(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】回路装置、発振器、電子機器、及び移動体
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20231129BHJP
H03L 7/10 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H03B5/32 D
H03L7/10 140
(21)【出願番号】P 2019138730
(22)【出願日】2019-07-29
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 伸敬
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-178780(JP,A)
【文献】特開2018-191038(JP,A)
【文献】特開2013-090312(JP,A)
【文献】特開平04-326802(JP,A)
【文献】特開平04-158419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0308491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B5/30-5/42
H03L1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子を発振させることで第1発振信号を生成する第1発振回路と、
第2発振信号を生成する第2発振回路と、
デジタル回路と、
を備え、
前記第1発振回路が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、前記デジタル回路は、前記第2発振信号に基づいて動作し、且つ、前記第2発振信号の周波数は、変化するように制御され
、
前記起動期間において、前記第2発振回路の周波数は、ランダムに変化するように制御される、回路装置。
【請求項2】
前記起動期間が経過した後、前記デジタル回路は、前記第1発振信号に基づいて動作する、請求項
1に記載の回路装置。
【請求項3】
振動子を発振させることで第1発振信号を生成する第1発振回路と、
第2発振信号を生成する第2発振回路と、
デジタル回路と、
を備え、
前記第1発振回路が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、前記デジタル回路は、前記第2発振信号に基づいて動作し、且つ、前記第2発振信号の周波数は、変化するように制御され、
前記起動期間が経過した後、前記デジタル回路は、前記第1発振信号に基づいて動作する、回路装置。
【請求項4】
前記起動期間が経過した後、前記第2発振回路は、前記第2発振信号の出力を停止する、請求項
2又は3に記載の回路装置。
【請求項5】
前記第2発振回路は、CRオシレーター又はリングオシレーターを含む、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の回路装置。
【請求項6】
前記第2発振回路は、
前記第1発振信号の位相と前記第2発振信号の位相とを比較する位相比較回路と、
前記位相比較回路の出力信号に基づく第3発振信号を出力する電圧制御発振回路と、
前記第3発振信号を分周し、前記第2発振信号として出力する分周回路と、
を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回路装置。
【請求項7】
振動子を発振させることで第1発振信号を生成する第1発振回路と、
第2発振信号を生成する第2発振回路と、
デジタル回路と、
を備え、
前記第1発振回路が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、前記デジタル回路は、前記第2発振信号に基づいて動作し、且つ、前記第2発振信号の周波数は、変化するように制御され、
前記第2発振回路は、
前記第1発振信号の位相と前記第2発振信号の位相とを比較する位相比較回路と、
前記位相比較回路の出力信号に基づく第3発振信号を出力する電圧制御発振回路と、
前記第3発振信号を分周し、前記第2発振信号として出力する分周回路と、
を含む、回路装置。
【請求項8】
前記第3発振信号の周波数が制御されることで、前記第2発振信号の周波数が、変化するように制御される、請求項6
又は7に記載の回路装置。
【請求項9】
前記分周回路の分周比が制御されることで、前記第2発振信号の周波数が、変化するように制御される、請求項6
又は7に記載の回路装置。
【請求項10】
前記第1発振回路の動作を制御するための動作設定情報を記憶する記憶部を備え、
前記デジタル回路は、前記動作設定情報に基づいて、前記第1発振回路の動作を制御するプログラマブルロジックコントローラーを含む、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の回路装置。
【請求項11】
振動子を発振させることで第1発振信号を生成する第1発振回路と、
第2発振信号を生成する第2発振回路と、
デジタル回路と、
を備え、
前記第1発振回路が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、前記デジタル回路は、前記第2発振信号に基づいて動作し、且つ、前記第2発振信号の周波数は、変化するように制御され、
前記第1発振回路の動作を制御するための動作設定情報を記憶する記憶部を備え、
前記デジタル回路は、前記動作設定情報に基づいて、前記第1発振回路の動作を制御するプログラマブルロジックコントローラーを含む、回路装置。
【請求項12】
請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の回路装置と、
前記振動子と、を備える発振器。
【請求項13】
請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の回路装置を備える、電子機器。
【請求項14】
請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の回路装置を備える、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置、発振器、電子機器、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子等の振動子を発振させて所望の周波数の信号を出力する発振器は、電子機器やシステム等の広い分野で使用されている。このような発振器は、振動子と、振動子を発振させるための発振回路、及び発振回路の動作を制御するための周辺回路とを一体とした集積回路素子(IC:Integrated Circuit)とを備える。例えば、特許文献1には、温度補償機能を有する発振器として、振動子と、振動子を発振させる発振回路と、n次の温度補償関数に基づいて第1補償信号を生成するとともに、1つ以上の2次の温度補償関数に基づいて、第1補償信号により補償されずに残る温度特性をさらに補償する第2補償信号を生成する温度補償回路を含む周辺回路と、を備えた発振器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発振器では、周辺回路の動作に用いられるクロック信号がノイズ源となり、振動子を発振する発振回路の起動が阻害されてしまう懸念があった。このような懸念に対して、例えば、まず振動子を発振させる発振回路を起動させた後、周辺回路を起動するような構成とすることも考えられる。しかしながら、そのような構成とした場合、発振器全体としての起動が遅くなってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る回路装置の一態様は、
振動子を発振させることで第1発振信号を生成する第1発振回路と、
第2発振信号を生成する第2発振回路と、
デジタル回路と、
を備え、
