(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】モバイルデバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231129BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20231129BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231129BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20231129BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20231129BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231129BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231129BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
B41J3/36 Z
B41J29/38 104
B41J29/38 204
H01M10/0562
H01M10/0565
H01M10/44 Z
H01M10/48 P
H02J7/34 A
(21)【出願番号】P 2019142072
(22)【出願日】2019-08-01
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】堀田 涼平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-123666(JP,A)
【文献】特開2018-133200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B41J 3/01 - 3/54
B41J 3/62
B41J 29/00 - 29/70
H01M 10/05 - 10/0587
H01M 10/36 - 10/39
H01M 10/42 - 10/48
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路と、
前記駆動回路に対して電力の供給が可能であり、電解質が固体の全固体電池である第1
電池を収容する第1収容部と、
前記駆動回路を、第1モードと、前記第1モードよりも消費電力が小さな第2モードと
、を含む複数モードのうちの1つのモードで駆動させるよう駆動を制御する制御回路と、
外部電源から前記第1電池に電力が供給されているか否かを判定する判定回路と、
前記第1収容部に収容された前記第1電池の電池残量を取得する第1取得回路と、
を備え、
前記判定回路において前記外部電源から前記第1電池に電力が供給されていると判定さ
れた場合、前記制御回路は、前記第2モードから前記第1モードに切り替え、
前記制御回路は、前記第1取得回路において取得された電池残量に応じて、前記第1モ
ードから前記第2モードに切り替える、
ことを特徴とするモバイルデバイス。
【請求項2】
使用者の指示が入力される入力部を備え、
前記入力部から、前記判定回路の判定結果に基づく前記第
1モードと前記第
2モードと
の切り替えを許容する指示が入力された場合、前記制御回路は、前記判定回路における前
記外部電源から前記第1電池に電力が供給されているとの判定結果に応じて、前記第2モ
ードから前記第1モードに切り替え、
前記入力部から、前記判定回路の判定結果に基づく前記第1モードと前記第2モードと
の切り替えを許容しない指示が入力された場合、前記制御回路は、前記判定回路における
前記外部電源から前記第1電池に電力が供給されているとの判定結果に応じて、前記第2
モードから前記第1モードに切り替えない、
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項3】
前記第1収容部に収容された前記第1電池の電池残量を取得する第1取得回路を備え、
前記入力部から、前記判定回路の判定結果に基づく前記第1モードと前記第2モードと
の切り替えを許容しない指示が入力された場合、前記制御回路は、前記第1取得回路にお
いて取得された電池残量に応じて、前記第2モードから前記第1モードに切り替える、
ことを特徴とする請求項2に記載のモバイルデバイス。
【請求項4】
前記駆動回路に対して電力の供給が可能であり、電解質が液体の電解液電池である第2
電池を収容する第2収容部と、
前記第2収容部に収容された前記第2電池の電池残量を取得する第2取得回路と、
を備え、
前記駆動回路に対して前記第2電池から電力が供給されている場合、前記制御回路は、
前記第2取得回路において取得された電池残量に応じて、前記第2モードから前記第1モ
ードに切り替える、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【請求項5】
前記駆動回路は、液体を吐出するヘッドユニットである、
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項6】
前記駆動回路は、媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送ユニットである、
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項7】
前記駆動回路は、情報を表示する表示ユニットである、
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項8】
前記第2モードは、前記表示ユニットにおける表示輝度に対して制限が設けられるモー
ドである、
ことを特徴とする請求項7に記載のモバイルデバイス。
【請求項9】
第1モードと、前記第1モードよりも消費電力が小さな第2モードと、を少なくとも含
む複数モードのうちの1つのモードで駆動可能であり、情報を表示する表示ユニットを備
え、
前記表示ユニットに対して電力の供給が可能であり、電解質が固体の全固体電池である
第1電池を収容するモバイルデバイスであって、
外部電源から前記第1電池に電力が供給されている場合、前記第2モードから前記第1
モードにモードが切り替えられ、
前記第1電池の電池残量に応じて、前記第1モードから前記第2モードにモードが切り
替えられる、
ことを特徴とするモバイルデバイス。
【請求項10】
前記表示ユニットは、
ユーザーによる操作を受け付け可能であり、前記情報を表示するタッチパネルを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のモバイルデバイス。
【請求項11】
前記第2モードは、前記表示ユニットにおける表示輝度に対して制限が設けられるモー
ドである、
ことを特徴とする請求項9に記載のモバイルデバイス。
【請求項12】
使用者の指示が入力される入力部を備え、
前記入力部から前記第1モードと前記第2モードとの切り替えを許容する指示が入力さ
れて、前記外部電源から前記第1電池に電力が供給されている場合、前記第2モードから
前記第1モードにモードが切り替えられ、
前記入力部から前記第1モードと前記第2モードとの切り替えを許容しない指示が入力
されると、前記外部電源から前記第1電池に電力が供給されている場合であっても、前記
第2モードから前記第1モードにモードが切り替えられない、
ことを特徴とする請求項9に記載のモバイルデバイス。
【請求項13】
収容された前記第1電池の電池残量が取得され、
前記入力部から、前記第1モードと前記第2モードとの切り替えを許容しない指示が入
力された場合、取得された前記第1電池の電池残量に応じて、前記第2モードから前記第
1モードにモードが切り替えられる、
ことを特徴とする請求項12に記載のモバイルデバイス。
【請求項14】
前記表示ユニットに対して電力の供給が可能であり、電解質が液体の電解液電池である
第2電池が収容されており、
収容された前記第2電池の電池残量が取得され、
前記表示ユニットに対して前記第2電池から電力が供給されている場合、取得された前
記第2電池の電池残量に応じて、前記第2モードから前記第1モードにモードが切り替え
られる、
ことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載のモバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
小型且つ軽量で、携帯性を備え、駆動素子を有するモバイルデバイスが従来から提案されている。近年、このようなモバイルデバイスに使用される電池の1つとして、電解質が固体の全固体電池が開発されている。例えば、特許文献1には、モバイルデバイスの一例として、持ち運び可能な液体吐出装置であって、電池として液体の電解質を有するリチウムイオン電池を搭載した液体吐出装置が開示されている。また、特許文献2には、特許文献1に記載のモバイルデバイス等に使用することが可能な全固体電池の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-175374号公報
