(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20231129BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F3/12 360
G06F3/12 370
G06F3/12 303
H04N1/00 127Z
(21)【出願番号】P 2019230810
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇代 武道
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆史
(72)【発明者】
【氏名】幅口 勝人
(72)【発明者】
【氏名】谷島 正彦
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-097287(JP,A)
【文献】特開2003-323321(JP,A)
【文献】特開2006-344172(JP,A)
【文献】特開平11-219277(JP,A)
【文献】特開2017-091038(JP,A)
【文献】特開2009-269258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
特定のフォルダに格納された作業指示情報、及び当該作業指示情報に対応する画像形成の対象となる対象情報を取得し、
前記作業指示情報に対応する前記対象情報が、予め定めた順に画像形成されるように、取得した前記作業指示情報の順序を変更し、
画像形成装置が画像形成対象の情報を取り出す対象フォルダに、順序が変更された前記作業指示情報を順次格納
し、
前記対象フォルダに格納された前記作業指示情報が削除された場合に、順序が変更された前記作業指示情報のうち最初の前記作業指示情報を前記対象フォルダに格納し、格納された前記作業指示情報が削除される毎に、変更後の前記作業指示情報のうち次の順序の前記作業指示情報を順次格納する処理を行う情報処理装置。
【請求項2】
前記予め定めた順序は、前記特定のフォルダに格納された作業指示情報の作成日付順、またはファイル名順である請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定のフォルダは、画像形成装置毎に設けたフォルダである請求項1
又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記作業指示情報は、画像形成を行う画像形成装置を指示する情報が属性に付与されたものである請求項1~3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
先入れ先出しモードと非先入れ先出しモードとを有し、
前記先入れ先出しモードの場合に、前記処理を行う請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、先入れ先出しモードの場合、前記対象フォルダに格納された前記作業指示情報の削除の確認を予め定めた回数または予め定めた時間経過するまで行って、削除が確認されない場合に、エラーを通知する処理を行う請求項
5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記対象フォルダに前記作業指示情報を格納する場合、ファイル名を一意のファイル名に変更して格納する請求項
1~6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
時刻情報を用いてファイル名を変更する請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の情報処理装置と、
前記対象フォルダから前記作業指示情報を取り出して、画像を形成する処理を実行した後に、前記対象フォルダから画像を形成する処理が完了した前記作業指示情報を削除する処理を行う画像形成装置と、
を含む情報処理システム。
【請求項10】
コンピュータに、
特定のフォルダに格納された作業指示情報、及び当該作業指示情報に対応する画像形成の対象となる対象情報を取得し、
前記作業指示情報に対応する前記対象情報が、予め定めた順に画像形成されるように、取得した前記作業指示情報の順序を変更し、
画像形成装置が画像形成対象の情報を取り出す対象フォルダに、順序が変更された前記作業指示情報を順次格納し、
前記対象フォルダに格納された前記作業指示情報が削除された場合に、順序が変更された前記作業指示情報のうち最初の前記作業指示情報を前記対象フォルダに格納し、格納された前記作業指示情報が削除される毎に、変更後の前記作業指示情報のうち次の順序の前記作業指示情報を順次格納する処理を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォルダに投入されたファイルのファイル情報を外部から受信し、ファイル情報を含む印刷ジョブ情報を生成して、フォルダに予め対応付けられた画像形成装置に印刷ジョブ情報を送信する管理装置が提案されている。詳細には、管理装置は、画像形成装置が印刷できる状態にあるか否かを画像形成装置の状態情報に基づいて監視して、画像形成装置が印刷できない状態にあると判断された場合、フォルダへのファイルの投入を拒否する権限をフォルダに設定する。そして、フォルダへのファイルの投入を拒否する権限を設定した後に画像形成装置が印刷できる状態になったと判断された場合に、フォルダへのファイルの投入を許可する権限をフォルダに設定する。
