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特許7392282クロマトグラフ用データ処理装置および自動試料注入装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】クロマトグラフ用データ処理装置および自動試料注入装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/24 20060101AFI20231129BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01N30/24 A
G01N30/24 J
G01N35/02 G
G01N35/02 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019088564
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2020183909
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】木本 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】キング グレゴリー
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/029676(WO,A1)
【文献】特開2005-257548(JP,A)
【文献】国際公開第2015/132909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/04,30/24,30/86,
G01N 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイの複数の試料保持部のいずれかにより保持された試料をクロマトグラフ装置に導入可能な自動試料注入装置に接続されるクロマトグラフ用データ処理装置であって、
試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と前記トレイに固有のトレイID(識別子)との対応関係を示す事前登録情報を取得する事前登録情報取得部と、
前記自動試料注入装置からトレイIDを取得するトレイID取得部と、
前記事前登録情報取得部により取得された事前登録情報に基づいて、前記トレイID取得部により取得されたトレイIDに対応する分析情報を特定する分析情報特定部と、
前記自動試料注入装置から前記トレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報を取得する保持情報取得部と、
前記保持情報取得部により取得された保持情報と前記分析情報特定部により特定された分析情報とに基づいて、前記トレイに保持されている1または複数の試料についての分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルを作成するバッチファイル作成部とを備える、クロマトグラフ用データ処理装置。
【請求項2】
前記試料を識別するための試料識別情報を取得する試料識別情報取得部をさらに備え、
前記バッチファイル作成部は、前記試料識別情報取得部により取得された試料識別情報にさらに基づいてバッチファイルを作成する、請求項1記載のクロマトグラフ用データ処理装置。
【請求項3】
前記バッチファイル作成部により作成されたバッチファイルに基づいて、試料の分析または調製が実行されるように前記自動試料注入装置または前記クロマトグラフ装置を制御する装置制御部をさらに備える、請求項1または2記載のクロマトグラフ用データ処理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のクロマトグラフ用データ処理装置に接続されているとともに、トレイの複数の試料保持部のいずれかにより保持された試料をクロマトグラフ装置に導入可能な自動試料注入装置であって、
前記トレイに固有のトレイID(識別子)を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知するトレイID通知部と、
前記トレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する保持情報通知部とを備える、自動試料注入装置。
【請求項5】
前記トレイが取り替え可能に載置される載置部と、
前記載置部に載置されている前記トレイのトレイIDを読み取るトレイ読取部とをさらに備え、
前記トレイID通知部は、前記トレイ読取部により読み取られたトレイIDを前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する、請求項4記載の自動試料注入装置。
【請求項6】
各試料保持部に試料が保持されているか否かを検知する検知部をさらに備え、
前記保持情報通知部は、前記検知部による検知結果を保持情報として前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する、請求項4または5記載の自動試料注入装置。
【請求項7】
前記試料を識別するための試料識別情報を読み取る試料読取部と、
前記試料読取部により読み取られた試料識別情報を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する試料識別情報通知部をさらに備える、請求項4~6のいずれか一項に記載の自動試料注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフ用データ処理装置および自動試料注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる物質を異なる成分ごとに分離する分析装置としてクロマトグラフ装置が知られている。分析システムにおいては、複数の試料が自動試料注入装置により順次クロマトグラフ装置に導入され、試料の分析が行われる。そのため、一般には、試料の分析シーケンスを制御するためのバッチファイルが作成される。作成されたバッチファイルに基づいて、自動試料注入装置およびクロマトグラフ装置が制御される。
【0003】
バッチファイルは、各試料と分析条件等との対応関係が例えばテーブル形式で記載されたファイルである。作業者は、テーブルに所定の情報を入力することにより、バッチファイルを作成することができる。ここで、バッチファイルを作成することは作業者の日常的な作業であるため、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成可能であることが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された自動分析装置においては、バッチファイルの設定画面が表示部に表示される。設定画面には、画像表示領域およびテキスト表示領域が含まれる。画像表示領域には、試料の容器保持部の平面図を模した画像が表示される。作業者は、画像表示領域またはテキスト表示領域に対する設定操作を行うことにより、直感的にバッチファイルを作成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/189668号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の自動分析装置によれば、作業者が当該自動分析装置の取り扱いに熟練している場合には、バッチファイルを効率的に作成することが可能である。しかしながら、作業者の全員が自動分析装置の取り扱いに熟練しているとは限らず、熟練していない作業者には、バッチファイルを効率的に作成することは難しい。また、作業者の熟練度に関わらず、バッチファイルの作成作業にミスが発生することを完全に防止することはできない。
【0007】