【文献】特開平2-223158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載の電解質が液体の電解液電池を用いたモバイルデバイスでは、ACアダプターなどの外部電源と接続されている場合であっても、電解液電池の充電効率が低いが故に、電解液電池に蓄えられている電荷量が所定の値に達していない場合、モバイルデバイスを消費電力の小さな低消費電力モードでモバイルデバイスを駆動させる場合がある。このような低消費電力モードでは、モバイルデバイスの消費電力を低減させるために、例えば、モバイルデバイスにおける処理速度を低下させたり、一部機能に制限を課したりする処理が実行される。
【0005】
これに対して、特許文献2に記載の電解質が固体の全固体電池では、充電時に電解質が分解されるおそれが低く、そのため、高電圧での充電が可能となる。その結果、電解液電池と比較して、高い充電効率が得られるといった利点がある。
【0006】
以上のような、特許文献1に記載の電解液電池により駆動するモバイルデバイスに対して、特許文献2に記載の全固体電池を適用した場合、電池の充電効率が向上しているにも関わらず、モバイルデバイスの低消費電力モードが不要に継続するおそれがあり、その結果、使用者の利便性を損なうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るモバイルデバイスの一態様は、
駆動回路と、
前記駆動回路に対して電力の供給が可能であり、電解質が固体の全固体電池である第1電池を収容する第1収容部と、
前記駆動回路を、第1モードと、前記第1モードよりも消費電力が小さな第2モードと、を含む複数モードのうちの1つのモードで駆動させるよう駆動を制御する制御回路と、
外部電源から前記第1電池に電力が供給されているか否かを判定する判定回路と、
を備え、
前記判定回路において前記外部電源から前記第1電池に電力が供給されていると判定された場合、前記制御回路は、前記第2モードから前記第1モードに切り替える。
【0008】
前記モバイルデバイスの一態様において、
使用者の指示が入力される入力部を備え、
前記入力部から、前記判定回路の判定結果に基づく前記第2モードと前記第1モードとの切り替えを許容する指示が入力された場合、前記制御回路は、前記判定回路における前記外部電源から前記第1電池に電力が供給されているとの判定結果に応じて、前記第2モードから前記第1モードに切り替え、
前記入力部から、前記判定回路の判定結果に基づく前記第1モードと前記第2モードとの切り替えを許容しない指示が入力された場合、前記制御回路は、前記判定回路における前記外部電源から前記第1電池に電力が供給されているとの判定結果に応じて、前記第2モードから前記第1モードに切り替えなくてもよい。
【0009】
前記モバイルデバイスの一態様において、
前記第1収容部に収容された前記第1電池の電池残量を取得する第1取得回路を備え、
前記入力部から、前記判定回路の判定結果に基づく前記第1モードと前記第2モードとの切り替えを許容しない指示が入力された場合、前記制御回路は、前記第1取得回路において取得された電池残量に応じて、前記第2モードから前記第1モードに切り替えてもよい。
【0010】
前記モバイルデバイスの一態様において、
前記第1収容部に収容された前記第1電池の電池残量を取得する第1取得回路を備え、
前記制御回路は、前記第1取得回路において取得された電池残量に応じて、前記第1モードから前記第2モードに切り替えてもよい。
【0011】
前記モバイルデバイスの一態様において、
前記駆動回路に対して電力の供給が可能であり、電解質が液体の電解液電池である第2電池を収容する第2収容部と、
前記第2収容部に収容された前記第2電池の電池残量を取得する第2取得回路と、
を備え、
前記駆動回路に対して前記第2電池から電力が供給されている場合、前記制御回路は、前記第2取得回路において取得された電池残量に応じて、前記第2モードから前記第1モードに切り替えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】モバイルデバイスを+Y方向から見た場合の図である。
【
図2】モバイルデバイスとしてのモバイルプリンターのカバーが開いている場合に、モバイルデバイスを+Y方向から見た場合の図である。
【
図3】モバイルデバイスを-Y方向から見た場合の図である。
【
図4】モバイルデバイスを、
図2に示すE-e線で切断した場合におけるモバイルデバイスの断面構造を示す図である。
【
図5】モバイルデバイスの機能構成を示す図である。
【
図6】電力供給切替ユニットの一例を示す図である。
【
図7】モバイルプリンターの駆動を制限モードに変更する方法を示す図である。
【
図8】モバイルプリンターの駆動を通常モードに変更する方法を示す図である。
【
図9】第1変形例おいて、モバイルプリンターの駆動を通常モードに変更する方法を示す図である。
【
図10】第2変形例のモバイルデバイスを-Y方向から見た場合の図である。
【
図11】第2変形例のモバイルデバイスの機能構成を示す図である。
【
図12】第2変形例おいて、モバイルプリンターの駆動を通常モードに変更する方法を示す図である。
【
図13】第2実施形態のモバイルデバイスを正面側から見た場合の図である。
【
図14】第2実施形態のモバイルデバイスを裏面側から見た場合の図である。
【
図15】第2実施形態のモバイルデバイスを
図13におけるE-e線で切断した場合における、モバイルデバイスMの断面構造を示す図である。
【
図16】第2実施形態のモバイルデバイスの機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1.第1実施形態
第1実施形態のモバイルデバイスとして、液体としてのインクを吐出して媒体に画像を形成する液体吐出装置であって、電池から供給される電力に基づいて駆動することが可能な液体吐出装置であるモバイルタイプのインクジェットプリンターを例に挙げて説明を行う。なお、以下の説明では、モバイルタイプのインクジェットプリンターを単にモバイルプリンターと称する。また、モバイルプリンターが画像を形成する媒体には、例えば、画像等の印刷に用いられる普通紙、写真等の印刷に用いられる光沢紙、葉書等の各種記録用紙が用いられる。
【0015】
1.1 モバイルプリンターの外観
まず
図1~
図3を用いて、モバイルデバイスMの外観構成について説明する。なお、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を用いる。また、X軸における起点側を「-X方向」、起点側の反対側を「+X方向」と称する場合があり、さらに、「-X方向」及び「+X方向」を総称して、「X軸方向」と称する場合がある。同様に、Y軸における起点側を「-Y方向」、起点側の反対側を「+Y方向」と称する場合があり、さらに、「-Y方向」及び「+Y方向」を総称して、「Y軸方向」と称する場合がある。同様に、Z軸における起点側を「-Z方向」、起点側の反対側を「+Z方向」と称する場合があり、さらに、「-Z方向」及び「+Z方向」を総称して、「Z軸方向」と称する場合がある。また、以下の説明では、X軸、Y軸、及びZ軸が互いに直交しているとして説明を行うが、モバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1に含まれる各ユニットが互いに直交していることに限られるものではない。
【0016】
図1は、モバイルデバイスMを+Y方向から見た場合の図である。
図2は、モバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1のカバー110が開いている場合に、モバイルデバイスMを+Y方向から見た場合の図である。
図3は、モバイルデバイスMを-Y方向から見た場合の図である。
【0017】
図1に示すように、モバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1は、筐体100と、筐体の上部に開閉可能に設けられたカバー110とを有する。
【0018】
図2及び
図3に示すように、筐体100は、壁部101,102,103,104,105,106を含む。壁部101は、筐体100の+Y方向に位置している。壁部102は、筐体100の+X方向に位置している。壁部103は、筐体100の+Z方向に位置している。壁部104は、筐体100の-Y方向に位置している。壁部105は、筐体100の-X方向に位置している。壁部106は、筐体100の-Z方向に位置している。すなわち、壁部101と壁部104とは、Y軸方向に沿った方向において、向かい合って位置し、壁部102と壁部105とは、X軸方向に沿った方向において、向かい合って位置し、壁部103と壁部106とは、Z軸方向に沿った方向において、向かい合って位置している。すなわち、モバイルプリンター1における筐体100は6面を壁部101~106で囲まれ、内部に空間を有する略直方体形状である。
【0019】
