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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】フットレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/06 20060101AFI20231129BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B60N3/06
A47C7/50 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019168347
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046004
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
(72)【発明者】
【氏名】山田 純
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-292864(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016224878(DE,A1)
【文献】国際公開第2011/135651(WO,A1)
【文献】実開昭59-102537(JP,U)
【文献】特開2018-197089(JP,A)
【文献】実開平01-145851(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/06
A47C 7/50 - A47C 7/52
A47C 16/00 - A47C 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して近接又は離隔する方向にスライド移動させることが可能なフットレストであって、
フロアに対し平行移動が可能で上面部に足載せが可能な本体部と、該本体部における前記シートと反対側に配設された前記シートの幅方向に延びる軸に一端部が支持されて該軸を中心に上下方向に回動可能に支持された足載せが可能な板状部と、を有し、
前記板状部には伝熱及び/又は輻射熱による加温が可能なヒータが配設されており、
前記シートの着座者の足裏を前記本体部の前記上面部に当接させて支持した状態で、前記着座者の脛部分の前側に前記板状部を、前端部側を上方に起こし上げて配置することが可能なフットレスト。
【請求項2】
請求項1において、前記本体部に伝熱及び/又は輻射熱による加温が可能なヒータが配設されているフットレスト。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記本体部は前記フロアに対して前記軸を上下方向に移動させることが可能で、前記軸の移動と共に前記上面部の前記フロアに対する角度が変化するように構成されているフットレスト。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記本体部は、前記フロアに固定された一対のスライドレールのロアレール上をスライド移動可能に配設されているフットレスト。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットレストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗物のフロアに設置された乗物用シートに対して近接又は離隔する方向にスライド移動させることが可能なフットレストが知られている。例えば、特許文献1に記載されたフットレストは、乗物用シートに着座した乗員の足元位置とフットレスト位置が異なると、スライド装置を作動させて乗員の足元位置にフットレストを移動させることができる。また、乗物用シートのフットレストにヒータを組み込んだものが特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-43456号公報
【文献】実開昭57-84131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたフットレストにおいては、フットレストを乗物用シートに対して近接又は離隔する方向にスライド移動させることはできるが足を置く面の高さや角度を変更させることはできないので着座者の姿勢に応じた足の支持がしにくいという問題があった。