(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】化粧材
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20231129BHJP
B41M 3/06 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B41M3/06 A
(21)【出願番号】P 2019175441
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2019063412
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 健
(72)【発明者】
【氏名】桜井 玲子
(72)【発明者】
【氏名】西根 祥太
(72)【発明者】
【氏名】中井 康介
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 昂秀
(72)【発明者】
【氏名】杉田 夏生
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-087157(JP,A)
【文献】特開2015-171811(JP,A)
【文献】特開昭56-038261(JP,A)
【文献】特開昭58-081161(JP,A)
【文献】特開昭57-001728(JP,A)
【文献】特開2014-195874(JP,A)
【文献】特開2014-080020(JP,A)
【文献】特開2015-171810(JP,A)
【文献】特開平03-258544(JP,A)
【文献】特開平10-119228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B41M 1/00-3/18;7/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、該基材の一方の面の一部分を被覆する絵柄層及び盛上げ印刷層を有する化粧材であって、
該盛上げ印刷層が、平面視において、該絵柄層の非形成領域の少なくとも一部を被覆し、
該盛上げ印刷層の直上部の該化粧材の最表面に、該盛上げ印刷層に対応した凸状部を有し、
ISO 25178-6:2010に準拠して測定された最大高さ(Sz)が15μm以上であ
り、ISO 25178-6:2010に準拠して測定された突出山部高さ(Spk)が4.1μm以上である、
化粧材。
【請求項2】
更に、前記基材、前記絵柄層及び前記盛上げ印刷層を被覆するように、前記化粧材の全面に設けられる表面保護層を有する、請求項1に記載の化粧材。
【請求項3】
ISO 25178-6:2010に準拠して測定された最大山高さ(Sp)が1.0μm以上である請求項1
又は2に記載の化粧材。
【請求項4】
ISO 25178-6:2010に準拠して測定された算術平均高さ(Sa)が2.0μm以上である請求項1~
3のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項5】
前記盛上げ印刷層が、平面視において
、前記化粧材の全面に対して30%以上を被覆するように設けられる請求項1~
4のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項6】
前記基材と、前記絵柄層との間に、又は絵柄層と同一の面に、平面視における被覆面積が該絵柄層よりも広い広面積装飾層を有する請求項1~
5のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項7】
前記盛上げ印刷層が、突起群により構成される部分を含む請求項1~
6のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項8】
前記盛上げ印刷層が、盛上げ助剤を含有する請求項1~
7のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項9】
前記盛上げ印刷層が、その表面に前記盛上げ助剤に対応した微細な凸形状を有し、前記凸状部が該微細な凸形状に対応する微細凸状部を有する請求項
8に記載の化粧材。
【請求項10】
前記表面保護層が、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる請求項2~
9のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項11】
更に、前記基材の前記絵柄層を有する面とは反対側の面に、接着剤層を介して被着体を有する請求項1~
10のいずれか1項に記載の化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁、天井、床等の建築物の内装用部材又は外壁、屋根、軒天井、柵、門扉等の外装用部材、窓枠、玄関ドア等の各種扉、手すり、幅木、廻り縁、窓枠、扉枠、モール等の建具又は造作部材の他、キッチン設備又は厨房家具、家具又は家電製品、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装用部材又は外装用部材等は、一般的に、樹脂部材、木質部材、金属部材等の各種部材を被着材として、これらの被着材に化粧材を貼り合わせたもの等が用いられる。
【0003】
上記用途に用いられる化粧材としては、例えば、基材上に、低艶絵柄インキ層からなる模様、表面保護層等を有し、該模様領域とその周辺領域との間に艶差を有するように構成された化粧材が提案されている。この化粧材においては、かかる艶差に起因した視覚的効果(「グロスマット効果」とも称される。)によって、実在の凹部は未形成で実質上表面が平坦部であるにも関わらず、エンボス(賦型)加工がなくても、印刷及び塗布工程のみで、周囲に対して相対的に低光沢となった該模様領域が凹部として認識される(例えば、特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭49-39166号公報
【文献】特開2005-125780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の消費者の高級品志向の高まり、あるいは志向の多様化に伴い、上記の内装用部材、外装用部材等に求められる意匠性への要望は、複雑化し、またより厳しくなっている。特許文献1及び2に記載される化粧材は、艶差により凹凸感を有しており、優れた意匠性を有するものではあるものの、凹凸感は凹部及び凸部の2段階(又は2階調)のみと単調であるとともに、視覚的凹凸感の段差自体も少ないものである。そのため、より複雑化し、かつ厳しくなっている意匠性への要望に対応できない場合が生じるようになっている。
【0006】
本発明は、このような状況下になされたもので、物理的な凹凸形状により発現する高い触感、及び物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による優れた意匠性を有する化粧材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構成を有する化粧材に係る発明により前記課題を解決できることを見出した。
【0008】
[1]基材、該基材の一方の面の一部分を被覆する絵柄層及び盛上げ印刷層を有する化粧材であって、
該盛上げ印刷層が、平面視において、該絵柄層の非形成領域の少なくとも一部を被覆し、
該盛上げ印刷層の直上部の該化粧材の最表面に、該盛上げ印刷層に対応した凸状部を有し、
ISO 25178-6:2010に準拠して測定された最大高さ(Sz)が15μm以上である、
化粧材。
[2]更に、前記基材、前記絵柄層及び前記盛上げ印刷層を被覆するように、前記化粧材の全面に設けられる表面保護層を有する、上記[1]に記載の化粧材。
[3]前記基材と、前記絵柄層との間に、平面視における被覆面積が該絵柄層よりも広い広面積装飾層を有する上記[1]又は[2]に記載の化粧材。
[4]前記盛上げ印刷層が、その表面に前記盛上げ助剤に対応した微細凸状部を有する上記[1]~[3]のいずれか1に記載の化粧材。
[5]更に、前記基材の前記絵柄層を有する面とは反対側の面に、接着剤層を介して被着体を有する上記[1]~[4]のいずれか1に記載の化粧材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物理的な凹凸形状により発現する高い触感、及び物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による優れた意匠性を有する化粧材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の化粧材の一例の外観を示す模式斜視図である。
【
図2】本発明の化粧材の一例の層構成を示す模式断面図である。
【
図3】本発明の化粧材の一例の外観を示す模式斜視図である。
【
図4】本発明の化粧材の一例の層構成を示す模式断面図である。
【