本発明の目的は、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することが可能なクロマトグラフ用データ処理装置および自動試料注入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に従う態様は、トレイの複数の試料保持部のいずれかにより保持された試料をクロマトグラフ装置に導入可能な自動試料注入装置に接続されるクロマトグラフ用データ処理装置であって、試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と前記トレイに固有のトレイID(識別子)との対応関係を示す事前登録情報を取得する事前登録情報取得部と、前記自動試料注入装置からトレイIDを取得するトレイID取得部と、前記事前登録情報取得部により取得された事前登録情報に基づいて、前記トレイID取得部により取得されたトレイIDに対応する分析情報を特定する分析情報特定部と、前記自動試料注入装置から前記トレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報を取得する保持情報取得部と、前記保持情報取得部により取得された保持情報と前記分析情報特定部により特定された分析情報とに基づいて、前記トレイに保持されている1または複数の試料についての分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルを作成するバッチファイル作成部とを備える、クロマトグラフ用データ処理装置に関する。
【0010】
本発明のさらに他の局面に従う態様は、上記のクロマトグラフ用データ処理装置に接続されているとともに、トレイの複数の試料保持部のいずれかにより保持された試料をクロマトグラフ装置に導入可能な自動試料注入装置であって、前記トレイに固有のトレイID(識別子)を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知するトレイID通知部と、前記トレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する保持情報通知部とを備える、自動試料注入装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】分析システムの構成を示す図である。
図2】トレイの一例を示す平面図である。
図3】自動試料注入装置の構成を示す図である。
図4】自動試料注入装置の構成を示す図である。
図5】データ処理装置の機能的な構成を示す図である。
図6】事前登録情報取得部により取得される事前登録情報の一例を示す図である。
図7】事前登録情報取得部により取得される事前登録情報の一例を示す図である。
図8】事前登録情報取得部により取得される事前登録情報の一例を示す図である。
図9】載置部に載置されたトレイを示す図である。
図10】トレイID取得部により取得されたトレイIDの例を示す図である。
図11】保持情報取得部により取得された保持情報の例を示す図である。
図12】バッチファイル作成部により作成されたバッチファイルの例を示す図である。
図13】事前登録情報の作成時における表示部の表示画面の一例を示す図である。
図14】通知プログラムにより行われる通知処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図15】データ処理プログラムにより行われるデータ処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図16】変形例に係る自動試料注入装置の構成を示す図である。
図17】変形例に係るデータ処理装置の構成を示す図である。
図18】第2の実施の形態に係る自動試料注入装置の構成を示す図である。
図19】第2の実施の形態に係るデータ処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1]第1の実施の形態
(1)分析システムの構成
以下、第1の実施の形態に係るクロマトグラフ用データ処理装置および自動試料注入装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、分析システムの構成を示す図である。図1に示すように、分析システム400は、クロマトグラフ用データ処理装置100(以下、データ処理装置100と略記する。)、自動試料注入装置200および分析装置300を備える。
【0015】
データ処理装置100は、CPU(中央演算処理装置)110、RAM(ランダムアクセスメモリ)120、ROM(リードオンリメモリ)130、記憶部140、操作部150、表示装置160および入出力I/F(インターフェイス)170およびバス180により構成される。CPU110、RAM120、ROM130、記憶部140、操作部150、表示装置160および入出力I/F170はバス180に接続される。
【0016】
RAM120は、CPU110の作業領域として用いられる。ROM130にはシステムプログラムが記憶される。記憶部140は、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体を含み、データ処理プログラムおよび後述する事前登録情報が記憶される。なお、データ処理プログラムまたは事前登録情報は、記憶部140とは異なる記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0017】
CPU110が記憶部140等に記憶されたデータ処理プログラムをRAM120上で実行することにより、データ処理が行われる。データ処理は、複数の試料の分析または調製(前処理)のシーケンスを制御するためのバッチファイルを自動的に作成し、作成されたバッチファイルに基づいて自動試料注入装置200および分析装置300の動作を制御する処理である。データ処理の詳細については後述する。
【0018】
操作部150は、キーボード、マウスまたはタッチパネル等の入力デバイスである。表示装置160は、液晶表示装置等の表示デバイスである。分析システム400の使用者は、操作部150を用いてデータ処理装置100に各種指令を行うことができる。表示装置160は、データ処理装置100により作成されたバッチファイルまたは分析装置300による分析結果等を表示可能である。入出力I/F170は、自動試料注入装置200および分析装置300に接続される。
【0019】
自動試料注入装置200には、固有のID(識別子)が付与された1または複数のトレイが載置される。図2は、トレイの一例を示す平面図である。図2に示すように、トレイ20には、複数の容器保持部21およびトレイID表示部22が形成される。容器保持部21は試料保持部の例である。図2の例では、トレイ20には、5行×4列に配置された20個の容器保持部21が形成される。
【0020】
トレイID表示部22は、例えばRF(Radio Frequency)IDタグ、バーコードまたはQRコード(登録商標)であり、トレイ20に付与されたID(以下、トレイIDと呼ぶ。)を示す。トレイID表示部22は、n個(nは1以上の整数)のマグネットであり、2進コードによりトレイIDを示してもよい。この場合、トレイID表示部22は、2通りのトレイIDを示すことが可能である。
【0021】
また、本実施の形態においては、トレイ20ごとに試料の分析または調製について必要な各種情報(以下、分析情報と呼ぶ。)が予め定められている。具体的には、分析情報は、分析条件もしくは解析条件を含む分析メソッド、調製条件、試料タイプ、試料の注入量、分析装置300の後述する分析ラインまたは分析結果の出力形式等を含む。試料タイプは、例えば標準試料、未知試料またはコントロール試料の区別を含む。また、分析情報は、標準試料の濃度も含む。
【0022】
分析情報と各トレイ20のトレイIDとの対応関係が、事前登録情報として予め記憶部140に記憶(登録)されている。事前登録情報は、例えば自動試料注入装置200の据付時または分析プロトコルの策定時にフィールドエンジニア等の技師により登録される。バッチファイルは、登録された事前登録情報を用いて作成される。なお、使用者は、試料の注入量の変更等の分析プロトコルの調製時に、事前登録情報を変更することも可能である。
【0023】
分析システム400の使用者は、分析に用いるべきトレイ20として所望の分析情報に適合するトレイ20を選択する。なお、所望の分析情報に適合するトレイ20を容易に認識可能にするために、各トレイ20にメモ欄または番号札等を添付してもよい。あるいは、互いに色が異なる複数のトレイ20が用いられてもよい。
【0024】
使用者は、選択されたトレイ20に対応する分析情報に従って、当該トレイ20の適切な容器保持部21に適切な試料が収容された試料容器(バイアル)を保持させる。その後、使用者は、トレイ20を自動試料注入装置200に載置する。これにより、自動試料注入装置200は、データ処理装置100により作成されたバッチファイルに従って、当該トレイ20の試料容器から順次試料を吸引し、分析装置300に導入する。自動試料注入装置200の詳細については後述する。
