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特許7392354画像形成装置及び現像剤の消費量算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置及び現像剤の消費量算出方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231129BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20231129BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20231129BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/01 S
G03G21/14
B41J2/52
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019177048
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021056300
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】入山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】古川 利郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 敬悟
(72)【発明者】
【氏名】宮原 健輔
(72)【発明者】
【氏名】早川 雅彦
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067866(JP,A)
【文献】特開2001-242766(JP,A)
【文献】特開2013-024946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 21/14
G03G 15/01
B41J 2/52-2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
前記感光体を露光する露光部と、
前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
多階調の印刷データの階調値を合計した値に基づいて前記現像剤の第1消費量を取得する第1消費量取得処理と、
前記印刷データを、前記階調値を補正するガンマ補正が反映された露光用の二値データに変換する変換処理と、
前記露光部により前記二値データに基づいて前記感光体を露光する露光処理と、
前記露光処理において露光に用いられた前記二値データを合計した値に基づいて前記現像剤の第2消費量を取得する第2消費量取得処理と、
前記第1消費量と前記第2消費量との差分を、前記第1消費量もしくは前記第2消費量で割った割合が所定値未満である場合、前記第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、前記割合が前記所定値以上である場合、前記第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算処理と、を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
感光体と、
前記感光体を露光する露光部と、
前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
多階調の印刷データの階調値を合計した値に基づいて前記現像剤の第1消費量を取得する第1消費量取得処理と、
前記印刷データを、前記階調値を補正するガンマ補正が反映された露光用の二値データに変換する変換処理と、
前記露光部により前記二値データに基づいて前記感光体を露光する露光処理を含み、シートに印刷を行う印刷処理と、
前記現像剤の消費量を累積消費量に加算する加算処理であって、
前記印刷処理において前記シートの搬送方向に沿って、前記印刷データの印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされずに前記シートの印刷が行われた場合、所定数のラインを含むバンド毎に、前記第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、
前記印刷処理において前記搬送方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされて前記シートの印刷が行われた場合、前記バンド毎に、前記露光部による前記感光体の露光に用いられた前記二値データを合計した値に基づいて得られる前記現像剤の第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算処理と、を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
感光体と、
前記感光体を露光する露光部と、
前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
多階調の印刷データの階調値を合計した値に基づいて前記現像剤の第1消費量を取得する第1消費量取得処理と、
前記印刷データを、前記階調値を補正するガンマ補正が反映された露光用の二値データに変換する変換処理と、
前記露光部により前記二値データに基づいて前記感光体を露光する露光処理を含み、シートに印刷を行う印刷処理と、
前記現像剤の消費量を累積消費量に加算する加算処理であって、
前記印刷処理において前記シートの搬送方向に沿って、前記印刷データの印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされず、かつ、前記搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記幅方向に沿った端がカットされずに前記シートの印刷が行われた場合、前記シートのページ毎に、前記第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、
前記印刷処理において前記搬送方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされた状態、及び、前記幅方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記幅方向に沿った端がカットされた状態の少なくとも一方の状態で、前記シートの印刷が行われた場合、前記シートのページ毎に、前記露光部による前記感光体の露光に用いられた前記二値データを合計した値に基づいて得られる前記現像剤の第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算処理と、を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
印刷に用いられるシートのサイズを取得する取得処理と、
記現像器により前記感光体に対する前記現像剤の供給を行う現像処理と、をさらに実行し、
前記露光処理にて、前記シートのサイズが前記印刷データの印刷範囲より小さい場合、前記印刷範囲のうち前記シートからはみ出さない部分に対応する前記感光体の範囲を前記露光部が露光することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
