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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】薬剤分包システム及び薬剤払い出し方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20231129BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20231129BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J1/05 313E
B65B1/30 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022196089
(22)【出願日】2022-12-08
(62)【分割の表示】P 2022014910の分割
【原出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2023024530
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2018002927
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】粕屋 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】小池 教文
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 千晴
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-226086(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141660(WO,A1)
【文献】特開昭63-055001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
A61J 1/05
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬秤量装置と、秤量容器搬送手段と、散薬分配装置と、薬剤包装装置とを有する薬剤分包システムであって、
散薬秤量装置は、散薬が貯留される薬剤容器と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器とを有し、
秤量容器は、情報記録部材を有し、
薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を取り出して秤量容器に移し、
秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、
所定量の散薬を秤量容器に移す動作を実行する薬剤排出制御手段を有し、
所定量の散薬が移された秤量容器を秤量容器搬送手段によって散薬分配装置の薬剤投入部に移動して散薬を投入し、
散薬分配装置によって散薬を所定の数に分割し、
所定の数に分割された散薬を薬剤包装装置によって個別に包装され、
散薬分配装置と薬剤包装装置とが組み合わされて一つの薬剤分包装置を構成し、
薬剤分包装置は、情報読み取り装置を有し、
秤量容器の情報記録部材に少なくとも患者を特定できる情報が書き込まれ、薬剤分包装置に対して少なくとも患者を特定できる情報が送信され
薬剤分包装置の情報読み取り装置で、秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報が読みだされ、
秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報と、薬剤分包装置に送信された少なくとも患者を特定できる情報とが比較され、秤量容器内の散薬が当該患者の処方情報に則ったものであるか否かが確認される薬剤分包システム。
【請求項2】
少なくとも患者を特定できる情報は、当該患者の処方情報を特定できるものである請求項1に記載の薬剤分包システム。
【請求項3】
外郭を構成する外郭構成体を有し、薬剤分包システムを構成する部材が、外郭構成体の中に収容されている請求項1又は2に記載の薬剤分包システム。
【請求項4】
秤量容器保管部をさらに有し、
秤量容器保管部は、秤量容器を複数収容可能である請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤分包システム。
【請求項5】
秤量容器保管部は複数段の棚を有し、未使用の秤量容器及び/又は使用後の秤量容器を収容可能である請求項に記載の薬剤分包システム。
【請求項6】
秤量容器搬送手段によって使用後の秤量容器が所定の位置に移動される請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤分包システム。
【請求項7】
薬剤容器保管部には薬剤容器と係合する係合部があり、薬剤容器は横置き姿勢で薬剤容器保管部に設置され、薬剤容器保管部の係合部が薬剤容器と係合する請求項に記載の薬剤分包システム。
【請求項8】
薬剤容器保管部の背面側に薬剤容器移動手段があり、薬剤容器移動手段によって薬剤容器を移動する請求項に記載の薬剤分包システム。
【請求項9】
粉体フィーダを有し、薬剤分割手段は回転する分配皿を有し、粉体フィーダを介して分配皿に散薬が投入される1乃至3のいずれかに記載の薬剤分包システム。
【請求項10】
散薬秤量装置と、秤量容器搬送手段と、散薬分配装置と、薬剤包装装置とを有する薬剤分包システムに用いられる薬剤払い出し方法であって、
散薬秤量装置は、散薬が貯留される薬剤容器と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器とを有し、
秤量容器は、情報記録部材を有し、
薬剤分包システムは、所定量の散薬を秤量容器に移す動作を実行する薬剤排出制御手段を有し、
薬剤分包システムにおいて、散薬分配装置と薬剤包装装置とが組み合わされて一つの薬剤分包装置が構成され、
薬剤分包装置は、情報読み取り装置を有し、
秤量容器の情報記録部材に少なくとも患者を特定できる情報を書き込み、薬剤分包装置に対して少なくとも患者を特定できる情報を送信し
薬剤分包装置の情報読み取り装置で、秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報を読みだし、
秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報と、薬剤分包装置に送信された少なくとも患者を特定できる情報とを比較し、秤量容器内の散薬が当該患者の処方情報に則ったものであるか否かを確認し、秤量容器内の散薬が当該患者の処方情報に則ったものである場合、
薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を取り出して秤量容器に移し、
秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、
所定量の散薬が移された秤量容器を秤量容器搬送手段によって散薬分配装置の薬剤投入部に移動して散薬を投入し、
散薬分配装置によって散薬を所定の数に分割し、
分割された散薬を薬剤包装装置によって個別に包装する薬剤払い出し方法。
【請求項11】
少なくとも患者を特定できる情報は、当該患者の処方情報を特定できるものである請求項10に記載の薬剤分包システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定量の散薬を秤量することができる散薬秤量装置に関するものである。また本発明は、散薬を一服用分ずつ分包する薬剤分包システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬を分包する機能を有する薬剤分包装置(以下 散薬分包装置と称する場合がある)が導入されている。散薬分包装置は、散薬を一服用分ずつ個別に包装する装置である。
散薬分包装置には大きく分けてV枡方式と称される形式と、分配皿方式と称される形式がある。
V枡方式の散薬分包装置は、例えば特許文献1、2に開示されている。V枡方式の散薬分包装置は、水平方向に細長いV枡(散薬投入部)がある。そしてV枡の下部に複数の分割容器が配置されている。
V枡方式の散薬分包装置では、薬剤師が複数回服用分の散薬を秤量し、複数回服用分の散薬をV枡に投入する。その後、へら等で散薬を均等にならす。そしてV枡の下部に設けられたシャッタを開き、散薬投入部内の散薬を下部の分割容器に投入する。各分割容器内の散薬が個別に包装される。
【0003】
分配皿方式の散薬分包装置は、例えば特許文献3、4に開示されている。
分配皿方式の散薬分包装置は、上面に溝を有する分配皿と、分配皿を回転する分配皿回転手段と、前記溝から散薬を掻き出す掻出装置と、振動トラフ及び投入ホッパを備えている。
分配皿方式の散薬分包装置では、薬剤師が複数服用分の散薬を秤量し、投入ホッパに散薬を投入すると共に振動トラフを振動させ、さらに分配皿を回転させる。
投入ホッパに投入された散薬は、振動トラフで均一に分散され、また一定の速度でゆっくりと移動して分配皿に落下する。トラフから分配皿に落下する散薬は、分配皿で均等に分散される。
その後、掻出装置の回転板を分配皿の溝に移動して、分配皿を所定の角度だけ回転し、回転板の前面側に所定量の散薬を集め、回転板を回転して集められた散薬を排出する。そして掻き出された散薬が個別に包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-104402号公報
【文献】特開平10-258111号公報
【文献】特開2010-247841号公報
【文献】特開2011-15978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した散薬分包装置では、散薬を量り出す作業を手作業で行う必要があり、面倒である。
本発明は新たな散薬秤量装置及び分包システムを提案し、分包作業を簡易化することを目的とする。
また本発明は新たな散薬秤量装置を提案し、従来の散薬分包装置と組み合わした薬剤分包システムを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、散薬秤量装置と、秤量容器搬送手段と、散薬分配装置と、薬剤包装装置とを有する薬剤分包システムであって、散薬秤量装置は、散薬が貯留される薬剤容器と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器とを有し、秤量容器は、情報記録部材を有し、薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を取り出して秤量容器に移し、秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬を秤量容器に移す動作を実行する薬剤排出制御手段を有し、所定量の散薬が移された秤量容器を秤量容器搬送手段によって散薬分配装置の薬剤投入部に移動して散薬を投入し、散薬分配装置によって散薬を所定の数に分割し、所定の数に分割された散薬を薬剤包装装置によって個別に包装され、散薬分配装置と薬剤包装装置とが組み合わされて一つの薬剤分包装置を構成し、薬剤分包装置は、情報読み取り装置を有し、秤量容器の情報記録部材に少なくとも患者を特定できる情報が書き込まれ、薬剤分包装置に対して少なくとも患者を特定できる情報が送信され、薬剤分包装置の情報読み取り装置で、秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報が読みだされ、秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報と、薬剤分包装置に送信された少なくとも患者を特定できる情報とが比較され、秤量容器内の散薬が当該患者の処方情報に則ったものであるか否かが確認される薬剤分包システムである。
好ましい態様は、上記少なくとも患者を特定できる情報が、当該患者の処方情報を特定できるものである。
さらに好ましい態様は、外郭を構成する外郭構成体を有し、薬剤分包システムを構成する部材が、外郭構成体の中に収容されている薬剤分包システムである。
さらに好ましい態様は、秤量容器保管部は、秤量容器を複数収容可能である薬剤分包システムである。
さらに好ましい態様は、秤量容器保管部は複数段の棚を有し、未使用の秤量容器及び/又は使用後の秤量容器を収容可能である薬剤分包システムである。
さらに好ましい態様は、秤量容器搬送手段によって使用後の秤量容器が所定の位置に移動される薬剤分包システムである。
さらに好ましい態様は、薬剤容器保管部には薬剤容器と係合する係合部があり、薬剤容器は横置き姿勢で薬剤容器保管部に設置され、薬剤容器保管部の係合部が薬剤容器と係合する薬剤分包システムである。
さらに好ましい態様は、薬剤容器保管部の背面側に薬剤容器移動手段があり、薬剤容器移動手段によって薬剤容器を移動する薬剤分包システムである。