【0003】
また、特許文献2には、特定のフォルダへのファイル投入を検知する検知手段と、検知手段で検知したファイルの複製を画像形成装置へ転送する転送手段と、転送したファイルの処理状況を監視する監視手段とを有するジョブ管理システムを備え、画像形成装置へ転送したファイルの印刷完了の検知後に、該フォルダへ投入された該ファイルを削除するプリントシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5574821号公報
【文献】特開2010-128568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特定のフォルダに作業指示情報を格納することで、画像形成装置が作業指示情報に記述された内容に従って画像形成を行う技術が知られているが、特定のフォルダに複数の作業指示情報が格納されている場合、画像形成装置から特定のフォルダに格納された作業指示情報の画像形成の順番を制御できない場合があった。そこで、本発明は、特定のフォルダに複数の作業指示情報が格納されている場合であっても、画像形成の順序を制御することが可能な情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、特定のフォルダに格納された作業指示情報、及び当該作業指示情報に対応する画像形成の対象となる対象情報を取得し、前記作業指示情報に対応する前記対象情報が、予め定めた順に画像形成されるように、取得した前記作業指示情報の順序を変更し、画像形成装置が画像形成対象の情報を取り出す対象フォルダに、順序が変更された前記作業指示情報を順次格納し、前記対象フォルダに格納された前記作業指示情報が削除された場合に、順序が変更された前記作業指示情報のうち最初の前記作業指示情報を前記対象フォルダに格納し、格納された前記作業指示情報が削除される毎に、変更後の前記作業指示情報のうち次の順序の前記作業指示情報を順次格納する処理を行う。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記予め定めた順序は、前記特定のフォルダに格納された作業指示情報の作成日付順、またはファイル名順である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記特定のフォルダは、画像形成装置毎に設けたフォルダである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3の何れか1項に記載の発明において、前記作業指示情報は、画像形成を行う画像形成装置を指示する情報が属性に付与されたものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記プロセッサは、先入れ先出しモードと非先入れ先出しモードとを有し、前記先入れ先出しモードの場合に、前記処理を行う。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記プロセッサは、先入れ先出しモードの場合、前記対象フォルダに格納された前記作業指示情報の削除の確認を予め定めた回数または予め定めた時間経過するまで行って、削除が確認されない場合に、エラーを通知する処理を行う。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6の何れか1項に記載の発明において、前記プロセッサは、前記対象フォルダに前記作業指示情報を格納する場合、ファイル名を一意のファイル名に変更して格納する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記プロセッサは、時刻情報を用いてファイル名を変更する。
【0016】
請求項9に記載の情報処理システムは、請求項1~8の何れか1項に記載の情報処理装置と、前記対象フォルダから前記作業指示情報を取り出して、画像を形成する処理を実行した後に、前記対象フォルダから画像を形成する処理が完了した前記作業指示情報を削除する処理を行う画像形成装置と、を含む。
【0017】
請求項10に記載の情報処理プログラムは、コンピュータに、特定のフォルダに格納された作業指示情報、及び当該作業指示情報に対応する画像形成の対象となる対象情報を取得し、前記作業指示情報に対応する前記対象情報が、予め定めた順に画像形成されるように、取得した前記作業指示情報の順序を変更し、画像形成装置が画像形成対象の情報を取り出す対象フォルダに、順序が変更された前記作業指示情報を順次格納し、前記対象フォルダに格納された前記作業指示情報が削除された場合に、順序が変更された前記作業指示情報のうち最初の前記作業指示情報を前記対象フォルダに格納し、格納された前記作業指示情報が削除される毎に、変更後の前記作業指示情報のうち次の順序の前記作業指示情報を順次格納する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の情報処理装置によれば、特定のフォルダに複数の作業指示情報が格納されている場合であっても、画像形成の順序を制御することが可能で、かつ特定のフォルダに複数の作業指示情