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7392239表示パネル、表示装置及び表示パネルの作製方法
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  • -表示パネル、表示装置及び表示パネルの作製方法 図1A
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  • -表示パネル、表示装置及び表示パネルの作製方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】表示パネル、表示装置及び表示パネルの作製方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/844 20230101AFI20231129BHJP
   H10K 50/84 20230101ALI20231129BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231129BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20231129BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20231129BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H10K50/844
H10K50/84
H10K59/10
H10K59/122
H10K71/00
G09F9/30 365
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020561925
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2019085808
(87)【国際公開番号】W WO2020029625
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】201810886384.X
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】黄 清雨
(72)【発明者】
【氏名】焦 志強
(72)【発明者】
【氏名】孫 中元
(72)【発明者】
【氏名】周 翔
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/169961(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/043255(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/091767(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0140163(US,A1)
【文献】特開2011-018647(JP,A)
【文献】特開2007-042467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0171416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/844
H10K 50/84
H10K 59/10
H10K 59/122
H10K 71/00
G09F 9/30
H05B 33/04
H10K 59/10
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/02
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル本体と、
前記表示パネル本体上に設置された封止層とを含む表示パネルであって、
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記封止層の厚さは徐々に増加し、
前記表示パネル本体は、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する複数の画素ユニットとを含み、前記複数の画素ユニットは、前記表示パネルの中心位置に位置する画素ユニットと、前記表示パネルのエッジ位置に位置する画素ユニットとを含み、一部の隣接する前記画素ユニットを覆う前記封止層の厚さは同じであるか、または、異なっており、
前記表示パネルは、画素定義層を更に含み、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層の厚さは徐々に増加する、
表示パネル。
【請求項2】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記封止層の厚さは徐々に増加する、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層の厚さは徐々に増加する、請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記表示パネルは、前記画素定義層上に設置されたスペーサを更に含み、
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層上に設置された前記スペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加する、請求項1又は3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層上に設置された前記スペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加する、請求項4に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記封止層は前記画素ユニットを覆い、前記表示パネルの水平方向において、隣接する前記画素ユニットの組み合わせ層の厚さの差はΔhであり、
