(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20231129BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20231129BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F21/62
B41J29/46 Z
B41J29/38
(21)【出願番号】P 2019164337
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-08-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 祐
(72)【発明者】
【氏名】松村 亮治
(72)【発明者】
【氏名】梶山 肇
(72)【発明者】
【氏名】篠田 和幹
(72)【発明者】
【氏名】市場 裕臣
(72)【発明者】
【氏名】吉村 拓
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037911(JP,A)
【文献】特開2008-052706(JP,A)
【文献】特開2007-199940(JP,A)
【文献】特開2018-014099(JP,A)
【文献】特開2002-373255(JP,A)
【文献】特開2016-130876(JP,A)
【文献】特開2012-073770(JP,A)
【文献】特開2016-134137(JP,A)
【文献】国際公開第2016/016953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/14
G06F 21/10
G06F 21/60-21/88
B41J 29/46
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ある機器の操作権限を有する第1ユーザが当該機器に対する操作の代行を第2ユーザに依頼した場合であって、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際から予め設定された時間以内に前記第2ユーザの操作履歴が存在する場合に、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際に、前記第2ユーザが操作中であるため前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御する
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1ユーザが前記機器にデータを格納する操作をしようとした場合に、前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御する請求項
1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1ユーザが、保存されていた設定情報を前記機器に復元する操作をしようとした場合に、前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御する請求項
2記載の情報処理装置。
【請求項4】
ある機器の操作権限を有する第1ユーザが、当該機器に対する操作の代行を第2ユーザに依頼した場合であって、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際から予め設定された時間以内に前記第2ユーザの操作履歴が存在する場合に、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際に、前記第2ユーザが操作中であるため前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも1つのデバイスをネットワーク経由にて管理するデバイス管理装置と、デバイス管理装置によって管理されるデバイスと、を備えるネットワークシステムであって、ネットワークに接続されたデバイスに対して動作条件を設定するユーザの作業負荷を軽減するようにしたネットワークシステムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、複合機に新規にアプリケーションをインストールした場合に、インストールしたアプリケーションによる新規の設定情報を、機器管理装置または中央管理装置で管理可能とすることができる機器管理システムが開示されている。
【0004】
特許文献3には、他の画像形成装置で設定されていた設定情報に含まれる設定項目と同じ設定項目が自装置の設定項目にある場合には、他の画像形成装置から取得した設定情報に基づいてその設定項目の設定を行い、それ以外の設定項目については、他の画像形成装置において実行された印刷あるいは複写を含む動作の履歴を示す動作履歴情報を用いて設定することにより、画像形成装置設置の初期段階からユーザの使用状況に応じて適正に稼働させることを可能とした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4858271号公報
【文献】特許第5434174号公報
【文献】特許第5896768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器の操作の代行を他のユーザに依頼した場合、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る本発明は、メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ある機器の操作権限を有する第1ユーザが当該機器に対する操作の代行を第2ユーザに依頼した場合であって、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際から予め設定された時間以内に前記第2ユーザの操作履歴が存在する場合に、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際に、前記第2ユーザが操作中であるため前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御する情報処理装置である。
