IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トーヨーカネツ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-自動出荷方法及び装置 図1
  • 特許-自動出荷方法及び装置 図2
  • 特許-自動出荷方法及び装置 図3
  • 特許-自動出荷方法及び装置 図4
  • 特許-自動出荷方法及び装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】自動出荷方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 60/00 20060101AFI20231129BHJP
   B65G 57/03 20060101ALI20231129BHJP
   B65G 59/02 20060101ALI20231129BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65G60/00 A
B65G57/03 Z
B65G59/02 Z
B65G1/137 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020011058
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021116163
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】岸本 健一
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-280965(JP,A)
【文献】特開2013-103836(JP,A)
【文献】特開平10-025029(JP,A)
【文献】特開2012-006763(JP,A)
【文献】特開平10-120156(JP,A)
【文献】国際公開第2009/043151(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00- 1/20
B65G 57/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上に積まれて保管されたケースを搬送用の台車に1個ずつ積み付ける自動出荷方法であって、
デパレタイジング機構により前記パレット上のケースを1個ずつ分離してストレージ機構に供給する工程と、
デパレタイジング機構から供給されてきたケースを前記ストレージ機構において一時保管する工程と、
前記ストレージ機構から払い出されたケースをパレタイジング機構により運搬用の台車に積み付ける工程と、を備えることを特徴とする自動出荷方法。
【請求項2】
パレット上に積まれて保管されたケースを搬送用の台車に1個ずつ積み付ける自動出荷装置であって、
デパレタイジング機構、ストレージ機構及びパレタイジング機構を備え、
前記デパレタイジング機構は、前記パレット上のケース1個ずつ分離して前記ストレージ機構に供給するように構成され、
前記ストレージ機構は、供給されてきたケースを移動させるコンベアで構成された複数のストレージラインで構成され、
前記パレタイジング機構は、前記ストレージ機構から払い出されたケースを前記台車に1個ずつ積み付けるように構成されたことを特徴とする自動積付装置。
【請求項3】
前記デパレタイジング機構は、
ケースが積まれた前記パレットを搬送するパレットコンベアと、 前記パレット積みされたケースの1層ずつデパレタイジングするデパレタイジングロボットと、
1層ごとにデパレタイジングされたケースを1列に分離し、下流でケースの向きを長手方向に合わせて搬送するシンギュレーションコンベアとを備えたことを特徴とする請求項2記載の自動出荷装置。
【請求項4】
前記パレタイジング機構は、
前記ストレージ機構から払い出されたケースを搬送するケース搬送コンベアと、
前記ケース搬送コンベアの側部に配置され、運搬用の台車を移動させる台車フィーダと、
前記ケース搬送コンベアで搬送されるケースを受け取り、前記台車に積み付けるパレタイジングロボットと、を備えたことを特徴とする請求項2記載の自動出荷装置。
【請求項5】
前記ストレージ機構は、ローラコンベアからなる複数のストレージラインが多重層になった立体構造であることを特徴とする請求項2記載の自動出荷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用のペットボトル等の商品をまとめて段ボール箱などに複数本収容した箱状ケースの、デパレタイジング、ストレージ移載、パレタイジングの動作を全自動で行う自動出荷方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、配送センタにおいては、個々の商品の特性に応じてピッキングやアソート作業等の商品保管前の仕分け作業に始まり、保管庫からその日の出荷スケジュールに応じて商品がピッキングやアソート作業により必要な数量だけ、必要な出荷場所宛てに出庫され仕分けされる作業等、多くの作業が必要とされる。特に飲料ケースのような重量物の出荷作業は作業者による手作業によるところが多い。
