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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ラベル貼り付けシステム
(51)【国際特許分類】
   B65C 3/16 20060101AFI20231129BHJP
   B65C 9/26 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65C3/16
B65C9/26
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019011160
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020117291
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】天春 夢人
(72)【発明者】
【氏名】太田 陽平
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-102539(JP,A)
【文献】特開平05-147633(JP,A)
【文献】特開2009-179386(JP,A)
【文献】特開2018-154352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 3/16
B65C 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面を有し当該曲面をラベルの貼り付け対象面としたワークを保持するワーク保持部と、
台紙に貼られた前記ラベルを前記台紙から剥離し供給するラベル供給装置と、
前記ラベルを吸着保持するこができる吸着面と、前記貼り付け対象面に配置された前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける押し付け面と、を有するロボットハンドと、
手先に設けられた前記ロボットハンドを移動させて前記ラベル供給装置から供給された前記ラベルを前記ワーク保持部に保持された前記ワークの前記貼り付け対象面に貼り付けるロボットと、を備え、
前記ロボットは、
前記吸着面に吸着保持した前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付けて前記ラベルの一部を前記貼り付け対象面に貼り付ける配置工程と、
前記配置工程の後に実行され、前記配置工程で前記ラベルを押し付けた箇所を基点に前記押し付け面を前記貼り付け対象面に沿って移動させながら前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける押し付け工程と、を実行することができ、
前記押し付け工程において、前記ロボットは、前記押し付け面を、前記基点から前記ラベルにおける前記ワークの周方向の両端部のうち前記基点に近い方の端部となる第1端部側へ移動させ、その後、前記第1端部を越えた後に逆方向へ向かって前記基点から遠い方の端部となる第2端部を超える位置まで移動させることで、前記ラベルの全体に亘って前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける、
ラベル貼り付けシステム。
【請求項2】
曲面を有し当該曲面をラベルの貼り付け対象面としたワークを保持するワーク保持部と、
台紙に貼られた前記ラベルを前記台紙から剥離し供給するラベル供給装置と、
前記ラベルを吸着保持するこができる吸着面と、前記貼り付け対象面に配置された前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける押し付け面と、を有するロボットハンドと、
手先に設けられた前記ロボットハンドを移動させて前記ラベル供給装置から供給された前記ラベルを前記ワーク保持部に保持された前記ワークの前記貼り付け対象面に貼り付けるロボットと、を備え、
前記ロボットは、
前記吸着面に吸着保持した前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付けて前記ラベルの一部を前記貼り付け対象面に貼り付ける配置工程と、
前記配置工程の後に実行され、前記配置工程で前記ラベルを押し付けた箇所を基点に前記押し付け面を前記貼り付け対象面に沿って移動させながら前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける押し付け工程と、を実行することができ、
前記ラベル供給装置において前記台紙から剥離された前記ラベルを前記ロボットに受け渡す受け渡し工程を更に備え、
前記ラベル供給装置は、長尺状の台紙に複数の前記ラベルを貼ったものをロール状に巻いたロール部材を用いて前記ラベルを供給するものであって、前記台紙から剥離されたラベルの下方に位置する受け部を有し、
前記受け渡し工程において、前記ロボットは、前記吸着面を移動させて前記吸着面に前記ラベルを接触させた状態で前記受け部に押し付け、前記吸着面が前記ラベルを吸着保持した後に、前記吸着面を前記ラベル供給装置における前記ラベルの供給方向側へ向かう成分を含む斜め方向へ向かって離間させ、前記受け部から離間する方向へ移動させることで、前記ラベルを前記台紙から完全に剥離する、
ラベル貼り付けシステム。
【請求項3】
前記配置工程において、前記ロボットは、前記基点を中心に前記吸着面を揺動させる、
請求項1または2に記載のラベル貼り付けシステム。
【請求項4】
前記受け渡し工程において、前記ロボットは、前記吸着面を前記ラベルに接近させて前記吸着面を前記ラベルに接触させる際に、前記ラベルの表面に対して垂直方向に接近させる、
請求項2に記載のラベル貼り付けシステム。
【請求項5】
前記受け部は、外側へ膨らんだ曲面状に形成されている、
請求項2に記載のラベル貼り付けシステム。
【請求項6】
前記吸着面は平面状に形成されており、、
前記押し付け面は外側へ膨らんだ曲面状に形成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のラベル貼り付けシステム。
【請求項7】
前記吸着面は、弾性を有する部材で構成され、
前記押し付け面は、前記吸着面よりも硬質の部材で構成されている、
