(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】設備管理方法及び設備管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231128BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20231128BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20231128BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231128BHJP
H01M 8/04664 20160101ALI20231128BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20231128BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20231128BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20231128BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/20
G05B23/02 302Z
G05B23/02 301Y
H04Q9/00 301A
H01M8/04664
H01M8/04694
H01M8/10 101
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2022183500
(22)【出願日】2022-11-16
(62)【分割の表示】P 2020215567の分割
【原出願日】2018-05-30
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2017106301
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】馬場 雅博
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-300672(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073602(WO,A1)
【文献】特開2014-212496(JP,A)
【文献】特開2008-097643(JP,A)
【文献】特開平08-214139(JP,A)
【文献】国際公開第2007/080921(WO,A1)
【文献】特開平03-098138(JP,A)
【文献】特開2015-092826(JP,A)
【文献】特開2009-064673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 23/02
H04Q 9/00
H01M 8/04
H01M 8/04694
H01M 8/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備管理装置が、分散電源を有するシステムによって予測されない異常であって前記分散電源を有するシステムに生じる異常である第1異常の発生を予測するステップAと、
前記設備管理装置が、前記第1異常の発生を予測した場合に、前記第1異常の発生予測に伴うメッセージを送信するステップBと、を備え、
前記ステップBは、前記分散電源を有するシステムの通信機能が活性化状態である場合に前記第1異常を回避する動作を指示する情報要素を含む遠隔操作メッセージを前記メッセージとして前記分散電源を有するシステムに送信するステップを含む、設備管理方法。
【請求項2】
設備管理装置が、分散電源を有するシステムによって予測されない異常であって前記分散電源を有するシステムに生じる異常である第1異常の発生を予測するステップAと、
前記設備管理装置が、前記第1異常の発生を予測した場合に、前記第1異常の発生予測に伴うメッセージを送信するステップBと、
前記分散電源を有するシステムが、前記分散電源を有するシステムに備えられる異常回避機能によって、前記分散電源を有するシステムに生じる異常である第2異常の発生が予測された場合に、前記第2異常
を回避する動作を行うステップCと、を備え、
前記ステップBは、前記分散電源を有するシステムの通信機能が活性化状態である場合に前記第1異常を回避する動作を指示する情報要素を含む遠隔操作メッセージを前記メッセージとして前記分散電源を有するシステムに送信するステップを含み、
前記第1異常は、前記異常回避機能によって予測されない異常である
、設備管理方法。
【請求項3】
前記ステップBは、前記分散電源を有するシステムの通信機能が活性化状態でない場合に、前記第1異常の発生が予測される旨を示す情報要素を含む警報メッセージを前記メッセージとして所定端末に送信するステップを含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の設備管理方法。