図5】実施例1で得られた化粧材の表面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔化粧材〕
以下、本発明の化粧材について説明する。なお、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以上」、「以下」及び「~」に係る数値は任意に組み合わせできる数値であり、実施例の数値は数値範囲の上下限に用い得る。
【0012】
本発明の化粧材は、基材、該基材の一方の面の一部分を被覆する絵柄層及び盛上げ印刷層を有する化粧材であって、該盛上げ印刷層が、平面視において、該絵柄層の非形成領域の少なくとも一部を被覆し、該盛上げ印刷層の直上部の該化粧材の最表面に、該盛上げ印刷層に対応した凸状部を有し、ISO 25178-6:2010に準拠して測定された最大高さ(Sz)が15μm以上である、というものである。
【0013】
本発明において、「平面視」とは、化粧材の盛上げ印刷層(表面保護層を有する場合は表面保護層)側の表面上から該化粧材を見下ろした外観、すなわち化粧材の厚み方向と視線方向とのなす角度が0°以上90°以下として見下ろした外観のことをいう。「平面視」の典型的な例を、
図1及び図(2-a)を参照して説明すると、視線方向を化粧材10の表面保護層6側の面の法線方向Nに一致させて目視する場合であり、この場合の化粧材の厚み方向と視線方向とのなす角度は0°となる。
【0014】
以下、本発明の化粧材の構成を、
図1~4を用いて説明する。
図1は、本発明の化粧材10の好ましい外観の一例を示す模式斜視図であり、本発明の化粧材10が、基材1、絵柄層2、盛上げ印刷層4、表面保護層5及び凸状部6を有していることが示されている。
図1において、プライマー層3は、絵柄層2を少なくとも被覆するように設けられているが、本図では図示していない。また、
図3は、本発明の化粧材10の好ましい外観の一例を示す模式斜視図であり、本発明の化粧材10が、基材1、広面積装飾層7、絵柄層2、盛上げ印刷層4、表面保護層5及び凸状部6を有していることが示されている。
より具体的には、その表面に表面保護層5が設けられており、盛上げ印刷層4の直上部の化粧材10の最表面(該表面保護層5の表面上)に、該盛上げ印刷層4に対応した凸状部6を有していること、また平面視において盛上げ印刷層4が絵柄層2の非形成領域の少なくとも一部を被覆し、かつ化粧材の全面に対して30%以上を被覆するように設けられていること、が分かる。
【0015】
本発明の化粧材10の好ましい断面の一例を示す断面模式図である図(2-a)には、基材1の一方の面1Fの一部分を被覆する絵柄層2、少なくとも該絵柄層2を被覆する(図(2-a)の形態では絵柄層2の形成領域及び絵柄層2の非形成領域にわたる全面を被覆する)ようにプライマー層3が設けられ、該プライマー層3上の該絵柄層2が設けられていない領域(非形成領域)の少なくとも一部を被覆するように盛上げ印刷層4が設けられ、表面保護層5が基材1、絵柄層2、プライマー層3及び盛上げ印刷層4を被覆するように化粧材の全面に設けられ、盛上げ印刷層4の直上部の、化粧材10の最表面となる表面保護層5の表面には、該盛上げ印刷層4に対応した凸状部6を有することが示される。
【0016】
プライマー層3は、図(2-a)に示されるように、少なくとも絵柄層2を被覆するように設けられていれば、化粧材の全面を被覆するように設けられていてもよいし、また図(2-c)のように全面を被覆するように設けられていなくてもよい。図(2-c)のように、一部にプライマー層3が設けられる場合は、基材1の一方の面1F上に盛上げ印刷層4が設けられ、基材1の一方の面1F上であって絵柄層2、プライマー層3、及び盛上げ印刷層4のいずれもが設けられていない領域では、表面保護層5が基材2の上に接するように設けられていてもよい。
【0017】
図(2-b)に示されるように、本発明の化粧材10は、基材1と絵柄層2との間に広面積装飾層7を有していてもよく、該広面積装飾層7は化粧材10の全面を被覆するように設けられていてもよいし(いわゆる「ベタ層」)、柄を形成する層であってもよい。広面積装飾層7は、柄を形成する層である場合、絵柄層2と広面積装飾層7とは平面視において互いに相補的に存在し、両者をあわせて基材1の一方の面1Fの全面を被覆する。通常の化粧材が表現する意匠外観の場合においては、広面積装飾層7は、平面視における被覆面積が相対的に絵柄層2よりも広く設けられる層となることが多い。
また、必要に応じて、絵柄層2と広面積装飾層7とで、例えば艶消し剤の添加量、粒径、又はこれらの両方をかえることにより、絵柄層2と広面積装飾層7との間に所望の光沢度の差(艶差)を設けることができる。
【0018】
本発明の化粧材10の好ましい断面の一例を示す断面模式図である図(4-a)には、基材1の一方の面1Fの一部分を被覆する絵柄層2、該絵柄層2が設けられていない領域(非形成領域)の少なくとも一部を被覆するように盛上げ印刷層4が設けられ、表面保護層5が基材1、絵柄層2及び盛上げ印刷層4を被覆するように化粧材の全面に設けられ、盛上げ印刷層4の直上部の、化粧材10の最表面となる表面保護層5の表面には、該盛上げ印刷層4に対応した凸状部6を有することが示される。このように、本発明の化粧材10は、プライマー層3を有しない態様を有するものでもある。
本発明の化粧材10の好ましい断面の一例を示す断面模式図である図(4-b)には、上記図(4-a)において、基材1と絵柄層2との間に広面積装飾層7が設けられたものが示される。また、本発明の化粧材10の好ましい断面の一例を示す断面模式図である図(4-c)には、上記図(4-a)において、基材1と絵柄層2との間に広面積装飾層71が全面被覆のベタ層として設けられ、更に該広面積装飾層71の上に該絵柄層2と絵柄状に設けられた広面積装飾層72とが平面視において互いに相補的に配置されて両者によって基材の一方の面1Fの全面を被覆するように設けられたものが示される。
【0019】
(表面形状の性状について)
本発明の化粧材10は、表面形状の性状として、ISO 25178-6:2010に準拠して測定された最大高さ(Sz)が15.0μm以上である、という性状を有する。最大高さ(Sz)が15.0μm未満であると、高い触感は得られず、また物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による優れた意匠性も得られない。最大高さ(Sz)は、表面の最も高い点から最も低い点までの距離を表す数値であり、具体的には化粧材における凸状部及び好ましく有する微細凸状部と、絵柄層(又は表面保護層が設けられる場合は表面保護層における絵柄層に対応する部分)との高低差を示す指標である。
触感及び意匠性の向上の観点から、最大高さ(Sz)は、好ましくは20.0μm以上、より好ましくは25.0μm以上、更に好ましくは40.0μm以上である。最大高さ(Sz)の上限は、大きいほど触感及び意匠性が向上する傾向にあるため、特に制限はないが、耐汚染性及び耐摩耗性等の表面特性、化粧シートとしての安定性、製造のしやすさ等を考慮すると、100.0μm以下、好ましくは85.0μm以下である。
なお、本明細書において、表面形状の特性に関する数値は、化粧シートの任意の10点において、ISO 25178-6:2010に準拠した方法で測定した数値の平均値とする。
【0020】
本発明の化粧材10は、表面形状の性状として、ISO 25178-6:2010に準拠して測定された突出山部高さ(Spk)が4.1μm以上である、という性状を有することが好ましい。突出山部高さ(Spk)は、突出山部の平均高さを表す数値であり、具体的には化粧材における凸状部及び好ましく有する微細凸状部の局部的な盛り上がりの状態を示す指標となり、突出山部高さ(Spk)が4.1μm以上であると、主に触感が向上する。
触感向上の観点から、突出山部高さ(Spk)は、より好ましくは5.0μm以上、更に好ましくは6.0μm以上であり、より更に好ましくは7.0μm以上である。突出山部高さ(Spk)の上限は、大きいほど触感が向上する傾向にあるため、特に制限はないが、耐汚染性及び耐摩耗性等の表面特性、化粧シートとしての安定性、製造のしやすさ等を考慮すると、30.0μm以下、好ましくは25.0μm以下である。
【0021】
本発明の化粧材10は、表面形状の性状として、ISO 25178-6:2010に準拠して測定された最大山高さ(Sp)が1.0μm以上である、という性状を有することが好ましい。最大山高さ(Sp)は、表面の平均面からの高さの最大値を表す数値であり、具体的には化粧材における表面からの凸状部、また好ましく設けられる微細凸状部の高さを示す指標となり、最大山高さ(Sp)が1.0μm以上であると、主に触感が向上する。
触感向上の観点から、最大山高さ(Sp)は、より好ましくは5.0μm以上、更に好ましくは10.0μm以上であり、より更に好ましくは15.0μm以上である。最大山高さ(Sp)の上限は、大きいほど触感が向上する傾向にあるため、特に制限はないが、耐汚染性及び耐摩耗性等の表面特性、化粧シートとしての安定性、製造のしやすさ等を考慮すると、60.0μm以下、好ましくは45.0μm以下である。
