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  • 特許-導電糸および当該糸を含む着用物品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】導電糸および当該糸を含む着用物品
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/36 20060101AFI20231128BHJP
   A61B 5/265 20210101ALI20231128BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20231128BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20231128BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20231128BHJP
【FI】
D02G3/36
A61B5/265
A61B5/113
A61B5/11 100
A61B5/256 200
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022515617
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2020075209
(87)【国際公開番号】W WO2021048211
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】19306079.5
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520352506
【氏名又は名称】クロノライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】デュマス パスカル
(72)【発明者】
【氏名】カラ ステファヌ
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/037631(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/202905(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03502327(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 1/00 - 3/48
D02J 1/00 - 13/00
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電糸(101)であって、
-少なくとも2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリであって、各抵抗素子は、金属コーティングされた弾性コアを備える、アセンブリと、
-前記少なくとも2つの抵抗素子のアセンブリを覆うラッピング層(104)と、
を備え、
前記ラッピング層(104)は、前記2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリの周りで逆方向の螺旋状に配置され、互いに接触する少なくとも2つの被覆糸(105,106)を備える、導電糸。
【請求項2】
請求項1に記載の導電糸であって、前記弾性コアは、銀でコーティングされる、導電糸。
【請求項3】
請求項1から2のいずれか1項に記載の導電糸であって、前記抵抗素子(102,103)は、1mm当たり0.2から0.4ターンのねじれ配置を有する、導電糸。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の導電糸であって、前記少なくとも2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリは、220W/m未満の抵抗を有する、導電糸。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の導電糸であって、前記少なくとも2つの被覆糸(105,106)は、非導電性糸である、導電糸。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の導電糸であって、前記少なくとも2つの被覆糸(105,106)は、1mm当たり0.7から0.9ターンのねじれ配置を有する、導電糸。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の導電糸であって、前記ラッピング層(104)は、内側カバーを形成するように前記2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリの周りに巻き付けられた第1の被覆糸(105)と、外側カバーを形成するように前記内側カバーの周りに巻き付けられた第2の被覆糸(106)と、を備える、導電糸。
【請求項8】
着用物品(301)であって、
-可撓性支持体(110)と、
-前記着用物品の着用者の生理学的パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサ(302,303)と、
