(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電気光学装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231129BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G09F9/00 348
H05K3/28 D
(21)【出願番号】P 2019149680
(22)【出願日】2019-08-19
【審査請求日】2022-07-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】内山 傑
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼ 義孝
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0103632(US,A1)
【文献】特開平05-249481(JP,A)
【文献】特開2010-212396(JP,A)
【文献】特開2009-212328(JP,A)
【文献】特開2003-302914(JP,A)
【文献】特開2005-050971(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110121234(CN,A)
【文献】特開2005-203104(JP,A)
【文献】特開2002-358026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1343-1/1345
1/135
G09F9/00
H05K1/14
3/28
3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板
と、有機EL素子と、を有する電気光学パネルと、
可撓性を有する基材と、前記基材の一方の面側に配置される第1配線と、前記第1配線を覆うとともに平面視において前記半導体基板と離間して配置された第1保護シートと、前記基材の他方の面側に配置される第2配線と、前記第2配線を覆うとともに平面視において前記半導体基板と離間して配置された第2保護シートと、前記第2保護シートから露出した前記第2配線の一部を覆
うとともに前記半導体基板と前記第1保護シート及び前記第2保護シートとの間の領域において前記第2保護シートより薄い絶縁部材と、を有し、前記絶縁部材から露出した前記第2配線が前記電気光学パネルと電気的に接続されたフレキシブル配線基板と、を備え、
前記第1保護シート及び前記第2保護シートは、それぞれポリイミドを含み、
前記絶縁部材は、ソルダーレジストを含み、前記半導体基板の一部と重なるとともに前記第1保護シート及び前記第2保護シートの
一部のみと重なるように配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
平面視において、前記第2保護シートは、前記第1保護シートよりも前記半導体基板から離れた位置に配置されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
半導体基板と、有機EL素子と、を有する電気光学パネルと、
可撓性を有する基材と、前記基材の一方の面側に配置される第1配線と、前記第1配線を覆うとともに平面視において前記半導体基板と離間して配置された第1保護シートと、前記基材の他方の面側に配置される第2配線と、前記第2配線を覆うとともに平面視において前記半導体基板と離間して配置された第2保護シートと、前記第2保護シートから露出した前記第2配線の一部を覆うとともに前記半導体基板と前記第1保護シート及び前記第2保護シートとの間の領域において前記第2保護シートより薄い絶縁部材と、を有し、前記絶縁部材から露出した前記第2配線が前記電気光学パネルと電気的に接続されたフレキシブル配線基板と、を備え、
前記第1保護シート及び前記第2保護シートは、それぞれポリイミドを含み、
前記絶縁部材は、ソルダーレジストを含み、前記半導体基板の一部と重なるとともに前記第1保護シート及び前記第2保護シートの一部と重なるように配置されており、前記第2保護シートの側面を覆うことを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記フレキシブル配線基板は、複数の端子を備え、前記絶縁部材は、前記複数の端子の配列方向に沿って設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記フレキシブル配線基板の絶縁部材は、前記フレキシブル配線基板の第2配線と前記電気光学パネルの半導体基板との間に設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の電気光学装置であって、
前記電気光学パネルは、前記半導体基板の一辺に沿って設けられたパネル側端子を有し、
前記フレキシブル配線基板の第2配線は、前記パネル側端子と電気的に接続されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電気光学装置であって、
前記フレキシブル配線基板の絶縁部材は、前記半導体基板の側面の角部と接することを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置としての反射型液晶パネルが特許文献1に開示されている。それによると、電気光学装置はフレキシブル配線基板としてのフレキシブルテープ配線を備える。フレキシブル配線基板は、フィルム状のベース基板上に、導電性の配線を形成した柔軟性のある配線基板であり、端部には接続配線がストライプ状に形成された接続部を有していた。また、ベース基板には、絶縁性を確保するためにテープ状の保護部材が貼り合されており、接続部は、保護部材から露出している。