Δh=|H-Hn-1|/2n
ここで、前記組み合わせ層は、前記画素定義層と前記スペーサとを含み、
は、前記表示パネルの水平方向に垂直な中心線における前記画素ユニットの前記組み合わせ層の厚さであり、
n-1は、前記表示パネルの水平方向におけるエッジ位置の前記画素ユニットの前記組み合わせ層の厚さであり、
nは、前記表示パネルの水平方向における画素ユニットの数である、請求項4又は5に記載の表示パネル。
【請求項7】
Δh 値の範囲は5μm~20μmである、請求項6記載の表示パネル。
【請求項8】
前記中心位置は、前記表示パネルにおける1つの画素ユニット、又は前記表示パネルにおける1組の画素ユニットである、請求項1~のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項9】
前記中心位置における1組の画素ユニットを覆う封止層の厚さは同じである、請求項に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記表示パネルは、OLED表示パネルである、請求項1~のいずれかに記載の表示パネル。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の表示パネルを含むOLED表示装置。
【請求項12】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、封止層の厚さは徐々に増加するように、前記封止層を作製するステップを含み、
前記封止層を作製するステップの前に、
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、画素定義層の厚さが徐々に増加するように、複数の画素定義層を作製するステップを更に含む、請求項1~10のいずれかに記載のOLED表示パネルの製造方法。
【請求項13】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記封止層の厚さは徐々に増加する、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層の厚さは徐々に増加する、請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記画素定義層を作製するステップの後、前記封止層を作製するステップの前に、
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層上に設置されたスペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加するように、前記画素定義層に前記スペーサを作製するステップを更に含む、請求項12又は14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層上に設置された前記スペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加する、請求項15に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月6日に中国特許庁に提出された中国特許出願番号201810886384.Xの優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに取り込まれる。
【0002】
本開示は、表示技術分野、特にOLED表示パネル、表示装置及びOLED表示パネルの作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
OLED(Organic Light Emitting Diode、有機発光ダイオード)表示装置は、自己発光、バックライトモジュールを必要としない、高いコントラストと鮮明度、広い視野角、全体硬化、フレキシブルパネルに適し、良好な温度特性、低い消費電力、速い応答速度、及び低い製造コストなどの一連の優れた特性を備えており、新世代の平面表示装置の主要な開発方向の1つになり、ますます多くの注目を集めている。
【0004】
現在、OLEDは既に携帯電話に適用され、急速に製品の普及が進んでおり、OLEDを適用したテレビも徐々に売れ筋商品になってくる。しかし、OLEDを適用したテレビの表示技術における欠点は、視聴者の視野角が大画面表示パネルのゼロ視野角中心から観測角度が徐々に増加するエッジ位置に変化する場合、視聴者に観測される波長がずれてしまい、視聴者には表示パネルの中心位置とエッジ位置との色に不一致が見られ、視聴体験に大きな影響を与えていることである。
【発明の概要】
【0005】
第1の形態において、本開示の実施例は、表示パネル本体と、前記表示パネル本体上に設置された封止層とを含み、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記封止層の厚さは徐々に増加する傾向がある、表示パネルを提供する。
【0006】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記封止層の厚さは徐々に増加する傾向がある。
【0007】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネル本体は、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する1つ又は複数の画素ユニットとを含む。