【請求項4】
前記ステップAは、前記分散電源を有するシステムに対する外的要因に基づいて、前記第1異常の発生を予測するステップを含む、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の設備管理方法。
【請求項5】
前記ステップAは、前記分散電源を有するシステムの設置エリアにおける気温、前記分散電源を有するシステムの設置エリアにおける天候、前記分散電源を有するシステムの設置エリアにおける空気汚染、前記分散電源を有するシステムに対するガス供給の停止計画、及び、前記分散電源を有するシステムに対する水供給の停止計画の少なくともいずれか1つを含む前記外的要因に基づいて、前記第1異常の発生を予測するステップを含む、請求項4に記載の設備管理方法。
【請求項6】
前記ステップBは、前記分散電源を有するシステムの設置エリアにおける停電状態、及び、前記設備管理装置と前記分散電源を有するシステムとの間の通信状態の少なくともいずれか1つに基づいて、前記分散電源を有するシステムの通信機能が活性化状態であるか否かを判定するステップを含む、請求項1又は請求項3のいずれかに記載の設備管理方法。
【請求項7】
前記分散電源を有するシステムは、燃料を用いて発電する設備を有するシステムである、請求項1から請求項6のいずれかに記載の設備管理方法。
【請求項8】
分散電源を有するシステムによって予測されない異常であって前記分散電源を有するシステムに生じる異常である第1異常の発生を予測する制御部と、
前記第1異常の発生が予測された場合に、前記第1異常の発生予測に伴うメッセージを送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、前記分散電源を有するシステムの通信機能が活性化状態である場合に、前記第1異常を回避する動作を指示する情報要素を含む遠隔操作メッセージを前記メッセージとして前記分散電源を有するシステムに送信する、設備管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備管理方法及び設備管理装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
複数の設備に関する様々な情報を管理する設備管理システムが知られている。様々な情
報としては、設備に関する基本情報やメンテナンス情報が挙げられる。基本情報は、例え
ば、設置年月日、既定耐用年数及び定格消費電力等を含む。メンテナンス情報は、過去の
メンテナンスの履歴を含む(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の開示に係る設備管理方法は、設備管理装置が、燃料電池システムによって予測さ
れない異常であって前記燃料電池システムに生じる異常である第1異常の発生を予測する
ステップAと、前記設備管理装置が、前記第1異常の発生が予測された場合に、前記第1
異常の発生予測に伴うメッセージを送信するステップBとを備える。
【0005】
第2の開示に係る設備管理装置は、燃料電池システムによって予測されない異常であっ
て前記燃料電池システムに生じる異常である第1異常の発生を予測する制御部と、前記第
1異常の発生が予測された場合に、前記第1異常の発生予測に伴うメッセージを送信する
送信部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る設備管理システム100を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る燃料電池システム310を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る設備管理装置200を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る設備管理方法を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る設備管理方法を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る設備管理方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又
は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり
、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
【0008】
従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面
相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論
である。
【0009】
[開示の概要]
背景技術で触れた設備管理システムによって管理される設備が燃料電池システムである
