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特許7392448読取装置、デカールシステム、画像形成システム、およびカール状態検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】読取装置、デカールシステム、画像形成システム、およびカール状態検出方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20231129BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231129BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B65H29/70
G03G21/00 370
B65H7/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019227295
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021095246
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】平田 大樹
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-074522(JP,A)
【文献】特開2011-190111(JP,A)
【文献】特開2018-097213(JP,A)
【文献】特開2005-255308(JP,A)
【文献】特開2009-173383(JP,A)
【文献】特開2016-212313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
G03G 21/00
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の一方の面を読み取る第1読取部と、
前記記録媒体の他方の面を読み取る第2読取部と、
前記第1読取部により読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、前記第2読取部により読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、に基づいて、前記記録媒体のカール状態を検出する制御部と、
を有する読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1読取部による読取結果に含まれる前記記録媒体の外形における前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の所定の方向における中央部分と端部との前記記録媒体の前記所定の方向に直交する幅方向の長さの第1差分値と、前記第2読取部による読取結果に含まれる前記記録媒体の外形における前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の所定の方向における中央部分と端部との前記記録媒体の前記所定の方向に直交する幅方向の長さの第2差分値と、に基づいて、前記記録媒体のカール状態を検出する、請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記記録媒体を搬送する搬送部をさらに有し、
前記第1読取部および前記第2読取部は、前記搬送部により所定の方向へ搬送される前記記録媒体の前記一方の面および前記他方の面をそれぞれ読み取る、請求項1または2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の前記端部の画像幅と前記中央部分の画像幅との前記第1差分値と、前記第2読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の前記端部の画像幅と前記中央部分の画像幅との前記第2差分値との差に基づいて、前記カール状態を検出する、請求項2に記載の読取装置。
【請求項5】
前記記録媒体を反転させる反転部をさらに有し、
前記第1読取部と前記第2読取部は共通の読取部であり、前記記録媒体の前記一方の面が前記読取部で読み取られた後、前記反転部により反転された前記記録媒体の前記他方の面を前記読取部で読み取る、請求項1~4のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
前記制御部により検出された前記カール状態を送信する送信部をさらに有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の読取装置と、
前記記録媒体のカールを矯正するデカール装置と、を有し、
前記デカール装置は、前記送信部から受信した前記カール状態に基づいて制御されるデカール部を備える、デカールシステム。
【請求項8】
前記デカール装置は前記読取装置に対し、前記記録媒体の搬送方向の上流に配置され、
前記デカール装置は、受信した前記カール状態に基づいて、前記デカール部を制御する、請求項7に記載のデカールシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の端部の画像幅と中央部分の画像幅との第1差分値と、前記第2読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の前記端部の画像幅と前記中央部分の画像幅との第2差分値との差をジョブの実行中に継続的に算出し、
