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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ドロア装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G07G1/00 321Z
G07G1/00 301Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019144454
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021026532
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-08-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 聡史
(72)【発明者】
【氏名】大竹 学
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭51-051382(JP,Y1)
【文献】特開平09-027080(JP,A)
【文献】実開昭57-103588(JP,U)
【文献】実開昭51-149693(JP,U)
【文献】特開2018-026160(JP,A)
【文献】特開2016-162147(JP,A)
【文献】特開2002-183834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 5/00
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 19/00
A47B 55/00-55/06,
67/04,
88/00-88/994
E05G 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の開口部が設けられたドロア本体と、
前記ドロア本体内に前記開口部から引出可能に収納される引出部と、
前記引出部に取り付けられている又は前記引出部の一部として設けられているとともに、前記引出部が前記ドロア本体内に収納された収納状態のときに前記開口部を塞ぐように設けられた前面板と、
前記ドロア本体の上面に形成された凹部を含む載置部と、
を備え、
前記ドロア本体の前記開口部の幅方向に沿って複数の前記載置部が設けられており、
前記複数の載置部は、前記凹部の形状が互いに異なる、携帯端末を載置するための第1の載置部と、前記携帯端末とは異なる物品を載置するための第2の載置部と、を含み、
前記前面板は、前記引出部が引き出される方向に対して所定の角度傾斜した前傾姿勢となるように設けられており、
前記ドロア本体の前記開口部における両側部および上端部は、それぞれ前記引出部の前記前面板と同じ角度傾斜している、
ことを特徴とするドロア装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドロア装置において、
前記引出部内には複数の金銭収納部が設けられており、前記複数の金銭収納部のうち、前記引出部の前記前面板に対応する複数の金銭収納部の各内面は、前記引出部の前記前面板と同じ傾斜角度で傾斜している、
ことを特徴とするドロア装置。
【請求項3】
請求項2に記載のドロア装置において、
前記複数の金銭収納部は前記引出部に一体に形成されている、
ことを特徴とするドロア装置。
【請求項4】
請求項に記載のドロア装置において、
前記第1の載置部の前記凹部における前記前面板側の端部の位置と、前記第2の載置部の前記凹部における前記前面板側の端部の位置と、が略一致する、
ことを特徴とするドロア装置。
【請求項5】
請求項に記載のドロア装置において、
前記第1の載置部の前記凹部における前記前面板側とは反対側の端部の位置と、前記第2の載置部の前記凹部における前記前面板側とは反対側の端部の位置と、が異なる、
ことを特徴とするドロア装置。
【請求項6】
請求項1~請求項のいずれかに記載されたドロア装置を備えている、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子レジスタなどの電子機器に用いられるドロア装置およびそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子レジスタのドロア装置においては、特許文献1に記載されているように、ドロアケース内に引出部を引出可能に収納し、この引出部内に複数の金銭収納部を設けた構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-185159号公報
【0004】
この種のドロア装置は、引出部の前面に可動パネルを回転可能に設け、ドロアケース内に引出部が収納されたときに、可動パネルを回転させて垂直な状態に配置させ、ドロアケース内から引出部が引き出されたときに、可動パネルを手前側に回転させて前側に傾斜させて配置させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような電子レジスタのドロア装置では、ドロアケース内に引出部が収納されたときに、可動パネルが垂直な状態で配置されているため、引出部の前面の可動パネルが、引出部を引出操作する際のオペレータの目線から見え易く、防犯性に問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、防犯性の高いドロア装置およびそれを備えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、所定の開口部が設けられたドロア本体と、前記ドロア本体内に前記開口部から引出可能に収納される引出部と、前記引出部に取り付けられている又は前記引出部の一部として設けられているとともに、前記引出部が前記ドロア本体内に収納された収納状態のときに前記開口部を塞ぐように設けられた前面板と、前記ドロア本体の上面に形成された凹部を含む載置部と、備え、前記ドロア本体の前記開口部の幅方向に沿って複数の前記載置部が設けられており、前記複数の載置部は、前記凹部の形状が互いに異なる、携帯端末を載置するための第1の載置部と、前記携帯端末とは異なる物品を載置するための第2の載置部と、を含み、前記前面板は、前記引出部が引き出される方向に対して所定の角度傾斜した前傾姿勢となるように設けられており、前記ドロア本体の前記開口部における両側部および上端部は、それぞれ前記引出部の前記前面板と同じ角度傾斜している、ことを特徴とするドロア装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、防犯性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明を適用した電子レジスタの一実施形態を示した斜視図である。