また、特許文献2に記載されたフットレストにおいては、足を置く面からの伝熱により着座者の足裏を暖めることはできるが着座者の脛やふくらはぎを輻射熱により暖めることはできないという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、シートに対して近接又は離隔する方向にスライド移動させることが可能なフットレストにおいて、着座者の姿勢に応じて着座者の足を効果的に支持して暖めることができるフットレストを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、シートに対して近接又は離隔する方向にスライド移動させることが可能なフットレストであって、フロアに対し平行移動が可能で上面部に足載せが可能な本体部と、該本体部における前記シートと反対側に配設された前記シートの幅方向に延びる軸に一端部が支持されて該軸を中心に上下方向に回動可能に支持された足載せが可能な板状部と、を有し、前記板状部には伝熱及び/又は輻射熱による加温が可能なヒータが配設されていることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、シートの着座者の体格や姿勢に応じて着座者の足裏を置くフットレストの板状部の水平方向位置やフロアに対する角度を変更できるとともに、着座者の足を伝熱及び/又は輻射熱によって加温することができる。具体的には、本体部の上面部に足裏を載せて上方に配置された板状部のヒータによって脛の部分を輻射熱により加温することができる。また、板状部に足裏を載せて足裏の部分を伝熱により加温することができる。これによって、シート着座者の着座時における快適性の増進を図ることができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記本体部に伝熱及び/又は輻射熱による加温が可能なヒータが配設されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、本体部の上面部に足裏を載せて足裏の部分を伝熱により加温することができるとともに、上方に配置された板状部のヒータによって脛の部分を輻射熱により加温することができる。また、板状部に足裏を載せて足裏の部分を伝熱により加温することができるとともに、下方に配置された本体部のヒータによってふくらはぎの部分を輻射熱により加温することができる。これによって、シート着座者の着座時における快適性の増進をさらに図ることができる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記本体部は前記フロアに対して前記軸を上下方向に移動させることが可能で、前記軸の移動と共に前記上面部の前記フロアに対する角度が変化するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、本体部の上面部に足裏を載せたとき足裏を支持する角度を変更することができるので、調整の自由度が高まるとともに、そのときに脛の部分を輻射熱により加温することができる板状部の上下位置及び角度を適正化できる。
【0012】
本発明の第4発明は、上記第1発明ないし上記第3発明のいずれかにおいて、前記本体部は、前記フロアに固定された一対のスライドレールのロアレール上をスライド移動可能に配設されていることを特徴とする。
【0013】
第4発明によれば、本体部のスライド移動を簡潔な構造で成立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態であるフットレストの斜視図である。フロアに取付けた状態である。
図2】上記実施形態のフットレストの斜視図である。本体部のカバーを取り外した状態である。
図3】上記実施形態のフットレストの分解斜視図である。
図4】上記実施形態のフットレストのスライド機構部を説明する斜視図である。
図5】上記実施形態のフットレストのリフタ機構部を説明する側面図である。
図6】上記実施形態のフットレストのチルト機構部を説明する斜視図である。
図7図1のVII-VII矢視線断面図である。
図8】上記実施形態のフットレストの第1使用態様を説明する図である。
図9】上記実施形態のフットレストの第2使用態様を説明する図である。
図10】上記実施形態のフットレストの第3使用態様を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図10は、本発明の一実施形態を示す。本実施形態は、自動車用シート1に本発明を適用した例である。各図中、矢印により自動車のフロアFに自動車用シート1を取付けたときの自動車及び自動車用シート1の各方向を示している。左右方向がシートの幅方向である。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。ここで、自動車用シート1が、それぞれ、特許請求の範囲の「シート」に相当する。
【0016】