【0025】
分析装置300は、クロマトグラフ装置の例であり、データ処理装置100により作成されたバッチファイルに従って、自動試料注入装置200により導入された試料の分析を順次行う。本実施の形態においては、分析装置300はガスクロマトグラフ装置であるが、液体クロマトグラフ装置であってもよい。また、本実施の形態においては、分析装置300は複数の分析部(分析ライン)を有し、複数の分析ラインの各々で試料の分析を実行可能である。
【0026】
(2)自動試料注入装置
図3および図4は、自動試料注入装置200の構成を示す図である。図3には自動試料注入装置200のハードウエアの構成が示され、図4の一部には自動試料注入装置200の機能的な構成が示される。図3および図4に示すように、自動試料注入装置200は、複数の載置部210、複数のトレイ読取部220、複数の検知部230、試料吸入ユニット240、駆動部250および制御装置260を備える。
【0027】
本実施の形態においては、複数(本例では3個)の載置部210にそれぞれ対応するように複数のトレイ読取部220および複数の検知部230が設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。複数の載置部210にアクセス可能な1個のトレイ読取部220が設けられてもよいし、複数の載置部210にアクセス可能な1個の検知部230が設けられてもよい。なお、図4では、1個のトレイ読取部220および1個の検知部230が図示され、他のトレイ読取部220および他の検知部230の図示が省略されている。
【0028】
各載置部210には、トレイ20を載置可能である。トレイ読取部220は、例えばRFIDリーダ、バーコードリーダまたはQRコードリーダである。トレイID表示部22がマグネットである場合、トレイ読取部220はマグネットセンサであってもよい。トレイ読取部220は、対応する載置部210に載置されたトレイ20のトレイID表示部22からトレイIDを読み取り、読み取られたトレイIDを制御装置260に与える。
【0029】
検知部230は、対応する載置部210に載置されたトレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを検知し、当該トレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを示す保持情報を制御装置260に与える。本例では、検知部230はスキャナであり、トレイ20をスキャンすることにより各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを検知する。なお、スキャナは、反射型光センサまたは透過型光センサを含んでもよいし、試料容器との物理的接触により試料容器の有無を検出する接触センサであってもよい。実施の形態はこれに限定されず、検知部230はガスセンサ等であってもよい。
【0030】
試料吸入ユニット240は、シリンジ、シリンジの保持部およびトレイ20の保持部等を含む。駆動部250は、複数のアクチュエータを含む。アクチュエータは、例えばステッピングモータを含んでもよい。駆動部250は、試料吸入ユニット240およびトレイ20を駆動することにより、トレイ20の容器保持部21により保持された試料容器から分析装置300に試料を導入する。
【0031】
具体的には、試料吸入ユニット240のシリンジの下方に分析装置300の試料気化室が配置される。駆動部250は、所定の基準位置と、その下方の位置との間でシリンジを移動可能に構成される。また、駆動部250は、載置部210と、基準位置の下方でかつ試料気化室の上方の吸引位置との間でトレイ20を移動可能に構成される。
【0032】
トレイ20が吸引位置に移動された後、シリンジが基準位置からその下方の吸引位置に移動されることにより、シリンジの針がトレイ20の所定の容器保持部21により保持された試料容器に刺し込まれる。この状態で、シリンジのプランジャが駆動されることにより、シリンジに試料が吸引される。また、トレイ20が吸引位置から退避された後、シリンジが吸引位置の下方に移動されることにより、シリンジの針が試料気化室に刺し込まれる。この状態で、シリンジのプランジャが駆動されることにより、試料気化室に試料が導入される。
【0033】
図3に示すように、制御装置260は、CPU261、RAM262およびROM263により構成される。図4に示すように、制御装置260は、機能部として、トレイID通知部264、検知制御部265、保持情報通知部266および駆動制御部267を含む。CPU261がROM263に記憶された通知プログラム等のアプリケーションプログラムをRAM262上で実行することにより、制御装置260の機能部が実現され、後述する通知処理が実行される。制御装置260の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0034】
トレイID通知部264は、各トレイ読取部220からトレイIDを取得し、データ処理装置100に通知する。検知制御部265は、使用者からの指令に応答して、各トレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを検知するように検知部230を制御する。
【0035】
使用者は、データ処理装置100または自動試料注入装置200に設けられた所定のボタンを操作することにより検知の開始を検知制御部265に指令することができる。検知の開始を指令するためのボタンは、グラフィカルユーザインターフェイス上のボタンを含んでもよい。
【0036】
保持情報通知部266は、各検知部230から保持情報を取得し、データ処理装置100に通知する。駆動制御部267は、分析装置300に試料が導入されるように駆動部250を制御する。上記のトレイID通知部264、検知制御部265および保持情報通知部266は、後述する通知処理の実行時に動作する。一方、駆動制御部267は、試料の分析または試料の調製の実行時に動作する。
【0037】
(3)データ処理装置の構成
図5は、データ処理装置100の機能的な構成を示す図である。図5に示すように、データ処理装置100は、機能部10として、事前登録情報取得部11、トレイID取得部12、保持情報取得部13、分析情報特定部14、バッチファイル作成部15および装置制御部16を含む。図1のCPU110が記憶部140等に記憶されたデータ処理プログラムを実行することにより、機能部10が実現される。機能部10の一部または全てが電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0038】
事前登録情報取得部11は、記憶部140に登録された事前登録情報を取得する。事前登録情報が記憶部140とは異なる記憶媒体に登録されている場合には、事前登録情報取得部11は、当該記憶媒体から事前登録情報を取得する。また、図2のトレイ20が記憶素子を含む場合には、各トレイ20に対応する事前登録情報が当該トレイ20の記憶素子に登録されてもよい。この場合、事前登録情報取得部11は、各トレイ20の記憶素子から事前登録情報を取得する。
【0039】
トレイID取得部12は、自動試料注入装置200からトレイIDを取得する。保持情報取得部13は、自動試料注入装置200から保持情報を取得する。分析情報特定部14は、事前登録情報取得部11により取得された事前登録情報に基づいて、トレイID取得部12により取得されたトレイIDに対応する分析情報を特定する。
【0040】
バッチファイル作成部15は、保持情報取得部13により取得された保持情報と分析情報特定部14により特定された分析情報とに基づいて、保持されている全ての試料容器に収容された試料の分析を制御するためのバッチファイルを作成する。装置制御部16は、バッチファイル作成部15により作成されたバッチファイルに基づいて、試料の分析または試料の調製が実行されるように自動試料注入装置200または分析装置300を制御する。
【0041】
(4)バッチファイルの作成手順
以下、バッチファイルが作成される手順について説明する。図6図8は、事前登録情報取得部11により取得される事前登録情報の一例を示す図である。具体的には、図6は、トレイID「TrayRed」が付与されたトレイ20についての事前登録情報を示す。図7は、トレイID「TrayGreen」が付与されたトレイ20についての事前登録情報を示す。図8は、トレイID「TrayBlue」が付与されたトレイ20についての事前登録情報を示す。