-それぞれのセンサから電子基板(304)の位置までの経路に沿って前記可撓性支持体(110)に縫い付けられ、前記少なくとも1つのセンサ(302,303)に接続された、少なくとも1つの導電糸(101)と、
-前記少なくとも1つの導電糸(101)を保護するように前記経路に沿って前記可撓性支持体(110)に取り付けられた少なくとも1つの可撓性ストリップ(112,113)と、
を備え、
前記少なくとも1つの導電糸(101)は、
-少なくとも2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリであって、各抵抗素子が、金属コーティングされた弾性コアを備える、アセンブリと、
-前記少なくとも2つの抵抗素子のアセンブリを覆うラッピング層(104)と、
を備える、着用物品。
【請求項9】
請求項8に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つのセンサは、可撓性導電マトリックスを有する電極(303)を備え、前記少なくとも1つの導電糸(101)は、縫製によって前記可撓性導電マトリックスに接続される、着用物品。
【請求項10】
請求項8および9のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つのセンサは、弾性コアと、反対方向におよび互いに接触して前記弾性コアの周りに螺旋状に配置された2つの抵抗素子と、を備える伸長センサ(303)を備える、着用物品。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記可撓性支持体(110)に取り付けられた電子基板(304)をさらに備え、前記電子基板(304)は、導電エッジ部を有し、前記導電エッジ部には穴が設けられ、前記少なくとも1つの導電糸(101)は、前記穴の少なくとも1つを通じて前記導電エッジ部に縫い合わせることによって、電子基板に接続される、着用物品。
【請求項12】
請求項11に記載の着用物品であって、前記導電エッジ部は、それぞれのセンサへの接続のための少なくとも1つの端子部を備え、前記端子部には複数の穴が形成され、前記穴への挿入によって前記端子部に導電性糸(101)が接続される、着用物品。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか1項に記載の着用物品であって、第1の可撓性ストリップ(112)は、着用者の皮膚に面する前記着用物品(301)の側に接合され、第2の可撓性ストリップ(113)は、反対の側に接合される、着用物品。
【請求項14】
請求項8から13のいずれか1項に記載の着用物品であって、各抵抗素子(102,103)の前記弾性コアは、銀でコーティングされる、着用物品。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記抵抗素子(102,103)は、1mm当たり0.2から0.4ターンのねじれ配置を有する、着用物品。
【請求項16】
請求項8から15のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリは、220W/m未満の抵抗を有する、着用物品。
【請求項17】
請求項8から16のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも1つの導電糸(101)の前記ラッピング層(104)は、前記2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリの周りで逆方向の螺旋状に配置され、互いに接触する少なくとも2つの被覆糸(105,106)を備える、着用物品。
【請求項18】
請求項17に記載の着用物品であって、前記少なくとも2つの被覆糸(105,106)は、非導電性糸である、着用物品。
【請求項19】
請求項17および18のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記少なくとも2つの被覆糸(105,106)は、1mm当たり0.7から0.9ターンのねじれ配置を有する、着用物品。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1項に記載の着用物品であって、前記ラッピング層(104)は、内側カバーを形成するように前記2つの抵抗素子(102,103)のアセンブリの周りに巻き付けられた第1の被覆糸(105)と、外側カバーを形成するように前記内側カバーの周りに巻き付けられた第2の被覆糸(106)と、を備える、着用物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、導電性織物技術の分野に関し、特に、導電糸に、特に衣類または他の種類の着用物品の要素を接続するのに使用可能である導電糸に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの生体信号を検出および処理するための電子機器が開発されており、それにより、人々の医学的管理が通常の活動または状況中に可能になる。センサは、温度測定を実行するために、生理学的パラメータを決定するために、または、例えば心臓機能に関連する電気信号を検出するために、ユーザの皮膚または特定の身体領域、例えば胸部に適用され得る。これらのセンサによって送出される様々な信号を監視することによって、健康を害する可能性のあるユーザ固有の生理学的状態を決定することが可能になる。例えば、個人が発作を起こしている場合、特定の信号特徴が、心電図(ECG)または呼吸に対応する信号に現れる。
