(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-27
(45)【発行日】2023-12-05
(54)【発明の名称】アンテナ構造およびアンテナ構造を有する電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/24 20060101AFI20231128BHJP
H01Q 9/04 20060101ALI20231128BHJP
H01Q 5/335 20150101ALI20231128BHJP
H01Q 5/328 20150101ALI20231128BHJP
H01Q 5/378 20150101ALI20231128BHJP
H01Q 21/30 20060101ALI20231128BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H01Q9/04
H01Q5/335
H01Q5/328
H01Q5/378
H01Q21/30
(21)【出願番号】P 2022542641
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2020135927
(87)【国際公開番号】W WO2021143419
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】202010054712.7
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521218881
【氏名又は名称】オナー デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】蔡 ▲暁▼涛
(72)【発明者】
【氏名】周 大▲為▼
(72)【発明者】
【氏名】李 元▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 ▲鉄▼柱
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110165373(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110505325(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
H01Q 9/04
H01Q 5/335
H01Q 5/328
H01Q 5/378
H01Q 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス
であって、アンテナ構造
を備え、前記アンテナ構造は、フレーム本体、第1のフィードイン部、および第1の接続部を含み、前記フレーム本体は、少なくとも部分的に金属材料で作製されており、前記フレーム本体は、少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、前記第2の部分は、前記第1の部分の一端に接続され、前記第2の部分の長さは、前記第1の部分の長さよりも大きく、前記第1の部分に第1のスロットが設けられ、前記第2の部分に第2のスロットが設けられ、前記第1のスロットと前記第2のスロットとの間の前記フレーム本体の一部は第1の放射部を形成し、前記第1のフィードイン部は
前記第1の放射部に第1の信号を供給するために前記第1の放射部に配置さ
れ、前記第1の接続部は、前記第1の放射部に配置され、かつ前記フレーム本体の前記第2の部分に位置
し、前記第1の接続部はゼロオーム抵抗またはインダクタによって接地され、前記第1の放射部は第1の共振および第2の共振を生成し、前記第1の部分にさらに第3のスロットが設けられ、前記第3のスロットおよび前記第1のスロットは間隔を置いて配置され、前記第1のスロットは前記第3のスロットよりも前記第2のスロットに近く、前記第1のスロットと前記第3のスロットとの間の前記フレーム本体の一部は、前記第1の放射部の寄生スタブを形成する、電子デバイス。
【請求項2】
前記第1の放射部の前記寄生スタブは第3の共振を生成する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第3の共振の周波数は前記第1の共振の前記周波数より小さい、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第1の信号の帯域は低域である、請求項1から3のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記低域は、バンド28またはバンド5またはバンド8を含む、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記アンテナ構造は、第1のチューニングユニットをさらに備え、前記第1のチューニングユニットの一端は前記第1のフィードイン部に電気的に接続され、前記第1のチューニングユニットの他端は接地され、前記第1のチューニングユニットは、第1のチューニング分岐、第2のチューニング分岐、および少なくとも1つの第1のスイッチユニットを備え、前記第1のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを備え、前記第2のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを備える、請求項1
から3のいずれか一項に記載の
電子デバイス。
【請求項7】
前記第1のチューニングユニットは、前記第1の放射部の前記寄生スタブをチューニングするために使用される、請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記アンテナ構造は、第2のチューニングユニットをさらに備え、前記第2のチューニングユニットの一端は前記第1の接続部に電気的に接続され、他端は接地され、前記第2のチューニングユニットは、第3のチューニング分岐、第4のチューニング分岐、および少なくとも1つの第2のスイッチユニットを備え、前記第3のチューニング分岐はコンデンサまたはインダクタを備え、前記第4のチューニング分岐はコンデンサまたはインダクタを備える、請求項1
から3のいずれか一項に記載の
電子デバイス。
【請求項9】
前記フレーム本体は、第3の部分をさらに含み、前記第3の部分と前記第2の部分は互いに向かい合い、前記第1の部分の他端に接続され、前記第1の部分にさらに第3のスロットが設けられ、前記第3のスロットおよび前記第1のスロットは間隔を置いて配置され、前記第1のスロットは、前記第3のスロットよりも前記第2のスロットに近く、前記第3の部分に接地点が配置され、
または、前記接地点は前記第1の部分に配置されかつ前記第3のスロットよりも前記第3の部分に近く、前記接地点と前記第3のスロットとの間の前記フレーム本体の一部は、第2の放射部を形成し、前記アンテナ構造は、第2のフィードイン部をさらに含み、前記第2のフィードイン部は、前記第2の放射部に配置され、かつ前記フレーム本体の前記第1の部分に配置され、前記第2のフィードイン部は、第2のフィードに電気的に接続され、前記第2の放射部に
第2の信号を供給する、請求項
1から3のいずれか一項に記載の
電子デバイス。
【請求項10】
前記第1のスロットと前記第1の接続部との間の前記フレーム本体の一部は、前記第2の放射部の寄生スタブを形成し、前記第2の放射部の前記寄生スタブは、前記第2の放射部上の電流の分布を分散するように構成される、請求項
9に記載の
電子デバイス。
【請求項11】
前記第2の信号の帯域は中・高域である、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記中・高域は、バンド1、バンド3、バンド4、バンド38、バンド39、バンド40またはバンド41を含む、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記アンテナ構造は、第2の接続部をさらに備え、前記第2の接続部は、前記第1の放射部上に配置され、前記フレーム本体の前記第2の部分上に位置し、前記第2の接続部から前記第2のスロットまでの距離は、前記第1の接続部から前記第2のスロットまでの距離よりも大きく、前記第2の接続部は
、第2のチューニングユニットを使用して接地される、請求項
9に記載の
電子デバイス。
【請求項14】