請求項1から6のいずれか一項に記載のラベル貼り付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ラベル貼り付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状の容器など曲面を有するワークの表面に、商品情報などが記載されたラベルを自動で貼り付けることができる装置がある。しかしながら、従来構成では、シワやヨレを無くすためには大掛かりな構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-225820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型でかつシワやヨレが生じることを極力抑制して綺麗に貼ることができるラベル貼り付けシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のラベル貼り付けシステムは、ワーク保持部と、ラベル供給装置と、ロボットハンドと、ロボットと、を備える。ワーク保持部は、曲面を有し当該曲面をラベルの貼り付け対象面としたワークを保持する。ラベル供給装置は、台紙に貼られた前記ラベルを前記台紙から剥離し供給する。ロボットハンドは、前記ラベルを吸着保持するこができる吸着面と、前記貼り付け対象面に配置された前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける押し付け面と、を有する。ロボットは、手先に設けられた前記ロボットハンドを移動させて前記ラベル供給装置から供給された前記ラベルを前記ワーク保持部に保持された前記ワークの前記貼り付け対象面に貼り付ける。
【0006】
そして、前記ロボットは、配置工程と、押し付け工程と、を実行することができる。配置工程は、前記吸着面に吸着保持した前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付けて前記ラベルの一部を前記貼り付け対象面に貼り付ける工程である。押し付け工程は、前記配置工程の後に実行され、前記配置工程で前記ラベルを押し付けた箇所を基点に前記押し付け面を前記貼り付け対象面に沿って移動させながら前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける工程である。
【0007】
この構成によれば、ロボットは、前記押し付け工程を実行することによって、前記基点からラベルの端部へ向かって順に貼り付け対象面とラベルとの間に存在する空気を押し出しつつ、ラベルを貼り付け対象面に貼り付けることができる。これにより、貼り付け対象面とラベルとの間の隙間が形成されてその隙間によってラベルにシワやヨレが生じることが抑制される。このように、本構成のロボットは、ラベルのシワやヨレを伸ばしながら貼り付け対象面に貼り付けることができるため、貼り付け対象面に張り付けられたラベルにシワやヨレが生じることを極力抑制することができ、その結果、曲面状の貼り付け対象面にラベルを綺麗に貼り付けることができる。
【0008】
更に、ロボットハンドは、ラベルを吸着保持するこができる吸着面と、ラベルを貼り付け対象面に押し付ける押し付け面と、を有している。これにより、ラベル供給装置から供給されるラベルを吸着保持して貼り付け対象面まで移動させて配置する工程と、貼り付け対象面に配置されたラベルを貼り付け対象面に押し付ける工程と、を1つのロボットハンドによって行うことができる。このため、ロボットハンド及びロボットの小型化が図られ、ひいてはラベル貼り付けシステム全体の小型化を図ることができる。このように、本構成によれば、小型でかつシワやヨレが生じることを極力抑制して綺麗に貼ることができるラベル貼り付けシステムを提供することができる。
【0009】
こで、配置工程で配置されたラベルにおいて、配置工程で貼り付け対象面に貼り付けられた部分の接着が弱い場合、押し付け工程が実行された際に押し付け面とラベルとの摩擦によってラベルが剥がれたり位置がずれてしまったりといった不具合が生じるおそれがある。これに対し、実施形態のラベル貼り付けシステムによれば、前記配置工程において、前記ロボットは、前記基点を中心に前記吸着面を揺動させる。これによれば、ラベルにおける基点部分が貼り付け対象面に対してより強固に貼り付けられる。そのため、これによれば、工程の途中で貼り付け対象面からラベルが剥がれたり、ラベルの位置がずれてしまったりといった不都合を抑制することができる。その結果、ラベルにシワやヨレが生じることをより確実に抑制して更に綺麗に貼ることができる。
【0010】
実施形態のラベル貼り付けシステムによれば、前記押し付け工程において、前記ロボットは、前記押し付け面を、前記基点から前記ラベルにおける前記ワークの周方向の両端部のうち前記基点に近い方の端部となる第1端部側へ移動させ、その後、前記第1端部を越えた後に逆方向へ向かって、前記基点から遠い方の端部となる第2端部を超える位置まで移動させることで、前記ラベルの全体に亘って前記ラベルを前記貼り付け対象面に押し付ける。
【0011】
これによれば、押し付け面によってラベル全体をまんべんなく押さえつけつつ、先に第2端部側へ移動させてから第1端部側へ移動させた場合に比べて押し付け面の移動距離を短くすることができる。その結果、押し付け工程に要する時間を極力短くすることができ、短時間で効率良く綺麗にラベルを貼り付けることができる。
【0012】
実施形態のラベル貼り付けシステムは、前記ラベル供給装置において前記台紙から剥離された前記ラベルを前記ロボットに受け渡す受け渡し工程、を更に備えている。前記ラベル供給装置は、長尺状の台紙に複数の前記ラベルを貼ったものをロール状に巻いたロール部材を用いて前記ラベルを供給するものであって、前記台紙から剥離されたラベルの下方に位置する受け部を有している。そして、前記受け渡し工程において、前記ロボットは、前記吸着面を移動させて前記吸着面に前記ラベルを接触させた状態で前記受け部に押し付け、その後、前記受け部から離間する方向へ移動させることで、前記ラベルを前記台紙から完全に剥離する。
【0013】
これによれば、ロボットは、受け渡し工程において、前記吸着面に前記ラベルを接触させた状態で前記受け部に押し付けることで、吸着面に確実に吸着させることができる。これにより、ラベル供給装置からワークに移動する際にラベルが吸着面から外れて落下してしまうといった不都合を抑制することができ、より確実にラベルを貼り付けることができる。
【0014】
実施形態のラベル貼り付けシステムによれば、前記受け渡し工程において、前記ロボットは、前記吸着面を前記ラベルに接近させて前記吸着面を前記ラベルに接触させる際に、前記ラベルの表面に対して垂直方向に接近させる。すなわち、この場合、吸着面の移動方向の成分のうちラベルの供給方向の成分は、ラベルに対する垂直方向の成分に対して十分に小さい。そのため、吸着面がラベルに接触する際に、吸着面がラベルの表面をすべってずれてしまうことを極力抑制することができ、その結果、ラベルをより確実に吸着保持することができる。
