(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】後処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20231129BHJP
B65H 7/08 20060101ALI20231129BHJP
B65H 7/10 20060101ALI20231129BHJP
B65H 9/14 20060101ALI20231129BHJP
B65H 9/06 20060101ALI20231129BHJP
B41J 11/66 20060101ALI20231129BHJP
B65H 37/00 20060101ALI20231129BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20231129BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20231129BHJP
B26D 7/24 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65H9/00 J
B65H7/08
B65H7/10
B65H9/14
B65H9/06
B41J11/66
B65H37/00
B26D7/06 Z
B26D5/00 Z
B26D7/24
(21)【出願番号】P 2019180021
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川津 憲治
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-048692(JP,A)
【文献】特開2016-183039(JP,A)
【文献】特開平10-120253(JP,A)
【文献】特開2011-051686(JP,A)
【文献】特開2018-090404(JP,A)
【文献】特開2005-104640(JP,A)
【文献】特開2014-019576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 9/00
B65H 7/08
B65H 7/10
B65H 9/14
B65H 9/06
B41J 11/66
B65H 37/00
B26D 7/06
B26D 5/00
B26D 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送方向のカットと搬送直交方向のカットのいずれか一方又は両方のカットを行うカット装置と、
前記シートの搬送方向の前端部を搬送直交方向の複数個所で検出する傾き検出手段と、
前記シートの傾きを補正する傾き補正手段と、
前記傾き検出手段の検出に基づく前記シートの傾き量に応じて、前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行ってから前記カット装置によりカットを行うように制御する制御装置と、を備え、
前記傾き検出手段は、第一検出位置で検出を行う第一検出部と、前記第一検出位置よりも搬送方向下流側の第二検出位置で検出を行う第二検出部とを備え、
前記制御装置は、前記第一検出部の検出に基づいて一回目の傾き補正動作を行い、前記第一検出部の検出と前記第二検出部の検出とに基づいて二回目の傾き補正動作を行うように前記傾き補正手段を制御することを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
搬送直交方向について前記シートの側端部の位置を検出する側端検出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記傾き検出手段と前記側端検出手段のいずれか一方を選択して、その検出に基づく前記シートの傾き量を求め、前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行うことを特徴とする請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記傾き検出手段と前記側端検出手段のいずれか一方をユーザーが選択する選択入力部を備え、
前記制御装置は、前記選択入力部の選択に基づいて前記傾き検出手段と前記側端検出手段のいずれか一方を選択して、その検出に基づく前記シートの傾き量を求めることを特徴とする請求項3に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記傾き検出手段と前記側端検出手段のいずれか一方を選択するための情報又は選択指令が外部から入力される通信部を備え、
前記制御装置は、前記通信部に入力される前記情報又は前記選択指令に基づいて前記傾き検出手段と前記側端検出手段のいずれか一方を選択して、その検出に基づく前記シートの傾き量を求めることを特徴とする請求項3に記載の後処理装置。
【請求項6】
搬送方向上流から、前記側端検出手段、前記傾き補正手段、前記傾き検出手段の順で配置したことを特徴とする請求項2から5までのいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項7】
シートの搬送方向のカットと搬送直交方向のカットのいずれか一方又は両方のカットを行うカット装置と、
搬送直交方向について前記シートの側端部の位置を検出する側端検出手段と、
前記シートの傾きを補正する傾き補正手段と、
前記側端検出手段の検出に基づく前記シートの傾き量に応じて、前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行ってから前記カット装置によりカットを行うように制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、搬送される前記シートに対して、前記側端検出手段の検出と前記傾き補正手段による前記シートの傾き補正動作とを二回行い、一回目の前記側端検出手段の検出に基づいて一回目の傾き補正動作を行い、一回目の前記側端検出手段の検出と二回目の前記側端検出手段の検出とに基づいて二回目の傾き補正動作を行うように前記傾き補正手段を制御することを特徴とする後処理装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記側端検出手段による規定の搬送距離の搬送における前記シートの側端部の位置検出により前記シートの傾き量を取得することを特徴とする請求項2から
7のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記カット装置は、前記シートの側端部から搬送直交方向について規定距離となる位置で搬送方向に沿ってカットを行い、
前記制御装置は、前記シートの傾き補正動作後に前記側端検出手段により前記シートの側端部の位置を検出し、前記カット装置によって前記搬送方向に沿ってカットを行うように制御することを特徴とする請求項2から
8のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項10】
前記側端検出手段はラインセンサーであることを特徴とする請求項2から
9のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記シートの傾き量が予め定められた上限値を超える場合に、前記カット装置によるカットを行わないように制御することを特徴とする請求項1から1
0のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記シートの傾き量が予め定められた上限値を超える場合に、前記傾き補正手段による前記シートの傾き補正動作を行わないように制御することを特徴とする請求項1から1
0のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項13】
前記傾き補正手段は、
搬送直交方向に並んだ二対のローラの回転量の差によりシートを回転させる回転補正手段であることを特徴とする請求項1から1
