(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷装置、印刷システムの制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231129BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231129BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F3/12 367
G06F3/12 310
G06F3/12 361
B41J29/38 201
B41J29/38 301
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2018232879
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2021-11-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 順平
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-151796(JP,A)
【文献】特開2014-089591(JP,A)
【文献】特開2005-100261(JP,A)
【文献】特開2004-328276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを生成する印刷制御装置と、
印刷サーバーと、
複数の印刷装置と、を備え、
前記印刷制御装置で生成された前記印刷ジョブは、複数の前記印刷装置のうちいずれかの前記印刷装置と、前記印刷サーバーと、に保存され、
前記印刷装置は、自装置以外の前記印刷装置に保存された前記印刷ジョブのジョブ関連情報と、前記印刷ジョブが保存された前記印刷装置の識別情報と、を対応付けた印刷ジョブ保存情報を前記印刷サーバーから取得し、
複数の前記印刷装置のうち、前記印刷サーバーおよび前記印刷装置に保存された前記印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブの指定が行われ
る前記印刷装置である指定印刷装置は
、
前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合、自装置に保存されている前記印刷対象ジョブを印刷し、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合、前記印刷対象ジョブが保存されている前記印刷装置に対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことなく、前記印刷サーバーに対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことで、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得し、取得した前記印刷対象ジョブを印刷し
、
前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されておらず、且つ、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得できない場合、前記印刷ジョブ保存情報に基づいて、前記印刷対象ジョブが保存されている前記印刷装置を特定する情報を、ユーザーに提示することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
印刷ジョブを生成する印刷制御装置と、印刷サーバーと、の双方と通信可能な複数の印刷装置のうちいずれかの印刷装置として用いられる印刷装置であって、
制御部と、
印刷部と、を備え、
前記制御部は、
前記印刷制御装置から前記印刷ジョブを取得すると、取得した前記印刷ジョブを自装置に保存すると共に、取得した前記印刷ジョブを前記印刷サーバーに送信して前記印刷サーバーに保存させ、
自装置以外の前記印刷装置に保存された前記印刷ジョブのジョブ関連情報と、前記印刷ジョブが保存された前記印刷装置の識別情報と、を対応付けた印刷ジョブ保存情報を前記印刷サーバーから取得し、
複数の前記印刷装置のうちいずれかの前記印刷装置および前記印刷サーバーに保存された前記印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブが指定されると、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合は、自装置に保存されている前記印刷対象ジョブを前記印刷部に印刷させ、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合は、前記印刷対象ジョブが保存されている前記印刷装置に対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことなく、前記印刷サーバーに対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことで、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得し、取得した前記印刷対象ジョブを前記印刷部に印刷させ
、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されておらず、且つ、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得できない場合は、前記印刷ジョブ保存情報に基づいて、前記印刷対象ジョブが保存されている前記印刷装置を特定する情報を、ユーザーに提示することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
印刷ジョブを生成する印刷制御装置と、
印刷サーバーと、
複数の印刷装置と、を備えた印刷システムの制御方法であって、
前記印刷制御装置で生成された前記印刷ジョブは、複数の前記印刷装置のうちいずれかの前記印刷装置と、前記印刷サーバーと、に保存され、
前記印刷装置は、自装置以外の前記印刷装置に保存された前記印刷ジョブのジョブ関連情報と、前記印刷ジョブが保存された前記印刷装置の識別情報と、を対応付けた印刷ジョブ保存情報を前記印刷サーバーから取得し、
複数の前記印刷装置のうち、前記印刷サーバーおよび前記印刷装置に保存された前記印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブの指定が行われ
る前記印刷装置である指定印刷装置は
、
前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合、自装置に保存されている前記印刷対象ジョブを印刷し、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合、前記印刷対象ジョブが保存されている前記印刷装置に対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことなく、前記印刷サーバーに対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことで、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得し、取得した前記印刷対象ジョブを印刷し
、
前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されておらず、且つ、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得できない場合、前記印刷ジョブ保存情報に基づいて、前記印刷対象ジョブが保存されている前記印刷装置を特定する情報を、ユーザーに提示することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項4】
印刷ジョブを生成する印刷制御装置と、印刷サーバーと、の双方と通信可能な複数の印刷装置のうちいずれかの印刷装置として用いられる印刷装置の制御部に、
前記印刷制御装置から前記印刷ジョブを取得すると、取得した前記印刷ジョブを自装置内に保存すると共に、取得した前記印刷ジョブを前記印刷サーバーに送信して前記印刷サーバーに保存させるステップと、
自装置以外の前記印刷装置に保存された前記印刷ジョブのジョブ関連情報と、前記印刷ジョブが保存された前記印刷装置の識別情報と、を対応付けた印刷ジョブ保存情報を前記印刷サーバーから取得するステップと、