さらに好ましい態様は、粉体フィーダを有し、薬剤分割手段は回転する分配皿を有し、粉体フィーダを介して分配皿に散薬が投入される薬剤分包システムである。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬秤量装置と、秤量容器搬送手段と、散薬分配装置と、薬剤包装装置とを有する薬剤分包システムに用いられる薬剤払い出し方法であって、散薬秤量装置は、散薬が貯留される薬剤容器と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器とを有し、秤量容器は、情報記録部材を有し、薬剤分包システムは、所定量の散薬を秤量容器に移す動作を実行する薬剤排出制御手段を有し、薬剤分包システムにおいて、散薬分配装置と薬剤包装装置とが組み合わされて一つの薬剤分包装置が構成され、薬剤分包装置は、情報読み取り装置を有し、秤量容器の情報記録部材に少なくとも患者を特定できる情報を書き込み、薬剤分包装置に対して少なくとも患者を特定できる情報を送信し、薬剤分包装置の情報読み取り装置で、秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報を読みだし、秤量容器の情報記録部材に書き込まれた少なくとも患者を特定できる情報と、薬剤分包装置に送信された少なくとも患者を特定できる情報とを比較し、秤量容器内の散薬が当該患者の処方情報に則ったものであるか否かを確認し、秤量容器内の散薬が当該患者の処方情報に則ったものである場合、薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を取り出して秤量容器に移し、秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬が移された秤量容器を秤量容器搬送手段によって散薬分配装置の薬剤投入部に移動して散薬を投入し、散薬分配装置によって散薬を所定の数に分割し、分割された散薬を薬剤包装装置によって個別に包装する薬剤払い出し方法である。
好ましい態様は、上記少なくとも患者を特定できる情報が、当該患者の処方情報を特定できるものである。
【0007】
薬剤容器の薬剤容器設置部への移動は、手動であっても自動であっても構わない。
本態様の散薬秤量装置では、薬剤容器設置部に設置された薬剤容器から、薬剤排出手段によって散薬が取り出される。取り出された散薬は秤量容器に移る。
本態様の散薬秤量装置では、所定量の散薬が秤量容器に移されると薬剤排出手段が停止する。そのため薬剤師の散薬を秤量する作業が軽減される。
【0008】
秤量容器搬送手段と、薬剤容器移動手段を有し、秤量容器搬送手段で秤量容器を移動させて秤量容器設置部に載置し、薬剤容器移動手段によって薬剤容器を薬剤容器設置部に移動することが望ましい。
【0009】
上記した各態様において、薬剤容器は、散薬を貯留する散薬貯留部と、散薬を排出する散薬排出部を有し、前記薬剤容器内に薬剤排出手段の一部又は全部があり、薬剤容器内で薬剤排出手段を駆動することによって散薬排出部から散薬を取り出すものであってもよい。
【0010】
本態様によると、薬剤容器内で薬剤排出手段を駆動して散薬を薬剤容器から取り出すことができる。
【0011】
上記した各態様において、薬剤排出手段は、薬剤容器に外力を加える外力付与手段を有し、薬剤排出手段によって薬剤容器に外力を加えて散薬を排出するものであってもよい。
【0012】
上記した各態様において、薬剤容器は、散薬を貯留する散薬貯留部と、散薬を排出する散薬排出部を有し、薬剤排出手段は、薬剤容器設置部を振動させる振動手段であり、重量測定手段は、薬剤容器の重量変化から秤量容器に移された散薬の重量を間接的に監視するものであることが望ましい。
【0013】
本態様によると、散薬を薬剤容器から円滑に取り出すことができる。
【0014】
上記した各態様において、薬剤容器を複数設置する薬剤容器保管部を有することが望ましい。
【0015】
上記した態様において、薬剤容器保管部には薬剤容器と係合する係合部があり、薬剤容器保管部の係合部が薬剤容器と係合することが望ましい。
【0016】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、薬剤容器を設置する薬剤容器設置部と、薬剤排出手段と、重量測定手段を有し、前記薬剤容器には散薬が貯留され、薬剤容器を薬剤容器設置部に設置した状態で薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を取り出し、取り出された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬が秤量容器に移されたことを条件として薬剤排出手段が停止するものであり、薬剤容器を複数収容する薬剤容器保管部を有し、薬剤容器は横置き姿勢で薬剤容器保管部に設置され、薬剤容器保管部には薬剤容器と係合する係合部があり、薬剤容器保管部の係合部が薬剤容器と係合することを特徴とする散薬秤量装置である。
【0017】
上記した態様において、薬剤容器は横置き姿勢で薬剤容器保管部に設置され、薬剤容器保管部の背面側に薬剤容器移動手段があり、薬剤容器移動手段によって薬剤容器を移動することが望ましい。
【0018】
上記した各態様において、薬剤容器移動手段を有し、薬剤容器移動手段は、移動台を有し、当該移動台は薬剤容器を保持する開口を複数有し、前記移動台は前記開口に薬剤容器を保持した状態で水平移動及び昇降移動するものであり、移動台を水平移動して所望の薬剤容器を薬剤容器設置部の上に移動し、移動台を降下して薬剤容器を薬剤容器設置部に着地させることが可能であることが望ましい。
【0019】
本態様によると、薬剤容器の移動を自動化することができる。
【0020】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、散薬が貯留される薬剤容器と、薬剤容器を同一平面に並べて複数収容する薬剤容器保管部と、薬剤容器保管部を水平移動して薬剤容器を移動させる薬剤容器移動手段と、秤量容器と、秤量容器を複数収容する秤量容器保管部と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器設置部と、秤量容器を移動させる秤量容器搬送手段を有し、秤量容器保管部に収容された秤量容器を秤量容器搬送手段によって秤量容器設置部に移動し、前後して薬剤容器保管部を水平移動して特定の薬剤容器を秤量容器設置部の上に移動し、薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を排出して散薬を秤量容器に移し、秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬が秤量容器に移されたことを条件として薬剤排出手段を停止することを特徴とする散薬秤量装置である。
【0021】
上記した各態様において、薬剤容器を複数設置する薬剤容器保管部と、秤量容器を複数収容する秤量容器保管部と、薬剤容器移動手段と、秤量容器搬送手段と、秤量容器設置部を有し、少なくとも薬剤容器保管部と、秤量容器保管部と、薬剤容器移動手段と、秤量容器搬送手段と、秤量容器設置部が一つの筐体に収容されていることが望ましい。
【0022】
もう一つの態様は、上記した散薬秤量装置と、薬剤を所望の個数に分割して個別に包装する薬剤分包装置とを有し、秤量容器内の散薬を手動又は自動的に薬剤分包装置に投入することが可能であることを特徴とする薬剤分包システムである。
