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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ドアモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B60J5/00 Z
B60J5/00 501E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019168642
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046026
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 雅斗
(72)【発明者】
【氏名】柴山 智志
(72)【発明者】
【氏名】片山 英史
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-010974(JP,A)
【文献】特開2002-114037(JP,A)
【文献】特開2018-103887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0117706(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアのインナパネルに取り付けられるモジュールパネルと、
前記モジュールパネルに組み付けられる機能部品と、を備え、
前記モジュールパネルは、外縁に沿う部分であって前記インナパネルに接合される接合壁と、前記機能部品を収容する収容凹部を前記モジュールパネルの内側に形成する収容壁と、を有し、
前記接合壁及び前記収容壁は、屈曲する態様で接続する第1接合壁及び第1収容壁をそれぞれ含み、
前記第1収容壁には、前記モジュールパネルの内外を接続する貫通孔が形成され、
前記機能部品は、前記収容凹部に収容される内側部分と、前記内側部分から前記貫通孔を介して前記モジュールパネルの外側まで延びる外側部分と、を有し、
前記第1接合壁には、前記モジュールパネルの外縁から前記貫通孔に向かって切り欠きが形成されており、
前記機能部品は、前記内側部分と一体とされるケーシングを有し、
前記ケーシングは、前記切り欠きを前記内側から塞ぐ第1保護壁を含む
ドアモジュール。
【請求項2】
記ケーシングは、前記第1保護壁と、前記第1保護壁から屈曲する態様で延びるとともに前記貫通孔を前記内側から塞ぐ第2保護壁と、を含む
請求項1に記載のドアモジュール。
【請求項3】
前記インナパネルとの隙間を塞ぐ外側シールを備え、
前記外側シールは、前記接合壁に設けられるとともに前記切り欠きによって分断される第1外側シール及び第2外側シールと、前記第1保護壁に設けられる第3外側シールと、を有し、
前記第3外側シールは、前記第1外側シール及び前記第2外側シールの分断される部分を接続するように延びる
請求項2に記載のドアモジュール。
【請求項4】
前記切り欠きは、前記貫通孔から車両上下方向と交差する方向に延び、
前記第1外側シール及び前記第2外側シールは、前記車両上下方向に分断され、
前記第1外側シールは、前記切り欠きから車両上方に延び、
前記第2外側シールは、前記切り欠きから車両下方に延び、
前記第3外側シールの上端部は、前記第1外側シールの下端部から見て前記第2保護壁とは反対側に位置し、
前記第3外側シールの下端部は、前記第2外側シールの上端部と前記第2保護壁との間に位置する
請求項3に記載のドアモジュール。
【請求項5】
前記第1接合壁において、前記第2外側シールの上端部が設けられる部分は、前記車両上方に向かって突出する
請求項4に記載のドアモジュール。
【請求項6】
前記第1保護壁は、前記第3外側シールが配置される台座を有する
請求項4又は請求項5に記載のドアモジュール。
【請求項7】
前記ケーシングと前記モジュールパネルとの隙間を塞ぐ内側シールを備え、
前記内側シールは、前記貫通孔及び前記切り欠きの周囲を囲う
請求項2~請求項6の何れか一項に記載のドアモジュール。
【請求項8】
前記モジュールパネルと前記ケーシングとには、軸線が一致する第1取付孔及び第2取付孔がそれぞれ形成される
請求項2~請求項7の何れか一項に記載のドアモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の機能部品が組み付けられた状態で、ドアのインナパネルに取り付けられるドアモジュールが知られている。例えば、特許文献1には、スライドドアを駆動するドア移動装置と、ドア移動装置が組み付けられるモジュールパネルと、を備えるドアモジュールが記載されている。ドア移動装置は、機能部品の一例に相当し、例えば、スライドドアを牽引するケーブルと、ケーブルを巻き取るドラムと、ドラムを回転させるモータと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-10973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなドアモジュールにおいて、ドア移動装置は、モジュールパネルに形成される孔にケーブルを通した状態で、モジュールパネルに組み付けられる。このため、上記のようなドアモジュールは、ドア移動装置のモジュールパネルに対する組付工数を改善する余地が残されていた。なお、こうした実情は、ドア移動装置に限らず、他の機能部品をモジュールパネルに組み付ける場合にも共通することもある。本発明の目的は、機能部品の組付が容易となるドアモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するドアモジュールは、車両ドアのインナパネルに取り付けられるモジュールパネルと、前記モジュールパネルに組み付けられる機能部品と、を備え、前記モジュールパネルは、外縁に沿う部分であって前記インナパネルに接合される接合壁と、前記機能部品を収容する収容凹部を前記モジュールパネルの内側に形成する収容壁と、を有し、前記接合壁及び前記収容壁は、屈曲する態様で接続する第1接合壁及び第1収容壁をそれぞれ含み、前記第1収容壁には、前記モジュールパネルの内外を接続する貫通孔が形成され、前記機能部品は、前記収容凹部に収容される内側部分と、前記内側部分から前記貫通孔を介して前記モジュールパネルの外側まで延びる外側部分と、を有し、前記第1接合壁には、前記モジュールパネルの外縁から前記貫通孔に向かって切り欠きが形成される。
【0006】
上記構成のドアモジュールによれば、機能部品がモジュールパネルに組み付けられる際、言い換えれば、機能部品の内側部分がモジュールパネルの収容凹部に収容される際に、機能部品の外側部分が、モジュールパネルの切り欠きを介して、モジュールパネルの貫通孔を通った状態となる。つまり、ドアモジュールにおいて、機能部品がモジュールパネルに組み付けられる際、機能部品の外側部分をモジュールパネルの貫通孔に通すために、機能部品を傾ける等の作業の必要がない。こうして、ドアモジュールは、機能部品の取り付けが容易となる。
【0007】