複数の前記印刷装置のうちいずれかの前記印刷装置および前記印刷サーバーに保存された前記印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブが指定されると、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合は、自装置に保存されている前記印刷対象ジョブを印刷部に印刷させ、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合は、前記印刷対象ジョブが保存されている他の印刷装置に対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことなく、前記印刷サーバーに対して前記印刷対象ジョブの要求を行うことで、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得し、取得した前記印刷対象ジョブを前記印刷部に印刷させ
、前記印刷対象ジョブが、自装置に保存されておらず、且つ、前記印刷サーバーから前記印刷対象ジョブを取得できない場合は、前記印刷ジョブ保存情報に基づいて、前記印刷対象ジョブが保存されている前記印刷装置を特定する情報を、ユーザーに提示するステップと、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブを印刷する印刷システム、印刷装置、印刷システムの制御方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、印刷ジョブのジョブ情報を管理する管理サーバーと、複数の印刷装置と、を備えた印刷システムが知られている。この印刷システムでは、複数の印刷装置のうち、任意の印刷装置である第1印刷装置に印刷ジョブが送信されると、第1印刷装置において印刷ジョブを保存すると共に、印刷ジョブの書誌情報を管理サーバーに送信する。その後、複数の印刷装置のうち、第1印刷装置以外の印刷装置である第2印刷装置において、認証が行われ、第1印刷装置に保存されている印刷ジョブが印刷対象として指定されると、管理サーバーで管理されている書誌情報に基づき、管理サーバーを介して、第1印刷装置から印刷ジョブを取得して印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の印刷システムでは、複数の印刷装置を備えているにも関わらず、印刷ジョブが保存されている第1印刷装置や管理サーバーが使用不可能な状態となってしまった場合、印刷ジョブを印刷できないといった不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷システムは、印刷ジョブを生成する印刷制御装置と、印刷サーバーと、複数の印刷装置と、を備え、印刷制御装置で生成された印刷ジョブは、複数の印刷装置のうちいずれかの印刷装置と、印刷サーバーと、に保存され、複数の印刷装置のうち、印刷サーバーおよび印刷装置に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブの指定が行われた印刷装置である指定印刷装置は、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合、自装置に保存されている印刷対象ジョブを印刷し、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合、印刷サーバーから、印刷サーバーに保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブを印刷する。
【0006】
本発明の印刷装置は、制御部と、印刷部と、を備え、制御部は、印刷制御装置から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを自装置に保存すると共に、取得した印刷ジョブを印刷サーバーに送信して印刷サーバーに保存させ、印刷サーバーおよび自装置に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブが指定されると、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合は、自装置に保存されている印刷対象ジョブを印刷部に印刷させ、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合は、印刷サーバーから、印刷サーバーに保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブを印刷部に印刷させる。
【0007】
本発明の印刷システムの制御方法は、印刷ジョブを生成する印刷制御装置と、印刷サーバーと、複数の印刷装置と、を備えた印刷システムの制御方法であって、印刷制御装置で生成された印刷ジョブは、複数の印刷装置のうちいずれかの印刷装置と、印刷サーバーと、に保存され、複数の印刷装置のうち、印刷サーバーおよび印刷装置に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブの指定が行われた印刷装置である指定印刷装置は、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合、自装置に保存されている印刷対象ジョブを印刷し、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合、印刷サーバーから、印刷サーバーに保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブを印刷する。
【0008】
本発明のプログラムは、制御部と、印刷部と、を備えた印刷装置の制御部に、印刷制御装置から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを自装置内に保存すると共に、取得した印刷ジョブを印刷サーバーに送信して印刷サーバーに保存させるステップと、印刷サーバーおよび自装置に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブが指定されると、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合は、自装置に保存されている印刷対象ジョブを印刷部に印刷させ、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合は、印刷サーバーから、印刷サーバーに保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブを印刷部に印刷させるステップと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】PCのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】プリンターのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】サーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】プリンター内印刷ジョブリストの一例を示す図である。
【
図6】サーバー内印刷ジョブリストの一例を示す図である。
【
図7】プリンタータブが選択された場合の印刷ジョブ指定画面の一例を示す図である。
【
図8】サーバータブが選択された場合の印刷ジョブ指定画面の一例を示す図である。
【
図9】印刷ジョブ保存処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】認証印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図10に続く認証印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図10に続く認証印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態に係る印刷ジョブ保存処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第2実施形態に係る認証印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】
図14に続く認証印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第2実施形態に係る印刷ジョブ指定画面の一例を示す図である。
【
図17】第2実施形態に係る印刷ジョブ指定画面の一例を示す図である。
【