前記第1発振回路が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、前記デジタル回路は、前記第2発振信号に基づいて動作し、且つ、前記第2発振信号の周波数は、変化するように制御される。
【0006】
前記回路装置の一態様において、
前記起動期間において、前記第2発振回路の周波数は、ランダムに変化するように制御されてもよい。
【0007】
前記回路装置の一態様において、
前記起動期間が経過した後、前記デジタル回路は、前記第1発振信号に基づいて動作してもよい。
【0008】
前記回路装置の一態様において、
前記起動期間が経過した後、前記第2発振回路は、前記第2発振信号の出力を停止してもよい。
【0009】
前記回路装置の一態様において、
前記第2発振回路は、CRオシレーター又はリングオシレーターを含んでもよい。
【0010】
前記回路装置の一態様において、
前記第2発振回路は、
前記第1発振信号の位相と前記第2発振信号の位相とを比較する位相比較回路と、
前記位相比較回路の出力信号に基づく第3発振信号を出力する電圧制御発振回路と、
前記第3発振信号を分周し、前記第2発振信号として出力する分周回路と、
を含んでもよい。
【0011】
前記回路装置の一態様において、
前記第3発振信号の周波数が制御されることで、前記第2発振信号の周波数が、変化するように制御されてもよい。
【0012】
前記回路装置の一態様において、
前記分周回路の分周比が制御されることで、前記第2発振信号の周波数が、変化するように制御されてもよい。
【0013】
前記回路装置の一態様において、
前記第1発振回路の動作を制御するための動作設定情報を記憶する記憶部を備え、
前記デジタル回路は、前記動作設定情報に基づいて、前記第1発振回路の動作を制御するプログラマブルロジックコントローラーを含んでもよい。
【0014】
本発明に係る発振器の一態様は、前記回路装置の一態様と、
前記振動子と、を備える。
【0015】
本発明に係る電子機器の一態様は、前記回路装置の一態様を備える。
【0016】
本発明に係る移動体の一態様は、前記回路装置の一態様を備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】発振器が動作を開始してから安定動作に移行するまでの動作を説明するためのタイミングチャート。
【
図4】第1実施形態の変形例における発振器が動作を開始してから安定動作に移行するための動作を説明するためのタイミングチャート。
【
図8】電子機器の構成の一例を示す機能ブロック図。
【
図9】電子機器の一例であるスマートフォンの外観の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0019】
1.発振器
1.1 第1実施形態
[発振器の機能構成]
図1は本実施形態の発振器1の機能ブロック図である。
図1に示すように、発振器1は、集積回路素子10と振動子2とを含む。
【0020】
振動子2としては、例えば、水晶振動子、SAW(Surface Acoustic Wave)共振素子、その他の圧電振動素子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子などを用いることができる。なお、本実施形態において振動子2は、水晶振動子であるとして説明を行う。
【0021】
集積回路素子10は、第1発振回路20、第2発振回路30、電圧振幅検出回路40、制御回路50、出力回路60、電圧レギュレーター70、及び記憶回路80を含む。なお、集積回路素子10は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。この集積回路素子10が回路装置の一例である。
【0022】
電圧レギュレーター70は、VDD端子を介して供給される電源電圧に基づいて、VSS端子を介して供給されるグラウンド電圧を基準とする所定の電圧Vddを生成する。電圧レギュレーター70が生成した電圧Vddは、集積回路素子10の各回路ブロックの電源電圧として用いられる。
【0023】
第1発振回路20は、XG端子を介して振動子2の一端と接続され、XD端子を介して振動子2の他端と接続されている。そして、第1発振回路20に電圧Vddが供給されることで、第1発振回路20は、XG端子を介して入力される振動子2の出力信号を増幅し、また、増幅した信号を、XD端子を介して振動子2にフィードバックすることで、振動子2を発振させる。そして、第1発振回路20は、発振する振動子2が出力する信号を増幅した発振信号Scryを生成し、制御回路50、及び出力回路60のそれぞれに出力する。すなわち、第1発振回路20は、振動子2を発振させることで発振信号Scryを生成し出力する。この発振信号Scryが第1発振信号の一例である。
【0024】
ここで、振動子2と第1発振回路20により構成される発振回路は、ピアース発振回路、インバーター型発振回路、コルピッツ発振回路、ハートレー発振回路等の種々のタイプの発振回路が用いられる。また、第1発振回路20は、振動子2の出力信号に対して温度補償、温度制御をせずに、当該出力信号の周波数安定度のそのままの信号を発振信号Scryとして出力してもよく、周波数の安定度を高めるための温度補償回路を備え、振動子2の出力信号に対して周辺温度を加味した温度補償を施した信号を発振信号Scryとして出力してもよい。さらには、非常に高い周波数安定度を実現するために、振動子2の温度を一定に保つための恒温槽を備えた構成であってもよい。すなわち、振動子2と第1発振回路20とを備える発振器1は、パッケージ水晶発振器(SPXO:Simple Packaged Crystal Oscillator)であってもよく、温度補償型水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)であってもよく、また、高精度水晶発振器(OCXO:Oven Controlled Crystal Oscillator)であってもよい。
【0025】
出力回路60には、第1発振回路20から出力される発振信号Scryと、後述する制御回路50から出力される制御信号OUTctrlとが入力される。そして、出力回路60は、発振信号Scryを、制御信号OUTctrlに基づいて選択された出力形式の信号に変換して出力する。
【0026】
出力回路60は、出力分周回路61、及び出力バッファー62を含む。出力分周回路61は、第1発振回路20から出力される発振信号Scryを、制御信号OUTctrlに
よって設定された分周比で分周した信号を出力バッファー62に出力する。出力バッファー62は、VDDO端子を介して供給される電源電圧に基づいて、出力分周回路61から出力される信号を、制御信号OUTctrlによって選択された出力形式の信号に変換し、OUT端子及びOUTB端子の少なくとも一方を介して集積回路素子10の外部に出力する。例えば、制御信号OUTctrlによってPECL(Positive Emitter Coupled Logic)出力、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)出力、HCSL(High-Speed Current Steering Logic)出力等の差動信号の出力形式が選択された場合、出力バッファー62は、OUT端子及びOUTB端子を介して当該差動信号の形式に変換された信号を出力する。また、制御信号OUTctrlによって出力形式としてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)出力等のシングルエンド信号の出力形式が選択された場合、出力バッファー62は、OUT端子又はOUTB端子を介してシングルエンド信号に変換された信号を出力する。なお、出力バッファー62は、制御信号OUTctrlに応じて、信号の出力を実行するのか、又は停止するかを制御してもよい。
【0027】
