を参照して、力センサ90は、次に先端電極が組織に接触するようになるなど、先端電極17が、カテーテルの長手方向軸線84から角変位されるときを含む、ばね関節部の軸方向変位量及び角度振れにおけるいずれの寸法的変化に対しても正確な読み取りを提供するコイル76、78、80、及び82を含む関節検知アセンブリを含む。これらコイルは、カテーテルで用いることができる磁気変換器の一種である。「磁気変換器」とは、本特許出願の状況において、また特許請求の範囲において、印加された電流に応答して磁界を発生させ、かつ/又は、印加された磁界に応答して電気信号を出力する装置を意味するものである。本出願の実施形態では、コイルを磁気変換器として記述しているが、代わりの実施形態では、当業者にとっては自明であるように、他の種類の磁気変換器を用いることができる。
【0052】
検知アセンブリ内のコイルは、ばね関節部の反対側の2つのサブアセンブリの間で分割される。一方のサブアセンブリは、コイル82を、ばね関節部の遠位側に備え、同コイルは、(ケーブル33に含まれる)ワイヤを介して電流によって駆動されて、磁場を発生させる。この磁場は、第2のサブアセンブリによって受信され、同サブアセンブリは、コイル82から軸方向に離間し、かつそのコイルの近位にあるコネクタ管23の一部分に、ばね関節の近位に位置するコイル76、78及び80を備える。本出願及び特許請求の範囲の文脈で用いられる「軸方向」という用語は、カテーテルの長手方向軸線84に沿った又は平行な方向を指す。コイル82は、典型的には長手方向軸線84と同軸にある。
【0053】
コイル76、78、及び80は、コイル82から近位側に同じ距離でコネクタ管23に、ただし異なる径方向位置に固定されている。(用語「径方向」は、長手方向軸線84に対する座標を指す。)具体的には、例示した実施形態では、コイル76、78、及び80は全て、長手方向軸線84に対して垂直な同一平面内にあるが、長手方向軸84を中心とする異なる等方向角度であり、即ち、3つのコイルは、コイル82から長手方向軸84に沿って同じ軸方向距離で方位角的に120度離間している。
【0054】
コイル76、78、及び80は、コイル82によって伝達される磁界に対して、電気信号を生成する。これらの信号は、遠位部分15から近位側に、中間部分14のルーメン24、カテーテル本体12のルーメン18を通じて、制御ハンドル16の中へと延びるワイヤ(ケーブル33の一部)によって伝えられる。これらの信号は、例えば、長手方向軸線84に沿ったばね関節部の軸方向変位量を測定するために、並びに、長手方向軸線84からの関節の角度振れを測定するために、リモートプロセッサによって、処理される。測定したずれ及びゆがみから、プロセッサは、典型的には予め決定した較正テーブルを使用して、ばね関節に対する力の大きさ及び方向を評価することができる。
【0055】
同じプロセッサ(又は別のプロセッサ)は遠位部分15の位置及び向きを検出し測定する。測定方法は、当技術分野で知られているあらゆる従来の方法によって行うことができる。一実施形態では、患者の体外で生成した磁場により、遠位部分15の要素内に電気信号を生成し、プロセッサは、この電気信号レベルを使用して遠位部分の場所及び向きを決定する。代替的に、磁場を遠位部分15内で生成することができ、磁場が生成した電気信号を患者の体外で測定することができる。
図5にも示すように、遠位部分)12の位置付け及び配置に使用される遠位部分12内の要素は、X軸と揃えられた直交コイルC
x、Y軸と揃えられた直交コイルC
y、並びにコイル76、78、及び80のうちの1つ(力センサの要素としての使用法に加えて)、例えば、直交コイルC
zとしてZ軸と揃えられたコイル80などを含む。コイルC
x、C
y、C
z/80は、連結部材60のルーメン68内部にあるコネクタ管23に収容される。これらのコイルは、ケーブル33が接続される電磁位置センサ34の検知部品である。いくつかの実施形態では、カテーテルは、ケーブル33の代わりに単一の軸方向センサ(SAS)ケーブルアセンブリと、位置及び場所検知のための電磁位置センサ34とを含む。使用に適したSASケーブルアセンブリは、CATHETER WITH SINGLE AXIAL SENSORSと題する、米国特許第8,792,962号に記載されており、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
図4、
図6A、及び
図7Aを参照して、灌注された先端電極17は、導電性ドームシェル50と支持部材52とを含むツーピース構造を有する。シェル50は、ドーム形非外傷性遠位端53を有する閉鎖された遠位部分50Dによって画定された内部空洞51と連通する開放された近位部分(又はリム)50Pを備える中空円筒形本体50Bを有する。シェル50の壁部63には、内部空洞とシェル50の外側との間の流体連通を可能にする複数の流体出口ポート56が形成されている。支持部材52は有利には、導電性インタフェース部54と、単体として機能するインサート成形部55とを含む構成を有する。
【0057】
インタフェース部54(