図18】第2実施形態に係る情報提供画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、一実施形態に係る印刷システム、印刷装置、印刷システムの制御方法、およびプログラムについて、添付図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る印刷システムSYのシステム構成図である。印刷システムSYは、1台以上のPC(Personal Computer)1と、1台以上のプリンター2と、サーバー3と、これらを接続するネットワークNWと、を備える。同図では、1台のPC1と2台のプリンター2を含む印刷システムSYを示している。PC1は、「印刷制御装置」の一例であり、プリンター2は、「印刷装置」の一例であり、サーバー3は、「印刷サーバー」の一例である。なお、ネットワークNWとしては、例えばLAN(Local Area Network)やインターネット通信網を採用可能である。
【0011】
PC1は、印刷ジョブを生成し、生成した印刷ジョブを送信する。本実施形態において、PC1は、ネットワークNWに接続された複数のプリンター2のうち、いずれかのプリンター2を宛先として印刷ジョブを送信する。また、本実施形態では、PC1が宛先として指定可能なプリンター2として、Aプリンター2aと、Bプリンター2bの2台がネットワークNWに接続されているものとする。
【0012】
プリンター2は、認証印刷機能に対応しており、ユーザー認証を行う。ユーザーは、認証印刷を行う際、まずPC1からプリンター2を指定して印刷指示を行う。その後、ユーザーは、プリンター2の設置場所に行き、認証操作を行う。ユーザーは、例えば、自身のIDカードを、プリンター2のカードリーダー22(
図3参照)にかざすことにより認証操作を行う。プリンター2は、IDカードから読み取った情報に基づいてユーザー認証を行い、認証が成功すると、IDカードから読み取った情報に対応する印刷ジョブの一覧を、印刷ジョブを指定するためのリストとして表示する。以下、印刷ジョブを指定するためのリストを、「印刷ジョブ指定リスト」という。印刷ジョブ指定リストは、「ユーザー用印刷ジョブ指定リスト」の一例である。プリンター2は、表示した印刷ジョブ指定リストのなかから、ユーザーにより指定された印刷ジョブの印刷を行う。
【0013】
サーバー3は、PC1から送信された印刷ジョブを保存し、プリンター2の要求に応じて、保存しておいた印刷ジョブをプリンター2に送信する。本実施形態では、PC1からプリンター2に印刷ジョブが送信されると、印刷ジョブが送信されたプリンター2は、その印刷ジョブを、自装置に保存すると共にサーバー3に送信する。サーバー3は、プリンター2から送信された印刷ジョブを自装置に保存する。その後、プリンター2において、認証操作と印刷ジョブの指定操作が行われると、プリンター2は、指定された印刷ジョブが自装置に保存されているか否かを判別する。プリンター2は、指定された印刷ジョブが自装置に保存されている場合、自装置に保存されている印刷ジョブを印刷する。一方、プリンター2は、指定された印刷ジョブが自装置に保存されていない場合、サーバー3に対し、指定された印刷ジョブの送信を要求する。サーバー3は、この要求に対して、自装置に保存されている印刷ジョブを、要求されたプリンター2に送信する。プリンター2は、サーバー3から印刷ジョブを取得し、取得した印刷ジョブを印刷する。
【0014】
図2は、PC1のハードウェア構成を示すブロック図である。PC1は、PC制御部11と、PC操作部12と、PC表示部13と、PC通信部14と、PC記憶部15と、を備える。
【0015】
PC制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーの他、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を含み、PC1内の各部を制御する。PC操作部12は、例えばキーボードやマウスであり、印刷アプリケーション42の操作や、プリンター2に対する印刷指示など、ユーザーが各種操作を行うために用いられる。PC表示部13は、例えば液晶ディスプレーであり、印刷アプリケーション42の表示画面など、各種情報を表示する。PC通信部14は、ネットワークNWを介して、プリンター2およびサーバー3と通信を行う。
【0016】
PC記憶部15は、例えばHDD(Hard Disk Drive)であり、OS(Operating System)41、印刷アプリケーション42および印刷ドライバー43などを記憶する。OS41は、印刷アプリケーション42および印刷ドライバー43など、各種アプリケーションプログラムを動作させるための基本ソフトウェアである。印刷アプリケーション42は、印刷対象となる画像や文書などを作成するためのアプリケーションプログラムである。
【0017】
印刷ドライバー43は、プリンター2が読み取り可能なコマンド体系の印刷データを生成するなど、プリンター2の印刷制御を行うための制御プログラムである。PC制御部11は、この印刷ドライバー43に基づいて、ユーザーから、印刷ジョブの宛先となるプリンター2の指定や印刷指示を受け付ける。また、PC制御部11は、この印刷ドライバー43に基づいて、印刷ジョブに、ユーザーを特定する特定情報を付加し、特定情報が付加された印刷ジョブを、宛先として指定されたプリンター2に送信する。なお、PC制御部11は、印刷ジョブに特定情報を付加するのではなく、特定情報を含む印刷ジョブを生成してもよい。
【0018】
図3は、プリンター2のハードウェア構成を示すブロック図である。プリンター2は、プリンター制御部21と、カードリーダー22と、プリンター操作部23と、プリンター表示部24と、プリンターエンジン25と、プリンター通信部26と、プリンター記憶部27と、を備える。プリンター2の印刷方式は、特に限定しないが、例えばインクジェット方式、電子写真方式 、熱転写方式、感熱式などが考えられる。プリンター制御部21は、「制御部」の一例であり、プリンターエンジン25は、「印刷部」の一例である。
【0019】
プリンター制御部21は、CPU等のプロセッサー、ROMおよびRAM等を含み、プリンター2内の各部を制御する。カードリーダー22は、ユーザーのIDカードを読み取る。プリンター制御部21は、カードリーダー22で読み取った情報に基づいてユーザー認証を行う。
【0020】
なお、本実施形態において、プリンター制御部21は、カードリーダー22によるIDカードの読み取りによって、後述するユーザーIDと対応付け可能なID情報を取得するものとする。ID情報は、「ユーザーから取得した情報」の一例である。
【0021】
プリンター操作部23は、キー入力による認証操作など、ユーザーがプリンター2に対する各種操作を行うために用いられる。プリンター表示部24は、印刷ジョブ指定リストなど、各種情報を表示する。なお、本実施形態において、プリンター表示部24は、印刷ジョブ指定リストとして、プリンター用指定リストL3(
図7参照)と、サーバー用指定リストL4(
図8参照)を表示する。プリンター用指定リストL3は、ユーザーが認証操作を行ったプリンター2に保存されている印刷ジョブを指定するためのリストであり、サーバー用指定リストL4は、ユーザーが認証操作を行ったプリンター2に保存されていない印刷ジョブを指定するためのリストである。
【0022】
プリンターエンジン25は、コピー用紙等の印刷媒体に印刷を行う印刷機構である。例えば、プリンター2がインクジェットプリンターの場合、プリンターエンジン25には、インクジェットヘッド、ヘッド駆動機構、印刷媒体搬送機構などが含まれる。プリンター通信部26は、ネットワークNWを介して、PC1およびサーバー3と通信を行う。
【0023】
プリンター記憶部27は、例えばフラッシュメモリーであり、ファームウェア45、プリンター内ユーザーリスト46、プリンター内印刷ジョブリストL1およびプリンター内データベースD1などを記憶する。ファームウェア45は、「プログラム」の一例である。
【0024】
ファームウェア45は、プリンター2を制御するための制御プログラムである。プリンター制御部21は、このファームウェア45に基づいて、PC1やサーバー3との通信制御や、プリンターエンジン25の印刷制御などを行う。また、プリンター制御部21は、このファームウェア45に基づいて、ユーザー認証や、プリンター内印刷ジョブリストL1の生成も行う。
【0025】
プリンター内ユーザーリスト46は、印刷システムSYを利用可能なユーザーについて、ユーザーIDと、特定情報と、ID情報と、を対応付けて記憶したリストである。プリンター制御部21は、カードリーダー22によるIDカードの読み取りによって取得したID情報が、プリンター内ユーザーリスト46に含まれる場合、ユーザー認証成功と判定する。なお、カードリーダー22でIDカードを読み取ってユーザー認証を行うのではなく、キー入力されたユーザーIDとパスワードを取得してユーザー認証を行ってもよい。この場合、プリンター内ユーザーリスト46には、ユーザーIDと対応付けてパスワードも記憶される。
【0026】
プリンター内印刷ジョブリストL1は、PC1から送信された印刷ジョブのリストである。