図1に示すように、自動車用シート1は、リアシートで、着座乗員の着座部となるシートクッション2と、背凭れとなるシートバック3と、を備える。乗員が着座する通常姿勢において、シートバック3は、その左右両側の下端部が、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライナ(図示せず)を介してシートクッション2の左右両側の後端部に連結されている。シートクッション2の前端部には着座乗員のふくらはぎを下から支持するオットマン2aが取付けられている。自動車用シート1は、フロアFに固定されて前後方向に延びる左右一対のスライドレール4のロアレール4aに対してシートクッション2のアッパレール(図示せず)が連結されており、フロアF上を前後方向にスライド移動可能とされている。自動車用シート1の前方には、左右一対のスライドレール4のロアレール4aに対して連結されフロアF上を前後方向にスライド移動可能とされたフットレスト5が配置されている。
【0017】
図1図3及び図7に示すように、フットレスト5は、左右一対のスライドレール4のロアレール4aに対して連結された本体部10と、本体部10の前端部に取付けられ本体部10に対して上下方向に回動可能な板状部20と、を有する。
【0018】
本体部10は、スライド機構部11と、スライド機構部11に取付けられたリフト機構部12と、リフト機構部12に取付けられたチルト機構部13と、カバー15と、を有する。スライド機構部11は、左右一対のスライドレール4のロアレール4a間に架け渡し状に配置されて前後方向に移動可能に形成されている。図3及び図4によく示されるように、スライド機構部11は、フロアFと平行に左右方向に延びるベース部11aと、ベース部11aの左右端部に設けられ下方に向かって開口する略U字状の断面で前後方向に延びる左右一対のギア支持部11bと、を有する。ギア支持部11bの下側である開口側にはスライドレール4のロアレール4aに対して摺動可能に嵌合するアッパレール4bが取付けられている。ギア支持部11bの中側には、左右方向に延びる回動軸11cで連結された左右一対の第1ギア11dが配置されている。左右一対の第1ギア11dは、アッパレール4bに設けられた上下方向に貫通する孔を通して下方に露出し、ロアレール4aの上面部に配設された上下方向に延びるラックギア4a1と噛み合っている。モータ11eが回転することにより、減速装置11fを介して第2ギア11gが回転し、第2ギア11gに噛み合っている第3ギア11hが回転することにより第3ギア11hが固定された回動軸11cが回転する。回動軸11cの回転によって、左右一対の第1ギア11dがラックギア4a1と噛み合った状態で回転することによりスライド機構部11はロアレール4aの上を前後に移動するようになっている。
【0019】
図2図3及び図5に示すように、リフト機構部12は、対向して上方に延びる左右一対の支持壁部12a1を有するブラケット12aと、左右一対の支持壁部12a1に支持されて左右方向に延びるリフト軸12bと、リフト軸12bに固定された左右一対のリフトアーム12cと、を有する。また、リフト機構部12は、左右一対の支持壁部12a1の間に配置された左右一対のリフトモータ12dと、リフト減速装置12eと、を有する。ブラケット12aは、左右一対の支持壁部12a1を下端部側で連結する連結壁部12a2を有し、連結壁部12a2が連結板12a3を介してスライド機構部11のベース部11aに連結されることによってスライド機構部11に取付けられている。左右一対のリフトアーム12cは、それぞれ、左右一対の支持壁部12a1の左右方向外側に配置された対向して前後方向に延びる板状部材で、その後端部側の上部がリフト軸12bに固定されている。各リフトアーム12cの後端部にはリフト軸12bを中心とする歯が切られたセクタギア12c1が設けられている。セクタギア12c1に噛み合う左右一対の第4ギア12fは、左右方向に延びる回動軸12gを介してリフト減速装置12eに連結されている。各リフトモータ12dが回転することにより、リフト減速装置12eを介して回動軸12gが回転し、各第4ギア12fが回転することによってそれに噛み合っているセクタギア12c1がリフト軸12bを中心に回転する。これによって、各リフトアーム12cは、リフト軸12bを中心に前端部側を上下に移動させるように回転する。ここで、リフトモータ12dはサイズと出力の関係から2つ設けたが、サイズと出力が適合すれば1つにすることもできる。
【0020】
