(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】架橋組成物およびそれから形成されたコーティング
(51)【国際特許分類】
C08K 5/22 20060101AFI20231128BHJP
B32B 27/26 20060101ALI20231128BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20231128BHJP
C09D 201/02 20060101ALI20231128BHJP
C08G 73/00 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
C08K5/22
B32B27/26
C09D7/63
C09D201/02
C08G73/00
(21)【出願番号】P 2022522643
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(86)【国際出願番号】 US2020055930
(87)【国際公開番号】W WO2021076858
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-14
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, メリッサ ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, チー
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム, アブドゥルラフマン ダウード
(72)【発明者】
【氏名】リ, セ リョン
(72)【発明者】
【氏名】水原 司
(72)【発明者】
【氏名】グルニエ, クリストフ ルネ ガストン
(72)【発明者】
【氏名】エスワラクリシュナン, ベンカタチャラム
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-102150(JP,A)
【文献】米国特許第06362359(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/
C08K 5/
C08L
C09D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々独立して化学構造(I)によって表される少なくとも2つの官能基を含む化合物を含む、架橋組成物であって、
【化8】
Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;
R
1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;
R
2、R
3、およびR
4が、各々独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;
R
5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;
Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1であり;
R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に二重結合が形成される場合、mが0であり、前記R
3に結合している炭素原子と前記隣接する窒素との間に単結合が形成される場合、mが1であり;
(i)前記化合物が自己架橋性であるように、前記化合物が、化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性である1つまたはそれより多くの追加の官能基をさらに含み;かつ/または
(ii)前記組成物が、前記化合物の化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性である官能基を含むフィルム形成樹脂をさらに含む、架橋組成物。
【請求項2】
Xが、酸素である、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項3】
化学構造(I)の前記官能基のうちの少なくとも1つが、化学構造(II):
【化9】
によって表される、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項4】
化学構造(I)の前記官能基のうちの少なくとも1つが、化学構造(III):
【化10】
によって表される、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項5】
(i)前記化合物が自己架橋性であるように、前記化合物が、化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性である前記1つまたはそれより多くの追加の官能基をさらに含む、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項6】
前記追加の官能基が、ヒドロキシル官能基を含む、請求項5に記載の架橋組成物。
【請求項7】
前記化合物が、エステル結合、エーテル結合、芳香族基、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項8】
前記化合物が、
(i)反応生成物であって、
(a)ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、チオール官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含むモノアルドまたはケト官能性化合物と;
(b)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、前記ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR
1(R
5)
zによって表される基を含み、式中、R
1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R
5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと
;の反応生成物と
、
(ii)前記(i)の反応生成物の前記ヒドロキシル官能基、前記アミノ官能基、前記カルボン酸官能基、および/または前記チオール官能基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分
と
の反応物から得られる、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項9】
(i)(a)前記モノアルドまたはケト官能性化合物が、ヒドロキシル官能基を含み、(ii)前記構成成分が、前記(i)の反応生成物の前記ヒドロキシル官能基と反応性の2つまたはそれより多くのエポキシ官能基を含む、請求項8に記載の架橋組成物。
【請求項10】
前記化合物が、
(i)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、前記ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR
1(R
5)
zによって表される基を含み、式中、R
1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R
5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと
、
(ii)前記(i)のヒドラジドまたはヒドラゾンのアミノ基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分と
の反応物から得られる、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項11】
前記構成成分(ii)の2つまたはそれより多くの官能基が、前記(i)のヒドラジドまたはヒドラゾンの前記アミノ基と反応性である、エチレン系不飽和官能基、ケト官能基、アルド官能基、エポキシ官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項10に記載の架橋組成物。
【請求項12】
前記組成物が、(ii)前記化合物の化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性の官能基を含む前記フィルム形成樹脂をさらに含む、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項13】
前記フィルム形成樹脂が、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、またはそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の架橋組成物。
【請求項14】
前記フィルム形成樹脂が、400またはそれ未満の当量を有する、請求項13に記載の架橋組成物。
【請求項15】
前記架橋組成物が、硬化時にコーティングを形成するコーティング組成物である、請求項1に記載の架橋組成物。
【請求項16】
前記コーティング組成物が、電着性コーティング組成物である、請求項15に記載の架橋組成物。
【請求項17】
請求項15に記載のコーティング組成物から形成された前記コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、基材。
【請求項18】
前記コーティングが、前記基材の少なくとも一部分上に直接形成されている、請求項17に記載の基材。
【請求項19】
前記コーティングが、前記基材上に形成された1つまたはそれより多くの追加のコーティング層上に形成されている、請求項17に記載の基材。
【請求項20】
1つまたはそれより多くの追加のコーティング層が、請求項15に記載のコーティング組成物から形成された前記コーティング上に形成されている、請求項17に記載の基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架橋組成物およびそれから形成されたコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