図5は、プリンター内印刷ジョブリストL1の一例を示す図である。同図のプリンター内印刷ジョブリストL1は、Bプリンター2bに記憶されたものとする。プリンター内印刷ジョブリストL1は、印刷ジョブごとに、ジョブ関連情報を記憶したものである。ジョブ関連情報には、ユーザーIDと、ジョブ名と、受信日時と、が含まれる。ユーザーIDは、プリンター内ユーザーリスト46において、印刷ジョブに付加された特定情報と対応付けられている。つまり、プリンター制御部21は、印刷ジョブを取得すると、プリンター内ユーザーリスト46を参照し、印刷ジョブに付加された特定情報に対応するユーザーIDを読み出して、プリンター内印刷ジョブリストL1に記録する。また、ジョブ名は、印刷ジョブに付与された名称である。また、受信日時は、プリンター2がPC1から印刷ジョブを受信した日時である。例えば、同図に示すプリンター内印刷ジョブリストL1の最上段は、Bプリンター2bが、ユーザーID「001」が付加されたジョブ名「Print_2」の印刷ジョブを、2018年11月11日の12時35分07秒に受信したことを示す。このように、Bプリンター2bに記憶されるプリンター内印刷ジョブリストL1は、Bプリンター2bを宛先として送信された印刷ジョブのみを対象として記憶される。
【0027】
一方、プリンター内データベースD1は、PC1から送信された印刷ジョブを記憶するデータベースである。プリンター内データベースD1が、Bプリンター2bに記憶されている場合、このプリンター内データベースD1には、Bプリンター2bが宛先となった印刷ジョブのみが記憶される。なお、プリンター制御部21は、自装置のプリンター内データベースD1に保存されている印刷ジョブを印刷した場合、対象となる印刷ジョブをプリンター内データベースD1内から削除するだけでなく、プリンター内印刷ジョブリストL1内の対象となる印刷ジョブの情報も削除する。同様に、プリンター制御部21は、サーバー3から、印刷ジョブ削除命令を取得した場合、対象となる印刷ジョブをプリンター内データベースD1内から削除するだけでなく、プリンター内印刷ジョブリストL1内の対象となる印刷ジョブの情報も削除する。
【0028】
図4は、サーバー3のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバー3は、サーバー制御部31と、サーバー通信部32と、サーバー記憶部33と、を備える。
【0029】
サーバー制御部31は、CPU等のプロセッサー、ROMおよびRAM等を含み、サーバー3内の各部を制御する。サーバー通信部32は、ネットワークNWを介して、PC1およびプリンター2と通信を行う。
【0030】
サーバー記憶部33は、例えばHDDであり、OS47、認証印刷プログラム48、サーバー内ユーザーリスト49、サーバー内印刷ジョブリストL2およびサーバー内データベースD2などを記憶する。OS47は、認証印刷プログラム48などのアプリケーションプログラムを動作させるための基本ソフトウェアである。認証印刷プログラム48は、認証印刷を行うためのアプリケーションプログラムである。サーバー制御部31は、この認証印刷プログラム48に基づいて、PC1やプリンター2との通信制御や、サーバー内印刷ジョブリストL2の生成などを行う。サーバー内ユーザーリスト49は、印刷システムSYを利用可能なユーザーについて、ユーザーIDと、特定情報と、を対応付けて記憶したリストである。
【0031】
サーバー内印刷ジョブリストL2は、PC1が送信した全ての印刷ジョブを対象としたリストである。上記のとおり、プリンター2は、PC1から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブをサーバー3に送信する。サーバー制御部31は、印刷システムSY内の各プリンター2から送信された印刷ジョブについて、サーバー内印刷ジョブリストL2を生成する。このとき、サーバー制御部31は、サーバー内ユーザーリスト49を参照し、印刷ジョブに付加された特定情報に対応するユーザーIDを読み出して、サーバー内印刷ジョブリストL2に記録する。
【0032】
図6は、サーバー内印刷ジョブリストL2の一例を示す図である。サーバー内印刷ジョブリストL2は、印刷ジョブごとに、ジョブ関連情報と、プリンター識別情報と、を対応付けて記憶したものである。このうち、プリンター識別情報は、印刷ジョブの送信元となるプリンター2の識別情報である。サーバー3は、プリンター2のIPアドレスと、プリンター識別情報と、を対応付けたプリンターテーブルを記憶しており、印刷ジョブの送信元となるプリンター2のIPアドレスに基づいて、プリンター識別情報を判定する。同図において、Aプリンター2aのプリンター識別情報は「A」、Bプリンター2bのプリンター識別情報は「B」である。このように、サーバー内印刷ジョブリストL2には、サーバー3が、印刷システムSYに含まれる全てのプリンター2から取得した印刷ジョブが記録される。
【0033】
図7および
図8は、プリンター用指定リストL3およびサーバー用指定リストL4を表示する印刷ジョブ指定画面50の一例を示す図である。両図は、ユーザーID「0001」のユーザーが、Bプリンター2bに認証を行った場合の表示例を示している。両図に示すように、印刷ジョブ指定画面50は、プリンタータブ51の選択によって表示されるプリンター用指定リストL3と、サーバータブ52の選択によって表示されるサーバー用指定リストL4と、第1印刷ボタン53と、第1キャンセルボタン54と、を表示する。
【0034】
図7に示すように、プリンター用指定リストL3は、プリンター内印刷ジョブリストL1(
図5参照)に記録されている印刷ジョブのなかから、ユーザーID「0001」が付加された印刷ジョブを抽出したリストである。一方、
図8に示すように、サーバー用指定リストL4は、サーバー内印刷ジョブリストL2(
図6参照)に記録されている印刷ジョブのなかの、ユーザーID「0001」が付加された印刷ジョブのうち、プリンター用指定リストL3に含まれる印刷ジョブを除いた印刷ジョブのリストである。ユーザーは、印刷ジョブ指定画面50に表示されるプリンター用指定リストL3およびサーバー用指定リストL4のなかから、印刷対象となる印刷ジョブを指定する。
【0035】
プリンター用指定リストL3およびサーバー用指定リストL4は、いずれも、選択ボックスと、ユーザーIDと、ジョブ名と、受信日時と、が対応付けて表示される。ユーザーにより、各印刷ジョブに対応する選択ボックスが選択され、さらに第1印刷ボタン53が選択されると、プリンター制御部21は、対象となる印刷ジョブを印刷する。また、ユーザーにより、第1キャンセルボタン54が選択されると、選択ボックスの選択状態を解除し、印刷ジョブ指定画面50を非表示とする。
【0036】
図9は、印刷ジョブ保存処理の流れを示すフローチャートである。この印刷ジョブ保存処理、および後述する認証印刷処理は、「印刷システムの制御方法」の一例である。また、これらの説明では、Bプリンター2bにおいて、印刷ジョブが指定されるものとする。この場合、Bプリンター2bは、「指定印刷装置」の一例である。また、PC1からAプリンター2aに印刷ジョブが送信された場合、Aプリンター2aは、「対象印刷装置」の一例であり、PC1からBプリンター2bに印刷ジョブが送信された場合、Bプリンター2bは、「対象印刷装置」の一例である。
【0037】
PC1は、印刷ジョブを生成すると(S01)、印刷ジョブの宛先としてAプリンター2aが指定されたか否かを判別し(S02)、Aプリンター2aが指定された場合(S02:Yes)、生成した印刷ジョブをAプリンター2aに送信する(S03)。このとき、印刷ジョブには、印刷ジョブを生成したユーザーを特定する特定情報が付加されている。Aプリンター2aは、PC1から取得した印刷ジョブを、自装置に保存する(S04)と共にサーバー3に送信する(S05)。また、Aプリンター2aは、保存した印刷ジョブに基づいてプリンター内印刷ジョブリストL1を生成し、自装置に記憶する(S06)。Aプリンター2aは、一旦、プリンター内印刷ジョブリストL1を生成した後、PC1から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを、プリンター内印刷ジョブリストL1に追加する。サーバー3は、Aプリンター2aから取得した印刷ジョブを自装置に保存する(S07)と共に、保存した印刷ジョブに基づいてサーバー内印刷ジョブリストL2を生成し、自装置に記憶する(S08)。
【0038】
一方、PC1は、印刷ジョブの宛先としてAプリンター2aが指定されていない場合、すなわち、印刷ジョブの宛先としてBプリンター2bが指定された場合(S02:No)、生成した印刷ジョブをBプリンター2bに送信する(S09)。Bプリンター2bは、PC1から取得した印刷ジョブを、自装置に保存する(S10)と共にサーバー3に送信する(S11)。また、Bプリンター2bは、保存した印刷ジョブに基づいてプリンター内印刷ジョブリストL1を生成し、自装置に記憶する(S12)。Bプリンター2bにおいても、一旦、プリンター内印刷ジョブリストL1を生成した後、PC1から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを、プリンター内印刷ジョブリストL1に追加する。サーバー3は、Bプリンター2bから取得した印刷ジョブを自装置に保存する(S13)と共に、保存した印刷ジョブをサーバー内印刷ジョブリストL2に追加する(S14)。
