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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B41J2/01 123
B41J2/01 129
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019156775
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021030690
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐鎌 奨
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2017/217173(JP,A1)
【文献】国際公開第2018/159097(WO,A1)
【文献】特開2015-061096(JP,A)
【文献】特開2012-213949(JP,A)
【文献】特開2011-115978(JP,A)
【文献】特開2011-177944(JP,A)
【文献】特開2008-146160(JP,A)
【文献】特開2009-234101(JP,A)
【文献】特開2016-159581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0189610(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成する第1の画像形成部と、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する第2の画像形成部と、
を備え、
前記第2の画像形成部は、前記記録媒体の積載枚数に応じて、前記第2の画像を形成するか否かを変更する、
画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成する第1の画像形成部と、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する第2の画像形成部と、
を備え、
前記第2の画像形成部は、ユーザーにより指定されたページに対応する前記記録媒体の前記余白領域に、前記第2の画像を形成する、
画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の画像形成部は、前記第1の画像と前記第2の画像との距離が短くなるように、前記第2の画像を形成する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の画像形成部は、前記余白領域における断裁領域に前記第2の画像を形成する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の画像形成部は、前記第1の画像と前記第2の画像との間で濃度差が小さくなるように、前記第2の画像を形成する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の画像形成部は、ユーザーにより指定された色で前記第2の画像を形成する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の画像形成部は、ユーザーにより指定された位置に前記第2の画像を形成する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の画像のパターンは、ベタ、二重線、破線、格子、波線またはドットである、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1および第2の画像の形成に用いられる色材は、紫外線の照射を受けて硬化する紫外線硬化性を有する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成し、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する、
画像形成方法において、
前記記録媒体の積載枚数に応じて、前記第2の画像を形成するか否かを変更する、
画像形成方法。
【請求項11】
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成し、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する、
画像形成方法において、
ユーザーにより指定されたページに対応する前記記録媒体の前記余白領域に、前記第2の画像を形成する、
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送装置により搬送される記録媒体に対し、画像形成ヘッドに設けられた複数のノズルからインクを吐出して固着させることにより記録媒体に画像を形成するインクジェット画像形成装置がある。画像の形成に用いられるインク(色材)としては、例えば紫外線の照射を受けて硬化する紫外線硬化性を有するものが使用される。
【0003】
インクジェット画像形成装置に関連する技術として、記録媒体の始端、終端、更には両方を余白無く印刷する場合に、記録媒体が打ち捨てられたインクで汚損される虞がなく、更に記録媒体の印刷持の位置をしっかりと規制して印刷品質を低下させないインクジェット記録装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、吸引方式で用紙を搬送する場合に着弾位置精度に影響を与えることなく余白なし印刷を行えるようにする画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-38691号公報