【0042】
図6のトレイ20については、「容器番号1」~「容器番号5」の容器保持部21に標準試料が保持されることが定められている。「容器番号6」~「容器番号9」、「容器番号11」~「容器番号14」および「容器番号16」~「容器番号19」の容器保持部21に未知試料が保持されることが定められている。「容器番号10」、「容器番号15」および「容器番号20」の容器保持部21にコントロール試料が保持されることが定められている。また、試料の注入量は1単位であり、分析ラインは「ライン1」であり、分析メソッドは「メソッドA」であり、分析結果の出力形式は「形式A」であることが定められている。
【0043】
図7のトレイ20については、全部の容器保持部21に未知試料が保持されることが定められている。また、試料の注入量は3単位であり、分析ラインは「ライン1」であり、分析メソッドは「メソッドB」であり、分析結果の出力形式は「形式B」であることが定められている。図8のトレイ20については、全部の容器保持部21に未知試料が保持されることが定められている。また、試料の注入量は2単位であり、分析ラインは「ライン2」であり、分析メソッドは「メソッドC」であり、分析結果の出力形式は「形式C」であることが定められている。
【0044】
上記のように、分析システム400の使用者は、分析に用いるべきトレイ20を選択し、選択されたトレイ20に対応する分析情報に従って、適切な容器保持部21に適切な試料が収容された試料容器を保持させる。その後、使用者は、トレイ20を図3の自動試料注入装置200の載置部210に載置する。図9は、載置部210に載置されたトレイ20を示す図である。図9に示すように、本例では、3個の載置部210にそれぞれ3個のトレイ20が載置される。以下の説明では、3個のトレイ20を区別する場合は、3個のトレイ20をそれぞれトレイ20A,20B,20Cと呼ぶ。
【0045】
本例では、トレイ20Aは赤色を有するので、トレイ20AにはトレイIDとして「TrayRed」が付与されている。トレイ20Bは緑色を有するので、トレイ20BにはトレイIDとして「TrayGreen」が付与されている。トレイ20Cは青色を有するので、トレイ20CにはトレイIDとして「TrayBlue」が付与されている。実施の形態はこれに限定されず、トレイ20には、色とは関係なく番号等がトレイIDとして付与されてもよい。
【0046】
各トレイ20において、標準試料が保持されるべき容器保持部21と、未知試料が保持されるべき容器保持部21と、コントロール試料が保持されるべき容器保持部21とが異なる態様(例えば色)で形成されてもよい。この場合、使用者は、各容器保持部21に保持させるべき試料のタイプを容易に認識することができる。図9の例では、標準試料が保持されるべき容器保持部21が第1のハッチングパターンで示され、コントロール試料が保持されるべき容器保持部21が第2のハッチングパターンで示される。また、容器保持部21に保持された試料を含む試料容器がドットパターンで示される。
【0047】
図9の例では、トレイ20Aについては、「容器番号1」の容器保持部21に標準試料が収容された試料容器が保持されている。「容器番号6」~「容器番号9」の容器保持部21の各々に未知試料が収容された試料容器が保持されている。「容器番号10」の容器保持部21にコントロール試料が収容された試料容器が保持されている。トレイ20Bについては、「容器番号1」~「容器番号3」の容器保持部21の各々に未知試料が収容された試料容器が保持されている。トレイ20Cについては、いずれの容器保持部21にも試料容器が保持されていない。
【0048】
図3のトレイ読取部220により図9の各トレイ20のトレイID表示部22からトレイIDが読み取られる。これにより、各トレイ20のトレイIDが図5のトレイID取得部12により取得される。図10は、トレイID取得部12により取得されたトレイIDの例を示す図である。図10の例では、第1、第2および第3の載置部210に載置されたトレイ20のトレイIDは、それぞれ「TrayRed」、「TrayGreen」および「TrayBlue」である。
【0049】
その後、使用者からの指令に応答して図3の検知部230により図9の各トレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かが検知される。これにより、各トレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否を示す保持情報が図5の保持情報取得部13により取得される。なお、使用者は、図9の操作部150を用いて所定操作を行うことにより、装置制御部16を介して検知部230に検知の開始を指令することも可能である。
【0050】
図11は、保持情報取得部13により取得された保持情報の例を示す図である。図11の例では、第1の載置部210のトレイ20については、「容器番号1」および「容器番号6」~「容器番号10」の容器保持部21の各々に試料容器が保持され、他の容器保持部21には試料容器が保持されていない。第2の載置部210のトレイ20については、「容器番号1」~「容器番号3」の容器保持部21の各々に試料容器が保持され、他の容器保持部21には試料容器が保持されていない。第3の載置部210のトレイ20については、いずれの容器保持部21にも試料容器が保持されていない。
【0051】
図5の分析情報特定部14は、図10のトレイIDを図6図8の事前登録情報のトレイIDと照合することにより、各トレイIDに対応する分析情報を特定する。図5のバッチファイル作成部15は、図11の保持情報において「あり」と示された試料容器の試料の各々について、分析情報特定部14により特定された分析情報で順次分析または調製が行われるようにバッチファイルを作成する。
【0052】
図12は、バッチファイル作成部15により作成されたバッチファイルの例を示す図である。図12の例では、トレイIDが「TrayRed」のトレイ20(トレイ20A)に保持された6個の試料、およびトレイIDが「TrayGreen」のトレイ20(トレイ20B)に保持された3個の試料について、合計9回の分析を制御するためのバッチファイルが作成される。
【0053】
第1回目の分析では、トレイ20Aの「容器番号1」の容器保持部21に保持された標準試料が1単位だけ「ライン1」に注入され、「メソッドA」で分析が実行され、分析結果が「形式A」で出力される。第2~第5回目の分析では、トレイ20Aの「容器番号6」~「容器番号9」の容器保持部21にそれぞれ保持された未知試料について、第1回目の分析の制御と同様の制御が行われる。第6回目の分析では、トレイ20Aの「容器番号10」の容器保持部21に保持されたコントロール試料について、第1回目の分析の制御と同様の制御が行われる。
【0054】
第7回目の分析では、トレイ20Bの「容器番号1」の容器保持部21に保持された未知試料が3単位だけ「ライン1」に注入され、「メソッドB」で分析が実行され、分析結果が「形式B」で出力される。第8および第9回目の分析では、トレイ20Bの「容器番号2」および「容器番号3」の容器保持部21にそれぞれ保持された未知試料について、第7回目の分析の制御と同様の制御が行われる。
【0055】
(5)事前登録情報
上記のように、事前登録情報は、例えば自動試料注入装置200の据付時または分析プロトコルの策定時に作成され、データ処理が実行される前に予め登録される。事前登録情報は、一般には分析システム400の使用者とは異なる技師により作成されるが、使用者が熟練している場合には、使用者により作成または更新されてもよい。以下、事前登録情報の作成手順について説明する。
【0056】
図13は、事前登録情報の作成時における表示装置160の表示画面の一例を示す図である。図13に示すように、事前登録情報の作成時には、設定画面30が表示装置160に表示される。設定画面30は、データ処理装置100の機能部により表示されてもよいし、他の情報処理装置の機能部により表示されてもよい。設定画面30は、ID選択欄31、画像表示欄32、試料タイプ設定欄33、分析情報設定欄34および決定ボタン35を含む。
【0057】