【0039】
図10ないし
図12は、認証印刷処理の流れを示すフローチャートである。Bプリンター2bは、カードリーダー22でIDカードを読み取ることによりID情報を取得し、プリンター内ユーザーリスト46を参照してユーザー認証を行う(S15)。Bプリンター2bは、ユーザー認証が成功すると、サーバー3に対し、サーバー内印刷ジョブリストL2を要求する(S16)。これに対し、サーバー3は、サーバー内印刷ジョブリストL2を、Bプリンター2bに送信する(S17)。このときサーバー3は、サーバー内印刷ジョブリストL2の項目のうち、プリンター識別情報を除いた情報を、Bプリンター2bに送信してもよい。
【0040】
Bプリンター2bは、サーバー3からサーバー内印刷ジョブリストL2を取得した場合、取得したサーバー内印刷ジョブリストL2と、自装置内に記憶されているプリンター内印刷ジョブリストL1と、に基づいて、印刷ジョブ指定画面50(
図7,
図8参照)を表示する(S18)。このとき、Bプリンター2bは、プリンター内印刷ジョブリストL1から、ユーザー認証したユーザーのユーザーIDに対応する印刷ジョブを抽出してプリンター用指定リストL3を表示する。また、Bプリンター2bは、サーバー内印刷ジョブリストL2から、ユーザー認証したユーザーのユーザーIDに対応する印刷ジョブを抽出し、さらにプリンター用指定リストL3に含まれる印刷ジョブを削除して、サーバー用指定リストL4を表示する。また、Bプリンター2bは、サーバー3からサーバー内印刷ジョブリストL2を取得できなかった場合、印刷ジョブ指定画面50に、プリンター用指定リストL3のみを表示する。
【0041】
Bプリンター2bは、印刷ジョブ指定画面50に対するユーザーの印刷ジョブ指定操作および印刷実行操作を受け付ける(S19)。印刷ジョブ指定操作は、印刷ジョブ指定画面50の選択ボックスの選択により行われ、印刷実行操作は、第1印刷ボタン53の選択により行われる。なお、印刷ジョブ指定画面50に表示されるプリンター用指定リストL3およびサーバー用指定リストL4のなかから、ユーザーが指定した印刷ジョブを、以下「印刷対象ジョブ」という。Bプリンター2bは、印刷対象ジョブが自装置に保存されているか否か、すなわち、プリンター用指定リストL3から印刷対象ジョブが指定されたか、サーバー用指定リストL4から印刷対象ジョブが指定されたか、を判別する(S20)。
【0042】
Bプリンター2bは、印刷対象ジョブが自装置に保存されていると判定した場合(S20:Yes)、
図11に示すように、自装置のプリンター内データベースD1から、印刷対象ジョブを取得する(S21)。また、Bプリンター2bは、取得した印刷対象ジョブを印刷し(S22)、自装置のプリンター内データベースD1に保存されている印刷対象ジョブを削除する(S23)。さらに、Bプリンター2bは、サーバー3に対し、サーバー内データベースD2に保存されている印刷対象ジョブの削除依頼を行う(S24)。これに対し、サーバー3は、サーバー内データベースD2から、印刷対象ジョブを削除する(S25)。
【0043】
一方、Bプリンター2bは、印刷対象ジョブが自装置に保存されていないと判定した場合(S20:No)、
図12に示すように、サーバー3に対し、印刷対象ジョブの取得要求を行う(S31)。これに対し、サーバー3は、サーバー内データベースD2から読み出した印刷対象ジョブを、Bプリンター2bに送信する(S32)。Bプリンター2bは、サーバー3から取得した印刷対象ジョブを印刷し(S33)、サーバー3に対し、印刷対象ジョブが保存されている他のプリンター2、すなわちAプリンター2a内の印刷対象ジョブの削除依頼を行う(S34)。サーバー3は、印刷対象ジョブの削除依頼に基づいて、サーバー内データベースD2から、印刷対象ジョブを削除する(S35)と共に、Aプリンター2aに対し、印刷対象ジョブの削除命令を行う(S36)。このとき、サーバー3は、Bプリンター2bから、ジョブ関連情報など印刷対象ジョブを特定する情報を取得して、削除命令を行う印刷ジョブを特定し、サーバー内印刷ジョブリストL2を参照して、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2を特定する。Aプリンター2aは、サーバー3から、印刷対象ジョブの削除命令を取得すると、自装置のプリンター内データベースD1に保存されている印刷対象ジョブを削除する(S37)。
【0044】
以上説明したとおり、第1実施形態によれば、PC1からBプリンター2bに印刷ジョブを送信した場合、Bプリンター2bと、サーバー3と、に印刷ジョブを保存するため、サーバー3が使用不可能な状態にある場合でも、Bプリンター2bにおいて、指定された印刷対象ジョブを印刷することができる。また、Bプリンター2bに印刷対象ジョブが保存されておらず、Aプリンター2aに印刷対象ジョブが保存されている場合は、Bプリンター2bがサーバー3から印刷対象ジョブを取得できるため、Aプリンター2aが使用不可能な状態にある場合でも、Bプリンター2bにおいて印刷対象ジョブを印刷することができる。
【0045】
また、Bプリンター2bは、指定された印刷対象ジョブが、自装置に保存されておらず、サーバー3から印刷対象ジョブを取得する場合、Aプリンター2aに保存されている印刷対象ジョブの削除依頼を行うため、Aプリンター2aに、不要となった印刷ジョブが残ったままの状態となることを防止できる。
【0046】
また、PC1は、印刷システムSY内の複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2を宛先として印刷ジョブを送信するため、プリンター2単体で認証印刷を実現するサーバーレス方式認証印刷システムの使用方法で、サーバー3を用いて認証印刷を実現するサーバー方式認証印刷システムのメリットを享受することができる。サーバー方式認証印刷システムのメリットとは、サーバー3の管理下にあるプリンター2であれば、どこでも印刷ができることである。一方、サーバーレス方式認証印刷システムのメリットは、サーバー3が不要であるため、サーバー3が使用不可能な状態でも、認証操作が行われたプリンター2で印刷ができることである。すなわち、本実施形態によれば、両方式の認証印刷システムのメリットを享受することができる。
【0047】
また、印刷対象ジョブを指定する印刷ジョブ指定画面50では、プリンター用指定リストL3およびサーバー用指定リストL4がタブ分けして表示されるため、ユーザーは、指定した印刷対象ジョブが、Bプリンター2bに保存されているのか否かを知ることができる。これにより、ユーザーは、例えば印刷対象ジョブをサーバー用指定リストL4から指定した場合、印刷ジョブを送信したAプリンター2aと、Bプリンター2bと、の仕様の違いに伴い印刷結果に影響が出る可能性があることを認識することができる。
【0048】
なお、第1実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
[変形例1-1]
PC1は、印刷システムSY内の複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2を宛先として印刷ジョブを送信したが、プリンター2を宛先とせず、サーバー3を宛先として印刷ジョブを送信してもよい。つまり、サーバー方式認証印刷システムの送信方法で、印刷ジョブを送信してもよい。この場合、サーバー3は、PC1から取得した印刷ジョブを、自装置に保存すると共に、印刷システムSY内の複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2に送信する。なお、サーバー3が印刷ジョブを送信するプリンター2は、固定のプリンター2であってもよいし、PC1から指定されたプリンター2であってもよい。後者の場合、PC1は、印刷ジョブに、印刷ジョブの保存先となるプリンター2を指定する情報を付加して、サーバー3に送信する。
【0049】
[変形例1-2]
また、PC1が、サーバー3と、印刷システムSY内の複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2と、の両方に直接、印刷ジョブを送信してもよい。
【0050】
[変形例1-3]
また、印刷システムSY内の複数のプリンター2のうち、2台以上のプリンター2内に印刷ジョブを保存してもよい。
【0051】
[変形例1-4]
