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特許7392306情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20231129BHJP
【FI】
G06Q50/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019129810
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2021015455
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 航一
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/171223(WO,A1)
【文献】特開2005-258985(JP,A)
【文献】特開2019-023876(JP,A)
【文献】特開2017-033413(JP,A)
【文献】特表2020-511324(JP,A)
【文献】特開2020-091658(JP,A)
【文献】特開2020-112953(JP,A)
【文献】特開2007-200210(JP,A)
【文献】特開2018-156385(JP,A)
【文献】特開2011-215900(JP,A)
【文献】特開2007-241447(JP,A)
【文献】特開2015-122004(JP,A)
【文献】特開2001-014398(JP,A)
【文献】特開2003-274389(JP,A)
【文献】特開2004-021342(JP,A)
【文献】特開2013-045160(JP,A)
【文献】橋渡 亮太 他,小学校低学年を対象とした基本的な生活習慣の教育を支援する情報システム,情報処理学会 論文誌(ジャーナル) [online] ,日本,情報処理学会,2014年,第55巻、第1号,第34-44頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幼稚園又は保育園で、園児に相当する被観察者の活動情報と能力情報を収集して、収集した活動情報と能力情報を表示する情報処理システムであり、
前記幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像、又は前記被観察者が所持した位置検出用タグにより、前記被観察者の位置を収集する位置情報取得装置と、
前記幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像を取得する映像情報取得装置と、
前記幼稚園又は保育園に設置されたマイクロフォンにより、前記被観察者の位置を収集する音声情報取得装置と、
前記位置情報取得装置が収集した位置から、一定時間以上連続して前記被観察者が居た場所を居場所にする居場所検出部と、
居場所検出部が検出した前記被観察者の居場所で別の被観察者が一定時間以上接近し、且つ少なくともいずれか一人の被観察者の音声を前記音声情報取得装置が収集したとき、同行者として検出する同行者検出部と、
前記音声情報取得装置が収集した前記被観察者の音声から特定の単語の発声を検出すると共に、前記映像情報取得装置が収集した被観察者の映像から特定の身体運動を検出する行動検出部と、
前記行動検出部が検出した前記被観察者についての特定の単語の発声及び特定の身体運動が、前記被観察者について過去に検出されていない新たな行動であるとき、前記被観察者の能力情報として登録する能力情報蓄積部と、
前記被観察者についての、前記居場所検出部が検出した居場所と、前記同行者検出部が検出した同行者と、前記行動検出部が検出した行動と、前記能力情報蓄積部が検出した能力とを出力して表示させるコントローラと、を備える
情報処理システム。
【請求項2】
前記被観察者の発達に関する能力情報の基準能力情報が登録された基準能力情報登録部を備え、
前記能力情報蓄積部は、前記基準能力情報登録部に登録された基準能力情報との比較で、保存する能力情報を決定する
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記基準能力情報登録部には、年齢別の基準能力情報が登録され、
前記被観察者の年齢で獲得できる基準能力情報を持っているかを比較する
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記コントローラによる前記被観察者の能力情報の出力は、所定期間の行動をリストで表示する
