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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】化粧シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20231129BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20231129BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20231129BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231129BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20231129BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/18 Z
B32B27/18 B
B32B27/20 Z
B32B27/30 101
B32B27/30 A
B32B27/30 Z
B32B27/32 Z
B32B27/40
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019148441
(22)【出願日】2019-08-13
(65)【公開番号】P2021030446
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】大島 野乃花
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-168830(JP,A)
【文献】特開2013-178467(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065911(WO,A1)
【文献】特開2017-042975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反層、透明樹脂層およびトップコート層がこの順に積層されており、
前記原反層は、熱可塑性樹脂と、無機質材料とを含み、
前記無機質材料の含有量は、前記原反層の質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であり、
前記透明樹脂層には、平均粒子径が1nm以上1μm以下の範囲内である添加剤が含まれており、
前記添加剤は、リン酸エステル金属塩系結晶化誘発剤であり、
前記原反層の前記透明樹脂層側の面に形成された第1のアンカー層を備え、
前記第1のアンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を、前記第1のアンカー層の質量に対し、乾燥状態で20質量%以上60質量%以下の範囲内で含んでいることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記透明樹脂層は、結晶性ポリプロピレン樹脂を90質量%以上99質量%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記透明樹脂層は、引張弾性率が800MPa以上2000MPa以下の範囲内であり、且つ引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記透明樹脂層は、厚さが20μm以上250μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記トップコート層は、分散剤と、平均粒子径が1μm以上100μm以下の範囲内である無機微粒子とを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記トップコート層は、前記トップコート層に含まれるアクリル系樹脂材料100質量部に対して、前記無機微粒子を0.1質量部以上30質量部以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項5に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記無機微粒子は、アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム及びダイヤモンドの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記原反層に含まれる前記無機質材料は、粉末形状であり、平均粒子径が1μm以上3μm以下の範囲内であり、且つ最大粒子径が50μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項9】
前記原反層に含まれる前記無機質材料は、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、炭酸カルシウム、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムとの錯体、三酸化アンチモンとシリカとの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華との錯体、ジルコニウムのケイ酸、及びジルコニウム化合物と三酸化アンチモンとの錯体、並びにそれらの塩の少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項10】
前記原反層に含まれる前記無機質材料は、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムとの錯体、三酸化アンチモンとシリカとの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華との錯体、ジルコニウムのケイ酸、及びジルコニウム化合物と三酸化アンチモンとの錯体、並びにそれらの塩の少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項11】
前記原反層に含まれる前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項12】
前記原反層に含まれる前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及びポリエステルの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項13】
前記原反層に含まれる前記熱可塑性樹脂と、前記原反層に含まれる前記無機質材料との合計含有量は、前記原反層の質量に対して、90質量%以上100質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項14】
前記原反層の厚みは、50μm以上250μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項15】
前記原反層は、無延伸シートであることを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項16】
記原反層の前記第1のアンカー層が形成された面とは反対側の面に形成された第2のアンカー層をさらに備え、
記第2のアンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項17】