上記の実施形態では、プリンター2においてユーザー認証を行ったが、ユーザー認証を行わない構成としてもよい。この場合、プリンター2は、ID情報を取得せず、ユーザーによる印刷ジョブ指定リストの表示操作にしたがって、サーバー3に、サーバー内印刷ジョブリストL2を要求する。そして、プリンター2は、サーバー3からサーバー内印刷ジョブリストL2を取得し、取得したサーバー内印刷ジョブリストL2に基づいて、印刷ジョブ指定画面50を表示する。印刷ジョブ指定画面50には、取得したサーバー内印刷ジョブリストL2内の印刷ジョブを指定可能な印刷ジョブ指定リストが表示される。なお、このときプリンター2は、自装置のプリンター内印刷ジョブリストL1に含まれる印刷ジョブを指定するためのリストと、自装置のプリンター内印刷ジョブリストL1に含まれない印刷ジョブを指定するためのリスト、とをタブ分けして表示してもよい。
【0052】
[変形例1-5]
上記の実施形態では、印刷ジョブ指定画面50において、プリンター用指定リストL3と、サーバー用指定リストL4と、をタブ分けして表示したが、他の方法で、自装置のプリンター内印刷ジョブリストL1に含まれる印刷ジョブであるか否かを識別可能に表示してもよい。例えば、プリンター2は、サーバー内印刷ジョブリストL2内の印刷ジョブを指定可能な印刷ジョブ指定リストを表示し、その印刷ジョブ指定リストのなかの自装置のプリンター内印刷ジョブリストL1に含まれる印刷ジョブ、または、含まれない印刷ジョブに対して、所定の装飾を施して表示してもよい。
また、プリンター表示部24に印刷ジョブ指定リストを表示するのではなく、表示以外の方法で、印刷ジョブ指定リストをユーザーに提示してもよい。例えば、印刷ジョブ指定リスト内の印刷ジョブを音声ガイダンスで読み上げたり、ユーザーが所持するスマートフォンに、印刷ジョブ指定リストを送信したり、などの方法が考えられる。
【0053】
[変形例1-6]
上記の各実施形態では、印刷ジョブを取得したプリンター2において、プリンター内印刷ジョブリストL1を生成し、自装置に記憶したが、プリンター内印刷ジョブリストL1の生成および記憶を省略してもよい。この場合、プリンター2は、サーバー3から取得したサーバー内印刷ジョブリストL2に含まれるプリンター識別情報に基づいて、プリンター用指定リストL3に含めるべき印刷ジョブであるのか、サーバー用指定リストL4に含めるべき印刷ジョブであるのか、を判別すればよい。
【0054】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、印刷対象ジョブが指定されたプリンター2に印刷対象ジョブが保存されておらず、且つ、サーバー3が使用不可能な状態にある場合、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2を特定する情報をユーザーに提示することを特徴とする。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0055】
本実施形態のシステム構成、並びに、PC1、プリンター2、およびサーバー3のハードウェア構成は、第1実施形態と略同様である。但し、本実施形態では、プリンター記憶部27内に、プリンター内印刷ジョブリストL1に代えて、後述する、第1印刷ジョブリストおよび第2印刷ジョブリストが記憶される。
【0056】
図13は、第2実施形態に係る印刷ジョブ保存処理の流れを示すフローチャートである。この印刷ジョブ保存処理、および後述する認証印刷処理は、「印刷システムの制御方法」の一例である。また、これらの説明では、Bプリンター2bにおいて、印刷ジョブが指定されるものとする。この場合、Bプリンター2bは、「指定印刷装置」の一例である。また、PC1からAプリンター2aに印刷ジョブが送信された場合、Aプリンター2aは、「対象印刷装置」の一例であり、PC1からBプリンター2bに印刷ジョブが送信された場合、Bプリンター2bは、「対象印刷装置」の一例である。
【0057】
PC1は、印刷ジョブを生成すると(S41)、印刷ジョブの宛先としてAプリンター2aが指定されたか否かを判別し(S42)、Aプリンター2aが指定された場合(S42:Yes)、生成した印刷ジョブをAプリンター2aに送信する(S43)。Aプリンター2aは、PC1から取得した印刷ジョブを、自装置に保存する(S44)。また、Aプリンター2aは、PC1から取得した印刷ジョブと、自装置の識別情報であるプリンター識別情報を、サーバー3に送信する(S45)。なお、プリンター識別情報は、「対象印刷装置の識別情報」の一例である。また、Aプリンター2aは、保存した印刷ジョブに基づいて第2印刷ジョブリストを生成し、自装置に記憶する(S46)。ここで、第2印刷ジョブリストは、印刷ジョブごとにジョブ関連情報を記録したリストである。なお、Aプリンター2aは、一旦、第2印刷ジョブリストを生成した後、PC1から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを、第2印刷ジョブリストに追加する。
【0058】
サーバー3は、Aプリンター2aから取得した印刷ジョブを自装置に保存する(S47)。また、サーバー3は、Aプリンター2aから取得した印刷ジョブのジョブ関連情報と、プリンター識別情報と、を対応付けた印刷ジョブ保存情報を、印刷システムSY内のAプリンター2a以外のプリンター2、すなわちBプリンター2bに送信する(S48)。Bプリンター2bは、サーバー3から取得した印刷ジョブ保存情報に基づいて、第1印刷ジョブリストを生成し、自装置に記憶する(S49)。
【0059】
ここで、Bプリンター2bに記憶される第1印刷ジョブリストは、印刷ジョブごとに、ジョブ関連情報と、その印刷ジョブが保存されているプリンター2を示すプリンター識別情報と、を記録したリストである。第1印刷ジョブリストは、第1実施形態のサーバー内印刷ジョブリストL2(
図6参照)がサーバー3に記憶されている場合、サーバー内印刷ジョブリストL2のうち、プリンター識別情報が「B」の印刷ジョブを除いたものに相当する。なお、Bプリンター2bは、一旦、第1印刷ジョブリストを生成した後、サーバー3から印刷ジョブ保存情報を取得すると、取得した印刷ジョブ保存情報を、第1印刷ジョブリストに追加する。
【0060】
一方、PC1は、印刷ジョブの宛先としてAプリンター2aが指定されていない場合、すなわち、印刷ジョブの宛先としてBプリンター2bが指定された場合(S42:No)、生成した印刷ジョブをBプリンター2bに送信する(S50)。Bプリンター2bは、PC1から取得した印刷ジョブを、自装置に保存する(S51)。また、Bプリンター2bは、PC1から取得した印刷ジョブと、自装置の識別情報であるプリンター識別情報を、サーバー3に送信する(S52)。また、Bプリンター2bは、保存した印刷ジョブに基づいて第2印刷ジョブリストを生成し、自装置に記憶する(S53)。Bプリンター2bで生成される第2印刷ジョブリストは、第1実施形態のプリンター内印刷ジョブリストL1(
図5参照)に相当する。なお、Bプリンター2bにおいても、一旦、第2印刷ジョブリストを生成した後、PC1から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを、第2印刷ジョブリストに追加する。
【0061】
サーバー3は、Bプリンター2bから取得した印刷ジョブを自装置に保存する(S54)。また、サーバー3は、Bプリンター2bから取得した印刷ジョブのジョブ関連情報と、プリンター識別情報と、を対応付けた印刷ジョブ保存情報を、印刷システムSY内のBプリンター2b以外のプリンター2、すなわちAプリンター2aに送信する(S55)。Aプリンター2aは、サーバー3から取得した印刷ジョブ保存情報に基づいて、第1印刷ジョブリストを生成し、自装置に記憶する(S56)。
【0062】
図14および
図15は、第2実施形態に係る認証印刷処理の流れを示すフローチャートである。Bプリンター2bは、カードリーダー22でIDカードを読み取ることによりID情報を取得し、ユーザー認証を行う(S61)。Bプリンター2bは、ユーザー認証が成功すると、印刷ジョブ指定画面60を表示する(S62)。
【0063】
図16および
図17は、印刷ジョブ指定画面60の一例を示す図である。両図は、ユーザーID「0001」のユーザーが、Bプリンター2bに認証を行った場合の表示例を示している。本実施形態に係る印刷ジョブ指定画面60は、第1タブ61の選択によって表示される第1印刷ジョブ指定リストL11と、第2タブ62の選択によって表示される第2印刷ジョブ指定リストL12と、第2印刷ボタン63と、第2キャンセルボタン64と、を表示する。第2印刷ボタン63および第2キャンセルボタン64は、第1実施形態に係る第1印刷ボタン53および第1キャンセルボタン54と同様に機能する。なお、第1印刷ジョブ指定リストL11は、第1印刷ジョブリストに含まれる印刷ジョブのなかから、ユーザーID「0001」が付加された印刷ジョブを抽出したリストである。また、第2印刷ジョブ指定リストL12は、第2印刷ジョブリストに含まれる印刷ジョブのなかから、ユーザーID「0001」が付加された印刷ジョブを抽出したリストである。