【0003】
当該電気光学装置は、反射型液晶パネルであるため、基板に透光性は必要なく、シリコン基板を用いている。当該シリコン基板の端部には、フレキシブル配線基板の接続部と電気的に接続を取るためのパネル側端子としての接続端子部が形成されている。シリコン基板の接続端子部と、フレキシブル配線基板の接続部とは、異方性導電膜を介して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のフレキシブル配線基板では、シリコン基板との接続の際に、配線ショートが発生し兼ねないという課題があった。詳しくは、シリコン基板は半導体であるため、フレキシブル配線基板の接続部がシリコン基板のエッジ部と接触すると、ショートが発生する恐れがあった。ショートを防ぐために、保護部材の被覆を長くして、接続部の露出長さを短くすることも考えられるが、そうすると実装不良が増える恐れがあった。詳しくは、ポリイミド等から構成される保護部材は厚く、また、貼り付け精度も良くないため、接続部の露出長さを短くすると、異方性導電膜による接続時に、保護部材がシリコン基板の接続端子部と重なってしまい、接続不良となる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電気光学装置は、半導体基板と、有機EL素子と、を有する電気光学パネルと、可撓性を有する基材と、前記基材の一方の面側に配置される第1配線と、前記第1配線を覆うとともに平面視において前記半導体基板と離間して配置された第1保護シートと、前記基材の他方の面側に配置される第2配線と、前記第2配線を覆うとともに平面視において前記半導体基板と離間して配置された第2保護シートと、前記第2保護シートから露出した前記第2配線の一部を覆うとともに前記半導体基板と前記第1保護シート及び前記第2保護シートとの間の領域において前記第2保護シートより薄い絶縁部材と、を有し、前記絶縁部材から露出した前記第2配線が前記電気光学パネルと電気的に接続されたフレキシブル配線基板と、を備え、前記第1保護シート及び前記第2保護シートは、それぞれポリイミドを含み、前記絶縁部材は、ソルダーレジストを含み、前記半導体基板の一部と重なるとともに前記第1保護シート及び前記第2保護シートの一部のみと重なるように配置されていることを特徴とする。
また、平面視において、前記第2保護シートは、前記第1保護シートよりも前記半導体基板から離れた位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
上記のフレキシブル配線基板では、前記基材の平面視において前記絶縁部材は前記保護部材と一部が重なることが好ましい。
【0008】
上記のフレキシブル配線基板では、前記絶縁部材は前記保護部材の側面を覆うことが好ましい。
【0009】
上記のフレキシブル配線基板では、前記絶縁部材は感光性樹脂材料を含むことが好ましい。
【0010】
上記のフレキシブル配線基板では、前記絶縁部材はソルダーレジストを含むことが好ましい。
【0011】
上記のフレキシブル配線基板は、複数の端子を備え、前記絶縁部材は前記複数の端子の配列方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0012】
上記のフレキシブル配線基板では、前記保護部材はポリイミドを含むことが好ましい。
【0013】
電気光学装置は、半導体基板を有する電気光学パネルと、上記に記載のフレキシブル配線基板と、を備え、前記フレキシブル配線基板の絶縁部材は、前記フレキシブル配線基板の基材と前記電気光学パネルの半導体基板との間に設けられていることを特徴とする。
また、電気光学装置は、半導体基板と、前記半導体基板の一辺に沿って設けられたパネル側端子と、を有する電気光学パネルと、上記に記載のフレキシブル配線基板と、を備え、前記フレキシブル配線基板の配線は前記パネル側端子と電気的に接続されることを特徴とする。
【0014】
上記の電気光学装置では、前記フレキシブル配線基板が備える絶縁部材は前記半導体基板の側面の角部と接することが好ましい。
【0015】
電子機器は上記に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態にかかわるフレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式平面図。
【
図2】フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式側断面図。
【
図3】第2の実施形態にかかわるフレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式側断面図。
【
図4】第3の実施形態にかかわるフレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式側断面図。
【
図5】フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式平面図。
【
図6】第4の実施形態にかかわるHMDの光学系の構造を示す模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施形態
