IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-液体吐出装置 図1
  • 特許-液体吐出装置 図2
  • 特許-液体吐出装置 図3
  • 特許-液体吐出装置 図4
  • 特許-液体吐出装置 図5
  • 特許-液体吐出装置 図6
  • 特許-液体吐出装置 図7
  • 特許-液体吐出装置 図8
  • 特許-液体吐出装置 図9
  • 特許-液体吐出装置 図10
  • 特許-液体吐出装置 図11
  • 特許-液体吐出装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231129BHJP
   B41J 2/15 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/15
B41J2/01 401
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019156758
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021030687
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】鐘ヶ江 貴公
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸朗
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-189897(JP,A)
【文献】特開2010-018019(JP,A)
【文献】特開2010-264700(JP,A)
【文献】特開2017-136720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0306968(US,A1)
【文献】特開2016-193508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1インクを吐出するノズルを含む複数の第1ノズルから構成される複数のノズル列が設けられる第1ヘッドユニットと、
前記第1インクとは異なる色の第2インクを吐出するノズルを含む複数の第2ノズルから構成される複数のノズル列が設けられる第2ヘッドユニットと、を有する液体吐出装置であって、
前記第1ヘッドユニットは、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられる第1部分と、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、第1方向における位置が前記第1部分と異なり、前記第1部分よりも前記第1方向に交差する第2方向における幅が短い第2部分と、を有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられる第4部分と、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置が前記第4部分と異なり、前記第4部分よりも前記第2方向における幅が短い第5部分と、を有し、
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとの少なくとも一部が前記第1方向に重畳せず、前記第2部分と前記第5部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳せず、且つ、前記第2部分と前記第4部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳するように、前記第2方向に並んで配置されている
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
第1インクを吐出するノズルを含む複数の第1ノズルから構成される複数のノズル列が設けられる第1ヘッドユニットと、
前記第1インクとは異なる色の第2インクを吐出するノズルを含む複数の第2ノズルから構成される複数のノズル列が設けられる第2ヘッドユニットと、を有する液体吐出装置であって、
前記第1ヘッドユニットは、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられる第1部分と、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、第1方向における位置が前記第1部分と異なり、前記第1部分よりも前記第1方向に交差する第2方向における幅が短い第2部分と、を有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられる第4部分と、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置が前記第4部分と異なり、前記第4部分よりも前記第2方向における幅が短い第5部分と、を有し、
前記第2部分は、前記第1部分の前記第1方向における一方側に位置し、
前記第5部分は、前記第4部分の前記第1方向における前記一方側に位置し、
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとの少なくとも一部が前記第1方向に重畳せず、前記第2部分と前記第5部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳しないように、前記第2方向に並んで配置されている
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第2部分と前記第5部分との全部が前記第1方向に重畳せず、且つ、前記第2部分の全部が前記第4部分に重畳するように、前記第2方向に並んで配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1ヘッドユニットは、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置と前記第2方向における位置とのそれぞれが前記第2部分とは異なり、前記第1部分よりも前記第2方向における幅が短い第3部分をさらに有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置と前記第2方向における位置とのそれぞれが前記第5部分とは異なり、前記第4部分よりも前記第2方向における幅が短い第6部分をさらに有し、
前記複数の第1ノズルのそれぞれは、前記第1部分、前記第2部分および前記第3部分のいずれかに設けられ、
前記複数の第2ノズルのそれぞれは、前記第4部分、前記第5部分および前記第6部分のいずれかに設けられる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、
前記第2部分と前記第6部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳せず、前記第3部分と前記第5部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳せず、かつ、前記第3部分と前記第6部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳しないように、前記第2方向に並んで配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2部分は、前記第1部分に対して前記第1方向における一方側で前記第1部分に接続され、
前記第3部分は、前記第1部分に対して前記第1方向における他方側で前記第1部分に接続される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第2部分における前記第2方向の一方側である第3側の端面は、前記第1部分における前記第3側の端面と前記第2方向における位置が同じであり、
前記第3部分における前記第2方向の他方側である第4側の端面は、前記第1部分における前記第4側の端面と前記第2方向における位置が同じである
ことを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第1ヘッドユニットは、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、一部が前記第2部分に他部が前記第1部分に位置する第1ヘッドと、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、一部が前記第3部分に他部が前記第1部分に位置する第2ヘッドと、を有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、一部が前記第5部分に他部が前記第4部分に位置する第3ヘッドと、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、一部が前記第6部分に他部が前記第4部分に位置する第4ヘッドと、を有する
ことを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1ヘッドユニットは、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、前記第1部分に位置する第5ヘッドと、
前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置が前記第5ヘッドとは異なり、前記第1部分に位置する第6ヘッドと、をさらに有し、
前記第2ヘッドユニットは、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、前記第4部分に位置する第7ヘッドと、
前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置が前記第7ヘッドとは異なり、前記第4部分に位置する第8ヘッドと、をさらに有する
ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記第1ヘッドユニットは、前記第1ヘッドおよび前記第2ヘッドが配置される第1ホルダーをさらに有し、
前記第2ヘッドユニットは、前記第3ヘッドおよび前記第4ヘッドが配置される第2ホルダーをさらに有する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記第1ヘッドユニットは、前記第1ヘッドおよび前記第2ヘッドを前記第1ホルダーに固定する第1固定板をさらに有し、
前記第2ヘッドユニットは、前記第3ヘッドおよび前記第4ヘッドを前記第2ホルダーに固定する第2固定板をさらに有する
ことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記第1ヘッドおよび前記第2ヘッドのそれぞれは、前記複数の第1ノズルのうちの一部が前記第1方向に配列される第1ノズル列を有し、