また、筐体100の壁部103には、表示パネル140、及び操作スイッチ141が設けられている。表示パネル140には、モバイルプリンター1の動作、及び状態に基づく情報が表示される。なお、表示パネル140は、液晶パネル、電子ペーパーパネル、又は、有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示パネルを含んで構成されてもよい。操作スイッチ141は、使用者による操作を受け付ける。モバイルデバイスMでは、操作スイッチ141の操作に基づく処理が実行される。なお、壁部103に設けられている、表示パネル140と操作スイッチ141とは、表示パネル140と操作スイッチ141が一体となったタッチパネルであってもよい。この操作スイッチ141が入力部の一例である。
【0020】
壁部103の-Y方向には、モバイルプリンター1の筐体100の内部に媒体を供給するための供給口131が設けられている。また、壁部101には、筐体100の内部に供給された媒体を排出するための排出口132が設けられている。供給口131から筐体100の内部に供給された媒体は、筐体の100の内部で搬送された後、排出口132から排出される。また、媒体が筐体100の内部で搬送される際に、当該媒体には、液体が吐出される。これにより、排出口132から排出される媒体には、吐出された液体に基づく画像が形成される。
【0021】
また、
図3に示すように筐体100の内部には、後述する電池20が収容される収容部200と、収容部200に収容された電池20と電気的に接続される接続部210とが設けられている。そして、収容部200に電池20が収容された場合、電池20と接続部210とが電気的に接続する。これにより、電池20から出力された電圧に基づく電力が、モバイルプリンター1に供給される。すなわち、モバイルプリンター1は、電池20から供給される電力に基づいて動作することが可能となる。この収容部200が第1収容部の一例である。
【0022】
また、
図4に示すように、壁部105には、不図示のAC(Alternating Current)アダプターのDC(Direct Current)プラグが差し込み可能なDCジャック108と、USBケーブルの取り付けが可能なUSB(Universal Serial Bus)ポート107とが設けられている。モバイルプリンター1は、USBポート107に接続されるUSBケーブルを介して、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ等の外部機器と通信可能に接続される。これにより、モバイルプリンター1には、外部機器から画像情報Imgが供給される。また、モバイルプリンター1には、DCジャック108を介して電圧Vdが供給される。すなわち、モバイルプリンター1は、DCジャック108から入力される電圧Vdを電源電圧として、電圧Vdに基づく電力により駆動することも可能である。
【0023】
1.2 モバイルプリンターにおける筐体の内部構成
次にモバイルプリンター1の筐体100の内部構成について説明する。
図4は、モバイルデバイスMを、
図2に示すE-e線で切断した場合におけるモバイルデバイスMの断面構造を示す図である。
【0024】
図4に示すように、モバイルプリンター1の筐体100の内部には、ヘッドユニット12と搬送ユニット13とが設けられている。
【0025】
ヘッドユニット12は、吐出ヘッド120、キャリッジ121、及び液体貯留部123を含む。キャリッジ121は、-Y方向において、X軸方向に延伸するキャリッジガイド軸122に往復移動可能に支持されている。そして、キャリッジ121は、キャリッジガイド軸122に支持された状態で、X軸方向に往復移動する。キャリッジ121の-Z方向には、吐出ヘッド120が取り付けられている。また、キャリッジ121の+Z方向には、吐出ヘッド120から吐出される液体を貯留する液体貯留部123が搭載されている。そして、液体貯留部123と吐出ヘッド120とは、不図示の液体流路により接続されている。すなわち、液体貯留部123に貯留された液体は、不図示の液体流路を介して吐出ヘッド120に供給される。そして、吐出ヘッド120は、供給された液体を吐出する。
【0026】
搬送ユニット13は、媒体支持部133、搬送ローラー対134、駆動モーター135、プラテン136、駆動モーター137、及び搬送ローラー対138を含む。媒体支持部133とプラテン136とは、供給口131から供給された媒体を排出口132まで搬送するための搬送経路HKを形成する。供給口131に供給された媒体は、搬送ローラー対134の駆動に伴い、媒体支持部133からプラテン136に搬送される。プラテン136は、キャリッジ121に取り付けられた吐出ヘッド120とZ軸方向で対向して位置する。そして、媒体がプラテン136に支持されている場合に、吐出ヘッド120から液体が吐出されることで、当該液体が媒体に着弾し画像が形成される。その後、媒体は、搬送ローラー対138の駆動に伴い排出口132へと搬送される。
【0027】
ここで、媒体を搬送するための搬送ローラー対134、及び搬送ローラー対138は、駆動モーター137の駆動により制御される。また、キャリッジ121の往復移動は、駆動モーター135の駆動により制御される。すなわち、駆動モーター135,137が制御されることで、媒体の搬送と、吐出ヘッド120が取り付けられたキャリッジ121の移動とが制御される。これにより、媒体の所望の位置に所定の量の液体の吐出が可能となり、媒体に所望の画像が形成される。
【0028】
搬送経路HKの-Y方向には、ヘッドユニット12、搬送ユニット13を動作させるための制御信号を出力する駆動ユニットDrvを含む複数の回路が実装されている回路基板112が設けられている。回路基板112は、筐体100の壁部104の内面104aに取り付けられている。換言すれば、駆動ユニットDrvの少なくとも一部は、筐体100と接触している。駆動ユニットDrvは、ヘッドユニット12、搬送ユニット13を動作させるための制御信号を出力するため、ヘッドユニット12、及び搬送ユニット13のそれぞれと比較して、より大きな電力を消費する可能性が高く、その結果、駆動ユニットDrvの発熱は、ヘッドユニット12、及び搬送ユニット13のそれぞれの発熱と比較して大きくなるおそれがある。
図4に示すように、駆動ユニットDrvの少なくとも一部を筐体100と接触させることで、駆動ユニットDrvで生じた熱は、筐体100を介して放出される。その結果、駆動ユニットDrvの温度上昇を低減することが可能となる。
【0029】
また、搬送経路HKの-Z方向であって、筐体100の壁部106の内面106aには、収容部200が設けられている。なお、収容部200が壁部106と接触する接触部には、収容部200に電池20を収容するための開閉可能な不図示の蓋部が設けられていてもよい。
【0030】
1.3 モバイルプリンターの機能構成
ここで、モバイルプリンター1の機能構成について、
図5を用いて説明する。
図5は、モバイルデバイスMの機能構成を示す図である。
【0031】
モバイルプリンター1は、1または複数の制御回路10、吐出信号出力回路11、ヘッドユニット12、搬送ユニット13、表示ユニット14、電力供給切替ユニット15、及び電池制御ユニット16を備える。
【0032】
制御回路10は、外部からUSBポート107を介して入力される画像情報Imgに基づいて各種制御信号を生成し出力することで、モバイルプリンター1の動作を制御する。制御回路10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。なお、制御回路10は、CPUの代わりに、又はCPUに加えて、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)の少なくともいずれかを含んで構成されてもよい。
【0033】
制御回路10は、吐出信号出力回路11から出力される吐出信号COMの波形を規定するためのデジタル信号の波形規定信号dCOMを生成し、吐出信号出力回路11に出力する。吐出信号出力回路11は、デジタル信号の波形規定信号dCOMをアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することで、吐出信号COMを生成する。すなわち、波形規定信号dCOMは、吐出信号COMの波形を規定するデジタル信号であり、吐出信号出力回路11は、波形規定信号dCOMで規定された波形をD級増幅することで所定の電圧値の吐出信号COMを生成し、ヘッドユニット12に出力する。なお、波形規定信号dCOMは、吐出信号COMの波形を規定することができる信号であればよく、アナログ信号であってもよい。また、吐出信号出力回路11は、波形規定信号dCOMで規定される波形を所定の電圧値に増幅できればよく、A級増幅回路、B級増幅回路、AB級増幅回路等で構成されてもよい。
【0034】
また、制御回路10は、ヘッドユニット12に含まれる吐出ヘッド120が有する不図示の液体吐出部からの液体の吐出を制御するための吐出制御信号SIを生成し、ヘッドユニット12に出力する。吐出ヘッド120が有する液体吐出部は、ノズルと、ノズルから液体を吐出させるための駆動素子とを含む。駆動素子は、吐出信号COMが供給されることにより駆動する。そして、駆動素子の駆動に応じた量の液体がノズルから吐出される。また、吐出ヘッド120は、入力される吐出制御信号SIに基づいて、駆動素子への吐出信号COMの供給を制御する。これにより、吐出ヘッド120が有する液体吐出部に含まれるノズルから所定のタイミングで所定量の液体が吐出される。