【0003】
従来技術として、例えばコンピュータ管理された大型自動倉庫において、一時入庫された多品種多数の商品を、顧客である出荷先別に、必要な時間に必要な数だけ適格に選択し、指定された出荷容器に正確に投入(ピッキング又はアソート)し、高速で出荷させることのできる大型自動倉庫システムが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-85208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配送センタにおいて、重量物を自動で出荷する装置を構成する場合、商品のピッキングからかご車、6輪カート、パレット、その他の台車への積み付けまで、コンベア、ストレージ、ロボット等大がかりな装置が必要とされる。しかしながら、従来の装置構成の考え方では、搬送ラインから重量物をピッキングし、カゴ車などに積み付けていく工程を行う場合、その処理量を増大させるためには、スタッカクレーンや走行台車・リフターなどを組み合わせた自動倉庫を主体とする方法など、自動化のための装置が機械的に複雑で高価なものとせざるを得ず、しかも増設など配送センターの種々の変更が必要となる場合、さらに高価な投資を強いられることとなる。一方、その重量物が季節商品のような場合、需要が増大する時期と低減する時期が生じるため低減する時期のことを考慮すると経済的な理由からこれらの装置を安易に購入することはためらわれる。
【0006】
また、飲料ケースは10キログラム超の重量物であり、このような商品を作業者が手作業で大量に扱うのは大変な重労働であり、こうした配送センタにおける作業の自動化、省人化が望まれているが、上記のような理由により自動出荷装置は実現していない。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決し、大型ペットボトルを複数本入れた段ボール箱のような重量物を収めた商品ケースが容易に変形せず、かつスループットの高いデパレタイジング、パレタイジングできるロボット装置と、商品ケースが繁忙期に大量に保管が可能で、かつ保管のための動力装置を極力用いないで保管できるストレージのそれぞれの機構をモジュール化し、ピッキングから積み付けに至る作業を全自動で行うことを可能にした自動出荷方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自動出荷方法は、パレット上に積まれて保管されたケースを搬送用のかご車に1個ずつ積み付ける自動出荷方法であって、デパレタイジング機構により前記パレット上のケースを1個ずつ分離してストレージ機構に供給する工程と、デパレタイジング機構から供給されてきたケースを前記ストレージ機構において一時保管する工程と、前記ストレージ機構から払い出されたケースをパレタイジング機構により運搬用のかご車に積み付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の自動出荷装置は、パレット上に積まれて保管されたケースを搬送用のかご車に1個ずつ積み付ける自動出荷装置であって、デパレタイジング機構、ストレージ機構及びパレタイジング機構を備え、前記デパレタイジング機構は、前記パレット上のケース1個ずつ分離して前記ストレージ機構に供給するように構成され、前記ストレージ機構は、供給されてきたケースを移動させるコンベアで構成された複数のストレージラインで構成され、前記パレタイジング機構は、前記ストレージ機構から払い出されたケースを前記かご車に1個ずつ積み付けるように構成されたことを特徴とする。
【0010】
前記デパレタイジング機構は、ケースが積まれた前記パレットを搬送するパレットコンベアと、前記パレット積みされたケースの1層ずつデパレタイジングするデパレタイジングロボットと、 1層ごとにデパレタイジングされたケースを1列に分離し、下流でケースの向きを長手方向に合わせて搬送するシンギュレーションコンベアとを備えることが好ましい。
【0011】
前記パレタイジング機構は、前記ストレージ機構から払い出されたケースを搬送するケース搬送コンベアと、前記ケース搬送コンベアの側部に配置され、運搬用のかご車を移動させるかご車フィーダと、前記ケース搬送コンベアで搬送されるケースを受け取り、前記かご車に積み付けるパレタイジングロボットと、を備えることが好ましい。
【0012】