前記リン酸エステル金属塩系結晶化誘発剤は、ビス[2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-ヒドロキシ-12Hジベンゾ[d,g][1,3,2]-ジオキサホスホシン-6-オキシド]水酸化アルミニウム塩を含むことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項18】
ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において(1)加熱開始後20分間の総発熱量(MJ/m)が8MJ/m以下であり(2)加熱開始後20分間の最高発熱速度として、10秒以上継続して200kW/mを超えず(3)基材に亀裂や穴のないという条件を満たす不燃性を有することを特徴とする請求項1から請求項1のいずれか1項に記載の化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
机やテーブル等の家具における天板等の表面には、表面保護のために、フェノール樹脂層からなる芯材とチタン紙と呼ばれる原紙に絵柄印刷を施したものをメラミン樹脂などで含浸し、熱圧プレスして積層された熱硬化型合成樹脂製の化粧板、即ちメラミン化粧板が用いられることがある。なお、メラミン化粧板に関する技術としては、例えば、特許文献1に記載した技術がある。
メラミン化粧板は、表面保護の観点からは優れている。一方で意匠性に関しては、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂のフィルムを使用した化粧シートの方が、エンボス加工が容易であるため、優れている。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂フィルムを使用した化粧シートでは、その表面強度を高めるために、化粧シートを保護するため活性エネルギー(紫外線または電子線)の照射によって重合するアクリル系樹脂を含むハードコート層(トップコート層)を設けるか、化粧シート全体の厚みを厚くする方法が取られていることが多い。
しかし、ハードコート層を設けた場合には、ハードコート層用塗工液の塗布量や樹脂の硬さの関係からエンボスの深さや意匠に制限が生じることがある。また、ポリオレフィン系樹脂フィルムを使用した化粧シートの厚みを厚くした場合には、曲げ加工など加工適性に制限が生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-198904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明においては、表面の耐擦傷性と加工適性(曲げ加工適性)とに優れた化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意検討の結果、各樹脂層に対して添加する添加剤を微粒子化して添加することにより優れた分散性を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様に係る化粧シートは、原反層、透明樹脂層およびトップコート層がこの順に積層されており、前記原反層は、熱可塑性樹脂と、無機質材料とを含み、前記無機質材料の含有量は、前記原反層の質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であり、前記透明樹脂層および前記トップコート層の少なくとも一方には、微粒子化した添加剤が含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、微粒子化した添加剤を含有する透明樹脂層およびトップコート層の少なくとも一方を具備する化粧シートとすることにより、優れた表面の耐擦傷性および加工適性(曲げ加工適性)を有する化粧シートを提供することを可能とする。
また、添加剤として、微粒子化した分散剤と、無機微粒子とを含有するトップコート層を具備する化粧シートとすることにより、従来の化粧シートと比較して高い透明性を有し、且つさらに優れた表面の耐擦傷性および加工適性(曲げ加工適性)を有する化粧シートを提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態~第3実施形態に係る化粧シートの構成を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態~第3実施形態に係る化粧シートの構成を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態~第3実施形態の変形例に係る化粧シートの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の化粧シートは、複数の樹脂層からなる化粧シートであって、当該樹脂層の少なくとも1層に対して、微粒子化した添加剤が含まれていることが重要である。
本実施形態において、微粒子化した添加剤とは、添加剤を微粒子化する手法(微粒子化処理)によって平均粒子径(D50)を1nm以上1μm以下とした添加剤のことである。当該微粒子化処理としては、例えば、添加剤に対して主に機械的な粉砕を行って微粒子化した粒子を得る固相法、添加剤や当該添加剤を溶解させた溶液中で微粒子化した粒子の合成や結晶化を行う液相法、添加剤や当該添加剤からなるガスや蒸気から微粒子化した粒子の合成や結晶化を行う気相法などの方法を用いることができる。それぞれの方法を実施するための具体的な手段を簡単に挙げると、固相法としてはボールミル、ビーズミル、ロッドミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、ハンマーミル、ジェットミルなどが挙げられる。液相法としては、晶析法、共沈法、ゾルゲル法、液相還元法、水熱合成法などが挙げられる。そして、気相法としては、電気炉法、化学炎法、レーザー法、熱プラズマ法などが挙げられる。
【0010】
[化粧シートの全体構成]
本実施形態の化粧シートは、基材に貼り合わせて用いられるものであり、当該基材側から少なくとも原反層、透明樹脂層およびトップコート層が順に積層されており、そのうち、少なくとも透明樹脂層またはトップコート層のいずれか一方が微粒子化した添加剤を含んだ樹脂層からなることが重要である。
(透明樹脂層)
透明樹脂層が微粒子化した添加剤を含んだ樹脂層からなる場合には、結晶性ポリプロピレン樹脂90質量%~99質量%を主成分とし、微粒子化した添加剤1質量%~10質量%を含むことが重要である。このような透明樹脂層においては、製膜時の冷却条件を調整することによって、ヘイズ値を15%以下、より好ましくは10%以下とするとともに、引張弾性率を800MPa以上2000MPa以下の範囲内とし、且つ引張破断伸度を200%以上とすることが重要である。
【0011】
また、結晶性ポリプロピレン樹脂は、ペンタッド分率の異なるアイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンおよびこれらの混合物から適宜選択して設計することができる。より好ましくは、当該結晶性ポリプロピレン樹脂が、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)95%以上、より好ましくは96%以上のプロピレンの単独重合体、すなわちホモポリマーである高結晶性ホモポリプロピレン樹脂とされることが重要である。なお、透明樹脂層を構成する結晶性ポリプロピレン以外の樹脂は、結晶性ポリプロピレンの物性に著しく悪影響を与えないならば、その配合の目的によって適宜選定が可能である。但し、曲げ加工適性を維持するためには透明樹脂層を構成する結晶性ポリプロピレン樹脂との相溶性がよいものが好ましい。