報が格納されている場合であっても、予め定めた順に画像形成を行うことが可能な情報処理装置を提供できる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、特定のフォルダに複数の作業指示情報が格納されている場合であっても、作業指示情報の作成日時順またはファイル名順に画像形成を行うことが可能となる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、作業指示情報を格納するフォルダを選択することでどの画像形成装置で画像形成を行うかを指示することが可能となる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、作業指示情報の属性によって画像形成を行う画像形成装置を指示することが可能となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、先入れ先出しモードしかない場合に比べて、画像形成の順序を制御する必要がない場合に、非先入れ先出しモードにすることで、画像形成を効率的に行うことが可能となる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、作業指示情報に対する画像形成がエラーによって終了できないことを知ることができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、他のシステム等から同一ファイル名のファイルが特定のフォルダに偶然格納されることによる上書きを禁止することが可能となる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、一意のファイル名をユーザが考えて変更する場合に比べて、一意のファイル名への変更を容易に行うことが可能となる。
【0028】
請求項9に記載の情報処理システムによれば、特定のフォルダに複数の作業指示情報が格納されている場合であっても、画像形成の順序を制御することが可能な情報処理システムを提供できる。
【0029】
請求項10に記載の情報処理プログラムによれば、特定のフォルダに複数の作業指示情報が格納されている場合であっても、画像形成の順序を制御することが可能な情報処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態に係る印刷処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る印刷処理システムにおける印刷データ生成システム、プリンタ、及びプリントサーバの要部構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るプリントサーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態に係るプリントサーバのデータ受信時の各機能を説明するための図である。
【
図5】スプーリング部によるJDFの順序の変更の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るプリントサーバのデータ送信時の各機能を説明するための図である。
【
図7】一意のファイル名への変更例を説明するための図である。
【
図8】本実施形態に係るプリントサーバがホットフォルダからJDF及び対応するコンテンツファイルを入力する際のデータ受信時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係るプリントサーバが、ホットフォルダへJDF及び対応するコンテンツファイルを格納する際のデータ送信時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本実施形態の一例を詳細に説明する。本実施形態では、ホットフォルダに作業指示情報としてのJDF(Job definition Format)を格納することで印刷を行う印刷処理システムを情報処理システムの一例として説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷処理システムの概略構成を示す図である。
【0032】
なお、JDFとは、プリプレス・プレス・ポストプレスの工程統合管理のための国際標準化団体「CIP4」が発行している、印刷物の各製造工程間で情報を共有するために設計された業界標準の文書フォーマット、あるいは製造工程機種間でのデータ交換フォーマットの仕様である。JDFの中には、顧客名・ページ数・サイズ・納期などの基本的な仕様の項目から、各製造工程内での仕様や作業実績の項目、他にも商品の配送先などの項目もあり、印刷業務の生産工程全体を管理できるような記述が可能とされている。例えば、JDFを使うことで、紙媒体による作業指示書の発行の廃止によるペーパレス化や、JDF対応機材への直接作業指示、作業進捗等の管理、作業や設定の自動化などが行われる。
【0033】
また、ホットフォルダとは、印刷対象をホットフォルダに格納することで、プリンタドライバによる面倒なプリントオプション設定を行わずに、PDFファイル等の各種ファイルを自動印刷するためのフォルダである。具体的には、ホットフォルダは、使用頻度が高いプリントオプション、及び面付け設定や印刷時に使用するキューの設定及び保存が可能なフォルダとされている。
