(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】作業支援サーバおよび作業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20231129BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2019212620
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】澤田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 均
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 誠司
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175254(JP,A)
【文献】特開2005-098904(JP,A)
【文献】特開2016-095811(JP,A)
【文献】特開2010-152834(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0110648(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0196464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のオペレータのそれぞれに対して割り当てられた複数のクライアントのそれぞれとの通信により、前記複数のオペレータのそれぞれによる作業機械を用いた作業を支援するための作業支援サーバであって、
第1支援処理要素および第2支援処理要素を備え、
前記第1支援処理要素が、前記複数のクライアントのうち第1クライアントとの通信に基づき、前記第1クライアントと連携している前記作業機械である第1作業機械の第1指定位置および第2指定位置を含む経路案内要求を認識し、
前記第2支援処理要素が、前記複数のクライアントのうち第2クライアントとの通信に基づき、前記第1支援処理要素により認識された前記経路案内要求に含まれている前記第1指定位置および前記第2指定位置が示されているマップ作業環境画像を前記第2クライアントの出力インターフェースに出力させ、前記第2クライアントの入力インターフェースを通じて前記
マップ作業環境画像の上で指定された前記第1指定位置および前記第2指定位置の間に延在する案内経路を認識し、
前記第1支援処理要素が、前記第1クライアントとの通信に基づき、前記第2支援処理要素により認識された前記案内経路に応じた経路案内画像を前記第1クライアントの出力インターフェースに出力させることを特徴とする作業支援サーバ。
【請求項2】
請求項1記載の作業支援サーバにおいて、
前記第2支援処理要素が、前記複数のクライアントのうち前記第1クライアントとは異なる少なくとも一のクライアントとの通信に基づき、前記少なくとも一のクライアントと連携している作業機械の位置の時系列である位置軌道を認識し、前記第1指定位置を基準として広がる第1指定範囲および前記第2指定位置を基準として広がる第2指定範囲のうち少なくとも一方に当該位置軌道が含まれていることを要件として、前記少なくとも一のクライアントを前記第2クライアントとして認識し、前記第2クライアントとの通信に基づき、前記第2クライアントの入力インターフェースを通じて前記
マップ作業環境画像の上での前記案内経路の指定を許容することを特徴とする作業支援サーバ。
【請求項3】
請求項1または2記載の作業支援サーバにおいて、
前記第1支援処理要素が、前記第1クライアントとの通信に基づき、前記第1作業機械の周囲の様子を表わす周辺画像を認識し、前記周辺画像において前記案内経路の方向を示す方向指示画像を前記
経路案内画像として前記第1クライアントの出力インターフェースに出力させることを特徴とする作業支援サーバ。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の作業支援サーバにおいて、
前記第1支援処理要素が、前記案内経路の少なくとも一部を示す作業環境画像を前記
経路案内画像として前記第1クライアントの出力インターフェースに出力させることを特徴とする作業支援サーバ。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の作業支援サーバと、クライアントと、により構成されていることを特徴とする作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のオペレータに対して割り当てられたクライアントとの通信により、前記オペレータによる前記作業機械を用いた作業を支援するための作業支援サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