このような透明樹脂層は、厚さが20μm以上250μm以下の範囲内であることが好ましい。
【0012】
本実施形態の微粒子化した添加剤は、その平均粒子径が1nm以上1μm以下と極めて小さい。そのため、単位体積当たりに存在する添加剤の数と表面積とが粒子直径の3乗に反比例して増加する。その結果、各添加剤間の距離が近くなり、ポリプロピレン樹脂に添加して1つの添加剤の表面から結晶成長が生じた際に、結晶が成長している端部が直ちに、当該添加剤に隣接する他の添加剤の表面から成長していた結晶の端部と接触し、互いの結晶の端部が成長を阻害して各結晶の成長がとまる。こうして、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における、球晶の平均粒子径を極めて小さくすることができる。
【0013】
以上のように、透明樹脂層に対して微粒子化した添加剤を含有させることにより、従来の添加剤と比較して、樹脂中により微細かつ大量の結晶核を発生させることで、結晶部における結晶核同士の距離を短くして、個々の結晶の成長を抑制し、球晶の平均粒子径を極めて小さくさせることに成功した。そして、このような結晶性ポリプロピレン樹脂においては、ヘイズ値が15%以下という優れた透明性を実現している。なお、本実施形態における平均粒子径は、ISO 13320に準拠したレーザー回析・散乱法によって得られた平均粒子径であり、体積粒度分布を測定し、50%積算粒子径(D50)をもって平均粒子径としたものである。
【0014】
また、本実施形態の化粧シートにおいては、透明樹脂層に対して微粒子化した添加剤を含有させていることにより、結晶性ポリプロピレン樹脂の結晶部における球晶の平均粒子径が極めて小径となり優れた耐擦傷性も実現している。つまり、結晶性ポリプロピレンの結晶化度をコントロールして当該透明樹脂層の硬度および靭性が最適となるように調整することで、引張弾性率が800MPa以上2000MPa以下の範囲内であり、且つ、引張破断伸度が200%以上という優れた耐擦傷性および加工適性を実現している。
【0015】
(トップコート層)
本実施形態の化粧シートにおいては、トップコート層が微粒子化した添加剤が含まれた樹脂層からなる場合には、微粒子化した添加剤としての分散剤と、無機微粒子とを含むことが重要である。無機微粒子は、トップコート層の主成分である樹脂材料100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下の割合で配合された状態とされていることが好ましい。無機微粒子の含有量が0.1質量部未満では耐擦傷性の効果が得られにくく、30質量部より多いと微粒子による光の散乱作用によって透明性が損なわれたり、コストアップが懸念されたりすることがある。
【0016】
なお、本明細書においては、トップコート層を構成する樹脂組成物を調製する際の混合比によって形成後のトップコート層に対する無機微粒子の含有量を特定することとしているが、これは以下の理由による。前記配合量を添加して得られた樹脂組成物から形成されたトップコート層は、完成した化粧シートに対して曲げ加工などの後加工がなされると、その加工の変形に伴って無機微粒子が移動する現象が生じるが、当該無機微粒子の移動はトップコート層の全体に亘って均一に生じるものではない。例えば、表面付近は樹脂の変形が大きく、それに伴って無機微粒子の移動量も多くなるので、トップコート層内部の無機微粒子の密度と表面付近の無機微粒子の密度とに差異が生じる。そのため、一概に、形成された後のトップコート層について単位体積当たりに含まれる無機微粒子の含有量を特定することは困難とされているからである。また、形成された後のトップコート層中の無機微粒子の含有量を特定する場合、当該トップコート層を構成する樹脂組成物を無機材料と有機材料とに分離し、当該無機材料中に含まれる無機微粒子の含有量を分析する必要があり、この分析を行うためには複数工程の前処理を要する。そのため、形成された後のトップコート層中の無機微粒子の含有量の特定には膨大な時間を要し現実的ではない。
【0017】
また、当該樹脂組成物は、硬化型樹脂からなる樹脂材料を主成分とし、当該硬化型樹脂が、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂の少なくとも一方からなることが好ましく、熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂との混合物を用いてもよい。硬化型樹脂の形態は、水性、エマルジョン、溶剤系など特に限定するものではない。
無機微粒子としては、アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、ダイヤモンドなどの微粒子が挙げられる。平均粒子径が1μm以上100μm以下の範囲内の無機微粒子を用いることができ、特に、1μm~30μm程度の無機微粒子が好適である。
【0018】
熱硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型のウレタン系のものを用いることが好ましい。ウレタン系の熱硬化型樹脂は、作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から好適である。ウレタン系樹脂としては、例えば、アクリルポリオールとイソシアネートとを反応させて得られるウレタン系のものを用いてもよい。イソシアネートには、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの誘導体であるアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体や各種プレポリマーなどの硬化剤より適宜選択して用いることができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)もしくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)をベースとする硬化剤を使用することが好ましい。
【0019】
また、光硬化型樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、アクリルアクリレート系などから適宜選択して用いることができるが、特に、耐候(光)性が良好なウレタンアクリレート系およびアクリルアクリレート系のものを用いることが好ましい。光硬化型樹脂の硬化方法としては、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化することが作業性の観点から好ましい。
熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂との混合物については、例えば、熱硬化型樹脂としてのアクリルポリオールとイソシアネートとを反応し得られるウレタン系樹脂と光硬化型樹脂としてのウレタンアクリレート系樹脂とを混合して用いることが好ましく、これによって、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および無機微粒子との密着性を向上させることができる。
【0020】