2のいずれか一項に記載の後処理装置。
【請求項14】
シートの搬送方向のカットと搬送直交方向のカットのいずれか一方又は両方のカットを行うカット装置と、
前記シートの傾きを補正する傾き補正手段と、
前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行ってから前記カット装置によりカットを行うように制御する制御装置と、
を備え、
前記傾き補正手段は、前記シートの搬送経路内を塞ぐシャッターと、前記シャッターの開閉動作を行う駆動部と、前記シャッターに対して前記シートを搬送する一対のローラとを備え、
前記制御装置は、閉鎖状態の前記シャッターに前記シートの先端部を突き当てるまで搬送し、前記一対のローラが前記シートを一旦解放してから前記シャッターを開放すると共に前記一対のローラにより搬送を行う前記シートの傾き補正動作を行うように前記傾き補正手段を制御することを特徴とする後処理装置。
【請求項15】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
請求項1から1
4のいずれか一項に記載の後処理装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートのカットを行う後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置により印刷された画像に対して、その四辺に沿ってシートを切断して、縁なし画像や規定幅の縁あり画像からなるシートを形成する後処理が行われている。
このような後処理装置は、画像の四辺に対して、シートの切断方向に傾きが生じると、カット処理の成果物の品質の低下を生じるため、画像形成装置により画像が形成されたシートに対し、画像を読み取り、シートに対する画像の傾きを求め、シートの向きを補正してから画像の周囲の切断が行われていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の後処理装置は、画像を読み取るスキャナ或いはカメラが必要となり、画像を解析し、傾きを算出するための画像データメモリ、高速解析が可能な演算素子等が必須となり、装置コストの高騰化を招くおそれがあった。
【0005】
本発明は、より簡易又は低コストで傾き補正を行う後処理装置又は画像形成システムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る後処理装置は、
シートの搬送方向のカットと搬送直交方向のカットのいずれか一方又は両方のカットを行うカット装置と、
前記シートの搬送方向の前端部を搬送直交方向の複数個所で検出する傾き検出手段と、
前記シートの傾きを補正する傾き補正手段と、
前記傾き検出手段の検出に基づく前記シートの傾き量に応じて、前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行ってから前記カット装置によりカットを行うように制御する制御装置と、を備え、
前記傾き検出手段は、第一検出位置で検出を行う第一検出部と、前記第一検出位置よりも搬送方向下流側の第二検出位置で検出を行う第二検出部とを備え、
前記制御装置は、前記第一検出部の検出に基づいて一回目の傾き補正動作を行い、前記第一検出部の検出と前記第二検出部の検出とに基づいて二回目の傾き補正動作を行うように前記傾き補正手段を制御することを特徴とする。
【0007】
また、他の本発明に係る後処理装置は、
シートの搬送方向のカットと搬送直交方向のカットのいずれか一方又は両方のカットを行うカット装置と、
搬送直交方向について前記シートの側端部の位置を検出する側端検出手段と、
前記シートの傾きを補正する傾き補正手段と、
前記側端検出手段の検出に基づく前記シートの傾き量に応じて、前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行ってから前記カット装置によりカットを行うように制御する制御装置と、
を備えることを特徴とする
【0008】
また、他の本発明に係る後処理装置は、
シートの搬送方向のカットと搬送直交方向のカットのいずれか一方又は両方のカットを行うカット装置と、
前記シートの傾きを補正する傾き補正手段と、
前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行ってから前記カット装置によりカットを行うように制御する制御装置と、
を備え、
前記傾き補正手段は、前記シートの搬送方向の上流側の一対のローラと下流側の一対のローラとを備え、
前記制御装置は、前記上流側の一対のローラが停止した前記下流側の一対のローラのニップ部に前記シートの先端部を突き当てるまで搬送し、前記下流側の一対のローラによる前記シートの搬送を開始してから前記上流側の一対のローラが前記シートを一旦解放し、それから前記上流側の一対のローラの搬送を再開する前記シートの傾き補正動作を行うように前記傾き補正手段を制御することを特徴とする。
【0009】
また、他の本発明に係る後処理装置は、
シートの搬送方向のカットと搬送直交方向のカットのいずれか一方又は両方のカットを行うカット装置と、
前記シートの傾きを補正する傾き補正手段と、
前記傾き補正手段により前記シートの傾き補正動作を行ってから前記カット装置によりカットを行うように制御する制御装置と、
を備え、
前記傾き補正手段は、前記シートの搬送経路内を塞ぐシャッターと、前記シャッターの開閉動作を行う駆動部と、前記シャッターに対して前記シートを搬送する一対のローラとを備え、
前記制御装置は、閉鎖状態の前記シャッターに前記シートの先端部を突き当てるまで搬送し、前記一対のローラが前記シートを一旦解放してから前記シャッターを開放すると共に前記一対のローラにより搬送を行う前記シートの傾き補正動作を行うように前記傾き補正手段を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像形成システムは、
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前述の後処理装置と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より簡易又は低コストで傾き補正を行う後処理装置又は画像形成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における画像形成システムの構成図である。
【
図2】
図2(A)は、四方断裁モードにおける断裁例である。
図2(B)~(D)は、複数断裁モードにおける断裁例である。
【
図3】搬送路に設けられた搬送ローラを搬送方向から見た説明図である。
【
図4】搬送路に設けられた搬送ローラを搬送方向から見た説明図である。
【
図5】搬送路に設けられた搬送ローラを搬送方向から見た説明図である。
【
図6】画像形成を行う基準が用紙における搬送方向前端部である場合の平面図である。
【
図7】画像形成を行う基準が用紙における搬送方向前端部である場合の画像形成時の平面図である。
【
図8】画像形成を行う基準が用紙における搬送方向前端部である場合のカット時の平面図である。
【
図9】画像形成を行う基準が用紙における側端部である場合の平面図である。
【
図10】画像形成を行う基準が用紙における側端部である場合の画像形成時の平面図である。
【
図11】画像形成を行う基準が用紙における側端部である場合のカット時の平面図である。
【
図12】傾き補正区間内に配置された概略構成を示す平面図である。
【
図13】傾き補正区間内に配置された概略構成を示す平面図であって、用紙の前端部が第一検出位置に位置する状態を示している。
【
図14】傾き補正区間内に配置された概略構成を示す平面図であって、用紙の前端部が第二検出位置に位置する状態を示している。
【
図15】用紙の側端部の搬送直交方向における位置から側端部の搬送方向に対する傾き角度を算出する場合の原理を示す説明図である。
【