ケースが考えられる。燃料電池システムは、燃料電池システムの機能として異常回避機能
を有しており、異常の発生が予測された場合に、予測された異常を回避する動作を行うよ
うに構成されている。
【0010】
しかしながら、発明者等は、鋭意検討の結果、燃料電池システムが有する異常回避機能
のみでは適切に異常を回避することができない事象を見出した。
【0011】
以下に示す開示においては、上述した課題を解決するために、燃料電池システムの異常
を適切に回避することを可能とする設備管理方法及び設備管理装置について説明する。
【0012】
[実施形態]
(設備管理システム)
以下において、実施形態に係る設備管理システムについて説明する。
図1に示すように
、設備管理システム100は、設備管理装置200と、施設300と、所定端末400と
を有する。
図1では、施設300として、施設300A~施設300Cが例示されている
。設備管理装置200及び施設300は、ネットワーク120に接続されている。ネット
ワーク120は、設備管理装置200と施設300との間の回線、設備管理装置200と
所定端末400との間の回線を提供すればよい。ネットワーク120は、例えば、インタ
ーネットである。ネットワーク120は、VPNなどの専用回線を提供してもよい。
【0013】
設備管理装置200は、施設300に設けられる設備を管理する。設備管理装置200
の詳細については後述する(
図3を参照)。
【0014】
施設300は、燃料電池システム310及びEMS320を有する。燃料電池システム
310は、ガスなどの燃料を用いて発電を行う設備を含む。燃料電池システム310の詳
細については後述する(
図2を参照)。EMS320は、施設300に設けられる設備を
制御する設備(Energy Management System)である。
【0015】
施設300は、電力を消費する負荷設備を有していてもよい。負荷設備は、例えば、空
調設備、照明設備、AV(Audio Visual)設備などである。施設300は、
燃料電池システム310以外の分散電源を有していてもよい。分散電源は、例えば、太陽
光、風力又は地熱などの自然エネルギーを利用して発電を行う設備を含んでもよく、蓄電
池設備を含んでもよい。
【0016】
所定端末400は、施設300に設けられる設備を管理する管理者が所持する端末であ
ってもよい。所定端末400は、施設300に設けられる設備のメンテナンスを行う作業
者が所持する端末であってもよい。所定端末400は、発電事業者、送配電事業者或いは
小売事業者などの事業者に属する端末であってもよい。所定端末400は、スマートフォ
ンであってもよく、タブレット端末であってもよく、パーソナルコンピュータであっても
よい。
【0017】
ここで、設備管理システム100は、電力管理サーバを有していてもよい。電力管理サ
ーバは、例えば、電力系統110から施設300に対する潮流量の制御を要求する潮流制
御メッセージ、施設300から電力系統110に対する逆潮流量の制御を要求する逆潮流
制御メッセージ、施設300に設けられる燃料電池システム310(分散電源)の制御を
要求する電源制御メッセージなどを施設300に送信する。
【0018】
(燃料電池システム)
以下において、実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
図2は、実施形態
に係る燃料電池システム310を示す図である。燃料電池システム310は、少なくとも
燃料電池設備150を含む。燃料電池システム310は、貯湯設備160を含んでもよい
。ここでは、燃料電池システム310は、燃料電池設備150及び貯湯設備160の双方
を含むコジェネレーションシステムであるものとして説明を続ける。
【0019】
燃料電池設備150は、ガスなどの燃料を用いて発電を行う設備である。貯湯設備16
0は、ガスなどの燃料を用いて湯を生成或いは水温を維持する設備である。具体的には、
貯湯設備160は、貯湯槽を有しており、燃料の燃焼によって生じる熱又は燃料電池設備
150の発電によって生じる排熱によって、貯湯槽から供給される水を温めて、温められ
た湯を貯湯槽に還流する。
【0020】
図2に示すように、燃料電池設備150は、燃料電池151と、PCS152と、ブロ
ワ153と、脱硫器154と、着火ヒータ155と、ラジエータ156と、制御基板15
7とを有する。
【0021】
燃料電池151は、燃料を用いて発電を行う設備である。具体的には、燃料電池151
は、改質器151Aと、セルスタック151Bとを有する。
【0022】
改質器151Aは、後述する脱硫器154によって付臭剤が除去された燃料から改質ガ
スを生成する。改質ガスは、水素及び一酸化炭素によって構成されるガスである。
【0023】
セルスタック151Bは、後述するブロワ153から供給される空気(酸素)と改質ガ
スとの化学反応によって発電する。具体的には、セルスタック151Bは、複数のセルが
スタックされた構造を有する。各セルは、燃料極と空気極との間に電解質が挟み込まれた