このような、微粒子化した分散剤を含有するトップコート層を具備する化粧シートとすることにより、高い透明性、耐擦傷性および加工適性に優れた化粧シートを提供することを可能とする。これは、トップコート層を構成する樹脂組成物中において微粒子化した分散剤が均一に分散する作用によって、無機微粒子の2次凝集が抑制されるため、凝集した無機微粒子に起因する透明性の低下や機械的強度の低下が抑制されるからである。さらに、トップコート層を構成する樹脂組成物の主成分を熱硬化型樹脂と光硬化型樹脂との混合物からなる樹脂材料とすることにより、当該混合物の架橋によって高い耐擦傷性と、最適な柔軟性を備えた加工適性に優れた化粧シートを提供することができる。
【0021】
(原反層)
原反層は、化粧シートの基材となる層(シート)であって、熱可塑性樹脂と、無機質材料とを含んだ層である。
本実施形態の無機質材料の含有量は、原反層の質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であればよく、20質量%以上80質量%以下の範囲内であればより好ましく、60質量%以上80質量%以下の範囲内であればさらに好ましい。無機質材料の含有量が原反層の質量に対して、15質量%未満であると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が多くなるため、不燃性または難燃性が得にくい傾向がある。また、原反層の表面をホフマンスクラッチテスターを用いて引っ掻いた際に、視認できる程度の傷が付く、即ち十分な表面硬度が得られないことがある。一方、無機質材料の含有量が原反層の質量に対して、90質量%を超えると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が少なくなる。このため、原反層表面にアンカー層塗工もしくは印刷等を行った際に原反層表面に所謂「粉吹き」が発生することがある。ここで、「粉吹き」とは、原反層に含まれた無機質材料が原反層の表面に浮き出ることをいう。また、後述する絵柄層の形成時に、原反層から浮き出た無機質材料によってインキが積層しにくくなる、即ち印刷適性が低下することがある。また、表面アンカー層、裏面アンカー層、絵柄層、及びトップコート層の少なくとも一つを形成したシートをロール状または枚葉で木質系基材及び石系基材にラミネートする際にラミネートしにくくなる、即ちラミネート適性が低下する傾向がある。また、表面アンカー層、裏面アンカー層、絵柄層、及びトップコート層の少なくとも一つを形成したシートを折り曲げて再び開いた際に、折り曲げた部分から割れが発生したり、無機質材料が落ちたりすることがある。また、絵柄層を形成したシートの表面にセロハンテープを圧着した後、強く引き剥がし、絵柄層内または原反層(表面アンカー層)と絵柄層との間で剥離が生じる、即ちインキ密着性が低下することがある。
【0022】
このように、本実施形態の無機質材料の含有量が原反層の質量に対して、15質量%以上90質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上80質量%以下の範囲内であれば、不燃性または難燃性を得つつ、粉吹きの発生を低減し、印刷適性を向上させ、ラミネート適性を向上させ、且つシートの折り曲げ部における割れの発生を低減することができ、さらに十分な表面硬度を得ることができ、インキ密着性を向上させることできる。
【0023】
また、本実施形態の無機質材料は、粉末形状(粉体形状)であることが好ましく、その平均粒子径が1μm以上3μm以下の範囲内であり、且つ最大粒子径が50μm以下であることが好ましい。無機質材料の平均粒子径及び最大粒子径が上記数値範囲内であれば、熱可塑性樹脂に対する無機質材料の分散性を向上させつつ、原反層7表面の平坦性を維持することができる。無機質材料の平均粒子径が1μm未満であると、無機質材料同士の凝集力が高まり、後述する熱可塑性樹脂への分散性が低下することがある。また、無機質材料の平均粒子径が3μmを超えると、原反層表面の平坦性が低下し、後述する表面アンカー層または裏面アンカー層の厚みが不均一となったり、ムラや欠けが発生したりすることがある。また、無機質材料の最大粒子径が50μmを超えると、原反層表面の平坦性が低下し、後述する表面アンカー層または裏面アンカー層の厚みが不均一となったり、ムラや欠けが発生したりすることがある。なお、本実施形態において、「平均粒子径」とは、モード径を意味する。
【0024】
無機質材料は、例えば、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含有した粉末である。炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方の純度は、50質量%以上100質量%以下の範囲内であるものが好ましい。炭酸カルシウム等の純度が50質量%以上である無機質材料であれば、原反層に、十分な不燃性または十分な難燃性を付与することができると共に、十分な機械的強度を付与することができる。
【0025】
なお、無機質材料としては、上記粉末以外に、例えば、シリカ(特に中空シリカ)、アルミナ、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコンなどのジルコニウム化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムとの錯体など、三酸化アンチモンとシリカとの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華との錯体、ジルコニウムのケイ酸、ジルコニウム化合物と三酸化アンチモンとの錯体、並びにそれらの塩などの少なくとも一種が挙げられる。特に、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩は製造手法による粒径のコントロールや熱可塑性樹脂との相溶性の制御が容易であり、また、材料コストとしても安価であるため不燃シートの低廉化の観点からも好適である。
【0026】
また、無機質材料は、結晶性を有する粉末材料、所謂結晶粉末であってもよいし、結晶性を有さない粉末材料、所謂アモルファスタイプの粉末材料であってもよい。無機質材料が結晶性を有する粉末材料であれば、粉末自体が均質で等方性を備えるため、粉末自体の機械的強度が向上し、不燃シートの耐傷性や耐久性が向上する傾向がある。また、無機質材料がアモルファスタイプの粉末材料であれば、粉末自体の電気伝導性や熱伝導性、あるいは光透過率や光吸収率を適宜調整することが可能となるため、触感や艶等のバリエーションが豊富な意匠性を付与することが可能となる。
【0027】
本実施形態の熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも1種を含んでいれば好ましく、ポリプロピレンを含んでいればより好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも1種を使用することで、無機質材料の分散性が向上する。また、熱可塑性樹脂として、ポリプロピレンを使用することで、無機質材料の分散性がさらに向上する。
【0028】