【文献】特開2011-255635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記インクジェット画像形成装置では、図1A,1B(図1AのA-A断面図)に示すように、記録媒体P上における画像形成領域R1(点線で画定される)と画像形成領域の外側に設定される余白領域R2との間で、画像形成領域R1に固着されたインクIの高さ分だけ微小な高低差が生じる。すなわち、画像形成領域R1の上面は、インクIの高さ分だけ余白領域R2の上面より高い。
【0007】
そのため、図1Cに示すように、排紙トレイ31上に、微小な高低差が生じている複数の記録媒体Pが順次重ねて積載されていくと、その高低差が累積していき、画像形成領域R1より高さが低い余白領域R2(端部側)は垂れてしまう。
【0008】
その結果、例えば用紙突き当てガイド110に突き当てながら記録媒体Pを1枚ずつ排紙トレイ31上に自由落下させて積載する形態をとった場合、積載される記録媒体P間において滑りや積載崩れが発生するおそれがあるという問題があった。
【0009】
なお、上記特許文献1,2に開示された技術は、積載される記録媒体間における滑りや積載崩れの発生を抑制することを目的としておらず、上記問題を解決することができない。
【0010】
本発明の目的は、積載される記録媒体間における滑りや積載崩れの発生を抑制することが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置の一態様は、
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成する第1の画像形成部と、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する第2の画像形成部と、
を備え
前記第2の画像形成部は、前記記録媒体の積載枚数に応じて、前記第2の画像を形成するか否かを変更する
本発明に係る画像形成装置の他の態様は、
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成する第1の画像形成部と、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する第2の画像形成部と、
を備え、
前記第2の画像形成部は、ユーザーにより指定されたページに対応する前記記録媒体の前記余白領域に、前記第2の画像を形成する。
【0012】
本発明に係る画像形成方法の一態様は、
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成し、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する
画像形成方法において、
前記記録媒体の積載枚数に応じて、前記第2の画像を形成するか否かを変更する
本発明に係る画像形成方法の他の態様は、
記録媒体の画像形成領域に第1の画像を形成し、
前記第1の画像が形成された前記画像形成領域と余白領域との高低差が小さくなるように、前記余白領域に第2の画像を形成する、
画像形成方法において、
ユーザーにより指定されたページに対応する前記記録媒体の前記余白領域に、前記第2の画像を形成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、積載される記録媒体間における滑りや積載崩れの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来技術の問題点を説明する図である。
図2】インクジェット画像形成装置の概略構成を示す図である。
図3】ヘッドユニットの構成を示す模式図である。
図4】インクジェット画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図5】従来技術の問題点を解決する原理を説明する図である。
図6】画像形成処理の例を示すフローチャートである。
図7】余白領域に形成される画像のパターンの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図2は、インクジェット画像形成装置1の概略構成を示す図である。インクジェット画像形成装置1は、給紙部10と、画像形成部20と、排紙部30と、制御部40(図4を参照)とを備える。
【0017】
インクジェット画像形成装置1(本発明の「画像形成装置」として機能)は、制御部40による制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送し、画像形成部20(本発明の「第1の画像形成部」および「第2の画像形成部」として機能)で記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成された記録媒体Pを排紙部30に搬送する。記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛またはシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
【0018】
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレイ11と、給紙トレイ11から画像形成部20に記録媒体Pを搬送して供給する媒体供給部12とを有する。媒体供給部12は、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを備え、このベルト上に記録媒体Pを載置した状態でローラーを回転させることで記録媒体Pを給紙トレイ11から画像形成部20へ搬送する。
【0019】
画像形成部20は、搬送部21と、受け渡しユニット22と、加熱部23と、ヘッドユニット24と、定着部25と、デリバリー部28などを有する。
【0020】