前記ストレージ機構は、ローラコンベアからなる複数のストレージラインが多重層になった立体構造であることが好ましい。さらに望ましくは、入庫側を高くし、出庫側を低くしたものであってケースが自重で出庫側に移動できるような重力コンベヤ(グラビティコンベヤ)とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、段ボール箱のような重量物を収めた商品ケースが容易に変形せず、かつスループットの高いデパレタイジング、パレタイジングできるロボット装置と、商品ケースが繁忙期に大量に保管が可能で、かつ保管のための動力装置を極力用いないで保管できるストレージのそれぞれの機構とをモジュール化し、ピッキングから積み付けに至る作業を全自動で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る自動出荷装置の概略構成を示す平面図である。
図2】デパレタイジング機構の概略斜視図である。
図3】パレタイジング機構の概略斜視図である。
図4】本発明の自動出荷方法の工程を示すフローチャートである。
図5】本発明の自動出荷方法の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の自動出荷方法及び装置を図面に表わした実施形態を用いて詳細に説明する。但し、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る自動出荷装置の概略システム構成図である。図1において、1はデパレタイジング機構、2はストレージ機構、3はパレタイジング機構である。以下、それぞれの機構の構成を具体的に説明する。
【0017】
図2はデパレタイジング機構1の概略斜視図である。デパレタイジング機構2は、パレット10に積まれた複数のケース11をパレット10から開梱する機構である。図2の実施形態では、2か所のシンギュレーションコンベア5を備えており、その両側にパレットコンベア6が配置されている。シンギュレーションコンベア8及びパレットコンベア6は任意に増設可能である。
【0018】
パレットコンベア6の間にデパレタイジングロボット7が設置されている。デパレタイジングロボット7は、パレット積みされたケース11の1層(レイヤ)ずつパレットに積まれた荷物を下ろす作業(デパレ)を行うものである。2か所のシンギュレーションコンベア5は、ケース搬送コンベア8に接続され、ケース搬送コンベア8はストレージ機構2に接続されている。
【0019】
ストレージ機構2は、多数のケースを一時的に貯留して1個ずつ払い出す機構であって、図1図2に示すように、ローラコンベヤで構成される複数のストレージライン2Lを備え、このストレージライン2Lが多重層となった立体構成のものである。これら全てのストレージライン2Lに上記搬送コンベア8からケースが供給されるようになっている。ストレージライン2Lも任意に増設可能である。
【0020】
図3はパレタイジング機構3の概略斜視図である。パレタイジング機構3は、ストレージライン2Lから払い出されたケース11をかご車20に自動積付けする機構である。
【0021】
ストレージライン2Lに接続されたケース払い出しコンベア12に、2連のケース搬送コンベア13が分岐されている。ケース搬送コンベア13の終端にパレタイジングロボット14が設置され、かつ両側にかご車20を移送するかご車フィーダ22が設けられている。かご車20は、かご車フィーダ22上を走行する台車20a上に縦長のかご20bを取付けた構造のものである。上記、ケース搬送コンベア13及びかご車フィーダ22も任意に増設可能である。
【0022】
以下、図4及び図5示すフローチャートに基づいて本発明の自動出荷方法を具体的に説明する。
【0023】
図4は、ストレージ開始のフローであって、ステップS1において、倉庫等に保管され、ケース11が載置されたパレット10をフォークリフト(図示せず)にてパレットコンベア6の所定位置にセットする(図2A)。
【0024】
ステップS2において、パレット10上のケース11のバーコードをスキャナー(図示せず)で読み取り、供給すべきストレージライン2Lを選択した後パレットコンベア6で搬送開始する。
【0025】
ステップS3において、パレット10は、パレットコンベア6でデパレタイジングロボット7の近傍まで搬送される(図2B)。
【0026】
ステップS4において、デパレタイジングロボット7はデパレ対象のパレットの層(レイヤー)12ごとデパレタイジングし、シンギュレーションコンベア5に移載する(図2C)。
【0027】
ステップS5において、シンギュレーションコンベア5では、層(レイヤー)12の状態にまとまったケースを1個ずつに分離して直列に搬送する(図2D)。
【0028】
ステップS6において、シンギュレーションコンベアの回転部分を矢印方向に90度回転させ、ケース11の進行方向13を長手方向に合わせる(図2E)。