【0015】
ここで、一般的に台紙に貼られた状態のラベルは、台紙側の面に接着剤層を有している。そのため、吸着面の移動方向の成分のうちラベルに対する垂直方向の成分よりもラベルの供給方向の成分の方が大きいと、吸着面がラベルの表面に接触してラベルを吸着した際に、ラベルが台紙に対して水平方向に引っ張られてしまい、これによりラベルの接着剤層が台紙に対していわゆる横滑りが生じる可能性がある。すると、接着剤層が台紙と擦れて荒れてしまい、その結果、接着剤層の接着力が低下してしまうおそれがある。
【0016】
これに対し、本構成によれば、前記受け渡し工程において、吸着面の移動方向の成分のうちラベルの供給方向の成分は、ラベルに対する垂直方向の成分に対して十分に小さい。そのため、吸着面がラベルに接触しラベルを吸着した際に、ラベルが台紙に対して水平方向に引っ張られてラベルの接着剤層が台紙に対して横滑りが生じることを極力抑制することができる。これにより、ラベルの接着剤層が荒れてその接着力が低下してしまい、その結果、貼り付け対象面に対するラベルの接着力が低下してしまうといった不具合を極力抑制することができる。
【0017】
こで、吸着面にラベルを吸着保持した状態で台紙からラベルを完全に剥がす場合、吸着面を台紙に対して垂直方向又は水平方向に移動させると、ラベルの粘着力による抵抗が大きいため、吸着面からラベルが外れてしまう可能性がある。また、台紙に対して水平方向にラベルが引っ張られると、ラベルの接着剤層が台紙に対していわゆる横滑りが生じる可能性がある。すると、上述したように接着剤層が台紙と擦れて荒れてしまい、その結果、接着剤層の接着力が低下してしまうおそれがある。
【0018】
そこで、実施形態のラベル貼り付けシステムによれば、前記受け渡し工程において、前記ロボットは、前記吸着面が前記ラベルを吸着保持した後に、前記吸着面を前記ラベル供給装置における前記ラベルの供給方向側へ向かう成分を含む斜め方向へ向かって離間させる。これによれば、台紙に対する垂直方向及び水平方向の抵抗を極力小さくすることができるため、ラベルが吸着面から外れてしまったり、接着剤層が荒れてその接着力が低下してしまったりといった不具合を極力抑制することができる。
【0019】
実施形態のラベル貼り付けシステムにおいて、前記受け部は、外側へ膨らんだ曲面状に形成されている。これによれば、受け渡し工程において、前記吸着面に前記ラベルを接触させた状態で前記受け部に押し付けた場合に、前記ラベルのうち前記受け部から力を受けて押圧される領域を極力小さくすることができる。これにより、ラベルの台紙側に設けられた接着剤層が不必要に押圧されることが抑制されるため、接着剤層が荒れてその接着力が低下してしまうといった不具合を極力抑制することができる。
【0020】
実施形態のラベル貼り付けシステムにおいて、前記吸着面は平面状に形成されており、前記押し付け面は外側へ膨らんだ曲面状に形成されている。これによれば、前記吸着面は平面状に形成されていることから、例えば吸着面を受け部に押し付けた場合に、受け部に沿ってラベルとともに吸着面を変形させることができ、これにより、吸着面とラベルとの接触面積を極力大きく確保することができる。これにより、吸着面でラベルをより確実に吸着保持することができる。
【0021】
更に、押し付け面は外側へ膨らんだ曲面状に形成されていることから、押し付け面は、ラベルに対して線接触で接触する。これによれば、押し付け工程において、押し付け面をラベルに押し付けた状態で移動させた場合に、ラベルと貼り付け対象面との間に入った空気をより確実に押し出すことができる。その結果、ラベルのシワやヨレをより確実に抑制することができ、ラベルを綺麗に貼り付けることができる。
【0022】
実施形態のラベル貼り付けシステムにおいて、前記吸着面は、弾性を有する部材で構成され、前記押し付け面は、前記吸着面よりも硬質の部材で構成されている。これによれば、前記吸着面は、弾性を有する部材で構成されていることから、吸着面を例えば受け部などに押し付けてラベルを吸着保持する際に、吸着面を受け部に沿って変形させることができる。これにより、ラベルが吸着面全体に確実に押し付けられるようになり、その結果、吸着面によるラベルの吸着保持をより確実なものとすることができる。
【0023】
更に、前記押し付け面は、吸着面よりも硬質の部材で構成されていることから、押し付け面を貼り付け対象面Wに押し付けた状態で移動させた場合に、押し付け面が不要に変形してしまうことが防がれ、これにより、ラベルと貼り付け対象面との間に入った空気をより確実に押し出すことができる。その結果、ラベルのシワやヨレを更に確実に抑制することができ、ラベルを更に綺麗に貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの概略構成の一例を示す概念図
図2】一実施形態によるラベル貼り付けシステムにおいて実行される制御内容の一例を示すフローチャート
図3】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その1)
図4】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その2)
図5】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その3)
図6】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その4)
図7】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その5)
図8】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その6)
図9】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その7)
図10】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その8)
図11】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その9)
図12】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その10)
図13】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その11)
図14】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その12)
