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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報処理装置及び顔認識システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20231129BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231129BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G06T7/00 510F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019033126
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020140239
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】井上 清司
【審査官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0330028(US,A1)
【文献】特開2004-259253(JP,A)
【文献】特開2012-133411(JP,A)
【文献】特開2003-187352(JP,A)
【文献】特開2014-182480(JP,A)
【文献】特開2008-176653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00 - 31/00
G06V 40/00 - 40/70
G06T 1/00
G06T 7/00
G06T 11/60 - 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 - 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の顔が撮像された撮像データを取得する取得部と、
複数の顔画像データを記憶している記憶部と、
前記顔画像データを参照し、前記撮像データと対比して前記顔画像データ毎に一致率を算定し、前記顔画像データと、該顔画像データに対応する一致率とを出力する算定部と、
前記撮像データとの一致率が所定閾値以上の前記顔画像データが1つのみの場合は、前記撮像データと、前記顔画像データを示す照合対象データとを他の情報処理装置に送信しない一方、前記撮像データとの一致率が前記所定閾値以上の前記顔画像データが複数ある場合は、前記撮像データと、一致率が前記所定閾値以上の複数の前記顔画像データを示す前記照合対象データとを前記他の情報処理装置に送信する送信部と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記他の情報処理装置は、前記算定部よりも精密な画像対比機能を持つ
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記他の情報処理装置は、前記情報処理装置から受信した前記照合対象データに基づく複数の前記顔画像データを参照し、前記情報処理装置から受信した前記撮像データと対比して前記顔画像データ毎に一致率を算定し、前記撮像データとの一致率が所定閾値以上の1つの前記顔画像データである判定済顔画像データがある場合に、該判定済顔画像データを示すデータを前記情報処理装置に返信する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
人物の顔を撮像し前記撮像データを前記取得部へ出力する撮像部
をさらに有する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記算定部は、前記撮像データから人物の顔部分を照合顔画像データとして抽出し、
前記送信部は、前記照合顔画像データと前記照合対象データとを前記他の情報処理装置に送信する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置と前記他の情報処理装置とは、ネットワークにより接続されている
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記撮像データと、前記照合対象データとしての一致率が前記所定閾値以上の複数の前記顔画像データとを前記他の情報処理装置に送信する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記他の情報処理装置は、前記情報処理装置から受信した複数の前記顔画像データにおける前記判定済顔画像データを示す順番を前記情報処理装置へ返信する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記他の情報処理装置は、前記判定済顔画像データを前記情報処理装置へ返信する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記送信部は、前記撮像データと、一致率が前記所定閾値以上の複数の前記顔画像データを示す前記照合対象データとしての複数の識別情報とを前記他の情報処理装置に送信し、
前記他の情報処理装置は、
前記情報処理装置と同様の内容の複数の前記顔画像データを前記情報処理装置から取得して記憶しており、
前記情報処理装置から受信した前記識別情報に対応する、前記情報処理装置から受信して記憶した前記顔画像データを参照し、前記情報処理装置から受信した前記撮像データと対比して前記顔画像データ毎に一致率を算定し、前記撮像データとの一致率が所定閾値以上の1つの前記顔画像データである判定済顔画像データがある場合に、該判定済顔画像データを示す前記識別情報を前記情報処理装置に返信する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記他の情報処理装置は、
前記情報処理装置から前記照合対象データを受信するまでは、前記照合対象データを保持していない
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置とサーバとからなる顔認識システムにおいて、
前記情報処理装置は、
人物の顔が撮像された撮像データを取得する取得部と、
複数の顔画像データを記憶している記憶部と、
前記顔画像データを参照し、前記撮像データと対比して前記顔画像データ毎に一致率を算定し、前記顔画像データと、該顔画像データに対応する一致率とを出力する算定部と、
前記撮像データとの一致率が所定閾値以上の前記顔画像データが1つのみの場合は、前記撮像データと、前記顔画像データを示す照合対象データとを前記サーバに送信しない一方、前記撮像データとの一致率が前記所定閾値以上の前記顔画像データが複数ある場合は、前記撮像データと、一致率が前記所定閾値以上の複数の前記顔画像データを示す前記照合対象データとを前記サーバに送信する送信部と
を有し、
前記サーバは、
