(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20231129BHJP
F24F 1/0067 20190101ALI20231129BHJP
F24F 1/0068 20190101ALI20231129BHJP
F24F 13/30 20060101ALI20231129BHJP
F24F 13/24 20060101ALI20231129BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20231129BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F24F1/0007 401A
F24F1/0067
F24F1/0068
F24F13/30
F24F13/24 242
F25B39/00 D
F28D1/047 B
(21)【出願番号】P 2019217543
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】弁理士法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 弘憲
(72)【発明者】
【氏名】平尾 貴行
(72)【発明者】
【氏名】根津 健太
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-203181(JP,A)
【文献】特開平08-014650(JP,A)
【文献】特開2005-180904(JP,A)
【文献】特開2008-014613(JP,A)
【文献】特開2009-198034(JP,A)
【文献】実開昭52-052852(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第03379156(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 1/0067
F24F 1/0068
F24F 13/30
F24F 13/24
F25B 39/00
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吹出口と空気吸込口をつなぐ空気流通路を形成する天面板と、底面板と、右側面板と、左側面とを備え、前記空気吹出口側が送風機室となり前記空気吸込口側が熱交換器室となるように前記空気流通路が仕切板で区画された筐体と、前記送風機室内に配置された送風機と、前記熱交換器室内に
前記仕切板に対してフィン面が傾斜して配置された平板型の熱交換器とを有する空気調和機の室内機において、
前記熱交換器は、一方の端部が折り返し配管で接続され他方の端部がヘアピン形状に折り返されることで並列に配置された複数のフィン側冷媒配管を有し該複数のフィン側冷媒配管に溶接された複数のフィンの端部が並ぶフィン面が露出する熱交換器本体と、前記フィン側冷媒配管の前記一方の端部を保持する第1側板と、前記フィン側冷媒配管の前記他方の端部を保持する第2側板と、前記熱交換器本体の前記フィン面と直交する方向に伸びるように第1辺が前記第1側板に取り付けられる遮音板と、前記第1側板を前記筐体に取り付けるための第1取付板と、前記第2側板を前記筐体に取り付けるための第2取付板とを備え、
前記遮音板は、前記第1側板に平行な第1辺と、該第1辺に沿った第1ラインに交わる第2ラインに沿った第2辺と、前記第1ラインと前記第2ラインに交わり前記第1ラインとの間の角度で前記熱交換器本体の前記天面板に対する前記傾斜の角度を決める第3ラインに沿った第3辺とを有し、
前記第1側板の前記熱交換器本体から最も離れた第1端部と、前記遮音板の前記第3辺と、前記第2側板の前記熱交換器本体から最も離れた第2端部とで囲まれた平面が、前記熱交換器本体の前記フィン面から離れていることを特徴とする室内機。
【請求項2】
請求項1に記載の室内機において、
前記遮音板の前記第3辺を水準線に平行に支持した際に、前記熱交換器本体の重心点に対応する前記第1側板の点から垂下する第4ラインが、前記第3辺を通過することを特徴とする室内機。
【請求項3】
請求項2に記載の室内機において、
前記第1側板の側において、前記フィン側冷媒配管に接続される