上記ドアモジュールにおいて、前記機能部品は、前記内側部分と一体とされるケーシングを有し、前記ケーシングは、前記切り欠きを前記内側から塞ぐ第1保護壁と、前記第1保護壁から屈曲する態様で延びるとともに前記貫通孔を前記内側から塞ぐ第2保護壁と、を含むことが好ましい。
【0008】
上記構成のドアモジュールは、ケーシングの第1保護壁及び第2保護壁がモジュールパネルの切り欠き及び貫通孔をそれぞれ塞ぐため、切り欠き及び貫通孔を介して、モジュールパネルの内側に液体などの異物が進入することを抑制できる。
【0009】
上記ドアモジュールは、前記インナパネルとの隙間を塞ぐ外側シールを備え、前記外側シールは、前記接合壁に設けられるとともに前記切り欠きによって分断される第1外側シール及び第2外側シールと、前記第1保護壁に設けられる第3外側シールと、を有し、前記第3外側シールは、前記第1外側シール及び前記第2外側シールの分断される部分を接続するように延びることが好ましい。
【0010】
上記構成のドアモジュールは、モジュールパネルに設けられる第1外側シール及び第2外側シールと機能部品に設けられる第3外側シールとで、ドアモジュールとインナパネルとの隙間を塞ぐことができる。すなわち、ドアモジュールは、モジュールパネルに切り欠きを設ける場合であっても、ドアモジュールとインナパネルとの隙間を塞ぐことができる。
【0011】
上記ドアモジュールにおいて、前記切り欠きは、前記貫通孔から車両上下方向と交差する方向に延び、前記第1外側シール及び前記第2外側シールは、前記車両上下方向に分断され、前記第1外側シールは、前記切り欠きから車両上方に延び、前記第2外側シールは、前記切り欠きから車両下方に延び、前記第3外側シールの上端部は、前記第1外側シールの下端部から見て前記第2保護壁とは反対側に位置し、前記第3外側シールの下端部は、前記第2外側シールの上端部と前記第2保護壁との間に位置することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第3外側シールは、第1外側シール及び第2外側シールの間で、車両下方に進むにつれて第2保護壁に近付くように配置される。このため、ドアモジュールは、ドアモジュールの接合壁を伝って液体が下方に流れる場合であっても、モジュールパネルの切り欠きが形成された部位からモジュールパネルの内側に液体が進入することを抑制できる。
【0013】
上記ドアモジュールの前記第1接合壁において、前記第2外側シールの上端部が設けられる部分は、前記車両上方に向かって突出することが好ましい。
上記構成のドアモジュールは、第3外側シールの下端部を、第2外側シールの上端部と第2保護壁との間に配置しやすくなる。つまり、ドアモジュールは、ドアモジュールの接合壁を伝って液体が下方に流れる場合であっても、モジュールパネルの切り欠きが形成された部位からモジュールパネルの内側に液体が進入することをさらに抑制できる。
【0014】
上記ドアモジュールにおいて、前記第1保護壁は、前記第3外側シールが配置される台座を有することが好ましい。
機能部品の第1保護壁は、モジュールパネルの第1接合壁と重なる構成であるため、第1保護壁に設けられる第3外側シールの高さが、接合壁に設けられる第1外側シール及び第2外側シールの高さよりも低くなりやすい。この点、上記構成のドアモジュールは、第1保護壁に第3外側シールが配置される台座を有する。このため、ドアモジュールは、第3外側シールと第1外側シール及び第2外側シールとの高さの乖離を抑制しやすくなる。
【0015】
上記ドアモジュールは、前記ケーシングと前記モジュールパネルとの隙間を塞ぐ内側シールを備え、前記内側シールは、前記貫通孔及び前記切り欠きの周囲を囲うことが好ましい。
【0016】
上記構成のドアモジュールは、貫通孔及び切り欠きを介して、モジュールパネルの外側から内側に液体などの異物が進入することをより抑制できる。
上記ドアモジュールにおいて、前記モジュールパネルと前記ケーシングとには、軸線が一致する第1取付孔及び第2取付孔がそれぞれ形成されることが好ましい。
【0017】
上記構成のドアモジュールは、第1取付孔及び第2取付孔に通した締結部材で、モジュールパネルと機能部品とを一度にインナパネルに取り付けることができる。つまり、ドアモジュールは、モジュールパネルと機能部品とインナパネルとの締結箇所が増える分、ドアモジュールとインナパネルとの締結箇所を減らすことができる。
【発明の効果】
【0018】
上記ドアモジュールによれば、機能部品の組付が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る車両の概略構成を示す側面図。
図2】第1実施形態に係るスライドドアの概略構成を示す側面図。
図3】第1実施形態に係るドアモジュールの内側構成を示す側面図。
図4】第1実施形態に係るドアモジュールの外側構成を示す側面図。
図5】第1実施形態に係るドア駆動装置の内側構成を示す側面図。
図6】第1実施形態に係るドア駆動装置の外側構成を示す斜視図。
図7】第1実施形態に係るモジュールパネルの内側構成を示す斜視図。
図8】第1実施形態に係るモジュールパネルの外側構成を示す斜視図。
図9】第1実施形態に係るドアモジュールの外側構成を示す斜視図。
図10】第1実施形態に係るドアモジュールの外側構成を示す側面図。
図11】第2実施形態に係るドア駆動装置の外側構成を示す斜視図。
図12】第2実施形態に係るモジュールパネルの外側構成を示す斜視図。
図13】第2実施形態に係るドアモジュールの外側構成を示す側面図。
図14】変更例に係るドアモジュールの外側構成を示す断面図。
図15】変更例に係るドアモジュールの第3外側シールの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、ドアモジュールを備える車両の第1実施形態について説明する。以降の説明では、車両幅方向を「幅方向X」とし、車両前後方向を「前後方向Y」とし、車両上下方向を単に「上下方向Z」とする。
【0021】
図1に示すように、車両10は、ドア開口部11が側部に設けられた車体12と、ドア開口部11の周囲に設置されるアッパレール13、センターレール14及びロアレール15と、ドア開口部11を開閉するスライドドア20と、を備える。
【0022】
ドア開口部11は、幅方向Xにおける側面視において、前後方向Yを短手方向とし、上下方向Zを長手方向とする矩形状をなしている。ドア開口部11には、第1ストライカ16及び第2ストライカ17が設けられる。第1ストライカ16は、ドア開口部11の前端に設けられ、第2ストライカ17は、ドア開口部11の後端に設けられる。
【0023】
アッパレール13はドア開口部11の上方に設置され、センターレール14はドア開口部11の後方に設置され、ロアレール15は、ドア開口部11の下方に設置される。センターレール14は、アッパレール13よりも下方であって且つロアレール15よりも上方に配置される。アッパレール13、センターレール14及びロアレール15は、スライドドア20の移動方向を規定する。つまり、アッパレール13、センターレール14及びロアレール15は、前後方向Yに延びる。
【0024】