前記情報処理装置から受信した前記照合対象データに基づく複数の前記顔画像データを参照し、前記情報処理装置から受信した前記撮像データと対比して前記顔画像データ毎に一致率を算定し、前記撮像データとの一致率が所定閾値以上の1つの前記顔画像データである判定済顔画像データがある場合に、該判定済顔画像データを示すデータを前記情報処理装置に返信する制御部
を有する顔認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及び顔認識システムに関し、小売店舗で万引き犯を監視している映像から常習万引き犯に似た人物を探して管理者に通知する、又は、病院や老人ホームなどで徘徊する老人を監視カメラで発見した際に看護師や介護担当者に通知する顔認識システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の顔認識システムにおいては、利用者の端末で自動認証により顔認識が照合できなかった場合、カメラで取得した顔画像と照合用の顔画像とを、ネットワークを介して審査者の端末に送信するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-251380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の顔認識システムは、1つのカメラ又は複数のカメラに対して1つの顔認識処理装置をネットワークで接続して処理を行い、その処理結果を管理者に通知していた。
【0005】
しかしながら1台の顔認識処理装置に対して複数のカメラから送られる連続画像を元に顔認識処理を行う場合には、接続するカメラの増加に伴いネットワークを流れる画像(データトラフィック)が増加し、また顔認識処理装置側の画像処理量も増加するため、カメラから画像を送り顔認識処理結果を通知するまでのシステム全体のパフォーマンスが低下していた。
【0006】
また、接続するカメラの台数が1台の場合であっても複数台の場合であっても、顔認識処理装置の最小構成は変わらないため、価格が割高になっていた。つまりカメラと顔認識処理装置とをネットワークを経由して利用する場合に、パフォーマンスとコストバランスとの問題があった。
【0007】
これは、1種類の認識性能(識別精度と処理速度とを含む能力)をもつ顔認識ソフトウェアを利用して顔認識システムを実現するために発生する課題で、1つの場所(地域)で照合対象になる人数は多くはないが、複数の地域(カメラ)から送られる画像を1つの顔認識処理装置で照合しようとするため、従来の顔認識処理装置は、1箇所で多くの人数の顔データベースで照合し、一致度の高い人物を絞り込む能力(識別精度)を有するものが利用されていた。
【0008】
ここで、例えば全国に点在する支店を保有する小売企業が、各店舗に訪れる万引き犯や商品に穴をあける等の悪戯をする犯人を見つけるために顔認識システムを使用する場合、各店舗で照合に使われる顔データベースには、犯人がその店舗に何度も訪れることを考慮すると、犯人がその地域に住んでいる可能性が高いため、他の離れた地域の犯人の顔データベースと照合する必要性は低い。つまり効率性を考慮すれば、特定の場所や地域で必要とされる顔データベースのみに絞って運用が可能であれば、1箇所で高い識別能力をもつ顔認識処理装置を必要とはしていない場合があった。
【0009】
このため、顔認識システムにおいては、個々の場所(地域)毎に編成された小規模の顔データベースだけを処理することで認識精度を維持しつつ処理速度を向上させ、また監視対象となるカメラが追加されても、ネットワーク負荷を増大させることなく、認識精度及び処理速度を維持することが望まれている。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、顔データベースの規模に関わらず、ネットワーク負荷を増大させずに認識精度及び処理速度を維持しつつ顔認識処理を行い得る情報処理装置及び顔認識システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため本発明の情報処理装置においては、人物の顔が撮像された撮像データを取得する取得部と、複数の顔画像データを記憶している記憶部と、顔画像データを参照し、撮像データと対比して顔画像データ毎に一致率を算定し、顔画像データと、該顔画像データに対応する一致率とを出力する算定部と、撮像データとの一致率が所定閾値以上の顔画像データが1つのみの場合は、撮像データと、顔画像データを示す照合対象データとを他の情報処理装置に送信しない一方、撮像データとの一致率が所定閾値以上の顔画像データが複数ある場合、撮像データと、一致率が所定閾値以上の複数の顔画像データを示す照合対象データとを他の情報処理装置に送信する送信部とを設けるようにした。
【0012】
また本発明の顔認識システムにおいては、情報処理装置とサーバとからなる顔認識システムにおいて、情報処理装置は、人物の顔が撮像された撮像データを取得する取得部と、複数の顔画像データを記憶している記憶部と、顔画像データを参照し、撮像データと対比して顔画像データ毎に一致率を算定し、顔画像データと、該顔画像データに対応する一致率とを出力する算定部と、撮像データとの一致率が所定閾値以上の顔画像データが1つのみの場合は、撮像データと、顔画像データを示す照合対象データとをサーバに送信しない一方、撮像データとの一致率が所定閾値以上の顔画像データが複数ある場合は、撮像データと、一致率が所定閾値以上の複数の顔画像データを示す照合対象データとをサーバに送信する送信部とを設け、サーバは、情報処理装置から受信した照合対象データに基づく複数の顔画像データを参照し、情報処理装置から受信した撮像データと対比して顔画像データ毎に一致率を算定し、撮像データとの一致率が所定閾値以上の1つの顔画像データである判定済顔画像データがある場合に、該判定済顔画像データを示すデータを情報処理装置に返信する制御部を設けるようにした。
【0013】
これにより本発明は、顔データベースに登録されている顔画像データの量が少ない場合は、情報処理装置単体で顔認識処理を完結できると共に、顔データベースに登録されている顔画像データの量が増加してきて、撮像データと一致する顔画像データを情報処理装置単体では識別能力が不足し1枚に絞り込めない場合は、情報処理装置よりも顔認識能力の高い他の情報処理装置で顔照合処理により1枚に絞り込むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、顔データベースの規模に関わらず、ネットワーク負荷を増大させずに認識精度及び処理速度を維持しつつ顔認識処理を行い得る情報処理装置及び顔認識システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】顔認識システムの全体構成を示す図である。
図2】顔認識カメラの構成を示すブロック図である。
図3】顔認識サーバの構成を示すブロック図である。
図4】携帯端末の構成を示すブロック図である。