図16】画像形成システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図17】傾き補正区間における傾き補正動作制御を示すフローチャートである。
【
図18】傾き補正動作制御における傾き判定の処理を示すフローチャートである。
【
図19】用紙の傾きとその搬送直交方向の幅との関係を示す説明図である。
【
図20】用紙の傾きが解消しない場合のカット位置を示す説明図である。
【
図21】二回の傾き検出結果を二回目の傾き補正動作に適用する具体例を示す図である。
【
図22】第2の実施形態における傾き補正手段の側面図である。
【
図23】第2の実施形態における傾き補正手段の平面図である。
【
図24】第3の実施形態における傾き補正手段の側面図である。
【
図25】第3の実施形態における傾き補正手段の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成システム100の構成図である。画像形成システム100は、シートとしての用紙Pに画像を形成する画像形成装置10と、画像形成装置10により画像Gが形成された用紙Pに断裁処理(カット処理)を施す後処理装置20と、を備えて構成されている。
【0015】
画像形成装置10は、操作表示部18から入力された操作指示、又は、通信ネットワークを介してPC(Personal Computer)等から受信した画像形成指示に従って、用紙Pに画像を形成する。画像形成装置10は、画像形成後の用紙Pを後処理装置20に搬出する。
画像形成装置10は、給紙部15、画像読取部16、画像形成部17、操作表示部18等を備える。
【0016】
給紙部15は、サイズ、種類(紙種)、坪量等が異なる用紙Pを収納可能な複数の給紙トレイT1~T3を備え、指定された給紙トレイT1~T3に収納されている用紙Pを画像形成部17に供給する。
【0017】
画像読取部16は、原稿を読み取り、画像データを生成する。具体的には、画像読取部16は、光源から照射され、原稿で反射された反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等により読み取る。
【0018】
画像形成部17は、用紙P上に画像を形成する。画像形成部17は、感光体を帯電部で帯電させ、画像データに基づいて露光部により発せられたレーザービームにより感光体を露光走査して静電潜像を形成し、現像部により静電潜像をトナーで現像し、転写部によりトナー像を用紙Pに転写し、定着部により用紙Pにトナー像を定着させる。
【0019】
操作表示部18は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、各種画面を表示する表示部と、表示部に積層されたタッチパネルや各種キーにより構成される操作部と、を備える。操作表示部18は、タッチ操作やキー操作により入力された操作信号をCPU(Central Processing Unit)11に出力する(
図16参照)。
【0020】
[後処理装置]
後処理装置20は、用紙Pに対して断裁処理を施す断裁機である。後処理装置20は、画像形成装置10から搬入された用紙Pに対して必要に応じて断裁処理を施し、断裁処理により作成された成果物を排紙トレイT11,T12又はカードトレイT13に排出する。
後処理装置20は、搬送路D1、カット装置30、センサー27、屑箱29等を備える。
【0021】
搬送路D1には、搬送路D1から分岐し、その下流において合流する長尺紙搬送路D2が設けられている。長尺紙搬送路D2は、長尺紙を搬送する際にバッファーとして用いられる。
また、搬送路D1、D2には、各々の経路に沿って規定の間隔で用紙Pを表裏に挟むように設けられた一対のローラ351,352の回転により用紙Pの搬送を行う搬送ローラ35が設けられている。
【0022】
カット装置30は、搬送される用紙Pを断裁する断裁処理を行う。カット装置30は、用紙Pの搬送路D1の複数の位置に、FD断裁部31,32、CD断裁部33、ミシン目断裁部34を備える。
FD断裁部31,32は、用紙Pを搬送方向(Feed Direction)Fに沿って断裁するスリッターである。FD断裁部31は、用紙Pの平面に平行であって搬送方向Fと直交する方向(「搬送直交方向」とする)Cにおける端部(奥側・手前側)を断裁する天地スリッターである。FD断裁部32は、用紙Pの搬送直交方向Cに隣接する成果物同士の間の余白を搬送方向Fに沿って断裁するドブ断ちスリッターである。
FD断裁部31,32は、例えば、図示しないモーター等のアクチュエーターを備え、搬送直交方向Cにおける切断位置を任意に調節することができる。これにより、用紙Pの側端部Sから搬送直交方向Cについて規定距離となる位置で搬送方向Fに沿ってカットを行うことができる。
CD断裁部33は、用紙Pを搬送直交方向Cに沿って断裁するギロチンカッターである。CD断裁部33は、用紙Pの搬送方向Fにおける切断位置を搬送ローラ35との協働によって任意に調節することができる。
ミシン目断裁部34は、用紙Pの搬送直交方向Cに沿ってミシン目状に断裁するカッターであるが、搬送方向Fに沿ってミシン目状に裁断するカッターを備える構成としても良い。
【0023】
FD断裁部31,32、CD断裁部33は、断裁モードに応じて使用の有無が決定される。断裁モードとは、断裁種類、用紙Pのサイズ、種類、坪量等よって決定される断裁制御方法のことをいう。
【0024】
ここで、
図2(A)~(D)を参照して、断裁種類で分類した断裁モードについて説明する。
図2(A)は、四方断裁モードにおける断裁例である。四方断裁モードは、用紙Pの四方の端部をそれぞれ断裁し、1枚の用紙Pから1枚の成果物を作成するモードである。具体的には、用紙Pの搬送直交方向Cにおける両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部31により断裁される。また、用紙Pの搬送方向Fにおける前端側端部(下流側端部)及び後端側端部(上流側端部)は、CD断裁部33により断裁される。
【0025】
図2(B)~(D)は、複数断裁モードにおける断裁例である。複数断裁モードは、用紙Pの四方の端部に加え、用紙Pを搬送方向F又は搬送直交方向Cに沿って1か所以上断裁し、1枚の用紙Pから複数枚の成果物を作成するモードである。
図2(B)に示すA4サイズの用紙Pを搬送方向Fについて2つに分割する複数断裁モードでは、用紙Pの搬送直交方向Cにおける両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部31により断裁される。また、用紙Pの搬送方向Fにおける前端側端部及び後端側端部と、搬送方向Fに隣接する成果物同士の間の余白は、CD断裁部33により断裁される。
【0026】
図2(C)に示すカード作成用の複数断裁モードでは、用紙Pの搬送直交方向Cにおける両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部31により断裁される。また、用紙Pの搬送直交方向Cに隣接する成果物同士の間の余白は、FD断裁部32により断裁される。また、用紙Pの搬送方向Fにおける前端側端部及び後端側端部と、搬送方向Fに隣接する成果物同士の間の余白は、CD断裁部33により断裁される。
【0027】
図2(D)に示す名刺作成用の複数断裁モードでは、用紙Pの搬送直交方向Cにおける両端部(奥側端部、手前側端部)は、FD断裁部31により断裁される。また、用紙Pの搬送直交方向Cに隣接する成果物同士の間の余白は、FD断裁部32により断裁される。また、用紙Pの搬送方向Fにおける前端側端部及び後端側端部と、搬送方向Fに隣接する成果物同士の間の余白は、CD断裁部33により断裁される。
【0028】
なお、カット装置30を構成するFD断裁部31,32、CD断裁部33、ミシン目断裁部34のそれぞれがモジュール化され、後処理装置20の本体に対して着脱可能とされていてもよい。この場合、各モジュールの配置順も入れ替え可能である。