ID選択欄31には、自動試料注入装置200に用いられるトレイ20のトレイIDを選択するためのプルダウンメニューが表示される。事前登録情報の作成者は、ID選択欄31を操作することにより、任意のトレイ20のトレイIDを選択することができる。画像表示欄32は、ID選択欄31で選択されたトレイIDに対応するトレイ20の模擬画像1が表示される。擬画像1には、複数の容器保持部21を模擬する画像部分2が含まれる。
【0058】
試料タイプ設定欄33には、試料タイプを選択するためのチェックボックスが表示される。作成者は、画像表示欄32に表示された擬画像1における任意の容器保持部の画像部分2を選択した状態で、試料タイプ設定欄33を操作することにより、画像部分2に対応する容器保持部21に保持されるべき試料のタイプを設定することができる。
【0059】
分析情報設定欄34には、試料タイプを除く分析情報を設定するためのプルダウンメニューが表示される。図13の例では、分析メソッド、出力形式、注入量および分析ラインを設定するためのプルダウンメニューが分析情報設定欄34に表示されている。分析情報設定欄34には、他の分析情報を設定するためのプルダウンメニューがさらに表示されてもよい。作成者は、分析情報設定欄34を操作することにより、トレイ20の分析情報を設定することができる。
【0060】
最後に、作成者は、決定ボタン35を操作することにより、事前登録情報を確定し、確定された事前登録情報を図1の記憶部140または他の記憶媒体に登録することができる。上記の設定画面30において、ID選択欄31または分析情報設定欄34には、プルダウンメニューに代えて、同様の機能を有するチェックボックス等が表示されてもよい。あるいは、試料タイプ設定欄33には、チェックボックスに代えて、同様の機能を有するプルダウンメニュー等が表示されてもよい。
【0061】
(6)通知処理
図14は、通知プログラムにより行われる通知処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。以下、図4の自動試料注入装置200および図14のフローチャートを用いて通知処理の一例を説明する。
【0062】
図14に示すように、トレイID通知部264は、各トレイ読取部220からトレイIDを取得する(ステップS1)。また、トレイID通知部264は、ステップS1で取得されたトレイIDをデータ処理装置100に通知する(ステップS2)。次に、検知制御部265は、検知の開始が指令されたか否かを判定する(ステップS3)。検知の開始が指令されない場合、検知制御部265はステップS1に戻る。検知の開始が指令されるまで、ステップS1~S3が繰り返される。
【0063】
使用者は、データ処理装置100または自動試料注入装置200を操作することにより検知の開始を指令することができる。また、使用者は、検知の開始を指令するまで、分析に用いるトレイ20の変更を行うことができる。なお、ステップS2は、分析に用いるトレイ20が確定するステップS3よりも後の時点で実行されてもよい。
【0064】
検知の開始が指令された場合、検知制御部265は、載置部210に載置されたトレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを検知部230により検知する(ステップS4)。保持情報通知部266は、ステップS4の保持情報を検知部230から取得する(ステップS5)。また、保持情報通知部266は、ステップS5で取得された保持情報をデータ処理装置100に通知する(ステップS6)。
【0065】
その後、検知制御部265は、全部の載置部210について検知が実行されたか否かを判定する(ステップS7)。全部の載置部210について検知が実行されていない場合、検知制御部265は、ステップS4に戻る。全部の載置部210について検知が実行されるまで、ステップS4~S7が繰り返される。全部の載置部210について検知が実行された場合、検知制御部265は通知処理を終了する。なお、ステップS6は、全部の載置部210について検知が実行されたことが確定するステップS7の後に一括して実行されてもよい。
【0066】
(7)データ処理
図15は、データ処理プログラムにより行われるデータ処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。以下、図5のデータ処理装置100および図15のフローチャートを用いてデータ処理の一例を説明する。
【0067】
図15に示すように、事前登録情報取得部11は、記憶部140または所定の記憶媒体から事前登録情報を取得する(ステップS11)。次に、トレイID取得部12は、自動試料注入装置200からトレイIDが通知されたか否かを判定する(ステップS12)。図14の通知処理のステップS2が実行された場合、トレイIDがトレイID取得部12に通知される。トレイIDが通知されていない場合、トレイID取得部12はステップS14に進む。トレイIDが通知された場合、トレイID取得部12はトレイIDを取得し(ステップS13)、ステップS14に進む。
【0068】
ステップS14で、トレイID取得部12は、トレイIDが既に取得されているか否かを判定する(ステップS14)。トレイIDが未だ取得されていない場合、トレイID取得部12はステップS12に戻る。トレイIDが取得されるまで、ステップS12~S14が繰り返される。
【0069】
ステップS14でトレイIDが既に取得されている場合、保持情報取得部13は、自動試料注入装置200から保持情報が通知されたか否かを判定する(ステップS15)。図14の通知処理のステップS6が実行された場合、保持情報が保持情報取得部13に通知される。保持情報が通知されていない場合、保持情報取得部13はステップS12に戻る。保持情報が通知されるまで、ステップS12~S15が繰り返される。分析に用いるトレイ20の変更が行われた場合、ステップS12で新たなトレイIDが通知され、ステップS13で既に取得されたトレイIDが新たなトレイIDに更新されることとなる。
【0070】
ステップS15で保持情報が通知された場合、保持情報取得部13は保持情報を取得する(ステップS16)。続いて、保持情報取得部13は、載置部210に載置された全部のトレイ20の保持情報が通知されたか否かを判定する(ステップS17)。全部のトレイ20の保持情報が通知されていない場合、保持情報取得部13はステップS16に戻る。全部のトレイ20の保持情報が通知されるまで、ステップS16,S17が繰り返される。
【0071】
その後、分析情報特定部14は、ステップS11で取得された事前登録情報に基づいて、ステップS13で取得されたトレイIDに対応する分析情報を特定する(ステップS18)。なお、ステップS18は、ステップS13よりも後の任意の時点で実行されてもよい。次に、バッチファイル作成部15は、ステップS16で取得された保持情報と、ステップS18で特定された分析情報とに基づいて、バッチファイルを作成する(ステップS19)。作成されたバッチファイルは、表示装置160に表示されてもよい。
【0072】
最後に、装置制御部16は、ステップS19で作成されたバッチファイルに基づいて自動試料注入装置200または分析装置300を制御することにより、試料の分析または調製を実行する(ステップS20)。本実施の形態においては、ステップS19の後に自動的にステップS20が実行されるが、実施の形態はこれに限定されない。ステップS19の後にステップS20が実行されなくてもよい。あるいは、ステップS19の後に、使用者の指令に応答してステップS20が実行されてもよい。
【0073】
(8)効果
本実施の形態においては、分析システム400の使用者は、分析に用いるべき試料容器として所望の分析情報に適合する1以上の試料容器を選択し、当該分析情報に従って、選択された試料容器に適切な試料を封入する。その後、使用者は、試料容器をトレイ20の任意の容器保持部21に保持させ、トレイ20を自動試料注入装置200のいずれかの載置部210に載置する。
【0074】
本実施の形態に係る自動試料注入装置200においては、トレイ20に固有のトレイIDがトレイID通知部264によりデータ処理装置100に通知される。トレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを示す保持情報が保持情報通知部266によりデータ処理装置100に通知される。
【0075】