本実施形態では、フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の特徴的な例について、図に従って説明する。第1の実施形態にかかわる電気光学装置について
図1~
図2に従って説明する。
図1は、フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式平面図である。
図2は、フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式側断面図である。
【0018】
図1及び
図2に示すように、電気光学装置1は電気光学パネル2及びフレキシブル配線基板3を備える。電気光学パネル2は本体部4を備える。本体部4は外形を形作る半導体基板としてのシリコン基板5を備える。シリコン基板5は平面形状が四角形の板である。四角形の隣り合う2辺が延びる方向をX方向及びY方向とする。シリコン基板5の厚み方向をZ方向とする。X方向、Y方向、Z方向は互いに直交する。電気光学パネル2に対してフレキシブル配線基板3が配置される方向を+X方向とする。
【0019】
シリコン基板5の+Z方向側の面には発光部6が配置されている。発光部6には有機EL材料(Electronic Luminescent)を含んで構成される有機EL素子がマトリックス状に配置されている。各有機EL素子がカラーの光を+Z方向に射出する。有機EL素子はOLED素子(Organic light-emitting diodes)ともいう。発光部6では各有機EL素子における光の色と強度が制御されるので発光部6は映像を表示する。発光部6の+Z方向側には保護ガラス7が配置されている。保護ガラス7はシリコン基板5と協働して発光部6を密閉する。
【0020】
電気光学パネル2ではシリコン基板5の+Z方向上の+X方向の面にパネル側端子8が複数配置されている。パネル側端子8はシリコン基板5の一辺に沿って設けられる。パネル側端子8は+Y方向に並んで配置されている。パネル側端子8は発光部6に送信する映像信号等の電気信号を入力する端子である。パネル側端子8の数は限定されないが図を見やすくするために図中には10個のパネル側端子8が記載されている。
【0021】
フレキシブル配線基板3はX方向に長い。フレキシブル配線基板3の-X方向側の端を第1端3aとし、+X方向側の端を第2端3bとする。第1端3aは電気光学パネル2と電気的に接続される。第2端3bは電気光学パネル2を制御する制御基板等と電気的に接続される。
【0022】
フレキシブル配線基板3は基材としての主基板9を備える。主基板9はポリイミド等の樹脂フィルムで形成され可撓性を有する。主基板9は第1端3aから第2端3bまで配置される。主基板9の-Z方向側の面には主基板9上に複数の配線としての主配線10が配置されている。主配線10の数はパネル側端子8の数と同じである。
図1に示すように、Y方向における主配線10のピッチはパネル側端子8のピッチと同じ距離になっている。主配線10は銅箔等の金属箔で形成されている。主配線10は第1端3aから第2端3bまで配置されている。
【0023】
第1端3aにおいて本体部4とフレキシブル配線基板3とは異方性導電膜19により接着固定される。各主配線10は各パネル側端子8とそれぞれ電気的に接続される。フレキシブル配線基板3の主配線10はパネル側端子8と電気的に接続される。
【0024】
主基板9の+Z方向側の面には副配線11が配置されている。フレキシブル配線基板3の平面視において主配線10と副配線11とは重ねて配置されている。副配線11はX方向の長さが主配線10より短い。主基板9には厚み方向に貫通する貫通孔9aが形成されている。貫通孔9aには銅等の金属メッキで、各主配線10と各副配線11とがそれぞれ電気的に接続される。主配線10と副配線11とが平行に配置されることにより高速伝送用FPC(Flexible printed circuits)でのインピーダンス制御が可能である。
【0025】
主基板9及び副配線11の+Z方向側の面には第1接着剤12を介して第1保護シート13が配置されている。第1接着剤12は第1保護シート13を主基板9に接着固定する。第1接着剤12及び第1保護シート13は副配線11を覆い電気的、機械的、化学的に保護をする。第1保護シート13はポリイミド等の樹脂フィルムで形成されている。
【0026】
第1保護シート13の+Z方向側の面には第2接着剤14を介して補強板15が配置されている。第2接着剤14は補強板15を第1保護シート13に接着固定する。補強板15は第2端3bを補強して硬く曲がり難くする。フレキシブル配線基板3は第2端3bが硬いので、ソケット等に差し込み易い。
【0027】
主基板9及び主配線10の-Z方向側の面には第3接着剤16を介して保護部材としての第2保護シート17が配置されている。第3接着剤16は第2保護シート17を主基板9に接着固定する。第2保護シート17は主配線10を覆い電気的、機械的、化学的に保護する。
【0028】
第2保護シート17はポリイミドを含む樹脂フィルムで形成されている。ポリイミドは可撓性を有し絶縁性が高いので、フレキシブル配線基板3の材料として機能できる。また、第2保護シート17の代わりにソルダーレジストのような感光性樹脂を全面に配置するとフレキシブル配線基板3が反ってしまう。第2保護シート17はフレキシブル配線基板3の反りを抑制する。
【0029】
第3接着剤16及び第2保護シート17はX方向の長さが主基板9及び主配線10より短い。第1端3a及び第2端3bでは主配線10が第2保護シート17から露出する。主基板9及び主配線10上には第2保護シート17から露出した主配線10の一部を覆い第2保護シート17より薄い絶縁部材18が配置されている。