前記アンテナ構造は、第3の接続部および第3のチューニングユニットをさらに備え、前記第3の接続部は、前記第2の放射部上に配置され、かつ前記フレーム本体の前記第1の部分上に位置し、前記第3の接続部は、前記第2のフィードイン部よりも前記第3の部分に近く、前記第3のチューニングユニットの一端は前記第3の接続部および前記第2のフィードイン部に電気的に接続され、他端は接地され、前記第3のチューニングユニットは、第5のチューニング分岐、第6のチューニング分岐、および少なくとも1つの第3のスイッチユニットを含み、前記第5のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含み、前記第6のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含む、請求項
9に記載の
電子デバイス。
【請求項15】
前記フレーム本体は、前記電子デバイスの金属フレームであり、前記第1の部分は、前記電子デバイスの下部金属フレームであり、前記第2の部分は、前記電子デバイスの側部金属フレームである、請求項1から
3のいずれか一項に記載の
電子デバイス。
【請求項16】
前記フレーム本体は、前記電子デバイスのシャーシに配置され、インサート成形によって前記シャーシと一体化されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載の
電子デバイス。
【請求項17】
前記電子デバイスは、バックプレートおよびディスプレイユニットをさらに備え、前記バックプレートは、前記フレーム本体の縁部に配置され、前記ディスプレイユニットは、前記バックプレートから離れた前記フレーム本体の側部に配置される、請求項1
から3のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造およびアンテナ構造を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話やパーソナルデジタルアシスタントなどの電子デバイスの品質感を高めるために、例えば金属フレームなどの電子デバイスの工業デザイン(industry design、ID)に金属がますます適用されている。金属フレームを使用する工業デザインでは、金属フレームをアンテナに設計することがアンテナ設計の方向性となる。
【0003】
従来技術では、低域(LB)性能は、主に側部長手方向成分、例えば、側部逆Fアンテナ(inverted-F antenna、IFA)モードまたはアクティブアンテナ縦モードを使用することによって実装される。しかし、曲面スクリーンなどの大画面が普及するにつれて、携帯電話の側部金属フレーム本体はより薄くなっている(より狭くなっている)。したがって、曲面スクリーンが極端に近づくにつれて、側部フレーム本体および側部フレーム周囲がより弱くなり、側部フレーム本体を主要な放射アンテナとするアンテナ性能が急激に低下し、低域(LB)性能の要件を満たすことができなくなる。
【発明の概要】
【0004】
これに鑑み、低域(LB)放射性能を効果的に向上させることができるアンテナ構造と、アンテナ構造を有する電子デバイスとを提供する必要がある。
【0005】
第1の態様によれば、本出願は、電子デバイスのためのアンテナ構造を提供する。アンテナ構造は、フレーム本体、第1のフィードイン部、および第1の接続部を含み、フレーム本体は、少なくとも部分的に金属材料で作製されており、フレーム本体は、少なくとも第1の部分および第2の部分を含み、第2の部分は、第1の部分の一端に接続され、第2の部分の長さは、第1の部分の長さよりも大きく、第1の部分に第1のスロットが設けられ、第2の部分に第2のスロットが設けられ、第1のスロットと第2のスロットとの間のフレーム本体の一部は第1の放射部を形成し、第1のフィードイン部は第1の放射部に配置され、かつフレーム本体の第1の部分に位置し、第1のフィードイン部は、第1の放射部に電流信号を供給するために第1のフィードに電気的に接続され、第1の接続部は、第1の放射部に配置され、かつフレーム本体の第2の部分に位置する。
【0006】
第1の態様において提供されるアンテナ構造では、低域(LB)下部フィードが使用され、IFAモードとは異なり、小型化の特徴を有し、主に横成分の構成要素に基づいているため、側部曲面スクリーンの影響を受けにくいことを理解し得る。また、サイドスロットは、低域(LB)FS効率を向上させるために、側部長手方向成分の向上に役立つことができる。
【0007】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、第1のチューニングユニットをさらに含み、第1のチューニングユニットの一端は、第1のフィードイン部に電気的に接続され、他端は接地され、第1のチューニングユニットは、第1のチューニング分岐、第2のチューニング分岐、および少なくとも1つの第1のスイッチユニットを含み、第1のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含み、第2のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含む。第1のチューニングユニットは、ポートマッチング、および第1の放射部のチューニングおよび周波数調整を行うように構成される。
【0008】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、第2のチューニングユニットをさらに含み、第2のチューニングユニットの一端は、第1の接続部に電気的に接続され、他端は接地され、第2のチューニングユニットは、第3のチューニング分岐、第4のチューニング分岐、および少なくとも1つの第2のスイッチユニットを含み、第3のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含み、第4のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含む。第1の接続部は、第2のチューニングユニットを使用して、第1の放射部の周波数および長手方向成分をわずかに調整する。
【0009】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、第3のスロットが第1の部分にさらに設けられ、第3のスロットおよび第1のスロットが間隔を置いて配置され、第1のスロットは第3のスロットよりも第2のスロットに近く、第1のスロットと第3のスロットとの間のフレーム本体の一部は、アンテナ構造が追加の共振を生成することを可能にするために、第1の放射部の寄生スタブを形成する。また、第1の放射部の寄生スタブにチューニングを行い、追加の共振を第1の放射部の有効帯域にシフトさせ、第1の放射部の放射効率が向上する。
【0010】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、フレーム本体は、第3の部分をさらに含み、第3の部分および第2の部分は、互いに向かい合い、第1の部分の他端に接続され、第3のスロットは、第1の部分にさらに設けられ、第3のスロットおよび第1のスロットは、間隔を置いて配置され、第1のスロットは、第3のスロットよりも第2のスロットに近く、接地点は、第3の部分に配置され、接地点と第3のスロットとの間のフレーム本体の一部は、第2の放射部を形成し、アンテナ構造は第2のフィードイン部をさらに含み、第2のフィードイン部は、第2の放射部にさらに配置され、かつフレーム本体の第1の部分に位置し、第2のフィードイン部は、第2のフィードに電気的に接続され、電流信号を第2の放射部に供給する。
【0011】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、第1のスロットと第1の接続部との間のフレーム本体の一部は、第2の放射部の寄生スタブを形成し、第2の放射部の寄生スタブは、第2の放射部上の電流の分布を分散するように構成される。したがって、第2の放射部の比吸収率を効果的に低減することができる。
【0012】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、第2の接続部をさらに含み、第2の接続部は、第1の放射部上に配置され、かつフレーム本体の第2の部分上に位置し、第2の接続部から第2のスロットまでの距離は、第1の接続部から第2のスロットまでの距離よりも大きく、第2の接続部は、第2のチューニングユニットを使用することによって接地される。周波数チューニングは、第1のチューニングユニットおよび第2のチューニングユニットを使用して、第2の放射部の寄生スタブに対して行われる。