【0022】
本発明の化粧材10は、表面形状の性状として、ISO 25178-6:2010に準拠して測定された算術平均高さ(Sa)が2.0μm以上である、という性状を有することが好ましい。算術平均高さ(Sa)は、表面の平均面からの凹部及び凸部の高さの絶対値の平均を表す数値、具体的には凸状部、また好ましく設けられる微細凸状部等の化粧材における表面の平均面から相対的に凸部を形成する部分の高さ、及び化粧材全体として相対的に凹部を形成する絵柄層(又は表面保護層が設けられる場合は表面保護層における絵柄層に対応する部分)等の化粧材における表面の平均面から相対的に凹部を形成する部分の深さの平均値であり、化粧材の表面の全面における起伏の状態を示す指標となり、算術平均高さ(Sa)が2.0μm以上であると、主に物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による意匠性が向上する。
触感向上の観点から、算術平均高さ(Sa)は、より好ましくは2.3μm以上、更に好ましくは2.5μm以上であり、より更に好ましくは3.0μm以上である。最大山高さ(Sp)の上限は、大きいほど意匠性が向上する傾向にあるため、特に制限はないが、耐汚染性及び耐摩耗性等の表面特性、化粧シートとしての安定性、製造のしやすさ等を考慮すると、15.0μm以下、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下である。
【0023】
以上のように、本発明の化粧材は、特定の表面形状の特性を有しており、これにより、本発明の化粧材は高い触感を有し、また物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による優れた意匠性をも有するものとなる。本発明の化粧材が、上記表面形状の特性を有するものとするには、特定の層構成を有することが必要となる。
次に、本発明の化粧材を構成する各層について、より詳細に説明する。
【0024】
(基材1)
基材1は、通常化粧材の基材として用いられるものを制限なく採用することができ、例えば、紙、不織布又は織布、樹脂、木材、金属、非金属無機材料等からなる基材が代表的に挙げられる。基材の厚みも特に制限はなく、フィルム、シート、又は板状の形態のものを所望に応じて適宜用いることができるが、通常は、フィルム又はシートとして20~300μm程度、板としては500μm~10cm程度のものが用いられる。
【0025】
紙基材としては、例えばクラフト紙、チタン紙、リンター紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、樹脂含浸紙、薄葉紙、和紙等が挙げられる。不織布又は織布の基材としては、例えばガラス、アルミナ、シリカ、炭素等の無機材料により構成される無機繊維、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種合成樹脂により構成される有機繊維で構成される不織布又は織布、またこれらの複合体等の基材が挙げられる。
【0026】
樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アクリレート共重合体等のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」とも称する。)、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂基材が挙げられる。
【0027】
木材としては、杉、檜、松、樫、ラワン、チーク、ゴムの木等の各種樹種の木材からなる木材基材が挙げられる。木材基材は、突板と称されるフィルム、又はシート形態、あるいは単板、合板、集成材、パーチクルボード、繊維板等の板形態とすることができる。
金属としては、鉄、アルミニウム、銅、錫、チタニウム、これらの金属を少なくとも一種含む合金(例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ジュラルミン、真鍮、青銅等)等からなる金属基材が挙げられる。
また、非金属無機材料としては、セメント、石膏、珪酸カルシウム、陶磁器、硝子、各種セラミックス等が挙げられる。
【0028】
基材は、着色されていてもよいし、着色されていなくてもよく(透明でもよく)、着色されている場合、着色の態様には特に制限はなく、透明着色であってもよいし、不透明着色(隠蔽着色)であってもよく、これらは任意に選択できる。
【0029】
基材は、着色されている場合、着色剤としては、例えば、チタン白等の白色顔料、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、ニッケル-アゾ錯体、アゾメチンアゾ系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤が挙げられる。例えば、化粧シートを貼着する被着材の表面色相がばらついている場合に、表面色相を隠蔽し、絵柄層、所望に応じて設けられる広面積装飾層の色調の安定性を向上させたい場合は、白色顔料等の無機顔料を用いればよい。
【0030】
樹脂の着色の場合は、樹脂中への着色剤の添加(混練、練り込み)、樹脂と着色剤とを含む塗料の塗膜の塗布による形成等の、いずれの手段を採用することができる。紙、不織布、又は織布の着色の場合は、パルプや繊維材料との混抄、あるいは塗膜形成等のいずれかの手段、又はこれらの併用により行うことができる。
木材の着色の場合は、染料による染色、あるいは塗膜形成のいずれかの手段、又はこれらの併用により行うことができる。金属の着色の場合、塗膜形成の他、陽極酸化法を用いて表面に金属酸化物皮膜を形成する電解着色法等を採用することができる。また、非金属無機材料の場合、塗膜形成、あるいは基材中への添加のいずれかの手段、又はこれらの併用により行うことができる。
【0031】
基材には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、主に樹脂の場合において、例えば、炭酸カルシウム、クレーなどの無機、水酸化マグネシウムなどの難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。添加剤の配合量は、加工特性等を阻害しない範囲であれば特に制限はなく、要求特性等に応じて適宜設定できる。
【0032】
本発明の化粧材の耐候性を向上させる観点から、上記添加剤の中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を用いることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、化粧材に汎用される紫外線吸収剤を特に制限なく用いることができ、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としても、化粧材に汎用される光安定剤を特に制限なく用いることができ、例えばピペリジニルセバケート系光安定剤等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。また、これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、分子中に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する反応性官能基を有するものであってもよい。
これらの紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、その他各種添加剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明においては、上記の基材を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることもできる。複数の紙基材を組み合わせたものであってもよいし、紙基材と繊維基材、紙基材と樹脂基材、繊維基材と樹脂基材、紙基材と繊維基材と樹脂基材とを組み合わせたものであってもよい。また、樹脂基材については、上記樹脂の単層、あるいは同種又は異種樹脂による複層のいずれの構成であってもよい。
【0034】
基材の形状としては、特に制限はなく、所望に応じて適宜選択すればよく、例えば、平板状のものでもよいし、曲面を有するものでもよいし、また角を有するもの等の非平板状のものであってもよい。
図1及び2には、平板状(「シート状」ともいえる。)の化粧材が示されているが、本発明の化粧材の形状は、これに限られるものではない。化粧材の製造のしやすさ、用途、加工のしやすさ等を考慮すると、平板状であることが好ましい。
基材の厚さは、耐摩耗性、耐候性、耐傷性等の表面特性、加工特性、取扱の容易さ等を考慮すると、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上が更に好ましい。上限としては、200μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。