図1及び図2に示すように、スライドドア20には、窓開口部21が形成される。スライドドア20は、アッパレール13、センターレール14及びロアレール15に沿ってそれぞれ移動するアッパローラユニット22、センターローラユニット23及びロアローラユニット24と、スライドドア20を車体12に拘束する第1ドアロック装置25及び第2ドアロック装置26と、窓開口部21を開閉する窓ガラス27と、を備える。また、図2に示すように、スライドドア20は、スライドドア20の外装を構成するアウタパネル28と、アウタパネル28の内側に取り付けられるインナパネル29と、インナパネル29に取り付けられるドアモジュール30と、を備える。
【0025】
スライドドア20は、ドア開口部11を全閉する全閉位置及びドア開口部11を全開する全開位置の間で開閉作動される。第1実施形態において、スライドドア20は、「車両ドア」の一例に相当する。
【0026】
図1に示すように、アッパローラユニット22はスライドドア20の上部に配置され、センターローラユニット23はスライドドア20の上下方向Zにおける中央部に配置され、ロアローラユニット24はスライドドア20の下部に配置される。また、アッパローラユニット22及びロアローラユニット24はスライドドア20の前端付近に配置され、センターローラユニット23はスライドドア20の後端付近に配置される。アッパローラユニット22、センターローラユニット23及びロアローラユニット24は、アッパレール13、センターレール14及びロアレール15に対して、それぞれ移動可能に係合する。
【0027】
第1ドアロック装置25は、スライドドア20の前部に配置され、第2ドアロック装置26は、スライドドア20の後部に配置される。第1ドアロック装置25及び第2ドアロック装置26が、第1ストライカ16及び第2ストライカ17にそれぞれ係合することで、スライドドア20は全閉位置に拘束される。
【0028】
アウタパネル28及びインナパネル29は、金属などの剛性の高い材料からなる。アウタパネル28及びインナパネル29の間には、窓ガラス27などが収容される空間が形成される。図2に示すように、インナパネル29には、アウタパネル28及びインナパネル29の間の空間を車室に向かって露出させるパネル開口部291が形成される。
【0029】
図3及び図4に示すように、ドアモジュール30は、ドアロック装置25,26を駆動するドアロック駆動装置40と、窓ガラス27を開閉駆動する窓ガラス駆動装置50と、スライドドア20を開閉駆動するドア駆動装置60と、を備える。また、ドアモジュール30は、ドアロック駆動装置40、窓ガラス駆動装置50及びドア駆動装置60が組み付けられるモジュールパネル70と、モジュールパネル70とドア駆動装置60との隙間を塞ぐ内側シール80(図6参照)と、モジュールパネル70とインナパネル29との隙間を塞ぐ外側シール90と、を備える。なお、図示を省略するが、ドアモジュール30は、通常、車室に露出することのないように、ドアトリムによって覆われる。
【0030】
次に、ドアロック駆動装置40について説明する。
図1に示すように、ドアロック駆動装置40は、車両10の外側から操作されるアウトサイドドアハンドル41を備える。また、図3に示すように、ドアロック駆動装置40は、車両10の内側から操作されるインサイドドアハンドル42と、ドアロック装置25,26に動力を伝達するドアロック駆動部43を備える。また、図示を省略するが、ドアロック駆動装置40は、ドアロック装置25,26にそれぞれ接続される複数のケーブルを備える。
【0031】
ドアロック駆動部43は、例えば、モータと、アウトサイドドアハンドル41又はインサイドドアハンドル42に対する操作力をドアロック装置25,26に伝達したり、モータの動力をドアロック装置25,26に伝達したりする伝達機構と、を含んで構成される。
【0032】
ドアロック駆動装置40は、アウトサイドドアハンドル41又はインサイドドアハンドル42が操作されたり、運転席の周囲又は携帯機に設けられる不図示のスイッチが操作されたりする場合にドアロック装置25,26によるスライドドア20の拘束を解除する。つまり、ドアロック駆動装置40は、全閉位置で拘束される状態にあるスライドドア20を開作動可能な状態とする。
【0033】
次に、窓ガラス駆動装置50について説明する。
図4に示すように、窓ガラス駆動装置50は、窓ガラス27の下端部を支持する窓ガラス支持部51と、窓ガラス支持部51に固定されるケーブル52と、ケーブル52を駆動する窓ガラス駆動部53と、ケーブル52が巻き掛けられるプーリ54と、を備える。
【0034】
窓ガラス駆動部53は、例えば、ケーブル52を巻き取るドラムと、ドラムを駆動するモータと、ドラムとモータとを収容するハウジングと、を含んで構成される。窓ガラス駆動部53は、例えば、座席の周囲に設けられるスイッチの操作に基づいて駆動される。窓ガラス駆動部53がケーブル52を一方向に巻き取る場合、窓ガラス支持部51が下方に移動し、窓ガラス駆動部53がケーブル52を他方向に巻き取る場合、窓ガラス支持部51が上方に移動する。そして、窓ガラス駆動装置50は、上記スイッチの操作内容に基づいて、窓ガラス27を昇降する。つまり、窓ガラス駆動装置50は、いわゆるウィンドウレギュレータである。
【0035】
次に、ドア駆動装置60について説明する。
図5及び図6に示すように、ドア駆動装置60は、スライドドア20を前後に牽引する第1ケーブル61及び第2ケーブル62と、第1ケーブル61及び第2ケーブル62を駆動するドア駆動部63と、第1ケーブル61及び第2ケーブル62を案内するプーリユニット64と、を備える。また、ドア駆動装置60は、ドア駆動部63から延びる第1ケーブル61及び第2ケーブル62を保護するケーシング65を備える。第1実施形態において、ドア駆動装置60は、「機能部品」の一例に相当する。
【0036】
ドア駆動部63から延びる第1ケーブル61の先端は、プーリユニット64に案内された後にセンターレール14の前端に固定される。一方、ドア駆動部63から延びる第2ケーブル62の先端は、プーリユニット64に案内された後にセンターレール14の後端に固定される。
【0037】
ドア駆動部63は、例えば、第1ケーブル61及び第2ケーブル62を異なる方向に巻き取るドラムと、ドラムを駆動するモータと、ドラムとモータとを収容するハウジングと、を含んで構成される。ドア駆動部63が第1ケーブル61を巻き取る場合、第2ケーブル62が繰り出される。一方、ドア駆動部63が第2ケーブル62を巻き取る場合、第1ケーブル61が繰り出される。ドア駆動部63は、第1ケーブル61を巻き取ることでスライドドア20を閉方向に移動させ、第2ケーブル62を巻き取ることで、スライドドア20を開方向に移動させる。
【0038】
プーリユニット64は、第1ケーブル61が巻き掛けられる第1プーリ641と、第2ケーブル62が巻き掛けられる第2プーリ642と、第1ケーブル61及び第2ケーブル62が巻き掛けられる第3プーリ643と、第1プーリ641、第2プーリ642及び第3プーリ643を回転可能に支持するハウジング644と、を有する。第1ケーブル61及び第2ケーブル62の一方のケーブルが繰り出されるとともに他方のケーブルが巻き取られる場合、第1プーリ641及び第2プーリ642は異なる方向に回転し、第1プーリ641及び第3プーリ643は同じ方向に回転する。プーリユニット64は、図1に示すセンターローラユニット23に固定される。
