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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】放射線画像検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A61B6/00 300W
A61B6/00 321
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019095995
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2020188951
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】中野 洋彰
(72)【発明者】
【氏名】林 直輝
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/031411(WO,A1)
【文献】特開2018-056999(JP,A)
【文献】特開2014-198148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0146862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静的IP環境と動的IP環境との間で移動可能であり、移動先の制御端末との間で通信を行い、前記移動先の制御端末の制御下で、照射される放射線に基づいて放射線画像データを取得し、取得した放射線画像データを前記移動先の制御端末に送信する、可搬型の放射線画像検出装置であって、
外部との間で通信情報を送受信する通信部と、
前記放射線画像検出装置が前記静的IP環境と前記動的IP環境との間を移動した場合に、移動先のIP環境下で前記移動先の制御端末が前記放射線画像検出装置とのデータ通信に用いる、前記放射線画像検出装置のIPアドレスを設定する処理を、前記通信部により前記外部と通信しながら実行する処理部と、
を具備し、
前記処理部は、前記処理において、
データ通信確立前の前記移動先の制御端末から初期情報を取得し、
取得した初期情報が、IPアドレスを含まない場合、DHCPサーバーにIPアドレスを確認して取得し、取得した前記IPアドレスを設定し、設定した前記IPアドレスを前記移動先の制御端末に通知し、
取得した初期情報が、IPアドレスを含む場合、前記初期情報に含まれた前記IPアドレスに基づいて前記放射線画像検出装置のIPアドレス設定し、設定した前記IPアドレスを前記移動先の制御端末に通知する、
放射線画像検出装置。
【請求項2】
前記初期情報に含まれた前記IPアドレスは、データ通信確立のため前記移動先の制御端末において用意されたIPアドレスである
請求項1に記載の放射線画像検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに用いられる可搬型の放射線画像検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野では、FPD(Flat Panel Detector)と称される可搬型のX線画像検出装置が多く使用されるようになっている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。FPDはコンソール装置に接続可能とされており、FPDにより検出され記録されたX線画像はコンソール装置により表示される。
【0003】
FPDは、放射線検出素子で検出されたX線を電気信号に変換する変換部、変換された電気信号をデジタル化するA/D変換部、デジタル化された信号を撮影画像としてコンソール装置に出力する出力部、これら各部に電力を供給するバッテリーなどを備える。
【0004】
コンソール装置は、主として、放射線画像撮影(例えばX線撮影)の制御、FPDから取得したX線画像の表示、かかるX線画像のデータに関する画像処理内容等の指示を行うコンピューターである。コンソール装置は、プロセッサー、マウスやキーボードなどの操作入力部、LCD(液晶表示ディスプレイ)などの表示部を備え、表示部に表示されるメニュー画面等の各種画面を通じて、上述した制御、表示、指示等を行う。
【0005】
特許文献3には、FPDとコンソール装置とを無線接続する技術が開示されている。特許文献3の放射線画像撮影システムは、予めアクセスポイント又はルーターをコンソール装置と紐付けておき、アクセスポイントが異なるものであると認識すると、接続対象を切り替える。これにより、特許文献3の放射線画像撮影システムでは、有線接続という操作が省けることで、FPDをローミングするときの操作負担を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-184679号公報
【文献】特開平11-160439号公報