架橋組成物は、コーティング層およびフィルムを形成するために反応および架橋することが可能である1つまたはそれより多くの構成成分を含有する。例えば、架橋組成物は、保護特性、装飾特性などを含む多数の特性を提供するコーティングを形成するために、一般的に基材に適用される。これらのコーティングは、典型的には、自己架橋化合物、ならびに/またはフィルム形成樹脂、およびフィルム形成樹脂と反応する架橋剤を含有する組成物から調製される。イソシアネート官能性化合物は、多くの場合、それらの反応性および高性能コーティングを形成する能力に起因して、そのようなコーティングを形成するために使用されている。しかしながら、イソシアネートは、皮膚および粘膜への刺激を含む健康リスク、ならびに環境上の懸念を引き起こす。したがって、高性能コーティングを形成するために使用され得るイソシアネートの代替物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、各々独立して化学構造(I)によって表される少なくとも2つの官能基を含む化合物を含む、架橋組成物に関し、
【化1】
化学構造(I)に関して、Xは、酸素、硫黄、または窒素であり;R
1は、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;R
2、R
3、およびR
4は、各々独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;R
5は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zは0であり、Xが窒素である場合、zは1であり;R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に二重結合が形成される場合、mは0であり、R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に単結合が形成される場合、mは1である。さらに、(i)化合物が自己架橋性であるように、化合物が、化学構造(I)によって表される官能基と反応性である1つもしくはそれより多くの追加の官能基を含み、かつ/または(ii)組成物は、化合物の化学構造(I)によって表される官能基と反応性である官能基を含むフィルム形成樹脂をさらに含む。
【0004】
本発明はまた、架橋組成物から形成されたコーティング、およびコーティングで少なくとも部分的にコーティングされている基材に関する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明を目的として、相反することが明示的に指定されている場合を除き、本発明は、様々な代替的な変形およびステップ順序を想定し得ることが理解されるものである。さらに、任意の操作実施例以外、または別途示される場合、例えば、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量を表すすべての数は、すべての例において「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるものである。したがって、別段相反することが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明によって得られる望ましい特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、均等論の適用を特許請求の範囲の範囲に限定することを試みるものとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らし合わせて、かつ通常の四捨五入技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0006】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲およびパラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の例に記載の数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準的な変動性から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含有する。
【0007】
また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1~10」の範囲は、記載された最小値1~記載された最大値10(記載された値を含む)、すなわち、1に等しいかまたはそれより大きい最小値および10に等しいかまたはそれより小さい最大値を有する、すべての部分範囲を含むことが意図される。
【0008】
本明細書では、別段明記されない限り、単数形の使用は複数形を含み、複数形は単数形を包含する。加えて、本明細書では、「および/または」がある特定の例で明示的に使用され得るが、別段明記されない限り、「または」の使用は、「および/または」を意味する。さらに、本明細書では、「a」または「an」の使用は、別段明記されない限り、「少なくとも1つ」を意味する。例えば、「1つの」化合物、「1つの」フィルム形成樹脂などは、これらの項目のうちのいずれかのうちの1つまたはそれより多くを指す。
【0009】
示されるように、本発明は、各々独立して化学構造(I)によって表される少なくとも2つの官能基を含む化合物を含む、架橋組成物に関し、
【化2】
化学構造(I)に関して、Xは、酸素、硫黄、または窒素であり;R
1は、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;R
2、R
3、およびR
4は、各々独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;R
5は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zは0であり(すなわち、R
5は存在しない)、Xが窒素である場合、zは1であり;R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に二重結合が形成される場合、mは0であり、R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に単結合が形成される場合、mは1である。
【0010】
本明細書で使用される場合、「アルキル基」は、線状、分岐状、および/または環式の一価飽和炭化水素ラジカルを指す。アルキル基としては、限定されないが、線状もしくは分岐状C1-C30一価炭化水素ラジカル、または線状もしくは分岐状C1-C20一価炭化水素ラジカル、または線状もしくは分岐状C1-C10一価炭化水素ラジカル、または線状もしくは分岐状C1~C6一価炭化水ラジカル、またはメチルもしくはエチルなどの線状もしくは分岐状C1~C4一価炭化水素ラジカルを挙げることができる。アルキル基としてはまた、限定されないが、環式C3-C19一価炭化水素ラジカル、または環式C3-C12一価炭化水素ラジカル、または環式C5-C7一価炭化水素ラジカルを挙げることができる。さらに、アルキル基は、必要に応じて、中断ヘテロ原子、官能基、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、アルキル基は、(i)限定されないが、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、もしくはそれらの組み合わせを含むヘテロ原子、および/または(ii)限定されないが、エステル基、エーテル基、カルボニル基、アミド基、アミノ基、もしくはそれらの組み合わせを含む官能基、によって中断され得る。代替的に、アルキル基は、中断ヘテロ原子および/または官能基を含まなくてもよい。
【0011】
「線状」という用語は、直線の炭化水素鎖を有する化合物を指し、「分岐状」という用語は、直鎖から分岐または延びるアルキル基などの置換基によって水素が置き換えられている炭化水素鎖を有する化合物を指し、「環式」という用語は、閉環構造を指す。環式基はまた、架橋環ポリシクロアルキル基(または架橋環多環式基)および縮合環ポリシクロアルキル基(または縮合環多環式基)を包含する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「アリール基」は、例えば、フェニル基などの芳香族環に由来する置換基を指す。アリール基は、単環式芳香族環、二環式芳香族環、または多環式芳香族環に由来し得る。アリール基はまた、芳香族基の少なくとも1つの炭素原子が、窒素、酸素、硫黄、またはそれらの組み合わせなどのヘテロ原子によって置き換えられたヘテロアリール基を含み得る。アリール基はまた、少なくとも1つの水素が、水素以外の基で必要に応じて置き換えられているか、または置換されている、置換アリール基も含み得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「芳香族」という用語は、(非局在化に起因して)仮説的な局在化構造のものよりも有意に高い安定性を有する環式共役炭化水素を指す。
【0014】
「アルキルアリール基」は、アルキル置換アリール基を指す。すなわち、本明細書で使用される場合、アルキルアリール基は、芳香族環に由来する置換基であり、線状、分岐状、および/または環式の一価飽和炭化水素で置換されている。
【0015】
R1のアルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基、およびXの窒素、硫黄、または酸素は、最低温度に曝露されると外れる切断可能なブロック基として機能し得る。したがって、最低温度に曝露されると、R1のアルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基、およびXの窒素、硫黄、または酸素が外れるかまたは切断され、それによって追加の反応が可能になる。R1のアルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基、およびXの窒素、硫黄、または酸素は、少なくとも60℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、少なくとも120℃、少なくとも140℃、または少なくとも160℃の温度で外れ得る。
【0016】
示されるように、R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に二重結合が形成される場合、mは、0である。生じる官能基は、化学構造(II)によって表すことができる:
【化3】
【0017】
代替的に、R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に単結合が形成される場合、mは、1である。生じる官能基は、化学構造(III)によって表すことができる:
【化4】
【0018】
示されるように、本発明の化合物は、化学構造(I)によって表される、少なくとも3つの官能基または少なくとも4つの官能基などの少なくとも2つの官能基を含む。官能基は、化学構造(I)によって表される官能基の任意の組み合わせを含み得る。例えば、化合物は、化学構造(I)に由来する化学構造(II)によって表される1つまたはそれより多くの官能基と、また化学構造(I)に由来する化学構造(III)によって表される1つまたはそれより多くの官能基と、を含み得る。
【0019】
前述の化合物はまた、追加の官能基を含み得る。追加の官能基の非限定的な例としては、ヒドロキシル基、チオール基、カルボン酸基、アミン基、エポキシド基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロック化イソシアネート基を含む)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。化合物はまた、追加の官能基のうちのいずれも含まなくてもよい。
【0020】
化合物は、化学的化合物の骨格および/またはペンダント基もしくは鎖などの他の構造的部分を形成する、様々な結合を含み得る。結合の非限定的な例としては、エステル結合、エーテル結合、芳香族基、またはそれらの組み合わせが挙げられる。したがって、本発明の化合物は、(i)化学構造(I)によって表される少なくとも2つの官能基、(ii)例えば、エステル結合、エーテル結合、芳香族基、またはそれらの組み合わせ、および必要に応じて(iii)化学構造(I)によって表される官能基とは異なる追加の官能基を含み得る。
【0021】
本発明の化合物は、化学構造(I)によって表される官能基を含有するモノマー、または化学構造(I)によって表される官能基を含有するポリマーを含み得る。本発明の組成物は、化学構造(I)によって表される官能基を両方が有するモノマーおよびポリマーを含み得ることが理解される。
【0022】
本明細書で使用される場合、ポリマーという用語は、オリゴマー、ホモポリマー(例えば、単一のモノマー種から調製される)、コポリマー(例えば、少なくとも2つのモノマー種から調製される)、ターポリマー(例えば、少なくとも3つのモノマー種から調製される)、およびグラフトポリマーを指す。「樹脂」という用語は、「ポリマー」という用語と交換可能に使用される。
【0023】
化合物がポリマーである場合、化学構造(I)によって表される官能基は、ポリマー上にペンダントおよび/または末端基を形成し得る。「ペンダント基」はまた、「側鎖」とも称され、ポリマー主鎖からの派生物であり、主鎖の一部ではなく、「末端基」は、ポリマー主鎖の末端に位置する官能基を指す。
【0024】
さらに、化合物がポリマーである場合、化合物は、様々な種類のポリマーを含み得ることが理解されるが、ただし、ポリマーが、化学構造(I)によって表される2つまたはそれより多くの官能基を有することを条件とする。化合物を形成し得るポリマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられ、化学構造(I)によって表される2つまたはそれより多くの官能基を含む。例えば、化合物は、化学構造(I)によって表される2つまたはそれより多くの官能基を含む(メタ)アクリレート樹脂(すなわち、(メタ)アクリレート基を含む1つまたはそれより多くのモノマーに由来する付加ポリマー)を含み得る。「(メタ)アクリレート」という用語は、「メタクリレート」および「アクリレート」を指す。
【0025】
様々な反応物を使用して、本発明の化合物を得ることができる。反応物は、ある特定の結合、および必要に応じて、化学構造(I)によって表される官能基とは異なる追加の官能基を有する特定の構造を提供するように選択され得る。例えば、化合物は、(i)反応生成物であって、(a)ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、カルボン酸官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含むモノアルドまたはケト官能性化合物と、(b)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR1(R5)zによって表される基を含み、式中、R1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり、Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと、の反応生成物と;(ii)(i)の生じる反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、および/またはカルボン酸官能基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分と、を含む、反応物から形成することができる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「モノアルドまたはケト官能性化合物」は、1つのみのアルド(アルデヒド)またはケト(ケトン)官能基を有する化合物を指す。示されるように、モノアルドまたはケト官能性化合物はまた、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、およびカルボン酸官能基から選択される1つまたはそれより多くの官能基を含み、そのような官能基の組み合わせを含む。好適なモノアルドまたはケト官能性化合物の非限定的な例としては、ヒドロキシアセトフェノン、ヒドロキシベンズアルデヒド、チオアセトフェノン、チオベンズアルデヒド、アミノアセトフェノン、アミノベンズアルデヒド、アセチルベンズアルデヒド、レブリン酸、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
さらに、「ヒドラジド」は、ヒドラジド官能基を含む化合物を指し、「ヒドラゾン」は、ヒドラゾン官能基を含む化合物を指す。ヒドラジドおよびヒドラゾンが反応性アミノ官能基を含むことが理解される。前述のように、ヒドラジドおよびヒドラゾンはまた、ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している、-XR1(R5)zによって表される基を含む。前述のヒドラジドおよびヒドラゾン構成成分の非限定的な例としては、カルバゼート、セミカルバジド、カルバジド、ヒドラジンカルボチオエート、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
アルドまたはケト官能基が、ヒドラジドまたはヒドラゾン官能基と反応するであろうことが理解される。生じる反応生成物は、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、およびチオール官能基から選択される1つまたはそれより多くの官能基、ならびに-XR1(R5)zによって表される基を含む。
【0029】
前述の生じる反応生成物は、構成成分(ii)の2つまたはそれより多くの官能基とさらに反応する。特に、(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、および/またはチオール官能基は、構成成分(ii)の2つまたはそれより多くの官能基と反応して、本発明の化合物を形成する。
【0030】
構成成分(ii)は、様々なモノマーおよびポリマーから選択することができるが、ただし、モノマーおよびポリマーが、(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、および/またはカルボン酸官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を含むことを条件とする。(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、および/またはカルボン酸官能基と反応性の官能基の非限定的な例としては、エポキシ官能基、(メタ)アクリレートなどのエチレン系不飽和基、マレイミド、ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アリール、メシレート、トシレート、エステル、ニトリル、アミド、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。構成成分(ii)を形成するモノマーまたはポリマーは、限定されないが、前述の結合および追加の官能基を含む、ある特定の結合、および必要に応じて追加の官能基を提供するように選択され得ることが理解される。
【0031】
前述のように、構成成分(ii)がポリマーである場合、構成成分(ii)は、様々な種類のポリマーを含み得るが、ただし、ポリマーが、前述の(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、およびカルボン酸官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を有することを条件とする。構成成分(ii)を形成することができるポリマーの非限定的な例としては、前述のポリマーのうちのいずれかが挙げられるが、それらは、(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、および/またはカルボン酸官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を含む。例えば、化合物は、例えば、エポキシ官能基などの、(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、および/またはチオール官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を含む、(メタ)アクリレート樹脂を含み得る。さらに、(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、および/またはチオール官能基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基は、ポリマー上のペンダント基および/または末端基であり得る。
【0032】