【0035】
基材は、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化等のために、基材の少なくとも一方の面に易接着層を形成する等の処理を施してもよい。
【0036】
(絵柄層2)
絵柄層2は、基材の一方の面の一部分を被覆するように設けられ、本発明の化粧材に意匠性を付与する層であり、特に盛上げ印刷層との艶差による視覚的な凹凸感を付与する際に有効な層である。また、絵柄層と後述する盛上げ印刷層及び凸状部とを組み合わせることにより、本発明の化粧材は、物理的な凹凸形状とともに視覚的な凹凸感を有することとなり、極めて高い触感及び意匠性を有するものとなる。
本発明の化粧材では、絵柄層だけで意匠性を付与してもよいし、絵柄層と後述する広面積装飾層とからなる模様層として意匠性を付与してもよく、意匠性の観点から、絵柄層と広面積装飾層とからなる模様層として意匠性を付与することが好ましい。
具体的に好ましい一実施形態を例示すると、絵柄層を相対的に低艶のインキで形成し、盛上げ印刷層を相対的に高艶のインキで形成して、絵柄層が盛上げ印刷層に対して相対的に低艶(すなわち、低光沢)となるように構成することにより、該絵柄層が該盛上げ印刷層に対して相対的に凹部となった視覚的外観を効果的に発現することができる。
【0037】
絵柄層、又は絵柄層と広面積装飾層とからなる模様層により付与される模様としては、特に制限なく所望に応じて選択すればよく、例えば、木目模様、大理石板表面の模様(例えばトラバーチン大理石模様)、花崗岩板のへき開面等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、レザー(人工又は合成皮革を含む。)のシボを表現したレザー(皮シボ)模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、ヘアライン、万線条溝、梨地、砂目、文字、記号、幾何学模様等、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様が挙げられる。また、これらを複合した模様として、例えば大理石等の石材の砕石を白色セメントに混ぜて固め、磨いて大理石のように仕上げた人造石、いわゆる人造大理石の表面のような模様も挙げられる。
凹凸形状により、極めて高い触感及び意匠性を有するという本発明の化粧材の特徴をより活用する観点から、上記の中でも木目模様が好ましい。木目模様には、柾目模様、板目模様、杢目模様、木口模様等があるが、いずれであってもよい。
【0038】
絵柄層は、艶差による視覚的な凹凸感を向上させる観点から、その周囲に比べてより低光沢(艶消し又は低艶)であることが好ましい。
本発明の化粧材の模様として、好ましい模様として例示した木目模様を採用する場合においては、木目模様は、より低光沢(艶消又は低艶)かつ凹部となる導管部分、より高光沢(艶有又は高艶かつ凸部)となる春材部分、更に高光沢かつ凸部となる秋材部分(照り部分)等が存在する。本発明の化粧材では、より低光沢(艶消又は低艶)の導管部分を、相対的に低光沢の絵柄層で形成し、より高光沢(艶あり又は高艶)の木肌部分、具体的には春材部分、秋材部分、又は春材部分と秋材部分の両方を広面積装飾層で形成し、更に広面積装飾層の直情部を相対的に高光沢の盛上げ印刷層で被覆し、かつ盛上げ印刷層の厚さを絵柄層より厚くすることが好ましい。かかる構成とすることにより、導管部分を表現する絵柄層の直上部の化粧材の最表面が、凸状部となる木肌部分を表現する盛上げ印刷層の最表面と比べて相対的に物理的な凹部となり、かつ視覚的に低光沢となることで視覚的な凹凸感を向上させることができ、天然木材板表面の木目模様に近似する極めて高い触感及び視覚的な意匠性が得られることとなる。
【0039】
また、本発明の化粧材の好ましい態様として例示したタイル貼模様又は煉瓦積模様を採用する場合においては、タイル貼模様又は煉瓦積模様は、より低光沢かつ凹部となる目地溝部分、より高光沢かつ凸部となるタイル又は煉瓦部分が存在する。本発明の化粧材では、より低光沢かつ凹部となる目地溝部分を、相対的に低光沢の絵柄層で形成し、より高光沢かつ凸部となるタイル又は煉瓦部分を広面積装飾層で形成し、さらに広面積装飾層の直上部を相対的に高光沢の盛上げ印刷層で被覆し、かつ盛上げ印刷層の厚さを絵柄層よりも厚くすることが好ましい。係る構成とすることにより、目地溝部分を表現する絵柄層の直上部の化粧材の最表面が凸状部となるタイル又は煉瓦部分を表現する盛上げ印刷層の最表面と比べて相対的に物理的な凹部となり、かつ視覚的に低光沢となることで、視覚的な凹凸感を向上させることができ、実物のタイル貼り又は煉瓦積に近似する極めて高い触感及び視覚的意匠性が得られることとなる。
【0040】
また、本発明においては、例えば低光沢ではない絵柄層の直上部又は直下部に低光沢の絵柄層を設けるといった手法により、より繊細な視覚的な凹凸感を表現することも可能であるし、絵柄層及び広面積装飾層がいずれも低光沢ではなく、当該絵柄層と盛上げ印刷層との光沢差、また後述する少なくとも絵柄層を被覆するように設けられるプライマー層と盛上げ印刷層との光沢差等によっても低光沢、高光沢による意匠表現も可能である。すなわち、本発明においては、絵柄層、広面積装飾層、これらからなる模様層、盛上げ印刷層、プライマー層等の各種層の光沢の高低を組み合わせて、自在に視覚的な凹凸感を表現し、またこれらの層からなる物理的な凹凸と組み合わせることで、極めて高い触感及び意匠性を表現することが可能となる。
【0041】
上記以外の、絵柄層の適用例としては、例えば花崗岩板のへき開面の模様の場合、最も低光沢な黒雲母と、その周囲により高光沢な長石類、更に高光沢な石英が混在するが、最も低光沢な黒雲母、また黒雲母と長石類と石英との境界部分を絵柄層で形成し、より高光沢な長石類及び石英を広面積装飾層で形成するといったことができる。また、板と板とを組み合わせた突板模様では、板と板とのより低光沢な境界を絵柄層で、それ以外を広面積装飾層で形成することができる。
このように、絵柄層は、より低光沢(艶消又は低艶)な部分の形成、また絵柄層、又は絵柄層と広面積装飾層とからなる模様層により付与される模様に係る実物では物理的に凹部となる部分の形成に好ましく用いられる。
【0042】
絵柄層の形成には、少なくともバインダー樹脂及び必要に応じて艶消し剤を含む樹脂組成物が用いられることが好ましく、その他所望に応じて用いられる成分、例えば顔料及び染料等の着色剤、体質顔料、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、溶剤等を適宜混合したものを用いることができる。すなわち、絵柄層は、少なくともバインダー樹脂及び艶消し剤を含む層であり、その他、上記の所望に応じて用いられる成分を含み得る層である。
なお、プライマー層中に艶消し剤を添加する場合において、該プライマー層により絵柄層に所望の低光沢を十分に発現可能である場合は、該絵柄層への艶消し剤の添加は省略し得る。
【0043】
バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、ニトロセルロース(硝化綿)、酢酸セルロース等の樹脂が好ましく挙げられる。また、例えばポリオールを主剤とし、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ウレタン樹脂等の硬化性樹脂を用いてもよい。これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0044】
艶消し剤としては、シリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、及びケイ酸微粉末等の無機フィラー;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン、又は尿素系樹脂等の有機フィラー、等が挙げられる。絵柄層が艶消し剤を含むことで、絵柄層はより低光沢となるため、艶差による視覚的な凹凸感を向上させることが可能となる。
【0045】
これらの艶消し剤の体積平均粒径は、好ましくは0.5~25μmであり、より好ましくは1~15μm、更に好ましくは3~10μmである。
また、絵柄層中のバインダー樹脂100質量部に対する艶消し剤の含有量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、上限としては通常100質量部以下であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。艶消し剤の含有量が上記範囲内であると、絵柄層はより低光沢な層として視認できるようになるため、艶差による視覚的な凹凸感を向上させることが可能となり、かつ樹脂組成物のチキソトロピック性が極端に高くなることがなく塗布性能が向上するため、結果として意匠性が向上する。
【0046】
絵柄層で用いられ得る顔料、染料等の着色剤としては、例えば、上記の基材に用いられ得る顔料、染料等の着色剤と同じものを例示でき、これらの中から所望の絵柄に応じて適宜選択すればよい。