電圧振幅検出回路40は、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの電圧振幅を検出し、検出した電圧振幅に応じた検出信号Sdetを出力する。なお、本実施形態における電圧振幅検出回路40は、発振信号Scryの電圧振幅が所定の値以上である場合、ハイレベルの検出信号Sdetを出力し、発振信号Scryの電圧振幅が所定の値未満である場合、ローレベルの検出信号Sdetを出力するとして説明を行う。ここで、発振信号Scryの電圧振幅と、検出信号Sdetの論理レベルとの関係は上述の関係に限るものではなく、例えば、電圧振幅検出回路40は、発振信号Scryの電圧振幅が所定の値以上である場合、ローレベルの検出信号Sdetを出力し、発振信号Scryの電圧振幅が所定の値未満である場合、ハイレベルの検出信号Sdetを出力してもよく、また、検出信号Sdetが、発振信号Scryの電圧振幅の大きさに基づく情報を含む信号を出力してもよい。
【0028】
第2発振回路30は、電圧Vddが供給されることで動作を開始し、発振信号Soscを出力する。具体的には、第2発振回路30には、制御回路50から周波数制御信号Sfcが入力される。第2発振回路30は、入力される周波数制御信号Sfcに基づく周波数の発振信号Soscを生成し制御回路50に出力する。すなわち、第2発振回路30は、周波数制御信号Sfcによって、周波数が変化するように制御された発振信号Soscを出力する。この発振信号Soscが第2発振信号の一例である。ここで、本実施形態における第2発振回路30は、リングオシレーター又はCRオシレーターを含んで構成されている。なお、第2発振回路30の具体的な構成例については後述する。
【0029】
制御回路50は、マルチプレクサー51、及びPLC(プログラマブルロジックコントローラー:Programmable Logic Controller)52を含む。
【0030】
マルチプレクサー51には、発振信号Scryと発振信号Soscとが入力される。そして、マルチプレクサー51は、発振信号Scryと発振信号Soscとのいずれかを選択し、発振信号SclkとしてPLC52に出力する。ここで、本実施形態におけるマルチプレクサー51は、電圧振幅検出回路40が出力する検出信号Sdetがハイレベルの場合、発振信号Scryを発振信号Sclkとして選択し、検出信号Sdetがローレベルの場合、発振信号Soscを発振信号Sclkとして選択する。なお、
図1では図示を省略するが、発振信号Sclkは、PLC52を含む制御回路50に供給される。換言すれば、制御回路50は発振信号Sclkに基づいて動作する。
【0031】
PLC52は、発振信号Sclkに基づいて記憶回路80に記憶されている動作設定情報を順次読み出し、読み出した動作設定情報に基づいて、第1発振回路20、第2発振回路30を含む集積回路素子10に含まれる各回路ブロックを順次制御する。すなわち、記
憶回路80は、第1発振回路20、及び第2発振回路30の動作を制御するための動作設定情報を記憶し、PLC52は、動作設定情報に基づいて、第1発振回路20、及び第2発振回路30の動作を制御する。ここで、制御回路50がデジタル回路の一例であり、記憶回路80が記憶部の一例であり、制御回路50に含まれるPLC52がプログラマブルロジックコントローラーの一例である。
【0032】
具体的には、PLC52は、発振信号Sclkに基づいて動作し、記憶回路80に記憶されている発振信号Scryの周波数を補正するための補正情報を読み出す。そして、制御回路50は、PLC52が読み出した補正情報に基づく発振制御信号Sadjを生成し、第1発振回路20に出力する。また、PLC52は、発振信号Sclkに基づいて動作し、記憶回路80に記憶されている第2発振回路30の周波数を制御するための周波数情報を読み出す。そして、制御回路50は、PLC52が読み出した周波数情報に基づく周波数制御信号Sfcを生成し、第2発振回路30に出力する。また、PLC52は、発振信号Sclkに基づいて動作し、記憶回路80に記憶されている出力分周回路61の分周比を規定するための分周情報を読み出す。そして、制御回路50は、PLC52が読み出した分周情報に基づく制御信号OUTctrlを生成し、出力回路60に出力する。
【0033】
なお、記憶回路80には、動作設定情報として、前述した発振信号Scryの周波数を補正するための補正情報、第2発振回路30の周波数を制御するための周波数情報、出力分周回路61の分周比を規定するための分周情報の他に、集積回路素子10の外部に出力する信号の形式を規定するための出力信号情報、電圧振幅検出回路40における判定閾値を規定する判定閾値情報等の集積回路素子10の動作を制御するための複数の動作設定情報が記憶されていてもよい。
【0034】
[第2発振回路の具体例]
ここで、周波数制御信号Sfcに基づいて発振信号Soscの周波数を変化させるための第2発振回路30の構成の一例について説明する。なお、以下の説明において周波数制御信号Sfcは、3ビットの周波数制御データSfc-1,Sfc-2,Sfc-3を含む信号であるとして説明を行う。
【0035】
図2は、第2発振回路30の一例のリングオシレーター30aの構成を示す図である。リングオシレーター30aは、遅延回路310,320,330と、インバーター340とを含む。遅延回路310の出力端は、遅延回路320の入力端と電気的に接続されている。遅延回路320の出力端は、遅延回路330の入力端と電気的に接続されている。遅延回路330の出力端は、遅延回路310の入力端と電気的に接続されている。すなわち、遅延回路310、遅延回路320、及び遅延回路320は、縦続、且つリング状に電気的に接続されている。また、遅延回路330の出力端は、インバーター340の入力端とも電気的に接続している。そして、インバーター340の出力端から発振信号Soscが出力される。
【0036】
遅延回路310は、インバーター311と、インバーター311よりも信号の伝搬に要する時間が大きなインバーター312と、切替スイッチ313とを含む。インバーター311の出力端は、切替スイッチ313の第1切替端子と電気的に接続している。インバーター312の出力端は、切替スイッチ313の第2切替端子と電気的に接続している。また、インバーター311の入力端とインバーター312の入力端とは、接続点N1で互いに電気的に接続している。以上のように構成された遅延回路310では、切替スイッチ313の共通端子が、前述した遅延回路310の出力端に相当し、接続点N1が、遅延回路310の入力端に相当する。
【0037】
また、切替スイッチ313の制御端には、周波数制御データSfc-1が入力される。
切替スイッチ313は、周波数制御データSfc-1に従い、共通端子と第1切替端子とを電気的に接続するのか、又は共通端子と第2切替端子とを電気的に接続するのかを切り替える。すなわち、切替スイッチ313は、周波数制御データSfc-1に従い、インバーター311の出力端から出力された信号を共通端子に入力するのか、又はインバーター312の出力端から出力された信号を共通端子に入力するのかを切り替える。これにより、遅延回路310の入力端に入力された信号が、インバーター311を介して遅延回路310の出力端に伝搬されるのか、又はインバーター311よりも信号の伝搬に要する時間の大きなインバーター312を介して遅延回路310の出力端に伝搬されるのかが切り替えられる。すなわち、遅延回路310における信号の伝搬に要する時間は、周波数制御データSfc-1により制御される。
【0038】
遅延回路320は、インバーター321と、インバーター321よりも信号の伝搬に要する時間が大きなインバーター322と、切替スイッチ323とを含む。インバーター321の出力端は、切替スイッチ323の第1切替端子と電気的に接続している。インバーター322の出力端は、切替スイッチ323の第2切替端子と電気的に接続している。また、インバーター321の入力端とインバーター322の入力端とは、接続点N2で互いに電気的に接続している。以上のように構成された遅延回路320では、切替スイッチ323の共通端子が、前述した遅延回路320の出力端に相当し、接続点N2が、遅延回路320の入力端に相当する。
【0039】