図2図3及び図6に示すように、チルト機構部13は、各リフトアーム12cの前端部側に回転可能に支持されたチルト軸13aと、チルト軸13aに固定された左右一対のチルトアーム13bと、を有する。また、チルト機構部13は、左右一対のチルトモータ13cと、左右一対のチルト減速装置13dと、各リフトアーム12cの左右方向内側に回転可能に支持された左右一対の減速ギア群13eと、を有する。各チルトアーム13bは、後端部側が各リフトアーム12cの左右方向内側においてチルト軸13aに対して回転不能に固定されており、後端部にはチルト軸13aを中心とする歯が切られたセクタギア13b1が設けられている。各チルトアーム13bは、板状部20の後端部側の下側に取付けられ板状部20を支持する。各チルトモータ13cと各チルト減速装置13dは、各リフトアーム12cの左右方向外側に取付けられており、各リフトアーム12cの前後方向中央部において各チルト減速装置13dの回動軸13d1が各リフトアーム12cの左右方向内側まで左右方向に延びている。減速ギア群13eは、後側から第5ギア13e1、第6ギア13e2、第7ギア13e3が順次噛み合って配設されている。第5ギア13e1は回動軸13d1に固定され回動軸13d1を中心に回転する。第6ギア13e2は左右方向内側の内ギア部13e21と左右方向外側の外ギア部13e22とを有し、内ギア部13e21が第5ギア13e1に噛み合っている。内ギア部13e21の方が外ギア部13e22より大径に形成されている。外ギア部13e22は、第7ギア13e3に噛み合い第7ギア13e3は各チルトアーム13bのセクタギア13b1に噛み合っている。第7ギア13e3は第5ギア13e1より大径に形成されている。各チルトモータ13cが回転することにより、各チルト減速装置13dと各減速ギア群13eを介して各チルトアーム13bがチルト軸13aを中心に前端部側を上下に移動させるように回転する。減速ギア群13eは、ギアカバー13fによって覆われている。回動軸13d1による出力は、リフトアーム12cの上下幅の中に納まったサイズの減速ギア群13eを介して各チルトアーム13bに伝えられるので本体部10の上下方向高さをコンパクトに設定することができる。ここで、チルト軸13aが、特許請求の範囲の「軸」に相当する。
【0021】
図1図3及び図7に示すように、カバー15は樹脂製で、スライド機構部11のベース部11aに対して固定された後カバー部15a及び側カバー部15bと、リフト機構部12の各リフトアーム12cに対して固定された前カバー部15cと、を有する。後カバー部15aと側カバー部15bは、ベース部11aに対して不動であるが、前カバー部15cは、ベース部11aに対して各リフトアーム12cとともに上下動する。前カバー部15cの上面部15cUSには矩形状の凹部15c1が設けられ、凹部15c1の中に面状のヒータ15c2が配置されてその上面が布帛製の表皮材15c3で覆われている。ヒータ15c2は、図示しない電源と連結され伝熱によっても輻射熱によっても加温効果を奏するものである。
【0022】
図1図3及び図7に示すように、板状部20は、上面視で略矩形状をした板状の部材である。板状部20は、金属製のフレーム21と、樹脂製のプレート22と、プレート22上に配置された面状のヒータ23と、ヒータ23の上面を覆う布帛製の表皮材24と、を有する。ヒータ23と表皮材24は、サイズが異なるだけで実質的にヒータ15c2と表皮材15c3に異ならない。板状部20は、後端部側がチルト機構部13の各チルトアーム13bによって支持されることによって本体部10に対しチルト軸13aを中心に前端部側を上下に移動させるように回転することができる。
【0023】
図8図10を用いてフットレスト5の使用態様について説明する。図8に示すのが着座者Pが通常姿勢を採る第1使用態様S1である。自動車用シート1は、シートクッション2に対してシートバック3を起立させた位置にあり、オットマン2aはシートクッション2の下方に格納されて着座者Pのふくらはぎに当接しない位置にある。フットレスト5は、本体部10のリフト機構部12の各リフトアーム12cは最下位置にあり、板状部20はチルト機構部13によって最下位置にある。この状態で、フットレスト5のスライド機構部11を作動させて本体部10をシートクッション2の下部に移動させた状態である。着座者Pの足は足裏が板状部20の上面に当接する状態で支持されている。このとき、板状部20のヒータ23を作動させると伝熱により着座者Pの足裏を加温することができる。
【0024】
図9に示すのが着座者Pが安楽姿勢を採る第2使用態様S2である。自動車用シート1は、シートクッション2に対してシートバック3を後方に傾倒させた位置にあり、オットマン2aはシートクッション2の前方に起こし上げられて着座者Pのふくらはぎに当接する位置にある。フットレスト5は、第1使用態様S1における状態で前方にスライドさせてリフト機構部12とチルト機構部13を作動させる。そして、フットレスト5は、本体部10のリフト機構部12の各リフトアーム12cは前端部側を上方に起こし上げられて最上位置にあり、板状部20はチルト機構部13によって前端部側を上方に起こし上げられて最上位置にある。着座者Pの足は足裏が本体部10の前カバー部15cの上面に当接する状態で支持されている。このとき、本体部10のヒータ15c2と板状部20のヒータ23を作動させると、ヒータ15c2の伝熱により着座者Pの足裏を加温することができ、ヒータ23の輻射熱により着座者Pの脛部分を加温することができる。なお、各リフトアーム12cは必ずしも最上位置にある必要はなく、最下位置と最上位置の間で適正な位置を選んでもよい。板状部20も必ずしも最上位置にある必要はなく、最下位置と最上位置の間で適正な位置を選んでもよい。