【文献】再表2009/031411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年の医療機器開発では、B to B(Business to Business)による企業間の協業や連携が多く、システム構成もマルチベンダーでの組み合わせが多くなっている。
【0008】
例えば、X線一般撮影においても、X線を照射するX線照射装置はA社、X線を受けるFPDはB社、FPDからの画像を受け取るコンソール装置はC社、画像を保存するPACS(Picture Archiving and Communication Systems)はD社が製造するなど、システム構成が多種多様化している。
【0009】
また、一方で、大規模病院などは、複数の撮影室を有しており、撮影室を撮影用途に応じて使い分けている。そのため、撮影室AではX社のコンソール装置が用いられているが、撮影室BではY社のコンソール装置が用いられているという状況が生じる。このような状況において、X社のFPDを汎用的に用いたいというケースがある。この場合、X社のFPDをY社のコンソール装置でも使用可能とする必要があり、そのための連携キットとして「SDK(Software development kit)」と呼ばれる組み込みモジュールをX社からY社に提供することで、連携を可能としている。このようにすることで、システムの異なるコンソール装置が配置された複数の撮影室の間で、1つのFPDのシェア(ローミングと言ってもよい)を実現している。
【0010】
システム毎に異なる設定を有している複数のシステム間でFPDをシェアする場合、コンソール装置との接続時に、FPDの設定を合わせる必要がある。コンソール装置とFPDとの間では、撮影に必要とするパラメータだけでなく、通信に必要となる設定など、多様な設定がある。よって、コンソール装置との接続時にFPDの設定をコンソール装置の設定に合わせる作業は、サービスマンの負担が大きくなる要素である。
【0011】
一方で、通信設定としては、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)のような動的にIPアドレスを割り振るシステムを採用しているケースもあれば、静的に固定IPアドレスにて運用するシステムも存在する。
【0012】
しかしながら、固定IP環境ではどの環境も固定IPを、DHCP環境ではどの環境も動的IPを用いて、システム内で閉じた構成で動作しており、システム間でパネルをシェアするような場合は、個々に合わせる形でサービスマンがFPDの設定をし直すか、シェアできないように制限する必要があった。
【0013】
本発明の目的は、サービスマンやユーザに負担をかけることなく(意識させることなく)、静的IP環境と動的IP環境の間での移動、及び、IPアドレスの自動設定を可能とする可搬型の放射線画像検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の放射線画像検出装置の一つの態様は、
静的IP環境と動的IP環境との間で移動可能であり、移動先の制御端末との間で通信を行い、前記移動先の制御端末の制御下で、照射される放射線に基づいて放射線画像データを取得し、取得した放射線画像データを前記移動先の制御端末に送信する、可搬型の放射線画像検出装置であって、
外部との間で通信情報を送受信する通信部と、
前記放射線画像検出装置が前記静的IP環境と前記動的IP環境との間を移動した場合に、移動先のIP環境下で前記移動先の制御端末が前記放射線画像検出装置とのデータ通信に用いる、前記放射線画像検出装置のIPアドレスを設定する処理を、前記通信部により前記外部と通信しながら実行する処理部と、
を具備し、
前記処理部は、前記処理において、
データ通信確立前の前記移動先の制御端末から初期情報を取得し、
取得した初期情報が、IPアドレスを含まない場合、DHCPサーバーにIPアドレスを確認して取得し、取得した前記IPアドレスを設定し、設定した前記IPアドレスを前記移動先の制御端末に通知し、
取得した初期情報が、IPアドレスを含む場合、前記初期情報に含まれた前記IPアドレスに基づいて前記放射線画像検出装置のIPアドレス設定し、設定した前記IPアドレスを前記移動先の制御端末に通知する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サービスマンやユーザに負担をかけることなく(意識させることなく)、静的IP環境と動的IP環境の間での移動、及び、IPアドレスの自動設定を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態で想定している放射線画像撮影システムの構成を示す図
図2】実施の形態のFPD及びコンソール装置の要部構成を示すブロック図
図3】FPDを静的IP環境下のコンソール装置から動的IP環境下のコンソール装置に移動させる(つまり接続し直す)ときの動作を示すシーケンス図
図4】FPDを動的IP環境下のコンソール装置から静的IP環境下のコンソール装置に移動させる(つまり接続し直す)ときの動作を示すシーケンス図