前記デカール装置は、前記差が所定の閾値以下になるように、前記ジョブの実行中に継続的に前記デカール部を制御する、請求項8に記載のデカールシステム。
【請求項10】
前記デカール装置は、前記カール状態と、前記記録媒体の坪量、剛度、およびサイズの少なくともいずれかの情報と、に基づいて、前記デカール部を制御する、請求項9に記載のデカールシステム。
【請求項11】
前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
請求項7~10のいずれか一項に記載のデカールシステムと、を有する画像形成システム。
【請求項12】
記録媒体の一方の面を読み取る段階(a)と、
前記記録媒体の他方の面を読み取る段階(b)と、
前記段階(a)において読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、前記段階(b)において読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、に基づいて、前記記録媒体のカール状態を検出する段階(c)と、
を有するカール状態検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、デカールシステム、画像形成システム、およびカール状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、用紙にトナー画像を転写した後、加熱および加圧する定着処理を行うことで、用紙に画像を形成する。定着処理においては、用紙が定着装置の定着ニップで加熱および加圧されることで、用紙にカールが生じる場合がある。また、画像形成される用紙の保管環境によっても用紙にカールが生じ得る。カールが生じた用紙は、印刷品質の低下、積載不良、およびジャムの原因となったり、画像形成後の綴じ処理などの後処理を適正に行うことを困難にする可能性がある。
【0003】
用紙のカールを検出等する技術としては、下記特許文献に記載されたものがある。特許文献1には、用紙を読み取ることで得られた用紙画像のサイズを、基準値である用紙サイズと比較することで用紙のカール量を検出する技術が開示されている。特許文献2には、画像が形成された用紙の搬送路に沿ってカール検知コロを設け、搬送される用紙との接離に伴うカール検知コロの上下動を圧電素子により圧力として検知し、検知された圧力の変化に基づいて用紙のカール量を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-97213号公報
【文献】特開2015-214401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された先行技術は、基準値である用紙サイズからのズレに基づいてカール状態を検出するため、定着処理により用紙を加熱および加圧することで用紙が伸縮する場合等において、用紙のカールを正確に検出できない可能性がある。また、特許文献2に開示された先行技術は、用紙の剛度等により検出される圧力が変わることから、同様に、用紙のカールを正確に検出できない可能性がある。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、用紙のカール状態を正確に検出可能な読取装置、デカールシステム、画像形成システム、およびカール状態検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0008】
(1)記録媒体の一方の面を読み取る第1読取部と、前記記録媒体の他方の面を読み取る第2読取部と、前記第1読取部により読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、前記第2読取部により読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、に基づいて、前記記録媒体のカール状態を検出する制御部と、を有する読取装置。
【0009】
(2)前記制御部は、前記第1読取部による読取結果に含まれる前記記録媒体の外形における前記エッジ形状に基づいて前記第1差分値を算出し、前記第2読取部による読取結果に含まれる前記記録媒体の外形における前記エッジ形状に基づいて前記第2差分値を算出する、上記(1)に記載の読取装置。
【0010】
(3)前記記録媒体を搬送する搬送部をさらに有し、前記第1読取部および前記第2読取部は、前記搬送部により前記所定の方向へ搬送される前記記録媒体の前記一方の面および前記他方の面をそれぞれ読み取る、上記(1)または(2)に記載の読取装置。
【0011】
(4)前記制御部は、前記第1読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の前記端部の画像幅と前記中央部分の画像幅との前記第1差分値と、前記第2読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の前記端部の画像幅と前記中央部分の画像幅との前記第2差分値との差に基づいて、前記カール状態を検出する、上記(2)に記載の読取装置。
【0012】
(5)前記記録媒体を反転させる反転部をさらに有し、前記第1読取部と前記第2読取部は共通の読取部であり、前記記録媒体の前記一方の面が前記読取部で読み取られた後、前記反転部により反転された前記記録媒体の前記他方の面を前記読取部で読み取る、上記(1)~(4)のいずれかに記載の読取装置。
【0013】