本実施の形態に係るデータ処理装置100においては、試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と、トレイIDとの対応関係を示す事前登録情報が事前登録情報取得部11により取得される。自動試料注入装置200からトレイIDがトレイID取得部12により取得される。事前登録情報取得部11により取得された事前登録情報に基づいて、トレイID取得部12により取得されたトレイIDに対応する分析情報が分析情報特定部14により特定される。
【0076】
自動試料注入装置200から保持情報が保持情報取得部13により取得される。保持情報取得部13により取得された保持情報と、分析情報特定部14により特定された分析情報とに基づいて、トレイ20に保持されている1または複数の試料についての分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルがバッチファイル作成部15により作成される。
【0077】
この構成によれば、バッチファイルが自動的に作成される。そのため、使用者は、バッチファイルを作成するための種々の情報の入力操作をデータ処理装置に加える必要がない。したがって、使用者による情報の認識ミスまたは操作ミスが発生しない。これにより、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することができる。また、人的ミスに起因する誤分析が発生することが回避されるので、貴重な試料と分析時間とを無駄にすることが防止される。
【0078】
(9)変形例
図16は、変形例に係る自動試料注入装置200の構成を示す図である。図16に示すように、変形例に係る自動試料注入装置200は、試料読取部270をさらに含む。試料読取部270は、例えばRFIDリーダ、バーコードリーダまたはQRコードリーダであってもよい。また、制御装置260は、試料識別情報通知部268をさらに含む。
【0079】
試料が収容された試料容器には、当該試料の識別情報(以下、試料識別情報と呼ぶ。)を示す試料識別情報表示部23が貼付される。試料識別情報は、試料に固有のID(以下、試料IDと呼ぶ。)または試料名等を含む。試料識別情報表示部23は、例えばRFIDタグ、バーコードまたはQRコードであってもよい。
【0080】
試料読取部270は、検知部230がトレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを検知する際に、保持されている試料容器の試料識別情報表示部23から試料識別情報を読み取る。試料識別情報通知部268は、試料読取部270により読み取られた試料識別情報をデータ処理装置100に通知する。
【0081】
図17は、変形例に係るデータ処理装置100の構成を示す図である。図17に示すように、変形例に係るデータ処理装置100は、機能部10として試料識別情報取得部17をさらに含む。試料識別情報取得部17は、自動試料注入装置200から試料識別情報を取得する。バッチファイル作成部15は、試料識別情報取得部17により取得された試料識別情報にさらに基づいてバッチファイルを作成する。
【0082】
変形例においては、試料識別情報を含むバッチファイルが自動的に作成されるので、使用者は、試料識別情報の入力操作をデータ処理装置100に加える必要がない。そのため、効率的にかつミスなく試料識別情報を含むバッチファイルを作成することができる。また、使用者は、分析される試料についての試料識別情報を別途保持しておく必要がないので、分析される試料をより容易に管理することができる。
【0083】
[2]第2の実施の形態
(1)分析システムの構成
第2の実施の形態に係るデータ処理装置100および自動試料注入装置200について、第1の実施の形態に係るデータ処理装置100および自動試料注入装置200と異なる点を説明する。本実施の形態においては、各試料容器には、容器のタイプに固有のID(以下、容器タイプIDと呼ぶ。)が付与されている。事前登録情報は、分析情報と各試料容器の容器タイプIDとの対応関係を示す。
【0084】
図18は、第2の実施の形態に係る自動試料注入装置200の構成を示す図である。図18に示すように、本実施の形態に係る自動試料注入装置200は、トレイ読取部220に代えて容器読取部280を含む。容器読取部280は、図16の試料読取部270と同様に、例えばRFIDリーダ、バーコードリーダまたはQRコードリーダであってもよい。また、制御装置260は、トレイID通知部264に代えて容器タイプID通知部269をさらに含む。
【0085】
試料が収容された試料容器には、容器タイプIDを示す容器タイプID表示部24が貼付される。容器タイプID表示部24は、例えばRFIDタグ、バーコードまたはQRコードであってもよい。容器読取部280は、検知部230がトレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを検知する際に、保持されている試料容器の容器タイプID表示部24から容器タイプIDを読み取る。容器タイプID通知部269は、容器読取部280により読み取られた容器タイプIDをデータ処理装置100に通知する。
【0086】
図19は、第2の実施の形態に係るデータ処理装置100の構成を示す図である。図19に示すように、本実施の形態に係るデータ処理装置100は、機能部10としてトレイID取得部12に代えて容器タイプID取得部18を含む。容器タイプID取得部18は、自動試料注入装置200から容器タイプIDを取得する。
【0087】
分析情報特定部14は、事前登録情報取得部11により取得された事前登録情報に基づいて、容器タイプID取得部18により取得された容器タイプIDに対応する分析情報を特定する。バッチファイル作成部15は、保持情報取得部13により取得された保持情報と容器タイプID取得部18により特定された分析情報とに基づいて、保持されている全ての試料容器に収容された試料の分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルを作成する。
【0088】
(2)効果
本実施の形態においては、分析システム400の使用者は、分析に用いるべき試料容器として所望の分析情報に適合する1以上の試料容器を選択し、当該分析情報に従って、選択された試料容器に適切な試料を封入する。その後、使用者は、試料容器をトレイ20の任意の容器保持部21に保持させ、トレイ20を自動試料注入装置200のいずれかの載置部210に載置する。
【0089】
本実施の形態に係る自動試料注入装置200においては、トレイ20の各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かを示す保持情報が保持情報通知部266によりデータ処理装置100に通知される。保持されている1または複数の試料容器のタイプに固有の容器タイプIDが容器タイプID通知部269によりデータ処理装置100に通知される。
【0090】
本実施の形態に係るデータ処理装置100においては、試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と、容器タイプIDとの対応関係を示す事前登録情報が事前登録情報取得部11により取得される。自動試料注入装置200から容器タイプIDが容器タイプID取得部18により取得される。事前登録情報取得部11により取得された事前登録情報に基づいて、容器タイプID取得部18により取得された容器タイプIDに対応する分析情報が分析情報特定部14により特定される。
【0091】
自動試料注入装置200から保持情報が保持情報取得部13により取得される。保持情報取得部13により取得された保持情報と、分析情報特定部14により特定された分析情報とに基づいて、保持されている1または複数の試料容器に収容された試料についての分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルがバッチファイル作成部15により作成される。
【0092】
この構成によれば、バッチファイルが自動的に作成される。そのため、使用者は、バッチファイルを作成するための種々の情報の入力操作をデータ処理装置に加える必要がない。したがって、使用者による情報の認識ミスまたは操作ミスが発生しない。これにより、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することができる。
【0093】