【0008】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルは、画素定義層を更に含み、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層の厚さは徐々に増加する傾向がある。
【0009】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層の厚さは徐々に増加する傾向がある。
【0010】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルは、前記画素定義層上に設置されたスペーサを更に含み、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層上に設置された前記スペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加する傾向がある。
【0011】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層上に設置された前記スペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加する傾向がある。
【0012】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルは、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する画素ユニットとを更に含み、前記封止層は前記画素ユニットを覆い、前記表示パネルの水平方向において、隣接する前記画素ユニットの組み合わせ層の厚さの差はΔhであり、
Δh=|H-Hn-1|/2n
ここで、前記組み合わせ層は、前記画素定義層と前記スペーサとを含み、Hは、前記表示パネルの水平方向に垂直な中心線における前記画素ユニットの前記組み合わせ層の厚さであり、Hn-1は、前記表示パネルの水平方向におけるエッジ位置の前記画素ユニットの前記組み合わせ層の厚さであり、nは、前記表示パネルの水平方向における画素ユニットの数である。
【0013】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルは、ベース基板と、前記ベース基板上に位置する画素ユニットとを更に含み、前記封止層は前記画素ユニットを覆い、前記表示パネルの鉛直方向において、隣接する前記画素ユニットの組み合わせ層の厚さの差はΔhであり、
Δh=|H-Hm-1|/2n
ここで、前記組み合わせ層は、前記画素定義層と前記スペーサとを含み、Hは、前記表示パネルの水平方向に平行な中心線における前記画素ユニットの前記組み合わせ層の厚さであり、Hm-1は、前記表示パネルの鉛直方向におけるエッジ位置の前記画素ユニットの前記組み合わせ層の厚さであり、mは、前記表示パネルの鉛直方向における画素ユニットの数である。
【0014】
本開示のいくつかの実施例によれば、Δh又はΔhの値の範囲は5μm~20μmである。
【0015】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記中心位置は、表示パネルにおける1つの画素ユニットであるか、又は、前記表示パネルにおける1組の画素ユニットである。
【0016】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記中心位置における1組の画素ユニットを覆う封止層の厚さは同じである。
【0017】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルは、OLED表示パネルである。
【0018】
第2の形態において、本開示の実施例は、また、第1の形態に記載の表示パネルを含むOLED表示装置を提供する。
【0019】
第2の形態において、本開示の実施例は、また、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、封止層の厚さは徐々に増加する傾向があるように、前記封止層を作製するステップを含む、第1の形態に記載のOLED表示パネルの製造方法を提供する。
【0020】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記封止層の厚さは徐々に増加する傾向がある。
【0021】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記封止層を作製するステップの前に、前記製造方法は、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、画素定義層の厚さは徐々に増加する傾向があるように、前記画素定義層を作製するステップを更に含む。
【0022】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層の厚さは徐々に増加する傾向がある。
【0023】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記画素定義層を作製するステップの後、前記封止層を作製するステップの前に、前記製造方法は、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層上に設置されたスペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加する傾向があるように、前記画素定義層に前記スペーサを作製するステップを更に含む。
【0024】