(6)前記制御部により検出された前記カール状態を送信する送信部をさらに有する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の読取装置。
【0014】
(7)上記(6)に記載の読取装置と、前記記録媒体のカールを矯正するデカール装置と、を有し、前記デカール装置は、前記送信部から受信した前記カール状態に基づいて制御されるデカール部を備える、デカールシステム。
【0015】
(8)前記デカール装置は前記読取装置に対し、前記記録媒体の搬送方向の上流に配置され、前記デカール装置は、受信した前記カール状態に基づいて、前記デカール部を制御する、上記(7)に記載のデカールシステム。
【0016】
(9)前記制御部は、前記第1読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の前記端部の画像幅と前記中央部分の画像幅との前記第1差分値と、前記第2読取部により読み取られた前記記録媒体の画像における、前記記録媒体の外形の前記エッジ形状に基づいて算出した、前記記録媒体の前記端部の画像幅と前記中央部分の画像幅との前記第2差分値との差をジョブの実行中に継続的に算出し、前記デカール装置は、前記差が所定の閾値以下になるように、前記ジョブの実行中に継続的にデカール部を制御する、上記(8)に記載のデカールシステム。
【0017】
(10)前記デカール装置は、前記カール状態と、前記記録媒体の坪量、剛度、およびサイズの少なくともいずれかの情報と、に基づいて、前記デカール部を制御する、上記(9)に記載のデカールシステム。
【0018】
(11)前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、上記(7)~(10)のいずれかに記載のデカールシステムと、を有する画像形成システム。
【0019】
(12)記録媒体の一方の面を読み取る段階(a)と、前記記録媒体の他方の面を読み取る段階(b)と、前記段階(a)において読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、前記段階(b)において読み取られた前記記録媒体の外形におけるエッジ形状と、に基づいて、前記記録媒体のカール状態を検出する段階(c)と、を有するカール状態検出方法。
【発明の効果】
【0020】
記録媒体の両面を読み取り、読み取られた一方の面の外形と他方の面の外形とに基づいて、記録媒体のカール状態を検出する。これにより、記録媒体のカール状態を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る画像形成システムの構成を示す概略図である。
図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3】読取装置の構成を示すブロック図である。
図4A】第1読取画像を示す図である。
図4B】第2読取画像を示す図である。
図5】用紙のカール量と、第1差分値および第2差分値との関係を示すグラフである。
図6】読取装置の構成を示す概略図である。
図7】読取装置の他の例の構成を示すブロック図である。
図8】デカール装置の構成を示すブロック図である。
図9】画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
(画像形成システム100)
図1は、実施形態に係る画像形成システム100の構成を示す概略図である。図2は、画像形成装置110の構成を示すブロック図である。図3は、読取装置130の構成を示すブロック図である。
【0024】
画像形成システム100は、画像形成装置110、デカール装置120、読取装置130、後処理装置140、および給紙装置150を備える。デカール装置120、読取装置130、後処理装置140、および給紙装置150は、それぞれ制御部(デカール装置の制御部121(図8参照)、および読取装置130の制御部131(図7参照)以外は図示せず)を備え、当該制御部と画像形成装置110の制御部10とが協働することで画像形成システム100の全体が制御され得る。なお、画像形成装置110の制御部10により、直接に、デカール装置120、読取装置130、後処理装置140、および給紙装置150が制御されることで、画像形成システム100全体が制御されてもよい。
【0025】
画像形成装置110は記録媒体に画像形成(印刷)を行う。以下、記録媒体として用紙Sを例示して説明する。画像形成装置110は、用紙Sに画像を形成する。デカール装置120は、用紙Sに生じたカールをデカール(矯正)する。読取装置130は、用紙Sに形成された画像を読み取る。後処理装置140は画像形成された用紙Sに対して、綴じ部90による綴じ処理等の後処理を行う。給紙装置150は給紙トレイ41と共に、収納している用紙Sを画像形成部30へ供給する。なお、これらの装置は、一体として構成されてもよく、別体として構成されてネットワークで相互に接続されてもよい。また、これらの装置は、それぞれ他の装置を含んで構成されてもよい。従って、例えば、画像形成装置110は、デカール装置120および読取装置130を含んで構成され得る。また、読取装置130はデカール装置120を含んで構成され得る。画像形成システム100は、プロダクションプリント機であり得る。
【0026】
(画像形成装置110)
図2に示すように、画像形成装置110は、制御部10、記憶部20、画像形成部30、給紙搬送部40、操作表示部50、および通信部60を有する。これらは、信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。