搬送されるシートを検知するセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記センサの検知に基づき得られる前記シートのサイズを取得する取得処理をさらに実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
搬送される前記シートを検知するセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記露光処理にて、前記センサによる前記シートの後端の検知結果に基づいて、前記印刷データの印刷範囲のうち、前記シートにおける前記シートの搬送方向の後端からはみ出す部分に対応する前記感光体の露光を停止することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
搬送される前記シートを検知するセンサをさらに備え、
前記センサは、前記シートの搬送方向に平行な、前記シートの搬送経路の中心線から、前記搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って所定距離だけずれた位置に配置され、
前記制御部は、前記露光処理にて、主走査方向において前記印刷データの印刷範囲のうち前記シートからはみ出す部分に対応する前記感光体の露光を停止することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
シートを支持する底板と、前記底板の上面に沿って可動すると共に、前記底板に支持された前記シートの側端に当接可能なシートガイドと、を有するシートトレイをさらに備え、
前記制御部は、前記シートガイドの位置に基づき得られる前記シートのサイズを取得する取得処理をさらに実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記変換処理において、前記印刷データを所定サイズのブロック毎に、前記ブロック内での各画素の前記階調値を所定閾値と比較するディザ法によって前記二値データに変換することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記露光部によって所定数のラインを含むバンドに対応する前記感光体の範囲が露光されたことに基づき、前記加算処理にて、前記第1消費量または前記第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記現像器は、前記現像剤を収容するカートリッジを有し、
前記制御部は、前記現像剤の累積消費量に基づき得られる、前記カートリッジ内の前記現像剤の残量を報知する報知処理をさらに実行することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
感光体と、
前記感光体を露光する露光部と、
前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、を備える画像形成装置が実行する現像剤の消費量算出方法であって、
多階調の印刷データの階調値を合計した値に基づいて前記現像剤の第1消費量を取得する第1消費量取得工程と、
前記印刷データを、前記階調値を補正するガンマ補正が反映された露光用の二値データに変換する変換工程と、
前記露光部により前記二値データに基づいて前記感光体を露光する露光工程と、
前記露光工程において露光に用いられた前記二値データを合計した値に基づいて前記現像剤の第2消費量を取得する第2消費量取得工程と、
前記第1消費量と前記第2消費量との差分を、前記第1消費量もしくは前記第2消費量で割った割合が所定値未満である場合、前記第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、前記割合が前記所定値以上である場合、前記第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算工程と、を含むことを特徴とする現像剤の消費量算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び現像剤の消費量算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光に用いられる画像データから現像剤の消費量を取得するプリンタが従来技術として知られている。例えば、特許文献1に開示されている画像形成装置は、画像データに対して中間調ガンマ補正テーブルを用いた中間調ガンマ補正処理を行い、中間調ガンマ補正処理後の画像データに対して擬似中間調処理を行う。また、前記画像形成装置は、中間ベルトに形成された濃度パッチの濃度に基づいて中間調ガンマ補正テーブルを補正し、中間調ガンマ補正処理前の画像データに基づいて現像剤の消費量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-181602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている画像形成装置では、以下の場合が考慮されていない。その場合とは、例えば、シート以外の場所に現像剤が付着しないように、実際に供給されたシートのサイズが画像データのサイズより小さければ、画像データのうちシートからはみ出す部分が現像されないように前記画像形成装置が制御される場合である。
【0005】
この場合、画像データから取得された現像剤の消費量と、実際に現像に使用された現像剤の消費量と、の間に誤差が生じる。よって、特許文献1に開示されている画像形成装置では、当該誤差が生じた分だけ現像剤の消費量の算出精度が低下するという問題がある。本発明の一態様は、現像剤の消費量の算出誤差を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を露光する露光部と、前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、制御部と、を備え、前記制御部は、多階調の印刷データを露光用の二値データに変換する変換処理と、前記印刷データに基づき得られる前記現像剤の第1消費量と、前記露光部による前記感光体の露光に用いられた前記二値データに基づき得られる前記現像剤の第2消費量と、の差分を、前記第1消費量もしくは前記第2消費量で割った割合が所定値未満である場合、前記第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、前記割合が前記所定値以上である場合、前記第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算処理と、を実行する。
【0007】
前記構成において、印刷データに基づき得られる現像剤の第1消費量と、露光部による感光体の露光に用いられた二値データに基づき得られる現像剤の第2消費量と、の間に差が生じる場合がある。このような場合であっても、現像剤の消費量の算出誤差を軽減することができる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を露光する露光部と、前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、制御部と、を備え、前記制御部は、多階調の印刷データを露光用の二値データに変換する変換処理と、シートの搬送方向に沿って、前記印刷データの印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされずに前記シートの印刷が行われた場合、所定数のラインを含むバンド毎に、前記印刷データに基づき得られる前記現像剤の第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、前記搬送方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされて前記シートの印刷が行われた場合、前記バンド毎に、前記露光部による前記感光体の露光に用いられた前記二値データに基づき得られる前記現像剤の第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算処理と、を実行する。