前記第3ヘッドおよび前記第4ヘッドのそれぞれは、前記複数の第2ノズルのうちの一部が前記第1方向に配列される第2ノズル列を有する
ことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
液体を吐出する複数の第3ノズルが設けられる第3ヘッドユニットをさらに有し、
前記第3ヘッドユニットは、
前記複数の第3ノズルのうち一部が設けられる第7部分と、
前記複数の第3ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置が前記第7部分と異なり、前記第2方向における幅が短い第8部分と、を有し、
前記第2ヘッドユニットと前記第3ヘッドユニットとは、前記第1方向において互いに異なる位置に配置され、
前記第1ヘッドユニットと前記第3ヘッドユニットとは、前記第2部分と前記第8部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳しないように、前記第2方向に並んで配置されている
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記第2ヘッドユニットと前記第3ヘッドユニットとは、前記第2方向において同じ位置に配置されている
ことを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インク等の液体を吐出する液体吐出装置が知られている。例えば、特許文献1には、液体を吐出するノズルが設けられるヘッドユニットを複数有する液体吐出装置が開示されている。この液体吐出装置に含まれるヘッドユニットは、中央部と比較すると幅が短い突出部を有する。この中央部および突出部には、それぞれノズルが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-136720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドユニットの突出部は、ヘッドユニットの中央部と比較すると幅が短いため、熱容量が小さくなり放熱し易い。したがって、突出部内の液体は、中央部内の液体と比較して温度が低くなる傾向がある。液体の温度が低いと、液体の粘度が上昇して液体の吐出量が減少するため、突出部と中央部とでは、液体の吐出量の差が現れやすい。ここで、複数のヘッドユニットをノズルの配列方向に対して交差する方向に並べて用いる場合、従来では、配列方向において、複数のヘッドユニットの各々の突出部が同じ位置に配置される。このため、従来では、前述の吐出量の差が強調されてしまい、この結果、記録画像において局所的な濃度差や全体的な濃度むらが発生し、画質低下を招くという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出する複数の第1ノズルが設けられる第1ヘッドユニットと、液体を吐出する複数の第2ノズルが設けられる第2ヘッドユニットと、を有する液体吐出装置であって、前記第1ヘッドユニットは、前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられる第1部分と、前記複数の第1ノズルのうち一部が設けられ、第1方向における位置が前記第1部分と異なり、前記第1部分よりも前記第1方向に交差する第2方向における幅が短い第2部分と、を有し、前記第2ヘッドユニットは、前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられる第4部分と、前記複数の第2ノズルのうち一部が設けられ、前記第1方向における位置が前記第4部分と異なり、前記第4部分よりも前記第2方向における幅が短い第5部分と、を有し、前記第1ヘッドユニットと前記第2ヘッドユニットとは、前記第2部分と前記第5部分との少なくとも一部が前記第1方向に重畳しないように、前記第2方向に並んで配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の構成を例示する概略図である。
図2】ヘッドモジュールの斜視図である。
図3】ヘッドユニットの分解斜視図である。
図4】ヘッドユニットをZ1方向からみた平面図である。
図5】ヘッドユニットをZ2方向からみた平面図である。
図6】ヘッドの平面図である。
図7】ヘッドユニットについてY軸での位置と液体の吐出量との関係を示す図である。
図8】ヘッドユニットの第1の配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。
図9】ヘッドユニットの第2の配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。
図10】ヘッドユニットの第3の配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。
図11】参考例におけるヘッドユニットの配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。
図12】変形例における2つのヘッドユニットの配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。図2に例示される通り、任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向の反対の方向をX2方向と表記する。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向およびY2方向と表記し、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向およびZ2方向と表記する。X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は鉛直方向に沿う軸線であり、Z2方向は鉛直方向の下方に相当する。なおX軸、Y軸、Z軸は相互に略90度の角度で交差していれば良い。
【0008】
1.第1実施形態
1-1.液体吐出装置100
図1は、第1実施形態に係る液体吐出装置100の構成を例示する概略図である。液体吐出装置100は、液体の一例であるインクを液滴として媒体11(以下単に記録媒体とも称する)に吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体11は、典型的には印刷用紙である。ただし、例えば樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体11として利用され得る。
【0009】
図1に例示される通り、液体吐出装置100には、インクを貯留する液体容器12が設置される。例えば液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、または、インクを補充可能なインクタンクが、液体容器12として利用される。図1に例示される通り、液体容器12は、液体容器12aと液体容器12bとを含む。液体容器12aには第1インクが貯留され、液体容器12bには第2インクが貯留される。第1インクと第2インクとは相異なる種類のインクである。第1インクと第2インクの一例としては、第1インクがシアンインク、第2インクがマゼンタインクの場合がある。
【0010】
液体吐出装置100には、インクを一時的に貯留するサブタンク13が設けられる。サブタンク13には、液体容器12から供給されたインクが貯留される。サブタンク13には、第1インクが貯留されるサブタンク13aと、第2インクが貯留されるサブタンク13bと、を含む。サブタンク13aは液体容器12aと接続され、サブタンク13bは液体容器12bと接続される。また、サブタンク13はヘッドモジュール25と接続され、ヘッドモジュール25にインクを供給し、且つ、ヘッドモジュール25からインクを回収する。サブタンク13とヘッドモジュール25の間のインクの流れについては後に詳細に説明する。
【0011】
図1に例示される通り、液体吐出装置100は、制御ユニット21と搬送機構23と移動機構24とヘッドモジュール25とを具備する。制御ユニット21は、液体吐出装置100の各要素を制御する。制御ユニット21は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の1または複数の処理回路と半導体メモリー等の1または複数の記憶回路とを具備する。
【0012】
搬送機構23は、制御ユニット21による制御のもとで媒体11をY軸に沿って搬送する。移動機構24は、制御ユニット21による制御のもとでヘッドモジュール25をX軸に沿って往復させる。本実施形態の移動機構24は、ヘッドモジュール25を収容する略箱型の搬送体241と、搬送体241が固定された無端ベルト242とを具備する。なお、液体容器12、サブタンク13をヘッドモジュール25とともに搬送体241に搭載した構成も採用され得る。
【0013】
ヘッドモジュール25は、サブタンク13から供給されるインクを制御ユニット21による制御のもとで複数のノズルの各々から媒体11に吐出する。搬送機構23による媒体11の搬送と搬送体241の反復的な往復とに並行してヘッドモジュール25が媒体11にインクを吐出することで、媒体11の表面に画像が形成される。
【0014】
図2は、ヘッドモジュール25の斜視図である。図2に例示される通り、ヘッドモジュール25は、支持体251と複数のヘッドユニット252とを具備する。支持体251は、複数のヘッドユニット252を支持する板状部材である。支持体251には、複数の取付孔253と複数のねじ孔254とが形成される。各ヘッドユニット252は、取付孔253に挿入された状態で支持体251に支持される。複数のねじ孔254は、取付孔253ごとに2つずつ対応して設けられる。図2に例示される通り、各ヘッドユニット252は、支持体251に対して、2箇所でねじ256およびねじ孔254を用いるねじ留めにより固定される。複数のヘッドユニット252は、X軸およびY軸に並んで配列する。複数のヘッドユニット252の配列については後に詳細に説明する。
【0015】
1-2.ヘッドユニット252
図3は、ヘッドユニット252の分解斜視図である。図3に例示される通り、ヘッドユニット252は、流路部材31と配線基板32とホルダー33と複数の循環ヘッドHnと固定板36と補強板37とカバー38とを具備する。配線基板32とホルダー33との間に流路部材31が位置する。具体的には、流路部材31に対してZ2方向にホルダー33が設置され、流路部材31に対してZ1方向に配線基板32が設置される。本実施形態では、各ヘッドユニット252に具備される循環ヘッドHnの数が4個である。以下では、この4個の循環ヘッドHnを循環ヘッドH1、H2、H3およびH4とも表記する。
【0016】