搬送部21は、円筒状の搬送ドラム211の搬送面211a(載置面)の上に載置された記録媒体Pを保持し、搬送ドラム211がX方向(図1の紙面垂直方向)に延びた回転軸(円筒軸)を中心に回転して周回移動することで当該搬送ドラム211上の記録媒体Pを搬送方向(Y方向)に搬送する搬送動作を行う。搬送ドラム211は、その搬送面211a上で記録媒体Pを保持するための図示しない爪部および吸気部を備える。記録媒体Pは、爪部により端部が押さえられ、かつ吸気部により搬送面211aに吸い寄せられることで搬送面211aに保持される。搬送部21は、搬送ドラム211を回転させるための搬送ドラムモーター(図示せず)に接続されている。搬送ドラム211は、搬送ドラムモーターの回転量に比例した角度だけ回転する。
【0021】
受け渡しユニット22は、給紙部10の媒体供給部12により搬送された記録媒体Pを搬送部21に引き渡す。受け渡しユニット22は、給紙部10の媒体供給部12と搬送部21との間の位置に設けられ、媒体供給部12から搬送された記録媒体Pの一端をスイングアーム部221で保持して取り上げ、受け渡しドラム222を介して搬送部21に引き渡す。
【0022】
加熱部23は、受け渡しドラム222の配置位置とヘッドユニット24の配置位置との間に設けられ、搬送部21により搬送される記録媒体Pが所定の温度範囲内の温度となるように記録媒体Pを加熱する。加熱部23は、例えば、赤外線ヒーター等を有し、制御部40から供給される制御信号に基づいて赤外線ヒーターに通電して当該赤外線ヒーターを発熱させる。
【0023】
ヘッドユニット24は、記録媒体Pが保持された搬送ドラム211の回転に応じた適切なタイミングで、搬送ドラム211の搬送面211aに対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から記録媒体Pに対してインクを吐出して画像を形成する。ヘッドユニット24は、インク吐出面と搬送面211aとが所定の距離だけ離隔されるように配置される。本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット24が記録媒体Pの搬送方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0024】
図3は、ヘッドユニット24の構成を示す模式図である。ここでは、ヘッドユニット24のうち搬送ドラム211の搬送面211aと対向する面が示されている。
【0025】
ヘッドユニット24は、取り付け部材244に取り付けられた4つの画像形成ヘッド242を備える。画像形成ヘッド242の各々には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズル243とを各々有する複数の画像形成素子(記録素子)が設けられている。この画像形成素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0026】
画像形成ヘッド242では、記録媒体Pの搬送方向と交差する方向(本実施の形態では、搬送方向と直交する方向、すなわちX方向)に等間隔に配列されたノズル243からなる2つのノズル列が形成されている。これら2つのノズル列は、ノズル243の配置位置が、各ノズル列におけるノズル243の配置間隔の2分の1だけX方向について互いにずれるように設けられている。
【0027】
4つの画像形成ヘッド242は、ノズル列のX方向についての配置範囲が切れ目なく繋がるように千鳥格子状に配置されている。ヘッドユニット24に含まれるノズル243のX方向についての配置範囲は、搬送部21により搬送される記録媒体Pのうち画像が形成される領域のX方向の幅をカバーしており、ヘッドユニット24の位置は、画像の形成時には搬送ドラム211の回転軸に対して固定されて用いられる。すなわち、ヘッドユニット24は、記録媒体Pに対するX方向についての画像形成可能幅に亘ってインクを吐出可能なラインヘッドを有しており、インクジェット画像形成装置1は、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置である。
【0028】
なお、画像形成ヘッド242が有するノズル列の数は、2つではなく、1つまたは3つ以上であっても良い。また、ヘッドユニット24が有する画像形成ヘッド242の数は、4つでなく、3つ以下または5つ以上であっても良い。
【0029】
画像形成素子のノズルから吐出されるインク(色材)としては、温度によってゲル状またはゾル状に相変化し、紫外線等のエネルギー線を照射することにより硬化する性質(紫外線硬化性)を有するもの(例えば、UV硬化性インク、ジェルインク)が用いられる。また、本実施の形態では、常温でゲル状であり加熱されることによりゾル状となるインクが用いられる。ヘッドユニット24は、ヘッドユニット24内に貯留されるインクを加熱するインク加熱部(図示せず)を備える。インク加熱部は、制御部40による制御下で動作し、ゾル状となる温度にインクを加熱する。
【0030】
画像形成ヘッド242は、加熱されてゾル状となったインクを吐出する。このゾル状のインクが記録媒体Pに吐出されると、インク滴が記録媒体Pに着弾した後、自然冷却されることで速やかにインクがゲル状となって記録媒体P上で凝固(固着)する。
【0031】
定着部25は、搬送部21のX方向の幅に亘って配置された発光部を有し、搬送部21に載置された記録媒体Pに対して当該発光部から紫外線等のエネルギー線を照射して記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させて定着させる。定着部25の発光部は、搬送方向についてヘッドユニット24の配置位置からデリバリー部28の受け渡しドラム281の配置位置までの間において搬送面211aと対向して配置される。
【0032】