図5】顔認識カメラの機能構成を示すブロック図である。
図6】顔認識カメラによる顔認識処理手順を示すフローチャートである。
図7】第1の実施の形態における顔認識システムによる顔認識処理手順を示すシーケンスチャートである。
図8】通過履歴情報作成処理手順を示すフローチャートである。
図9】通過履歴情報表示画面を示す図である。
図10】顔データベース登録画面を示す図である。
図11】類似顔提示画面を示す図である。
図12】第2の実施の形態における顔認識システムによる顔認識処理手順を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0017】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.顔認識システムの構成]
図1に示すように第1の実施の形態による顔認識システム1は、例えば同一店舗内に設置された顔認識カメラ2、顔認識サーバ4、ルータ8及びWi-Fi(登録商標)アクセスポイント10と、携帯端末6とにより構成されている。
【0018】
顔認識カメラ2は、カメラであると共に、顔認識サーバ4と比較して顔認識能力が低い顔認識ソフトウェアにより顔認識処理を実行する。顔認識カメラ2は、ルータ8を介して顔認識サーバ4とネットワーク接続されており、該顔認識サーバ4とデータの送受信を行う。
【0019】
顔認識サーバ4は、顔認識カメラ2と比較して顔認識能力が高い顔認識ソフトウェアにより、顔認識カメラ2から受信した画像データに対し顔認識処理を実行する。顔認識サーバ4は、ルータ8を介して顔認識カメラ2とネットワーク接続されており、該顔認識カメラ2とデータの送受信を行う。
【0020】
ルータ8は、有線又は無線によりWi-Fiアクセスポイント10と接続されており、Wi-Fiアクセスポイント10を介して携帯端末6とデータの送受信を行う。またルータ8は、有線LAN(Local Area Network)により顔認識カメラ2及び顔認識サーバ4と接続されており、該顔認識カメラ2及び該顔認識サーバ4とデータの送受信を行う。
【0021】
携帯端末6は、所謂スマートフォン、タブレットやPDA(Personal Digital Assistant)等の使用者による持ち運びが容易な可搬型のモバイル端末により構成されている。携帯端末6は、アクセスポイント10及びルータ8を介して顔認識カメラ2及び顔認識サーバ4と無線通信を行う。
【0022】
[1-2.顔認識カメラの構成]
図2に示すように顔認識カメラ2は、処理装置20、OS(Operating System)26、カメラ撮像部28、顔認識処理部30及びWeb(World Wide Web)サービス部32により構成されている。処理装置20は、通常のPC(Personal Computer)と同等の構成であり、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、補助記憶装置としてのSSD(Solid State Drive)23及び通信部24が搭載されている。CPU21は、図示しないROM(Read Only Memory)から所定のプログラムを読み出して図示しないRAM(Random Access Memory)をワークメモリとして用いて各種演算を行い顔認識カメラ2を統轄制御して種々の処理を実行する。メモリ22は、不揮発性の記憶装置である。SSD23は、後述する通過履歴情報及び顔データベースを記憶する。通過履歴情報は、カメラ撮像部28が撮像した、人物の顔を含む全身の画像を複数人分記憶したデータである。顔データベースは、通過履歴情報から管理者により選択された人物の顔画像である登録顔画像が顔画像データとして登録されたデータである。
【0023】
通信部24は、ルータ8(図1)に接続されており、顔認識サーバ4及び携帯端末6とデータを送受信する。OS26は、処理装置20と、該処理装置20の外部とのI/Oインターフェースとして機能する。撮像部としてのカメラ撮像部28は、レンズを有するカメラであり、人物の顔を含む風景を撮像し、撮像画像を画像データである撮像データとして処理装置20へ供給する。Webサービス部32は、Webサービスの形式で実装されており、携帯端末6からの要求に応じて処理結果を該携帯端末6へ送信する機能を実現する。
【0024】
顔認識処理部30は、カメラ撮像部28から取得した撮像データに基づく撮像画像における、人物の顔の部分である照合顔画像と、顔データベースに記憶されている複数の登録顔画像とを対比することにより、照合顔画像と一致する登録顔画像を検出する顔認識処理を実行する。この顔認識処理部30は、顔認識サーバ4の顔認識処理部46と比較して、顔認識能力が低いものとなっている。また顔認識処理部30は、顔認識処理の認識結果に応じて、内部で管理しているアラーム通知ステータスを更新すると共に、カメラ撮像部28から次の撮像データを取得して顔認識処理を継続的に繰り返す。アラーム通知ステータスは、照合顔画像と一致した登録顔画像が検出された際に、OFFからONへ更新される。
【0025】
[1-3.顔認識サーバの構成]
図3に示すように顔認識サーバ4は、処理装置40、OS44及び顔認識処理部46により構成されている。処理装置40は、通常のPCと同等の構成であり、CPU41、メモリ42及び通信部43が搭載されている。CPU41は、図示しないROMから所定のプログラムを読み出して図示しないRAMをワークメモリとして用いて各種演算を行い顔認識サーバ4を統轄制御して種々の処理を実行する。メモリ42は、不揮発性の記憶装置である。通信部43は、ルータ8(図1)に接続されており、顔認識カメラ2及び携帯端末6とデータを送受信する。OS44は、処理装置40と、該処理装置40の外部とのI/Oインターフェースとして機能する。
【0026】
顔認識処理部46は、顔認識カメラ2から受信した照合顔画像データにより示される照合顔画像と、顔認識カメラ2から受信した、顔データベースに記憶されている複数の登録顔画像データにより示される複数の登録顔画像とを対比することにより、顔照合処理を実行する。この顔認識処理部46は、顔認識カメラ2の顔認識処理部30と比較して、顔認識能力が高く、精密な画像対比機能を持っている。
【0027】
またこの顔認識サーバ4は、顔認識カメラ2から顔照合処理の依頼を受けて、顔認識カメラ2に顔照合処理の判定結果を返すものの、携帯端末6への情報通知は行わない。さらに顔認識サーバ4は、顔照合処理をする際の顔データベースを保持しておらず、顔認識カメラ2から渡される画像のみで、顔照合処理を行う。
【0028】
[1-4.携帯端末の構成]