【0035】
また、制御回路10は、搬送ユニット13を制御するための搬送制御信号Skを生成し、搬送ユニット13に出力する。搬送ユニット13は、媒体を所定の搬送方向に搬送する。そして、搬送ユニット13が、搬送制御信号Skに基づいて媒体を搬送するタイミングと、吐出ヘッド120が、吐出制御信号SIに基づいて液体を吐出するタイミングとを同期させることで、媒体の所望の位置に、所望の量の液体が吐出される。したがって、媒体に所望の画像が形成される。
【0036】
また、制御回路10は、表示ユニット14における各種情報の表示を制御するための表示制御信号Shを生成し、表示ユニット14に出力する。表示ユニット14は、表示制御信号Shに従って、モバイルデバイスMの動作情報、状態情報等の各種情報を表示する。これにより、モバイルデバイスMの動作、及び状態を含む情報が使用者に報知される。この表示ユニット14には、前述した表示パネル140、操作スイッチ141、及び表示パネル140と操作スイッチ141とが一体となったタッチパネル等が含まれる。
【0037】
また、制御回路10は、モバイルプリンター1を駆動するために供給される電源電圧の供給源の切り替えを制御するための電源選択信号Snを生成し、電力供給切替ユニット15に出力する。また、電力供給切替ユニット15は、ACアダプター等の外部電源から電圧Vdが供給されているか否かを判定し、判定結果に基づく接続信号Scを生成し、制御回路10に出力する。
【0038】
具体的には、電力供給切替ユニット15には、接続部210を介して電池20から供給される電圧Vbと、モバイルデバイスMの外部に設けられたACアダプターからDCジャック108を介して供給される電圧Vdとが入力される。電力供給切替ユニット15は、電源選択信号Snに基づいて電圧Vb,Vdのいずれかを選択し、モバイルプリンター1の電源電圧である電圧Vddとして、モバイルプリンター1の各部に供給する。
【0039】
ここで、電力供給切替ユニット15から出力される電圧Vddは、上述したヘッドユニット12、搬送ユニット13、及び表示ユニット14を含むモバイルプリンター1の各部に供給される。換言すれば、ヘッドユニット12、搬送ユニット13、及び表示ユニット14は、電池20から供給された電圧Vb、又はACアダプターから供給された電圧Vdに基づく電力で駆動する。すなわち、ヘッドユニット12、搬送ユニット13、及び表示ユニット14が駆動回路の一例であり、ヘッドユニット12、搬送ユニット13、及び表示ユニット14に対して電力の供給が可能な電池20が電池の一例である。また、本実施形態において電池20は、電解質が固体の全固体電池である。したがって、電池20は、第1実施形態における第1電池の一例でもある。なお、
図5では電池20はモバイルプリンター1の外部に設けられるように示されているが、実際には電池20はモバイルプリンター1内の収容部200に着脱自在に設けられている。
【0040】
また、電力供給切替ユニット15は、ACアダプターから電圧Vdが供給されているか否かに応じた接続信号Scを生成する。そして、電力供給切替ユニット15は、制御回路10に接続信号Scを出力すると共に、ACアダプターから電圧Vdが供給されている場合、電池20を充電するための電圧Vcを生成し、電池制御ユニット16に出力する。
【0041】
ここで、電力供給切替ユニット15の構成の詳細について
図6を用いて説明する。
図6は、電力供給切替ユニット15の一例を示す図である。電力供給切替ユニット15は、デコーダー151、電圧値調整回路152、充電電圧供給回路153、スイッチ154,155、及び外部電源接続検出回路157を有する。
【0042】
デコーダー151には、電源選択信号Snが入力される。そして、デコーダー151は、入力される電源選択信号Snをデコードし、入力される電源選択信号Snに対応する論理レベルの選択信号Sn1,Sn2を出力する。例えば、電源選択信号Snは、2ビットの選択データ[SnH,SnL]を含み、選択データ[SnH,SnL]が[0,0]又は[1,1]の場合、デコーダー151は、選択信号Sn1,Sn2の論理レベルをLレベル,Lレベルとする。また、選択データ[SnH,SnL]が[0,1]の場合、デコーダー151は、選択信号Sn1,Sn2の論理レベルをHレベル,Lレベルとする。また、選択データ[SnH,SnL]が[1,0]の場合、デコーダー151は、選択信号Sn1,Sn2の論理レベルをLレベル,Hレベルとする。
【0043】
選択信号Sn1は、スイッチ154の制御端子に入力される。選択信号Sn2は、スイッチ155の制御端子に入力される。スイッチ154の入力端には、電圧Vdが入力される。スイッチ155の入力端には、電圧Vbが入力される。また、スイッチ154,155のそれぞれの出力端は、共通に接続された後、電圧値調整回路152と電気的に接続される。そして、スイッチ154,155のそれぞれは、制御端子に入力される信号の論理レベルがHレベルの場合、入力端と出力端とを導通し、制御端子に入力される信号の論理レベルがLレベルの場合、入力端と出力端とを非導通とする。すなわち、スイッチ154は、選択信号Sn1に基づいて、電圧Vdを電圧値調整回路152に供給するか否かを切り替え、スイッチ155は、選択信号Sn2に基づいて、電圧Vbを電圧値調整回路152に供給するか否かを切り替える。
【0044】
電圧値調整回路152は、入力される電圧の電圧値を、昇圧、又は降圧することで、
モバイルプリンター1の駆動に用いられる所定の電圧値に変換し、電圧Vddとして出力する。
【0045】
具体的には、電力供給切替ユニット15に入力される電源選択信号Snに含まれる2ビットの選択データ[SnH,SnL]が[0,0]又は[1,1]の場合、スイッチ154,155は、いずれも非導通に制御される。したがって、電圧値調整回路152には、電圧が入力されず、その結果、電圧Vddは出力されない。また、入力される電源選択信号Snに含まれる2ビットの選択データ[SnH,SnL]が[0,1]の場合、スイッチ154は導通に制御され、スイッチ155は非導通に制御される。したがって、電圧値調整回路152には、電圧Vdが入力される。その結果、電圧値調整回路152は、電圧Vdに基づく電圧Vddを出力する。また、入力される電源選択信号Snに含まれる2ビットの選択データ[SnH,SnL]が[1,0]の場合、スイッチ155は導通に制御され、スイッチ154は、非導通に制御される。したがって、電圧値調整回路152には、電圧Vbが入力される。その結果、電圧値調整回路152は、電圧Vbに基づく電圧Vddを出力する。
【0046】
また、電力供給切替ユニット15は、充電電圧供給回路153を有する。充電電圧供給回路153には、電圧Vdが入力される。そして、充電電圧供給回路153は、電圧Vdに基づいて、電池20を充電するための電流値、又は電圧値が一定の電圧Vcを生成し出力する。
【0047】
また、電力供給切替ユニット15は、外部電源接続検出回路157を有する。外部電源接続検出回路157は、ACアダプターからDCジャック108を介して供給される電圧Vdの電圧値を検出することで、モバイルプリンター1にACアダプター等の外部電源が接続されているか否かを判定する。そして、外部電源接続検出回路157は、当該判定結果に応じた接続信号Scを生成し、制御回路10に出力する。すなわち、外部電源接続検出回路157は、モバイルプリンター1に外部電源から電圧が供給されているか否かを判定することで、電池20に電力が供給されているか否かを判定する判定回路の一例である。
【0048】
制御回路10は、入力される接続信号Scに基づく電源選択信号Snを生成し、電力供給切替ユニット15に出力する。これにより、電力供給切替ユニット15は、ACアダプターから供給される電圧Vdを選択することが可能となる。そして、電力供給切替ユニット15が、電源選択信号Snに基づいて電圧Vdを選択し、電圧Vddとして出力することで、モバイルプリンター1は、ACアダプターから供給される電圧Vdに応じた電力で駆動する。
【0049】
図5に戻り、制御回路10は、電池制御ユニット16を制御するための制御信号S1を生成し、電池制御ユニット16に出力する。また、制御回路10には、電池制御ユニット16から、状態信号S2が入力される。
【0050】
電池制御ユニット16は、電池20の充電を制御する充電制御回路18と、電池20の状態を検出し、検出結果を示す状態信号S2を生成し出力する状態検出回路19とを有する。状態検出回路19は、電池20の状態として、例えば、電池20から供給される電圧Vbの電圧値を検出する。これにより、状態検出回路19は、接続部210に電池20が接続されていることを検出する。そして、状態検出回路19は、検出結果に応じた電池20の状態を示す状態信号S2を生成し、制御回路10に出力する。
【0051】