容器タイプID表示部24は、第1の実施の形態の変形例と同様の試料識別情報をさらに示してもよい。また、制御装置260は変形例と同様の試料識別情報通知部268を含み、データ処理装置100は変形例と同様の試料識別情報取得部17を含んでもよい。この場合、容器読取部280は、容器タイプID表示部24から容器タイプIDとともに試料識別情報を読み取ることが可能であってもよいし、自動試料注入装置200に試料読取部270が別個に設けられてもよい。
【0094】
この構成によれば、上記の変形例と同様に、試料識別情報を含むバッチファイルが自動的に作成されるので、使用者は、試料識別情報の入力操作をデータ処理装置100に加える必要がない。そのため、効率的にかつミスなく試料識別情報を含むバッチファイルを作成することができる。また、使用者は、分析される試料についての試料識別情報を別途保持しておく必要がないので、分析される試料をより容易に管理することができる。
【0095】
[3]他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、トレイ20が載置部210に取り替え可能に載置されるが、実施の形態はこれに限定されない。トレイ20が載置部210に固定的に据え付けられてもよい。この場合、各載置部210に据え付けられるトレイ20のトレイIDは既知となるので、自動試料注入装置200はトレイ読取部220を含まなくてもよい。
【0096】
(2)上記実施の形態において、各トレイ20における所定の容器保持部21のみに試料容器が保持されるように各トレイ20の用途が予め定められていてもよい。この場合、各トレイ20において、各容器保持部21に試料容器が保持されているか否かは既知となるので、自動試料注入装置200は検知部230および検知制御部265を含まなくてもよい。
【0097】
(3)上記実施の形態において、自動試料注入装置200は複数の載置部210を含むが、実施の形態はこれに限定されない。自動試料注入装置200は、1個の載置部210のみを含んでもよい。
【0098】
(4)上記実施の形態において、データ処理装置100と自動試料注入装置200とは別体的に設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。データ処理装置100と自動試料注入装置200とは一体的に設けられてもよい。この場合、CPU110とCPU261とは共通のCPUにより構成されてもよく、RAM120とRAM262とは共通のRAMにより構成されてもよく、ROM130とROM263とは共通のROMにより構成されてもよい。
【0099】
(5)第1の実施の形態において、トレイ20は試料容器を介して試料を保持する容器保持部21を含むが、実施の形態はこれに限定されない。トレイ20は、試料容器を介さずに直接的に試料を保持するウェル等の試料保持部を含んでもよい。この場合、変形例においては、試料識別情報表示部23が試料に対応するように試料保持部の近傍に貼付されてもよい。
【0100】
[4]態様
(第1項)一態様に係るクロマトグラフ用データ処理装置は、
トレイの複数の試料保持部のいずれかにより保持された試料をクロマトグラフ装置に導入可能な自動試料注入装置に接続されるクロマトグラフ用データ処理装置であって、
試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と前記トレイに固有のトレイID(識別子)との対応関係を示す事前登録情報を取得する事前登録情報取得部と、
前記自動試料注入装置からトレイIDを取得するトレイID取得部と、
前記事前登録情報取得部により取得された事前登録情報に基づいて、前記トレイID取得部により取得されたトレイIDに対応する分析情報を特定する分析情報特定部と、
前記自動試料注入装置から前記トレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報を取得する保持情報取得部と、
前記保持情報取得部により取得された保持情報と前記分析情報特定部により特定された分析情報とに基づいて、前記トレイに保持されている1または複数の試料についての分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルを作成するバッチファイル作成部とを備えてもよい。
【0101】
このクロマトグラフ用データ処理装置においては、試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と、トレイに固有のトレイIDとの対応関係を示す事前登録情報が事前登録情報取得部により取得される。自動試料注入装置からトレイIDがトレイID取得部により取得される。事前登録情報取得部により取得された事前登録情報に基づいて、トレイID取得部により取得されたトレイIDに対応する分析情報が分析情報特定部により特定される。
【0102】
自動試料注入装置からトレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報が保持情報取得部により取得される。保持情報取得部により取得された保持情報と、分析情報特定部により特定された分析情報とに基づいて、トレイに保持されている1または複数の試料についての分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルがバッチファイル作成部により作成される。
【0103】
この構成によれば、バッチファイルが自動的に作成される。そのため、使用者は、バッチファイルを作成するための種々の情報の入力操作をデータ処理装置に加える必要がない。したがって、使用者による情報の認識ミスまたは操作ミスが発生しない。これにより、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することができる。
【0104】
(第2項)他の態様に係るクロマトグラフ用データ処理装置は、
複数の容器保持部のいずれかにより保持された試料容器からクロマトグラフ装置に試料を導入可能な自動試料注入装置に接続されるクロマトグラフ用データ処理装置であって、
試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と試料容器のタイプに固有の容器タイプID(識別子)との対応関係を示す事前登録情報を取得する事前登録情報取得部と、
前記自動試料注入装置から前記複数の容器保持部のいずれかに保持された各試料容器の容器タイプIDを取得する容器タイプID取得部と、
前記事前登録情報取得部により取得された事前登録情報に基づいて、前記容器タイプID取得部により取得された各試料容器の容器タイプIDに対応する分析情報を特定する分析情報特定部と、
前記自動試料注入装置から各容器保持部に試料容器が保持されているか否かを示す保持情報を取得する保持情報取得部と、
前記保持情報取得部により取得された保持情報と前記分析情報特定部により特定された分析情報とに基づいて、前記保持されている1または複数の試料容器に収容された試料の分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルを作成するバッチファイル作成部とを備えてもよい。
【0105】
このクロマトグラフ用データ処理装置においては、試料の分析または調製についての条件を示す分析情報と、試料容器のタイプに固有の容器タイプIDとの対応関係を示す事前登録情報が事前登録情報取得部により取得される。自動試料注入装置から容器タイプIDが容器タイプID取得部により取得される。事前登録情報取得部により取得された事前登録情報に基づいて、容器タイプID取得部により取得された容器タイプIDに対応する分析情報が分析情報特定部により特定される。
【0106】
自動試料注入装置から各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報が保持情報取得部により取得される。保持情報取得部により取得された保持情報と、分析情報特定部により特定された分析情報とに基づいて、保持されている1または複数の試料容器に収容された試料についての分析または調製のシーケンスを制御するためのバッチファイルがバッチファイル作成部により作成される。
【0107】
この構成によれば、バッチファイルが自動的に作成される。そのため、使用者は、バッチファイルを作成するための種々の情報の入力操作をデータ処理装置に加える必要がない。したがって、使用者による情報の認識ミスまたは操作ミスが発生しない。これにより、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することができる。
【0108】