図4に示すように携帯端末6は、処理装置50、OS56及び顔認識情報操作アプリケーション58により構成されており、管理者により操作される。処理装置50は、CPU51、メモリ52、通信部53及び操作表示部54が搭載されている。CPU51は、図示しないROMから所定のプログラムを読み出して図示しないRAMをワークメモリとして用いて各種演算を行い携帯端末6を統轄制御して種々の処理を実行する。メモリ52は、不揮発性の記憶装置である。通信部53は、Wi-Fiアクセスポイント10に接続されており、顔認識カメラ2及び顔認識サーバ4とデータを送受信する。操作表示部54は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)とタッチパネルとが一体化されており、各種画面を表示すると共に利用者の操作指示を受け付ける。OS56は、処理装置50と、該処理装置50の外部とのI/Oインターフェースとして機能する。
【0029】
顔認識情報操作アプリケーション58は、通常のスマートフォンやタブレットで動作する1つのアプリケーションであり、顔認識カメラ2と連携する専用のソフトウェアである。この顔認識情報操作アプリケーション58は、顔認識カメラ2のアラーム通知ステータスを監視すると共に、各種情報を管理者に提示する。また顔認識カメラ2と携帯端末6とは、固定のIP(Internet Protocol)アドレスをそれぞれ保持し、互いに予め登録さているIPアドレスとポート番号で定められたプログラムとだけ通信を実行することにより、セキュリティを確保している。
【0030】
[1-5.顔認識カメラの機能構成]
ここで、顔認識カメラ2における後述する顔認識処理に関係する基本的な機能を機能ブロック図により表すと、図5のようになる。顔認識カメラ2のCPU21(図2)は所定の顔認識プログラムを実行することにより、取得部60、記憶部62、算定部64及び送信部66の各機能ブロックを実現する。
【0031】
取得部60は、CPU21及びカメラ撮像部28(図2)と対応しており、人物の顔が撮像された撮像データを取得する。記憶部62は、SSD23(図2)と対応しており、複数の顔画像データである登録顔画像を記憶している。算定部64は、顔認識処理部30(図2)と対応しており、顔画像データを参照し、撮像データと対比して顔画像データ毎に一致率を算定し、顔画像データと、該顔画像データに対応する一致率とを出力する。また算定部64は、撮像データの顔の特徴を特徴量データに変換し、登録済みの顔画像データの特徴量と対比し、類似度が所定の閾値以上であるかを判定する。このように、撮像データ及び顔画像データは、特徴量を含むものとなっている。送信部66は、CPU21及び通信部24(図2)と対応しており、撮像データとの一致率が所定閾値以上の顔画像データが複数ある場合に、撮像データと、一致率が所定閾値以上の複数の顔画像データとを他の情報処理装置としての顔認識サーバ4に送信する。
【0032】
[1-6.顔認識カメラによる顔認識処理]
次に、顔認識カメラ2による顔認識処理の具体的な処理手順について、図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。CPU21は、顔認識処理プログラムを実行することにより図6に示す顔認識処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。ステップSP1においてCPU21は、顔認識処理部30により、カメラ撮像部28から撮像データを読み出して顔認識処理を開始し、ステップSP2へ移る。ステップSP2においてCPU21は、顔認識処理の最初の処理として、撮像画像中から被写体の顔を検出する顔検出処理を顔認識処理部30により行い、ステップSP3へ移る。具体的に顔認識処理部30は、顔検出処理において、顔が写っているかどうか、撮像データにより示される撮像画像中を探索する。ステップSP3においてCPU21は、撮像画像中で顔を発見したか否かを顔認識処理部30により判定する。ここで否定結果が得られると、CPU21はステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0033】
一方ステップSP3において肯定結果が得られると、このことは、撮像画像中で顔を発見したことを表し、このときCPU21はステップSP4へ移る。ステップSP4においてCPU21は、図8に示す通過履歴情報作成処理手順SRT1を経てステップSP5へ移る。ステップSP5においてCPU21は、顔認識処理の次の処理として、照合顔画像と登録顔画像とが一致しているか照合する顔照合処理を顔認識処理部30により行い、ステップSP6へ移る。具体的に顔認識処理部30は、顔照合処理において、撮像画像において発見した顔を囲む画像領域である照合顔画像だけを対象に、予め登録されている顔データベースにおける登録顔画像と顔照合処理を実行する。ステップSP6においてCPU21は、一致度が一定以上の顔である顔候補を複数の登録顔画像中で発見したか否かを顔認識処理部30により判定する。具体的に顔認識処理部30は、例えば閾値である80%以上の一致度を持つ顔を発見した場合、一致度が一定以上の顔を発見したと判定する。ここで否定結果が得られると、CPU21はステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0034】
一方ステップSP6において肯定結果が得られると、このことは、一致度が一定以上の顔候補を複数の登録顔画像中で発見したことを表し、このときCPU21はステップSP7へ移る。ステップSP7においてCPU21は、顔照合処理における判定基準を満たした顔候補が顔データベースの中にどれだけあったかを計測することにより、一致度が一定以上の顔候補を複数の登録顔画像中で複数発見したか否かを顔認識処理部30により判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、一致度が一定以上の顔候補を複数の登録顔画像中で1つのみ発見したため、この顔候補を、一致した顔とすることを表し、このときCPU21はステップSP8へ移る。ステップSP8においてCPU21は、アラーム通知ステータスを顔認識処理部30によりOFFからONに更新し、ステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。携帯端末6は、Webサービス部32に対して、アラーム通知ステータスの変更があったか否かを1秒に1回問い合わせており、アラーム通知ステータスがOFFからONに変更されたことを検出すると、後述する管理者判断動作に移る。
【0035】
一方ステップSP7において肯定結果が得られると、このことは、一致度が一定以上の顔候補を複数の登録顔画像中で複数発見した、すなわち照合顔画像の人物と一致する人物を顔認識処理部30では複数の登録顔画像中から1人に絞り込めなかったことを表し、このときCPU21はステップSP9へ移る。ステップSP9においてCPU21は、顔認識サーバ4において高精度な顔照合処理を行ってもらうことを示す後述する判定依頼を通信部24により顔認識サーバ4へ送信し、ステップSP9へ移る。顔認識サーバ4は、顔認識カメラ2から判定依頼を受信すると、顔認識カメラ2よりも高精度な顔照合処理を行い、判定結果を顔認識カメラ2へ送信する。
【0036】