【0003】
従って、特定の種類の着用物品が開発されており、それは、センサ、電極、トランスデューサ、触覚構成要素、光源などの要素を電気的に接続するために導電性部品を有する必要がある。
【0004】
異なる種類の生理学的センサを、衣服または他の何らかの着用物品に含めることができ、呼吸センサまたは電極などである。電子ボード、電源、または他の物へのこれらのセンサの電気的接続は、複雑であり得る。
【0005】
導電糸は、着用物品内のセンサと他の装置を接続するのに使用することができる。そのような糸は、ロバスト性、柔軟性、熱安定性および導電性などのいくつかの要件を満たすべきである。
【0006】
特許文献1は、2つの螺旋状に巻かれたより糸を備える導電糸を開示しており、各より糸は、少なくとも1つの導電糸と、少なくとも1つの非導電性ベース糸とを備える。導電糸は、導電性材料でコーティングされて水溶性プラスチックでコーティングされた非導電性ベース糸を備える。それは、比較的大きな直径を有する。
【0007】
繊維産業で使用される従来の導電糸は、ほとんどが金属線(銅、ステンレス鋼、アルミニウムなど)をベースにしている。それは、しばしば柔軟性に欠ける。
【0008】
繊維産業での使用を可能にするために、糸を破壊することなく繰り返し変形させることができることが望ましい。特に、糸が縫われるかまたは編まれるときに大きな変形が生じる。また、縫製段階では、縫目に摩擦が生じ、それは、糸を損傷してその導電性に影響を及ぼす可能性がある。従って、実際には、既存の従来の導電糸は、織物および着用物品に容易に縫い付けられたり、組み込まれたりすることができない。
【0009】
さらに、そのような糸を組み込んだ着用物品の洗浄は、繰り返し摩擦を引き起こし、電気接続機能の耐久性を損なう可能性がある。従って、糸は、それを組み込んだ着用物品が激しい摩擦を受ける場合であっても、長期的に頑丈である必要がある。それはまた、洗浄に使用される洗剤および着用中の汗に影響されてはならない。
【0010】
従って、上述の問題の1つ以上を軽減する導電糸が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】DE 10 2018 101 561
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
導電糸が開示される。導電糸は、少なくとも2つの抵抗素子のアセンブリと、ラッピング層と、を備え、前記の抵抗素子の各々は、金属コーティングされた弾性コアを備え、前記のラッピング層は、少なくとも2つの抵抗素子のアセンブリを覆っている。ラッピング層は、反対方向におよび互いに接触して2つの抵抗素子のアセンブリの周りに螺旋状に配置された少なくとも2つの被覆糸を備える。
【0013】
一実施形態では、弾性コアは、ポリアミド繊維をベースとし、例えば銀および金の群の金属でコーティングされる。一実施形態では、そのような金属は銀である。
【0014】
「金属でコーティングされた」および「金属コーティングされた」という用語は、「金属層でコーティングされた」、「金属粒子でコーティングされた」、および「複数の金属粒子を堆積させることによって形成された金属層でコーティングされた」を意味すると、理解されなければならない。
【0015】
一実施形態では、抵抗素子は、1mm当たり0.2から0.4ターン、好ましくは1mm当たり0.3ターンのねじれ配置を有する。
【0016】
被覆糸は、抵抗素子のアセンブリを、摩擦および化学剤から保護し、摩耗を最小限に抑える。
【0017】
実施形態では、被覆糸は非導電性糸である。例えば、それらは、ポリビニルアルコール(PVA)ファミリーの糸などの合成糸から作製されてよい。
【0018】
一実施形態では、2つの被覆糸は、1mm当たり0.7から0.9ターンのねじれ配置を有する。
【0019】
一実施形態では、導電糸は、約220W/m未満、好ましくは約150から約180W/m、さらにより好ましくは約172W/mの抵抗を有する。
【0020】
本明細書で使用される用語「約」は、20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。特定の場合、「約X」は「X」を意味する。
【0021】
導電糸は、可撓性支持体の一部とすることができる。
【0022】
導電糸は、可撓性支持体に縫合することができ、電極、センサ、および様々な電子装置などの電気的接続構成要素を可能にする。
【0023】
本発明は、以下を備える、着用物品、例えば、Tシャツなどの衣料品を、さらに提供する。
-可撓性支持体;
-着用物品の着用者の生理学的パラメータを測定するための少なくとも1つのセンサおよび/または電子基板;
-可撓性支持体上で少なくとも1つのセンサにおよび/または電子基板に縫い付けられた、本発明の少なくとも1つの導電糸;および、
少なくとも1つの導電糸を保護するように経路に沿って可撓性支持体に取り付けられた少なくとも1つの可撓性ストリップ。
【0024】
その着用物品において、少なくとも1つの導電糸は、
-少なくとも2つの抵抗素子のアセンブリであって、各抵抗素子は、金属コーティングされた弾性コアを備える、アセンブリと、
-少なくとも2つの抵抗素子のアセンブリを覆うラッピング層と、
を備える。
【0025】