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
幼稚園又は保育園で、園児に相当する被観察者の活動情報と能力情報を収集して、収集した活動情報と能力情報を表示する情報処理方法であり、
前記幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像、又は前記被観察者が所持した位置検出用タグにより、前記被観察者の位置を収集する位置情報取得処理と、
前記幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像を取得する映像情報取得処理と、
前記幼稚園又は保育園に設置されたマイクロフォンにより、前記被観察者の位置を収集する音声情報取得処理と、
前記位置情報取得処理により収集した位置から、一定時間以上連続して前記被観察者が居た場所を居場所にする居場所検出処理と、
居場所検出処理により検出した前記被観察者の居場所で別の被観察者が一定時間以上接近し、且つ少なくともいずれか一人の被観察者の音声を前記音声情報取得処理で収集したとき、同行者として検出する同行者検出処理と、
前記音声情報取得処理により収集した前記被観察者の音声から特定の単語の発声を検出すると共に、前記映像情報取得処理により収集した被観察者の映像から特定の身体運動を検出する行動検出処理と、
前記行動検出処理により検出した前記被観察者についての特定の単語の発声及び特定の身体運動が、前記被観察者について過去に検出されていない新たな行動であるとき、前記被観察者の能力情報として登録する能力情報蓄積処理と、
前記被観察者についての、前記居場所検出処理で検出した居場所と、前記同行者検出処理で検出した同行者と、前記行動検出処理で検出した行動と、前記能力情報蓄積処理で検出した能力とを出力させる出力処理と、を含む
情報処理方法。
【請求項6】
幼稚園又は保育園で、園児に相当する被観察者の活動情報と能力情報を収集して、収集した活動情報と能力情報を表示する処理をコンピュータに実行させるプログラムであり、
前記幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像、又は前記被観察者が所持した位置検出用タグにより、前記被観察者の位置を収集する位置情報取得手順と、
前記幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像を取得する映像情報取得手順と、
前記幼稚園又は保育園に設置されたマイクロフォンにより、前記被観察者の位置を収集する音声情報取得手順と、
前記位置情報取得手順により収集した位置から、一定時間以上連続して前記被観察者が居た場所を居場所にする居場所検出手順と、
居場所検出手順により検出した前記被観察者の居場所で別の被観察者が一定時間以上接近し、且つ少なくともいずれか一人の被観察者の音声を前記音声情報取得手順で収集したとき、同行者として検出する同行者検出手順と、
前記音声情報取得手順により収集した前記被観察者の音声から特定の単語の発声を検出すると共に、前記映像情報取得手順により収集した被観察者の映像から特定の身体運動を検出する行動検出手順と、
前記行動検出手順により検出した前記被観察者についての特定の単語の発声及び特定の身体運動が、前記被観察者について過去に検出されていない新たな行動であるとき、前記被観察者の能力情報として登録する能力情報蓄積手順と、
前記被観察者についての、前記居場所検出手順で検出した居場所と、前記同行者検出手順で検出した同行者と、前記行動検出手順で検出した行動と、前記能力情報蓄積手順で検出した能力とを出力させる出力手順と、をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報や画像情報などの情報を収集して人物(被観察者)の評価を行う情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
幼稚園や保育園などの施設では、園児が園内でどのように過ごしたか等の情報を、保育士や幼稚園教諭が連絡帳を使って保護者に伝えるようにしている。連絡帳は、保育士や幼稚園教諭が、園児の日々の体調、食事、遊びなど、様々な様子を記入するものである。この連絡帳によって、保護者は自分の子供が園内で何をしていたかを知り、また、必要に応じて幼稚園や保育園へ対応をお願いするなど重要なコミュニケーションの機会の一つになっている。
【0003】
また、園児の保護者としては、自分の子供の成長過程として、連絡帳に記録に残しておきたいという要望が大きく、保育士や幼稚園教諭に園児の日々の様子を連絡帳の自由記載欄等に記載することを期待している。