【0030】
絶縁部材18は感光性樹脂材料を含む。感光性樹脂は光の照射により硬化する。感光性樹脂は熱硬化樹脂に比べて短時間で硬化するので、生産性良く絶縁部材18を配置できる。
【0031】
絶縁部材18はソルダーレジストを含む。ソルダーレジストは印刷により容易に塗布できる。従って、生産性良く絶縁部材18を配置できる。
【0032】
詳しくは、フレキシブル配線基板3の-Z方向側の面は5つの領域で形態が異なる。第1端3a側の領域を第1領域3cとする。第1領域3cでは主配線10が露出する。第1領域3cで露出する部分の主配線10を端子としての第1端子21とする。第1端子21はパネル側端子8と電気的に接続する。フレキシブル配線基板3は複数の第1端子21を備え、第1端子21はパネル側端子8と同様にシリコン基板5の側面5aに沿って配列する。
【0033】
第1領域3cの第2端3b側に隣接する領域を第2領域3dとする。第2領域3dでは主配線10を絶縁部材18が覆う。絶縁部材18は複数の第1端子21の配列方向に沿って設けられている。絶縁部材18はシリコン基板5の側面5aに沿って配置される。フレキシブル配線基板3がシリコン基板5の厚み方向に曲がるとき、シリコン基板5の側面5aや角部5bは絶縁部材18と接する。従って、電気光学装置1では主配線10がシリコン基板5の側面5aや角部5bと接することを防止できる。
【0034】
フレキシブル配線基板3が備える絶縁部材18はシリコン基板5の側面5aの角部5bと接する。絶縁部材18がシリコン基板5と接しても、主配線10はシリコン基板5と接しない。従って、主配線10がシリコン基板5を介して短絡することを防止できる。
【0035】
第2領域3dの第2端3b側に隣接する領域を第3領域3eとする。第3領域3eでは主配線10を絶縁部材18、第3接着剤16及び第2保護シート17が覆う。主基板9の平面視において絶縁部材18は第2保護シート17と一部が重なる。主配線10は絶縁部材18と第2保護シート17とのいずれかにより覆われるので主配線10が露出することを防止できる。
【0036】
第3領域3eの第2端3b側に隣接する領域を第4領域3fとする。第4領域3fでは主配線10を第3接着剤16及び第2保護シート17が覆う。主配線10は第2保護シート17により覆われるので主配線10が露出することを防止できる。
【0037】
第4領域3fの第2端3b側に隣接する領域を第5領域3gとする。第5領域3gでは主配線10が露出する。第5領域3gで露出する部分の主配線10を第2端子22とする。第2端子22は電気光学パネル2を制御する制御基板等と接続される。
【0038】
各部位の寸法は特に限定されない。本実施形態の例を示す。保護ガラス7の厚みは1mmである。シリコン基板5の厚みは0.7mmである。保護ガラス7の+X方向側の面と側面5aとの距離は3.5mmである。パネル側端子8のX方向の長さは0.8mmである。パネル側端子8の+X方向側の面と側面5aとの距離は0.5mmである。第2保護シート17の-X方向側の面と主基板9の-X方向側の面との距離は2.6mmである。第2保護シート17の-X方向側の面と絶縁部材18の-X方向側の面との距離は1.5mmである。主基板9に対する第2保護シート17の貼り付けの位置のばらつきは約0.1mmである。この寸法のとき主基板9に対する第2保護シート17の位置がばらついても第2保護シート17がシリコン基板5の側面5aと干渉することを抑制できる。したがって、第2保護シート17が主基板9とシリコン基板5とに挟まれることを防止できる。
【0039】
次に、フレキシブル配線基板3の製造方法の一例について説明する。フレキシブル配線基板3の製造方法は各種の方法を用いることができるので限定されない。主基板9の材料となるポリイミドシートを用意する。プレス機械を用いてポリイミドシートに貫通孔9aを形成する。電解めっき法にて主基板9の両面に銅の膜を形成する。
【0040】
次に、銅の膜を主配線10及び副配線11の形状にパターニングする。スクリーン印刷法にて主配線10及び副配線11の形状に樹脂材料を配置してマスクを形成する。銅の膜をエッチングしてマスクを除去することにより主配線10及び副配線11の形状が形成される。スクリーン印刷法にて絶縁部材18を配置する。絶縁部材18は光硬化性樹脂であり、紫外線の照射により固化される。次に、主配線10及び副配線11の形状が形成されたポリイミドシートの外形をプレス機械にて主基板9の形状に形成する。
【0041】
プレス機械を用いてポリイミドシートを第2保護シート17、第1保護シート13及び補強板15の形状に形成する。第2保護シート17に第3接着剤16を塗布して、第2保護シート17を主基板9に貼り付ける。第1保護シート13に第1接着剤12を塗布して、第1保護シート13を主基板9に貼り付ける。補強板15に第2接着剤14を塗布して、補強板15を第1保護シート13に貼り付ける。以上の工程によりフレキシブル配線基板3が完成する。
【0042】
電気光学パネル2のパネル側端子8上に異方性導電膜19を配置する。異方性導電膜19はACF(Anisotropic Conductive Film)ともいう。異方性導電膜19上にフレキシブル配線基板3の第1端子21を配置する。シリコン基板5の平面視にてパネル側端子8と第1端子21とを重ねて配置する。加熱治具にてフレキシブル配線基板3の第1領域3cをシリコン基板5に押圧して加熱する。加熱治具の温度を下げるとフレキシブル配線基板3が電気光学パネル2に接着固定される。以上の工程により電気光学装置1が完成する。
【0043】