流路部材31は、サブタンク13に貯留されたインクを複数の循環ヘッドHnに供給するための流路が内部に形成された構造体である。流路部材31は、流路構造体311と接続管312、313、314および315とを具備する。図3では図示を省略するが、流路構造体311には、第1インクを複数の循環ヘッドHnに供給するための供給流路と、第2インクを複数の循環ヘッドHnに供給するための供給流路と、複数の循環ヘッドHnから第1インクを排出するための排出流路と、複数の循環ヘッドHnから第2インクを排出するための排出流路とが設けられる。流路構造体311は、複数の基板Su1~Su5の積層により構成される。流路構造体311を構成する複数の基板Su1~Su5は、例えば樹脂材料の射出成形で形成される。当該複数の基板Su1~Su5は、例えば接着剤により相互に接合される。以上の流路構造体311は、Y軸に沿う長手形状をなす。流路構造体311の長手方向での一端側の部分には、接続管312および313が設けられ、一方、流路構造体311の長手方向での他端側の部分には、接続管314および315が設けられる。接続管312、313、314および315のそれぞれは、流路構造体311から突出する管体である。接続管312は、流路構造体311に第1インクを供給するための供給口Sa_inが設けられる供給管である。同様に、接続管313は、流路構造体311に第2インクを供給するための供給口Sb_inが設けられる供給管である。一方、接続管314は、流路構造体311から第1インクを排出するための排出口Da_outが設けられる排出管である。同様に、接続管315は、流路構造体311から第2インクを排出するための排出口Db_outが設けられる排出管である。
【0017】
配線基板32は、ヘッドユニット252を制御ユニット21に電気的に接続するための実装部品である。配線基板32は、例えば、フレキシブル配線基板またはリジッド配線基板等で構成される。配線基板32は、流路部材31上に配置される。配線基板32の一方の面は、流路部材31に対向する。配線基板32の他方の面には、コネクター35が設置される。コネクター35は、ヘッドユニット252と制御ユニット21とを電気的に接続するための接続部品である。また、図示しないが、配線基板32には、複数の循環ヘッドHnに接続される配線が接続される。当該配線は、例えば、フレキシブル配線基板およびリジッド配線基板の組み合わせで構成される。なお、当該配線は、配線基板32と一体で構成されてもよい。
【0018】
ホルダー33は、複数の循環ヘッドHnを収容および支持する構造体である。ホルダー33は、例えば、樹脂材料または金属材料等で構成される。ホルダー33には、複数の凹部331と複数のインク孔332と複数の配線孔333と1対のフランジ334とが設けられる。当該複数の凹部331のそれぞれは、Z2方向に向けて開口し、循環ヘッドHnが配置される空間である。当該複数のインク孔332のそれぞれは、凹部331に配置される循環ヘッドHnと前述の流路部材31との間でインクを流通させる流路である。当該複数の配線孔333のそれぞれは、循環ヘッドHnと配線基板32とを接続する図示しない配線が通される孔である。1対のフランジ334は、支持体251に対してホルダー33を固定するための固定部である。図3に例示される1対のフランジ334には、支持体251に対するねじ留めのための孔335が設けられる。孔335には、前述のねじ256が通される。
【0019】
各循環ヘッドHnは、インクを吐出する。すなわち、図3では図示を省略するが、各循環ヘッドHnは、第1インクを吐出する複数のノズルと、第2インクを吐出する複数のノズルと、を有する。なお、循環ヘッドHnの構成については、後述する。
【0020】
固定板36は、複数の循環ヘッドHnをホルダー33に対して固定するための板部材である。具体的には、固定板36は、ホルダー33との間に複数の循環ヘッドHnを挟む状態で配置され、ホルダー33に対して接着剤により固定される。固定板36は、例えば、金属材料等で構成される。固定板36には、当該複数の循環ヘッドHnのノズルを露出させるための複数の開口部361が設けられる。図3の例示では、当該複数の開口部361は、循環ヘッドHnごとに個別に設けられる。なお、開口部361は、2以上の循環ヘッドHnで共用される態様でもよい。
【0021】
補強板37は、ホルダー33と固定板36との間に配置され、固定板36を補強する板状部材である。補強板37は、固定板36上に重ねて配置され、固定板36に対して接着剤により固定される。補強板37には、当該複数の循環ヘッドHnが配置される複数の開口部371が設けられる。補強板37は、例えば、金属材料等で構成される。固定板36の補強の観点から、補強板37の厚さは、固定板36の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0022】
カバー38は、流路部材31の流路構造体311と配線基板32とを収容する箱状の部材である。カバー38は、例えば、樹脂材料等で構成される。カバー38には、4個の貫通孔381と開口部382とが設けられる。当該4個の貫通孔381は、流路部材31の4個の接続管312に対応しており、各貫通孔381には、対応する接続管312、313、314または315が通される。開口部382には、カバー38内から外部にコネクター35が通される。
【0023】
図4は、ヘッドユニット252をZ1方向からみた平面図である。図4に例示される通り、各ヘッドユニット252は、Z1方向からみて、第1部分U1と第2部分U2と第3部分U3とを含む外形に構成される。第1部分U1は、第2部分U2と第3部分U3との間に位置する。具体的には、第2部分U2は第1部分U1に対してY2方向に位置し、第3部分U3は第1部分U1に対してY1方向に位置する。本実施形態では、流路部材31およびホルダー33のそれぞれは、Z1方向からみて、ヘッドユニット252に対応した外形をなす。配線基板32は、Z1方向からみて、第1部分U1に対応した外形をなす。
【0024】
図4には、Y軸に沿って第1部分U1の中心を通る線分である中心線Lcが図示されている。第2部分U2は中心線Lcに対してX1方向に位置し、第3部分U3は中心線Lcに対してX2方向に位置する。すなわち、第2部分U2と第3部分U3とは、中心線Lcを挟んで互いにX軸の反対側に位置する。図4に例示される通り、各ヘッドユニット252の第3部分U3と他のヘッドユニット252の第2部分U2とがY軸に沿って一部重なるように、複数のヘッドユニット252がY軸に沿って並ぶ。
【0025】
図5は、ヘッドユニット252をZ2方向からみた平面図である。図5以降では、説明の便宜上、1対のフランジ334の図示が省略される。図5に例示される通り、X軸に沿う第2部分U2の幅W2は、X軸に沿う第1部分U1の幅W1よりも短い。同様に、X軸に沿う第3部分U3の幅W3は、X軸に沿う第1部分U1の幅W1よりも短い。図4に例示される幅W2および幅W3は、互いに等しい。なお、幅W2および幅W3は、互いに異なってもよい。ただし、幅W2および幅W3が互いに等しい場合、ヘッドユニット252の形状の対称性を高めることができ、この結果、複数のヘッドユニット252を密に配列しやすいという利点がある。ここで、第1部分U1、第2部分U2、第3部分U3それぞれの幅W1、W2、W3は、各部分のX軸に沿った一方側の端部と他方側の端部の間の幅である。
【0026】
図5に例示されるように、幅W2および幅W3は幅W1よりも短いため、第2部分U2および第3部分U3が突出部であり、第1部分U1を中央部とみなすことができる。
【0027】
第1部分U1におけるX1方向の端面E1aは、第2部分U2におけるX1方向の端面E2と連続する平面である。一方、第1部分U1におけるX2方向の端面E1bは、第3部分U3におけるX2方向の端面E3と連続する平面である。なお、これらの端面には、適宜に凹部または凸部が設けられてもよい。また、端面E1aと端面E2との間に段差が設けられてもよいし、端面E1bと端面E3との間に段差が設けられてもよい。
【0028】
図5に例示される通り、ヘッドユニット252のホルダー33には、4個の循環ヘッドHn(n=1~4)が保持される。各循環ヘッドHn(n=1~4)は、複数のノズルNからインクを吐出する。図5に例示される通り、複数のノズルNは、ノズル列Laとノズル列Lbとに区分される。ノズル列Laおよびノズル列Lbの各々は、Y軸に沿って配列する複数のノズルNの集合である。ノズル列Laとノズル列Lbとは、X軸の方向に相互に間隔をあけて併設される。以下の説明では、ノズル列Laに関連する要素の符号に添字aを付加し、ノズル列Lbに関連する要素の符号に添字bを付加する。
【0029】
1-3.循環ヘッドHn
図6は、循環ヘッドHnの平面図である。図6には、Z1方向からみた循環ヘッドHnの内部の構造が模式的に図示される。図6に例示される通り、各循環ヘッドHnは、液体吐出部Qaと液体吐出部Qbとを具備する。各循環ヘッドHnの液体吐出部Qaは、サブタンク13aから供給される第1インクをノズル列Laの各ノズルNから吐出する。各循環ヘッドHnの液体吐出部Qbは、サブタンク13bから供給される第2インクをノズル列Lbの各ノズルNから吐出する。
【0030】
液体吐出部Qaは、液体貯留室Raと複数の圧力室Caと複数の駆動素子Eaとを具備する。液体貯留室Raは、ノズル列Laの複数のノズルNにわたり連続する共通液室である。圧力室Caと駆動素子Eaとは、ノズル列LaのノズルN毎に形成される。圧力室Caは、ノズルNに連通する空間である。液体貯留室Raから供給される第1インクが複数の圧力室Caの各々に充填される。駆動素子Eaは、圧力室Ca内の第1インクの圧力を変動させる。例えば圧力室Caの壁面を変形させることで当該圧力室Caの容積を変化させる圧電素子、または、圧力室Ca内の第1インクの加熱により圧力室Ca内に気泡を発生させる発熱素子が、駆動素子Eaとして好適に利用される。駆動素子Eaが圧力室Ca内の第1インクの圧力を変動させることで、当該圧力室Ca内の第1インクがノズルNから吐出される。
【0031】
液体吐出部Qbは、液体吐出部Qaと同様に、液体貯留室Rbと複数の圧力室Cbと複数の駆動素子Ebとを具備する。液体貯留室Rbは、ノズル列Lbの複数のノズルNにわたり連続する共通液室である。圧力室Cbと駆動素子Ebとは、ノズル列LbのノズルN毎に形成される。液体貯留室Rbから供給される第2インクが複数の圧力室Cbの各々に充填される。駆動素子Ebは、例えば前述の圧電素子または発熱素子である。駆動素子Ebが圧力室Cb内の第2インクの圧力を変動させることで、当該圧力室Cb内の第2インクがノズルNから吐出される。
【0032】
図6に例示される通り、各循環ヘッドHnには、供給口Ra_inと排出口Ra_outと供給口Rb_inと排出口Rb_outとが設置される。供給口Ra_inおよび排出口Ra_outは液体貯留室Raに連通する。供給口Rb_inおよび排出口Rb_outは液体貯留室Rbに連通する。