このように連絡帳の記入は、保育士や幼稚園教諭にとって重要な業務になっており、記入には非常に手間と時間がかかるという問題があった。
【0004】
特許文献1には、集合住宅施設の入居者や設備の監視警備連絡装置についての記載がある。この特許文献1には、入居者(監督を必要とされる人、子供・お年寄りなど)の室内に電話やタブレット(モニター付き)などのコントローラとセンサを設置し、入居者を監視する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-016610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、従来から特定の施設の利用者をセンサなどで監視(観察)することは行われている。しかしながら、幼稚園や保育園などの施設で園児の行動を観察する上では、園児がどの場所にいるか等のような単純な行動監視ではない、より高度な観察が必要である。
すなわち、上述した連絡帳の記入に役立つ情報としては、どの場所で遊んでいたかのような行動記録だけでなく、どのような能力を発揮して活動を行っていたか等の発達に関する能力情報が有益であるが、従来、そのような能力情報を収集するもの存在しなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑み、被観察者の能力に関する情報の収集が良好に行える情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報処理システムは、幼稚園又は保育園で、園児に相当する被観察者の活動情報と能力情報を収集して、収集した活動情報と能力情報を表示する情報処理システムであり、幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像、又は被観察者が所持した位置検出用タグにより、被観察者の位置を収集する位置情報取得装置と、幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像を取得する映像情報取得装置と、幼稚園又は保育園に設置されたマイクロフォンにより、被観察者の位置を収集する音声情報取得装置と、位置情報取得装置が収集した位置から、一定時間以上連続して前記被観察者が居た場所を居場所にする居場所検出部と、居場所検出部が検出した被観察者の居場所で別の被観察者が一定時間以上接近し、且つ少なくともいずれか一人の被観察者の音声を音声情報取得装置が収集したとき、同行者として検出する同行者検出部と、音声情報取得装置が収集した被観察者の音声から特定の単語の発声を検出すると共に、映像情報取得装置が収集した被観察者の映像から特定の身体運動を検出する行動検出部と、行動検出部が検出した被観察者についての特定の単語の発声及び特定の身体運動が、被観察者について過去に検出されていない新たな行動であるとき、被観察者の能力情報として登録する能力情報蓄積部と、被観察者についての、居場所検出部が検出した居場所と、同行者検出部が検出した同行者と、行動検出部が検出した行動と、能力情報蓄積部が検出した能力とを出力して表示させるコントローラと、を備える。
【0009】
また、本発明の情報処理方法は、幼稚園又は保育園で、園児に相当する被観察者の活動情報と能力情報を収集して、収集した活動情報と能力情報を表示する情報処理方法であり、幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像、又は被観察者が所持した位置検出用タグにより、被観察者の位置を収集する位置情報取得処理と、幼稚園又は保育園に設置されたカメラの映像を取得する映像情報取得処理と、幼稚園又は保育園に設置されたマイクロフォンにより、被観察者の位置を収集する音声情報取得処理と、位置情報取得処理により収集した位置から、一定時間以上連続して被観察者が居た場所を居場所にする居場所検出処理と、居場所検出処理により検出した被観察者の居場所で別の被観察者が一定時間以上接近し、且つ少なくともいずれか一人の被観察者の音声を音声情報取得処理で収集したとき、同行者として検出する同行者検出処理と、音声情報取得処理により収集した被観察者の音声から特定の単語の発声を検出すると共に、映像情報取得処理により収集した被観察者の映像から特定の身体運動を検出する行動検出処理と、行動検出処理により検出した被観察者についての特定の単語の発声及び特定の身体運動が、被観察者について過去に検出されていない新たな行動であるとき、被観察者の能力情報として登録する能力情報蓄積処理と、被観察者についての、居場所検出処理で検出した居場所と、同行者検出処理で検出した同行者と、行動検出処理で検出した行動と、能力情報蓄積処理で検出した能力とを出力させる出力処理と、を含む。