デリバリー部28は、記録媒体Pを搬送部21からベルトループ282に受け渡す円筒状の受け渡しドラム281と、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを有するベルトループ282とを有し、受け渡しドラム281により搬送部21からベルトループ282上に受け渡された記録媒体Pをベルトループ282により搬送して排紙部30に送出する。
【0033】
排紙部30は、デリバリー部28により画像形成部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレイ31を有する。本実施の形態では、記録媒体Pは、1枚ずつ排紙トレイ31上に自由落下し、用紙突き当てガイド110(図5Cを参照)に突き当てられながら順次積載される。
【0034】
図4は、インクジェット画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。インクジェット画像形成装置1は、加熱部23と、ヘッド駆動部241および画像形成ヘッド242と、定着部25と、制御部40と、搬送駆動部51と、操作表示部52と、入出力インターフェース53などを備える。
【0035】
ヘッド駆動部241は、画像形成ヘッド242の画像形成素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給することにより、画像形成ヘッド242のノズル243から画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0036】
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)および記憶部44を有する。
【0037】
CPU41は、ROM43に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM42に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。また、CPU41は、インクジェット画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
【0038】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM42は、不揮発性メモリーを含んでも良い。
【0039】
ROM43は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM43に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
【0040】
記憶部44には、入出力インターフェース53を介して外部装置2から入力されたプリントジョブ(画像形成命令)および当該プリントジョブに係る画像データなどが記憶される。このうちプリントジョブには、形成する画像に係る画像データを指定する情報の他、画像を形成する記録媒体Pの種別に係る情報(例えば、記録媒体Pの大きさおよび厚さ)が含まれる。記憶部44としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されても良い。
【0041】
搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて搬送ドラム211の搬送ドラムモーターに駆動信号を供給して搬送ドラム211を所定の速度およびタイミングで回転させる。
【0042】
また、搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて媒体供給部12、受け渡しユニット22およびデリバリー部28を動作させるためのモーターに駆動信号を供給して、記録媒体Pの搬送部21への供給および搬送部21からの排出を行わせる。
【0043】
操作表示部52は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置と、操作キーや、表示装置の画面に重ねられて配置されたタッチパネルといった入力装置とを備える。操作表示部52は、表示装置において各種情報を表示させ、また入力装置に対するユーザーの入力操作を操作信号に変換して制御部40に出力する。
【0044】
入出力インターフェース53は、外部装置2と制御部40との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース53は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースの何れかまたはこれらの組み合わせで構成される。
【0045】
外部装置2は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース53を介してプリントジョブおよび画像データ等を制御部40に供給する。
【0046】
ところで、従来のインクジェット画像形成装置1においては、図1A,1B(図1AのA-A断面図)に示すように、記録媒体P上における画像形成領域R1と画像形成領域の外側に設定される余白領域R2との間で、画像形成領域R1に固着されたインクIの高さ分だけ微小な高低差が生じる。すなわち、画像形成領域R1の上面は、インクIの高さ分だけ余白領域R2の上面より高い。
【0047】
そのため、図1Cに示すように、排紙トレイ31上に、微小な高低差が生じている複数の記録媒体Pが順次重ねて積載されていくと、その高低差が累積していき、画像形成領域R1より高さが低い余白領域R2(端部側)は垂れてしまう。
【0048】
その結果、用紙突き当てガイド110に突き当てながら記録媒体Pを1枚ずつ排紙トレイ31上に自由落下させて積載する形態積載される記録媒体P間において滑りや積載崩れが発生するおそれがあるという問題があった。
【0049】