建設作業現場の3次元形状を把握して、丁張りと現況出来形との関係や走行可能範囲や危険範囲などを、建機オペレータに的確に知らせる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、異なる場所のそれぞれに配置された各ステレオカメラから取得された距離画像が統合されて建設作業現場の3次元モデルデータが生成される。そして、建機のオペレータにより指定された仮想視点から建設作業現場を見た画像が、当該3次元モデルデータに基づいて描かれ、それが建機の運転席に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、経験が浅いオペレータが作業機械を運転または操作する際、ベテランのオペレータから助言または指示を得ることにより、当該オペレータの円滑な作業機械を用いた作業の遂行の観点から好ましい。
【0005】
そこで、本発明は、一のオペレータが作業機械を運転または操作する際、他のオペレータからの助言または指示を当該一のオペレータに直感的に認識させることができるサーバおよびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数のオペレータのそれぞれに対して割り当てられた複数のクライアントのそれぞれとの通信により、前記複数のオペレータのそれぞれによる作業機械を用いた作業を支援するための作業支援サーバに関する。
【0007】
本発明の作業支援サーバは、第1支援処理要素および第2支援処理要素を備え、前記第1支援処理要素が、前記複数のクライアントのうち第1クライアントとの通信に基づき、前記第1クライアントと連携している前記作業機械である第1作業機械の第1指定位置および第2指定位置を含む経路案内要求を認識し、前記第2支援処理要素が、前記複数のクライアントのうち第2クライアントとの通信に基づき、前記第1支援処理要素により認識された前記経路案内要求に含まれている前記第1指定位置および前記第2指定位置が示されているマップ作業環境画像を前記第2クライアントの出力インターフェースに出力させ、前記第2クライアントの入力インターフェースを通じて前記マップ作業環境画像の上で指定された前記第1指定位置および前記第2指定位置の間に延在する案内経路を認識し、前記第1支援処理要素が、前記第1クライアントとの通信に基づき、前記第2支援処理要素により認識された前記案内経路に応じた経路案内画像を前記第1クライアントの出力インターフェースに出力させることを特徴とする。
【0008】
本発明の作業支援システムは、本発明の作業支援サーバと、クライアントと、により構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の作業支援サーバおよび作業支援システム(以下、適宜「作業支援サーバ等」という。)によれば、第1クライアントと連携している(または第1クライアントとの通信により操作されている)第1作業機械の第1指定位置および第2指定位置の間で延在する経路案内要求に応じて、第2クライアントの入力インターフェースを通じて指定された第1指定位置および第2指定位置の間で延在する案内経路に応じた経路案内情報が第1クライアントの出力インターフェースに出力される。第1指定位置は、例えば、第1作業機械の現在位置または現在位置とは異なる出発位置である、第2指定位置は、例えば、第1作業機械の立ち寄り位置または目標位置である。このため、例えば、第1作業機械を運転操作しているオペレータが、第2クライアントが割り当てられた他のオペレータから、第1指定位置から第2指定位置まで、第1作業機械を移動させるための助言または指示を直感的に認識することができる。
【0010】
本発明の作業支援サーバ等において、前記第2支援処理要素が、前記複数のクライアントのうち前記第1クライアントとは異なる少なくとも一のクライアントとの通信に基づき、前記少なくとも一のクライアントと連携している作業機械の位置の時系列である位置軌道を認識し、前記第1指定位置を基準として広がる第1指定範囲および前記第2指定位置を基準として広がる第2指定範囲のうち少なくとも一方に当該位置軌道が含まれていることを要件として、前記少なくとも一のクライアントを前記第2クライアントとして認識し、前記第2クライアントとの通信に基づき、前記第2クライアントの入力インターフェースを通じて前記マップ作業環境画像の上での前記案内経路の指定を許容することが好ましい。
【0011】
第1指定範囲および第2指定範囲のうち少なくとも一方に含まれている位置軌道または経路移動履歴を有する作業機械と連携しているクライアントが割り当てられているオペレータは、そうではないオペレータと比較して第1指定位置および第2指定位置の間で延在する案内経路を指定するために適当な土地勘を有している蓋然性が高い。当該構成の作業支援サーバ等によれば、この点が勘案されて、第1指定位置および第2指定位置の間で延在する案内経路を指定するために適当な土地勘を有している蓋然性が高いオペレータのクライアントが第2クライアントとして認識される。このため、当該第2クライアントが割り当てられたオペレータによる助言または指示を、第1クライアントが割り当てられたオペレータに直感的に認識させることができる。
【0012】