本発明の化合物はまた、異なる反応物で調製することができる。例えば、化合物は、(i)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR1(R5)zによって表される基を含み、式中、R1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり、Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと;(ii)(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基のアミノ基(すなわち、一級アミノ基)と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分と、を反応させることによって得ることができる。
【0033】
ヒドラジドまたはヒドラゾンは、-XR1(R5)zによって表される基を含む、前述のヒドラジドまたはヒドラゾンのうちのいずれかを含み得る。構成成分(ii)は、様々なモノマーおよびポリマーから選択することができるが、ただし、モノマーおよびポリマーが、(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を含むことを条件とする。(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基と反応性の官能基の非限定的な例としては、エチレン系不飽和官能基、ケト官能基、アルド官能基、エポキシ官能基、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される場合、「エチレン系不飽和」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する基を指す。エチレン系不飽和基の非限定的な例としては、限定されないが、(メタ)アクリレート基、ビニル基、およびそれらの組み合わせが挙げられる。構成成分(ii)を形成するモノマーまたはポリマーは、例えば、前述の結合および追加の官能基のうちのいずれかを含む、ある特定の結合、および必要に応じて追加の官能基を提供するように選択され得ることが理解される。
【0034】
前述のように、構成成分(ii)がポリマーである場合、構成成分(ii)は、様々な種類のポリマーを含み得るが、ただし、ポリマーが、前述の(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を有することを条件とする。構成成分(ii)を形成することができるポリマーの非限定的な例としては、前述のポリマーのうちのいずれかが挙げられるが、(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を含む。例えば、化合物は、例えば、アルドおよび/または(メタ)アクリレート官能基などの、(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基を含む、(メタ)アクリレート樹脂を含み得る。別の非限定的な例は、(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基との反応の前に、レブリン酸などの、ケトまたはアルド官能基を含むカルボン酸化合物と最初に反応させて、ケトまたはアルド官能基をアクリル樹脂に付加する、エポキシ官能性アクリル樹脂である。さらに、(i)のヒドラジドまたはヒドラゾン官能基と反応性である2つまたはそれより多くの官能基は、ポリマー上のペンダント基および/または末端基であり得る。
【0035】
本発明の化合物を形成する前述の反応物および反応生成物は、非水性媒体などの液体媒体中、および必要に応じてアミン触媒の存在下などの触媒の存在下で、混合および反応させることができる。本明細書で使用される場合、「非水性」という用語は、液体媒体の総重量に基づいて、50重量%未満の水を含む液体媒体を指す。本発明によれば、そのような非水性液体媒体は、液体媒体の総重量に基づいて、40重量%未満の水、または30重量%未満の水、または20重量%未満の水、または10重量%未満の水、または5重量%未満の水を含み得る。液体媒体の50重量%超、および必要に応じて最大100重量%を構成する溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。好適な有機溶剤の非限定的な例としては、極性有機溶剤、例えば、グリコール、グリコールエーテルアルコール、アルコールなどのプロトン性有機溶剤、ならびにケトン、グリコールジエーテル、エステル、およびジエステルなどの非プロトン性有機溶剤が挙げられる。有機溶剤の他の非限定的な例としては、芳香族および脂肪族炭化水素などの非極性溶剤が挙げられる。
【0036】
本発明の化合物は、コーティング組成物の総固体重量に基づいて、コーティング組成物の少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも40重量%、または少なくとも60重量%を構成し得る。本発明の化合物は、コーティング組成物の総固体重量に基づいて、コーティング組成物の最大100重量%、最大90重量%、最大80重量%、または最大70重量%を構成し得る。本発明の化合物は、例えば、コーティング組成物の総固体重量に基づいて、コーティング組成物の5重量%~100重量%、または10重量%~90重量%、または20重量%~80重量%などの範囲の量を含み得る。
【0037】
前述のように、化合物は、1つまたはそれより多くの追加の官能基を含み得る。これらの追加の官能基は、化合物が自己架橋性であるように、化学構造(I)によって表される官能基と反応性である官能基から選択され得る。本明細書で使用される場合、「自己架橋性」という用語は、互いに反応性であり、分子内および/または分子間架橋反応に関与して、他の外部反応性化合物の不在下で共有結合を形成する2つまたはそれより多くの官能基を含む化合物を指す。例えば、本発明の化合物はまた、化学構造(I)によって表される官能基と反応性である、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0038】
本発明の化合物はまた、化合物が非自己架橋性であるように、化学構造(I)によって表される官能基と反応性である追加の官能基を含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、「非自己架橋性」は、互いに反応性ではなく、したがって、架橋反応を受けるのに反応性の1つまたはそれより多くの外部化合物を必要とする、1つまたはそれより多くの官能基を含む化合物を指す。
【0039】
本発明の架橋組成物が前述の非自己架橋性化合物を含有する場合、組成物は、非自己架橋性化合物の化学構造(I)によって表される官能基と反応性の官能基を有するフィルム形成樹脂をさらに含む。本明細書で使用される場合、「フィルム形成樹脂」は、組成物中に存在する任意の希釈剤または担体の除去時および/または硬化時に、基材の少なくとも水平表面上に自己支持連続フィルムを形成することができる樹脂を指す。
【0040】
好適なフィルム形成樹脂の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、それらのコポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、フィルム形成樹脂は、化合物の化学構造(I)によって表される官能基と反応性である官能基を含む。そのような官能基の非限定的な例としては、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。フィルム形成樹脂はまた、例えば、カルボン酸基、エポキシド基、カルバメート基、アミド基、尿素基、イソシアネート基(ブロック化イソシアネート基を含む)、およびそれらの組み合わせなどの追加の官能基を含み得る。
【0041】
本発明と共に使用されるフィルム形成樹脂はまた、400もしくはそれ未満、または300もしくはそれ未満、または250もしくはそれ未満、または200もしくはそれ未満、または180もしくはそれ未満、または150もしくはそれ未満の当量を構成し得る。本明細書で使用される場合、「当量」は、官能基の数によって除算した、樹脂の平均重量分子量を指す。さらに、平均重量分子量は、Waters 410示差屈折率検出器(RI検出器)を備えるWaters 2695分離モジュールで測定して、800~900,000ダルトンの線状ポリスチレン標準に対するゲル透過クロマトグラフィーによって決定される。分離には、1ml分-1の流量で溶出剤としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、2つのPLgel Mixed-C(300×7.5mm)カラムを使用する。
【0042】
前述の化合物は、硬化中にフィルム形成樹脂と反応して、以下により詳細に説明されるコーティング層を形成する架橋剤として機能し得ることが理解される。本明細書で使用される場合、「架橋剤」という用語は、他の官能基と反応性であり、化学結合を通じて2つまたはそれより多くのモノマーまたはポリマーを結合することが可能である2つまたはそれより多くの官能基を含む分子を指す。
【0043】
組成物中に含まれる場合、化合物の化学構造(I)によって表される官能基と反応性のフィルム形成樹脂は、コーティング組成物の総固体重量に基づいて、コーティング組成物の少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも40重量%、または少なくとも60重量%を構成し得る。フィルム形成樹脂は、コーティング組成物の総固体重量に基づいて、コーティング組成物の最大95重量%、最大90重量%、最大80重量%、または最大70重量%を構成し得る。本発明のフィルム形成樹脂は、例えば、コーティング組成物の総固体重量に基づいて、コーティング組成物の5重量%~95重量%、または10重量%~90重量%、または20重量%~80重量%などの範囲内の量を含み得る。
【0044】
フィルム形成樹脂はまた、自己架橋性である化合物を含む架橋組成物に添加され得ることが理解される。フィルム形成樹脂は、化合物が、化合物自体および追加のフィルム形成樹脂と反応性であるように、化合物上の追加の官能基および/または化学構造(I)によって表される官能基と反応性であり得る。自己架橋性である化合物を含む架橋組成物はまた、自己架橋性化合物と反応性であるそのようなフィルム形成樹脂を含まなくてもよい。
【0045】
本発明の架橋組成物はまた、自己架橋性である前述の化合物、および非自己架橋性である前述の化合物の両方を含み得る。そのような架橋組成物はまた、自己架橋性および/または非自己架橋性化合物と反応性であるフィルム形成樹脂を含み得る。代替的に、架橋組成物は、自己架橋性および/または非自己架橋性化合物と反応性であるフィルム形成樹脂を含まなくてもよい。