また、切替スイッチ323の制御端には、周波数制御データSfc-2が入力される。切替スイッチ323は、周波数制御データSfc-2に従い、共通端子と第1切替端子とを電気的に接続するのか、又は共通端子と第2切替端子とを電気的に接続するのかを切り替える。すなわち、切替スイッチ323は、周波数制御データSfc-2に従い、インバーター321の出力端から出力された信号を共通端子に入力するのか、又はインバーター322の出力端から出力された信号を共通端子に入力するのかを切り替える。これにより、遅延回路320の入力端に入力された信号が、インバーター321を介して遅延回路320の出力端に伝搬されるのか、又はインバーター321よりも信号の伝搬に要する時間の大きなインバーター322を介して遅延回路320の出力端に伝搬されるのかが切り替えられる。すなわち、遅延回路320における信号の伝搬に要する時間は、周波数制御データSfc-2により制御される。
【0040】
遅延回路330は、インバーター331と、インバーター331よりも信号の伝搬に要する時間が大きなインバーター332と、切替スイッチ333とを含む。インバーター331の出力端は、切替スイッチ333の第1切替端子と電気的に接続している。インバーター332の出力端は、切替スイッチ333の第2切替端子と電気的に接続している。また、インバーター331の入力端とインバーター332の入力端とは、接続点N3で互いに電気的に接続している。以上のように構成された遅延回路330では、切替スイッチ333の共通端子が、前述した遅延回路330の出力端に相当し、接続点N3が、遅延回路330の入力端に相当する。
【0041】
また、切替スイッチ333の制御端には、周波数制御データSfc-3が入力される。切替スイッチ333は、周波数制御データSfc-3に従い、共通端子と第1切替端子とを電気的に接続するのか、又は共通端子と第2切替端子とを電気的に接続するのかを切り替える。すなわち、切替スイッチ333は、周波数制御データSfc-3に従い、インバーター331の出力端から出力された信号を共通端子に入力するのか、又はインバーター332の出力端から出力された信号を共通端子に入力するのかを切り替える。これにより、遅延回路330の入力端に入力された信号が、インバーター331を介して遅延回路330の出力端に伝搬されるのか、又はインバーター331よりも信号の伝搬に要する時間の大きなインバーター332を介して遅延回路330の出力端に伝搬されるのかが切り替
えられる。すなわち、遅延回路330における信号の伝搬に要する時間は、周波数制御データSfc-3により制御される。
【0042】
以上のように構成されたリングオシレーター30aでは、遅延回路310の入力端にハイレベルの信号が入力された場合、遅延回路320の入力端にはローレベルの信号が入力され、遅延回路330の入力端にはハイレベルの信号が入力される。そして、遅延回路330は、出力端からローレベルの信号を出力する。遅延回路330から出力されたローレベルの信号は、遅延回路310の入力端に入力されると共に、インバーター340の入力端に入力される。すなわち、リングオシレーター30aでは、遅延回路310で信号が伝搬する時間と、遅延回路320で信号が伝搬する時間と、遅延回路330で信号が伝搬する時間との合計時間毎に、論理レベルが反転する信号が、インバーター340の入力端に入力される。したがって、インバーター340の出力端から出力される発振信号Soscの周波数は、遅延回路310で信号が伝搬する時間と、遅延回路320で信号が伝搬する時間と、遅延回路330で信号が伝搬する時間との合計時間により規定される。すなわち、周波数制御データSfc-1,Sfc-2,Sfc-3のそれぞれを用いて、遅延回路310,320,330のそれぞれで信号が伝搬する時間を制御することで、リングオシレーター30aから出力される発振信号Soscの周波数は、変化するように制御される。
【0043】
なお、以上の説明では、第2発振回路30の一例としてリングオシレーター30aを用いて説明を行ったが、第2発振回路30は、周波数制御信号Sfcに基づいて発振信号Soscの周波数を変化することが可能な構成であればよく、例えば、CRオシレーターであってもよい。換言すれば、第2発振回路30は、CRオシレーター又はリングオシレーターを含んで構成されてもよい。
【0044】
ここで、第2発振回路30がCRオシレーターで構成されている場合、当該CRオシレーターに含まれる抵抗回路の抵抗値、及びコンデンサー回路の容量値の少なくとも一方の値を周波数制御信号Sfcに基づいて変化させることで、発振信号Soscの周波数を変化させることが可能となる。具体的には、CRオシレーターに含まれる抵抗回路が、直列に接続された複数の抵抗素子を含み、周波数制御信号Sfcに基づいて、直列に接続される複数の抵抗素子の数を切り替えることで、当該抵抗回路の抵抗値を変化させることが可能となる。また、CRオシレーターに含まれるコンデンサー回路が、バリキャップ等の可変容量素子を含み、当該可変容量素子に印加される電圧値を制御することにより、コンデンサー回路の容量値を変化させることが可能となる。これにより、周波数制御信号Sfcに基づいて発振信号Soscの周波数が変化するように制御可能なCRオシレーターが実現できる。
【0045】
[発振器の動作]
以上のように構成された発振器1の起動時の動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、発振器1が動作を開始してから安定動作に移行するまでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図3には、発振信号Scryの信号波形の一例を波形Wcryとして模式的に示し、発振信号Scryの発振周波数の一例を周波数Fcryとして模式的に示し、発振信号Scryの電圧振幅の一例を振幅Vcryとして模式的に示している。同様に
図3には、発振信号Soscの信号波形の一例を波形Woscとして模式的に示し、発振信号Soscの発振周波数の一例を周波数Foscとして模式的に示し、発振信号Soscの電圧振幅の一例を振幅Voscとして模式的に示している。
【0046】
図3に示すように、時刻t0において、集積回路素子10のVDD端子を介して電源電圧が供給され、VSS端子を介してグラウンド電圧が供給されることで、電圧レギュレーター70は、電圧Vddを生成し、集積回路素子10の各回路ブロックに出力する。そし
て、第1発振回路20、及び第2発振回路30に電圧Vddが供給されることで、第1発振回路20、及び第2発振回路30は、動作を開始する。このとき、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの振幅Vcryは閾値Vthより小さい。そのため、電圧振幅検出回路40は、ローレベルの検出信号Sdetを制御回路50に出力する。これにより、制御回路50に含まれるマルチプレクサー51は、第2発振回路30が出力する発振信号Soscを発振信号Sclkとして選択する。したがって、制御回路50は、発振信号Soscに基づいて動作を開始する。
【0047】
時刻t1において、発振信号Scryの振幅Vcryが、閾値Vth以上となる。これにより、電圧振幅検出回路40が出力する検出信号Sdetの論理レベルがハイレベルとなる。そして、検出信号Sdetの論理レベルがハイレベルとなった後、所定の期間経過した時刻t2において、制御回路50に含まれるマルチプレクサー51は、発振信号Scryを発振信号Sclkとして選択する。これにより、制御回路50、及び制御回路50に含まれるPLC52は、発振信号Sclkとしての発振信号Scryにより動作を開始する。
【0048】
より具体的な動作を説明する。時刻t0において、電圧Vddが第1発振回路20に供給される。これにより、第1発振回路20は動作を開始する。そして、第1発振回路20が動作を開始することで、振動子2が発振を開始する。これにより、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの振幅Vcryが徐々に大きくなる。