【0012】
請求項2に係る本発明は、前記プロセッサが、
前記第1ユーザが前記機器にデータを格納する操作をしようとした場合に、前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御する請求項1記載の情報処理装置である。
【0013】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサが、
前記第1ユーザが、保存されていた設定情報を前記機器に復元する操作をしようとした場合に、前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御する請求項2記載の情報処理装置である。
【0014】
請求項4に係る本発明は、ある機器の操作権限を有する第1ユーザが、当該機器に対する操作の代行を第2ユーザに依頼した場合であって、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際から予め設定された時間以内に前記第2ユーザの操作履歴が存在する場合に、前記第1ユーザが当該機器の操作を行うとした際に、前記第2ユーザが操作中であるため前記第1ユーザによる操作を受け付けることができない旨を前記第1ユーザの操作画面上に表示するよう制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によれば、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器の操作の代行を他のユーザに依頼した場合、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器の操作の代行を他のユーザに依頼した場合、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置を提供することができる。
また、請求項1に係る本発明によれば、第1ユーザが、操作が受け付けられない理由が第2ユーザの操作中であることを把握することが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0019】
さらに、請求項1に係る本発明によれば、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器の操作の代行を他のユーザに依頼して操作中である場合に、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0020】
請求項2に係る本発明によれば、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器にデータを格納する操作の代行を他のユーザに依頼した場合、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項3に係る本発明によれば、ある機器の操作権限を有するユーザが、保存されていた設定情報をその機器に復元する操作の代行を他のユーザに依頼した場合、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項4に係る本発明によれば、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器の操作の代行を他のユーザに依頼した場合、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項4に係る本発明によれば、第1ユーザが、操作が受け付けられない理由が第2ユーザの操作中であることを把握することが可能なプログラムを提供することができる。
さらに、請求項4に係る本発明によれば、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器の操作の代行を他のユーザに依頼して操作中である場合に、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐことが可能なプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムの構成を示すシステム図である。
【
図2】本発明の一実施形態における管理サーバ20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態における管理サーバ20の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】機器情報管理テーブル記憶部24に記憶されている機器情報管理テーブルの一例を示す図である。
【
図5】制限操作情報管理テーブル記憶部25に記憶されている制限操作情報管理テーブルの一例を示す図である。
【
図6】バックアップデータ管理テーブル記憶部26に記憶されているバックアップデータ管理テーブルの一例を示す図である。
【
図7】顧客ユーザが、画像形成装置40の操作パネルや端末装置10において、リストアを行う機器を選択する際の表示画面例を示す図である。
【
図8】画像形成装置40にリストアするバックアップデータを選択する際の操作画面例を示す図である。
【
図9】リストアするバックアップデータの選択が行われた場合に表示されるリストア指示の最終確認の画面例を示す図である。
【
図10】リストア処理の開始が顧客ユーザにより行われたにもかかわらず、代行操作者が登録されていることによりリストア処理が実行されなかった場合のエラー画面例を示す図である。