【0039】
続いて、ドア駆動装置60のケーシング65について説明する。
図5及び図6に示すように、ケーシング65は、屈曲する態様で接続される第1保護壁66及び第2保護壁67と、第1保護壁66から延びる第1固定壁681及び第2固定壁682と、第2保護壁67から延びる筒状部69と、を有する。ケーシング65は、例えば、樹脂成形品である。また、ケーシング65は、締結部材又はスナップフィットにより、ドア駆動部63と一体とされる。
【0040】
第1保護壁66は、略矩形板状をなし、幅方向Xと交差する。図6に示すように、第1保護壁66は、筒状部69と対向する面から突出する台座661を有する。台座661は、下方に延びる直線部662と、直線部662の下端から下方に進むにつれて第2保護壁67に近付くように延びる傾斜部663と、を含む。台座661の長手方向と直交する断面形状は、略長方形状をなしている。また、第1保護壁66及び第2保護壁67の間をなす角度は90°よりも僅かに大きい。
【0041】
第2保護壁67は、略矩形板状をなし、前後方向Yと交差する。第2保護壁67は、第1保護壁66との接続部位の上端から上方に突出する上側係合壁671と、第1保護壁66との接続部位の下端から下方に突出する下側係合壁672と、を含む。第2保護壁67には、第1ケーブル61及び第2ケーブル62が通る導通孔673が板厚方向に貫通形成される。
【0042】
第1固定壁681は、第1保護壁66の上端から上方に延び、第2固定壁682は、第1保護壁66の下端から下方に延びる。第1固定壁681は、上方に延びるにつれて筒状部69に近付くように屈曲し、第2固定壁682は、下方に延びるにつれて筒状部69に近付くように屈曲する。第1固定壁681及び第2固定壁682の先端部には、板厚方向に取付孔683,684が貫通形成される。
【0043】
筒状部69は、第2保護壁67の板厚方向から僅かに傾く方向に延びる。筒状部69は、筒状をなし、内部に第1ケーブル61及び第2ケーブル62が通る。
次に、モジュールパネル70について説明する。
【0044】
図2に示すように、モジュールパネル70は、幅方向Xからの側面視において、インナパネル29のパネル開口部291よりも一回り大きな形状をなしている。図3及び図4に示すように、モジュールパネル70は、ドアロック駆動装置40を支持する第1支持壁71と、窓ガラス駆動装置50を支持する第2支持壁72と、ドア駆動装置60を収容する収容壁73と、インナパネル29に接合される接合壁74と、を有する。モジュールパネル70は、例えば、樹脂材料などからなる。以降の説明では、モジュールパネル70が車両10に搭載された状態に従って、モジュールパネル70の外側及び内側をいう。
【0045】
図3に示すように、第1支持壁71は、モジュールパネル70の前側寄り且つ上端寄りの部位である。ドアロック駆動装置40は、例えば、締結部材を用いて、第1支持壁71に組付けられる。
【0046】
図3及び図4に示すように、第2支持壁72は、モジュールパネル70の前後方向Yにおける中央部を上下方向Zにわたって占める。第2支持壁72は、窓ガラス駆動部53が固定される固定部721と、窓ガラス駆動装置50のプーリ54を回転可能に支持するプーリ支持部722と、固定部721とプーリ支持部722との間を上下方向Zに接続する接続部723と、を有する。また、第2支持壁72は、プーリ支持部722から前方に延びる第1補強部724と、プーリ支持部722から後方に延びる第2補強部725と、を有する。
【0047】
プーリ支持部722の前方には第1補強部724が設けられ、プーリ支持部722の後方には第2補強部725が設けられる。このため、一般的なモジュールパネルと異なり、プーリ支持部722は、モジュールパネル70において、上方に突出していないといえる。
【0048】
図3に示すように、接続部723は、上下方向Zに延びる複数の縦リブ726と、前後方向Yに延びる複数の横リブ727と、を有する。同様に、第1補強部724及び第2補強部725は、上下方向Zに延びる複数の縦リブ726と、前後方向Yに延びる複数の横リブ727と、を有する。
【0049】
図7及び図8に示すように、収容壁73は、モジュールパネル70の後端寄り且つ下端寄りの位置に形成される。収容壁73は、底壁731と、底壁731の周縁から延びる第1収容壁732及び第2収容壁733と、を有する。収容壁73は、ドア駆動装置60のドア駆動部63を収容する収容凹部734をモジュールパネル70の内側に形成する。この点で、第1実施形態では、ドア駆動装置60のドア駆動部63が「内側部分」の一例に相当する。
【0050】
底壁731は、ドア駆動部63の外形形状に応じた形状をなしている。第1収容壁732は、略矩形板状をなしている。第1収容壁732を板厚方向から見たときの大きさは、ケーシング65の第2保護壁67を板厚方向から見たときの大きさと略等しい。第1収容壁732には、厚さ方向に貫通孔735が形成される。貫通孔735は、モジュールパネル70の内外を接続する。貫通孔735は、ドア駆動装置60において、ドア駆動部63から延びる第1ケーブル61及び第2ケーブル62をモジュールパネル70の外側に導くための孔である。この点で、第1実施形態では、第1ケーブル61及び第2ケーブル62とプーリユニット64とが「外側部分」の一例に相当する。
【0051】
一方、第2収容壁733において、第1収容壁732との接続部位には、底壁731に向かって上側係合凹部736及び下側係合凹部737が凹み形成される。上側係合凹部736は、第1収容壁732の上方に位置し、下側係合凹部737は、第1収容壁732の下方に位置する。
【0052】
図3及び図4に示すように、接合壁74は、モジュールパネル70の上縁を除く外縁に沿う部分である。接合壁74は、第1収容壁732と隣り合うとともに第1収容壁732と屈曲する態様で接続する第1接合壁741と、第1接合壁741の上端から延びる第2接合壁742と、第1接合壁741の下端から延びる第3接合壁743と、を有する。
【0053】
図7及び図8に示すように、第1接合壁741は、接合壁74において、モジュールパネル70を後方から水平方向に見たときに、第1収容壁732と上下方向Zにおいて重なる部分である。第1接合壁741及び第1収容壁732の間をなす角度は、ケーシング65における第1保護壁66及び第2保護壁67の間をなす角度と略等しい。第1接合壁741には、第1収容壁732の貫通孔735からモジュールパネル70の外縁に向けて切り欠き744が形成される。切り欠き744は、上下方向Zと交差する方向に延びる。切り欠き744の上縁は水平方向に延び、切り欠き744の下縁は後方に延びた後、後方に進むにつれて上方に向かうように延びる。こうして、第1接合壁741には、上下方向Zにおける切り欠き744の間隔を狭めるように、上方に向かって突出する突出壁745が形成される。
【0054】