本発明の作業支援サーバ等において、前記第1支援処理要素が、前記第1クライアントとの通信に基づき、前記第1作業機械の周囲の様子を表わす周辺画像を認識し、前記周辺画像において前記案内経路の方向を示す方向指示画像を前記経路案内画像として前記第1クライアントの出力インターフェースに出力させることが好ましい。
【0013】
本発明の作業支援サーバ等において、前記第1支援処理要素が、前記案内経路の少なくとも一部を示す作業環境画像を前記経路案内画像として前記第1クライアントの出力インターフェースに出力させることが好ましい。
【0014】
本発明の作業支援サーバ等において、前記第1支援処理要素が、前記案内経路の少なくとも一部を示す作業環境画像を前記路案内画像として前記第1クライアントの出力インターフェースに出力させることが好ましい。
【0015】
当該構成の作業支援サーバ等によれば、例えば、第1作業機械を運転操作しているオペレータが、第2クライアントが割り当てられた他のオペレータから、第1指定位置から第2指定位置まで、第1作業機械を移動させるための助言または指示を案内経路の少なくとも一部を示す作業環境画像により直感的に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態としての作業支援システムの構成に関する説明図。
【
図4】作業支援システムの第1機能に関する説明図。
【
図5】作業支援システムの第2機能に関する説明図。
【
図8】第2クライアントの選定方法に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(作業支援システムの構成)
図1に示されている本発明の一実施形態としての作業支援システムは、作業支援サーバ10と、複数の作業機械40を遠隔操作するための複数の遠隔操作装置20と、により構成されている。作業支援サーバ10と、遠隔操作装置20と、作業機械40と、は相互にネットワーク通信可能に構成されている。
【0018】
(作業支援サーバの構成)
作業支援サーバ10は、データベース102と、第1支援処理要素121と、第2支援処理要素122と、を備えている。データベース102は、複数の作業機械40のそれぞれの位置軌道のほか、撮像画像、作業環境画像および経路案内画像などを記憶保持する。データベース102は、作業支援サーバ10とは別個のデータベースサーバにより構成されていてもよい。各支援処理要素は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった後述の演算処理を実行する。
【0019】
(遠隔操作装置の構成)
クライアントを構成する遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、画像出力装置221と、遠隔無線通信機器222と、を備えている。
【0020】
遠隔操作装置20と連携するまたは相互通信機能を有する携帯端末により当該クライアントが構成されていてもよい。当該携帯端末は、作業支援サーバ10との通信機能を有していてもよい。
【0021】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体410を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構430を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0022】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、
図2に示されているように、オペレータが着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、遠隔オペレータOP2が着座できる任意の形態でもよい。
【0023】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右一対の走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一の操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、
図3に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。同様に、
図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータの操作指示によって任意に変更されてもよい。
【0024】
画像出力装置221は、例えば
図2に示されているように、シートStの右斜め前方、前方および左斜め前方のそれぞれに配置された右斜め前方画像出力装置2211、前方画像出力装置2212および左斜め前方画像出力装置2213により構成されている。当該画像出力装置2211~2213は、スピーカ(音声出力装置)をさらに備えていてもよい。
【0025】
(作業機械の構成)
作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース410と、実機出力インターフェース420と、作動機構440と、を備えている。実機制御装置400は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0026】