【0029】
ステップS7において、ケース11のバーコードをスキャナ16で自動読み取りし、該当するストレージライン2Lに向けて搬送する(図2F)。
【0030】
ステップS8において、ストレージライン2Lに残(利用可能)があるか否かを判定し、残がある場合ステップS9に進み、残がない場合ステップS1に戻る。
【0031】
ステップS9において、積み付けシミュレーションの演算結果により、積み付け順番通りにストレージライン2Lから必要のケースを払い出す。
【0032】
次に、図5により、ストレージ機構からの払い出し及びパレタイジング機構3の積み付けの動作を説明する(図3参照)。
【0033】
ステップS10において、ケース11を積み付け順番通りに該当のパレタイジングロボット14に搬送する。
【0034】
ステップS11において、ケース11のバーコードをスキャナで自動読み取りし、搬送順番通りに搬送されてきたかチェックする(図3K)。
【0035】
ステップS12において、バーコードの読み取り結果より、ケースの方向を積み付けシミュレーションの演算結果と比較して、違っていれば回転させる(図3L)。
【0036】
ステップS13において、積み付けシミュレーションの演算結果と比較して正しいか否かをチェックする(図3M)。
【0037】
ステップS13において、YESであればステップS16に進み、NOであればステップS14に進む。ステップS14において、警報を発報し、作業者を呼び、ステップS15でケースを正しい向きに修正する。
【0038】
ステップS16において、ケースをリフト部21まで搬送し、矢印のようにリフトアップする(図4N)。
【0039】
ステップS17で、積み付け開始の作業となる。ステップS18において、パレタイジングロボット14がケースをリフト部21から受け取る(図3P)。
【0040】
次に、ステップS19でかご車フィーダ22の運転開始のフローとなる。ステップS20において、かご車20をかご車フィーダ22にセットする。
【0041】
ステップS21において、かご車形状確認部23でかご車20の使用可否を自動判定し、使用OKであればステップS22に、使用不可であればステップS23に進む。ステップS23では警報を発報し、作業者を呼び、ステップS24で該当のかご車20を除去する。
【0042】
ステップS22において、かご車20を積み付け位置に自動搬送し、かご車側壁を自動で押し広げる等の手段でかご車20を固定する(図3R)。
【0043】
ステップS25において、かご車20の積み付け部全域を積み付け可能か否かを確認し、可能であればステップS26に進み、NO(障害物あり)と判定すれば、ステップS27で警報を発報し、ステップS28で作業者を呼び、該当のかご車20を除去する。
【0044】
ステップS26おいて、かご車の積み付け予定のスペースに障害物が無いか否かを確認する(図3R)。そして、障害物なしの場合ステップS29に進み、障害物ありの場合、ステップS30で警報を発報し、作業者を呼び、ステップS31で移動したケース(障害物)を元の位置に戻すか、又は該当のかご車20を排出する。
【0045】
ステップS29において、ステップS18とステップS26の両者のAND条件、すなわち、パレタイジングロボット14がケースをリフト部から受け取り、かつかご車の積み付け予定スぺースに障害物がない条件でステップS32に進み、かご車20の所定位置にケース11を積み付ける(図3R)。
【0046】
ステップS33において、予定数の積み付けを完了したか否かを判断し、完了していないと判断した場合ステップS18及びステップS26に戻り、上記の作業を再開する。完了したと判断した場合ステップS34に進み、積み付けが完了したかご車20の排出を終了する(図3R1)。
【0047】
以上のように、本実施形態の自動出荷方法及び装置によれば、飲料ケースなどの重量の大きいケースを全自動でデパレタイジング機構、ストレージ及びパレタイジングし、かご車等の運搬手段で出荷することができ、重労働の商品積み付け、出荷作業を人手に頼ることなく行うことができるとともに、デパレタイジング機構、ストレージ機構及びパレタイジング機構はモジュール化されているので、簡単に増設が可能であり、出荷量や設置スペースに応じて任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 デパレタイジング機構
2 ストレージ機構
2L ストレージライン
3 パレタイジング機構
5 シンギュレーションコンベア
6 パレットコンベア
7 デパレタイジングロボット
8 ケース搬送コンベア
12 ケース払出しコンベア
13 ケース搬送コンベア
14 パレタイジングロボット
20 かご車
22 かご車フィーダ
図1
図2
図3
図4
図5