【
図11】
図10に示したエラー画面が画像形成装置40の操作パネル上に表示される場合の一例を説明するための図である。
【
図12】
図10に示したエラー画面が端末装置10のディスプレイ上に表示される場合の一例を説明するための図である。
【
図13】機器の登録動作を行う場合の情報の送受信の様子を説明するためのシーケンスチャートである。
【
図14】管理サーバ20に対するリストア要求の処理結果がエラーとなる場合の様子を説明するためのシーケンスチャートである。
【
図15】管理サーバ20に対するリストア要求の処理結果が正常となる場合の様子を説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態の情報処理システムの構成を示すシステム図である。
【0026】
本発明の一実施形態の情報処理システムは、
図1に示されるように、画像形成装置40と、端末装置10と、管理サーバ20とがインターネット30により相互に接続された構成となっている。
【0027】
画像形成装置40は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0028】
そして、管理サーバ20は、いわゆるクラウドサービスとして設定情報をバックアップデータとして保存しておき要求に応じて保存している設定情報を復元等するサービスを提供している情報処理装置である。具体的には、管理サーバ20は、画像形成装置40からアップロードされてきた設定情報を受け付けてバックアップデータとして保存している。なお、
図1では説明を簡単にするために1台の画像形成装置40のみを図示して説明するが、管理サーバ20は、数多くのの画像形成装置の設定情報をバックアップデータとして保存している。
【0029】
このように管理サーバ20において画像形成装置40の設定情報をバックアップデータとして保存しているのは、いずれかの装置において設定情報が誤って消去されてしまった場合に元の設定内容を復元したり、装置の入れ換えを行った際に入れ換え後の装置において以前と同じ設定内容を引き継いだり、新たに導入した装置に導入済みの装置と同内容の設定を行うことができるようにするためである。以降このような保存されている設定情報を用いて設定を行う処理をリストアと称する。
【0030】
ここで、設定情報には、例えば、スキャン処理を行う際のスキャン解像度、コピー処理を行う際のカラーモード等の各種設定項目や、各設定項目に対する設定値や、FAX送信等の際に使用される宛先表情報等の様々な情報が含まれる。
【0031】
そして、端末装置10は、画像形成装置の設定情報のバックアップ及びリストアを行うためのバックアップ管理ソフトがインストールされている。端末装置10は、このバックアップ管理ソフトにより、画像形成装置40の設定情報を取得して管理サーバ20に送信することによりバックアップを行ったり、管理サーバ20にバックアップされていた設定情報を取得して画像形成装置40にリストアしたりする処理を行っている。
【0032】
ここで、このような画像形成装置40の設定情報のバックアップは、この画像形成装置40が設置されている顧客ユーザの機械管理者により行われることが多い。しかし、設置されている画像形成装置の台数が多い場合や、機械管理者が操作に不慣れな場合等もあるため、このようなバックアップやリストアの操作の代行を、画像形成装置40の製造者の保守担当者であるカスタマーエンジニア(以降CEと略す。)に依頼する場合がある。
【0033】
図1ではこのようなCEが端末装置50を用いて画像形成装置40に対するバックアップデータの取得や、バックアップデータのリストア作業を行う様子が示されている。
【0034】
ここで、管理サーバ20は、認証を行った複数のユーザにより利用されるマルチテナントシステムの構成となっていて、画像形成装置40が設置された顧客ユーザはテナントIDが「A00002」のテナントとして登録されている。また、端末装置50を用いて代行操作を行うCEは、はテナントIDが「B00002」のテナントとして登録されている。さらに、画像形成装置40は、機器IDが「10003」の機器として登録されているものとする。
【0035】
なお、画像形成装置40が設置されている顧客ユーザは、この画像形成装置40の操作権限を有しているが、上記のようなバックアップデータのリストア操作の代行をCEに依頼した場合、顧客ユーザの機械管理者が操作の代行を依頼していることを忘れて画像形成装置40の操作パネルからリストア操作を実行してしまったり、端末装置10のバックアップ管理ソフトを用いてバックアップデータのリストア操作を実行してしまったりした場合、画像形成装置40では複数のユーザによる操作が干渉してしまうことになる。そして、このような複数のユーザによる操作が干渉してしまった場合、バックアップデータのリストア処理が正常に実行されないというような不具合が発生する可能性がある。
【0036】
そこで、本実施形態の管理サーバ20では、下記のような処理を行うことにより、ある機器の操作権限を有するユーザが、その機器の操作の代行を他のユーザに依頼した場合でも、複数のユーザによる操作が干渉してしまうことを防ぐようにしている。
【0037】
次に、本実施形態の情報処理システムにおける管理サーバ20のハードウェア構成を
図2に示す。
【0038】
管理サーバ20は、
図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、インターネット30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0039】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、管理サーバ20の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0040】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される管理サーバ20の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