【0034】
本実施形態に係る印刷処理システム10は、商用印刷市場とデータプリント市場の2つの市場を対象としたプロダクション市場を対象としたものとして説明するが、これに限るものではない。
【0035】
本実施形態に係る印刷処理システム10は、
図1に示すように、印刷データ生成システム12、画像形成装置としてのプリンタ14(14a、14b)、及び情報処理装置としてのプリントサーバ16がネットワーク等の通信回線22に接続されている。なお、プリンタ14は2台を一例として示すが、2台に限るものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。
【0036】
また、通信回線22には、プリントサーバ16に対応して設けられた特定のフォルダとしてのホットフォルダ18、及び各プリンタ14に対応して設けられた対象フォルダとしてのホットフォルダ20が接続されている。
図1では、ホットフォルダ18、20はそれぞれ1つを示すが、プリンタ14の設定毎に複数設けられている。なお、ホットフォルダ18、20とプリンタ14との対応は、例えば、プリンタ14毎のホットフォルダ18、20を設ける形態としてもよいし、ホットフォルダ18、20に格納されるJDFの属性にプリンタを指定する情報を付与して、印刷するプリンタを選択する形態としてもよい。また、ホットフォルダ18は、プリントサーバ16内の格納領域に設ける形態としてもよいが、専用のホットフォルダ18用のサーバに設ける形態としてもよい。また、ホットフォルダ20についても各プリンタ14の格納領域に設ける形態としてもよいが、専用のホットフォルダ20用のサーバに設ける形態としてもよい。また、ホットフォルダ18、20にJDF及び印刷対象のコンテンツファイルを共に格納する形態としてもよいし、ホットフォルダ18、20にJDFを格納し、JDFで指定された他のフォルダに印刷対象のコンテンツファイルを格納する形態としてもよい。
【0037】
印刷データ生成システム12は、基幹出力帳票等の印刷対象を印刷するためのJDF及びコンテンツファイルを生成する。
【0038】
プリンタ14は、ホットフォルダ20に格納されたJDFの内容から、印刷対象のコンテンツファイルを取得して、ホットフォルダ20に設定された内容及びJDFの内容に従って用紙に画像を形成することにより印刷を行う。
【0039】
プリントサーバ16は、ホットフォルダ18に格納されたJDFを取り出して、予め定めた順に印刷されるように、JDFの順序を並べ替える処理を行って、ホットフォルダ20に格納する処理を行う。
【0040】
続いて、本実施形態に係る印刷処理システム10における印刷データ生成システム12、プリンタ14、及びプリントサーバ16の要部構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る印刷処理システム10における印刷データ生成システム12、プリンタ14、及びプリントサーバ16の要部構成を示すブロック図である。なお、印刷データ生成システム12、プリンタ14、及びプリントサーバ16は、基本的には一般的なコンピュータ構成を含むので、プリントサーバ16を代表して説明する。
【0041】
本実施の形態に係るプリントサーバ16は、
図2に示すように、プロセッサの一例としてのCPU16A、ROM16B、RAM16C、HDD16D、操作部16E、表示部16F、及び通信回線I/F(インタフェース)部16Gを備えている。CPU16Aは、プリントサーバ16の全体の動作を司る。ROM16Bは、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM16Cは、CPU16Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。HDD16Dは、各種のデータやアプリケーション・プログラム等が記憶される。操作部16Eは各種の情報を入力するために用いられる。表示部16Fは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線I/F部16Gは、通信回線22に接続され、当該通信回線22に接続された他の装置と各種データの送受信を行う。以上のプリントサーバ16の各部はシステムバス16Hにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施の形態に係るプリントサーバ16では、HDD16Dを記憶部として適用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ等の他の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0042】
以上の構成により、本実施の形態に係るプリントサーバ16は、CPU16Aにより、ROM16B、RAM16C、及びHDD16Dに対するアクセス、操作部16Eを介した各種データの入力、表示部16Fに対する各種情報の表示を各々実行する。また、プリントサーバ16は、CPU16Aにより、通信回線I/F部16Gを介した通信データの送受信の制御を実行する。
【0043】
このように構成された本実施形態に係る印刷処理システム10では、印刷データ生成システム12により生成されたJDFをホットフォルダ18に格納すると、プリントサーバ16がJDFを予め定めた順序に変更してホットフォルダ20に格納する処理を行う。