作業機械40は、例えばクローラショベル(建設機械)であり、図3に示されているように、クローラ式の下部走行体410と、下部走行体410に旋回機構430を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体420と、を備えている。上部旋回体420の前方左側部にはキャブ(運転室)424が設けられている。上部旋回体420の前方中央部には作業アタッチメント440が設けられている。
【0027】
実機入力インターフェース410は、実機操作機構411と、実機撮像装置412と、を備えている。実機操作機構411は、キャブ424の内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ424に設けられている。実機撮像装置412は、例えばキャブ424の内部に設置され、キャブ424のフロントウィンドウ越しに作動機構440の少なくとも一部を含む環境を撮像する。
【0028】
実機出力インターフェース420は、実機無線通信機器422を備えている。
【0029】
作動機構としての作業アタッチメント440は、上部旋回体420に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているバケット445と、を備えている。作業アタッチメント440には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。
【0030】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体420との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット445と当該アーム443との間に介在する。
【0031】
(機能)
前記構成の作業支援システムの機能について
図4および
図5に示されているフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートにおいて「C●」というブロックは、記載の簡略のために用いられ、データの送信および/または受信を意味し、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
【0032】
(第1機能(作業機械の遠隔操作))
遠隔操作装置20において、オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第1指定操作の有無が判定される(
図4/STEP200)。「第1指定操作」は、例えば、作業環境画像(
図7参照)において、オペレータが遠隔操作を意図する作業機械40を指定するための遠隔入力インターフェース210における画像Q1またはQ2のタップなどの操作である。当該判定結果が否定的である場合(
図4/STEP200‥NO)、一連の処理が終了する。その一方、当該判定結果が肯定的である場合(
図4/STEP200‥YES)、遠隔無線通信機器222を通じて、作業支援サーバ10に対して作業環境画像要求が送信される(
図4/STEP202)。作業環境画像要求には、遠隔操作装置20の識別子およびオペレータの識別子のうち少なくとも一方が含まれている。
【0033】
作業支援サーバ10において、作業環境画像要求が受信された場合、第1支援処理要素121により当該作業環境画像要求が該当する作業機械40に対して送信される(
図4/C10)。
【0034】
作業機械40において、実機無線通信機器422を通じて作業環境画像要求が受信された場合(
図4/C41)、実機制御装置400が実機撮像装置412を通じて撮像画像を取得する(
図4/STEP402)。実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて、当該撮像画像を表わす撮像画像データが
作業支援サーバ10に対して送信される(
図4/STEP404)。
【0035】
作業支援サーバ10において、撮像画像データが受信された場合(
図4/C11)、撮像画像データに応じた第1作業環境画像データ(撮像画像そのものの全部または一部またはこれに基づいて生成された模擬的な作業環境画像を表わすデータ)が遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP112)。
【0036】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器222を通じて第1作業環境画像データが受信された場合(
図4/C20)、第2作業環境画像データに応じた第2作業環境画像が画像出力装置221に出力される(
図4/STEP204)。これにより、例えば
図6に示されているように、作動機構としての作業アタッチメント440の一部であるブーム441、アーム443、バケット445およびアームシリンダ444が含まれている作業環境画像が画像出力装置221に表示される。
【0037】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により遠隔操作機構211の操作態様が認識され(