【0010】
また、本発明のプログラムは、上記情報処理方法の各処理を実行する手順を、コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動的に被観察者の発達に関する能力情報を取得して表示することができる。このため、例えば幼稚園や保育園での園児の観察に適用することで、幼稚園や保育園で作成される連絡帳に記載する内容を自動的に抽出することができ、保育士や幼稚園教諭の負担の軽減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態例によるシステム全体の例を示す構成図である。
図2】本発明の一実施の形態例による情報取得処理例を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施の形態例による発達に関する能力情報特定処理の例を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施の形態例による発達に関する能力情報比較処理の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施の形態例による居場所の情報の例を示す図である。
図6】本発明の一実施の形態例による行動情報の例を示す図である。
図7】本発明の一実施の形態例による能力情報サーバに登録される情報の例を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態例による表示情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。
[システム構成例]
図1は、本例の情報処理システム100の全体構成を示す。本例の情報処理システム100は、保育園又は幼稚園に設置され、園内の園児の行動を収集して、園児の発達に関する情報を収集するものである。以下の説明では、園児を被観察者と称する。また、保育士や幼稚園教諭を観察者と称する。
【0014】
情報処理システム100は、メインコントローラ101、被観察者情報保存サーバ102、位置情報取得装置103、映像情報取得装置104、音声情報取得装置105、活動情報コントローラ110、及び能力情報コントローラ120を備える。
【0015】
また、活動情報コントローラ110には、居場所検出サーバ131と、居場所登録サーバ132と、同行者検出サーバ141と、人物登録サーバ142と、行動検出サーバ151と、行動登録サーバ152とが接続される。
さらに、能力情報コントローラ120には、能力情報検出サーバ161と、基準能力情報登録サーバ162と、能力情報比較サーバ171と、被観察者保有能力情報登録サーバ172とが接続される。
なお、各サーバ131,132,141,142,151,152,161,162,171,172は、情報の検出や登録を行う際に、情報のやり取りを相互に行えるように接続されている。
【0016】
メインコントローラ101は、情報処理システム100全体における情報収集及び能力判断処理を制御し、判断した能力情報を出力する。メインコントローラ101が出力した能力情報は、例えば情報処理システム100に接続された表示装置(不図示)に表示される。
被観察者情報保存サーバ102は、位置情報取得装置103と映像情報取得装置104と音声情報取得装置105から供給される位置情報、映像情報、及び音声情報を保存する被観察者情報蓄積部であり、被観察者情報蓄積処理が行われる。
【0017】
位置情報取得装置103は、園内の被観察者の位置情報を取得する。この位置情報取得装置103での被観察者の位置情報の取得は、例えば園内に設置された監視カメラの情報に基づいて、園内の各被観察者の位置を判定することで行う。あるいは、園内の被観察者に、位置検出が可能な端末又は電波を発信するタグ(ICカードなど)を所持させ、その端末又はタグを使って位置情報取得装置103が被観察者の園内での位置を判定してもよい。
【0018】
映像情報取得装置104は、園内に設置された監視カメラの映像情報を取得する。監視カメラは、園内の様々な場所を監視できる台数用意するのが好ましい。
音声情報取得装置105は、園内に設置されたマイクロフォンが集音した音声情報を取得する。マイクロフォンについても、園内の複数箇所に設置するのが好ましい。
【0019】