構造を有する。燃料極には、改質ガス(水素)が供給され、空気極には、空気(酸素)が
供給される。電解質において改質ガス(水素)及び空気(酸素)の化学反応が生じて、電
力(DC電力)及び熱が生成される。
【0024】
PCS152は、燃料電池151から出力されたDC電力をAC電力に変換する設備(
Power Conditioning System)である。
【0025】
ブロワ153は、燃料電池151(セルスタック151B)に空気を供給する。ブロワ
153は、例えば、ファンによって構成される。ブロワ153は、セルスタック151B
の温度が許容温度の上限を超えないようにセルスタック151Bを冷却する。
【0026】
脱硫器154は、外部から供給される燃料に含まれる付臭剤を除去する。燃料は、都市
ガスであってもよく、プロパンガスであってもよい。
【0027】
着火ヒータ155は、セルスタック151Bで化学反応しなかった燃料(以下、未反応
燃料)に着火し、セルスタック151Bの温度を高温に維持するヒータである。すなわち
、着火ヒータ155は、セルスタック151Bを構成する各セルの開口から漏れる未反応
燃料に着火する。着火ヒータ155は、未反応燃料が燃焼していないケース(例えば、燃
料電池設備150の起動時)において、未反応燃料に着火すればよいことに留意すべきで
ある。そして、未反応ガスの燃焼が開始した後においては、セルスタック151Bから僅
かずつ溢れ出る未反応燃料が燃焼し続けることによって、セルスタック151Bの温度が
高温に維持される。
【0028】
ラジエータ156は、貯湯設備160から燃料電池設備150に流れる水(以下、還流
水)の温度が許容温度の上限を超えないように還流水を冷却する。ラジエータ156は、
セルスタック151Bの温度が許容温度の上限を超えないようにセルスタック151Bを
冷却してもよい。
【0029】
制御基板157は、燃料電池151、PCS152、ブロワ153、脱硫器154、着
火ヒータ155及び制御基板157を制御する回路を搭載する基板である。
【0030】
改質器151A、ブロワ153、脱硫器154、着火ヒータ155及び制御基板157
は、セルスタック151Bの動作を補助する補機の一例である。また、PCS152の一
部を補機として扱ってもよい。
【0031】
燃料電池システム310の運転状態は、発電状態(発電中とも称する)、停止状態(停
止中とも称する)、起動状態(起動中とも称する)、停止動作状態(停止動作中とも称す
る)、アイドル状態(アイドル中とも称する)などを含む。
【0032】
発電状態は、燃料電池151による発電が行われている状態である。起動状態は、停止
状態から発電状態に至る状態である。停止状態は、燃料電池151の動作が停止している
状態である。停止動作状態は、発電状態から停止状態に至る状態である。アイドル状態は
、燃料電池システム310から電力が出力されていないが、セルスタック151Bの温度
が所定温度に維持される状態である。所定温度は、発電状態におけるセルスタック151
Bの発電温度(例えば、650℃~1000℃)と同程度であってもおく、発電温度より
も低い温度(例えば、450℃~600℃)であってもよい。アイドル状態において、補
機の電力は、燃料電池151から出力される電力によって賄われてもよく、他の分散電源
(例えば、自然エネルギーを利用して発電を行う設備又は蓄電池設備)から供給される電
力によって賄われてもよく、電力系統110から供給される電力によって賄われてもよい
。
【0033】
図2に示す例では、制御基板157は、燃料電池設備150に設けられる。しかしなが
ら、実施形態はこれに限定されるものではない。燃料電池システム310は、ユーザ操作
を受け付けるリモートコントローラを含み、制御基板157は、リモートコントローラに
設けられてもよい。或いは、制御基板157が有する機能は、燃料電池設備150に設け
られる基板及びリモートコントローラの双方によって実現されてもよい。
【0034】
ここで、制御基板157は、燃料電池システム310に生じる異常を回避する機能(以
下、異常回避機能)を有していていもよい。ここで、燃料電池システム310に生じる異
常は、燃料電池システム310(異常回避機能)よって予測されない第1異常と、燃料電
池システム310(異常回避機能)によって予測される第2異常を含む。制御基板157
は、異常回避機能によって、第2異常の発生が予測された場合に、第2異常を回避する動
作を行う。
【0035】
例えば、第2異常は、セルスタック151Bの温度異常であってもよい。このようなケ
ースにおいて、セルスタック151Bの温度が所定閾値を超えた場合に第2異常が発生す
る前提下において、制御基板157は、セルスタック151Bの温度が所定閾値よりも低
い閾値を超えた場合に第2異常の発生を予測する。或いは、第2異常は、ブロワ153の
回転異常であってもよい。このようなケースにおいて、ブロワ153の回転数が所定閾値