【0029】
センサー27は、屑箱29内の深さ方向(
図1に示すZ方向)における所定の位置で断裁屑を検知し、検知結果をCPU21(
図16参照)に出力する。すなわち、センサー27は、屑箱29内に断裁屑がある程度の量まで積載されたことを検知する。
【0030】
屑箱29は、カット装置30の下方に設置されており、カット装置30による断裁動作で発生し、カット装置30から落下する断裁屑を収納する。ユーザーは、後処理装置20の扉を開けて屑箱29を取り出し、屑箱29内の断裁屑を廃棄する。
【0031】
[傾き補正区間]
また、後処理装置20は、
図1に示すように、搬送路D1におけるカット装置30の搬送方向上流側に用紙Pの傾きを補正する傾き補正区間Rが設定されている。
傾き補正区間Rは、カット装置30の直前で正規の向きである基準方向に対する用紙Pの傾きを検出し、基準方向に補正するための各種の構成が設けられている。この傾き補正区間Rにて直前で正規の向きである基準方向に用紙Pの向きを補正することにより、適正な用紙カットを行うことを可能としている。
【0032】
図3~
図5は前述した搬送路D1、D2に設けられた搬送ローラ35を搬送方向Fから見た説明図である。
用紙Pは、
図3に示すように、全体的に厚さ均一であって、搬送ローラ35の一対のローラ351,352が適正な加工精度及び適正な組み立て精度で製造されている場合には、用紙Pは、適正な搬送方向Fに沿って平行に搬送することが可能である。
これに対して、
図4に示すように、一対のローラ351,352の加工精度が低いため或いは摩耗が生じたためにローラ351,352が中心軸方向に均一の外径を有していない場合や組立誤差によりローラ351,352の中心軸が非平行である場合等に、用紙Pが紙面垂直軸回りに旋回して適正な搬送方向Fに対して傾きが発生する。また、
図5に示すように、用紙Pの厚さが搬送直交方向Cについて不均一な場合にも用紙Pに方向きが発生する。
【0033】
なお、用紙Pの適正な搬送方向は、画像形成装置10において、用紙Pに対する画像形成を行う基準が用紙Pにおける搬送方向の前端部Kであるか、側端部Sであるかによって変わる。
例えば、
図6は画像形成を行う基準が用紙Pにおける搬送方向前端部Kである場合を示している。画像形成を行う基準となる用紙Pにおける搬送方向Fの前端部Kを太線で示している。
画像形成を行う基準が用紙Pにおける搬送方向Fの前端部Kである場合、
図7に示すように、画像Gは前端部Kに沿って形成される。
このような前提で、例えば、用紙Pの前端部Kと搬送方向Fに沿った側端部Sとが直交していなかった場合、
図8に示すように、画像Gの縁に合わせてその周囲Eを適正にカットするには、用紙Pが側端部Sに沿って搬送されている場合には、用紙Pの前端部Kが適正な搬送方向Fに対して垂直となるように(搬送直交方向Cに平行になるように)傾きを補正する必要がある。
用紙Pの前端部Kと搬送方向Fに沿った側端部Sとが直交している場合でも、カット装置30の手前において、用紙Pの前端部Kが適正な搬送直交方向Cに対して傾斜して搬送されている場合にも、傾きを補正する必要がある。
【0034】
また、
図9は画像形成を行う基準が用紙Pにおける搬送直交方向Cの片側の端部となる側端部Sである場合を示している。画像形成を行う基準となる用紙Pの側端部Sを太線で示している。
画像形成を行う基準が用紙Pの側端部Sである場合、例えば、
図10に示すように、カット装置30の手前において、用紙Pの側端部Sが搬送方向Fに対して非平行状態で傾斜して搬送されている場合、
図11に示すように、画像Gの縁に合わせてその周囲Eを適正にカットするには、用紙Pの側端部Sが搬送方向Fに対して平行になるように傾きを補正する必要がある。
【0035】
図12~
図14は傾き補正区間R内に配置された概略構成を示す平面図である。
上述した用紙Pの傾き補正の要請に対応するために、
図12~
図14に示すように、傾き補正区間Rには、搬送方向Fの上流から、側端検出手段36、傾き補正手段37、傾き検出手段40が順番に配置されている。
【0036】
[傾き補正区間:傾き補正手段]
傾き補正手段37は、
図12に示すように、搬送直交方向Cに並んだ二対のローラ371~374の回転量の差により用紙Pを回転させる回転補正手段である。
傾き補正手段37は、搬送直交方向Cにおける奥側において用紙Pを表裏に挟むように設けられた一対のローラ371,372と、搬送直交方向Cにおける手前側において用紙Pを表裏に挟むように設けられた一対のローラ373,374とを備えている。そして、奥側の一対のローラ371,372と手前側の一対のローラ373,374とは、それぞれ個別に回転駆動源を備えており、各回転駆動源の回転速度は、後処理装置20が備える制御装置としてのCPU21(
図16参照)によって制御される。
そして、傾き補正手段37は、手前側の一対のローラ371,372と奥側の一対のローラ373,374の回転速度差が生じるようにCPU21に制御されることにより、用紙Pをその平面に対して垂直となる軸回りに旋回させて傾きを補正することができる。
【0037】
[傾き補正区間:側端検出手段]
側端検出手段36は、搬送直交方向Cにおける用紙Pの側端部Sの位置検出を行うラインセンサーであり、搬送直交方向C方向に沿った光源と搬送直交方向Cに並んで設けられた複数の受光素子を有する。側端検出手段36は、受光素子の分解能に応じて、その下方を通過する用紙Pの側端部Sと搬送面との境界位置を検出することができる。
【0038】
側端検出手段36の用紙Pの側端部Sの位置検出結果は、後処理装置20のCPU21(
図16参照)に入力される。この際、CPU21は、検出結果から用紙Pの側端部Sの搬送直交方向Cにおける位置を取得することができる。また、経時的変化により、用紙Pの側端部Sの搬送方向Fに対する傾き角度を算出し取得することができる。
【0039】
図15は、用紙Pの側端部Sの搬送直交方向Cにおける位置から側端部Sの搬送方向Fに対する傾き角度を算出する場合の原理を示す説明図である。
図示のように、用紙Pが既値の搬送速度で搬送方向Fに沿って搬送されていることを前提とする場合に、CPU21は、用紙Pの搬送方向Fの全長よりも十分に短く設定された測定距離dの搬送に要する経過時間を既値の搬送速度から算出し、当該経過時間の間の用紙Pの側端部Sの搬送直交方向Cにおける位置の変化量を側端検出手段36から取得する。CPU21は、用紙Pの側端部Sの搬送直交方向Cにおける位置の変化量を測定距離dで除算し、搬送方向Fに対する用紙Pの側端部Sの傾き角度の正接値を求めることができる。
【0040】
なお、測定距離dは、用紙Pの搬送方向Fの全長よりも十分に短く設定されているので、用紙Pが側端検出手段36を通過する間に、複数回(例えば二回)の傾き角度の検出を行うことが可能である。これにより、CPU21は、例えば、一回目の傾き角度の検出後に傾き補正手段37で用紙Pの一回目の傾き補正動作を行い、その後、二回目の傾き角度の検出後に傾き補正手段37で用紙Pの二回目の傾き補正動作を行ってもよい。
これにより、一回目の傾き補正動作で用紙Pの傾きが十分に解消されなかった場合に、再度の傾き補正動作を行うことができ、用紙Pの傾きを十分に低減することができる。
【0041】
[傾き補正区間:傾き検出手段]
傾き検出手段40は、用紙Pの前端部Kの搬送直交方向Cに対する傾き角度を検出するための検出手段である。
図12に示すように、傾き検出手段40は、第一検出位置L1で検出を行う第一検出部41と、第一検出位置L1よりも搬送方向下流側の第二検出位置L2で検出を行う第二検出部42とを備えている。
【0042】
第一検出部41は、用紙Pの搬送面上に搬送直交方向Cに沿って並んで配置された二つのフォトインタラプタ等の光学センサー411,412を有し、用紙Pの前端部Kがこれらの光学センサー411,412の上を通過する際に生じる受光量の変化が検出され、CPU21に入力される。