【0027】
制御部10は、CPUであり、プログラムに従って各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部10の具体的な制御については後述する。
【0028】
記憶部20は、各種プログラムや各種データを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、および各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等から構成される。
【0029】
画像形成部30は、中間転写ベルト31、感光体ドラム32、現像部33、書込部34、2次転写部35、および定着部36を備える。
【0030】
感光体ドラム32、現像部33、および書込部34は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各基本色に対応した構成をそれぞれ備える。図1では、感光体ドラム32、現像部33については、符号32(Y)、33(Y)以外の符号の表記を省略している。
【0031】
書込部34は、画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム32の表面を露光し、静電潜像を形成する。現像部33では、形成された静電潜像を現像部33のトナーにより現像して、各感光体ドラム32の表面に各色のトナー画像を形成する。これを各色の1次転写部(図示せず)で中間転写ベルト31上に順次重ねてゆき、フルカラーのトナー画像を形成する。このトナー画像は、2次転写部35で用紙S上に転写される。その後、トナー画像が形成された用紙Sは、定着部36へ搬送されて、定着部36で加熱・加圧処理することで用紙S上にフルカラーの画像を定着する。
【0032】
給紙搬送部40は、給紙トレイ41、搬送路42、複数の搬送ローラー、および、これを駆動する駆動モーター(図示せず)を備える。なお、説明を簡単にするために、デカール装置120、読取装置130、後処理装置140、および給紙装置150において用紙Sが搬送される搬送路も符号42を表記して説明する。
【0033】
給紙搬送部40は、駆動モーターの駆動によってそれぞれの搬送ローラーを所定のタイミングで回転させ、給紙トレイ41または給紙装置104から供給される用紙Sを画像形成部30へ搬送する。
【0034】
給紙トレイ41は、ここでは上トレイ41aと下トレイ41bの2段の引き出し式トレイとなっていて、それぞれ個別に用紙を収納し、画像形成装置101へ用紙を供給する。
【0035】
給紙装置150は、画像形成装置110内部の上トレイ41aおよび下トレイ41bよりも多くの用紙を収納し、画像形成部30へ用紙Sを供給する。
【0036】
給紙装置150または給紙トレイ41から給紙された用紙Sは、搬送路42を搬送される。搬送路42には、クラッチにより回転、停止することで用紙の搬送タイミングを調整するレジストローラー431が配置されている。
【0037】
画像形成部30により画像形成された用紙Sは、下流側の搬送路42を経由して、印刷ジョブの印刷設定に応じた各処理を施されたのち機外に排出され排紙トレイ44上に載置される。印刷設定には、例えば、Nin1(ページ割付)、印刷部数の設定、ステープル、パンチ、折り、ウォーターマーク、原稿の向き、用紙サイズ、および、紙種(坪量、剛度)が含まれる。
【0038】
印刷ジョブの印刷設定が、両面印刷の設定であれば、片面(第1面、通常は表面)に画像形成された用紙Sを画像形成部30の下部にあるADU搬送路42dに搬送する。このADU搬送路42dに搬送された用紙Sは、スイッチバック経路で表裏を反転された後、搬送路42に合流し、再び画像形成部30で用紙Sのもう一方の面(第2面、通常は裏面)に画像形成される。
【0039】
操作表示部50はタッチパネル付きディスプレイ、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、各種指示を入力するための入力画面および装置の状態等を表示するとともに、印刷設定等の各種設定および各種指示の入力を受け付ける。
【0040】
通信部60には、SATA、PCI Expres、USB、イーサネット(登録商標)、IEEE1394などの規格によるネットワークインターフェース、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11などの無線通信インターフェース、などの各種ローカル接続インターフェースが用いられる。
【0041】
制御部10は、通信部60により、PC等の外部の端末から、印刷データおよび印刷設定で構成される印刷ジョブ、および、後述するカール補正ジョブを受信する。カール補正ジョブにも印刷データおよび印刷設定が含まれ得る。制御部10は、印刷ジョブまたはカール補正ジョブに基づいて、画像形成部30により用紙Sに画像を形成し、画像形成された用紙Sをデカール装置120へ出力する。
【0042】
(読取装置130)
図3に示すように、読取装置130は、制御部131、記憶部132、第1読取部133、第2読取部134、および通信部135を備える。
【0043】
制御部131は、CPUであり、プログラムに従い、画像形成装置110の制御部10と協働して、各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部131の具体的な制御については後述する。
【0044】