【0049】
また、時刻t0において、電圧Vddは、第2発振回路30にも供給される。これにより、第2発振回路30は動作を開始する。そして、第2発振回路30が動作を開始することで、第2発振回路30は、発振信号Soscの出力を開始する。このとき、発振信号Scryの振幅Vcryが、閾値Vth未満であるため、電圧振幅検出回路40は、ローレベルの検出信号Sdetを制御回路50に出力する。したがって、制御回路50が有するマルチプレクサー51は、発振信号Soscを発振信号Sclkとして選択し、PLC52を含む制御回路50に出力する。
【0050】
制御回路50、及び制御回路50に含まれるPLC52は、発振信号Sclkに基づいてシーケンス制御を開始する。制御回路50、及び制御回路50に含まれるPLC52のシーケンス制御が開始されることで、記憶回路80に記憶されている周波数制御信号Sfcの基となる周波数情報が読み出される。そして、制御回路50は、当該周波数情報に基づく周波数制御信号Sfcを出力する。これにより、第2発振回路30が出力する発振信号Soscの周波数が変化するように制御される。
【0051】
時刻t1において、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの振幅Vcryが、所定の閾値Vth以上となる。これにより、電圧振幅検出回路40は、ハイレベルの検出信号Sdetを生成し、制御回路50に出力する。そして、制御回路50は、時刻t2において、マルチプレクサー51を制御し、発振信号Soscを発振信号SclkとしてPLC52を含む制御回路50に出力する。
【0052】
すなわち、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの振幅Vcryが、所定の閾値Vth以上となる時刻t1、又は制御回路50が、発振信号Soscを発振信号SclkとしてPLC52を含む制御回路50に対して出力を開始する時刻t2が、第1発振回路20が安定動作を開始するタイミングの一例であり、第1発振回路20が動作を開始する時刻t0から時刻t1までの期間Δt1、又は第1発振回路20が動作を開始する時刻t0から時刻t2までの期間Δt2が、第1発振回路の起動期間に相当する。
【0053】
以上のように、集積回路素子10が備える制御回路50は、第1発振回路20が動作を
開始してから安定動作を開始するまでの期間Δt1又は期間Δt2の少なくとも一部において、発振信号Soscに基づいて動作する。この場合において、第2発振回路が出力する発振信号Soscの周波数は、周波数制御信号Sfcにより変化するように制御されている。
【0054】
そして、期間Δt2において、制御回路50は、発振信号Scryを発振信号SclkとしてPLC52を含む制御回路50に対して出力する。すなわち、期間Δt2が経過した後、制御回路50は、発振信号Scryに基づいて動作する。
【0055】
なお、電圧振幅検出回路40は、電圧Vddが供給された所定の期間経過した場合に、検出信号Sdetの論理レベルを変更する構成であってもよい。ここで、電圧振幅検出回路40に電圧Vddが供給された後、検出信号Sdetの論理レベルを変更するまでの期間が、起動期間の他の一例である。なお、電圧振幅検出回路40に電圧Vddが供給された後、検出信号Sdetの論理レベルを変更するまでの期間は、例えば、発振器1の製造時において、第1発振回路20の起動時間を測定し、測定結果に基づく起動期間情報を記憶回路80に記憶していてもよい。
【0056】
[作用効果]
以上のように、本実施形態における発振器1では、集積回路素子10において、振動子2を発振させることで発振信号Scryを出力する第1発振回路が時刻t0で動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、制御回路50は、周波数が変化するように制御されている発振信号Soscにより動作する。すなわち、第1発振回路20の起動期間において、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの周波数と、制御回路50が動作するための発振信号Soscの周波数とが、継続して同等の値の周波数となるおそれが低減される。したがって、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの周波数に対して、制御回路50が動作するための発振信号Soscの周波数が逆相になるおそれも低減される。その結果、第1発振回路20の起動に対して、制御回路50が動作するための発振信号Soscが阻害するおそれが低減される。そして、第1発振回路20の起動を阻害するおそれを低減しつつ、並行して制御回路50の動作を開始できることで、集積回路素子10、及び発振器1の起動が遅くなるおそれが低減される。
【0057】
さらに、制御回路50が、第1発振回路20の起動期間の少なくとも一部において、発振信号Soscに基づき動作することで、第1発振回路20が安定動作に遷移した後に、制御回路50を起動する場合と比較して、集積回路素子10、及び発振器1の起動時間を短くすることが可能となる。
【0058】
[変形例]
以上に説明した第1実施形態の発振器1において、制御回路50は、疑似乱数信号を生成する疑似乱数生成回路を備えてもよい。そして、制御回路50は、当該疑似乱数生成回路により生成された疑似乱数信号と、PLC52が読み出した周波数情報とに基づいて、第2発振回路30から出力される発振信号Soscの周波数を制御するための周波数制御信号Sfcを生成してもよい。すなわち、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの期間Δt1又は期間Δt2の少なくとも一部において、第2発振回路30が出力する発振信号Soscの周波数は、ランダムに変化するように制御されてもよい。
【0059】
以上のように構成された発振器1、及び集積回路素子10では、第2発振回路30が出力する発振信号Soscの周波数がランダムに変化するように制御されるため、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの周波数と、発振信号Soscの周波数とが継続し
て同等の値の周波数となるおそれがさらに低減される。したがって、第1発振回路20が出力する発振信号Scryの周波数に対して、制御回路50が動作するための発振信号Soscの周波数が逆相になるおそれがさらに低減される。その結果、第1発振回路20の起動に対して、制御回路50が動作するための発振信号Soscが阻害するおそれがさらに低減される。よって、集積回路素子10、及び発振器1の起動が遅くなるおそれがさらに低減される。
【0060】
また、第1実施形態の発振器1において、第2発振回路30は、第1発振回路20が安定動作を開始した後、発振信号Soscの出力を停止してもよい。換言すれば、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの期間Δt1又は期間Δt2を経過した後、第2発振回路30は、発振信号Soscの出力を停止してもよい。
【0061】
図4は、第1実施形態の変形例における発振器1が安定動作に移行するための動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4に示すように、時刻t0において、集積回路素子10のVDD端子に電圧Vddが供給されると、第1発振回路20、及び第2発振回路30が動作を開始する。このとき、制御回路50に含まれるマルチプレクサー51は、発振信号Soscを発振信号Sclkとして選択する。したがって、制御回路50は、発振信号Soscに基づいて動作を開始する。
【0062】
時刻t1において、発振信号Scryの振幅Vcryが、閾値Vth以上となることで、電圧振幅検出回路40が出力する検出信号Sdetの論理レベルがハイレベルとなる。そして、検出信号Sdetの論理レベルがハイレベルとなった後、所定の期間経過した時刻t2において、制御回路50に含まれるマルチプレクサー51は、発振信号Scryを発振信号Sclkとして選択する。これにより、制御回路50、及び制御回路50に含まれるPLC52は、発振信号Sclkとしての発振信号Scryにより動作を開始する。