図2図1に示された電子レジスタの側面図である。
図3図1に示された電子レジスタのA-A矢視における断面図である。
図4図1に示された電子レジスタのB-B矢視における断面図である。
図5図1に示された電子レジスタにおいて、プリンタカバーを起立させてプリンタ部の開口部を開放させた状態を示した斜視図である。
図6図5に示された電子レジスタのC-C矢視における断面図である。
図7図5に示されたプリンタ部の開口部を示した要部の拡大斜視図である。
図8図5に示されたプリンタカバーの回転保持機構を分解して示した要部の拡大斜視図である。
図9図6に示された電子レジスタにおいて、プリンタカバーの解除機構によって回転保持機構の回転保持が解除された状態を示した要部の拡大断面図である
図10図1に示された電子レジスタにおいて、ドロア装置の引出部が引き出された状態を示した斜視図である。
図11図10に示された電子レジスタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図11を参照して、この発明を電子レジスタに適用した一実施形態について説明する。
この電子レジスタは、図1図3に示すように、機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、下ケース2と上ケース3とを備え、これら下ケース2と上ケース3とによってほぼ箱状に形成されている。
【0011】
下ケース2は、図1図3に示すように、底板部2aと、この底板部2aの両側部に後端部を除いて起立して設けられた一対の側板部2bと、を備え、これらが合成樹脂によって一体に形成されている。この場合、底板部2aの下面における四隅には、脚部2cがそれぞれ設けられている。上ケース3は、下ケース2上に配置されるケース本体部4と、このケース本体部4上に突出して設けられたレジスタケース部5と、を備え、これらが合成樹脂によって一体に形成されている。
【0012】
これにより、機器ケース1は、図1図3に示すように、下ケース2と上ケース3のケース本体部4とによってドロア装置のドロア本体であるドロアケース6が形成されている。このドロアケース6は、前面(図3では右側面)に第1開口部6aが開放されて設けられ、内部に引出部7が引出可能に収納されるように構成されている。この場合、上ケース3のケース本体部4は、下側が開放されたほぼ四角形の箱状に形成されている。
【0013】
このケース本体部4は、図1図3に示すように、後端部(図2では左端部)が前端部(図2では右端部)よりも高くなるように、後部側の上面が後部上りに傾斜している。このため、ケース本体部4は、後部側の上面が後部上りに傾斜した状態で、下ケース2の一対の側板部2bの上部に配置されて、後端部が底板部2a上に配置されるように構成されている。
【0014】
上ケース3のレジスタケース部5は、図1図3に示すように、前後方向の長さがケース本体部4の前後方向の長さの2/3程度の短い長さで、且つ前後方向と直交する左右方向の長さがケース本体部4の左右方向の長さよりも少し短い長さで、下側に開放されたほぼ四角形の箱状に形成されている。
【0015】
これにより、レジスタケース部5は、図1図3に示すように、ケース本体部4の前側部および両側部を除いて、ケース本体部4の後部側上に後部上りに傾斜した状態で設けられている。このため、レジスタケース部5は、前側立上り面5aと後側立上り面5bとが、前方に向けて傾いた状態で、互いに平行に設けられている。
【0016】
この場合、ケース本体部4は、図1図3に示すように、後側立上り面4cがレジスタケース部5の後側立上り面5bと同じ角度で傾斜している。また、このケース本体部4は、レジスタケース部5よりも前方に位置する上面が平坦な載置面4aに形成されている。この載置面4aには、筆記具などの小物を載せるための受け皿凹部4bが後述するキーボード部8の前方に対応して設けられている。
【0017】
また、レジスタケース部5は、図1図3に示すように、ケース本体部4の載置面4a上に突出する前側立上り面5aとケース本体部4の載置面4aとが段差状に形成されている。このレジスタケース部5の前側立上り面5aは、その上部側がケース本体部4の前方に向けて突出し、下部側がレジスタケース部5に食い込むように、例えば15°程度の傾斜角度で傾斜している。
【0018】
このレジスタケース部5には、図1図3に示すように、キーボード部8、パネル部9、およびプリンタ部10が設けられている。キーボード部8は、売上データなどの情報を入力して登録するものであり、テンキー、演算キー、登録キー、および印刷キーなどの精算に必要な各種のキーを備え、レジスタケース部5の上面における右前側に配置されている。この場合、キーボード部8の下側には、後述する携帯端末11との間でブルーツウス(Bluetooth)(登録商標)などの無線通信を行うための通信部12が設けられている。
【0019】
パネル部9は、図1に示すように、電子レジスタの施錠および施錠解除をするための施錠部9aを備え、レジスタケース部5の上面におけるキーボード部8の後部側に配置されている。プリンタ部10は、図1図3に示すように、キーボード部8で入力された売上データなどの情報を記録紙13に印刷して排出口14からレシートして発行するものであり、レジスタケース部5におけるキーボード部8とパネル部9との左側に配置されている。
【0020】
ところで、上ケース3は、図1図3に示すように、携帯端末11を載置する載置台である載置部15を備えている。この載置部15は、携帯端末11の一端部11a側を係止する第1の支え部16と、携帯端末11の他端部11b側の裏面を支持する第2の支え部17と、を備えている。
【0021】
第1の支え部16は、図1および図4に示すように、携帯端末11の一端部11a側の裏面が接触して配置される傾斜面16aと、携帯端末11の一端部11aが当接する当接面16bと、を備えたほぼV字状の溝である。この第1の支え部16は、ケース本体部4の前部側に位置する載置面4aの左側部、つまりプリンタ部10の前方に対応する載置面4aにおける前端部側の箇所に、携帯端末11の長手方向と直交する短手方向(幅方向)の長さよりも長く形成されている。