【0013】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、第3の接続部および第3のチューニングユニットをさらに含み、第3の接続部は、第2の放射部上に配置され、フレーム本体の第1の部分上に位置し、第3の接続部は、第2のフィードイン部よりも第3の部分に近く、第3のチューニングユニットの一端は、第3の接続部および第2のフィードイン部に電気的に接続され、他端は接地され、第3のチューニングユニットは、第5のチューニング分岐、第6のチューニング分岐、および少なくとも1つの第3のスイッチユニットを含み、第5のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含み、第6のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含む。第3のチューニングユニットは、第2の放射部に対して周波数チューニングを行うように構成される。
【0014】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、フレーム本体は、電子デバイスの金属フレームであり、すなわち、アンテナ構造は、金属フレームアンテナであり、この場合、第1の部分は、電子デバイスの下部金属フレームであり、第2の部分は、電子デバイスの側部金属フレームである。
【0015】
第1の態様を参照すると、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、金属フレームアンテナに限定されず、代替的に、モード装飾アンテナ(Mode decoration antenna、MDA)または別のアンテナであってもよい。例えば、アンテナ構造がMDAアンテナである場合、電子デバイスのシャーシ内の金属部材は、放射機能を実装するためのラジエータとして使用される。電子デバイスのシャーシはプラスチック等の材料で作製されており、金属部材はインサート成形によりシャーシと一体化されている。
【0016】
第2の態様によれば、本出願はさらに、第1の態様に提供されるアンテナ構造を含む電子デバイスを提供する。
【0017】
第2の態様を参照すると、いくつかの実施形態では、電子デバイスは、バックプレートおよびディスプレイユニットをさらに含み、バックプレートは、フレーム本体の縁部に配置され、ディスプレイユニットは、バックプレートから離れたフレーム本体の側部に配置される。バックプレートは、金属または別の導電性材料で作製されている。もちろん、バックプレートは、あるいは、ガラスまたはプラスチックなどの絶縁材料で作製され得る。すなわち、アンテナ構造は、異なる材料で作製されたバックプレートを有する電子デバイスに適合され得る。加えて、アンテナ構造は、曲面スクリーン及びより薄い(より狭い)側部金属フレーム本体などの大画面を有する電子デバイスに適合され得る。
【0018】
第3の態様によれば、本出願はさらに、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、アンテナ構造を含み、アンテナ構造は、フレーム本体を含み、フレーム本体は、少なくとも部分的に金属材料で作製されており、フレーム本体は、少なくとも第1の部分、第2の部分、および第3の部分を含み、第2の部分および第3の部分は、互いに向かい合い、第1の部分の2つの端部に接続され、第2の部分の長さおよび第3の部分の長さは、それぞれ、第1の部分の長さよりも大きく、第1のスロット、第2のスロット、および第3のスロットは、フレーム本体に設けられ、第1のスロットおよび第3のスロットは、間隔を置いて第1の部分に設けられ、第2のスロットは、第2の部分に設けられ、第1のスロットは、第3のスロットよりも第2のスロットに近く、第1のスロットと第2のスロットとの間のフレーム本体の一部は、第1の放射部を形成し、接地点は、第3の部分に配置され、接地点と第3のスロットとの間のフレーム本体の一部は、第2の放射部を形成し、第1のフィードイン部は、第1の放射部に配置され、第1のフィードイン部は、電流信号を第1の放射部に供給するためにフレーム本体の前記第1の部分に位置し、第2のフィードイン部は、第2の放射部に配置され、第2のフィードイン部は、電流信号を第2の放射部に供給するためにフレーム本体の第1の部分に位置する。
【0019】
第3の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、第1のチューニングユニットをさらに含み、第1のチューニングユニットの一端は、第1のフィードイン部に電気的に接続され、他端は接地され、第1のチューニングユニットは、第1のチューニング分岐、第2のチューニング分岐、および少なくとも1つの第1のスイッチユニットを含み、第1のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含み、第2のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含む。第1のチューニングユニットは、ポートマッチング、および第1の放射部のチューニングおよび周波数調整を行うように構成される。
【0020】
第3の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、第1の接続部、第2の接続部、および第2のチューニングユニットをさらに含み、第1の接続部および第2の接続部は、間隔を置いて第1の放射部上に配置され、フレーム本体の第2の部分上に位置し、第2の接続部から第2のスロットまでの距離は、第1の接続部から第2のスロットまでの距離よりも大きく、第2のチューニングユニットの一端は、第1の接続部および第2の接続部に電気的に接続され、他端は接地され、第2のチューニングユニットは、第3のチューニング分岐、第4のチューニング分岐、および少なくとも1つの第2のスイッチユニットを含み、第3のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含み、第4のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含む。第1の接続部は、第2のチューニングユニットを使用して、第1の放射部の周波数および長手方向成分をわずかに調整する。
【0021】
第3の態様に関し、いくつかの実施形態では、第1のスロットと第3のスロットとの間のフレーム本体の一部は、アンテナ構造が追加の共振を生成することを可能にするように、第1の放射部の寄生スタブを形成する。また、第1の放射部の寄生スタブにチューニングを行い、追加の共振を第1の放射部の有効帯域にシフトさせ、第1の放射部の放射効率が向上する。
【0022】
第3の態様に関し、いくつかの実施形態では、第1のスロットと第1の接続部との間のフレーム本体の一部は、第2の放射部の寄生スタブを形成し、第2の放射部の寄生スタブは、第2の放射部上の電流の分布を分散するように構成される。したがって、第2の放射部の比吸収率を効果的に低減することができる。周波数チューニングは、第1のチューニングユニットおよび第2のチューニングユニットを使用して、第2の放射部の寄生スタブに対して行われる。
【0023】
第3の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、第3の接続部および第3のチューニングユニットをさらに含み、第3の接続部は、第2の放射部上に配置され、かつフレーム本体の第1の部分上に位置し、第3の接続部は、第2のフィードイン部よりも第3の部分に近く、第3のチューニングユニットの一端は、第3の接続部および第2のフィードイン部に電気的に接続され、他端は接地され、第3のチューニングユニットは、第5のチューニング分岐、第6のチューニング分岐、および少なくとも1つの第3のスイッチユニットを含み、第5のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含み、第6のチューニング分岐は、コンデンサまたはインダクタを含む。第3のチューニングユニットは、第2の放射部に対して周波数チューニングを行うように構成される。
【0024】
第3の態様に関し、いくつかの実施形態では、フレーム本体は、電子デバイスの金属フレームであり、すなわち、アンテナ構造は、金属フレームアンテナである。この場合、第1の部分は電子デバイスの下部金属フレームであり、第2の部分および第3の部分は電子デバイスの側部金属フレームである。
【0025】
第1の態様に関し、いくつかの実施形態では、アンテナ構造は、金属フレームアンテナに限定されず、代替的に、モード装飾アンテナ(Mode decoration antenna、MDA)または別のアンテナであってもよい。例えば、アンテナ構造がMDAアンテナである場合、電子デバイスのシャーシ内の金属部材は、放射機能を実装するためのラジエータとして使用される。電子デバイスのシャーシはプラスチック等の材料で作製されており、金属部材はインサート成形によりシャーシと一体化されている。
【0026】