図2及び図3に示すように、第2接合壁742は、第1接合壁741からモジュールパネル70の外縁に沿って上方に延びる。一方、第3接合壁743は、第1接合壁741からモジュールパネル70の外縁に沿って下方に延びた後、前方に延びる。さらに、第3接合壁743は、モジュールパネル70の外縁に沿って、前方及び上方の間をなす方向に延びた後、上方に延びる。
【0055】
図2及び図3に示すように、第2接合壁742には、複数の取付孔746が形成され、第3接合壁743には、複数の取付孔747が形成される。複数の取付孔746,747は、モジュールパネル70をインナパネル29に取り付けられる際に、締結部材を通すための孔である。図7及び図8に示すように、第2接合壁742に形成される取付孔746において、第1接合壁741の最も近くに形成される取付孔746は、インナパネル29に対するドアモジュール30の取り付け時に、ケーシング65の第1固定壁681の取付孔683と同一軸線上に重なる取付孔である。同様に、第3接合壁743に形成される取付孔747において、第1接合壁741の最も近くに形成される取付孔747は、インナパネル29に対するドアモジュール30の取り付け時に、ケーシング65の第2固定壁682の取付孔684と同一軸線上に重なる取付孔である。
【0056】
次に、内側シール80について説明する。
図6に示すように、内側シール80は、ケーシング65の貫通孔735及び切り欠き744を囲うことのできるように、第1保護壁66及び第2保護壁67に設けられる。詳しくは、内側シール80は、第1保護壁66の上部に貼付される第1内側シール81と、第2保護壁67の周縁に沿って貼付される第2内側シール82と、第1保護壁66の下部に貼付される第3内側シール83と、を有する。第1内側シール81は、第1保護壁66の台座661に干渉しないように水平方向に延びる。第2内側シール82は、第2保護壁67の周縁に沿う略U字状をなす。第3内側シール83は、第2保護壁67から離れるにつれて上方に向かうように延びる。なお、内側シール80は、例えば、ウレタンなどの耐水性が高く大変形が可能なゴム又は樹脂からなることが好ましい。内側シール80は、テープ状のシールでもよいし、塗布方式のシールでもよい。
【0057】
次に、外側シール90について説明する。
図8に示すように、外側シール90は、モジュールパネル70の接合壁74に設けられる第1外側シール91及び第2外側シール92を有する。また、図6に示すように、外側シール90は、ケーシング65の台座661に設けられる第3外側シール93を有する。
【0058】
図8に示すように、第1外側シール91は、第1接合壁741における切り欠き744よりも上方の部位及び第2接合壁742に貼付され、第2外側シール92は、第1接合壁741における切り欠き744よりも下方の部位及び第3接合壁743に貼付される。つまり、第1外側シール91は、切り欠き744から上方に延び、第2外側シール92は、切り欠き744から下方に延びた後に前方に延び、さらに上方に延びる。このように、第1外側シール91及び第2外側シール92は、切り欠き744によって上下方向Zに分断される。なお、第2外側シール92の上端部は、第1接合壁741の突出壁745に貼付される。このため、第2外側シール92の上端部は、第1接合壁741の突出壁745に合わせた形状とすることが好ましい。
【0059】
図6に示すように、第3外側シール93は、ケーシング65の台座661に貼付される。このため、第3外側シール93は、台座661の形状に沿って湾曲する。なお、外側シール90は、内側シール80と同様の材質及び形態のシールであればよい。
【0060】
第1実施形態の作用について説明する。
詳しくは、図9及び図10を参照して、モジュールパネル70に対するドア駆動装置60の組付及びドアモジュール30のインナパネル29に対する取付について説明する。
【0061】
図9に示すように、モジュールパネル70にドア駆動装置60を組み付ける場合には、ドア駆動装置60がモジュールパネル70に接近するように白抜き矢印で示す方向に移動される。すると、ドア駆動装置60のドア駆動部63がモジュールパネル70の収容凹部734に収まり、ドア駆動装置60の第1ケーブル61及び第2ケーブル62とケーシング65の筒状部69とが切り欠き744を介してモジュールパネル70の貫通孔735に通った状態となる。また、図6に示すドア駆動装置60のケーシング65の上側係合壁671及び下側係合壁672が、図7に示すモジュールパネル70の上側係合凹部736及び下側係合凹部737にそれぞれ係合する。このとき、ドア駆動装置60は、モジュールパネル70に対して、締結部材などで固定されることが好ましい。
【0062】
ドア駆動装置60がモジュールパネル70に組み付いた状態では、ドア駆動装置60のケーシング65とモジュールパネル70との間で内側シール80が圧縮される。詳しくは、ケーシング65の第1保護壁66とモジュールパネル70の第1接合壁741との間で、第1内側シール81及び第3内側シール83が圧縮され、ケーシング65の第2保護壁67とモジュールパネル70の第1収容壁732との間で、第2内側シール82が圧縮される。その結果、ドア駆動装置60のケーシング65とモジュールパネル70とが隙間なく接合される。また、モジュールパネル70の切り欠き744は、ケーシング65の第1保護壁66によって内側から塞がれ、モジュールパネル70の貫通孔735は、ケーシング65の第2保護壁67によって内側から塞がれる。
【0063】
図10に示すように、ドア駆動装置60がモジュールパネル70に組み付いた状態では、ドア駆動装置60のケーシング65の取付孔683,684及びモジュールパネル70の接合壁74の取付孔746,747がそれぞれ重なる。言い換えれば、ドア駆動装置60のケーシング65の取付孔683,684の軸線及びモジュールパネル70の接合壁74の取付孔746,747がそれぞれ一致する。こうした点で、第1実施形態では、図10に示すケーシング65の取付孔683,684が「第2取付孔」の一例に相当し、図10に示す接合壁74の取付孔746,747が「第1取付孔」の一例に相当する。
【0064】
また、図9及び図10に示すように、ドア駆動装置60がモジュールパネル70に組み付いた状態では、第3外側シール93が、第1外側シール91及び第2外側シール92を接続するように延び、第1外側シール91及び第2外側シール92が分断される部分を補完する。詳しくは、図10に示すように、第3外側シール93は、第1外側シール91及び第2外側シール92の間を下方に進むにつれて前方に向かうように斜めに延びる。その結果、第3外側シール93の上端部が、第1外側シール91の下端部から見て第2保護壁67とは反対側に位置し、第3外側シール93の下端部が、第2外側シール92の上端部と第2保護壁67との間に位置する。また、第3外側シール93の上端部は、第1外側シール91の下端部よりも上方に位置し、第3外側シール93の下端部は、第2外側シール92の上端部よりも下方に位置する。
【0065】
