(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】波動療法器
(51)【国際特許分類】
A61H 23/06 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61H23/06
(21)【出願番号】P 2022044615
(22)【出願日】2022-03-03
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】523403379
【氏名又は名称】印田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】印田 隆一
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-018269(JP,A)
【文献】登録実用新案第3100417(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
前記固定打撃部の台座底面の模様の立体的形状が円形及び円環形からなる凹凸部が形成され、これらの組合せ形状により特有の固有周波数を有する振動が発生することを特徴とする請求項1記載の波動療法器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体骨部に振動を加えることで身体の痛みや損傷から生じる不調を和らげ、本来の健全な体調を回復させることを目的とするのに好適な波動療法器に関する。
【背景技術】
【0002】
身体は、骨、関節及び筋肉等の連携プレーによって動いているが、筋肉の端部は、腱からなる強い組織で骨と結合している。このため、骨や関節に不調があるとその影響は筋肉にも悪影響を及ぼす。従来、骨や関節の不調を和らげるためにマッサージによる手技や木製の杭を患部周辺に当接し木槌で当該杭を叩くことで身体の深部を活性化し、身体の体調を整える事が行われてきた。このような治療法は木槌療法と呼ばれ、我国において古くから伝わる民間療法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】公開特許公報 特開2020-178929
【文献】公開特許公報 昭57-107158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したように、木製の杭を皮膚面に当接して木槌で杭を叩くという木槌療法は、片側の手で杭を皮膚面に当接しながらもう片側の手の木槌で杭を叩くことになり両手が塞がり、また木槌の力加減によって杭を叩くので身体に損傷を与える恐れがあり、杭が身体に当接する範囲が制限される。また、杭を木槌で叩く場合、振動が低周波で振動波が骨に十分に伝播しないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて発明されたものであり、木製の杭に相当する金属製の固定打撃部と木槌に相当する金属製の可動打撃部を一体化することで、片手で容易に振動を発生させ、骨に振動を伝播させることで骨や筋肉の痛みや損傷から生じる身体の不調を和らげ、体調の回復を図る波動療法器を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、身体骨部上皮にあたる皮膚面に固定打撃部の台座を当接し、当該骨部に振動を与えることで骨、関節及び筋肉の損傷、痛みを和らげるための波動療法器であって、中心部に円筒状の貫通孔を有する金属製の可動打撃部と、この可動打撃部を上下スライドできるように小径の円柱状の軸部と台座が一体化した金属製の固定打撃部と、この金属製の固定打撃部の台座底面に設けた立体的形状からなる凹凸部と、この金属製の固定打撃部に可動打撃部を衝突させることにより振動を発生させることを特徴とするものであって、発生する振動の振幅、すなわち振動の強度が最大となるように前記固定打撃部台座の上側及び前記可動打撃部の下側がそれぞれ半球状の形状からなることを特徴としている。また前記固定打撃部の台座底面の立体的形状は円形および円環形からなる凹部および凸部で構成され、この立体的形状の凸部は衝突により発生した振動波が縦波(P波)とし、また、凹部は横波(S波)として骨部に伝達され、更には筋肉にも作用することで身体の痛みや損傷から生じる不調を和らげ身体本来の体調に回復させることを目的とするものである。
【発明の効果】
【0007】
固定打撃部の台座底面を骨や関節の皮膚面に当接するとともに、可動打撃部の側面にある取手により、固定打撃部の台座先端から伸びる小径の円柱状の軸部に沿って可動打撃部を上下スライドさせ固定打撃部の台座上側の半球部に衝突させる。このときの衝突により可動打撃部および固定打撃部の間で振動が生じ、該固定打撃部の台座底面の立体的な凹凸部から骨部に振動が伝播し、この振動が骨や関節から筋肉にも伝播し、骨、関節及び筋肉に作用して身体の骨や関節だけでなく筋肉の不調を和らげることとなり、更には骨細胞の代謝活性を促すことが期待される。また、固定打撃部の台座上部可動打撃部下部の形状を半球状にすることで衝突時に発生する振動を最大化することができ、より大きな振動波として骨、関節及び筋肉に伝播する。