活動情報コントローラ110は、位置情報と映像情報と音声情報とに基づいて、被観察者の活動情報を生成する。活動情報コントローラ110は、活動情報を生成する際に、居場所検出サーバ131、同行者検出サーバ141、及び行動検出サーバ151による検出処理を利用する。
【0020】
居場所検出サーバ131は、園内の被観察者の位置情報と映像情報と音声情報とに基づいて、被観察者の居場所を検出する。ここでは、例えば1箇所に一定時間以上(例えば3分以上など)連続して居ることが検出されたとき、この検出された場所を被観察者の居場所とする。なお、検出する居場所は、園内の予め登録された場所とする。具体的には、遊戯室、食事場所、屋外の遊戯施設などの被観察者が何らかの行動を行う可能性が高い場所とする。居場所検出サーバ131が検出する居場所の例については後述する(図5)。
居場所検出サーバ131が被観察者の居場所を検出したとき、居場所登録サーバ132に被観察者の居場所が登録される。
【0021】
同行者検出サーバ141は、園内のそれぞれの被観察者の位置情報と映像情報と音声情報とに基づいて、それぞれの被観察者に一緒に居た者(同行者)がいることを検出する。すなわち、特定の被観察者と、別の被観察者との位置情報や映像情報から、一定以上の時間、接近している状態にあって、かつ、特定の被観察者と別の被観察者のいずれかの音声情報が収集されたとき、同行者とする。特定の被観察者と別の被観察者のいずれかの音声情報が収集されることで、同行者検出サーバ141は、二人の間での会話が行われていると判定する。
同行者検出サーバ141が同行者を検出すると、人物登録サーバ142に被観察者と同行者の人物についての情報が登録される。
【0022】
行動検出サーバ151は、園内のそれぞれの被観察者の位置情報、映像情報及び音声情報に基づいて、それぞれの被観察者の行動を検出する。ここでは、行動検出サーバ151は、例えば被観察者が一定以上の期間、予め登録された行動に関連した発声や動きをしていた場合に、その被観察者の行動を検出する。
行動として検出する発声としては、被観察者が単独で行う特定の単語の発声や、被観察者同士の会話、あるいは被観察者と観察者との会話などがある。
行動として検出する動きとしては、被観察者が行う特定の身体運動や、被観察者が特定のオブジェクト(遊具など)を触ること、並びに、そのオブジェクトを触った後に移動又は消失することなどがある。
行動検出サーバ151が行動を検出したとき、行動登録サーバ152に検出した被観察者の行動が登録される。行動検出サーバ151が検出する行動の例については後述する(図6)。
【0023】
能力情報コントローラ120は、能力情報検出サーバ161での発達に関する能力情報の検出と、能力情報比較サーバ171での能力情報の比較を制御する。
【0024】
能力情報検出サーバ161は、活動情報コントローラ110で生成された活動情報に基づいて、被観察者の発達に関する能力情報を検出する。能力情報検出サーバ161が能力情報を検出する際には、基準能力情報登録サーバ162に登録された基準能力情報を参照する。基準能力情報登録サーバ162には、園児が年齢ごとに持つ標準的な能力の情報が登録されている。
【0025】
能力情報比較サーバ171は、能力情報検出サーバ161で検出された能力情報と、被観察者保有能力情報登録サーバ172に登録された各被観察者が持つ能力情報とを比較する。すなわち、被観察者保有能力情報登録サーバ172は、各被観察者が既に持っている能力情報が登録される能力情報蓄積処理が行われ、能力情報蓄積部として機能する。
そして、能力情報比較サーバ171で被観察者が新たな能力を獲得したことが判断されると、その獲得された能力情報が、能力情報コントローラ120に伝えられる。また、被観察者が新たな能力を獲得したとき、その新たに獲得した能力情報が、被観察者保有能力情報登録サーバ172に登録される。被観察者保有能力情報登録サーバ172に登録される情報の例については後述する(図7)。
【0026】
[各サーバでの情報処理の例]
次に、図2図4のフローチャートを参照して、各サーバでの情報処理の例について説明する。
図2は、被観察者情報保存サーバ102での情報取得処理を示す。
被観察者情報保存サーバ102は、位置情報取得装置103からそれぞれの被観察者の位置情報を取得し、映像情報取得装置104からカメラで撮影した映像情報を取得し、音声情報取得装置105から音声情報を取得する(ステップS11)。このステップS11での情報取得処理は、被観察者情報保存サーバ102によって行われる。
【0027】
図3は、能力情報検出サーバ161で行われる、発達に関する能力情報の特定処理を示す。