【0044】
次に、本実施形態に係るプリントサーバ16の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るプリントサーバ16の機能構成を示す機能ブロック図である。また、
図4は、本実施形態に係るプリントサーバ16のデータ受信時の各機能を説明するための図であり、
図6は、本実施形態に係るプリントサーバ16のデータ送信時の各機能を説明するための図である。
【0045】
プリントサーバ16は、
図3に示すように、データ受信部24、スプーリング部26、及びデータ送信部30の機能を有する。
【0046】
データ受信部24は、ホットフォルダ18に格納されたJDF、及び当該JDFによって指定されたコンテンツファイルを取得する。すなわち、
図4に示すように、ホットフォルダ18に格納されたJDFをプリントサーバ16に入力し(
図4のJDF入力)、JDFからコンテンツ格納場所の確認を行って、対応するコンテンツファイルを入力する(
図4のコンテンツ入力)。
【0047】
スプーリング部26は、予め定めた順序で印刷されるように、データ受信部24が取得したJDFを並べ替えて、JDF及び当該JDFに対応するコンテンツファイルをキュー28にスプールする(
図4のコンテンツ&JDFスプール)。そして、スプーリング部26は、入力したJDF及びコンテンツファイルをホットフォルダ18及びコンテンツファイルが格納されたフォルダから削除する(
図4のコンテンツ&JDF削除)。なお、スプーリング部26がJDFを並べ変える際の予め定めた順序は、例えば、
図5に示すように、タイムスタンプ順、またはファイル名順に並べ替える。タイムスタンプ順に並べ替える場合には、検索ディレクトリのファイルリストをタイムスタンプ(JDFのファイル作成日時)で昇順ソート(古→新)し、古いものから順に取得する。一方、ファイル名順に並べ替える場合には、ファイル名全体または一部をソート情報として使用し、予め指定された昇順または降順に従ってソートして、上位のものから順に取得する。
図5の例では、範囲を指定して開始桁を5桁、文字数を4として降順にソートした例を示す。また、例えば、ユーザがプリントサーバ16の設定を変更することで、タイムスタンプ順に変更するか、ファイル名順に変更するかを選択可能としてもよい。
【0048】
データ送信部30は、
図6に示すように、スプーリング部26によってキュー28にスプールされた出力対象のJDF及びコンテンツファイルを検索し、JDFを取り出すと共に、コンテンツファイルを取り出す。そして、取り出したJDF及びコンテンツファイルをホットフォルダ20に書き出す処理を行う。また、本実施形態では、先入れ先出しのFIFO(First in First out)モードと非FIFOモードとを有し、FIFOモードが予め設定されている場合には、ホットフォルダ20に格納したJDF及びコンテンツファイルがプリンタ14によって処理されて削除されたか否かを監視し、削除された場合に次のJDF及びコンテンツファイルをホットフォルダ20に格納する処理を順次行う。これにより、ホットフォルダ18に複数のJDFが格納されている場合であっても、印刷の処理順がプリントサーバ16によって制御される。
【0049】
なお、データ送信部30は、キュー28からJDF及びコンテンツファイルを取り出してホットフォルダ20に格納する際に、一意のファイル名に変更する処理を行うことで、他のシステム等から同一ファイル名のファイルが偶然格納されることによる上書きが禁止される。そのために、ファイル名としては、キュー28からJDFを取り出したタイミングの日時等を用いてファイル名を変更する。例えば、
図7に示すように、JDFのファイル名のプレフィックスとして年月日時分秒ミリ秒_を付与する。また、JDFから参照されるコンテンツファイルのファイル名のプレフィックスとして年月日時分秒ミリ秒_を付与する。また、JDF内で指定されているコンテンツファイルのファイル名のプレフィックスとして年月日時分秒ミリ秒_を付与する。ここではJDFを取り出したタイミングの時間情報からプレフィクスを付与する場合について説明したが、もちろんそれに限定されるものではない。例えば、JDFが格納された時間情報を用いてプレフィクスを付与してもよい。或いは、JDFを格納したユーザ識別情報や送信元のコンピュータの識別子などの識別情報と通し番号とを組み合わせたものなどを用いてプレフィクスを付与してもよい。JDFやコンテンツファイルを一意に特定可能な情報であればいずれの情報であってもプレフィックスとして使用することができる。
【0050】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係るプリントサーバ16で行われる具体的な処理について説明する。まず、ホットフォルダ18からJDF及び対応するコンテンツファイルをプリントサーバ16に入力する際のデータ受信時の処理について説明する。
図8は、本実施形態に係るプリントサーバ16がホットフォルダ18からJDF及び対応するコンテンツファイルを入力する際のデータ受信時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップ100では、CPU16Aが、プリントサーバ16用のホットフォルダ18を監視してステップ102へ移行する。