【0022】
第2の支え部17は、図1図4に示すように、第1の支え部16よりも高い位置に設けられていると共に、第1の支え部16の傾斜面16aの傾斜方向における延長線を接線とし、携帯端末11の他端部11b側が接触配置されるレジスタケース部5におけるプリンタ部10の前端部上に設けられている。これにより、携帯端末11は、第1の支え部16と第2の支え部17とによって第2の支え部17側が高くなるように20°~30°の傾斜角度の範囲で、好ましくは25°程度の傾斜角度θ1で傾斜して配置されるようになっている。
【0023】
このため、この携帯端末11は、図1図4に示すように、第1の支え部16と第2の支え部17とによって載置部15に傾斜して載置された際に、プリンタ部10に対応するレジスタケース部5の前側立上り面5aとケース本体部4の載置面4aとの間に空間部18を形成するようになっている。この場合、携帯端末11は、一端部11aが第1の支え部16に係止されて、他端部11b側の裏面が第2の支え部17に支持された際に、他端部11b側がプリンタ部10の排出口14に到達せずに排出口14を塞ぐことなく配置される。
【0024】
また、プリンタ部10の上面は、図1図4に示すように、第1の支え部16と第2の支え部17とによって傾斜して配置された携帯端末11の傾斜角度θ1よりも小さい傾斜角度、例えば10°程度の傾斜角度θ2で傾斜している。このため、プリンタ部10の排出口14は、仮に、携帯端末11の他端部11b側が排出口14の上方に配置されても、携帯端末11によって塞がれないようになっている。
【0025】
すなわち、プリンタ部10の上面は、図1図4に示すように、その傾斜角度θ2が第1の支え部16と第2の支え部17とによって傾斜して配置された携帯端末11の傾斜角度θ1よりも小さい傾斜角度(θ2<θ1)で傾斜している。このため、プリンタ部10は、携帯端末11の他端部11b側が排出口14の上方に配置されても、プリンタ部10の上面と携帯端末11の裏面との間に、その後方に向けて広がる隙間が設けられ、この隙間によって排出口14から排出された記録紙13が送り出されるようになっている。
【0026】
ところで、プリンタ部10は、図3および図4に示すように、ロール状に巻かれた記録紙13を収納する記録紙収納部20と、この記録紙収納部20に収納された記録紙13に売上データなどの情報を印刷する印字部21と、この印字部21で印刷された記録紙13を排出する排出口14と、記録紙収納部20の第2開口部20aを開閉可能に塞ぐ開閉カバーであるプリンタカバー22と、このプリンタカバー22を開くための開き釦23と、を備えている。
【0027】
この場合、印字部21は、図3および図4に示すように、印字ヘッド21aとプラテンローラ21bとを備え、これらの間に記録紙13を挟んだ状態で、印字ヘッド21aが記録紙13をプラテンローラ21bに押し当てながら、売上データなどの情報を記録紙13に印刷するように構成されている。
【0028】
すなわち、印字ヘッド21aは、図3および図4に示すように、記録紙収納部20の第2開口部20aにおける前側の縁部の内側に設けられている。プラテンローラ21bは、記録紙収納部20の第2開口部20aを塞いだ状態のプリンタカバー22の後述するカバー本体24の前端部の下面に設けられ、印字ヘッド21aに接近して対面するように構成されている。
【0029】
また、排出口14は、図3および図4に示すように、記録紙収納部20の第2開口部20aにおける前側の縁部と、記録紙収納部20の第2開口部20aを塞いだ状態のプリンタカバー22の後述するカバー本体24の前端部とに跨った箇所に、印字部21の印字ヘッド21aとプラテンローラ21bとに対応して設けられている。この場合にも、排出口14は、携帯端末11が第1の支え部16と第2の支え部17とに支持された際に、携帯端末11の第2の支え部17側の他端部11bによって塞がれないように設けられている。
【0030】
プリンタカバー22は、図3図9に示すように、レジスタケース部5のプリンタ部10に設けられた記録紙収納部20の第2開口部20aを開閉可能に塞ぐカバー本体24と、このカバー本体24を回転可能に保持する回転保持機構25と、記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させて起立した全開状態で、回転保持機構25によるカバー本体24の保持を解除する解除機構26と、この解除機構26によって回転保持機構25によるカバー本体24の保持が解除された場合に、カバー本体24を起立させた状態で保持する保持機構27と、を備えている。
【0031】
回転保持機構25は、図4図9に示すように、記録紙収納部20の第2開口部20aを塞いだ状態のときのカバー本体24における下面の後部側(図4では左側)に設けられて記録紙収納部20の第2開口部20aから上ケース3内に挿入される一対のアーム部28と、上ケース3内に挿入された一対のアーム部28に対応して上ケース3内に設けられた一対の保持軸29と、一対のアーム部28の各内端部に設けられて記録紙収納部20内の一対の保持軸29にそれぞれ回転可能に保持される一対の軸受部30と、を備えている。
【0032】
一対のアーム部28それぞれは、図4図9に示すように、記録紙収納部20の第2開口部20aを塞いだ状態のカバー本体24の下面から第2開口部20aを通して上ケース3内に延びる第1アーム28aと、この第1アーム28aの内端部から上ケース3内の後部側の内面に設けられた保持軸29に向けて延びる第2アーム28bと、を備えている。
【0033】
一対の保持軸29は、図6図9に示すように、一対のアーム部28の各第2アーム28bの後端部に対応するように、上ケース3内の後部側の内面に設けられた後述する一対のガイド部34の各一対のガイドリブ34a間に設けられている。一対の軸受部30は、一対の保持軸29がそれぞれ回転可能に配置される各軸孔30aを有し、一対の保持軸29に対応する各第2アーム28bの後端部にそれぞれ設けられている。
【0034】
解除機構26は、図6図9に示すように、回転保持機構25によって保持されたカバー本体24が記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させて起立した全開状態で、カバー本体24が開方向に回転保持機構25の保持力よりも大きい外力を受けて回転した場合に、回転保持機構25によるカバー本体24の保持を解除するように構成されている。