そして、光学センサー411,412は、搬送直交方向Cの離隔距離が既知であり、用紙Pの搬送速度も既知であることから、CPU21は、各光学センサー411,412からの用紙Pの前端部Kのセンサー位置の通過検出が入力されると、二つの光学センサー411,412における用紙Pの前端部Kの検出タイミングの時間差から、搬送直交方向Cに対する用紙Pの前端部Kの傾きを算出することができる。
【0043】
第二検出部42も、第一検出部41と同様に、用紙Pの搬送面上に搬送直交方向Cに沿って並んで配置された二つのフォトインタラプタ等の光学センサー421,422を有し、CPU21が、各光学センサー421,422の検出出力から、搬送直交方向Cに対する用紙Pの前端部Kの傾きを算出することができる。
【0044】
傾き検出手段40は、第一検出部41と第二検出部42とを有するので、用紙Pの前端部Kの傾き角度を二回検出することが可能である。
そして、CPU21は、第一検出位置L1における第一検出部41と第二検出位置L2における第二検出部42の二回の用紙Pの前端部Kの傾きの検出により、用紙Pの二回の傾き補正動作を行うことができる。
【0045】
[画像形成システムの制御系]
図16は、画像形成システム100の機能的構成を示すブロック図である。
画像形成装置10は、CPU11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(RandomAccess Unit)13、記憶部14、給紙部15、画像読取部16、画像形成部17、操作表示部18、通信I/F(InterFace)19等を備える。既に説明した機能部については、説明を省略する。
【0046】
CPU11は、ROM12に格納されたプログラムを読み出してRAM13に展開し、展開したプログラムとの協働によって画像形成装置10の各部の動作を制御する。
ROM12は、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、システムプログラム及びシステムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、各種データ等を記憶する。
RAM13は、揮発性の半導体メモリー等により構成され、CPU11により実行される各種処理において、ROM12から読み出されたプログラム、入力若しくは出力データ、及び、パラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0047】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶する。
通信I/F19は、NIC(Network Interface Card)やモデム等で構成され、後処理装置20やPCとの間でデータの送受信を行う。
【0048】
後処理装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、用紙搬送部25、設定入力部26、センサー27、通信I/F28、カット装置30、側端検出手段36、傾き補正手段37、傾き検出手段40等を備える。
【0049】
CPU21、ROM22及びRAM23は、CPU21の制御対象が後処理装置20であることを除き、CPU11、ROM12及びRAM13と同様である。
【0050】
記憶部24は、HDDや不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶する。記憶部24には、用紙Pの前端部Kの傾きや側端部Sの傾きを算出するために必要となるパラメーター、例えば、用紙Pの搬送速度、光学センサー411,412や光学センサー421,422の搬送直交方向Cの間隔、側端検出手段36における測定距離d、用紙Pの傾き角度に応じて設定すべき傾き補正手段37の奥側の一対のローラ371,372と手前側の一対のローラ373,374の回転速度差の対応関係を示すテーブルデータ等が記憶されている。
【0051】
用紙搬送部25は、搬送路D1、D2に沿って設けられた複数の搬送ローラ35から構成され、画像形成装置10から搬入された用紙Pを、排紙トレイT11,T12又はカードトレイT13に排出するまで搬送する。
【0052】
通信部としての通信I/F28は、NICやモデム等で構成され、画像形成装置10との間でデータの送受信を行う。
前述したように、後処理装置20では、CPU21が、側端検出手段36の検出に基づいた用紙Pの側端部Sの搬送方向Fに対する傾き角度の取得と、傾き検出手段40の検出に基づいた用紙Pの前端部Kの搬送直交方向Cに対する傾き角度の取得とを実行するが、これらはいずれか一方を選択して実行される。
通信I/F28は、傾き検出手段40に基づく傾き角度の取得と側端検出手段36に基づく傾き角度の取得のいずれか一方を選択するための情報又は選択指令が外部から入力される。具体的には、画像形成装置10からの傾き検出手段40又は側端検出手段36の選択指令が入力される。
また、或いは、通信I/F28は、画像形成装置10から、用紙Pの画像Gが前端部K基準(
図7参照)か、側端部S基準(
図10参照)かを示す情報が入力される。この場合、CPU21は、前端部K基準の情報入力を受信した場合には傾き検出手段40に基づく傾き角度の取得を選択し、側端部S基準の情報入力を受信した場合には側端検出手段36に基づく傾き角度の取得を選択する。
【0053】
選択入力部としての設定入力部26は、ユーザーが所定の情報を入力するキーボードやパネルからなる入力インターフェイスである。この設定入力部26からは、例えば、傾き検出手段40に基づく傾き角度の取得と側端検出手段36に基づく傾き角度の取得のいずれを実行すべきかを示す設定情報が入力される。
なお、設定入力部26から入力された設定情報と通信I/F28から入力された情報又は選択指令とが存在する場合、いずれを優先適用すべきかが予め設定されており、CPU21は、優先適用の設定に従って、用紙Pの傾き角度の取得を実行する。
また、この設定入力部26により、側端検出手段36における測定距離dを任意に設定することができる。
【0054】
CPU21は、用紙搬送部25による用紙Pの搬送制御、断裁モードに応じたカット装置30による断裁動作制御、傾き補正区間Rにおける傾き補正動作制御等を主に実行する。
【0055】
[傾き補正動作制御]
以下、CPU21による傾き補正区間Rにおける傾き補正動作制御について
図17及び
図18のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
まず、CPU21は、傾き補正区間Rに対して用紙Pが搬送されている状態において、設定入力部26から入力された設定情報又は通信I/F28から入力された情報若しくは選択指令により、傾き検出手段40に基づく傾き角度の取得と側端検出手段36に基づく傾き角度の取得のいずれを選択すべきかを判定する(ステップS1)。
【0056】
そして、傾き検出手段40に基づく傾き角度の取得を選択すべき場合には、CPU21は、傾き検出手段40の第一検出部41の光学センサー411,412のいずれかによって用紙Pの前端部Kが検出されたか否かを判定する(ステップS3)。
上記判定は、用紙Pの前端部Kが検出されるまで繰り返され、前端部Kが検出されると、CPU21は、二つの光学センサー411,412による用紙Pの前端部Kの検出タイミングの時間差を計測する。さらに、その時間差から、用紙Pの前端部Kの搬送直交方向Cに対する傾き角度を算出する(ステップS5:
図12~
図13参照)。
【0057】
次に、算出された用紙Pの傾き角度に対して傾き判定が行われる(ステップS7)。
図18は傾き判定の処理を示すフローチャートである。
CPU21は、算出した用紙Pの傾き角度が予め定められた第一の閾値を超えるか否かを判定する(ステップS41)。
図19に示すように、最大90°までの範囲で用紙Pに傾きが生じると、その搬送直交方向Cの幅Iが大きくなる。この搬送直交方向Cの幅Iが大きすぎると、搬送経路に詰まりを生じて搬送することができなくなる。従って、搬送経路に詰まりを生じ得る傾き角度に傾き補正手段37が可能とする最大補正角度を加えた角度(或いは、この角度に余裕を持たせるために余裕分を減じた値としても良い)を第一の閾値として定めている。