【0052】
ステップ102では、CPU16Aが、取り出し対象のJDFがホットフォルダ18にあるか否か判定する。該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合にはステップ104へ移行する。すなわち、データ受信部24が、ホットフォルダ18にJDFが格納されているか否かを監視する。
【0053】
ステップ104では、CPU16Aが、JDFを取り出してリスト化して予め定めた順序に並べ替えてステップ106へ移行する。すなわち、データ受信部24が、ホットフォルダ18に格納されたJDFを取り出して、スプーリング部26が、予め定めた順序で印刷されるように、データ受信部24が取得したJDFを並べ替える。
【0054】
ステップ106では、CPU16Aが、JDFのホットフォルダ18からの取り出しが完了したか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ108へ移行し、肯定された場合には一連の処理を終了する。
【0055】
ステップ108では、CPU16Aが、対象のコンテンツファイルを取り出してステップ110へ移行する。すなわち、スプーリング部26が、JDFによって指定された格納先からJDFに対応するコンテンツファイルを取り出す。
【0056】
ステップ110では、CPU16Aが、JDF及び対応するコンテンツファイルをキュー28にスプールしてステップ106に戻って、ホットフォルダ18からのJDFの取り出しが完了するまで上述の処理を繰り返す。すなわち、スプーリング部26が、予め定めた順序に並べ替えたJDF及び当該JDFに対応するコンテンツファイルをキュー28にスプールする。
【0057】
次に、プリントサーバ16が、ホットフォルダ20へJDF及び対応するコンテンツファイルを格納する際のデータ送信時の処理について説明する。
図9は、本実施形態に係るプリントサーバ16が、ホットフォルダ20へJDF及び対応するコンテンツファイルを格納する際のデータ送信時の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
ステップ200では、CPU16Aが、キュー28にスプールされた転送対象のJDFを確認してステップ202へ移行する。すなわち、データ送信部30が、スプーリング部26によってキュー28にスプールされた出力対象のJDF及びコンテンツファイルを検索する。
【0059】
ステップ202では、CPU16Aが、転送対象があるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ204へ移行し、否定された場合には一連の処理を終了する。
【0060】
ステップ204では、CPU16Aが、JDFをキュー28から取り出してステップ206へ移行する。すなわち、データ送信部30が、スプーリング部26によってキュー28にスプールされた出力対象のJDFを取り出す。
【0061】
ステップ206では、CPU16Aが、JDFに対応するコンテンツファイルをキュー28から取り出してステップ208へ移行する。すなわち、データ送信部30が、スプーリング部26によってキュー28にスプールされた出力対象のコンテンツファイルを取り出す。
【0062】
ステップ208では、CPU16Aが、取り出し時の時刻を取得して一意のファイル名を設定してステップ210へ移行する。本実施形態では、データ送信部30が、キュー28からJDFを取り出したタイミングの日時等を用いてコンテンツファイルのファイル名を設定する。例えば、データ送信部30が、JDFのファイル名のプレフィックスとして年月日時分秒ミリ秒_を付与すると共に、JDFから参照されるコンテンツファイルのファイル名のプレフィックスとして年月日時分秒ミリ秒_を付与する。なお、本実施形態では、キュー28からJDFを取り出したタイミングの日時等を用いてコンテンツファイルのファイル名を設定するが、日時以外の情報を用いて一意のファイル名となるようにファイル名を設定してもよい。
【0063】
ステップ210では、CPU16Aが、コンテンツファイルをホットフォルダ20に書き出してステップ212へ移行する。すなわち、データ送信部30が、ファイル名が変更されたコンテンツファイルをホットフォルダ20に書き出す処理を行う。
【0064】
ステップ212では、CPU16Aが、コンテンツファイル名に合わせてJDFの属性を修正してステップ214へ移行する。例えば、データ送信部30が、JDF内で指定されているコンテンツファイルのファイル名のプレフィックスとして年月日時分秒ミリ秒_を付与する。
【0065】
ステップ214では、CPU16Aが、JDFをホットフォルダ20に書き出してステップ216へ移行する。すなわち、データ送信部30が、属性が修正されたJDFをホットフォルダ20に書き出す処理を行う。
【0066】
ステップ216では、CPU16Aが、FIFOモードであるか否かを判定する。該判定は、ユーザによってFIFOモードがプリントサーバ16に予め設定されているか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合にはステップ218へ移行する。
【0067】