この構成によれば、絶縁部材18がシリコン基板5と接するとき絶縁部材18は第2保護シート17より薄いので、主基板9が曲る量は小さい。主基板9に生ずる内部応力も小さい。このため、パネル側端子8と第1端子21との接続部に応力が作用し難いので接続部が剥がれ難い。
【0044】
絶縁部材18を配置することにより、シリコン基板5の側面5aから第2保護シート17を離すことができる。従って、第2保護シート17がシリコン基板5のパネル側端子8と重なってしまい、接続不良となることを防止できる。
【0045】
第2の実施形態
フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の一実施形態について
図3のフレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式側断面図を用いて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、
図2に示した絶縁部材18の形状が異なる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0046】
本実施形態では、
図3に示すように電気光学装置25は電気光学パネル2及びフレキシブル配線基板26を備える。電気光学パネル2は本体部4を備える。本体部4は外形を形作る半導体基板としてのシリコン基板5を備える。フレキシブル配線基板26の-X方向側の端を第1端26aとし、+X方向側の端を第2端26bとする。
【0047】
フレキシブル配線基板26の-Z方向側の面を第1領域26c~第5領域26gに分ける。第1領域26c~第5領域26gは第1実施形態の第1領域3c~第5領域3gにそれぞれ対応する領域である。第2領域26dにおいて主基板9及び主配線10の-Z方向側の面には絶縁部材27が配置されている。絶縁部材27は第1の実施形態の絶縁部材18に対応する。
【0048】
絶縁部材27は第2保護シート17の側面17aを覆う。また、絶縁部材27は第2保護シート17の端部を覆っている。絶縁部材27と第2保護シート17とが接するので、絶縁部材27と第2保護シート17との境で主配線10が露出することを防止できる。第2領域26dでは第1端26a側の第2保護シート17上に絶縁部材27が配置されている。
【0049】
フレキシブル配線基板26を製造する工程では、主基板9に第2保護シート17を貼り付けた後で、絶縁部材27を配置する。
【0050】
第3の実施形態
フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の一実施形態について
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式側断面図である。
図5は、フレキシブル配線基板が配置された電気光学装置の構造を示す模式平面図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、電気光学装置が液晶表示装置の1種類であるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)を備える点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0051】
図4及び
図5に示すように、電気光学装置30は電気光学パネルとしての液晶パネル31及びフレキシブル配線基板32を備える。液晶パネル31はLCOSであり、反射型の表示装置である。液晶パネル31はガラスまたはセラミック等からなる支持基板33及び支持基板33上に接着剤で固着された半導体基板としての液晶パネル用基板34を備える。液晶パネル用基板34上には枠形状のシール材35が配置される。シール材35を挟んで液晶パネル用基板34と間隔をおいて対向配置する対向基板としてのガラス基板36が配置される。ガラス基板36は光入射側である。
【0052】
ガラス基板36には液晶パネル用基板34側に透明導電膜からなる対向電極37が配置される。液晶パネル用基板34とガラス基板36との間のシール材35で封止された隙間内にはSH型液晶38(Super Homeotropic)が充填される。SH型液晶38は電圧無印加状態で液晶分子が略垂直配向する。
【0053】
液晶パネル用基板34は、多数の画素電極40がマトリックス状に配置された矩形の画素領域41を有する。画素領域41は表示領域ともいう。
図5において画素領域41の左右辺の外側にはゲート線を走査する右側ゲート線駆動回路42a及び左側ゲート線駆動回路42bが配置される。
【0054】
画素領域41の上辺の外側にはデータ線のプリチャージ及びテスト回路43が配置される。画素領域41の下辺の外側には画像データに応じた画像信号をデータ線に供給する画像信号サンプリング回路44が配置される。右側ゲート線駆動回路42a、左側ゲート線駆動回路42b、プリチャージ及びテスト回路43及び画像信号サンプリング回路44の外側にはシール材35が位置決めされる枠形状のシール領域45が配置される。
【0055】
液晶パネル31の下側端に沿って複数のパネル側端子としての端子パッド46が配列される。端子パッド46は異方性導電膜19を介してフレキシブル配線基板32に固着接続される。端子パッド46の列とシール領域45との間にはデータ線駆動回路47が配置される。データ線駆動回路47は画像データに応じた画像信号をデータ線に供給する。データ線駆動回路47の両脇には右側中継端子パッド48a及び左側中継端子パッド48bが配置される。右側中継端子パッド48a及び左側中継端子パッド48bはガラス基板36の対向電極37に給電する。