記憶部132および通信部135は、画像形成装置110の対応する部と同様の構成であるので説明を省略する。
【0045】
第1読取部133は、例えば、光学系を用いたCCD方式の読取方式で、搬送路42を搬送される、画像形成された用紙Sの一方の面を読み取り、第1読取画像(画像)を生成する。第1読取部133は、例えば、CCD素子、レンズおよびミラーを含む光学系、LED(Light Emitting Diode)光源等を備える。同様に、第2読取部134は、例えば、光学系を用いたCCD方式の読取方式で、搬送路42を搬送される、画像形成された用紙Sの他方の面を読み取り、第2読取画像(画像)を生成する。第1読取画像および第2読取画像は、例えば、ビットマップ形式のデータ(画像)であり得る。第1読取部133および第2読取部134は同じ構成を有することが好ましい。
【0046】
制御部131は、第1読取部133により用紙Sが読み取られることで生成された第1読取画像に基づいて、用紙Sの中央部分Cと端部E(図4A等参照)との、用紙Sの幅方向の長さ(画像幅)の差分値(以下、「第1差分値a」と称する)を算出する。用紙Sの幅方向とは、用紙Sの所定の方向に直交する方向である。以下、説明を簡単にするために、所定の方向は用紙Sの搬送方向であるものとして説明する。用紙Sの端部Eは、用紙Sの搬送方向の端(例えば、先端)である。用紙Sの端部Eには、用紙Sの搬送方向の端の近辺が含まれ得る。用紙Sの中央部分Cは、用紙Sの搬送方向の長さである用紙Sの長さを等分する部分である。用紙Sの中央部分Cには、用紙Sの長さを等分する部分の近辺が含まれる。同様に、制御部131は、第2読取部134により用紙Sが読み取られることで生成された第2読取画像に基づいて、用紙Sの中央部分Cと端部Eとの、用紙Sの幅方向の長さの差分値(以下、「第2差分値b」と称する)を算出する。制御部131は、以下説明するように、第1差分値aおよび第2差分値bを算出し得る。
【0047】
図4Aは、第1読取画像を示す図である。図4Bは、第2読取画像を示す図である。
【0048】
図4Aに示すように、第1読取画像においては、用紙Sの端部Eにおいて、用紙Sの幅が中央部分Cに対して増大している。これは、用紙Sが垂直方向上方に凸の形でカールしていることにより、自由端である用紙Sの端部Eが第1読取部133の読取面R1(すなわち読取素子)により近づくことで、第1読取部133のレンズの特性により、用紙Sの幅が大きく読み取られるためである。一方、図4Bに示すように、第2読取画像においては、用紙Sの端部において、用紙Sの幅が減少している。これは、用紙Sの上述のカールにより、自由端である用紙Sの端部Eが第2読取部134の読取面R2(すなわち読取素子)からより遠のくことで、第2読取部134のレンズの特性により、用紙Sの幅が小さく読み取られるためである。このように、用紙Sのカールの状態によって、第1読取画像および第2読取画像のそれぞれの外形の端部E周辺の形状(以下、「エッジ形状」と称する)が変化する。
【0049】
第1差分値aは、図4Aに示す、a1の値とa2の値の和として算出され得る。第1差分値aは、第1読取画像の外形における用紙Sのエッジ形状に基づいて算出される。具体的には、第1差分値aは次のように算出され得る。a1およびa2の値は、第1画像における、用紙Sの搬送方向(矢印の方向)に対する、用紙Sの両側辺s1、s2の延長線と、用紙Sの端部Eの幅方向の両端との間のそれぞれの距離である。第1差分値a(=a1+a2)は、正または負の値であり、図4Aのように、用紙Sの端部Eにおいて、用紙Sの幅が増大している場合は、a1およびa2は正の値であるため、第1差分値aも正の値となる。
【0050】
同様に、第2差分値bは、図4Bに示す、b1の値とb2の値の和として算出され得る。第2差分値bは、第1読取画像の外形における用紙Sのエッジ形状に基づいて算出される。具体的には、第2差分値bは次のように算出され得る。b1およびb2の値は、第2画像における、用紙Sの搬送方向(矢印の方向)に対する、用紙Sの両側辺s1、s2の延長線と、用紙Sの端部Eの幅方向の両端との間のそれぞれの距離である。第1差分値aと同様に、第2差分値b(=b1+b2)も、正または負の値であり、図4Bのように、用紙Sの端部Eにおいて、用紙Sの幅が減少している場合は、b1およびb2は負の値であるため、第2差分値bも負の値となる。なお、図4Aおよび図4Bの例において、第1差分値aが正の値のときに第2差分値bが負の値となり得るのは、次の理由による。用紙Sの一方の面側に凸形状にカールしている用紙Sは、用紙Sの他方の面側に凹形状にカールしており、第1読取画像は、用紙Sの一方の面の読取結果であり、第2読取画像は、用紙Sの他方の面の読取画像であるからである。
【0051】
制御部131は、第1差分値aと第2差分値bの差の絶対値AV(=|a-b|)を算出し得る。以下、第1差分値aと第2差分値bの差を、単に「差(a-b)」とも称する。また、差(a-b)の絶対値AVを、単に「絶対値AV」とも称する。
【0052】
図5は、用紙Sのカール量と、第1差分値aおよび第2差分値bとの関係を示すグラフである。図6は、読取装置130の構成を示す概略図である。
【0053】