第3の態様で提供されるアンテナ構造は、中・高域(MHB)低SARおよび低域(LB)放射性能の両方を実装し得ることを理解し得る。すなわち、アンテナのスロット位置およびスロット幅を設計し、フレーム本体の位置およびスロット結合電流強度を調整して、アンテナフレーム本体上の電流の集中および分散度の分布に影響を与える。第3の態様で提供されるアンテナ構造は、中・高帯域(MHB)の電流分布面積を増加させ(例えば、第2の放射部の電気的長さを調整する)、また、中・高帯域(MHB)の寄生フレーム本体と協働して電流を分流させ、SARを低減させる。また、側部フレーム本体に設けられたスロット(すなわち、第2のスロット)については、低域(LB)ボトムフィードを使用し、IFAモードとは異なり、小型化の特性を有し、主に横方向成分に基づくため、側部曲面スクリーンの影響を受けにくい。さらに、側部スロットは、側部縦方向成分の改善に役立つことができる。また、スイッチのジョイントチューニングは、低域(LB)FS効率を向上させ、中・高域(MHB)寄生共振を調整することもでき、中・高域(MHB)性能と低SARの特性が確保され、SARを制御するために電力を大幅に減少させる必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、電子デバイスに適用されるアンテナ構造の概略図である。
【
図2】
図1に示す電子デバイスの別の角度からの概略図である。
【
図4A】既存のアンテナ設計解決策の概略図である。
【
図4B】既存のアンテナ設計解決策の概略図である。
【
図4C】既存の3つのアンテナ設計解決策の概略図である。
【
図6】
図3に示すスイッチユニットの概略構造図である。
【
図7】低域モードで動作する
図1に示すアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。
【
図8】LTE B5帯域上で動作する
図1に示すアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)およびシステム効率の曲線グラフである。
【
図9】LTE B5帯域上で動作する
図8に示すアンテナ構造の共振1の概略電流図である。
【
図10】LTE B5帯域上で動作する、
図8に示すアンテナ構造の共振2の概略電流図である。
【
図11】
図3に示す第1の接続部が異なるオン抵抗(Ron)に接続された場合のアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)の曲線グラフである。
【
図12】
図3に示す第1の接続部が異なるオン抵抗(Ron)に接続された場合のアンテナ構造の放射効率の曲線グラフである。
【
図13】
図3に示す第2の接続部が異なるオン抵抗(Ron)に接続された場合のアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)の曲線グラフである。
【
図14】
図3に示す第2の接続部が異なるオン抵抗(Ron)に接続された場合のアンテナ構造の放射効率の曲線グラフである。
【
図15】側部に第2のスロットが設けられているとき、または第2のスロットが設けられていないときの、LTE B28帯域上で動作する、
図1に示すアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。
【
図16】側部に第2のスロットが設けられているとき、または第2のスロットが設けられていないときの、LTE B5帯域上で動作する、
図1に示すアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。
【
図17】側部に第2のスロットが設けられているとき、または第2のスロットが設けられていないときの、LTE B8帯域上で動作する、
図1に示すアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。
【
図18】
図3に示すアンテナ構造の第1のスロットと第3のスロットとの間のフレーム本体の一部が寄生スタブとして機能する場合の、LTE B28帯域上で動作するアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。
【0028】
以下の具体的な実施形態では、添付の図面を参照して本発明をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
主要部品の参照符号の説明
【0030】
【0031】
以下に、本発明の実施形態における技術的解決策を、本発明の実施形態における添付の図面を参照して明確に説明する。明らかに、記載された実施形態は、本発明の実施形態の一部であるが、すべてではない。本発明の実施形態に基づき、当業者が創造的な努力を行わずに得た他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲に属するものとする。
【0032】
ある要素が別の要素に「電気的に接続されている」と記載される場合、その要素は他の要素上に直接存在してもよいし、その間に要素が存在してもよいことに留意されたい。一方の要素が別の要素に「電気的に接続されている」と考えられる場合、ワイヤ接続などの接触接続、または非接触カップリングなどの非接触接続であり得る。
【0033】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において、本発明の明細書で使用される用語は、特定の実施形態の説明のためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0034】
以下では、添付の図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態および実施形態における特徴は、矛盾が発生しないことを条件として、組み合わされてもよい。
【0035】
図1および
図2を参照すると、本発明の例示的な実装は、アンテナ構造100(
図3を参照)を提供する。アンテナ構造は、携帯電話、タブレットコンピュータ、またはパーソナルデジタルアシスタント(personal digital assistant、PDA)などの電子デバイス200に適用されてよく、無線信号を送信および交換するように、電波を送信および受信するように構成されている。
【0036】
電子デバイス200は、ブルートゥース(Bluetooth、BT)通信技術、全地球測位システム(global positioning system、GPS)通信技術、ワイファイ(wireless fidelity、Wi-Fi)通信技術、汎欧州デジタル移動電話方式(global system for mobile communications、GSM)通信技術、広帯域符号分割多重アクセス(wideband code division multiple acces、WCDMA)通信技術、ロングタームエボリューション(long term evolution、LTE)通信技術、5G通信技術、SUB-6G通信技術、別の将来の通信技術等のうちの1つ以上を使用し得ることが理解され得る。
【0037】
電子デバイス200は、ハウジング11とディスプレイユニット201とを含む。ハウジング11は、少なくともフレーム111およびバックプレート112を含む。フレーム111は、実質的にリング構造であり、金属または別の導電性材料で作製される。バックプレート112は、フレーム111の端部に配置される。バックプレート112は、金属または別の導電性材料で作製され得る。もちろん、バックプレート112は、代替としてガラスまたはプラスチックなどの絶縁材料で作製され得る。
【0038】
本実施形態では、フレーム111のバックプレート112に面する側に開口部(図示せず)が設けられ、ディスプレイユニット201を収容するように構成されていることが理解され得る。ディスプレイユニット201には、ディスプレイ平面が設けられており、ディスプレイ平面が開口部から露出していることが理解され得る。ディスプレイユニット201をタッチセンサと組み合わせてタッチスクリーンを形成してもよいことが理解され得る。タッチセンサはまた、タッチパネルまたはタッチ感知パネルと称され得る。
【0039】
また、
図3を参照すると、アンテナ構造100は、少なくともフレーム本体、第1のフィードイン部12、第2のフィードイン部13、第1の接続部15、第2の接続部17、および第3の接続部18を含む。
【0040】
フレーム本体は、少なくとも部分的に金属材料で作製される。本実施形態では、フレーム本体は電子デバイス200のフレーム111である。フレーム111は、少なくとも第1の部分115、第2の部分116、および第3の部分117を含む。この実施形態では、第1の部分115は、電子デバイス200の下端であり、すなわち、第1の部分115は、電子デバイス200の下部金属フレームである。アンテナ構造100は、電子デバイス200の下部アンテナを形成する。第2の部分116と第3の部分117は互いに向かい合い、それぞれ第1の部分115の両端に配置され、好ましくは垂直に配置される。本実施形態では、第2の部分116の長さまたは第3の部分117の長さは、第1の部分115の長さよりも大きい。すなわち、第2の部分116と第3の部分117は共に電子デバイス200の側部金属フレームである。