【0033】
以上の各循環ヘッドHnの液体貯留室Raに貯留される第1インクのうちノズル列Laの各ノズルNから吐出されない第1インクは、排出口Ra_out→流路部材31の第1インクのための排出流路→ヘッドユニット252の外部に設けられたサブタンク13a→流路部材31の第1インクのための供給流路→供給口Ra_in→液体貯留室Ra、という経路で循環する。同様に、各循環ヘッドHnの液体貯留室Rbに貯留される第2インクのうちノズル列Lbの各ノズルNから吐出されない第2インクは、排出口Rb_out→流路部材31の第2インクのための排出流路→ヘッドユニット252の外部に設けられたサブタンク13b→流路部材31の第2インクのための供給流路→供給口Rb_in→液体貯留室Rb、という経路で循環する。
【0034】
1-4.ヘッドユニット252からの吐出量
図7は、ヘッドユニット252についてY軸での位置とインクの吐出量との関係を示す図である。なお、以降の説明においては、特に説明ない限り、インクの吐出量について言及する際はある1つの同じ駆動信号が入力されていることを前提とするものとする。また、図5等に示すように、実際にはY軸に隣接する循環ヘッドHnの端部の複数のノズルN(例えば循環ヘッドH1のY1方向における端の複数のノズルNと循環ヘッドH3のY2方向における端の複数のノズルN)はY軸に重畳する(Y軸に同じ位置に位置する)ように設けられているが、以降の説明では簡単のため、これらのノズルはY軸に重畳しないものとして説明する。
【0035】
図7に例示するインクの吐出量の変化Jに示すように、第1部分U1に設けられるノズルNからの吐出量Vm1は、第2部分U2および第3部分U3に設けられるノズルNからの吐出量Vm2より多い。吐出量の差が現れる理由は、以下のように考えられる。第2部分U2および第3部分U3のインクの温度は、後述する理由により、第1部分U1内のインクの温度よりも低くなる。インクの温度が低くなると、一般にインクの粘度が上昇する。その結果、仮に同じ駆動信号を入力して同量のエネルギーをインクに付与したとしても、インクの粘度が上昇している分、吐出量が減少してしまうのである。
【0036】
インクの温度が低下する理由として、以下のような理由が考えられる。第2部分U2および第3部分U3は、第1部分U1と比較すると、部材が小さいため熱容量が小さく、低温化し易い。また、第2部分U2および第3部分U3のX1方向またはX2方向には、第1部分U1のX1方向またはX2方向と比較して、他の部材との間の距離が離れているため、放熱が生じ易い。また、特に支持体251が金属材料で構成される場合、金属が有する高い伝熱性によって、熱容量が小さい第2部分U2および第3部分U3が低温化し易い。
【0037】
図7に例示される通り、循環ヘッドH1は、ヘッドユニット252内において、X1方向かつY2方向に位置する。循環ヘッドH2は、ヘッドユニット252内において、X2方向かつY1方向に位置する。循環ヘッドH3は、ヘッドユニット252内において、X2方向かつY2方向に位置する。循環ヘッドH4は、ヘッドユニット252内において、X1方向かつY1方向に位置する。
【0038】
循環ヘッドH1は、一部が第2部分U2に位置し、他部が第1部分U1に位置する。したがって、循環ヘッドH1の吐出量について、第2部分U2に設けられたノズルNからの吐出量はVm2となり、第1部分U1に設けられたノズルNからの吐出量であるVm1より少なくなる。同様に、循環ヘッドH2は、一部が第3部分U3に位置し、他部が第1部分U1に位置する。したがって、循環ヘッドH2の吐出量について、第3部分U3に設けられたノズルNからの吐出量はVm2となり、第1部分U1に設けられたノズルNからの吐出量であるVm1より少なくなる。循環ヘッドH3、H4は、全てが第1部分U1に位置するので、全てのノズルNにおける吐出量はVm1と相対的に多い量となる。なお、循環ヘッドHnに設けられたノズルNからの吐出量は、図7に例示されるような、循環ヘッドHn内の位置によらず一定であるとは限らない。例えば、第2部分U2に設けられたノズルNの吐出量が、第1部分U1からの距離に応じて単調に減少する場合もある。
【0039】
ここで、記録媒体上に記録される画像の濃度は、ノズルNからのインクの吐出量に比例して大きくなる。つまり、あるノズルNにおける吐出量が多ければ当該ノズルNに対応する記録媒体上の領域に記録される画像の濃度は大きくなり、吐出量が少なければ画像の濃度は小さくなる。したがって、ヘッドユニット252の全てのノズルNからインクの吐出を行った場合、Y軸において図7の吐出量の変化Jと同じような濃度ムラが発生してしまう。但し、ヘッドユニット252のみを用いる場合は、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、第2部分U2と第1部分U1の境界と、第1部分U1と第3部分U3の境界と、におけるVm1-Vm2と比較的小さい値である。また、Y軸全体で見ても、吐出量の最大はVm1、最小はVm2と小さい。それゆえ、記録媒体上に記録される画像において、局所的な濃度差と全体的な濃度むらの両方が小さくしか発生しないため、画質は低下しにくい。
【0040】
1-5.ヘッドユニット252の配置態様
X軸に沿って、あるヘッドユニット252と、他のヘッドユニット252とにおいて、それぞれの循環ヘッドHnの第2部分U2がY軸に同じ位置に配置されると、ヘッドユニット内の吐出量変化に由来する画質低下が顕著なものとなってしまう。そこで、第1実施形態では、それぞれの循環ヘッドHnの第2部分U2の少なくとも一部がY1方向またはY2方向に重畳しないように、X1方向またはX2方向に並んで配置されている。それぞれの循環ヘッドHnの第2部分U2の少なくとも一部がY1方向またはY2方向に重畳しないようなヘッドユニット252の配置としては、例えば、図8図10に示す3つの態様がある。図8図10では、支持体251に支持される複数のヘッドユニット252のうち、ヘッドユニット252_1、ヘッドユニット252_2、および、ヘッドユニット252_3を代表的に図示する。
【0041】
以下の説明において、ヘッドユニット252_iが具備する循環ヘッドHnを、循環ヘッドH1_i、H2_i、H3_i、および、H4_iとも表記する。iは、1、2、3のいずれかである。
【0042】
1-6.参考例
図11は、参考例におけるヘッドユニット252の配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。図11に例示される通り、参考例では、Y軸におけるヘッドユニット252_1の位置P1とヘッドユニット252_2の位置P2とが一致する。
【0043】
図11には、ヘッドユニット252_1のY軸における各ノズルNからのインクの吐出量の変化Jと、ヘッドユニット252_2のY軸における各ノズルNからのインクの吐出量の変化Kと、をそれぞれ示している。さらに、図11では、ヘッドユニット252_1からの吐出量と、ヘッドユニット252_2からの吐出量と、のY軸の各ノズルからの吐出量合計の変化J+Kと、を示している。
【0044】
吐出量の変化Jについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm2であり、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm1(>Vm2)であり、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm2となる。
【0045】
吐出量の変化Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm2であり、ヘッドユニット252_2の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm1(>Vm2)であり、ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm2となる。
【0046】
上述のように、参考例では、Y軸におけるヘッドユニット252_1の位置P1とヘッドユニット252_2の位置P2とが一致する。したがって、吐出量合計の変化J+Kは吐出量の変化Kと吐出量の変化Jをそのまま足し合わせたようなものとなる。
【0047】
吐出量合計の変化J+Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm4≒Vm2×2である。この領域は、ヘッドユニット252_1の第2部分U2(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_2の第2部分U2(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0048】
次に、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界(ヘッドユニット252_2の第2部分U2と第1部分U1の境界とY軸に同じ位置)から、吐出量Vm3≒Vm1×2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_2の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0049】
そして、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界(ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界とY軸に同じ位置)から、吐出量Vm4≒Vm2×2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第3部分U3(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_2の第3部分U3(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0050】
この結果、参考例において、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界と、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界と、において、Vm3-Vm4≒2×(Vm1-Vm2)と大きい値となる。ここで、吐出量差そのものが小さいか、或いはY軸においてある程度の幅を持って段階的に吐出量が変化する場合は、吐出量差に伴う画質は視認されにくい。しかしながら、参考例のようにY軸に沿って急峻で大きな吐出量差が生じると、記録画像における局所的な濃度差(濃度ギャップ)が大きくなり、画質が大きく低下してしまう。
【0051】