【0056】
図4に示すように、液晶パネル用基板34上には遮光膜50が配置される。遮光膜50は右側ゲート線駆動回路42a、左側ゲート線駆動回路42b、プリチャージ及びテスト回路43及び画像信号サンプリング回路44に光が入射するのを防止する。右側ゲート線駆動回路42a、左側ゲート線駆動回路42bとデータ線駆動回路47は各々シフトレジスターを有する。シフトレジスターのシフトデータの転送に応じて、右側ゲート線駆動回路42a及び左側ゲート線駆動回路42bは走査信号をゲート線に供給する。データ線駆動回路47はサンプリング信号を画像信号サンプリング回路44に各々供給する。画像信号サンプリング回路44はサンプリング信号を受けて画像信号をデータ線に供給する。
【0057】
液晶パネル31の画素領域41は約20mm角の大形サイズである。液晶パネル用基板34は単結晶シリコンのP-型半導体基板を備える。P-型半導体基板の表面にはP型ウェル領域が形成されている。P型ウェル領域その上にはフィールド酸化膜が形成されている。この構造をLOCOS(Local Oxidation of Silicon)という。P型ウェル領域は、例えば、画素数768×1024というような画素がマトリックス状に配置された画素領域41の共通ウェル領域として形成されている。画素領域41の共通ウェル領域は右側ゲート線駆動回路42a、左側ゲート線駆動回路42b、プリチャージ及びテスト回路43、画像信号サンプリング回路44及びデータ線駆動回路47を構成する素子を作り込む部分のP型ウェル領域とは分離されている。
【0058】
ガラス基板36に入射する光51はガラス基板36及びSH型液晶38を通過して液晶パネル用基板34にて反射する。再度、光51はSH型液晶38及びガラス基板36を通過してガラス基板36から射出する。光51はSH型液晶38を通過するときに変調される。画素毎に光51が変調されるので、画素領域41では画像信号に対応する画像が表示される。
【0059】
液晶パネル31は液晶パネル用基板34と、液晶パネル用基板34の一辺に沿って設けられた端子パッド46と、を有する。フレキシブル配線基板32にはフレキシブル配線基板3またはフレキシブル配線基板26が用いられる。フレキシブル配線基板32の配線32aは端子パッド46と電気的に接続される。フレキシブル配線基板32が液晶パネル用基板34の厚み方向に曲がるとき、フレキシブル配線基板32は絶縁部材18または絶縁部材27が液晶パネル用基板34の側面34aの角部34bと接する。従って、フレキシブル配線基板32の配線32aと液晶パネル用基板34とが接することを防止できる。
【0060】
第4の実施形態
電気光学装置が配置された電子機器であるHMD(Head Mounted Display)の一実施形態について
図6を用いて説明する。
図6は、HMDの光学系の構造を示す模式平面図である。
図6には説明のため使用者の左眼及び右眼を図示する。
【0061】
図6に示すように、電子機器としてのHMD60は左右対称に構成される右表示ユニット61及び左表示ユニット62を備える。右表示ユニット61は使用者の右眼63に画像を視認させる。左表示ユニット62は使用者の左眼64に画像を視認させる。右表示ユニット61は、右映像ユニット65を備える。右映像ユニット65は電気光学装置66及び右OLED駆動回路70を備える。電気光学装置66には第1の実施形態における電気光学装置1が用いられる。電気光学装置66は画像光67を発する。画像光67は右眼63及び左眼64の網膜に画像を形成する光を示す。右表示ユニット61は右光学系68及び右導光板69を備える。右光学系68は画像光67を導くレンズ群等を備える。画像光67は右光学系68により右導光板69に導かれる。
【0062】
右OLED駆動回路70は電気光学装置66を駆動する。電気光学装置66の電気光学パネル2には有機エレクトロルミネッセンスにより赤、緑、青の光をそれぞれ発する発光素子がマトリックス状に配置されている。電気光学パネル2は、赤、緑、青の光をそれぞれ発する発光素子を1個ずつ含む単位を1画素として、複数の画素を備える。電気光学パネル2はマトリックス状に配置される画素により画像を形成する。
【0063】
右OLED駆動回路70は画像データを入力する。電気光学パネル2が備える発光素子の選択及び発光素子への通電を実行して、右OLED駆動回路70は電気光学パネル2の発光素子を発光させる。右OLED駆動回路70は電気光学パネル2の発光面の裏側に配置される。右OLED駆動回路70と電気光学パネル2とはフレキシブル配線基板3により電気的に接続される。右OLED駆動回路70は電気光学パネル2を駆動する半導体デバイスで構成される。
【0064】
右光学系68は電気光学パネル2から射出された画像光67を平行状態の光束にするコリメートレンズを有する。コリメートレンズにより平行状態の光束にされた画像光67は、右導光板69に入射される。右導光板69の内部において画像光67を導く光路には、画像光67を反射する複数の反射面が配置される。画像光67は右導光板69の内部で複数回の反射を経て右眼63側に導かれる。右導光板69には右眼63の眼前にハーフミラー71が配置される。右導光板69では画像光67がハーフミラー71で反射して右眼63に向けて射出される。画像光67が右眼63の網膜に像を結び、使用者に画像を視認させる。
【0065】