ステップSP10においてCPU21は、判定結果を通信部24により顔認識サーバ4から受信し、ステップSP11へ移る。ステップSP11においてCPU21は、顔認識サーバ4から受信した判定結果に基づき、複数の登録顔画像の中から、一致度が一定以上の顔を顔認識サーバ4において発見したか否かを顔認識処理部30により判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、顔認識カメラ2において複数の顔候補(登録顔画像)を発見し、それらの顔候補に対し顔認識サーバ4において照合顔画像と顔照合処理を行った結果、顔認識サーバ4においても1人に絞り込める程の一致度が一定以上の顔は発見されなかったことを表し、このときCPU21はステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0037】
一方ステップSP11において肯定結果が得られると、このことは、顔認識カメラ2において複数の顔候補(登録顔画像)を発見し、それらの顔候補を顔認識サーバ4において照合顔画像と顔照合処理を行った結果、1人に絞り込める程の一致度が一定以上の顔が発見されたことを表し、このときCPU21はステップSP8へ移る。ステップSP8においてCPU21は、アラーム通知ステータスを顔認識処理部30により更新し、ステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。携帯端末6は、Webサービス部32に対して、アラーム通知ステータスの変更があったか否かを1秒に1回問い合わせており、アラーム通知ステータスがOFFからONに変更されたことを検出すると、後述する管理者判断動作に移る。
【0038】
[1-7.顔認識システムによる顔認識処理手順]
次に顔認識システム1による、主に顔認識カメラ2と顔認識サーバ4との間のデータの流れを示す顔認識処理手順RT2について、図7のシーケンスチャートを用いて説明する。ステップSP21において顔認識カメラ2のCPU21は、一致度が一定以上の顔候補を登録顔画像中で複数発見した場合、上述した判定依頼を通信部24により顔認識サーバ4へ送信する。ここで顔認識処理部30は、顔照合処理において1人に絞り込めずに例えば3人の顔候補にまで絞り込めた場合、これら3人(例えば顔A、顔B及び顔C)の登録顔画像を示す3枚の登録顔画像データそのものと、これら登録顔画像と類似であると判定した、1枚の顔Sの照合顔画像を示す照合顔画像データそのものとを、判定依頼として顔認識サーバ4へ送信する。このとき顔認識処理部30は、複数の画像データをどのような順序で顔認識サーバ4へ送信したかをメモリ22に記憶する。具体的に顔認識処理部30は、例えば顔S、顔A、顔B、顔Cの順序で画像データを顔認識サーバ4へ送信した場合、そのデータ送信順序を記憶する。
【0039】
顔認識サーバ4のCPU41は、顔候補の全ての登録顔画像データと1枚の照合顔画像データとを判定依頼として顔認識カメラ2から受信すると、ステップSP22において、この複数の登録顔画像と1枚の照合顔画像との顔照合処理を顔認識処理部46により行い、ステップSP23へ移る。このとき顔認識処理部46は、顔S、顔A、顔B、顔Cの順序で画像データを顔認識カメラ2から受信しているため、直近に受信した画像データは顔C、1個前に受信した画像データは顔B、2個前に受信した画像データは顔A、3個前に受信した画像データは顔Sとなる。このように顔認識サーバ4は、顔照合処理をする際の顔データベースを保持しておらず、顔認識カメラ2から渡される画像のみで、顔照合処理を行う。
【0040】
ステップSP23においてCPU41は、一致度が最も高い1つの登録顔画像を発見したか否かを顔認識処理部46により判定する。ここで肯定結果が得られると、このときCPU41はステップSP24へ移る。ステップSP24においてCPU41は、顔認識処理部46により、例えば顔Aが顔Sと一致したと判定したとし、顔Aの登録顔画像データを判定済顔画像データとする。このときCPU41は、顔Aを示すデータ送信順番を判定結果として、すなわち2個前に受信した画像データが顔Sと一致したことを示す情報を判定結果として通信部43により顔認識カメラ2へ送信する。
【0041】
一方ステップSP23において否定結果が得られると、このときCPU41はステップSP25へ移る。ステップSP25においてCPU41は、一致した顔が存在しなかったことを示す判定結果を通信部43により顔認識カメラ2へ送信する。
【0042】
[1-8.通過履歴情報作成処理]
次に、顔認識カメラ2による通過履歴情報作成処理の具体的な処理手順について、図8に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。CPU21は、顔認識処理手順RT1(図6)のステップSP4において図8に示す通過履歴情報作成処理手順SRT1を開始し、ステップSP31へ移る。ステップSP31においてCPU21は、撮像画像中で発見した顔が、直前の撮像画像における顔と同一人物であるか否かを顔認識処理部30により判定する。ここで肯定結果が得られると、このときCPU21はステップSP35へ移り、通過履歴情報作成処理手順SRT1を終了し、顔認識処理手順RT1(図6)のステップSP5へ移る。このように顔認識処理部30は、撮像画像中で発見した顔を常にトラッキングしており、同一人物と判定してトラッキングし続けている最中は、その顔の人物を新たに通過履歴情報には追加しない。
【0043】
一方ステップSP31において否定結果が得られると、このときCPU21はステップSP32へ移る。ステップSP32においてCPU21は、撮像画像中で発見した顔を含む全身の画像に基づき人物の年齢を推定する公知の年齢推定処理を顔認識処理部30により行い、ステップSP33へ移る。ステップSP33においてCPU21は、撮像画像中で発見した顔を含む全身の画像に基づき人物の性別を推定する公知の性別推定処理を顔認識処理部30により行い、ステップSP34へ移る。
【0044】
ステップSP34においてCPU21は、顔認識処理部30により、ステップSP3(図6)において発見した人の顔画像を含む全身画像を、顔画像毎に固有の識別情報としてのIDと、顔画像を発見した時間である発見時間と、ステップSP32において推定した推定年齢と、ステップSP33において推定した推定性別と対応付けて、通過履歴情報として処理装置20の内のSSD23内に保存し、ステップSP35へ移り、通過履歴情報作成処理手順SRT1を終了し、顔認識処理手順RT1(図6)のステップSP5へ移る。
【0045】
このように顔認識カメラ2は、カメラ撮像部28の前を通過する人の顔の画像を自動的に切り出して、該顔を含む全身の画像を、ID、発見時間、推定年齢及び推定性別と対応付けて通過履歴情報に逐次追加するように保存していく。また顔認識カメラ2は、1人の被写体に関し、検出した最初の顔画像を含む全身画像を通過履歴情報に保存し、その後トラッキングを続けている限りは該被写体の顔画像を含む全身画像は通過履歴情報に保存しない。
【0046】
[1-9.顔データベース作成処理]