【0035】
すなわち、この解除機構26は、図6図9に示すように、一対の保持軸29を中心にカバー本体24が回転して記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させて起立した全開状態のときに、第2開口部20aの縁部に当接する一対の支点当接部31と、一対の軸受部30の各軸孔30aに一対の保持軸29を挿脱可能に挿通させる一対の切欠き部32と、これら一対の切欠き部32および一対の軸孔30aをそれぞれ押し広げるように弾性変形させ易くするための一対の切込部33と、を備えている。
【0036】
この場合、一対の支点当接部31は、図6図9に示すように、一対のアーム部28の各第2アーム28bにおけるカバー本体24側に位置する箇所に設けられている。これにより、解除機構26は、記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させて起立した全開状態のカバー本体24が回転保持機構25の保持力よりも大きい外力を受けて回転する場合に、一対のアーム部28が一対の支点当接部31を支点として回転し、一対の保持軸29が一対の切欠き部32を通して一対の軸受部30の各軸孔30aからそれぞれ離脱するように構成されている。
【0037】
保持機構27は、図8および図9に示すように、解除機構26によって一対の保持軸29が一対の軸受部30の各軸孔30aから一対の切欠き部32を通して離脱した解除状態のときに、カバー本体24の下端部24aがレジスタケース部5の後側立上り面5bに当接する第1当接点P1と、一対のアーム部28の各第1アーム28aが記録紙収納部20の第2開口部20aの後側の縁部に上方から当接する第2当接点P2と、の2点で、カバー本体24を起立させて保持するように構成されている。
【0038】
また、プリンタカバー22は、図8および図9に示すように、カバー本体24が記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させて起立した全開状態で、回転保持機構25による回転保持が解除された際に、保持機構27によってカバー本体24を起立させた状態で、2点で保持する第1解除状態と、この第1解除状態でカバー本体24が更に開方向に外力を受けて回転した場合に、カバー本体24がレジスタケース部5のプリンタ部10から離脱する第2解除状態と、を有している。
【0039】
この場合、解除機構26の切欠き部32は、図8に示すように、第2開口部20aを開放させた全開状態から更にカバー本体24が開方向に回転された場合に、保持軸29を軸受部30の軸孔30aから離脱可能な位置に形成されている。すなわち、この切欠き部32は、カバー本体24が起立した状態のときに、保持軸29が配置された軸受部30の軸孔30aから軸受部30の外周である第2アーム28bの端面に亘って設けられている。この切欠き部32は、軸孔30aに近い側の切欠き幅が保持軸29の外径よりも少し小さく、軸孔30aから遠い側である第2アーム28bの端面側の切欠き幅が保持軸29の外径よりも少し大きくなるように傾斜して形成されている。
【0040】
また、切込部33は、図8に示すように、保持軸29が切欠き部32を挿通する際に、切欠き部32の切欠き幅および軸孔30aの内径を押し広げるように、切欠き部32および軸孔30aを弾性変形させ易くするためのものであり、切欠き部32と反対側に位置する軸受部30の箇所つまり軸孔30aの内周部に設けられている。
【0041】
すなわち、軸受部30は、図8に示すように、保持軸29が切欠き部32を挿通して軸孔30aに挿入する際に、切欠き部32の切欠き幅および軸孔30aの内径が徐々に押し広げられるように、切込部33によって弾性変形が容易になり、保持軸29が軸孔30aに嵌合した際に、弾性復帰して保持軸29を保持するように構成されている。
【0042】
また、この軸受部30は、図8および図9に示すように、保持軸29に対する保持力に抗して保持軸29が軸孔30a内から切欠き部32を挿通して離脱する際に、保持軸29の外径よりも小さい切欠き部32の切欠き幅および軸孔30aの内径が急激に押し広げられるように、切込部33によって弾性変形が容易になり、保持軸29が切欠き部32を挿通して軸孔30aから離脱するように構成されている。
【0043】
この場合、記録紙収納部20内には、図7および図8に示すように、一対のアーム部28に設けられた一対の軸受部30をそれぞれガイドして一対の保持軸29に導くための一対のガイド部34が設けられている。これら一対のガイド部34それぞれは、上ケース3内における後側の内面に上下方向に沿って設けられた一対のガイドリブ34aを備え、これら一対のガイドリブ34a間に保持軸29が設けられている。
【0044】
これにより、一対のガイド部34は、図7および図8に示すように、カバー本体24が起立した状態で、一対のアーム部28の各第2アーム28bが記録紙収納部20の第2開口部20aを通して上ケース3内に挿入された際に、一対の軸受部30が一対のガイド部34における各一対のガイドリブ34a間に配置された状態で、一対の軸受部30をガイドしながら上下方向に移動させるように構成されている。
【0045】
このため、一対のガイド部34は、図7および図8に示すように、一対の軸受部30が各一対のガイドリブ34a間に配置された状態で、一対の軸受部30を上下方向に移動させて、一対の軸受部30の各切欠き部32を一対の保持軸29に対応させるように構成されている。これにより、一対の保持軸29は、一対の切欠き部32に挿入されて挿通することにより、一対の軸受部30の各軸孔30aにそれぞれ嵌め込まれるように構成されている。
【0046】
プリンタカバー22の開き釦23は、図1図4図6に示すように、レジスタケース部5のプリンタ部10の上面における左前側部に設けられた押釦である。この開き釦23は、上方から押された際に、プリンタ部10の内部に設けられた開きレバー35の一端部35a側を押圧するように構成されている。この場合、開きレバー35は、その中間部に設けられた支点軸35cを中心に上下方向に揺動するように構成されている。
【0047】