筐体内冷媒配管が配置され、前記遮音板の前記第3辺を前記水準線に平行に支持した際に、前記筐体内冷媒配管が前記第3辺よりも前記第1側板側に後退していることを特徴とする室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、熱交換器、送風機、圧縮機等を備えた室外機と、その室外機に冷媒配管によって接続される熱交換器、送風機等を備えた室内機により構成される。そして、ダクト型の室内機は、吹出ダクトが接続される筐体の空気吹出口側に送風機が配置され、吸込ダクトが接続される空気吸込口側に熱交換器が配置され、送風機を駆動することで、吸込ダクトを経由して空気吸込口から吸い込んだ室内の空気を、熱交換器によって所定の温度に冷却又は加熱し、空気吹出口から吹出ダクトを経由して室内に吹き出している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、室内機に組み込まれる熱交換器に平板型のフィンチューブ型熱交換器を使用する際は、複数枚のフィンが溶接されたフィン側冷却配管が内部に複数本並列配置された熱交換器本体に側板や遮音板等の必要部品を組み付ける際に、その熱交換器本体内のフィンの端部を作業台に接触させる姿勢でその作業台の上に仮置している。このため、その熱交換器本体を作業台に置くときやその後の部品組付け作業でフィンが潰れてしまう恐れがある。
【0005】
また、熱交換器本体のフィン側冷媒配管に、熱交換器本体の外側に取り付けられる筐体内冷媒配管を溶接した後は、その筐体内冷媒配管が外力で変形してしまわないように、熱交換器本体のフィンの端部を特別な治具によって作業台から浮かせる必要があり、当該治具が必要となっている。
【0006】
さらに、室内機の筐体の上下の高さを削減するために、熱交換器本体を空気吸込口の方向に傾斜させて室内機の筐体に組み込む際は、熱交換器本体の傾斜姿勢を保持し続ける必要があり、筐体への組み込みが困難で手間がかかっていた。
【0007】
本発明の目的は、熱交換器本体のフィン潰れを防止し、熱交換器の組み込み時に余分な治具が必要なく、筐体内への熱交換器の組み込みも容易となった室内機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態は、空気吹出口と空気吸込口をつなぐ空気流通路を形成する天面板と、底面板と、右側面板と、左側面とを備え、前記空気吹出口側が送風機室となり前記空気吸込口側が熱交換器室となるように前記空気流通路が仕切板で区画された筐体と、前記送風機室内に配置された送風機と、前記熱交換器室内に前記仕切板に対してフィン面が傾斜して配置された平板型の熱交換器とを有する空気調和機の室内機において、前記熱交換器は、一方の端部が折り返し配管で接続され他方の端部がヘアピン形状に折り返されることで並列に配置された複数のフィン側冷媒配管を有し該複数のフィン側冷媒配管に溶接された複数のフィンの端部が並ぶフィン面が露出する熱交換器本体と、前記フィン側冷媒配管の前記一方の
端部を保持する第1側板と、前記フィン側冷媒配管の前記他方の端部を保持する第2側板と、前記熱交換器本体の前記フィン面と直交する方向に伸びるように第1辺が前記第1側板に取り付けられる遮音板と、前記第1側板を前記筐体に取り付けるための第1取付板と、前記第2側板を前記筐体に取り付けるための第2取付板とを備え、前記遮音板は、前記第1側板に平行な第1辺と、該第1辺に沿った第1ラインに交わる第2ラインに沿った第2辺と、前記第1ラインと前記第2ラインに交わり前記第1ラインとの間の角度で前記熱交換器本体の前記天面板に対する前記傾斜の角度を決める第3ラインに沿った第3辺とを有し、前記第1側板の前記熱交換器本体から最も離れた第1端部と、前記遮音板の前記第3辺と、前記第2側板の前記熱交換器本体から最も離れた第2端部とで囲まれた平面が、前記熱交換器本体の前記フィン面から離れていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1側板の熱交換器本体から最も離れた第1端部と、遮音板の第3辺と、第2側板の熱交換器本体から最も離れた第2端部とで囲まれた平面が、熱交換器本体のフィン面から離れているので、それら第1側板の第1端部、遮音板の第3辺、および第2側板の第2端部を作業台に載せることで、熱交換器本体のフィンが作業台に接触して潰れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施例の背面板を取り外した状態の室内機を空気吸込口側の下から見た斜視図である。
【
図2】本実施例の背面板を取り外した状態の室内機を空気吹出口側の下から見た斜視図である。
【
図3】後側下面板と前面板を取り外し上下反転した本実施例の室内機の斜視図である。
【
図4】上下反転した本実施例の室内機の筐体に熱交換器を組み込む際の斜視図である。
【
図5】本実施例の室内機の熱交換器の組立説明図である。
【
図6】本実施例の室内機の熱交換器の筐体内冷媒配管の溶接前の左側面図である。
【
図7】
図4の熱交換器に筐体内冷媒配管を溶接した状態の組立説明図である。
【