図4/STEP206)、かつ、遠隔無線通信機器222を通じて、当該操作態様に応じた遠隔操作指令が作業支援サーバ10に対して送信される(
図4/STEP208)。
【0038】
作業支援サーバ10において、当該遠隔操作指令が受信された場合、第1支援処理要素121により、当該遠隔操作指令が作業機械40に対して送信される(
図4/C12)。
【0039】
作業機械40において、実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて操作指令が受信された場合(
図4/C42)、作業アタッチメント440等の動作が制御される(
図4/STEP406)。例えば、バケット445により作業機械40の前方の土をすくい、上部旋回体4
20を旋回させたうえでバケット445から土を落とす作業が実行される。
【0040】
(第2機能(経路案内画像の出力))
第1クライアントとしての第1の遠隔操作装置20において、オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた第2指定操作の有無が判定される(
図5/STEP210)。第
2指定操作は、例えば、遠隔入力インターフェース210を通じたタップなどの操作または遠隔操作機構211の操作である。当該判定結果が肯定的である場合(図
5/STEP210‥YES)、遠隔無線通信機器222を通じて、作業支援サーバ10に対して経路案内画像要求が送信される(
図5/STEP212)。
【0041】
「経路案内画像要求」には、第1指定位置P1および第2指定位置P2のそれぞれの緯度および経度を表わすデータが含まれている。第1指定位置P1は、例えば、遠隔入力インターフェース210におけるタップ等の操作により指定された出発位置のほか、第1の遠隔操作装置20と連携している作業機械40の現在位置であってもよい。第2指定位置P2は、例えば、遠隔入力インターフェース210におけるタップ等の操作により指定された立ち寄り位置または目的位置であってもよい。
【0042】
遠隔出力インターフェース220を構成する画像出力装置221において作業現場の大局的な様子を示す第2作業環境画像が出力され、当該第2作業環境画像における任意の箇所に相当する実空間位置が第1指定位置P1および/または第2指定位置P2として指定されてもよい。例えば
図7に示されているように、作業現場の大局的な様子を示す鳥瞰撮像画像または鳥瞰マップが第2作業環境画像として画像出力装置221において出力される。この第2作業環境画像においては、作業現場に存在する作業機械40を表わす画像またはアイコンQ1およびQ2が示されている。また、作業現場における第1指定位置P1および第2指定位置P2が示されている。
【0043】
鳥瞰撮像画像は、例えば無人飛行機に搭載されている撮像装置または作業現場のポール等の構造物に設置されている撮像装置を通じて取得されてもよい。第1作業環境画像としての撮像画像の撮像箇所および画角のそれぞれは任意に変更されてもよい。鳥瞰マップは、鳥瞰撮像画像を基礎として生成されてもよい。
【0044】
作業支援サーバ10において、経路案内画像要求が受信された場合(
図5/C1
3)、第2支援処理要素122により、第1指定位置P1および第2指定位置P2のうち少なくとも一方が認識される(
図5/STEP120)。
【0045】
また、第2支援処理要素122により、第1指定位置P1を基準として広がる第1指定範囲S1および第2指定位置P2を基準として広がる第2指定範囲S2が認識される(
図5/STEP121)。これにより、例えば
図8に示されているように、第2指定位置P2に対して偏向的に広がっている略楕円形状の第1指定範囲S1が設定される。当該楕円の長軸を含む直線に第2指定位置P2が含まれていてもよい。同様に、
図8に示されているように、第1指定位置P1に対して偏向的に広がっている略楕円形状の第2指定範囲S2が設定される。当該楕円の長軸を含む直線に第1指定位置P1が含まれていてもよい。第1指定範囲S1および第2指定範囲S2のそれぞれの基準位置に対する位置、形状およびサイズのそれぞれはさまざまに変更されていてもよい。第1指定範囲S1および第2指定範囲S2のそれぞれのサイズが異なっていてもよい。第1指定範囲S1および第2指定範囲S2は、相互に離間していてもよく、相互に接していてもよく、相互に重なっていてもよい。
【0046】
さらに、第2支援処理要素122により、データベース102から、第1クライアントと連携しているまたは操作対象となっている作業機械40を除く、複数の作業機械40のそれぞれの位置の時系列である位置軌道が認識される(
図5/STEP122)。これにより、例えば
図8に示されているように、作業機械40の3つの位置軌道T1~T3が認識される。作業機械40の位置軌道は、当該作業機械40に搭載されているGPS、必要に応じて加速度センサを利用した測位装置により測定される。作業機械40において測定された当該作業機械40の位置軌道は、適当なタイミングで作業機械40から直接的に、または、作業機械40と連携している遠隔操作装置20(クライアント)を介して間接的に、当該クライアントの識別子またはオペレータの識別子とともに作業支援サーバ10に対して送信され、データベース102に登録される。