能力情報検出サーバ161は、活動情報コントローラ110での活動情報の検出があるか否かを判断する(ステップS21)。このステップS21で、活動情報の検出がないと判断された場合には(ステップS21のNO)、新たな活動情報の検出があるまで待機する。
そして、ステップS21で活動情報の検出があると判断された場合には(ステップS21のYES)、能力情報検出サーバ161は、活動情報から発達に関する能力情報を特定する(ステップS22)。ステップS22で、発達に関する能力情報が特定されると、特定された発達に関する能力情報は、被観察者保有能力情報登録サーバ172(又は行動登録サーバ152)に登録される(ステップS23)。そして、能力情報検出サーバ161は、発達に関する能力情報の登録処理を行った後にステップS21の判断に戻る。
【0028】
図4は、能力情報比較サーバ171で行われる、発達に関する能力情報の比較処理を示す。
能力情報比較サーバ171は、発達に関する能力情報の検出があるか否かを判断する(ステップS31)。このステップS31で、発達に関する能力情報の検出がないと判断された場合には(ステップS31のNO)、新たな発達に関する能力情報の検出があるまで待機する。
そして、ステップS31で新たな発達に関する能力情報の検出があると判断された場合には(ステップS31のYES)、能力情報比較サーバ171は、検出した発達に関する能力情報と、被観察者保有能力情報登録サーバ172に登録された既に獲得済みの発達に関する能力情報とを比較する(ステップS32)。このステップS32の比較で、新たに獲得された発達に関する能力情報がある場合、その新たに獲得された発達に関する能力情報が、被観察者保有能力情報登録サーバ172に登録される(ステップS33)。そして、能力情報比較サーバ171は、発達に関する能力情報の登録処理を行った後にステップS31の処理に戻る。
【0029】
[居場所の例]
図5は、居場所検出サーバ131が検出する居場所の情報200のテーブル例を示す。
居場所の情報200では、居場所の識別コード(ID)201と、居場所の名称202と、居場所のカテゴリ203と、居場所の絶対位置の緯度204及び経度205とが示される。
【0030】
例えば、識別コード01の居場所は、名称「お遊戯室」、カテゴリ「室内」であり、「お遊戯室」の緯度と経度が登録される。このようにして、園内のそれぞれの居場所が登録される。図5では、「お遊戯室」の他に、「ブランコ」、「砂場」の例が示されている。
居場所検出サーバ131は、この情報200で示される居場所のいずれであるかを検出する。
【0031】
[行動の例]
図6は、行動検出サーバ151が検出する行動の情報300のテーブル例を示す。
行動の情報300では、行動の識別コード(ID)301と、行動の名称302と、身体の状態303と、行動時に検出される物体304と、行動時に検出される音声305とが示される。
【0032】
例えば、識別コード01の行動としては、名称「スキップ」、身体状態「片足立ち」、物体「問わない」、音声「問わない」と登録される。また、識別コードNの行動は、名称「おもちゃ遊び」、身体状態「問わない」、物体「おもちゃ」、音声「問わない」と登録される。
【0033】
[成長に関する能力情報の例]
図7は、被観察者保有能力情報登録サーバ172に予め登録されている成長に関する能力情報400のテーブル例を示す。
成長に関する能力情報400では、能力情報の識別コード(ID)401と、能力情報の名称402と、難易度403と、重要度404と、回数405と、年齢406と、居場所407と、同行者408と、行動409とが示される。
【0034】
例えば、、識別コード01の能力情報は、名称「食事(完食)」、難易度C、重要度A、回数1回、年齢3歳、居場所「問わない」、同行者「問わない」、行動「ご飯の完食」と登録される。また、識別コードNの能力情報は、名称「集団行動」、難易度B、重要度B、回数3回、年齢3歳、居場所「問わない」、同行者「任意の誰か複数人」、行動「おままごと/おもちゃ遊び/・・・」と登録される。
【0035】
[出力情報の例]
図8は、メインコントローラ101が表示装置に出力される情報による表示画面の例を示す。
この図8による画面表示は、観察者(保育士や幼稚園教諭)によって閲覧される。
表示画面では、例えば各々の被観察者の所定期間(ここでは1日)の行動が時間軸に沿って表示される。