本開示のいくつかの実施例によれば、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向における複数のポイントにおいて、前記画素定義層上に設置された前記スペーサの厚さは等しいか、又は徐々に増加する傾向がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本開示の実施例又は関連技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に紹介する。以下の記述における図面は、単に本開示のいくつかの実施例であって、当業者にとって、創造的な労働なしに、これらの図面に基づいて他の図面を得られることも自明である。
【0026】
図1A】関連技術おいて視聴者が大画面表示パネル(平面スクリーン)を見た時の視野角変化の概略図である。
図1B】関連技術おいて視聴者が大画面表示パネル(曲面スクリーン)を見た時の視野角変化の概略図である。
図2】本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルの一構造概略図である。
図3図2におけるA-A断面の一部のOLED表示パネルの構造概略図である。
図4】本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルの一部の構造概略図である。
図5】視聴者が本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルを見た時の視野角変化の概略図である。
図6】本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルの製造方法のフローチャートの一つである。
図7】本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルの製造方法のフローチャートの一つである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示が解決しようとする技術的課題、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、添付図面および具体的な実施例を結び付けて詳細に説明する。
【0028】
図1A及び図1Bは、関連技術おいて視聴者が大画面表示パネルを見た時の視野角変化の概略図である。図1Aに示されたのは平面スクリーンで、図1Bに示されたのは曲面スクリーンである。視聴者の視野角が大画面表示パネルのゼロ視野角中心から観測角度が徐々に増加するエッジ位置に変化する場合、視聴者に観測される波長がずれてしまい、視聴者には表示パネルの中心位置とエッジ位置との色に不一致が見られ、視聴体験に大きな影響を与えている。当該問題に対して、本開示の実施例は、表示パネルのエッジ画素の発光ピーク位置のブルーシフト現象を効果的に抑制できるOLED表示パネルを提供する。
【0029】
図2は、本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルの構造概略図である。図3は、図2におけるA-A断面の一部のOLED表示パネル構造概略図である。図2図3に示すように、本開示の実施例は、ベース基板1と、前記ベース基板1上に位置する画素ユニット2と、前記画素ユニット2を覆う封止層3とを含むOLED表示パネルを提供する。また、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素ユニット2上の前記封止層3の厚さは徐々に増加する傾向がある。即ち、前記画素ユニット2上の前記封止層3の厚さは、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向においてますます厚くなる。
【0030】
画素ユニット2上の封止層3の厚さは徐々に増加する傾向があり、即ち、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、封止層の厚さは増加する傾向があり、一部の隣接する画素ユニットを覆う封止層の厚さは同じであってもよい。本開示の1つの実施例によれば、表示パネルの中心位置における画素ユニット2を覆う封止層3の厚さが最も小さく、表示パネルの中心位置から表示パネルのエッジ位置への方向において、画素ユニット2上の封止層3の厚さは予め設定された増分に従って順次増加される。例えば、当該予め設定された増分は、必要に応じて、線性、指数、対数、平方、または平方根等の関係を満足するように設定される。例えば、表示パネルの水平方向において、表示パネルの中心位置は、表示パネルにおける表示パネルの中心点を経由しながら水平方向に垂直な直線が所在する位置(図2におけるI2のような位置)である。同一水平線上の画素ユニット2において、中心位置における画素ユニット2を覆う封止層3の厚さが最も小さく、表示パネルのエッジ位置における画素ユニット2を覆う封止層3の厚さが最も大きい。封止層3は薄膜封止(Thin-Film Encapsulation、TFEと略称する)技術を採用して実現される。
【0031】
本実施例では、表示パネルの中心点は、表示パネルの幾何学的中心に限られず、表示パネルの中心点は、表示パネルの幾何学的中心の予め設定された範囲内の任意点であってもよい。なお、表示パネルの中心点は、重心や円の中心などの表示パネルの幾何学的中心点として選択されることもできる。なお、中心位置は、表示パネルにおける1つの画素ユニット2であってもよく、前記表示パネルにおける1組の画素ユニット2であってもよい。
【0032】
なお、表示パネルの鉛直方向において、表示パネルの中心位置は、表示パネルにおける表示パネルの中心点aを経由しながら水平方向に平行な直線が所在する位置(図2におけるI1のような位置)である。同一鉛直線(すなわち、水平方向に垂直な直線)上の複数の画素ユニット2において、中心位置にある画素ユニット2を覆う封止層3の厚さが最も小さく、表示パネルのエッジ位置にある画素ユニット2を覆う封止層3の厚さが最も大きい。