【0047】
第2支援処理要素122により、第1クライアントを除く複数のクライアントの中から第2クライアントが選定される(
図5/STEP123)。具体的には、遠隔操作装置20(クライアント)との連携期間における作業機械40の位置軌道が、第1指定範囲S1および第2指定範囲S2のうち少なくとも一方に重なっていることを要件として、当該遠隔操作装置20または当該遠隔操作装置20を操作していたオペレータのクライアントが第2クライアントとして選定される。
【0048】
例えば
図8に示されているように、作業機械40の位置軌道T2が第1指定範囲S1に重なっている場合、当該位置軌道T2に対応する期間において当該作業機械40(第2作業機械)と連携していた遠隔操作装置20(クライアント)またはそのオペレータのクライアントが、位置軌道T2に関連付けられている識別子に基づいて第2クライアントとして選定される。また、同じく
図8に示されているように、作業機械40の位置軌道T3が第1指定範囲S1および第2指定範囲S2に重なっている場合、当該位置軌道T3に対応する期間において当該作業機械40(第2作業機械)と連携していた遠隔操作装置20(クライアント)またはそのオペレータのクライアントが、位置軌道T3に関連付けられている識別子に基づいて第2クライアントとして選定される。
【0049】
該当するクライアントが存在しない場合、例えば、第1指定範囲S1および第2指定範囲S2のうち少なくとも一方が拡張されたうえで第2クライアントの選定が試みられてもよい。また、第1指定位置P1および第2指定位置P2のそれぞれに対する距離が最短の位置軌道を有する作業機械40(第2作業機械)に対応するクライアントが第2クライアントとして選定されてもよい。さらに、作業機械40を遠隔操作して走行させた合計距離または作業機械40の遠隔操作時間などに応じて評価されるスキルスコアが基準値以上であるオペレータのクライアントが識別子に基づいて第2クライアントとして選定されてもよい。第1クライアントに最も近くにあるクライアントが第2クライアントとして選定されてもよい。
【0050】
第2支援処理要素122により、第2クライアントとして選定された第2の遠隔操作装置20に対して、経路案内画像要求が送信される(
図5/STEP124)。この際、作業現場の大局的な様子を表わす第2作業環境画像データも当該遠隔操作装置20に対して送信される。
【0051】
第2クライアント(第2の遠隔操作装置20)において、遠隔無線通信機器222を通じて経路案内画像要求が受信された場合(
図5/C220)、第2作業環境画像データに応じた第2作業環境画像が画像出力装置221に出力される(
図5/STEP220)。これにより、例えば
図7に示されているように、作業現場の大局的な様子を示す鳥瞰撮像画像または鳥瞰マップが第2作業環境画像として画像出力装置221において出力される。この第2作業環境画像においては、作業現場に存在する作業機械40を表わす画像またはアイコンQ1およびQ2が示されている。また、作業現場における第1指定位置P1および第2指定位置P2が示されている。
【0052】
遠隔制御装置200により、遠隔入力インターフェース210における操作を通じて、第1指定位置P1および第2指定位置P2の間で延在する案内経路Rが指定されたか否かが判定される(
図5/STEP222)。例えば、遠隔入力インターフェース210および遠隔出力インターフェース220の両方を構成するタッチパネルにおいて、オペレータの指先またはペンの軌跡が認識されることにより、案内経路Rの延在態様が認識されてもよい。これにより、例えば
図10に示されているように、第2作業環境画像において第1指定位置P1および第2指定位置P2の間で延在する曲線状の案内経路Rがオペレータにより指定されうる。
【0053】
ペン等の軌跡の始端位置および第1指定位置P1は同一でなくてもよく、両者の間隔が一定間隔以内であれば、当該軌跡が案内経路Rとして認識されうる。ペン等の軌跡の終端位置および第2指定位置P2は同一でなくてもよく、両者の間隔が一定距間隔以内であれば、当該軌跡が案内経路Rとして認識されうる。さらに、ペン等の軌跡にしたがって作業機械40が移動した場合、当該作業機械40が作業現場において資材等の物体と接触する可能性または当該作業機械40が深い窪地に進入する可能性などの有無が、第2作業環境画像の画像解析によって判定され、当該可能性がないことを要件として当該軌跡が案内経路Rとして認識されてもよい。
【0054】
第当該判定結果が肯定的である場合(
図5/STEP222‥YES)、遠隔制御装置200により、案内経路Rを表わすデータが、遠隔出力インターフェース220を構成する遠隔無線通信機器222により、作業支援サーバ10に対して送信される(
図5/STEP224)。
【0055】
作業支援サーバ10において、案内経路Rを表わすデータが受信された場合(
図5/C1