制御回路10は、入力される状態信号S2に基づく電源選択信号Snを生成し、電力供給切替ユニット15に出力する。これにより、電力供給切替ユニット15は、電池20から出力される電圧Vbを選択することが可能となる。そして、電力供給切替ユニット15が、電源選択信号Snに基づいて電圧Vbを選択し、電圧Vddとして出力することで、モバイルプリンター1は、電池20から供給された電圧Vbに応じた電力により駆動する。
【0052】
また、状態検出回路19は、電池20の状態として、例えば、電池20から供給される電圧Vbの電圧値と、電池20の温度とを検出し、検出結果に応じた電池20の状態を示す状態信号S2を生成し、制御回路10に出力する。換言すれば、状態検出回路19は、電池容量と温度とを取得する。制御回路10は、検出された電圧Vbの電圧値と電池20の温度とから、電池20に対して充電を行うか否かを判定し、判定結果に応じた制御信号S1を生成し、充電制御回路18に出力する。そして、充電制御回路18は、入力される制御信号S1に基づいて、電力供給切替ユニット15から入力される電圧Vcを電池20の充電を行うための電圧Vcaとして出力するか否かを切り替える。ここで、状態検出回路19が、第1実施形態における第1取得回路の一例である。
【0053】
また、制御回路10は、電力供給切替ユニット15の外部電源接続検出回路157から出力された接続信号Sc、及び電池制御ユニット16の状態検出回路19から出力された状態信号S2に基づいて、モバイルプリンター1の各部を通常モードと、通常モードよりも消費電力が小さな制限モードと、を少なくとも含む複数モードのうち1つのモードで駆動するよう駆動を制御する。
【0054】
ここで、通常モードとは、モバイルプリンター1の駆動において、ヘッドユニット12からの液体の吐出速度、キャリッジ121の移動速度、及び媒体の搬送速度等に、消費電力の低減を目的とした特別な制限を設けていないモードである。これに対して、制限モードとは、ヘッドユニット12からの液体の吐出速度、キャリッジ121の移動速度、媒体の搬送速度、表示ユニット14における表示輝度等に対して制限を設けることで、モバイルプリンター1の消費電力を低減することを目的とするモードである。なお、通常モードと制限モードとは、モバイルプリンター1の消費電力が異なればよく、上述した機能に対する制限の有無に限定されるものではなく、例えば、モバイルプリンター1の制御タイミングを規定するクロック信号の周波数を変更してもよく、また、モバイルプリンター1の一部機能を無効化してもよい。また、制御モードとして、所定条件下でスリープモードに強制的に移行しても良い。また、制御モードとして、外部サーバーからのモバイルデバイスMの内部へのプログラムのインストールを非許容させても良い。また、制御モードとして、モバイルデバイスMのインターネット接続の回線速度を遅くさせても良い。なお、複数モードの中には上述した通常モードと制限モード以外のモードがあっても良い。
【0055】
ここで、制御回路10における制御方法について
図7、及び
図8を用いて説明する。
【0056】
図7は、制御回路10が、モバイルプリンター1が通常モードで駆動している場合に、モバイルプリンター1の駆動を制限モードに変更する方法を示す図である。
【0057】
モバイルプリンター1の各部が通常モードで駆動している場合、制御回路10は、状態検出回路19から入力される状態信号S2に基づいて、電池20の電池残量を検出する。そして、制御回路10は、状態信号S2に基づいて、電池20の電池残量が第1所定量以上であるかを判定する(S110)。電池20の電池残量が第1所定量以上である場合(S110のY)、制御回路10は、モバイルプリンター1の各部が通常モードで駆動するように制御する。すなわち、通常モードが継続される(S130)。一方、電池20の電池残量が第1所定量以上でない場合(S110のN)、制御回路10は、モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードに設定される(S120)。換言すれば、モバイルプリンター1では、状態検出回路19において取得された電池残量に応じて、制御回路10は、通常モードから制限モードに切り替える。このように、第1所定量とは制御回路10を通常モードのまま駆動すると電池残量が0になってしまうおそれがある状態に相当する量であり、比較的小さい値となる。例えば、電池残量の最大値を100%としたとき、第1所定量は20%である。
【0058】
図8は、制御回路10が、モバイルプリンター1が制限モードで駆動している場合に、モバイルプリンター1の駆動を通常モードに変更する方法を示す図である。
【0059】
モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動している場合、制御回路10は、電力供給切替ユニット15の外部電源接続検出回路157から入力される接続信号Scに基づいて、ACアダプター等の外部電源から電圧Vdがモバイルプリンター1に収容されている電池20に供給されているか否か検出する。換言すれば、モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動している場合、制御回路10は、接続信号Scに基づいて、外部電源からモバイルプリンター1に収容されている電池20に電圧Vdが供給されているかを判定する(S210)。そして、電池20に電圧Vdが供給されていると判定した場合(S210のY)、制御回路10は、モバイルプリンター1が通常モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードが解除される(S220)。一方、電池20に電圧Vdが供給されていないと判定した場合、制御回路10は、モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードに設定される(S220)。換言すれば、モバイルプリンター1では、外部電源接続検出回路157において、外部電源から電圧Vdに応じた電力が供給されていると判定された場合、制御回路10は、制限モードから通常モードに切り替える。
【0060】
以上のように、第1実施形態におけるモバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1では、電池残量が所定の閾値以上であるか否かに応じて、モバイルプリンター1の各部を通常モードから制限モードに切り替える。そして、モバイルプリンター1にACアダプターなどの外部電源から電力が供給されているか否かに応じて、モバイルプリンター1の駆動を制限モードから通常モードに切り替える。
【0061】
ここで、通常モードが第1実施形態における第1モードの一例であり、制限モードが第1実施形態における第2モードの一例である
1.4 作用効果
以上のように第1実施形態におけるモバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1では、モバイルプリンター1にACアダプターなどの外部電源から電圧Vdが供給されることで、電解質が固体の全固体電池である電池20の充電が開始される。この場合において、外部電源接続検出回路157は、外部電源から供給される電圧Vdに応じた電力がモバイルプリンター1の各部に供給されているか否かを判定する。そして、外部電源接続検出回路157において電圧Vdによりモバイルプリンター1の電力の供給が開始されていると判定された場合、制御回路10は、モバイルプリンター1において消費電力の小さな制限モードを解除し、通常モードに切り替える。電解質が固体の全固体電池の充電効率は、電解質が液体の電解液電池よりも充電効率が高い。そのため、モバイルプリンター1にACアダプター等の外部電源から電圧Vdが供給されることトリガーとして、モバイルプリンター1を通常モードに切り替えた場合であっても、電池20には、短時間で十分な電荷を蓄えることが可能となり、モバイルデバイスMにおける制限モードが不要に継続するおそれが低減される。
【0062】
1.5 変形例
1.5.1 第1変形例
上述した第1実施形態におけるモバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1に対して、ACアダプターなどの外部電源が接続されているか否かに基づいて、モバイルプリンター1の制限モードから通常モードへの切り替えを許容するか否かは、表示ユニット14に含まれる操作スイッチ141から入力される使用者の指示に基づいて、選択可能であってもよい。
【0063】
具体的には、操作スイッチ141から、外部電源接続検出回路157の判定結果に基づく制限モードと通常モードとの切り替えを許容する指示が入力された場合、制御回路10は、外部電源接続検出回路157における外部電源から電力が供給されているとの判定結果に応じて、制限モードから通常モードに切り替え、操作スイッチ141から、外部電源接続検出回路157の判定結果に基づく制限モードと通常モードとの切り替えを許容しない指示が入力された場合、制御回路10は、外部電源接続検出回路157における外部電源から電力が供給されているとの判定結果に応じて、制限モードから通常モードに切り替えない。また、この場合において、制御回路10は、状態検出回路19において取得された電池20の電池残量に応じて、制限モードから通常モードに切り替えてもよい。
【0064】