図15】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その13)
図16】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その14)
図17】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その15)
図18】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その16)
図19】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その17)
図20】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その18)
図21】一実施形態によるラベル貼り付けシステムの動作例を示す図(その19)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、一実施形態によるラベル貼り付けシステム1について図面を参照して説明する。
まず、ラベル貼り付けシステム1の構成について主に図1及び図3を参照しながら説明する。ラベル貼り付けシステム1は、例えば円筒形状の容器の表面など曲面にラベルを貼り付けるためのものである。ラベル貼り付けシステム1は、ワーク80をラベルの貼り付け対象物とし、ワーク80の表面をラベルの貼り付け対象面としている。
【0026】
ラベル貼り付けシステム1は、ワーク保持部10、ラベル供給装置20、ロボット30、ロボットハンド40、及び制御装置50を備えている。ワーク保持部10は、ワーク80の貼り付け対象面を露出させた状態でワーク80を保持する。本実施形態の場合、ワーク保持部10は、ワーク80の中心軸Oを水平に向けた状態で、かつ貼り付け対象面を上方に向けて露出させた状態でワーク80を保持する。詳細は図示しないが、ワーク保持部10は、ワーク保持部10に配置されたワーク80の回転を止める機構や固定するための機構を有していても良い。なお、図3等において、ワーク80の中心軸Oは紙面に対し垂直方向に向いている。また、図3では、ワーク80の表面のうちラベルが貼り付けられる領域を二点鎖線Wで示している。
【0027】
ラベル供給装置20は、図3に示すように、ロール部材90をラベルの供給源として利用する。ロール部材90は、長尺状の台紙91に複数のラベル92を貼ったものをロール状に巻いたものである。ラベル92は、シート状のシール部材であり、詳細は図示しないが、シート状の用紙の表面には例えばバーコードや商品名、商品説明などの商品情報が印刷されており、裏面には接着剤層が設けられている。1枚のラベル92の全長は、ワーク80の円周よりも短い。ラベル供給装置20は、台紙91からラベル92を1枚ずつ剥離してロボット30に供給する。
【0028】
本実施形態の場合、ラベル供給装置20は、ロール部材90からラベル92が剥離される前の台紙91を引き出す。そして、図1及び図3の紙面左側から右側へ向かって、ラベル92とともに台紙91を送った後、台紙91からラベル92を剥離する。この場合、ラベル92の進行方向つまり図1及び図3の紙面右方向を、ラベル供給装置20におけるラベル92の供給方向とする。また、ラベル92の全長つまり長さ寸法とは、ラベル92の供給方向における長さ寸法つまり図1及び図3の紙面の略左右方向を意味する。また、ラベル92の幅寸法とは、ラベル92の供給方向に対する直角方向つまり図1及び図3の紙面に対する垂直方向の寸法、この場合、ワーク80の中心軸Oに沿った方向の寸法を意味する。
【0029】
ラベル供給装置20は、図3に示すように、引っ掛け部21、規制部22、送り部23、受け部24、及びラベル検知センサ25を有している。引っ掛け部21は、円柱のローラ状で回転可能に構成されており、台紙91が引っ掛けられている。規制部22は、例えば円柱のローラ状に構成されて回転可能に構成されており、台紙91から剥離される直前のラベル92を上方から押さえている。
【0030】
送り部23は、図示しないモータに接続されて回転駆動可能に構成されている。送り部23は、ラベル92が剥離された後の台紙91を巻き取ることで、ロール部材90から台紙91が1ピッチ分ずつ、つまり1枚のラベル92の全長分を送ることができる。この構成において、送り部23が進行方向へ向かって回転駆動して台紙91を送ることで、台紙91からラベル92が1枚ずつ剥離されて供給される。この場合、供給方向の先端に位置するラベル92つまり台紙91から剥離されたラベル92は、台紙91から完全には剥離されていない。すなわち、引っ掛け部21と規制部22との間の部分は、台紙91に貼り付けられたままとなる。なお、ラベル92が剥離された後の台紙91は、ラベル供給装置20内で送り部23に巻き取られる構成に限られず、ラベル供給装置20の外部に排出される構成であっても良い。
【0031】
受け部24は、引っ掛け部21よりも供給方向の前側にあって、台紙91から剥離されたラベル92の下方となる位置に設けられている。すなわち、受け部24は、ラベル92の供給方向の先端に位置するラベル92のうち台紙91から剥離された部分の下方に位置している。受け部24は、外側つまりラベル92側へ膨らんだ曲面状に形成されている。受け部24は、台紙91から剥離されたラベル92が重力で垂れた場合に、受け部24の曲面状に膨らんだ面で、その自重で垂れ下がったラベル92を支持する。
【0032】
ラベル検知センサ25は、台紙91から剥離されたラベル92の下方となる位置に設けられている。ラベル検知センサ25は、例えば光電センサなどであり、台紙91から剥離されたラベル92の有無を検知する。図7に示すようにラベル92が台紙91から完全に剥離されると、ラベル検知センサ25は、ラベル92が無くなったことを検知する。すると、ラベル供給装置20は、図8から図9にかけて示すように、送り部23を回転駆動させて、新たに1枚のラベル92を台紙91から剥離する。なお、ラベル92が台紙91から完全に剥離されるとは、ラベル92が台紙91に接しなくなった状態を意味する。
【0033】
ロボット30は、例えば図1に示すように複数の駆動軸を有する多関節ロボットであり、その手先31を、少なくとも図1及び図3の平面方向つまりラベル供給装置20の供給方向を含む平面上で自在に移動させることがきるとともに、当該平面方向に回転させることができる。本実施形態の場合、ロボット30は、例えば人が一人で持ち運ぶことができる程度に小型及び軽量のものであり、例えば6つの可動軸を有する多関節のロボットアームである。この場合、ロボット30は、例えば人との協働を前提としており、その動作環境に安全柵が不要となるように設計されている。ロボット30は、例えばロボットコントローラ301を内蔵しており、全体の重量が約4kg、可搬重量が約500g程度に設定されている。