4)、第2支援処理要素122により、当該案内経路Rに基づき経路案内画像が生成される(
図5/STEP126)。
【0056】
これにより、例えば
図9に示されているように、第1クライアントと連携している作業機械40(第1作業機械)の周囲における作業現場の局所的な様子を示す第1作業環境画像(周辺画像)において、案内経路Rの方向を示す方向指示画像Mが経路案内画像として生成されてもよい。この場合、実空間座標系(または第2作業環境画像座標系)における作業機械40の周辺における案内経路Rの始端部等の一部分の位置および姿勢が座標変換されることにより、第1作業環境座標系における当該案内経路Rの一部の位置および姿勢が認識または算定される。当該座標変換に際して、実空間座標系における作業機械40、ひいては作業機械座標系の位置および姿勢を表わす第1座標変換因子(行列またはクォータニオン)と、作業機械座標系における撮像装置412の位置および姿勢を表わす第2座標変換因子と、が用いられる。第1座標変換因子は、第2作業環境画像における作業機械40の位置および姿勢、または、作業機械40に搭載されている測位センサおよび方位センサのそれぞれにより測定された当該作業機械40の実空間位置および実空間姿勢に基づいて認識される。第2座標変換因子は、作業機械40の実機制御装置400を構成する記憶装置に格納されているまたはデータベース102に作業機械40の識別子と関連付けられて登録されている、当該作業機械40における撮像装置412の搭載位置および姿勢に基づいて認識される。
【0057】
また、例えば
図10に示されているように、作業現場の大局的な様子を示す第2作業環境画像において、第1指定位置P1および第2指定位置P2の間における案内経路Rの延在態様を示す画像が経路案内画像として生成される。
【0058】
さらに、第2支援処理要素122により、経路案内画像を表わすデータが第1クライアント(第1の遠隔操作装置20)に対して送信される(
図5/STEP128)。
【0059】
第1クライアント(第1の遠隔操作遠隔操作装置20)において、遠隔出力インターフェース220を構成する遠隔無線通信機器222により経路案内画像データが受信された場合(
図5/C210)、遠隔出力インターフェース220を構成する画像出力装置221において作業環境画像が出力される(
図5/STEP214)。これにより、例えば
図9に示されている第1作業環境画像に基づく経路案内画像と、
図10に示されている第2作業環境画像に基づく経路案内画像と、のうち少なくとも一方が画像出力装置221において出力される。
【0060】
当該構成の作業支援システムおよびこれを構成する作業支援サーバ10によれば、第1クライアント(第1の遠隔操作装置20)と連携している第1作業機械40からの経路案内要求が受け付けられる(
図5/STEP212→C13参照)。第2クライアント(第2の遠隔操作装置20)の入力インターフェース210を通じて第1指定位置P1および第2指定位置P2の間で延在する案内経路Rが指定されうる(
図5/STEP222および
図10参照)。そして、案内経路Rに応じた経路案内情報が第1クライアントの出力インターフェース2
20に出力される(
図5/STEP214、
図9および
図10参照)。
【0061】
このため、例えば、第1の遠隔操作装置20を用いて作業機械40を運転操作しているオペレータが、第2クライアントが割り当てられた他のオペレータから、第1指定位置P1および第2指定位置P2の間で第1作業機械を移動させるための助言または指示を直感的に認識することができる。
【0062】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では、作業支援サーバ10が、遠隔操作装置20および作業機械40のそれぞれとは別個の一または複数のサーバにより構成されていたが(
図1参照)、他の実施形態として、作業支援サーバ10が、遠隔操作装置20または作業機械40の構成要素であってもよい。作業支援サーバ10の各構成要素121および122のそれぞれが、遠隔操作装置20および作業機械40のうちの相互通信可能な2つ以上のそれぞれの機器の構成要素であってもよい。
【0063】
前記実施形態では、作業支援サーバ10において第2支援処理要素122により、案内経路Rの実空間座標系または第2撮像座標系における延在態様を表わすデータに基づき、経路案内画像が生成されたが(
図5/STEP126)、他の実施形態として、第2支援処理要素122により第1クライアントに対して当該データが送信され、当該第1クライアントにおける遠隔
操作装置20により当該データに基づき、経路案内画像が生成されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10‥作業支援サーバ、20‥遠隔操作装置(クライアント)、40‥作業機械、102‥データベース、121‥第1支援処理要素、122‥第2支援処理要素、210‥遠隔入力インターフェース、220‥遠隔出力インターフェース、410‥実機入力インターフェース、412‥実機撮像装置、420‥実機出力インターフェース、440‥作業アタッチメント(作動機構)。