【0046】
架橋組成物はまた、追加の構成成分を含み得る。例えば、コーティング組成物はまた、前述の自己架橋性および/または非自己架橋性化合物と反応性ではない追加のフィルム形成樹脂を含み得る。追加の樹脂としては、当該技術分野で既知の多様な熱可塑性および/または熱硬化性樹脂のうちのいずれかを挙げることができる。本明細書で使用する場合、「熱硬化性」という用語は、硬化または架橋時に不可逆的に「硬化する」樹脂を指し、ポリマー鎖が、共有結合によって一緒に結合する。硬化すると、熱硬化性樹脂は、熱の印加時に融解せず、溶剤に不溶性である。上に記載したように、追加の樹脂としてはまた、熱可塑性樹脂を挙げることができる。本明細書で使用される場合、「熱可塑性」という用語は、共有結合によって結合されず、それによって加熱時に液体流動を受ける場合があるポリマー構成成分を含む樹脂を指す。
【0047】
追加の樹脂は、様々な種類の樹脂から選択することができるが、ただし、樹脂が、自己架橋性および/または非自己架橋性化合物の官能基と反応性である官能基を有さないことを条件とする。例えば、追加の樹脂は、前述の樹脂のうちのいずれかから選択することができるが、ただし、樹脂が、自己架橋性および/または非自己架橋性化合物の官能基と反応性である官能基を有さないことを条件とする。
【0048】
熱硬化性樹脂を含有する組成物は、典型的には、架橋剤と反応する。したがって、追加のフィルム形成樹脂が架橋組成物中で使用される場合、組成物は、追加のフィルム形成樹脂と反応性である追加の架橋剤を含み得る。熱硬化性樹脂はまた、追加の樹脂が自己架橋性であるように、それ自体と反応性である官能基を有し得る。
【0049】
追加の架橋剤の非限定的な例としては、ポリヒドラジド、カルボジイミド、ポリオール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベータ-ヒドロキシ(アルキル)アミド樹脂、ヒドロキシ(アルキル)尿素樹脂、オキサゾリン、アルキル化カルバメート樹脂、(メタ)アクリレート、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、ポリ酸、無水物、有機金属性酸官能性材料、ポリアミン、ポリアミド、アミノプラスト、アジリジン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。本発明のコーティング組成物はまた、追加のフィルム形成樹脂および/または架橋剤を含まなくてもよい。
【0050】
架橋組成物はまた、着色料を含み得る。本明細書で使用される場合、「着色料」は、組成物に色および/または他の不透明性および/または他の視覚効果を付与する任意の物質を指す。着色料は、個別の粒子、分散体、溶液、および/またはフレークなどの任意の好適な形態でコーティングに添加され得る。単一の着色料または2つもしくはそれより多くの着色料の混合物が、本発明のコーティングに使用され得る。
【0051】
着色料の例としては、塗料業界で使用されるもの、および/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)に列挙されるものなどの顔料(有機または無機)、染料、および染色剤(tint)、ならびに特殊効果組成物が挙げられる。着色料は、例えば、使用条件下で、不溶性であるが、湿潤可能である、微細に分割された固体粉末を含み得る。着色料は、有機または無機であってもよく、凝集または非凝集であってもよい。着色料は、アクリル粉砕ビヒクルなどの粉砕ビヒクルの使用によってコーティングに組み込まれることができ、その使用は、当業者によく知られているであろう。
【0052】
例示的な顔料および/または顔料組成物としては、限定されないが、カルバゾールジオキサジン粗顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、ベンゾイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、および多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインディゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンサントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、カーボンブラック、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
例示的な染料としては、限定されないが、フタログリーンまたはブルー、酸化鉄、バナジン酸ビスマス、アントラキノン、ならびにペリレンおよびキナクリドンなどの、溶剤および/または水性系のものが挙げられる。
【0054】
例示的な染色剤としては、限定されないが、Degussa, Inc.から市販のAQUA-CHEM 896などの水系または水混和性担体中に分散された顔料、ならびにEastman Chemical,Inc.のAccurate Dispersions Divisionから市販のCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSが挙げられる。
【0055】
本発明の架橋組成物と共に使用することができる着色料はまた、特殊効果組成物または顔料を含み得る。本明細書で使用される場合、「特殊効果組成物または顔料」は、可視光と相互作用して、連続的な不変の色以外の、またはそれに加えて外観効果を提供する組成物または顔料を指す。例示的な特殊効果組成物および顔料としては、反射率、真珠光沢、金属光沢、質感、リン光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、遊色効果、および/または色変化などの1つまたはそれより多くの外観効果を生成するものが挙げられる。特殊効果組成物の非限定的な例としては、透明コーティングされた雲母および/または合成雲母、コーティングされたシリカ、コーティングされたアルミナ、アルミニウムフレーク、透明液晶顔料、液晶コーティング、ならびにそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0056】
本発明の架橋組成物と共に使用することができる構成成分の他の非限定的な例としては、可塑剤、耐摩耗粒子、限定されないが、雲母、タルク、粘土、および無機鉱物を含む充填剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV光吸収剤および安定剤、界面活性剤、流動性および表面制御剤、チキソトロープ剤、有機共溶剤、反応性希釈剤、触媒、反応阻害剤、腐食阻害剤、ならびに他の慣習的な補助剤が挙げられる。
【0057】
コーティング組成物を形成する構成成分はまた、液体媒体中で組み合わされ、かつ/または混合され得る。例えば、化学構造(I)によって表される官能基を含む化合物、および必要に応じて先述の他の構成成分は、非水性または水性液体媒体中で組み合わせられ、混合され得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「水性液体媒体」は、液体媒体の総重量に基づいて、50重量%超の水を含む液体媒体を指す。そのような水性液体媒体は、例えば、液体媒体の総重量に基づいて、少なくとも60重量%の水、または少なくとも70重量%の水、または少なくとも80重量%の水、または少なくとも90重量%の水、または少なくとも95重量%の水、または100重量%の水を含み得る。存在する場合、液体媒体の50重量%未満を構成する溶剤としては、例えば、前述の有機溶剤のうちのいずれかなどの有機溶剤が挙げられる。
【0059】
本発明の架橋組成物は、コーティング組成物として使用することができる。本明細書で使用される場合、「コーティング組成物」は、基材の少なくとも一部分上にコーティングを形成することができる組成物を指す。本発明の架橋組成物は、様々な用途でコーティング組成物として使用することができ、コーティング業界で既知の広範囲な基材に適用することができることが理解される。例えば、本発明のコーティング組成物は、自動車基材および構成部品(例えば、限定されないが、車、バス、トラック、トレーラーなどを含む自動車車両)、工業用基材、航空機および航空機構成部品、船、船舶、ならびに陸上および沖合の設備などの海洋基材および構成部品、貯蔵タンク、風車、核プラント、包装基材、木製フローリングおよび家具、アパレル、筐体および回路基板を含む電子機器、ガラスおよび透明部品、ゴルフボールを含むスポーツ用品、スタジアム、建物、橋などに適用され得る。これらの基材は、例えば、金属性または非金属性であり得る。
【0060】
金属性基材としては、限定されないが、スズ、鋼(中でも、電気亜鉛めっき鋼、冷間圧延鋼、溶融亜鉛めっき鋼、鋼合金、またはブラスト加工/プロファイル加工鋼を含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム合金でコーティングされた鋼、およびアルミニウムめっき鋼が挙げられる。本明細書で使用される場合、ブラスト加工またはプロファイル加工鋼は、研磨ブラスト加工を施された鋼を指し、研磨ブラスト加工は、圧縮空気を使用して、または遠心式インペラによって高速で研磨粒子を用いて鋼基材に連続的に衝撃を与えることによる機械的洗浄に関与する。研磨剤は、典型的には、再生/再利用される材料であり、プロセスは、効率的にミルスケールおよび錆を除去することができる。研磨ブラスト洗浄の標準的なクリーニンググレードは、BS EN ISO 8501-1に従って実行される。
【0061】
さらに、非金属性基材としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、セルロース、ポリスチレン、ポリアクリル、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、EVOH、ポリ乳酸、他の「環境に優しい」ポリマー基板、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリカーボネート、ポリカーボネートアクリロブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリアミド、木材、ベニア、木製複合材料、パーティクルボード、中密度ファイバーボード、セメント、石、ガラス、紙、段ボール、織物、皮革、合成物、および天然物の両方などを含む、ポリマーおよびプラスチック基材が挙げられる。コーティング組成物は、前述の基材のうちのいずれかの様々な領域に適用されて、基材の本体および縁などにわたって連続的な固体コーティングを形成することができることが理解される。