【0034】
ロボット30は、手先31に設けられたロボットハンド40を有しており、ロボットハンド40によってラベル供給装置20から供給されたラベル92を吸着保持して、ワーク保持部10に保持されたワーク80の貼り付け対象面Wに貼り付けることができる。なお、ロボット30は、少なくともラベル供給装置20の供給方向を含む平面上で移動できかつ回転できれば良いため、多関節ロボットに限られず、例えば直交ロボットであっても良い。
【0035】
ロボットハンド40は、図3に示すように、ベース部材41、ブロック部材42、吸着部材43、及び押し付け部材44と、を有している。ベース部材41は、例えば金属又は硬質樹脂などの剛性を有する部材つまり弾性を有さない部材で構成されており、例えばロボット30の手先31に着脱可能に構成されている。
【0036】
ブロック部材42、吸着部材43、及び押し付け部材44は、ベース部材41において手先31とは反対側の面に設けられている。ブロック部材42は、例えば金属又は硬質樹脂などの剛性を有する部材つまり弾性を有さない部材で構成されている。ブロック部材42は、例えば長尺の矩形のブロック状に構成されており、エア配管61に接続される多数の穴を有している。なお、ブロック部材42は、ベース部材41と一体に構成しても良い。
【0037】
吸着部材43は、ブロック部材42の表面に設けられている。吸着部材43は、長尺の矩形の板状に構成されている。この場合、吸着部材43の長手方向は、図3の紙面の奥行方向つまり紙面に対して垂直方向となる。そして、吸着部材43の長手方向の寸法は、ラベル92の幅寸法以上に設定されている。
【0038】
吸着部材43は、台紙91から剥離されたラベル92を吸着保持することができる。本実施形態の場合、吸着部材43は、ブロック部材42及びエア配管61を介して、図1に示すエアバルブ62及び真空発生器63に接続されている。真空発生器63は、真空エジェクタ、真空ブロワ、又は真空ポンプなどであり、吸引力を発生させる。そして、吸着部材43は、真空発生器63の吸引力によってラベル92を吸着保持することができる。また、エアバルブ62を開閉することによって、吸着部材43の吸着状態を切り替えることができる。
【0039】
吸着部材43のうちラベル92との接触面は、ラベル92を吸着して保持する吸着面431となる。本実施形態の場合、吸着面431は、例えば平坦な平面状に形成されている。なお、吸着面431は、必ずしも平面状である必要はなく、例えば外側へ向かって膨らむように湾曲した曲面状、又は内側向かって窪むように湾曲した曲面状に構成されていても良い。また吸着面431は、必ずしも平坦である必要はなく、溝などが形成されていても良い。
【0040】
また、本実施形態の場合、吸着部材43は、弾性を有しかつ連通気泡を有する多孔性の部材、例えばスポンジなどの柔軟性を有する部材で構成されている。この場合、吸着部材43の多数の小孔は、ブロック部材42の穴に接続されている。これにより、図示しないコンプレッサが駆動している状態でエアバルブ62が開かれると、吸着部材43の吸着面431に吸着力が発生する。
【0041】
押し付け部材44は、ブロック部材42及び吸着部材43から離間して設けられている。押し付け部材44は、ラベル92に直接接触し、ラベル92をワーク80の貼り付け対象面Wに押し付けるための部材である。押し付け部材44のうちラベル92との接触面は、ラベル92を貼り付け対象面Wに押し付ける押し付け面441となる。押し付け部材44は、貼り付け対象面Wに配置されたラベル92を押し付け面441において貼り付け対象面Wに押し付ける。
【0042】
本実施形態の場合、押し付け部材44は、円柱状の部材で構成されており、これにより押し付け面441は、押し付け部材44の外側へ膨らんだ曲面状に構成されている。この場合、押し付け部材44は、ベース部材41に回転可能に設けられている。また、押し付け部材44の直径は、ワーク80の直径よりも小さく、かつ、吸着部材43の幅寸法よりも小さい。なお、押し付け部材44は、例えば回転不可として、外側へ向かって膨らむように湾曲した曲面状に構成しても良い。また、押し付け部材44の長手方向は、図1の紙面の奥行方向つまり紙面に対して垂直方向となる。そして、押し付け部材44の長手方向の寸法は、ラベル92の幅寸法以上であって、吸着部材43と同じ寸法又は同程度の寸法に設定されている。
【0043】
制御装置50は、例えばCPU51や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域52を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、ラベル貼り付けシステム1の全体の動作を制御する。本実施形態の場合、制御装置50は、ロボット30及びエアバルブ62の駆動を制御する。この場合、ロボット30に内蔵されているロボットコントローラ301及びエアバルブ62は、制御装置50に電気的に接続されている。また、記憶領域52は、ロボット30及びエアバルブ62を駆動制御するための制御プログラムを記憶している。そして、制御装置50は、CPU51において制御プログラムを実行することで、ロボットコントローラ301に対してロボット30の指令を送ってロボット30を駆動させるとともに、エアバルブ62の開閉を制御してロボットハンド40の吸着状態を制御する。
【0044】
なお、また、ラベル供給装置20は、制御装置50に接続されておらず、ロボット30及びエアバルブ62に対して独立して駆動する。また、ロボットコントローラ301は、必ずしもロボット30に内蔵している必要はなく、ロボット30の外部に設けられた構成でも良い。また、ロボットコントローラ301と制御装置50とを一体の構成としても良い。
【0045】
次に、制御装置50によるラベル貼り付けシステム1の制御内容について、図2図20も参照して説明する。なお、本実施形態の場合、ラベル供給装置20は、制御装置50からの制御を受けずに独立して駆動する構成であるが、制御装置50からの制御を受けて行動する構成であっても良い。
【0046】
制御装置50は、CPU51において制御プログラムを実行すると、図2に示すフローチャートに沿って処理を実行する。本実施形態の場合、制御装置50は、ステップS11~S15において受け渡し工程を実行し、その後、ステップS16~S21において配置工程を実行し、その後、ステップS22~S25において押し付け工程を実行する。
【0047】