本実施形態の管理サーバ20は、
図3に示されるように、バックアップデータ格納部21と、データ送受信部22と、制御部23と、機器情報管理テーブル記憶部24と、制限操作情報管理テーブル記憶部25と、バックアップデータ管理テーブル記憶部26とを備えている。
【0042】
バックアップデータ格納部21は、画像形成装置40等の各種設定情報をバックアップデータとして格納する。なお、バックアップデータ格納部21には、1台の機器に対して1つのバックアップデータのみが格納されているのではなく、1台の機器の複数のバックアップデータが、登録したユーザや登録日毎に格納されている。
【0043】
データ送受信部22は、インターネット30を介して画像形成装置40や端末装置10、50等の間でデータの送受信を行っている。具体的には、データ送受信部22は、画像形成装置40や端末装置10、50からアップロードされてきたバックアップデータを受信したり、画像形成装置40や端末装置10、50に対して保存されていたバックアップデータをダウンロードしたりする処理を行っている。
【0044】
制御部23は、管理サーバ20全体の動作を制御していて、データ送受信部22が画像形成装置40や端末装置10、50から受信したバックアップデータをバックアップデータ格納部21に格納する処理や、バックアップデータ格納部21に格納されているバックアップデータを、データ送受信部22を介して画像形成装置40や端末装置10、50に送信する処理を行っている。
【0045】
機器情報管理テーブル記憶部24は、操作対象の機器毎に、操作者および代行操作者の情報を登録するための機器情報管理テーブルを記憶している。この機器情報管理テーブル記憶部24に記憶されている機器情報管理テーブルの一例を
図4に示す。
【0046】
図4に示された機器情報管理テーブルでは、操作対象の機器を特定するための機器IDと、操作者を特定するための顧客テナントID、代行操作者を特定するための代行者テナントIDとが対応付けられて記憶されている。
【0047】
例えば、
図4の機器情報管理テーブル例では、機器IDが「10001」の機器には顧客テナントIDが「A00001」の顧客ユーザが操作者として登録されている。
【0048】
また、
図4の機器情報管理テーブル例では、
図1に示した機器IDが「10003」の画像形成装置40に対しては、顧客テナントIDが「A00002」の顧客ユーザが操作者として登録されているとともに、代行者テナントIDが「B00002」のCEが代行操作者として登録されている。
【0049】
制限操作情報管理テーブル記憶部25は、操作対象の各機器の操作種別毎に、代行操作者および顧客ユーザのうちのどちらの操作を優先するのかを設定するための制限操作情報管理テーブルを記憶している。この制限操作情報管理テーブル記憶部25に記憶されている制限操作情報管理テーブルの一例を
図5に示す。
【0050】
図5に示された制限操作情報管理テーブルでは、機器IDと操作種別の組み合わせ毎に、代行操作者および顧客ユーザのうちのいずれに優先権があるのかが設定されている。ここで、優先権とは、複数のユーザによる操作が干渉しそうな場合に、他のユーザに対して優先して操作を行う権利を意味し、優先件が設定されていないユーザの操作は制限されることになる。
【0051】
ただし、顧客ユーザがCE等に操作の代行を依頼した場合、一般的に代行操作者の操作を優先することが多いため、このような設定を可能とすることなく常に代行操作者による操作を優先するようにしても良い。
【0052】
なお、
図1に示した機器IDが「10003」の画像形成装置40に対しては、全ての操作種別について代行操作者の操作が優先されるような設定となっている。
【0053】
なお、
図5においてリモートリストアとは、端末装置10、50からの操作に基づいて画像形成装置10に対してバックアップデータのリストア操作を行うことを意味する。また、ローカルリストアとは、画像形成装置10の操作パネルを直接操作してバックアップデータのリストア操作を行うことを意味する。さらに、時刻指定リストアとは、リストア処理を実行する時刻を事前に設定しておき、その時刻になると自動的にリストア処理が実行されるようなリストア操作を意味する。
【0054】
バックアップデータ管理テーブル記憶部26は、バックアップデータ格納部21に格納されているバックアップデータを管理するためのバックアップデータ管理テーブルを記憶する。このバックアップデータ管理テーブル記憶部26に記憶されているバックアップデータ管理テーブルの一例を
図6に示す。
【0055】
図6に示したバックアップデータ管理テーブルでは、機器IDと、バックアップデータの保存操作を行ったユーザを特定するためのテナントIDとの組み合わせ毎に、アップロードされてきたバックアップデータ毎に設定されたバックアップIDとが対応付けられて記憶されている。
【0056】
この
図6のバックアップデータ管理テーブルを参照すると、同一の機器に対して複数のバックアップデータが保存されていることが分かる。
【0057】
また、制御部23は、ある機器の操作権限を有する顧客ユーザがその機器に対する操作の代行をCE等の他のユーザに依頼した場合、顧客ユーザがその機器の操作を行うとした際に、顧客ユーザによる操作を受け付けることができない旨を顧客ユーザの操作画面上に表示するよう制御する。
【0058】
なお、本実施形態では操作対象の機器が画像形成装置40である場合を用いて説明するため、制御部23は、画像形成装置40の操作権限を有する顧客ユーザが画像形成装置40に対する操作の代行をCEに依頼した場合、顧客ユーザが画像形成装置40の操作を行うとした際に、顧客ユーザによる操作を受け付けることができない旨を顧客ユーザの操作画面上に表示するよう制御する。