【0009】
前記構成によれば、シートの搬送方向に沿って、印刷データの印刷範囲がカットされた場合であっても、現像剤の消費量の算出誤差を軽減することができる。
【0010】
さらに、本発明の一態様に係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を露光する露光部と、前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、制御部と、を備え、前記制御部は、多階調の印刷データを露光用の二値データに変換する変換処理と、シートの搬送方向に沿って、前記印刷データの印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされず、かつ、前記搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記幅方向に沿った端がカットされずに前記シートの印刷が行われた場合、前記シートのページ毎に、前記印刷データに基づき得られる前記現像剤の第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、前記搬送方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記搬送方向に沿った端がカットされた状態、及び、前記幅方向に沿って、前記印刷範囲から、前記印刷範囲のうち前記幅方向に沿った端がカットされた状態の少なくとも一方の状態で、前記シートの印刷が行われた場合、前記シートのページ毎に、前記露光部による前記感光体の露光に用いられた前記二値データに基づき得られる前記現像剤の第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算処理と、を実行する。
【0011】
前記構成によれば、シートの搬送方向及び幅方向の少なくとも一方に沿って、印刷データの印刷範囲がカットされた場合であっても、現像剤の消費量の算出誤差を軽減することができる。
【0012】
前記制御部は、印刷に用いられるシートのサイズを取得する取得処理と、前記二値データに基づいて前記露光部により前記感光体を露光する露光処理と、前記現像器により前記感光体に対する前記現像剤の供給を行う現像処理と、をさらに実行し、前記露光処理にて、前記シートのサイズが前記印刷データの印刷範囲より小さい場合、前記印刷範囲のうち前記シートからはみ出さない部分に対応する前記感光体の範囲を前記露光部が露光してもよい。
【0013】
前記構成において、印刷に用いられるシートのサイズが印刷データの印刷範囲よりも小さく、当該印刷範囲のうちシートからはみ出す部分に対応する感光体の範囲を露光部が露光しなかった場合、第1消費量と第2消費量との間に差が生じる。このような場合、画像形成装置では、現像剤の消費量の算出誤差を軽減することができる。
【0014】
前記画像形成装置は、搬送されるシートを検知するセンサをさらに備え、前記制御部は、前記センサの検知に基づき得られる前記シートのサイズを取得する取得処理をさらに実行してもよい。前記構成によれば、画像形成装置は、シートのサイズに基づいて、シートに対して適切に印刷を行うことができ、現像剤の消費量を適切に算出することができる。
【0015】
前記画像形成装置は、搬送される前記シートを検知するセンサをさらに備え、前記制御部は、前記露光処理にて、前記センサによる前記シートの後端の検知結果に基づいて、前記印刷データの印刷範囲のうち、前記シートにおける前記シートの搬送方向の後端からはみ出す部分に対応する前記感光体の露光を停止してもよい。前記構成によれば、画像形成装置は、シートの搬送方向において、シート以外の場所に印刷が行われないように、シートに対して印刷を行うことができる。
【0016】
前記画像形成装置は、搬送される前記シートを検知するセンサをさらに備え、前記センサは、前記シートの搬送方向に平行な、前記シートの搬送経路の中心線から、前記搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って所定距離だけずれた位置に配置され、前記制御部は、前記露光処理にて、主走査方向において前記印刷データの印刷範囲のうち前記シートからはみ出す部分に対応する前記感光体の露光を停止してもよい。前記構成によれば、画像形成装置は、主走査方向において、シート以外の場所に印刷が行われないように、シートに対して印刷を行うことができる。
【0017】
前記画像形成装置は、シートを支持する底板と、前記底板の上面に沿って可動すると共に、前記底板に支持された前記シートの側端に当接可能なシートガイドと、を有するシートトレイをさらに備え、前記制御部は、前記シートガイドの位置に基づき得られる前記シートのサイズを取得する取得処理をさらに実行してもよい。前記構成によれば、画像形成装置は、シートトレイを用いてシートのサイズを容易に取得することができる。
【0018】
前記制御部は、前記変換処理にて、前記印刷データを、前記印刷データの濃度に対してガンマ補正が反映された前記二値データに変換してもよい。前記構成によれば、印刷データを、ガンマ補正が反映された二値データに変換することにより、印刷データの濃度と印刷されたシートの濃度との誤差を低減することができる。
【0019】
前記制御部は、前記露光部によって所定数のラインを含むバンドに対応する前記感光体の範囲が露光されたことに基づき、前記加算処理にて、前記第1消費量または前記第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算してもよい。前記構成によれば、バンドに対応する感光体の範囲が露光されて、第1消費量または第2消費量が現像剤の累積消費量に加算される。このため、例えば、シートに対する印刷が中断された場合であっても、画像形成装置は、現像剤の消費量を現像剤の累積消費量に加算することができる。
【0020】
前記現像器は、前記現像剤を収容するカートリッジを有し、前記制御部は、前記現像剤の累積消費量に基づき得られる、前記カートリッジ内の前記現像剤の残量を報知する報知処理をさらに実行してもよい。前記構成によれば、画像形成装置は、カートリッジ内の現像剤の残量をユーザに認識させることができる。
【0021】
本発明の一態様に係る現像剤の消費量算出方法は、感光体と、前記感光体を露光する露光部と、前記感光体に現像剤を供給して現像する現像器と、を備える画像形成装置が実行する現像剤の消費量算出方法であって、多階調の印刷データを露光用の二値データに変換する変換工程と、前記印刷データに基づき得られる前記現像剤の第1消費量と、前記露光部による前記感光体の露光に用いられた前記二値データに基づき得られる前記現像剤の第2消費量と、の差分を、前記第1消費量もしくは前記第2消費量で割った割合が所定値未満である場合、前記第1消費量を前記現像剤の累積消費量に加算し、前記割合が前記所定値以上である場合、前記第2消費量を前記現像剤の累積消費量に加算する加算工程と、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、現像剤の消費量の誤差を軽減することができ、現像剤の消費量の算出誤差を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態1に係るカラープリンタの構成を示す断面図である。