【0033】
同様な理由により、表示パネルの水平方向において、表示パネルの中心位置は、表示パネルにおける表示パネルの中心点を経由しながら垂直方向に平行な直線が所在する位置である。同一水平線(すなわち、垂直方向に垂直な直線)上の画素ユニット2において、中心位置における画素ユニット2を覆う封止層3の厚さが最も小さく、表示パネルのエッジ位置における画素ユニット2を覆う封止層3の厚さが最も大きい。
【0034】
本開示の1つの実施例によれば、中心位置における各画素ユニット2を覆う封止層3の厚さは同じである。
【0035】
本開示の1つの実施例によれば、中心位置は、表示パネルの中心点であってもよい。この時、中心位置を起点として、表示パネルのエッジへ放射される方向において、前記画素ユニット2上の前記封止層3の厚さは徐々に増加する傾向がある。
【0036】
本開示の実施例のOLED表示パネルは、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素ユニット2上の前記封止層3の厚さは徐々に増加する傾向があり、表示パネルのエッジ位置にある画素ユニット2の共鳴空洞の長さを増加させ、有機発光ダイオードの発光スペクトルピーク値の波長を徐々に増大させることにより、表示パネルのエッジ画素の発光ピーク位置のブルーシフト現象を効果的に抑制する。
【0037】
さらに、図3図4に示すように、本開示の一実施例では、上記の表示パネルは、画素定義層4を更に含み、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、画素定義層4の厚さは徐々に増加する傾向がある。封止層3は画素定義層4を完全に覆う必要がある(封止層3は画素定義層4の頂部を覆う必要がある)ため、画素定義層4の厚さが大きいほど、封止層3の厚さも大きくする必要があり、封止層3の厚さは画素定義層4の厚さに関連する。
【0038】
図4に示すように、図4は一部の画素ユニットの平面構造概略図である。ここで、画素定義層4は発光素子21を限定するために用いられ、符号41は画素定義層の開孔である。
【0039】
表示パネルの中心位置における画素ユニット2の画素定義層4の厚さが最も小さく、表示パネルの中心位置から表示パネルのエッジ位置への方向において、画素ユニット2上の画素定義層4の厚さは予め設定された増分に従って順次増加されることで、画素ユニット2上を覆う封止層3の厚さを予め設定された増分に従って順次増加させることができる。例えば、表示パネルの水平方向において、表示パネルの中心位置は、表示パネルにおける表示パネルの中心点を経由しながら水平方向に垂直な直線が所在する位置である。同一水平線上の画素ユニット2において、中心位置における画素ユニット2を覆う画素定義層4の厚さが最も小さく、表示パネルのエッジ位置における画素ユニット2の画素定義層4の厚さが最も大きい。
【0040】
また、表示パネルの鉛直方向において、表示パネルの中心位置は、表示パネルにおける表示パネルの中心点を経由しながら水平方向に平行な直線が所在する位置である。同一鉛直線(すなわち、水平方向に垂直な直線)上の画素ユニット2において、中心位置における画素ユニット2を覆う画素定義層4の厚さが最も小さく、表示パネルのエッジ位置における画素ユニット2の画素定義層4の厚さが最も大きい。
【0041】
さらに、本開示の別の実施例では、OLED表示パネルは、前記画素定義層4上に設置されたスペーサ5を更に含み、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層4上に設置された前記スペーサ5の厚さは等しいか、又は徐々に増加する傾向がある。
【0042】
各画素定義層4上に設置されたスペーサ5の厚さが同じである場合、画素ユニット2を覆う封止層3の厚さは、画素定義層4の厚さに関連する。各画素定義層4上に設置されたスペーサ5の厚さが同じでない場合、画素ユニット2を覆う封止層3の厚さは、画素定義層4の厚さとスペーサ5の厚さに関連する。図2に示すように、封止層の最も低い箇所にある画素ユニット2は、画素定義層4のみを示しており、当該位置における画素定義層4はスペーサ5も覆うことができる。
【0043】
図5示すように、図5は視聴者が本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルを見た時の視野角変化の概略図である。ここで、は、中心位置における画素ユニット2上の組み合わせ層とエッジ位置における画素ユニット2上の組み合わせ層との厚さの差である。ここで、非限定的な一例として、組み合わせ層は、画素定義層4と前記スペーサ5とを含む。相応的に、図5における発光中心は画素ユニットである。
【0044】
前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素ユニット2上の前記封止層3の厚さは徐々に増加する傾向がある。
【0045】
さらに、本開示のさらに別の実施例では、前記表示パネルの水平方向において、隣接する前記画素ユニット2の組み合わせ層の厚さの差はΔhであり、
Δh=|H-Hn-1|/2n
ここで、前記組み合わせ層は、前記画素定義層4と前記スペーサ5とを含み、Hは、前記表示パネルの水平方向に垂直な中心線における前記画素ユニット2の前記組み合わせ層の厚さであり、Hn-1は、前記表示パネルの水平方向におけるエッジ位置の前記画素ユニット2の前記組み合わせ層の厚さであり、nは、前記表示パネルの水平方向における画素ユニット2の数である。
【0046】
具体的には、表示パネルの水平方向に垂直な中心線は、水平方向に垂直且つ表示パネルの中心点を通過する直線である。同一水平線に位置する隣接する画素ユニット2の組み合わせ層の厚さの差はΔhである。本開示の1つの実施例によれば、同一鉛直線に位置する各画素ユニット2の組み合わせ層の厚さは等しくすることで、作製複雑さを低減させる。