図5】実施の形態におけるIPアドレスの自動設定処理の説明に供するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
<1>システム構成
図1は、本実施の形態で想定している放射線画像撮影システムの構成例を示す。
【0019】
各撮影室R1、R2、R3、R4には、放射線撮影装置11、12、13、14及びコンソール装置21、22、23、24が設けられている。撮影室R1、R2、R3、R4のうち、撮影室R1、R2は動的環境下にあり、撮影室R3、R4は静的環境下にある。
【0020】
各撮影室R1-R4内において、放射線撮影装置11-14とコンソール装置21-24とは通信ケーブル(図示せず)などにより接続されている。コンソール装置21-24は、放射線撮影装置11-14及びFPD100の撮影条件の設定や、放射線撮影装置11-14及びFPD100により得られた放射線画像の画像解析などを行う。
【0021】
コンソール装置21-24は、放射線撮影装置11-14及びFPD100の制御端末と呼ぶことができる。
【0022】
DHCPサーバー30は、動的IP環境内に設けられた機器にIPアドレスを割り当てて、それを有線又は無線にて送信する。このとき、DHCPサーバー30は、IPアドレスが重複しないようにIPアドレスの割り当てを行う。
【0023】
FPD100は、可搬型である。FPD100は、例えば、撮影室R1、R2、R3の放射線撮影装置11、12、13のようにパネル装着タイプの放射線撮影装置11、12、13には装着して使用される。また、FPD100は、例えば、撮影室R4の放射線撮影装置14のようにパネル非装着タイプの放射線撮影装置14に対しては放射線撮影装置14から離間した位置に配置されて使用される。例えば撮影室R1で放射線検査が行われる場合、FPD100は撮影室R1の放射線撮影装置11に装着される。次に、例えば撮影室R3で放射線検査が行われる場合、FPD100は撮影室R1の放射線撮影装置11から脱着されて撮影室R3の放射線撮影装置13に装着される。また、例えば撮影室R1での放射線検査の次に撮影室R4での放射線検査が行われる場合には、撮影室R1の放射線撮影装置11から脱着されたFPD100が撮影室R4に持ち込まれて使用される。
【0024】
FPD100は、各撮影室R1-R4で使用される場合、各撮影室R1-R4のコンソール装置21-24と通信を行い、撮像画像をコンソール装置21-24に送信する。
【0025】
このように、FPD100は、複数のコンソール装置21-24と紐付けられており、複数のコンソール装置21-24でシェア(ローミング)される。
【0026】
FPD100がコンソール装置21-24と情報通信を行う場合には、IPアドレス(図中の「10.14.xx.xx」、「192.168.50.xx」、「192.168.20.00」など)が必要である。このIPアドレスの設定については、以下で詳述する。
【0027】
なお、放射線撮影装置11、12、13、14及びコンソール装置21-24の構成は、既知の構成を適用すればよいので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0028】
<2>実施の形態によるFPD及びコンソール装置
図2は、本実施の形態のFPD100及びコンソール装置20(21-24)の要部構成を示すブロック図である。
【0029】
勿論、FPD100及びコンソール装置20は、図2に示した構成以外にもFPD本来の基本的構成を有する。
【0030】
つまり、FPD100は、基本構成として、放射線検出素子で検出されたX線を電気信号に変換する変換部、変換された電気信号をデジタル化するA/D変換部、デジタル化された信号を撮影画像としてコンソール装置21-24に出力する出力部、これら各部に電力を供給するバッテリーなどを備える。
【0031】
コンソール装置20は、基本構成として、放射線撮影装置11-14及びFPD100における放射線画像撮影を制御する制御部、FPD100から取得した放射線画像(例えばX線画像)を表示する表示部、かかる放射線画像を画像処理する画像処理部などを備える。
【0032】
これらの基本構成に加えて、図2に示したように、FPD100は、通信部101、判定部102、指示部103、設定部104及び報知部105を備える。コンソール装置20は、通信部20a及び登録部20bを備える。
【0033】
通信部101は、コンソール装置(制御端末)20との間で通信情報を送受信する。また、通信部101は、DHCPサーバー30との間でも通信情報を送受信する。
【0034】
判定部102は、データ通信確立前のコンソール装置20から受信した初期情報に基づいて、接続したコンソール装置20によってデータ通信に使用されるIPアドレスが動的IPアドレス又は静的IPアドレスのどちらであるかを判定する。ここで、初期情報とは、例えば、通信形態情報(つまり通信形態として動的IPアドレス又は静的IPアドレスのどちらを使用するのかを示す情報)を含む情報である。また、接続先のコンソール装置20が静的環境下のコンソール装置である場合には初期情報にはIPアドレスが含まれており、これに対して、接続先のコンソール装置20が動的環境下のコンソール装置である場合には初期情報にはIPアドレスが含まれていない。