【0025】
図10に示すのが着座者Pが安楽姿勢を採る第3使用態様S3である。自動車用シート1は、シートクッション2に対してシートバック3を後方に傾倒させた位置にあり、オットマン2aはシートクッション2の前方に起こし上げられて着座者Pのふくらはぎに当接する位置にある。フットレスト5は、第2使用態様S2における前後位置より後方にスライドさせてリフト機構部12とチルト機構部13を作動させる。そして、フットレスト5は、本体部10のリフト機構部12の各リフトアーム12cは最下位置にあり、板状部20はチルト機構部13によって前端部側を上方に起こし上げられた最上位置にある。着座者Pの足は足裏が板状部20の上面に当接する状態で支持されている。このとき、本体部10のヒータ15c2と板状部20のヒータ23を作動させると、ヒータ23の伝熱により着座者Pの足裏を加温することができ、ヒータ15c2の輻射熱により着座者Pのふくらはぎ部分を加温することができる。なお、板状部20は必ずしも最上位置にある必要はなく、最下位置と最上位置の間で適正な位置を選んでもよい。
【0026】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。自動車用シート1の着座者Pの体格や姿勢に応じて、着座者Pの足裏を置く本体部10の前カバー部15c又は板状部20の位置や角度を変更できるとともに、着座者Pの足を伝熱及び/又は輻射熱によって加温することができる。具体的には、第1使用態様S1においては、通常姿勢を採る着座者Pの足裏は、板状部20の上面に当接する状態で支持されて、ヒータ23の作動により伝熱で加温されることができる。また、第2使用態様S2においては、安楽姿勢を採る着座者Pの足裏が本体部10の前カバー部15cの上面部15cUSに当接する状態で支持されてヒータ15c2の作動により伝熱で加温されることができるとともに、着座者Pの脛部分はヒータ23の作動により輻射熱により加温されることができる。さらに、第3使用態様S3においては、安楽姿勢を採る着座者Pの足裏が板状部20の上面に当接する状態で支持されてヒータ23の作動により伝熱で加温されることができるとともに、着座者Pのふくらはぎ部分はヒータ15c2の作動により輻射熱により加温されることができる。
【0027】
また、本体部10はスライド機構部11の働きにより前後方向位置を変更することができるとともに、前カバー部15cはリフト機構部12の働きでフロアFに対する上面部15cUSの傾きを変更することができる。さらに、板状部20はリフト機構部12とチルト機構部13の働きで、フロアFからの高さとフロアFに対する傾きを変更することができる。これによって、着座者Pの体格や姿勢に応じて好適な状態で着座者Pの足を支持して加温することができる。
【0028】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0029】
1.上記実施形態においては、第1使用態様S1において板状部20のヒータ23を作動させたが作動させないで使用することもできる。また、第2使用態様S2において本体部10のヒータ15c2と板状部20のヒータ23を作動させたが、いずれか又は両方のヒータを作動させないで使用することもできる。さらに、第3使用態様S3においても本体部10のヒータ15c2と板状部20のヒータ23を作動させたが、いずれか又は両方のヒータを作動させないで使用することもできる。
【0030】
2.上記実施形態においては、本発明を自動車用シート1に適用する場合について説明したが、これに限らず、本発明を自動車以外の、船、電車、飛行機等に搭載のシートに適用してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 自動車用シート(シート)
4 スライドレール
4a ロアレール
4b アッパレール
5 フットレスト
10 本体部
11 スライド機構部
12 リフト機構部
13 チルト機構部
13a チルト軸(軸)
15 カバー
15c 前カバー部
15cUS 上面部
15c2 ヒータ
20 板状部
23 ヒータ
F フロア
P 着座者
S1 第1使用態様
S2 第2使用態様
S3 第3使用態様
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10