これにより、プリンタカバー22は、図4図6に示すように、開き釦23によって開きレバー35の一端部35a側が上方から押されて開きレバー35が支点軸35cを中心に上下方向に揺動して、開きレバー35の他端部35bが押し上げられることにより、この押し上げられた他端部35bによってカバー本体24が押し上げられて、記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させるように構成されている。
【0048】
この場合、プリンタカバー22は、図6に示すように、カバー本体24が記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させて起立した全開状態のときに、カバー本体24が第2開口部20aの後部よりも後方に位置して起立する。すなわち、プリンタ部10に位置するレジスタケース部5の後側立上り面5bは、その上部側が前方に向けて傾斜している。このため、起立した状態のカバー本体24は、機器ケース1に対して垂直な状態よりもやや後方に向けて傾いて起立するように構成されている。
【0049】
また、このプリンタカバー22は、図9に示すように、第1解除状態のときに、回転保持機構25による回転保持が解除されて、カバー本体24の下端部24aが記録紙収納部20の後部に位置するレジスタケース部5の後側立上り面5bに当接する第1当接点P1と、一対のアーム部28の各第1アーム28aが記録紙収納部20の第2開口部20aの縁部に上方から当接する第2当接点P2と、の2点で、カバー本体24が保持されて起立するように構成されている。このため、プリンタカバー22は、第1解除状態のときに、カバー本体24を持ち上げるだけで、プリンタ部10から簡単に取り外せるようになっている。
【0050】
また、このプリンタカバー22は、図9に示す第1解除状態で、カバー本体24が更に開方向に外力を受けて回転した場合に、レジスタケース部5の後側立上り面5bに当接した第1当接点P1のカバー本体24の下端部24aを支点として、カバー本体24が回転し、一対のアーム部28の各第2アーム28bが記録紙収納部20の第2開口部20aの縁部を乗り越えることにより、カバー本体24がプリンタ部10の後方に離脱する第2解除状態になるように構成されている。
【0051】
ところで、機器ケース1のドロア装置におけるドロアケース6内の引出部7は、図10および図11に示すように、その引出側に位置する前面板7aが、ドロアケース6の第1開口部6aを塞ぐ際にドロアケース6の底面から引出部7の引出方向に向けて前傾するように形成されている。
【0052】
すなわち、ドロアケース6内の引出部7は、図10および図11に示すように、その引出側に位置する前面板7aが引出部7を引出操作する際におけるオペレータの目線から見え難い傾斜角度、例えば15°の傾斜角度θ3(図2参照)で傾斜する傾斜面に形成されている。また、この引出部7が引き出される側に位置するドロアケース6の第1開口部6aの両側部、つまり下ケース2の一対の側板部2bにおける各前端部は、引出部7の前面板7aと同じ傾斜角度θ3で傾斜している。
【0053】
この引出部7の内部には、図10および図11に示すように、複数の金銭収納部36が設けられている。これら複数の金銭収納部36は、紙幣や硬貨を金種ごとに収納するものであり、引出部7内の前部側に複数の硬貨収納部36aが配列され、引出部7内の後部側に複数の紙幣収納部36bが配列されている。この場合、複数の金銭収納部36は、引出部7に一体に形成されている。
【0054】
これにより、引出部7は、図10および図11に示すように、複数の金銭収納部36が別体に設けられている場合に比べて、全体の厚みが薄くなる。また、引出部7の前面板7aに対応する複数の金銭収納部36、つまり複数の硬貨収納部36a内の前側の内面は、引出部7の前面板7aと同じ傾斜角度θ3で傾斜している。さらに、引出部7内の後部側に複数の紙幣収納部36b内には、収納された紙幣を押える紙押え36cがそれぞれ設けられている。
【0055】
次に、このような電子レジスタの作用について説明する。
この電子レジスタを使用する場合には、まず、パネル部9の施錠部9aの施錠を解除する。この状態で、携帯端末11を上ケース3の載置台である載置部15に載置する。このときには、携帯端末11の一端部11aを載置部15の第1の支え部16に係止させて、携帯端末11の他端部11bを載置部15であるレジスタケース部5上の第2の支え部17に支持させる。
【0056】
この場合、携帯端末11の一端部11aを載置部15の第1の支え部16に係止させた際には、携帯端末11の一端部11a側の裏面が第1の支え部16の傾斜面16aに接触して配置された状態で、携帯端末11の一端部11aが第1の支え部16の当接面16bに当接する。これにより、携帯端末11の一端部11aが載置部15の第1の支え部16に安定した状態で係止される。
【0057】
また、携帯端末11の他端部11bをレジスタケース部5上の第2の支え部17に支持させる。このときには、第2の支え部17が第1の支え部16よりも高い位置であるレジスタケース部5におけるプリンタ部10の前端部上に設けられて、第1の支え部16の傾斜面16aの傾斜方向における延長線を接線とし、携帯端末11の裏面における他端部11b側が第2支え部17に接触配置される。これにより、携帯端末11は、第1の支え部16と第2の支え部17とによって第2の支え部17側が高くなるように、25°程度の傾斜角度θ1で傾斜して配置される。
【0058】
このため、この携帯端末11は、第1の支え部16と第2の支え部17とによって第2の支え部17側が高くなるように傾斜した状態で、載置部15上に安定して配置される。これにより、携帯端末11は、第1の支え部16と第2の支え部17とによって傾斜して配置されていても、携帯端末11の操作が良好に行えるほか、プリンタ部10およびキーボード部8の邪魔にならず、プリンタ部10で良好に印刷ができると共に、キーボード部8で良好に入力操作ができる。
【0059】
また、この携帯端末11は、レジスタケース部5のキーボード部8の下側に設けられた通信部12によって電子レジスタと携帯端末11との間でブルーツウス(Bluetooth)(登録商標)などの無線通信が行われる。また、この状態では、プリンタ部10に対応するレジスタケース部5の前側立上り面5aとケース本体部4の載置面4aとの間に空間部18が形成される。
【0060】