図5に示すように、第1差分値aおよび第2差分値bは、それぞれカール量に依存する。しかし、第1差分値aおよび第2差分値bは、カール量が0(すなわち用紙Sがカールしていない)であっても0にならない可能性がある。これは、用紙Sの端部Eは自由端であるため、用紙Sにカールがなくても、第1読取部133の読取面R1(および第2読取部134の読取面R2)にフラットな状態に安定させることが困難であるためである。また、図6に示すように、用紙Sの擦れによる傷を防止するために設けられたコロr0に用紙Sが当たる際の衝撃で、用紙Sの端部Eがたわむことにより、第1読取部133の読取面R1(および第2読取部134の読取面R2)に端部Eが近づくためである。なお、図6においては、用紙Sの端部Eを含む一部が、第1読取部133により読み取られている状態が図示されている。この状態の後、用紙Sが搬送されることで、用紙Sの中央部分Cを含む一部が、第1読取部133により読み取られる。用紙Sの中央部分Cを含む一部が読み取られる際は、用紙Sは速度差をもつ2対のローラーr1、r2の間で引っ張られる。このため、用紙Sの中央部分Cは、第1読取部133の読取面R1にフラットな状態で、安定的に読み取られる。
【0054】
図5に示すように、用紙Sのカール量が0である際に、第1差分値aおよび第2差分値bが変動して0にならない場合、用紙のカール量の大きさ等のカール状態を判定するための基準(閾値)を適当に設定することは困難である。一方、用紙Sのカール量が0である際に、第1差分値aおよび第2差分値bが0にならなくても、両者の差は0になり得る。従って、第1差分値aと第2差分値bとの差(a-b)を算出することで、差(a-b)に基づいて用紙のカール状態を高精度に判定できる。差(a-b)および絶対値AVは、用紙Sのカール量が0であると、0(または0に近い値)になるため、用紙Sのカール状態を判定するための基準にできる。
【0055】
第1読取部133と第2読取部134とにより、用紙Sの両面を読み取り、読み取られた用紙Sの両面の外形に基づいてカール量等を判定することによる効果について説明する。読取位置において、用紙Sの紙面と読取部の背景部材との間の距離と、紙面と読取面との間の距離とが異なり、紙面と背景部材との間の距離の方が小さい構成の場合、次のような問題がある。片面しか読み取らない場合は、同じカール量であっても、カールの向きによって、検出(判定)されるカール量に違いが生じ得る。すなわち、用紙Sの先端が大きくカールしている場合、背景部材側にカールしていれば、用紙Sの先端が背景部材に接触して押さえられ、実際のカール量より小さくなる。一方、読取面側にカールしていれば、用紙Sの先端が読取面に接触することなく、実際のカール量のまま検出され得る。第1読取部133と第2読取部134とにより、用紙Sの両面を読み取り、読み取られた用紙Sの両面の外形(例えば、先端、または後端)の差を見ることにより、この影響を抑えることが可能となる。
【0056】
制御部131は、算出した差(a-b)に基づいて、用紙Sのカール状態を検出する。差(a-b)は、用紙Sのカール量に対応する値である。なお、カール量には、カール方向(凹凸)が符号(正負)により含まれている。従って、制御部131は、差(a-b)をカール状態として検出し得る。
【0057】
制御部131は、検出されたカール状態を、通信部135により送信(発信)する。制御部131は、例えば、デカール装置120へカール状態を送信する。制御部131は、画像形成装置110へカール状態を送信してもよい。
【0058】
制御部131は、デカール装置120にカール補正をさせるためのカール補正ジョブを、外部の端末または画像形成装置110から通信部135により受信し、カール補正ジョブに従い、デカール装置120または画像形成装置110へカール状態を送信する。なお、カール補正ジョブは、印刷ジョブとは別のジョブであるが、印刷ジョブに含まれていてもよい。以下、カール補正ジョブおよび印刷ジョブを単に「ジョブ」とも称する。
【0059】
制御部131は、ジョブを実行中に、継続的に、差(a-b)を算出(検出)し、カール状態として通信部135により送信し得る。
【0060】
制御部131は、条件別に、差a-bと、デカール量との対応関係を規定するデカール補正量テーブルを、あらかじめ記憶部132に記憶させ得る。条件には、用紙Sの坪量、サイズ、および剛度、ならびに湿度等の装置の設置環境の少なくともいずれかが含まれる。デカール補正量テーブルは、差a-bに応じた適当なデカール量を、実験により条件ごとに求めることで作成され得る。制御部131は、ジョブや湿度計による測定結果等に基づいて条件を特定し、特定した条件に適用されるデカール補正量テーブルを抽出し得る。制御部131は、抽出したデカール補正量テーブルをカール状態とともに通信部135によりデカール装置120等へ送信する。なお、条件別のデカール補正量テーブルは、画像形成装置110の記憶部20にあらかじめ記憶されてもよい。この場合、画像形成装置110の制御部10が、ジョブ等に基づいて条件を特定し、特定した条件に適用されるデカール補正量テーブルを抽出してデカール装置120等へ送信する。
【0061】
図7は、読取装置130の他の例の構成を示すブロック図である。
【0062】
図5の例においては、第1読取部133および第2読取部134を設け、2つの読取部により用紙Sの一方の面と他方の面とをそれぞれ読み取っている。しかし、図7に示すように、第1読取部133および第2読取部134を共通の1つの読取部(読取装置)136としてもよい。この場合、読取部136の読取面と対向する用紙Sの面を反転させる反転部(反転機構)137を設ける。そして、読取部136により用紙Sの一方の面が読み取られた後、反転部137により反転された用紙Sの他方の面を、再度読取部136により読み取る。反転部137は、画像形成装置110のADU搬送路42dと同様の搬送路により構成され、スイッチバック経路により用紙Sの面を反転し得る。