絵柄層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤、光安定剤としては、基材に含まれ得るものと同じものを例示でき、これらの中から所望の絵柄に応じて適宜選択すればよい。
【0047】
絵柄層の厚さは、所望の模様に応じて適宜選択すればよく、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上であり、上限として好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは8μm以下である。絵柄層の厚さを上記範囲内とすることで、装飾による意匠性が向上し、また化粧材の表面形状の特性、例えば上記の最大高さ(Sz)等の調整がしやすくなる。
【0048】
(プライマー層3)
プライマー層3は、平面視において、少なくとも上記の絵柄層を被覆するように設けられ、第一には絵柄層を保護するために好ましく設けられ、また絵柄層を必要に応じてより低光沢とし得る機能を有し、基材と絵柄層と盛上げ印刷層と好ましく設けられる表面保護層との層間密着性の向上も図り得る層である。
【0049】
プライマー層の形成には、少なくともバインダー樹脂及び艶消し剤を含む樹脂組成物が用いられることが好ましく、その他所望に応じて用いられる成分、例えば体質顔料、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、溶剤等を適宜混合したものを用いることができる。すなわち、プライマー層は、少なくともバインダー樹脂及び艶消し剤を含む層であり、その他、上記の所望に応じて用いられる成分を含み得る層である。艶消し剤を含むことにより、絵柄層をより低光沢な層として視認できるようになるため、艶差による視覚的な凹凸感が向上する。
ただし、絵柄層自体で所望の低光沢を十分に発現できる場合は、プライマー層への艶消し剤の添加は省略し得る。
【0050】
プライマー層が設けられる場合、少なくとも上記の絵柄層を被覆するように設けられていればよく、図(2-a)及び(2-b)のように絵柄層を被覆し、かつ化粧材の全面を被覆するように設けられていてもよいし、図(2-c)のように絵柄層の直上部、又は絵柄層の直上部及びその近傍のみを被覆するように、部分的に設けられていてもよい。基材と絵柄層と盛上げ印刷層と好ましく設けられる表面保護層との層間密着性の向上も図る観点からは、図(2-a)及び(2-b)のように絵柄層を被覆し、かつ化粧材の全面を被覆するように設けられることが好ましい。
【0051】
プライマー層の形成に用いられるバインダー樹脂、艶消し剤としては、上記の絵柄層の形成に用いられ得るバインダー樹脂、艶消し剤と同じものを例示でき、これらの中から所望に応じて適宜選択すればよい。また、艶消し剤の含有量も、上記の絵柄層における艶消し剤の含有量と同様である。
【0052】
プライマー層の厚さは、少なくとも絵柄層を被覆し得る厚さであれば特に制限はなく、効率よく絵柄層を保護し、絵柄層をより低光沢とし、かつ層間密着性を向上させる観点から、更には化粧材の表面形状の特性、例えば上記の最大高さ(Sz)等の調整のしやすさの観点から、絵柄層の上面を基準とした高さとして、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上であり、上限として好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは5μm以下である。
【0053】
(盛上げ印刷層4)
盛上げ印刷層4は、平面視において、上記の絵柄層2の非形成領域、すなわち絵柄層2が設けられていない領域、の少なくとも一部を被覆する層である(以下、盛上げ印刷層が被覆する面積率を「盛上げ印刷層の被覆率」と称することがある。)。盛上げ印刷層を設けることにより、その直上部の化粧材の最表面に、該盛上げ印刷層に対応した凸状部を発現させることができるので、本発明の化粧材に物理的な凹凸形状が形成し、極めて高い触感が得られる。また、この物理的な凹凸形状と、上記の絵柄層による視覚的な凹凸感との相乗効果により、極めて高い意匠性を有するものとなる。
【0054】
化粧材の全面に対する盛上げ印刷層の被覆率は、物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感により触感と意匠性を向上させる観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、より更に好ましくは70%以上である。また上限については特に制限はないが、触感と意匠性を向上させる観点から、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
本発明において、盛上げ印刷層の被覆率は、1m×1mの大きさの化粧材に対して、任意の箇所から30cm×30cmの試験片を3片切り出して、これらの試験片の各々について画像解析を行い、盛上げ印刷層の被覆率を算出し、その平均値とする。また、化粧材の大きさが1m×1mではない場合、上記1m×1mの大きさに対する試験片の大きさ30cm×30cmの割合を同じとし、3片切り出して被覆率を算出することとする。
【0055】
盛上げ印刷層は、例えば図(2-a)~(2-c)、(4-a)~(4-c)では、絵柄層の非形成領域のみに設けられている態様しか示されていないが、盛上げ印刷層は絵柄層上にあるいはその一部が重なるようにして設けられていてもよい。
本発明において、盛上げ印刷層は、絵柄層の非形成領域、すなわち絵柄層が設けられていない領域の50%以上を被覆するように設けられることが好ましい。絵柄層の非形成領域に対する盛上げ印刷層の被覆率が50%以上であると、より効率的に、物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感により触感と意匠性を向上させることができる。これと同様の観点から、絵柄層の非形成領域に対する盛上げ印刷層の被覆率は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、更に好ましくは70%以上であり、上限として好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
【0056】
また、盛上げ印刷層は、
図1及び3で示されるように、小さい突起が集合した平面視において網点状の突起群のような形状であってもよいし、突起よりも大きい平面視で楕円状(立体形状では回転楕円体の一部またはこれに類似する立体形状)の形状であってもよい。突起よりも大きい楕円状の形状のものは、盛上げ印刷層形成用の樹脂組成物を印刷して盛上げ印刷層を形成する際に、該樹脂組成物を当初から楕円状の形状に印刷して形成することもできるし、また小さい突起を集合させるように印刷した際に、該樹脂組成物が流動してレベリング(levelling)して垂れる(いわゆる「だれる」)ことで繋がり、結果として突起よりも大きい楕円状の形状を呈することとなったものであってもよい。よって、
図1及び3では楕円状の形状のものしか図示されていないが、複数の突起がだれて繋がったような不規則な形状であってもよい。
【0057】
本発明においては、盛上げ印刷層は、突起群により構成される部分を含むことが、より繊細な触感が得られる点で好ましく、また意匠性の点でも好ましい。また、本発明においては、盛上げ印刷層が、突起群だけでなく、樹脂組成物がだれることで繋がったような平面視で楕円状、あるいは不規則な形状のものを有することにより、例えば木目模様等の自然物の模様とする場合には、よりリアルな質感が得られ、高い意匠性が得られることとなる。
【0058】
盛上げ印刷層の形成には、少なくともバインダー樹脂を含む樹脂組成物が用いられることが好ましく、その他所望に応じて用いられる成分、例えば体質顔料、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、溶剤等を適宜混合したものを用いることができる。すなわち、盛上げ印刷層は、少なくともバインダー樹脂を含む層であり、その他、上記の所望に応じて所望に応じて用いられる成分を含み得る層である。
【0059】
盛上げ印刷層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感により触感と意匠性を向上させる観点から、硬化性樹脂を用いることが好ましい。
硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、二液硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いることができ、物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感により触感と意匠性を向上させやすくする観点、更には本発明の化粧材の耐汚染性及び耐摩耗性の向上の観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましい。