管理者は、携帯端末6(図4)の顔認識情報操作アプリケーション58を操作して顔認識カメラ2のWebサービス部32を呼び出すことにより、処理装置20に保存された通過履歴情報を適宜読み出し、携帯端末6の操作表示部54に図9に示す通過履歴情報表示画面DIP1として表示させる。
【0047】
通過履歴情報表示画面DIP1は、顔画像表示部SFI1、ID表示部SID1及び発見時間表示部ST1を有しており、複数の顔画像を発見時間の時系列で表示する。顔画像表示部SFI1は、通過履歴情報に保存された全身画像における顔画像のみを表示する。ID表示部SID1は、通過履歴情報において顔画像に対応付けられたIDを表示する。発見時間表示部ST1は、通過履歴情報において顔画像に対応付けられた発見時間を表示する。管理者は、照合するために顔データベースに追加して登録したい顔画像を通過履歴情報表示画面DIP1の中から1つ選択する。
【0048】
顔認識情報操作アプリケーション58は、顔画像が通過履歴情報表示画面DIP1の中から1つ選択されると、図10に示す顔データベース登録画面DIP2を操作表示部54に表示する。顔データベース登録画面DIP2は、ID表示部SID2、ニックネーム入力部INN、顔画像表示部SFI2、年齢表示部SAG1、性別表示部SSX1、コメント入力部ICM及び登録ボタンBRGを有している。ID表示部SID2は、通過履歴情報において顔画像に対応付けられたIDを表示する。ニックネーム入力部INNは、顔画像表示部SFI2に表示された顔画像のニックネームが管理者により入力される。顔画像表示部SFI2は、通過履歴情報に保存された全身画像における顔画像のみを表示する。年齢表示部SAG1は、通過履歴情報において顔画像に対応付けられた推定年齢を表示する。性別表示部SSX1は、通過履歴情報において顔画像に対応付けられた推定性別を表示する。コメント入力部ICMは、犯人、クレーマー、いたずら犯、店員やVIP等の、管理者が照合通知を要求する人物のタイプや、何を万引きしようとしたのか等、付加的な情報が管理者により入力される。
【0049】
登録ボタンBRGが管理者により押下されると、顔認識情報操作アプリケーション58は、顔データベース登録画面DIP2において入力された内容を顔データベースへ登録するように、顔認識カメラ2のWebサービス部32に依頼する。顔認識カメラ2のWebサービス部32は、顔データベース登録画面DIP2において入力された内容を顔データベースに追加保存することにより、顔データベースに照合すべき顔画像である登録顔画像として追加登録すると共に、顔認識処理部30に同様の内容を供給する。顔認識処理部30は、取得した顔画像を、以後の顔認識処理手順RT1(図6)におけるステップSP5の顔照合処理において、発見された顔(照合顔画像)と照合される登録顔画像として用いる。
【0050】
[1-10.顔一致管理者判断動作]
顔認識情報操作アプリケーション58は、アラーム通知ステータスがONになったことを検知すると、照合顔画像を顔認識カメラ2の顔認識処理部30からWebサービス部32を経由して取り出すと共に、該照合顔画像と一致していると判断された登録顔画像を顔認識カメラ2の顔データベースからWebサービス部32を経由して取り出して、図11に示す類似顔提示画面DIP3を携帯端末6の操作表示部54に表示させる。
【0051】
類似顔提示画面DIP3は、ID表示部SID3、登録顔画像表示部SFI3、照合顔画像表示部SFI4、発見時間表示部ST2、ニックネーム表示部SNN、年齢表示部SAG2、性別表示部SSX2、スコア表示部SSC、OKボタンBOK及びNGボタンBNGを有している。ID表示部SID2は、顔データベースにおいて登録顔画像に対応付けられたIDを表示する。登録顔画像表示部SFI3は、顔データベースに保存された登録顔画像を表示する。照合顔画像表示部SFI4は、登録顔画像と一致していると判断された照合顔画像を表示する。発見時間表示部ST2は、顔データベースにおいて登録顔画像に対応付けられた発見時間を表示する。ニックネーム表示部SNNは、顔データベースにおいて登録顔画像に対応付けられたニックネームを表示する。年齢表示部SAG2は、顔データベースにおいて登録顔画像に対応付けられた推定年齢を表示する。性別表示部SSX2は、顔データベースにおいて登録顔画像に対応付けられた推定性別を表示する。スコア表示部SSCは、顔認識カメラ2から受信した、登録顔画像と照合顔画像との一致度を表示する。
【0052】
管理者は、類似顔提示画面DIP3に表示された登録顔画像表示部SFI3における登録顔画像と、照合顔画像表示部SFI4における照合顔画像とを見比べて、同一人物であると判断した場合はOKボタンBOKを、同一人物ではない判断した場合はNGボタンBNGを押下する。管理者がOKボタンBOKを押下した場合、顔認識情報操作アプリケーション58は、顔データベースに登録済みの人物と同一人物を発見したことを顔認識カメラ2へ通知する。一方、管理者がNGボタンBNGを押下した場合、顔認識情報操作アプリケーション58は、顔データベースに登録済みの人物とは異なる人物であったことを顔認識カメラ2へ通知する。この場合顔認識カメラ2は、照合顔画像とは異なる人物であると判定された登録顔画像における推定年齢や推定性別等に基づき、以後の顔照合処理においては同一人物と誤って判定しないようにする。
【0053】
[1-11.効果等]
以上の構成において顔認識システム1は、顔認識カメラ2において、記憶部62に記憶している複数の登録顔画像を参照し、人物の顔が撮像された撮像画像から抽出した照合顔画像と対比して登録顔画像毎に一致率を算定し、登録顔画像と、該登録顔画像に対応する一致率とを出力し、照合顔画像との一致率が所定閾値以上の登録顔画像が複数ある場合に、照合顔画像と、一致率が所定閾値以上の複数の登録顔画像とを顔認識サーバ4に送信し、顔認識サーバ4において、顔認識カメラ2から受信した複数の登録顔画像を参照し、顔認識カメラ2から受信した照合顔画像と対比して登録顔画像毎に一致率を算定し、照合顔画像との一致率が所定閾値以上の1つの登録顔画像がある場合に、該登録顔画像を示すデータ送信順番を顔認識カメラ2に返信するようにした。
【0054】
すなわち顔認識システム1は、顔識別能力は相対的に低いが処理速度の速い顔認識ソフトウェアである顔認識処理部30が搭載された顔認識カメラ2と、顔識別能力は相対的に高いが処理速度の遅い顔認識ソフトウェアである顔認識処理部46が搭載されネットワークを介し顔認識カメラ2に接続された顔認識サーバ4とを設け、顔認識カメラ2の顔データベースに登録されている登録顔画像の量が多く、照合顔画像と一致する登録顔画像を顔認識カメラ2の顔認識処理部30の顔識別能力では1枚に絞り込めなかった場合、複数の候補の登録顔画像を顔認識サーバ4に送信し、顔認識処理部46により照合させるようにした。
【0055】