【0035】
指示部103は、判定部102の判定結果に応じて、通信部101にIPアドレスの取得を指示する。例えば、指示部103は、判定部102において、コンソール装置20でデータ通信に使用されるIPアドレスが動的IPアドレスである判定結果が得られた場合に、通信部101にDHCPサーバー30からIPアドレスを取得することを指示する。
【0036】
設定部104は、判定部102による判定結果、又は、指示部103の指示によるIPアドレスの取得結果に応じて、IPアドレスの更新設定を行う。
【0037】
報知部105は、IPアドレスが更新された場合に、このことをユーザに報知する。報知部105は、例えばFPD100の表面に設けられたLED(Light Emitting Diode)である。また、報知部105は、これに限らず、その他の表示、音、光、マーク、振動などにより報知するものであってもよい。
【0038】
なお、通信部101、判定部102、指示部103、設定部104及び報知部105による処理は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えたコンピューターによりプログラムに基づいて実現してもよい。つまり、CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して、上述した通信部101、判定部102、指示部103、設定部104及び報知部105と同様の処理を行う。
【0039】
図3及び図4は、本実施の形態の動作の説明に供するシーケンス図である。図3は、FPD100を静的IP環境下のコンソール装置23(24)から動的IP環境下のコンソール装置21(22)に移動させる(つまり接続し直す)ときの動作を示すものである。図4は、FPD100を動的IP環境下のコンソール装置21(22)から静的IP環境下のコンソール装置23(24)に移動させる(つまり接続し直す)ときの動作を示すものである。
【0040】
図3の動作について説明する。FPD100は、先ず、接続先のコンソール装置21(22)に接続通知を行う。接続通知を受信したコンソール装置21(22)は、登録部20bにFPD100の登録設定を行う。また、コンソール装置21(22)は、接続通知を送信したFPD100にIPアドレスが含まれない設定情報(初期情報)を送信する。ここで、設定情報(初期情報)にIPアドレスが含まれないのは、コンソール装置21(22)が動的IP環境下のコンソール装置だからである。
【0041】
次に、FPD100は、DHCPサーバー30にIPアドレスを確認する(IP確認)。すると、DHCPサーバー30がFPD100にIPアドレスを送信する(IP応答)。
【0042】
次に、IPアドレスを受信したFPD100は、所属するコンソール装置21(22)を確定する(所属確定)とともに、IPアドレスを設定する(IP設定)。
【0043】
次に、FPD100は、前回所属していたコンソール装置23(24)に登録を解除するための通知を行うとともに、今回所属したコンソール装置21(22)にIPアドレスを通知する。この通知を受けて、前回所属していたコンソール装置23(24)はFPD100の登録を解除するとともに、今回所属したコンソール装置21(22)はFPD100と同じIPアドレスを設定する。
【0044】
図4の動作について説明する。FPD100は、先ず、接続先のコンソール装置23(24)に接続通知を行う。接続通知を受信したコンソール装置23(24)は、登録部20bにFPD100の登録設定を行う。また、コンソール装置23(24)は、接続通知を送信したFPD100にIPアドレスが含まれる設定情報(初期情報)を送信する。ここで、設定情報(初期情報)にIPアドレスが含まれるのは、コンソール装置23(24)が静的IP環境下のコンソール装置だからである。
【0045】
次に、FPD100は、所属するコンソール装置23(24)を確定する(所属確定)とともに、コンソール装置23(24)から受け取った初期情報に含まれていたIPアドレスに基づいて自身のIPアドレスに設定する(IP設定)。
【0046】
次に、FPD100は、前回所属していたコンソール装置21(22)に登録を解除するための通知を行うとともに、今回所属したコンソール装置23(24)にIPアドレスを通知する。この通知を受けて、前回所属していたコンソール装置21(22)はFPD100の登録を解除するとともに、今回所属したコンソール装置23(24)はFPD100と同じIPアドレスを設定する。
【0047】
図5は、本実施の形態におけるIPアドレスの自動設定処理の説明に供するフローチャートである。なお、実際の接続では、FPD100は、旧接続先及び新接続先のコンソール装置が、静的環境下のコンソール装置なのか動的環境下のコンソール装置なのかを最初の段階では把握していないので、図5では旧接続先のコンソール装置を「コンソール装置A」、新接続先のコンソール装置を「コンソール装置B」と記した。