【0063】
(デカール装置120)
図8は、デカール装置120の構成を示すブロック図である。デカール装置120は、読取装置130に対し、用紙Sの搬送方向の上流に配置され得る。
【0064】
制御部121は、通信部124により読取装置130等から受信したカール状態およびカール補正量テーブルに基づいてデカール量(デカール強度)を決定し、決定されたデカール量に基づいて、デカール部123により用紙Sをデカール(矯正)する。具体的には、制御部121は、デカール部123の2つのローラー対r3、r4のそれぞれの押圧力を、デカール量に基づいて調整することで、用紙Sをデカールする。ローラー対r3、r4の押圧力はデカール量に対応する。例えば、ローラー対r3、r4は弾性ローラーとこれよりも硬いローラーにより構成される、押圧力を調整することでニップ形状が変化しデカール量が変化する。デカール量には、デカール方向(補正方向)が符号(正負)により含まれている。なお、デカール部123は、無端状ベルトを備え、無端状ベルトを介して用紙Sを押圧することで用紙Sをデカールしてもよい。
【0065】
制御部121は、差(a-b)が所定の閾値以下になるように、差(a-b)に基づいて、用紙Sをデカールする。制御部121は、先行する用紙Sについて検出された差(a-b)に基づいて、後続する用紙Sについての差(a-b)が0になるように、デカール部123のデカール量を制御し得る(フィードバック制御)。例えば、制御部121は、差(a-b)が所定の閾値A以上かつ所定の閾値B以下の範囲内になるように、差(a-b)に基づいて、デカール量を制御する。制御部121は、絶対値AVが所定の閾値C以下になるように、差(a-b)に基づいて、用紙Sをデカールしてもよい。この場合、制御部121は、先行する用紙Sの絶対値AVに基づいて、後続する用紙Sの絶対値AVが0になるように、デカール部123のデカール量を制御する。各所定の閾値は、顧客から求められる仕様等に基づいて任意に設定され得る。
【0066】
制御部121は、ジョブに従って読取装置130から継続的に送信されるカール状態を通信部124により受信し、差(a-b)(または絶対値AV)が0になるように、差(a-b)に基づいて、継続的に、用紙Sをデカールする。すなわち、制御部121は、差(a-b)(または絶対値AV)が0になるように、ジョブ中に継続的にデカール量を制御する。その結果、差(a-b)(または絶対値AV)が所定の閾値以下にすることができる。
【0067】
画像形成システム100の動作について説明する。
【0068】
図9は、画像形成システム100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、画像形成装置110が備える制御部10、読取装置130が備える制御部131、およびデカール装置120が備える制御部121が協働することで、プログラムに従って実行され得る。なお、説明を簡単にするために、フローチャートの各ステップの実行主体を「制御部10等」として説明する。
【0069】
制御部10等は、カール補正ジョブを受信したかどうか判断する(S101)。制御部10は、カール補正ジョブを受信していないと判断している間は(S101:NO)、ステップS101を繰り返し実行する。カール補正ジョブは、印刷ジョブの実行前に実行される初期調整ジョブとして実行され得る。なお、カール補正ジョブが印刷ジョブに含まれる場合は、カール補正ジョブは印刷ジョブの一部として実行される。
【0070】
制御部10等は、カール補正ジョブを受信したと判断した場合は(S101:YES)、カール補正ジョブの印刷設定等に基づいて条件を特定し、特定された条件に適用されるデカール補正量テーブルを抽出する(S102)。
【0071】
制御部10等は、用紙Sを画像形成部30に給紙し(S103)、用紙Sに画像を形成する(S104)。
【0072】
制御部10等は、用紙Sのデカールを実行する(S105)。なお、カール補正ジョブの実行が開始された後、下記ステップS104~ステップS110が実行されていない場合は、デカール量が決定されていないため、ステップS105は実行されない。
【0073】
制御部10等は、読取装置130により、用紙Sの一方の面を第1読取画像として読み取り(S106)、第1読取画像のエッジ形状に基づいて、第1差分値aを算出する(S107)。
【0074】
制御部10等は、読取装置130により、用紙Sの他方の面を第2読取画像として読み取り(S108)、第2読取画像のエッジ形状に基づいて、第2差分値bを算出する(S109)。
【0075】
制御部10等は、差(a-b)が所定の閾値A以上かつ所定の閾値B以下かどうか判断する(S110)。所定の閾値A、Bは、あらかじめ画像形成装置110の記憶部20、または読取装置130の記憶部132に記憶され得る。なお、所定の閾値は、カール補正ジョブが実行される度にユーザーにより設定されてもよい。制御部10等は、差(a-b)が所定の閾値A以上かつ所定の閾値B以下と判断した場合(S110:YES)は、用紙Sのカール量は正常であると判断する(S112)。この場合、制御部10等は、デカール装置120によるデカールは行わず、カール補正ジョブを終了する。
【0076】
制御部10等は、差(a-b)が所定の閾値A以上かつ所定の閾値B以下でないと判断した場合(S110:NO)は、ステップS102で抽出されたデカール補正量テーブルに従い、差(a-b)に対応するデカール量を決定する(S111)。その後、制御部10等は、デカール装置120によるデカール量を、決定されたデカール量に設定して、デステップS103~ステップS111を実行する。