また、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、原反層の質量に対して、90質量%以上100質量%以下の範囲内であることが好ましい。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が上記数値範囲内であれば、十分な不燃性または十分な難燃性を得つつ、印刷適性やラミネート適性を向上させ、且つシートの折り曲げ部に発生する割れを低減することができる。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が原反層の質量に対して、90質量%未満であると、十分な不燃性または十分な難燃性が得られないことがある。また、印刷適性やラミネート適性が低下したり、シートの折り曲げ部に割れが発生したりすることがある。
【0029】
なお、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、原反層の質量に対して、100質量%である場合には、熱可塑性樹脂の含有量を10質量%以上85質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を15質量%以上90質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、熱可塑性樹脂の含有量を20質量%以上80質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を20質量%以上80質量%以下の範囲内とすることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂の含有量を20質量%以上40質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を60質量%以上80質量%以下の範囲内とすることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が上記数値範囲内であれば、十分な不燃性または十分な難燃性を確実に得つつ、印刷適性やラミネート適性を確実に向上させ、且つシートの折り曲げ部に発生する割れを確実に低減することができる。
【0030】
また、原反層の厚みは、50μm以上250μm以下の範囲内であることが好ましく、70μm以上200μm以下の範囲内であることがより好ましい。原反層の厚みが上記数値範囲内であれば、ラミネート適性を向上させ、且つシートの折り曲げ部に発生する割れを低減することができる。原反層の厚みが50μm未満であると、ラミネート適性が低下する傾向がある。また、原反層の厚みが250μmを超えると、シートの折り曲げ部に割れが発生することがある。
【0031】
なお、原反層の表面(透明樹脂層側の面)及び裏面(透明樹脂層側とは反対側の面)の少なくとも一方に、例えば、後述する表面アンカー層(第1のアンカー層)及び裏面アンカー層(第2のアンカー層)を形成する前に、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を施すことが好ましい。原反層の表面及び裏面の少なくとも一方に、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を施すことで、表面アンカー層及び裏面アンカー層と、原反層との接着性(密着性)が向上する。
また、表面アンカー層及び裏面アンカー層を形成する前に、例えば、原反層の表面及び裏面の少なくとも一方をブラッシングして、粉吹きした無機質材料を事前に落とすようにしてもよい。
【0032】
(表面アンカー層)
表面アンカー層は、原反層の表面全体を覆うように形成された層であって、原反層に含まれる無機質材料の粉落ちを防止するための層である。印刷時や樹脂塗工時に原反層に含まれる無機質材料が印刷系内、具体的には印刷装置内で粉落ちすると、その印刷系内を汚染することがある。また、原反層に含まれる無機質材料が粉落ちすると、インキ抜け等の不具合が発生する可能性がある。ここで、「インキ抜け」とは、インキが部分的に印刷されないことをいう。
【0033】
また、表面アンカー層は、原反層と、後述する絵柄層を形成するインキとの密着性を向上させるための機能も備えている。表面アンカー層を備えない場合には、絵柄層を形成するインキが原反層に密着せずに剥離してしまうことがある。
表面アンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有していることが好ましい。ここで、「塩酢ビ」とは、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体を意味する。
【0034】
表面アンカー層における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、例えば、表面アンカー層の質量に対し、乾燥状態で15質量%以上100質量%以下の範囲内が好ましく、20質量%以上60質量%以下の範囲内がより好ましい。表面アンカー層における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、表面アンカー層と絵柄層との層間強度を十分なものにしつつ、均一でムラや欠けのない表面アンカー層を形成することができる。表面アンカー層における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層の質量に対し、乾燥状態で15質量%未満であると、表面アンカー層と絵柄層との層間強度が不十分となることがある。なお、表面アンカー層における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層の質量に対し、乾燥状態で100質量%以下であれば使用上何ら問題はないが、95質量%を超えると、表面アンカー層にムラや欠けが生じることがある。
【0035】
また、本実施形態においては、このような原反層が、無延伸シートからなることが好ましい。無延伸シートとすることにより、フィルムとしての機械的強度に優れた原反層とすることができる。また、原反層に無機質材料を高充填した場合には、得られるフィルムの表面に凹凸が生じて平滑性に劣る場合があるが、その場合であっても、表面アンカー層及び裏面アンカー層を備えているため、フィルム表面(原反層表面)の平滑性に優れ、絵柄印刷を施す際のインキの着肉性が良好な印刷適性に優れた原反層とすることができる。
なお、本実施形態においては、一軸延伸加工または二軸延伸加工を施した一軸延伸シートまたは二軸延伸シートを原反層として用いてもよい。
【0036】
ここで、建築基準法施工令に規定の不燃材料の技術的基準においては、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において下記の要件を満たしている必要がある(建築基準法施工令第108条の2第1号および第2号)。本発明の化粧シートが不燃材料として認定されるためには、不燃性基材と貼り合わせた状態で50kW/mの輻射熱による加熱にて20分間の加熱時間において下記の1~3の要求項目をすべて満たす必要がある。
1.総発熱量が8MJ/m以下
2.最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えない
3.防炎上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴が生じない
なお、不燃性基材としては、石こうボード、繊維混入ケイ酸カルシウム板または亜鉛メッキ鋼板から選択して用いることができる。
【0037】
そして、前述の原反層を具備する本実施形態の化粧シートは、前記不燃性基材と貼り合わせた状態でのISO5660-1に準拠したコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において、前記施工令第108条の2第1号および第2号に記載の要件をともに満たす不燃材料を実現している。