【0041】
フレーム111には、少なくとも1つのスロットがさらに設けられている。本実施形態では、フレーム111には、第1のスロット120、第2のスロット121、および第3のスロット122の3つのスロットが設けられている。第1のスロット120および第3のスロット122は、第1の部分115に間隔を置いて設けられている。第2のスロット121は、第2の部分116に設けられている。第1のスロット120は、第3のスロット122よりも第2の部分116に近い。第3のスロット122は、第1のスロット120よりも第3の部分117に近い。
【0042】
この実施形態では、アンテナ構造100は、接地点19をさらに含むことが理解され得る。接地点19は、第3の部分117に配置される。
【0043】
本実施形態では、第1のスロット120、第2のスロット121、および第3のスロット122は全てフレーム111を貫通し、分離している。少なくとも1つのスロットおよび接地点19は、フレーム111上の少なくとも2つの放射部を共同で規定する。本実施形態では、フレーム111上に、第1のスロット120、第2のスロット121、第3のスロット122、および接地点19が共同で第1の放射部F1および第2の放射部F2を規定する。本実施形態では、第1のスロット120と第2のスロット121との間のフレーム111の一部が、第1の放射部F1を形成する。第3のスロット122と接地点19との間のフレーム111の一部は、第2の放射部F2を形成する。すなわち、第1の放射部F1は、電子デバイス200の右下隅に配置され、第1の部分115の一部と第2の部分116の一部とで形成される。第2の放射部F2は、電子デバイス200の左下隅に配置され、第1の部分115の一部と第3の部分117の一部とで形成される。第1の放射部F1の電気的長さは、前記第2の放射部F2の電気的長さよりも大きい。
【0044】
本実施形態では、第1のスロット120、第2のスロット121、および第3のスロット122はそれぞれ、プラスチック、ゴム、ガラス、木材、またはセラミックなどの絶縁材料で満たされるが、これらに限定されないことが理解され得る。
【0045】
本実施形態では、第1のスロット120の幅、第2のスロット121の幅、および第3のスロット122の幅はすべて小さく、例えば、0.5ミリメートル(mm)から2mmの範囲であってもよいことが理解され得る。好ましい解決策では、第1のスロット120の幅、第2のスロット121の幅、および第3のスロット122の幅は、それぞれ0.8mm、1mm、または1.2mmであり得る。
【0046】
本実施形態では、第1のフィードイン部12は、ハウジング11内に位置することが理解され得る。第1のフィードイン部12は、第1の放射部F1上に配置され、第1の部分115上に位置する。第1のフィードイン部12は、ドーム、マイクロストリップ、ストリップ、同軸ケーブルなどを使用して、電流信号を第1の放射部F1に供給することによって、第1のフィード202に電気的に接続されてもよい。
【0047】
第2のフィードイン部13は、ハウジング11に配置されている。第2のフィードイン部13は、第2の放射部F2上に配置され、第1の部分115上に位置する。第2のフィードイン部13は、ドーム、マイクロストリップ、ストリップ、同軸ケーブル等を用いて、電流信号を第2の放射部F2に供給することにより、第2のフィード203に電気的に接続されてもよい。
【0048】
本実施形態では、第1のフィードイン部12および第2のフィードイン部13は、レーザー直接構造化(Laser Direct structuring、LDS)プロセスにおける鉄、銅箔、または導体などの材料で作製され得ることが理解され得る。
【0049】
第1の接続部15は、第1の放射部F1上に配置され、第2の部分116上に位置する。第2の接続部17は、第1の放射部F1上に配置され、第2の部分116上に位置する。すなわち、本実施形態では、第1の接続部15と第2の接続部17とは、第2の部分116上に間隔を置いて配置されており、第1の接続部15から第2のスロット121までの距離は、第2の接続部17から第2のスロット121までの距離未満である。すなわち、第1の接続部15は、第2の接続部17よりも第2のスロット121に近い。
【0050】
第3の接続部18は、ハウジング11に配置されている。本実施形態では、第3の接続部18は、第2の放射部F2上に配置され、第1の部分115上に位置する。第3の接続部18は、第2のフィードイン部13よりも第3の部分117に近い。
【0051】
本実施形態では、第1の放射部F1の電気的長さL(
図3を参照)が調整され、電気的長さLがその共振周波数に対応する波長の約2分の1であることが理解され得る。したがって、電流が第1のフィードイン部12に供給されるとき、第1の放射部F1は、半波モードを使用することによって共振を生成し得る。この場合、アンテナ構造100の放射モードは縦モードである。加えて、電流が第1のフィードイン部12に供給されるとき、第1の放射部F1は、代替的に、右手系/左手系複合(composite right/left handed、CRLH)モードを使用することによって共振を生成し得る。この場合、アンテナ構造100の放射モードは横モードである。すなわち、電流が第1のフィードイン部12に供給されるとき、第1の放射部F1は、CRLHモードおよび半波モードの両方を使用して第1の動作モードを開始することによって、第1の放射帯域内の放射信号を生成し得る。本実施形態では、第1の動作モードは、低域(low band、LB)モードである。第1の放射帯の周波数は、LTE B28/B5/B8などの帯域を含むが、これらに限定されない。
【0052】
縦モードは、長手方向金属フレーム(例えば、第2の部分116)が外向きに放射するためのメインラジエータとして機能する放射モードを指し得ることが理解され得る。横モードは、横下部金属フレーム(例えば、第1の部分115)が外向きに放射するためのメインラジエータとして機能する放射モードを指し得る。
【0053】
電流が第1のフィードイン部12に供給されるとき、CRLHモードは主要な共振モードとして使用され、このモードは、逆Fアンテナ(inverted F antenna、IFA)モードとは異なり、小型化の特性を有し、主に横方向成分に基づいており、それによって側部ラジエータまたは曲面スクリーンの影響を受けにくいことが理解され得る。加えて、例えば第2の部分116の側部に設けられたスロット(すなわち、第2のスロット121)を有するアンテナ構造100は、アンテナ構造100が比較的良好なLB放射性能を有することを確実にするために、側部ラジエータの長手方向成分を改善するのに役立ち得る。
【0054】
電流が第2のフィードイン部13に供給されるとき、アンテナ構造100は、CRLHモードおよび寄生モードの両方を使用して第2の動作モードを開始することによって、第2の放射帯域内の放射信号を生成し得る。第2の動作モードは、中・高域(middle/high band、MHB)モードである。第2の放射帯域の周波数は、LTE B1/B3/B4/B7/B38/B39/B40/B41、WCDMA B1/B2、およびGSM 1800/1900等の帯域を含むが、これらに限定されない。
【0055】
情報技術の発達に伴い、公衆は情報技術によってもたらされる利便性を享受し、また、無線通信端末の人体への電磁放射の害にも着目していることが理解され得る。比吸収率(Specific Absorption Rate、SAR)は、携帯電話の重要な指標であり、アンテナ設計中にアンテナエンジニアが特に注意を払うコンテンツでもある。一般に、電子デバイスの総放射電力(Total Radiated Power、TRP)は、SARと密接に関連している。しかしながら、実際のアンテナ設計では、通常の条件下でSARを制御するために携帯電話の放射電力が低減される。例えば、
図4A、
図4B、および
図4Cは、既存の3つのアンテナ解決策の概略図である。3つのアンテナ解決策では、異なるSAR値を取得するためのシナリオ判定のためのSARセンサ(Sensor)が追加され、次に携帯電話の放射電力が減少してSAR要件を満たす。しかし、SARを制御するためのモバイル端末の放射パワーを低下させるだけで、製品の電波性能を損ない、ユーザ体験に影響を与え、製品の競争力を低下させる。
【0056】