図2図1に示すカラープリンタの機能ブロック図である。
図3図1に示すカラープリンタの処理手順を示すフローチャートである。
図4図1に示すカラープリンタにおいて、シートが搬送されている状態を示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係るカラープリンタの処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態3に係るカラープリンタの処理手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態3に係るカラープリンタにおいて、シートが搬送されている状態を示す図である。
図8】本発明の実施形態3に係るカラープリンタが備えるシートトレイの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔実施形態1〕
<1.カラープリンタ100の構成>
画像形成装置の一例としてのカラープリンタ100の構成について図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るカラープリンタ100の構成を示す断面図である。図2は、図1に示すカラープリンタ100の機能ブロック図である。
【0025】
図1に示すように、カラープリンタ100は、感光体1C,1M,1Y,1Kと、露光部2と、現像器3C,3M,3Y,3Kと、転写ローラ4C,4M,4Y,4Kと、定着部5と、シートトレイ6と、搬送ローラ71,72,73,74,75と、ベルト8と、センサ9と、制御部10と、を備える。また、カラープリンタ100は、画像形成部20を備え、画像形成部20は、感光体1C,1M,1Y,1Kと、露光部2と、現像器3C,3M,3Y,3Kと、転写ローラ4C,4M,4Y,4Kと、定着部5と、ベルト8と、を備える。
【0026】
感光体1C,1M,1Y,1Kは、それぞれ、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応する感光体である。露光部2は、CMYKの各色に対応するレーザスキャナまたはLED(Light Emitting Diode)プリントヘッドである。露光部2は、感光体1C,1M,1Y,1Kを露光する。
【0027】
現像器3C,3M,3Y,3Kは、それぞれ、CMYKの各色に対応する現像器である。現像器3C,3M,3Y,3Kは、それぞれ、感光体1C,1M,1Y,1Kに現像剤を供給して現像する。
【0028】
現像器3Cは、現像ローラ31Cと、C色の現像剤を収容するカートリッジ32Cと、を有する。現像器3M,3Y,3Kについても同様に、現像器3M,3Y,3Kは、それぞれ、現像ローラ31M,31Y,31Kと、カートリッジ32M,32Y,32Kと、を有する。カートリッジ32M,32Y,32Kは、それぞれ、M色,Y色,K色の現像剤を収容する。
【0029】
なお、現像器3C,3M,3Y,3Kについて、現像ローラ31C,31M,31Y,31Kと、カートリッジ32C,32M,32Y,32Kと、が分離可能であってもよい。この場合、交換の対象は、カートリッジ32C,32M,32Y,32Kである。
【0030】
転写ローラ4C,4M,4Y,4Kは、それぞれ、ベルト8上を搬送されるシートP1に現像剤を転写する。定着部5は、シートP1に形成された現像剤像をシートP1に定着させる。シートトレイ6は、印刷前のシートP1が載置されるトレイである。搬送ローラ71,72,73,74,75は、それぞれ、シートP1を搬送するローラである。ベルト8は、搬送ローラ72,73に巻回された無端状のベルト部材である。
【0031】
センサ9は、搬送されるシートP1を検知する。センサ9は、シートP1の搬送経路において、画像形成部20よりも上流側、換言すると、画像形成部20とシートトレイ6との間のシートP1の搬送経路上に設置されている。センサ9は、シートP1に接触して回動するアームと、当該アームの動きを検知する光センサと、を有し、搬送経路を通過するシートP1を検知する。
【0032】
<2.カラープリンタ100の機能ブロック図に係る説明>
図2に示すように、カラープリンタ100は、センサ9及び制御部10に加えて、画像形成部20と、表示部30と、操作部40と、通信部50と、を備えている。制御部10は、画像形成部20と、表示部30と、操作部40と、通信部50と、センサ9と、電気的に接続されている。さらに、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)120と、RAM(Random Access Memory)130と、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)140と、を備えている。
【0033】
CPU110は、ROM120から読み出したプログラムにしたがって処理を行い、その処理の結果をRAM130またはNVRAM140に記憶させながら、カラープリンタ100の各部を制御する。
【0034】
ROM120には、各種のプログラムが記憶されており、各種のプログラムには、例えば、カラープリンタ100の各部を制御するためのプログラムが含まれる。RAM130は、CPU110が各種のプログラムを実行する際の作業領域及びデータの一時的な記憶領域として利用される。NVRAM140は、書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0035】
画像形成部20では、まず、感光体1Cの表面が図示しない帯電部により一様に帯電された後、露光部2により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光体1Cに画像データに基づく静電潜像が形成される。感光体1M,1Y,1Kにも同様に、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0036】
表示部30は、液晶ディスプレイを有し、各種の設定画面及びカラープリンタ100の動作状態等を表示する。操作部40は、複数のボタンを有し、ユーザによる各種の入力指示を受け付ける。通信部50は、無線通信方式または有線通信方式により、PC(Personal Computer)等の外部機器200と通信を行い、データを受信する。通信部50は、LAN(Local Area Network)等のインターフェースである。なお、通信部50は、複数の外部機器200と通信を行ってもよい。
【0037】
<3.カラープリンタ100の処理>
次に、カラープリンタ100の処理、つまり、カラープリンタ100によって実行される現像剤の消費量算出方法について図3に基づいて説明する。図3は、図1に示すカラープリンタ100の処理手順を示すフローチャートである。
【0038】
<3-1.印刷ジョブに含まれるRGBデータの変換処理>
図3に示すように、まず、制御部10は、外部機器200から印刷ジョブを受信したか否かを判断する(S1)。印刷ジョブは、外部機器200によって作成されたデータである。制御部10が外部機器200から印刷ジョブを受信していない場合(S1にてNO)、S1の処理が続行される。
【0039】
制御部10が外部機器200から通信部50を介して印刷ジョブを受信した場合(S1にてYES)を考える。この場合、制御部10は、印刷ジョブに含まれる多階調のRGBデータを、多階調の印刷データとしてのCMYKデータに変換する(S2)。RGBデータ及びCMYKデータは、それぞれ、例えば、256階調の情報を含むデータである。