算出した用紙Pの傾き角度が第一の閾値を超えなければ、補正手段37の傾き補正により、搬送直交方向Cの幅Iが搬送経路を通過可能な範囲に収まるので、そのまま、用紙Pの搬送を継続することが可能である。
【0058】
上記判定により、算出した用紙Pの傾き角度が第一の閾値を超える場合には(ステップS41:YES)、CPU21は、補正手段37による傾き補正を実行することなく、その場で搬送を停止する(ステップS43)。
そして、CPU21は、用紙Pの搬送が出来ないことを示すエラー報知を行う(ステップS45)。即ち、CPU21は、後処理装置20が備える、図示しない表示手段や警告音発生手段により、ユーザーに用紙Pの搬送が出来ないことを示すエラー報知を行う。また、画像形成装置10側にエラー報知の通知を行い、操作表示部18で報知を行っても良い。
そして、傾き判定の処理を終了する。なお、この場合には、傾き補正動作制御も中止状態となる。
【0059】
一方、算出した用紙Pの傾き角度が第一の閾値を超えない場合には(ステップS41:NO)、CPU21は、算出した用紙Pの傾き角度が予め定められた第二の閾値を超えるか否かを判定する(ステップS47)。
前述したように、傾き補正手段37は能力的に最大補正角度が決まっている。従って、これを超える傾き角度で用紙Pに傾きが生じている場合には、
図20に示すように、画像Gの四辺の縁に合わせてその周囲Eを適正にカットすることができない。従って、傾き補正手段37の能力に基づく最大補正角度(或いは、この角度に余裕を持たせるために余裕分を減じた値としても良い)を第二の閾値として定めている。
算出した用紙Pの傾き角度が第二の閾値を超えなければ、補正手段37の傾き補正により、用紙Pの前端部Kを搬送直交方向Cに平行となるように補正することができ、画像Gの四辺の縁に合わせてその周囲Eを適正にカットすることが可能である。
【0060】
上記判定により、算出した用紙Pの傾き角度が第二の閾値を超える場合には(ステップS47:YES)、CPU21は、適正なカットを行うことができないので、カット装置30によるカットを行わないで、そのまま用紙Pを機外に排紙させる(ステップS49)。
【0061】
また、算出した用紙Pの傾き角度が第二の閾値を超えない場合には(ステップS49:NO)、CPU21は、傾き判定処理を終了し、傾き補正手段37による一回目の傾き補正動作を実行する(ステップS9)。
つまり、算出した用紙Pの傾き角度に応じた回転数差で傾き補正手段37の対をなすローラ371,372と対をなすローラ373,374の回転駆動を行い、用紙Pをその平面に垂直となる軸回りに旋回させる。
【0062】
次いで、CPU21は、傾き検出手段40の第二検出部42の光学センサー421,422のいずれかによって用紙Pの前端部Kが検出されたか否かを判定する(ステップS11)。
上記判定は、用紙Pの前端部Kが検出されるまで繰り返され、前端部Kが検出されると、CPU21は、二つの光学センサー421,422による用紙Pの前端部Kの検出タイミングの時間差を計測する。さらに、その時間差から、用紙Pの前端部Kの搬送直交方向Cに対する傾き角度を算出する(ステップS13:
図14参照)。
【0063】
即ち、傾き補正手段37の各ローラ371~374の加工誤差、組立誤差、摩耗、用紙Pの厚さ、用紙Pの材質等の諸事情により、一回目の傾き補正動作で用紙Pの傾きが解消しない場合がある。このような用紙Pの傾きに基づいて、CPU21は、傾き補正手段37による二回目の傾き補正動作を実行する(ステップS15)。
【0064】
なお、二回目の傾き補正動作は、第二検出部42の検出に基づく傾き角度のみに基づいて傾き補正手段37による補正を行っても良いが、第一検出部41の検出に基づく傾き角度と第二検出部42の検出に基づく傾き角度の双方を考慮して傾き補正手段37による補正を行っても良い。
この制御を
図21の例により説明する。
図21に示すように、第一検出部41による一回目の検出に基づく傾き角度が5°であった場合、一回目の傾き補正では、テーブルデータを参照して、5°の傾き補正が行われる回転数差で傾き補正手段37の対をなすローラ371,372と対をなすローラ373,374の回転駆動を行い、用紙Pの傾き補正が行われる。
そのように傾き補正が行われた用紙Pに対して、第二検出部42による二回目の検出に基づく傾き角度が0.5°であった場合、一回目の傾き補正では、実際には、4.5°しか補正しなかったことが分かる。
つまり、用紙Pに対して傾き補正手段37は、目標とする5°の角度補正値に対して実際には4.5°しか補正できないので、二回目の傾き補正では、これを考慮して、0.5°×5/4.5=0.56°が目標値となるように修正する。テーブルデータを参照して、0.56°の傾き補正が行われる回転数差で傾き補正手段37の対をなすローラ371,372と対をなすローラ373,374の回転駆動を行い、用紙Pの傾き補正が行われる。
これにより、用紙Pは、実際は0.5°の傾き補正が行われ、傾き角度をほぼ0°とすることができる。
【0065】
そして、CPU21は、傾き補正動作制御を終了する。
【0066】
一方、ステップS1において、側端検出手段36に基づく傾き角度の取得を選択すべき場合には、CPU21は、側端検出手段36によって用紙Pの側端部Sが検出されたか否かを判定する(ステップS17)。
上記判定は、用紙Pの側端部Sが検出されるまで繰り返され、側端部Sが検出されると、CPU21は、一回目の傾き検出として、測定距離dの間、側端検出手段36による用紙Pの側端部Sの検出を継続する(ステップS19)。
そして、CPU21は、測定距離dにおける側端部Sの位置変化から、搬送方向Fに対する側端部Sの傾き角度を算出する(ステップS21)。
【0067】
そして、この場合も、算出された傾き角度に対して、
図18に示す傾き判定が実行される(ステップS23)。
傾き判定において、算出された用紙Pの傾き角度が第一の閾値及び第二の閾値を超えないと判定された場合には、CPU21は、傾き補正手段37による一回目の傾き補正動作を実行する(ステップS25)。
【0068】
この場合も、傾き補正手段37の一回目の傾き補正動作で用紙Pの傾きが解消しない場合があるので、CPU21は、二回目の傾き検出として、測定距離dの間、側端検出手段36による用紙Pの側端部Sの検出を実行する(ステップS27)。
そして、CPU21は、二回目の傾き検出の測定距離dにおける側端部Sの位置変化から、搬送方向Fに対する側端部Sの傾き角度を算出する(ステップS29)。
【0069】
そして、CPU21は、傾き補正手段37による二回目の傾き補正動作を実行する(ステップS31)。
この場合も、二回目の傾き補正動作は、二回目の傾き検出に基づく傾き角度のみに基づいて傾き補正手段37による補正を行っても良いが、一回目の傾き検出と二回目の傾き検出の双方を考慮して傾き補正手段37による補正を行っても良い。
その場合も、
図21の例と同様にして二回目の傾き補正が行われる。
【0070】
これにより、用紙Pの側端部Sは、搬送方向Fに沿った状態となる。
さらに、この状態において、側端検出手段36により、用紙Pの側端部Sの搬送直交方向Cにおける位置を改めて検出する(ステップS33)。即ち、用紙Pの側端部Sが搬送方向Fに平行な状態である場合に、用紙Pの側端部Sの搬送直交方向Cにおける位置を正確に検出することが可能となるからである。
この際に、検出された用紙Pの側端部Sの搬送直交方向Cにおける位置は、RAM23又は記憶部24に記憶され、断裁モードに応じたカット装置30による断裁動作制御において、用紙Pの側端部Sから搬送直交方向Cについて規定距離となる位置で搬送方向Fに沿ってカットを行う場合に利用される。
【0071】
そして、CPU21は、傾き補正動作制御を終了する。
なお、CPU21は、傾き補正動作制御完了後は、断裁モードに応じたカット装置30による断裁動作制御を実行する。