図8】本実施例の室内機の熱交換器の筐体内冷媒配管を溶接した状態の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例の室内機100を説明する。室内機100は、
図1~
図4に示すように、筐体110、送風機120、熱交換器130を備える。筐体110は、空気吹出口111と空気吸込口112をつなぐ空気流通路を形成し、天面を閉じる天面板113、底面を閉じる底面板114、右側面を閉じる右側面板115、左側面を閉じる左側面116を有する。空気吹出口111には吹出ダクト取付枠(図示せず)が取り付けられ、空気吸込口112には吸込ダクト取付枠111aが取り付けられている。
【0012】
この筐体110の内部は、
図3、
図4に示すように、空気吹出口111側が送風機室110Aとなり、空気吸込口112側が熱交換器室110Bとなるように、仕切板117によって区画されている。この仕切板117には、送風機室110Aと熱交換器室110Bを連通する2つの開口117a,117bが形成されている。118は室内機100を天井に吊るすための吊金具であり、右側面板115と左側面板116に取り付けられている。
【0013】
また、底面板114は、
図1に示すように、前側底面板114Aと後側底面板114Bを組み合わせたものであり、前側底面板114Aを取り外せば送風機室110Aの下面が開放され、後側底面板114Bを取り外せば熱交換器室110Bの下面が開放されるようになっている。
【0014】
また、左側面板116は、
図1~
図3に示すように、前側左側面板116Aと後側左側面板116Bを組み合わせたものであり、前側左側面板116Aを取り外せば送風機室110Aの左側面が開放され、後側左側面板116Bを取り外せば熱交換器室110Bの左側面が開放されるようになっている。
【0015】
送風機120は送風機室110A内に配置され、図示しないモータの回転軸に取り付けられた2個のシロッコファン121,122を有する。
図4では一方のシロッコファン121が一部見えているが、他方のシロッコファン122は前側底面板114Aによって隠れている。このシロッコファン121,122のファンケーシング121a,122aは、
図4に示すように、仕切板117の開口117a,117bに接続されている。
【0016】
熱交換器130は熱交換器室110B内に配置され、空気吸込口112に対して
図3に示すように、例えば上端部が下端部より離れるようにほぼ45度傾斜して配置される平板型の熱交換器本体131、
図7に示すように、その熱交換器本体131内に並列配置された複数のフィン側冷媒配管(図示せず)の配列方向の一方の端部にそのフィン側冷媒配管の折返し配管131aを保持するために取り付けられた第1側板132、フィン側冷媒配管の同じ配列方向の他方の端部にフィン側冷媒配管のヘアピン形折返し端部を保持するために取り付けられた第2側板133、熱交換器本体131のフィン側冷媒配管に溶接された複数のフィン端部が並ぶフィン面131cに直交する方向に伸びるように第1側板132に取り付けられる遮音板134、
図4に示すように、第1側板132の遮音板134と反対側を熱交換器室110B内に取り付けるための90度曲折した第1取付板135、第2側板133を熱交換器室110B内に取り付けるための平板形状の第2取付板136を備える。140は第1側面板132に露出するフィン側冷媒配管の端部137に接続され結合ナット141が後側左側面板116Bから引き出される筐体内冷媒配管である。
【0017】
第1側板132、第2側板133には、
図5、
図6、
図8等に示すように、熱交換器130を筐体110に組み込んだ際に、
底面板114に接する上端131bの側に伸びる延長片132a,133aが形成されている。
【0018】
遮音板134は、
図6に示すように、第1側板132に平行な、つまり熱交換器本体131のフィン面131cに平行な第1辺134aと、第1辺134aに沿った第1ラインL1に、第1側板132の延長片132aと反対側の端部132bの側で交わる第2ラインL2に沿った第2辺134bと、第1ラインL1と第2ラインL2に交わる第3ラインL3に沿った第3辺134cとを有する多角形である。第1ラインL1と第3ラインL3の交わる角度によって、熱交換器本体131の傾斜の角度が設定される。
【0019】
さて、熱交換器130の組み立てに際しては、熱交換器本体131の一方の端部に第1側板132が取り付けられ他方の端部に第2側板133が取り付けられた状態で、第1側板132の側に遮音板134を取り付けると、