このような、無機質材料が配合された原反層を具備する化粧シートとすることにより、建築基準法施工令に記載の不燃材料の技術的基準を満たした「不燃材料」としての化粧シートを提供することを可能とする。そして、無機質材料を充填した結果、化粧シートにおける樹脂成分の占める割合を低減化させて、廃棄後の焼却処分時に発生する二酸化炭素の排出量を極めて少なくすることができる。
また、原反層を無延伸シートとし、原反層の両面にアンカー層(表面アンカー層及び裏面アンカー層)を設けることにより、平滑性を有し、機械的強度の高い原反層とすることができる。
【0038】
以下、簡単に上記説明において用いた用語の説明をする。
本実施形態において添加剤とは、樹脂の結晶化時において、結晶核の生成を促進させる、もしくは、添加剤自体を結晶核とするために添加されるものである。そして、添加剤には、添加時に基材の樹脂に溶融し再度析出して結晶核を生成する溶融型、もしくは基材に添加した核剤が溶融することなくそのままの粒径で結晶核となる非溶融型がある。ポリプロピレン樹脂の添加剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルーおよびタルク等が挙げられる。特に、本実施形態においては、微粒子化処理との効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、微粒子化処理によって透明化が可能な場合には、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の添加剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしてもよい。
【0039】
ヘイズ値とは、物体の一方の面から入射した光が他方の面に出射する場合に、他方の面から出射した光線のすべての積分値(全光線透過率)から他方の面から出射した光線のうち直線成分のみの積分値(直線透過率)を指し引いた値(拡散透過率)を、全光線透過率で除した値を百分率で表した値であり、値が小さいほど透明性が高いことを表す。このヘイズ値は、結晶部における結晶化度や球晶サイズなどの物体の内部の状態によって決まる内部ヘイズと、入射面および出射面の凹凸の有無などの物体の表面の状態によって決まる外部ヘイズとによって決定付けられる。なお、本実施形態においては、単にヘイズ値と称する場合には、内部ヘイズおよび外部ヘイズとによって決定される値を意味する。
【0040】
引張破断伸度とは、試料を所定の速度で引っ張り、破断した際の伸びを表す値であり、破断時の試料の長さ(L)から試験前の試料の長さ(L)を引いた値を、試験前の試料の長さ(L)で除した値を百分率で表した値である。そして、その値が小さいほど伸びが悪く、曲げ加工などの後加工時に亀裂や白化が生じるため、加工適性に劣る。また、その値が大きいほどよく伸びて容易に後加工が可能であり、加工適性に優れていることを示す。
【0041】
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、質量数13の炭素C(核種)を用いた13C-NMR測定法(核磁気共鳴測定法)により、上記透明樹脂層を構成する樹脂材料を所定の共鳴周波数にて共鳴させて得られる数値(電磁波吸収率)から算出されるものであり、樹脂材料中の原子配置、電子構造、分子の微細構造を規定するものである。具体的には、ポリプロピレン樹脂のアイソタクチックペンタッド分率とは、13C-NMRにより求めたプロピレン単位が5個並んだ割合のことであって、結晶化度あるいは立体規則性の尺度として用いられる。そして、このようなアイソタクチックペンタッド分率は、主に表面の耐擦傷性を決定付ける重要な要因の一つであり、基本的にはアイソタクチックペンタッド分率が高いほどシートの結晶化度が高くなるため、耐擦傷性が向上する。
【0042】
以下に、一般的な各種化粧シートの構成を図1~3を用いて説明する。
図1に示す化粧シートは、紙面上部側から順に、トップコート層4、透明樹脂層1、接着剤層6(感熱接着剤層、アンカーコート層、ドライラミ接着剤層)、絵柄層2、表面アンカー層7a、原反層7、裏面アンカー層7b、プライマー層5が積層されている。
なお、トップコート層4やエンボス模様1aは必要であれば設ければよく、プライマー層5も原反層7がオレフィン系材料のように表面が不活性な場合には必要であるが、表面が活性な基材の場合は特に必要なものではない。
【0043】
原反層7としてオレフィン系の原反層のような表面が不活性な基材を用いる場合は、原反層7の表裏にコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、紫外線処理、重クロム酸処理等を行うことが望ましい。さらには原反層7(表面アンカー層7a)と絵柄層2との間にも密着を確保させるためにプライマー層(図示せず)を設けることもある。また、化粧シートに隠蔽性を付与したい場合には、原反層7として隠蔽性の着色シートを使用してもよいし、隠蔽層(図示せず)を設けてもよい。
【0044】
図1の構成のエンボス模様1aは、透明樹脂層1としての例えば高結晶性ポリプロピレンシートに直接付与されるもので、その方法は製膜された前記シートに熱および圧力により凹凸模様を有するエンボス版を用いてエンボス模様を付与する方法や、押出機を用いて製膜する際に凹凸模様を有する冷却ロールを用いて冷却と同時にエンボスを設ける方法などがある。ここではエンボス部としてのエンボス模様1aにインキを埋め込み、さらに意匠性を向上させることも可能である。
高結晶性ポリプロピレンシートよりなる透明樹脂層1のシートの成形方法は特に製膜できればよく、限定されるものでは無いが、押出機を用いる方法が最も一般的である。
【0045】
図1において絵柄層2を設ける方法としては、高結晶性ポリプロピレンシートよりなる透明樹脂層1に、直接グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インキジェット印刷などを行う方法がある。
ここで使用される高結晶性ポリプロピレンシートによる透明樹脂層1には、必要に応じて熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、そして、本発明の特徴を損なわない範囲で着色剤、光散乱剤および艶調整剤などの各種添加剤を添加することもできる。
【0046】
熱安定剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系等、難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系等を、任意の組み合わせで添加するのが一般的である。特に、耐候性を考慮する必要がある場合には、紫外線吸収剤と光安定剤は必須となり、添加量はそれぞれ透明樹脂層1を100質量%として、0.1質量%以上1.0質量%以下の範囲内が適量である。
【0047】
絵柄層2にインキを使用する場合は、バインダーとしては、例えば、硝化綿、セルロース、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定すればよい。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題なく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。さらに紫外線や電子線等の照射によりインキを硬化させることも可能である。