【0023】
本態様によると、散薬の秤量から包装に至る一連の工程を自動化することができる。
【0024】
もう一つの態様は、薬剤秤量手段と、秤量容器搬送手段と、薬剤分割手段と、薬剤分包手段を有し、前記薬剤秤量手段は、薬剤容器と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器とを有し、前記薬剤分割手段は散薬を投入する薬剤投入部を有し、当該薬剤投入部に投入された散薬を所定の数に分割するものであり、前記薬剤分包手段は、分割された散薬を個別に包装するものであり、前記薬剤容器には散薬が貯留され、前記薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を取り出して秤量容器に移し、秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬を秤量容器に移す動作を実行する薬剤排出制御手段を有し、所定量の散薬が移された秤量容器を前記秤量容器搬送手段によって前記薬剤分割手段の薬剤投入部に移動して散薬を投入し、前記薬剤分割手段によって散薬を所定の数に分割し、前記薬剤分包手段によって個別に包装されることを特徴とする薬剤分包システムである。
【0025】
上記した態様において、前記薬剤分割手段と薬剤分包手段が組み合わされて一つの薬剤分包装置を構成し、前記薬剤秤量手段と前記薬剤分包装置に対して患者情報が送信されることが望ましい。
【0026】
外郭を構成する外郭構成体を有し、上記したいずれかのの薬剤分包システムを構成する部材が、前記外郭構成体の中に収容されていてもよい。
【0027】
同様の課題を解決するもう一つの態様は、散薬が貯留される薬剤容器と、薬剤容器を複数収容する薬剤容器保管部と、秤量容器と、秤量容器を収容する秤量容器保管部と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器設置部と、散薬を所定の数に分割する薬剤分割手段と、秤量容器を移動させる秤量容器搬送手段と、薬剤を個別に包装する薬剤分包手段を有し、秤量容器保管部に収容された秤量容器を秤量容器搬送手段によって秤量容器設置部に移動し、薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を排出して散薬を秤量容器に移し、秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬が秤量容器に移されたことを条件として薬剤排出手段を停止し、散薬が入った秤量容器を秤量容器搬送手段で移動し、散薬を薬剤分割手段に投入して分割し、薬剤分包手段で包装するものであり、上記した各手段が共通の筐体内に収容されていることを特徴とする薬剤分包システムである。
【0028】
上記した態様において、秤量容器保管部は秤量容器を複数収容可能であることが望ましい。
【0029】
上記した各態様において、秤量容器保管部は複数段の棚を有し、未使用の秤量容器及び/又は使用後の秤量容器を収容可能であることが望ましい。
【0030】
上記した各態様において、秤量容器搬送手段によって使用後の秤量容器が所定の位置に移動されることが望ましい。
【0031】
上記した各態様において、薬剤容器保管部には薬剤容器と係合する係合部があり、薬剤容器は横置き姿勢で薬剤容器保管部に設置され、薬剤容器保管部の係合部が薬剤容器と係合することが望ましい。
【0032】
上記した各態様において、薬剤容器保管部の背面側に薬剤容器移動手段があり、薬剤容器移動手段によって薬剤容器を移動することが望ましい。
【0033】
上記した各態様において、粉体フィーダを有し、薬剤分割手段は回転する分配皿を有し、粉体フィーダを介して分配皿に散薬が投入されるものであることが望ましい。
【0034】
同様の課題を解決するもう一つの態様は、散薬が貯留される薬剤容器と、薬剤容器を複数収容する薬剤容器保管部と、秤量容器と、秤量容器を複数収容する秤量容器保管部と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器設置部と、散薬を所定の数に分割する薬剤分割手段と、薬剤を個別に包装する薬剤分包手段を有する薬剤払い出し装置を使用し、秤量容器保管部に収容された秤量容器を自動で秤量容器設置部に移動し、薬剤排出手段によって薬剤容器から散薬を排出して散薬を秤量容器に移し、秤量容器に移された散薬の重量を重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬が秤量容器に移されたことを条件として薬剤排出手段を停止し、散薬が入った秤量容器を自動で移動し、散薬を薬剤分割手段に投入して分割し、薬剤分包手段で包装することを特徴とする薬剤払い出し方法である。
同様の課題を解決するもう一つの態様は、筐体内に薬剤容器保管部と、薬剤容器を設置する薬剤容器設置部と、薬剤排出手段と、重量測定手段と、秤量容器と、秤量容器設置部と、薬剤容器移動手段とを有し、前記薬剤容器には散薬が貯留され、前記薬剤容器を前記薬剤容器設置部に設置した状態で前記薬剤排出手段によって前記薬剤容器から散薬を取り出して前記秤量容器に移し、前記秤量容器に移された散薬の重量を前記重量測定手段で直接的又は間接的に監視し、所定量の散薬が前記秤量容器に移されたことを条件として前記薬剤排出手段が停止されるものであり、前記薬剤容器は、縦長形状であり、前記薬剤容器保管部は、固定された複数段の棚を有し、前記複数段の棚の各々は、前記薬剤容器が複数載置可能であり、前記薬剤容器が嵌りこむ複数の係合部を有し、前記係合部は、長手方向に対して垂直な方向において、底面の幅より上部の投入口の幅の方が広くなっている溝であり、前記薬剤容器の底部が前記係合部に係合して、前記薬剤容器保管部に横方向と高さ方向に複数の前記縦長形状の薬剤容器が水平方向に横置き姿勢で並べられ、前記薬剤容器保管部の背面側に薬剤容器移動手段があり、前記薬剤容器移動手段によって、前記薬剤容器を前記薬剤容器保管部の前面側から背面側に移動して、前記薬剤容器保管部に設置されていた前記薬剤容器を前記薬剤容器設置部に移動する散薬秤量装置である。
好ましい態様は、前記重量測定手段が前側となり、前記薬剤容器設置部が奥側となるレイアウトで設置され、前記薬剤容器は、散薬を排出する薬剤排出部を有し、前記薬剤容器を前記薬剤容器設置部に設置した状態を基準として、前記薬剤排出部の真下の位置に前記秤量容器設置部がある散薬秤量装置である。
さらに好ましい態様は、前記薬剤容器は前記秤量容器設置部に対して前記筐体の前後方向に向けて置かれる散薬秤量装置である。
さらに好ましい態様は、内部に、上記記載の散薬秤量装置と、前記散薬秤量装置で秤量された散薬を所定の数に分割する散薬分配装置と、所定の数に分割された散薬を個別に包装する薬剤包装装置とを備えた薬剤払出し装置において、前記薬剤容器移動手段で前記秤量容器が前記散薬秤量装置から前記散薬分配装置側へ移動される薬剤払出し装置である。