を超えた場合に第2異常が発生する前提下において、制御基板157は、ブロワ153の
回転数が所定閾値よりも低い閾値を超えた場合に第2異常の発生を予測する。
【0036】
(設備管理装置)
以下において、実施形態に係る設備管理装置について説明する。
図3に示すように、設
備管理装置200は、管理部210と、通信部220と、制御部230とを有する。
【0037】
管理部210は、不揮発性メモリ又は/及びHDDなどの記憶媒体によって構成されて
おり、複数の施設300に関する情報を管理する。
【0038】
管理部210は、複数の施設300のそれぞれに設けられる設備の基本情報を記憶して
もよい。管理部210は、例えば、施設名、施設ID、設備名、設備ID、導入年、経年
及び耐用年数を対応付けて記憶する。施設名は、設備が設置される施設300の名称であ
る。施設IDは、施設300を識別する識別子である。設備名は、設備の名称である。設
備IDは、設備を識別する識別子である。導入年は、設備が導入された年である。経年は
、設備が導入されてから経過した年である。耐用年数は、設備のメーカ等によって定めら
れており、設備を導入してから設備を適切に使用可能な期間を示す情報である。
【0039】
管理部210は、複数の施設300のそれぞれについて、複数の施設300のそれぞれ
に設けられる設備のメンテナンス情報を記憶してもよい。管理部210は、例えば、施設
名、設備名、メンテナンス日、メンテナンス概要及びメンテナンス詳細を対応付けて記憶
する。管理部210は、これらの情報とともに、施設ID及び設備IDを対応付けて記憶
してもよい。施設名及び設備名は、上述した通りである。メンテナンス日は、メンテナン
スが行われた日付である。メンテナンス概要は、メンテナンスの概要を示す情報であり、
メンテナンス詳細は、メンテナンスの詳細を示す情報である。実施形態に係るメンテナン
ス情報は、少なくとも、将来において設備のメンテナンスを行うメンテナンス期間(予定
)を含んでいればよい。メンテナンス情報は、過去において設備のメンテナンスを行った
メンテナンス期間を含んでいてもよい。
【0040】
ここで、メンテナンスは、例えば、設備の劣化状態を調査する点検、点検時に軽微な手
入れを行う保守、設備の不具合を処置する修繕、既存の設備を新しい設備に交換する取替
等を含む。
【0041】
実施形態において、管理部210は、燃料電池システム310に対する外的要因を管理
する。外的要因は、オペレータによって入力されてもよく、外部サーバから取得されても
よい。ここで、外的要因は、例えば、燃料電池システム310の設置エリアにおける気温
、燃料電池システム310の設置エリアにおける天候、燃料電池システム310の設置エ
リアにおける空気汚染、燃料電池システム310に対するガス供給の停止計画、及び、燃
料電池システム310に対する水供給の停止計画の少なくともいずれか1つを含む。外的
要因は、電力系統110に接続されている他の機器の数、他の機器の種類、他の機器の状
態(例えば、逆潮流を行っている状態)が考えられる。外的要因は、燃料電池システム3
10の設置エリアにおける気圧であってもよい。
【0042】
通信部220は、通信モジュールによって構成されており、ネットワーク120を介し
て施設300及び所定端末400と通信を行う。通信部220は、第1異常の発生が制御
部230によって予測された場合に、第1異常の発生予測に伴うメッセージを送信する送
信部を構成する。具体的には、通信部220は、第1異常を回避する動作を指示する情報
要素を含む遠隔操作メッセージを燃料電池システム310に送信する。遠隔操作メッセー
ジは、EMS320を介して送信されてもよく、EMS320を介さずに送信されてもよ
い。通信部220は、第1異常の発生が予測される旨を示す情報要素を含む警報メッセー
ジを所定端末400に送信する。
【0043】
制御部230は、メモリ及びCPUなどによって構成されており、設備管理装置200
に設けられる各構成を制御する。実施形態において、制御部230は、燃料電池システム
310によって予測されない異常であって燃料電池システム310に生じる異常である第
1異常の発生を予測する。具体的には、制御部230は、燃料電池システム310に対す
る外的要因に基づいて、第1異常の発生を予測する。
【0044】
さらに、制御部230は、燃料電池システム310の通信機能が活性化状態(以下、ア
クティブと称することもある)である場合に、遠隔操作メッセージの送信を通信部220
に指示する。一方で、制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアクティブ
でない場合に、警報メッセージの送信を通信部220に指示する。ここで、活性化状態と
は、燃料電池システム310の通信機能を利用可能な状態を意味している。例えば、活性
化状態は、少なくとも、燃料電池システム310が設備管理装置200からメッセージを
受信可能な状態を含む。活性化状態は、燃料電池システム310が設備管理装置200に