【0060】
熱硬化樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。熱硬化樹脂には、必要に応じて硬化剤が添加される。
二液硬化樹脂としては、ポリオール化合物を主剤としイソシアネート化合物を硬化剤とする二液硬化型ウレタン樹脂、二液硬化型エポキシ樹脂、二液硬化型ウレタン変性アクリル樹脂及び二液硬化型ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0061】
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことであり、電離放射線硬化性官能基を有するものである。ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
【0062】
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感による触感と意匠性の向上、更には耐汚染性及び耐摩耗性の向上の観点から、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーが好ましい。
物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感による触感と意匠性の向上、更には耐汚染性及び耐摩耗性の向上の観点から、官能基数は好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
このような重合性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等の二官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能以上の(メタ)アクリレート;が好ましく挙げられる。
【0064】
重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカプロラクトンウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカプロラクトンジオールウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0065】
物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感による触感と意匠性の向上、更には耐汚染性及び耐摩耗性の向上の観点から、これらの重合性オリゴマーの官能基数は、好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
【0066】
これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感による触感と意匠性の向上、更には耐汚染性及び耐摩耗性の向上の観点から、500以上が好ましく、より好ましくは1,000以上であり、上限として好ましくは80,000以下、より好ましくは50,000以下である。本明細書において、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
【0067】
盛上げ印刷層は、絵柄層による視覚的な凹凸感との相乗効果を高め、意匠性を向上させる観点から、絵柄層より高光沢であることが好ましい。絵柄層より高光沢にするには、光沢を調整し得る添加剤、例えば艶消し剤、体質顔料の使用量を調整することで行える。
【0068】
また、盛上げ印刷層は、厚さを確保するために、盛上げ助剤を含有することが好ましい。盛上げ助剤としては、樹脂ビーズ、無機粒子が好ましく挙げられる。
樹脂ビーズとしては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ウレタン樹脂、アクリル-スチレン樹脂、ウレタンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド縮合等の樹脂からなるビーズが好ましく挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、カオリナイト、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硝子、ジルコニア及びチタニア等からなる粒子が挙げられ、コスト等の観点から、シリカが好ましい。シリカ粒子としては、球形でもよいし、不定形であってもよく、触感向上等も考慮すると、不定形シリカ粒子が好ましい。
【0069】
盛上げ印刷層に盛上げ助剤が含まれると、盛上げ助剤の形状に対応して、盛上げ印刷層の表面に微細な凸形状が発現し、当該微細な凸形状に対応して凸状部の表面に更に微細凸状部(図示なし)が発現することで、副次的な効果として光の散乱による視覚的な艶消しによるマット効果の向上とともに、粗面、砂目、又は木肌調の触感の向上効果が得られる。本発明の化粧材において、凸状部は、盛上げ印刷層が含む盛上げ助剤の形状に対応して発現する該盛上げ印刷層の表面の微細な凸形状に対応した、微細凸状部を有する。微細凸状部は、盛上げ印刷層を形成する、上記の小さい突起の一つ一つの表面、上記の突起よりも大きい平面視形状が楕円状の形状の一つ一つの表面に対応して、凸状部に発現する。当該微細凸状部は、盛上げ印刷層上に好ましく設けられる表面保護層により、盛上げ助剤の形状を直接反映するものではないが、盛上げ助剤に起因し、当該盛上げ助剤に対応する形状を呈するものである。
【0070】
盛上げ助剤の平均粒子径としては、盛上げ印刷層の厚さの確保の観点から、好ましくは0.1~40μm、より好ましくは5~30μm、更に好ましくは10~25μmである。また、上記範囲内であると、最大高さ(Sz)等の表面形状の性状を調整しやすく、また物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感による触感と意匠性が向上する。
【0071】
盛上げ助剤の含有量としては、盛上げ印刷層を形成する樹脂分100質量部に対して、好ましくは5~70質量部、より好ましくは10~60質量部、更に好ましくは20~50質量部である。
【0072】
盛上げ印刷層は、例えば
図1に示されるように、絵柄層の端部に沿って設けられる部分を有することが好ましい。このような部分を有することで、盛上げ印刷層との対比により絵柄層がより物理的に凹部として強調されることとなり、また艶差による視覚的な凹凸感も強調されることとなり、触感とともに意匠性が向上する。
【0073】
盛上げ印刷層の厚さは、プライマー層を有しないときは絵柄層の上面を基準として、またプライマー層を有するときはプライマー層の上面を基準として、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、より更に好ましくは20μm以上であり、上限として好ましくは50μm以下である。上記範囲内であれば、物理的な凹凸形状及び視覚的な凹凸感による触感と意匠性の向上、また後述する凸状部が削れにくくなり、耐汚染性及び耐摩耗性の低下を抑制することができる。
【0074】
(表面保護層5)
表面保護層5は、基材1、絵柄層2、プライマー層3及び盛上げ印刷層4を被覆するように、本発明の化粧材の全面に好ましく設けられる層であり、本発明の化粧材を構成する各層を保護し、結果として本発明の化粧材を保護する層である。既述のように、表面形状の性状を上記範囲内とすることにより、耐汚染性及び耐摩耗性等の表面特性の向上を図ることが可能であるが、表面保護層を設けることにより、これらの表面特性を更に向上させることが可能となる。
表面保護層は、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂のいずれにより構成されていてもよく、本発明の化粧材を保護し、より優れた耐汚染性及び耐摩耗性を得る観点から、硬化性樹脂により構成される層、より具体的には硬化性樹脂の硬化物により構成される層であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂とを併用して構成される層であってもよい。
【0075】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0076】
硬化性樹脂としては、上記盛上げ印刷層の形成に用いられ得る硬化性樹脂である、熱硬化性樹脂、二液硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が挙げられる。中でも、耐汚染性及び耐摩耗性の向上の観点から、電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂としては、上記盛上げ印刷層の形成に用いられ得るものとして例示した電離放射線硬化性樹脂から適宜選択すればよい。
【0077】