【0040】
<3-2.現像剤の第1消費量A1の取得処理>
制御部10は、CMYKデータから得られる現像剤の第1消費量A1をRAM130またはNVRAM140に記憶する(S3)。具体的には、副走査方向に並ぶ所定数のラインを含むバンド毎に、CMYK各色の階調値を合計し、その合計した値に基づいてCMYK各色の現像剤の第1消費量A1を算出する。
【0041】
仮にCMYKデータの領域とシートP1とを重ねた場合において、副走査方向は、シートP1の搬送方向と同一の方向であり、主走査方向は、シートP1の搬送方向に直交する方向である。制御部10は、バンド毎の第1消費量A1を算出し、算出した第1消費量A1をRAM130またはNVRAM140に記憶する。
【0042】
また、制御部10は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズの設定を参照し、例えば、用紙サイズの設定がA4である場合、A4サイズの用紙1枚あたりの第1消費量A1を算出する。このように、第1消費量A1は、CMYKデータ及び用紙サイズの設定に基づき得られる。
【0043】
<3-3.CMYKデータに関する処理>
次に、制御部10は、CMYKデータに対してガンマ補正を行う(S4)。具体的に以下に説明する。制御部10は、CMYKデータの階調値がシートP1上で実現されるように、CMYKデータに対して階調値の補正を行う。この補正は、ガンマ補正と言われる。
【0044】
ガンマ補正は、例えば、露光部2によるCMYKの露光濃度と、現像器3C,3M,3Y,3Kにより形成された現像剤像の濃度と、を対応付けるガンマ補正データに従って実行される。制御部10は、ガンマ補正後のCMYKデータをRAM130またはNVRAM140に記憶する。
【0045】
制御部10は、ガンマ補正後のCMYKデータを露光用の二値データに変換する変換処理を実行する(S5、変換工程の一例)。制御部10は、前記変換処理を実行する場合、以下に説明するディザ法を用いてもよい。ディザ法では、制御部10は、所定サイズのブロック毎に、ブロック内の各画素の階調値と、ブロック内での各画素の階調値に対応した所定閾値の配列パターンと、を比較する。これにより、制御部10は、ガンマ補正後のCMYKデータに係る各画素の露光用のデータを0または1に変換する。
【0046】
このように、制御部10は、前記変換処理にて、CMYKデータを、CMYKデータの濃度に対してガンマ補正が反映された露光用の二値データに変換する。前記構成によれば、CMYKデータを、ガンマ補正が反映された露光用の二値データに変換することにより、CMYKデータの濃度と印刷されたシートP1の濃度との誤差を低減することができる。
【0047】
<3-4.印刷処理>
制御部10は、前記変換処理を実行した後、シートP1の搬送を開始し、センサ9がシートP1の先端を検知したか否かを判断する(S6)。シートP1の先端は、シートP1におけるシートP1の搬送方向の先端であり、換言すると、シートP1の搬送経路において、下流側の端である。センサ9がシートP1の先端を検知していない場合(S6にてNO)、ステップS6の処理が続行される。
【0048】
センサ9がシートP1の先端を検知した場合(S6にてYES)、制御部10は、センサ9によるシートP1の先端の検知に基づいて露光部2による露光の開始時間を決定する。また、制御部10は、印刷ジョブに含まれる用紙サイズの設定から、印刷に用いられるシートP1のサイズを取得する取得処理を実行する。
【0049】
例えば、制御部10は、前記取得処理にて、2つのセンサ9を用いてシートP1の幅を取得してもよい。具体的に以下に説明する。なお、シートP1の幅は、シートP1について、シートP1の搬送方向に直交する方向に沿った幅である。
【0050】
図4は、図1に示すカラープリンタ100において、シートP1が搬送されている状態を示す図である。図4に示すように、2つのセンサ9は、それぞれ、シートP1の搬送方向D1に平行な、シートP1の搬送経路DWの中心線CLから、搬送方向D1に直交するシートP1の幅方向D2に沿って所定距離DS1,DS2だけずれた位置に配置される。所定距離DS1,DS2は、2つのセンサ9が例えばA4,A5などの定型サイズの用紙を検知可能な位置に配置されるように決定される距離である。これにより、センサ9によってシートP1のサイズを取得してもよい。
【0051】
なお、少なくとも1つのセンサ9が設けられ、制御部10は、少なくとも1つのセンサ9がシートP1の先端及び後端を検知した結果に基づき、シートP1における搬送方向D1に沿った長さをさらに取得してもよい。この処理の詳細については実施形態3にて説明する。以降、シートP1における搬送方向D1に沿った長さをシートP1の長さと称する。
【0052】
このように、制御部10は、シートP1のサイズを取得することにより前記取得処理を実行する。前記構成によれば、カラープリンタ100は、シートP1のサイズに基づいて、シートP1に対して適切に印刷を行うことができ、現像剤の消費量を適切に算出することができる。
【0053】
また、制御部10は、シートP1の幅を取得せずに、シートP1の長さを取得してもよい。この場合、後述するステップS7にて、露光用の二値データにおける副走査方向に沿った長さは、シートP1の長さより大きいか否かを制御部10が判断する。さらに、この場合、露光用の二値データがカットされて印刷される処理は、実施形態3のステップS23の処理と同様に行われる。
【0054】
制御部10が前記取得処理を実行した後、制御部10は、以下に説明するステップS7からS13の処理をバンドBD毎に実行する。つまり、制御部10は、バンドBD毎に、印刷処理と、第1消費量A1または後述する第2消費量B1を現像剤の累積消費量に加算する加算処理と、を実行する。バンドBDは、副走査方向に並ぶ所定数のラインを含む。当該ラインは、主走査方向に延伸する。図4では、1つのバンドBDを示しているが、実際は、複数のバンドBDが副走査方向に並んでいる。
【0055】
露光用の二値データにおける主走査方向に沿った幅は、シートP1の幅より大きいか否かを制御部10が判断する(S7)。露光用の二値データにおける主走査方向に沿った幅が、シートP1の幅より大きい場合(S7にてYES)、制御部10によって、露光用の二値データがカットされて印刷が行われる(S8)。具体的に以下に説明する。
【0056】
S7にてYESの場合としては、例えば、印刷データのサイズと、取得処理で取得したシートP1のサイズと、が異なっている場合が挙げられる。なお、本発明は、この場合に適用範囲が限定されるものではなく、カラープリンタ100によるスキャンの対象となるスキャン領域内において、スキャンされる対象物の位置と、印刷の対象となる印刷領域の位置と、が異なっている場合にも適用されるものである。このとき、当該印刷領域が後述する印刷範囲R1のうちシートP1内にある領域に該当し、当該対象物の印刷範囲が後述する印刷範囲R1に該当する。
【0057】
露光用の二値データの領域のサイズとシートP1のサイズとの関係は、図4に示す関係となる。図4に示すように、シートP1は、搬送経路DW上に載置された状態で搬送される。また、仮に露光用の二値データの印刷範囲R1とシートP1とを重ねた場合を考える。この場合、図4に示すように、印刷範囲R1における搬送方向D1に沿った長さは、シートP1の長さより小さいものとする。
【0058】