【0048】
中でも最も一般的な方法は、ウレタン系のインキを用いてイソシアネートで硬化させる方法である。これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。特によく用いられる顔料には、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。また、インキの塗布とは別に各種金属の蒸着やスパッタリングで意匠を施すことも可能である。
【0049】
トップコート層4に使用される材料も特に規定されるものではなく、上述のように、例えば、ポリウレタン系、アクリル系、アクリルシリコン系、フッソ系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系等から適宜選択できる。形態も水性、エマルジョン、溶剤系いずれでも可能で、且つ硬化も1液タイプでも硬化剤を用いた2液タイプでもよい。中でもイソシアネート反応を利用したウレタン系のトップコートが作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点からも望ましい。
トップコート層4には、化粧シートの耐候性を向上させるために紫外線吸収剤および光安定剤を適宜添加してもよい。また各種機能を付与するために抗菌剤、防カビ剤等の機能性添加剤の添加も任意に行える。トップコート層4の塗布厚み(層厚)は通常2μm~10μmが妥当である。
【0050】
プライマー層5に使用される材料も基本的には絵柄層2と同じものでよいが、化粧シートの裏面に施されるためにウエブ状で巻取りを行うことを考慮すると、ブロッキングを避けて且つ接着剤との密着を高めるために、シリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機充填剤を添加させてもよい。プライマー層5の塗布厚み(層厚)は基材との密着を確保することが目的であるので、0.1μm~3.0μmが妥当である。
接着剤層6は接着方法として任意の材料選定が可能で、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート等による積層方法があり、接着剤はアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の材料から選定できる。通常はその凝集力から2液硬化タイプのものとして、特にイソシアネートを用いたポリオールとの反応で得られるウレタン系の材料を用いることが望ましい。
【0051】
積層方法にも特に規制はないが、熱圧を応用した方法、押出ラミネート法およびドライラミネート法等が一般的である。またエンボス模様1aを施す場合には、一旦各種方法でラミネートしたシートに、後から熱圧によりエンボスを入れる方法、冷却ロールに凹凸模様を設け、押出ラミネートと同時にエンボスを施す方法がある。
また、押出しと同時にエンボスを施した透明樹脂層1と原反層7を熱あるいはドライラミネートで貼り合わせる方法等がある。絵柄層2および接着剤層6を施す位置は、通常通り原反層7側でもよいし、透明樹脂層1側でもよい。
【0052】
さらに、図2において、トップコート層4側の透明樹脂層1の面にエンボス模様1aを施した場合には、このエンボス模様1aの中にインキを埋め込んで意匠性を向上させることも可能である。
図2には図1とは異なる積層タイプの構成の一例を示す。プライマー層5、裏面アンカー層7b、原反層7、表面アンカー層7a、絵柄層2、透明樹脂層1、トップコート層4、接着剤層6等は図2と全く同様であるが、異なるところは接着剤層6と透明樹脂層1の間に接着性樹脂層8が設けられているところである。これは、特に押出ラミネート方法でさらなるラミネート強度を求める場合に行うが、透明樹脂層1と接着性樹脂層8との共押出法でラミネートを行う。
【0053】
接着性樹脂層8は、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル系等の樹脂に酸変性を施したもので、厚みは接着力向上の目的から2μm以上が望ましい。接着性樹脂層8の厚みが厚すぎると、折角、高結晶性の透明樹脂層1で表面硬度を向上させたにも関わらず、接着性樹脂層8自体の柔らかさの影響を受ける。そのため、接着性樹脂層8の厚みは、20μm以下が望ましい。
耐候性の面からは、基材としての透明樹脂層1を守るために、前記のようにトップコート層4および透明樹脂層1に耐候性を施す方法もある。また、それだけではなく、絵柄層2を守るために接着剤層6に紫外線吸収剤および光安定剤を添加する方法もある。
【0054】
図1および図2に示した積層タイプの各層の厚みは、原反層7としては、印刷作業性、コストを考慮して30μm以上150μm以下の範囲内が好ましい。また、透明樹脂層1としては、意匠性、加工適性、コストを考慮して20μm以上250μm以下の範囲内であり、より好ましくは30μm以上150μm以下の範囲内である。また、積層品としての化粧シートの総厚みは、80μm以上250μm以下の範囲内にすることが必要である。
【0055】
本発明の化粧シートの実施形態は、上記の図1図2に示す化粧シートについて、下記の第1実施形態から第3実施形態に挙げる態様がある。
第1実施形態:図1図2の化粧シートについて、透明樹脂層1に上述の微粒子化した添加剤が含まれた樹脂層を適用した形態
第2実施形態:図1図2の化粧シートについて、トップコート層4に上述の微粒子化した添加剤が含まれた樹脂層を適用した形態
第3実施形態:図1図2の化粧シートについて、トップコート層4および透明樹脂層1に上述の微粒子化した添加剤が含まれた樹脂層を適用した形態
【0056】
第1実施形態から第3実施形態の化粧シートによれば、化粧シートのトップコート層4および透明樹脂層1からなる透明層の透明性、化粧シートの表面における耐擦傷性および加工適性に優れた化粧シートを提供することができる。また、不燃材料からなる化粧シートを提供することができる。なお、トップコート層4によって化粧シートに要求される耐擦傷性が得られる場合には、図3に示すように、透明樹脂層1を除く構成としてもよい。
【0057】
[実施例]
以下に、本発明の化粧シートの具体的な実施例について検討する。
<実施例1>
原反層は、ポリプロピレン樹脂と炭酸カルシウムとを含んだ樹脂フィルムを用いた。なお、炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して、15質量%とした。また、原反層の厚さは50μmとした。
次に、原反層の両面にアンカー層(表面アンカー層及び裏面アンカー層)を形成した。各アンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂を含んだ層である。また、各層の厚さは20μmとした。
次に、表面アンカー層の上に絵柄層を形成した。印刷のインキとしては、ウレタン・塩酢ビ系樹脂(東洋インキ株式会社製)を使用した。
【0058】
次に、絵柄層上に透明樹脂層を形成した。透明樹脂層は、アイソタクチックペンタッド分率が97.8%、MFR(メルトフローレート)が15g/10min(230℃)、分子量分布MWD(Mw/Mn)が2.3の高結晶性ホモポリプロピレン樹脂に、微粒子化したリン酸エステル金属塩系の結晶化誘発剤(添加剤)(アデカスタブNA-21:ADEKA社製)を0.5質量%添加したものを、溶融押出機を用いて絵柄層上へ押出して形成した。また、裏面アンカー層の裏面側にプライマーコートを施してプライマー層を形成した。