【0072】
[第1の実施形態の技術的効果]
上述した画像形成システム100の後処理装置20は、CPU21が、傾き検出手段40の検出に基づく用紙Pの傾き量に応じて、傾き補正手段37により用紙Pの傾き補正動作を行ってからカット装置30によりカットを行うように制御する。
このため、用紙Pの前端部Kの搬送直交方向Cに対する傾きを十分低減することが可能となる。これにより、画像形成装置10において、用紙Pの前端部Kを基準として画像形成が行われた場合に、画像Gの周囲Eに沿ってカットを行うことができ、カットの成果物の品質の向上を図ることが可能となる。また、後処理装置20に画像読取装置及び画像を解析するための画像データメモリ、演算素子等が不要となり、装置コストを大幅に低減することが可能となる。
【0073】
また、後処理装置20は、CPU21が、側端検出手段36の検出に基づく用紙Pの傾き量に応じて、傾き補正手段37により用紙Pの傾き補正動作を行ってからカット装置30によりカットを行う制御も実行する。
このため、用紙Pの側端部Sの搬送方向Fに対する傾きを十分低減することが可能となる。これにより、画像形成装置10において、用紙Pの側端部Sを基準として画像形成が行われた場合に、画像Gの周囲Eに沿ってカットを行うことができ、カットの成果物の品質の向上を図ることが可能となる。また、この場合も、装置コストを大幅に低減することが可能となる。
【0074】
また、CPU21は、傾き検出手段40と側端検出手段36のいずれか一方を選択して、その検出に基づく用紙Pの傾き量を求め、傾き補正手段37により用紙Pの傾き補正動作を行うように制御する。
このため、画像形成装置10において、用紙Pの前端部Kを基準として画像形成が行われた場合と用紙Pの側端部Sを基準として画像形成が行われた場合のそれぞれに対応して用紙Pの傾き補正を行うことが可能となる。
【0075】
特に、後処理装置20は、設定入力部26を備えるので、ユーザーが傾き検出手段40と側端検出手段36とを任意も選択することが可能である。
また、後処理装置20は、通信I/F28を備えるので、画像形成装置10等の外部から入力される情報又は選択指令に基づいて、傾き検出手段40と側端検出手段36とを選択することができる。このため、画像形成装置10等の外部装置との連携を図って、適正な選択を行うことが可能となる。
【0076】
また、傾き検出手段40は、第一検出部41と第二検出部42とを備えるので、第一検出位置L1と第二検出位置L2とで二回の傾き検出を行うことが可能となる。
さらに、これに伴って、CPU21は、第一検出部41の検出に基づいて一回目の傾き補正動作を行い、第二検出部42の検出に基づいて二回目の傾き補正動作を行うため、一回目の傾き補正動作で十分な補正が行われなかった場合でも、二回目の補正でこれを解消することができ、より効果的に用紙Pの傾きを低減することが可能となる。
【0077】
また、CPU21は、側端検出手段36により用紙Pの傾きを検出する場合にも、二回の検出を行い、傾き補正手段37による二回の用紙Pの傾き補正動作を行うので、この場合もまた、一回目の傾き補正動作で十分な補正が行われなかった場合に二回目の補正でこれを解消することができ、より効果的に用紙Pの傾きを低減することが可能となる。
【0078】
また、傾き検出手段40により用紙Pの傾きを検出する場合と、側端検出手段36により用紙Pの傾きを検出する場合のいずれの場合も、CPU21は、一回目の検出に基づいて一回目の傾き補正動作を行い、一回目と二回目の検出とに基づいて二回目の傾き補正動作を行うように傾き補正手段37を制御している。
このため、一回目の傾き補正において生じる補正誤差を解消するように二回目の傾き補正を行うことが可能となり、より効果的に用紙Pの傾きを低減することが可能となる。
【0079】
なお、傾き検出手段40により用紙Pの傾きを検出する場合と、側端検出手段36により用紙Pの傾きを検出する場合のいずれの場合も、一回目の検出に基づいて一回目の傾き補正動作を行い、二回目の検出とに基づいて二回目の傾き補正動作を行っても良いことは既に述べた通りであるが、この場合には、効果的に用紙Pの傾きを低減しつつも処理を簡単にすることができるというメリットがある。
【0080】
また、後処理装置20は、傾き補正区間Rにおいて、搬送方向上流から、側端検出手段36、傾き補正手段37、傾き検出手段40の順で配置している。この配置であれば、側端検出手段36に基づく傾き検出を行う場合も、傾き検出手段40に基づく傾き検出を行う場合も、傾き補正手段37を共用して利用することができ、構成の簡略化、装置の小型化等を実現することが可能となる。
【0081】
また、CPU21は、側端検出手段36による規定の測定距離dの搬送における用紙Pの側端部Sの位置検出により用紙Pの傾き量を取得するので、用紙Pの全長に渡って検出を行う必要がなくなり、搬送方向Fについて装置の小型化を実現することが可能となる。
特に、測定距離dは、設定入力部26により、任意に設定することができるので、適正な範囲でより短い値に設定することにより、さらなる装置の小型化を実現することが可能となる。
【0082】
また、CPU21は、用紙Pの傾き補正動作後に側端検出手段36により用紙Pの側端部Sの位置を検出し、カット装置30によって搬送方向Fに沿ってカットを行うように制御する。
このため、用紙Pの側端部Sが搬送方向Fに平行となる状態で用紙Pの側端部Sの位置を検出するので、当該側端部Sの位置をより正確に取得することができ、搬送方向Fに沿ってカットを行う場合に、搬送直交方向Cについてより正確な位置でカットを行うことが可能となる。
【0083】
また、側端検出手段36はラインセンサーを使用しているので、その分解能に応じて高精度で用紙Pの側端部Sの位置検出を行うことが可能となる。
【0084】
また、CPU21は、用紙Pの傾き量が予め定められた上限値としての第二の閾値を超える場合に、カット装置30によるカットを行わないように制御するので、例えば、傾き補正手段37による補正可能な範囲を超える程の傾きが生じている場合に、画像Gの周囲Eからずれてカットすることにより、不良となる成果物の発生を低減することが可能となる。
【0085】
また、CPU21は、用紙Pの傾き量が予め定められた上限値としての第一の閾値を超える場合に、傾き補正手段37による用紙Pの傾き補正動作を行わないように制御するので、用紙Pの搬送経路での詰まりを回避することが可能となる。
【0086】
また、傾き補正手段37は、搬送直交方向Cに並んだ二対のローラ371~374の回転量の差により用紙Pを回転させる回転補正手段としたので、狭いスペースで容易に用紙Pの向きを補正する構成を実現することが可能となる。
【0087】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施形態では、前述した傾き補正手段37とは異なる構成からなる傾き補正手段37Aを例示する。なお、この傾き補正手段37Aは、傾き補正手段37と同じ配置で後処理装置20に適用することが可能である。
【0088】
図22は傾き補正手段37Aの側面図、
図23は平面図である。
図示のように、傾き補正手段37Aは、用紙Pの搬送方向Fの上流側の一対のローラ371A,372Aと下流側の一対のローラ373A,374Aとを備えている。一対のローラ371A,372Aは、搬送される用紙Pを表裏で挟むように配置されている。また、一対のローラ373A,374Aも同様である。
【0089】
そして、制御装置としてのCPU21は、一対のローラ371A,372Aの駆動源となるモーターと、一対のローラ373A,374Aの駆動源となるモーターとを個別に制御することができる。
また、上流側の一対のローラ371A,372Aは、ローラ間を互いに離隔させる図示しないアクチュエーターを備えており、CPU21は、当該アクチュエーターも制御することができる。
【0090】