【0062】
本発明のコーティング組成物は、金属性基材に適用される場合、特に有益である。例えば、本発明のコーティングは、車、トラック、およびトラクターなどの自動車車両を製造するために使用される金属性基材に適用される場合、特に有益である。
【0063】
本発明のコーティング組成物は、電着性コーティング組成物として使用される場合の電着コーティング、噴霧、浸漬、ローリング、ブラッシングなどの、当該技術分野における任意の標準的な手段によって適用することができる。本明細書で使用される場合、「電着性コーティング組成物」は、印加された電位の影響下で導電性基材上に堆積させることが可能である組成物を指す。
【0064】
本発明のコーティング組成物から形成されたコーティングは、例えば、5ミクロン~100ミクロン、または5ミクロン~60ミクロン、または8ミクロン~40ミクロン、または8ミクロン~20ミクロンの乾燥フィルム厚に適用され得る。
【0065】
基材に適用されると、組成物は、脱水および硬化してコーティング層を形成することができる。コーティング組成物は、165℃もしくはそれ未満以下、または160℃もしくはそれ未満、または140℃もしくはそれ未満、または120℃もしくはそれ未満、または100℃もしくはそれ未満、または80℃もしくはそれ未満の温度で脱水および硬化し得る。コーティング組成物は、周囲温度(例えば、20℃)~165℃、または周囲温度~140℃、または周囲温度~120℃、または周囲温度~100℃、または周囲温度~80℃、または40℃~160℃、または40℃~140℃、または40℃~120℃、または40℃~100℃、または40℃~80℃で脱水および硬化し得る。「硬化性」、「硬化する」などの用語は、組成物中の樹脂材料のうちの少なくとも一部分が、架橋されるかまたは架橋可能であることを意味する。
【0066】
コーティング組成物を基材に適用して、モノコートを形成することができる。本明細書で使用される場合、「モノコート」は、追加のコーティング層を含まない単層コーティング系を指す。したがって、コーティング組成物を、任意の中間コーティング層なしで基材に直接適用および硬化させて、単層コーティング、すなわちモノコートを形成することができる。コーティング組成物はまた、モノコートとして、前処理された基材上に直接適用することができる。例えば、基材は、リン酸鉄処理、リン酸亜鉛処理、ジルコニウム処理、チタン処理、またはシラン処理で前処理され得る。
【0067】
代替的に、コーティング組成物は、多層コーティング中の少なくとも1つのコーティング層として基材に適用され得る。例えば、コーティング組成物は、多層コーティング中のベースコートとして適用され得る。本明細書で使用される場合、「ベースコート」は、コーティングがプライマー上に、かつ/または基材上に直接堆積されるコーティング組成物を指し、必要に応じて、色に影響を与え、かつ/または他の視覚的影響を提供する構成成分(顔料など)を含み、ベースコートは、保護および装飾トップコートでオーバーコーティングされ得る。本明細書で使用される場合、「プライマー」は、保護または装飾コーティング系を適用するために表面を準備する目的で、アンダーコーティングを基材上に堆積することができる、コーティング組成物を指す。
【0068】
多層コーティングは、3層もしくはそれより多く、または4層もしくはそれより多く、または5層もしくはそれより多くのコーティング層などの複数のコーティング層を含み得ることが理解される。例えば、本発明の前述のコーティング組成物は、基材またはプライマー層上に第1のベースコートとして適用され得、追加のコーティング層は、追加のベースコートおよび/またはトップコートとして、第1のベースコート層上に適用され得る。
【0069】
追加のコーティング層は、互いに同一かまたは異なるフィルム形成樹脂を含むコーティング組成物から形成され得る。追加のコーティング層は、前述のフィルム形成樹脂、架橋剤、着色料、および/または他の構成成分のうちのいずれかで調製され得る。さらに、各コーティング組成物は、別の組成物コーティングを適用する前に、各コーティング組成物を乾燥または硬化させてコーティング層を形成する、ドライオンドライ(dry-on-dry)プロセスとして適用され得る。代替的に、各コーティング組成物のすべてのまたはある特定の組み合わせは、ウェットオンウェット(wet-on-wet)プロセスとして適用され、一緒に乾燥または硬化され得る。
【0070】
本発明の架橋組成物から形成されたコーティングは、様々な所望の特性を呈し得ることが見出された。例えば、本発明の架橋組成物から形成されたコーティングは、低い脱水/硬化温度で形成することができ、および/または良好な耐溶剤性を提供することができ、揮発性離脱基の使用などのイソシアネート官能性化合物と関連するいくつかの欠点および懸念を有さない。
【0071】
以下の実施例は、本発明の一般原理を示すために提示される。本発明は、提示される特定の実施例に限定されるとみなされるべきではない。実施例におけるすべての部およびパーセンテージは、別段示されない限り、重量によるものである。
【実施例】
【0072】
実施例1
前駆体の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の1Lフラスコに、44.2gのヒドロキシアセトフェノン、29.28gのカルバジン酸メチル、および162.5gのイソプロパノールを充填することによって、前駆体を調製した。混合物を加熱マントルで加熱還流し、反応をTLCで監視した。反応が完了したら、Dean-Stark装置でイソプロパノールを除去し、50gのキシレンを添加して析出した固体を分散させた。混合物を100℃で30分間撹拌した。反応物を冷却し、濾過によって沈殿物を収集した。次いで、沈殿物をエタノールで洗浄し、乾燥させて、オフホワイト固体として生成物を得た。生じた前駆体を、メチル2-(1-(4-ヒドロキシフェニル)エチリデン)ヒドラジン-1-カルボキシレートと特徴評価した。
【0073】
実施例2
前駆体の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の1Lフラスコに、32.7gのヒドロキシアセトフェノン、25.0gのカルバジン酸エチル、および112.5gのイソプロパノールを充填することによって、前駆体を調製した。混合物を加熱マントルで加熱還流し、反応をTLCで監視した。反応が完了したら、Dean-Stark装置でイソプロパノールを除去し、50gのキシレンを添加して析出した固体を分散させた。混合物を100℃で30分間撹拌した。反応物を冷却し、濾過によって沈殿物を収集した。次いで、沈殿物をエタノールで洗浄し、乾燥させて、オフホワイト固体として生成物を得た。生じた前駆体を、エチル2-(1-(4-ヒドロキシフェニル)エチリデン)ヒドラジン-1-カルボキシレートと特徴評価した。
【0074】
実施例3
二官能性架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の1Lフラスコに、62.4gの実施例1からの前駆体、51.0gのEpon(登録商標)828(Hexionから市販の二官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導液体エポキシ)、7.65gのトリメチルアミン、および195gのエタノールを充填することによって、二官能性架橋剤を調製した。反応物を加熱マントルで加熱還流し、反応をTLCで監視した。Epon(登録商標)828出発物質がTLCから消失したら、反応物を冷却し、濾過した。濾液を回転式蒸発器で濃縮して、サクサクした黄色の固体として生成物を得た。
【0075】
実施例4
二官能性架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の500mLフラスコに、充填12.93gの実施例2からの前駆体、10.88gのEpon(商標)828(Hexionから市販の二官能性ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導液体エポキシ)、1.63gのトリメチルアミン、および83.2gのエタノールを充填することによって、二官能性架橋剤を調製した。反応物を加熱マントルで加熱還流し、反応をTLCで監視した。Epon(商標)828出発物質がTLCから消失したら、反応物を冷却し、濾過した。濾液を回転式蒸発器で濃縮して、サクサクした黄色の固体として生成物を得た。
【0076】
実施例5
三官能性架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の500mLフラスコに、5.0gの実施例1からの前駆体、2.38gのトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)、0.5gのトリメチルアミン、および15.0gのエタノールを充填することによって、三官能性架橋剤を調製した。反応物を加熱マントルで加熱還流し、反応をTLCで監視した。出発物質がTLCから消失したら、反応物を冷却し、濾過した。濾液を回転式蒸発器で濃縮して、サクサクした黄色の固体として生成物を得た。
【0077】
実施例6
二官能性架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の500mLフラスコに、10.0gのイソフタルアルデヒド、19.71gのカルバジン酸tert-ブチル、および130gのイソプロパノールを充填することによって、二官能性架橋剤を調製した。反応物を加熱マントルで加熱還流し、3時間還流を保持した。Dean-Stark装置で溶剤を除去し、50gのキシレンを添加して沈殿した固体を分散させた。混合物を、100℃で30分間撹拌した。沈殿物を濾過し、エタノールで洗浄して、白色固体として生成物を得た。生じた架橋剤を、ジ-tert-ブチル2,2’-(1,3-フェニレンビス(メタンイリリデン))-ビス(ヒドラジン-1-カルボキシレート)と特徴評価した。
【0078】
実施例7
二官能性架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の500mLフラスコに、40.50gのカルバジン酸tert-ブチル、21.48gのシクロヘキサンジカルボキシアルデヒド、および141.86gのキシレンを充填することによって、二官能性架橋剤を調製した。その後、反応物を加熱マントルで100℃まで加熱し、1時間撹拌した(ヒートガンを定期的に使用してガラス器具を加熱し、Dean Starkトラップへの水の蒸留を促進した)。冷却後、白色固体を濾過し、キシレンで洗浄した。生じた架橋剤を、ジ-tert-ブチル2,2’-(シクロヘキサン-1,3-ジイルビス(メタンイリリデン))(2E,2’E)-ビス(ヒドラジン-1-カルボキシレート)と特徴評価した。