このため顔認識システム1は、顔データベースに登録されている登録顔画像の量が少ない場合は、照合顔画像と一致する登録顔画像を顔認識カメラ2単体で顔照合処理により1枚に絞り込みアラーム通知ステータスを更新して照合通知を行うことができる。一方、顔認識システム1は、顔データベースに登録されている登録顔画像の量が増加してきて、照合顔画像と一致する登録顔画像を顔認識カメラ2単体では識別能力が不足し1枚に絞り込めない場合は、顔認識カメラ2よりも顔認識能力の高い顔認識サーバ4で顔照合処理により1枚に絞り込み、顔認識カメラ2において照合通知を行うことができる。
【0056】
これにより顔認識システム1は、顔データベースに登録されている登録顔画像の量が少ない場合は、顔認識カメラ2単体で顔認識処理を完結できるため、ネットワークに負荷をかけずに顔認識カメラ2を増設可能になり、また顔データベースの規模に合わせて、システム性能と識別性能とを維持しながらシステムを拡張できる。
【0057】
また顔認識システム1は、顔認識サーバ4に接続される顔認識カメラ2の台数が増えても、従来と比較してネットワークのトラフィックを大幅に削減し、顔データベース内の登録顔画像の量の増加に伴う識別精度の劣化を押さえつつ、顔認識システム1全体として、撮像から照合通知までの処理時間を大幅に短縮できる。
【0058】
かくして顔認識システム1は、処理時間や認識精度を低下させることなく、シームレスにシステムを拡張していくことができる。
【0059】
また顔認識システム1は、顔認識カメラ2で照合するデータ量を少なくできるため、顔認識カメラ2のCPU21の性能が低くても、実用上問題なく運用することができる。これにより顔認識システム1は、顔認識カメラ2のハードウェアのコストを抑えることができ、結果的に、コストを抑えつつシステム全体の導入を開始できる。
【0060】
また顔認識システム1は、撮像画像に顔検出処理が行われ照合対象の被写体の顔が切り出された照合顔画像と、類似候補としてあがった複数の人物の顔画像である複数の登録顔画像とを顔認識カメラ2から顔認識サーバ4に送信し、顔認識サーバ4において、顔認識カメラ2から受信した照合顔画像と登録顔画像とに基づき顔照合処理を行うようにした。このため顔認識システム1は、顔照合処理と、顔データベースの中から照合顔画像と類似している登録顔画像をある程度まで絞り込む顔照合処理とを顔認識サーバ4において行わなくても良くできる。これにより顔認識システム1は、顔認識サーバ4において撮像画像に顔検出処理を行って照合顔画像を抽出してから、該照合顔画像と全ての登録顔画像とを高精度で顔照合処理する場合と比較して、顔認識サーバ4において顔検出処理にかかる時間を省くことができると共に顔照合処理にかかる時間を短縮させることができ、高精度な顔認識処理による判定結果を可能な限り短時間で顔認識サーバ4から顔認識カメラ2へ返信することができる。
【0061】
また顔認識システム1は、一致したと判定した登録顔画像を示すデータ送信順番を判定結果として顔認識サーバ4から顔認識カメラ2へ返信するようにした。これにより顔認識システム1は、登録顔画像データそのものを判定結果として顔認識サーバ4から顔認識カメラ2へ返信する場合と比較して、トラフィックを削減し、システム全体のパフォーマンスを向上させることができる。
【0062】
以上の構成によれば顔認識システム1は、顔認識カメラ2と、顔認識サーバ4とからなる顔認識システム1において、顔認識カメラ2は、人物の顔が撮像された撮像データを取得する取得部60と、複数の顔画像データを記憶している記憶部62と、顔画像データを参照し、撮像データと対比して顔画像データ毎に一致率を算定し、顔画像データと、該顔画像データに対応する一致率とを出力する算定部64と、撮像データとの一致率が所定閾値以上の顔画像データが複数ある場合に、撮像データと、一致率が所定閾値以上の複数の顔画像データを示す照合対象データとを顔認識サーバ4に送信する送信部66とを設け、顔認識サーバ4は、顔認識カメラ2から受信した照合対象データに基づく複数の顔画像データを参照し、顔認識カメラ2から受信した撮像データと対比して顔画像データ毎に一致率を算定し、撮像データとの一致率が所定閾値以上の1つの顔画像データである判定済顔画像データがある場合に、該判定済顔画像データを示すデータであるデータ送信順番を顔認識カメラ2に返信するCPU41及び通信部43を設けるようにした。
【0063】
これにより顔認識システム1は、顔データベースに登録されている登録顔画像の量が少ない場合は、顔認識カメラ2単体で顔認識処理を完結できると共に、顔データベースに登録されている登録顔画像の量が増加してきて、照合顔画像と一致する登録顔画像を顔認識カメラ2単体では識別能力が不足し1枚に絞り込めない場合は、顔認識カメラ2よりも顔認識能力の高い顔認識サーバ4で顔照合処理により1枚に絞り込むことができる。
【0064】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.顔認識システムの構成]
図1に示すように、第2の実施の形態による顔認識システム101は、第1の実施の形態による顔認識システム1と比較して、顔認識カメラ2及び顔認識サーバ4に代わる顔認識カメラ102及び顔認識サーバ104を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0065】
[2-2.顔認識カメラの構成]
図2に示すように、第2の実施の形態による顔認識カメラ102は、第1の実施の形態による顔認識カメラ2と比較して、処理装置20のCPU21に代わる処理装置120のCPU121を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0066】
[2-3.顔認識サーバの構成]
図3に示すように、第2の実施の形態による顔認識サーバ104は、第1の実施の形態による顔認識サーバ4と比較して、処理装置40のCPU41に代わる処理装置140のCPU141を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。また顔認識サーバ104は、起動時において、顔認識カメラ102のSSD23に記憶された顔データベースを顔認識カメラ102から取得してメモリ42に記憶することにより、顔認識サーバ104が保持している顔データベースを、顔認識カメラ102が保持している顔データベースと同期を取る。
【0067】
[2-4.顔認識システムによる顔認識処理手順]
次に顔認識システム101による顔認識処理手順RT102について、図7と対応するステップに同一符号を付した図12のシーケンスチャートを用いて説明する。電源が投入されるとステップSP131において顔認識サーバ104のCPU141は、顔認識カメラ102のSSD23に記憶された顔データベースを顔認識カメラ102から取得する要求である顔データベース取得要求を顔認識カメラ102へ送信する。
【0068】
顔データベース取得要求を顔認識サーバ104から受信すると、ステップSP132において顔認識カメラ102のCPU121は、SSD23から顔データベースを読み出して顔認識サーバ104へ送信する。