さらに、CPU21は、上流側の一対のローラ371A,372Aが停止状態の下流側の一対のローラ373A,374Aのニップ部Nに用紙Pの先端部を突き当てるまでモーターで搬送し、下流側の一対のローラ373A,374Aによる用紙Pの搬送を開始してから上流側の一対のローラ371A,372Aをアクチュエーターにより用紙Pを一旦解放し、それからローラ間を閉じて上流側の一対のローラ371A,372Aによる搬送を再開するように各モーターを制御することにより、用紙Pの傾き補正動作を行う。
【0091】
上流側の一対のローラ371A,372Aと下流側の一対のローラ373A,374Aは、いずれも、回転軸が搬送直交方向Cに平行となる様に配置されている。その結果、下流側の一対のローラ373A,374Aのニップ部Nは、搬送直交方向Cに平行となる。
この下流側の一対のローラ373A,374Aのニップ部Nに用紙Pの前端部Kを突き当てるように上流側の一対のローラ371A,372Aが搬送すると、用紙Pが傾いている場合に、搬送直交方向Cにおける奥側と手前側とで異なる大きさで撓みを生じ、その前端部Kは、ニップ部Nに突き当てられて搬送直交方向Cに平行な状態となる。
そして、この状態で下流側の一対のローラ373A,374Aによる用紙Pの搬送を開始すると、用紙Pの前端部Kが搬送直交方向Cに平行な状態で送られる。また、仮にニップ部Nまで前端部Kが完全に到達していない場合でも、下流側の一対のローラ373A,374Aの搬送を開始することで前端部Kがニップ部Nに入り込み、搬送直交方向Cに平行な状態となって搬送される。
この状態で、上流側の一対のローラ371A,372Aが離隔して用紙Pを解放すると、前端部Kが搬送直交方向Cに平行な状態を維持して用紙Pの撓みが解消される。
従って、用紙Pの前端部Kを搬送直交方向Cに平行な状態に補正して搬送を再開することができる。
なお、上流側の一対のローラ371A,372Aの離隔による用紙Pの解放動作は、必須ではなく、解放しないでそのまま搬送しても、用紙Pの前端部Kは搬送直交方向Cと平行な状態を維持して搬送させることは可能である。従って、傾き補正手段37Aにおいて、上流側の一対のローラ371A,372Aのローラ間を互いに離隔させるアクチュエーターを有することが好ましいが、必須ではない。
【0092】
この傾き補正手段37Aは、傾き補正手段37と同じ配置で後処理装置20に適用すると、傾き補正手段37と同じ効果を維持しつつ、傾き検出手段40を不要として、用紙Pの前端部Kを搬送直交方向Cに平行になるように傾き補正を行うことが可能となる。
【0093】
[第3の実施の形態]
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施形態では、前述した傾き補正手段37とは異なる構成からなる傾き補正手段37Bを例示する。なお、この傾き補正手段37Bは、傾き補正手段37と同じ配置で後処理装置20に適用することが可能である。
【0094】
図24は傾き補正手段37Bの側面図、
図25は平面図である。
図示のように、傾き補正手段37Bは、用紙Pの搬送方向Fの上流側の一対のローラ371B,372Bと、下流側の一対のローラ373B,374Bと、これらのローラ371B~374Bが形成する用紙Pの搬送経路内を塞ぐシャッター375Bと、シャッター375Bの開閉動作を行う駆動部とを備えている。
一対のローラ371B,372Bは、搬送される用紙Pを表裏で挟むように配置されている。また、一対のローラ373B,374Bも同様である。
【0095】
そして、制御装置としてのCPU21は、一対のローラ371B,372Bの駆動源となるモーターと、一対のローラ373B,374Bの駆動源となるモーターとを個別に制御することができる。
また、上流側の一対のローラ371B,372Bは、ローラ間を互いに離隔させる図示しないアクチュエーターを備えており、CPU21は、当該アクチュエーターも制御することができる。
【0096】
さらに、シャッター375Bは、搬送方向Fに対して垂直であり、搬送直交方向Cに平行となる用紙Pの前端部Kに対する当接面を備えている。また、シャッター375Bの当接面は、搬送経路上において、搬送直交方向Cと平行な下流側の一対のローラ373B,374Bのニップ部Nが同一面上に位置するか或いはそれよりも搬送方向Fの幾分上流側に配置する。
また、シャッター375Bの駆動部は、例えば、シャッター375Bを搬送経路から外れるように移動させるモーター或いはソレノイド等のアクチュエーターからなり、CPU21によりその動作が制御される。
【0097】
そして、CPU21は、下流側の一対のローラ373B,374Bを停止状態とし、シャッター375Bは搬送経路上となるように駆動部を制御する。この状態で、上流側の一対のローラ371B,372Bがシャッター375Bの当接面に用紙Pの先端部を突き当てるまでモーターで搬送し、上流側の一対のローラ371B,372Bをアクチュエーターにより用紙Pを一旦解放する。
さらに、シャッター375Bを搬送経路から外れるように駆動部を制御してからローラ間を閉じて上流側の一対のローラ371B,372Bと下流側の一対のローラ373B,374Bとにより搬送を行うように各モーターを制御することにより、用紙Pの傾き補正動作を行う。
【0098】
上流側の一対のローラ371B,372Bと下流側の一対のローラ373B,374Bは、いずれも、回転軸が搬送直交方向Cに平行となる様に配置されている。
そして、シャッター375Bの当接面は搬送直交方向Cに平行に配置されているので、当該当接面に用紙Pの前端部Kを突き当てるように上流側の一対のローラ371B,372Bが搬送すると、用紙Pが傾いている場合、搬送直交方向Cにおける奥側と手前側とで異なる大きさで撓みを生じ、その前端部Kは、当接面に突き当てられて搬送直交方向Cに平行な状態となる。
この状態で、上流側の一対のローラ371B,372Bが離隔して用紙Pを解放すると、前端部Kが搬送直交方向Cに平行な状態を維持して用紙Pの撓みが解消される。
従って、シャッター375Bを搬送経路から外れるように退避されれば、用紙Pの前端部Kを搬送直交方向Cに平行な状態に補正して搬送を再開することができる。
【0099】
この傾き補正手段37Bは、傾き補正手段37と同じ配置で後処理装置20に適用すると、傾き補正手段37と同じ効果を維持しつつ、傾き検出手段40を不要として、用紙Pの前端部Kを搬送直交方向Cに平行になるように傾き補正を行うことが可能となる。
【0100】
[その他]
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る後処理装置及び画像形成システムの例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0101】
また、上述した後処理装置20は、側端検出手段36と傾き検出手段40とを備えているが、これらはいずれか一方のみを備える構成としても良い。
【0102】
また、上記各実施の形態では、シートとして用紙Pを用いた場合について説明したが、シートの素材は紙に限定されるものではなく、シート状の樹脂等であってもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 画像形成装置
20 後処理装置
21 CPU(制御装置)
25 用紙搬送部
26 設定入力部(選択入力部)
30 カット装置
31 FD断裁部
32 FD断裁部
33 CD断裁部
34 ミシン目断裁部
35 搬送ローラ
36 側端検出手段
37,37A,37B 傾き補正手段
40 傾き検出手段
41 第一検出部
42 第二検出部
100 画像形成システム
351,352 ローラ
371~374 ローラ
371B~374B ローラ
375B シャッター
411,412 光学センサー
421,422 光学センサー
C 搬送直交方向
D1 搬送路
E 周囲
F 搬送方向
G 画像
I 幅
28 通信I/F(通信部)
K 前端部
L1 第一検出位置
L2 第二検出位置
N ニップ部
P 用紙(シート)
R 傾き補正区間
S 側端部
d 測定距離