【0063】
そして、制御回路50は、マルチプレクサー51に発振信号Scryを発振信号Sclkとして選択させたのち、第2発振回路30の動作を停止させるための不図示の停止信号を出力する。第2発振回路30は、当該停止信号が入力されることにより、発振信号Soscの出力を停止する。
【0064】
以上のように構成された発振器1では、制御回路50、及び制御回路50に含まれるPLC52が、発振信号Sclkとしての発振信号Scryにより動作を開始した後、第2発振回路30が発振信号Soscの出力を停止することで、第1発振回路20が安定動作状態となった後における発振器1、及び集積回路素子10の消費電力を低減することが可能となる。
【0065】
なお、
図4に示す例では、制御回路50に含まれるマルチプレクサー51が、発振信号Scryを発振信号Sclkとして選択する時刻t2において、第2発振回路30が発振信号Soscの出力を停止しているが、第2発振回路30は、時刻t2の後、一定期間経過してから発振信号Soscの出力を停止してもよい。これにより、マルチプレクサー51の信号切替タイミングにおいて、発振信号Sclkが停止するおそれを低減することが可能となる。
【0066】
1.2 第2実施形態
第2実施形態における発振器1の構成、及び動作について
図5を用いて説明する。第2実施形態における発振器1では、集積回路素子10がPLL回路100を備える点で第1実施形態における発振器1、及び集積回路素子10と異なる。なお、第2実施形態における発振器1の構成、及び動作を説明するにあたり、第1実施形態の発振器1と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を簡略、若しくは省略する場合がある。
【0067】
図5は、第2本実施形態の発振器1の機能ブロック図である。
図5に示すように、発振器1は、集積回路素子10と振動子2とを含む。振動子2としては、第1実施形態と同様に、水晶振動子、SAW共振素子、その他の圧電振動素子やMEMS振動子などを用いることができる。
【0068】
集積回路素子10は、第1発振回路20、第2発振回路30、電圧振幅検出回路40、制御回路50、出力回路60、電圧レギュレーター70、記憶回路80、及びPLL回路100を含む。なお、集積回路素子10は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
【0069】
第1発振回路20は、第1実施形態と同様に、XG端子を介して振動子2の一端と接続され、XD端子を介して振動子2の他端と接続されている。そして、第1発振回路20に電圧Vddが供給されることで、第1発振回路20はXG端子を介して入力される振動子2の出力信号を増幅し、また、増幅した信号を、XD端子を介して振動子2にフィードバックすることで、振動子2を発振させる。そして、第1発振回路20は、発振する振動子2が出力する信号を増幅した発振信号Scryを生成し、制御回路50、及びPLL回路100のそれぞれに出力する。
【0070】
PLL回路100は、第1発振回路20から出力される発振信号Scryに位相同期され、発振信号Scryの周波数を逓倍して分周した発振信号を生成して出力する。なお、PLL回路100の逓倍数や分周比は、制御回路50から出力される制御信号PLLctrlによって設定される。
【0071】
PLL回路100は、位相比較器110、チャージポンプ120、ローパスフィルター130、電圧制御発振器140、第1分周回路150、及び第2分周回路160を含む。
【0072】
位相比較器110は、発振信号Scryの位相と第2分周回路160が出力する発振信号の位相とを比較し、比較結果をパルス電圧として出力する。チャージポンプ120は、位相比較器110が出力するパルス電圧を電流に変換する。ローパスフィルター130は、チャージポンプ120が出力する電流を平滑化して電圧に変換する。電圧制御発振器140は、ローパスフィルター130の出力電圧に応じて周波数が変化する発振信号を出力する。第1分周回路150は、制御信号PLLctrlによって設定された分周比で電圧制御発振器140が出力する発振信号を整数分周した発振信号を出力する。第2分周回路160は、制御信号PLLctrlによって設定された分周比で、電圧制御発振器140が出力する発振信号を整数分周した発振信号を出力する。
【0073】
ここで第1分周回路150、及び第2分周回路160のそれぞれの分周比を設定する制御信号PLLctrlは、制御回路50から出力される。制御回路50が有するPLC52は、発振信号Sclkに基づいて動作し、記憶回路80に記憶されている第1分周回路150、及び第2分周回路160のそれぞれの分周比を規定するためのPLL分周情報を読み出す。そして、制御回路50は、PLC52が読み出したPLL分周情報に基づく制御信号PLLctrlを生成し、PLL回路100に出力する。
【0074】
出力回路60には、第1発振回路20から出力される発振信号Scryと、PLL回路100の第1分周回路150から出力される発振信号と、制御信号OUTctrlとが入力される。そして、出力回路60は、制御信号OUTctrlに基づいて、入力された2種類の発振信号の内の1つの発振信号を選択し、制御信号OUTctrlで設定された分周比で、当該発振信号を分周した発振信号を生成する。その後、出力回路60は、生成した発振信号を、制御信号OUTctrlにより選択された出力形式の信号で出力する。
【0075】
以上のように、発振器1が有する集積回路素子10がPLL回路100を備え、第1発振回路20が振動子2を発振させることにより生成された発振信号Scryの周波数を、PLL回路100において、逓倍して分周した発振信号に変換し、出力する発振器1であっても、第1実施形態と同様に、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの期間Δt1、又は期間Δt2において、制御回路50が、第2発振回路から出力され、且つ周波数が変化する発振信号Soscにより動作することで、第1実施形態における発振器1と同様の作用効果が得られる。
【0076】
1.3 第3実施形態
第3実施形態における発振器1の構成及び動作について、
図6及び
図7を用いて説明する。第3実施形態における発振器1では、集積回路素子10が備えるPLL回路100が、第1実施形態、及び第2実施形態における第2発振回路30と同様の機能を備える点で、第1実施形態及び第2実施形態における発振器1と異なる。なお、第3実施形態における発振器1の構成及び動作を説明するにあたり、第1実施形態及び第2実施形態の発振器1と同様の構成については、同じ符号を付し、その説明を簡略、若しくは省略する場合がある。
【0077】
図6は、第3本実施形態の発振器1の機能ブロック図である。
図6に示すように、発振器1は、集積回路素子10と振動子2とを含む。振動子2としては、第1実施形態、及び第2実施形態と同様に、水晶振動子、SAW共振素子、その他の圧電振動素子やMEMS振動子などを用いることができる。
【0078】
集積回路素子10は、第1発振回路20、電圧振幅検出回路40、制御回路50、出力回路60、電圧レギュレーター70、記憶回路80、及びPLL回路100を含む。なお、集積回路素子10は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
【0079】
PLL回路100は、第2実施形態と同様に、第1発振回路20から出力される発振信号Scryに位相同期され、発振信号Scryの周波数を逓倍して分周した発振信号を生成して出力する。なお、PLL回路100の逓倍数や分周比は、制御回路50から出力される制御信号PLLctrlによって設定される。
【0080】
PLL回路100は、第2実施形態と同様に、位相比較器110、チャージポンプ120、ローパスフィルター130、電圧制御発振器140、第1分周回路150、及び第2分周回路160を含む。