具体的には、画面の左側に、被観察者の顔写真と名前が表示され、画面の中央に、1日の行動の一覧が表示される。すなわち、画面の中央には、行動の一覧として、「8:00 登園」、「9:00 砂場:<言語能力>会話」、「10:00 砂場:<集団能力>集団行動」、「11:00 ブランコ」、「12:00 お昼ご飯」、「13:00 お昼寝」、・・・と表示される。
【0036】
ここで、「10:00 砂場:<集団能力>集団行動」が、該当する被観察者が新たに獲得した発達に関する能力情報であるとき、「10:00 砂場」の欄に、「NEW<集団能力>集団行動」と表示され、さらにその能力を獲得した場所と滞在時間、並びに行動の詳細(△△■■ちゃんと一緒、お城を作って遊んでいた)が表示される。また、遊んでいる際のカメラ画像についても表示される。
【0037】
このようにそれぞれの被観察者の行動の一覧が表示されると共に、該当する被観察者が新たに獲得した発達に関する能力情報の詳細が表示される。したがって、観察者(保育士や幼稚園教諭)は、被観察者の連絡帳を記入する際に、表示された情報を利用することができ、保育士や幼稚園教諭による連絡帳の記入作業を効果的にアシストできるようになる。
【0038】
[変形例]
なお、上述した実施の形態例では、情報処理システム100が被観察者の行動や能力の情報を表示する例とした。これに対して、情報処理システム100が、例えば図8に示す画面表示の情報から、直接、被観察者の連絡帳を自動作成するようにしてもよい。この場合には、保育士や幼稚園教諭によって文字入力が行われるコメント入力欄を設けて、その入力されたコメントを、自動作成された連絡帳に付加するようにしてもよい。
【0039】
また、情報処理システム100をインターネットなどに接続して、作成された行動や能力の一覧を、被観察者の保護者の端末にメールなどで伝送してもよい。
【0040】
また、上述した実施の形態例で示した行動や能力は一例を示したものであり、その他の行動や能力を検出してもよい。
例えば、能力情報検出サーバ161が運動能力を検出する場合に、特定の乗り物(三輪車など)に乗れるか、特定の動きができるか等の詳細を検出するようにしてもよい。
また、能力情報検出サーバ161が言語能力を検出する場合に、特定の単語の発声ができるか、会話ができるか等の言語に関する情報を検出してもよい。
また、能力情報検出サーバ161が生活能力を検出する場合に、対人関係ができるか、身の回りのことができるか等の生活に関する情報を検出してもよい。
これらの能力の情報は、基準能力情報登録サーバ162に登録される。
【0041】
また、活動情報コントローラ110で判断される活動情報は、居場所と同行者と行動に基づいた情報とした。このように居場所と同行者と行動の全ての情報から活動情報を得るのが好ましいが、少なくとも居場所と同行者と行動のいずれか一つから活動情報を特定してもよい。
【0042】
また、同行者検出サーバ141が同行者を検出する場合には、それぞれの被観察者の位置情報と音声情報に基づいて、一定以上の期間、あらかじめ登録されている被観察者と対象の被観察者の位置情報が近しく、別の被観察者の音声が収集されていた場合、別の被観察者を同行者として検出するようにした。これに対して、会話の内容を音声認識して、ある程度のレベルの会話であるとき、同行者として検出する等、より高度な検出処理を行うようにしてもよい。
【0043】
同行者の検出や行動の検出時には、発声や動きに関する音声や映像の特徴量によるマッチングや、それらを訓練データにして生成した機械学習のモデルにより検出するようにして、検出精度を向上させるようにしてもよい。
【0044】
また、能力情報検出サーバ161が発達に関する能力を特定する際には、複数の発達に関する能力情報が比較候補に挙がった際、かつ、発達に関する能力情報に、その能力情報に関する指標が設定されている場合に、その指標を軸に発達に関する能力情報を、基準能力情報登録サーバ162から1つ以上選択すればよい。
ここでの指標については、例えば経過時間(年齢)を表した指標を設定する。
【0045】
そして、経過時間(年齢)を表した指標に基づいて、被観察者の誕生からの経過時間に近しい値が設定されている能力情報を基準に、発達に関する能力情報を1つ以上選択するのが好ましい。
【0046】
また、この経過時間(年齢)を表した指標を使う際には、例えば、その経過時間(年齢)で既に保有している可能性が高い能力情報から確認するため、被観察者の誕生からの経過時間より、能力情報が設定する経過時間を、下回る値を設定された能力情報から探索を行うのが好ましい。具体的には、4歳児なら3歳児の能力を持っている可能性は高いので、3歳と設定されている能力情報から優先して選択を行うようにする。これにより、おそらく背伸びしてできた能力より、その年齢でできておかしくないことを重点的に確認することができ、適切な能力の確認ができるようになる。