アンテナ構造100において、第2の放射部F2は、CRLHモードと寄生モードとを含む2つの共振モードを使用する。CRLHモードは、第2のフィードイン部13の側部にある。CRLHモードは、第2のフィードイン部13と同じ側にある。したがって、CRLHモードの電流分布領域が増加し(例えば、第2の放射部F2の電気的長さが調整または増加され)、第2の放射部F2の寄生モードが第1のスロット120と第3のスロット122をまたぎ、第1のスロット120と第1の接続部15との間のフレーム111の一部が寄生スタブを形成して、電流分布を分散させ、アンテナ構造100が中・高域で動作し、その放射電力を減少させることなく相対的に低いSARの特性を有し得る。すなわち、
図3に示すように、領域1は、アンテナ構造100のMHB領域を形成する。すなわち、第2の放射部F2は主にCRLHモードであり、第2の放射部F2の寄生モードは第1のスロット120と第3のスロット122をまたぎ、第1のスロット120と第1の接続部15との間のフレーム111の一部が寄生スタブを形成する。加えて、図中、領域2はアンテナ構造100のLBエリアを形成している。
【0057】
図5A、
図5B、および
図5Cは、3つの異なるMHB設計解決策の概略図である。
図5Aは長い左手系と遠い寄生モードを使用し、
図5Bは短い左手系と遠い寄生モードを使用し、
図5Cは短い左手系と近い寄生モードを使用する。長い左手系および短い左手系は、
図5Aの第2の放射部F2の電気的長さが、
図5Bおよび
図5Cの第2の放射部F2の電気的長さよりも大きいことを意味する。遠い寄生および近い寄生とは、それぞれ、第2の放射部F2から離れた寄生スタブ(例えば、
図5Aおよび
図5Bを参照すると、第1のスロット120と第1の接続部15との間のフレーム111の一部)および第2の放射部F2に近い寄生スタブ(例えば、
図5Cを参照すると、第1のスロット120と第3のスロット122との間のフレーム111の一部)を指す。明らかに、上記3つの解決策におけるSAR値のシミュレーションにより、
図5Aの解決策(すなわち、本明細書で用いられる解決策)では、磁場(H場)に接する成分がより分散しており、比較的低いSAR値の特性が実装されていることがわかった。
【0058】
本実施形態では、アンテナ構造100は、第1のチューニングユニットSW1、第2のチューニングユニットSW2、および第3のチューニングユニットSW3をさらに含むことが理解され得る。第1のチューニングユニットSW1の一端は、第1のフィードイン部12に電気的に接続され、他端は接地される。第1のチューニングユニットSW1は、ポートマッチング、および第1の放射部のチューニングおよび周波数調整を行うように構成される。
【0059】
第2のチューニングユニットSW2の一端は、第1の接続部15と第2の接続部17とに電気的に接続されている。第2のチューニングユニットSW2の他端は接地される。
【0060】
本実施形態では、第2のチューニングユニットSW2は多重スイッチを形成すること、すなわち、第1の接続部15および第2の接続部17は、第2のチューニングユニットSW2を共有することが理解され得る。第1の接続部15は、周波数および長手方向成分を調整するために、第2のチューニングユニットSW2を用いて異なるチューニング分岐に切り替えてもよい。例えば、第1の接続部15は、第1の放射部F1の周波数と長手方向成分を微調整するために、第2のチューニングユニットSW2を用いて、ゼロオーム抵抗または1-ナノヘンリー(nH)/2-nHインダクタに切り替えたり調整したりしてもよい。第2の接続部17は、第2のチューニングユニットSW2を用いて、第2の放射部F2の寄生共振周波数を調整する。
【0061】
第3のチューニングユニットSW3の一端は、第2のフィードイン部13と第3の接続部18とに電気的に接続され、他端は接地される。第3のチューニングユニットSW3は、第2の放射部F2のCRLHモードで周波数チューニングを行うように構成される。加えて、第1のチューニングユニットSW1を用いて、第2の放射部F2の寄生モードに対して周波数チューニングを行ってもよい。好ましい解決策では、第1のチューニングユニットSW1に基づいて第2のチューニングユニットSW2を使用することによって、第2の放射部F2の寄生モードに対して補助チューニングをさらに行ってもよい。すなわち、主に第3のチューニングユニットSW3を用いて、第2の放射部F2のCRLHモードでチューニングを行う。チューニングは、第1のチューニングユニットSW1および第2のチューニングユニットSW2を使用して、第2の放射部の寄生モードに対して行われる。
【0062】
上述のチューニングユニット、例えば、第1のチューニングユニットSW1、第2のチューニングユニットSW2、および第3のチューニングユニットSW3は、それぞれ、限定はされないが、複数の単極単投(single pole single throw、SPST)スイッチを組み合わせることによって形成されてもよいことが理解され得る。例えば、
図6を参照すると、チューニングユニットは、少なくとも1つのスイッチユニット、例えば、スイッチ61、スイッチ62、およびスイッチ63の3つのSPSTスイッチを含んでもよい。各スイッチユニットの一端は接地され、他端は対応するチューニング分岐に接続され得る。例えば、スイッチ61は、チューニング分岐L1に接続され、スイッチ62は、チューニング分岐L2に接続され、スイッチ63は、チューニング分岐L3に接続される。チューニング分岐L1、L2、およびL3はそれぞれ、コンデンサまたはインダクタを含み得る。チューニングユニットは、周波数調整を実装するために異なるチューニング分岐を選択的にオンにし得る。
【0063】
もちろん、他の実施形態では、チューニングユニット、例えば、第1のチューニングユニットSW1、第2のチューニングユニットSW2、および第3のチューニングユニットSW3は、別のタイプのスイッチユニットをさらに含んでもよく、前述のSPSTスイッチに限定されない。
【0064】
本実施形態では、アンテナ構造100は、チューニングユニット、例えば、第1のチューニングユニットSW1、第2のチューニングユニットSW2、および第3のチューニングユニットSW3のジョイントチューニングと協働し、低域モードにおける自由空間(free space、FS)効率を向上させることができることが理解され得る。加えて、中・高域モードでの寄生共振を調整でき、中・高域モードでの性能および低SAR特性を確保できる。
【0065】
FS効率とは、電子デバイス200がユーザによって保持されていないときの低域モードにおけるアンテナ構造100の効率を指すことが理解され得る。
【0066】
図7は、低域モードで動作するアンテナ構造100のSパラメータ(散乱パラメータ)と放射効率の曲線グラフである。曲線S41は、LTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S42は、LTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S43は、LTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S44は、LTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S45は、LTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S46は、LTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S47は、LTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示す。曲線S48は、LTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S49は、LTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示す。
【0067】
図8は、LTE B5帯域上で動作するアンテナ構造のSパラメータ(散乱パラメータ)およびシステム効率の曲線グラフである。曲線S51は、LTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S52は、LTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示す。
【0068】
図9は、LTE B5帯域上で動作する、アンテナ構造100の共振1の概略電流図である。
図10は、LTE B5帯域上で動作する、アンテナ構造100の共振2の概略電流図である。
図8および