着用物品の一実施形態では、少なくとも1つのセンサは、可撓性導電マトリックスを有する電極を備え、少なくとも1つの導電糸は、縫製によって可撓性導電マトリックスに接続される。
【0026】
着用物品の一実施形態では、少なくとも1つのセンサは、弾性コアと、反対方向におよび互いに接触して弾性コアの周りに螺旋状に配置された2つの抵抗素子と、を備える伸長センサを備える。伸長センサは、着用者の呼吸または筋肉活動(収縮/弛緩)を検出するのに使用することができる。
【0027】
着用物品の一実施形態では、電子基板は、導電エッジ部を有する。導電エッジ部には穴が設けられており、少なくとも1つの導電糸は、少なくとも1つの穴を通じて導電エッジ部に縫い合わせることによって、電子基板に接続される。
【0028】
着用物品の一実施形態では、導電エッジ部は、それぞれのセンサへの接続のための少なくとも1つの端子部を備える。端子部には複数の穴が形成されており、その穴への挿入によって端子部に導電糸が接続される。エッジ部の各穴は、電子基板への特定のセンサの接続専用である。
【0029】
着用物品の一実施形態では、少なくとも1つの導電糸は、例えばそれぞれのセンサから電子基板への、経路に沿って可撓性支持体に縫い付けられ、少なくとも1つの可撓性ストリップは、経路に沿って可撓性支持体に接着されて、少なくとも1つの導電糸を保護する。
【0030】
着用物品の一実施形態では、第1の可撓性ストリップは、着用者の皮膚に面する着用物品の側に接合され、第2の可撓性ストリップは、反対の側に接合される。可撓性ストリップの少なくとも1つは、可撓性支持体に縫い付けられてよい。
【0031】
ここに組み込まれて明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明を例示し、説明と共に、本発明の特徴を説明し、当業者が本発明を製造および使用することができるようにするのに、さらに役立つ。図面において、同様の参照符号は、同一または機能的に同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】導電糸の概略図を示す。
図2】可撓性支持体に接合された可撓性ストリップの概略図を示す。
図3】導電糸と生理学的センサを含む衣類の前面の概略図である。
図4】導電糸と生理学的センサを含む衣類の背面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による導電糸101の概略図を示す。
【0034】
導電糸101は、より糸の形態で、2つの抵抗素子102、103から製造され得る。抵抗素子102、103を組み立てるために、ねじれ配置を使用することができ、抵抗素子は互いに結び付いている。ねじれ配置の場合の典型的なピッチは約0.5mmであり、これは1m当たり約300ターンに相当する。
【0035】
あるいは、2つより多い抵抗素子を導電糸101内に組み立てることもできる。
【0036】
抵抗素子102、103のアセンブリの抵抗値は、導電糸を組み込んだ、着用物品などの物品の用途および幾何学的構成に依存する。典型的に、抵抗は220W/m未満である。
【0037】
一例として、Circuitexの商品名でNoble Biomaterialsによって提供されるより糸を抵抗素子102、103として使用してよい。Circuitex糸は、銀層でコーティングされた、ポリアミド製の可撓性コアを有する。その機械的特性のために、ポリアミドなどのポリマー材料がこの用途に適合している。可撓性コアの金属コーティングは、その可撓性を維持しながら、より糸に導電特性を付与する。他の金属と比較して、銀は、好ましい電気的および機械的特性を有する。特別な実施形態によれば、個々のCircuitex糸は300W/mの抵抗を有する。
【0038】
抵抗素子102、103のねじれアセンブリは、ラッピング層104によって囲まれている。実施形態では、ラッピング層104は、抵抗素子102、103のアセンブリの周りに配置された1対の被覆糸105、106から作られる。第1の被覆糸105がアセンブリ102、103の周りに巻き付けられて内側カバーを形成し、次に、第2の被覆糸106が内側カバーの周りに巻き付けられて外側カバーを形成する。
【0039】
ラッピング層104の各被覆糸105、106は、約800ターン/メートルのねじりパラメータでねじられてよい。
【0040】
ラッピング層104は、アセンブリを補強し、そのほどけを回避する。それは、糸101を、縫い、編み、またはステッチにより適したものにする。
【0041】
上記の例では、2つのCircuitex抵抗素子102、103のアセンブリは、2つのソルブロン(Solvron)被覆糸105、106で包まれている。ソルブロン(Solvron)は、NITIVY CO.,LTDが提供するポリビニルアルコール製の合成糸の商標名である。ねじりパラメータは744から856T/mであり、平均値は800T/mである。
【0042】
上述した導電糸101は、例えばミシンによる縫製、またはステッチに、使用することができる。
【0043】
それは、有利には、着用物品、特に衣類に組み込まれる。導電糸の構造は、縫製中に糸が受ける、または洗浄サイクル中に衣類が受ける、摩擦力に耐えるのに適している。追加の保護手段が、導電糸をさらに保護するために設けられてよく、図2を参照して以下に説明する可撓性ストリップなどである。
【0044】
図2は、導電糸101が配置された着用物品の一部の概略断面図である。以下の説明では、着用物品は、衣類301、より詳細にはベストまたはTシャツであるが、本発明はこれに限定されない。