また、印刷範囲R1における幅方向D2に沿った幅は、シートP1の幅より大きい。ここで、露光用の二値データの領域のサイズは、前記印刷データの領域のサイズと同一であるため、印刷範囲R1は、前記印刷データの印刷範囲であるとも言える。以降、印刷範囲R1における幅方向D2に沿った幅を印刷範囲R1の幅と称する。
【0059】
制御部10は、露光用の二値データに基づいて露光部2により感光体1C,1M,1Y,1Kを露光する露光処理を実行する。当該露光処理にて、露光部2は、シートP1のサイズが印刷範囲R1より小さい場合、印刷範囲R1のうちシートP1からはみ出さない部分に対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲を露光する。具体的には、制御部10は、感光体1C,1M,1Y,1Kの表面上の位置を座標として認識する。制御部10は、印刷範囲R1のうちシートP1からはみ出さない部分について、露光開始時点の座標から露光終了時点の座標までに対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲を露光部2に露光させる。
【0060】
前記構成において、印刷に用いられるシートP1のサイズが印刷範囲R1よりも小さく、印刷範囲R1のうちシートP1からはみ出す部分に対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲を露光部2が露光しなかった場合、第1消費量A1と第2消費量B1との間に差が生じる。このような場合、カラープリンタ100では、現像剤の消費量の算出誤差を軽減することができる。
【0061】
ここでは、シートP1のサイズをシートP1の幅と見なして、露光部2は、シートP1の幅が印刷範囲R1の幅より小さい場合、印刷範囲R1のうちシートP1からはみ出さない部分に対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲を露光する。また、露光部2は、バンドBDに対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲を露光する。
【0062】
このとき、制御部10は、前記露光処理にて、主走査方向において印刷範囲R1のうちシートP1からはみ出す部分に対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの露光を停止する。前記構成によれば、カラープリンタ100は、主走査方向において、シートP1以外の場所に印刷が行われないように、シートP1に対して印刷を行うことができる。
【0063】
制御部10は、現像器3C,3M,3Y,3Kにより感光体1C,1M,1Y,1Kに対する現像剤の供給を行う現像処理を実行する。このようにして、制御部10によって、露光用の二値データがカットされて印刷が行われる。より具体的には、制御部10によって、シートP1の搬送方向D1に沿って、印刷範囲R1から、印刷範囲R1のうち搬送方向D1に沿った端E1及びE2がカットされてシートP1の印刷が行われる。
【0064】
露光用の二値データにおける主走査方向に沿った幅が、シートP1の幅以下である場合(S7にてNO)、制御部10によって、露光用の二値データがカットされずに印刷が行われる(S9)。具体的に以下に説明する。
【0065】
制御部10は、露光用の二値データに基づいて露光部2により感光体1C,1M,1Y,1Kを露光する露光処理を実行する。このとき、露光部2は、バンドBDに対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲を露光する。また、制御部10は、現像器3C,3M,3Y,3Kにより感光体1C,1M,1Y,1Kに対する現像剤の供給を行う現像処理を実行する。
【0066】
このようにして、制御部10によって、露光用の二値データがカットされずに印刷が行われる。つまり、制御部10によって、シートP1の搬送方向D1に沿って、印刷範囲から、印刷範囲のうち搬送方向D1に沿った端がカットされずにシートP1の印刷が行われる。
【0067】
<3-5.現像剤の第2消費量B1の取得処理>
制御部10が印刷を行った後、制御部10は、露光用の二値データから得られる現像剤の第2消費量B1をRAM130またはNVRAM140に記憶する(S10)。具体的には、バンドBD毎のCMYK各色の実際に露光された二値の露光データを合計し、その合計した値に基づいて、CMYK各色の現像剤の第2消費量B1を算出する。
【0068】
制御部10は、二値の露光データに応じて、第2消費量B1を算出し、算出した第2消費量B1をRAM130またはNVRAM140に記憶する。よって、第2消費量B1は、露光部2による感光体1C,1M,1Y,1Kの露光に用いられた二値データに基づき得られる。
【0069】
制御部10が第2消費量B1をRAM130またはNVRAM140に記憶した後、制御部10は、第1消費量A1から第2消費量B1を差し引き、(A1-B1)を第1消費量A1で割る算出処理を実行する。
【0070】
<3-6.現像剤の消費量の加算処理>
また、制御部10は、ページまたはジョブを単位として、(A1-B1)/A1が所定値α未満であるか否かを判断する(S11)。(A1-B1)/A1が所定値α未満である場合(S11にてYES)、制御部10は、第1消費量A1を現像剤の累積消費量に加算する加算処理を実行する(S12、加算工程の一例)。(A1-B1)/A1が所定値α以上である場合(S11にてNO)、制御部10は、第2消費量B1を現像剤の累積消費量に加算する加算処理を実行する(S13、加算工程の一例)。所定値αは0.2であることが好ましい。
【0071】
(A1-B1)/A1が所定値α未満である場合、第1消費量A1と第2消費量B1との間の乖離が十分に小さいと考えられるため、制御部10は、現像剤の消費量の算出精度がより高い第1消費量A1を採用することが好ましい。また、(A1-B1)/A1が所定値α以上である場合、第1消費量A1と第2消費量B1との間の乖離が大きいと考えられるため、制御部10は、露光に用いられた二値データに基づき得られる第2消費量B1を採用することが好ましい。
【0072】
制御部10は、第1消費量A1または第2消費量B1を現像剤の累積消費量に加算する場合、CMYKの色毎に現像剤の累積消費量を算出する。CMYKの各色の現像剤の累積消費量は、カラープリンタ100の出荷時点では、ゼロに設定されている。また、カートリッジ32Cの交換時点では、C色の現像剤の累積消費量は、ゼロに設定されている。同様に、カートリッジ32M,32Y,32Kの交換時点では、それぞれ、M,Y,K色の現像剤の累積消費量は、ゼロに設定されている。
【0073】
ステップS7からS13の処理の通り、制御部10は、露光部2によってバンドBDに対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲が露光されたことに基づき、前記加算処理にて、第1消費量A1または第2消費量B1を現像剤の累積消費量に加算する。前記構成によれば、バンドBDに対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの範囲が露光されて、第1消費量A1または第2消費量B1が現像剤の累積消費量に加算される。このため、例えば、シートP1に対する印刷が中断された場合であっても、カラープリンタ100は、現像剤の消費量を現像剤の累積消費量に加算することができる。
【0074】