メッセージを送信可能な状態を含んでもよい。
【0045】
ここで、制御部230は、燃料電池システム310の設置エリアにおける停電状態に基
づいて、燃料電池システム310の通信機能がアクティブであるか否かを判定してもよい
。具体的には、制御部230は、設置エリアで停電が生じていない場合に、燃料電池シス
テムの通信機能がアクティブであると判定する。制御部230は、設置エリアで停電が生
じている場合に、燃料電池システム310の通信機能がアクティブでないと判定する。制
御部230は、設備管理装置200と燃料電池システム310との間の通信状態に基づい
て、燃料電池システム310の通信機能がアクティブであるか否かを判定してもよい。通
信状態は、燃料電池システム310から定期的に送信される信号が受信できるか否かによ
って判定されてもよく、燃料電池システム310から受信する信号の品質によって判定さ
れてもよい。通信状態は、燃料電池システム310(少なくとも、通信モジュール)の電
源がオフである場合に、設備管理装置200と燃料電池システム310との間の通信が途
絶している状態を含む。
【0046】
以下において、第1異常の発生予測について、外的要因毎に詳細に説明する。
【0047】
(A)設置エリアにおける気温
燃料電池システム310は、循環液(例えば、水)を循環する循環系統を有する。この
ような循環液の凍結が生じると、燃料電池システム310の異常が発生する。従って、制
御部230は、設置エリアにおける気温が循環液の凝固点を下回る恐れがある場合に、第
1異常の発生を予測する。設置エリアにおける気温が循環液の凝固点を下回る恐れは、現
在の気温である現在気温に基づいて判定されてもよく、将来の気温である予測気温に基づ
いて判定されてもよい。
【0048】
このようなケースにおいて、制御部230は、燃料電池システム310の動作状態に基
づいて、第1異常の発生を予測してもよい。上述した発電状態、起動状態及びアイドル状
態においては、セルスタック151Bの温度が高い或いはセルスタック151Bの温度が
上昇傾向であるため、循環液が凍結する可能性が低い。一方で、上述した停止状態及び停
止動作状態においては、セルスタック151Bの温度が低い或いはセルスタック151B
の温度が下降傾向であるため、循環液が凍結する可能性がある。従って、制御部230は
、燃料電池システム310の動作状態が停止状態又は停止動作状態であり、かつ、設置エ
リアにおける気温が循環液の凝固点を下回る恐れがある場合に、第1異常の発生を予測し
てもよい。或いは、制御部230は、燃料電池システム310の動作状態を取得すること
ができない場合に、第1異常の発生を予測してもよい。
【0049】
このような第1異常の発生が予測される場合においては、循環液を循環系統から抜く処
理が必要になる。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアクティブであ
る場合に、循環液を循環系統から抜く処理を指示する遠隔操作メッセージの送信を通信部
220に指示する。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアクティブで
ない場合に、警報メッセージの送信を通信部220に指示する。
【0050】
(B)設置エリアにおける天候
豪雨、豪雪又は竜巻などの天候によって、漏電又は浸水などのトラブルが生じる可能性
がある。従って、制御部230は、豪雨、豪雪又は竜巻が生じる恐れがある場合に、第1
異常の発生を予測する。設置エリアにおける天候は、気象サーバなどの外部サーバから取
得されてもよい。
【0051】
このような第1異常の発生が予測される場合においては、燃料電池システム310を停
止する処理が必要になる。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアクテ
ィブである場合に、燃料電池システム310の停止を指示する遠隔操作メッセージの送信
を通信部220に指示する。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアク
ティブでない場合に、警報メッセージの送信を通信部220に指示する。
【0052】
(C)設置エリアにおける空気汚染
硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)又はPM2.5などの汚染物質によって
、燃料電池システム310が有するケミカルフィルタ又は燃料電池システム310が有す
るモジュールの劣化が生じる必要がある。従って、制御部230は、空気汚染が生じる恐
れがある場合に、第1異常の発生を予測する。設置エリアにおける空気汚染は、気象サー
バなどの外部サーバから取得される情報(例えば、汚染物質の分布及び風向き)によって
予測されてもよい。
【0053】
このような第1異常の発生が予測される場合においては、燃料電池システム310を停
止する処理が必要になる。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアクテ
ィブである場合に、燃料電池システム310の停止を指示する遠隔操作メッセージの送信
を通信部220に指示する。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアク
ティブでない場合に、警報メッセージの送信を通信部220に指示する。
【0054】
(D)ガス供給の停止計画
燃料電池システム310が停止していない状態でガス供給が停止すると、不測のガス供
給の停止によってセルスタック151Bに異常が生じる可能性がある。従って、制御部2
30は、ガス供給が停止する計画がある場合に、第1異常の発生を予測する。ガス供給の
停止計画は、ガス会社から取得されてもよい。
【0055】
このような第1異常の発生が予測される場合においては、燃料電池システム310を停
止する処理が必要になる。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアクテ
ィブである場合に、燃料電池システム310の停止を指示する遠隔操作メッセージの送信
を通信部220に指示する。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアク
ティブでない場合に、警報メッセージの送信を通信部220に指示する。
【0056】
(E)水供給の停止計画
燃料電池システム310が停止していない状態で水供給が停止すると、不測の水供給の
停止によって改質器151Aの劣化が生じる可能性がある。さらに、水供給が再開された
場合において、改質器151Aが有するフィルタの劣化が生じる可能性がある。従って、
制御部230は、水供給が停止する計画がある場合に、第1異常の発生を予測する。水供
給の停止計画は、水道会社から取得されてもよい。
【0057】
このような第1異常の発生が予測される場合においては、燃料電池システム310を停
止する処理が必要になる。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアクテ
ィブである場合に、燃料電池システム310の停止を指示する遠隔操作メッセージの送信
を通信部220に指示する。制御部230は、燃料電池システム310の通信機能がアク
ティブでない場合に、警報メッセージの送信を通信部220に指示する。
【0058】
(F)その他
例えば、逆潮流を行うことが可能な他の機器の数、又は、逆潮流を行っている状態の他
の機器の数が多いほど、電力系統110の電圧が高くなる可能性があり、第1異常の発生
が予測される。このような第1異常の発生が予測される場合においては、燃料電池システ
ム310を停止する処理が必要になる可能性がある。
【0059】
例えば、燃料電池システム310の設置エリアにおける気圧が急激に低下した場合には
、設置エリアにおける天候と同様に、第1異常の発生が予測される。このような第1異常
の発生が予測される場合においては、燃料電池システム310を停止する処理が必要にな
る可能性がある。
【0060】
(設備管理方法)
以下において、実施形態に係る設備管理方法について説明する。
図4~
図6では、EM
S320が省略されているが、燃料電池システム310と設備管理装置200との間の通
信は、EMS320を経由して送信されてもよい。
【0061】
第1に、第1異常の発生が予測され、かつ、燃料電池システム310の通信機能がアク
ティブであるケースについて説明する。
【0062】
図4に示すように、ステップS11において、設備管理装置200は、第1異常の発生
を予測する。第1異常の発生予測方法は、上述した通りである。
【0063】
ステップS12において、設備管理装置200は、燃料電池システム310の通信機能
がアクティブであると判定する。
【0064】
ステップS13において、設備管理装置200は、第1異常を回避する動作を指示する
情報要素を含む遠隔操作メッセージを燃料電池システム310に送信する。
【0065】
ステップS14において、設備管理装置200は、遠隔操作メッセージを燃料電池シス
テム310に送信した旨を示す情報を含む通知メッセージ、すなわち、第1異常を回避す
る動作を指示した旨を示す情報要素を含む通知メッセージを所定端末400に送信しても
よい。
【0066】
第2に、第1異常の発生が予測され、かつ、燃料電池システム310の通信機能がアク
ティブでないケースについて説明する。
【0067】
図5に示すように、ステップS21において、設備管理装置200は、第1異常の発生
を予測する。第1異常の発生予測方法は、上述した通りである。
【0068】
ステップS22において、設備管理装置200は、燃料電池システム310の通信機能
がアクティブでないと判定する。
【0069】
ステップS23において、設備管理装置200は、第1異常の発生が予測される旨を示
す情報要素を含む警報メッセージを所定端末400に送信する。
【0070】
第3に、第2異常の発生が予測されるケースについて説明する。