【0047】
さらに、本開示の一実施例では、前記表示パネルの鉛直方向において、隣接する前記画素ユニット2の組み合わせ層の厚さの差はΔhであり、
Δh=|H-Hm-1|/2n
ここで、前記組み合わせ層は、前記画素定義層4と前記スペーサ5とを含み、Hは、前記表示パネルの水平方向に平行な中心線における前記画素ユニット2の前記組み合わせ層の厚さであり、Hm-1は、前記表示パネルの鉛直方向におけるエッジ位置の前記画素ユニット2の前記組み合わせ層の厚さであり、mは、前記表示パネルの鉛直方向における画素ユニット2の数である。
【0048】
具体的には、表示パネルの水平方向に平行な中心線は、水平方向に平行且つ表示パネルの中心点を通過する直線である。この時、同一鉛直線に位置する隣接する画素ユニット2の組み合わせ層の厚さの差は2である。本開示の1つの実施例によれば、同一水平線に位置する各画素ユニット2の組み合わせ層の厚さは等しくすることで、作製複雑さを低減させる。
【0049】
一般的に、表示パネルのサイズは55インチ乃至110インチであり、観測距離を5~7mと仮定して、式Lcosα=pλ(ここで、Lは光空洞の長さと相関があり、αは観測角、λは有機発光デバイスの発光波長、pは正の整数である)に従い、画素ユニット2の光空洞の長さから、組み合わせ層の厚さを算出することができ、次に、中心位置とエッジ位置の画素ユニット2の組み合わせ層の厚さに基づいて、1又は 2を算出することができる。本開示の1つの実施例によれば、Δh又はΔhの範囲は5μm~20μmである。
【0050】
本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルは、組み合わせ層の厚さが中心位置からエッジ位置に徐々に増加する。見る角度αが変化しない場合、光空洞の長さを増加すると共鳴の波長をレッドシフトさせることができるため、中心位置からエッジ位置に徐々に増加する封止層3の厚さは、OLED表示パネルのエッジの画素発光ピークのブルーシフトを抑制する目的に達することができる。
【0051】
また、本開示の実施例は、上記実施例のOLED表示パネルを含むOLED表示装置を提供する。
【0052】
また、図6に示すように、本開示の実施例は、以下のステップ101を含むOLED表示パネルの製造方法を提供する。
【0053】
ステップ101:前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、封止層3の厚さは徐々に増加する傾向があるように、前記封止層3を作製する。
【0054】
本ステップの前に、ベース基板1に画素ユニット2を作製し、その後、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素ユニット2上の封止層3の厚さは徐々に増加する傾向があるように、前記画素ユニット2を前記封止層3で覆う。
【0055】
本開示の実施例より提供されたOLED表示パネルの製造方法によれば、前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、封止層3の厚さは徐々に増加する傾向があるように前記封止層3を作製し、OLED表示パネルのエッジの画素発光ピークのブルーシフトを抑制する目的に達することができる。
【0056】
さらに、図7に示すように、本開示の一実施例では、ステップ101の前に、以下のステップ101aを更に含む。
【0057】
ステップ101a:前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、画素定義層4の厚さは徐々に増加する傾向があるように、画素定義層4を作製する。画素ユニット2を覆う封止層3は一定の流動性を有するため、画素ユニット2における画素定義層4の厚さは、画素ユニット2を覆う封止層3の厚さに重要な支持作用を果たす。表示パネルの中心位置から表示パネルのエッジ位置への方向において、画素ユニット2の画素定義層4の厚さは徐々に増加する傾向があることにより、画素ユニット2を覆う封止層3の厚さは徐々に増加する傾向があるようにすることができる。
【0058】
さらに、図7に示すように、ステップ101aの後、ステップ101の前に、前記製造方法は、以下のステップ101bを更に含む。
【0059】
ステップ101b:前記表示パネルの中心位置から前記表示パネルのエッジ位置への方向において、前記画素定義層4上に設置されたフォトエッチングスペーサ5の厚さは等しいか、又は徐々に増加する傾向があるように、前記画素定義層4上に前記フォトエッチングペーサ5を作製する。
【0060】
各画素定義層4上に設置されたスペーサ5の厚さは等しい場合、画素ユニット2を覆う封止層3の厚さは、画素定義層4の厚さに関連する。各画素定義層4上に設置されたスペーサ5の厚さは等しくない場合、画素ユニット2を覆う封止層3の厚さは、画素定義層4の厚さとスペーサ5の厚さに関連し、スペーサ5も封止層3に支持作用を果す。
【0061】
本実施例では、画素定義層4とスペーサ5の両者の厚さによって、画素ユニット2を覆う封止層3の厚さを決めることで、表示パネルのエッジ位置にある画素ユニット2の共鳴空洞の長さを増加させ、有機発光ダイオードの発光スペクトルピーク値の波長を徐々に増大させることにより、表示パネルのエッジ画素の発光ピーク位置のブルーシフト現象を効果的に抑制する。
【0062】
以上は、本開示のいくつかの実施形態であり、指摘すべきことは、本技術分野における当業者にとって、本開示の上記の原理を逸脱しない前提で、若干の改善又は修正を施すことができ、これらの改善及び修正も本開示の保護範囲と見なされるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7