【0059】
ここで、代行とは、ある機器の操作権限を有するユーザが、本来は操作権限を有していない他のユーザに操作を依頼することを意味する。また、代行を依頼した場合とは、代行操作者が代行依頼を受け付けて依頼番号を発行した場合や、代行を依頼されたCEが代行操作者として自身のテナントIDを機器情報管理テーブルに登録した場合を意味する。
【0060】
また、制御部23は、顧客ユーザが画像形成装置40の操作を行うとした際に、代行操作者であるCEに操作を依頼中であるため顧客ユーザによる操作を受け付けることができない旨を顧客ユーザの操作画面上に表示するよう制御する。
【0061】
なお、制御部23は、顧客ユーザがCE等に操作の代行を依頼しているのか否かを判定する際には、機器情報管理テーブル記憶部24に記憶されている機器情報管理テーブルを参照する。
【0062】
具体的には、制御部23は、顧客ユーザが操作しようとしている画像形成装置40に操作者の情報、つまり代行テナントIDが登録されている場合に、顧客ユーザによる操作を受け付けることができない旨を顧客ユーザの操作画面上に表示するよう制御する。
【0063】
つまり、この場合には、実際に代行操作者であるCEが画像形成装置40の操作を行っているか否かに基づいて判定を行うのではなく、判定対象の画像形成装置40に対して代行操作者の情報が登録されているか否かに基づいて判定が行われることになる。
【0064】
なお、代行操作者が依頼されたバックアップデータのリストア操作等を完了した場合、機器情報管理テーブルに登録された代行テナントIDは削除されるため、このように代行操作者が登録されているか否かに基づいて顧客ユーザの操作を制限したとしても顧客ユーザの操作が制限される期間が不必要に長くなることはない。
【0065】
そして、制御部23は、顧客ユーザが画像形成装置40の操作を行うとした際に、代行操作者であるCEが操作中であるため顧客ユーザによる操作を受け付けることができない旨を顧客1ユーザの操作画面上に表示するようにしても良い。
【0066】
さらに、制御部23は、代行操作者が機器情報管理テーブルに登録されていることにのみ基づいて顧客ユーザの操作を制限するのではなく、画像形成装置40の操作ログ情報(または操作履歴情報)を参照して、顧客ユーザが画像形成装置40の操作を行うとした際から予め設定された時間以内、例えば5分以内に代行操作者の操作履歴が存在する場合に、代行操作者が操作中であるため顧客ユーザによる操作を受け付けることができない旨を表示するよう制御しても良い。
【0067】
なお、このように複数のユーザによる操作が重複した場合に特に問題になるのは、画像形成装置40に何らかのデータを格納する操作をしようとした場合である。具体的には、画像形成装置40に、外部に保存されていたバックアップデータをリストアする操作を行うような場合に、複数のリストア操作が重複して行われることにより不具合が発生する可能性が高い。
【0068】
そのため、制御部23は、顧客ユーザが画像形成装置40にデータを格納する操作をしようとした場合に、例えば、外部に保存されていたバックアップデータ等の設定情報を画像形成装置40にリストアする操作をしようとした場合に、顧客ユーザによる操作を受け付けることができない旨を顧客ユーザの操作画面上に表示するよう制御する、
【0069】
次に、本実施形態の管理サーバ20における動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0070】
まず、顧客ユーザが、画像形成装置40の操作パネルや端末装置10において、リストアを行う機器を選択する際の表示画面例を
図7に示す。
【0071】
図7では、「ABCD III(888745)」という製品名の機器がリストアを行う機器として選択された場合が示されている。
【0072】
次に、画像形成装置40の操作パネルや端末装置10において、管理サーバ20に格納されているバックアップデータの中から画像形成装置40にリストアするバックアップデータを選択する際の操作画面例を
図8に示す。
【0073】
図8を参照すると、管理サーバ20に格納されている複数のバックアップデータの中から、データ名、生成日時、メモの内容等を参照して、1つのバックアップデータを選択してリストアを実行する様子が示されている。
【0074】
そして、
図8に示したような操作画面例においてリストアするバックアップデータの選択が行われた場合に表示されるリストア指示の最終確認の画面例を
図9に示す。
【0075】
図9では、リストア指示の最終確認をユーザに対して行うための操作画面例が示されており、ユーザがこの操作画面を参照した後に送信ボタンを操作することによりリストア処理が開始されることになる。
【0076】
次に、上記のようなリストア処理の開始が顧客ユーザにより行われたにもかかわらず、代行操作者が登録されていることによりリストア処理が実行されなかった場合のエラー画面例を
図10に示す。
【0077】
図10では、「指定された機器は次の依頼番号で代行処理中のため、操作はできません。」という表示が行われて、指示されたリストア処理を実行することができなかった旨およびその理由が顧客ユーザに通知されているのが分かる。
【0078】
なお、
図10に示したようなエラー画面は、顧客ユーザが画像形成装置40の操作パネル上からリストア指示を行った場合には、
図11に示すように画像形成装置40の操作パネル上に表示される。
【0079】
また、顧客ユーザが端末装置10からリストア指示を行った場合には、
図10に示したようなエラー画面は、
図12に示すように端末装置10のディスプレイ上に表示される。
【0080】
次に、管理サーバ20と画像形成装置40、端末装置10、50との間で行われる情報の送受信の様子を