【0081】
位相比較器110は、発振信号Scryの位相と第2分周回路160が出力する発振信号の位相とを比較し、比較結果をパルス電圧として出力する。チャージポンプ120は、位相比較器110が出力するパルス電圧を電流に変換する。ローパスフィルター130は、チャージポンプ120が出力する電流を平滑化して電圧に変換する。電圧制御発振器140は、ローパスフィルター130の出力電圧に応じた周波数の発振信号Svcoを出力する。換言すれば、電圧制御発振器140は、位相比較器110の出力信号に基づく発振信号Svcoを出力する。第1分周回路150は、制御信号PLLctrlによって設定された分周比で発振信号Svcoを整数分周した発振信号を出力する。第2分周回路160は、制御信号PLLctrlによって設定された分周比で、発振信号Svcoを整数分周した発振信号を出力する。そして、第2分周回路160が出力する発振信号は、位相比較器110に入力されると共に、発振信号Sosc2として、制御回路50が有するマルチプレクサー51に入力される。
【0082】
ここで、位相比較器110が位相比較回路の一例であり、電圧制御発振器140が電圧制御発振回路の一例であり、第2分周回路160が分周回路の一例である。そして、位相比較器110、電圧制御発振器140、及び第2分周回路160を含むPLL回路100が、第3実施形態における第2発振回路の一例である。また、電圧制御発振器が出力する発振信号Svcoが第3発振信号の一例であり、PLL回路100から制御回路50に出力される発振信号Sosc2が、第3実施形態における第2発振信号の一例である。
【0083】
ここで、
図7を用いて、電圧制御発振器140の構成の一例について説明する。
図7は、電圧制御発振器140の構成の一例を示す図である。
図7に示すように、電圧制御発振器140は、電流源141、インダクター142,143、可変容量素子である可変容量ダイオード144,145、及びNチャネル型MOSトランジスターであるトランジスター146,147を含む。そして、電圧制御発振器140は、トランジスター146,147によって構成される発振段により生成される発振信号Svcoを、例えば差動信号OUT+,OUT-として出力する。
【0084】
ここで、電圧制御発振器140において、発振信号Svcoの周波数は、インダクター142,143のインダクタンス値と可変容量ダイオード144,145の容量値とによって決定される。すなわち、
図7に示す電圧制御発振器140では、可変容量ダイオード144のアノードと可変容量ダイオード145のアノードとが電気的に接続されている接続点N4に、ローパスフィルター130の出力電圧が印加されることで、印加される電圧の値に応じて可変容量ダイオード144,145の容量値が変化する。これにより、電圧制御発振器140が出力する発振信号Svcoの周波数が制御される。
【0085】
図6に戻り、制御回路50は、第1実施形態、及び第2実施形態と同様に、マルチプレクサー51、及びPLC52を含む。
【0086】
マルチプレクサー51には、発振信号Scryと、PLL回路100から出力された発振信号Sosc2とが入力される。マルチプレクサー51は、検出信号Sdetの論理レベルに基づいて、発振信号Scryと発振信号Sosc2とのいずれかを選択し、発振信号SclkとしてPLC52に出力する。なお、マルチプレクサー51は、第1実施形態、及び第2実施形態と同様に、電圧振幅検出回路40が出力する検出信号Sdetがハイレベルの場合、発振信号Scryを発振信号Sclkとして選択し、検出信号Sdetがローレベルの場合、発振信号Sosc2を発振信号Sclkとして選択する。
【0087】
PLC52は、発振信号Sclkに基づいて記憶回路80に記憶されている動作設定情報を順次読み出し、読み出した当該動作設定情報に基づいて、第1発振回路20、第2発振回路30、PLL回路100を含む集積回路素子10に含まれる各回路ブロックを順次制御する。具体的には、PLC52は、発振信号Sclkに基づいて、記憶回路80に記憶されているPLL回路100に含まれる電圧制御発振器140の周波数を制御するための周波数情報を読み出す。そして、制御回路50は、PLC52が読み出した周波数情報に基づく周波数制御信号Sfc2を生成し、電圧制御発振器140に出力する。なお、PLC回路52は上記動作に加え、第1実施形態、及び第2実施形態で説明した各種処理も実行する。
【0088】
ここで、制御回路50が出力する周波数制御信号Sfc2は、電圧制御発振器140の接続点N4に印加される電圧値を制御する信号であって、例えば、接続点N4に供給される電圧値のアナログの信号であってもよく、また、電圧制御発振器140の接続点N4に印加される電圧値を生成する不図示の電源回路の出力を制御するためのデジタルの信号であってもよい。
【0089】
以上のように構成された第3実施形態における発振器1において、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、制御回路50は、電圧制御発振器140から出力される発振信号Svcoの周波数が変化するような周波数制御信号Sfc2を生成し出力する。したがって、第2分周回路160から出力される発振信号Sosc2の周波数も変化する。このとき、制御回路50は、検出信号Sdetに基づいて、発振信号Sclkとして発振信号Sosc2を選択する。すなわち、制御回路50は、発振信号Sosc2に基づいて動作する。換言すれば、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、発振信号Svcoの周波数が制御されることで、発振信号Sosc2の周波数が、変化するように制御される。
【0090】
そして、検出信号Sdetに基づいて、第1発振回路20の動作が安定動作を開始したと判断された場合、制御回路50は、マルチプレクサー51が発振信号Sclkとして発振信号Scryを選択する。これにより、制御回路50は、発振信号Scryに基づいて動作する。この場合において、制御回路50は、周波数制御信号Sfc2の出力を停止、若しくは所定の固定値とする。これにより、電圧制御発振器140から出力される発振信号Svcoの周波数は、ローパスフィルター130の出力電圧に応じて制御される。したがって、PLL回路100は、第1発振回路20から出力される発振信号Scryに位相同期され、発振信号Scryの周波数を逓倍して分周した発振信号を生成して出力する動作を開始する。換言すれば、第1発振回路20の動作が安定動作を開始したのち、PLL回路100は動作を開始する。
【0091】
以上のように構成された第3実施形態にける発振器1であっても、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、制御回路50が、周波数が変化するように制御された発振信号Sosc2により動作することで、第1実施形態、及び第2実施形態に示す発振器1と同様の作用効果を奏することができる。
【0092】
ここで、上述した第3実施形態の発振器1では、制御回路50が出力する周波数制御信号Sfc2により、発振信号Svcoの周波数を制御することで、発振信号Sosc2の周波数が変化するように制御しているが、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、制御回路50が出力するPLLctrlによって、第2分周回路160における分周比を制御することで、発振信号Sosc2の周波数が変化するように制御してもよい。第2分周回路160における分周比を制御した場合であっても、第1発振回路20が動作を開始してから安定動作を開始するまでの起動期間の少なくとも一部において、制御回路50が、周波数が変化するように制御された発振信号Sosc2により動作することが可能となり、第1実施形態、及び第2実施形態に示す発振器1と同様の作用効果を奏することができる。なお、第2分周回路160とは異なる第3分周回路をさらに備え、制御回路50が出力するPLLctrlによって第3分周回路における分周比を制御することで、発振信号Sosc2の周波数が変化するように制御する構成であってもよい。