【0048】
ステップS1においてFPD100がコンソール装置Aからコンソール装置Bに接続されると、ステップS2においてコンソールBが初期情報をFPD100に送信する。
【0049】
次に、ステップS3において、FPD100の判定部102が初期情報を確認する。ステップS4において、判定部102は初期情報の中にIPアドレスが有るか否か判断し、有ると判断した場合にはステップS5に移る。
【0050】
これに対して、IPアドレスが無いと判断した場合には、ステップS6に移る。ステップS6において、FPD100がDHCPサーバー30にIPアドレス要求する。これに応答して、ステップS7において、DHCPサーバー30がFPD100にIPアドレスを送信する。つまり、初期情報にIPアドレスが無いということは、接続先のコンソールBが動的環境下のコンソール装置であると判断できるので、ステップS6、S7においてDHCPサーバー30からIPアドレスを取得する。
【0051】
次に、ステップS5において、判定部102がIPアドレスが異なるか否か判断し、異なると判断した場合にはステップS8において設定部104がIPアドレスを更新する。これに対して、異ならないと判断した場合にはステップS9に移って、設定部104はIPアドレスを更新しない。
【0052】
ここで、IPアドレスの更新処理をケース別にまとめると以下のようになる。
ケース1) 受信した初期情報にIPアドレスが有り、それが既存設定と同一の場合には、IPアドレスを更新しない。
ケース2) 受信した初期情報にIPアドレスが有り、それが既存設定と異なる場合には、IPアドレスを更新する。
ケース3) 受信した初期情報にIPアドレスが無く、DHCPサーバー30から取得したIPアドレスが既存設定と同一の場合には、IPアドレスを更新しない。
ケース4) 受信した初期情報にIPアドレスが無く、DHCPサーバー30からの取得したIPアドレスが既存設定と異なる場合には、IPアドレスを更新する。
【0053】
なお、図5の例では、初期情報にIPアドレスが含まれるか否かに基づいて、IPアドレスの取得を選択したが、これに限らず、初期情報に含まれる通信形態情報に基づいてIPアドレスの取得を選択してもよい。
【0054】
例えば受信した通信形態情報が「動的」を示すものだった場合には、DHCPサーバー30からIPアドレスを取得する。これに対して、受信した通信形態情報が「静的」だった場合には、初期情報に含まれるIPアドレスを用いる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によれば、FPD100が、コンソール装置20との間で通信情報を送受信する通信部101と、データ通信確立前のコンソール装置20から受信した初期情報に基づいて、接続したコンソール装置20によってデータ通信に使用されるIPアドレスが動的IPアドレス又は静的IPアドレスのどちらであるかを判定する判定部102と、判定部102の判定結果に応じて通信部101にIPアドレスの取得を指示する指示部103と、を有することにより、サービスマンやユーザに負担をかけることなく(意識させることなく)、静的IP環境と動的IP環境の間でのFPD100の移動、及び、IPアドレスの自動設定を可能とするFPD100を実現できる。
【0056】
つまり、本実施の形態のFPD100によれば、異なるコンソール装置、及び、異なる環境下間でのFPD100の移動時に、設定し直しや、不要な通信・更新処理を行うこと無しに、環境に適切なIPアドレスが割り振られ、ユーザが意識することなくFPD100を使い続けることが可能となる。
【0057】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0058】
上述の実施の形態では、FPD100の報知部105が、IPアドレスが更新された場合にこのことをユーザに報知する場合について述べた。これに加えて、FPD100がIPアドレスが更新されたことをコンソール装置20及びクレードル装置(図示せず)などに通知し、コンソール装置20及びクレードル装置などでもFPD100のIPアドレスが更新されたことを表示、マーク、光、音などで報知してもよい。
【0059】
上述の実施の形態に加えて、現在の設定状態(例えばIPアドレスの設定が完了したか否かなど)をユーザに報知してもよい。この報知は、FPD100でのみ行ってもよく、FPD100に加えてコンソール装置20やクレードルでも行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、例えばX線画像撮影システムで用いられるFPDに適用し得る。
【符号の説明】
【0061】
11-14 放射線撮影装置
20(21-24) コンソール装置
30 DHCPサーバー
100 FPD
101、20a 通信部
102 判定部
103 指示部
104 設定部
105 報知部
R1-R4 撮影室
図1
図2
図3
図4
図5