上記した態様において、薬剤を所望の個数に分割して個別に包装する薬剤分包装置が内蔵され、前記薬剤容器移動手段で前記秤量容器が散薬秤量部から散薬分配装置側へ移動されることが望ましい。
上記した各態様において、重量測定手段が前側となり、薬剤容器設置部が奥側となるレイアウトで設置されていることが望ましい。
上記した各態様において、薬剤容器は秤量容器設置部に対して筐体の前後方向に向けて置かれることが望ましい。
上記した各態様において、薬剤容器保管部に薬剤容器が嵌りこむ溝があることが望ましい。
上記した各態様において、計量後の散薬入り容器を筐体外に出すことができることが望ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の散薬秤量装置及び薬剤分包システムによると、散薬を量り出す作業を自動化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施形態の薬剤分包システムの斜視図である。
図2図1の薬剤分包システムを構成する散薬分包装置の概念図である。
図3図1の薬剤分包システムの散薬秤量部の斜視図である。
図4】薬剤容器設置部に薬剤容器を設置した状態の斜視図である。
図5】薬剤容器の断面図である。
図6】薬剤容器設置部の斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態の薬剤分包システムの斜視図である。
図8】(a)は、本発明の他の実施形態の散薬秤量装置の斜視図であり、(b)は、散薬秤量装置に内蔵される散薬秤量部の斜視図である。
図9】(a)は図8に示す散薬秤量装置の正面図であり、(b)はその側面断面図である。
図10図8に示す散薬秤量装置を採用した薬剤分包システムの概念図である。
図11】本発明のさらに他の実施形態の散薬秤量装置の斜視図である。
図12図11の散薬秤量装置であって、移動台を降下して中央の薬剤容器を薬剤容器設置部に設置した状態を示す斜視図である。
図13図11の散薬秤量装置であって、移動台を水平移動して一端側の薬剤容器を容器設置台の上に移動させた状態を示す斜視図である。
図14図11の散薬秤量装置であって、図12の示す状態から移動台を降下して一端側の薬剤容器を薬剤容器設置部に設置した状態を示す斜視図である。
図15図11の散薬秤量装置の断面斜視図であり、(a)は移動台が準備位置にある状態を示し、(b)は移動台を降下して中央の薬剤容器を薬剤容器設置部に設置した状態を示し、(c)は移動台を水平移動して一端側の薬剤容器を容器設置台の上に移動させた状態を示し、(d)は(c)の示す状態から移動台を降下して一端側の薬剤容器を薬剤容器設置部に設置した状態を示す。
図16】本発明の分包システムを実現する薬剤払い出し装置の正面図である。
図17図16の薬剤払い出し装置の側面断面図である。
図18】本発明の他の分包システムを実現する薬剤払い出し装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の薬剤分包システム1は、散薬秤量装置2と、薬剤分包装置3及び秤量皿移動装置(秤量容器搬送手段)5によって構成されている。
薬剤分包装置3は、公知の分配皿方式の散薬分包装置である。
薬剤分包装置3は、図2の様に、内部に粉体フィーダ901と、散薬分配装置902と、薬剤包装装置903とを有している。
また粉体フィーダ901は、ホッパー905及びトラフ910を有している。トラフ910の下には図示しない圧電素子が設けられており、トラフ910を振動させることができる。
【0038】
散薬分配装置902は、図2の様に、分配皿912と、掻出装置915によって構成されている。分配皿912には環状の溝916がある。分配皿912は、モータ919によって回転可能である。分配皿912は、一定の回転速度で連続して回転させることもできるし、一定の回転角度に限定して回動させることもできる。
掻出装置915は、回動させることによって先端が昇降する昇降アームと、掻出機構とによって構成されている。
掻出装置915は、モータによって回転するディスク状の掻寄板917を有し、当該掻寄板917に掻出板918が設けられたものである。
【0039】
薬剤包装装置903は、図2の様に包装用ホッパー920と、包装装置921によって構成されている。
【0040】
秤量皿移動装置5は、公知のロボットである。秤量皿移動装置5は秤量容器収容棚から秤量皿52を取り出して設置台53に載置する秤量容器搬送手段としての機能と、秤量皿52を設置台53から薬剤分包装置3に搬送する秤量容器搬送手段として機能を有している。
【0041】
散薬秤量装置2は、容器棚8と散薬秤量部(散薬秤量装置)10によって構成されている。
容器棚8は、テーブル部11と、薬剤容器保管部12に分かれている。テーブル部11はある程度の面積を有する置き台である。薬剤容器保管部12は薬剤容器を複数設置することができる棚である。
【0042】
薬剤容器30は、密閉型の容器であり、容器本体40と、蓋部材43とによって構成されている。容器本体40は樹脂で作られた縦長の容器である。
蓋部材43は、蓋本体部45と、可動蓋部48を有している。可動蓋部48に摘まみ部50があり、当該摘まみ部50を押圧することにより可動蓋部48が開く。そして可動蓋部48は開かれた状態が維持される。蓋部材43は、図5の様に容器本体40に装着されて薬剤排出部47を構成する。
薬剤容器30には、図5の様に、二面に鉄板が設けられている。一面に設けられた鉄板は、運搬用鉄板部41である。他の面に設けられた鉄板は、薬剤容器30を薬剤容器設置台18に固定するために使用される固定用鉄板部42である。
また薬剤容器30には、RFID(Radio Frequency IDentification)等の情報記録部材15が取り付けられている。また薬剤容器30には、バーコード等が付されている(図示せず)。
薬剤容器30には、特定の散薬が充填されており、前記RFID等の情報記録部材15には、当該散薬の名称、有効期限、収納位置等の各種情報が記録されている。
【0043】
散薬秤量部10は、図3の様に、本体部13と、情報読み取り装置16及びプリンタ17を有している。
本体部13は、土台部20に薬剤容器設置台18及び重量測定手段22が設けられたものである。
本実施形態では、薬剤容器設置台18はケース23内に設置されており、外部からは見えない。またケース23内には散薬秤量装置2の制御装置28も内蔵されている。
【0044】
薬剤容器設置台18は、図6の様な、振動台25を有している。振動台25には、薬剤容器30を一時的に固定する容器保持手段が設けられている。容器保持手段は、具体的には電磁石30a,30bである。振動台25の両端には、加振手段21が傾斜姿勢で取り付けられている。加振手段21は、圧電素子である。