なお、ステップS11において、制御部10は、(B1-A1)/A1、(A1-B1)/B1または(B1-A1)/B1が所定値α未満であるか否かを判断してもよい。この場合、制御部10は、前記算出処理にて、第2消費量B1から第1消費量A1を差し引いてもよく、(A1-B1)または(B1-A1)を第2消費量B1で割ってもよい。つまり、ステップS11において、制御部10は、第1消費量A1と第2消費量B1との差分を、第1消費量A1もしくは第2消費量B1で割った割合が所定値α未満であるか否かを判断する。
【0075】
前記構成において、印刷データに基づき得られる現像剤の第1消費量A1と、露光部2による感光体1C,1M,1Y,1Kの露光に用いられた二値データに基づき得られる現像剤の第2消費量B1と、の間に差が生じる場合がある。このような場合であっても、現像剤の消費量の誤差を軽減することができ、現像剤の消費量の算出精度を向上させることができる。
【0076】
<3-7.印刷を続行するか否かに関する処理>
制御部10が第1消費量A1または第2消費量B1を現像剤の累積消費量に加算した後、制御部10は、エラーを検知しているか否かを判断する(S14)。前記エラーとしては、例えば、シートP1の搬送中にジャムが発生すること等により印刷が途中で止まった場合が挙げられる。
【0077】
制御部10がエラーを検知している場合(S14にてYES)、制御部10は、印刷ジョブがキャンセルされるか否かを判断する(S16)。印刷ジョブがキャンセルされる場合(S16にてYES)、制御部10による現像剤の消費量の算出処理は、終了する。この場合、現像剤の累積消費量は、全てのバンドBDのうち印刷が行われたバンドBDに対応する累積消費量となる。印刷ジョブがキャンセルされない場合(S16にてNO)、ステップS6の処理に戻る。
【0078】
制御部10がエラーを検知していない場合(S14にてNO)、制御部10は、シートP1に対応する露光が完了したか否かを判断する(S15)。シートP1に対応する露光が完了していない場合(S15にてNO)、ステップS7の処理に戻る。シートP1に対応する露光が完了した場合(S15にてYES)、制御部10による現像剤の消費量の算出処理は、終了する。
【0079】
なお、ステップS15の処理の後、制御部10は、現像剤の累積消費量に基づき得られる、各カートリッジ32C,32M,32Y,32K内の現像剤の残量を報知する報知処理をさらに実行してもよい。具体的には、制御部10は、各カートリッジ32C,32M,32Y,32K内の現像剤の初期の全体量から、CMYKの各色の現像剤の累積消費量を差し引くことにより、各カートリッジ32C,32M,32Y,32K内の現像剤の残量を算出する。
【0080】
制御部10は、算出した各カートリッジ32C,32M,32Y,32K内の現像剤の残量の情報を表示部30に表示させることにより、各カートリッジ32C,32M,32Y,32K内の現像剤の残量をユーザに報知する。これにより、カラープリンタ100は、各カートリッジ32C,32M,32Y,32K内の現像剤の残量をユーザに認識させることができる。
【0081】
また、カラープリンタ100が、制御部10の機能の少なくとも一部を備えず、制御部10の機能の少なくとも一部は、例えば、通信によってカラープリンタ100と接続されたクラウド等の外部の装置で実行される形態も可能である。
【0082】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図5は、本発明の実施形態2に係るカラープリンタの処理手順を示すフローチャートである。実施形態2のカラープリンタの構成を示す断面図は、図1と同一であるものとし、実施形態2のカラープリンタの機能ブロック図は、図2と同一であるものとする。
【0083】
実施形態2のカラープリンタの処理が、カラープリンタ100の処理とは異なる内容について以下に説明する。図5に示すステップのうち、図3に示すステップと同一のステップについては、同じ符号を付記している。実施形態2のカラープリンタでは、ステップS3の処理は、ステップS9の処理の後に実行され、ステップS4の処理は、ステップS2の処理の後に実行されると共に、ステップS10の処理は、ステップS8の処理の後に実行される。
【0084】
また、実施形態2のカラープリンタでは、ステップS11の処理は実行されず、ステップS12の処理は、ステップS3の処理の後に実行され、ステップS13の処理は、ステップS10の処理の後に実行される。
【0085】
ステップS7にてYESの場合、ステップS8、S10及びS13の処理がこの順に実行され、ステップS7にてNOの場合、ステップS9、S3及びS12の処理がこの順に実行される。よって、実施形態2のカラープリンタでは、制御部10は、以下に説明する通りに加算処理を実行する。
【0086】
具体的には、ステップS9にて、図4のうち印刷範囲R1以外の部分を参照して、シートP1の搬送方向D1に沿って、印刷範囲から、印刷範囲のうち搬送方向D1に沿った端がカットされずにシートP1の印刷が行われた場合を考える。この場合、ステップS12にて、制御部10は、バンドBD毎に、第1消費量A1を現像剤の累積消費量に加算する加算処理を実行する。
【0087】
一方、ステップS8にて、図4を参照して、搬送方向D1に沿って、印刷範囲R1から、印刷範囲R1のうち搬送方向D1に沿った端E1及びE2がカットされてシートP1の印刷が行われた場合を考える。この場合、ステップS13にて、制御部10は、バンドBD毎に、第2消費量B1を現像剤の累積消費量に加算する加算処理を実行する。
【0088】
前記構成によれば、シートP1の搬送方向D1に沿って、印刷範囲R1がカットされた場合であっても、現像剤の消費量の誤差を軽減することができ、現像剤の消費量の算出精度を向上させることができる。
【0089】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1及び2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図6は、本発明の実施形態3に係るカラープリンタの処理手順を示すフローチャートである。実施形態3のカラープリンタの構成を示す断面図は、図1と同一であるものとし、実施形態3のカラープリンタの機能ブロック図は、図2と同一であるものとする。
【0090】
実施形態3のカラープリンタの処理が、実施形態2のカラープリンタの処理とは異なる内容について以下に説明する。図6に示すステップのうち、図3及び図5に示すステップと同一のステップについては、同じ符号を付記している。実施形態3のカラープリンタでは、ステップS7からS9の処理に代えて、ステップS22からS24の処理が実行され、ステップS15の処理に代えて、ステップS21の処理が実行される。
【0091】
また、実施形態3のカラープリンタでは、ステップS10の処理は、ステップS23の処理の後に実行され、ステップS3の処理は、ステップS24の処理の後に実行されると共に、ステップS14の処理の後にステップS15の処理は実行されない。ステップS21からステップS24の処理について以下に説明する。
【0092】
ステップS6にてYESの場合、制御部10は、センサ9がシートP1の後端を検知したか否かを判断する(S21)。センサ9がシートP1の後端を検知していない場合(S21にてNO)、ステップS21の処理が続行される。
【0093】
センサ9がシートP1の後端を検知した場合(S21にてYES)、制御部10は、センサ9によるシートP1の後端の検知に基づいて露光部2による露光の終了時間を決定する。また、制御部10は、センサ9を用いて、印刷に用いられるシートP1のサイズを取得する取得処理を実行する。図7は、本発明の実施形態3に係るカラープリンタにおいて、シートP1が搬送されている状態を示す図である。
【0094】