このため、空間部18によって携帯端末11を傾けて安定させた状態で載置させることができると共に、空間部18に対応する携帯端末11の両側部が摘まみ易くなるので、携帯端末11の着脱性を高めることができるほか、空間部18に位置するケース本体部4の載置面4a上に筆記具などの小物を配置させることが可能になる。
【0061】
また、このときには、携帯端末11の他端部11b側がプリンタ部10の排出口14に到達しないため、プリンタ部10における記録紙13の排出口14を携帯端末11が塞がないように配置されている。この場合、携帯端末11は、その他端部11b側が排出口14の上方に配置されていても良い。
【0062】
このように、この携帯端末11は、一端部11aを載置部15の第1の支え部16に係止させて、携帯端末11の他端部11bを載置部15であるレジスタケース部5におけるプリンタ部10の前端部上の第2の支え部17に支持させるだけであるから、載置部15に容易に且つ良好に配置される。また、この携帯端末11は、長手方向と直交する短手方向の両側部を持ち上げるだけで、容易に且つ簡単に載置部15から取り外すことができる。このため、この携帯端末11は、着脱操作性が良い。
【0063】
次に、携帯端末11を載置部15に載置させた状態で、売上データを登録処理する場合について説明する。
この場合には、まず、レジスタケース部5のキーボード部8をキー操作して売上データなどの情報を入力する。そして、登録キーを操作して売上データなどの情報を登録し、印刷キーを操作する。すると、プリンタ部10の印字部21が売上データなどの情報を記録紙13に印刷し、この印刷された記録紙13が排出口14から排出されてレシートとして発行される。
【0064】
すなわち、印字部21が売上データなどの情報を記録紙13に印刷する際には、記録紙収納部20内に収納されたロール状に巻かれた記録紙13が印字部21の印字ヘッド21aとプラテンローラ21bとの間に送り込まれ、この状態で印字ヘッド21aが記録紙13をプラテンローラ21bに押し付けながら、売上データなどの情報を記録紙13に印刷する。この印刷された記録紙13は、プリンタ部10の排出口14から排出される。
【0065】
このときには、載置部15に載置された携帯端末11の他端部11b側がプリンタ部10の排出口14に到達していないので、プリンタ部10の排出口14が携帯端末11によって塞がれることがない。このため、印刷された記録紙13が排出口14から上方に向けて良好に排出される。この場合、携帯端末11の他端部11b側が、仮に排出口14の上方に配置されていても、排出口14から排出された記録紙13が紙詰まりを起こすことなく排出される。
【0066】
すなわち、プリンタ部10の上面の傾斜角度θ2が第1の支え部16と第2の支え部17とによって傾斜して配置された携帯端末11の傾斜角度θ1よりも小さい傾斜角度(θ2<θ1)で傾斜している。このため、携帯端末11の他端部11b側が排出口14の上方に配置されていても、プリンタ部10の上面と携帯端末11の裏面との間に、その後方に向けて広がる隙間が設けられ、この隙間によって排出口14から排出された記録紙13が紙詰まりを起こすことなく、良好に送り出される。
【0067】
このように記録紙13がレシートとして発行されて、記録紙13がなくなり、記録紙13を交換する場合には、プリンタ部10の開き釦23を操作して、プリンタカバー22を開く。すなわち、開き釦23が操作されると、この開き釦23が開きレバー35の一端部35a側を押し下げるので、開きレバー35が支点軸35cを中心に回転し、開きレバー35の他端部35bがプリンタカバー22のカバー本体24を押し上げる。これにより、カバー本体24が開いて記録紙収納部20の第2開口部20aを開放させ、この開放された第2開口部20aを通して記録紙収納部20内に新たな記録紙13を収納する。
【0068】
このときには、プリンタカバー22における回転保持機構25の一対のアーム部28に設けられた一対の軸受部30が上ケース3内の一対の保持軸29に回転可能に保持されているので、これら一対の保持軸29を支点として一対のアーム部28が回転する。これに伴って、カバー本体24が回転して起立する。この状態では、一対の軸受部30が一対の保持軸29に支持された状態、つまり一対の保持軸29が一対の軸孔30aに嵌合した状態で、解除機構26の一対の支点当接部31が記録紙収納部20の第2開口部20aの縁部に当接する。
【0069】
これにより、カバー本体24がプリンタ部10上に安定した状態で起立する。また、カバー本体24は、第2開口部20aの後部よりも後方に位置した状態で、機器ケース1に対して垂直な状態よりもやや後方に傾いて起立する。これによっても、カバー本体24が閉方向に不用意に回転することがなく、カバー本体24がプリンタ部10上に安定した状態で起立する。この状態で、記録紙収納部20内に、ロール状に巻かれた記録紙13を第2開口部20aから挿入させて配置させる。この後、カバー本体24を閉じる方向に回転させると、記録紙収納部20の第2開口部20aがカバー本体24によって塞がれる。
【0070】
このときには、カバー本体24に設けられたプラテンローラ21bがプリンタ部10の印字ヘッド21aに接近して対面する。また、このときには、記録紙13を排出する排出口14がカバー本体24とプリンタ部10とに跨った状態で、印字部21の印字ヘッド21aとプラテンローラ21bとに対応して設けられる。
【0071】
ところで、カバー本体24が起立した全開状態から更にカバー本体24が開方向に、回転保持機構25の保持力よりも大きい外力を受けて回転された場合には、記録紙収納部20の第2開口部20aの縁部に当接している解除機構26の一対の支点当接部31を支点として、カバー本体24がテコの原理で回転し、一対の保持軸29が一対の切欠き部32を通して一対の軸孔30aから離脱する。すなわち、切欠き部32は、軸孔30aに近い側の切欠き幅が保持軸29の外径よりも少し小さく、軸孔30aから遠い側である第2アーム28bの端面側の切欠き幅が保持軸29の外径よりも少し大きく形成されている。
【0072】
このため、軸受部30の軸孔30aおよび切欠き部32は、保持軸29が切欠き部32を挿通する際に、切欠き部32および軸孔30aが軸受部30に設けられた切込部33によって弾性変形して押し広げられる。すなわち、保持軸29が軸孔30aから離脱する際には、保持軸29が軸孔30aおよび切欠き部32を押し広げるように切込部33によって弾性変形させ易くして、保持軸29が軸孔30aから切欠き部32を通して離脱する。これにより、プリンタカバー22が第1解除状態になる。