【0008】
(1)本発明による、波動療法器1は、固定打撃部2と可動打撃部8が円柱状の軸部4を介して一体的に構成されており片手で療法が可能である。このため、療法に要する時間が短縮でき、また、固定打撃部2と可動打撃部8の衝突時の身体にかかる力は、ほぼ一定であり身体への損傷がなく安全に取り扱うことができる。
(2)波動療法器1は、固定打撃部2と可動打撃部8のそれぞれの衝突は固定打撃部2の台座の上側5と可動衝突部8の下側9がそれぞれ半球状になっており、衝突時に発生する振動が、衝突部が平面状であるのに比べて骨、関節又は筋肉への振動の伝播が強くなる。
(3)波動療法器1は、固定打撃部2の台座底面6が凹凸部を有する立体的形状からなり、固定打撃部や台座底面6の立体的形状を変えることで異なる周波数を発生させることができる。これは、身体各部の骨や筋肉の有する固有周波数に適合させることが可能となる。また、波動療法器1で発生した振動波が骨、関節又は筋肉に効率よく伝播される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の固定打撃部及び可動打撃部からなる波動療法器の全体図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1は、本件発明の固定打撃部2と可動打撃部8からなる波動療法器1の全体構造を示す図であり、
図2は固定打撃部2の台座底面6の立体的形状図であり、
図3は
図1のA―Aの縦方向断面図で、
図4は波動療法器1の身体への療法図を表し、
図5は従来の木槌療法図を表す。
【0011】
図1に示すように、本実施例の波動療法器1は、固定打撃部2と可動打撃部8からなり、固定打撃部2および可動打撃部8に用いる金属はステンレス鋼のように硬質金属が
好ましい。固定打撃部2は台座部3と台座部3の上側半球部5から円柱が上方に延伸している軸部4からなる。固定打撃部2の高さは120mmから160mm程度であり、固定打撃部2の台座部3の直径は20mmないし30mm程度であり、軸部4となる円柱の直径は3mmないし5mm程度が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0012】
固定打撃部2の台座3の底面6は、
図3に示すように円形および円環状の凹凸部からなる立体的形状である。
図3の台座底面6の立体的形状は、台座底面6の外径側に高さ3mm、幅3mmの凸状の皮膚面と接する部分の断面形状が半円形状からなる円環部61が台座底面6に対し突起し、該円環部61に等間隔で8箇所のU字状切込部62があり、台座底面6の中心部に直径3mm、深さ3mmの凹部63と、該凹部63と円環部61の間に4箇所の上面が半球状の高さ3mmの円柱64が形成されている。この台座底面6の立体的形状および台座3の形状により固定打撃部2と可動打撃部8の衝突時に発生する固有周波数が特定され骨、関節又は筋肉に効率よく伝播する。また、固定打撃部2の円柱状の軸部4の先端はストッパー7が固定されており、可動打撃部8をストッパー7と固定打撃部2の上側半球部5で挟んでいる。これは、可動打撃部8が20mmから50mm程度の一定の範囲で上下スライドできるようにするためである。
【0013】
可動打撃部8の側面には、可動打撃部8を指で持ち上げるために取手9が設けられている。この可動打撃部8には、固定打撃部2の円柱状の軸部4に沿って上下にスライドできるように円筒状の貫通孔11が設けられている。
【0014】
図3は、波動療法器1の符号A-Aにおける、縦方向の断面図を示す。この図からも明らかなように、可動打撃部8は固定打撃部2の軸部4との間で上下スライド可能なような貫通孔11を有する。
【0015】
図4は、波動療法器1を使っての療法図である。
図4は、可動打撃部8持上げた状態であり、この可動打撃部8を上下スライドさせることで固定打撃部2の上側半球部5と可動打撃部8の下側半球部9とを衝突させ、衝突時に発生した振動が身体各部に伝播する。
【0016】
固定打撃部2の台座底面6の立体的形状および台座の全体形状を変えることによって、可動打撃部8との衝突時に発生する振動波の周波数を変えることができ、身体各部の骨および筋肉の固有周波数に適合させることができる。
【0017】
図5は、従来の木槌で木製の杭を叩いて治療する木槌療法の実施例を示す。
図5に示すように、従来は、木製の杭と木槌を用いるため両手を用いる必要があった。
【符号の説明】
【0018】
1 波動療法器の全体図
2 波動療法器の固定打撃部
3 波動療法器の固定打撃部の台座
4 波動療法器の固定打撃部の軸部
5 固定打撃部の台座上側の半球部
6 固定打撃部の台座底面
7 固定打撃部の軸部先端のストパー
8 波動療法器の可動打撃部
9 可動打撃部下側の半球部
10 可動打撃部側面の取手
11 可動打撃部の円筒状の貫通孔
61 固定打撃部の台座底面の円環部
62 固定打撃部の台座底面の円環部U字状切込部
63 固定打撃部の台座底面の中心の凹部
64 固定打撃部の台座底面の凸部