受け渡し工程は、ラベル供給装置20において台紙91から剥離されたラベル92をロボット30に受け渡す工程である。配置工程は、受け渡し工程においてラベル供給装置20からロボット30に受け渡されて吸着面431に吸着保持したラベル92を、ワーク80の貼り付け対象面Wに押し付けてラベル92の一部を貼り付け対象面Wに貼り付ける工程である。そして、押し付け工程は、配置工程でラベル92を押し付けた箇所を基点に押し付け面441を貼り付け対象面Wに沿って移動させながらラベル92全体を順次貼り付け対象面Wに押し付ける工程である。この場合、押し付け工程における押し付け面441の移動距離は、ワーク80の周方向におけるラベル92の長さ寸法よりも長く設定されている。
【0048】
具体的には、制御装置50は、処理を開始すると(スタート)、ステップS11の処理を実行すると、図4に示すように、ロボット30を駆動制御して、ロボットハンド40に設けられた吸着部材43の吸着面431をラベル供給装置20の受け部24の上方まで移動させる。次に、制御装置50は、ステップS12の処理を実行してエアバルブ62を開き、これにより、吸着面431に吸引力を発生させる。次に、制御装置50は、ステップS13の処理を実行し、図5に示すように、ロボット30を駆動制御して吸着面431を下降させて、吸着面431を台紙91から剥離されたラベル92の上面に接触させる。
【0049】
次に、制御装置50は、ステップS14の処理を実行し、図6に示すように、ロボット30を駆動制御して吸着面431を受け部24に押し付ける。これにより、台紙91から剥離されたラベル92が、吸着面431に吸着される。この場合、吸着面431は、ラベル92の後端部分、つまり、ラベル92の進行方向の長手方向中心に対して後ろ側部分を吸着する。また、吸着部材43は、例えばスポンジなどの弾性及び柔軟性を有する部材で構成されているため、図6に示すように、受け部24に沿って変形する。なお、受け部24に対する吸着面431の押し付け力は、吸着面431の下降の目標位置を受け部24よりも下方に設定することで制御しても良いし、吸着面431からの反力を監視することつまりロボット30に作用するトルクで制御しても良い。
【0050】
次に、制御装置50は、ステップS15の処理を実行し、図7に示すように、ロボット30を駆動制御して、吸着面431を、ラベル92の供給方向側へ向かう成分を含む斜め方向、この場合、供給方向の斜め上方へ移動させる。この場合、ラベル92の供給方向に対して、ステップS15において吸着面431が受け部24から遠ざかる際の移動方向の成す角度は、ステップS13において吸着面431が受け部24に接近する際の移動方向の成す角度よりも小さい。すなわち、図4から図5にかけて示すように、ラベル92を吸着保持する前の吸着面431は、略垂直方向に下降して受け部24に接近する。一方、図6から図7にかけて示すように、ラベル92を吸着保持した後の吸着面431は、垂直方向よりも浅い角度で、供給方向前側の斜め上方へ向けて移動し、受け部24から遠ざかる。この場合、吸着面431の移動方向は、ラベル92の供給方向に対して45°程度であることが好ましい。
【0051】
これにより、吸着面431で吸着したラベル92のうち台紙91から剥離されていなかった後端部分も台紙91から剥離され、これによりラベル92が台紙91から完全に剥離される。このようにして、ラベル供給装置20において台紙91から剥離されたラベル92が、ロボット30に装着されたロボットハンド40に受け渡される。
【0052】
次に、制御装置50は、ステップS16の処理を実行すると、図8に示すように、ロボット30を駆動制御して、吸着面431をワーク80の上方へ移動させる。このとき、ラベル供給装置20は、ラベル検知センサ25によってラベル92がロボット30に受け渡されたことを検出する。すると、ラベル供給装置20は、図8から図9にかけて示すように、送り部23をラベル92の長さ分回転させて次のラベル92を台紙91から剥離する。
【0053】
次に、制御装置50は、ステップS17の処理を実行すると、図9に示すように、ロボット30を駆動制御して吸着面431を下降させる。その後、制御装置50は、ステップS18の処理を実行し、ロボット30を駆動制御して吸着面431をワーク80の貼り付け対象面Wに押し付ける。このときにワーク80の貼り付け対象面Wに対してラベル92が接触した部分を基点Pとする。なお、基点Pは、ある程度の幅を有する領域である。次に、制御装置50は、ステップS19の処理を実行し、エアバルブ62を閉じる。これにより、吸着面431がワーク80の貼り付け対象面Wに押し付けられた状態で、吸着面431に生じていた吸引力が解除される。
【0054】
その後、制御装置50は、ステップS20の処理を実行し、図11から図13にかけて示すように、ロボット30を駆動制御して基点Pを支点に吸着面431を揺動させる。この揺動は、少なくとも1往復以上行われる。また、この揺動の角度は、ワーク80の中心Oに対して数度程度である。
【0055】
次に、制御装置50は、ステップS21の処理を実行し、図14に示すように、ロボット30を駆動制御して、吸着面431を貼り付け対象面Wに配置されたラベル92から離間させる。これにより、ラベル92全体のうち基点P部分のみがワーク80の貼り付け対象面Wに貼り付けられた状態となり、ラベル92がワーク80の貼り付け対象面に配置される。
【0056】
ここで、図15図21に示すように、ラベル92におけるワーク80の周方向の両端部のうち、基点Pに近い方の端部を第1端部E1とし、基点Pから遠い方の端部を第2端部E2とする。制御装置50は、ステップS22の処理を実行すると、図15に示すように、ロボット30を駆動制御して、押し付け面441が基点Pに接触する位置まで押し付け面441を移動させる。次に、制御装置50は、ステップS23の処理を実行し、図15から図16にかけて示すように、ロボット30を駆動制御して、押し付け面441を、第1端部E1側へ向かって移動させる。このとき、ロボット30は、押し付け面441でラベル92をワーク80の貼り付け対象面Wに押さえつけながら、押し付け面441をワーク80の貼り付け対象面Wに沿って円弧を描くようにして第1端部E1を超える位置まで移動させる。
【0057】
次に、制御装置50は、ステップS24の処理を実行し、図17から図19にかけて示すように、ロボット30を駆動制御して、押し付け面441を、第2端部E2側へ向かって移動させる。このとき、ロボット30は、押し付け面441でラベル92をワーク80の貼り付け対象面Wに押さえつけながら、押し付け面441をワーク80の貼り付け対象面Wに沿って円弧を描くようにして第2端部E2を超える位置まで移動させる。
【0058】