図5に示すように組み立てられる。このとき、第1側板132の延長片132aの第1端部132a1と、遮音板134の第3辺134cと、第2側板133の延長片133aの第2端部133a1の3つで囲まれる平面A1が、フィン面131cから離れた面となる。
【0020】
よって、熱交換器本体131、第1側板132、第2側板133、遮音板134の組立体を作業台(図示せず)の上面に載せたとき、熱交換器本体131のフィン面131cが作業台の上面から完全に浮いた状態となるので、そのフィン面131cが作業台に接触してフィンが潰れる恐れは皆無となる。
【0021】
また、作業台の上面が水準線(静水面のライン)に平行な場合は、遮音板134の第3辺134cをその作業台の上面に載せたとき、第3ラインL3が水準線となり、熱交換器本体131の重心点に対応する第1側板132の点P1から垂下する第4ラインL4が、遮音板134の第3辺134cを横切るようにする。これによって、作業台の上面に載せた組立体は、いずれの方向にも傾かず、安定した姿勢を保持する。なお、熱交換器本体131の重心点に対応する第1側板132の点P1から垂下する第4ラインL4が、遮音板134の第3辺134cを横切らないような場合(第1ラインL1と第3ラインL3の角度で決まる)は、作業台の上面に載せた組立体は姿勢が不安定となる。
【0022】
このような姿勢で作業台の上面に、熱交換器本体131、第1側板132、第2側板133、遮音板134の組立体を載せてから、第1側板132の側のフィン側冷媒配管の端部137に筐体内冷媒配管140を接続する。
【0023】
このとき、その筐体内冷媒配管140は、
図8に示すように、その上側(
図8では下側)の配管142が、遮音板134の第3辺134cよりも第1側板132の側に後退して、第3辺134cから張り出さないような形状にする。これによって、熱交換器本体131、第1側板132、第2側板133、遮音板134、筐体内冷媒配管140の組立体を作業台の上面に載せても、筐体内冷媒配管140が作業台に当接することはなく、その筐体内冷媒配管140の変形を防止できる。
【0024】
次に、
図4に示すように、第1側板132の遮音板134と反対側にL字形状に曲折した第1取付板135を取り付け、第2側板132に第2取付板136を取り付ける。そして、以上のようにして組み立てられた熱交換器130を
図4に示すように筐体110の熱交換器室110Bに配置すると、
図3に示すように熱交換器本体131が傾斜した姿勢となる。このとき、遮音板134はその
第2辺134bが天面板113に当接し(図示せず)、熱交換器本体131の天面板113に対する傾斜角度を保持する。この後、第1取付板135と第2取付板136を吸込ダクト取付枠112aに取り付け、後側下面板114Bを取り付ければ、
図1に示すように組み立てられた室内機100を得ることができる。
【0025】
本実施例によれば、第1側板132の熱交換器本体131から最も離れた第1端部132a1と、遮音板134の第3辺134cと、第2側板133の熱交換器本体131から最も離れた第2端部133a1とで囲まれる平面A1が、熱交換器本体131のフィン面131cから離れているので、第1側板132の第1端部132a1、遮音板134の第3辺134c、および第2側板133の第2端部133a1の部分を作業台に載せても、熱交換器本体131のフィン面131cが作業台に接触してフィンが潰れることを防止できる。このとき、フィン側冷媒配管の端部137に接続される筐体内冷媒配管140は遮音板134によって作業台から浮かせることができるので、筐体内冷媒配管140が作業台に当接して変形することを防止できる。これらのため、熱交換器本体131や筐体内冷媒配管140を作業台から浮かせるための特別な治具を必要としない。また、熱交換器本体131は筐体110の熱交換器室110B内に配置した際に遮音板134によって傾斜姿勢が保持されるので、筐体110内への組み込みを短時間で実施できる。このとき、第1取付板135、第2取付板136によっても傾斜姿勢が保持される。
【符号の説明】
【0026】
100:室内機
110:筐体、111:空気吹出口、112:空気吸込口、112a:吸込ダクト取付枠、113:天面板、114:底面板、114A:前側底面板、114B:後側底面板、115:右側面板、116:左側面板、116A:前側左側面板、116B:後側左側面板、117:仕切板、117a,117b:開口、118:吊金具
120:送風機、121,122:シロッコファン、121a.122a:ファンケーシング
130:熱交換器、131:熱交換器本体、131a:折返し配管、131b:下端、131c:フィン面、132:第1側板、133:第2側板、134:遮音板、135:第1取付体、136:第2取付体、137:フィン側冷媒配管の端部
140:筐体内冷媒配管