図9は、第1変形例おいて、制御回路10が、モバイルプリンター1が制限モードで駆動している場合に、モバイルプリンター1の駆動を通常モードに変更する方法を示す図である。
【0065】
第1変形例のモバイルプリンター1では、使用者による操作スイッチ141の操作に基づいて、ACアダプター等の外部電源から電圧Vdが供給されることに伴う制限モードの解除が有効か否かを切り替えることができる(S205)。そして、使用者による操作スイッチ141の操作に基づいて、ACアダプター等の外部電源から電圧Vdが供給されることに伴う制限モードの解除が有効に設定されている場合(S205のY)、制御回路10は、電力供給切替ユニット15の外部電源接続検出回路157から入力される接続信号Scに基づいて、ACアダプターがモバイルプリンター1に接続されているか否か検出する。換言すれば、制御回路10は、接続信号Scに基づいて、外部電源からモバイルプリンター1に収容されている電池20に電圧Vdが供給されているかを判定する(S210)。そして、電池20に電圧Vdが供給されていると判定した場合(S210のY)、制御回路10は、モバイルプリンター1が通常モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードが解除される(S220)。一方、電池20に電圧Vdが供給されていないと判定した場合、制御回路10は、モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードに設定される(S220)。
【0066】
また、使用者による操作スイッチ141の操作に基づいて、ACアダプター等の外部電源から電圧Vdが供給されること伴う制限モードの解除が有効に設定されていない場合(S205のN)、制御回路10は、状態検出回路19から入力される状態信号S2に基づいて、電池20の電池残量が第2所定量以上であるか否かを判定する(S207)。そして、制御回路10が電池20の電池残量が第2所定量以上であると判定した場合(S207のY)、制御回路10は、モバイルプリンター1が通常モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードが解除される(S220)。一方、制御回路10が電池20の電池残量が第2所定量以上ではないと判定した場合(S207のN)、制御回路10は、モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードに継続される(S220)。このように、第2所定量とは電池がある程度充電され、制御回路10が制限モードを解除して通常モードで駆動しても電池残量に余剰がある状態に相当する量であり、比較的大きい値となる。例えば、電池残量の最大値を100%としたとき、第2所定量は60%である。
【0067】
以上のように構成された第1変形例のモバイルデバイスでは、使用者の使用環境に応じて、制限モードを解除するタイミングを切り替えることが可能となり、モバイルデバイスMにおける制限モードが不要に継続するおそれが低減と共に、モバイルデバイスの汎用性を高めることができる。つまり、上述のように全固体電池を用いる場合には充電効率の高さゆえ、外部電源から電池20に電力が供給されたことをトリガーとして制限モードから通常モードに切り替えれば十分であるが、使用者の使用様態によっては電池20の電池残量が多くなるまでは制限モードを解除したくない、という場合もある。第1変形例では、そういった場合においても使用者が外部電源から電池20に電力が供給されたことをトリガーとすることを許容しない指示を可能とすることで、使用者の使用様態によらずモバイルデバイスを汎用的に使用可能とする。
【0068】
1.5.2 第2変形例
上述した第1実施形態におけるモバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1に対して、電池20として、電解質が固体の全固体電池と、電解質が液体の電解液電池とが搭載可能である場合、モバイルプリンター1は、制限モードから通常モードに切り替えるタイミングを、モバイルプリンター1に搭載される電池の種類に応じて切り替えてもよい。
【0069】
図10は、第2変形例のモバイルデバイスMを-Y方向から見た場合の図である。
図10に示すように、第2変形例におけるモバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1は、電池20が収容される2つの収容部200,201と、収容部200に電池20が収容された場合に電気的に電池20と電気的に接続する接続部210と、収容部201に電池20が収容された場合に電気的に電池20と電気的に接続する接続部211と、を有する。ここで、収容部201が第2収容部の一例である。
【0070】
図11は、第2変形例のモバイルデバイスMの機能構成を示す図である。第2変形例におけるモバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1は、収容部200に収容される電池20としての第1電池20aに対応する第1電池制御ユニット16aと、収容部201に収容される電池20としての第2電池20bに対応する第2電池制御ユニット16bと、を有する。ここで、第1電池20aが、電解質が固体の全固体電池であり、第2電池20bが、電解質が液体の電解液電池であるとして説明を行う。また、電力供給切替ユニット15には、第1電池20aから供給される電圧Vbaと、第2電池20bから供給される電圧Vbaと、外部電源から供給される電圧Vdとが入力される。そして、電力供給切替ユニット15は、電圧Vba,Vbb,Vdを選択し、電圧Vddとして出力する。
【0071】
図11に示すように、制御回路10は、第1電池制御ユニット16aを制御するための制御信号S1aを生成し、第1電池制御ユニット16aに出力する。また、制御回路10には、第1電池制御ユニット16aから、状態信号S2aが入力される。
【0072】
制御回路10は、第1電池制御ユニット16aを制御するための制御信号S1aを生成し、第1電池制御ユニット16aに出力する。また、制御回路10には、第1電池制御ユニット16aから、状態信号S2aが入力される。
【0073】
第1電池制御ユニット16aは、第1電池20aの充電を制御する充電制御回路18aと、第1電池20aの状態を検出し、検出結果を示す状態信号S2aを生成し出力する状態検出回路19aとを有する。状態検出回路19aは、第1電池20aの状態として、例えば、第1電池20aから供給される電圧Vbaの電圧値を検出する。これにより、状態検出回路19aは、接続部210に第1電池20aが接続されていることを検出する。そして、状態検出回路19aは、検出結果に応じた第1電池20aの状態を示す状態信号S2aを生成し、制御回路10に出力する。なお、
図11では第1電池20aはモバイルプリンター1の外部に設けられるように示されているが、実際には第1電池20aはモバイルプリンター1の内部の収容部200に着脱自在に設けられている。
【0074】
制御回路10は、入力される状態信号S2aに基づく電源選択信号Snを生成し、電力供給切替ユニット15に出力する。これにより、電力供給切替ユニット15は、第1電池20aから供給される電圧Vbaを選択することが可能となる。そして、電力供給切替ユニット15が、電源選択信号Snに基づいて電圧Vbaを選択し、電圧Vddとして出力することで、モバイルプリンター1は、第1電池20aから供給された電圧Vbaに基づく電力により駆動する。
【0075】
また、状態検出回路19aは、第1電池20aの状態として、例えば、第1電池20aから供給される電圧Vbaの電圧値と、第1電池20aの温度とを検出し、検出結果に応じた第1電池20aの状態を示す状態信号S2aを生成し、制御回路10に出力する。換言すれば、状態検出回路19aは、第1電池20aの電池容量と温度とを取得する。制御回路10は、検出された電圧Vbaの電圧値と第1電池20aの温度とから、第1電池20aに対して充電を行うか否かを判定し、判定結果に応じた制御信号S1aを生成し、充電制御回路18aに出力する。そして、充電制御回路18aは、制御信号S1aに基づいて、電力供給切替ユニット15から入力される電圧Vcを第1電池20aの充電を行うための電圧Vcaとして出力するか否かを切り替える。ここで、状態検出回路19aが、第1実施形態の第2変形例における第1取得回路の一例である。
【0076】
制御回路10は、第2電池制御ユニット16bを制御するための制御信号S1bを生成し、第2電池制御ユニット16bに出力する。また、制御回路10には、第2電池制御ユニット16bから、状態信号S2bが入力される。
【0077】
第2電池制御ユニット16bは、第2電池20bの充電を制御する充電制御回路18bと、第2電池20bの状態を検出し、検出結果を示す状態信号S2bを生成し出力する状態検出回路19bとを有する。状態検出回路19bは、第2電池20bの状態として、例えば、第2電池20bから供給される電圧Vbbの電圧値を検出する。これにより、状態検出回路19bは、接続部211に第2電池20bが接続されていることを検出する。そして、状態検出回路19bは、検出結果に応じた第2電池20bの状態を示す状態信号S2bを生成し、制御回路10に出力する。なお、