本実施形態では、薬剤容器設置台18に薬剤容器30が載置され、振動台25を振動させて薬剤容器30から薬剤を排出させ、取り出すことができる。本実施形態では、振動台25が薬剤容器設置部としての機能と、薬剤排出手段として機能を兼ねている。
【0045】
重量測定手段22は、公知の電子天秤であり、設置台(秤量容器設置部)53と表示部51がある。設置台53は、秤量皿(秤量容器)52が載置される。表示部51は、秤量皿52に移された散薬の重量を表示するものである。
なお秤量皿(秤量容器)52には、RFIDその他の読み出し、書き込み可能な情報記録部材(図示せず)が設けられている。設置台53の近傍には、情報記録部材に情報を書き込む書き込み装置が設けられている。
【0046】
本実施形態では、重量測定手段22の信号は、散薬秤量装置2の制御装置28に送信される。また前記した薬剤容器設置台18は当該制御装置28によって制御されている。そして重量測定手段22の計量値が所定の値に達すると、薬剤容器設置台18の振動が停止する。
【0047】
本実施形態では、重量測定手段22は、土台部20上であって、薬剤容器設置台18に近接した位置に設置されている。具体的には、薬剤容器30を薬剤容器設置台18に設置した状態を基準として薬剤排出部47の真下の位置に重量測定手段22の設置台53がある。
本実施形態では、重量測定手段22が載置される領域には風防26が設けられている。風防26は、一面に開口27を有し、当該開口27から秤量皿(秤量容器)52を出し入れすることができる。
【0048】
情報読み取り装置16は、薬剤容器30に付されたRFIDやバーコードの情報を読み取るものである。
散薬秤量部(散薬秤量装置)10は、容器棚8のテーブル部11に設置されている。
また薬剤容器保管部12には薬剤容器30が複数個、収容されている。薬剤容器30には異なる種類の散薬が充填されている。
【0049】
次に、薬剤分包システム1の機能について説明する。
薬剤分包システム1では、その近くに図示しない秤量容器収容棚があり、その中に秤量皿52が多数収納されている。
また薬剤分包システム1の制御装置28には、外部のコンピュータ等から処方情報が送信される。処方情報には患者情報が含まれている。処方情報は、重量測定手段22の表示部51に表示される。
【0050】
薬剤師は、表示部51に表示された処方情報に基づいて、必要な薬剤が収容された薬剤容器30を薬剤容器保管部12から選び出し、薬剤容器設置台18の振動台25に設置する。なお薬剤容器設置台18を振動台25に設置する前に、情報読み取り装置16で薬剤容器30のバーコード等を読み出し、処方箋に記載された薬剤であるか否かが確認される。
前記した様に振動台25には、電磁石30a,30bがあり、電磁石30a,30bの磁力によって薬剤容器30の固定用鉄板部42を引きつけられる。その結果、薬剤容器設置台18の振動台25に薬剤容器30が固定される。
【0051】
後の動作は、すべて自動的に実行される。
また秤量皿移動装置5によって秤量容器収容棚から秤量皿52が一個取り出され、重量測定手段22の設置台53に載置される。重量測定手段22の近傍には、図示しない情報書き込み装置があり、設置台53に載置された秤量皿52のRFID等に、外部のコンピュータ等から送信された処方情報が書き込まれる。
その後、薬剤容器設置台18の振動台25が振動を開始する。その結果、薬剤容器30内の散薬が、ゆっくりと薬剤排出部47側に移動し、薬剤排出部47から零れて秤量皿52に落下する。
散薬の落下量は、重量測定手段22たる電子天秤で監視される。そして所定量の散薬が秤量容器たる秤量皿52に移されると、振動台25の振動が停止する。即ち薬剤排出手段が停止される。
なお所定量とは、対象となっている散薬の処方量の総量である。例えば、一回服用量が3グラムであり、一日3回、10日服用するのであれば、90グラムが処方量の総量となる。
【0052】
所定量の散薬が、薬剤容器30から取り出されて秤量皿52に移されたことが確認され、薬剤排出手段が停止すると、秤量皿移動装置5が駆動して重量測定手段22に載置されている秤量皿52を取り出し、薬剤分包装置3に移動させ、秤量皿52を傾けて粉体フィーダ901のホッパー905に投入する。その後は、薬剤分包装置3によって散薬が30包に分包される。
また薬剤分包装置3にも外部のコンピュータ等から処方情報が送信されている。また薬剤分包装置3にはRFIDリーダ等の情報読み取り装置があり、秤量皿52のRFID等に書き込まれた処方情報が読みだされる。そして外部のコンピュータ等から薬剤分包装置3に送信された処方情報と秤量皿52のRFID等に書き込まれた処方情報が比較され、秤量皿52内の散薬が処方情報に則ったものであるか否かが確認される。
なお秤量皿52のRFID等に書き込まれる情報と薬剤分包装置3に送信される情報のいずれか一方、又は双方は、必ずしも処方情報そのものである必要はなく、処方に関係して処方を特定できるものであればよい。少なくとも患者を特定できる患者情報を含むものであれば足る。
【0053】
以上説明した実施形態では、薬剤分包装置3として分配皿方式の散薬分包装置を採用したが、薬剤分包装置3の形式は任意である。図7は、薬剤分包装置3としてV枡方式の散薬分包装置を採用した場合の斜視図である。
重量測定手段22から秤量皿移動装置5によって取り出された秤量皿52をV枡方式の薬剤分包装置3に移動させ、V枡部33に秤量皿52を傾けて散薬を投入することも可能である。その後は手動でV枡内の散薬を均してもよいし、自動で散薬を均す方式を採用してもよい。
【0054】
以上説明した実施形態では、薬剤容器30の選択と、薬剤容器設置台18への移動を人力に頼ったが、これを自動化してもよい。
図8に示す散薬秤量装置60は、薬剤容器30の選択と、薬剤容器設置台18への移動する機能と、秤量皿52を重量測定手段62へ載置する機能を備えたものである。
【0055】
図8に示す散薬秤量装置60は、内部に薬剤容器保管部110と、秤量容器保管部111を有している。散薬秤量装置60では、少なくとも薬剤容器保管部110、秤量容器保管部111、コンベア(秤量容器搬送手段)55及び容器移動手段56が一つの筐体に収容されている。
薬剤容器保管部110は、縦長形状の薬剤容器30を横置き姿勢で並べるものである。薬剤容器保管部110には、係合部112が形成されている。係合部112は、溝であり、薬剤容器30の底部が係合する。
【0056】
散薬秤量装置60は中間高さの位置に散薬秤量部(散薬秤量装置)61がある。散薬秤量部61は、図8(b)の様に薬剤容器設置台18と重量測定手段62が設けられたものである。薬剤容器設置台18は、前記した実施形態で採用したものと実質的に同じである。重量測定手段62は、公知の電子天秤であり、設置台(秤量容器設置部)53を有している。
散薬秤量装置60は、重量測定手段62が前側となり、薬剤容器設置台18が奥側となるレイアウトで設置されている。