左表示ユニット62は右表示ユニット61と同様の構造になっている。左表示ユニット62は左映像ユニット72、左光学系73、左導光板74を備える。左映像ユニット72は電気光学装置75及び左OLED駆動回路76を備える。電気光学装置75には第1の実施形態における電気光学装置1が用いられる。電気光学装置1では電気光学パネル2が画像光67を発する。左光学系73はレンズ群等を備え、電気光学装置75が発する画像光67を左光学系73が左導光板74に導く。
【0066】
左OLED駆動回路76は画像データを入力する。左OLED駆動回路76は電気光学パネル2が備える発光素子の選択及び発光素子への通電を実行して、電気光学パネル2の発光素子を発光させる。左OLED駆動回路76は、電気光学パネル2の発光面の裏側に配置される。左OLED駆動回路76は右OLED駆動回路70と同様の回路である。
【0067】
左光学系73は電気光学パネル2から射出された画像光67を平行状態の光束にするコリメートレンズを有する。コリメートレンズにより平行状態の光束にされた画像光67は、左導光板74に入射される。左導光板74の内部において光を導く光路には、画像光67を反射する複数の反射面が配置される。画像光67は、左導光板74の内部で複数回の反射を経て左眼64側に導かれる。左導光板74には左眼64の眼前に位置するハーフミラー77が配置される。左導光板74では画像光67がハーフミラー77で反射して左眼64に向けて射出される。画像光67が左眼64の網膜に像を結び、使用者に画像を視認させる。
【0068】
HMD60はシースルー型の表示装置として機能する。使用者の右眼63には、ハーフミラー71で反射した画像光67と、右導光板69を透過した外光78とが入射する。左眼64にはハーフミラー77で反射した画像光67とハーフミラー77を透過した外光78とが入射する。HMD60は画像光67と外光78とを重ねて使用者の眼に入射させる。使用者には右導光板69及び左導光板74を透かして外景が見え、外景に重ねて画像光67による画像が視認される。ハーフミラー71及びハーフミラー77は、右表示ユニット61及び左表示ユニット62がそれぞれ出力する画像光67を反射して画像を取り出す画像取り出し部である。
【0069】
HMD60は第1の実施形態における電気光学装置1を備える。電気光学装置1はフレキシブル配線基板3がシリコン基板5の厚み方向に曲がるときにも、第2保護シート17がシリコン基板5と重なってしまい、接続不良となることを防止できる。従って、HMD60はフレキシブル配線基板3がシリコン基板5の厚み方向に曲がるときにも、接続不良となることを防止できる電気光学装置1を備えた機器とすることができる。
【0070】
変形例1
前記第1の実施形態では、絶縁部材18は感光性樹脂材料を含んでいた。絶縁部材18は感光性樹脂材料の代わりに熱硬化性の樹脂材料を含んでもよい。光51を当て難いときにも絶縁部材18を加熱して硬化させることができる。
【0071】
変形例2
前記第1の実施形態では絶縁部材18はソルダーレジストを含んでいた。絶縁部材18はソルダーレジストを含まない樹脂材料でも良い。塗布し易い樹脂材料を用いても良い。
【0072】
変形例3
前記第1の実施形態では第2保護シート17はポリイミドを含む樹脂フィルムで形成されていた。第2保護シート17はポリイミド以外を含む樹脂フィルムで形成されても良い。第2保護シート17は耐熱性を要求されないので、入手し易い樹脂材料を用いても良い。
【0073】
変形例4
前記第4の実施形態では、電気光学装置66及び電気光学装置75に第1の実施形態における電気光学装置1を用いた。電気光学装置66及び電気光学装置75に第2の実施形態における電気光学装置25を用いても良い。電気光学装置66及び電気光学装置75に第3の実施形態における電気光学装置30と光源とを組み合わせて用いても良い。電気光学装置30はフレキシブル配線基板32が液晶パネル用基板34の厚み方向に曲がるときにも、第2保護シート17が液晶パネル用基板34と重なってしまい、接続不良となることを防止できる。従って、HMD60はフレキシブル配線基板32が液晶パネル用基板34の厚み方向に曲がるときにも、接続不良となることを防止できる電気光学装置30を備えた機器とすることができる。
【0074】
変形例5
前記第4の実施形態では、電気光学装置1を備える電子機器の例としてHMD60を示した。他の電子機器に電気光学装置1、電気光学装置25または電気光学装置30を用いても良い。例えば、投射型表示装置、投射型のHUD(Head-Up Display)、携帯電話機、情報携帯端末、PDA(PersonalDigitalAssistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話等に電気光学装置1、電気光学装置25または電気光学装置30を用いても良い。このときにも、フレキシブル配線基板3、フレキシブル配線基板26またはフレキシブル配線基板32が厚み方向に曲がるときにも、接続不良となることを防止できる。
【0075】
以下に、実施形態から導きだされる内容を記載する。
【0076】
フレキシブル配線基板は、可撓性を有する基材と、前記基材上に配置される配線と、前記配線を覆う保護部材と、前記保護部材から露出した前記配線の一部を覆い前記保護部材より薄い絶縁部材と、を備えることを特徴とする。
【0077】
この構成によれば、フレキシブル配線基板は可撓性を有する基材を備える。基材上には配線が配置される。配線を覆って保護部材が配置される。保護部材が配線を保護する。配線は一部が露出する。保護部材から露出した配線の一部を覆って絶縁部材が配置される。例えば、フレキシブル配線基板の配線は、半導体基板に配置された半導体基板側端子と電気的に接続される。半導体基板側端子と保護部材との間に半導体基板の側面が位置するとき、フレキシブル配線基板は絶縁部材が半導体基板の側面と接する。絶縁部材は配線と半導体基板とが短絡することを防止する。絶縁部材は保護部材より薄い。