【0077】
本実施形態は以下の効果を奏する。
【0078】
記録媒体の両面を読み取り、読み取られた一方の面の外形と他方の面の外形とに基づいて、記録媒体のカール状態を検出する。これにより、記録媒体のカール状態を正確に検出できる。
【0079】
さらに、第1読取部による読取結果に含まれる記録媒体の外形におけるエッジ形状に基づいて記録媒体の中央部分と端部との幅方向の長さの第1差分値を算出する。そして、第2読取部による読取結果に含まれる記録媒体の外形におけるエッジ形状に基づいて記録媒体の中央部分と端部との幅方向の長さの第2差分値を算出する。そして、第1差分値および第2差分値に基づいて記録媒体のカール状態を検出する。これにより、記録媒体の中央部分と端部との幅の差分値を正確に算出できる。
【0080】
さらに、搬送中の記録媒体の一方の面および他方の面を、第1読取部および第2読取部によりそれぞれ読み取る。これにより、効率的かつ正確に記録媒体のカール状態を検出できる。
【0081】
さらに、第1読取部による読取画像におけるエッジ形状に基づいて算出した、端部の画像幅と中央部分の画像幅との差分値と、第2読取部による読取画像におけるエッジ形状に基づいて算出した、記録媒体の端部の画像幅と中央部分の画像幅との差分値との差に基づいてカール状態を検出する。これにより、簡単な構成で、正確に記録媒体のカール状態を検出できる。
【0082】
さらに、記録媒体を反転させる反転部を設け、第1読取部と第2読取部を共通の読取部とし、記録媒体の一方の面が読取装置で読み取られた後、反転部により反転された記録媒体の他方の面を読取装置で読み取る。これにより、装置サイズの削減ができるとともに、正確に記録媒体のカール状態を検出できる。
【0083】
さらに、検出されたカール状態を送信する送信部を設ける。これにより、カール状態の情報を、デカール装置によるデカール量の調整等のさまざまな用途に利用できる。
【0084】
さらに、読取装置と、受信したカール状態に基づいて記録媒体を矯正するデカール部とを備えるデカールシステムを構成する。これにより、記録媒体のカール量を正確に低減できる。
【0085】
さらに、デカール装置を読取装置に対し、記録媒体の搬送方向の上流に配置する。そして、デカール装置により、カール状態に基づいて、第1読取部による読取結果に基づいて算出した、記録媒体の中央部分と端部との幅方向の長さの差分値と、第2読取部による読取結果に基づいて算出した、記録媒体の中央部分と端部との幅方向の長さの差分値と、の差が所定の閾値以下になるように、記録媒体をデカールする。これにより、フィードバック制御により、記録媒体のカール量を正確に調整できる。
【0086】
さらに、上記差をジョブの実行中に継続的に算出し、当該差が所定の閾値以下になるように、ジョブ中に継続的にデカール量を制御する。これにより、効率的かつより正確に記録媒体のカール量を低減できる。また、ジョブが印刷製品を製造するための印刷ジョブである場合、上記差が常時監視されることで、ヤレ紙の発生を抑制できる。
【0087】
さらに、カール状態と、記録媒体の坪量、剛度、およびサイズの少なくともいずれかの情報と、に基づいて、デカール量を制御する。これにより、カール量の制御に影響する各種条件が考慮されることで、より正確に記録媒体のカール量を調整できる。
【0088】
さらに、画像形成部とデカールシステムを備える画像形成システムを構成する。これにより、効率的にカール量が低減された印刷物を生産できる。
【0089】
以上に説明した読取装置、デカールシステム、画像形成システム、およびカール状態検出方法の構成は、実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な読取装置等が備える構成を排除するものではない。
【0090】
例えば、上述した実施形態においては、デカール装置を読取装置に対し、用紙の搬送方向の上流に配置している。しかし、デカール装置を読取装置に対し、用紙の搬送方向の下流に配置してもよい。この場合、読取装置による用紙の両面の読取結果に基づいて検出されたカール状態が、同じ用紙に対するデカール量に反映されるというフィードフォワード制御がなされる。
【0091】
また、第1差分値aおよび第2差分値bは、第1読取画像および第2読取画像から、用紙の端部の画素数と中央部の画素数の差を求めることで、それぞれ算出されてもよい。
【0092】
また、第1差分値aおよび第2差分値bは、用紙が搬送されていない状態で検出されてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態に係る画像形成システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0094】
E 端部、
r0 コロ、
R1、R2 読取面、
10、121、131 制御部、
20、122、132 記憶部、
30 画像形成部、
40 給紙搬送部、
50 操作表示部、
60、124、135 通信部、
100 画像形成システム、
110 画像形成装置、
120 デカール装置、
130 読取装置、
133 第1読取部、
134 第2読取部、
136 読取部、
137 反転部、
140 後処理装置、
150 給紙装置。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9