また、参考例では、Y軸全体で見た場合、吐出量の最大はVm3≒2×Vm1、最小はVm4≒2×Vm2となり、その差は2×(Vm1-Vm2)と大きい値となる。仮にY軸に沿って緩やかな吐出量差しか生じない場合であっても、参考例のように吐出量の最大値と最小値の差が大きすぎると、記録画像を巨視的(マクロ)に見ると全体的に濃度むらが視認され、画質を低下させる虞がある。
【0052】
このように、参考例では、局所的な濃度差や全体的な濃度むらによって画質が低下してしまう虞がある。
【0053】
1-7-1.ヘッドユニット252の第1の配置態様
図8は、ヘッドユニット252の第1の配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。第1の配置態様では、ヘッドユニット252_1とヘッドユニット252_2がY軸にずれた位置に配置される。詳細には、Y軸におけるヘッドユニット252_1の位置P1とヘッドユニット252_2の位置P2とのずれΔLが、Y軸における循環ヘッドHnの長さの略2倍である。
【0054】
ずれΔLがY軸における循環ヘッドHnの長さの2倍であるから、循環ヘッドH1_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH4_2が対応し、循環ヘッドH2_1が対応していた媒体上の領域には循環ヘッドH3_3が対応し、循環ヘッドH3_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH2_2が対応し、循環ヘッドH4_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH1_3が対応する。
【0055】
図8には、ヘッドユニット252_1のY軸の各ノズルNからのインクの吐出量の変化Jと、ヘッドユニット252_2の一部および252_3の一部のY軸の各ノズルNからのインクの吐出量の変化Kと、をそれぞれ示している。さらに、図9では、ヘッドユニット252_1からの吐出量と、ヘッドユニット252_2の一部またはヘッドユニット252_3の一部からの吐出量と、のY軸の各ノズルNからの吐出量合計の変化J+Kを示している。なお、以下に示すインクの吐出量は、Y軸において、ヘッドユニット252_1と重畳する位置について説明し、ヘッドユニット252_1と重畳しない位置については説明を省略する。
【0056】
吐出量の変化Jについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm2であり、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm1(>Vm2)であり、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm2となる。第1の配置態様における吐出量の変化Jは、参考例における吐出量の変化Jと同じである。
【0057】
吐出量の変化Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm1であり、ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm2(<Vm1)であり、ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm1となる。
【0058】
吐出量合計の変化J+Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm5≒Vm1+Vm2である。この領域は、ヘッドユニット252_1の第2部分U2(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_2の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0059】
次に、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界から、吐出量Vm3≒Vm1×2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_2の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0060】
次に、ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界から、吐出量Vm5≒Vm1+Vm2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_2の第3部分U3(吐出量=Vm2)、若しくはヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_3の第2部分U2(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0061】
次に、ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界から、吐出量Vm3≒Vm1×2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_3の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0062】
そして、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界から、吐出量Vm5≒Vm1+Vm2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第3部分U3(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_3の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0063】
この結果、第1の配置態様において、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、(1)ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界、(2)ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界、(3)ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界、(4)ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界の4つの境界において、Vm3-Vm5≒Vm1-Vm2となる。
【0064】
これに対し、上述のように、参考例ではY軸で隣接する領域間での吐出量差は2×(Vm1-Vm2)である。第1の配置態様と参考例を比較すると、Vm1-Vm2<2×(Vm1-Vm2)であるため、第1の配置態様の方が参考例よりも吐出量差がVm1-Vm2だけ小さくなる。したがって、記録媒体上に記録される画像において、局所的な濃度差を小さくできる。
【0065】
また、第1の配置態様において、Y軸全体で見ると、吐出量の最大はVm3≒2×Vm1、最小はVm5≒Vm1+Vm2となり、その差はVm1-Vm2となる。
【0066】
これに対し、上述のように、参考例ではY軸全体での吐出量の最大はVm3≒2×Vm1、最小はVm4≒2×Vm2となり、その差は2×(Vm1-Vm2)である。第1の配置態様と参考例を比較すると、Vm1-Vm2<2×(Vm1-Vm2)であるため、第1の配置態様の方が参考例よりもY軸全体での吐出量の最大・最小の差がVm1-Vm2だけ小さくなる。したがって、記録媒体上に記録される画像において、全体的な濃度むらを小さくできる。
【0067】
このように、第1の配置態様によれば、局所的な濃度差と全体的な濃度むらの両方を低減し、画質低下を抑えることが可能となる。
【0068】
1-7-2.ヘッドユニット252の第2の配置態様
図9は、ヘッドユニット252の第2の配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。第2の配置態様でも、ヘッドユニット252_1とヘッドユニット252_2がY軸にずれた位置に配置される。詳細には、Y軸におけるヘッドユニット252_1の位置P1とヘッドユニット252_2の位置P2とのずれΔLが、Y軸における循環ヘッドHnの長さに略一致する。
【0069】
ずれΔLがY軸における循環ヘッドHnの長さに一致するから、循環ヘッドH1_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH3_2が対応し、循環ヘッドH2_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH1_3が対応し、循環ヘッドH3_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH4_2が対応し、循環ヘッドH4_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH2_2が対応する。
【0070】
図9には、ヘッドユニット252_1のY軸の各ノズルNからのインクの吐出量の変化Jと、ヘッドユニット252_2の一部および252_3の一部のY軸の各ノズルNからのインクの吐出量の変化Kと、をそれぞれ示している。さらに、図10では、ヘッドユニット252_1からの吐出量と、ヘッドユニット252_2の一部またはヘッドユニット252_3の一部からの吐出量と、のY軸の各ノズルNからの吐出量合計の変化J+Kを示している。なお、以下に示すインクの吐出量は、Y軸において、ヘッドユニット252_1と重畳する位置について説明し、ヘッドユニット252_1と重畳しない位置については説明を省略する。
【0071】
吐出量の変化Jについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm2であり、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm1(>Vm2)であり、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm2となる。第2の配置態様における吐出量の変化Jは、第1の配置態様および参考例における吐出量の変化Jと同じである。
【0072】
吐出量の変化Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm1であり、ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm2(<Vm1)であり、ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm1となる。
【0073】