【0093】
2.電子機器
図8は、本実施形態の電子機器の構成の一例を示す機能ブロック図である。また、
図9は、本実施形態の電子機器の一例であるスマートフォンの外観の一例を示す図である。
【0094】
本実施形態の電子機器500は、発振器510、CPU(Central Processing Unit)520、操作部530、ROM(Read Only Memory)540、RAM(Random Access Memory)550、通信部560、表示部570を含んで構成されている。なお、本実施形態の電子機器は、
図8の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付
加した構成としてもよい。
【0095】
発振器510は、集積回路素子512と振動子513とを備えている。集積回路素子512は、振動子513を発振させて発振信号を発生させる。この発振信号は発振器510の外部端子からCPU520に出力される。
【0096】
CPU520は、ROM540等に記憶されているプログラムに従い、発振器510から入力される発振信号をクロック信号として各種の計算処理や制御処理を行う処理部である。具体的には、CPU520は、操作部530からの操作信号に応じた各種の処理、外部装置とデータ通信を行うために通信部560を制御する処理、表示部570に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。
【0097】
操作部530は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU520に出力する。
【0098】
ROM540は、CPU520が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶する記憶部である。
【0099】
RAM550は、CPU520の作業領域として用いられ、ROM540から読み出されたプログラムやデータ、操作部530から入力されたデータ、CPU520が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する記憶部である。
【0100】
通信部560は、CPU520と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
【0101】
表示部570は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、CPU520から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部570には操作部530として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
【0102】
発振器510として上述した各実施形態の発振器1を適用することにより、集積回路素子512、及び発振器510の起動が遅くなるおそれが低減することが可能となり、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0103】
このような電子機器500としては種々の電子機器が考えられ、例えば、モバイル型、ラップトップ型、タブレット型などのパーソナルコンピューター、スマートフォンや携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェットプリンターなどのインクジェット式吐出装置、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡等の医療機器、魚群探知機、各種測定機器、車両、航空機、船舶等の計器類、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、歩行者自立航法(PDR:Pedestrian Dead Reckoning)装置等が
挙げられる。
【0104】
本実施形態の電子機器500の一例として、上述した発振器510を基準信号源として用いて、例えば、端末と有線又は無線で通信を行う端末基地局用装置等として機能する伝送装置が挙げられる。発振器510として、例えば上述した各実施形態の発振器1を適用
することにより、例えば通信基地局などに利用可能な、周波数精度の高い、高性能、高信頼性を所望される電子機器500を実現することも可能である。
【0105】
また、本実施形態の電子機器500の他の一例として、通信部560が外部クロック信号を受信し、CPU520が、当該外部クロック信号と発振器510の出力信号とに基づいて、発振器510の周波数を制御する周波数制御部と、を含む、通信装置であってもよい。この通信装置は、例えば、ストレータム3などの基幹系ネットワーク機器やフェムトセルに使用される通信機器であってもよい。
【0106】
3.移動体
図10は、本実施形態の移動体の一例を示す図である。
図10に示す移動体400は、発振器410、エンジンシステム、ブレーキシステム、キーレスエントリーシステム等の各種の制御を行うコントローラー420,430,440、バッテリー450、バックアップ用バッテリー460を含んで構成されている。なお、本実施形態の移動体は、
図10の構成要素の一部を省略し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0107】
発振器410は、不図示の集積回路素子と振動子とを備えており、集積回路素子は振動子を発振させて発振信号を発生させる。この発振信号は発振器410の外部端子からコントローラー420,430,440に出力され、例えばクロック信号として用いられる。
【0108】
バッテリー450は、発振器410及びコントローラー420,430,440に電力を供給する。バックアップ用バッテリー460は、バッテリー450の出力電圧が閾値よりも低下した時、発振器410及びコントローラー420,430,440に電力を供給する。
【0109】
発振器410として例えば上述した各実施形態の発振器1を適用することにより、発振器410の起動が遅くなるおそれが低減することが可能となり、信頼性の高い移動体を実現することができる。
【0110】
このような移動体400としては種々の移動体が考えられ、例えば、電気自動車等の自動車、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
【0111】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0112】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0113】
1…発振器、2…振動子、10…集積回路素子、20…第1発振回路、30…第2発振回路、30a…リングオシレーター、40…電圧振幅検出回路、50…制御回路、51…マルチプレクサー、52…PLC回路、60…出力回路、61…出力分周回路、62…出力バッファー、70…電圧レギュレーター、80…記憶回路、100…PLL回路、110…位相比較器、120…チャージポンプ、130…ローパスフィルター、140…電圧
制御発振器、141…電流源、142,143…インダクター、144,145…可変容量ダイオード、146,147…トランジスター、150…第1分周回路、160…第2分周回路、310…遅延回路、311,312…インバーター、313…切替スイッチ、320…遅延回路、321,322…インバーター、323…切替スイッチ、330…遅延回路、331,332…インバーター、333…切替スイッチ、340…インバーター、400…移動体、410…発振器、420,430,440…コントローラー、450…バッテリー、460…バックアップ用バッテリー、500…電子機器、510…発振器、512…集積回路素子、513…振動子、520…CPU、530…操作部、540…ROM、550…RAM、560…通信部、570…表示部