【0064】
図14の説明に戻る。Bプリンター2bは、印刷ジョブ指定画面50を表示すると、印刷ジョブ指定画面50に対するユーザーの印刷対象ジョブ指定操作および印刷実行操作を受け付ける(S63)。その後、Bプリンター2bは、印刷対象ジョブが自装置に保存されているか否か、すなわち、第2印刷ジョブ指定リストL12から印刷対象ジョブが指定されたか、第1印刷ジョブ指定リストL11から印刷対象ジョブが指定されたか、を判別する(S64)。Bプリンター2bは、印刷対象ジョブが自装置に保存されていると判定した場合(S64:Yes)、
図11のS21に進む。
【0065】
また、Bプリンター2bは、印刷対象ジョブが自装置に保存されていないと判定した場合(S64:No)、
図15に示すように、サーバー3に対し、印刷対象ジョブの取得要求を行う(S71)。Bプリンター2bは、サーバー3から、印刷対象ジョブを取得できたか否かを判別し(S72)、取得できたと判定した場合は(S72:Yes)、
図12のS33に進む。また、Bプリンター2bは、サーバー3から、印刷対象ジョブを取得できなかったと判定した場合は(S72:No)、自装置に記憶している第1印刷ジョブリストに基づいて、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2であるAプリンター2aのプリンターIDと設置場所を、ユーザーに提示する(S73)。ここで、Aプリンター2aのプリンターIDと設置場所は、「印刷対象ジョブが保存されている印刷装置を特定する情報」の一例である。
【0066】
図18は、第2実施形態に係る情報提供画面70の一例を示す図である。情報提供画面70は、ユーザーに向けたメッセージ71と、戻るボタン72と、OKボタン73と、を表示する。メッセージ71には、印刷対象ジョブをサーバー3から取得できなかった旨と、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2のプリンターIDと、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2の設置場所と、が含まれる。なお、設置場所としては、文章に代えて、または文章に加えて、イラストや記号を表示してもよい。
【0067】
プリンター制御部21は、ユーザーにより、戻るボタン72が選択されると、印刷ジョブを指定するための印刷ジョブ指定画面60を表示する。また、プリンター制御部21は、ユーザーにより、OKボタン73が選択されると、不図示の初期画面を表示する。
【0068】
以上説明したとおり、第2実施形態によれば、印刷対象ジョブが指定されたプリンター2に印刷対象ジョブが保存されておらず、且つ、サーバー3が使用不可能な状態にある場合でも、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2を特定する情報を、ユーザーに提示することができる。これにより、ユーザーは、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2を知ることができ、そのプリンター2において、印刷を行うことができる。
【0069】
また、印刷対象ジョブが指定されたプリンター2は、印刷ジョブ指定画面60において、第1印刷ジョブ指定リストL11と、第2印刷ジョブ指定リストL12と、をユーザーに提示するため、ユーザーは、指定した印刷対象ジョブが、どちらのリストに含まれるのかによって、印刷対象ジョブが、指定操作を行っているプリンター2に保存されているのか否かを知ることができる。これにより、ユーザーは、例えば印刷対象ジョブが第1印刷ジョブ指定リストL11に含まれている場合、印刷ジョブを送信したAプリンター2aと、Bプリンター2bと、の仕様の違いに伴い印刷結果に影響が出る可能性があることを認識することができる。
【0070】
なお、第2実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
[変形例2-1]
第2実施形態では、PC1から印刷ジョブを取得したプリンター2が、印刷ジョブと、プリンター識別情報と、をサーバー3に送信したが(
図13のS45参照)、印刷ジョブのみを送信してもよい。この場合、サーバー3内に、プリンター2のIPアドレスと、プリンター識別情報と、を対応付けたプリンターテーブルを記憶しておき、サーバー3は、印刷ジョブの送信元となるプリンター2のIPアドレスに基づいて、プリンター識別情報を取得すればよい。
【0071】
[変形例2-2]
変形例1-4と同様に、第2実施形態においても、ユーザー認証を行わない構成としてもよい。この場合、プリンター2は、ユーザーによる印刷ジョブ指定リストの表示操作にしたがって、第1印刷ジョブリストに含まれる印刷ジョブ、および第2印刷ジョブリストに含まれる印刷ジョブを指定可能な印刷ジョブ指定リストを印刷ジョブ指定画面60に表示する。
【0072】
なお、第1実施形態および第2実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
[変形例3-1]
上記の各実施形態において、プリンター2は、プリンター内ユーザーリスト46に基づいてユーザー認証を行ったが、サーバー3側でユーザー認証を行ってもよい。この場合、プリンター2は、サーバー3に対して、サーバー内印刷ジョブリストL2を要求する際に、IDカードから読み取ったID情報を送信する。また、サーバー3は、ユーザーIDと、ID情報と、を対応付けた、サーバー認証用のユーザーリストを参照し、取得したID情報に基づいてユーザー認証を行う。サーバー3は、取得したID情報がサーバー認証用のユーザーリストに含まれる場合、ユーザー認証成功と判定し、ユーザー認証が成功した場合、サーバー内印刷ジョブリストL2をプリンター2に送信する。
【0073】
[変形例3-2]
上記の各実施形態および各変形例に示したPC1、プリンター2およびサーバー3の各処理を実行する方法、PC1、プリンター2およびサーバー3の各処理を実行するためのプログラム、またそのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体も、発明の権利範囲に含まれる。また、各実施形態と各変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【0074】
[変形例3-3]
また、PC1に代えて、各種タブレット端末やスマートフォンなど、各種情報処理端末を用いてもよい。その他、PC1、プリンター2およびサーバー3の各処理をハードウェアとソフトウェアの協働により実現するなど、発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0075】
[付記]
以下、印刷システム、印刷装置、印刷システムの制御方法、およびプログラムについて付記する。
印刷システムSYは、印刷ジョブを生成するPC1と、サーバー3と、複数のプリンター2と、を備え、PC1で生成された印刷ジョブは、複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2と、サーバー3と、に保存され、複数のプリンター2のうち、サーバー3およびプリンター2に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブの指定が行われたプリンター2である指定プリンター2は、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合、自装置に保存されている印刷対象ジョブを印刷し、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合、サーバー3から、サーバー3に保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブを印刷する。
【0076】
プリンター2は、プリンター制御部21と、プリンターエンジン25と、を備え、プリンター制御部21は、PC1から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを自装置に保存すると共に、取得した印刷ジョブをサーバー3に送信してサーバー3に保存させ、サーバー3および自装置に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブが指定されると、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合は、自装置に保存されている印刷対象ジョブをプリンターエンジン25に印刷させ、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合は、サーバー3から、サーバー3に保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブをプリンターエンジン25に印刷させる。