吐出量合計の変化J+Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm5≒Vm1+Vm2である。この領域は、ヘッドユニット252_1の第2部分U2(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_2の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0074】
次に、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界から、吐出量Vm3≒Vm1×2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_2の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0075】
次に、ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界から、吐出量Vm5≒Vm1+Vm2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_2の第3部分U3(吐出量=Vm2)、若しくはヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_3の第2部分U2(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0076】
次に、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界から、吐出量Vm4≒Vm2×2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第3部分U3(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_3の第2部分U2(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0077】
そして、ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界から、吐出量Vm5≒Vm1+Vm2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第3部分U3(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_3の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0078】
この結果、第2の配置態様において、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、(1)ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界、(2)ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界の2つの境界において、Vm3-Vm5≒Vm1-Vm2となる。
【0079】
また、第2の配置態様において、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、(3)ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界と、(4)ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界と、の2つの境界において、Vm5-Vm4≒Vm1-Vm2となる。つまり、4つの境界において、吐出量差はVm1-Vm2となる。
【0080】
これに対し、上述のように、参考例ではY軸で隣接する領域間での吐出量差は2×(Vm1-Vm2)である。第2の配置態様と参考例を比較すると、Vm1-Vm2<2×(Vm1-Vm2)であるため、第2の配置態様の方が参考例よりも吐出量差がVm1-Vm2だけ小さくなる。したがって、記録媒体上に記録される画像において、局所的な濃度差を小さくできる。
【0081】
このように、第2の配置態様によれば、局所的な濃度差を低減し、画質低下を抑えることができる。
【0082】
1-7-3.ヘッドユニット252の第3の配置態様
図10は、ヘッドユニット252の第3の配置態様とインクの吐出量との関係を示す図である。第3の配置態様でも、ヘッドユニット252_1とヘッドユニット252_2がY軸にずれた位置に配置される。詳細には、Y軸におけるヘッドユニット252_1の位置P1とヘッドユニット252_2の位置P2とのずれΔLが、Y1方向またはY2方向における循環ヘッドHnの長さの略0.5倍である。
【0083】
ずれΔLがY1方向またはY2方向における循環ヘッドHnの長さの0.5倍であるから、循環ヘッドH1_1が対応していた媒体11上の領域のうちY1方向の領域には、循環ヘッドH3_2が対応し、Y2方向の領域には、循環ヘッドH1_2が対応する。循環ヘッドH2_1が対応していた媒体11上の領域のうちY1方向の領域には、循環ヘッドH1_3が対応し、Y2方向の領域には、循環ヘッドH2_2が対応する。循環ヘッドH3_1が対応していた媒体11上の領域のうちY1方向の領域には、循環ヘッドH4_2が対応し、Y2方向の領域には、循環ヘッドH3_2が対応する。循環ヘッドH4_1が対応していた媒体11上の領域のうちY1方向の領域には、循環ヘッドH2_2が対応し、Y2方向の領域には、循環ヘッドH4_2が対応する。
【0084】
図10には、ヘッドユニット252_1のY軸の各ノズルからのインクの吐出量の変化Jと、ヘッドユニット252_2の一部および252_3の一部のY軸の各ノズルからのインクの吐出量の変化Kと、をそれぞれ示している。さらに、図10では、ヘッドユニット252_1からの吐出量と、ヘッドユニット252_2またはヘッドユニット252_3の一部からの吐出量と、のY軸の各ノズルからの吐出量合計の変化J+Kと、を示している。なお、以下に示すインクの吐出量は、Y軸において、ヘッドユニット252_1と重畳する位置について説明し、ヘッドユニット252_1と重畳しない位置については説明を省略する。
【0085】
吐出量の変化Jについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm2であり、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm1(>Vm2)であり、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm2となる。第3の配置態様における吐出量の変化Jは、第1、第2の配置態様および参考例における吐出量の変化Jと同じである。
【0086】
吐出量の変化Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm2であり、ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界から吐出量Vm1(>Vm2)であり、ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界から吐出量Vm2となる。
【0087】
吐出量合計の変化J+Kについて説明する。Y2側からY1側に向かうにしたがって、始めは吐出量Vm4≒2×Vm2である。この領域は、ヘッドユニット252_1の第2部分U2(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_2の第2部分U2(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0088】
次に、ヘッドユニット252_2の第2部分U2と第1部分U1の境界から、吐出量Vm5≒Vm1+Vm2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第2部分U2(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_2の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0089】
次に、ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界から、吐出量Vm3≒2×Vm1となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_2の第1部分U1(吐出量=Vm1)が対応するためである。
【0090】
次に、ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界から、吐出量Vm5≒Vm1+Vm2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第1部分U1(吐出量=Vm1)とヘッドユニット252_2の第3部分U3(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0091】
そして、ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界から、吐出量Vm4≒2×Vm2となる。この領域は、ヘッドユニット252_1の第3部分U3(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_2の第3部分U3(吐出量=Vm2)、若しくはヘッドユニット252_1の第3部分U3(吐出量=Vm2)とヘッドユニット252_3の第2部分U2(吐出量=Vm2)が対応するためである。
【0092】
この結果、第3の配置態様において、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、(1)ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界、(2)ヘッドユニット252_2の第1部分U1と第3部分U3の境界の2つの境界において、Vm3-Vm5≒Vm1-Vm2となる。
【0093】
また、第3の配置態様において、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、(3)ヘッドユニット252_2の第2部分U2と第1部分U1の境界と、(4)ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界と、の2つの境界において、Vm5-Vm4≒Vm1-Vm2となる。つまり、4つの境界において、吐出量差はVm1-Vm2となる。
【0094】
これに対し、上述のように、参考例ではY軸で隣接する領域間での吐出量差は2×(Vm1-Vm2)である。第3の配置態様と参考例を比較すると、Vm1-Vm2<2×(Vm1-Vm2)であるため、第3の配置態様の方が参考例よりも吐出量差がVm1-Vm2だけ小さくなる。したがって、記録媒体上に記録される画像において、局所的な濃度差を小さくできる。