(第3項)第1または2項に記載のクロマトグラフ用データ処理装置において、
前記試料を識別するための試料識別情報を取得する試料識別情報取得部をさらに備え、
前記バッチファイル作成部は、前記試料識別情報取得部により取得された試料識別情報をさらに含むようにバッチファイルを作成してもよい。
【0109】
この場合、試料識別情報を含むバッチファイルが自動的に作成されるので、使用者は、試料識別情報の入力操作をデータ処理装置に加える必要がない。そのため、効率的にかつミスなく試料識別情報を含むバッチファイルを作成することができる。また、使用者は、分析される試料についての試料識別情報を別途保持しておく必要がないので、分析される試料をより容易に管理することができる。
【0110】
(第4項)第1~3のいずれか一項に記載のクロマトグラフ用データ処理装置において、
前記バッチファイル作成部により作成されたバッチファイルに基づいて、試料の分析または調製が実行されるように前記自動試料注入装置または前記クロマトグラフ装置を制御する装置制御部をさらに備えてもよい。
【0111】
この場合、試料の分析結果または調製結果を容易に取得することができる。
【0112】
(第5項)さらに他の態様に係る自動試料注入装置は、
クロマトグラフ用データ処理装置に接続されるとともに、トレイの複数の試料保持部のいずれかにより保持された試料をクロマトグラフ装置に導入可能な自動試料注入装置であって、
前記トレイに固有のトレイID(識別子)を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知するトレイID通知部と、
前記トレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する保持情報通知部とを備えてもよい。
【0113】
この自動試料注入装置においては、トレイに固有のトレイIDがトレイID通知部によりクロマトグラフ用データ処理装置に通知される。トレイの各試料保持部に試料が保持されているか否かを示す保持情報が保持情報通知部によりクロマトグラフ用データ処理装置に通知される。
【0114】
この場合、クロマトグラフ用データ処理装置において、トレイIDおよび保持情報に基づいてバッチファイルを自動的に作成することが容易になる。これにより、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することができる。
【0115】
(第6項)第5項に記載の自動試料注入装置において、
前記トレイが取り替え可能に載置される載置部と、
前記載置部に載置されている前記トレイのトレイIDを読み取るトレイ読取部とをさらに備え、
前記トレイID通知部は、前記トレイ読取部により読み取られたトレイIDを前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知してもよい。
【0116】
この場合、載置部に載置されるトレイを変更することにより、バッチファイルを作成するための分析情報を柔軟に変更することができる。したがって、使用者は、所望の分析情報に対応するトレイを載置部に載置することにより、所望の分析情報に対応するバッチファイルを容易に作成することができる。
【0117】
(第7項)第5または6項に記載の自動試料注入装置において、
各試料保持部に試料が保持されているか否かを検知する検知部をさらに備え、
前記保持情報通知部は、前記検知部による検知結果を保持情報として前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知してもよい。
【0118】
この場合、トレイの各試料保持部の用途が制限されることなく、容易に保持情報をクロマトグラフ用データ処理装置に通知することができる。
【0119】
(第8項)さらに他の態様に係る自動試料注入装置は、
クロマトグラフ用データ処理装置に接続されるとともに、複数の容器保持部のいずれかにより保持された試料容器からクロマトグラフ装置に試料を導入可能な自動試料注入装置であって、
各容器保持部に試料容器が保持されているか否かを示す保持情報を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する保持情報通知部と、
前記保持されている1または複数の試料容器のタイプに固有の容器タイプID(識別子)を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する容器タイプID通知部とを備えてもよい。
【0120】
この自動試料注入装置においては、各容器保持部に試料容器が保持されているか否かを示す保持情報が保持情報通知部によりクロマトグラフ用データ処理装置に通知される。保持されている1または複数の試料容器のタイプに固有の容器タイプIDが容器タイプID通知部によりクロマトグラフ用データ処理装置に通知される。
【0121】
この場合、クロマトグラフ用データ処理装置において、保持情報および容器タイプIDに基づいてバッチファイルを自動的に作成することが容易になる。これにより、効率的にかつミスなくバッチファイルを作成することができる。
【0122】
(第9項)第8項に記載の自動試料注入装置において、
前記保持されている1または複数の試料容器の容器タイプIDを読み取る容器読取部をさらに備え、
前記容器タイプID通知部は、前記容器読取部により読み取られた容器タイプIDを前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知してもよい。
【0123】
この場合、用いる試料容器のタイプを変更することにより、バッチファイルを作成するための分析情報を柔軟に変更することができる。したがって、使用者は、所望の分析情報に対応する試料容器を容器保持部に保持させることにより、所望の分析情報に対応するバッチファイルを容易に作成することができる。
【0124】
(第10項)第8または9項に記載の自動試料注入装置において、
各容器保持部に試料容器が保持されているか否かを検知する検知部をさらに備え、
前記保持情報通知部は、前記検知部による検知結果を保持情報として前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知してもよい。
【0125】
この場合、容器保持部の用途が制限されることなく、容易に保持情報をクロマトグラフ用データ処理装置に通知することができる。
【0126】
(第11項)第5~10のいずれか一項に記載の自動試料注入装置において、
前記試料を識別するための試料識別情報を読み取る試料読取部と、
前記試料読取部により読み取られた試料識別情報を前記クロマトグラフ用データ処理装置に通知する試料識別情報通知部をさらに備えてもよい。
【0127】
この場合、クロマトグラフ用データ処理装置において、試料識別情報を含むバッチファイルを自動的に作成することが容易になる。これにより、効率的にかつミスなく試料識別情報を含むバッチファイルを作成することができる。また、使用者は、分析される試料についての試料識別情報を別途保持しておく必要がないので、分析される試料をより容易に管理することができる。
【符号の説明】
【0128】
1…摸擬画像,2…画像部分,10…機能部,11…事前登録情報取得部,12…トレイID取得部,13…保持情報取得部,14…分析情報特定部,15…バッチファイル作成部,16…装置制御部,17…試料識別情報取得部,18…容器タイプID取得部,20,20A~20C…トレイ,21…容器保持部,22…トレイID表示部,23…試料識別情報表示部,24…容器タイプID表示部,30…設定画面,31…ID選択欄,32…画像表示欄,33…試料タイプ設定欄,34…分析情報設定欄,35…決定ボタン,100…データ処理装置,110,261…CPU,120,262…RAM,130,263…ROM,140…記憶部,150…操作部,160…表示装置,170…入出力I/F,180…バス,200…自動試料注入装置,210…載置部,220…トレイ読取部,230…検知部,240…試料吸入ユニット,250…駆動部,260…制御装置,264…トレイID通知部,265…検知制御部,266…保持情報通知部,267…駆動制御部,268…試料識別情報通知部,269…容器タイプID通知部,270…試料読取部,280…容器読取部,300…分析装置,400…分析システム
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