図8で恐らく最もよく見られる)は、電気伝導のためにシェル50に嵌合又は係合する。いくつかの実施形態では、
図6で示されるように、インタフェース部54は、周辺部57がシェル50の近位開口部又はリム50Pとの締まりばめを提供し、内部空洞51がシェル50内に内部プレナム室を提供できるようにリム50Pを密封するように環状構成(例えば、リング)を有する。いくつかの実施形態では、周辺部57の断面は、シェルのリム50Pのすぐ遠位である比較的細い(遠位)環状部分57Dと、シェルのリム50Pの内側の相対的に広い(近位)環状部分57Pとを画定するステップSを含む。ステップSは、シェル50の近位リム50Pが(例えばレーザー溶接98を介して)その円周全体に取り付けられる周面を提供して、シェルのインタフェース部54への、したがってカテーテル10への耐久性のある取り付けを提供する。
【0058】
インタフェース部54は、インタフェース部54に通電するためのリード線30Tが接続される電気接続部材又はタブ58と、したがってまたインタフェース部54に係合するシェル50とを含む。周辺部57の遠位内縁部60(
図8参照)は、インサート成形部55が通って延びる開口部61を取り囲む。インタフェース部54とインサート成形部55とを連動させるために、内縁部60は、インサート成形部55に囲まれる1つ以上の突起62を備えて形成され、以下でより詳細に説明されるようにその周りにインサート成形部55が形成される。
【0059】
いくつかの実施形態では、インタフェース部54は、金属合金又は貴金属合金のような導電性の生体適合性材料の薄いシートから形成される。シェル50はまた、同じ又は類似の導電性生体適合性材料で構成されている。好適な生体適合性金属合金としては、ステンレス鋼合金、貴金属合金、及び/又はこれらの組み合わせから選択される合金が挙げられる。一実施形態では、合金は、約80重量%のパラジウム及び約20重量%の白金からなる。別の実施形態では、合金は、約90重量%の白金及び約10重量%のイリジウムからなる。いくつかの実施形態では、シェル50は、取り扱い、患者の身体を通る輸送、及び組織接触のために好適である、十分に薄いが頑丈なシェル壁を製造する、深絞り製造プロセスによって形成される。
【0060】
インタフェース部54を薄いシートから製造するための好適な方法は、インタフェース部に、内縁及び外縁並びに3次元構成を提供するための、例えば、スタンピング、深絞り、及び他の従来の方法を含む。特に、製造方法は、開口部61の領域内に薄いシートの一部分を提供して、タブ58及びインターロック突起62を形成する。例示した実施形態では、タブ58を形成する部分は、続けて、開口部61によって画定される平面に概ね垂直な角度で開口部61を通って近位に延在するように曲げられる、ないしは別の方法でUベンドにより形状付けられる。いくつかの実施形態では、開口部61の直径を超える長さLの必要性又は所望が存在する場合に延長部分をタブ58に追加することができるという認識の下、タブ58の長さLがインタフェース部54の深さDを超えるように(
図6A参照)インタフェース部54を構成し、寸法を決めて、リード線30Tがタブ58に取り付けられる際により容易なアクセスを提供する。タブ58は、リード線30Tを接続できる限り、例えば、ワイヤボンド又はその他の任意の従来の方法をはんだ付けすることにより、様々な形状、大きさに構成され得ることが更に理解される。電気エネルギー又は信号は、
図6Bの実施形態に示されるようにフレックス回路75を含む任意の好適な導管によってインタフェース部54との間で伝達されてもよく、ここでフレックス回路75の一部は、残りの部分を、例えば、連結部材91のルーメン92の近位に延在させて、近位面79に定置され、フレックス回路75は、タブ58並びに/又は熱電対ワイヤ41及び42を受容し、それらにはんだ付けするための1つ以上のスルービア79を有する。
【0061】
インサート成形部55は、インタフェース部54の遠位にある遠位部分55D、インタフェース部54内部にある主要部分55M、及びインタフェース部54の近位にある近位部分55Pを有する。いくつかの実施形態では、遠位部分55は、概ねシェル50へと延在する中実の円柱として構成され、包囲シェル50によって画定された内部空洞51内の空間を占拠する。遠位部分55Dは、所定の直径又は周囲の長さ並びに円周方向の間隙G及び遠位部分55Dとシェル50との間に遠位間隙DGを残した長さを有する。いくつかの実施形態では、主要部分55Mは、開口部61とインタフェース部54の周辺部57の近位端との間に延在し、インタフェース部54の内側表面と(例えば、射出成形によって)一致している。主要部分55Mは、開口部61をブロックするように構成されている。とりわけ、主要部分55Mは、タブ58とリード線30Tとの導電接続に干渉することなくタブ58の周囲に形成され得る。つまり、インサート成形部55を形成するためのインタフェース部54のプラスチック材料とのインサート成形は、露出された、好適な電気導管の接続に利用できるタブ58の一部分を残す。
【0062】