【0095】
このように、第3の配置態様によれば、局所的な濃度差を低減し、画質低下を抑えることができる。
【0096】
1-8.第1実施形態の効果
以上から理解される通り、液体吐出装置100は、液体の一例であるインクを吐出する複数のノズルNが設けられるヘッドユニット252_1および252_2を有する。ヘッドユニット252_1が「第1ヘッドユニット」に相当し、ヘッドユニット252_2が「第2ヘッドユニット」に相当する。
【0097】
ヘッドユニット252_1および252_2のそれぞれは、第1部分U1と、第1部分U1よりもX1方向またはX2方向における幅が短い第2部分U2とを有する。第1部分U1および第2部分U2は、Y1方向またはY2方向における位置が互いに異なる。
【0098】
ここで、ヘッドユニット252_1が有する第1部分U1は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第1部分」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有する第1部分U1は、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第4部分」に相当する。ヘッドユニット252_1が有する第2部分U2は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第2部分」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有する第2部分U2は、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第5部分」に相当する。
【0099】
ヘッドユニット252_1および252_2は、それぞれ、ヘッドユニット252_1が有する第2部分U2とヘッドユニット252_2が有する第2部分U2との少なくとも一部がY1方向またはY2方向に重畳しないように、X1方向またはX2方向に並んで配置されている。以上の構成によれば、参考例のような第2部分U2同士がY1方向またはY2方向に重畳する構成と比較して、吐出量が最小となる領域同士の重畳を抑制できるので、印刷品質の低下を低減できる。
【0100】
ここで、Y1方向またはY2方向は、「第1方向」に相当する。Y2方向は、Y1方向またはY2方向の一方側である「第1側」に相当し、Y1方向は、Y1方向またはY2方向の他方側である「第2側」に相当する。X1方向またはX2方向は、Y1方向またはY2方向に交差する「第2方向」に相当する。
【0101】
また、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのそれぞれは、「第1ノズル」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのそれぞれは、「第2ノズル」に相当する。
【0102】
また、第1実施形態では、ヘッドユニット252の第1の配置態様および第2配置態様のように、ヘッドユニット252_1およびヘッドユニット252_2が、ヘッドユニット252_1が有する第2部分U2と、ヘッドユニット252_2が有する第2部分U2との全部がY1方向またはY2方向に重畳しないように、X1方向またはX2方向に並んで配置されていることが好ましい。換言すると、ヘッドユニット252_1が有する第2部分U2とヘッドユニット252_2が有する第2部分U2とについて、Y1方向またはY2方向に重畳する領域が減少すると、吐出量が最小となる領域同士の重畳を抑制できるので、印刷品質の低下を低減できる。
【0103】
なお、第2配置態様および第3配置態様を比較すると、第2配置態様では、Y1方向またはY2方向において、吐出量合計の最小および最大の間である吐出量Vm4の範囲が、循環ヘッドHnの長さに一致する一方で、第3配置態様では、吐出量Vm4の範囲が、循環ヘッドHnの長さの0.5倍である。したがって、第2配置態様は、第3配置態様と比較して、吐出量が緩やかに変化すると言える。吐出量が緩やかに変化すると、吐出量の差が視認されにくくなる傾向がある。したがって、第2配置態様は、第3配置態様と比較して、吐出量の差が視認されにくいため、印刷品質の低下を低減できる。
【0104】
また、ヘッドユニット252_1および252_2のそれぞれは、第1部分U1よりもX1方向またはX2方向における幅が短い第3部分U3をさらに有する。第2部分U2および第3部分U3は、Y1方向またはY2方向における位置が互いに異なり、X1方向またはX2方向における位置が互いに異なる。さらに、図4および図5に例示される通り、ヘッドユニット252_1および252_2に設けられる複数のノズルNのそれぞれは、第1部分U1、第2部分U2および第3部分U3のいずれかに設けられる。すなわち、ヘッドユニット252_1または252_2における第1部分U1、第2部分U2および第3部分U3以外の部分には、ノズルNが設けられていない。このため、前述のような設置スペースを小さくすることが可能なヘッドユニット252_1および252_2の設計が容易である。
【0105】
ヘッドユニット252_1が有する第3部分U3は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第3部分」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有する第3部分U3は、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第6部分」に相当する。
【0106】
また、ヘッドユニット252_1および252_2は、ヘッドユニット252_1が有する第2部分U2とヘッドユニット252_2が有する第3部分U3との少なくとも一部がY1方向またはY2方向に重畳せず、ヘッドユニット252_1が有する第3部分U3とヘッドユニット252_2が有する第2部分U2との少なくとも一部がY1方向またはY2方向に重畳せず、かつ、ヘッドユニット252_1が有する第3部分U3とヘッドユニット252_2が有する第3部分U3との少なくとも一部がY1方向またはY2方向に重畳しないように、X1方向またはX2方向に並んで配置されている。すなわち、Y1方向またはY2方向において、第2部分U2同士、第2部分U2および第3部分U3、ならびに、第3部分U3同士が重畳しないことにより、吐出量が最小となる領域同士が重畳しないので、吐出量の差が小さくなり、印刷品質の低下を低減できる。
【0107】
また、図4および図5に例示される通り、ヘッドユニット252_1において、第2部分U2は、第1部分U1に対してY2方向で第1部分U1に接続され、一方、第3部分U3は、第1部分U1に対してY1方向で第1部分U1に接続される。このため、前述のような設置スペースを小さくすることが可能なヘッドユニット252_1の設計が容易である。
【0108】
さらに、図5に例示される通り、ヘッドユニット252_1において、第2部分U2におけるX1方向またはX2方向の一方側である第3側の端面E2は、第1部分U1における第3側の端面E1aとX1方向またはX2方向における位置が同じである。言い換えると、端面E2と端面E1aとが連続する平面をなす。同様に、第3部分U3におけるX1方向またはX2方向の他方側である第4側の端面E3は、第1部分U1における第4側の端面E1bとX1方向またはX2方向における位置が同じである。このため、端面E2と端面E1aとの間に段差が設けられたり端面E3と端面E1bとの間に段差が設けられたりする場合に比べて、ヘッドユニット252_1とヘッドユニット252_2とをX1方向またはX2方向に密に配置することができる。
【0109】
図5に例示される通り、ヘッドユニット252_1および252_2のそれぞれは、一部が第2部分U2に他部が第1部分U1に位置する循環ヘッドH1と、一部が第3部分U3に他部が第1部分U1に位置する循環ヘッドH2と、を有する。このため、第1部分U1と第2部分U2と第3部分U3とにわたって複数のノズルNをY軸に沿って均等に配置することができる。
【0110】
ここで、ヘッドユニット252_1が有する循環ヘッドH1_1は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第1ヘッド」に相当する。ヘッドユニット252_1が有する循環ヘッドH2_1は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第2ヘッド」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有する循環ヘッドH1_2は、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第3ヘッド」に相当する。ヘッドユニット252_2が有する循環ヘッドH2_2は、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第4ヘッド」に相当する。
【0111】
図5に例示される通り、ヘッドユニット252_1および252_2のそれぞれは、前述の循環ヘッドH1およびH2のほか、第1部分U1に位置する循環ヘッドH3と、Y1方向またはY2方向における位置が循環ヘッドH3とは異なり、第1部分U1に位置する循環ヘッドH4と、を有する。循環ヘッドH1~H4を用いる構成では、循環ヘッドH1およびH2のみを用いる構成に比べて、循環ヘッドH1およびH2におけるノズルNの数を多くしなくても、ヘッドユニット252_1および252_2が有するノズルNの数を多くすることができる。このため、ヘッドユニット252_1および252_2が有するノズルNの数を多くすることが容易である。
【0112】
ここで、ヘッドユニット252_1が有する循環ヘッドH3_1は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第5ヘッド」に相当する。ヘッドユニット252_1が有する循環ヘッドH4_1は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第6ヘッド」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有する循環ヘッドH3_2は、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第7ヘッド」に相当する。ヘッドユニット252_2が有する循環ヘッドH4_2は、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第8ヘッド」に相当する。
【0113】