表面保護層には、所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、紫外線遮蔽剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チキソトロピック性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、溶剤等を添加することができる。中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいることが好ましい。
紫外線吸収剤、光安定剤については、基材に用いられ得るものとして例示した紫外線吸収剤、光安定剤から適宜選択して採用すればよい。
【0078】
表面保護層の厚さは、化粧材の保護、耐汚染性及び耐摩耗性等の向上、更には表面保護層の形成のしやすさ等を考慮すると、プライマー層の上面を基準として、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、上限として好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは7μm以下である。
【0079】
(凸状部6)
凸状部は、本発明の化粧材が、盛上げ印刷層の直上部の最表面、すなわち、盛上げ印刷層の直上部であって、基材の盛上げ印刷層が設けられる側(又は表面保護層が設けられる場合は表面保護層が設けられる側)の最表面に、該盛上げ印刷層に対応して有する凸状の部分である。また、凸状部は、盛上げ印刷層が設けられた部分(又は表面保護層が設けられる場合は、盛上げ印刷層上に表面保護層が被覆した部分)ともいえ、これを「盛上げ印刷層に対応した凸状部」と称する。
本発明の化粧材は、凸状部により物理的な凹凸形状を有することで、極めて高い触感を有するものとなる。また、この物理的な凹凸形状と、上記の絵柄層による視覚的な凹凸感との相乗効果により、極めて高い意匠性を有するものなる。また、既述のように、凸状部は、盛上げ印刷層が含む盛上げ助剤の形状に対応して発現する該盛上げ印刷層の表面の微細な凸形状に対応した、微細凸状部を有することが好ましい。このような微細凸状部を有することで、更に高い触感が得られ、視覚的な凹凸感が向上するため、更に高い意匠性も得られる。
【0080】
凸状部の高さ(最表面を基準としたときの)は、大よそ盛上げ印刷層の厚さと同じとなる。よって、凸状部の高さ(最表面を基準としたときの)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、より更に好ましくは20μm以上であり、上限として好ましくは50μm以下である。
【0081】
また、凸状部は、盛上げ印刷層と対応していることから、突起群により構成される部分を有することが好ましいこと等、その形状についての好ましい態様は、盛上げ印刷層と同じである。
【0082】
(広面積装飾層7)
広面積装飾層7は、基材1と絵柄層2との間に、又は絵柄層2と同一の面に、平面視における被覆面積が該絵柄層2よりも広い層であり、本発明の化粧材に、絵柄層2とともに模様層として意匠性を付与する層である。本発明においては、意匠性の向上の観点から、絵柄層と広面積装飾層とを有するような複数の層からなることが好ましい。
【0083】
広面積装飾層としては、全面を被覆するように均一に設けられた着色層(いわゆる「ベタ層」)の形態であってもよいし、前記絵柄層よりも平面視における被覆面積が該絵柄層よりも広ければ、一部を被覆するように設けられた柄層の形態であってもよいし、該着色層と柄層とを有する形態であってもよい。
広面積装飾層が柄層である場合、本発明の化粧材は、その一部が絵柄層により形成される広面積装飾層も有し得る。よって、広面積装飾層は、例えば図(4-c)に示される広面積装飾層72のような、絵柄層と同一の面に、該絵柄層と混在するように設けられる層であってもよい。また、広面積装飾層は、図(2-b)及び(4-b)に示されるように一層からなる層であってもよいし、図(4-c)に示されるように、2以上の複数の層からなる層であってもよい。
【0084】
例えば木目模様であれば、茶色又は白色等の着色層の上に、高光沢(艶有又は高艶)の春材部分を表現する広面積装飾層、更に高光沢の秋材部分(照り部分)を表現する広面積装飾層、及び低光沢(艶消又は低艶)の導管部分を表現する絵柄層を組み合わせて形成することができる。また、他の模様における絵柄層、広面積装飾層の使い分けの具体例は、既述の通りである。
【0085】
広面積装飾層の形成には、上記絵柄層の形成に用いられ得るものとして記載した樹脂組成物を用いることができる。
また、広面積装飾層の厚さは、所望に応じて適宜決定すればよく、上記絵柄層の厚さとして記載した数値範囲の中から選定すればよい。
【0086】
(化粧材の製造方法)
本発明の化粧材の製造方法について、本発明の化粧材として好ましい態様の一つである、図(2-b)に示される、基材、広面積装飾層、絵柄層、プライマー層、盛上げ印刷層及び表面保護層を有する化粧材を例にとって、その製造方法を説明する。
【0087】
本発明の化粧材は、例えば、基材に広面積装飾層を設ける工程、該広面積装飾層上に絵柄層を設ける工程、少なくとも該絵柄層を被覆するようにプライマー層を設ける工程、該絵柄層の非形成領域の少なくとも一部を被覆するとともに、化粧材の全面に対して30%以上で被覆するように盛上げ印刷層を設ける工程、及び基材、絵柄層、プライマー層及び盛上げ印刷層を被覆するように全面に表面保護層を設ける工程、を順に経ることにより製造することができる。
【0088】
広面積装飾層、絵柄層を設ける工程は、まず基材上に広面積装飾層の形成に用いられる樹脂組成物を塗布して所望の着色層、柄層を設けることで広面積装飾層を形成し、次いで絵柄層の形成に用いられる樹脂組成物を塗布して絵柄層を形成する。樹脂組成物の塗布は、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式、好ましくはグラビア印刷法により行う。
【0089】
また、基材に表面処理を施す場合は、広面積装飾層を形成する前に行えばよく、易接着層を設ける場合も広面積装飾層を形成する前に行えばよい。また、基材の絵柄層を設ける面とは反対側の面(裏面)に裏面易接着層を設ける場合は、広面積装飾層の形成前後のいずれに設けてもよい。
【0090】
次いで、少なくとも該絵柄層を被覆するようにプライマー層を設ける工程である。プライマー層の形成に用いられる樹脂組成物を塗布して形成すればよく、塗布方法は上記広面積装飾層を形成する樹脂組成物の塗布の方法より適宜選択して採用すればよい。
盛上げ印刷層を設ける工程における、盛上げ印刷層の形成は、盛上げ印刷層の形成に用いられる樹脂組成物を塗布して行えばよく、塗布方法は上記広面積装飾層を形成する樹脂組成物の塗布の方法より適宜選択して採用すればよい。
【0091】
表面保護層の形成は、表面保護層の形成に用いられる、好ましくは硬化性樹脂の液体状の未硬化物を含む硬化性樹脂組成物を化粧材の全面に塗布し、必要に応じて硬化させて行う。
液体状の未硬化物を含む未硬化樹脂組成物の塗布方法としては、上記広面積装飾層の樹脂組成物の塗布の方法として例示した公知の方式のいずれかを採用すればよい。
また、硬化性樹脂の液体状の未硬化物を含む未硬化樹脂組成物の硬化方法は、該未硬化樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂の種類に応じて選択すればよい。例えば、未硬化樹脂組成物が熱硬化性樹脂の液体状の未硬化物を含む樹脂組成物である場合、使用する熱硬化性樹脂に応じた熱処理を施して、硬化させればよい。
【0092】
電離放射線樹脂の液体状の未硬化物を含む未硬化樹脂組成物を用いる場合、該未硬化樹脂組成物の塗布により形成した未硬化樹脂層は、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化物とすればよい。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。照射線量は、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~50kGy(1~5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
【0093】
また、表面保護層を形成した後、必要に応じて、エンボス板による加熱加圧成形により、凹凸形状を付与することもできる。
加熱加圧成形の条件は、使用する硬化性樹脂の種類に応じて適宜調整すればよく、特に制限はないが、通常100~200℃の温度条件で、圧力は0.1~9.8MPa、時間は10秒から120分間である。
【0094】
(化粧材の用途)
本発明の化粧材は、物理的な凹凸形状により発現する高い触感、及び物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による優れた意匠性を有するとともに、耐汚染性及び耐摩耗性に優れる化粧材である。よって、本発明の化粧材は、そのままで、又は被着体に接着剤層を介して積層する、あるいは所定の成形加工等を施して各種用途に用いることができる。