【0071】
図6に示すように、ステップS31において、燃料電池システム310は、異常回避機
能によって、第2異常の発生を予測する。
【0072】
ステップS32において、燃料電池システム310は、異常回避機能によって、第2異
常を回避する動作を行う。
【0073】
ステップS33において、燃料電池システム310は、第2異常を回避する動作を行っ
た旨を示す情報要素を含む通知メッセージを設備管理装置200に送信してもよい。
【0074】
ステップS34において、設備管理装置200は、第2異常を回避する動作を行った旨
を示す情報要素を含む通知メッセージを所定端末400に送信してもよい。
【0075】
(作用及び効果)
実施形態では、設備管理装置200は、燃料電池システム310によって予測されない
異常であって燃料電池システム310に生じる異常である第1異常の発生を予測する。さ
らに、設備管理装置200は、第1異常の発生が予測された場合に、第1異常の発生予測
に伴うメッセージを送信する。従って、燃料電池システム310が有する異常回避機能の
みでは対処しきれない異常が生じる可能性があっても、このような異常を適切に回避する
ことができる。
【0076】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は
、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な
代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0077】
実施形態では、管理部210が設備管理装置200に設けられるが、実施形態はこれに
限定されるものではない。例えば、管理部210は、ネットワーク120を介して設備管
理装置200と接続されるサーバに設けられてもよい。
【0078】
実施形態では、燃料電池システム310が異常回避機能を有する。しかしながら、実施
形態はこれに限定されるものではない。燃料電池システム310に備えられる異常回避機
能はEMS320が有していてもよい。
【0079】
実施形態では、第1異常の発生を設備管理装置200が予測するが、実施形態はこれに
限定されるものではない。第1異常の発生はEMS320によって予測されてもよい。こ
のようなケースにおいて、EMS320が設備管理装置であると考えてもよい。さらに、
EMS320は、ネットワーク120を介して接続されたサーバのクラウドサービスによ
って設備管理装置として機能してもよい。クラウドサービスを提供するサーバは、設備管
理装置200であってもよい。
【0080】
実施形態では、警報メッセージは、第1異常の発生が予測される旨を示す情報要素を含
む。警報メッセージは、上述した外的要因を示す情報要素を含んでもよい。このような情
報要素は、第1異常の発生を予測した根拠を示す情報要素である。第1異常の発生が予測
される旨を示す情報要素を含む警報メッセージの優先度は、他の通知メッセージの優先度
よりも高くてもよい。優先度が高いほど、メッセージの表示態様などが強調されてもよい
。例えば、他の通知メッセージは、第2異常の発生が予測される旨を示す情報要素を含む
メッセージでもよく、第2異常を回避する動作を行った旨を示す情報要素を含む通知メッ
セージであってもよく、第1異常を回避する動作を指示した旨を示す情報要素を含む通知
メッセージであってもよい。他の通知メッセージは、燃料電池システム310で異常が生
じた旨を示す情報要素を含むメッセージでもよい。
【0081】
設備管理装置200、燃料電池システム310及び所定端末400の少なくともいずれ
か1つは、各種メッセージを表示するディスプレイを有していてもよい。各種メッセージ
は、例えば、第1異常の発生が予測される旨を示す情報要素を含むメッセージ、第2異常
の発生が予測される旨を示す情報要素を含むメッセージ、第2異常を回避する動作を行っ
た旨を示す情報要素を含む通知メッセージ、第1異常を回避する動作を指示した旨を示す
情報要素を含む通知メッセージなどである。
【0082】
燃料電池設備150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide
Fuel Cell)である。但し、燃料電池設備150は、固体高分子型燃料電池(P
EFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよ
く、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cel
l)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbona
te Fuel Cell)であってもよい。
【0083】
なお、日本国特許出願第2017-106301号(2017年5月30日出願)の全
内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。