射出成形された本体を有して、インサート成形部55は、インタフェース部54と一体化され、したがって部材54及び55は、単一の単体構造の本体及び部品として機能し実行する。全体的に合金で構成されている以前の支持部材と比較して、部材54及び55と共に支持部材52は本明細書で、シェルに差し込むこと、耐久性のある及び導電性のシェル取り付けを可能にすること、並びに他の機能の収容において望ましいかつ/又は必要のある複雑な3次元形状及び/又は先端電極内の部品レイアウトを提供することを含む、類似の有効な機能を、ただし供給及び製造コストの節約により著しく低いコストで提供する。供給コストは、支持部材における貴金属合金のより少ない使用によって削減され、製造コストは、マイクロドリル加工を、インサート成形(マイクロインサート成形を含む)に置き換えることによって削減され、その後者は、より複雑かつ詳細な3次元形状を製造することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、3次元形状は、1つ以上の流体孔64、及びインサート成形部55の長さを通って延在する1つ以上の相互連結した流体通路65を含む。例示した実施形態では、インサート成形部55は、灌注管38の遠位端を受容する近位面79に近位開口部を有する長手方向の軸上流体通路65を含む。流体通路65は、インタフェース部54の開口部61を通過し、灌注管38からの流体通過が、流体孔64から出て、シェル50の内部空洞51内のプレナム室に入り、先端電極17の外側へと出口ポート56を介してシェル50から出ることができるように、軸路65A及び流体孔64と連通している径方向通路65Rに枝分かれする。シェル50及びプラグ52は、内部空洞51内のプレナム状態の提供を容易にするもので、つまり、流体は、内部空洞51内に押し込まれる又は送達されると、次にシェル壁63内に形成される出口ポート56を通過して先端電極17から出る。
【0064】
いくつかの実施形態では、3次元形状は、1つ以上の長手方向通路71を、先端電極17の脱離に対する安全対策としてそこ通過する安全コード72のために含む。長手方向通路71は、インサート成形部55の長さを延長し、インサート成形部55の遠位端又はその近傍にUベンド97を有する。いくつかの実施形態では、安全コード72は、Uベンド97にUベンド部分、及び制御ハンドル16内に固定された近位端を備えるカテーテルの全長を通過する。いくつかの実施形態では、安全コード72の近位端は、より遠位の位置で固定される(例えば、偏向可能部分14の遠位端における接着接合)。
【0065】
いくつかの実施形態では、3次元形状は、サーミスタ96が中でインサート成形される凹部95により構成される遠位面81、並びにサーミスタ線41及び42用にその長さにわたり長手方向通路73により構成されるインサート成形部55を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、3次元形状は、外面55Sが、インタフェース部54の外面59とぴったり重なるように、インタフェース部54の周辺部57まで近位延長部55Eにより構成された近位部分55Pを含む。更に、外面55Sは、インサート成形され得るリング電極21を収容するために円周方向の刻み目55Cにより構成され得る。いくつかの実施形態では、近位部分55Pは、リング電極21からコネクタ管23のルーメン29へとリード線30Rの通過を可能にするように、ノッチ67により構成される。
【0067】
いくつかの実施形態では、3次元形状は、力センサ90の弾性的連結部材91の遠位端を受容するように、凹部68により構成されたインサート成形部55の近位面79を含む。
図6Aの例示した実施形態では、凹部68は、長手方向軸線84に対して軸上に力センサ90を位置付ける際に連結部材91の遠位端を取り巻く薄い環状フランジ69によって画定される。
【0068】
いくつかの実施形態では、力センサ90を収容するコネクタスリーブ23は、支持部材52上にオーバーモールドされる。いくつかの実施形態では、コネクタスリーブ23は、その遠位端で内径によって画定される内環ノッチ形成物を含むように、
図6A及び
図7Bに示されるように射出成形部55の近位面79上にオーバーモールドされる。いくつかの実施形態では、例えば、インタフェース部54は、コネクタスリーブ23の遠位端上を摺動し、コネクタスリーブ23は、その上にインタフェース部54を摺動するのに好適な外径によって画定される外環ノッチ形成物を有する。
【0069】
先端電極17から、リード線30T及び30R、並びにサーミスタ線41及び42並びに灌注管31は、
図6Aに示されるように連結部材91のルーメン92を、
図3に示されるように中間部分14の管19の対応するルーメンへと近位に通過する。これらの部品のうち1つ以上は、必要又は所望に応じて、1つ以上の保護及び/又は絶縁スリーブによって取り巻かれ得る。リード線、サーミスタ線、及び灌注管は、
図2に示されるように中間部分14の管19のルーメンから、カテーテル本体12のルーメン18へと通っている。
【0070】
いくつかの実施形態では、上述を参照し、組み込んで、先端電極は、以下を含むプロセスによって製造される:
(1)好適な生体適合性合金のシェル50を提供し、シェルは、近位リム50Pを有すること;
(2)インタフェース部54とインサート成形部55とを有する支持部材52を提供することであって、以下を含むこと:
(a)好適な生体適合性合金と同じ又は類似の薄いシートを提供すること;
(b)インタフェース部54を形成するために薄いシートを構成することであって(例えば、スタンピング)、以下のうち1つ以上を含むこと:
(i)1つ以上のインターロック突起62及び/若しくは1つ以上の電気接続タブ54を備える開口部61を形成すること;
(ii)遠位(細い)部分57D及び近位(広い)部分57Pを有するステップSを備える周辺部57を形成し、遠位部分57Dは、シェル50の近位リム50Pとの締まりばめを提供するように構成されること;並びに/又は
(iii)電気接続タブ54を成形すること(例えば、タブが近位に延在するような角度でタブ54を曲げること);
(c)インサート成形部55をインタフェース部54上にインサート成形することであって、以下のうち1つ以上を含むこと:
(i)以下の3次元形状のうちの1つ以上と共に部材55をマイクロインサート成形すること:
1.軸路65A及び/若しくは径方向通路65Rを含む、1つ以上の流体通路65;
2.流体通路と流体連通している流体孔を含む、1つ以上の流体孔64;
3.射出成形(infjection-molded)部材55の長さを延長する長手方向通路を含む、1つ以上の長手方向通路71及び73;
4.インタフェース部54の周辺部57の外面と同じ高さの外面を有する近位延長部55Eを含む、近位延長部55E;
5.インサート成形されたリング電極21を含む、リング電極21を受容するように構成された近位延長部55E内の円周方向の刻み目55Cを含む、1つ以上の円周方向の刻み目55C(
図7B参照);
6.近位面上の環状フランジ、及び力センサ連結部材91の遠位端を受容するように構成された環状フランジを含む、環状フランジ69;
7.リング電極21用にリード線30Rを通すように構成された近位延長部55E内のノッチを含む、1つ以上のノッチ67;並びに/又は
8.サーミスタ96を受容するように構成された凹部を含む、インサート成形部55の遠位面上の凹部を含む、凹部95。
(ii)円周方向の刻み目55Cにリング電極21をマイクロインサート成形すること(
図7B参照);
(iii)凹部95にサーミスタ96をマイクロインサート成形すること。
(iv)コネクタスリーブ23によって部材55をオーバーモールドすること(
図7C参照)[Jeff、特に機能又は方法はありますか?]。
(3)シェル50をインタフェース部54に取り付けることであって、以下を含むこと:
(a)近位リム50Pをインタフェース部54の遠位部分57D上に装着すること;及び
(b)近位リム50Pを周辺部57上にレーザー溶接すること。
【0071】
「射出成形」、「インサート成形」、及び「オーバーモールディング」という用語(並びにそれらの改変)は、場合に応じて本明細書で互換的に使用され、材料が型穴に射出される任意のプロセスを含み、ここで材料は冷えて成形部品を形成する際の空洞の構成に硬化することが理解される。いくつかの適用例では、型穴は、成形部品を形成する際に第1の材料又は基材を、部分的に又は完全に覆うように構成されている。いくつかの適用例では、型穴は、成形部品を形成する際に第1の材料又は基材の、中又はこれを通って構成されている。これらの適用例の組み合わせは、適切に又は所望されるように使用され得る。
【0072】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態に関連して示したものである。本発明が関連する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を大きく逸脱することなく、記載される構造に改変及び変更を実施し得る点は認識されるであろう。とりわけ、図面は、必ずしも縮尺ではなく、任意の1つ以上の実施形態のいずれか1つ以上の特徴は、所望されるように又は適切に任意の特徴に加えて又はそれに代えて、任意の他の1つ以上の実施形態に含まれてもよい。したがって、上記の説明文は、添付図面に記載及び例示される正確な構成のみに関連したものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するものとされる特許請求の範囲と一致し、かつこれを支持するものとして読まれるべきである。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の近位の制御ハンドルと、
前記細長いカテーテル本体を通過するリード線と、
前記カテーテル本体の遠位の先端電極であって、前記先端電極は、灌注のために構成され、シェルと支持部材とを有し、前記シェルは、近位開口部と内部空洞とを有し、前記支持部材は、1種類の材料の導電性インタフェース部と、別の材料のインサート成形部とを有し、前記インタフェース部は、前記シェル及び前記リード線と電気的に接続され、前記インタフェース部は、前記近位開口部で前記シェルと係合する周辺部を有する、先端電極と、を有するカテーテル。