そこで、本実施の形態では、画像形成部20は、図5A,5B(図5AのA-A断面図)に示すように、記録媒体Pの画像形成領域R1に第1の画像I1(プリントジョブに係る画像データに対応)を形成し、第1の画像I1が形成された画像形成領域R1と余白領域R2との高低差が小さくなるように、余白領域R2に第2の画像I2(画像形成領域R1を囲むベタ画像)を形成する。
【0050】
これにより、記録媒体P上における画像形成領域R1と余白領域R2との間で高低差が生じることが抑制される(図5Bを参照)。
【0051】
そのため、図5Cに示すように、排紙トレイ31上に複数の記録媒体Pが順次重ねて積載されても、余白領域R2(端部側)が垂れてしまうことは抑制される。その結果、用紙突き当てガイド110に突き当てながら記録媒体Pを1枚ずつ排紙トレイ31上に自由落下させて積載する形態をとった場合、積載される記録媒体P間において滑りや積載崩れが発生することを抑制することができる。
【0052】
図6は、インクジェット画像形成装置1による画像形成処理の例を示すフローチャートである。図6におけるステップS101の処理は、外部装置2から入出力インターフェース53を介してプリントジョブおよび画像データが制御部40に供給されることにより実行される。
【0053】
まず、制御部40は、供給されたプリントジョブおよび画像データを参照し、余白領域R2に第2の画像I2(画像形成領域R1を囲むベタ画像)を形成する必要があるか否かについて判定する(ステップS101)。
【0054】
本実施の形態では、制御部40は、第1の画像I1の端部位置に応じて、第2の画像I2を形成する必要があるか否かについて判定する。例えば、制御部40は、第1の画像I1の端部位置が記録媒体Pの縁付近に位置する場合、余白領域R2(端部側)の垂れは発生しにくいため、第2の画像I2を形成する必要がないと判定する。一方、制御部40は、第1の画像I1の端部位置が記録媒体Pの縁付近に位置しない場合、余白領域R2(端部側)の垂れが発生するおそれがあるため、第2の画像I2を形成する必要があると判定する。
【0055】
判定の結果、余白領域R2に第2の画像I2を形成する必要がある場合(ステップS101、YES)、制御部40は、記録媒体Pの画像形成領域R1に第1の画像I1を形成し、余白領域R2に第2の画像I2を形成するように画像形成部20を制御する。ステップS102の処理が完了することによって、インクジェット画像形成装置1は、図6における処理を終了する。
【0056】
なお、ステップS102において、制御部40は、余白領域R2に第2の画像I2を形成する前にユーザーに第2の画像I2を確認させるため、第2の画像I2をプレビュー表示するように操作表示部52を制御しても良い。
【0057】
一方、余白領域R2に第2の画像I2を形成する必要がない場合(ステップS101、NO)、制御部40は、記録媒体Pの画像形成領域R1に第1の画像I1を形成し、余白領域R2に第2の画像I2を形成しないように画像形成部20を制御する。これにより、余白領域R2(端部側)の垂れが発生するおそれがない場合にまで第2の画像I2を不必要に形成することで印字コストが増大することを防止することができる。ステップS103の処理が完了することによって、インクジェット画像形成装置1は、図6における処理を終了する。
【0058】
以上詳しく説明したように、本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1は、記録媒体Pの画像形成領域R1に第1の画像I1を形成する第1の画像形成部(画像形成部20)と、第1の画像I1が形成された画像形成領域R1と余白領域R2との高低差が小さくなるように、余白領域R2に第2の画像I2を形成する第2の画像形成部(画像形成部20)とを備える。
【0059】
このように構成した本実施の形態によれば、記録媒体P上における画像形成領域R1と余白領域R2との間で高低差が生じることが抑制されるため、排紙トレイ31上に複数の記録媒体Pが順次重ねて積載されても、余白領域R2(端部側)が垂れてしまうことは抑制される。その結果、用紙突き当てガイド110に突き当てながら記録媒体Pを1枚ずつ排紙トレイ31上に自由落下させて積載する形態をとった場合、積載される記録媒体P間において滑りや積載崩れが発生することを抑制することができる。
【0060】
なお、上記実施の形態では、余白領域R2に形成する第2の画像I2が、画像形成領域R1を囲むベタ画像である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、余白領域R2に形成する第2の画像I2のパターンは、画像形成領域R1を囲む二重線(図7Aを参照)、画像形成領域R1を囲む破線(図7Bを参照)、画像形成領域R1を囲む格子(図7Cを参照)、画像形成領域R1を囲む波線(図7Dを参照)または画像形成領域R1を囲むドットであっても良い。画像形成領域R1に形成される第1の画像I1に応じて、画像形成領域R1と余白領域R2との高低差が小さくなり余白領域R2(端部側)の垂れが発生しないような第2の画像I2であれば、第2の画像I2のパターンは任意に設定することができる。
【0061】
また、上記実施の形態では、制御部40は、第1の画像I1の端部位置に応じて、第2の画像I2を形成する必要があるか否かについて判定する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、制御部40は、余白領域R2の面積に応じて、第2の画像I2を形成する必要があるか否かについて判定しても良い。この場合、制御部40は、余白領域R2の面積が小さい場合、余白領域R2(端部側)の垂れは発生しにくいため、第2の画像I2を形成する必要がないと判定する。一方、制御部40は、余白領域R2の面積が大きい場合、余白領域R2(端部側)の垂れが発生するおそれがあるため、第2の画像I2を形成する必要があると判定する。
【0062】