【0059】
次に、透明樹脂層上にトップコート層を形成した。トップコート層を形成するための樹脂は、光硬化型ウレタンアクリレート(ユニディック17-824-9;DICグラフィックス社製)を60質量部、2液硬化型ウレタントップコート(W184;DICグラフィックス社製)を40質量部含んだものである。この樹脂を用いてトップコート層を形成して、実施例1の化粧シートを得た。
【0060】
<実施例2>
透明樹脂層に結晶化誘発剤(添加剤)を添加せず、トップコート層を構成する樹脂100質量部に対して、無機微粒子として粒径10μmのシリカ微粒子(サンスフェアNP-30;AGCエスアイテック(株)製)を0.05質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の化粧シートを得た。
<実施例3>
透明樹脂層に添加した結晶化誘発剤(添加剤)の含有量を1質量%にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の化粧シートを得た。
<実施例4>
透明樹脂層に添加した結晶化誘発剤(添加剤)の含有量を10質量%にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の化粧シートを得た。
【0061】
<実施例5>
トップコート層に添加したシリカ微粒子(添加剤)の含有量を0.1質量%にした以外は、実施例2と同様にして、実施例5の化粧シートを得た。
<実施例6>
トップコート層に添加したシリカ微粒子(添加剤)の含有量を30質量%にした以外は、実施例2と同様にして、実施例6の化粧シートを得た。
<実施例7>
トップコート層に無機微粒子としての粒径10μmのシリカ微粒子(サンスフェアNP-30;AGCエスアイテック(株)製)0.05質量部を添加した以外は、実施例3と同様にして、実施例7の化粧シートを得た。
<実施例8>
トップコート層に無機微粒子としての粒径10μmのシリカ微粒子(サンスフェアNP-30;AGCエスアイテック(株)製)30質量部を添加した以外は、実施例4と同様にして、実施例8の化粧シートを得た。
【0062】
<実施例9>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の化粧シートを得た。
<実施例10>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例2と同様にして、実施例10の化粧シートを得た。
<実施例11>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例3と同様にして、実施例11の化粧シートを得た。
<実施例12>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例4と同様にして、実施例12の化粧シートを得た。
【0063】
<実施例13>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例5と同様にして、実施例13の化粧シートを得た。
<実施例14>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例6と同様にして、実施例14の化粧シートを得た。
<実施例15>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例7と同様にして、実施例15の化粧シートを得た。
<実施例16>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して90質量%とした以外は、実施例8と同様にして、実施例16の化粧シートを得た。
【0064】
<比較例1>
透明樹脂層に結晶化誘発剤(添加剤)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の化粧シートを得た。
<比較例2>
透明樹脂層に結晶化誘発剤(添加剤)を添加しなかった以外は、実施例9と同様にして、比較例2の化粧シートを得た。
<比較例3>
原反層における炭酸カルシウムの含有量を、原反層の質量に対して10質量%とし、透明樹脂層に結晶化誘発剤(添加剤)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例3の化粧シートを得た。
【0065】
各化粧シートを構成する透明樹脂層の引張弾性率および引張破断伸度、並びに各化粧シートの表面における鉛筆硬度試験および各化粧シートの曲げ加工適性試験の各評価結果を、表1に示す。また、各化粧シートの不燃性試験の評価結果も表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
<鉛筆硬度試験>
各化粧シートをウレタン2液の接着剤にて鋼板に貼り合わせた後、25℃3日間養生させた。その後、鉛筆硬度試験にて表面硬度を判定した。
鉛筆硬度試験においては、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの鉛筆を用い、化粧シートに対して鉛筆の角度を45±1°に固定して、当該鉛筆に1kgの荷重を付加した状態でスライドさせて化粧シートに傷が形成されるか否かの判定を行った(旧JIS規格 JISK5400に準拠)。硬度が低い鉛筆から行い、引っ掻き傷が形成された硬度を化粧シートの表面硬度として示した。
なお、本実施例では、「HB」以上の鉛筆硬度を合格とした。
【0068】
<曲げ加工適性試験>
各化粧シートをウレタン2液の接着剤にて鋼板に貼り合わせた後、25℃3日間養生させた。その後、曲げ加工適性試験を判定した。なお、曲げ加工試験は、加工機や加工時の環境に左右されないように低温による高速折り曲げ条件にて実施した。なお、曲げ加工適性試験の評価基準は、以下の通りである。
◎:白化・亀裂などが認められなかった。
○:白化・亀裂などが僅かに認められた。
△:白化・亀裂などが認められたが容認できる程度であった。
×:化粧シートとして容認できない白化・亀裂が認められた。
なお、本実施例では、「△」、「○」、「◎」を合格とした。
【0069】
<不燃性試験>
ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメーター試験機による発熱性試験において下記の要件を満たしているか否か評価した。
1.総発熱量が8MJ/m以下
2.最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えない
3.防炎上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴が生じない
本実施例では、不燃性基材としては、石こうボードを用いた。
なお、本実施例では、「○」を合格とした。
表1から明らかなように、実施例1~16の化粧シートは、表面の耐擦傷性と加工適性(曲げ加工適性)とが優れた化粧シートであった。
本発明の化粧シートは、上記の実施形態および実施例に限定されるものではなく、発明の特徴を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 透明樹脂層
1a エンボス模様
2 絵柄層
4 トップコート層
5 プライマー層
6 接着剤層
7 原反層
7a 表面アンカー層
7b 裏面アンカー層
8 接着性樹脂層
図1
図2
図3