図7に示すように、制御部10は、前記取得処理にて、前述した通り2つのセンサ9を用いてシートP1の幅を取得する。また、制御部10は、前記取得処理にて、2つのセンサ9がシートP1の先端及び後端を検知した結果に基づき、シートP1の長さを取得する。
【0095】
具体的には、例えば、制御部10は、2つのセンサ9がシートP1の先端を検知した時間と、2つのセンサ9がシートP1の後端を検知した時間と、の時間差分を算出する。制御部10は、当該時間差分にシートP1の搬送速度を掛けることにより、シートP1の長さを算出する。よって、制御部10は、シートP1の幅及び長さを取得することにより、シートP1のサイズを取得する。
【0096】
制御部10がシートP1のサイズを取得した後、制御部10は、ステップS22以降ステップS12及びS13までの処理をシートP1のページ毎に実行する。シートP1のページは、用紙1枚を意味する。露光用の二値データの印刷範囲は、シートP1のサイズより大きいか否かを制御部10が判断する(S22)。具体的には、図7に示すように、露光用の二値データの印刷範囲R2における搬送方向D1に沿った長さは、シートP1の長さより大きいか否かを制御部10が判断する。
【0097】
それに加えて、露光用の二値データの印刷範囲R2における幅方向D2に沿った幅は、シートP1の幅より大きいか否かを制御部10が判断する。以降、露光用の二値データの印刷範囲R2における搬送方向D1に沿った長さを印刷範囲R2の長さと称し、露光用の二値データの印刷範囲R2における幅方向D2に沿った幅を印刷範囲R2の幅と称する。
【0098】
印刷範囲R2の長さがシートP1の長さより大きい場合、及び、印刷範囲R2の幅がシートP1の幅より大きい場合の少なくとも一方において、制御部10は、印刷範囲R2がシートP1のサイズより大きいと判断する。露光用の二値データの印刷範囲R2は、シートP1のサイズより大きい場合(S22にてYES)を考える。
【0099】
この場合、ステップS23にて、ステップS8の処理と同様に、以下の第1状態及び第2状態の少なくとも一方の状態でシートP1の印刷が行われる。前記第1状態は、搬送方向D1に沿って、印刷範囲R2から、印刷範囲R2のうち搬送方向D1に沿った端E3及びE4がカットされた状態である。前記第2状態は、幅方向D2に沿って、印刷範囲R2から、印刷範囲R2のうち幅方向D2に沿った端E5がカットされた状態である。
【0100】
具体的には、制御部10は、前記露光処理にて、センサ9によるシートP1の後端の検知結果に基づいて、印刷範囲R2のうち、シートP1におけるシートP1の搬送方向の後端からはみ出す部分に対応する感光体1C,1M,1Y,1Kの露光を停止する。前記構成によれば、実施形態3のカラープリンタは、搬送方向D1において、シートP1以外の場所に印刷が行われないように、シートP1に対して印刷を行うことができる。
【0101】
露光用の二値データの印刷範囲R2は、シートP1のサイズ以下である場合(S22にてNO)を考える。この場合、ステップS24にて、ステップS9の処理と同様に、以下の第3状態でシートP1の印刷が行われる。前記第3状態は、搬送方向D1に沿って、印刷範囲から、印刷範囲のうち搬送方向D1に沿った端がカットされず、かつ、幅方向D2に沿って、印刷範囲から、印刷範囲のうち幅方向D2に沿った端がカットされない状態である。
【0102】
よって、実施形態3のカラープリンタでは、制御部10は、前記第1状態及び前記第2状態の少なくとも一方の状態でシートP1の印刷が行われた場合、シートP1のページ毎に、第2消費量B1を現像剤の累積消費量に加算する加算処理を実行する。また、制御部10は、前記第3状態でシートP1の印刷が行われた場合、シートP1のページ毎に、第1消費量A1を現像剤の累積消費量に加算する加算処理を実行する。
【0103】
前記構成によれば、シートP1の搬送方向D1及び幅方向D2の少なくとも一方に沿って、印刷範囲R2がカットされた場合であっても、現像剤の消費量の誤差を軽減することができ、現像剤の消費量の算出精度を向上させることができる。
【0104】
なお、ステップS6及びS21にて、制御部10は、印刷ジョブもしくはセンサ9を用いてシートP1の長さ及び幅を取得しているが、これに代えて、図8に示すように、センサ68,69を用いてシートP1のサイズとしてのシートP1の長さ及び幅を取得してもよい。センサ68,69は、制御部10と電気的に接続されている。図8は、本発明の実施形態3に係るカラープリンタが備えるシートトレイ6の構成を示す斜視図である。
【0105】
図8に示すように、シートトレイ6は、上方が開放されている。シートトレイ6は、底板61と、側板62,63,64と、ストッパ65と、シートガイド66,67と、センサ68,69と、を備える。底板61は、シートP1を支持する。側板62,63,64は、それぞれ、上方に延伸するように、底板61の3つの端部に固定されている。底板61の上面U1は、側板62,63,64に囲まれる。
【0106】
少なくとも1つのストッパ65は、底板61の4つの端部のうち側板62,63,64が固定されていない端部から斜め上方に延伸するように、当該端部に固定されている。少なくとも1つのストッパ75は、上面U1に支持されているシートP1と当接可能である。シートガイド66,67は、上面U1に沿って可動すると共に、底板61に支持されたシートP1の側端に当接可能なものである。
【0107】
シートガイド66は、上面U1に形成された溝AB1に配置されると共に、溝AB1に沿って、上面U1の中心付近から側板64に形成された間隙V1まで可動する。シートガイド67は、上面U1に形成された溝AB2に配置されると共に、溝AB2に沿って、上面U1の中心付近から側板63に形成された間隙V2まで可動する。
【0108】
センサ68,69は、それぞれ、シートガイド66,67に設けられ、シートガイド66,67の位置を検知する位置センサである。制御部10は、センサ68,69によって検知されたシートガイド66,67の位置に基づき得られるシートP1のサイズを取得する取得処理を実行する。
【0109】
具体的には、シートP1の4つの側端が少なくとも1つのストッパ65及び側板62に当接すると共に、シートガイド66,67に当接する状態を考える。この状態において、制御部10は、シートガイド66,67の位置を参照することにより、シートP1のサイズとして、シートP1の長さ及び幅を取得する。前記構成によれば、実施形態3のカラープリンタは、シートトレイ6を用いてシートP1のサイズを容易に取得することができる。
【0110】
なお、センサ68,69は、シートトレイ6の上方に配置されていてもよく、この場合、センサ68,69は、センサ9と同様の光学センサである。センサ68,69は、発光素子にてシートP1に光を照射し、シートP1で反射した光を受光素子が受光する構成となる。センサ9は、受光素子が受光した光からシートP1の側端の位置を検知する。
【0111】
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
1C、1M、1Y、1K 感光体 2 露光部
3C、3M、3Y、3K 現像器 6 シートトレイ
9 センサ 10 制御部
32C、32M、32Y、32K カートリッジ
61 底板 66、67 シートガイド
100 カラープリンタ(画像形成装置)
BD バンド CL 中心線
D1 搬送方向 D2 幅方向
DS1、DS2 所定距離 DW 搬送経路
E1~E5 端 P1 シート
R1、R2 印刷範囲 U1 上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8