【0057】
秤量容器保管部111は、散薬秤量部61と同じ高さの位置に設けられている。秤量容器保管部111は、秤量容器収容棚63によって構成されている。
即ち散薬秤量部61の両側には、秤量容器収容棚63がある。一方の秤量容器収容棚は未使用の秤量皿52が収容された未使用皿収容棚63aであり、他方の秤量容器収容棚には使用済みの秤量皿52が戻される、秤量済み皿収容棚63bである。
秤量容器収容棚63は、図8図9図10の様に未使用の秤量容器と使用後の秤量皿(秤量容器)52を複数段に収容可能である。
未使用皿収容棚63aと重量測定手段62の設置台53の間にはコンベア(秤量容器搬送手段)55があり、未使用皿収容棚内の秤量皿52は、コンベア55によって設置台53に移載される。
使用済みの秤量皿52は、コンベア55によって秤量済み皿収容棚63bに戻される。 また、先の実施形態と同様に、秤量皿52には図示しないRFIDを搭載しておき、処方情報と紐づけ可能な情報をRFIDに書き込んでおく。そして秤量皿52が後に薬剤分包装置3に搬送され、薬剤分包装置3に散薬が投入される前に、薬剤分包装置3のRFIDリーダーにより秤量皿52のRFID等に書き込まれた情報を読み取り、薬剤分包装置3に送信された処方情報と照合する。これにより誤った薬剤が分包されることを防止することができる。
【0058】
散薬秤量装置60の内部には、図9(b)の様に容器移動手段56が有る。図9(b)では、容器移動手段56は、薬剤容器保管部110の背面側にある。
容器移動手段56は、図9(b)の様に昇降機構57及びロボット58によって構成されている。
【0059】
次に、散薬秤量装置60の機能について説明する。
散薬秤量装置60では、内部のコンベア55によって未使用の秤量皿52が未使用皿収容棚63aから取り出され、重量測定手段62の設置台53に載置される。
また本実施形態の散薬秤量装置60についても、外部のコンピュータ等から処方情報が送信される。なお処方情報は、表示部51に表示される。
本実施形態の散薬秤量装置60では、処方情報に基づいて、必要な薬剤容器30が選び出され、容器移動手段56によって薬剤容器設置台18の振動台25に設置される。
そして先の実施形態と同様に所定量の散薬が秤量皿52に移される。さらに図示しない秤量皿移動装置5が駆動して秤量皿52を取り出し、薬剤分包装置3に移動させて分包される。
また薬剤分包装置3に散薬を投入し、空になった秤量皿52は、秤量皿移動装置5によって図示しない使用済み皿収容棚に戻されて貯留されるようにしてもよい。
【0060】
図10は、散薬秤量装置60を使用した薬剤分包システム80の一例を示す概念図である。薬剤分包システム80は、散薬秤量装置(薬剤秤量手段)60と、秤量皿移動コンベヤ(秤量容器搬送手段)81と、薬剤分包装置3を有している。
秤量皿移動コンベヤ81は、散薬秤量装置60と薬剤分包装置3の間に設けられた搬送装置であり、薬剤分包装置3の近傍に図示しない秤量皿反転装置が設けられている。
薬剤分包装置3は、散薬分配装置(薬剤分割手段)902と、薬剤包装装置(薬剤分包手段)903を有している。
散薬分配装置902は散薬を投入するホッパー(薬剤投入部)905を有し、ホッパー905に投入された散薬を所定の数に分割するものである。
薬剤包装装置903は、分割された散薬を個別に包装するものである。
散薬秤量装置60は、前記した様に、薬剤排出手段によって薬剤容器30から散薬を取り出して秤量皿52に移し、秤量皿52に移された散薬の重量を重量測定手段62で直接的に監視し、所定量の散薬を秤量皿52に移す動作を実行する薬剤排出制御手段を有している。
そして所定量の散薬が移された秤量皿52は、秤量皿移動コンベヤ81によって散薬分配装置902の近傍に搬送され、図示しない秤量皿反転装置によって秤量皿52が傾斜姿勢となってホッパー(薬剤投入部)905に散薬が投入される。そして薬剤分包装置3によって薬剤が所定の数に分割され、個別に包装される。
【0061】
さらに図11以下を参照しつつ、別構造の散薬秤量装置65について説明する。
図11に示す散薬秤量装置65は、本体部66と秤量容器棚67を有している。本体部66は、あたかも前述した散薬秤量部10に、薬剤容器移動手段68を取り付けたものであると言える。
即ち本体部66は、土台部20に薬剤容器設置台18及び重量測定手段22が設けられたものである。
薬剤容器設置台18及び重量測定手段22は、先の実施形態で採用したものと同じものである。
【0062】
薬剤容器移動手段68は、移動台70を有している。移動台70は、図示しないモータによって、上下方向と水平方向に移動して姿勢変更する機能を備えている。
即ち移動台70は、昇降柱71から片持ち状に張り出したものである。昇降柱71は、図示しないモータによって、昇降し、図10の様な上昇位置と、図12の様な降下位置をとることができる。
また昇降柱71の中には、図示しない横行手段があり、図12及び図13の様に、移動台70は昇降柱71に対して直線的に水平移動する。即ち移動台70は、水平面内で移動する。
【0063】
移動台70には、図15の様に開口72が設けられている。そして開口72に薬剤容器30を装着することができる。薬剤容器30は、開口の上部から挿入される。開口内には、図示しない係合部があり、薬剤容器30の一部が開口72内の係合部と係合して落下することが防がれる。しかしながら、薬剤容器30を開口の下から突き上げると、薬剤容器30は、移動台70に対して相対的に上昇することとなる。
【0064】
本実施形態では、移動台70は、開口72を3個有し、各開口72に、薬剤容器30の下部が嵌まり込んだ状態となっている。本実施形態では、移動台70は、薬剤容器保管部としても機能する。移動台70は、複数の薬剤容器30を同一平面に並べて複数収容すると共に薬剤容器30を水平移動して姿勢変更する薬剤容器保管部である。
【0065】
秤量容器棚67には図示しないコンベア(秤量容器搬送手段)が内蔵されている。
次に、散薬秤量装置65の機能について説明する。
散薬秤量装置65では、図示しないコンベア(秤量容器搬送手段)によって秤量皿52が秤量容器棚67から取り出され、重量測定手段22の設置台53に載置される。
また本実施形態の散薬秤量装置60についても、外部のコンピュータ等から処方情報が送信される。
本実施形態の散薬秤量装置65でも、処方情報に基づいて、対象の薬剤が収容された薬剤容器が選択され、移動台に3個の薬剤容器30が載置される。さらに載置された3個の薬剤容器30から処方情報に基づく必要な薬剤容器30が選ばれ、薬剤容器移動手段68によって薬剤容器設置台18の振動台25に設置される。
【0066】
薬剤容器移動手段68の動作は特異である。
即ち本実施形態の散薬秤量装置65では、図11図15(a)の様に移動台が上部位置にある状態が準備位置である。