【0073】
この第1解除状態では、保持機構27によってカバー本体24が起立した状態で保持される。すなわち、保持機構27は、カバー本体24の下端部24aがレジスタケース部5の後側立上り面5bに当接する第1当接点P1と、一対のアーム部28の各第1アーム28aが記録紙収納部20の第2開口部20aにおける後側の縁部上に当接する第2当接点P2と、の2点で、カバー本体24を起立させた状態で保持する。
【0074】
このため、プリンタカバー22は、カバー本体24が開方向に回転保持機構25の保持力よりも大きい外力を受けて回転しても、破損することがなく、保持機構27によってカバー本体24が第1当接点P1と第2当接点P2との2点で良好に保持される。これにより、プリンタカバー22は、保持軸29が軸受部30の軸孔30aから外れても、上ケース3から脱落することがない。
【0075】
このため、この第1解除状態では、プリンタカバー22の取り扱いが容易になるばかりか、プリンタカバー22が邪魔にならず、プリンタ部10の動作を妨げずることがない。また、この第1解除状態では、カバー本体24を持ち上げるだけで、プリンタカバー22がプリンタ部10から容易に取り外される。
【0076】
また、この第1解除状態でカバー本体24が更に開方向に外力を受けて回転した際には、カバー本体24がレジスタケース部5のプリンタ部10から離脱して第2解除状態になる。すなわち、第1解除状態でカバー本体24が更に開方向に外力を受けて回転する際には、レジスタケース部5の後側立上り面5bに当接している第1当接点P1のカバー本体24の下端部24aを支点として、カバー本体24が回転し、一対のアーム部28の各第2アーム28bが記録紙収納部20の第2開口部20aの縁部を乗り越える。これにより、プリンタカバー22が第2解除状態になる。
【0077】
この第2解除状態では、カバー本体24がプリンタ部10の後方に離脱する。このため、プリンタカバー22は、第1解除状態でカバー本体24が更に開方向に外力を受けて回転しても、破損することがなく、カバー本体24がプリンタ部10の後方に離脱して、プリンタカバー22がプリンタ部10から取り外される。
【0078】
このように取り外されたプリンタカバー22をプリンタ部10に取り付ける際には、まず、カバー本体24を起立させた状態で、第2アーム28bを記録紙収納部20内に挿入させて、一対の軸受部30を一対のガイド部34における各一対のガイドリブ34a間に配置させる。この状態で、一対の軸受部30を一対のガイド部34でガイドしながら上下方向に移動させて、一対の軸受部30に設けられた各切欠き部32を一対の保持軸29にそれぞれ対応させる。
【0079】
この状態で、一対の保持軸29をそれぞれ一対の切欠き部32に挿通させて一対の軸受部30の各軸孔30a内に押し込む。これにより、一対の軸受部30が一対の保持軸29に保持される。このため、プリンタカバー22が取り外されても、簡単にプリンタ部10に取り付けることができる。このときには、カバー本体24が記録紙収納部20の第2開口部20aの後部よりも後方に位置し、且つ第2開口部20aを開放させた状態で、プリンタ部10に起立した状態で取り付けられる。
【0080】
一方、プリンタ部10で売上データなどの情報が記録紙13に印刷され、この印刷された記録紙13が排出口14から排出されてレシートして発行された際には、ドロア装置のドロアケース6内から引出部7が引き出される。このときには、引出部7の前面板7aが、ドロアケース6の第1開口部6aを塞ぐ際にドロアケース6の底面から引出部7の引出方向に向けて前傾するように形成されている。
【0081】
すなわち、引出部7の前面板7aは、その上部側が前方に突出し、下部側が後退する方向に予め定められた傾斜角度θ3で傾斜しているので、引出部7を引出操作する際におけるオペレータの目線から見え難くすることができ、これにより防犯性に優れ、盗難を予防することが可能になる。この場合、ドロアケース6の第1開口部6aにおける両側部、つまり下ケース2の一対の側板部2bの各前端部も、引出部7の前面板7aと同じ傾斜角度θ3で傾斜しているので、オペレータ側から見え難くなり、より一層、防犯性に優れ、盗難を予防することが可能になる。
【0082】
また、ドロアケース6内から引出部7が引き出された際には、引出部7内の複数の金銭収納部36が外部に露出するので、金銭の受け渡しが行われる。この場合、金銭収納部36のうち、引出部7内における前側に配列された硬貨収納部36aの前側の内面が引出部7の前面板7aと同じ傾斜角度θ3で傾斜しているので、硬貨収納部36a内から硬貨を取り出す際に、硬貨収納部36aの内面の傾斜に沿って硬貨を良好に取り出すことができる。
【0083】
また、引出部7内における後側に配列された紙幣収納部36b内に収納された紙幣は、紙押え36cによって押えられているので、不用意に紙幣が散乱しないようにすることができる。この場合、金銭収納部36は、引出部7に一体に形成されていることにより、複数の金銭収納部36が引出部7と別体に設けられている場合に比べて、引出部7全体の厚みを薄くして、ドロアケース6および機器ケース1全体の薄型化が図れる。
【0084】
ところで、この電子レジスタの機器ケース1は、下ケース2と上ケース3のケース本体部4とによって形成されたドロアケース6の前面側と後面側とが前方に向けて傾斜した状態で互いに平行に形成されている。これによって、機器ケース1は、外観性およびデザイン性が高められている。
【0085】
また、この機器ケース1は、ケース本体部4の上面における後部側が後部上りに傾斜し、この傾斜した上面にレジスタケース部5が設けられている。これによっても、機器ケース1は、外観性およびデザイン性が高められている。また、このレジスタケース部5は、前側立上り面5aと後側立上り面5bとが前側に向けて傾斜した状態で互いに平行に形成されている。これによっても、機器ケース1は、外観性およびデザイン性が高められている。
【0086】
この場合、機器ケース1は、レジスタケース部5の前後方向の長さがケース本体部4の前後方向の長さの2/3程度の短い長さで、レジスタケース部5がケース本体部4上にその前側を除いて設けられているので、レジスタケース部5の前方に位置するケース本体部4上に平坦な載置面4aが設けられ、この載置面4a上に筆記具などの小物を良好に載置させることができる。
【0087】