【0077】
印刷システムSYの制御方法は、印刷ジョブを生成するPC1と、サーバー3と、複数のプリンター2と、を備えた印刷システムSYの制御方法であって、PC1で生成された印刷ジョブは、複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2と、サーバー3と、に保存され、複数のプリンター2のうち、サーバー3およびプリンター2に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブの指定が行われたプリンター2である指定プリンター2は、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合、自装置に保存されている印刷対象ジョブを印刷し、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合、サーバー3から、サーバー3に保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブを印刷する。
【0078】
プログラムは、プリンター制御部21と、プリンターエンジン25と、を備えたプリンター2のプリンター制御部21に、PC1から印刷ジョブを取得すると、取得した印刷ジョブを自装置内に保存すると共に、取得した印刷ジョブをサーバー3に送信してサーバー3に保存させるステップと、サーバー3および自装置に保存された印刷ジョブのなかから印刷対象となる印刷対象ジョブが指定されると、印刷対象ジョブが、自装置に保存されている場合は、自装置に保存されている印刷対象ジョブをプリンターエンジン25に印刷させ、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合は、サーバー3から、サーバー3に保存されている印刷対象ジョブを取得し、取得した印刷対象ジョブをプリンターエンジン25に印刷させるステップと、を実行させる。
【0079】
この構成によれば、PC1で生成された印刷ジョブを、複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2と、サーバー3と、に保存するため、サーバー3が使用不可能な状態にある場合でも、印刷対象ジョブの指定が行われた指定プリンター2に印刷対象ジョブが保存されていれば、印刷対象ジョブを印刷することができる。また、指定プリンター2に印刷対象ジョブが保存されていない場合は、サーバー3から印刷対象ジョブを取得できるため、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2が使用不可能な状態にある場合でも、印刷対象ジョブを印刷することができる。
【0080】
印刷システムSYにおいて、指定プリンター2は、印刷対象ジョブが、自装置に保存されていない場合、サーバー3に対して、他のプリンター2に保存されている印刷対象ジョブの削除依頼を行い、サーバー3は、印刷対象ジョブの削除依頼を取得すると、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2に対して、印刷対象ジョブの削除命令を行う。
【0081】
この構成によれば、指定プリンター2がサーバー3から印刷対象ジョブを取得する場合、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2において、不要となったと考えられる印刷対象ジョブを削除することができる。
【0082】
印刷システムSYにおいて、PC1は、複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2に印刷ジョブを送信し、複数のプリンター2のうち、PC1から印刷ジョブが送信されたプリンター2である対象プリンター2は、PC1から取得した印刷ジョブを、自装置に保存すると共にサーバー3に送信し、サーバー3は、対象プリンター2から取得した印刷ジョブを、自装置に保存する。
【0083】
この構成によれば、PC1は、複数のプリンター2のうちいずれかのプリンター2に対して印刷ジョブを送信するサーバーレス方式印刷システムの使用方法で、サーバー方式印刷システムのメリットを享受することができる。
【0084】
印刷システムSYにおいて、サーバー3は、対象プリンター2から取得した印刷ジョブのリストであるサーバー内印刷ジョブリストL2を生成して、自装置に記憶し、指定プリンター2となるプリンター2は、サーバー3からサーバー内印刷ジョブリストL2を取得し、取得したサーバー内印刷ジョブリストL2に基づいて、印刷対象ジョブを指定するための印刷ジョブ指定リストを生成し、生成した印刷ジョブ指定リストをユーザーに提示する。
【0085】
この構成によれば、指定プリンター2となるプリンター2は、印刷対象ジョブを指定するための印刷ジョブ指定リストを、サーバー3から取得したサーバー内印刷ジョブリストL2に基づいて生成することができる。
【0086】
印刷システムSYにおいて、指定プリンター2となるプリンター2は、印刷ジョブ指定リストを、自装置に保存されている印刷ジョブと、自装置に保存されていない印刷ジョブと、を識別可能な状態で、ユーザーに提示する。
【0087】
この構成によれば、印刷ジョブを指定するユーザーは、指定した印刷対象ジョブが、指定プリンター2となるプリンター2に保存されているのか否かを知ることができる。これにより、ユーザーは、例えば印刷対象ジョブが指定プリンター2となるプリンター2に保存されていない場合、印刷ジョブを送信した対象プリンター2と、指定プリンター2と、の仕様の違いに伴い印刷結果に影響が出る可能性があることを認識することができる。
【0088】
印刷システムSYにおいて、印刷ジョブには、ユーザーを特定する特定情報が付加されており、指定プリンター2となるプリンター2は、ユーザーから取得した情報に基づいてユーザー認証を行い、ユーザー認証が成功した場合、印刷ジョブ指定リストとして、サーバー内印刷ジョブリストL2のなかから、認証したユーザーに対応する特定情報が付加された印刷ジョブを抽出したユーザー用印刷ジョブ指定リストを、ユーザーに提示する。
【0089】
この構成によれば、印刷システムSYを、認証印刷システムに適用できる。
【0090】
印刷システムSYにおいて、サーバー3は、対象プリンター2から取得した印刷ジョブのジョブ関連情報と、対象プリンター2の識別情報と、を対応付けた印刷ジョブ保存情報を、複数のプリンター2のうち対象プリンター2以外のプリンター2に送信し、印刷ジョブ保存情報を取得したプリンター2は、取得した印刷ジョブ保存情報に基づいて、第1印刷ジョブリストを生成して自装置に記憶し、指定プリンター2は、印刷対象ジョブが、自装置に保存されておらず、且つ、サーバー3から印刷対象ジョブを取得できない場合、第1印刷ジョブリストに基づいて、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2を特定する情報を、ユーザーに提示する。
【0091】
この構成によれば、印刷対象ジョブが指定されたプリンター2は、印刷対象ジョブが自装置に保存されておらず、サーバー3が使用不可能な状態にある場合でも、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2を特定する情報を、ユーザーに提示することができる。これにより、ユーザーは、印刷対象ジョブが保存されているプリンター2を知ることができ、そのプリンター2において、印刷を行うことができる。
【0092】
印刷システムSYにおいて、指定プリンター2となるプリンター2は、印刷対象ジョブを指定するための印刷ジョブ指定リストとして、第1印刷ジョブリストに基づく第1印刷ジョブ指定リストL11と、自装置に保存されている印刷ジョブのリストである第2印刷ジョブ指定リストL12と、をユーザーに提示する。
【0093】
この構成によれば、印刷ジョブを指定するユーザーは、指定した印刷対象ジョブが、第1印刷ジョブ指定リストL11に含まれるか第2印刷ジョブ指定リストL12に含まれるのかによって、指定プリンター2となるプリンター2に保存されているのか否かを知ることができる。これにより、ユーザーは、例えば印刷対象ジョブが第1印刷ジョブ指定リストL11に含まれている場合、印刷ジョブを送信した対象プリンター2と、指定プリンター2と、の仕様の違いに伴い印刷結果に影響が出る可能性があることを認識することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…PC、2…プリンター、3…サーバー、NW…ネットワーク、SY…印刷システム。