この状態で移動台(薬剤容器保管部)70を水平移動させ、必要な薬剤容器30を薬剤容器設置台18の真上の位置に移動させる。準備位置において、必要な薬剤容器30が薬剤容器設置台18の真上の位置にあるならば、その位置を保つ。必要な薬剤容器30が薬剤容器設置台18からずれているならば、図13図15(c)の様に、移動台70を水平に直線移動し、必要な薬剤容器30を薬剤容器設置台18の真上の位置に移動させる。
【0067】
そしてこの状態で、図13図15(b)、図14図15(d)の様に、移動台を降下させる。その結果、薬剤容器30の下面が、薬剤容器設置台18の振動台25に当たり、薬剤容器30はそれ以上には降下しない。
一方、移動台70は降下を続ける。その結果、薬剤容器30は振動台25によって下から突き上げられた状態となり、図12図15(b)、図14図15(d)の様に、開口72から上方に突出した状態となり、薬剤容器30は移動台70による拘束から開放される。また薬剤容器30は、薬剤容器設置台18に着地し、固定される。
【0068】
そして振動台25が振動し、先の実施形態と同様に所定量の散薬が秤量皿52に移される。さらに図示しない秤量皿移動装置5が駆動して秤量皿52を取り出し、隣の薬剤分包装置3に移動させて分包される。
【0069】
図1に示した薬剤分包システム1では、散薬秤量装置2は、容器棚8と散薬秤量部10を備えているが、散薬秤量部10の本体部13だけでも請求項に記載した散薬秤量装置の要件を具備している。
【0070】
以上説明した実施形態では、重量測定手段22として電子天秤を採用し、当該電子天秤を薬剤容器30から散薬が落下する位置に配置したが、薬剤容器設置台18に重量測定機能を持たせてもよい。
例えば薬剤容器設置台18の下や、薬剤容器設置台18の内部に重量測定手段を設け、薬剤容器の重量を常時監視する。薬剤容器30を設置した時点から散薬を排出している際の重量差から散薬の排出量を間接的に検知し、この値が所定の値に達すると振動台25の振動を停止する。
【0071】
以上説明した実施形態では、薬剤排出手段として振動台25を採用し、薬剤容器30を振動させて散薬を取り出した。本実施形態では、薬剤排出手段たる振動台25は、薬剤容器30に外力を加えて振動させる外力付与手段であり、外力付与手段が薬剤容器30に与える外力による振動によって薬剤容器30から散薬を排出するものである。
他の薬剤排出手段としては、器具を薬剤容器30に入れて散薬を掻き出す方法や、薬剤容器内に螺旋コンベア等を内蔵させ、外部から螺旋コンベア等を駆動する方法が考えられる。
例えば薬剤排出手段の一部として掻き出し部材や螺旋コンベアがあり、当該体掻き出し部材や螺旋コンベアが薬剤容器内にある。そして外部に設けられたモータ等の外力付与手段によって薬剤容器内の掻き出し部材や螺旋コンベアを駆動することによって散薬排出部から散薬を排出する。
薬剤容器内にモータを内蔵させてもよい。また薬剤容器にモータを外付けしてもよい。空気圧や風を利用して薬剤容器から薬剤を排出してもよい。
【0072】
また薬剤容器の内面に薬剤排出手段の一部となる螺旋形状の溝を設け、外力付与手段によって薬剤容器を回転して散薬を排出させる方法も考えられる。
【0073】
上記した薬剤分包システム1、80を構成する装置の幾つかを組み合わせて一つの装置としてもよい。また薬剤分包システム1、80を構成する装置の全てを組み合わせて一つの装置としてもよい。
図16図17に示した薬剤払い出し装置100は、図10に示した薬剤分包システム80を一つの装置に組み込んだものである。
薬剤払い出し装置100は、外郭を構成する筐体(外郭構成体)101を有し、容器保管部(薬剤容器保管部)12と、秤量容器収容棚(秤量容器保管部)63と、散薬分配装置(薬剤分割手段)902と、昇降機構(薬剤容器移動手段)57及びロボット(薬剤容器移動手段)58と、コンベア(秤量容器搬送手段)55と、秤量皿移動コンベヤ(秤量容器搬送手段)81と、包装装置(薬剤分包手段)921が筐体(外郭構成体)101の中に収容されている。
【0074】
図18に示した薬剤払い出し装置115は、図11に示した散薬秤量装置65を一つの装置に組み込んだものである。薬剤払い出し装置115についても、外郭を構成する筐体(外郭構成体)112を有し、その中に各構成部材が収容されている。
【0075】
以上説明した実施形態では、2種類の秤量容器搬送手段を備えている。即ち薬剤分包システム1、80及び薬剤払い出し装置100では、秤量容器収容棚63から秤量皿52を取り出して散薬秤量部(散薬秤量装置)61に搬送する秤量容器搬送手段(コンベア55)と、散薬秤量部61から散薬分配装置902側に秤量皿52を移動させる秤量容器搬送手段(秤量皿移動コンベヤ81)を有している。しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、一つの搬送手段で秤量容器収容棚63から散薬秤量装置61への移動と、散薬秤量部61から散薬分配装置902側への移動を行ってもよい。
例えば図9図17の容器保管部(薬剤容器保管部)112の背面に設けられた容器移動手段56で、秤量皿52を移動させてもよい。
【0076】
上記した実施形態では、秤量容器の例として秤量皿を示したが秤量容器の形状は皿に限定されるものではなく、より深さが深いものであってもよい。
【0077】
図8図9図10に示した秤量容器収容棚63では、作図の関係上、棚板の図示を省略している。図8図9図10に示した秤量容器収容棚63には複数段の棚板があり、未使用の秤量容器及び使用後の秤量容器(秤量皿52)を複数段に収容することができるものである。
また作図の関係上、秤量皿52は正面にあるものだけが図示されているが、実際には、その奥にも複数個の秤量皿52が並んでいる。
もちろん、各棚に秤量皿52を一個ずつ置いてもよい。
秤量容器収容棚63の配置位置は任意である。
【符号の説明】
【0078】
1、80 薬剤分包システム
2 散薬秤量装置
3 薬剤分包装置
5 秤量皿移動装置(秤量容器搬送手段)
8 容器棚
10 散薬秤量部(散薬秤量装置)
18 薬剤容器設置台
22 重量測定手段
25 振動台
30 薬剤容器
52 秤量皿(秤量容器)
53 設置台(秤量容器設置部)
56 容器移動手段
57 昇降機構
60 散薬秤量装置
61 散薬秤量部(散薬秤量装置)
62 重量測定手段
63 秤量容器収容棚
65 散薬秤量装置
67 秤量容器棚
68 薬剤容器移動手段
70 移動台
72 開口
81 秤量皿移動コンベヤ(秤量容器搬送手段)
112 筐体
902 散薬分配装置(薬剤分割手段)
903 薬剤包装装置(薬剤分包手段)
905 ホッパー(薬剤投入部)
図1
図2
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図5
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