また、制御部40は、排紙トレイ31上に積載される記録媒体Pの枚数に応じて、第2の画像I2を形成する必要があるか否かについて判定しても良い。この場合、制御部40は、積載される記録媒体Pの枚数が少ない場合、余白領域R2(端部側)の垂れは発生しにくいため、第2の画像I2を形成する必要がないと判定する。一方、制御部40は、積載される記録媒体Pの枚数が多い場合(例えば、3000枚以上)、余白領域R2(端部側)の垂れが発生するおそれがあるため、第2の画像I2を形成する必要があると判定する。
【0063】
また、制御部40は、記録媒体Pの剛性に応じて、第2の画像I2を形成する必要があるか否かについて判定しても良い。この場合、制御部40は、記録媒体Pの剛性が大きい場合、余白領域R2(端部側)の垂れは発生しにくいため、第2の画像I2を形成する必要がないと判定する。一方、制御部40は、記録媒体Pの剛性が小さい場合、余白領域R2(端部側)の垂れが発生するおそれがあるため、第2の画像I2を形成する必要があると判定する。
【0064】
また、上記実施の形態において、画像形成部20は、第1の画像I1と第2の画像I2との距離が短くなるように、第2の画像I2を形成することが望ましい。第1の画像I1と第2の画像I2との距離が長くなると、積載される記録媒体P間に滑りや積載崩れは発生しないものの、積載状態が悪くなるため断裁時などに悪影響が生じやすくなるためである。
【0065】
また、上記実施の形態において、画像形成部20は、余白領域R2における断裁領域に第2の画像I2を形成することが望ましい。断裁領域の内側に第2の画像I2を形成してしまうと、第1の画像I1が形成された記録媒体P(商品)の価値が低下してしまう可能性があるためである。
【0066】
また、上記実施の形態において、画像形成部20は、ユーザーにより指定されたページに対応する記録媒体Pの余白領域R2に第2の画像I2を形成することが望ましい。例えば、全ページの余白領域R2に第2の画像I2を形成するのではなく一定間隔のページに形成することによって、インクの消費量を低減しつつ、積載される記録媒体P間における滑りや積載崩れの発生を抑制することができる。
【0067】
また、上記実施の形態において、画像形成部20は、第1の画像I1と第2の画像I2との間で濃度差が小さくなるように、第2の画像I2を形成することが望ましい。例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクを使用して第1の画像I1を形成し、ブラック(K)の1色のインクを使用して第2の画像I2を形成した場合、第1の画像I1と第2の画像I2との間で濃度差が大きくなり、画像形成領域R1と余白領域R2との間で高低差が生じて余白領域R2(端部側)が垂れてしまうためである。
【0068】
また、上記実施の形態において、画像形成部20は、ユーザーにより指定された色で第2の画像I2を形成しても良い。これにより、インクジェット画像形成装置1の使用状況に応じてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクの消費量が異なる場合、消費量の低いインクを使用して第2の画像I2を形成するように任意のインクを選択することができる。
【0069】
また、上記実施の形態において、画像形成部20は、ユーザーにより指定された位置に第2の画像I2を形成しても良い。例えば、画像形成部20は、第1の画像I1の種類に応じて、記録媒体Pの余白領域R2のうちユーザーにより指定された位置(長辺側または短辺側)に第2の画像I2を形成する。
【0070】
また、上記実施の形態では、搬送ドラム211により記録媒体Pを搬送する例を用いて説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、2本のローラーに支持されローラーの回転に応じて移動する搬送ベルトにより記録媒体Pを搬送しても良い。また、同一平面上を往復移動する搬送部材により記録媒体Pを搬送しても良い。
【0071】
また、上記実施の形態では、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置1を例に挙げて説明したが、ヘッドユニットを走査させながら画像の記録を行うインクジェット画像形成装置に本発明を適用しても良い。また、ヘッドユニットに単一のノズルが設けられたインクジェット画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、インクジェット方式によって第1の画像I1および第2の画像I2を形成する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、電子写真方式によって第1の画像I1および第2の画像I2を形成しても良い。この場合、第1の画像I1および第2の画像I2の形成に用いられる色材は、トナーである。
【0073】
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 インクジェット画像形成装置
2 外部装置
10 給紙部
11 給紙トレイ
12 媒体供給部
20 画像形成部
21 搬送部
211 搬送ドラム
211a 搬送面
22 受け渡しユニット
23 加熱部
24 ヘッドユニット
241 ヘッド駆動部
242 画像形成ヘッド
243 ノズル
244 取り付け部材
25 定着部
28 デリバリー部
30 排紙部
31 排紙トレイ
40 制御部
41 CPU
42 RAM
43 ROM
44 記憶部
51 搬送駆動部
52 操作表示部
53 入出力インターフェース
110 用紙突き当てガイド
R1 画像形成領域
R2 余白領域
I1 第1の画像
I2 第2の画像
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7