図9から、第1の放射部F1が下部で供給を行うにつれて、共振1は主にCRLHモード、すなわち横モードを用いて放射することが理解され得る。加えて、アンテナ構造100の側部接地位置、すなわち、第1の接続部15および第2の接続部17の位置では、フレーム本体(すなわち、第1の放射部F1)がアンテナ大電流領域にあり、最大電流密度Jmaxを形成する。したがって、第2のチューニングユニットSW2を含む寄生抵抗は、アンテナ構造100の低域効率に大きく影響する。
図8および
図10から、第1の放射部F1が共振2で動作する場合、主に半波モード、すなわち縦モードを用いて共振2が放射されることが理解され得る。加えて、電流は第1のフィードイン部12に供給され、第1の放射部F1を通って流れ、第1の放射部F1の両端の第1のスロット120および第2のスロット121から放射される。
【0069】
図11および
図12は、第2のチューニングユニットSW2に接続された第1の接続部15が生成するオン抵抗(Ron)がアンテナ性能に及ぼす効果をそれぞれ図示する。曲線S81は、オン抵抗(Ron)が2オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S82は、オン抵抗(Ron)が1.5オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S83は、オン抵抗(Ron)が1オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S84は、オン抵抗(Ron)が0.5オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S85は、オン抵抗(Ron)が0オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S91は、オン抵抗(Ron)が2オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S92は、オン抵抗(Ron)が1.5オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S93は、オン抵抗(Ron)が2オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S94は、オン抵抗(Ron)が0.5オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S95は、オン抵抗(Ron)が0オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。
【0070】
明らかに、
図11および
図12から、オン抵抗(Ron)が2オームである場合、効果は約1.6dBであることが理解され得る。オン抵抗(Ron)が1オームの場合、効果は約0.9dBである。すなわち、第1の接続部15のオン抵抗(Ron)によるアンテナ効率への効果が比較的大きい。したがって、本実施形態では、低域(LB)の場合、第1の接続部15は、例えば、第2のチューニングユニットSW2のオン抵抗(Ron)以外のゼロオーム抵抗を用いて直接接地されるように設計されてもよい。
【0071】
図13および
図14は、第2のチューニングユニットSW2に接続された第2の接続部17が生成するオン抵抗(Ron)がアンテナ性能に及ぼす影響をそれぞれ示している。曲線S101は、オン抵抗(Ron)が2オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S102は、オン抵抗(Ron)が1オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S103は、オン抵抗(Ron)が0オームの場合のアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S111は、オン抵抗(Ron)が2オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S112は、オン抵抗(Ron)が1オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。曲線S113は、オン抵抗(Ron)が0オームの場合のアンテナ構造100の放射効率を示す。
【0072】
明らかに、
図13および
図14から、第2のチューニングユニットSW2が3つの単極単投(single pole single throw、SPST)スイッチを使用する場合、第2のチューニングユニットSW2のオン抵抗(Ron)は2オームであり、効果は約0.4dBであることが理解され得る。第2のチューニングユニットSW2が4つのSPSTスイッチを使用する場合、第2のチューニングユニットSW2のオン抵抗(Ron)は1オームであり、効果は約0.2dBである。すなわち、第2の接続部17のアンテナ構造100への影響は比較的小さい。したがって、比較的小さいオン抵抗(Ron)を有するスイッチ、例えば4SPSTスイッチを選択して、第1のチューニングユニットSW1を使用して低域でポートチューニングを行う場合に、第2の接続部17のオン抵抗(Ron)がアンテナ効率に及ぼす影響を低減してもよい。
【0073】
図15は、アンテナ構造100の側部に第2のスロット121が設けられているとき、または第2のスロット121が設けられていないときにLTE B28帯域上で動作する、アンテナ構造100のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフであることが理解され得る。曲線S121は、第2のスロット121が設けられたときにLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示している。曲線S122は、第2のスロット121が設けられたときのLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。曲線S123は、第2のスロット121が設けられたときにLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示している。曲線S124は、第2のスロット121が設けられていない場合にLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示している。曲線S125は、第2のスロット121が設けられていない場合のLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。曲線S126は、第2のスロット121が設けられていない場合にLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示している。
【0074】
図16は、アンテナ構造100の側部に第2のスロット121が設けられているとき、または第2のスロット121が設けられていないときにLTE B5帯域上で動作する、アンテナ構造100のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。曲線S131は、第2のスロット121が設けられたときにLTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示している。曲線S132は、第2のスロット121が設けられたときのLTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。曲線S133は、第2のスロット121が設けられたときにLTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示している。曲線S134は、第2のスロット121が設けられていない場合にLTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S135は、第2のスロット121が設けられていない場合のLTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。曲線S136は、第2のスロット121が設けられていない場合にLTE B5帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示している。
【0075】