図13~
図15のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0081】
まず、機器の登録動作を行う場合の情報の送受信の様子を
図13のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0082】
まず、ステップS101において、画像形成装置40から、または端末装置10、50経由にて管理サーバ20に対して機器登録依頼を行う。すると、管理サーバ20は、ステップS102において、機器登録依頼を行ってきたユーザを特定する操作者判定処理を実行する。ここで、管理サーバ20にログインする際には認証処理が必要となるため、管理サーバ20に対して処理を行うユーザは容易に特定することが可能である。
【0083】
そして、管理サーバ20は、ステップS103において、特定したユーザを顧客ユーザまたは代行操作者として機器情報管理テーブルに登録する。
【0084】
最後に、管理サーバ20は、ステップS104において、機器登録結果を返信する。
【0085】
次に、管理サーバ20に対するリストア要求の処理結果がエラーとなる場合の様子について
図14のシーケンスチャートを参照して説明する。なお、
図14では、画像形成装置40の操作パネル上からの操作に基づいてリストア操作を行う場合について説明する。
【0086】
まず、ステップS201において、画像形成装置40から管理サーバ20に対してバックアップデータを指定してリストア要求が行われる。
【0087】
すると、管理サーバ20では、ステップS202において操作者を判定し、ステップS203においてリストア処理を行うとする機器の機器情報を機器情報管理テーブルから取得する。具体的には、管理サーバ20の制御部23は、操作者がテナントID「A00002」の顧客ユーザであり、
図4に示した機器情報管理テーブルから機器IDが「10003」の機器に対しては顧客テナントID「A00002」とともに代行テナントID「B00002」が登録されていることを把握する。
【0088】
さらに、管理サーバ20の制御部23は、ステップS204において、制限操作情報管理テーブルから機器IDが「10003」の機器の制限情報を取得する。ここでは、機器IDが「10003」の機器では、全ての操作種別において代行操作者の操作が優先される設定になっている制限情報が取得されることになる。
【0089】
そのため、制御部23は、代行操作者が登録されている機器IDが「10003」の機器については、顧客ユーザの操作よりも代行操作者の操作を優先すべきであると判定して、ステップS205において、顧客ユーザからのリストア要求を受け付けない旨の処理結果をエラー通知として画像形成装置40に応答する。
【0090】
つまり、制御部23は、代行操作者が現在リストア操作中であるか否かにかかわらず、機器情報管理データにおいて代行操作者が登録されていることに基づいて、顧客ユーザからのリストア操作を受け付けないように制御していることになる。
【0091】
次に、管理サーバ20に対するリストア要求の処理結果が正常となる場合の様子について
図15のシーケンスチャートを参照して説明する。なお、
図15では、CEによる端末装置50からの操作に基づいてリストア操作を行う場合について説明する。
【0092】
まず、ステップS301において、端末装置50から管理サーバ20に対してバックアップデータを指定してリストア要求が行われる。
【0093】
すると、管理サーバ20では、ステップS302において操作者を判定し、ステップS303においてリストア処理を行うとする機器の機器情報を機器情報管理テーブルから取得する。具体的には、管理サーバ20の制御部23は、操作者がテナントID「B00002」の代行操作者であり、
図4に示した機器情報管理テーブルから機器IDが「10003」の機器に対しては顧客テナントID「A00002」とともに代行テナントID「B00002」が登録されていることを把握する。
【0094】
さらに、管理サーバ20の制御部23は、ステップS304において、制限操作情報管理テーブルから機器IDが「10003」の機器の制限情報を取得する。ここでは、機器IDが「10003」の機器では、全ての操作種別において代行操作者の操作が優先される設定になっている制限情報が取得される。
【0095】
そのため、制御部23は、ステップS305において、この代行操作者からのリストア要求を受け付けて、選択されたバックアップデータを画像形成装置40に送信してリストア処理を実行する。
【0096】
その後、制御部23は、ステップS306において、リストア処理が正常に完了した旨の処理結果を端末装置50に応答する。
【0097】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置40に対するリストア操作の代行を顧客ユーザがCE等の他のユーザに依頼する場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ある機器の操作権限を有するユーザが他のユーザに操作の代行を依頼するような場合であれば同様に本発明を適用することができるものである。
【0098】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0099】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 端末装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 制御バス
20 管理サーバ
21 バックアップデータ格納部
22 データ送受信部
23 制御部
24 機器情報管理テーブル記憶部
25 制限操作情報管理テーブル記憶部
26 バックアップデータ管理テーブル記憶部
30 インターネット
40 画像形成装置
50 端末装置