その後、制御装置50は、ステップS25の処理を実行し、図20に示すように、ロボット30を駆動制御して、押し付け面441を、第1端部E1側へ向かって再び移動させる。このとき、ロボット30は、押し付け面441でラベル92をワーク80の貼り付け対象面Wに押さえつけながら、押し付け面441をワーク80の貼り付け対象面Wに沿って円弧を描くようにして、ワーク80の頂点Tを越えない位置まで移動させる。これにより、ラベル92は、ラベル92の全域に亘って押し付け面441で押さえつけられることで、ワーク80の貼り付け対象面Wにしっかりと貼り付けられる。
【0059】
その後、制御装置50は、ステップS26の処理を実行し、図21に示すように、ロボット30を駆動制御して、押し付け面441をラベル92から離間さえる。これにより、一連の制御が完了する(エンド)。
【0060】
以上説明した実施形態によれば、ラベル貼り付けシステム1は、ワーク保持部10と、ラベル供給装置20と、ロボット30と、ロボットハンド40と、を備える。ワーク保持部10は、曲面を有し当該曲面をラベルの貼り付け対象面Wとしたワーク80を保持する。ラベル供給装置20は、台紙91に貼られたラベル92を台紙91から剥離し供給する。ロボットハンド40は、ラベル92を吸着保持するこができる吸着面431と、貼り付け対象面Wに配置されたラベル92を貼り付け対象面Wに押し付ける押し付け面441と、を有する。ロボット30は、手先31に設けられたロボットハンド40を移動させてラベル供給装置20から供給されたラベル92をワーク保持部10に保持されたワーク80の貼り付け対象面Wに貼り付ける。
【0061】
そして、ロボット30は、配置工程と、押し付け工程と、を実行することができる。配置工程は、吸着面431に吸着保持したラベル92を貼り付け対象面Wに押し付けてラベル92の一部を貼り付け対象面Wに貼り付ける工程である。押し付け工程は、配置工程の後に実行され、配置工程でラベル92を押し付けた箇所を基点に押し付け面441を貼り付け対象面Wに沿って移動させながらラベル92を貼り付け対象面Wに押し付ける工程である。
【0062】
この構成によれば、ロボット30は、押し付け工程を実行することによって、基点Pからラベル92の端部へ向かって順に貼り付け対象面Wとラベル92との間に存在する空気を押し出しつつ、ラベル92を貼り付け対象面Wに貼り付けることができる。これにより、貼り付け対象面Wとラベル92との間の隙間が形成されてその隙間によってラベル92にシワやヨレが生じることが抑制される。このように、ロボット30は、配置工程によって貼り付け対象面Wに配置したラベル92を、押し付け工程によってラベル92に沿って移動させながら押し付けることで、ラベル92をシワやヨレを伸ばしながら貼り付け対象面Wに貼り付けることができる。これにより、貼り付け対象面Wに張り付けられたラベル92にシワやヨレが生じることを極力抑制することができ、その結果、曲面状の貼り付け対象面にラベルを綺麗に貼り付けることができる。
【0063】
更に、ロボットハンド40は、ラベル92を吸着保持するこができる吸着面431と、ラベル92を貼り付け対象面Wに押し付ける押し付け面441と、を有している。これにより、ラベル供給装置20から供給されるラベル92を吸着保持して貼り付け対象面Wまで移動させて配置する工程つまり受け渡し工程及び配置工程と、貼り付け対象面Wに配置されたラベル92を貼り付け対象面Wに押し付ける工程つまり押し付け工程と、を1つのロボットハンド40によって行うことができる。このため、ロボットハンド40及びロボット30の小型化が図られ、ひいてはラベル貼り付けシステム1全体の小型化を図ることができる。このように、本構成によれば、小型でかつシワやヨレが生じることを極力抑制して綺麗に貼ることができるラベル貼り付けシステム1を提供することができる。
【0064】
ここで、配置工程で配置されたラベル92において、配置工程で貼り付け対象面Wに貼り付けられた部分つまり基点Pの接着が弱い場合、押し付け工程が実行された際に押し付け面441とラベル92との摩擦によってラベル92のうち基点P部分が剥がれたり位置がずれてしまったりといった不具合が生じるおそれがある。これに対し、本実施形態によれば、配置工程において、ロボット30は、基点Pを中心に吸着面431を揺動させる。これによれば、ラベル92における基点P部分が貼り付け対象面Wに対してより強固に貼り付けられる。そのため、これによれば、工程の途中で貼り付け対象面Wからラベル92が剥がれたり、ラベル92の位置がずれてしまったりといった不都合を抑制することができる。その結果、ラベル92にシワやヨレが生じることをより確実に抑制して更に綺麗に貼ることができる。
【0065】
また、押し付け工程において、ロボット30は、押し付け面441を、基点Pからラベル92におけるワーク80の周方向の両端部E1、E2のうち基点Pに近い方の端部となる第1端部E1側へ移動させる。その後、ロボット30は、第1端部E1を越えた後に逆方向へ向かって基点Pから遠い方の端部となる第2端部E2を超える位置まで移動させる。これにより、ロボット30は、ラベル92の全体に亘ってラベル92を貼り付け対象面Wに押し付ける。
【0066】
これによれば、押し付け面441によってラベル92全体をまんべんなく押さえつけつつ、先に第2端部E2側へ移動させてから第1端部E1側へ移動させた場合に比べて押し付け面441の移動距離を短くすることができる。その結果、押し付け工程に要する時間を極力短くすることができ、短時間で効率良く綺麗にラベルを貼り付けることができる。
【0067】
また、ラベル貼り付けシステム1は、ラベル供給装置20において台紙91から剥離されたラベル92をロボット30に受け渡す受け渡し工程を更に備えている。ラベル供給装置20は、長尺状の台紙91に複数のラベル92を貼ったものをロール状に巻いたロール部材90を用いてラベル92を供給するものである。また、ラベル供給装置20は、台紙91から剥離されたラベル92の下方に位置に設けられた受け部24を有している。そして、受け渡し工程において、ロボット30は、吸着面431を移動させて吸着面431にラベル92を接触させた状態で受け部24に押し付け、その後、受け部24から離間する方向へ移動させることで、ラベル92を台紙91から完全に剥離する。
【0068】
これによれば、ロボット30は、受け渡し工程において、吸着面431にラベル92を接触させた状態で受け部24に押し付けることで、吸着面431に確実に吸着させることができる。これにより、ラベル供給装置20からワーク80に移動する際にラベル92が吸着面431から外れて落下してしまうといった不都合を抑制することができ、より確実にラベル92を貼り付けることができる。
【0069】