こうして、モジュールパネル70に対して、ドアロック駆動装置40、窓ガラス駆動装置50及びドア駆動装置60が組み付けられることで、ドアモジュール30が完成する。ドアモジュール30は、取付孔746,747に通した締結部材により、インナパネル29のパネル開口部291を塞ぐようにインナパネル29に取り付けられる。このとき、ドア駆動装置60とモジュールパネル70とは、ケーシング65の取付孔683,684及び接合壁74の取付孔746,747を介して、インナパネル29に共締めされる。
【0066】
ドアモジュール30のインナパネル29に対する取付が完了した状態では、インナパネル29との間で外側シール90が圧縮される。その結果、ドアモジュール30とインナパネル29とが隙間なく接合される。
【0067】
第1実施形態の効果について説明する。
(1)ドア駆動装置60がモジュールパネル70に組み付けられる際に、ドア駆動装置60の第1ケーブル61及び第2ケーブル62等が、モジュールパネル70の切り欠き744を介して、モジュールパネル70の貫通孔735を通った状態となる。つまり、ドアモジュール30において、ドア駆動装置60がモジュールパネル70に組み付けられる際、ドア駆動装置60の第1ケーブル61及び第2ケーブル62等をモジュールパネル70の貫通孔735に通すために、ドア駆動装置60を傾ける等の作業の必要がない。したがって、ドアモジュール30は、ドア駆動装置60の取り付けが容易となる。
【0068】
(2)ドアモジュール30は、ケーシング65がドア駆動装置60の第1ケーブル61及び第2ケーブル62等を支持するため、ドア駆動装置60をモジュールパネル70に組み付ける際に、ドア駆動装置60の第1ケーブル61及び第2ケーブル62等の姿勢が安定化しやすくなる。また、ケーシング65の第1保護壁66及び第2保護壁67がモジュールパネル70の切り欠き744及び貫通孔735をそれぞれ塞ぐため、ドアモジュール30は、切り欠き744及び貫通孔735を介して、モジュールパネル70の外側から内側に液体などの異物が進入することを抑制できる。
【0069】
(3)第3外側シール93は、第1外側シール91及び第2外側シール92の分断される部分を接続するようにドア駆動装置60のケーシング65に設けられる。このため、ドアモジュール30は、モジュールパネル70に設けられる第1外側シール91及び第2外側シール92とドア駆動装置60に設けられる第3外側シール93とで、ドアモジュール30とインナパネル29との隙間を塞ぐことができる。
【0070】
(4)第3外側シール93の上端部は、第1外側シール91の下端部から見て第2保護壁67とは反対側に位置し、第3外側シール93の下端部は、第2外側シール92の上端部と第2保護壁67との間に位置する。つまり、第3外側シール93は、下方に進むにつれて第2保護壁67に近付くように配置される。このため、ドアモジュール30の外縁に沿って液体が下方に流れる場合には、当該液体は、図10に実線矢印で示すように流れる。つまり、上記液体は、第1外側シール91の下端部及び第3外側シール93の上端部との隙間を通って後方に流れにくくなり、第2外側シール92の上端部及び第3外側シール93の下端部との隙間を通って後方に流れにくくなる。こうして、ドアモジュール30は、モジュールパネル70の切り欠き744が形成された部位からドアモジュール30の内側に液体が進入することを抑制できる。
【0071】
(5)第1接合壁741は、切り欠き744の上下方向Zの間隔を狭めるように上方に突出する突出壁745を有する。このため、ドアモジュール30は、第3外側シール93の下端部を、第2外側シール92の上端部と第2保護壁67との間に配置しやすくなる。つまり、ドアモジュール30は、モジュールパネル70の切り欠き744が形成された部位からモジュールパネル70の内側に液体が進入することを抑制しやすくなる。
【0072】
(6)ドア駆動装置60の第1保護壁66は、モジュールパネル70の第1接合壁741の内側に位置する構成であるため、第1保護壁66に設けられる第3外側シール93の高さが、接合壁74に設けられる第1外側シール91及び第2外側シール92の高さよりも低くなりやすい。この点、ドアモジュール30は、第1保護壁66に台座661を有する。このため、ドアモジュール30は、第3外側シール93と第1外側シール91及び第2外側シール92との高さの乖離を抑制できる。
【0073】
(7)ドアモジュール30は、ケーシング65とモジュールパネル70との隙間を塞ぐ内側シール80を備える。このため、ドアモジュール30は、貫通孔735及び切り欠き744を介して、モジュールパネル70の内側に液体などの異物が進入することをより抑制できる。
【0074】
(8)ドア駆動装置60をモジュールパネル70に組み付けた状態において、ケーシング65とモジュールパネル70とには、軸線が一致する取付孔683,684及び取付孔746,747がそれぞれ形成される。このため、ドアモジュール30は、取付孔683,684及び取付孔746,747に通した締結部材で、ドア駆動装置60とモジュールパネル70とをインナパネル29に取り付けることができる。したがって、ドアモジュール30は、インナパネル29とドア駆動装置60とモジュールパネル70との締結箇所が増える分、インナパネル29とモジュールパネル70との締結箇所を減らすことができる。
【0075】
(9)従来のドアモジュールは、モジュールパネル70に窓ガラス駆動装置50のプーリ54を仮に支持する第1プーリ支持部を設け、インナパネル29に窓ガラス駆動装置50のプーリ54を強固に支持する第2プーリ支持部を設けることが一般的である。ここで、第1プーリ支持部は、モジュールパネル70において上方に突出し、第2プーリ支持部は、インナパネル29において下方に突出する。このため、従来のドアモジュール30をインナパネル29に取り付ける場合には、第1プーリ支持部及び第2プーリ支持部が干渉しないように、作業者が多くの注意を払う必要がある。
【0076】
この点、ドアモジュール30は、窓ガラス駆動装置50のプーリ54をインナパネル29に支持させなくてもよいように、プーリ支持部722を強固に形成した。詳しくは、プーリ支持部722の前部及び後部に第1補強部724及び第2補強部725をそれぞれ設けるとともに、第1補強部724及び第2補強部725の各々に縦リブ726及び横リブ727を形成した。その結果、インナパネル29に上記第2プーリ支持部を設ける必要がなくなり、ドアモジュール30をインナパネル29に取り付ける場合に、作業者が多くの注意を払う必要がなくなる。
【0077】
(第2実施形態)
以下、ドアモジュールの第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、第1実施形態と共通する構成について、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
図11及び図12に示すように、第2実施形態におけるドアモジュール30Aは、スライドドア20を開閉駆動するドア駆動装置60Aと、ドアロック駆動装置40、窓ガラス駆動装置50及びドア駆動装置60Aが組み付けられるモジュールパネル70Aと、を備える。また、ドアモジュール30Aは、モジュールパネル70Aとドア駆動装置60との隙間を塞ぐ内側シール80Aと、モジュールパネル70Aとインナパネル29との隙間を塞ぐ外側シール90Aと、を備える。また、図示を省略するが、ドアモジュール30Aは、第1実施形態と同様に、ドアロック装置25,26を駆動するドアロック駆動装置40と、窓ガラス27を開閉駆動する窓ガラス駆動装置50と、を備える。