【0069】
顔データベースを顔認識カメラ102から受信すると、ステップSP133において顔認識サーバ104のCPU141は、該顔データベースをメモリ42に記憶することにより、顔認識サーバ104が現在保持している顔データベースを、顔認識カメラ102が現在保持している顔データベースと同期を取る。
【0070】
続いてステップSP121において顔認識カメラ102のCPU121は、一致度が一定以上の顔候補を登録顔画像中で複数発見した場合、上述した判定依頼を通信部24により顔認識サーバ104へ送信する。ここで顔認識処理部30は、顔照合処理において1人に絞り込めずに例えば3人の顔候補にまで絞り込めた場合、これら3人(例えば顔A、顔B及び顔C)の登録顔画像を示す3つの照合対象データとしてのIDと、これら登録顔画像と類似であると判定した、1枚の顔Sの照合顔画像を示す照合顔画像データを暗号化したデータとを、判定依頼として顔認識サーバ104へ送信する。
【0071】
顔認識サーバ104のCPU141は、顔候補の全ての登録顔画像のIDと暗号化された1枚の照合顔画像データとを判定依頼として顔認識カメラ102から受信すると、ステップSP134において、受信した複数のIDに対応した複数の登録顔画像をメモリ42の顔データベースから読み出し、ステップSP122へ移る。ステップSP122においてCPU141は、顔認識処理部46により、照合顔画像を復号化し、顔データベースから読み出した複数の登録顔画像と1枚の照合顔画像との顔照合処理を行い、ステップSP23へ移る。
【0072】
ステップSP23においてCPU141は、一致度が最も高い1つの登録顔画像を発見したか否かを顔認識処理部46により判定する。ここで肯定結果が得られると、このときCPU141はステップSP124へ移る。ステップSP124においてCPU141は、顔認識処理部46により、例えば顔Aが顔Sと一致したと判定したとし、顔Aの登録顔画像データを判定済顔画像データとする。このときCPU141は、顔Aを示すIDを判定結果として顔認識カメラ102へ送信する。
【0073】
一方ステップSP23において否定結果が得られると、このときCPU141はステップSP25へ移る。ステップSP25においてCPU141は、一致した顔が存在しなかったことを示す判定結果を通信部43により顔認識カメラ102へ送信する。
【0074】
このように顔認識システム101は、顔認識カメラ102と顔認識サーバ104とで顔データベースの同期を予め取り、顔候補である複数の登録顔画像のIDを判定依頼として顔認識カメラ102から顔認識サーバ104へ送信するようにした。これにより顔認識システム101は、顔候補である複数の登録顔画像データそのものを判定依頼として顔認識カメラ102から顔認識サーバ104へ送信する場合と比較して、トラフィックを削減し、システム全体のパフォーマンスを向上させることができる。これは、顔候補である登録顔画像の枚数が多い程、効果を顕著に奏する。
【0075】
その他の点においても、第2の実施の形態による顔認識システム101は、第1の実施の形態による顔認識システム1と同様の作用効果を奏し得る。
【0076】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、顔認識処理手順RT2のステップSP24において、一致した顔を示すデータ送信順番を判定結果として顔認識サーバ4から顔認識カメラ2へ送信する場合について述べた。本発明はこれに限らず、一致した顔を示す画像データそのものを顔認識サーバ4から顔認識カメラ2へ送信しても良い。
【0077】
また上述した実施の形態においては、顔認識サーバ4を顔認識カメラ2と同一店舗に設置する場合について述べた。本発明はこれに限らず、顔認識サーバ4を顔認識カメラ2と同一店舗以外に設置しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0078】
さらに、例えば顔認識カメラ2が複数個存在する場合は顔認識カメラ2毎に固有のカメラ番号を全身画像に付加して通過履歴情報に保存したり、全身画像に基づき推定した身長を該全身画像に付加して通過履歴情報に保存したりする等、他の種々の情報を通過履歴情報に付加して保存し、後で検索を容易にしても良い。
【0079】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0080】
さらに上述した実施の第1の形態においては、情報処理装置としての顔認識カメラ2と、サーバとしての顔認識サーバ4とによって、顔認識システムとしての顔認識システム1を構成する場合について述べた。このうち情報処理装置は、取得部としての取得部60と、記憶部としての記憶部62と、算定部としての算定部64と、送信部としての送信部66とによって構成した。またこのうちサーバは、制御部としてのCPU41によって構成した。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる情報処理装置と、サーバとによって、顔認識システムを構成しても良い。この場合、情報処理装置は、その他種々の構成でなる取得部と、記憶部と、算定部と、送信部とによって構成しても良く、サーバは、その他種々の構成でなる制御部によって構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、撮像データを顔認識する種々のシステムでも利用できる。
【符号の説明】
【0082】
1、101……顔認識システム、2、102……顔認識カメラ、4、104……顔認識サーバ、6……携帯端末、8……ルータ、10……Wi-Fiアクセスポイント、20、120……処理装置、21、121……CPU、22……メモリ、23……SSD、24……通信部、26……OS、28……カメラ撮像部、30……顔認識処理部、32……Webサービス部、40……処理装置、41……CPU、42……メモリ、43……通信部、44……OS、46……顔認識処理部、50……処理装置、51……CPU、52……メモリ、53……通信部、54……操作表示部、56……OS、58……顔認識情報操作アプリケーション、60……取得部、62……記憶部、64……算定部、66……送信部、DIP1……通過履歴情報表示画面、DIP2……顔データベース登録画面、DIP3……類似顔提示画面、SFI1……顔画像表示部、SID1……ID表示部、ST1……発見時間表示部、SID2……ID表示部、INN……ニックネーム入力部、SFI2……顔画像表示部、SAG1……年齢表示部、SSX1……性別表示部、ICM……コメント入力部、BRG……登録ボタン、SID3……ID表示部、SFI3……登録顔画像表示部、SFI4……照合顔画像表示部、ST2……発見時間表示部、SNN……ニックネーム表示部、SAG2……年齢表示部、SSX2……性別表示部、SSC……スコア表示部、BOK……OKボタン、BNG……NGボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12