また、受け渡し工程において、ロボット30は、吸着面431をラベル92に接近させて吸着面431をラベル92に接触させる際に、ラベル92の表面に対して垂直方向に接近させる。すなわち、この場合、吸着面431の移動方向の成分のうちラベル92の供給方向の成分は、ラベル92に対する垂直方向の成分に対して十分に小さい。そのため、吸着面431がラベル92に接触する際に、吸着面431がラベル92の表面をすべってずれてしまうことを極力抑制することができ、その結果、ラベル92をより確実に吸着保持することができる。
【0070】
ここで、ラベル92は、台紙91側の面に接着剤層を有している。そのため、吸着面431の移動方向の成分のうちラベル92に対する垂直方向の成分この場合重力方向の成分よりも、ラベル92の供給方向の成分この場合水平方向の方が大きいと、吸着面431がラベル92の表面に接触してラベル92を吸着した際に、ラベル92が台紙91に対して水平方向に引っ張られてしまい、これによりラベル92の接着剤層が台紙91に対していわゆる横滑りが生じる可能性がある。すると、接着剤層が台紙91と擦れて荒れてしまい、その結果、接着剤層の接着力が低下してしまうおそれがある。
【0071】
これに対し、本実施形態によれば、受け渡し工程において、吸着面431の移動方向の成分のうちラベル92の供給方向の成分この場合水平方向の成分は、ラベル92に対する垂直方向の成分この場合重力方向の成分に対して十分に小さい。そのため、吸着面431がラベル92に接触しラベル92を吸着した際に、ラベル92が台紙91に対して水平方向に引っ張られてラベル92の接着剤層が台紙91に対して横滑りが生じることを極力抑制することができる。これにより、ラベル92の接着剤層が荒れてその接着力が低下してしまい、その結果、貼り付け対象面Wに対するラベル92の接着力が低下してしまうといった不具合を極力抑制することができる。
【0072】
ここで、吸着面431にラベル92を吸着保持した状態で台紙91からラベル92を完全に剥がす場合、吸着面431を台紙91に対して垂直方向又は水平方向に移動させると、ラベル92の粘着力による抵抗が大きいため、吸着面431からラベル92が外れてしまう可能性がある。また、台紙91に対して水平方向にラベル92が引っ張られると、ラベル92の接着剤層が台紙91に対していわゆる横滑りが生じる可能性がある。すると、上述したように接着剤層が台紙91と擦れて荒れてしまい、その結果、接着剤層の接着力が低下してしまうおそれがある。
【0073】
そこで、本実施形態によれば、受け渡し工程において、ロボット30は、吸着面431がラベル92を吸着保持した後に、吸着面431をラベル供給装置20におけるラベル92の供給方向側へ向かう成分を含む斜め方向へ向かって、この場合、供給方向側の斜め上方へ向かって離間させる。これによれば、台紙91に対する垂直方向及び水平方向の抵抗を極力小さくすることができるため、ラベル92が吸着面431から外れてしまったり、接着剤層が荒れてその接着力が低下してしまったりといった不具合を極力抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態において、受け部24は、外側へ膨らんだ曲面状に形成されている。これによれば、受け渡し工程において、吸着面431にラベル92を接触させた状態で受け部24に押し付けた場合に、ラベル92のうち受け部24から力を受けて押圧される領域を極力小さくすることができる。これにより、ラベル92の台紙91側に設けられた接着剤層が不必要に押圧されることが抑制されるため、接着剤層が荒れてその接着力が低下してしまうといった不具合を極力抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態のラベル貼り付けシステム1において、吸着面431は平面状に形成されており、押し付け面441は外側へ膨らんだ曲面状に形成されている。これによれば、吸着面431は平面状に形成されていることから、吸着面431を受け部24に押し付けた場合に、受け部24に沿ってラベル92とともに吸着面431を変形させることができ、これにより、吸着面431とラベル92との接触面積を極力大きく確保することができる。これにより、吸着面431でラベル92をより確実に吸着保持することができる。
【0076】
更に、押し付け面441は外側へ膨らんだ曲面状に形成されていることから、押し付け面441は、ラベル92に対して線接触で接触する。これによれば、押し付け工程において、押し付け面441をラベル92に押し付けた状態で移動させた場合に、ラベル92と貼り付け対象面Wとの間に入った空気をより確実に押し出すことができる。その結果、小型の構成であっても、ラベル92のシワやヨレをより確実に抑制することができ、ラベル92を綺麗に貼り付けることができる。
【0077】
また、吸着面431は、例えばスポンジなど弾性及び柔軟性を有する部材で構成されている。一方、押し付け面441は、例えば硬質ゴムなどのような、吸着面431よりも硬質の部材で構成されている。これによれば、吸着面431は、弾性を有する部材で構成されていることから、吸着面431を例えば受け部24などに押し付けてラベル92を吸着保持する際に、吸着面431を受け部に沿って変形させることができる。これにより、ラベル92が吸着面431全体に確実に押し付けられるようになり、その結果、吸着面431によるラベル92の吸着保持をより確実なものとすることができる。
【0078】
更に、押し付け面441は、吸着面431よりも硬質の部材で構成されていることから、押し付け面441を貼り付け対象面Wに押し付けた状態で移動させた場合に、押し付け面441が不要に変形してしまうことが防がれ、これにより、ラベル92と貼り付け対象面Wとの間に入った空気をより確実に押し出すことができる。その結果、小型の構成であっても、ラベル92のシワやヨレを更に確実に抑制することができ、ラベル92を更に綺麗に貼り付けることができる。
【0079】
なお、上記実施形態において、ラベル貼り付けシステム1は、複数台のロボット30を備え、複数台のロボット30の協働によってラベル92を貼り付ける構成であっても良い。
また、上記説明した各実施形態は、上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0080】
図面中、1はラベル貼り付けシステム、10はワーク保持部、20はラベル供給装置、24は受け部、30はロボット、31は手先、40はロボットハンド、431は吸着面、441は押し付け面、80はワーク、90はロール部材、91は台紙、92はラベル、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21