図17は、アンテナ構造100の側部に第2のスロット121が設けられているとき、または第2のスロット121が設けられていないときにLTE B8帯域上で動作する、アンテナ構造100のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。曲線S141は、第2のスロット121が設けられたときにLTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示している。曲線S142は、第2のスロット121が設けられたときのLTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。曲線S143は、第2のスロット121が設けられたときにLTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示している。曲線S144は、第2のスロット121が設けられていない場合にLTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100のS11値を示す。曲線S145は、第2のスロット121が設けられていない場合のLTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。曲線S146は、第2のスロット121が設けられていない場合にLTE B8帯域上で動作するアンテナ構造100のシステム効率を示している。
【0076】
明らかに、
図15から
図17によれば、アンテナ構造100に第2のスロット121が設けられている場合、スロットが設けられていない既存の解決策と比較して、アンテナ構造100の低域(LB)性能が1dB向上して1.5dBとなり、比較的良好なFS性能が実現されることが理解され得る。
【0077】
図3に戻って参照すると、本実施形態では、電子デバイス200は、少なくとも1つの電子素子をさらに含むことが理解され得る。本実施形態では、電子デバイス200は、第1の電子素子21、第2の電子素子22、および第3の電子素子23の少なくとも3つの電子素子を含む。第1の電子素子21、第2の電子素子22、および第3の電子素子23は全て、ハウジング11に配置される。
【0078】
本実施形態では、第1の電子素子21は、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus, USB)インタフェースモジュールである。第1の電子素子21は、第1のスロット120と第3のスロット122との間に位置する。第2の電子素子22は、サウンドキャビティである。第2の電子素子22は、第3のスロット122と第3の部分117との間に配置される。第3の電子素子23は、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module、SIM)カードホルダである。第3の電子素子23は、第1のフィードイン部12と第2の部分116との間に配置される。
【0079】
他の実施形態では、アンテナ構造100内の第1のスロット120と第3のスロット122との間のフレーム111の一部は、代替的に、低域モードで寄生スタブF3を形成し得ることが理解され得る。寄生スタブF3は、第1の放射部F1と第2の放射部F2の両方から離間されており、張り出すように配置されている。
図18は、寄生スタブF3に対してチューニングを行ったとき、または行っていないときのLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100のSパラメータ(散乱パラメータ)および放射効率の曲線グラフである。曲線S151は、寄生スタブF3に対してチューニングを行わない場合にLTE B28帯域で動作するアンテナ構造100のS11値を示している。曲線S152は、寄生スタブF3に対してチューニングを行わない場合のLTE B28帯域で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。曲線S153は、寄生スタブF3に対してチューニングを行う際のLTE B28帯域で動作するアンテナ構造100のS11値を示している。曲線S154は、寄生スタブF3に対してチューニングを行う際のLTE B28帯域上で動作するアンテナ構造100の放射効率を示している。
【0080】
明らかに、アンテナ構造100内の第1のスロット120と第3のスロット122との間のフレーム111の一部が低域モードで寄生スタブF3を形成するとき、アンテナ構造100は、追加の共振3を生成し得る。
図18から、寄生スタブF3に対してチューニングを行うと、共振3が第1の放射部F1の有効帯域にシフトされ得、LTE B28帯域の放射効率が大幅に向上することが理解され得る。
【0081】
一実施形態では、第1のチューニングユニットSW1を使用すること、すなわち、第1のチューニングユニットSW1を多重化することによって、低域モードで寄生スタブF3に対してチューニングが行われてもよいことが理解され得る。もちろん、他の実施形態では、低域モードで寄生スタブF3にチューニングを行うために、対応するスイッチユニットが追加的に配置されてもよい。
【0082】
本実施形態では、第2の放射部F2は、第2の電子素子22と同じ側に配置されていることが理解され得る。もちろん、他の実施形態では、第2の放射部F2の位置は、必要に応じて調整され得る。例えば、第2の放射部F2は、第3の電子素子23と同じ側に配置されてもよい一方、第1の放射部F1は、第2の電子素子22の側に配置されてもよい。すなわち、必要に応じて、第1の放射部F1と第2の放射部F2の位置を調整(例えば、交換)してもよい。
【0083】
本実施形態では、アンテナ構造100は、低域と中・高域の分離フィードインモードを用いて、すなわち、第1のフィードイン部12と第2のフィードイン部13とを用いて分離フィードを行い、第1のチューニングユニットSW1、第2のチューニングユニットSW2、および第3のチューニングユニットSW3が設けられる。第1のチューニングユニットSW1のオン・オフ状態、第2のチューニングユニットSW2のオン・オフ状態、および第3のチューニングユニットSW3のオン・オフ状態が制御・調整され、LB/MB/HBのフルカバーが効果的に実現されるとともに、中・高域(MHB)低SAR特性および比較的良好な低域(LB)放射性能が実装される。
【0084】
上述したように、本実施形態では、アンテナ構造100のフレーム本体は、電子デバイス200のフレーム111によって直接形成され、すなわち、電子デバイス200のシャーシ(フレーム)は金属材料で作製され、アンテナ構造100は金属フレームアンテナであることが理解され得る。もちろん、他の実施形態では、アンテナ構造100は、金属フレームアンテナに限定されず、代替として、モード装飾アンテナ(Mode decoration antenna、MDA)または別のアンテナであり得る。例えば、アンテナ構造100がMDAアンテナである場合、電子デバイス200のシャーシ内の金属部材をフレーム本体として放射機能を実装する。電子デバイスのシャーシはプラスチック等の材料で作製されており、金属部材はインサート成形によりシャーシと一体化されている。
【0085】
結論として、全曲面スクリーンが極限に近づくにつれて、本発明のアンテナ構造100は、中・高域(MHB)低SARおよび低域(LB)放射性能の両方を実装し得る。すなわち、アンテナのスロット位置およびスロット幅を設計し、フレーム本体の位置およびスロット結合電流強度を調整して、アンテナフレーム本体上の電流の集中および分散度の分布に影響を与える。アンテナ構造100は、中・高域(MHB)CRLHモードの電流分布領域を増加させ(例えば、第2の放射部F2の電気的長さを調整し)、また、中・高域(MHB)の寄生フレーム本体と協働して電流を分流させ、SARを低減する。加えて、側部フレーム本体に設けられたスロット(すなわち、第2のスロット121)については、低域(LB)下部フィードを用い、共振モードとして主にCRLHモードを用いる。IFAモードとは異なり、CRLHモードは主に横成分に基づく小型化の特性を有し、それにより側部の曲面スクリーンの影響を受けにくい。さらに、側部スロットは、側部縦方向成分の改善に役立つことができる。また、スイッチのジョイントチューニングは、低域(LB)FS効率を向上させ、中・高域(MHB)寄生共振を調整することもでき、中・高域(MHB)性能と低SARの特性が確保され、SARを制御するために電力を大幅に減少させる必要がない。
【0086】
前述の実装は、本発明の技術的解決策を説明することのみを意図しているが、いかなる限定を構成することも意図していない。本発明は、前述の実施例を参照して詳細に説明されているが、当業者は、本発明の技術的解決策の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の技術的解決策に修正または等価な置換を行うことができることを理解するであろう。当業者はまた、本発明の技術的効果から逸脱しない限り、本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明の設計に様々な変更を加えることができる。本発明の趣旨に従って行われるこれらの変更は、本発明の保護範囲に属するものとする。