図11では第2電池20bはモバイルプリンター1の外部に設けられるように示されているが、実際には第2電池20bはモバイルプリンター1の内部の収容部201に着脱自在に設けられている。
【0078】
制御回路10は、入力される状態信号S2bに基づく電源選択信号Snを生成し、電力供給切替ユニット15に出力する。これにより、電力供給切替ユニット15は、第2電池20bから供給される電圧Vbbを選択することが可能となる。そして、電力供給切替ユニット15が、電源選択信号Snに基づいて電圧Vbbを選択し、電圧Vddとして出力することで、モバイルプリンター1は、第2電池20bから供給された電圧Vbbに基づく電力により駆動する。
【0079】
また、状態検出回路19bは、第2電池20bの状態として、例えば、第2電池20bから供給される電圧Vbbの電圧値と、第2電池20bの温度とを検出し、検出結果に応じた第2電池20bの状態を示す状態信号S2bを生成し、制御回路10に出力する。換言すれば、状態検出回路19bは、第2電池20bの電池容量と温度とを取得する。制御回路10は、検出された電圧Vbbの電圧値と第2電池20bの温度とから、第2電池20bに対して充電を行うか否かを判定し、判定結果に応じた制御信号S1bを生成し、充電制御回路18bに出力する。そして、充電制御回路18bは、制御信号S1bに基づいて、電力供給切替ユニット15から入力される電圧Vcを第2電池20bの充電を行うための電圧Vcbとして出力するか否かを切り替える。ここで、状態検出回路19bが、第1実施形態の第2変形例における第2取得回路の一例である。
【0080】
そして、制御回路10は、電力供給切替ユニット15の外部電源接続検出回路157から出力された接続信号Sc、第1電池制御ユニット16aの状態検出回路19aから出力された状態信号S2a、及び第2電池制御ユニット16bの状態検出回路19bから出力された状態信号S2aに基づいて、モバイルプリンター1の各部を通常モードとして駆動させるのか、通常モードよりも消費電力が小さな制限モードとして駆動させるのかを制御する。
【0081】
図12は、第2変形例おいて、制御回路10が、モバイルプリンター1が制限モードで駆動している場合に、モバイルプリンター1の駆動を通常モードに変更する方法を示す図である。
【0082】
制御回路10は、モバイルプリンター1の各部への電力の供給が、電解液電池である第2電池20bから供給される電圧Vbbに応じて電力であるかを判定する(S200)。そして、電解液電池である第2電池20bから供給される電圧Vbbに応じてモバイルプリンター1の各部に電力が供給されていない場合(S200のN)、制御回路10は、電力供給切替ユニット15の外部電源接続検出回路157から入力される接続信号Scに基づいて、ACアダプター等の外部電源がモバイルプリンター1に接続されているか否か検出する。換言すれば、制御回路10は、接続信号Scに基づいて、モバイルプリンター1に外部電源から第1電池20aに電圧Vdが供給されているかを判定する(S210)。そして、モバイルプリンター1に外部電源から第1電池20aに電圧Vdが供給されていると判定した場合(S210のY)、制御回路10は、モバイルプリンター1が通常モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードが解除される(S220)。一方、モバイルプリンター1に外部電源から第1電池20aに電圧Vdが供給されていないと判定した場合、制御回路10は、モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードが継続される(S230)。
【0083】
また、電解液電池である第2電池20bから供給される電圧Vbbに応じてモバイルプリンター1の各部に電力が供給されている場合(S200のN)、制御回路10は、状態検出回路19から入力される状態信号S2bに基づいて、第2電池20bの電池残量が第3所定量以上であるか否かを判定する(S208)。そして、制御回路10が第2電池20bの電池残量が第3所定量以上であると判定した場合(S208のY)、制御回路10は、モバイルプリンター1が通常モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードが解除される(S220)。一方、制御回路10が第2電池20bの電池残量が第3所定量以上ではないと判定した場合(S208のN)、制御回路10は、モバイルプリンター1の各部が制限モードで駆動するように制御する。すなわち、制限モードに継続される(S230)。このように、第3所定量とは電解液電池である第2電池20bがある程度充電され、制御回路10が制限モードを解除して通常モードで駆動しても電池残量に余剰がある状態に相当する量であり、比較的大きい値となる。例えば、電池残量の最大値を100%としたとき、第3所定量は80%である。ここで、第3所定量は第2所定量よりも大きい。電解液電池は全固体電池よりも電池の消費率が大きいため、第3所定量は第2所定量よりも大きく設定されている。
【0084】
以上のように構成された第2変形例のモバイルデバイスでは、モバイルプリンター1を駆動させるための電力が充電効率の低い電解液電池である第2電池20bから供給されている電圧Vbbに応じた電力である場合、モバイルプリンター1に対してACアダプター等の外部電源から電圧Vdが供給された場合であっても、第2電池20bの電池の残量が第3所定量以上でない場合は、制限モードを解除しない。換言すれば、電解液電池である第2電池20bから供給される電圧Vbbに応じた電力によりモバイルプリンター1が駆動していた場合、モバイルプリンター1に外部電源から電圧Vdが供給された場合であっても、消費電力の低い制限モードで駆動を継続する。これにより、モバイルプリンター1に外部電源から電圧Vdが供給された場合であっても、電圧Vdにより第2電池20bの充電を行うことが可能となり、第2電池20bへの充電効率を高めることが可能となる。よって、モバイルデバイスMが制限モードとなる期間を最適に選択することができる。したがって、モバイルデバイスMにおいて、制限モードが不要に継続するおそれをさらに低減すると共に、全固体電池である第1電池20aと電解液電池である第2電池20bとの併用が可能となり、モバイルデバイスの汎用性を高めることができる。
【0085】
2.第2実施形態
第2実施形態のモバイルデバイスとして、各種情報を表示パネルに表示する表示装置であって、バッテリーによって動作することが可能なスマートフォンを例に挙げて説明を行う。なお、第2実施形態のモバイルデバイスを説明するにあたり、同様の構成については、同様の符号を付し、その説明を省略、若しくは簡略する。
【0086】
図13~
図15は、モバイルデバイスMとしてのスマートフォン3の構成について説明するための図である。なお、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を用いる。また、X軸における起点側を「-X方向」、起点側の反対側を「+X方向」と称する場合があり、さらに、「-X方向」及び「+X方向」を総称して、「X軸方向」と称する場合がある。同様に、Y軸における起点側を「-Y方向」、起点側の反対側を「+Y方向」と称する場合があり、さらに、「-Y方向」及び「+Y方向」を総称して、「Y軸方向」と称する場合がある。同様に、Z軸における起点側を「-Z方向」、起点側の反対側を「+Z方向」と称する場合があり、さらに、「-Z方向」及び「+Z方向」を総称して、「Z軸方向」と称する場合がある。なお、X軸、Y軸、及びZ軸が互いに直交しているとして説明を行うが、モバイルデバイスMとしてのスマートフォン3に含まれる各ユニットが互いに直交していることに限られるものではない。
【0087】
図13は、第2実施形態のモバイルデバイスMを正面側から見た場合の図である。
図14は、第2実施形態のモバイルデバイスMを裏面側から見た場合の図である。
図15は、第2実施形態のモバイルデバイスMを
図13におけるE-e線で切断した場合における、モバイルデバイスMの断面構造を示す図である。
【0088】
図13に示すように、モバイルデバイスMとしてのスマートフォン3は、筐体300と、表示パネル310とを有する。また、
図14に示すようにスマートフォン3は、電解質が固体の全固体電池である電池20が収容される収容部400と、収容部400に収容された電池20と電気的に接続される接続部410と、を備える。
【0089】
図13~
図15に示すように、筐体300は、壁部303,304,306を有し、1面が解放されている形状である。壁部306は、筐体100の解放された1面である開口面と対向して位置している。壁部303は、筐体100の+Y方向に位置している。壁部304は、筐体100の-Y方向に位置している。さらに、
図13~
図15では図示を省略するが、筐体300は、X軸方向で向かいあって位置する壁部を有する。すなわち、筐体300は、一面が解放された略直方体形状である。
【0090】