【0045】
典型的には織物で作られた可撓性支持体110は、衣類の主要部分を形成する。導電糸101は、所定の経路に沿って可撓性支持体110に縫い付けられ、衣類によって支持される構成要素の電気的接続を提供する。
【0046】
糸101を摩耗から保護し、着用者の皮膚を保護するために、それは、支持体110の両側面で可撓性ストリップ112、113によって覆われる。衣類の内側(着用者の皮膚と接触する側)では、ストリップ112は、可撓性支持体110に接合された綿織物で形成されてよい。例えば、綿ストリップは、トップステッチで可撓性支持体に固定されてよい。衣服の外側では、ストリップ113は、可撓性支持体に接合された合成織物(例えば、ポリアミドまたはエラスタン)で作られてよい。可撓性ストリップ112、113は、可撓性ストリップが約130℃の温度に加熱されるホットメルト接着法によって支持体110に接着されてよい。接着剤は、導電糸101を封入し、それを摩擦および化学剤から保護し、従って、電気伝導機能の耐久性を高める。
【0047】
図3-4は、本実施形態ではTシャツである衣服301の前側(図3)および後側(図4)の説明図を示す。Tシャツは、生理学的パラメータを検出するように構成されたセンサを備える。Tシャツは、例えば綿/エラスタンまたはポリアミド/エラスタンのような非導電性織物で作られた可撓性支持体110を有する。可撓性支持体110は、6%から12%のエラスタンを含んでよく、Tシャツが、着用者の身体にしっかりと適合するようになっている。これは、Tシャツに含まれるセンサが着用者の皮膚と密接に接触することを確実にする。
【0048】
複数のセンサが、可撓性支持体内に一体化されてよい。例えば、使用者の呼吸に追従するための2つの伸長センサ302と、使用者の心臓の電気信号または電気コンダクタンス値を測定するための可撓性電極303と、である。
【0049】
各電極303は、埋め込まれた導電性粒子を有する可撓性材料の本体を備え得る。例えば、本体はシリコーン製であり、導電性粒子はグラファイト粒子である。本体の表面は、着用者の皮膚に適用される突起のアレイを有する。その可撓性および表面構成のために、そのような電極は、着用者が動いている間、着用者の身体の形状に適合する。導電糸は、Tシャツによっても支持された電子基板304に接続するために、電極の可撓性本体を通じて縫われることができる。従って、電気的接続は、追加部品なしで容易に行われる。
【0050】
2つの伸長センサ302は、それぞれ、潜在的な着用者の胸部および腹部の高さでTシャツを取り囲むことができる。Tシャツにおける伸長センサの位置は、胸部および腹部呼吸を評価するために選択される。伸長センサは、可撓性シース内に設置されてよい。
【0051】
2つの電極303は、着用者の胸の高さで前側(胸に面する側)に位置し、2つの電極303は、胸の高さで後側に位置し、1つの電極303は、腹部の高さで前側に位置する。5つの電極303の使用は、2つの電極、肺インピーダンスまたは体温のみを用いるよりも正確に、人体中の脂肪および水の量などの心電図または他の特性を測定することを可能にする。
【0052】
センサは、導電糸101によって、一体化されたポケット内でTシャツに設置された電子基板304に接続される。電子基板は、電池に結合する。
【0053】
センサおよび電極は、Tシャツの内側(着用者の皮膚と接触する側)に配置される。
【0054】
異なる導電糸101が互いに接触することを回避するために、異なる導電糸を互いから分離し、皮膚との接触を回避するために、ストリップを使用する可能性がある。
【0055】
導電糸は、図2を参照して説明したように、可撓性ストリップ112、113によって覆われる。ストリップ112、113は、糸101の経路に沿ってTシャツの可撓性支持体110に接合される。可撓性ストリップは、特にTシャツの洗浄中の摩耗を最小限に抑え得る。さらに、着用者の皮膚は、これらの可撓性ストリップによって保護される。可撓性ストリップ112、113は、例えば、ポリアミド、綿またはエラスタンのような非導電性弾性材料で作られてよい。
【0056】
Tシャツに一体化された生理学的センサは、連続的に、またはトリガーされたときに、データを取得することができる。例えば、センサは、心拍のリズムまたは振幅が変化するときに取得を開始するように構成することができる。取得されたデータは、着用者の近くのデータを分析するために、スマートフォンなどのユーザデバイスに送信されることができ、または、データは、中央処理装置に送信されることができ、中央処理装置において、データは、使用者によっておよび/または医学的に資格のある人によってアクセス可能である。
【0057】
図3-4に記載されるTシャツは、例えば、病気の症候群を検出するために患者の状態をモニターするために医学において、多くの用途を有する。それは、例えばスポーツをする人の健康状態を調査するためにコーチによって使用することができる、スポーツにおいて、さらなる用途を見出すであろう。
【0058】
着用者は、ヒトまたは、例えば犬などの動物、であってよい。
【0059】
上述の実施形態は、本明細書に開示された本発明を例示するものであり、添付の「特許請求の範囲」に定められた範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが、理解されるであろう。

図1
図2
図3
図4