例えば、各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(又はフィルム)等の被着体に積層し、壁、天井、床等の建築物の内装用部材又は外壁、屋根、軒天井、柵、門扉等の外装用部材、窓枠、玄関ドア等の各種扉、手すり、幅木、廻り縁、窓枠、扉枠、モール等の建具又は造作部材の他、キッチン設備又は厨房家具、家具又は家電製品、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装用部材又は外装用部材等に用いることができる。
【0095】
被着体としては、例えば、杉、檜、松、ラワン等の各種木材からなる木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)、集成材等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0096】
接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする二液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
【0097】
接着剤層は、上記の樹脂を溶液、あるいはエマルジョン等の塗布可能な形態にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
【実施例】
【0098】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価及び観察方法)
(1)表面形状の性状についての測定
各実施例及び比較例で得られた化粧材の表面について、ISO 25178-6:2010に準拠して、最大高さ(Sz)、突出山部高さ(Spk)、最大山高さ(Sp)及び算術平均高さ(Sa)を測定した。具体的には、非接触式の形状解析レーザー顕微鏡(「VK-X1000(型番)」、株式会社キーエンス製)を用いて、以下の条件で任意の10点における上記各性状についての測定を行い、その平均値を各性状の数値とした。第1表に測定結果を示す。
・倍率:400倍
・測定範囲:500μm×700μmを10箇所
・S-フィルター、L-フィルター:なし
【0099】
(2)触感の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、任意の成人20人に、手で触った際の触感(凹凸感)が高いか否かについて評価させた。第1表に、集計した触感の評価を下記の基準で分類した結果を示す。
A:触感が高いと答えた人が20人中18人以上であった。
B:触感が高いと答えた人が20人中15人以上17人以下であった。
C:触感が高いと答えた人が20人中11人以上14人以下であった。
D:触感が高いと答えた人が20人中10人以下であった。
(3)グロスマット感の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、任意の成人20人に、目視によりグロスマット感(凹凸感)が高いか否かについて評価させた。第1表に、集計した触感の評価を下記の基準で分類した結果を示す。
A:凹凸感の高い意匠性を有すると答えた人が20人中18人以上であった。
B:凹凸感の高い意匠性を有すると答えた人が20人中15人以上17人以下であった。
C:凹凸の高い意匠性を有すると答えた人が20人中11人以上14人以下であった。
D:凹凸の高い意匠性を有すると答えた人が20人中10人以下であった。
(4)耐汚染性の評価
実施例1及び2で得られた化粧材について、JAS汚染A試験の規定に準拠して、以下の基準で評価した。
A:外観変化が全く又はほとんどなかった。
B:外観変化が軽微であった。
C:外観変化が目立った。
D:外観変化が著しかった。
(5)耐摩耗性の評価
実施例1及び2で得られた化粧材について、JAS合板摩耗A試験の規定に準拠して、化粧材を試験装置の回転盤に水平に固定し、研磨紙(S-42)を巻きつけたゴム製の円盤2個を取り付けて、総荷重500gfをかけながら該化粧材を回転させて、化粧材の絵柄が50%になる回転数について、以下の評価基準で評価した。なお、5回転毎に、装置をとめて、表面の状態を目視確認した。
A:75回転以上
B:50回転以上75回転未満
C:25回転以上50回転未満
D:25回転未満
(6)盛上げ印刷層の被覆率の測定
各実施例及び比較例で得られた2m×2mの大きさの化粧材に対して、任意の箇所から30cm×30cmの試験片を3片切り出して、これらの試験片の各々について、顕微鏡を用いて画像解析を行い、化粧材全面及び絵柄層の非形成領域に対する盛上げ印刷層の被覆率を算出し、その平均値を算出した。第1表に、結果を示す。
【0100】
実施例1
建材用着色原紙(「CHPS45(型番)」、坪量:45g/m
2、天間特殊紙株式会社製)を基材とし、該基材の易接着処理された面に、アクリル樹脂とウレタン樹脂との混合樹脂をバインダーとし、着色剤としてチタン白、弁柄、黄鉛を含む樹脂組成物をグラビア印刷法で塗布して厚さ5μm着色層を形成し、該着色層上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含む樹脂組成物を用いて、春材部分及び秋材部分からなる木肌部分を構成する広面積装飾層を有する木目模様(ウォールナット柄)を形成し、広面積装飾層上に導管部分を絵柄層として形成し、次いで、化粧材全面を被覆するように、二液硬化性樹脂(主剤:アクリルポリオール、硬化剤;ヘキサメチレンジイソシアネート)及び充填剤を含むプライマー層形成用の樹脂組成物(充填剤平均粒径:1.3μm、充填剤含有量:樹脂分100質量部に対してシリカ粒子を40質量部)を塗布して、厚さ5μmのプライマー層を形成した。
次いで、盛上げ印刷層形成用の、アクリル樹脂を主成分とし、盛上げ助剤として平均粒子径15μmのシリカ粒子を樹脂分100質量部に対して65質量部を添加した樹脂組成物を用いてグラビア印刷にて導管部分の絵柄層の非形成領域(平面視において木肌部分が露出する領域)上に、化粧材の全面に対して45%を、また絵柄層の非形成領域に対して90%を被覆するように、盛上げ印刷層(プライマー層上面基準とした最大高さ:20μm)を形成した。更に、表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物(電離放射線硬化性樹脂:電子線硬化性アクリレート樹脂、その他添加剤:シリカ、体質顔料)を全面にわたって、ロールコート法により塗布して表面保護層となる未硬化樹脂層を形成し、電子線(加圧電圧:175KeV、5Mrad(50kGy))を照射して、未硬化樹脂層を硬化させて、表面保護層(厚さ:5μm)を形成した。その後、70℃で24時間の加熱養生を行い、実施例1の化粧材を得た。得られた化粧材について、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。また、得られた化粧材について、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影したSEM写真を
図5に示す。
【0101】
実施例2~5、比較例1及び2
実施例1において、盛上げ助剤(形状及び平均粒子径)、盛上げ印刷層の化粧材全体に対する被覆率、絵柄層の非形成領域に対する被覆率、表面保護層の有無について、第1表に示されるものとした以外は、実施例1と同様にして化粧材を作製した。得られた化粧板について上記の評価を行い、その結果を1表に示す。
【0102】
【表1】
*1,化粧材全体に対する盛上げ印刷層の被覆率である。
*2,絵柄層の非形成領域に対する盛上げ印刷層の被覆率である。
*3,数値は表面保護層の厚さ(μm)である。
【0103】
実施例1~5の結果より、本発明の化粧材は物理的な凹凸形状により発現する高い触感、及び物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による優れた意匠性を有するものであった。実施例4及び5の結果から、最大高さ(Sz)を40.0μm以上とすることにより、触感が向上することが確認された。
また、実施例1及び2について、耐汚染性及び耐摩耗性の評価を行ったところ、実施例1及び2の耐汚染性の評価はいずれもA評価、耐摩耗性の評価はいずれもB評価であり、物理的な凹凸形状により発現する高い触感、及び物理的な凹凸形状と視覚的な凹凸感による優れた意匠性に加えて、更に耐汚染性及び耐摩耗性といった表面特性にも優れるものであることが確認された。
一方、盛上げ印刷層を有さない比較例1の化粧材は、表面形状の性状について、最大高さ(Sz)が0.0μmと小さく、ほとんど凹凸感がないものであり、触感及び意匠性が劣るものであった。また、表面形状の性状について、最大高さ(Sz)が13.2μmと、15μm未満の比較例2の化粧材も、比較例1の化粧材と同様に触感及び凹凸感に劣り、優れた意匠性を有するものとはいえないものであった。
【符号の説明】
【0104】
10.化粧材
1.基材
1F.基材の一方の面
2.絵柄層
3.プライマー層
4.盛上げ印刷層
5.表面保護層
6.凸状部
7.広面積装飾層
71.広面積装飾層
72.広面積装飾層
N.法線方向