【0078】
配線の露出した部分と半導体基板側端子とが異方性導電膜等を介して電気的に接続される。例えば保護部材の厚みは半導体基板側端子の厚みより厚い。半導体基板側端子の近くに保護部材が配置されるとき、保護部材が半導体基板と接して基材が曲り基材に内部応力が生ずる。このため、半導体基板側端子と配線との接続部に応力が作用して接続部が剥がれやすくなる。半導体基板側端子と保護部材とが互いに離して配置されるとき、基材が曲る量が小さいので基材に内部応力が生じ難い。
【0079】
絶縁部材が半導体基板と接するとき絶縁部材は薄いので、基材が曲る量は小さい。基材に生ずる内部応力も小さい。このため、半導体基板側端子と配線との接続部に応力が作用し難いので接続部が剥がれ難い。絶縁部材を配置することにより、半導体基板の側面から保護部材を離すことができる。従って、保護部材が半導体基板側端子と重なってしまい、接続不良となることを防止できる。
【0080】
上記のフレキシブル配線基板では、前記基材の平面視において前記絶縁部材は前記保護部材と一部が重なることが好ましい。
【0081】
この構成によれば、基材の平面視において絶縁部材は保護部材と一部が重なる。配線は絶縁部材と保護部材とのいずれかにより覆われるので配線が露出することを防止できる。
【0082】
上記のフレキシブル配線基板では、前記絶縁部材は前記保護部材の側面を覆うことが好ましい。
【0083】
この構成によれば、絶縁部材は保護部材の側面を覆う。このとき、絶縁部材と保護部材とが接するので、絶縁部材と保護部材との境で配線が露出することを防止できる。
【0084】
上記のフレキシブル配線基板では、前記絶縁部材は感光性樹脂材料を含むことが好ましい。
【0085】
この構成によれば、絶縁部材は感光性樹脂材料を含む。感光性樹脂は光の照射により硬化する。感光性樹脂は熱硬化樹脂に比べて短時間で硬化するので、生産性良く絶縁部材を配置できる。
【0086】
上記のフレキシブル配線基板では、前記絶縁部材はソルダーレジストを含むことが好ましい。
【0087】
この構成によれば、絶縁部材はソルダーレジストを含む。ソルダーレジストは印刷により容易に塗布できる。従って、生産性良く絶縁部材を配置できる。
【0088】
上記のフレキシブル配線基板は、複数の端子を備え、前記絶縁部材は前記複数の端子の配列方向に沿って設けられていることが好ましい。
【0089】
この構成によれば、フレキシブル配線基板は複数の端子を備える。配線の端子は半導体基板の半導体基板側端子と異方性導電膜等を介して電気的に接続する。半導体基板側端子は半導体基板の側面に沿って配置される。そして、絶縁部材はフレキシブル配線基板の複数の端子の配列方向に沿って設けられている。絶縁部材は半導体基板の側面に沿って配置される。フレキシブル配線基板が半導体基板の厚み方向に曲がるとき、半導体基板の側面は絶縁部材と接する。従って、配線が半導体基板の側面と接することを防止できる。
【0090】
上記のフレキシブル配線基板では、前記保護部材はポリイミドを含むことが好ましい。
【0091】
この構成によれば、保護部材はポリイミドを含む。ポリイミドは可撓性を有し絶縁性が高いので、フレキシブル配線基板の材料として機能できる。
【0092】
電気光学装置は、半導体基板と、前記半導体基板の一辺に沿って設けられたパネル側端子と、を有する電気光学パネルと、上記に記載のフレキシブル配線基板と、を備え、前記フレキシブル配線基板の配線は前記パネル側端子と電気的に接続されることを特徴とする。
【0093】
この構成によれば、電気光学パネルは半導体基板を備える。半導体基板の一辺に沿ってパネル側端子が設けられる。フレキシブル配線基板の配線はパネル側端子と電気的に接続される。フレキシブル配線基板が半導体基板の厚み方向に曲がるとき、フレキシブル配線基板は絶縁部材が半導体基板の側面と接する。従って、配線と半導体基板とが接することを防止できる。
【0094】
上記の電気光学装置では、前記フレキシブル配線基板が備える絶縁部材は前記半導体基板の側面の角部と接することが好ましい。
【0095】
この構成によれば、フレキシブル配線基板が備える絶縁部材は半導体基板の側面の角部と接する。絶縁部材が半導体基板と接しても、配線は半導体基板と接しない。従って、配線が短絡することを防止できる。
【0096】
電子機器は上記に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする。
【0097】
この構成によれば、電子機器は上記の電気光学装置を備える。上記の電気光学装置はフレキシブル配線基板が半導体基板の厚み方向に曲がるときにも、保護部材が半導体基板と重なってしまい、接続不良となることを防止できる。従って、電子機器はフレキシブル配線基板が半導体基板の厚み方向に曲がるときにも、接続不良となることを防止できる電気光学装置を備えた機器とすることができる。
【符号の説明】
【0098】
1,30,66…電気光学装置、2…電気光学パネル、3,26,32…フレキシブル配線基板、5…半導体基板としてのシリコン基板、5a,17a…側面、5b…角部、8…パネル側端子、9…基材としての主基板、10…配線としての主配線、17…保護部材としての第2保護シート、18,27…絶縁部材、21…端子としての第1端子、31…電気光学パネルとしての液晶パネル、34…半導体基板としての液晶パネル用基板、46…パネル側端子としての端子パッド、60…電子機器としてのHMD。