(2) 前記インサート成形部が、前記内部空洞内に遠位部分を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記インサート成形部が、前記インタフェース部の前記周辺部の近位にある近位部分を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記インサート成形部が、流体通路を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記インサート成形部材が、流体孔を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
【0074】
(6) 前記インサート成形部が、長手方向通路を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記インサート成形部が、近位延長部を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記インサート成形部が、円周方向の刻み目を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記インサート成形部が、環状フランジを有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記インサート成形部が、ノッチを有する、実施態様1に記載のカテーテル。
【0075】
(11) 前記インサート成形部が、凹部を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 先端電極を備える電気生理学的カテーテルの製造方法であって、
シェルを提供することであって、前記シェルが、内部空洞を有する、ことと、
導電性材料のインタフェース部と別の材料の支持部材とを備える支持部材を提供することであって、
前記インタフェース部を形成するために薄いシートを構成することと、
インサート成形によって前記インタフェース部を備える前記支持部材を形成することと、を含む、ことと、を含み、
前記インタフェース部は、前記インサート成形部の遠位部分が前記内部空洞内に位置付けられた前記シェルと係合するように構成されている、方法。
(13) 前記インタフェース部を形成するために薄いシートを構成することは、前記インタフェース部に電気接続部材を提供することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記支持部材を前記形成することは、リード線との接続のために前記電気接続部材の一部を露出させることを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記電気接続部材が、前記インタフェース部に形成された開口部から突出し、前記開口部を通って近位に延在する、実施態様13に記載の方法。
【0076】
(16) 前記インタフェース部を形成するために薄いシートを前記構成することは、前記インサート成形部が延びる開口部を有する前記インタフェース部を形成することを含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記インタフェース部を形成するために薄いシートを前記構成することは、インターロック突起を形成することを含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記インタフェース部を形成するために薄いシートを前記構成することは、前記シェルの近位リムと締まりばめするように構成された周辺部を形成することを含む、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記周辺部がステップを有する、実施態様18に記載の方法。
(20) インサート成形によって前記インサート成形部にリング電極を形成することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
【0077】
(21) インサート成形によって前記インサート成形部にコネクタスリーブを形成することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(22) 先端電極を備える電気生理学的カテーテルの製造方法であって、
シェルを提供することであって、前記シェルが、内部空洞を有する、ことと、
インタフェース部とインサート成形部とを備える支持部材を提供することであって、
前記インタフェース部を形成するために第1の材料の薄いシートを構成することと、
前記インタフェース部を第2の材料と共にインサート成形して前記インサート成形部を形成することと、を含み、前記インタフェース部は、前記インサート成形部の遠位部分が前記内部空洞内に位置付けられた前記シェルと係合するように構成されている、ことと、
前記シェルを前記支持部材の上に装着することであって、前記インタフェース部が、前記シェルと係合され、前記インタフェース部の遠位周辺部が、前記シェルの近位開口部との締まりばめを有する、ことと、を含む方法。