【0079】
次に、ドア駆動装置60Aについて説明する。
ドア駆動装置60Aは、スライドドア20を前後に牽引する第1ケーブル61及び第2ケーブル62と、第1ケーブル61及び第2ケーブル62を巻き取るドア駆動部63と、ドア駆動部63から延びる第1ケーブル61及び第2ケーブル62を保護するケーシング65Aと、を備える。図示を省略するが、ドア駆動装置60Aは、第1実施形態と同様に、第1ケーブル61及び第2ケーブル62を案内するプーリユニット64を備える。
【0080】
図11に示すように、ケーシング65Aは、屈曲する態様で接続される第1保護壁66A及び第2保護壁67と、第1保護壁66Aから延びる第1固定壁681及び第2固定壁682と、第2保護壁67から延びる筒状部69と、を有する。ケーシング65Aは、例えば、樹脂成形品である。また、ケーシング65Aは、締結部材又はスナップフィットにより、ドア駆動部63と一体とされる。
【0081】
第1保護壁66Aは、略矩形板状をなしている。第1保護壁66Aは、筒状部69と対向する面から突出する台座661Aを有する。台座661Aは、下方に延びる第1直線部662Aと、第1直線部662Aの下端から下方に進むにつれて第2保護壁67に近付くように延びる傾斜部663Aと、傾斜部663Aの下端から下方に延びる第2直線部664Aと、を含む。台座661の長手方向と直交する断面形状は、略長方形状をなしている。また、第1保護壁66A及び第2保護壁67の間をなす角度は90°よりも僅かに大きい。
【0082】
次に、モジュールパネル70Aについて説明する。
モジュールパネル70Aは、インナパネル29のパネル開口部291に応じた形状をなしている。図12に示すように、モジュールパネル70Aは、ドア駆動装置60Aを収容する収容壁73と、インナパネル29に接合される接合壁74Aと、を有する。図示を省略するが、モジュールパネル70Aは、第1実施形態と同様に、ドアロック駆動装置40を支持する第1支持壁71と、窓ガラス駆動装置50を支持する第2支持壁72と、を有する。
【0083】
図12に示すように、接合壁74Aは、モジュールパネル70の上縁を除く外縁に沿う部分である。接合壁74Aは、第1収容壁732と隣り合うとともに第1収容壁732と屈曲する態様で接続する第1接合壁741Aと、第1接合壁741の上端から延びる第2接合壁742と、第1接合壁741の下端から延びる第3接合壁743と、を有する。
【0084】
第1接合壁741Aは、接合壁74Aにおいて、モジュールパネル70を後方から水平方向に見たときに、第1収容壁732と上下方向Zにおいて重なる部分である。第1接合壁741A及び第1収容壁732の間をなす角度は、ケーシング65における第1保護壁66A及び第2保護壁67の間をなす角度と略等しい。第1接合壁741Aには、第1収容壁732の貫通孔735からモジュールパネル70Aの外縁に向けて第1の切り欠き744Aが形成される。第1の切り欠き744Aは、上下方向Zと交差する方向に延びる。また、第1接合壁741Aには、第1の切り欠き744Aから下方に向かって第2の切り欠き745Aが形成される。第2の切り欠き745Aは、幅方向Xから見て略矩形状をなしている。第2の切り欠き745Aは、第1接合壁741Aにおいて、第1収容壁732と隣り合う位置に形成される。第1接合壁741Aの第2の切り欠き745Aから見て、第1収容壁732とは反対側には、第2外側シール92を貼付できるだけの領域が確保される。
【0085】
次に、内側シール80Aについて説明する。
図11に示すように、内側シール80Aは、ケーシング65Aの貫通孔735及び第1の切り欠き744Aを囲うことのできるように、第1保護壁66A及び第2保護壁67に設けられる。詳しくは、内側シール80Aは、第1保護壁66Aの上部に貼付される第1内側シール81Aと、第2保護壁67の周縁に沿って貼付される第2内側シール82Aと、第1保護壁66Aの下部に貼付される第3内側シール83Aと、を有する。第1内側シール81Aは、第1保護壁66Aの台座661に干渉しないように水平方向に延びる。第2内側シール82Aは、第2保護壁67の周縁に沿う略U字状をなす。第3内側シール83Aは、第1保護壁66Aの台座661に干渉しないように第2保護壁67から水平方向に延びた後に上方に延びる。
【0086】
次に、外側シール90Aについて説明する。
図12に示すように、外側シール90Aは、モジュールパネル70Aの接合壁74Aに設けられる第1外側シール91及び第2外側シール92を有する。また、図11に示すように、外側シール90Aは、ケーシング65Aの台座661Aに設けられる第3外側シール93Aを有する。図11に示すように、第3外側シール93は、ケーシング65の台座661に貼付される。このため、第3外側シール93は、台座661の形状に沿って湾曲する。
【0087】
第2実施形態の作用について説明する。
詳しくは、図13を参照して、モジュールパネル70Aに対するドア駆動装置60Aの組付及びドアモジュール30Aのインナパネル29に対する取付について説明する。
【0088】
図13に示すように、モジュールパネル70Aにドア駆動装置60Aを組み付ける場合には、第1実施形態と同様に、モジュールパネル70Aに対してドア駆動装置60Aを一方向に移動させる。すると、ドア駆動装置60Aのドア駆動部63がモジュールパネル70Aの収容凹部734に収まり、ドア駆動装置60Aの第1ケーブル61及び第2ケーブル62とケーシング65Aの筒状部69とが第1の切り欠き744Aを介してモジュールパネル70Aの貫通孔735に通った状態となる。
【0089】
ドア駆動装置60Aがモジュールパネル70Aに組み付いた状態では、ドア駆動装置60Aのケーシング65Aとモジュールパネル70Aとの間で内側シール80Aが圧縮される。その結果、ドア駆動装置60Aのケーシング65Aとモジュールパネル70Aとが隙間なく接合される。さらに、モジュールパネル70Aの切り欠き744は、ケーシング65Aの第1保護壁66Aによって内側から塞がれ、モジュールパネル70Aの貫通孔735は、ケーシング65Aの第2保護壁67によって内側から塞がれる。
【0090】
また、ドア駆動装置60Aがモジュールパネル70Aに組み付いた状態では、第3外側シール93Aが、第1外側シール91及び第2外側シール92を接続するように延び、第1外側シール91及び第2外側シール92が分断される部分を補完する。詳しくは、図13に示すように、第3外側シール93Aは、第1外側シール91及び第2外側シール92の間を下方に進むにつれて前方に向かうように斜めに延びる。その結果、第3外側シール93Aの上端部が、第1外側シール91の下端部から見て第2保護壁67とは反対側に位置し、第3外側シール93Aの下端部が、第2外側シール92の上端部と第2保護壁67との間に位置する。また、第3外側シール93Aの上端部は、第1外側シール91の下端部よりも上方に位置し、第3外側シール93Aの下端部は、第2外側シール92の上端部よりも下方に位置する。