また、この機器ケース1は、レジスタケース部5の上面がケース本体部4の後部側の上面と同様に後部上りに傾斜しているので、これによっても外観性およびデザイン性が高められると共に、レジスタケース部5の上面に設けられたキーボード部8の各種のキーが見やすくなり、キー操作性が向上する。
【0088】
このように、この電子レジスタのドロア装置によれば、第1開口部6aが設けられたドロア本体であるドロアケース6と、このドロアケース6内に第1開口部6aから引出可能に収納される引出部7と、この引出部7の一部として設けられているとともに、引出部7がドロアケース6内に収納された収納状態のときに第1開口部6aを塞ぐように設けられた前面板7aと、を備え、前面板7aは、前傾姿勢となるように設けられていることにより、引出部7の前面板7aをオペレータから見え難くすることができ、これにより防犯性を高めることができる。
【0089】
また、この電子レジスタのドロア装置では、ドロアケース6の第1開口部6aにおける両側部、つまり下ケース2の一対の側板部2bの前端部が、引出部7の前面板7aと同じ角度で傾斜していることにより、引出部7の前面板7aと同様に、ドロアケース6の前面側における両側部がオペレータから見え難くすることができ、これによっても防犯性を高めることができる。
【0090】
また、この電子レジスタのドロア装置では、引出部7内に複数の金銭収納部36が設けられており、これら複数の金銭収納部36のうち、引出部7の前面板7aに対応する複数の金銭収納部36である複数の硬貨収納部36aの各内面が、引出部7の前面板7aと同じ傾斜角度で傾斜していることにより、硬貨収納部36a内から硬貨を取り出す際に、硬貨収納部36aの内面の傾斜に沿って硬貨を良好に取り出すことができる。
【0091】
さらに、この電子レジスタのドロア装置では、複数の金銭収納部36が引出部7に一体に形成されていることにより、複数の金銭収納部36が引出部7と別体に設けられている場合に比べて、引出部7全体の厚みを薄くすることができ、これによりドロアケース6および機器ケース1全体の薄型化を図ることができる。
【0092】
なお、上述した実施形態では、ドロアケース6内に引出部7に設けられた複数の金銭収納部36のうち、硬貨収納部36aが引出部7内の前部側に配列され、紙幣収納部36bが後部側に配列されている場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば引出部7内の前部側に紙幣収納部36bを配列させ、後部側に硬貨収納部36aを配列させても良い。
【0093】
また、上述した実施形態では、引出部7の前面板7aが引出部7に一体に形成されている場合について述べた、この発明はこれに限らず、例えば、前面板7aを別に形成して引出部7の前端部に取り付けた構造であっても良い。
【0094】
また、上述した実施形態では、保持軸29を上ケース3側に設け、軸孔30aおよび切欠き部32を有する軸受部30をカバー本体24側に設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば軸受部30を上ケース3側に設け、保持軸29をカバー本体24側に設けた構造であっても良い。
【0095】
さらに、上述した実施形態では、電子レジスタに適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも電子レジスタである必要はなく、ドロア装置を備えたものであれば、どのような電子機器にも適用することができる。
【0096】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0097】
(付記)
請求項1に記載の発明は、所定の開口部が設けられたドロア本体と、前記ドロア本体内に前記開口部から引出可能に収納される引出部と、前記引出部に取り付けられている又は前記引出部の一部として設けられているとともに、前記引出部が前記ドロア本体内に収納された収納状態のときに前記開口部を塞ぐように設けられた前面板と、を備え、前記前面板は、前傾姿勢となるように設けられている、ことを特徴とするドロア装置である。
【0098】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のドロア装置において、前記ドロア本体の前記開口部における両側部は、前記引出部の前記前面板と同じ角度で傾斜している、ことを特徴とするドロア装置である。
【0099】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のドロア装置において、前記引出部内には複数の金銭収納部が設けられており、前記複数の金銭収納部のうち、前記引出部の前記前面板に対応する複数の金銭収納部の各内面は、前記引出部の前記前面板と同じ傾斜角度で傾斜している、ことを特徴とするドロア装置である。
【0100】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のドロア装置において、前記複数の金銭収納部は前記引出部に一体に形成されている、ことを特徴とするドロア装置である。
【0101】
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載されたドロア装置を備えている、ことを特徴とする電子機器である。
【符号の説明】
【0102】
1 機器ケース
2 下ケース
3 上ケース
4 ケース本体部
4a 載置面
5 レジスタケース部
5a 前側立上り面
5b 後側立上り面
6 ドロアケース
6a 第1開口部
7 引出部
7a 前面板
10 プリンタ部
11 携帯端末
11a 一端部
11b 他端部
12 通信部
13 記録紙
14 排出口
15 載置部(載置台)
16 第1の支え部
16a 傾斜面
16b 当接面
17 第2の支え部
18 空間部
20 記録紙収納部
20a 第2開口部
21 印字部
22 プリンタカバー
23 開き釦
24 カバー本体
25 回転保持機構
26 解除機構
27 保持機構
28 アーム部
28a 第1アーム
28b 第2アーム
29 保持軸
30 軸受部
30a 軸孔
31 支点当接部
32 切欠き部
33 切込部
34 ガイド部
34a ガイドリブ
36 金銭収納部
36a 硬貨収納部
36b 紙幣収納部
36c 紙押え
P1 第1当接点
P2 第2当接点

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11