また、図3に例示される通り、ヘッドユニット252_1および252_2のそれぞれは、循環ヘッドH1およびH2、が配置されるホルダー33をさらに有する。このため、循環ヘッドH1およびH2をホルダー33により一体化することができる。本実施形態のホルダー33には、循環ヘッドH1およびH2のほか、循環ヘッドH3およびH4も配置される。このため、循環ヘッドH1~H4がホルダー33により一体化される。ここで、ヘッドユニット252_1が有するホルダー33は、「第1ホルダー」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有するホルダー33は、「第2ホルダー」に相当する。
【0114】
さらに、図3に例示される通り、ヘッドユニット252_1および252_2のそれぞれは、循環ヘッドH1およびH2をホルダー33に固定する固定板36をさらに有する。このため、固定板36を用いない構成に比べて、循環ヘッドH1およびH2の一体性を高めることができる。本実施形態の固定板36は、循環ヘッドH1およびH2のほか、循環ヘッドH3およびH4もホルダー33に固定する。このため、循環ヘッドH1~H4の一体性が高まる。ここで、ヘッドユニット252_1が有する固定板36は、「第1固定板」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有する固定板36は、「第2固定板」に相当する。
【0115】
図5に例示される通り、循環ヘッドH1およびH2のそれぞれは、ノズル列LaおよびLbを有する。このため、ノズル列LaまたはLbが循環ヘッドH1と循環ヘッドH2とに跨る構成に比べて、ノズル列LaまたはLbにおけるノズルN間のピッチを小さくすることができる。ここで、ヘッドユニット252_1が有するノズル列LaおよびLbのそれぞれは、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうちの一部がY1方向またはY2方向に配列される「第1ノズル列」に相当する。一方、ヘッドユニット252_2が有するノズル列LaおよびLbのそれぞれは、ヘッドユニット252_2が備える複数のノズルNのうちの一部がY1方向またはY2方向に配列される「第2ノズル列」に相当する。
【0116】
図8図9、および、図10に例示される通り、液体吐出装置100は、インクを吐出する複数のノズルNが設けられるヘッドユニット252_3をさらに有する。ヘッドユニット252_3が「第3ヘッドユニット」に相当する。また、ヘッドユニット252_3が備える複数のノズルNのそれぞれは、「第3ノズル」に相当する。
【0117】
ヘッドユニット252_3は、第1部分U1と、第1部分U1よりもX1方向またはX2方向における幅が短い第2部分U2とを有する。第1部分U1および第2部分U2は、Y1方向またはY2方向における位置が互いに異なる。
【0118】
ここで、ヘッドユニット252_3が有する第1部分U1は、ヘッドユニット252_1が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第7部分」に相当する。ヘッドユニット252_3が有する第2部分U2は、ヘッドユニット252_3が備える複数のノズルNのうち一部が設けられる「第8部分」に相当する。
【0119】
図8図9、および、図10に例示される通り、ヘッドユニット252_2とヘッドユニット252_3とは、Y1方向またはY2方向において互いに異なる位置に配置される。
【0120】
ヘッドユニット252_1とヘッドユニット252_3とは、ヘッドユニット252_1が有する第2部分U2と、ヘッドユニット252_3が有する第2部分U2との少なくとも一部がY1方向またはY2方向に重畳しないように、X1方向またはX2方向に並んで配置されている。以上の構成によれば、参考例のような第2部分U2同士がY1方向またはY2方向に重畳する構成と比較して、吐出量の差を相殺するため、印刷品質の低下を低減できる。
【0121】
図8図9、および、図10に例示される通り、ヘッドユニット252_2とヘッドユニット252_3とは、X1方向またはX2方向において同じ位置に配置されている。このため、Y1方向またはY2方向におけるノズルNの配置密度を高めることができ、この結果、印刷の高速化等を図ることができる。
【0122】
2.変形例
以上に例示した形態は多様に変形され得る。前述の形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0123】
(1)第1実施形態では、ずれΔLが、Y1方向またはY2方向における循環ヘッドHnの長さの2倍である例と、1倍である例と、0.5倍である例とを示したが、ずれΔLが0でなければどのような値でもよい。例えば、ずれΔLが、Y1方向またはY2方向における循環ヘッドHnの長さの0.1倍でもよいし、Y1方向またはY2方向において、隣り合うノズルN同士の間の距離でもよい。
【0124】
(2)前述の形態では、1つのヘッドユニット252が備える循環ヘッドHnの数が4個であるが、1つのヘッドユニット252が備える循環ヘッドHnの数は、3個以下または5個以上でもよい。
【0125】
図12は、変形例における2つのヘッドユニット252_1および252_2の配置態様と、インクの吐出量との関係を示す図である。図12に例示されるヘッドユニット252_1および252_2は、2個の循環ヘッドH1およびH2を備える。図12に例示する変形例では、Y1方向またはY2方向におけるヘッドユニット252_1の位置P1とヘッドユニット252_2の位置P2とのずれΔLが、Y1方向またはY2方向における循環ヘッドHnの長さに一致する。
【0126】
図12の吐出量の変化Jに示すように、ヘッドユニット252_1において、第1部分U1に設けられるノズルNからの吐出量Vm1は、第2部分U2および第3部分U3に設けられるノズルNからの吐出量Vm2より多い。図12の吐出量の変化Kに示すように、ヘッドユニット252_2および252_3におけるノズルNからの吐出量Vm1は、ヘッドユニット252_2および252_3におけるノズルNからの吐出量Vm2より多い。ヘッドユニット252_2および252_3において吐出量Vm1となる位置は、循環ヘッドH2_2が有する第1部分U1、および、循環ヘッドH1_3が有する第1部分U1である。ヘッドユニット252_2および252_3において吐出量Vm2となる位置は、循環ヘッドH2_2が有する第3部分U3、循環ヘッドH1_3が有する第2部分U2である。なお、変形例における吐出量の変化J、吐出量の変化K、吐出量合計の変化J+Kは、第1実施形態の第1の配置態様と同様に導けるため、詳細については割愛する。
【0127】
ずれΔLがY1方向またはY2方向における循環ヘッドHnの長さに一致するから、循環ヘッドH1_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH2_2が対応し、循環ヘッドH2_1が対応していた媒体11上の領域には循環ヘッドH1_3が対応する。
【0128】
この結果、図12の吐出量合計の変化J+Kで示すように、Y軸で隣接する領域間での吐出量差は、(1)ヘッドユニット252_1の第2部分U2と第1部分U1の境界、(2)ヘッドユニット252_2の第2部分U2と第3部分U3の境界、(3)ヘッドユニット252_3の第2部分U2と第1部分U1の境界、(4)ヘッドユニット252_1の第1部分U1と第3部分U3の境界の4つの境界において、Vm3-Vm5=Vm1-Vm2となる。
【0129】
また、Y軸全体で見ると、吐出量の最大はVm3≒2×Vm1、最小はVm5≒Vm1+Vm2となり、その差はVm1-Vm2となる。
【0130】
このように、変形例においても、局所的な濃度差と全体的な濃度むらを低減し、画質低下を抑えることができる。
【0131】
(3)前述の形態では、支持体251に支持される複数のヘッドユニット252が互いに同じ構成であるが、第1ヘッドユニットに相当するヘッドユニット252の構成と、第2ヘッドユニットに相当するヘッドユニット252の構成とが互いに異なってもよい。
【0132】
(4)前述の形態では、ヘッドユニット252の外部にサブタンク13が設けられており、ヘッドユニット252とサブタンク13の間でインクを循環させたが、サブタンクでなくとも、ヘッドユニット252の外部の間でインクを循環させる系であれば良い。例えばヘッドユニット252と液体容器12の間でインクを循環させても良い。
【0133】
(5)前述の形態では、ヘッドユニット252を搭載した搬送体241を往復させるシリアル方式の液体吐出装置を例示したが、複数のノズルNが媒体11の全幅にわたり分布するライン方式の液体吐出装置にも本発明を適用することが可能である。
【0134】
(6)前述の形態で例示した液体吐出装置は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を吐出する液体吐出装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
【0135】
(7)前述の形態で例示した循環ヘッドHnは、図示しないが、循環ヘッドHnの前述の各構成要素が適宜に設けられる複数の基板の積層で構成される。例えば、第1ノズル列Laおよび第2ノズル列Lbは、ノズル基板に設けられる。第1液体貯留室Raおよび第2液体貯留室Rbは、リザーバー基板に設けられる。複数の第1圧力室Caおよび複数の第2圧力室Cbは、圧力室基板に設けられる。複数の第1駆動素子Eaおよび複数の第2駆動素子Ebは、素子基板に設けられる。以上のノズル基板、リザーバー基板、圧力室基板および素子基板のうちの1以上の基板が循環ヘッドHnごとに個別に設けられる。例えば、ノズル基板が循環ヘッドHnごとに個別に設けられる場合、リザーバー基板、圧力室基板および素子基板のうちの1以上の基板がヘッドユニット252内の複数の循環ヘッドHnに共通して設けられてもよい。また、リザーバー基板および圧力室基板が循環ヘッドHnごとに個別に設けられる場合、ノズル基板等がヘッドユニット252内の複数の循環ヘッドHnに共通して設けられてもよい。さらに、複数の第1駆動素子Eaおよび複数の第2駆動素子Ebを駆動する駆動回路は、循環ヘッドHnごとに個別に設けられてもよいし、ヘッドユニット252内の複数の循環ヘッドHnに共通して設けられてもよい。
【符号の説明】
【0136】
31…流路部材、100…液体吐出装置、251…支持体、252…ヘッドユニット、252_1…ヘッドユニット、252_2…ヘッドユニット、E1a…端面、E1b…端面、E2…端面、E3…端面、H1…循環ヘッド、H2…循環ヘッド、H3…循環ヘッド、H4…循環ヘッド、Hn…循環ヘッド、La…ノズル列、Lb…ノズル列、N…ノズル、U1…第1部分、U2…第2部分、U3…第3部分、ΔL…ずれ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12