ステップ218では、CPU16Aが、ホットフォルダ20を監視してステップ220へ移行する。
【0068】
ステップ220では、CPU16Aが、ホットフォルダ20に書き出したファイルがあるか否かを判定する。該判定は、ホットフォルダ20に書き出したファイルが印刷されずに、未だ残っているか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理を繰り返し、判定が肯定された場合にはステップ222へ移行する。
【0069】
ここで、上記実施の形態では、プリントサーバのCPU16Aが、書き出したファイルがホットフォルダ20に残っているかどうかを判定することによって、JDFに基づく印刷命令がプリンタ14に取り込まれたことを判定しているが、それ以外の方法でもよい。例えば、プリンタ14の処理状態に基づいて、JDFがプリンタ14に取り込まれたことを判定することもできる。すなわち、例えば、プリントサーバ16が、プリンタ14の印刷命令の格納先に、JDFに基づく印刷命令がすでに格納されていることを判断したり、あるいはその印刷命令の処理状況をプリンタ14から取得して、JDFに基づく印刷命令の開始や終了、処理中の状態を把握したりすることで、JDFがプリンタ14に取り込まれたことを判断してもよい。プリントサーバ16がプリンタ14の状態を把握するためには、SNMP(Simple Network Management Protocol) やLPR(Line Printer Daemon Protocol)といった標準的なプロトコルを使ってステータスを取得することができる。それ以外にも、JDF等のファイルに、通知に対する設定を記述しておき、印刷が所定の段階になった場合に、プリントサーバ16に通知するように設定しておくことで、プリンタ14からの通知によってJDFがプリンタ14に取り込まれたことを判定するようにしてもよい。
【0070】
ステップ222では、CPU16Aが、リトライが満了したか否かを判定する。該判定は、例えば、予め定めたリトライ回数分ステップ220の処理が行われたか否かを判定する。或いは、予め定めたリトライ時間が経過したか否かを判定する。該判定が否定された場合にはステップ224へ移行し、肯定された場合にはステップ226へ移行する。
【0071】
ステップ224では、CPU16Aが、予め定めた時間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ218へ戻って上述の処理を繰り返す。すなわち、一定時間待機した後に書き出したファイルが削除されたか否かの判定をリトライする。
【0072】
一方、ステップ226では、CPU16Aが、FIFOエラーをプリンタ14に通知して一連の処理を終了する。これにより、プリンタ14にFIFOエラーが表示され、ユーザにFIFOエラーが報知される。
【0073】
このように処理を行うことで、プリントサーバ16用のホットフォルダ18にJDFを格納することで、プリントサーバ16が、予め定めた順序に印刷されるように並べ変えて、プリンタ14用のホットフォルダ20に格納する。これにより、印刷の順番がプリントサーバ16によって保証される。
【0074】
例えば、従来では、JDFを順番にホットフォルダに格納したとしても、対応するコンテンツファイルの大きさが異なる場合に、プリンタ14にコンテンツファイルが準備完了となる順番がJDFの順番から変化してしまう場合があった。本実施形態では、プリントサーバ16がFIFOモードで動作することにより、JDFの順番を予め定めた順序で印刷されるように保証されるため、期待した順番で印刷されることなる。
【0075】
なお、上記の実施形態では、プリントサーバ16が、非FIFOモードとFIFOモードを備える例を説明したが、これに限るものではない。FIFOモードのみを備えた形態としてもよい。或いは、非FIFOモード、FIFOモード、及び後入れ先出しのLIFO(Last In First Out)モード(またはFILO(First-In Last-Out)モード)の少なくとも1つを備える形態としてもよいし、これら3モードのうちの少なくとも2以上を備えて、ユーザによって選択可能な形態としてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態では、CPUをプロセッサの一例として説明したが、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0077】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0078】
また、上記の実施形態に係る印刷処理システム10におけるプリントサーバ16等で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、印刷処理システム10におけるプリントサーバ16等で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0079】
また、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
10 印刷処理システム
12 印刷データ生成システム
14 プリンタ
16 プリントサーバ
18、20 ホットフォルダ
24 データ受信部
26 スプーリング部
28 キュー
30 データ送信部