【0047】
ここでの重点的に確認する能力は、被観察者ごとに優先的に観察する指標を設定してもよい。例えば、言語能力や運動能力などの特定の能力のチェックを優先して行いたい被観察者のとき、該当する被観察者については、優先的にチェックしたい能力を高い指標とする。例えば、集団行動が苦手な被観察者の場合、生活能力系の発達に関する能力情報の本指標の係数を上げる等が考えられる。このようにすることで、個々の被観察者の発達状況に応じた適切な検出が可能になる。
【0048】
また、例えば能力ごとに設定された重要度(図7参照)に基づいて、重要度の高いものから優先的に観察する指標を設定してもよい。
あるいは、指標を設定する際には、実現しやすさの度合に関する指標を設定してもよい。この実現しやすさの度合に関する指標は、難易度に対応する。
実現しやすさの度合に関する指標を設定した場合には、能力情報に設定されている実現しやすさの度合いを基準に、発達に関する能力情報を選択することが考えられる。
【0049】
また、能力情報検出サーバ161で能力を選択する際には、既に保有している可能性が高い能力情報から確認するため、実現しやすさの度合いが最も低く設定されている能力情報から探索を行うようにしてもよい。
【0050】
また、能力情報検出サーバ161で能力を選択する際に指標を使うときには、その能力を使う頻度に関する指標を設定してもよい。
頻度を使う場合、例えば特定候補のうち、一定の頻度以上で昇順し、確認された発達に関する能力情報から、発達に関する能力情報として選択してもよい。
【0051】
また、図8に示す表示画面の例では、1日の行動や能力を表示するようにした。これに対して、閲覧者(観察者)は、任意の期間を指定して、その指定した期間の行動や能力を閲覧できるようにしてもよい。例えば、1週間や1ヶ月の一覧を表示してもよい。
また、複数の被観察者の行動や能力を比較できる表示を行ってもよい。
【0052】
また、図8に示す表示画面では、指定期間の行動を一覧で示し、その行動の中に存在する発達に関する能力を示すようにした。
これに対して、発達に関する能力情報を閲覧する際は、新たに得た発達に関する能力情報を基準に、その他能力情報や、活動情報も同時に表示できるようにしてもよい。
【0053】
また、図1に示すシステム構成では、位置情報と映像情報と音声情報の全てを取得するようにしたが、いずれか1つ又は2つの情報から行動を検出するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例では、被観察者の発達に関する能力を検出するようにしたが、例えば被観察者の行動が、普段の行動と異なるとき、そのことを検出するようにしてもよい。例えば、日常的に食事を完食している園児が、食べ残しをした場合や、お昼寝の時間が普段よりも長い場合等に、それらを行動の閲覧画面上で警告してもよい。
【0054】
また、情報処理システム100は、図1に示すような専用のシステムを用意してもよいが、例えば情報処理システム100が行う機能をプログラム化して、そのプログラムを汎用のコンピュータ装置に実装して、コンピュータ装置を情報処理システム100として機能させてもよい。この場合、それぞれのサーバとしての検出処理や記憶処理は、コンピュータ装置が直接行う構成とする他、ネットワーク上に用意された別のサーバが検出処理や記憶処理を行うようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例では、保育園や幼稚園での園児の行動を観察する例としたが、本発明は、その他の各種観察システムに適用が可能である。例えば高齢者施設で、同様に行動を観察するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100…情報処理システム、101…メインコントローラ、102…被観察者情報保存サーバ、103…位置情報取得装置、104…映像情報取得装置、105…音声情報装置、110…活動情報コントローラ、120…能力情報コントローラ、131…居場所検出サーバ、132…居場所登録サーバ、141…同行者検出サーバ、142…人物登録サーバ、151…行動検出サーバ、152…行動登録サーバ、161…能力情報検出サーバ、162…基準能力情報登録サーバ、171…能力情報比較サーバ、172…被観察者保有能力情報登録サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8