【0079】
実施例8
三官能性架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の500mLフラスコに、10.74gのトリメチロールプロパントリアクリレート、14.34gのカルバジン酸tert-ブチル、および70.00gのDowanol(商標)PM(グリコールエーテル溶剤、Dowから市販)を充填することによって、三官能性架橋剤を調製した。その後、反応物を周囲温度で2日間撹拌した。減圧下の回転式蒸発器で揮発物を除去して、透明な粘性液体を得た。
【0080】
実施例9
ポリマー架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の1Lフラスコに、261.17gのケト官能性アクリルポリマー(固体%:Dowから市販のDowanol(商標)PM、グリコールエーテル溶剤中50%)および13.26gのカルバジン酸メチルを充填することによって、ポリマー架橋剤を調製した。反応物を加熱マントルで加熱還流し、反応を13C-NMRで監視した。ケトン13C-NMRピークがNMRから消失したら、反応物を冷却し、注ぎ出して、黄色の液体として生成物を得た。
【0081】
実施例10
ポリマー架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の1Lフラスコに、35.1gの実施例1からの前駆体、71.4gのエポキシ官能性アクリルポリマー[固体%:ブチルセロソルブ-n-ブタノール(3:1)中63.3%]、50gのブチルセロソルブ-n-ブタノール(3:1)、および0.3gのヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムを充填することによって、ポリマー架橋剤を調製した。反応物を加熱マントルで加熱還流し、反応を滴定で監視した。エポキシ当量が検出不可能になったら、反応物を冷却し、注ぎ出して、黄色の液体として生成物を得た。
【0082】
実施例11
ポリマー架橋剤の調製
撹拌器、凝縮器、および熱電対を備える、窒素ブランケット下の1Lフラスコに、24.6gのレブリン酸、97.58gのエポキシ官能性アクリルポリマー[固体%:ブチルセロソルブ-n-ブタノール(3:1)中63.3%]、55gのブチルセロソルブ-n-ブタノール(3:1)、および0.4gのヨウ化エチルトリフェニルホスホニウムを充填することによって、ポリマー架橋剤を調製した。反応物を加熱マントルで加熱還流し、反応を滴定で監視した。エポキシ当量が検出不可能になったら、反応物を冷却した。次いで、19.27gのカルバジン酸メチルをフラスコに添加し、105℃まで加熱した。反応を13C-NMRで監視した。ケトン13C-NMRピークがNMRから消失したら、反応物を冷却し、注ぎ出して、黄色の液体として生成物を得た。
【0083】
実施例12
コーティング組成物およびそれから形成されたコーティングの調製
ヒドロキシル官能性アクリル樹脂を、アクリル樹脂のヒドロキシル含有量に基づいて、1:1の当量比で実施例3~6および9~11の架橋剤の各々と混合することによって、様々なコーティング組成物を調製した。次に、ドローダウンバーを使用して、ED 6465電着コート(PPGから市販の電着コート)で予めコーティングされた4インチ×12インチの鋼パネル上に、コーティング組成物をドローダウンした。湿潤フィルムを有するパネルを周囲条件で5分間フラッシュし、その後、80℃、120℃、140℃、および160℃のオーブンで30分間焼き付けた。焼き付けた後、パネルをオーブンから取り出し、室温まで冷却した。乾燥フィルム厚は、50~60um前後であった。
【0084】
実施例7および8のヒドロキシル官能性アクリル樹脂および溶剤を2オンスジャーに充填し、次いで、混合物が均質になるまで舌圧子で混合した。その後、架橋剤をジャーに添加し(不揮発性重量で30%)、均質な混合物が得られるまで混合した。次いで、ジャーの内容物の細い線を、6インチ×8インチ寸法を有する(事前にeコーティングされていない)CRS(冷間圧延鋼)C700パネル上に注いだ。鋼の火格子棒(grated rod)を使用して、C700パネル上に内容物をドローダウンして、パネル上に約1ミルの厚さを得た。次いで、設定温度の対流オーブンに1時間、パネルを入れた。1時間が完了したら、パネルをオーブンから取り出し、室温まで冷却した。
【0085】
実施例13
コーティングの評価
耐溶剤性について、実施例3、5、および9~11の架橋剤を使用して実施例12で形成したコーティングを試験した。Wypallブランド03086ワイプ(Kimberly-Clark Professional Inc.で市販)およびASTM D 5402-06の修正された方法を使用して、以下の手順に従って耐溶剤性を試験した:試験するコーティングされた表面上に1つの8インチ×1インチの領域に印をつけた;1枚のワイプを2倍の厚さに折り畳み、滴るほど湿潤した状態までメチルエチルケトン(MEK)溶剤を含ませた;人差し指を折り畳んだワイプの中心に置き、45°の角度で試験領域を擦り、1つの前後の動きが1つの2回の擦りとみなし;折り畳んだワイプの未使用の部分に人差し指を再度配置し、追加の2回の擦りで試験領域を擦った;25回の2回の擦りごとに再度ワイプに含ませた。フィルム上に目視可能な引っかき傷/傷ができるまで、この手順を繰り返した。
【0086】
試験領域をアセトンで湿らせた二重に折り畳んだWypall X80ワイプを用いて、パネルに沿った水平前後方向の動きで試験領域を擦って、実施例7および8の架橋剤を使用して実施例12で形成したコーティングのアセトンでの耐溶剤性を評価した。25回擦るごとに、ワイプをアセトン溶剤で再度湿らせた。100回の擦りを数えるまで、または系に目視可能な引っかき傷/傷が観察されるまで、擦り続けた。
【0087】
【0088】
表1に示されるように、前述の化学構造(I)によって表される官能基を有する化合物を含む本発明の組成物から形成したコーティングは、様々な硬化温度で良好~優れた耐溶剤性を呈した。
【0089】
実施例3~6の架橋剤を使用して実施例12で形成したコーティングのレオロジー曲線(位相角)も評価した。分析には、Anton Paar MCR 301機器を使用した。600μLの試料体積を機器上に置き、温度傾斜を25℃で開始して行った(10℃傾斜を3分間保持した)。試料が10°の位相角に達すると、プログラムを停止する。10°の位相角に達することは、試料の硬化と関連する。レオロジー曲線(位相角)を表2に示す。
【表2】
【0090】
表2に示されるように、本発明のコーティングは、低温で10°角の位相シフトを提供することができる。
【0091】
実施例14
自己架橋性系で形成したコーティングの調製および評価
実施例5の化合物がそれ自体と架橋してコーティングを形成するように、追加の樹脂を用いずに、実施例5の化合物を使用してコーティング組成物を調製した。ドローダウンバーを使用して、ED 6465電着コート(PPGから市販の電着コート)で予めコーティングされた4インチ×12インチの鋼パネル上に、コーティング組成物をドローダウンした。湿潤フィルムを有するパネルを周囲条件で5分間フラッシュし、その後、80℃および140℃のオーブンで30分間焼き付けた。焼き付けた後、パネルをオーブンから取り出し、室温まで冷却した。乾燥フィルム厚は、50~60um前後であった。
【0092】
次いで、実施例13に従って、耐溶剤性についてコーティングを試験した。耐溶剤性試験の結果を表3に示す。
【表3】
【0093】
表3に示されるように、自己架橋性系として実施例5の化合物を含む本発明の組成物から形成したコーティングは、様々な硬化温度で優れた耐溶剤性を呈した。
【0094】
本発明はまた、以下の条項を対象とする。
【0095】
条項1:各々独立して化学構造(I)によって表される少なくとも2つの官能基を含む化合物を含む、架橋組成物であって、
【化5】
Xが、酸素、硫黄、または窒素であり、R
1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;R
2、R
3、およびR
4が、各々独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;R
5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1であり;R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に二重結合が形成される場合、mが0であり、R
3に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に単結合が形成される場合、mが1であり;(i)化合物が自己架橋性であるように、化合物が、化学構造(I)によって表される官能基と反応性である1つまたはそれより多くの追加の官能基をさらに含み;かつ/または(ii)組成物が、化合物の化学構造(I)によって表される官能基と反応性である官能基を含むフィルム形成樹脂をさらに含む、架橋組成物。
条項2:Xが、酸素である、条項1に記載の架橋組成物。
条項3:化学構造(I)の官能基のうちの少なくとも1つが、化学構造(II):
【化6】
によって表される、条項1または2に記載の架橋組成物。
条項4:化学構造(I)の官能基のうちの少なくとも1つが、化学構造(III):
【化7】
によって表される、先行条項のいずれか一項に記載の架橋組成物。
条項5:(i)化合物が自己架橋性であるように、化合物が、化学構造(I)によって表される官能基と反応性である1つまたはそれより多くの追加の官能基をさらに含む、先行条項のいずれか一項に記載の架橋組成物。
条項6:追加の官能基が、ヒドロキシル官能基を含む、条項5に記載の架橋組成物。
条項7:化合物が、エステル結合、エーテル結合、芳香族基、またはそれらの組み合わせをさらに含む、先行条項のいずれか一項に記載の架橋組成物。
条項8:化合物が、(i)反応生成物であって、(a)ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、チオール官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含むモノアルドまたはケト官能性化合物と;(b)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR
1(R
5)
zによって表される基を含み、式中、R
1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R
5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと、の反応生成物と;(ii)(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、および/またはチオール官能基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分と、を含む、反応物から得られる、先行条項のいずれか一項に記載の架橋組成物。
条項9:(i)(a)モノアルドまたはケト官能性化合物が、ヒドロキシル官能基を含み、(ii)構成成分が、(i)の反応生成物のヒドロキシル官能基と反応性の2つまたはそれより多くのエポキシ官能基を含む、条項8に記載の架橋組成物。
条項10:化合物が、(i)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR
1(R
5)
zによって表される基を含み、式中、R
1が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R
5が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと;(ii)(i)のヒドラジドまたはヒドラゾンのアミノ基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分と、含む反応物から得られる、条項1~7のいずれか一項に記載の架橋組成物。
条項11:構成成分(ii)の2つまたはそれより多くの官能基が、(i)のヒドラジドまたはヒドラゾンのアミノ基と反応性である、エチレン系不飽和官能基、ケト官能基、アルド官能基、エポキシ官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含む、条項10に記載の架橋組成物。
条項12:組成物が、(ii)化合物の化学構造(I)によって表される官能基と反応性の官能基を含むフィルム形成樹脂をさらに含む、先行条項のいずれか一項に記載の架橋組成物。
条項13:フィルム形成樹脂が、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、またはそれらの組み合わせを含む、条項12に記載の架橋組成物。
条項14:フィルム形成樹脂が、400またはそれ未満の当量を有する、条項12または13に記載の架橋組成物。
条項15:架橋組成物が、硬化時にコーティングを形成するコーティング組成物である、先行条項のいずれか一項に記載の架橋組成物。
条項16:コーティング組成物が、電着性コーティング組成物である、条項15に記載の架橋組成物。
条項17:条項15または16に記載のコーティング組成物から形成されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、基材。
条項18:コーティングが、基材の少なくとも一部分上に直接形成されている、条項17に記載の基材。
条項19:コーティングが、基材上に形成された1つまたはそれより多くの追加のコーティング層上に形成されている、条項17に記載の基材。
条項20:1つまたはそれより多くの追加のコーティング層が、コーティング上に形成されている、条項17~19のいずれか一項に記載の基材。
【0096】
本発明の特定の実施形態は、例示の目的で上に記載されているが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細の多数の変形が行われ得ることは当業者に明らかであろう。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
各々独立して化学構造(I)によって表される少なくとも2つの官能基を含む化合物を含む、架橋組成物であって、
【化8】
Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;
R
1
が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;
R
2
、R
3
、およびR
4
が、各々独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;
R
5
が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;
Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1であり;
R
3
に結合している炭素原子と隣接する窒素との間に二重結合が形成される場合、mが0であり、前記R
3
に結合している炭素原子と前記隣接する窒素との間に単結合が形成される場合、mが1であり;
(i)前記化合物が自己架橋性であるように、前記化合物が、化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性である1つまたはそれより多くの追加の官能基をさらに含み;かつ/または
(ii)前記組成物が、前記化合物の化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性である官能基を含むフィルム形成樹脂をさらに含む、架橋組成物。
(項目2)
Xが、酸素である、項目1に記載の架橋組成物。
(項目3)
化学構造(I)の前記官能基のうちの少なくとも1つが、化学構造(II):
【化9】
によって表される、項目1に記載の架橋組成物。
(項目4)
化学構造(I)の前記官能基のうちの少なくとも1つが、化学構造(III):
【化10】
によって表される、項目1に記載の架橋組成物。
(項目5)
(i)前記化合物が自己架橋性であるように、前記化合物が、化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性である前記1つまたはそれより多くの追加の官能基をさらに含む、項目1に記載の架橋組成物。
(項目6)
前記追加の官能基が、ヒドロキシル官能基を含む、項目5に記載の架橋組成物。
(項目7)
前記化合物が、エステル結合、エーテル結合、芳香族基、またはそれらの組み合わせをさらに含む、項目1に記載の架橋組成物。
(項目8)
前記化合物が、
(i)反応生成物であって、
(a)ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、カルボン酸官能基、チオール官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含むモノアルドまたはケト官能性化合物と;
(b)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、前記ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR
1
(R
5
)
z
によって表される基を含み、式中、R
1
が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R
5
が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと、の反応生成物と;
(ii)前記(i)の反応生成物の前記ヒドロキシル官能基、前記アミノ官能基、前記カルボン酸官能基、および/または前記チオール官能基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分と、
を含む、反応物から得られる、項目1に記載の架橋組成物。
(項目9)
(i)(a)前記モノアルドまたはケト官能性化合物が、ヒドロキシル官能基を含み、(ii)前記構成成分が、前記(i)の反応生成物の前記ヒドロキシル官能基と反応性の2つまたはそれより多くのエポキシ官能基を含む、項目8に記載の架橋組成物。
(項目10)
前記化合物が、
(i)ヒドラジドまたはヒドラゾンであって、前記ヒドラジドまたはヒドラゾンの炭素原子に結合している-XR
1
(R
5
)
z
によって表される基を含み、式中、R
1
が、アルキル基、アリール基、またはアルキルアリール基であり;Xが、酸素、硫黄、または窒素であり;R
5
が、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、または水素であり;Xが酸素または硫黄である場合、zが0であり、Xが窒素である場合、zが1である、ヒドラジドまたはヒドラゾンと;
(ii)前記(i)のヒドラジドまたはヒドラゾンのアミノ基と反応性の2つまたはそれより多くの官能基を含む構成成分と、を含む、反応物から得られる、項目1に記載の架橋組成物。
(項目11)
前記構成成分(ii)の2つまたはそれより多くの官能基が、前記(i)のヒドラジドまたはヒドラゾンの前記アミノ基と反応性である、エチレン系不飽和官能基、ケト官能基、アルド官能基、エポキシ官能基、またはそれらの任意の組み合わせを含む、項目10に記載の架橋組成物。
(項目12)
前記組成物が、(ii)前記化合物の化学構造(I)によって表される前記官能基と反応性の官能基を含む前記フィルム形成樹脂をさらに含む、項目1に記載の架橋組成物。
(項目13)
前記フィルム形成樹脂が、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、チオール官能基、またはそれらの組み合わせを含む、項目12に記載の架橋組成物。
(項目14)
前記フィルム形成樹脂が、400またはそれ未満の当量を有する、項目13に記載の架橋組成物。
(項目15)
前記架橋組成物が、硬化時にコーティングを形成するコーティング組成物である、項目1に記載の架橋組成物。
(項目16)
前記コーティング組成物が、電着性コーティング組成物である、項目15に記載の架橋組成物。
(項目17)
項目15に記載のコーティング組成物から形成された前記コーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、基材。
(項目18)
前記コーティングが、前記基材の少なくとも一部分上に直接形成されている、項目17に記載の基材。
(項目19)
前記コーティングが、前記基材上に形成された1つまたはそれより多くの追加のコーティング層上に形成されている、項目17に記載の基材。
(項目20)
1つまたはそれより多くの追加のコーティング層が、項目15に記載のコーティング組成物から形成された前記コーティング上に形成されている、項目17に記載の基材。