【0091】
こうして、モジュールパネル70Aに対して、ドアロック駆動装置40、窓ガラス駆動装置50及びドア駆動装置60Aが組み付けられることで、ドアモジュール30Aが完成する。ドアモジュール30Aのインナパネル29に対する取付が完了した状態では、インナパネル29との間で外側シール90Aが圧縮される。その結果、ドアモジュール30Aとインナパネル29とが隙間なく接合される。
【0092】
第2実施形態は、第1実施形態の効果(1)~(4),(6)~(9)と同等の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
(10)モジュールパネル70Aの第1接合壁741Aに第2の切り欠き745Aを設けたことで、モジュールパネル70Aに設けられる第2外側シール92の上端部及びドア駆動装置60Aのケーシング65Aに設けられる第3外側シール93Aの下端部が、上下方向Zに重なって配置されやすくなる。このため、ドアモジュール30Aは、モジュールパネル70Aの第1の切り欠き744Aが形成される部分のシール性を高めることができる。
【0093】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第3外側シール93は、図14に示すように変更することが可能である。図14及び図15に示すように、外側シール90Bの第3外側シール93Bは、ドア駆動装置60のケーシング65の第1保護壁66と一体に成形してもよい。図14に示すように、第3外側シール93Bは、第1外側シール91及び第2外側シール92の間で、前後方向Y及び上下方向Zの両方向と交差する方向に延びる。図15に実線で示すように、第3外側シール93Bは、第1保護壁66と交差する方向に立設し、基端から先端に向かうにつれて、第2保護壁67に接近するように傾斜する。また、第3外側シール93Bは、基端から先端に向かうにつれて板厚が薄くなる。第3外側シール93Bの基端における肉厚は、第1保護壁66の板厚よりも薄いことが好ましい。なお、第3外側シール93Bの材質、言い換えれば、ケーシング65の材質は、弾性を有する樹脂材料であることが好ましい。
【0094】
図15に二点鎖線で示すように、第3外側シール93Bは、ドアモジュール30Bをインナパネル29に取り付ける際に、先端がインナパネル29に押されることで弾性変形する。このため、第3外側シール93Bは、インナパネル29とドアモジュール30Bとの間隔にばらつきが生じる場合であっても、インナパネル29とドアモジュール30Bとの隙間を塞ぐことができる。さらに、第3外側シール93Bは、ドア駆動装置60のケーシング65と一体に成形されるため、ケーシング65に第3外側シールを貼付する必要がなくなる。
【0095】
・ドアモジュール30が窓ガラス駆動装置50を備えない場合、すなわち、アウタパネル28及びインナパネル29の間の空間に液体などの異物が混入する可能性がない場合、ドア駆動装置60のケーシング65は、第1保護壁66及び第2保護壁67を有しなくてもよい。この場合、ドアモジュール30は、内側シール80及び外側シール90を有しなくてもよい。
【0096】
・ドア駆動装置60のケーシング65において、第1保護壁66に台座661を形成しなくてもよい。この場合、肉厚の第3外側シール93を第1保護壁66に貼付することが好ましい。
【0097】
・内側シール80及び外側シール90の形状などは、適宜に変更可能である。例えば、内側シール80は、ドア駆動装置60のケーシング65に貼付するのではなく、モジュールパネル70に貼付してもよい。また、第3外側シール93は、第1外側シール91の下端部及び第2外側シール92の上端部を隙間なく接続するように、単に上下に延びるシールとしてもよい。
【0098】
・ドア駆動装置60のケーシング65とモジュールパネル70とには、軸線が一致する第1取付孔及び第2取付孔をそれぞれ形成しなくてもよい。つまり、ドアモジュール30は、ドア駆動装置60とモジュールパネル70とをインナパネル29に対して共締めする部分を有しなくてもよい。
【0099】
・ドア駆動装置60は、モジュールパネル70の内側に配置される内側部分及び内側部分からモジュールパネル70の外側に延びる外皮部分を有する機能部品に置き換えてもよい。
【0100】
・スライドドア20は、車体12に対して揺動可能に支持されるスイングドアなどの他の車両ドアであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…車両、11…ドア開口部、12…車体、13…アッパレール、14…センターレール、15…ロアレール、16…第1ストライカ、17…第2ストライカ、20…スライドドア(車両ドアの一例)、21…窓開口部、22…アッパローラユニット、23…センターローラユニット、24…ロアローラユニット、25…第1ドアロック装置、26…第2ドアロック装置、27…窓ガラス、28…アウタパネル、29…インナパネル、291…パネル開口部、30,30A,30B…ドアモジュール、40…ドアロック駆動装置、41…アウトサイドドアハンドル、42…インサイドドアハンドル、43…ドアロック駆動部、50…窓ガラス駆動装置、51…窓ガラス支持部、52…ケーブル、53…窓ガラス駆動部、54…プーリ、60,60A…ドア駆動装置(機能部品の一例)、61…第1ケーブル(外側部分の一例)、62…第2ケーブル(外側部分の一例)、63…ドア駆動部(内側部分の一例)、64…プーリユニット(外側部分の一例)、641…第1プーリ、642…第2プーリ、643…第3プーリ、644…ハウジング、65,65A…ケーシング、66,66A…第1保護壁、661,661A…台座、662…直線部、662A…第1直線部、663…傾斜部、663A…傾斜部、664A…第2直線部、67…第2保護壁、671…上側係合壁、672…下側係合壁、673…導通孔、681…第1固定壁、682…第2固定壁、683…取付孔、684…取付孔、69…筒状部、70,70A…モジュールパネル、71…第1支持壁、72…第2支持壁、721…固定部、722…プーリ支持部、723…接続部、724…第1補強部、725…第2補強部、726…縦リブ、727…横リブ、73…収容壁、731…底壁、732…第1収容壁、733…第2収容壁、734…収容凹部、735…貫通孔、736…上側係合凹部、737…下側係合凹部、74,74A…接合壁、741,第1接合壁、742…第2接合壁、743…第3接合壁、744…切り欠き、744A…第1の切り欠き、745…突出壁、745A…第2の切り欠き、746…取付孔、747…取付孔、80,80A…内側シール、81,81A…第1内側シール、82,82A…第2内側シール、83,83A…第3内側シール、90,90A,90B…外側シール、91…第1外側シール、92…第2外側シール、93,93A,93B…第3外側シール、X…幅方向、Y…前後方向、Z…上下方向。
図1
図2
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図10
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図15