また、筐体300において、壁部306とZ軸方向に沿った方向で対向する開口面には、表示パネル310が設けられている。表示パネル310は、表示部341と、表示部341に積層されたセンサー部342とを含む。表示部341は、液晶パネル、電子ペーパーパネル、又は、有機エレクトロルミネッセンスパネル等を含んで形成される。また、センサー部342は、ユーザーによる操作を受け付ける操作部として機能する。センサー部342は、抵抗膜センサー、静電容量センサー、及び表面弾性波センサーなどが適用される。すなわち、本実施形態における表示パネル310は、表示部341と操作スイッチに相当するセンサー部342とが一体となった所謂タッチパネルである。
【0091】
以上のように第2実施形態におけるモバイルデバイスMとしてのスマートフォン3の筐体300には、表示パネル310、駆動ユニットDrv、及び収容部400が設けられている。
【0092】
具体的には、
図15に示すように、電池20が固定され収容される収容部400は、筐体300の壁部306の内面306aと接触した状態で設けられている。また、収容部400と接触する壁部306には、開閉可能な不図示の蓋部が設けられていてもよい。そして、収容部400の+Z方向に、駆動ユニットDrvが実装された回路基板312が、位置し、回路基板312の+Z方向に、表示パネル310が位置している。
【0093】
図16は、第2実施形態のモバイルデバイスMの機能構成を示す図である。
図16に示すように、モバイルデバイスMとしてのスマートフォン3は、制御回路30、表示ユニット34、電力供給切替ユニット35、及び電池制御ユニット36を備える。
【0094】
制御回路30は、スマートフォン3の駆動を制御する各種制御信号を生成し出力する制御回路30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。なお、制御回路10は、CPUの代わりに、又はCPUに加えて、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)の少なくともいずれかを含んで構成されてもよい。
【0095】
制御回路10は、表示ユニット34における各種情報の表示を制御するための表示制御信号Shを生成し、表示ユニット34に出力する。表示ユニット34は、表示制御信号Shに従って、モバイルデバイスMの動作情報、状態情報等の各種情報を表示する。これにより、モバイルデバイスMの動作、及び状態を含む情報が使用者に報知される。この表示ユニット34は、前述した表示パネル310等を含む。ここで、表示ユニット34が第2実施形態における駆動回路の一例である。
【0096】
また、制御回路10は、スマートフォン3に供給される電源電圧の供給源の切り替えを制御するための電源選択信号Snを生成し、電力供給切替ユニット35に出力する。電力供給切替ユニット35には、接続部410を介して電池20から供給された電圧Vbと、モバイルデバイスMの外部に設けられたACアダプターからDCジャック108を介して供給される電圧Vdとが入力される。電力供給切替ユニット35は、電源選択信号Snに基づいて電圧Vb,Vdのいずれかを選択し、スマートフォン3の電源電圧である電圧Vddとして、スマートフォン3の各部に供給する。また、電力供給切替ユニット35は、ACアダプターからDCジャック108を介して電圧Vdが供給されているか否かを判定し、判定結果に基づく接続信号Scを生成し、制御回路10に出力すると共に、電圧Vdに基づいて、電池20を充電するための電圧Vcを生成し、電池制御ユニット36に出力する。なお、電力供給切替ユニット35は、は、第1実施形態における電力供給切替ユニット15と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0097】
また、制御回路30は、電池制御ユニット36を制御するための制御信号S1を生成し、電池制御ユニット36に出力する。また、制御回路30には、電池制御ユニット36から、状態信号S2が入力される。
【0098】
電池制御ユニット36は、電池20の充電を制御する充電制御回路38と、電池20の状態を検出し、検出結果を示す状態信号S2を生成し出力する状態検出回路39とを有する。状態検出回路39は、電池20の状態として、例えば、電池20から供給される電圧Vbの電圧値を検出する。これにより、状態検出回路39は、接続部410に電池20が接続されていることを検出する。そして、状態検出回路39は、検出結果に応じた電池20の状態を示す状態信号S2を生成し、制御回路30に出力する。なお、
図16では電池20はスマートフォン3の外部に設けられるように示されているが、実際には電池20はスマートフォン3内の収容部400に着脱自在に設けられている。
【0099】
制御回路30は、入力される状態信号S2に基づく電源選択信号Snを生成し、電力供給切替ユニット35に出力する。これにより、電力供給切替ユニット35は、電池20から供給される電圧Vbを選択することが可能となる。そして、電力供給切替ユニット35が、電源選択信号Snに基づいて電圧Vbを選択し、電圧Vddとして出力することで、スマートフォン3は、電池20から供給された電圧Vbに基づく電力により駆動する。
【0100】
また、状態検出回路39は、電池20の状態として、例えば、電池20から供給される電圧Vbの電圧値と、電池20の温度とを検出し、検出結果に応じた電池20の状態を示す状態信号S2を生成し、制御回路10に出力する。換言すれば、状態検出回路39は、電池容量と温度とを取得する。制御回路10は、検出された電圧Vbの電圧値と電池20の温度とから、電池20に対して充電を行うか否かを判定し、判定結果に応じた制御信号S1を生成し、充電制御回路38に出力する。そして、充電制御回路38は、制御信号S1に基づいて、電力供給切替ユニット35から入力される電圧Vcを電池20の充電を行うための電圧Vcaとして出力するか否かを切り替える。
【0101】
また、制御回路30は、電力供給切替ユニット35から出力された接続信号Sc、及び電池制御ユニット36の状態検出回路39から出力された状態信号S2に基づいて、スマートフォン3の各部を通常モードとして駆動させるのか、通常モードよりも消費電力が小さな制限モードとして駆動させるのかを制御する。
【0102】
ここで、電池制御ユニット36に含まれる充電制御回路38は、第1実施形態における充電制御回路18と同様の構成であり、状態検出回路39は、第1実施形態における状態検出回路19と同様の構成である。そのため、充電制御回路38、及び状態検出回路39の詳細な説明は省略する。また、同様に制御回路30は、第1実施形態における制御回路10に相当する構成であり、詳細な説明は省略する。
【0103】
以上のように構成された第2実施形態におけるモバイルデバイスMとしてのスマートフォン3であっても、第1実施形態におけるモバイルデバイスMとしてのモバイルプリンター1と同様の作用効果を奏することができる。
【0104】
3.その他の実施例
上述した第1実施形態のモバイルデバイスMでは、持ち運び可能なモバイルプリンター1を例示し、また、第2実施形態のモバイルデバイスMでは、スマートフォン3を例示し説明を行ったが、モバイルデバイスMは、バッテリーで駆動し持ち運び可能なデバイスであればよく、例えば、タブレット端末、携帯電話、電子計算機、デジタルオーディオプレイヤー等の各種モバイルデバイスMに適用されてもよい。このような場合であっても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。
【0105】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0106】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0107】
1…モバイルプリンター、3…スマートフォン、10…制御回路、11…吐出信号出力回路、12…ヘッドユニット、13…搬送ユニット、14…表示ユニット、15…電力供給切替ユニット、16…電池制御ユニット、16a…第1電池制御ユニット、16b…第2電池制御ユニット、18,18a,18b…充電制御回路、19,19a,19b…状態検出回路、20…電池、20a…第1電池、20b…第2電池、30…制御回路、34…表示ユニット、35…電力供給切替ユニット、36…電池制御ユニット、38…充電制御回路、39…状態検出回路、100…筐体、101,102,103,104,105,106…壁部、104a,106a…内面、107…USBポート、108…DCジャック、110…カバー、112…回路基板、120…吐出ヘッド、121…キャリッジ、122…キャリッジガイド軸、123…液体貯留部、131…供給口、132…排出口、133…媒体支持部、134…搬送ローラー対、135…駆動モーター、136…プラテン、137…駆動モーター、138…搬送ローラー対、140…表示パネル、141…操作スイッチ、151…デコーダー、152…電圧値調整回路、153…充電電圧供給回路、154,155…スイッチ、157…外部電源接続検出回路、200,201…収容部、210,211…接続部、300…筐体、303,304,306…壁部、306a…内面、310…表示パネル、312…回路基板、341…表示部、342…センサー部、400…収容部、410…接続部、Drv…駆動ユニット、M…モバイルデバイス